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JP2010047814A - 導電性の液体中における犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置 - Google Patents

導電性の液体中における犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置 Download PDF

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JP2010047814A JP2008214768A JP2008214768A JP2010047814A JP 2010047814 A JP2010047814 A JP 2010047814A JP 2008214768 A JP2008214768 A JP 2008214768A JP 2008214768 A JP2008214768 A JP 2008214768A JP 2010047814 A JP2010047814 A JP 2010047814A
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Kenji Amaya
賢治 天谷
Atsushi Nakayama
淳 中山
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Hioki EE Corp
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Tokyo Institute of Technology NUC
Hioki EE Corp
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Abstract

【課題】犠牲陽極を取り外すことなく、電気防食の実施中に犠牲陽極から発生する防食電流を測定できる、導電性の液体中における犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置を提供する。
【解決手段】犠牲陽極を覆うように絶縁性を有するカバーを設置し、カバーの外側に設置した対極と金属構造物の間に電流を印加し、カバーの外側とカバーの内側の電位をそれぞれ測定するとともに、カバーの外側の電位と、カバーの外側とカバーの内側の電位差が0のときの印加電流の電流値とから、防食電流の電流値を推定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、海洋プラント、船舶等の導電性の液体(たとえば海水)中の金属構造物の電気防食を行うために設置された、犠牲陽極から流出する防食電流の電流測定方法及び電流測定装置に関する。
海洋プラント、船舶等の海洋構造物は、周囲を海水に囲まれ、厳しい腐食環境下にある。このような海水中の金属構造物の腐食を防止するための方法として、電気防食を行う方法がある。電気防食では、海水中及び海底土中の鋼材を電気化学的手法を用いて防食する。即ち、鋼材から電解質(海水)へ流れ出ようとする腐食電流に打ち勝つだけの直流電流を、外部から鋼材へ連続的に流し込むことにより、鋼材がイオン化(腐食)するのを防止する。
電気防食の方式の一つに、流電陽極方式と呼ばれる技術がある。流電陽極方式は、金属のイオン化傾向の高低を利用したもので、鉄よりイオン化傾向の高い金属(Al、Zn、Mg等)を鉄と繋ぎ、鉄がイオン化(腐食)するのに代わって、それらの金属がイオン化することにより鋼材の腐食を防ぐものである。即ち、防食する鋼材を陰極にして、鋼材よりもイオン化傾向の高い(卑)金属を犠牲陽極として電池を完成させ、両極間の電位差によって防食電流を流す方法である。
図6は、海水などの導電性の液体20と接する金属構造物1の流電陽極方式による電気防食について説明する図である。金属構造物1と液体20の境界には、ペイント2が塗布されている。金属構造物1の腐食を防止するために、金属構造物1を構成する金属よりイオン化傾向の高い(卑)金属から成る犠牲陽極3(金属構造物1を構成する金属が鉄の場合は、犠牲陽極3をアルミニウム合金等にする。)を、金属構造物1が液体20に触れる部位に溶接等により設置する。金属構造物1と犠牲陽極3とは、電気的に導通性を有するように接続する。犠牲陽極3は金属構造物1よりイオン化傾向が大きいので、図6の点線の矢印で示される向きに防食電流が流れ、金属構造物1を構成する金属がイオン化して腐食するのが防止される。
