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JP2010106767A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、各気筒における燃料噴射量と噴射時間の関係を必要に応じて補正し、正確に燃料噴射量を噴射できる燃料噴射装置を提供することを課題とする。
【解決手段】燃料噴射装置1Aは、高圧ポンプ3Bによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留するコモンレール4、コモンレール4から分岐した高圧燃料供給通路21を通じて供給される燃料をディーゼルエンジンの気筒ごとに対応して噴射する直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5A、及びインジェクタ5Aから燃料を噴射するための噴射指示信号を出力するECU80Aを備える。そして、コモンレール4寄りの高圧燃料供給通路21内にオリフィス75を設け、オリフィス75の上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサSdPを設ける。ECU80Aは、差圧センサSdPからの信号に基づいて実燃料噴射量を算出し、燃料噴射量(Q)と噴射時間(T)の相関関係を示すT−Q特性を補正する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料蓄圧部に蓄圧状態で貯留された燃料を燃料噴射弁から内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射装置に関する。
従来、各気筒への実燃料噴射量は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部に設けた圧力センサにより検出される圧力と、各気筒の燃料噴射弁への噴射指示による燃料噴射弁の噴射時間、又は噴射回数により算出されていた。しかし、例えば、燃料噴射弁の製造公差により、燃料噴射弁内のノズルニードルのリフト量や、燃料噴射孔の面積にばらつきがあり、実燃料噴射量にもばらつきを生じたり、各気筒に対する燃料噴射の圧力反射等により、燃料蓄圧部の圧力に脈動が生じ、燃料噴射弁の噴射時間や噴射回数が各気筒間で同じ場合に、実際の各気筒への燃料噴射量に差を生じたりし、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりする虞がある。
例えば特許文献1には、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、燃料蓄圧部から分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁、及び燃料噴射弁から燃料を噴射するための噴射指示信号を出力する制御部を備えた燃料噴射装置において、燃料供給通路に配置されたベンチュリ形狭隘部に、差圧を検出する差圧センサを備え、制御部は、差圧センサからの信号に基づいてベンチュリ形狭隘部を通過する実燃料供給量を算出する燃料噴射装置の技術が記載されている。
特開2003−184632号公報(図4、図12、及び段落0051〜0058参照)
しかしながら、前記の特許文献1に記載の技術では、ベンチュリ形狭隘部の最小絞り成形に限界があり、滑らかに急激に絞ることが管の絞り加工技術上難しく、又、最小径を十分に小さくできない等、ベンチュリ形狭隘部を高精度に形成することは難しい。また、ベンチュリ形狭隘部の差圧の発生も小さく、燃料噴射弁の燃料噴射時の燃料供給量をベンチュリ形狭隘部の差圧から正確に算出することは困難である。
したがって、燃料噴射弁からの燃料噴射量(Q)と噴射時間(T)との相関関係を正確に把握することは困難であり、例えば、経時劣化によって燃料噴射弁の特性が変化すると、制御部が算出する目標噴射量と実燃料噴射量に誤差が生じることがあり、このような誤差が生じることによって、前記したように、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりする虞がある。
そこで、本発明は、各気筒における燃料噴射量と噴射時間の関係を必要に応じて補正し、正確に燃料噴射量を噴射できる燃料噴射装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、前記燃料噴射弁の燃料噴射量(Q)と噴射時間(T)の相関関係を示すT−Q特性をデータとして記憶している記憶部と、を備えた燃料噴射装置とした。そして、前記T−Q特性は、前記燃料蓄圧部の圧力を代表する代表圧力値における前記燃料噴射量(Q)と前記噴射時間(T)の相関関係を離散的に測定したデータを回帰分析して得られる多項式で表される特性線で示され、
前記制御部は、前記蓄圧部圧力センサが検出する前記燃料蓄圧部の圧力と前記目標噴射量に基づいて、前記目標噴射量に対応する目標噴射時間を、前記特性線から求めることを特徴とする。
本発明によれば、燃料噴射量(Q)と噴射時間(T)の相関関係を、離散的に測定したデータを回帰分析して、T−Q特性の特性線を表す多項式を算出できることから、少ない測定でT−Q特性の特性線を得ることができる。したがって、T−Q特性の特性線を得るための工数を削減できる。
また本発明は、前記燃料噴射量(Q)が所定の境界値以上の領域では、前記特性線を表す多項式が1次多項式であることを特徴とする。
本発明によれば、燃料噴射量(Q)が所定の境界値より大きな領域において、T−Q特性を示す特性線を表す多項式を1次多項式に近似することができる。したがって、燃料噴射量(Q)が所定の境界値より大きな領域において、特性線を簡素化することができ、制御部が、目標噴射時間を特性線から求めるときの演算負荷を軽減できる。
また本発明は、前記T−Q特性は、複数の前記代表圧力値ごとに測定される前記燃料噴射量(Q)と前記噴射時間(T)の相関関係に基づいた複数の前記特性線で示され、互いに隣り合う前記特性線を表す前記多項式の相関関係を示す相関式が設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、T−Q特性は複数の特性線で示され、さらに互いに隣り合う特性線を示す多項式の相関関係を示す相関式が設定されていることから、T−Q特性の全領域にわたって、燃料噴射量(Q)と噴射時間(T)の関係を精度よく示すことができる。
また本発明は、前記蓄圧部圧力センサが検出する前記燃料蓄圧部の圧力が、2つの前記代表圧力値の間の値のとき、前記制御部は、前記2つの代表圧力値における前記T−Q特性を示す2つの前記特性線を補間して、前記燃料蓄圧部の圧力に対応した前記目標噴射時間を求めることを特徴とする。
本発明によれば、燃料蓄圧部の圧力が代表圧力値以外の圧力であっても、制御部は、特性線を補間することで、燃料蓄圧部の圧力における目標噴射量に対応する目標噴射時間を精度よく算出できる。
また本発明は、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記各気筒の燃焼室へ供給する構造であり、前記制御部は、前記目標噴射時間に前記燃料噴射弁が噴射する実燃料噴射量を、前記差圧センサからの信号に基づいて算出し、前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする。
本発明によれば、オリフィスの開口部の径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィスの上流側と下流側との間の差圧は、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、流量検出に十分利用できる。
そして、検出するオリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁の実燃料噴射量を正確に算出できる。燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した実燃料噴射量を算出できるので、正確な実燃料噴射量を算出できる。そして、制御部は、算出した目標噴射量と実燃料噴射量が異なる場合、正確な実燃料噴射量に基づいてT−Q特性を補正することができ、例えば、燃料噴射弁の経時劣化に対応したT−Q特性を得ることができる。
また本発明は、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記各気筒の燃焼室へ供給する構造であり、前記制御部は、前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を算出するとともに、前記目標噴射時間に前記燃料噴射弁が噴射する実燃料噴射量を前記差圧に基づいて算出し、前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする。
本発明によれば、オリフィスの開口部の径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィスの上流側の圧力として蓄圧部圧力センサからの信号を用い、オリフィス下流側の圧力として燃料供給通路圧力センサからの信号を用い、その差圧をとると、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、流量検出に十分利用できる。
そして、蓄圧部圧力センサの信号と燃料供給通路圧力センサの信号から、オリフィス差圧は容易に算出され、オリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁の実燃料噴射量を正確に算出できる。燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した実燃料噴射量を算出できるので、正確な実燃料噴射量を算出できる。そして、制御部は、算出した目標噴射量と実燃料噴射量が異なる場合、正確な実燃料噴射量に基づいてT−Q特性を補正することができ、例えば、燃料噴射弁の経時劣化に対応したT−Q特性を得ることができる。
また本発明は、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記各気筒の燃焼室へ供給する構造であり、前記制御部は、前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出するとともに、前記目標噴射時間に前記燃料噴射弁が噴射する実燃料噴射量を前記圧力低下量に基づいて算出し、前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする。
本発明によれば、オリフィスの開口部径を正確に製作することは容易であり、又、オリフィス下流側の圧力として燃料供給通路圧力センサからの信号を用い、オリフィスにおける差圧は、制御部から燃料噴射弁に噴射指示信号を出力していないタイミング、つまり、オリフィスを燃料が流れていない状態における燃料供給通路圧力センサから出力される信号に基づく圧力をオリフィス上流側の圧力として仮定し、制御部から燃料噴射弁に噴射指示信号が出力された後のその圧力からの圧力低下量をもってオリフィス差圧とすることによって流量検出に十分利用できる。
そして、このオリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁の実燃料噴射量を正確に算出できる。燃料噴射弁の製造公差があったとしてもその製造公差の影響を反映した実燃料噴射量を算出できるので、正確な実燃料噴射量を算出できる。そして、制御部は、算出した目標噴射量と実燃料噴射量が異なる場合、正確な実燃料噴射量に基づいてT−Q特性を補正することができ、例えば、燃料噴射弁の経時劣化に対応したT−Q特性を得ることができる。
また本発明は、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部を戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、前記制御部は、前記目標噴射時間に前記オリフィスを通過する燃料のオリフィス通過流量を前記差圧センサからの信号に基づいて算出するとともに、前記オリフィス通過流量の内、前記戻り燃料配管に戻らないで実際に前記各気筒の燃焼室に供給される実燃料噴射量を、前記オリフィス通過流量及び所定の係数値に基づいて算出し、前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする。
