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JP2010086955A - 電池電極用複合材料 - Google Patents

電池電極用複合材料 Download PDF

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JP2010086955A
JP2010086955A JP2009202590A JP2009202590A JP2010086955A JP 2010086955 A JP2010086955 A JP 2010086955A JP 2009202590 A JP2009202590 A JP 2009202590A JP 2009202590 A JP2009202590 A JP 2009202590A JP 2010086955 A JP2010086955 A JP 2010086955A
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JP2009202590A
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Yoshiyuki Ouchi
良行 尾内
Naohisa Hirota
尚久 廣田
Masashi Itabashi
正志 板橋
Shinichiro Maki
伸一郎 真木
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Artience Co Ltd
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

【課題】電池電極用活物質において、導電性を阻害することなく分散させた炭素材料で電池電極用活物質の表面を被覆することで、導電助剤の低減と、電極中の活物質と導電助剤および導電助剤同士の接触性維持とを両立させ、これを用いて作製される電池の性能を向上させること。
【解決手段】酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体を分散剤導電性炭素材料を分散させた分散体と、活物質粒子とを混合した後、該混合物を乾燥することによって溶剤を除去し、炭素材料で電池電極用活物質の表面を被覆した複合材料を作製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池電極用活物質表面を、導電性を阻害することなく分散させた炭素材料で被覆した複合材料に関する。特に、本発明の活物質複合材料は、リチウムイオン二次電池の作製に好適に用いられる。また、本発明は、充放電サイクル運転における電池容量の低下を抑制し、容量の向上したリチウムイオン二次電池に関する。
近年、デジタルカメラや携帯電話のような小型携帯型電子機器が広く用いられるようになってきた。これらの電子機器には、容積を最小限にし、かつ重量を軽くすることが常に求められてきており、搭載される電池においても、小型、軽量かつ大容量の電池の実現が求められている。また、自動車搭載用などの大型二次電池においても、従来の鉛蓄電池に代えて、大型の非水電解質二次電池の実現が望まれている。
そのような要求に応えるため、リチウムイオン二次電池の開発が活発に行われている。リチウムイオン二次電池の電極としては、リチウムイオンを含む正極活物質と導電助剤と有機バインダー等からなる電極合材を金属箔の集電体の表面に固着させた正極、及び、リチウムイオンの脱挿入可能な負極活物質と導電助剤と有機バインダー等からなる電極合材を金属箔の集電体の表面に固着させた負極が使用されている。
電池の充電時には正極活物質から、電子とリチウムイオンが、非水系有機溶媒にリチウム電解質を溶解した電解液を介して負極活物質へ移動して捕捉され、負極集電体から導電した電子との作用によって充電が進行する。一方、放電時には、リチウムイオンが正極活物質内に吸蔵されるが、その際、正極側へ拡散するリチウムイオンと正極集電体から導電した電子との作用によって放電が進行する。このため、電池の特性、特に高速放電性能(高出力化)に影響を与える因子として、導電性の高い導電材料を選択することや、活物質と導電性物質の微細複合構造が非常に重要となる。
活物質としては特に限定はされないが、リチウムイオン二次電池の正極の場合、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。例えば、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物などが挙げられる。
リチウムイオン二次電池の負極の場合、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素などの炭素質物、チタン酸リチウム、タングステン酸化物、アモルファススズ酸化物、スズ珪素酸化物、酸化珪素などの金属酸化物などが挙げられる。
これら電極活物質の中で炭素質系活物質を除く、酸化物系等の正・負極活物質は、それ自身の電子伝導性が低く、単独での使用では十分な電池性能が得られないため、これらの活物質を炭素材料(例えば、アセチレンブラック)やグラファイト(黒鉛)等の導電助剤と結着剤であるバインダーとを混合し、ペースト化したもの(電極合材ペースト)を集電体たる金属箔の表面に塗布乾燥することで、金属箔表面に活物質層を形成することによりその導電性を確保し、電極の内部抵抗を低減することが試みられている。
一方、黒鉛等の炭素質系負極用活物質はそれ自身が導電性を有しているものの、黒鉛とともに導電助剤としてカーボンブラックを添加すると充放電特性が改善されることが知られている。これは、一般に用いられる黒鉛粒子は大きいために、黒鉛単独で使用すると電極層に充填された時の隙間が多くなってしまうが、導電助剤としてカーボンブラックを併用した場合は、微細なカーボンブラック粒子が黒鉛粒子間の隙間を埋めることで接触面積が増え、抵抗が下がるためではないかと思われる。
ところで、電極の内部抵抗を低減することは、大電流での放電を可能とすることや、充放電の効率を向上させる上で非常に重要な要素の一つとなっている。しかしながら、一般に導電助剤として使用されているカーボンブラックなどの炭素材料は、ストラクチャーや比表面積が大きいため凝集力が強く、リチウムイオン二次電池の電極合材形成用ペースト中に均一混合・分散することが困難である。そして、導電助剤である炭素粒子の分散性や粒度の制御が不十分な場合、均一な導電ネットワークが形成さないために電極の内部抵抗の低減が図れず、その結果、活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物やグラファイトなどの性能を十分に引き出せないという問題が生じている。また、電極合材中の導電助剤の分散が不十分であると、部分的凝集に起因して電極板上に抵抗分布が生じ、電池として使用した際に電流が集中し、部分的な発熱および劣化が促進される等の不具合が生ずることがある。
このため、従来の電極用合材ペーストの調製方法では、十分な電極導電性を得るためには、多量の導電助剤を電極合材中に添加する必要があった。その結果として、電極体積当たり、あるいは電極重量当たりの充放電容量が低下するという問題があった。
また、リチウムイオン二次電池は使用を重ねるごとに容量が減っていく劣化が起こる。この電池の劣化原因の一つに、電極中の活物質と導電助剤との接触性が悪くなり、外部に電気が取り出せなくなるということが考えられる。このような観点から、導電助剤をできるだけ少なくしつつ、且つ電極中の活物質と導電助剤との接触性を良好に維持することが望ましい。
一般に、使用する活物質粒子は、ミクロンオ−ダー又は、サブミクロンオ−ダー以下の一次粒子、またはこれら一次粒子が複数凝集又は固結した二次粒子からなるものであるが、通常単一粒子では存在せず、二次粒子を形成していることが多い。例えば、正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物は、通常、遷移金属酸化物をリチウム炭酸塩と共に溶融してリチウム化する固相合成法か、遷移金属酸塩の水溶液に水酸化リチウムを滴下中和してリチウム化する溶液合成法によって製造されるが、何れの場合においても二次粒子化することが避けられない。二次粒子の導電性は粒子界面の存在により、一次粒子よりも低いものとなる。また、電極用合材ペースト中に導電助剤を添加した場合に、活物質が二次粒子化しているため導電助剤粒子のなかには一次粒子と直接接触していない粒子が存在することになり、導電助剤の添加効果を十分に発揮することができない。従って、前記の合材ペースト調製においては、導電助剤が活物質粒子と十分接触するよう、特殊な混合機を用いてペーストを長時間混合している。
さらに、調製されたスラリーは、集電体への塗布やその後の乾燥においても、分離することなく、均一組成が安定して保持されなければならない。また、塗布に適した性状が長時間安定して保持されなければならない。しかし、活物質粒子と導電助剤粒子とは、比重が大きく異なるために、ペースト中で相互に分離し易く、このような安定したペーストを得ることは非常に困難である。このため、導電助剤及びバインダーの選定、或いは配合量の決定には、高度な知識と経験が必要である。
このような理由から、リチウムイオン二次電池正極に関する微細複合構造の改良が幾つか試みられている。例えば特許文献1には、正極活物質と炭素材料としてケッチェンブラックとを混合して、乾式で圧縮せん断応力を加える方法により、正極活物質表面に炭素材料を被覆した正極材料が提案されている。
しかしながら、本方法では、被覆率の制御が困難であり、炭素材料が正極活物質の表面に緻密に被覆され易いため、リチウムイオンの経路が遮断され、その結果、高速放電性能が向上しにくくなる。また、被覆により正極活物質の導電性は向上するものの、活物質二次粒子の外周部にのみ炭素材料を付着させるため、二次粒子内部の一次粒子間における導電性は、活物質自体の導電率に依存するため、充分なものとはいえない。また、充放電サイクルによる活物質の膨張・収縮により、二次粒子にストレスが生じ、二次粒子内部に間隙ができる場合がある。この場合、二次粒子内部にできた間隙により電子伝導が絶たれ、導電性が低下することとなり、導電性の改善効果はさほど大きくないことが判明した。
特許文献2では、LiMn2 4、Li4 Ti5 12等の活物質とポリビニルアルコール等の加熱によって炭化する有機物とを湿式混合したのちに乾燥・解砕して均一組成の混合粉とし、この混合粉を大気中1,000℃以下の温度で焼成し、炭素材料によって表面が覆われた活物質を調製しているが、焼成の際、生成する炭素材料が酸化され、高い導電性を得られない問題や、活物質上で有機物を均一に炭素化し、被覆量を一定にコントロールすることが難しいという問題があった。
また、特許文献3では、一次粒子径にまで粉砕した正極活物質二次粒子をアセチレンブラック分散体に添加して作製されたスラリー、もしくは、溶媒に正極活物質およびアセチレンブラックを添加して、正極活物質一次粒子径までの粉砕およびアセチレンブラックの分散を同時に行うことにより作製されたスラリーを、乾燥してアセチレンブラックにより表面が覆われた正極活物質一次粒子からなる二次粒子が開示されている。
同文献では、アセチレンブラックを分散させる際に、バインダーと界面活性剤を使用している。しかしながら、この方法では、界面活性剤はカーボンブラックへの吸着力が一般的に弱いため、界面活性剤のカーボンブラックへの吸着が不十分であると、カーボンブラック粒子のストラクチャーの凝集物を解くことは難しく、また、活物質とアセチレンブラックがバインダーと界面活性剤で被覆されてしまうため、活物質上にアセチレンブラックによる有効な導電性被覆を形成することは困難なものであり、十分な導電性改善効果は得られていなかった。
また、特許文献4では、正極活物質粒子と、導電助剤としてカーボンブラックとをアルコール中でホモジナイザーにより分散させた後、アルコールを蒸発させ、焼成することにより、正極活物質粒子とカーボンブラックが複合化された正極活物質二次粒子を製造しているが、ホモジナイザーによる分散だけではカーボンブラックの分散が不十分であるために、活物質上で炭素材料が凝集しており、活物質上に有効な導電性被覆を形成することは困難と思われ、十分な導電性改善効果は得られていなかった。
特許文献5では、溶媒中で、正極活物質とカーボンブラックとが、強制分散した状態まで分散して得られるスラリーから溶媒を除去して、正極活物質とカーボンブラックとを含有する複合粒子を得る方法が開示されている。
同文献では、カーボンブラックおよび正極活物質を強制分散させる方法として、カーボンブラックを好適に分散させるために分散剤として高分子分散剤の使用が好ましいとしている。しかしながら、この方法では、カーボンブラックの分散性は向上するものの、比表面積が大きく、微細なカーボンブラックの分散を行う場合には、大量の分散樹脂が必要となること、および分子量の大きな分散樹脂がカーボンブラック表面を被覆してしまうことなどから、導電ネットワークが阻害され電極の抵抗が増大し、結果的にカーボンブラックの分散向上による効果を相殺してしまう場合がある。
特許文献6では、炭素材料を分散させた水溶液中でリチウムマンガン複合酸化物前駆体を析出させ、その前駆体を熟成することにより、リチウムマンガン複合酸化物表面に導電性粒子が付着した一次粒子が凝集して二次粒子を形成することが開示されている。
同文献では、炭素材料の水溶液への分散は超音波分散やホモジナイザーなどを使用した剪断力による通常の方法に従うとのみ記載されている。しかしながら、カーボンブラックはいずれも疎水的であるため、このような方法では、水分散体中でカーボンブラックが凝集体を形成してしまうため、活物質粒子表面への均一で薄膜のカーボンブラックの付着は困難なものであり、活物質自身に十分な導電性改善効果得るためには、カーボンブラックの付着量を増やす必要があり、この結果、活物質の単位重量当たりの充放電容量を低下させる結果となっていた。
一方、負極に関しても、同様な取り組みが試みられており、例えば、特許文献7では、リチウム吸蔵可能な合金を負極活物質とする二次電池において、負極活物質の表面を炭素からなる層で被覆することにより充放電時における充電ロスを減らし、充放電効率を向上させている。