犠牲陽極から発生する防食電流を定量的に測定できれば、犠牲陽極の寿命予測やペイントの劣化状態の把握が可能になり有効である。従来、犠牲陽極が発生する防食電流は、犠牲陽極と構造物の間にシャント抵抗を挿入すると共に、犠牲陽極の芯金を構造物から切り離して、電圧降下法によって測定する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
図7は、犠牲陽極から流出する防食電流を、電圧降下法を用いて測定する装置の具体例を示す図である(特許文献1参照)。図7に示した装置は、金属構造物101に薄型溝106が固定され、電気絶縁体103を介して溝型鋼106と犠牲陽極102の芯金121が絶縁ボルトナット141で固定されている。更に、片方の陽極芯金121及び溝型鋼106は、それぞれ直流電流測定器105の端子143及び端子144と接続されている。直流電流測定器105内にはシャント抵抗があり、そのシャント抵抗の両端にはケーブル107の芯線が接続されると共に、ケーブル107は地上まで導かれている。
港湾技研資料 No.475 港湾構造物の電気防食調査(その1) 運輸省港湾技術研究所 1984年3月発行 特開2005−264286号公報
上述のように、犠牲陽極と金属構造物との間にシャント抵抗を挿入し、さらに犠牲陽極の芯金を金属構造物から切り外して、電圧降下法により犠牲陽極から発生する防食電流を測定していたのでは、犠牲陽極を金属構造物から切り外すために長時間を要し、且つそのための作業費用も高額になる。
本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、犠牲陽極を取り外すことなく、電気防食の実施中に犠牲陽極から流出する防食電流を測定できる、液中における犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置を提供することにある。
本発明は、導電性の液体中の金属構造物に犠牲陽極を設置した流電陽極方式における前記犠牲陽極の電流測定方法に関し、本発明の上記目的は、前記犠牲陽極を覆うように絶縁性を有するカバーを設置し、前記カバーの外側に設置した対極と前記金属構造物の間に電流を印加し、前記カバーの外側と前記カバーの内側の電位をそれぞれ測定するとともに、前記カバーの外側の電位と、前記カバーの外側と前記カバーの内側の電位差が0のときの前記印加電流の電流値とから、前記防食電流の電流値を推定することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、前記電位差が0のときの前記電流値をIeq、前記電流値が0のときの前記カバー外側電位をVout0、前記電位差が0のときの前記カバー外側電位をVouteq、前記金属構造物の自然電位をVnとしたとき、前記防食電流の電流値Isを、
Is=(Vout0−Vn)Ieq/(Vouteq−Vn)
によって推定することによって、効果的に達成される。
本発明は、導電性の液体中の金属構造物に犠牲陽極を設置した流電陽極方式における前記犠牲陽極の電流測定方法に関し、本発明の上記目的は、前記犠牲陽極を覆うように絶縁性を有するカバーを設置し、前記カバーの内側に設置した対極1と前記カバーの外側に設置した対極2の間に電流を印加し、前記カバーの外側と前記カバーの内側の電位差が0のときの前記電流の電流値を、前記防食電流の電流値とすることによって達成される。
