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JP2010065569A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置 Download PDF

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JP2010065569A JP2008231382A JP2008231382A JP2010065569A JP 2010065569 A JP2010065569 A JP 2010065569A JP 2008231382 A JP2008231382 A JP 2008231382A JP 2008231382 A JP2008231382 A JP 2008231382A JP 2010065569 A JP2010065569 A JP 2010065569A
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Masaaki Matsuzaki
正明 松嵜
Masaaki Yamaguchi
正晃 山口
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Toyota Motor Corp
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Toyota Industries Corp
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Abstract

【課題】筒内温度の差異を燃料噴射制御に反映し、機関完爆後における内燃機関の失火の発生をより好適に抑制することができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】電子制御装置は、ステップS11の処理にてタイマーによって計時された計時時間Tが閾値T0よりも短い場合に、ステップS12の処理にて計時補正量Q3の値が機関完爆後から0になるまでの時間を算出する。そして、計時補正量Q3の値が機関完爆後から0になるまでの時間に基づいて、完爆後の燃料噴射量を増量補正する期間を延長する。
【選択図】図3

Description

本発明は、機関完爆後から所定期間が経過するまで燃料噴射量を増量補正するようにした内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
内燃機関の燃料噴射制御として、クランキング開始から機関完爆までの始動時制御、及び、機関完爆後から所定期間経過後までの始動後制御、として通常のアイドリング運転中とは異なる制御を行なうことが知られている。
例えば、冷間始動時のように内燃機関のボア壁面温度が極めて低い場合にあっては、内燃機関の回転数が所定回転数を超える機関完爆に至った場合でも、ボア壁面温度の上昇が十分ではないと、筒内温度も影響を受け、燃料の燃焼が促進され難く、失火が発生したり、それに起因する混合気の不完全燃焼によって排気性状の悪化を招いたりすることがある。
このため従来にあっては、始動後制御として、機関完爆後より一定期間が経過するまで、通常のアイドリング時より燃料噴射量を増量補正することが知られていたが、さらに、例えば特許文献1には、機関始動時の機関冷却水温を検出し、その検出される機関冷却水温に基づいて、増量補正を行なう所定期間そのものを補正することが提案されている。すなわち、機関冷却水温が低いときほど燃料噴射量を増量する期間が長くなり、耐失火性を高めるようにしている。
特開平7−34926号公報
このように、機関完爆後から所定期間が経過するまで燃料の増量補正を実施するとともに、増量補正を行う所定期間に機関冷却水温を反映させることにより、燃焼状態を安定化させて失火の発生等をある程度は抑制することができるようになる。しかしながら、機関冷却水温は、筒内における燃焼熱に応じて変化するものであるため、確かに筒内温度と相関を有して変化するが、そのときどきの筒内温度に応じて速やかに変化するほどの追従性を有するものではない。従って、内燃機関のクランキング開始後の過渡時においては、機関冷却水温より筒内温度を推定することは困難である。この点について、特許文献1においては、クランキング開始時の機関冷却水温により、機関完爆後の燃料増量期間等を決定している。機関完爆時及び完爆後の筒内温度が、クランキング開始時の機関冷却水温により一律に決まるものであれば、特許文献1の制御にて問題ないが、実際には異なる場合があり、従来は、この差異を燃料噴射量に反映する手段が無かった。
本発明の目的は、上記の筒内温度の差異を燃料噴射制御に反映し、機関完爆後における内燃機関の失火の発生をより好適に抑制することができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、機関完爆後から所定期間が経過するまで燃料噴射量を増量補正する増量補正手段を備えた内燃機関の燃料噴射制御装置であって、クランキング開始から機関完爆完了までの期間を計時する計時手段と、前記計時手段によって計時された期間が、機関温度より推定される期間よりも短いときに、前記燃料噴射量を増量補正する所定期間を調整する調整手段とを備えることを要旨とする。