同文献では、炭素からなる層を被覆する際にCVD処理を用いる方法、または、基材となる合金粒子表面を有機物で被覆した後に焼成する方法を使用しているが、いずれの方法も、活物質上で有機物を均一に炭素化し、被覆量を一定にコントロールすることが難しいという問題があった。
特許文献8では、一次粒子の平均粒子径が1μm以下であるリチウムチタン酸化合物を用いることにより、リチウムイオンの拡散時間が短くでき、かつ比表面積を広くすることができるため、急速充電あるいは高出力放電を行った際にも、高い活物質利用率を得ることができるとされている。この場合も、集電体との接触抵抗を抑えるための導電剤として、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛等の炭素材料を用いている。
同文献では、導電剤として平均粒子径0.4μmの炭素材料を配合、ボールミルにより活物質分散スラリーを調製しているが、チタン酸リチウムの一次粒子の凝集が少なく、均一に分散していることを確認しているものの、炭素材料の分散については何ら言及されておらず、また、活物質と炭素材料の粒子径が同程度であるために、有効な炭素材料による導電パスが形成されず、活物質の能力を十分引き出していないと思われる。
更に、十分な電極導電性の向上と併せて、充放電の効率を向上させる上で重要な要素としては、電極の電解液に対する濡れ性の向上が挙げられる。電極反応は、電極材料表面と電解液との接触界面で起こるため、電解液が電極内部まで浸透し電極材料が良く濡れることが重要となる。電極反応を促進させる方法としては、微細な活物質や導電助剤を用いて電極の表面積を増大させる方法が検討されているが、特に炭素材料を用いる場合は、電解液に対する濡れが悪く、実際の接触面積が大きくならないため、電池性能の向上が難しいといった問題がある。
電極の濡れ性を改善する方法として、特許文献9には、電極中に繊維径1〜1000nmの炭素繊維を含有させることで、活物質粒子間に微細な空隙を持たせる方法が開示されている。しかしながら、通常、炭素繊維は複雑に絡み合っているため、均一な分散が難しく、炭素繊維を混ぜるだけでは、均一な電極を作製することができない。また、同文献では、分散制御のために炭素繊維の表面を酸化処理した炭素繊維を使用する方法も挙げられているが、炭素繊維を直接、酸化処理すると、炭素繊維の導電性や強度が低下してしまうという問題がある。
特開平09−092265号公報(特許第3601124号公報) 特開2000−251888号公報 特開平11−329504号公報 特開2004−134255号公報 特開2008−034378号公報(特許第4102848号公報) 特開2001−328813号公報 特開平10−321226号公報(特許第386525号公報) 特開2005−317512号公報(特許第3769291号公報) 特開2005−063955号公報
本発明は、上記の問題を鑑み、導電性を阻害することなく分散させた炭素材料で電池電極用活物質の表面を被覆することで、導電助剤の低減と、電極中の活物質と導電助剤および導電助剤同士の接触性維持とを両立させ、さらに電解液に対する濡れ性を改善した電池電極用複合材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、「酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体」を分散剤として導電性炭素材料を分散させた分散体と、活物質粒子とを混合した後、該混合物を乾燥することによって溶剤を除去して得られる、炭素材料で電池電極用活物質の表面を被覆した複合材料を用いて作成された電池において、電池の高出力化、及び、導電助剤添加量低減による電池の高容量化の効果を見出し、本発明をなすに至ったものである。
本発明の電池電極用複合材料は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドニウム二次電池、アルカリマンガン電池、鉛電池、燃料電池、キャパシタなどに用いることができるが、特にリチウムイオン二次電池に用いると好適である。
すなわち本発明は、少なくとも一種の炭素材料と、前記炭素材料の分散剤としての、酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる一種以上の誘導体とによって、電極用活物質表面を被覆することを特徴とする電池電極用複合材料の製造方法に関する。
また、本発明は、少なくとも一種の炭素材料を分散剤を用いて溶剤中に分散させた分散体と、電極用活物質とを混合した後、溶剤を除去することを特徴とする上記の電池電極用複合材料の製造方法に関する。
また、本発明は、分散体が、酸性官能基を有する誘導体と、分散助剤としての分子量500以下の塩基とを含むことを特徴とする上記の電池電極用複合材料の製造方法に関する。
また、本発明は、分散体が、塩基性官能基を有する誘導体と、分散助剤としての分子量300以下の酸を含むことを特徴とする上記の電池電極用複合材料の製造方法に関する。
また、本発明は、溶剤と一緒に分散助剤を除去することを特徴とする請求項3または4記載の電池電極用複合材料の製造方法に関する。
また、本発明は、分散体中の炭素材料の分散粒径(D50)が、2μm以下であることを特徴とする、上記の電池電極用複合材料の製造方法に関する。
また、本発明は、上記の製造方法で製造されてなる電池電極用複合材料に関する。
また、本発明は、炭素材料の一次粒子径が、10〜100nmであることを特徴とする、上記の電池電極用複合材料
また、本発明は、上記の電池電極用複合材料と、溶剤と、バインダー成分とを含んでなる電極用合材ペーストに関する。
また、本発明は、更に導電助剤成分を含んでなる、上記の電極用合材ペーストに関する。
また、本発明は、集電体上に、上記の電池電極用複合材料、または、上記の電極用合材ペーストを使用して電極合材層が形成されてなることを特徴とする電池用電極に関する。
また、本発明は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウムイオン二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方が、上記の電池用電極であることを特徴とするリチウムイオン二次電池に関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、本電極用活物質複合材料による電池電極では、少ない導電助剤の添加で高い導電性を得ることができるため、例えばリチウムイオン二次電池などの電池性能を総合的に向上させることができる。
本発明における電池電極用複合材料は、電極用活物質と、分散剤として「酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体」を用いた導電性炭素材料の分散体とを混合した後、該混合物を乾燥することによって溶剤を除去して活物質表面を炭素材料で被覆することを特徴とするが、以下にその詳細について説明する。
<炭素材料>
本発明における炭素材料としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素材料ナノファイバー、炭素材料ファイバー、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラック等の各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
導電助剤として用いるカーボンブラックは、酸化処理したカーボンを用いることも可能ではある。カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラックどうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m/g以上、1500m/g以下、好ましくは50m/g以上、1500m/g以下、更に好ましくは100m/g以上、1500m/g以下のものを使用することが望ましい。比表面積が20m/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合があり、1500m/gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.1μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック、プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、及び5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック、ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のアクゾ社製ケッチェンブラック、並びに、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等の電気化学工業社製アセチレンブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<分散剤>
本発明における炭素材料の分散剤としては、「酸性官能基を有する有機色素誘導体および、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体」を使用する。
[酸性官能基を有する各種誘導体]
本発明における酸性官能基を有する誘導体としては、酸性官能基を有する有機色素誘導体、または酸性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種類以上のものを使用する。とりわけ、下記一般式(1)で示されるトリアジン誘導体または、一般式(4)で示される有機色素誘導体の使用が好ましい。
一般式(1):
Figure 2010086955
一般式(1)中、
101は、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−、又は−X103−Y101−X104−であり、
102、及びX104は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
103は、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−、又は−NHSO−であり、
101は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
101は、−SOM、−COOM、又は−P(O)(−OM)であり、
101は、1〜3価のカチオンの一当量であり、
101は、−O−R102、−NH−R102、ハロゲン基、−X101−R101、又は−X102−Y101−Z101であり、
102は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアルケニル基であり、
101は、1〜4の整数であり、
101は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は下記一般式(2)で表される基である。
一般式(2):
Figure 2010086955
一般式(2)中、
201は、−NH−、又は−O−であり、
202、及びX203は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、又は−CHNHCOCHNH−であり、
201、及びR202は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基、又は−Y201−Z201であり、
201は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
201は、−SO201、−COOM201、又は−P(O)(−OM201であり、
201は、1〜3価のカチオンの一当量である。
一般式(1)のR101及び一般式(2)のR201、及びR202で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又金属錯体系色素等が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましく、中でもアゾ系色素、ジケトピロロピロール系色素、無金属フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、又はジオキサジン系色素の使用が分散性に優れるため好ましい。
一般式(1)のR101及び一般式(2)のR201、及びR202で表される複素環残基および芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、又はアントラキノン等が挙げられる。とりわけ、少なくともS、N、Oのヘテロ原子のいずれかを含む複素環残基の使用が分散性に優れるため好ましい。
一般式(1)のY101及び一般式(2)の及びY201は、炭素数20以下の置換基を有していてもよいアルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表すが、好ましくは置換されていてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
一般式(1)のQ101中に含まれるR102で表される置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基は、好ましくは炭素数20以下のものであり、更に好ましくは炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキル基が挙げられる。置換基を有しているアルキル基又はアルケニル基とは、アルキル基又はアルケニル基の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、若しくは臭素原子等のハロゲン基、水酸基、又はメルカプト基等に置換されたものである。
一般式(1)のM101及び一般式(2)のM201は、1〜3価のカチオンの一当量を表し、例えば、水素原子(プロトン)、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかを表す。また、分散剤構造中にMを2つ以上有する場合、Mはプロトン、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかひとつのみでも良いし、これらの組み合わせでも良い。