本発明は、導電性の液体中の金属構造物に犠牲陽極を設置した流電陽極方式における前記犠牲陽極の電流測定装置に関し、本発明の上記目的は、該装置は、前記犠牲陽極を覆う絶縁性を有するカバーと、前記カバーが前記犠牲陽極を覆った状態において、前記カバーの内と外に設置された一対の参照電極と、前記カバーの外側に設置される対極と、前記対極と前記金属構造物の間に電流を印加するための直流電源と、前記各参照電極の電位を測定するための電圧測定手段と、前記参照電極間の電位差が0に近づくように前記直流電源の印加電流を制御する制御部と、前記参照電極の電位及び前記印加電流値を記録するとともに、前記犠牲陽極の防食電流の推定値を算出する解析部と、を備え、前記解析部は、前記電流値が0のときの前記カバー外側の参照電極の電位、前記参照電極間の電位差が0のときの前記カバー外側の参照電極の電位、及び前記参照電極間の電位差が0のときの前記印加電流値に基づいて前記犠牲陽極の防食電流の推定値を算出することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、前記電位差が0のときの前記電流値をIeq、前記電流値が0のときの前記カバー外側電位をVout0、前記電位差が0のときの前記カバー外側電位をVouteq、前記金属構造物の自然電位をVnとしたとき、前記解析部は、前記防食電流の電流値Isを、
Is=(Vout0−Vn)Ieq/(Vouteq−Vn)
によって、或いは前記電圧測定手段が前記参照電極ごとにそれぞれ独立して設けられていることによって、より効果的に達成される。
本発明は、導電性の液体中の金属構造物に犠牲陽極を設置した流電陽極方式における前記犠牲陽極の電流測定装置に関し、本発明の上記目的は、該装置は、前記犠牲陽極を覆う絶縁性を有するカバーと、前記カバーが前記犠牲陽極を覆った状態において、前記カバーの内と外に設置された一対の参照電極と、前記カバーの内側と外側にそれぞれ設置される2つの対極と、前記2つの対極の間に電流を印加するための直流電源と、前記参照電極間の電位差を測定するための電圧測定手段と、前記参照電極間の電位差が0に近づくように前記直流電源の印加電流を制御する制御部と、前記参照電極間の電位差及び前記印加電流値を記録する解析部と、を備え、前記解析部は、前記電位差が0のときの前記印加電流値を前記犠牲陽極の防食電流として出力することによって達成される。
本発明による犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置によれば、犠牲陽極の防食電流を測定する際に液中の金属構造物から犠牲陽極を取り外す必要が無く、犠牲陽極から発生する防食電流の測定を容易に行うことができる。また、犠牲陽極から発生する防食電流の測定を、電気防食の実施中に行うことができる。
本発明に係る犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置においては、液中の犠牲陽極を覆うように絶縁性を有するカバーを設置し、カバーの外側に設置した対極から電流を印加し、カバーの外側と内側の電位差が0のときの前記電流の電流値から、犠牲陽極から発生する防食電流を推定する。
図6に示されるのと同様に、金属構造物1の電気防食を犠牲陽極3によって行っている場合、図1(a)に示される参照電極5Aと参照電極5Bの間には電位差は生じず、電圧計6で測定される電位差は0になる。本発明に係る犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置では、図1(b)に示されるように、犠牲陽極3を覆うように絶縁性を有するカバー4を設置する。この場合、犠牲陽極3から発生する防食電流は点線の矢印で示されるように、カバー4とペイント2との隙間を通って漏れるようになり、参照電極5Bの電位に誤差が生ずる。そこで、この誤差を打ち消すために、対極7と金属構造物1の間に直流電源8によって電流を印加し、参照電極5Aと参照電極5Bの間の電位差を0とすることによって、カバー4とペイント2との隙間を通って流れる電流を見かけ上0にする。また、本発明では、犠牲陽極3によってできる電場を大きく変化させて、測定される電流に誤差が生じるのを防止するために、対極7をカバー4の外側に設けるようにしている。
なお、印加する電流は直流が好ましいが、0.2Hz程度以下の交流電流でも可能である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図2は、本発明に係る犠牲陽極の電流測定装置の構成を示す図である。図6と同様に、海水等の導電性の液体20と接する金属構造物1があり、金属構造物1と液体20の境界にはペイント2が塗布されている。金属構造物1の流電陽極方式による電気防食を行うために、金属構造物1が液体20に触れる部位に犠牲陽極3が設置され、金属構造物1と犠牲陽極3は電気的に導通性を有するように接続されている。
