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JP2010083979A - 重合体環化物およびその水素添加物 - Google Patents

重合体環化物およびその水素添加物 Download PDF

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Akihiro Takayama
昭弘 高山
Kiyokazu Hashimoto
清和 橋本
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract


【課題】
高耐熱性、高透明性、低線膨張係数、および低吸水率といった特徴を有する光学材料を提供することである。
【解決手段】
スチレン誘導体由来の構造単位と共役ジエン誘導体由来の構造単位を含有し、スチレン誘導体由来の構造単位と共役ジエン誘導体由来の構造単位のモル含有量比(スチレン誘導体由来の構造単位/共役ジエン誘導体由来の構造単位)が50/50〜95/5であるランダム共重合体を環化して得られる重合体環化物であって、環化率が95%以上、かつガラス転移温度が100℃〜170℃であることを特徴とする重合体環化物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性、透明性、線膨張係数等に優れる新規な重合体環化物、その水素添加物、およびそれらを含有する樹脂組成物に関する。
近年、光学用樹脂への要求はますます高度になり、透明性のみならず、高温や高湿環境下での高い光学安定性が求められている。しかし、従来の光学用樹脂においてはこれらの要求性能が高い次元でバランスよく備わっておらず、光学用樹脂として問題がある場合があった。
例えば、透明性の高い光学用樹脂としては、従来ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等が使用されてきた。
ポリメタクリル酸メチルは透明性が高く、複屈折率が小さい等、光学的な性質は優れているが、耐熱性も低く高温環境下では成型体の寸法が変化し易く、また極性基を含有するため吸水性が大きく高湿環境下では屈折率が変化し易く、例えばレンズなど使用した場合に焦点距離などの光学性能が変動するなどの光学安定性の問題を有している。
一方、ポリカーボネートはガラス転移温度(Tg)が高く耐熱性は優れているが、極性基を含有するため吸水性がやや大きく、高湿環境下では屈折率が変化し易いといった欠点を有している。
上記の吸水性の問題を改善した光学用樹脂としては、共役ジエン系重合体環化物およびその水素添加物が知られている(特許文献1)。しかし、これらの共役ジエン系重合体環化物およびその水素添加物は透明性に優れ、吸水性が低いものの、Tgが低く耐熱性が充分とはいえず、また、線膨張係数が高いために、高温環境下では成型体の寸法の変化が大きいため、レンズなど使用した場合に焦点距離などの光学性能が変動するなど、光学安定性の面では欠点を有している。
また、上記耐熱性を改善した樹脂としては、スチレン誘導体単位および共役ジエン誘導体単位を含有する共重合体のハロゲン化物および/または水酸基化物を環化することにより耐熱性及び接着性を向上させる方法が報告されている(特許文献2)。しかし、しかし、この方法では環化率が76〜80%と低く耐熱性に劣る。また、反応工程が長くなること及びハロゲン化による環境負荷増大が問題であり、さらにはハロゲンが遊離することによって変色しやすい。さらに水酸基が導入されることによって吸水性が高くなる欠点も有する。
特開昭64−1705号公報 特開2007−269961号公報
従って本発明の目的は、高い透明性と高い光学安定性を有する光学用樹脂を提供することにあり、すなわち高耐熱性、高透明性、低線膨張係数、および低吸水率といった特徴を有する重合体環化物及びその水素添加物、並びにそれらを用いた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、スチレン誘導体由来の構造単位および共役ジエン誘導体由来の構造単位を含有する特定組成のランダム共重合体を高い環化率まで環化して得られた重合体環化物及びその水素添加物が、高耐熱性、高透明性、低線膨張係数および低吸水率といった特徴を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、スチレン誘導体由来の構造単位と共役ジエン誘導体由来の構造単位を含有し、スチレン誘導体由来の構造単位と共役ジエン誘導体由来の構造単位のモル含有量比(スチレン誘導体単位/共役ジエン誘導体単位)が50/50〜95/5であるランダム共重合体を環化して得られる重合体環化物であって、環化率が95%以上、かつガラス転移温度が100℃〜170℃であることを特徴とする重合体環化物を提供する。
また本発明は、前記の重合体環化物を水素添加して成る、ガラス転移温度が130℃〜200℃で、かつ線膨張係数が50×10−5〜65×10−5/℃であることを特徴とする重合体環化物の水素添加物を提供する。
さらに本発明は、前記の重合体環化物又は重合体環化物の水素添加物を含有する樹脂組成物を提供する。
本発明の重合体環化物およびその水素添加物は、近年の光学分野で要求される、高透明性、高耐熱性、低給水率、低線膨張係数といった性能が向上された樹脂材料である。そして、これらを成形することによって光学安定性に優れたレンズなどといった成形体が提供される。
本発明は、スチレン誘導体由来の構造単位と共役ジエン誘導体由来の構造単位を含有し、スチレン誘導体由来の構造単位と共役ジエン誘導体由来の構造単位のモル含有量比(ススチレン誘導体由来の構造単位/共役ジエン誘導体由来の構造単位)が50/50〜95/5であるランダム共重合体を環化して得られる重合体環化物であって、環化率が95%以上、かつガラス転移温度が100℃〜170℃であることを特徴とする重合体環化物からなる。
1) ランダム共重合体
本発明で用いるランダム共重合体は、スチレン誘導体および共役ジエン誘導体とを通常付加重合することによって得られ、スチレン誘導体由来の構造単位および共役ジエン誘導体由来の構造単位を含有する。
(スチレン誘導体)
本発明に用いるスチレン誘導体は、好ましくは一般式[I]で示される化合物である。
Figure 2010083979
一般式[I]
一般式[I]中、Rは水素原子またはメチル基を示し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはビニル基を示し、R、R、RおよびRのうち隣接する2つの基が互いに結合してベンゼン環を形成していてもよい。
本発明に用いるスチレン誘導体としては、具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物を挙げることができ、安価で、入手が容易という点でスチレン、α−メチルスチレンまたは4−メチルスチレンが好ましい。また上記のスチレン誘導体は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(共役ジエン誘導体)
本発明に用いる共役ジエン誘導体は、好ましくは一般式[II]で示される化合物である。
Figure 2010083979
一般式[II]
一般式[II]中、X、X、XおよびXはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはフェニル基を示す。