金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、又はコバルト等が挙げられる。
4級アンモニウムカチオンとしては、一般式(3)で示される構造を有する単一化合物または、混合物である。
一般式(3):
Figure 2010086955
一般式(3)中、R301、R302、R303、及びR304は、水素、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基のいずれかである。
一般式(3)のR301、R302、R303、及びR304は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。また、R301、R302、R303、及びR304が、炭素原子を有する場合、炭素数は1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。炭素数が40を超えると電極の導電性が低下する場合がある。
4級アンモニウムの具体例としては、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアンモニウム、ラウリルアンモニウム、又はステアリルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(4):
Figure 2010086955
一般式(4)中、
401、直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−、−X402−Y−、又は−X402−Y−X403−であり、
402は、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−、又は−NHSO−であり、
403は、−NH−、又は−O−であり、
401は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
401は、−SO401、−COOM401、又は−P(O)(−OM401であり、
401は、1〜3価のカチオンの一当量であり、
401は、有機色素残基であり、
401は、1〜4の整数である。
一般式(4)のR401で表させる有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素等が挙げられる。Rで表させる有機色素残基には、一般的には色素と呼ばれていない淡黄色のアントラキノン残基を含む。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましく、中でもアゾ系色素、ジケトピロロピロール系色素、無金属フタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、又はジオキサジン系色素の使用が分散性に優れるため好ましい。
一般式(4)の式中のM401は、1〜3価のカチオンの一当量を表し、例えば、水素原子(プロトン)、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかを表す。また、分散剤構造中にMを2つ以上有する場合、M401はプロトン、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかひとつのみでも良いし、これらの組み合わせでも良い。
金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、又はコバルト等が挙げられる。
4級アンモニウムカチオンとしては、一般式(3)で示される構造を有する単一化合物または、混合物である。
一般式(3):
Figure 2010086955
一般式(3)中、R301、R302、R303、及びR304は、水素、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいアリール基のいずれかである。
一般式(3)のR301、R302、R303、及びR304は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。また、R301、R302、R303、及びR304が、炭素原子を有する場合、炭素数は1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。炭素数が40を超えると電極の導電性が低下する場合がある。
4級アンモニウムの具体例としては、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアンモニウム、ラウリルアンモニウム、又はステアリルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記分散剤の合成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特公昭39−28884号公報、特公昭45−11026号公報、特公昭45−29755号公報、特公昭64−5070号公報、又は特開2004−217842号公報等に記載されている方法で合成することができる。
本発明の分散剤のうち、例えば酸性官能基としてスルホン酸もしくはその塩を有するものについては、発煙硫酸、濃硫酸および、クロロスルホン酸などのスルホン化剤を用いてスルホン化するのが一般的である。この場合、酸性官能基の数は分布を有し、例えば、無置換体、一置換体、ニ置換体等の混合物となり得る。スルホン酸およびその塩に限らず、カルボン酸、リン酸についても合成方法により酸性官能基の数が異なるものの混合物となる可能性がある。本発明の分散剤としては、この様な酸性官能基数の異なるものの混合物を用いることも可能である。
[塩基性官能基を有する各種誘導体]
本発明における塩基性官能基を有する誘導体としては、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種類以上のものを使用する。とりわけ、下記一般式(5)で示されるトリアジン誘導体、または一般式(10)で示される有機色素誘導体の使用が好ましい。
一般式(5):
Figure 2010086955
一般式(5)中、
501は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、又は−X502−Y501−X503−であり、
502は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−または、−NHSO2−であり、
503は、それぞれ独立に−NH−、又は−O−であり、
501は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
501は、下記一般式(6)、(7)または、(8)のいずれかで示される置換基であり、
501は、−O−R502、−NH−R502、ハロゲン基、−X501−R501または、下記一般式一般式(6)、(7)または、(8)のいずれかで示される置換基であり、
502は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基または、置換基を有してもよいアリール基であり、
501は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基または、下記一般式(9)で示される基であり、
501は、1〜4の整数である。
一般式(6):
Figure 2010086955
一般式(6)中、
601は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または、−X602−Y601−X603−であり、
602は、−NH−、又は−O−であり、
603は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または、−CH2−であり、
601は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
vは、1〜10の整数であり、R601 およびR602は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基または、R601 とR602とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(7):
Figure 2010086955
一般式(7)中、
701は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または、−X702−Y701−X703−であり、
702は、−NH−、又は−O−であり、
703は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または、−CH2−であり、
701は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または、置換基を有してもよいアリーレン基であり、
701 およびR702は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基または、R701 とR702とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(8):
Figure 2010086955
一般式(8)中、
801は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または、−X802−Y801−X803−であり、
802は、−NH−、又は−O−であり、
803は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または、−CH2−であり、
801は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
801 、R802 、R803 および、R804は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
805は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。
一般式(9):
Figure 2010086955
一般式(9)中、
901は、−X902−R901または、W901であり、
901は、−X903−R902または、W902であり、
901および、W902は、それぞれ独立に、−O−R903、−NH−R903、ハロゲン基または、前記一般式(6)、(7)もしくは、一般式(8)のいずれかで示される置換基であり、
903は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基または、置換基を有してもよいアリール基であり、
901は、−NH−または、−O−であり、
902、及びX903は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−または−CH2NHCOCH2NH−であり、
901は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
901および、R902は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基または、置換基を有していてもよい芳香族環残基である。
一般式(5)のR501、並びに、一般式(9)のR901および、R902で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素等が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましい。
一般式(5)のR501、並びに、一般式(9)のR901および、R902で表される複素環残基および芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基、及び芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、及びジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、及びフッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲン等で置換されていてもよい)、並びに、フェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
一般式(6)及び(7)中のR601、R602、R701および、R702は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基もしくは、R601とR602または、R701とR702とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む、置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(5)〜(9)のY501、Y601、Y701、Y801および、Y901は、それぞれ独立に、炭素数20以下の置換基を有していてもよいアルキレン基、アルケニレン基または、アリーレン基を表すが、好ましくは置換されていてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基または、炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
一般式(10):
Figure 2010086955
一般式(10)中、
1001は、下記一般式(6)、(7)および、(8)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものであり、
1001は、1〜4の整数であり、
1001は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、又は置換基を有していてもよい芳香族残基である。