この発明は、内燃機関の完爆時のボア壁面温度と、クランキング開始より機関完爆までの期間に着目したものである。機関始動操作によって内燃機関のクランキングが開始すると、気筒内の空気は圧縮されるため、その圧縮によってボア壁面温度は上昇する。従って、クランキング開始から機関完爆までの期間が長い場合、すなわちピストンによって気筒内の空気が長期間にわたって圧縮を繰返された場合には、完爆時のボア壁面温度は高くなり、逆にこれが短い場合にはボア壁面温度は低いままとなる。このようにクランキング開始から機関完爆までの期間と機関完爆時における気筒内の温度は高い相関を有するといえる。一方で、クランキング開始より機関完爆までの期間は、温度のみならずフリクションの影響も受け、特に、潤滑オイルの粘性の影響は大きい。一般に、低温時の潤滑オイルの粘性は高く、クランキング時の内燃機関全体のフリクションも大きくなる。しかし、例えば経時劣化等により低温時においても潤滑オイルの粘性が低くなると、内燃機関の回転数は上昇しやすくなり、容易に機関完爆に達する。即ち、機関温度に比し、短時間で機関完爆に達する場合には、潤滑オイルの粘性の低いことを原因とし、ボア壁面温度が十分に上昇していないと判断することが出来る。
この発明は、クランキング開始から機関完爆までの期間が短いとき、すなわち機関完爆時のボア壁面温度の上昇が低いと推定できるときには、燃料噴射量を増量補正する期間を長くするようにしている。従って、過渡状態における実際の筒内温度が、機関冷却水温より推定できなくとも、調整手段によって燃料噴射量の増量補正期間が調整されるので、実際の筒内温度に即した燃料の増量補正を行うことができる。したがって、機関完爆後における内燃機関の失火の発生を抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記調整手段は、クランキング開始から機関完爆完了までの前記期間がより短いときほど、燃料噴射量を増量補正する前記所定期間を延長することを要旨とする。
クランキング開始から機関完爆完了までの期間がより短いときほど、機関完爆時のボア壁面温度の上昇が低いと推定でき、過渡状態における実際の筒内温度は極低温状態であると考えられる。よって、このような状態のときほど、燃料噴射量を増量補正する所定期間を延長することによって、実際の筒内温度に即した燃料の増量補正を行うことができ、機関完爆後における内燃機関の失火の発生を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記調整手段は、機関温度が所定温度よりも高いときに前記燃料噴射量の増量補正を停止することを要旨とする。
この発明によれば、例えば、高温再始動時のように筒内温度が高い場合には、燃料噴射量の増量補正そのものを停止することにより、過度な燃料噴射量の増量補正が行われてしまうことを防止することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記計時手段によって計時された期間が短いときに、前記所定期間の調整に加え、前記増量補正手段は、燃料噴射量の増量分をさらに増大させることを要旨とする。
この発明によれば、例えば、過渡状態における実際の筒内温度が、機関冷却水温から想定される筒内温度を大きく下回った状態であったとしても、所定期間の調整に加え、燃料噴射量の増量分をさらに増大させることにより、実際の筒内温度に即した燃料の増量補正を行うことができる。したがって、機関完爆後における内燃機関の失火の発生をより好適に抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記計時手段によって計時された期間が短いときに、前記所定期間の調整に加え、燃料の噴射時期を進角側に補正する噴射時期補正手段をさらに備えることを要旨とする。
この発明によれば、所定期間の調整に加え、燃料の噴射時期を進角側に補正することにより、噴射燃料が自己着火できる時間を長く確保することができるようになるため、その着火を確実なものとすることができる。したがって、機関完爆後における内燃機関の失火の発生を抑制することにさらに寄与する。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記計時手段によって計時された期間が短いときに、前記所定期間の調整に加え、燃料噴射圧が低下するようにこれを調整する噴射圧調整手段をさらに備えることを要旨とする。
この発明によれば、前記所定期間の調整に加え、燃料の噴射圧を下げることでその拡散を抑制し、筒内に噴射された燃料を局所的に偏在させ、燃焼室において部分的にリッチな噴霧を形成することができる。そして、このように部分的にリッチな噴霧は自己着火し易いため、その自己着火した噴霧から周囲に燃焼領域が拡大する。その結果、機関完爆後における内燃機関の失火の発生を抑制することにさらに寄与することができるようになる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記増量補正手段は、メイン噴射に先立ってパイロット噴射を実行するものであり、前記調整手段は、少なくとも前記パイロット噴射の燃料噴射量を増量補正する所定期間を調整することを要旨とする。