本発明によれば、いわゆる背圧式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置であっても、直動式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置と同様に、差圧センサが検出するオリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁の実燃料噴射量を正確に算出できる。そして、制御部は、算出した目標噴射量と実燃料噴射量が異なる場合、正確な実燃料噴射量に基づいてT−Q特性を補正することができ、例えば、燃料噴射弁の経時劣化に対応したT−Q特性を得ることができる。
また本発明は、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部を戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、前記制御部は、前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を算出して、前記目標噴射時間に前記オリフィスを通過する燃料のオリフィス通過流量を前記差圧に基づいて算出するとともに、前記オリフィス通過流量の内、前記戻り燃料配管に戻らないで実際に前記各気筒の燃焼室に供給される実燃料噴射量を、前記オリフィス通過流量及び所定の係数値に基づいて算出し、前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする。
本発明によれば、いわゆる背圧式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置であっても、直動式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置と同様に、蓄圧部圧力センサからの信号と燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいてオリフィス差圧を容易に算出できる。そして、このように算出されたオリフィス差圧に基づいて、燃料噴射弁の実燃料噴射量を正確に算出できる。そして、制御部は、算出した目標噴射量と実燃料噴射量が異なる場合、正確な実燃料噴射量に基づいてT−Q特性を補正することができ、例えば、燃料噴射弁の経時劣化に対応したT−Q特性を得ることができる。
また本発明は、前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部を戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、前記制御部は、前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、前記目標噴射時間に前記オリフィスを通過する燃料のオリフィス通過流量を前記圧力低下量に基づいて算出するとともに、前記オリフィス通過流量の内、前記戻り燃料配管に戻らないで実際に前記各気筒の燃焼室に供給される実燃料噴射量を、前記オリフィス通過流量及び所定の係数値に基づいて算出し、前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする。
本発明によれば、いわゆる背圧式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置であっても、直動式の燃料噴射弁を備える燃料噴射装置と同様に、燃料供給通路圧力センサから出力される信号に基づいて、燃料噴射弁の実燃料噴射量を正確に算出できる。そして、制御部は、算出した目標噴射量と実燃料噴射量が異なる場合、正確な実燃料噴射量に基づいてT−Q特性を補正することができ、例えば、燃料噴射弁の経時劣化に対応したT−Q特性を得ることができる。
また、本発明は、前記制御部は、前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるとき、前記目標噴射時間を求めるのに利用した前記特性線を補正して、前記T−Q特性を補正することを特徴とする。
本発明によると、特性線を補正してT−Q特性を補正することができ、1つの燃料蓄圧部の圧力における実燃料噴射量に基づいてT−Q特性を補正する場合であっても、燃料蓄圧部の圧力の全領域にわたって好適にT−Q特性を補正することができる。
また、本発明は、前記T−Q特性が複数の前記特性線で示され、互いに隣り合う前記特性線を表す前記多項式の相関関係を示す相関式が設定されている場合、前記制御部は、前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるとき、前記目標噴射時間を求めるのに利用した前記特性線を補正するとともに、前記相関式によって、互いに隣り合う前記特性線を順次補正し、前記T−Q特性を補正することを特徴とする。
本発明によると、T−Q特性が複数の特性線で示され、互いに隣り合う特性線を表す多項式の相関関係を示す相関式が設定されている場合、1つの特性線を補正した後、相関式を用いて、順次、他の特性線を補正することができる。したがって、1つの特性線の補正に基づいて、T−Q特性の全領域を好適に補正することができる。
本発明によれば、各気筒における燃料噴射量と噴射時間の関係を必要に応じて補正し、正確な燃料噴射量を噴射できる燃料噴射装置を提供することができる。
《第1の実施形態》
以下に、本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射装置について図1、図2を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図であり、図2は、第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられる直動式の燃料噴射弁(インジェクタ)の概念構成図である。
第1の実施形態に係る燃料噴射装置1Aは、エンジン制御装置(制御部)80A(以下ECU80Aと称する)により電子制御されるモータ63で駆動される低圧ポンプ3A(フィードポンプとも呼ばれる)と、エンジンクランク軸から取り出される駆動力で機械的に駆動される高圧ポンプ3B(サプライポンプとも呼ばれる)と、この高圧ポンプ3Bから高圧燃料が供給されるコモンレール(燃料蓄圧部)4と、図示しない内燃機関、例えば、4気筒のディーゼルエンジン(以下、単にエンジンと称する)の各気筒内に高圧燃料を噴射供給するインジェクタ(燃料噴射弁)5Aと、インジェクタ5Aに内蔵され、ECU80Aにより電子制御されるアクチュエータ6Aと、を含んで構成される。
ここで、低圧ポンプ3A及び高圧ポンプ3Bは請求項に記載の燃料ポンプに対応する。
低圧ポンプ3A及びモータ63は、燃料タンク2内にフィルタ62とともに組み込まれ、低圧燃料供給配管61により燃料タンク2から高圧ポンプ3Bの吸い込み側に燃料を供給する。低圧ポンプ3Aの吐出側と高圧ポンプ3Bの吸い込み側との間の低圧燃料供給配管61にはストレーナ64、逆止弁68を内蔵した流量調整弁69が直列に配置され、ストレーナ64には、図示省略の差圧センサが設けられ、その信号がECU80Aに入力されて、ECU80Aが低圧ポンプ3Aやフィルタ62やストレーナ64の異常(低圧燃料供給量)を検出できるようになっている。
さらに、低圧燃料供給配管61のストレーナ64と流量調整弁69との中間から分岐した戻り配管65が、調圧弁67を経由して低圧ポンプ3Aの過剰な燃料供給を燃料タンク2に戻すようになっている。
高圧ポンプ3Bには、吐出される燃料温度を検出する温度センサSが設けられる。温度センサSは検出した燃料温度を温度信号に変換し、その温度信号をECU80Aに入力する。
高圧ポンプ3Bから吐出配管70に吐出された高圧燃料は、比較的に高い圧力の高圧燃料を蓄圧するサージタンクの一種であるコモンレール4に、蓄圧状態で貯留される。コモンレール4には、コモンレールの圧力(以下、コモンレール圧力Pcと称する)を検出する圧力センサSPcが設けられる。圧力センサSPcは、コモンレール圧力Pcを検出して検出圧信号に変換し、その検出圧信号をECU80Aに入力する。ECU80Aは、入力される検出圧信号に基づいて、コモンレール4と燃料タンク2とを接続する戻り配管71の途中に配置された圧力調整弁72の開度を調整し、コモンレール4の圧力を、エンジン回転速度などの車両の運転状態に応じて、例えば、30MPa〜200MPaの所定の目標圧力に制御する。
また、コモンレール4はインジェクタ5Aと高圧燃料供給通路(燃料供給通路)21を介して連通するように構成されている。4本の高圧燃料供給通路21のコモンレール4寄りには、オリフィス75がそれぞれ設けられ、そのオリフィス75の上流側(コモンレール4側)と下流側(インジェクタ5A側)とから取り出される圧力検出管が、それぞれ差圧センサSdPに接続される。差圧センサSdPは、4本の高圧燃料供給通路21のオリフィス差圧PORをそれぞれ個別に検出し、それぞれ検出したオリフィス差圧PORを差圧信号に変換してECU80Aに入力する。ECU80Aは、入力される差圧信号によって、オリフィス75の上流側と下流側のオリフィス差圧PORを取得することができ、さらに取得したオリフィス差圧PORに基づいて、オリフィス75を通過する燃料流量を算出できる。
なお、このオリフィス75の位置から下流側の高圧燃料供給通路21及びインジェクタ5Aの燃料噴射孔10までの燃料通路(後記するインジェクタ5A内の燃料通路25及び油溜り20(図2参照))を含む燃料通路容積は、1つの気筒における吸気、圧縮、爆発、排気のサイクルのうちの爆発行程のために高圧燃料供給通路21を通じて供給する燃料の最大実燃料供給量、例えば、アクセルが最大限度に踏み込まれて、図示しないエンジンに最大トルクが要求される場合の最大実燃料供給量を超える燃料通路容積とする。
ここで、最大実燃料供給量は、多段噴射の場合はその積分量である。
図示しないエンジンの各気筒のインジェクタ5Aまでの高圧燃料供給通路21の配管長さには、ばらつきが出ることが当然であり、高圧燃料供給通路21にオリフィス75を設ける位置は、前記した燃料通路容積を確保した上で、各気筒が同じ燃料通路容積となるように適宜調節する。
次に、第1の実施形態のインジェクタ5Aの構造を図1及び図2を参照しながら説明する。このインジェクタ5Aは、図示しないエンジンの各気筒に取り付けられている。そして、インジェクタ5Aは、先端部に1個または2個以上の燃料噴射孔10を形成したインジェクタ本体13と、このインジェクタ本体13内に摺動自在に支持されるノズルニードル14と、このノズルニードル14の上端側に連結されてノズルニードル14と一体的に往復変位するピストン16を含んで構成されている。
インジェクタ本体13は、ノズルボディ17、ノズルホルダ19、アクチュエータボディ55等より構成されている。ノズルボディ17の内部には、ノズルニードル14の周囲に常に高圧燃料を充満させるための油溜り20が形成されている。この油溜り20は、燃料通路25及び高圧燃料供給通路21を介してコモンレール4に常に連通している。ノズルボディ17はノズルホルダ19にリテーニングナット22により締め付け固定されている。
ノズルホルダ19は、ピストン16を摺動自在に支持する長孔23を中心部の長手方向に形成したシリンダを構成する。そして、長孔23の上には、アクチュエータボディ55に設けられた、長孔23よりも拡径された作動室56が設けられている。
ノズルニードル14は、アクチュエータ6Aの中心軸と同一軸心上に配設され、ノズルボディ17の内周に摺動自在に支持されている。ノズル開弁時には、ノズルニードル14がリフトアップしてノズルニードル14の先端部とノズルボディ17との間に燃料通路が形成されて油溜り20と燃料噴射孔10とが連通し、図示しないエンジンへの燃料噴射がなされる。また、ノズル閉弁時には、ノズルニードル14の先端部がノズルボディ17のシート面17aに着座して高圧燃料の噴射を終了する。
次に、図2を参照しながらアクチュエータ6Aを説明する。アクチュエータ6Aは、インジェクタ5Aのノズルホルダ19の上端部に液密的に当接した状態でリテーニングナット31によりノズルホルダ19の上端面に締め付け固定されるアクチュエータボディ55と、このアクチュエータボディ55内部に配設された鉄心33と、この鉄心33の収納部に巻装された電磁コイル34と、アクチュエータボディ55内に長孔23よりも拡径された作動室56と、前記したピストン16の上端に設けられたピストンフランジ部16aと、このピストンフランジ部16aの最大リフト量を規制するストッパ36と、ピストン16を閉弁方向に付勢するコイルスプリング37とから構成されている。