本発明に用いる共役ジエン誘導体としては、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の共役ジエン化合物を挙げることができる。側鎖に長鎖アルキルがあるとTgが低下してしまうため、及び、置換基が大きいと環化反応性が低下するため、1,3−ブタジエンまたはイソプレンが好ましい。また上記の共役ジエン誘導体は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明に用いるランダム共重合体は、上記のスチレン誘導体および共役ジエン誘導体を任意に組合せて重合した共重合体であってよい。ランダム共重合体の具体例としてはスチレン−イソプレン共重合体、スチレン−1,3−ブタジエン共重合体、α−メチルスチレン−イソプレン共重合体、α−メチルスチレン−1,3−ブタジエン共重合体、3−(または4−)メチルスチレン−イソプレン共重合体、3−(または4−)メチルスチレン−1,3−ブタジエン共重合体、4−エチルスチレン−イソプレン共重合体、4−エチルスチレン−1,3−ブタジエン共重合体、4−t−ブチルスチレン−イソプレン共重合体、4−t−ブチルスチレン−1,3−ブタジエン共重合体、1−ビニルナフタレン−イソプレン共重合体、1−ビニルナフタレン−1,3−ブタジエン共重合体、ジビニルベンゼン−イソプレン共重合体、ジビニルベンゼン−1,3−ブタジエン共重合体、スチレン−1,3−ペンタジエン共重合体、α−メチルスチレン−1,3−ペンタジエン共重合体、スチレン−2,3−ジメチルブタジエン共重合体、α−メチルスチレン−2,3−ジメチルブタジエン共重合体、スチレン−2−フェニル−1,3−ブタジエン共重合体、α−メチルスチレン−2−フェニル−1,3−ブタジエン共重合体、スチレン−1,3−シクロヘキサジエン共重合体、α−メチルスチレン−シクロヘキサジエン共重合体等が挙げられる。
(その他のモノマー)
本発明で用いるランダム共重合体は、スチレン誘導体および共役ジエン誘導体と共重合可能な他のモノマー由来の構造単位を含有していてもよい。共重合可能なモノマーはビニルモノマーであれば特に制限はなく、具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニルモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、ノルボルネン等のオレフィン類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイミドなど;極性基を有するスチレン誘導体等が挙げられる。また、これらのモノマーは単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記共重合可能なモノマーをスチレン誘導体および共役ジエン誘導体と共重合する場合、その共重合量はポリマー中の全モノマー単位あたり20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下が最も好ましい。共重合量が多すぎると、吸水率が高くなる恐れがある。
(付加重合)
本発明で用いるランダム共重合体は、前記のスチレン誘導体モノマーおよび炭素と水素とのみからなる共役ジエン誘導体モノマーからなるモノマー混合物を、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法等の公知の方法により重合することにより得ることができる。工業的に容易に実施できるという観点から、特にラジカル重合法またはアニオン重合法が好ましい。
スチレン誘導体、および共役ジエン誘導体からなるモノマー混合物の組成は、モル含有量比(スチレン誘導体単位/共役ジエン誘導体単位)で通常50/50〜95/5、好ましくは50/50〜70/30、より好ましくは50/50〜60/40である。
ラジカル重合の場合は、ラジカル重合開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜150℃で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法を用いることができるが、特に樹脂中への不純物等の混入等を防止する必要のある場合は、塊状重合、懸濁重合が望ましい。ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノペンタン酸、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムに代表される水溶性触媒やレドックス開始剤などが使用可能である。
アニオン重合の場合には、アニオン重合開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において、塊状重合、溶液重合、スラリー重合等の方法を用いることができるが、反応熱の除去を考慮すると、溶液重合が好ましい。この場合、重合体及びその水素化物を溶解できる不活性溶媒を用いることが好ましい。溶液反応で用いる不活性溶媒は、例えばn−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素類や脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができる。これらの不活性溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用でき、通常、全使用モノマー100重量部に対して200〜10,000重量部となるような割合で用いられる。
上記アニオン重合開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
重合反応においては、ランダマイザー(或る1成分の連鎖が長くなるのを防止する機能を有する添加剤)を使用することが好ましい。アニオン重合の場合には、例えばルイス塩基化合物をランダマイザーとして使用できる。ルイス塩基化合物の具体例としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用できる。
本発明で用いるランダム共重合体を重合する形態は、格別制限はないが、一括重合法(バッチ法)、モノマー連続添加法(モノマーを連続添加して重合を進めていく方法)等が挙げられ、特にモノマー連続添加法を用いるとよりランダムな連鎖構造を有し好ましい。
共役ジエン誘導体由来の構造単位のオレフィン性二重結合同士の反応性よりも、共役ジエン誘導体由来の構造単位のオレフィン性二重結合とスチレン誘導体由来の構造単位の芳香環との反応性が高いため、ランダム共重合体のランダム性が高いほど、環化反応の反応率が高くなり好ましい。
また、前記モノマー連続添加法によれば、均一に混合された混合モノマーが重合系内に逐次的に添加されるため、バッチ法とは異なり、ポリマーの重合による成長過程においてモノマーの重合選択性をより下げることができるので、得られる共重合体がよりランダムな連鎖構造になる。また、重合系内での重合反応熱の蓄積が小さくてすむので重合温度を低く安定に保つことがでる。
モノマー連続添加法におけるモノマーの添加時間は、好ましくは2〜5時間、より好ましくは3〜5時間である。
モノマー添加時間が短すぎると、重合体のランダム性が低下し、環化率が低下する恐れがある。またモノマー添加時間が長すぎると、触媒が失活し、分子量分布が増大する恐れがある。
ランダム共重合体のおけるスチレン誘導体由来の構造単位、および共役ジエン誘導体由来の構造単位のモル含有量比(スチレン誘導体由来の構造単位/共役ジエン誘導体由来の構造単位)は50/50〜95/5、好ましくは50/50〜70/30、より好ましくは50/50〜60/40である。
共役ジエン誘導体由来の構造単位が多いと、環化後の重合体環化物のガラス転移温度(Tg)が低くなり、線膨張係数も高くなる。
また、共役ジエン誘導体由来の構成単位が少ないと、環化反応が進行しにくくなって、環化後の重合体環化物のTgが低下し、線膨張係数も高くなる。
本発明で用いるランダム共重合体の重合平均分子量(Mw)は、好ましくは10000〜1000000の範囲、より好ましくは50000〜500000、最も好ましくは50000〜250000である。Mwが低いと強度が低下してしまい、高いと粘度が高くなり、環化反応及び/または水素添加反応が進行し難くなる恐れがある。