本発明に係る犠牲陽極の電流測定装置では、犠牲陽極3を覆うように絶縁性を有する半球状のカバー4を設置する。カバー4の内側には参照電極5A、カバー4の外側には参照電極5Bが設置され、参照電極5Aと参照電極5Bは導線で繋げられており、その導線上には参照電極5Aの電位を測定する接地された電圧計6Aと、参照電極5Bの電位を測定する接地された電圧計6Bが設けられている。更に、カバー4の外側には対極7が設置され、対極7と金属構造物1の間は導線で繋げられ、その導線上には対極7と金属構造物1の間に電流を印加するための直流電源8と、印加された電流の電流値Iを測定するための電流計9が設けられている。なお、カバー4は、半球状に限るものではなく、円筒状又は角柱状であってもよい。また、対極7は白金(Pt)製が好ましいが、銀、銅、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、金、タングステン等の金属単体や、若しくはそれらの合金などでもかまわない。
カバー4は、絶縁性材質であることが好ましいが、プラスチック製で、絶縁性があればポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、或いはポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステルなど材質は問わない。また、金属性のカバーにエポキシ樹脂などを絶縁塗装したカバーを用いても良い。また、カバー4は気密性を有する必要は無く、カバー4自体に孔(mmオーダー)や亀裂等があってもかまわない。さらには、参照電極5Aと5Bは、銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極が好ましいが、水銀電極又はカロメル電極でも良い。
直流電源8は制御部10で制御される。電圧計6Aによって測定されるカバー内側電位Vinと、電圧計6Bによって測定されるカバー外側電位Voutと、電流計9によって測定される電流値Iは解析部11に入力され、解析部11はこれらの値に基づいて犠牲陽極3から発生する防食電流の電流値Isを測定する。
カバー4と金属構造物1に塗布されているペイント2との隙間、及びカバー4に開けられる穴は、多少はあっても防食電流の電流値Isの測定結果にはほとんど影響しないが、隙間や穴は極力小さい方が測定の精度が良くなる。従って、カバー4は、カバー4とペイント2との隙間ができるだけ小さくなるように設置する。また、参照電極5Aと参照電極5Bを繋ぐ導線は、カバー4を通過させる必要があるが、このとき導線を通すためにカバー4に開けた穴は、周りを例えばゴムパッキングや樹脂で塞いで絶縁処理をすると良い。
本発明に係る犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置において、犠牲陽極3から発生する防食電流の電流値Isを測定する手順を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
先ず、対極7と金属構造物1の間に電流が印加されていない(I=0)のときに、カバー外側電位Voutを、初期値Vout0として記録する(ステップS1)。次に、制御部10は直流電源8を制御して、対極7と金属構造物1の間に電圧を印加し、対極7と金属構造物1との間の電流値の絶対値|I|を0から増加させる(ステップS2)。このとき、電流値の絶対値|I|を増加させることによって、カバー外側電位Voutとカバー内側電位Vinとの電位差ΔV=Vout−Vinが0に近づくように、制御部10は直流電源8を制御して、対極7と金属構造物1の間に印加される電流の向きを設定する。そして、解析部11は、電流計9で測定される電流値I、カバー内側電位Vin、カバー外側電位Voutを記録し(ステップS3)、電位差ΔVが0であるかどうか判定する(ステップS4)。
ステップS4において、電位差ΔVが0でないと判定された場合、制御部10は電流値の絶対値|I|が増加するように直流電源8を制御する(ステップS5)。そしてステップS3に戻り、解析部11は電流計9で測定される電流値Iと、カバー内側電位Vinと、カバー外側電位Voutを記録し、電位差ΔVが0であるかどうか判定する(ステップS4)。