リテーニングナット31の図示上端部には、電磁コイル34への給電のための図示しないコネクタが組み付けられている。
鉄心33は、電磁コイル34への通電時に磁化して、ピストンフランジ部16aを上方に吸引し、ピストン16と連結したノズルニードル14を引き上げる。そして、ノズルニードル14はリフトアップし、燃料噴射孔10から燃料が噴射される。
電磁コイル34への通電が停止されると、ピストンフランジ部16aを吸引する磁力が消失し、コイルスプリング37の付勢力によってピストンフランジ部16aが下方に押し下げられ、ピストン16と連結したノズルニードル14がシート面17aに着座する。したがって、燃料噴射孔10からの燃料噴射が止まる。
図1に戻って、ECU80Aは、図示省略するがマイクロコンピュータ、インターフェース回路、アクチュエータ6Aを駆動するアクチュエータ駆動回路等を含む。マイクロコンピュータは、図示省略のエンジン回転速度センサ、気筒判別センサ、クランク角センサ、水温センサ、吸気温度センサ、吸気圧センサ、アクセル(スロットル)開度センサ、温度センサS、圧力センサ(蓄圧部圧力センサ)SPc、差圧センサSdP等の各センサからの信号を用いて、最適な目標噴射量及び、目標噴射量に対応した目標噴射時間を求めてアクチュエータ6Aを電子制御する。
ECU80Aには記憶部81が備わり、必要なデータ等を記憶することができる。
なお、モータ63を駆動するモータ駆動回路を、ECU80Aが含んでもよいし、ECU80Aの外部に別のユニットとして備える構成であってもよい。
以下では、ECU80Aに含まれるマイクロコンピュータで制御される内容を、単にECU80Aの制御として表現する。また、後記する第2から第6の実施形態におけるECU80B(図9参照)〜80F(図16参照)のハード的な構成もECU80Aと同じである。
図3は、1つの気筒に対する噴射指示信号の出力パターンと高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)はインジェクタからの実燃料噴射量の時間推移を示す図、(c)は燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す図、(d)はオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。
図3を参照しながら適宜図1、図2を参照してECU80Aにおける燃料の各気筒への実燃料噴射量Qの演算方法について説明する。
図3の(a)では、燃料の噴射指示信号は一つの広幅のパルスで概念的に表してあり、噴射指示信号の立ち上がり開始時期(噴射開始時期)がtであり、噴射指示信号の立下り開始時期(噴射終了時期)がtであり、噴射指示信号の立下り完了時期がt’である。
噴射指示信号は、例えば、ECU80Aから出力されてインジェクタ5Aのアクチュエータ6Aに備わる電磁コイル34に供給される電力であり、ECU80Aの制御によってON/OFFされる。
そして、図1に示すインジェクタ5Aは、噴射指示信号がONのときのみ、燃料噴射孔10から燃料を噴射する。
したがって、ECU80Aは、噴射指示信号がONの時間(噴射時間T)を調整することで、インジェクタ5Aの燃料噴射孔10から噴射される燃料の総量(実燃料噴射量Q)を調節できる。
また、噴射指示信号は、ECU80AがONする噴射開始時期tから、所定の傾斜を持って立ち上がる立ち上がり特性を有する。同様に、ECU80AがOFFする噴射終了時期tから所定の傾斜を持って立下がる立下り特性を有する。したがって、ECU80Aは、噴射指示信号の立ち上がり特性と立下り特性を考慮して、噴射指示信号を制御する構成となっている。
図3の(a)に示すように出力される噴射指示信号に対応して、図3の(b)に示すように、直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Aは、噴射開始時期tより少し遅れてtS1で燃料の噴射を開始し、噴射終了時期tより少し遅れたtE1に噴射を終了する。
また、燃料がオリフィス75を通過する量(オリフィス通過流量QOR)は、図3の(c)に示すように、燃料通路25や高圧燃料供給通路21の容積分だけtS1から遅れてtS2で立ち上がる。そして、同様に燃料通路25や高圧燃料供給通路21の容積分だけtE1から遅れてtE2に0に戻る。
なお、噴射開始時期tからtS1やtS2への遅れ、及び噴射終了時期tからtE1やtE2への遅れは燃料噴射装置1Aに固有の値であり、予め実験等で求めておくことができる。したがってECU80Aは、遅れを考慮しながら燃料噴射装置1Aを制御することができ、遅れの影響を吸収して燃料噴射装置1Aを制御できる。
図3の(c)に対応するオリフィス75の上下流側における圧力は、図3の(d)に示すように、コモンレール圧力Pcの変動に伴ってオリフィス上流側圧力が変動しても、差圧センサSdPによりオリフィス差圧PORが検出できるので、ECU80Aは、精度よくオリフィス通過流量QORを算出できる。そして、図3の(c)に示すオリフィス通過流量QORのドットで示した領域の面積は、直動式のインジェクタ5Aの場合、図3の(b)に示す実燃料噴射量Qの面積と同じになる。
ちなみに、燃料のオリフィス通過流量QORは次式(1)により、オリフィス差圧PORに基づいて容易に算出できる。
Figure 2010106767
図2に示すインジェクタ5Aは「直動式」であり、高圧燃料供給通路21から供給される燃料の全てを燃料噴射孔10から噴射する。したがって、高圧燃料供給通路21から供給される燃料の量は実燃料噴射量Qに等しくなる。
また、高圧燃料供給通路21に供給される燃料の量は、オリフィス75のオリフィス通過流量QORと等しいことから、ECU80Aは、式(1)で算出されるオリフィス通過流量QORを、インジェクタ5Aの実燃料噴射量Qとみなすことができる。
したがって、第1の実施形態に係るECU80Aは、オリフィス75のオリフィス差圧PORに基づいて、実燃料噴射量Qを算出できる。
第1の実施形態に係るECU80A(図1参照)は、スロットル開度、エンジン回転速度等に基づいて、図示しないエンジンの要求トルクを算出し、さらに、エンジンの要求トルクを得るために必要な燃料噴射量を目標噴射量Qとして算出する構成になっている。そして、ECU80Aは、インジェクタ5Aが目標噴射量Qを噴射するための目標噴射時間Tを求める。
そのため、燃料噴射量Qと噴射時間Tの相関関係(以下、「T−Q特性」と称する)を予め実験等で求めておいて、例えば、ECU80Aの記憶部81(図1参照)にデータとして記憶しておく構成が好適である。この構成によって、ECU80Aは算出した目標噴射量Qに基づいてT−Q特性を参照し、対応する目標噴射時間Tを求めることができる。
図4の(a)は、T−Q特性を示す特性線fTiの一例を示した図である。図4の(a)に示すようなT−Q特性は、インジェクタ5Aの特性に基づくものであって、実験等によって求めることができる。
例えば、所定の燃料噴射量Qを噴射するのに必要な噴射時間Tを、燃料噴射量Qごとに計測し、燃料噴射量Qと噴射時間Tの関係を示すデータを離散的に取得する。そして取得したデータを最小二乗法等で回帰分析して多項式を求めることで、T−Q特性を示す特性線fTiを得ることができる。
このように、第1の実施形態に係るT−Q特性は、少ない計測データに基づいて取得できるため、例えば計測工数を削減できるという効果を奏する。
また、第1の実施形態に係るT−Q特性は、図4の(a)に示すように燃料噴射量Qの増加に伴って噴射時間Tが増加する特性を有する。
さらに、燃料噴射量Qと噴射時間Tの関係を示す多項式は非線形であるが、燃料噴射量Qが大きな領域では、多項式を線形の1次式(1次多項式)に近似できることがわかった。そこで、第1の実施形態に係るT−Q特性は、燃料噴射量Qが大きな領域では、噴射時間Tと燃料噴射量Qの関係を1次多項式で表す構成にした。
以下、必要に応じ、T−Q特性の噴射時間Tと燃料噴射量Qの関係が1次多項式で示される領域を「線形領域」と称し、それ以外の領域、すなわち、多項式が非線形の領域を「非線形領域」と称する。
そして、非線形領域と線形領域の境界値となる燃料噴射量Qは、例えば実験等で求めることができる。
また、T−Q特性は、コモンレール圧力Pcに対応して変化する。図4の(b)は、コモンレール圧力に対応するT−Q特性を示す図である。
図4の(b)に示すように、インジェクタ5A(図1参照)のT−Q特性は、コモンレール圧力Pcごとに求められる構成が好適である。例えば10MPaごとにコモンレール圧力Pcの代表圧力値を設定し、各代表圧力値におけるT−Q特性を実験等で求めて多項式を得る。
このように求められるT−Q特性は、代表圧力値におけるインジェクタ5Aの規定の燃料噴射量Qといえる。
前記したように、コモンレール圧力Pcは、ECU80Aによって、30MPa〜200MPaの範囲で所定の目標圧力に制御されることから、T−Q特性は、200MPaから30MPaのコモンレール圧力Pcに対応した複数の特性線で構成される。図4の(b)には、説明のため、110MPaから80MPaのコモンレール圧力Pcに対応した特性線をfTi(110)〜fTi(80)として記載した。
算出した目標噴射量Qに対応する目標噴射時間Tを求める場合、ECU80A(図1参照)は、算出した目標噴射量Qと圧力センサSPcが検出するコモンレール圧力Pcに基づいて、図4の(b)に示す特性線fTiを参照する。このとき、コモンレール圧力Pcが、例えば10MPaごとの代表圧力値のいずれかの場合は、コモンレール圧力Pcを示す特性線fTiを利用して目標噴射時間Tを求められる。
すなわち、目標噴射量Qと特性線fTiの交点になる噴射時間が目標噴射時間Tになる。
また、コモンレール圧力Pcが代表圧力値でない場合、例えばECU80Aは、コモンレール圧力Pcの前後の代表圧力値の特性線fTiを補間することによって、コモンレール圧力Pcに対応した目標噴射時間Tを求められる。
このように、ECU80Aは、T−Q特性の特性線fTiを参照して、目標噴射量Qとコモンレール圧力Pcに対応する目標噴射時間Tを求めることができる。
しかしながら、例えばシート面17a(図2参照)が磨耗するなどの経時劣化が生じると、インジェクタ5A(図1参照)の特性が変化し、代表圧力値ごとのインジェクタ5Aの規定の燃料噴射量Qが、T−Q特性に示される代表圧力値の特性線fTiとずれる場合がある。その結果、T−Q特性に基づいて求められる目標噴射時間Tにしたがって、ECU80Aが噴射指示信号をON/OFFすると、インジェクタ5Aが目標噴射量Qを噴射できないことになり、その結果として、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりする虞がある。
そこで、第1の実施形態のECU80Aは、オリフィス差圧PORに基づいて実燃料噴射量Qを算出するとともに、算出した実燃料噴射量Qに基づき、必要に応じてT−Q特性を補正する構成とした。
図5の(a)は、コモンレール圧力が代表圧力値Pcと代表圧力値PcのときのT−Q特性を示す特性線の図、(b)は、隣り合う特性線の相関式を示す図である。
ここで、図4の(b)に示すT−Q特性を示す複数の特性線fTiのうち、例えば100MPaと110MPaのように、代表圧力値が隣り合う特性線fTi(100)と特性線fTi(110)を、互いに隣り合う特性線と称する。
そして、互いに隣り合う特性線を表す多項式の相関関係を示す相関式を、「特性線の相関関係を示す相関式」と称する。
第1の実施形態においては、図5の(a)に示すように、コモンレール圧力PcのときのT−Q特性を示す特性線fTi(Pc1)と、コモンレール圧力PcのときのT−Q特性を示す特性線fTi(Pc2)とがある場合、図5の(b)に示すように、特性線fTi(Pc1)と特性線fTi(Pc2)の相関関係を示す相関式k(Pc1−Pc2)を、燃料噴射量Qの関数として予め算出し、例えばECU80Aに備わる記憶部81(図1参照)にデータとして記憶しておく。
このような相関式k(Pc1−Pc2)は、第1の実施形態においては、燃料噴射量Qごとの特性線fTi(Pc1)と特性線fTi(Pc2)の比率とする。すなわち、燃料噴射量Qごとに特性線fTi(Pc1)と特性線fTi(Pc2)の比率を算出し、数式化することで相関式k(Pc1−Pc2)を得ることができる。