本発明で用いるランダム共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0、最も好ましくは1.0〜1.5である。Mw/Mnが大きくなると、強度が低下する恐れがある。
本発明で用いるランダム共重合体の共役ジエン誘導体由来の構造は、トランス−1,4−構造単位、シス−1,4−構造単位、1,2−構造単位および3,4−構造単位のいずれの構造単位により構成されていてもよく、またこれらの構造単位が単独で構成されていても、2種以上組合されて構成されていてもよい。
2) 重合体環化物
本発明の重合体環化物は、前記のランダム共重合体を環化することによって得られる。
(環化反応)
環化反応は、共役ジエン誘導体由来の構造単位のオレフィン性二重結合同士の反応、共役ジエン誘導体由来の構造単位のオレフィン性二重結合とスチレン誘導体由来の構造単位の芳香環との反応を示す。
(環化反応溶剤)
環化反応は、例えば不活性有機溶媒中または共重合体の溶融状態において、環化触媒を添加または接触させることにより行う。不活性有機溶媒は、共重合体が溶解し、かつ環化触媒に不活性な有機溶媒であれば特に制限なく使用することができる。反応性を考慮すると、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等が好ましい。これらの溶媒は単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
環化反応において不活性有機溶媒を使用する場合、不活性有機溶媒の使用量は特に限定されないが、ランダム共重合体100重量部に対して通常100〜10000重量部、好ましくは150〜5000重量部、より好ましくは200〜3000重量部である。不活性溶媒量が少ないと環化触媒の均一な混合が困難になるため、反応が不均一となり、均一な樹脂が得られなかったり、反応の制御が困難になる恐れがあり、不活性溶媒量が多いと生産性が低下してしまう恐れがある。
(環化触媒)
環化触媒として酸性化合物を用いることができる。酸性化合物は特に限定されず、例えばルイス酸またはブレンステッド酸が挙げられる。具体的にはBF、BFOEt、BBr、BBrOEt、AlCl、AlBr、AlI、TiCl、TiBr、TiI、FeCl、FeCl、SnCl、SnCl、WCl、MoCl、SbCl、TeCl等の周期律表IIIA族からVIII族までの金属ハロゲン化合物;HF、HCl、HBr等の水素酸;HSO、HBO、HClO、CHCOOH、CHClCOOH、CHClCOOH、CClCOOH、CFCOOH、パラトルエンスルホン酸、CFSOH、HPO、P等のオキソ酸、およびこれらの基を有するイオン交換樹脂等の高分子化合物;燐モリブデン酸、燐タングステン酸等のヘテロポリ酸;SiO、Al、SiO−Al、MgO−SiO、B−Al、WO−Al、Zr−SiO、硫酸化ジルコニア、タングステン酸ジルコニア、H+または希土類元素と交換したゼオライト、活性白土、酸性白土、γ−Al、Pをケイソウ土と担持させた固体燐酸等の固体酸等が挙げられる。これらの酸性化合物は単独で用いても組み合わせて用いても良く、さらに酸性化合物の活性を向上させることができる他の化合物等を添加しても良い。
酸性化合物の活性を向上させる化合物の例としては、MeLi、EtLi、BuLi、EtMg、EtMgBr、EtAl、EtAlCl、EtAlCl、EtAlCl、(i−Bu)Al、EtAl(OEt)、MeSn、EtSn、BuSn、BuSnCl等の金属アルキル化合物;2−メトキシ−2−フェニルプロパン、t−ブタノール、1,4−ビス(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、2−フェニル−2−プロパノール等が例示される。
環化触媒の使用量は、環化触媒の種類により触媒能が異なるため、一概に使用量を規定することは難しいが、均一系触媒の場合、その使用量は、ランダム共重合体100重量部に対し、0.001〜1000重量部が好ましく、0.01〜100重量部がより好ましく、0.01〜10重量部が最も好ましい。環化触媒に固体酸やイオン交換樹脂等の不均一触媒を使用する場合、その使用量はランダム共重合体100重量部に対し、0.1〜10000重量部が好ましく、1〜1000重量部がより好ましい。触媒量が少ないと環化反応の進行が遅く、多いと副反応が生起しやすく、また、触媒の除去も困難になる傾向にある。
(環化反応温度)
本発明において、不活性有機溶媒中で環化反応を行う場合、反応温度は通常−40℃〜200℃が好ましく、0℃〜150℃がより好ましく、20℃〜130℃が最も好ましい反応温度が低すぎると反応の進行が遅く、高すぎると反応の制御が困難であり、再現性が得られにくいだけでなく、副反応進行の抑制が困難になる。
(環化反応圧力)
環化反応を行う際の反応圧力は特に限定されないが、0.5〜50気圧が好ましく、0.7〜10気圧がより好ましい。通常1気圧前後で環化反応を行う。
(環化反応時間)
環化反応を行う反応時間は、特に限定されず、用いる樹脂、その量、環化触媒の種類や量、反応温度、反応圧力等の条件に応じて、環化反応後に所望する性能の樹脂が得られるように、反応時間を適宜決めればよい。通常は0.01時間〜24時間、好ましくは0.2時間〜10時間である。
(反応処理)
環化終了後、環化触媒の不活性剤と吸着剤を加えた後に、反応溶液から環化触媒等を濾別し、濾別後の反応溶液から溶媒等の揮発成分を除去することにより、目的とする本発明の重合体環化物を得ることができる。用いる不活性剤としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。また、用いる吸着剤としては、活性白土、酸性白土、活性炭、タルク、アルミナ等が挙げられる。
溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させる方法である。用いる貧溶媒としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
凝固して得られた粒子状の成分は、たとえば真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
(環化率)
本発明の重合体環化物の環化率は95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上。環化率が低いと得られる重合体環化物の耐熱性が低下する
本発明において環化率とは、ランダム共重合体のH−NMRスペクトルの積分値から求めたオレフィン性二重結合プロトン(4〜6ppm)/全プロトンの割合を基準としたときの、環化反応後の重合体環化物のH−NMRスペクトルから求めたオレフィン性二重結合プロトン/全プロトンの割合の減少率(%)を意味する。
(環化物の構造)
本発明の重合体環化物は、隣接する共役ジエン誘導体由来の構造単位のオレフィン性二重結合同士の環化反応により得られる構造(III)、および、共役ジエン誘導体由来の構造単位のオレフィン性二重結合とスチレン誘導体由来の構造単位の芳香環との環化反応により得られる構造(IV)を含有している。
イソプレンとスチレンのランダム共重合体の重合体環化物の構造を示した。
化3はイソプレン由来のオレフィン性二重結合同士が環化して得られる構造(III)の例である。
Figure 2010083979
化4はイソプレン由来のオレフィン性二重結合とスチレン由来の芳香環との環化反応により得られる構造(IV)の例である。なお、環化骨格は安定な6員環が形成し易いと考えられるが、それ以外の構造、例えばベンゼン環の1位と2位の炭素原子を含む5員環構造、ベンゼン環の1位と3位の炭素原子やベンゼン環の1位と4位の炭素原子を含む環構造を形成してもよい。
Figure 2010083979