ステップS4において、電位差ΔVが0であると判定された場合、解析部11は、このときの対極7と金属構造物1の間に印加された電流の電流値をIeq、カバー外側電位をVouteqとして記録する(ステップS6)。Ieqには犠牲陽極3の分極を消失するための電流が含まれているので、電流値Iが0の通常の状態での防食電流の電流値Isを求めるにはIeqを補正する必要がある。そのため、解析部11は下記式1によって、犠牲陽極3から発生する防食電流の電流値Isの推定値を求める(ステップS7)。
Is=(Vout0−Vn)Ieq/(Vouteq−Vn)・・・(式1)
ここで、Vnは金属構造物1の自然電位である。以上の手順によって、犠牲陽極3の防食電流の電流値Isが測定される。
次に、防食電流の電流値Isを測定した実験を示す。実験は、上述の手順で測定した防食電流の電流値Isを、犠牲陽極3と金属構造物1の間にあらかじめ設置した電流計によって測定した防食電流の電流値Ir0と比較することによって行う。
本実験で使用する犠牲陽極の電流測定装置は、図2に示される装置と同一である。実験では、液体20を海水にし、金属構造物1として鋼製鉄パイプを用い、犠牲陽極3をアルミニウム製、カバー4をポリ塩化ビニル製にする。ただし、実験では防食電流の電流値Ir0を実測するために、犠牲陽極3と金属構造物1との間にあらかじめ電流計が設置してある。
先ず、電流計によって防食電流の実測値Ir0を測定する。防食電流の実測値Ir0は95(mA)と測定された。
次に、図3に示される手順に沿って、カバー外側電位の初期値Vout0を測定する。カバー外側電位の初期値Vout0は814(mV)と測定された。そして、対極7と金属構造物1の間の電流値の絶対値|I|を増加させて、電流値I、カバー内側電位Vin、カバー外側電位Voutを記録する。本実験では電流Iの向きは、対極7から金属構造物1に流れる向きにする。更に本実験では、電流値Iを変化させたときの、電流計で測定した犠牲陽極の電流値(実測値)Irを記録する。電流値Iに対する、カバー外側電位Vout、カバー内側電位Vin、カバー内外の電位差ΔV、犠牲陽極3の電流値Irの関係は図4に示される。
図4に示されるように、点Pにおいて電位差ΔVが0になり、このときの電流値の絶対値はIeq=320(mA)である。図4に示されるように、点Pにおいて犠牲陽極3の電流値Irは0(mA)であり、犠牲陽極3の分極は0(V)になっている。しかし、印加される電流値Iが0の通常の状態では犠牲陽極3は分極しており、この分極を消失するための電流がIeq=320(mA)に含まれているので、防食電流の電流値Isを求めるにはIeqを補正する必要がある。防食電流の電流値Isは上記式1に従って、下記式2のように求められる。
すなわち、カバー外側電位の初期値Vout0=814(mV)、電位差ΔV=0のときのカバー外側電位Vouteq=1150(mV)、金属構造物1の自然電位Vnは通常650〜700(mV)の値を示すので、ここではVn=680(mV)と仮定して、それらを上記式1に代入すると、
Is=(814−680)×320/(1150−680)=91.2(mA)・・・(式2)
式2によって求められた防食電流の推定電流値Is=91(mA)は、あらかじめ電流計によって測定した防食電流の実測値Ir0=95(mA)と良く符合する。
本実験によって、本発明に係る犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置が、実用上十分な精度で防食電流Isを測定できることが確認できた。
上述の実施形態では、防食電流Isを求める際に、電位差ΔV=0のときの電流値Ieqを式1に従って補正する必要があるが、この補正を必要としないようにした、本発明に係る犠牲陽極の電流測定装置の他の構成例を図5に示す。
図5に示される犠牲陽極の電流測定装置では、図2に示される実施形態と同様に、ペイント2が塗布された金属構造物1が導電性の液体20に接しており、金属構造物1の電気防食を行うために犠牲陽極3が設置されている。