一般式(6):
Figure 2010086955
一般式(6)中、
601は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または、−X602−Y601−X603−であり、
602は、−NH−、又は−O−であり、
603は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または、−CH2−であり、
601は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
vは、1〜10の整数であり、R601 およびR602は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基または、R601 とR602とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(7):
Figure 2010086955
一般式(7)中、
701は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または、−X702−Y701−X703−であり、
702は、−NH−、又は−O−であり、
703は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または、−CH2−であり、
701は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基または、置換基を有してもよいアリーレン基であり、
701 およびR702は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基または、R701 とR702とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(8):
Figure 2010086955
一般式(8)中、
801は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−、−CH2−または、−X802−Y801−X803−であり、
802は、−NH−、又は−O−であり、
803は、直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHCONHCH2−または、−CH2−であり、
801は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
801 、R802 、R803 および、R804は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
805は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基である。
一般式(10)のR1001で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ぺリノン系色素、ぺリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、及び金属錯体系色素等が挙げられる。とりわけ、金属による電池の短絡を抑制する効果を高めるためには、金属錯体系色素ではない有機色素残基の使用が好ましい。
また、一般式(10)のR1001で表される複素環残基及び芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基及び芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、及びブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、及びジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、及びフッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、及びハロゲン等で置換されていてもよい)、並びに、フェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、及びハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
一般式(6)及び(7)中のR601、R602、R701および、R702は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアリール基もしくは、R601とR602または、R701とR702とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む、置換されていてもよい複素環残基である。
一般式(6)〜(8)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジ ン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、及び1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
本発明の塩基性官能基を有する有機色素誘導体、または、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではないが、特開昭54−62227号公報、特開昭56−118462号公報、特開昭56−166266号公報、特開昭60−88185号公報、特開昭63−305173号公報、特開平3−2676号公報、又は特開平11−199796号公報等に記載されている方法で合成することができる。
例えば、有機色素に、一般式(11)〜一般式(14)で示される置換基を導入した後、これら置換機とアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミン、若しくは4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等)を反応させることによって、合成することができる。
一般式(11):−SO2Cl
一般式(12):−COCl
一般式(13):−CH2NHCOCH2Cl
一般式(14):−CH2Cl
また、例えば、一般式(11)で示される置換基を導入する場合には、有機色素をクロロスルホン酸に溶解して、塩化チオニル等の塩素化剤を反応させるが、このときの反応温度、反応時間等の条件により、有機色素に導入する一般式(11)で示される置換基数をコントロールすることができる。
また、一般式(12)で示される置換基を導入する場合には、まずカルボキシル基を有する有機色素を公知の方法で合成した後、ベンゼン等の芳香族溶媒中で塩化チオニル等の塩素化剤を反応させる方法等が挙げられる。
一般式(11)〜一般式(14)で示される置換基とアミン成分との反応時には、一般式(11)〜一般式(14)で示される置換基の一部が加水分解して、塩素が水酸基に置換することがある。その場合、一般式(11)で示される置換基はスルホン酸基となり、一般式(12)で示される置換基はカルボン酸基となるが、いずれも遊離酸のままでもよく、また、1〜3価の金属若しくは、上記のアミンと塩を形成していてもよい。
また、有機色素がアゾ系色素である場合は、一般式(6)〜(8)または、下記一般式(15)で示される置換基をあらかじめジアゾ成分又はカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによってアゾ系有機色素誘導体を製造することもできる。
一般式(15):
Figure 2010086955
一般式(15)中、
1501は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−、又は−X1502−Y1501−X1503−であり、
1502は、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−、又は−NHSO2−であり、
1503は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
1501は、炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、
1501は、上記一般式(6)、(7)または、(8)のいずれかで示される置換基であり、
1501は、−O−R1501、−NH−R1501、ハロゲン基、−X1501−R1502もしくは、上記一般式(6)、(7)または、(8)のいずれかで示される置換基であり、
1501は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は、置換基を有してもよいアルケニル基または、置換基を有してもよいアリール基であり、
1502は、有機色素残基、置換基を有していてもよい複素環残基、置換基を有していてもよい芳香族環残基または、上記一般式(9)で示される基である。
また、本発明の塩基性官能基を有するトリアジン誘導体は、例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に上記一般式(6)〜(8)、又は一般式(15)で示される置換基を形成するアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、若しくはN−メチルピペラジン等)を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミン又はアルコール等を反応させることによって得られる。
本発明の分散剤は、添加した分散剤が炭素材料表面に作用(例えば吸着)することにより、分散効果を発揮するものと思われる。酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上を、溶剤中に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に炭素材料を添加、混合することで、これら分散剤の炭素材料への作用が進むものと思われる。そして、炭素材料表面に作用した分散剤が有する酸性官能基もしくは、塩基性官能基が分極ないしは解離することにより、電気的な相互作用(反発作用)が誘起され、炭素材料の解凝集が起こるものと思われる。
よって、本発明の炭素材料分散体では、炭素材料表面に直接官能基を導入(共有結合)せず、さらに分散樹脂を使用することなく、良好な分散状態を得ることができる。これらのことから、炭素材料の導電性を低下させることなく良好な分散状態を得ることができる。炭素材料が良好に分散した本発明の炭素材料分散体を用いることにより、均一性の高い炭素材料と活物質の複合材料を作製することが可能となる。また、炭素材料表面に導入された酸性官能基もしくは塩基性官能基の極性により、上記の分散による均一性の付与とあいまって、炭素材料と活物質の複合材料の電解液に対する濡れ性が向上することが期待できる。
<分散助剤>
本発明の炭素材料分散体には、更に分散助剤として塩基性化合物もしくは、酸性化合物を添加することが好ましい。
分散剤として、酸性官能基を有する酸性官能基を有する有機色素誘導体または酸性官能基を有するトリアジン誘導体を使用する場合は、分散助剤として、塩基性化合物を添加するのが好ましい。
このとき用いる塩基性化合物としては、特に限定はされないが、アルカリ金属等の金属水酸化物、弱酸と強塩基との反応によって生ずる塩類、アンモニア、アミノ基含有有機化合物等の塩基が挙げられる。特にアミノ基含有有機化合物が好ましい。その中でも、電池電極用複合材料作製時の乾燥工程で分解又は揮発する塩基性化合物の使用が好ましい。また、本発明は分散樹脂、すなわち高分子量の分散剤を使用することなく良好な分散状態を得ることが特徴であるため、分子量500以下が好ましく、分子量300以下が更に好ましい。
これらの塩基が、酸性官能基を有する有機色素誘導体または酸性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上の塩基性官能基と作用(たとえば、中和によるイオン対の形成(造塩)、およびイオン対(塩)の分極ないしは解離等)することにより、これら分散剤の溶解性が上がるとともに、これら分散剤が作用(例えば吸着)した炭素材料表面に電気的な相互作用(例えば、炭素材料表面に吸着した分散剤アニオンどうしの静電反発、また、解離した塩基カチオンによって形成される電気二重層による反発作用等)が誘起され、炭素材料の解凝集が促進されるものと思われる。
また、分散剤として、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体を使用する場合は、分散助剤として酸性化合物を添加することが好ましい。
このとき用いる酸性化合物としては、特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、強酸と弱塩基の反応によって得られる塩類の無機化合物、カルボン酸類、燐酸類、スルホン酸類の様な有機酸等が使用できる。中でも、電池電極用複合材料作製時の乾燥工程で分解または揮発する酸の使用が好ましい。また、本発明は分散樹脂、すなわち高分子量の分散剤を使用することなく良好な分散状態を得ることが特徴であるため、分子量が300以下好ましくは200以下の酸の使用が望ましい。また、後述する電極活物質との反応性が低い酸の使用が好ましく、とりわけ有機酸類、特にカルボン酸類が好ましい。具体的には、例えば、蟻酸、エタン酸(酢酸)、フルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
これらの酸が、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上の塩基性官能基と作用(たとえば、中和によるイオン対の形成(造塩)、およびイオン対(塩)の分極ないしは解離等)することにより、これら分散剤の溶解性が上がるとともに、これら分散剤が作用(例えば吸着)した炭素材料表面に電気的な相互作用(例えば、炭素材料表面に吸着した分散剤カチオンどうしの静電反発、また、解離した酸アニオンによって形成される電気二重層による反発作用等)が誘起され、炭素材料の解凝集が促進されるものと思われる。