イソプレン単独重合体、ならびにこれを環化反応させた重合体環化物の13C−NMRのチャートの一部を図1に、およびイソプレンとスチレンのランダム共重合体、ならびにこれを環化反応させた重合体環化物の13C−NMRのチャートの一部を図2に示す。尚、図2のNMRチャートは、製造例13のスチレン/イソプレン重合体(e1)、及び製造例15のスチレン/イソプレン重合体環化物(e3)のものである。
イソプレンとスチレンのランダム共重合体を環化反応させた重合体環化物には、イソプレン単重合体の重合体環化物にはない140ppm付近にピークが出現することから、イソプレン由来のオレフィン性二重結合同士が環化して得られる構造(III)のみではなく、ソプレン由来のオレフィン性二重結合とスチレン由来の芳香環との環化反応により得られる構造(IV)が形成されている。
重合体環化物における環化物の構造は、NMR−スペクトロメーター(JMN−GSX400、JEOL社製)で溶媒に重クロロホルムを用い、25℃で13C−NMRスペクトルを測定し算出した。
(分子量)
本発明の重合体環化物の重合平均分子量(Mw)は、好ましくは10000〜1000000、より好ましくは50000〜500000、最も好ましくは50000〜250000である。Mwが低いと強度が低下し、Mwが高いと粘度が高くなり、成型が困難になる。また、水素添加反応が進行しづらくなる。
本発明における重合体環化物の分子量分布(Mw/Mn)は、Mw/Mn=1.00〜6.00の範囲が好ましく、より好ましくは1.00〜4.00、最も好ましくは1.00〜2.00である。Mw/Mnが大きくなると、強度が低化し、粘度も高くなるため、成型が困難になったり、水素添加反応が進行しづらくなる。
(ガラス転移温度)
本発明の重合体環化物のガラス転移温度(Tg)は100〜170℃、好ましくは、115〜170℃である。
本発明の重合体環化物の線膨張係数は好ましくは55×10−5〜70×10−5/℃、より好ましくは55×10−5〜65×10−5/℃である。
本発明の重合体環化物の屈折率は好ましくは1.55〜1.60である。
本発明の重合体環化物は、環化反応前に比べTgが上昇し、線膨張係数が低下していることが特徴であり、優れた透明性、高い耐熱性および低い線膨張係数を持つことを特徴とする。
3)重合体環化物の水素添加物
本発明の重合体環化物の水素添加物は、前記の重合体環化物の主鎖及び不飽和環の炭素−炭素不飽和結合を水素化することによって得られる。
水素化触媒および水素化反応
重合体環化物の水素化反応は、重合体環化物の不活性溶媒溶液に水素化触媒を添加し、反応系内に水素を供給して行う。
(不活性溶媒)
不活性溶媒は、樹脂が溶解し、かつ水素化触媒に不活性な有機溶媒であれば特に制限なく使用することができる。反応性を考慮すると、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等が好ましい。これらの溶媒は単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
(水素化触媒)
用いる水素化触媒としては特に限定されず、オレフィン化合物の水素化に際して一般的に使用されているものを使用することができる。例えばウィルキンソン錯体、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム等の均一系触媒、ケイソウ土、マグネシア、アルミナ、シリカ、アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア、シリカ−アルミナ、合成ゼオライト等の担持体に、ニッケル、パラジウム、白金等の触媒金属を担持させた不均一系触媒等による公知の方法を用いることができる。得られる重合体環化物の水素添加物中の残留金属の除去を考慮すると、不均一系触媒が好ましい。
使用する水素化触媒量としては、重合体環化物100重量部に対して、通常5〜20重量部である。
(反応温度)
水素添加反応の反応温度は、使用する水素添加触媒や水素圧に依存するが、例えば20℃〜250℃が好ましく、25℃〜200℃がより好ましく、40℃〜170℃が最も好ましい。反応温度が低すぎると反応が円滑に進行し難く、反応温度が高すぎると副反応や分子量低下が起こりやすい。
(反応水素圧)
水素圧としては、好ましくは常圧〜200kgf/cm、より好ましくは5〜100kgf/cmを用いることができる。水素圧が低すぎると反応が円滑に進行し難く、水素圧が高すぎると装置上の制約がかかってしまう。
(反応濃度)
水素添加反応系中における重合体環化物の濃度は、通常2重量%〜40重量%であり、好ましくは5重量%〜30重量%、より好ましくは10重量%〜25重量%である。重合体環化物の濃度が低いと生産性の低下が起こり易い。また重合体環化物の濃度が高すぎると、水素化重合体が析出したり、反応混合物の粘度が高くなり、攪拌が円滑に行えなくなる場合が生じる。
(反応時間)
水素添加反応の反応時間は、使用する水素添加触媒や水素圧、反応温度に依存するが、通常0.1時間〜50時間、好ましくは0.2時間〜20時間、より好ましくは0.5時間〜10時間で行う。
(反応処理)
水素化反応終了後は、反応溶液から水素添加触媒等を濾別し、濾別後の重合体溶液から溶媒等の揮発成分を除去することにより、目的とする本発明の重合体環化物の水素添加物を得ることができる。
溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させる方法である。用いる貧溶媒としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
凝固して得られた粒子状の成分は、たとえば真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
(水素添加率)
本発明の重合体環化物の水素添加物は、主鎖及び不飽和環の炭素−炭素不飽和結合の水素添加率が通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。水素添加率が高いと耐熱性に優れる。
本発明の重合体環化物の水素添加率は、そのH−NMRスペクトル(テトラメチルシラン(TMS)のプロトンを0ppmとする)における6〜9ppmのプロトンの積分値と全プロトンとの比率(6〜9ppmのプロトンの積分値/全プロトン)から求められる。
(分子量)
本発明の重合体環化物の水素添加物の重合平均分子量(Mw)は、好ましくは10000〜1000000、より好ましくは50000〜500000、最も好ましくは50000〜250000である。Mwが低いと強度が低下し、Mwが高いと粘度が高くなり、成型が困難になる。
本発明の重合体環化物の水素添加物の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.00〜6.00、より好ましくは1.00〜4.00、最も好ましくは1.00〜2.00である。Mw/Mnが大きくなると、強度が低化し、粘度も高くなるため、成型が困難になる。
(ガラス転移温度)
本発明の重合体環化物の水素添加物のガラス転移温度(Tg)は通常130〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
(線膨張係数)
本発明の重合体環化物の水素添加物の線膨張係数は、好ましくは50×10−5〜65×10−5/℃、より好ましくは50×10−5〜60×10−5/℃である。
4)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、本発明の重合体環化物又は重合体環化物の水素添加物を含有することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物には酸化防止剤を含有することが好ましい。
用いる酸化防止剤としては、特に制限されないが、その分子量が700以上であるものが好ましい。酸化防止剤の分子量が低すぎると、成形品から酸化防止剤が溶出するおそれがある。