そして、第1の実施形態においては、全ての隣り合う特性線の相関関係を示す相関式kを、それぞれ算出しておく構成とした。
なお、図5の(b)に示す変換係数kαは、互いに隣り合う特性線fTiの比率を示す値で、相関式kによって算出される。
図5の(a)に示すように、コモンレール圧力が代表圧力値Pcで噴射時間Ti1のとき、インジェクタ5Aの規定の燃料噴射量がQであるところ、ECU80A(図1参照)がオリフィス差圧PORに基づいて算出したオリフィス通過流量QOR、すなわち実燃料噴射量がQであったとする。このとき、インジェクタ5A(図1参照)からの燃料噴射量が(Q−Q)だけ減少したことになり、図示しないエンジンの気筒に噴射される燃料の量が少なくなる。
そこで、第1の実施形態に係るECU80A(図1参照)は、オリフィス差圧PORに基づいて式(1)を利用してオリフィス通過流量QOR(実燃料噴射量Q)を算出し、さらに算出した実燃料噴射量Qに基づいて、T−Q特性を補正する構成とする。
例えば、ECU80A(図1参照)は、コモンレール圧力が代表圧力値Pcで噴射時間Ti1のときの規定の燃料噴射量Qと実燃料噴射量Qとを算出する。
さらに、ECU80Aは、コモンレール圧力Pcと隣り合う代表圧力値Pcの特性線fTi(Pc2)に基づいて、コモンレール圧力が代表圧力値Pcで噴射時間Ti1のときの規定の燃料噴射量Qを算出する。そして、ECU80Aは、次式(2)によって、補正量Δfを算出する。
Figure 2010106767
なお、式(2)において、αは、コモンレール圧力がPcで噴射時間Ti1のときの規定の燃料噴射量Qと実燃料噴射量Qの差(Q−Q)であり、βは、噴射時間Ti1における実燃料噴射量Qと、コモンレール圧力が代表圧力値Pcで噴射時間Ti1のときの規定の燃料噴射量Qとの差(Q−Q)である。
そして、ECU80A(図1参照)は、全ての噴射時間Tiにおいて、特性線fTi(Pc1)の燃料噴射量Qに補正量Δfを乗算し、特性線fTi(Pc1)を補正した特性線fTi(Pc1)’を得る。
また、特性線fTi(Pc1)と隣り合う特性線fTi(Pc2)についても、全ての噴射時間Tiにおける燃料噴射量Qに補正量Δfを乗算し、特性線fTi(Pc2)を補正した特性線fTi(Pc2)’を得る。
同様に、他の特性線fTiについても、それぞれの燃料噴射量Qに補正量Δfを乗算して、補正した特性線fTi’を得ることができ、Ti−Q特性を補正できる。
このように、1つの代表圧力値Pcにおける実燃料噴射量Qを算出することで、Ti−Q特性の全領域を補正できる。すなわち、ECU80Aは、1つの特性線fTiの補正に基づいて、T−Q特性の全領域を補正できる。
また、例えばコモンレール圧力Pcが代表圧力値でないときの実燃料噴射量Qが算出されたとき、ECU80A(図1参照)は、実燃料噴射量Qに基づいて、例えば以下のようにT−Q特性を補正することができる。
図6は、T−Q特性の特性線を補正する概念図である。
図6に示すように、圧力センサSPc(図1参照)が検出するコモンレール圧力が2つの代表圧力値Pc、Pcの間のPcとき(点Aで示す)、ECU80A(図1参照)は、コモンレール圧力Pcを挟んだ代表圧力値Pc、Pcの特性線fTi(Pc1)、fTi(Pc2)から求められる目標噴射時間Tit1、Tit2を例えば比例配分して、コモンレール圧力がPcのときの目標噴射量Qに対応する目標噴射時間TiCを求める。
すなわち、特性線fTi(Pc1)と特性線fTi(Pc2)を補間して、コモンレール圧力Pcにおける目標噴射時間TiCを求める。
このように求められた目標噴射時間TiCにしたがって、ECU80A(図1参照)が噴射指示信号をON/OFFしてインジェクタ5A(図1参照)が燃料を噴射したとき、ECU80Aがオリフィス通過流量QORに基づいて算出する実燃料噴射量Qが、目標噴射量Qと異なり、(Q−Q)で示される減少量αだけ減少した場合(点Aで示す)、ECU80Aは、特性線fTi(Pc1)を補正する。
具体的に、ECU80A(図1参照)は、燃料噴射量の減少量αを算出する。さらに、ECU80Aは、図6に示すように、コモンレール圧力が代表圧力値Pcで噴射時間が目標噴射時間TiCのときのインジェクタ5A(図1参照)の規定の燃料噴射量Qを、特性線fTi(Pc1)に基づいて算出する。すなわち、点Aにおける燃料噴射量Qを求める。
ECU80Aは、点Aにおける規定の燃料噴射量Qも減少量αだけ減少するとみなし、噴射時間TiCのときの規定の燃料噴射量Qから減少量αだけ減少した燃料噴射量Q’(点Aで示す)を算出する。
さらに、ECU80Aは、代表圧力値Pcと隣り合う代表圧力値Pcの特性線fTi(Pc2)に基づいて、コモンレール圧力が代表圧力値Pcで噴射時間TiCのとき、すなわち点Aにおける規定の燃料噴射量Qを算出する。そして、ECU80Aは、次式(3)によって、補正量Δfを算出する。
Figure 2010106767
なお、式(3)において、αは前記した減少量であり、βは、特性線fTi(Pc1)上で噴射時間TiCのときの規定の燃料噴射量Qから減少量αだけ減少した燃料噴射量Q’と、コモンレール圧力が代表圧力値Pcで噴射時間TiCのときの規定の燃料噴射量Qとの差(Q’−Q)である。
そして、ECU80A(図1参照)は、全ての噴射時間Tにおいて、特性線fTi(Pc1)の燃料噴射量Qに補正量Δfを乗算し、特性線fTi(Pc1)を補正した特性線fTi(Pc1)’を得る。
また、特性線fTi(Pc1)と隣り合う特性線fTi(Pc2)についても、全ての噴射時間Tにおける燃料噴射量Qに補正量Δfを乗算し、特性線fTi(Pc2)を補正した特性線fTi(Pc2)’を得る。
同様に、他の特性線fTiについても、それぞれの燃料噴射量Qに補正量Δfを乗算して、補正した特性線fTi’を得ることができ、T−Q特性を補正できる。
このように、1つのコモンレール圧力Pcにおける実燃料噴射量Qを算出することで、T−Q特性の全領域を補正できる。すなわち、ECU80Aは、1つの特性線fTiの補正に基づいて、T−Q特性の全領域を補正できる。
なお、前記したように、本実施形態のT−Q特性は、互いに隣り合う特性線fTiの相関関係を示す相関式kを予め求めてあることから、1つの特性線fTiを補正した後、相関式kを使用して、他の特性線fTiを補正してもよい。
図7は、T−Q特性を相関式に基づいて補正する概念図である。図7に示すように、T−Q特性に、代表圧力値であるコモンレール圧力Pc、Pc、Pcの特性線fTi(Pc1)、fTi(Pc2)、fTi(Pc3)がある場合、特性線fTi(Pc1)が破線で示す特性線fTi(Pc1)’に補正されたときを考える。
前記したように、第1の実施形態においては、特性線fTi(Pc1)と特性線fTi(Pc2)の相関関係を示す相関式k(Pc1−Pc2)が予め求められて、ECU80Aの記憶部81(図1参照)に記憶されている。同様に、特性線fTi(Pc2)と特性線fTi(Pc3)の相関関係を示す相関式k(Pc2−Pc3)が予め求められて、例えばECU80Aの記憶部81に記憶されている。
したがって、ECU80A(図1参照)は、特性線fTi(Pc1)を補正した特性線fTi(Pc1)’に、燃料噴射量Qごとに相関式k(Pc1−Pc2)で求められる変換係数kαを乗算して特性線fTi(Pc2)を補正したとみなせる特性線fTi(Pc2)’を得ることができる。さらにECU80Aは、特性線fTi(Pc2)’に、燃料噴射量Qごとに相関式k(Pc2−Pc3)で求められる変換係数kαを乗算して特性線fTi(Pc3)を補正したとみなせる特性線fTi(Pc3)’を得ることができる。
すなわち、特性線fTi(Pc1)’に相関式k(Pc1−Pc2)を乗算して特性線fTi(Pc2)’を得ることができ、特性線fTi(Pc2)’に相関式k(Pc2−Pc3)を乗算して特性線fTi(Pc3)’を得ることができる。
なお、図7には、3つの特性線fTiを補正する概念図が示されるが、T−Q特性に3つ以上の特性線fTiがある場合であっても、ECU80A(図1参照)は、全ての特性線fTiを順次補正することができ、T−Q特性の全領域を好適に補正できる。
このように、ECU80A(図1参照)は、互いに隣り合う特性線fTiの相関関係を示す相関式kを利用して、T−Q特性の全ての特性線fTiを補正できる。すなわち、ECU80Aは、T−Q特性を好適に補正することができる。
以上のように第1の実施形態に係るECU80A(図1参照)は、オリフィス75(図1参照)のオリフィス差圧PORに基づいて精度よくオリフィス通過流量QORを算出できることから、精度よくインジェクタ5A(図1参照)の実燃料噴射量Qを算出することができる。
そして、ECU80Aは、実燃料噴射量Qに基づいて、精度よくT−Q特性を補正できることになる。
したがってインジェクタ5Aは、図示しないエンジンの気筒に精度よく目標噴射量Qの燃料を噴射することができ、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できる。
図8は、ECUがT−Q特性を補正する手順を示すフローチャートである。主に図8を参照して、ECU80A(図1参照)がT−Q特性を補正する手順を説明する(適宜図1〜図7参照)。
以下、ECU80AがT−Q特性を補正する手順を「補正手順」と称する。
補正手順は、例えばECU80Aが実行するプログラムにサブルーチンとして組み込まれ、ECU80Aがインジェクタ5Aに対する噴射指示信号をONしたときに実行する構成とすればよい。したがって、ECU80Aは、スロットル開度やエンジン回転速度に基づいて、目標噴射量Qをすでに算出している。
また、ECU80Aは、目標噴射量Qと圧力センサSPcが検出するコモンレール圧力Pcに基づいて、目標噴射時間Tを算出している。
ECU80Aは、噴射指示信号をONしたときに補正手順の実行を開始し、式(1)によって、オリフィス差圧PORに基づいたオリフィス通過流量QORを算出する(ステップS1)。第1の実施形態に係るインジェクタ5Aは、直動式であることから、オリフィス通過流量QORは、インジェクタ5Aの実燃料噴射量Qとみなすことができる。したがって、ECU80Aは、実燃料噴射量Qを算出することになる。
ECU80Aは、目標噴射時間Tが経過して噴射指示信号をOFFするまでは(ステップS2→No)、ステップS1に制御を戻してオリフィス通過流量QORを算出し、噴射指示信号をOFFしたら(ステップS2→Yes)、目標噴射量Qと算出した実燃料噴射量Qを比較する(ステップS3)。
すなわち、ECU80Aは、噴射指示信号をONしてから目標噴射時間Tが経過するまでのオリフィス通過流量QORを算出して実燃料噴射量Qとし、目標噴射量Qと比較することになる。
実燃料噴射量Qと目標噴射量Qが等しい場合(ステップS3→Yes)、ECU80Aは、補正手順を終了する。すなわち、補正手順がサブルーチンで実行されている場合、ECU80Aは、メインルーチンの実行に戻る。
一方、実燃料噴射量Qと目標噴射量Qが等しくない場合(ステップS3→No)、ECU80Aは、図5、図6に示すように、コモンレール圧力Pcに最も近い代表圧力値の特性線fTiを補正する(ステップS4)。
さらに、ECU80Aは、補正した特性線fTiに基づいて、図5、図6又は図7に示すように、T−Q特性の全ての特性線fTiを補正する。すなわち、ECU80Aは、T−Q特性を補正する(ステップS5)。
以上のように補正されたT−Q特性は、インジェクタ5Aの特性の変化に基づいたものであって、ECU80Aは、目標噴射量Qに対応する目標噴射時間Tを算出する際に、補正されたT−Q特性を参照することで、インジェクタ5Aの特性の変化に対応した目標噴射時間Tを算出できる。
したがって、例えば経時劣化によってシート面17a(図2参照)が磨耗するなどして、インジェクタ5Aの特性が変化した場合であっても、ECU80Aは、図示しないエンジンの気筒に精度よく目標噴射量Qの燃料を噴射させることができ、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できる。
また、第1の実施形態では、オリフィス75(図1参照)の開口部の径を正確に製作することは容易であり、又オリフィス75の上流側と下流側との間のオリフィス差圧PORは、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、差圧センサSdPによるオリフィス差圧PORから容易に式(1)によりオリフィス通過流量QORが算出できる。