<溶剤>
本発明に使用される溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、水等が挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明における溶剤は、電池電極用複合材料を作製するために使用されるものと、電極用合材ペーストを作製するために使用されるものとがあるが、両者が同じ溶剤であってもかまわないし、異なる溶剤であってもよい。また、二種類以上の溶剤の混合物であってもよい。
電池電極用複合材料を作製するために使用される溶剤としては、比誘電率が15以上の極性溶剤を使用することが好ましい。比誘電率は、溶剤の極性の強さを表す指標のひとつであり、浅原ほか編「溶剤ハンドブック」((株)講談社サイエンティフィク、1990年)等に記載されている。
例えば、メチルアルコール(比誘電率:33.1)、エチルアルコール(23.8)、2−プロパノール(18.3)、1−ブタノール(17.1)、1,2−エタンジオール(38.66)、1,2−プロパンジオール(32.0)、1,3−プロパンジオール(35.0)、1,4−ブタンジオール(31.1)、ジエチレングリコール(31.69)、2−メトキシエタノール(16.93)、2−エトキシエタノール(29.6)、2−アミノエタノール(37.7)、アセトン(20.7)、メチルエチルケトン(18.51)、ホルムアミド(111.0)、N−メチルホルムアミド(182.4)、N,N−ジメチルホルムアミド(36.71)、N−メチルアセトアミド(191.3)、N,N−ジメチルアセトアミド(37.78)、N−メチルプロピオンアミド(172.2)、N−メチルピロリドン(32.0)、ヘキサメチル燐酸トリアミド(29.6)、ジメチルスルホキシド(48.9)、スルホラン(43.3)、アセトニトリル(37.5)、プロピオニトリル(29.7)、水(80.1)等が挙げられるが、これらに限定されない。
とりわけ、比誘電率が15以上、200以下、好ましくは15以上、100以下、更に好ましくは、20以上、100以下の極性溶剤を使用することが、炭素材料の良好な分散安定性を得るのに好ましい。比誘電率が15を下回る溶剤では分散剤の溶解性が著しく低下し良好な分散が得られないことが多く、また、比誘電率が200を超える溶剤を使用しても、顕著な分散向上効果が得られないことが多い。
また、電池電極用複合材料を作製するために使用される溶剤は、活物質との反応性を鑑みつつ選定する必要がある。例えば、正極活物質として一般的に使用されるコバルト酸リチウムは、溶剤として水を使用すると、活物質中のリチウムイオンと水とが反応して、表面に水酸化リチウムなどが発生し、バインダーとして一般的に使用されるポリフッ化ビニリデンを劣化させてしまう問題や、集電体のアルミを腐食させてしまう問題などがあるが、負極活物質として一般的に使用される炭素材料は水を使用しても問題ない。使用する活物質に合わせて、反応性が低い溶剤を選択することが好ましい。
電極用合材ペーストを作製するための溶剤としては特に限定はされないが、後述するバインダー成分に対する溶解性が高いものを使用することができる。やはり、電極活物質との反応性も鑑みつつ選択することが好ましい。
<炭素材料分散体およびその製造方法>
本発明で使用する炭素材料分散体の製造方法について説明する。
炭素材料の分散体は、例えば、酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の分散剤の存在下、導電助剤としての炭素材料を溶剤に分散することにより、製造することができる。
上記製造方法は、本発明で使用する分散剤を、溶剤中に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に導電助剤としての炭素材料を添加、混合することで、これら分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ、溶剤に分散するのが好ましい。このときの分散体中における炭素材料の濃度は、使用する炭素材料の比表面積や表面官能基量などの炭素材料固有の特性値等にもよるが、1重量%以上、50重量%以下が好ましく、更に好ましくは5重量%以上、35重量%以下である。炭素材料の濃度が低すぎると生産効率が悪くなり、炭素材料の濃度が高すぎると分散体の粘度が著しく高くなり、分散効率や、分散体のハンドリング性が低下する場合がある。
酸性官能基を有する有機色素誘導体、または酸性官能基を有するトリアジン誘導体から選ばれる1種以上の分散剤の添加量は、用いる導電助剤としての炭素材料の比表面積等により決定される。一般には、炭素材料100重量部に対して、分散剤を0.5重量部以上、40重量部以下、好ましくは1重量部以上、35重量部以下、更に好ましくは、2重量部以上、30重量部以下で添加する。分散剤の量が少ないと十分な分散効果が得られないとともに、電解液への濡れ性向上効果が十分に得られない。また、過剰に添加しても顕著な分散向上効果は得られない。
塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体の添加量は、用いる導電助剤としての炭素材料の比表面積等により決定される。一般には、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体を、炭素材料100重量部に対して、0.5重量部以上、40重量部以下、好ましくは1重量部以上、35重量部以下、さらに好ましくは、2重量部以上、30重量部以下で添加する。添加量が少ないと十分な分散効果が得られないとともに、電解液への濡れ性向上効果が十分に得られない。また、過剰に添加しても顕著な分散向上効果は得られないことがある。
導電助剤としての炭素材料の分散粒径は、0.03μm以上、2μm以下、好ましくは、0.05μm以上、1μm以下、更に好ましくは0.05μm以上、0.5μm以下に微細化することが望ましい。炭素材料の分散粒径が0.03μm未満の分散体は、その作製が難しい場合がある。また、炭素材料の分散粒径が2μmを超える分散体を用いて、活物質複合材料を製造した場合には、活物質粒子の抵抗分布のバラつきや、低抵抗化のために、合材ペースト作成時に添加する導電助剤量を増やさなければならなくなるなどの不具合が生じる場合がある。ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
また、上記分散剤を炭素材料に作用(例えば吸着)させつつ、炭素材料粒子を溶剤に分散するための装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機が使用できる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーターおよびベッセルがセラミック製または樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーターおよびベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズや、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましく、中でもジルコニアビーズの使用が好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
また、炭素材料粒子分散時に金属異物等のコンタミを除く工程を入れることが好ましい。カーボンブラック、グラファイトおよび、炭素繊維等の炭素材料には、それらの製造工程由来(ラインコンタミや触媒として)の金属異物が含まれている場合が多く、これら金属異物を除去することは、電池の短絡を防ぐために非常に重要となる。本発明では、極性官能基を有する分散剤の効果により、炭素材料粒子の凝集がよくほぐれること、および分散体の粘度が低くなるため、分散剤が未添加の場合に比して、分散体中の炭素材料粒子濃度が高い場合でも、効率良く金属異物を取り除くことができる。金属異物を除く方法としては、磁石による除鉄や、ろ過、遠心分離等の方法が挙げられる。
<電極用活物質>
本発明で使用する正極活物質としては特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。
例えば、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMnまたはLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCo)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−yCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnCo1−y)、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLiMn2−yNi)などのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリピン構造を有するリチウムリン酸化物粉末(例えばLiFePO、LiFe1−yMnPO、LiCoPOなど)、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、バナジウム酸化物(例えばV、V13)、酸化チタン等の遷移金属酸化物粉末、硫酸鉄(Fe(SO))、TiS、及びFeS等の遷移金属硫化物粉末等などが挙げられる。
これら正極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
本発明で使用する負極活物質としては特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な材料であり、例えば、金属リチウム、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、チタン酸リチウム(Li4+xTi12)、酸化鉄系(LiFe、LiFe)、タングステン酸化物(LiWO、LiWO)、酸化モリブデン(LiMoO)、アモルファススズ酸化物、スズ珪素酸化物(SnSiO)、酸化珪素(SiO)等の金属酸化物系、硫化チタン(TiS、LiTiS)、硫化モリブデン(LiMoS)、硫化鉄(LiFeS)等の金属硫化物系。リチウムコバルト窒化物(LiCoN、0<x<4、0<y<0.5)などの金属窒化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。
これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
<電池電極用複合材料およびその製造方法>
本発明における電池電極用複合材料の製造方法について説明する。
電池電極用複合材料は、例えば、酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の分散剤の存在下、導電助剤としての炭素材料と、電極用活物質とを溶剤中で混合し、その後、処理物を乾燥して溶剤を除去することにより製造することができる。
各種材料の添加順序に特に制限はなく、例えば、前述の方法によって作製した炭素材料分散体を攪拌しつつ、活物質を添加し、混合する方法。また、上記分散剤の存在下、炭素材料を溶剤中に分散させるときに、活物質の一部ないしは全量を、炭素材料と同時に添加して分散および混合を行う方法。更に、上記分散剤の存在下で炭素材料を溶剤中に分散させた分散体と、活物質を溶剤中に分散させた分散体とを混合する方法等が挙げられる。とりわけ、炭素材料分散体に活物質を添加する方法が、炭素材料の良好な分散安定性を得られるため好ましい。
本発明において、電極用活物質は、予め一次粒子径にまで解砕、粉砕させておくことが望ましいが、ここで、解砕、粉砕の手段に特に限定はなく、例えば、前述した顔料分散等に通常用いられている分散機が使用でき、湿式あるいは乾式のいずれの条件で行ってもよい。活物質を解砕、粉砕するために湿式処理する場合は、解砕した活物質を分散安定化させるために本発明の炭素材料の分散で使用した分散剤を添加しても良い。
炭素材料と電極用活物質とを混合処理するための装置としては、顔料の混合、分散等に通常用いられている混合、分散機が使用できる。例えば、タンブラー、シェーカー、ミキサー、V型混合機等の、混合機類;ディスパー、ホモミキサー、ヘェンシェルミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、ハイブリダイザー((株)奈良機械製作所)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所)、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン(株))、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;ロールミル、ニーダー、石臼式ミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。強い衝撃で粒子が割れたり、潰れたりしやすい活物質の場合は、メディア型分散機よりは、ミキサー類やホモジナイザー類なども含めたメディアレス分散機が好ましい。
本発明の電池電極用複合材料の製造方法において、処理物を乾燥、解砕する方法としては、熱風乾燥後に得られた乾燥物を解砕する方法、もしくは真空乾燥後に得られた乾燥物を解砕する方法、もしくは凍結乾燥後に得られた乾燥物を解砕する方法、あるいはスプレードライによる乾燥方法などが挙げられる。ここで、これら種々の乾燥方法のうち、スプレードライによる乾燥方法が、乾燥物を解砕する手段が不要であり、また、二次粒子の大きさを調節することができ、造粒が容易である点で最も好ましい。また、スラリーを乾燥する前に、濾過もしくはフィルタープレス処理して溶剤分を減量しておくことが望ましい。
乾燥処理の時間は用いる装置によって任意に設定できるが、炭素材料分散体作製の際、分散助剤を添加した場合は、溶剤とともに分散助剤も除去できるよう、乾燥条件を設定するのが好ましい。これは、電池に本来不要な酸成分、塩基成分が電極用活物質やバインダー成分などへ悪影響(例えば、活物質成分の金属イオンとしての溶出や、バインダーの耐性低下など)を与えないようにするためである。