この発明によれば、パイロット噴射を実行する際、その燃料噴射量を増量補正する所定期間を調整することにより、そのパイロット噴射された燃料が一旦燃焼した後にメイン噴射が実行されるようになるため、そのメイン噴射において噴射された燃料を確実に着火させることができるようになる。従って、機関完爆後における内燃機関の失火の発生をさらに抑制することができる。
この発明によれば、筒内温度の差異を燃料噴射制御に反映し、機関完爆後における内燃機関の失火の発生をより好適に抑制することができる。
以下、本発明をディーゼルエンジンの燃料噴射装置に具体化した一実施形態を図1〜図6を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる燃料噴射制御装置が適用されるディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」という)11の概略構成を示している。
図1に示すように、エンジン11に形成された複数(図1では1つのみ図示)の気筒12内にはピストン13が往復動可能にそれぞれ収容されている。このピストン13は、エンジン11のクランクシャフト15にコンロッド14を介して連結され、そのコンロッド14によりピストン13の往復運動がクランクシャフト15の回転運動に変換される。なお、クランキング開始時においては、エンジン11が完爆状態となるまでスタータ18によってクランクシャフト15が回転駆動(クランキング)される。
各気筒12内においてピストン13の上方には、吸気通路20及び排気通路21が接続される燃焼室16が区画形成されている。この各気筒12の燃焼室16には、インジェクタ17がそれぞれ取り付けられている。インジェクタ17には、周知の燃料供給機構を通じて所定の高圧燃料が供給されている。そして、このインジェクタ17の開弁駆動により、燃料が燃焼室16内に直接噴射供給される。
エンジン11の制御は、電子制御装置30により行われる。電子制御装置30は、その制御に係る各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、制御用のプログラムや制御に必要な情報を記憶するメモリを備えている。そして、さらに電子制御装置30は、エンジン11のキースイッチの操作を通じてスタータ18がオン操作されてから機関回転数が所定回転数を越えるまでの時間、すなわちクランキング開始から機関完爆完了までの時間(計時時間T)を計時する計時手段として機能するタイマー39の他、インジェクタ17の駆動回路等を備えて構成されている。
電子制御装置30には、上記スタータ18の他、機関運転状態を検出する各種のセンサが接続されている。例えばクランクセンサ31によってクランクシャフト15の位相角、すなわちクランク角が検出され、これに基づいて機関回転数が算出される。その他、電子制御装置30には、吸気通路20内の圧力(大気圧)を検出する圧力センサ32、機関冷却水の温度(機関冷却水温)を検出する水温センサ33及び吸気の温度(吸気温)を検出する温度センサ34といった各種センサが接続されている。そして、電子制御装置30は、こうした各種センサの検出信号によって把握されるエンジン11の運転状況に応じて、燃料噴射制御を初めとする各種制御を実行する。
次に、通常のエンジン11の燃料噴射制御について図2を参照して説明する。クランキング開始時は、スタータ18がオン操作されてクランクシャフト15が強制的に回転駆動されるとともに、電子制御装置30からの噴射信号に基づいてインジェクタ17から燃焼室16内に燃料が噴射される。このようにクランクシャフト15が強制的に回転駆動されるとともに燃料噴射が実行されることにより機関回転数が徐々に上昇して所定回転数(800rpm前後)に到達するとエンジン11を完爆状態とみなす。
このようにエンジン11が完爆状態となると、電子制御装置30は、クランキング開始から機関完爆までの燃料噴射制御(始動時制御)を、機関完爆後から所定期間経過後までの燃料噴射制御(始動後制御)に移行させる。具体的には、機関の運転状態に基づいて算出される基本噴射量Q1と、機関温度(本実施形態では機関冷却水温)に基づいて算出される温度補正量Q2と、計時手段により計時された計時時間Tと機関温度(本実施形態では機関冷却水温)とに基づいて算出される計時補正量Q3とを算出する。インジェクタ17は電子制御装置30からの噴射信号に基づいてこれら噴射量Q1及び補正量Q2,Q3の和(=Q1+Q2+Q3)に相当する量の燃料を燃焼室16内に噴射する。なお、基本噴射量Q1は、機関回転数と負荷(アクセル開度及び補機類の駆動状態)に基づいて設定される一方、温度補正量Q2は、完爆からの時間の経過に伴って徐々に減少する。また、計時補正量Q3が0以外の正の値を取る時には、少なくとも温度補正量Q2の値が0となった時点よりも遅く、計時補正量Q3が0となるように設定される。このように、電子制御装置30は、エンジン11が完爆状態に移行した後に、この温度補正量Q2、及び計時補正量Q3をもって燃料を増量補正する増量補正手段として機能する。