そして、直動式のインジェクタ5A(図1参照)においては、実燃料噴射量Qはオリフィス通過流量QORに等しいことから、実燃料噴射量Qを正確に算出することができる。
したがって、インジェクタ5A(図1参照)の製造公差があったとしても、その製造公差の影響を反映した実燃料噴射量Qを算出できるので、例えば、ECU80A(図1参照)は、算出した実燃料噴射量Qと目標噴射量Qに基づいて、精度よくT−Q特性を補正できることになる。
その結果、インジェクタ5Aは、図示しないエンジンの気筒に精度よく目標噴射量Qの燃料を噴射することができ、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できる。
また、コモンレール圧力Pcの変動に伴ってオリフィス上流側圧力が変動しても、ECU80A(図1参照)は、差圧センサSdPによりオリフィス差圧PORが検出でき、さらに、オリフィス通過流量QORを算出できる。
このことからECU80Aは、コモンレール圧力Pcが変動する場合であっても、実燃料噴射量Qを正確に算出できる。
したがって、コモンレール圧力Pcが変動する場合であっても、ECU80Aは、精度よくT−Q特性を補正できることになる。
また、インジェクタ5Aからの燃料噴射は、PM(粒子状物質)の低減、NOxと燃焼騒音の低減、排ガス昇温や還元剤供給による触媒の活性化等の目的で実際は、「パイロット(Pilot)噴射」、「プレ(Pre)噴射」、「アフタ(After)噴射」、「ポスト(Post)噴射」の多段噴射にすることが普通である。
そして、このような多段噴射においては、各気筒が目標噴射量Qを確保できないと、エンジンの排気ガスの規制値をクリアできない場合がある。
例えば、経時劣化によってシート面17a(図2参照)が磨耗するなどしてインジェクタ5Aの特性が変化し、規定量の実燃料噴射量Qが確保できなくなった場合であっても、ECU80Aは、補正手順を実行することで、インジェクタ5Aの特性の変化に対応してT−Q特性を補正でき、目標噴射量Qを確保できる。
その結果、エンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について図9を参照しながら詳細に説明する。
図9は、第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
第2の実施形態の燃料噴射装置1Bが、図1に示す燃料噴射装置1Aと異なる点は、(1)エンジンの各気筒に配されたインジェクタ5Aに燃料を供給する高圧燃料供給通路21に設けられたオリフィス75の上下流差圧を検出する差圧センサSdPの代わりに、オリフィス75の下流側の圧力を検出する圧力センサ(燃料供給通路圧力センサ)SPsを設けた点と、(2)ECU80Aの代わりにECU(制御部)80Bとなった点と、(3)ECU80Bにおいて燃料のオリフィス通過流量QORを算出するオリフィス差圧PORの定義を変えた点である。
第1の実施形態に係る燃料噴射装置1Aと同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図9に示すように4つの圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Bに入力される。
そして、第2の実施形態におけるECU80Bの機能は、基本的に第1の実施形態におけるECU80A(図1参照)と同じであるが、燃料のオリフィス通過流量QORをECU80Bで算出するときに用いる信号が第1の実施形態の場合と異なる。
第1の実施形態では、前記した式(1)を利用し、オリフィス差圧PORに基づいてオリフィス通過流量QORを算出したが、第2の実施形態では、式(1)におけるオリフィス差圧PORを、圧力センサSPcが検出するコモンレール圧力Pcと、圧力センサSPsが検出するオリフィス75の下流側圧力Psとの差圧(Pc−Ps)に置き換える。
各高圧燃料供給通路21のオリフィス75上流側の圧力は、コモンレール圧力Pcと略一致することは明らかであり、第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、ECU80Bは、式(1)においてオリフィス差圧PORを差圧(Pc−Ps)に置き換えて容易に精度の高いオリフィス通過流量QOR、すなわちインジェクタ5Aからの実燃料噴射量Qを気筒ごとに算出できる。そして、第2の実施形態に係るECU80Bは、第1の実施形態に係るECU80Aと同様に、図8に示す補正手順を実行することで、目標噴射量Qと実燃料噴射量Qに基づいて、精度よくT−Q特性を補正できる。
したがってインジェクタ5Aは、図示しないエンジンの気筒に精度よく目標噴射量Qの燃料を噴射することができ、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できる。
そして、第1の実施形態と同様にエンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態に係る燃料噴射装置について図10を参照しながら詳細に説明する。
図10は、第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
第3の実施形態の燃料噴射装置1Cが、図9に示す燃料噴射装置1Bと異なる点は、(1)ECU80Bの代わりにECU(制御部)80Cとなった点と、(2)オリフィス通過流量QORを算出するのに圧力センサSPcの代わりに圧力センサSPsを用いる点と、(3)ECU80Cにおいて燃料のオリフィス通過流量QORを算出する方法を変えた点である。
第2の実施形態に係る燃料噴射装置1Bと同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図10に示すように4つの圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Cに入力される。
そして、ECU80Cは、圧力センサSPsから入力された圧力信号の高周波成分(高周波ノイズ)をカットするフィルタ処理を行う。
ここでオリフィス75の下流側の圧力Psをフィルタ処理したものを圧力Psfilと称することにする。
第3の実施形態に係るECU80Cは、オリフィス75の下流側の圧力センサSPsが検出してフィルタ処理した圧力Psfilを利用して、オリフィス通過流量QORを算出する。そして、算出したオリフィス通過流量QORを、インジェクタ5Aからの実燃料噴射量Qとする。
図11は、第3の実施形態で実燃料噴射量を算出する手順を示すフローチャートである。
なお、図11に示す手順は、ECU80Cが図8に示す補正手順を実行するときに、ステップS1〜ステップS2の代わりに実行し、実燃料噴射量Qを算出する構成とすればよい。
以下に、主に図11を参照して、第3の実施形態に係るECU80Cが実燃料噴射量Qを算出する手順を説明する(適宜図10参照)。
なお、図11に示すステップS14〜S17の処理は、フィルタ処理された圧力Psfilをサンプリングするのに好適な数十μsecの周期(サンプリング周期)で実行され、後記するΔtは、そのサンプリング周期である。
ECU80Cは、噴射指示信号の立ち上がりを検出したか否かをチェックし(ステップS11)、検出した場合(ステップS11→Yes)は、制御をステップS12に進め、検出しない場合(ステップS11→No)は、制御をステップS11に戻す。
なお、噴射指示信号の立ち上がりの検出は、例えば、噴射指示信号を時間微分することにより容易に検出できる。
そして、ECU80Cは、Qsum=0.0と初期値をリセットする(ステップS12)。ここで、Qsumは一つの燃料の噴射指示信号に対して時間積分して算出されたオリフィス通過流量QORに対応する。
ECU80Cは、圧力センサSPsで検出され、フィルタ処理された後のオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値Pより低下したか否かを判定し〔(Psfil<P)?〕、下流側圧力Psfilが所定値Pより低下した場合(ステップS13→Yes)は、制御をステップS14に進め、そうでない場合は(ステップS13→No)、制御をステップS13に戻す。
ここで、所定値Pは、圧力センサSPsで検出された圧力信号から高周波ノイズ、例えば、高圧ポンプ3Bの充填動作による圧力脈動や、他の気筒のインジェクタ5Aが噴射動作をして、圧力振動を伝播させたことによる圧力脈動や、自気筒のインジェクタ5Aが噴射動作をした後の反射波による圧力脈動等をフィルタ処理して取り除き、その後に残った圧力変動における振動の下限の値を所定値Pと設定する。この値は、実験等により求めることができる。
そして、ECU80Cは、所定値Pから圧力Psfilへの圧力低下量(P−Psfil)を算出し、式(1)のオリフィス差圧PORの換わりに、算出した圧力低下量(P−Psfil)を代入してオリフィス通過流量QORを算出する(ステップS14)。
このとき、オリフィス通過流量QORは、サンプリング周期Δtの間に燃料がオリフィス75を通過する流量ΔQORとして算出される。
さらに、ECU80Cは、Qsum=Qsum+ΔQOR×Δtとして(ステップS15)、オリフィス通過流量QORを積算する。
ECU80Cは、燃料の噴射指示信号の立下がりを検出したか否かをチェックし(ステップS16)、噴射指示信号の立下がりを検出した場合(ステップS16→Yes)は、制御をステップS17に進める。
一方、噴射指示信号の立下がりを検出しない場合(ステップS16→No)、ECU80Cは、制御をステップS14に戻し、オリフィス通過流量QORの積算を繰り返す。
なお、噴射指示信号の立下がりの検出は、例えば、噴射指示信号を時間微分することにより容易に検出できる。
ECU80Cは、フィルタ処理されたオリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値P以上に増加したか否かをチェックする〔(Psfil≧P)?〕(ステップS17)。そして、下流側圧力Psfilが所定値P以上に増加した場合(ステップS17→Yes)、ECU80Cは制御をステップS18へ進め、そうでない場合(ステップS17→No)、ECU80Cは制御をステップS14に戻す。
そして、ECU80Cは、Qsumを実燃料噴射量Qとし(ステップS18)、算出した実燃料噴射量Qに基づいて、図8に示す補正手順のステップS3以降を実行する。
なお、第3の実施形態ではステップS16において燃料の噴射指示信号の立下がりを検出したか否かをチェックし、噴射指示信号の立下がりを検出した後に、オリフィス75の下流側圧力Psfilが所定値P以上に増加したタイミングを検出する制御としているが、ステップS16を省略しても、下流側圧力Psfilが所定値P以上に増加したタイミングを検出して、燃料のオリフィス75の通過終了を検出できる。
第3の実施形態によれば、オリフィス75の下流側の圧力Psを検出する圧力センサSPsの検出値を利用して、実燃料噴射量Qを算出することができる。
また、オリフィス75の下流側の圧力を検出する圧力センサSPsからの圧力信号のみで、オリフィス差圧PORを所定値Pと圧力Psfilの圧力差(P−Psfil)に置き換えた式(1)に基づいて容易に精度の高い燃料の実燃料噴射量Qを、気筒ごとに算出できる。そして、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、ECU80Cは、目標噴射量Qと実燃料噴射量Qに基づいて、精度よくT−Q特性を補正できることになる。
したがってインジェクタ5Aは、図示しないエンジンの気筒に精度よく目標噴射量Qの燃料を噴射することができ、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できる。
そして、第1の実施形態と同様にエンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第4の実施形態》
以下に、本発明の第4の実施形態に係る燃料噴射装置について図12、図13を参照しながら詳細に説明する。
図12は、第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図であり、図13は、第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられる背圧式の燃料噴射弁(インジェクタ)の概念構成図である。
第4の実施形態における燃料噴射装置1Dは、第1の実施形態と以下の点で異なる。