本発明の電池電極用複合材料の製造方法では、とりわけ、上記分散剤により炭素材料が均一に細かく分散されていること、また、上記分散剤が有する極性官能基(酸性官能基もしくは塩基性官能基など)により、活物質表面(とりわけ無機材料である活物質は、極性表面を有することが多い)と炭素材料との親和性が向上することが期待されることなどから、電極用活物質表面を被覆することにより、少ない炭素材料で活物質の導電性を飛躍的に改善させることができるものと思われる。
本発明において、電極用活物質表面の被覆とは、活物質粒子表面に炭素材料が均一に薄膜で付着することを言う。したがって、炭素材料の分散が不十分な場合の、活物質粒子表面に凝集した炭素材料の二次粒子が付着した部分と、付着せず表面が露わになっている部分とが存在する不均一な形態を被覆とはみなさない。活物質を炭素材料で良好に被覆することで、部分的凝集に起因する電極の抵抗分布も防ぐことができると思われる。
また、上記分散剤の極性官能基の効果により、電池電極用複合材料の電解液に対する濡れ性が向上し、複合材料表面と電解液との間でリチウムイオンの出入りが促進され、電池の内部抵抗が低減することが期待される。
さらに、炭素材料で表面を被覆された活物質の一次粒子が凝集、もしくは固結して活物質の二次粒子が形成される場合、活物質二次粒子の内部にも少ない炭素材料による有効な導電パスを形成させることができるため、活物質の導電性改良とエネルギー密度向上が期待される。
<電極用合材ペーストおよびその製造方法>
本発明の電池電極用複合材料は、正極合材または負極合材に用いることができる。正極合材または負極合材に用いる場合は、電池電極用複合材料に、バインダー成分および溶剤と、任意で導電助剤を添加して、電極合材ペーストとして使用することが好ましい。電極合材ペーストの各成分の添加順序等については、これに限定されるわけではない。
電極合材ペースト中の総固形分に占める活物質の割合は、80重量%以上、98.5重量%以下が好ましい。そして、電極合材ペースト中の総固形分に占める、バインダー成分の割合は、0.5重量%以上、10重量%以下が好ましい。また、電極合材ペーストの適正粘度は、電極合材ペーストの塗工方法によるが、一般には、100mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
本発明における正極合材ペーストでは、正極活物質が導電性を阻害することなく分散させた炭素材料で被覆されているため、正極合材層に優れた導電性および密着性を付与できる。また、導電性が向上することにより、導電助剤の添加量を減らすことができるため、正極活物質の添加量を相対的に増やすことができ、電池の重要な特性である容量を大きくすることができる。
本発明における負極合材ペーストでは、負極活物質として炭素材料系の活物質を使用した場合、導電助剤の分散のために添加される分散剤の効果により、炭素材料系活物質の凝集も緩和される。負極活物質が炭素材料系以外の場合も、負極活物質の周りに炭素材料粒子(導電助剤)を均一に配位、付着させることができ、負極合材層に優れた導電性および密着性を付与できる。
<バインダー>
電極合材ペーストの製造に使用するバインダーとしては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でも良い。特に、耐性面から分子内にフッ素原子を含む高分子化合物、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン等の使用が好ましい。
また、バインダーとしてのこれらの樹脂類の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましい。分子量が小さいとバインダーの耐性が低下することがある。分子量が大きくなるとバインダーの耐性は向上するものの、バインダー自体の粘度が高くなり作業性が低下するとともに、凝集剤として働き、合材成分が著しく凝集してしまうことがある。
<導電助剤>
本発明の電池電極用複合材料に含まれる炭素材料の量が、電極用合材ペーストの導電助剤成分の量として不十分である場合には、さらに導電助剤を添加することが好ましい。例えば、炭素材料、リチウムと合金化し難い金属、導電性高分子材料等が挙げられるが、本発明に使用される分散剤との相互作用を考慮すると、炭素材料が好ましい。炭素材料としては特に限定されず、本発明の炭素材料分散体に使用した炭素材料と同じであってもよいし、異なるものを使用してもよい。
また、本発明の炭素材料分散体を追加の導電助剤としても使用すると、電極合材層中での炭素材料が均一に分散配位するため、少量の添加で導電性を向上させる効果があり、より好適である。
<リチウムイオン二次電池>
次に、本発明の電池電極用複合材料を用いたリチウムイオン二次電池について説明する。
リチウムイオン二次電池は、集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備する。
電極について、使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属や合金が用いられるが、特に正極材料としてはアルミニウムが、負極材料としては銅の使用が好ましい。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、およびメッシュ状のものも使用できる。
集電体上に電極合材層を形成する方法としては、集電体上に上述の電極合材ペーストを直接塗布し乾燥する方法が挙げられる。電極合材層の厚みとしては、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
塗布方法については、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、静電塗装法等が挙げられる。また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。
<電解液>
本発明のリチウムイオン二次電池を構成する電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。電解質としては、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(CFSOC、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN、LiBPh等が挙げられるがこれらに限定されない。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−オクタノイックラクトン等のラクトン類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のグライム類、メチルフォルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート等のエステル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類、アセトニトリル等のニトリル類、が挙げられる。またこれらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
更に上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の電池電極用複合材料を用いたリチウムイオン二次電池の構造については特に限定されないが、通常、正極および負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型など、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。
実施例及び比較例で使用した炭素材料、分散剤、分散助剤、溶剤、バインダーを以下に示す。
<炭素材料>
・デンカブラックHS−100(電気化学工業社製):アセチレンブラック、一次粒子径48nm、比表面積39m2/g、以下HS−100と略記する。
・デンカブラック粉状品(電気化学工業社製):アセチレンブラック、一次粒子径35nm、比表面積68m/g、以下粉状品と略記する。
・トーカブラック#5500(東海カーボン社製):ファーネスブラック、一次粒子径25nm、比表面積225m/g、以下#5500と略記する。
・Super−P Li(TIMCAL社製):ファーネスブラック、一次粒子径40nm、比表面積62m2/g。
・EC−300J(アクゾ社製):ケッチェンブラック、一次粒子径40nm、比表面積800m2/g。
<分散剤>
[酸性官能基を有する誘導体(Aa)〜(As)]
・酸性官能基を有する有機色素誘導体:
Ak、Al、Am、An、Ao、Ap、Aq、Ar、As
・酸性官能基を有するトリアジン誘導体:
Aa、Ab、Ac、Ad、Ae、Af、Ag、Ah、Ai、Aj
表1〜表5に酸性官能基を有する各種誘導体(Aa)〜(As)を示す。
[塩基性官能基を有する誘導体(Ba)〜(Bo)]
・塩基性官能基を有する有機色素誘導体:
Ba、Bb、Bc、Bd、Be、Bf、Bg
・塩基性官能基を有するトリアジン誘導体:
Bh、Bi、Bj、Bk、Bl、Bm、Bn、Bo
表6〜表9に塩基性官能基を有する各種誘導体(Ba)〜(Bo)を示す。
また、以下、酸性官能基を有する有機色素誘導体、および酸性官能基を有するトリアジン誘導体は酸性官能基を有する誘導体と略記し、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および塩基性官能基を有するトリアジン誘導体は、塩基性官能基を有する誘導体と略記する。
[界面活性剤]
界面活性剤としては、ノニオン性の界面活性剤(エマルゲンA−60、ポリオキシエチレン誘導体、花王社製)または、アニオン性の界面活性剤(デモールN、β−ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のナトリウム塩、花王社製)のいずれかを使用した。
[分散樹脂]
分散樹脂としては、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:約80000、日本触媒社製)を使用した。
Figure 2010086955
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<分散助剤>
[塩基]
・トリエチルアミン:分子量101g/mol、沸点90℃、以下TEAと略記する。
・ジメチルアミノエタノール:分子量89g/mol、沸点133℃、以下DMAEと略記する。
[酸]
・酢酸:分子量60g/mol、沸点118℃。
・メタクリル酸:分子量86g/mol、沸点160℃。
<溶剤>
・N−メチル−2−ピロリドン:沸点202℃、以下NMPと略記する。
・1,2−エタンジオール:沸点198℃、以下EGと略記する。
・精製水:沸点100℃。
・アセトン:沸点57℃。
・メタノール:沸点65℃。
<バインダー>
・ポリフッ化ビニリデン:KFポリマーW1100(クレハ社製)、以下PVDFと略記する。
・スチレンブタジエンゴム:TRD2001(JSR社製)、以下SBRと略記する。
・カルボキシメチルセルロース:サンローズF300MC(日本製紙ケミカル社製)、以下CMCと略記する。
<導電助剤用カーボン分散体の調製>
[カーボン分散体1〜23、26]
表10、11に示す組成に従い、ガラス瓶に各種溶剤と、分散剤として酸性官能基を有する誘導体(表1〜5に示す分散剤Aa〜Asのいずれか)を仕込み、混合攪拌して、誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、導電助剤となる炭素材料を加え、さらにメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散した。得られた分散液を磁石つきの攪拌翼でよく攪拌した後、更に20μmのフィルターを通し、各種カーボン分散体を得た。
[カーボン分散体24、25、27〜29]
表10に示す組成に従い、ガラス瓶に各種溶剤と、分散剤として表1に示す酸性官能基を有する誘導体Aaと、各種分散助剤とを仕込み、混合攪拌して、誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、導電助剤となる炭素材料を加え、さらにメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散した。得られた分散液を磁石つきの攪拌翼でよく攪拌した後、更に20μmのフィルターを通し、各種カーボン分散体を得た。
[カーボン分散体30〜45、48、49]
表11に示す組成に従い、ガラス瓶に各種溶剤と、分散剤として塩基性官能基を有する誘導体(表6〜9に示す分散剤Ba〜Boのいずれか)と、各種分散助剤とを仕込み、混合攪拌して、誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、導電助剤となる炭素材料を加え、さらにメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散した。得られた分散液を磁石つきの攪拌翼でよく攪拌した後、更に20μmのフィルターを通し、各種カーボン分散体を得た。
[カーボン分散体46、47、50]
表11に示す組成に従い、ガラス瓶に各種溶剤と、分散剤として表6に示す塩基性官能基を有する誘導体Baとを仕込み、混合攪拌して、誘導体を完全ないしは一部溶解させた。次に、導電助剤となる炭素材料を加え、さらにメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散した。得られた分散液を磁石つきの攪拌翼でよく攪拌した後、更に20μmのフィルターを通し、各種カーボン分散体を得た。
[カーボン分散体51〜53]
表11に示す組成に従い、ガラス瓶に各種溶剤と、導電助剤となる炭素材料を仕込み、さらにメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散した。得られた分散液を磁石つきの攪拌翼でよく攪拌した後、更に20μmのフィルターを通し、各種カーボン分散体を得た。
[カーボン分散体54〜56]