用いる酸化防止剤の具体例としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノール系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン等リン系酸化防止剤;ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;等が挙げられる。これらの酸化防止剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、本発明の重合体環化物または重合体環化物の水素添加物100重量部に対し、通常0.01〜1重量部、好ましくは、0.05〜0.5重量部である。酸化防止剤の添加量が少なすぎると、成形品にやけが生じるおそれがある。一方、添加量が多すぎると、成形品が白濁したり、成形品から酸化防止剤が溶出するおそれがある。
本発明の樹脂組成物には、本発明の重合体環化物または重合体環化物の水素添加物、及び酸化防止剤に加えて、本発明の目的を阻害しない範囲で、合成樹脂に一般的に用いられる各種配合剤を添加してもよい。
かかる配合剤としては、ゴム質重合体、その他の樹脂、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、染料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、有機又は無機の充填剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤等が挙げられる。
ゴム質重合体は、ガラス転移温度が40℃以下の重合体である。ゴム質重合体にはゴムや熱可塑性エラストマーが含まれる。ブロック共重合体のごとくガラス転移温度が2点以上ある場合は、最も低いガラス転移温度が40℃以下であればゴム質重合体として用いることができる。ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常、5〜300である。
ゴム質重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンとブタジエン又はイソプレンとのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体等のジエン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体;スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂等が挙げられる。
ゴム質重合体の量は、使用目的に応じて適宜選択される。耐衝撃性や柔軟性が要求される場合にはゴム質重合体の量は、本発明の重合体環化物または重合体環化物の水素添加物100重量部に対して、通常0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜70重量部、より好ましくは1〜50重量部の範囲である。
その他の樹脂としては、例えば、非晶性ノルボルネン系開環重合体、非晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物、非晶性ノルボルネン系付加型重合体、結晶性ノルボルネン系開環重合体、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物、結晶性ノルボルネン系付型加重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、水素化ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
これらのその他の樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合割合は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択することができる。
紫外線吸収剤及び耐候安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−1−{2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベゾエート系化合物等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤及び耐候安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤及び耐候安定剤の量は、本発明の重合体環化物または重合体環化物の水素添加物100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部の範囲である。
帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖アルキルアルコール;アルキルスルホン酸ナトリウム塩及び/又はアルキルスルホン酸ホスホニウム塩;ステアリン酸のグリセリンエステル等の脂肪酸エステル;ヒドロキシアミン系化合物;無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有酸化スズ粉等を例示することができる。帯電防止剤の量は、本発明の重合体環化物または重合体環化物の水素添加物100重量部に対して、通常0.001〜5重量部の範囲である。
本発明の樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、重合体環化物の水素添加物を、酸化防止剤及び必要に応じて他の配合剤と共に、例えば二軸混練機等により、200〜400℃程度の温度にて溶融混練した後、ペレット状物や顆粒状物、粉末状物とする方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、透明性、耐熱性に優れ、線膨張係数が低く、種々の光学材料などに好適である。
(成型体)
本発明の樹脂組成物は周知の成形法で成形して、各種成型体を製造することが出来る。
成形方法としては、特に限定されていないが、熱可塑性樹脂の一般的成形方法、例えば、
射出成形法、ブロー成形法、インジェクションブロー成形法、回転成形法、真空成形法、押出成形法、カレンダー成形法、溶液流延法などが可能である。
本発明の樹脂組成物からなる成型体は、透明性、耐熱性に優れ、吸水率および線膨張係数が低いため、耐熱性、高透明性および高い寸法安定性が要求される光学用途に好適である。
光学用途としては、例えばレンズ、非球面レンズ、フレネルレンズ、銀塩カメラ用レンズ、デジタル電子カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、プロジェクター用レンズ、複写機用レンズ、携帯電話用カメラレンズ、メガネ用レンズ、コンタクトレンズ、青色発光ダイオードを使用するデジタル光ディスク装置用非球面ピックアップレンズ、ロッドレンズ、ロッドレンズアレー、マイクロレンズ、マイクロレンズアレー、比較的高温の熱環境下で使用する上記の各種レンズ、各種レンズアレー、ステップインデックス型、グラジエントインデックス型、シングルモード型、マルチコア型、偏波面保存型、側面発光型等の光ファイバー、光ファイバーコネクタ、光ファイバー用接着剤、デジタル光ディスク(コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルディスク、ビデオディスク、コンピュータディスク、青色発光ダイオード等) 