(1)背圧式の燃料噴射弁であるアクチュエータ6Bを有するインジェクタ5Bが用いられている。(2)それに伴い、各気筒に設けられたインジェクタ5Bには、ドレーン通路9が接続され、それらは戻り燃料配管73に更に接続して、逆止弁74とオリフィス76を並列に接続した流量調整器を介して低圧ポンプ3Aの吐出側の低圧燃料供給配管61に接続している。(3)第4の実施形態の燃料噴射装置1Dは、ECU(制御部)80Dにより電子制御される。
第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
次に、第4の実施形態のインジェクタ5Bの構造を図12及び図13を参照しながら説明する。このインジェクタ5Bは、周知のものであり、エンジンの各気筒に取り付けられている。以下にインジェクタ5Bの概要を説明する。
図13に示すように、インジェクタ5Bは、先端部に1個または2個以上の燃料噴射孔10を形成したインジェクタ本体13と、このインジェクタ本体13内に摺動自在に支持されたノズルニードル14と、このノズルニードル14の上端側にプレッシャピン15を介して連結されてノズルニードル14と一体的に往復変位するピストン16を含んで構成されている。
インジェクタ本体13は、ノズルボディ17及びノズルホルダ19等より構成されている。ノズルボディ17の内部には、ノズルニードル14の周囲に常に高圧燃料を充満させるための油溜り20が形成されている。この油溜り20は、ノズルホルダ19内に形成される燃料通路25及び高圧燃料供給通路21を介してコモンレール4に常に連通している。ノズルボディ17はノズルホルダ19にリテーニングナット22により締め付け固定されている。
ノズルホルダ19は、ピストン16を摺動自在に支持する長孔23を中心部の長手方向に形成したシリンダを構成する。そして、長孔23の上端部には、第1絞り形成部材11の下端面との間に、ノズルホルダ19の上端面で開口する背圧室7が形成されている。そして、ノズルホルダ19内で高圧燃料供給通路21から分岐した燃料通路25は、第1絞り形成部材11に形成された連通路26を介して背圧室7に連通している。
ノズルニードル14は、二方電磁弁で構成されたアクチュエータ6Bの中心軸と同一軸心上に配設されて、ノズルボディ17の内周に摺動自在に支持されている。ノズル開弁時には、ノズルニードル14がリフトアップしてノズルニードル14の先端部とノズルボディ17との間に燃料通路が形成されて油溜り20と燃料噴射孔10とが連通してエンジンへの燃料噴射がなされる。また、ノズル閉弁時には、ノズルニードル14の先端部がノズルボディ17のシート面17aに着座して高圧燃料の噴射を終了する。
プレッシャピン15の大径部とノズルホルダ19との間には、ノズルニードル14を閉弁方向に付勢するコイルスプリング27が装着されている。ピストン16は、アクチュエータ6Bの中心軸と同一軸心上に配設されて、ノズルホルダ19の長孔23の内周面に摺動自在に支持されている。
アクチュエータ6Bは、図13に示すように、バルブボディ32よりも上側に配設された鉄心33と、この鉄心33の収納部に巻装された電磁コイル34と、バルブボディ32内を摺動自在に変位するバルブ35と、このバルブ35の最大リフト量を規制するストッパ36と、バルブ35を閉弁方向に付勢するコイルスプリング37とから構成されている。バルブボディ32、鉄心33、電磁コイル34、バルブ35、ストッパ36は、インジェクタ5Bのノズルホルダ19の上端部にバルブボディ32の下端部を液密的に当接した状態で図示省略のリテーニングナットによりノズルホルダ19の上端面に締め付け固定される。
バルブボディ32は、背圧室7と連通するように開口した凹所39内に第1、第2絞り形成部材11、12が液密的に嵌め込まれている。そして、バルブボディ32内には、凹所39よりも内径の大きい燃料室40が形成されている。この燃料室40は、バルブボディ32等に設けられたドレーン通路9を介して燃料タンク2に連通する戻り燃料配管73に接続している。
鉄心33は、電磁コイル34への通電時に磁化する。バルブ35は、先端側にプレート形状のシール部42を有し、上端側に棒状部43を有している。そして、バルブ35は磁化した鉄心33に吸引されてリフトアップし、バルブ35の棒状部43がストッパ36の先端面に着座する。電磁コイル34への通電が停止されると、バルブ35を吸引する磁力が消失し、コイルスプリング37の下方への付勢力によって、バルブ35のシール部42が第2絞り形成部材12の上端面に着座する。
第1、第2絞り形成部材11、12は、例えば、SCM420等の合金鋼や炭素鋼よりなり、アクチュエータ6Bのバルブ35の中心軸と同一の軸心を中心にした円環板形状に形成されている。そして、第1絞り形成部材11及び第2絞り形成部材12には、オリフィス51、52が燃料通路25及び連通路26の内径よりも小さい内径となるように形成されている。オリフィス51は、第1絞り形成部材11の中心軸より若干連通路26側に中心軸がずれて配置され、オリフィス52は第2絞り形成部材12の中心軸と同一軸心上に形成されている。そして、オリフィス51は、背圧室7とオリフィス52とを連通する第1の通路の通路断面積を絞る。また、オリフィス52は、オリフィス51とドレーン通路9とを連通する第2通路の通路断面積を絞る。そして、オリフィス52は、オリフィス51の内径よりも1.4倍〜1.6倍程度大きい内径を有したバルブシート部材である。
なお、オリフィス51、52の図示下端側は、背圧室7側の内径が大きくなるように形成されている。そして、オリフィス51の出口はオリフィス52の入口のテーパ状通路壁面に対向するように配設されている。
次に、図14を参照しながら適宜図12、図13を参照してECU80Dにおける燃料の各気筒への実燃料噴射量Qの演算方法について説明する。
図14は、1つの気筒に対する噴射指示信号と高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)はインジェクタからの実燃料噴射量の時間推移を示す図、(c)は燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す図、(d)はオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。
図14の(a)では、燃料の噴射指示信号は一つの広幅のパルスで概念的に表してあり、噴射指示信号の立ち上がり開始時期がtであり、噴射指示信号の立下り開始時期がtであり、噴射指示信号の立下り完了時期がt’である。
これに対応して、背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bにおけるバルブ35(図13参照)のリフトアップにより燃料通路25、連通路26、背圧室7、オリフィス51、52、燃料室40及びドレーン通路9等を経て低圧燃料供給配管61に戻るバックフローが、図14の(b)に曲線bで示すようにtSAで開始する。このバックフローの開始は、前記した噴射指示信号の立ち上がりtより少し遅れて生じる。
このバックフローの発生により背圧室7が油溜り20の圧力よりも低圧となり、ピストン16が上方に引き上げられ、図14の(b)に曲線aで示すように燃料の実噴射がtSBに開始される。
そして、噴射指示信号の立下り時期tにおいて、電磁コイル34(図13参照)への通電が停止されてコイルスプリング37がバルブ35を下方に押し下げ、バックフローの流路を閉じて、図14の(b)に曲線bで示すように、tEAでバックフローが終了する。その結果、背圧室7の圧力が油溜り20の圧力と均衡し、コイルスプリング27の付勢力によりピストン16とともにノズルニードル14が下方に移動してシート面17aに着座し、図14の(b)に曲線aで示すようにtEBで燃料の実噴射が終了する。
燃料がオリフィス75を通過する量(オリフィス通過流量QOR)は、図14の(c)に示すように、燃料通路25や高圧燃料供給通路21の容積分だけバックフロー開始のtSAより遅れてtS2から立ち上がる。そして、同様に燃料通路25や高圧燃料供給通路21の容積分だけ燃料噴射完了のtEBより遅れてtE2にオリフィス通過流量が0に戻る。
図14の(c)に対応するオリフィス75の上下流側における圧力は、図14の(d)に示すように、コモンレール圧力Pcの変動によってオリフィス上流側圧力が変動していても、差圧センサSdPによりオリフィス差圧PORが検出できるので、オリフィス通過流量QORが算出できる。そして、図14の(c)に示すオリフィス通過流量QORのドットで示した領域の面積は、背圧式のインジェクタ5Bの場合、図14の(b)に示すバックフローと実燃料噴射量Qの両方を合計した面積と同じになる。
オリフィス差圧PORから燃料のオリフィス通過流量QORは前記した第1の実施形態と同様に式(1)により容易に算出できる。
そして、ECU80Dには、予め、燃料の噴射指示信号の出力パターンに応じて、算出されたオリフィス通過流量QORのうち、実際にインジェクタ5Bから噴射される燃料の量である実燃料噴射量Qの割合を示す係数値である実噴射量換算係数γを、例えば、信号パラメータの相関式の形で、ECU80Dの記憶部81に格納している。
燃料の噴射指示信号の出力パターンに応じた実噴射量換算係数γは、例えば、次式(4)に示す相関式のように信号波形面積Aを前記した信号パラメータとし、所定間隔以上時間的に離れた独立の噴射指示信号の場合は、噴射時間Tの幅を反映した独立噴射指示信号の1つの信号波形面積で、又、所定間隔内の時間的に近接した複数の噴射指示信号の場合は、その複数の噴射指示信号の合計信号波形面積に応じて次式(4)のように設定する。
Figure 2010106767
ここで、Mは独立信号波形か、近接した複数の信号波形かを示すパラメータである。
そして、ECU80Dが図14の(a)に示すように噴射指示信号を出力するとき、その出力パターンに応じて、独立信号波形か、近接した複数の信号波形かを判定し、更に信号波形面積Aを演算して、式(4)により実噴射量換算係数γを設定する。
なお、インジェクタ5Bの開閉の応答速度が速い場合、前記した独立信号波形か、近接した複数の信号波形かの区別は不要である。
その後、算出されたオリフィス通過流量QORに実噴射量換算係数γを乗じることにより、実燃料噴射量Qを算出できる。
したがって、第4の実施形態に係るECU80Dは、第1の実施形態と同様に、図8に示す補正手順を実行することができ、背圧式のインジェクタ5Bを備える燃料噴射装置1Dであっても、ECU80Dは、目標噴射量Qと実燃料噴射量Qに基づいて、精度よくT−Q特性を補正できることになる。
したがってインジェクタ5Bは、図示しないエンジンの気筒に精度よく目標噴射量Qの燃料を噴射することができ、第1の実施形態と同様に、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できる。
また、第4の実施形態によれば、オリフィス75(図12参照)の開口部の径を正確に製作することは容易であり、又オリフィス75の上流側と下流側との間のオリフィス差圧PORは、ベンチュリ形狭隘部の上流側と下流側との間の差圧よりも大きなものとなり、差圧センサSdPによるオリフィス差圧PORから容易に式(1)によりオリフィス通過流量QORが算出できる。
そして、オリフィス差圧PORからオリフィス通過流量QORを算出し、オリフィス通過流量QORに実噴射量換算係数γを乗じることにより、インジェクタ5Bの実燃料噴射量Qを正確に算出することができる。
したがって、インジェクタ5Bの製造公差により、同一噴射指示信号の波形に対して、バックフローと実燃料噴射量Qの合計値であるオリフィス通過流量QORのばらつきがインジェクタ5B間で存在しても、その製造公差の影響を反映した実燃料噴射量Qを算出できるので、例えば、ECU80D(図12参照)は、算出する実燃料噴射量Qと目標噴射量Qに基づいて、精度よくT−Q特性を補正できることになる。
その結果、インジェクタ5B(図12参照)は、図示しないエンジンの気筒に精度よく目標噴射量Qの燃料を噴射することができ、図示しないエンジンのPM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できる。
また、第1の実施形態と同様に、コモンレール圧力Pcの変動に伴ってオリフィス上流側圧力が変動しても、ECU80D(図12参照)は、差圧センサSdPによりオリフィス差圧PORが検出でき、さらに、オリフィス通過流量QORを算出できる。