表11に示す組成に従い、ガラス瓶に各種溶剤と、分散剤として界面活性剤、または分散樹脂を仕込み、混合攪拌して、分散剤を完全ないしは一部溶解させた。次に、導電助剤となる炭素材料を加え、さらにメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカーで分散した。得られた分散液を磁石つきの攪拌翼でよく攪拌した後、更に20μmのフィルターを通し、各種カーボン分散体を得た。
カーボン分散体の粒度分布測定には、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)を用い、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)を求めた。
カーボン分散体1〜6、20〜27、30、31、49〜52について、分散処理後のカーボンの濡れ性評価を行った。各カーボン分散体の溶剤をエバポレーターにて減圧留去した後、得られた残渣を80℃で10時間減圧乾燥した。続いて乾燥物をメノウ製の乳鉢で粉砕した後、更に80℃で12時間減圧乾燥した。得られた乾燥物を再度メノウ製乳鉢で粉砕した後、錠剤成型器(Specac社製)にて500kgf/cmで荷重をかけ、カーボンのペレットを作製(直径10mm、厚0.5mm)した。このペレットにマイクロシリンジにて、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1混合した液滴を落とし、液滴がペレットに浸透する時間を測定した。この測定を各サンプルとも5回行い、それらの平均浸透時間が1秒未満であったものを「◎」、1秒以上5秒未満であったものを「○」、5秒以上10秒未満であったものを「△」、10秒以上であったものを「×」とした。
Figure 2010086955

Figure 2010086955
分散剤Aa〜As、分散剤Ba〜Boを使用した炭素材料分散体(分散体1〜50、57)は、分散剤を使用しない場合(分散体51〜53)や、一般的な界面活性剤を使用した場合(分散体54、55)に比べて、分散性が良好で、粘度が低く、分散粒度も小さいことがわかる。更に分散体1〜50、57は、経時分散安定性(50℃x3日)も良好で、増粘や凝集の発生は見られなかった。また、本発明の分散剤を使用した分散体では、分散剤未使用の場合に比して、カーボンの電解液に対する濡れ性が向上した。とりわけ、分散剤の官能基が酸性かつアンモニウム塩タイプのものを使用した場合に、濡れ性を向上させる効果が大きかった。
<電池電極用複合材料の調製>
[複合材料A1〜A42]
表12、13に示す組成に従い、NMP48部にカーボン分散体1〜25、30〜46のいずれか2部を添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体に、正極活物質としてスピネルマンガン酸リチウムLiMn(セルシードS−LM、1次粒子径0.6μm、比表面積1.8m/g、日本化学工業社製)50部を添加し、湿式ジェットミル(ジーナスPY、ジーナス社製)を用いて圧力100MPaで3パスの混合処理を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料A1〜A42を得た。LiMnと、分散剤の吸着した炭素材料との質量比は100:0.4であった。
[複合材料B1、B2]
表13に示す組成に従い、NMP99部にカーボン分散体5、または30を1部添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO(HLC−17、一次粒子径9.3μm、比表面積0.54m/g、本荘ケミカル社製)100部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料B1、B2を得た。LiCoOと、分散剤の吸着した炭素材料との質量比は100:0.1であった。
[複合材料C1〜C8]
表13に示す組成に従い、各種溶剤45部にカーボン分散体26〜29、47〜50のいずれか5部を添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、正極活物質としてリン酸鉄リチウムLiFePO4(一次粒子径3.6μm、比表面積15m2/g、Tianjin Stl Energy Technology社製)50部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料C1〜C8を得た。LiFePO4と、分散剤の吸着した炭素材料との質量比は100:1であった。
[複合材料D1、D2]
まず、水酸化リチウム(LiOH・H2O)1.962モルを451gの水に投入し、撹拌溶解した。溶解液に純度98%のアナターゼ型酸化チタンをTiO2として2.453モル投入し撹拌した。この際のLiとTiの原子比が4:5である。混合スラリーの容積は0.502Lであり、乾燥前のLi原及びTi原のスラリー濃度はそれぞれ3.91モル/L及び4.89モル/Lである。混合物を110℃で噴霧乾燥した後、乾燥物を酸素ガス気流中、780℃で10時間熱処理し、チタン酸リチウムを作製した。
次に、表13に示す組成に従い、NMP45部にカーボン分散体5、または30を5部添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、負極活物質として上記のチタン酸リチウムLi4Ti512(一次粒子径0.3μm、比表面積15m2/g)50部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料D1、D2を得た。Li4Ti512と、分散剤の吸着した炭素材料との質量比は100:1であった。
[複合材料E1、E2]
表13に示す組成に従い、精製水99部にカーボン分散体27、または48を1部添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、負極活物質としてメソフェーズカーボンMFC(MCMB6−28、一次粒子径6μm、比表面積4m2/g、大阪ガスケミカル社製)100部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料E1、E2を得た。MFCと、分散剤の吸着した炭素材料との質量比は100:1であった。
[複合材料a1〜a5]
表14に示す組成に従い、NMPを48部にカーボン分散体51、または52を2部添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体に、正極活物質としてスピネルマンガン酸リチウムLiMn(セルシードS−LM、1次粒子径0.6μm、比表面積1.8m/g、日本化学工業社製)50部を添加し、湿式ジェットミル(ジーナスPY、ジーナス社製)を用いて圧力100MPaで3パスの混合処理を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料a1、a2を得た。LiMnと炭素材料との質量比は100:0.4であった。
また、表14に示す組成に従い、NMPを45部にカーボン分散体54〜56のいずれか2部を添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体に、正極活物質としてスピネルマンガン酸リチウムLiMn(セルシードS−LM、1次粒子径0.6μm、比表面積1.8m/g、日本化学工業社製)50部を添加し、湿式ジェットミル(ジーナスPY、ジーナス社製)を用いて圧力100MPaで3パスの混合処理を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料a3〜a5を得た。LiMnと、分散剤の吸着した炭素材料との質量比は100:0.4であった。
[複合材料b1〜b4]
表14に示す組成に従い、NMP99部にカーボン分散体52を1部添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO(HLC−17、一次粒子径9.3μm、比表面積0.54m/g、本荘ケミカル社製)100部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料b1を得た。LiCoOと炭素材料との質量比は100:0.1であった。
また、表14に示す組成に従い、NMP99部にカーボン分散体54〜56のいずれか1部を添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、正極活物質としてコバルト酸リチウムLiCoO(HLC−17、一次粒子径9.3μm、比表面積0.54m/g、本荘ケミカル社製)100部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料b2〜b4を得た。LiCoOと、分散剤の吸着した炭素材料との質量比は100:0.1であった。
[複合材料c1]
表14に示す組成に従い、精製水を45部にカーボン分散体53を5部添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、正極活物質としてリン酸鉄リチウムLiFePO4(一次粒子径3.6μm、比表面積15m2/g、Tianjin Stl Energy Technology社製)50部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料c1を得た。LiFePO4と炭素材料との質量比は100:1であった。
[複合材料d1〜d4]
まず、水酸化リチウム(LiOH・H2O)1.962モルを451gの水に投入し、撹拌溶解した。溶解液に純度98%のアナターゼ型酸化チタンをTiO2として2.453モル投入し撹拌した。この際のLiとTiの原子比が4:5である。混合スラリーの容積は0.502Lであり、乾燥前のLi原及びTi原のスラリー濃度はそれぞれ3.91モル/L及び4.89モル/Lである。混合物を110℃で噴霧乾燥した後、乾燥物を酸素ガス気流中、780℃で10時間熱処理し、チタン酸リチウムを作製した。
次に、表14に示す組成に従い、NMP45部にカーボン分散体52を5部添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、負極活物質として上記のチタン酸リチウムLi4Ti512(一次粒子径0.3μm、比表面積15m2/g)50部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料d1を得た。Li4Ti512と炭素材料との質量比は100:1であった。
また、表14に示す組成に従い、NMP45部にカーボン分散体54〜56のいずれか5部を添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、負極活物質として上記のチタン酸リチウムLi4Ti512(一次粒子径0.3μm、比表面積15m2/g)50部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料d2〜d4を得た。Li4Ti512と、分散剤の吸着した炭素材料との質量比は100:1であった。
[複合材料e1]
表14に示す組成に従い、精製水99部にカーボン分散体53を1部添加して、希釈した炭素材料分散体を得た。該分散体をホモジナイザーにより攪拌しつつ、負極活物質としてメソフェーズカーボンMFC(MCMB6−28、一次粒子径6μm、比表面積4m2/g、大阪ガスケミカル社製)100部を添加し、混合を行い、複合材料スラリーを得た。該スラリーを、スプレードライヤー(SD−100、東京理化学機械社製)を用いて乾燥、解砕、分級し、複合材料e1を得た。MFCと炭素材料との質量比は100:0.1であった。
Figure 2010086955
Figure 2010086955
Figure 2010086955

<リチウムイオン二次電池用正極合材ペーストの調製>
[実施例1〜44、比較例1〜5、9〜12]
バインダーとしてPVDF5部をNMP40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。各種活物質複合材料を92部、HS−100を3部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、N−メチル−2−ピロリドン5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、正極合材ペーストを調整した。各実施例および比較例で使用した活物質複合材料は表15、16に示す。
[比較例6]
バインダーとしてPVDF5部をNMP40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。活物質複合材料a2を90部、HS−100を5部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、N−メチル−2−ピロリドン5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、正極合材ペーストを調整した。
[比較例7]
バインダーとしてPVDF5部をNMP40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。正極活物質としてスピネルマンガン酸リチウムLiMn(セルシードS−LM、1次粒子径0.6μm、比表面積1.8m/g、日本化学工業社製)を92部、HS−100を3部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、N−メチル−2−ピロリドン5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、正極合材ペーストを調整した。
[比較例8]
バインダーとしてPVDF5部をNMP40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。正極活物質としてスピネルマンガン酸リチウムLiMn(セルシードS−LM、1次粒子径0.6μm、比表面積1.8m/g、日本化学工業社製)を90部、HS−100を5部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、N−メチル−2−ピロリドン5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、正極合材ペーストを調整した。