等の各種ディスク基板、液晶用偏光フィルム、バックライト用またはフロントライト用液晶用導光板、液晶用光拡散板、異なる屈折率を有する微粒子を分散させた液晶用光拡散板、液晶用ガラス基板代替フィルム、位相差フィルム、液晶用位相差板、携帯電話の液晶用導板、有機エレクトロルミネッセンス用位相差板、液晶用カラーフィルター、フラットパネルディスプレー用反射防止フィルム、タッチパネル用基板、透明導電性フィルム、反射防止フィルム、防げんフィルム、電子ペーパー用基板、有機エレクトロルミネッセンス用基板、プラズマディスプレー用前面保護板、プラズマディスプレー用電磁波防止板、フィールドエミッションディスプレー用前面保護板、圧電素子を使用し特定部位の光を前面拡散させる導光板、偏光子、検光子等を構成するプリズム、回折格子、内視鏡、高エネルギーレーザーを導波する内視鏡、ダハミラーに代表されるカメラ用ミラーもしくはハーフミラー、自動車用ヘッドライトレンズ、自動車用ヘッドライト用リフレクター、太陽電池用前面保護板、住宅用窓ガラス、移動体(自動車、電車、船舶、航空機、宇宙船、宇宙基地、人工衛星等)用窓ガラス、窓ガラス用反射防止フィルム、半導体露光時の防塵フィルム、電子写真感光材用保護フィルム、紫外光により書き込みもしくは書き換え可能な半導体(EPROM等)封止材、発光ダイオード封止材、紫外光発光ダイオード封止材、白色発光ダイオード封止材、SAWフィルター、光学的バンドパスフィルター、第二次高調波発生体、カー効果発生体、光スイッチ、光インターコネクション、光アイソレーター、光導波路、有機エレクトロルミネッセンスを使用した面発光体、半導体微粒子を分散させた面発光体、蛍光物質を溶解または分散させた蛍光体等が挙げられる。
特に光学用途として用いた場合優れた特性を示し、例えばレンズとして用いた場合、低い吸水率および線膨張係数を持つため、高温高湿条件化においてもレンズ形状や屈折率の変化が少なく、レンズの焦点距離変動が少なく、優れた光学安定性を示す。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。これらの例中の部及び%は特に断わりのない限り重量基準である。ただし本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。物性の測定にサンプルが足りない場合は同条件で繰り返し反応してサンプルを得た。
(1)分子量
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(MW/MN)はテトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による、標準ポリスチレン換算値として測定した。標準ポリスチレンとしては、東ソー社製標準ポリイソプレン、Mw=500、2630、10200、37900、96400、427000、1090000、5780000の計8点を用いた。
測定には、東ソー社製HLC8120GPCを用い、カラムとして東ソー社製TSKgel SuperH5000、TSKgel SuperH4000およびTSKgel SuperH2000を3本直列に繋いで用い、流速0.6ml/分、サンプル注入量20μml、カラム温度40℃の条件で行った。
(2)環化率
重合体環化物における環化率は、NMR−スペクトロメーター(JMN−GSX400、JEOL社製)で溶媒に重クロロホルムを用い、25℃でH−NMRスペクトルを測定し算出した。
環化率は、ランダム共重合体のオレフィン性二重結合プロトン(4〜6ppm)/全プロトンの割合を基準としたときの、環化反応後の重合体環化物の1H−NMRスペクトルから求めたオレフィン性二重結合プロトン/全プロトンの割合の減少率(%)を意味する。
以下説明
(3)水素添加率
重合体環化物のNMR−スペクトロメーター(JMN−GSX400,JEOL社製)で溶媒に重クロロホルムを用い、25℃でH−NMRスペクトルを測定し算出した。
水素添加率は、テトラメチルシラン(TMS)のプロトンを0ppmとした場合における6〜9ppmのプロトンの積分値と全プロトンとの比率(6〜9ppmのプロトンの積分値/全プロトン)から求められる。
(4)ガラス転移温度(Tg)
Tgは示差走査熱量分析計(DSC6220、SIIナノテクノロジー社製)を用いて、JIS K 7121に基づき、試料をTgより30℃以上に加熱した後、室温まで冷却し、その後昇温速度10℃/分で測定した。
(5)全光線透過率
全光線透過率は厚さ3mmの金型に樹脂を充填し、真空真空条件下、Tg+60℃で樹脂を溶融させ、20MPaで5分維持して成形した試験片を用いて、ASTM D1003に基づき、分光光度計(V−570、日本分光社製)を用いて測定した。
(6)吸水率
吸水率はJIS7209に基づき測定した。
(7)屈折率
屈折率は厚さ3mmの金型に樹脂を充填し、真空真空条件下、Tg+60℃で樹脂を溶融させ、20MPaで5分維持して成形し、切削・研磨することで90±0.5℃を有する測定面を出した試験片を、ASTM D542に準拠して、カルニュー屈折率計(KPR−200、カルニュー光学株式会社製)を用いて測定した。
(8)線膨張係数
線膨張係数は厚さ5mmの金型に樹脂を充填し、真空真空条件下、Tg+60℃で樹脂を溶融させ、20MPaで5分維持して成形した試験片を切削し、5mm×5mm×10mmの試験片を作成した。2.2g荷重でサンプルを固定し、10mm方向の膨張率を昇温速度3℃/minで30℃からTg+10℃まで熱機械分析装置(TMA/SS6100、SIIナノテクノロジー社製)を用いて測定し、40℃から80℃までを線膨張係数とした。
(9)焦点距離変動
樹脂100重量部に対し0.1重量部の酸化防止材(チバ・ジャパン製 IRGANOX1010)を小型混練機(DSM XPplore 5&15、DSM Xplore社製)で混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、射出成型機(Micro Injection Moulding Machine 10cc、DSM Xplore社製)で、樹脂温度は260℃、金型温度はTg−7℃、保圧は600Kg/cm、冷却時間は230秒で成型し図3の断面形状のレンズを得た。
得られたレンズの焦点距離を測定した後、85℃の環境下、15時間放置試験を実施し、再度焦点距離を測定し試験前後の焦点距離の差を焦点距離変動とした。尚、焦点距離は、フランジバック測定装置(特注、パール光学工業株式会社製)を用い図4の様に、25℃で670nm、3mmφの光線を通過させ、検出器を走査してスポット径が最小となる点までの距離を測定した。
(製造例1)重合体(a1)
十分に乾燥し、窒素置換した、電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、脱水シクロヘキサン900部、ジブチルエーテル0.6部を仕込み、50℃で撹拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)1部を添加し、モノマーとしてスチレン300部を4時間かけて連続的に添加して重合を行った。添加終了後30分後反応を実施した後に、イソプロピルアルコール0.3部を添加して反応を停止し重合体を得た。得られた重合体の重合転化率は100%、重量平均分子量(Mw)は、159000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。
上記の反応溶液にシクロヘキサン1200部を加えた後、10リットルのイソプロパノール中に注ぎスチレン重合体(a1)を析出させた。重合体(a1)をろ過により分離後、減圧乾燥器により乾燥させた。
(製造例2)重合体(a1)の水素添加物(a2)
次いで、重合体(a1)60部にシクロヘキサン240部、安定化ニッケル水素化触媒E19Z(日揮化学工業社製)9部を添加混合し、水素化反応温度を調節するための電熱加熱装置と電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに仕込んだ。仕込み終了後、オートクレーブ内部を水素ガスで置換し、撹拌しながら160℃で、オートクレーブ内部の圧力が45kg/cmを保つように水素を供給しながら6時間水素化反応を行った。