このことからECU80Dは、コモンレール圧力Pcが変動する場合であっても、実燃料噴射量Qを正確に算出できる。
したがって、コモンレール圧力Pcが変動する場合であっても、ECU80Dは、精度よくT−Q特性を補正できることになる。
また、インジェクタ5Bからの燃料噴射は、PM(粒子状物質)の低減、NOxと燃焼騒音の低減、排ガス昇温や還元剤供給による触媒の活性化等の目的で実際は、「パイロット(Pilot)噴射」、「プレ(Pre)噴射」、「アフタ(After)噴射」、「ポスト(Post)噴射」の多段噴射にすることが普通である。
そして、このような多段噴射においては、各気筒が目標噴射量Qを確保できないと、エンジンの排気ガスの規制値をクリアできない場合がある。
例えば、長時間の使用によってインジェクタ5Bのシート面17a(図13参照)が磨耗するなどの経時劣化が生じてインジェクタ5Bの特性が変化し、規定量の実燃料噴射量Qが確保できなくなった場合であっても、ECU80Dは、補正手順を実行することで、インジェクタ5Bの特性の変化に対応してT−Q特性を補正でき、目標噴射量Qを確保できる。
その結果、エンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
なお、第4の実施形態においては、オリフィス通過流量QORから実燃料噴射量Qを算出するときに用いる実噴射量換算係数γを可変としたが、近似的に固定値としてもよい。
《第5の実施形態》
次に、本発明の第5の実施形態に係る燃料噴射装置について図15を参照しながら詳細に説明する。
図15は、第5の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
第5の実施形態の燃料噴射装置1Eが図12に示す燃料噴射装置1Dと異なる点は、(1)エンジンの各気筒に配されたインジェクタ5Bに燃料を供給する高圧燃料供給通路21に設けられたオリフィス75の上下流差圧を検出する差圧センサSdPの代わりに、オリフィス75の下流側の圧力を検出する圧力センサSPsを設けた点と、(2)ECU80Dの代わりにECU(制御部)80Eとなった点と、(3)ECU80Eにおいて燃料のオリフィス通過流量QORを算出するオリフィス差圧PORの定義を変えた点である。
言い換えると、第5の実施形態は、第2の実施形態において直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5A(図9参照)を背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bに変え、インジェクタ5Bに適合するように第2の実施形態を変形したものである。
第4の実施形態に係る燃料噴射装置1Dと同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図15に示すように4つの圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Eに入力される。
そして、第5の実施形態におけるECU80Eの機能は、基本的に第4の実施形態におけるECU80Dと同じであるが、燃料のオリフィス通過流量QORをECU80Eで算出するときに用いる信号が第4の実施形態の場合と異なる。
第4の実施形態では、前記した式(1)によりオリフィス通過流量QORを算出したが、第5の実施形態では、式(1)におけるオリフィス差圧PORを、圧力センサSPcが検出するコモンレール圧力Pcと、圧力センサSPsが検出するオリフィス75の下流側圧力Psとの差圧(Pc−Ps)に置き換える。
各高圧燃料供給通路21のオリフィス75上流側の圧力は、コモンレール圧力Pcと略一致することは明らかであり、第5の実施形態においては、第4の実施形態と同様に、ECU80Eは、式(1)においてオリフィス差圧PORを差圧(Pc−Ps)に置き換えて容易に精度の高いオリフィス通過流量QORを、気筒ごとに算出できる。更にECU80Eは、実噴射量換算係数γを噴射指示信号の出力パターンに応じて算出してオリフィス通過流量QORに乗じることで、気筒ごとの実燃料噴射量Qを算出できる。そして、第5の実施形態に係るECU80Eは、第4の実施形態におけるECU80Dと同様に、図8に示す補正手順を実行することで、目標噴射量Qと実燃料噴射量Qに基づいて、精度よくT−Q特性を補正できる。
したがってインジェクタ5Bは、図示しないエンジンの気筒に精度よく目標噴射量Qの燃料を噴射することができ、第2の実施形態と同様に、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できる。
なお、実噴射量換算係数γは、第4の実施形態と同様に、例えば、信号パラメータの相関式の形で、ECU80Eの記憶部81に格納しておけばよい。
そして、第2の実施形態と同様にエンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
《第6の実施形態》
次に、本発明の第6の実施形態に係る燃料噴射装置について図16を参照しながら詳細に説明する。
図16は、第6の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。
第6の実施形態の燃料噴射装置1Fが図15に示す燃料噴射装置1Eと異なる点は、(1)ECU80Eの代わりにECU(制御部)80Fとなった点と、(2)オリフィス通過流量QORを算出するのに圧力センサSPcの代わりに圧力センサSPsを用いる点と、(3)ECU80Fにおいて燃料のオリフィス通過流量QORを算出する方法を変えた点である。
言い換えると、第6の実施形態は、第3の実施形態において直動式の燃料噴射弁であるインジェクタ5A(図10参照)を背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bに変え、インジェクタ5Bに適合するように第3の実施形態を変形したものである。
第5の実施形態に係る燃料噴射装置1Eと同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図16に示すように4つの圧力センサSPsが検出した圧力信号は、ECU80Fに入力される。
そして、ECU80Fは、圧力センサSPsから入力された圧力信号に含まれる高周波のノイズをカットするフィルタ処理を行う。
ここでオリフィス75の下流側の圧力Psをフィルタ処理したものを圧力Psfilと称することにする。
第6の実施形態に係るECU80Fは、オリフィス75の下流側の圧力センサSPsが検出してフィルタ処理した圧力Psfilを利用してオリフィス通過流量QORを算出し、さらにオリフィス通過流量QORに基づいて実燃料噴射量Qを算出する。
次に、図17を参照しながら第6の実施形態におけるオリフィス75の下流側の圧力センサSPsからの信号のみによって、燃料のオリフィス通過流量QORを算出し、更にオリフィス通過流量QORに基づいて、実燃料噴射量Qを算出する方法を説明する。
図17は、第6の実施形態で実燃料噴射量を算出する手順を示すフローチャートである。
なお、図17に示す手順は、ECU80Fが図8に示す補正手順を実行するときに、ステップS1〜ステップS2の代わりに実行して、実燃料噴射量Qを算出する構成とすればよい。
以下に、主に図17を参照して、ECU80Fが実燃料噴射量Qを算出する手順を説明する(適宜図16参照)。
図17に示すフローチャートにおけるステップS21〜ステップS27の処理は、図11に示したフローチャートにおけるステップS11〜ステップS17の手順と同じである。ただし、図11のフローチャートの説明文中の「ECU80C」は「ECU80F」に、「インジェクタ5A」は「インジェクタ5B」に、それぞれ読み換える。
ECU80Fは、ステップS27まで実行した後、予め設定した噴射指示信号に基づいて記憶部81を参照し、実噴射量換算係数γを取得する(ステップS28)。
なお、実噴射量換算係数γは、第4の実施形態と同様に、例えば、信号パラメータの相関式の形で、ECU80Fの記憶部81に格納しておけばよい。
次いで、ECU80Fは、Qsumに実噴射量換算係数γを乗じて実燃料噴射量Qとする(ステップS29)。
そして、ECU80Fは、算出した実燃料噴射量Qに基づいて、図8に示す補正手順のステップS3以降を実行する。
第6の実施形態によれば、オリフィス75の下流側の圧力Psを検出する圧力センサSPsの検出値を利用して、オリフィス通過流量QORを算出することができる。
また、オリフィス75の下流側の圧力を検出する圧力センサSPsからの圧力信号のみで、オリフィス差圧PORを所定値Pと圧力Psfilの圧力差(P−Psfil)に置き換えた式(1)に基づいて容易に精度の高い燃料のオリフィス通過流量QORを、気筒ごとに算出できる。そして、第4の実施形態、及び第5の実施形態と同様に、算出されたオリフィス通過流量QORに基づいて、実燃料噴射量Qを正確に算出できる。
したがって、ECU80Fは算出した目標噴射量Qと実燃料噴射量Qに基づいて、精度よくT−Q特性を補正できることになる。
そして、インジェクタ5Bは、図示しないエンジンの気筒に精度よく目標噴射量Qの燃料を噴射することができ、第3の実施形態と同様に、PM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できる。
そして、第3の実施形態と同様にエンジンシステムの個々の部品への寸法公差等のハード仕様に対する要求を緩和しても排ガス規制をクリアし易くなる。特に、インジェクタに対するハード仕様を緩和することができる。ひいては、エンジンシステムの製造コスト低減にも寄与する。
このように、第4の実施形態から第6の実施形態においては、図13に示すような背圧式の燃料噴射弁であるインジェクタ5Bとし、そのアクチュエータ6Bは電磁コイル34によりバルブ35を駆動して背圧室7の圧力を制御するタイプであるが、それに限定されるものではない。例えば、ピエゾ素子のスタックを用いて三方弁構造の制御弁を動作させて、ノズルニードル14の上方に配置した背圧室7の圧力を制御して燃料噴射、噴射停止をさせる構成のインジェクタでもよい。
以上のように、図1に示す燃料噴射装置1Aに備わる、直動式のインジェクタ5Aに高圧燃料を供給する高圧燃料供給通路21のコモンレール4寄りに、オリフィス75を備える構成の場合、オリフィス75の上流側と下流側の差圧(オリフィス差圧POR)に基づいて、オリフィス75を通過する燃料のオリフィス通過流量QORを容易に算出できる。
そして、仮にコモンレール圧力Pcが変動しても、オリフィス差圧PORに基づいて算出されるオリフィス通過流量QORへの影響が小さく、正確にオリフィス通過流量QORを算出できる。
直動式のインジェクタ5Aの場合、実燃料噴射量Qはオリフィス通過流量QORと等しいことから、ECU80Aは、正確なオリフィス差圧PORを検出することによって、正確な実燃料噴射量Qを算出できることになる。
したがって、オリフィス75のオリフィス差圧PORを検出することで、ECU80Aは、インジェクタ5Aから噴射する実燃料噴射量Qを正確に算出できることになる。
そして、ECU80Aは算出した目標噴射量Qと実燃料噴射量Qに基づいて、精度よくT−Q特性を補正できることになる。
したがって、例えば、環境や運転状況の変動、インジェクタ5Aの経時劣化等によって、インジェクタ5Aの特性が変化して実燃料噴射量Qが変化した場合であっても、ECU80Aは、実燃料噴射量Qの変化を吸収するようにT−Q特性を補正できる。そして、補正したT−Q特性に基づいて、目標噴射量Qに対応する目標噴射時間Tを設定できる。
このことによって、ECU80Aは、インジェクタ5Aの特性が変化して噴射時間Tに対する燃料噴射量Qが変化した場合であっても、図示しないエンジンの各気筒への実燃料噴射量Qの過不足の発生を抑制できる。したがって、図示しないエンジンのPM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できるという優れた効果を奏する。
また、例えば、製造公差によって、インジェクタ5Aの実燃料噴射量Qにばらつきがある場合であっても、ECU80Aは、インジェクタ5Aに対応するようにT−Q特性を補正することができ、インジェクタ5Aごとの実燃料噴射量Qのばらつきを吸収し、安定して目標噴射量Qと同量の実燃料噴射量Qを噴射できる燃料噴射装置1Aを得ることができる。