次に、電子制御装置30によって実行される燃料噴射制御について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3はこの燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャートであり、図4は燃料噴射制御実行時における燃料噴射量の推移等を示すタイミングチャートである。
図3に示すように、まず、電子制御装置30は、クランキング開始時の機関冷却水温を検出し、記憶すると共に、タイマー39によって計時された計時時間Tを算出する(ステップS10)。次に、電子制御装置30は、ステップS10において算出された計時時間Tが閾値T0よりも短いか否かを判定する(ステップS11)。ここで、閾値T0とは、クランキング開始時の機関冷却水温から推定される各気筒12の標準的な筒内温度のもとで機関始動を行った場合において、クランキング開始時から完爆までに通常要すると考えられる時間である。クランキング開始時の機関冷却水温と閾値T0との関係は、クランキング開始時の機関冷却水温が高いほど筒内温度は高い状態であると考えられる。そして、機関温度のみに注目すれば、筒内温度が高いほどクランキング開始時から完爆までに通常要する時間は短くなると推定される。したがって、図6に示すように、機関冷却水温が高いほど閾値T0は小さく設定される。一方、クランキング開始時の機関冷却水温が低いほど筒内温度は低い状態であると考えられる。そして、筒内温度が低いほどクランキング開始時から完爆までに通常要する時間は長くなると推定される。したがって、図6に示すように、機関冷却水温が低いほど閾値T0は大きく設定されることとなる。
ステップS11における判定結果が肯定の場合、標準的な状態よりも潤滑オイルの粘性が低いことが推定され、このため、実際の筒内温度は、機関冷却水温から推定される筒内温度よりも低いと推定される。この場合、電子制御装置30は、計時補正量Q3の値が機関完爆後から0になるまでの時間を算出する(ステップS12)。この計時補正量Q3の値が機関完爆後から0になるまでの時間は、図5に示すように、クランキング開始時から完爆までに要した計時時間Tが短く、また、クランキング開始時における機関冷却水温が低いほど、長期間にわたり、正の値を取るように設定される。一方、クランキング開始時から完爆までに要した計時時間Tが長く、また、クランキング開始時における機関冷却水温が高いほど、短時間で計時補正量Q3が0になるように設定される。
例えば、クランキング開始時から完爆までの計時時間Tが短かった場合は、計時補正量Q3の値が機関完爆後から0になるまでの時間T1は、長期間にわたり、正の値を取るように設定される。したがって、電子制御装置30によって、完爆後の燃料噴射量の増量補正は、図4に示す実線のように、機関完爆後から時間T1経過したときに計時補正量Q3が0になるような推移をもって変化するように増量補正する期間が延長される。なお、機関完爆後から時間T1経過したときには、図4の二点鎖線にて示されるように温度補正量Q2の値も既に0になっている。一方、クランキング開始時から完爆までの時間Tが長かった場合は、計時補正量Q3の値が機関完爆後から0になるまでの時間T2(<T1)は、計時補正量Q3の値が短時間で0になるように設定される。したがって、電子制御装置30によって、完爆後の燃料噴射量の増量補正は、図4に示す一点鎖線のように、機関完爆後から時間T2経過したときに計時補正量Q3が0になるような推移をもって変化するように増量補正する期間が延長される。なお、機関完爆後から時間T2経過したときには、図4の二点鎖線にて示されるように温度補正量Q2の値も既に0になっている。このように、電子制御装置30は、計時補正量Q3の値が機関完爆後から0になるまでの時間に基づいて、完爆後の燃料噴射量を増量補正する期間を調整する調整手段として機能する。
そして、電子制御装置30は、ステップS12において算出された計時補正量Q3の値が機関完爆後から0になるまでの時間分だけ、完爆後の燃料噴射量を増量補正する期間を延長するように燃料を噴射する旨の信号をインジェクタ17に対して送信する(ステップS13)。インジェクタ17は、この噴射信号に基づいて燃焼室16内に完爆後の燃料噴射量分の燃料を噴射する。
一方、ステップS11の判定結果が否定の場合は、閾値T0が極めて小さく設定されている場合、換言すればクランキング開始時の機関冷却水温が極めて高い場合であり、例えば、高温再始動時のように筒内温度が高い状態であることが想定される。したがって、電子制御装置30は、完爆後の燃料噴射量の増量補正を停止する。