反応終了後、この溶液をラジオライト#500(昭和化学社製)を濾過床として、加圧濾過器(フンダフィルター、石川島播磨重工社製)を使用し、圧力0.25MPaで加圧濾過して、重合体の水素添加物(a2)の無色透明な溶液を得た。得られた重合体の水素添加物の水素化率は99.4%、重量平均分子量(Mw)は、159000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。
上記の反応溶液にシクロヘキサン1200部を加えた後、10リットルのイソプロパノール中に注ぎ重合体の水素添加物(a2)を析出させた。重合体の水素添加物(a2)をろ過により分離後、減圧乾燥器により乾燥させた。
(製造例3)重合体(b1)
モノマーの組成が重量比で(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(70/30)、モノマー逐次添加時間が30分であること以外は製造例1と同様に実施し、重合体(b1)を得た。得られた重合体の重合転化率は100%、重量平均分子量(Mw)は、165000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.15であった。
上記の反応溶液にシクロヘキサン1200部を加えた後、10リットルのイソプロパノール中に注ぎスチレン重合体(b1)を析出させた。重合体(b1)をろ過により分離後、減圧乾燥器により乾燥させた。
(製造例4)重合体(b1)の重合体環化物(b2)
次いで、重合体(b1)20部を電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに入れ、十分窒素置換した後、脱水したシクロヘキサン380部を窒素気流下で加え、撹拌して均一に溶解した。さらに50℃で撹拌しながら、触媒としてWCl1.4部を添加し、30分撹拌した。撹拌しながらイソプロパノール2.5部を添加し、反応を終了した。この溶液に活性白土(ガレオンアース、水澤化学工業製)を4部加え、40℃で1時間攪拌した後に、ラジオライト#500(昭和化学社製)を濾過床として、加圧濾過器(フンダフィルター、石川島播磨重工社製)を使用し、圧力0.25MPaで加圧濾過して、重合体の環化物(b2)の無色透明な溶液を得た。得られた重合体の環化物の環化率は78%、分子量はMw=154000であり、Mw/Mn=1.28であった。
上記の反応溶液にシクロヘキサン1200部を加えた後、10リットルのイソプロパノール中に注ぎ重合体環化物(b2)を析出させた。重合体環化物(b2)をろ過により分離後、減圧乾燥器により乾燥させた。
(製造例5)重合体(c1)
モノマーの組成が重量比で(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(96.4/3.6)である以外は製造例1と同様に実施し、重合体(c1)を得た。得られた重合体の重合転化率は100%、重量平均分子量(Mw)は、171000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。
(製造例6)重合体(c1)の水素添加物(c2)
次いで、重合体(c1)を使用した以外は製造例2と同様に実施し、重合体の水素添加物(c2)を得た。得られた重合体の水素添加物の水素化率は99.5%、重量平均分子量(Mw)は、135000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.24であった。
(製造例7)重合体(c1)の重合体環化物(c3)
次いで、重合体(c1)を使用した以外は製造例4と同様に実施し、重合体環化物(d3)を得た。得られた重合体環化物の環化率は100%、分子量はMw=154000であり、Mw/Mn=1.56であった。
(製造例8)重合体環化物(c3)の水素添加物(c4)
次いで、重合体環化物(c3)を使用した以外は製造例2と同様に実施し、重合体環化物の水素添加物(c4)を得た。得られた重合体環化物の水素添加物の水素化率は99.5%、重量平均分子量(Mw)は、126000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.61であった。
(製造例9)重合体(d1)
モノマーの組成が重量比で(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(90/10)である以外は製造例1と同様に実施し、重合体(d1)を得た。得られた重合体の重合転化率は100%、重量平均分子量(Mw)は、168000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.15であった。
(製造例10)重合体(d1)の水素添加物(d2)
次いで、重合体(d1)を使用した以外は製造例2と同様に実施し、重合体の水素添加物(d2)を得た。得られた重合体の水素添加物の水素化率は99.5%、重量平均分子量(Mw)は、133000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.21であった。
(製造例11)重合体(d1)の重合体環化物(d3)
次いで、重合体(d1)を使用した以外は製造例4と同様に実施し、重合体環化物(d3)を得た。得られた重合体の環化物の環化率は100%、重量平均分子量(Mw)は、149000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.51であった。
(製造例12)重合体環化物(d3)の水素添加物(d4)
次いで、重合体環化物(d3)を使用した以外は製造例2と同様に実施し、重合体環化物の水素添加物(d4)を得た。得られた重合体環化物の水素添加物の水素化率は99.4%、重量平均分子量(Mw)は、138000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.58であった。
(製造例13)重合体(e1)
モノマーの組成が重量比で(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(70/30)である以外は製造例1と同様に実施し、重合体(e1)を得た。得られた重合体の重合転化率は100%、重量平均分子量(Mw)は、179000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。
(製造例14)重合体(e1)の水素添加物(e2)
次いで、重合体(e1)を使用した以外は製造例2と同様に実施し、重合体の水素添加物(e2)を得た。得られた重合体の水素添加物の水素化率は99.5%、重量平均分子量(Mw)は、142000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.27であった。
(製造例15)重合体(e1)の重合体環化物(e3)
次いで、重合体(d1)を使用した以外は製造例4と同様に実施し、重合体環化物(e3)を得た。得られた重合体環化物の環化率は100%、重量平均分子量(Mw)は、143000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.59であった。
(製造例16)重合体環化物(e3)の水素添加物(e4)
次いで、重合体環化物(e3)を使用した以外は製造例2と同様に実施し、重合体環化物の水素添加物(e4)を得た。得られた重合体環化物の水素添加物の水素化率は99.4%、重量平均分子量(Mw)は、157000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.54であった。
(製造例17)重合体(f1)
モノマーの組成が重量比で(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(60/40)である以外は製造例1と同様に実施し、重合体(f1)を得た。得られた重合体の重合転化率は100%、重量平均分子量(Mw)は、175000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.16であった。