また、図12に示す燃料噴射装置1Dに備わる、背圧式のインジェクタ5Bに高圧燃料を供給する高圧燃料供給通路21のコモンレール4寄りにオリフィス75を備える構成であっても、オリフィス通過流量QORに基づいて、インジェクタ5Bの実燃料噴射量Qを算出できることから、直動式のインジェクタ5A(図1参照)を備える場合と同じ効果を奏する。
以上のように、本発明は、インジェクタの形式にかかわらず、実燃料噴射量に過不足が発生することを好適に抑制することができ、エンジンのPM(粒子状物質)が増大したり、NOxや燃焼騒音が増大したりすることを好適に抑制できるという優れた効果を奏する。
なお、第1の実施形態から第6の実施形態において、インジェクタ5A,5Bは、直接各気筒の燃焼室内に燃料噴射を行うものとして説明したが、それに限定されるものではない。本発明は、インジェクタ5A,5Bが、各気筒の燃焼室に隣接して形成される副室(予混合空間)に向けて燃料噴射を行う構成や、各気筒の吸気ポートに向けて燃料噴射を行う構成も含む。また、そのような構成においても、第1の実施形態から第6の実施形態における作用効果は同様に得られる。
第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第1の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられる直動式の燃料噴射弁(インジェクタ)の概念構成図である。 1つの気筒に対する噴射指示信号の出力パターンと高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)はインジェクタからの実燃料噴射量の時間推移を示す図、(c)は燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す図、(d)はオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。 (a)は、T−Q特性を示す特性線fTiの一例を示した図、(b)は、コモンレール圧力に対応するT−Q特性を示す図である。 (a)は、コモンレール圧力が代表圧力値Pcと代表圧力値PcのときのT−Q特性を示す特性線の図、(b)は、隣り合う特性線の相関式を示す図である。 −Q特性の特性線を補正する概念図である。 −Q特性を相関式に基づいて補正する概念図である。 ECUがT−Q特性を補正する手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第3の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第3の実施形態で実燃料噴射量を算出する手順を示すフローチャートである。 第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第4の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置に用いられる背圧式の燃料噴射弁(インジェクタ)の概念構成図である。 1つの気筒に対する噴射指示信号と高圧燃料供給通路における燃料挙動の時間推移を示す図であり、(a)は噴射指示信号の出力パターンを示す図、(b)はインジェクタからの実燃料噴射量の時間推移を示す図、(c)は燃料のオリフィス通過流量の時間推移を示す図、(d)はオリフィスの上下流側の圧力変化の時間推移を示す図である。 第5の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第6の実施形態の蓄圧式の燃料噴射装置の全体構成を示した図である。 第6の実施形態で実燃料噴射量を算出する手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1A,1B,1C,1D,1E,1F 燃料噴射装置
2 燃料タンク
3A 低圧ポンプ(燃料ポンプ)
3B 高圧ポンプ(燃料ポンプ)
4 コモンレール(燃料蓄圧部)
5A,5B インジェクタ(燃料噴射弁)
21 高圧燃料供給通路(燃料供給通路)
73 戻り燃料配管
75 オリフィス
80A,80B,80C,80D,80E,80F ECU(制御部)
81 記憶部
Q 燃料噴射量
dP 差圧センサ
Pc 圧力センサ(蓄圧部圧力センサ)
Ps 圧力センサ(燃料供給通路圧力センサ)
噴射時間

Claims (12)

  1. 燃料ポンプによって送り出された燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部と、
    前記燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給通路を通じて供給される燃料を前記内燃機関の各気筒の燃焼室へ供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料蓄圧部の圧力を検出する蓄圧部圧力センサと、
    前記燃料噴射弁が噴射する燃料の目標噴射量を設定する制御部と、
    前記燃料噴射弁の燃料噴射量(Q)と噴射時間(T)の相関関係を示すT−Q特性をデータとして記憶している記憶部と、を備えた燃料噴射装置において、
    前記T−Q特性は、前記燃料蓄圧部の圧力を代表する代表圧力値における前記燃料噴射量(Q)と前記噴射時間(T)の相関関係を離散的に測定したデータを回帰分析して得られる多項式で表される特性線で示され、
    前記制御部は、前記蓄圧部圧力センサが検出する前記燃料蓄圧部の圧力と前記目標噴射量に基づいて、前記目標噴射量に対応する目標噴射時間を、前記特性線から求めることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記燃料噴射量(Q)が所定の境界値以上の領域では、前記特性線を表す多項式が1次多項式であることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記T−Q特性は、複数の前記代表圧力値ごとに測定される前記燃料噴射量(Q)と前記噴射時間(T)の相関関係に基づいた複数の前記特性線で示され、
    互いに隣り合う前記特性線を表す前記多項式の相関関係を示す相関式が設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記蓄圧部圧力センサが検出する前記燃料蓄圧部の圧力が、2つの前記代表圧力値の間の値のとき、
    前記制御部は、前記2つの代表圧力値における前記T−Q特性を示す2つの前記特性線を補間して、前記燃料蓄圧部の圧力に対応した前記目標噴射時間を求めることを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射装置。
  5. 前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記各気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
    前記制御部は、前記目標噴射時間に前記燃料噴射弁が噴射する実燃料噴射量を、前記差圧センサからの信号に基づいて算出し、
    前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  6. 前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記各気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
    前記制御部は、前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を算出するとともに、前記目標噴射時間に前記燃料噴射弁が噴射する実燃料噴射量を前記差圧に基づいて算出し、
    前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  7. 前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の全量を前記各気筒の燃焼室へ供給する構造であり、
    前記制御部は、前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出するとともに、前記目標噴射時間に前記燃料噴射弁が噴射する実燃料噴射量を前記圧力低下量に基づいて算出し、
    前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  8. 前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を検出する差圧センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部を戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
    前記制御部は、前記目標噴射時間に前記オリフィスを通過する燃料のオリフィス通過流量を前記差圧センサからの信号に基づいて算出するとともに、前記オリフィス通過流量の内、前記戻り燃料配管に戻らないで実際に前記各気筒の燃焼室に供給される実燃料噴射量を、前記オリフィス通過流量及び所定の係数値に基づいて算出し、
    前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  9. 前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部を戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
    前記制御部は、前記蓄圧部圧力センサからの信号及び前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記オリフィスの上流側及び下流側の差圧を算出して、前記目標噴射時間に前記オリフィスを通過する燃料のオリフィス通過流量を前記差圧に基づいて算出するとともに、前記オリフィス通過流量の内、前記戻り燃料配管に戻らないで実際に前記各気筒の燃焼室に供給される実燃料噴射量を、前記オリフィス通過流量及び所定の係数値に基づいて算出し、
    前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  10. 前記燃料供給通路に配置されたオリフィスと、
    前記燃料供給通路内の前記オリフィスの下流側の圧力を検出する燃料供給通路圧力センサと、を備え、
    前記燃料噴射弁は、燃料噴射時に前記燃料供給通路を通じて供給された燃料の一部を戻り燃料配管に戻して、燃料供給系の低圧部へ排出する構造であり、
    前記制御部は、前記燃料供給通路圧力センサからの信号に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料の噴射に伴う圧力低下量を検出し、前記目標噴射時間に前記オリフィスを通過する燃料のオリフィス通過流量を前記圧力低下量に基づいて算出するとともに、前記オリフィス通過流量の内、前記戻り燃料配管に戻らないで実際に前記各気筒の燃焼室に供給される実燃料噴射量を、前記オリフィス通過流量及び所定の係数値に基づいて算出し、
    前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるときには、前記T−Q特性を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  11. 前記制御部は、
    前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるとき、前記目標噴射時間を求めるのに利用した前記特性線を補正して、前記T−Q特性を補正することを特徴とする請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
  12. 前記T−Q特性が複数の前記特性線で示され、互いに隣り合う前記特性線を表す前記多項式の相関関係を示す相関式が設定されている場合、
    前記制御部は、
    前記実燃料噴射量が前記目標噴射量と異なるとき、前記目標噴射時間を求めるのに利用した前記特性線を補正するとともに、前記相関式によって、互いに隣り合う前記特性線を順次補正し、前記T−Q特性を補正することを特徴とする請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
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