[実施例45〜52、比較例13]
バインダーとしてCMC1部およびSBR4部を精製水40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。各種活物質複合材料を93部、HS−100を2部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、精製水5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、正極合材ペーストを調整した。各実施例および比較例で使用した活物質複合材料は表17に示す。
[比較例14]
バインダーとしてCMC1部およびSBR4部を精製水40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。正極活物質としてリン酸鉄リチウムLiFePO4(一次粒子径3.6μm、比表面積15m2/g、Tianjin Stl Energy Technology社製)を92部、HS−100を3部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、精製水5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、正極合材ペーストを調整した。
[比較例15]
バインダーとしてCMC1部およびSBR4部を精製水40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。正極活物質としてリン酸鉄リチウムLiFePO4(一次粒子径3.6μm、比表面積15m2/g、Tianjin Stl Energy Technology社製)を90部、HS−100を5部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、精製水5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、正極合材ペーストを調整した。
<リチウムイオン二次電池用負極合材ペーストの調製>
[実施例53、54、比較例16〜19]
バインダーとしてPVDF5部をNMP40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。各種活物質複合材料を93部、HS−100を2部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、N−メチル−2−ピロリドン5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、負極合材ペーストを調整した。各実施例および比較例で使用した活物質複合材料は表17に示す。
[比較例20]
バインダーとしてPVDF5部をNMP40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。負極活物質として、複合材料C1調整のために作製したのと同様の方法で作製したチタン酸リチウムを92部、HS−100を3部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、N−メチル−2−ピロリドン5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、負極合材ペーストを調整した。
[実施例55、56、比較例21]
バインダーとしてCMC1部およびSBR4部を精製水40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。各種活物質複合材料を92部、HS−100を3部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、精製水5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、負極合材ペーストを調整した。各実施例および比較例で使用した活物質複合材料は表17に示す。
[比較例22]
バインダーとしてCMC1部およびSBR4部を精製水40部に溶解し、バインダー溶液45部を作製した。負極活物質としてメソフェーズカーボンMFC(MCMB6−28、一次粒子径6μm、比表面積4m2/g、大阪ガスケミカル社製)を92部、HS−100を3部、およびバインダー溶液を45部プラネタリーミキサーに投入し、1時間混合処理を行った。さらに、精製水5部を加えて希釈した後、引き続きプラネタリーミキサーにて30分間混合処理を行い、電極合材ペーストを調整した。
Figure 2010086955
Figure 2010086955
Figure 2010086955
<リチウムイオン二次電池用正極の作製>
[実施例1〜52、比較例1〜15]
先に調製した各種正極合材ペーストを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥した後、ローラープレス機にて圧延処理し、厚さ60μmの正極合材層を作製した。
<リチウムイオン二次電池用負極の作製>
[実施例53〜56、比較例16〜22]
先に調製した各種負極合材ペーストを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧下120℃で加熱乾燥した後、ローラープレス機にて圧延処理し、厚さ60μmの負極合材層を作製した。
<リチウムイオン二次電池正極評価用セルの組み立て>
[実施例1〜52、比較例1〜15]
先に作製した正極を、直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製 #2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1に混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝仙社製 HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグローブボックス内で行い、セル組み立て後、所定の電池特性評価を行った。
<リチウムイオン二次電池負極評価用セルの組み立て>
[実施例53〜56、比較例16〜22]
先に作製した負極を、直径9mmに打ち抜き作用極とし、金属リチウム箔(厚さ0.15mm)を対極として、作用極および対極の間に多孔質ポリプロピレンフィルムからなるセパレーター(セルガード社製 #2400)を挿入積層し、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1に混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を満たして二極密閉式金属セル(宝仙社製 HSフラットセル)を組み立てた。セルの組み立てはアルゴンガス置換したグローブボックス内で行い、セル組み立て後、所定の電池特性評価を行った。
<リチウムイオン二次電池正極特性評価>
[実施例1〜52、比較例1〜15]
作製した電池評価用セルを室温(25℃)で、充電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧4.2V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計20サイクル行い、充放電サイクル特性評価(評価装置:北斗電工社製SM−8)を行った。また、評価後のセルを分解し、電極塗膜の外観を目視にて確認し、部分的に合材が集電体より剥がれているのが確認された場合に×とした。評価結果を表18〜20に示した。
Figure 2010086955
Figure 2010086955
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表18〜表20より、本発明における複合材料を使用した実施例1〜42は、分散剤を使用せず複合材料を作製した比較例1および2、界面活性剤を使用した比較例3および4、分散樹脂を使用した比較例5、複合材料を使用せず合材ペーストを作製した比較例7に比して、いずれも電池容量、20サイクル容量維持率において良好な結果が得られた。分散樹脂を使用した比較例5以外の比較例では、評価後、集電体から合材が剥落していた。また、導電助剤の量を増やした比較例7、および9はサイクル特性は若干改善するものの、電池容量が小さくなってしまうのに対し、実施例1〜42は電池容量を損なうことなくサイクル特性を改善しており、本発明の複合材料使用による導電助剤量低減の効果が表れたと言える。
同様に、表20より、実施例43、44は比較例9〜12に比していずれも電池容量、20サイクル容量維持率において良好な結果が得られ、本発明の複合材料は、各種正極活物質に適用可能であることが示された。
表20より、水系で合材ペースト化した実施例45〜52は、酸性官能基を有する誘導体および塩基性官能基を有する誘導体を使用していない比較例13〜15に比していずれも電池容量、20サイクル容量維持率において良好な結果が得られた。活物質との反応性に注意すれば、複合材料作製の際に各種溶剤を使用できることが確かめられた。また、正極活物質、溶剤、バインダーに任意の組み合わせを使用できることが確認された。
また、分散剤として酸性官能基を有する誘導体Aaを使用した実施例5と、分散剤を使用しなかった比較例2について、先に作製した正極の、電池評価に使用しなかった部分を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3400S)により表面観察を行ったところ、実施例5は活物質粒子を炭素材料が良好に被覆しているのに対し、比較例2は炭素材料の凝集が顕著で、活物質表面が露わになっている部分も多く観察された。
<リチウムイオン二次電池負極特性評価>
[実施例53〜56、比較例16〜22]
作製した電池評価用セルを室温(25℃)、充電レート0.2C、1.0Cの定電流定電圧充電(上限電圧0.5V)で満充電とし、充電時と同じレートの定電流で電圧が1.5Vになるまで放電を行う充放電を1サイクル(充放電間隔休止時間30分)とし、このサイクルを合計20サイクル行い、充放電サイクル特性評価(評価装置:北斗電工製SM−8)を行った。また、評価後のセルを分解し、電極塗膜不良の有無を目視にて確認し、部分的に合材が集電体より剥がれているのが確認された場合に×とした。評価結果を表21に示した。
Figure 2010086955

表21より、実施例53、54は、酸性官能基を有する誘導体および塩基性官能基を有する誘導体を使用していない比較例16〜20に比して、いずれも電池容量、20サイクル容量維持率において良好な結果が得られた。したがって、本発明の複合材料は負極にも適用できることが確認された。
同様に、実施例55、56は比較例21、22に比して、いずれも電池容量、20サイクル容量維持率において良好な結果が得られた。負極活物質、溶剤、バインダーに任意の組み合わせを使用できることが示された。
また、分散剤として酸性官能基を有する誘導体Aaを使用した実施例55と、分散剤を使用しなかった比較例21について、先に作製した負極の、電池評価に使用しなかった部分を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3400S)により表面観察を行ったところ、正極の場合と同様に、実施例55は活物質粒子を炭素材料が良好に被覆しているのに対し、比較例21は被覆が十分でない状態であった。

Claims (12)

  1. 少なくとも一種の炭素材料と、前記炭素材料の分散剤としての、酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するトリアジン誘導体、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、および、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる一種以上の誘導体とによって、電極用活物質表面を被覆することを特徴とする電池電極用複合材料の製造方法。
  2. 少なくとも一種の炭素材料を分散剤を用いて溶剤中に分散させた分散体と、電極用活物質とを混合した後、溶剤を除去することを特徴とする請求項1記載の電池電極用複合材料の製造方法。
  3. 分散体が、酸性官能基を有する誘導体と、分散助剤としての分子量500以下の塩基とを含むことを特徴とする請求項2記載の電池電極用複合材料の製造方法。
  4. 分散体が、塩基性官能基を有する誘導体と、分散助剤としての分子量300以下の酸を含むことを特徴とする請求項2記載の電池電極用複合材料の製造方法。
  5. 溶剤と一緒に分散助剤を除去することを特徴とする請求項3または4記載の電池電極用複合材料の製造方法。
  6. 分散体中の炭素材料の分散粒径(D50)が、2μm以下であることを特徴とする、請求項2〜5いずれか記載の電池電極用複合材料の製造方法。
  7. 請求項1〜5いずれかに記載の製造方法で製造されてなる電池電極用複合材料。
  8. 炭素材料の一次粒子径が、10〜100nmであることを特徴とする、請求項7記載の電池電極用複合材料。
  9. 請求項7または8記載の電池電極用複合材料と、溶剤と、バインダー成分とを含んでなる電極用合材ペースト。
  10. 更に導電助剤成分を含んでなる、請求項9記載の電極用合材ペースト。
  11. 集電体上に、請求項7または8記載の電池電極用複合材料、または、請求項9または10記載の電極用合材ペーストを使用して電極合材層が形成されてなることを特徴とする電池用電極。
  12. 集電体上に正極合材層を有する正極と、集電体上に負極合材層を有する負極と、リチウムを含む電解質とを具備するリチウムイオン二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方が、請求項11記載の電池用電極であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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