機関始動操作によってエンジン11のピストン13が往復動すると、気筒12内の空気は圧縮されるため、その圧縮によって気筒12内の温度は上昇するようになる。従って、クランキング開始時から完爆までの期間が長い場合、すなわちピストン13によって気筒12内の空気が長期間にわたって圧縮された場合には気筒12内の温度は高くなり、逆にこれが短い場合には気筒12内の温度は低くなる。このように、クランキング開始時から完爆までの期間と完爆後における気筒12内の温度は高い相関を有するといえる。したがって、タイマー39によって計時された計時時間Tが閾値T0より短かった場合、実際の完爆後における筒内温度が、機関冷却水温から想定される筒内温度を大きく下回っていることがある。そしてこの場合、通常のエンジン11の燃料噴射制御のように、機関冷却水温に基づく燃料の増量補正を行ったとしても、実際の筒内温度に即した燃料の増量補正を行うことはできず、失火やこれに起因する不完全燃焼の発生が避けきれないものとなる。しかしながら、タイマー39によって計時された計時時間Tが短いときほど完爆後の燃料噴射量を増量補正する期間を延長することで、実際の筒内温度に即した燃料の増量補正を行うことができる。
以上説明した実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)電子制御装置30は、タイマー39によって計時された計時時間Tが閾値T0よりも短いときに、計時補正量Q3の値が機関完爆後から0になるまでの時間に基づいて、完爆後の燃料噴射量を増量補正する期間を延長する。したがって、完爆後の実際の筒内温度が、機関冷却水温から想定される筒内温度を大きく下回った状態であったとしても、完爆後の燃料噴射量を増量補正する期間を延長することで、実際の筒内温度に即した燃料の増量補正を行うことができる。その結果、機関完爆後におけるエンジン11の失火の発生をより好適に抑制することができる。
(2)タイマー39によって計時された計時時間Tが閾値T0よりも長かった場合は、閾値T0が極めて小さく設定されている場合、換言すればクランキング開始時の機関冷却水温が極めて高い場合であり、例えば、高温再始動時のように筒内温度が高い状態であることが想定される。このような、気筒12内が高温再始動時のように温度が高い状態の場合には、電子制御装置30は、完爆後の燃料噴射量の増量補正を停止する。したがって、筒内温度が高温再始動時のように高い状態の場合、換言すれば筒内温度がそもそも高い場合には、増量補正そのものを停止することにより、過度な燃料噴射量の増量補正が行われてしまうことを防止することができる。
なお、本実施形態はこれを適宜変更した以下のような態様にて実施することもできる。
○ 閾値T0を、温度センサ34から検出されたクランキング開始時の吸気温から推定される各気筒12の標準的な筒内温度のもとで機関始動を行った場合において、クランキング開始時から完爆までに通常要すると考えられる時間としてもよい。クランキング開始時の吸気温と閾値T0との関係は、クランキング開始時の吸気温が高いほど筒内温度は高い状態であると考えられる。そして、筒内温度が高いほどクランキング開始時から完爆までに通常要する時間は短くなると推定される。したがって、図7に示すように、筒内温度が高いほど閾値T0は小さく設定される。一方、クランキング開始時の吸気温が低いほど筒内温度は低い状態であると考えられる。そして、筒内温度が低いほどクランキング開始時から完爆までに通常要する時間は長くなると推定される。したがって、図7に示すように、筒内温度が低いほど閾値T0は大きく設定されることとなる。
○ 閾値T0を、圧力センサ32から検出されたクランキング開始時の大気圧から推定される各気筒12の標準的な筒内温度のもとで機関始動を行った場合において、クランキング開始時から完爆までに通常要すると考えられる時間としてもよい。クランキング開始時の大気圧と閾値T0との関係は、クランキング開始時の大気圧が高いほど筒内温度は高い状態であると考えられる。そして、筒内温度が高いほどクランキング開始時から完爆までに通常要する時間は短くなると推定される。したがって、図8に示すように、筒内温度が高いほど閾値T0は小さく設定される。一方、クランキング開始時の大気圧が低いほど筒内温度は低い状態であると考えられる。そして、筒内温度が低いほどクランキング開始時から完爆までに通常要する時間は長くなると推定される。したがって、図8に示すように、筒内温度が低いほど閾値T0は大きく設定されることとなる。
○ 電子制御装置30は、タイマー39によって計時された計時時間Tが閾値T0よりも短いときに、完爆後における燃料噴射量の増量分をさらに増大させるようにする機能を加えてもよい。これによれば、例えば、過渡状態における実際の筒内温度が、機関冷却水温から想定される筒内温度を大きく下回った状態であったとしても、燃料噴射量の増量分をさらに増大させることにより、実際の筒内温度に即した燃料の増量補正を行うことができる。したがって、機関完爆後における内燃機関の失火の発生をより好適に抑制することができる。
○ 電子制御装置30は、タイマー39によって計時された計時時間Tが閾値T0よりも短いときに、燃料の噴射時期を進角側に補正する、すなわち噴射時期補正手段としての機能を加えてもよい。これによれば、燃料の噴射時期を進角側に補正することにより、噴射燃料が自己着火できる時間を長く確保することができるようになるため、その着火を確実なものとすることができる。したがって、機関完爆後におけるエンジン11の失火の発生を抑制することにさらに寄与する。