(製造例18)重合体(f1)の環化物(f3)
次いで、重合体(f1)を使用した以外は製造例4と同様に実施し、重合体環化物(f3)を得た。得られた重合体環化物の環化率は100%、重量平均分子量(Mw)は、155000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.54であった。
(製造例19)重合体環化物(f3)の水素添加物(f3)
次いで、重合体環化物(f3)を使用した以外は製造例2と同様に実施し、重合体環化物の水素添加物(f4)を得た。得られた重合体環化物の水素添加物の水素化率は99.4%、重量平均分子量(Mw)は、146000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.65であった。
製造例1〜19で得られた樹脂の環化率、水添率を表1に示した。
Figure 2010083979
(実施例1)
製造例11で得られた重合体環化物(d3)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(実施例2)
製造例12で得られた重合体環化物の水素添加物(d4)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(実施例3)
製造例13で得られた重合体環化物(e3)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(実施例4)
製造例14で得られた重合体環化物の水素添加物(e4)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(実施例3)
製造例15で得られた重合体環化物(f3)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(実施例6)
製造例16で得られた重合体環化物の水素添加物(f4)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(比較例1)
製造例1で得られた重合体(a1)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(比較例2)
製造例2で得られた重合体の水素添加物(a2)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(比較例3)
製造例4で得られた重合体環化物(b2)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数を測定し、表2に示した。尚Tgが低いため放置試験後のレンズが変形したため焦点距離変動は測定できなかった。
(比較例4)
製造例5で得られた重合体(c1)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数を測定し、表2に示した。尚Tgが低いため放置試験後のレンズが変形したため焦点距離変動は測定できなかった。
(比較例5)
製造例6で得られた重合体の水素添加物(c2)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(比較例6)
製造例7で得られた重合体環化物(c3)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(比較例7)
製造例8で得られた重合体環化物の水素添加物(c4)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(比較例8)
製造例9で得られた重合体(d1)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(比較例9)
製造例10で得られた重合体の水素添加物(d2)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率、線膨張係数、焦点距離変動を測定し、表2に示した。
(比較例10)
製造例13で得られた重合体(e1)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率を測定し、表2に示した。尚Tgが低いため線膨張係数および焦点距離変動は測定できなかった。
(比較例11)
製造例14で得られた重合体の水素添加物(e2)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率を測定し、表2に示した。尚Tgが低いため線膨張係数および焦点距離変動は測定できなかった。
(比較例12)
製造例17で得られた重合体(f1)より各種試験片を作成し、ガラス転移温度(Tg)、屈折率、吸水率、全光線透過率を測定し、表2に示した。尚Tgが低いため線膨張係数および焦点距離変動は測定できなかった。
Figure 2010083979
<考察>
環化してない重合体は耐熱性が低く、線膨張係数が大きく、焦点距離変動も大きい(比較例1、4、8、10、12)。
重合体の水素化物は耐熱性に優れるものの、線膨張係数が大きく、焦点距離変動も大きい(比較例2、5、9、11)。
環化率が低い重合体の環化物(b3)は、耐熱性が低く、線膨張係数が大きく、焦点距離変動も大きい(比較例3)。
イソプレン量の少ない重合体環化物(c3)および重合体環化物の水素添加物(c4)は線膨張係数が大きく、焦点距離変動も大きい(比較例6、7)。
イソプレン量の範囲が適当で環化率が高い重合体環化物は、優れた耐熱性、優れた屈折率、適度の吸水率であり、線膨張係数が低く、焦点距離変動も小さい(実施例1、3、5)
イソプレン量の範囲が適当で環化率が高い重合体環化物の水素化物は、優れた耐熱性、適度な屈折率、優れた吸水率であり、線膨張係数が低く、焦点距離変動も小さい(実施例2、4、6)
イソプレン単独重合体、ならびにこれを環化反応させた重合体環化物の13C−NMRのチャートの一部。 イソプレンとスチレンのランダム共重合体、ならびにこれを環化反応させた重合体環化物の13C−NMRのチャートの一部。 焦点距離変動の測定方法において用いるレンズの形状に関する説明図である。 焦点距離変動の測定方法に関する説明図である。

Claims (8)

  1. スチレン誘導体由来の構造単位と共役ジエン誘導体由来の構造単位を含有し、スチレン誘導体由来の構造単位と共役ジエン誘導体由来の構造単位のモル含有量比(スチレン誘導体由来の構造単位/共役ジエン誘導体由来の構造単位)が50/50〜95/5であるランダム共重合体を環化して得られる重合体環化物であって、環化率が95%以上、かつガラス転移温度が100℃〜170℃であることを特徴とする重合体環化物。
  2. 線膨張係数が55×10−5〜70×10−5/℃の範囲である請求項1に記載の重合体環化物。
  3. 屈折率が1.55〜1.60の範囲である請求項1または2に記載の重合体環化物。
  4. スチレン誘導体および共役ジエン誘導体を連続添加重合してランダム共重合体を得ることを特徴とする請求項1〜3に記載の重合体環化物。
  5. 共役ジエン誘導体由来の構造単位のオレフィン性二重結合とスチレン誘導体由来の構造単位の芳香環の環化反応による環化構造を含有する、請求項1〜4に記載の重合体環化物。
  6. 請求項1〜5にいずれか記載の重合体環化物を水素添加して成る、ガラス転移温度が130℃〜200℃で、かつ線膨張係数が50×10−5〜65×10−5/℃であることを特徴とする重合体環化物の水素添加物。
  7. 屈折率が1.50〜1.55の範囲である請求項6記載の重合体環化物の水素添加物。
  8. 請求項1〜5にいずれか一項に記載の重合体環化物または請求項6もしくは請求項7に記載の重合体環化物の水素添加物を含有する樹脂組成物。
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