○ 電子制御装置30は、タイマー39によって計時された計時時間Tが閾値T0よりも短いときに、燃料噴射圧が低下するようにこれを調整する、すなわち噴射圧調整手段としての機能を加えてもよい。これによれば、燃料の噴射圧を下げることで、燃焼室16内に噴射された燃料を局所的に偏在させ、燃焼室16において部分的にリッチな噴霧を形成することができる。そして、このように部分的にリッチな噴霧は自己着火し易いため、その自己着火した噴霧から周囲に燃焼領域が拡大する。その結果、機関完爆後におけるエンジン11の失火の発生を抑制することにさらに寄与することができるようになる。
○ 電子制御装置30は、メイン噴射に先立ってパイロット噴射を実行するようにインジェクタ17に対して燃料を燃焼室16内に噴射する旨の信号を送るようにするとともに、タイマー39によって計時された計時時間Tが短いときに、少なくともパイロット噴射の燃料噴射量を増量補正する期間を調整するようにしてもよい。これによれば、パイロット噴射を実行する際に、その燃料噴射量を増量補正する期間を延長することにより、そのパイロット噴射された燃料が一旦燃焼した後にメイン噴射が実行されるようになるため、そのメイン噴射において噴射された燃料を確実に着火させることができるようになる。従って、機関始動後におけるエンジン11の失火の発生をさらに抑制することができる。
○ 電子制御装置30は、機関冷却水温等、機関温度が高いときほど燃料噴射量の増量補正度合を減少させる機能を付加してもよい。
○ 電子制御装置30は、上記噴射時期補正手段及び上記噴射圧調整手段の双方として機能する構成にしてもよい。また、この構成に加えて、さらに、タイマー39によって計時された計時時間Tが短いときに、少なくともパイロット噴射の燃料噴射量を増量補正する期間を調整するようにしてもよい。
○ 本発明は、ディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジンに適用することもできる。
本実施形態におけるエンジンの燃料噴射制御装置の全体構成を示す概略図。 通常のエンジンの燃料噴射制御手順を示すタイムチャート。 本実施形態における燃料噴射制御手順を示すフローチャート。 本実施形態における燃料噴射制御手順を示すタイムチャート。 計時補正量の値が機関完爆後から0になるまでの時間とクランキング開始時から完爆までの時間(計時時間)及び機関冷却水温との関係を示すグラフ。 本実施形態における閾値とクランキング開始時の機関冷却水温との関係を示すグラフ。 別の実施形態における閾値とクランキング開始時の吸気温との関係を示すグラフ。 別の実施形態における閾値とクランキング開始時の大気圧との関係を示すグラフ。
符号の説明
11…エンジン、30…電子制御装置、39…計時手段としてのタイマー。

Claims (7)

  1. 機関完爆後から所定期間が経過するまで燃料噴射量を増量補正する増量補正手段を備えた内燃機関の燃料噴射制御装置であって、
    クランキング開始から機関完爆完了までの期間を計時する計時手段と、
    前記計時手段によって計時された期間が、機関温度より推定される期間よりも短いときに、前記燃料噴射量を増量補正する所定期間を調整する調整手段とを備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記調整手段は、クランキング開始から機関完爆完了までの前記期間がより短いときほど、燃料噴射量を増量補正する前記所定期間を延長する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記調整手段は、機関温度が所定温度よりも高いときに前記燃料噴射量の増量補正を停止する
    ことを特徴する内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記計時手段によって計時された期間が短いときに、前記所定期間の調整に加え、前記増量補正手段は、燃料噴射量の増量分をさらに増大させる
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記計時手段によって計時された期間が短いときに、前記所定期間の調整に加え、燃料の噴射時期を進角側に補正する噴射時期補正手段をさらに備える
    請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 前記計時手段によって計時された期間が短いときに、前記所定期間の調整に加え、燃料噴射圧が低下するようにこれを調整する噴射圧調整手段をさらに備える
    請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記増量補正手段は、メイン噴射に先立ってパイロット噴射を実行するものであり、
    前記調整手段は、少なくとも前記パイロット噴射の燃料噴射量を増量補正する所定期間を調整する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
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