犠牲陽極3を覆うように絶縁性を有するカバー4が、カバー4とペイント2との隙間ができる限り小さくなるように設置されている。カバー4の内側には参照電極5A、カバー4の外側には参照電極5Bが設置され、参照電極5Aと参照電極5Bは導線で繋げられており、その導線上には参照電極5Aと参照電極5Bとの電位差ΔVを測定する電圧計6が設けられている。また、カバー4の内側には対極7A、カバー4の外側には対極7Bが設置され、対極7Aと対極7Bとを繋ぐ導線上には、対極7Aと対極7Bとの間に電流を印加するための直流電源8と、対極7Aと対極7Bとの間に印加される電流の電流値Iを測定する電流計9が設けられている。
参照電極5Aと参照電極5Bを繋ぐ導線及び、対極7Aと対極7Bを繋ぐ導線がカバー4を通過するためにカバー4に開けた穴は、周りを例えばゴムパッキングや樹脂で塞いで絶縁処理をすると良い。
直流電源8は制御部10によって、参照電極5Aと参照電極5Bとの間の電位差ΔVが0になるように制御される。電圧計6によって測定される電位差ΔVと、電流計9によって測定される電流値Iは、解析部11に入力され、解析部11は、犠牲陽極3が発生する防食電流の電流値Isを求める。なお、電流Ieqは、ΔV=0(mV)になった時の印加電流の実測値でもよいし、ちょうどΔV=0になるように印加電流を調整できない場合は、図5のグラフにおいて、電位差ΔV=0(mV)のときの電流値Ieqをグラフ上から読み取った値(外挿値)でもよい。請求項において「電位差が0のときの前記印加電流の電流値」という表現を用いているのは、外挿値も含む趣旨である。
本実施形態では、カバー4の外側とカバー4の内側の電位差ΔVが0の状態でも、犠牲陽極から電流値Iが0のときの通常時の電流が流れているため、電位差ΔVが0のときの電流値Iが防食電流の電流値Isとなる。従って、本実施形態では、制御部10は、電位差ΔVが0に近づく方向に電流が流れるように直流電源8を制御し、電流値Iの絶対値を徐々に増加させる。解析部11は、電流値Iと電位差ΔVの変化を記録し、電位差ΔVが0のときの電流値Iを、犠牲陽極3が発生する防食電流の電流値Isとして求める。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明に係る犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置において、防食電流の電流値の測定原理を説明する図である。 本発明に係る犠牲陽極の電流測定装置の構成を示す図である。 本発明に係る犠牲陽極の電流測定方法及び電流測定装置において、防食電流の電流値を測定する手順を示すフローチャートである。 印加電流値Iに対する、カバー内側電位Vin、カバー外側電位Vout、犠牲陽極の電流値Irの関係を示す図である。 本発明に係る犠牲陽極の電流測定装置の別の実施形態の構成を示す図である。 流電陽極方式による電気防食について説明する図である。 犠牲陽極から発生する防食電流を、電圧降下法を用いて測定する装置の具体例を示す図である。
符号の説明
1 金属構造物
2 ペイント
3 犠牲陽極
4 カバー
5A、5B 参照電極
6、6A、6B 電圧計
7、7A、7B 対極
8 直流電源
9 電流計
10 制御部
11 解析部
20 液体

Claims (16)

  1. 導電性の液体中の金属構造物に犠牲陽極を設置した流電陽極方式における前記犠牲陽極の電流測定方法であって、
    前記犠牲陽極を覆うように絶縁性を有するカバーを設置し、前記カバーの外側に設置した対極と前記金属構造物の間に電流を印加し、
    前記カバーの外側と前記カバーの内側の電位をそれぞれ測定するとともに、
    前記カバーの外側の電位と、前記カバーの外側と前記カバーの内側との電位差が0のときの前記印加電流の電流値とから、前記防食電流の電流値を推定することを特徴とする犠牲陽極の電流測定方法。
  2. 前記電位差が0のときの前記印加電流の電流値をIeq、
    前記印加電流の電流値が0のときの前記カバー外側電位をVout0、
    前記電位差が0のときの前記カバー外側電位をVouteq、
    前記金属構造物の自然電位をVnとしたとき、
    前記防食電流の電流値Isを、
    Is=(Vout0−Vn)Ieq/(Vouteq−Vn)
    によって推定する請求項1に記載の犠牲陽極の電流測定方法。
  3. 導電性の液体中の金属構造物に犠牲陽極を設置した流電陽極方式における前記犠牲陽極の防食電流測定方法であって、
    前記犠牲陽極を覆うように絶縁性を有するカバーを設置し、前記カバーの内側に設置した対極1と前記カバーの外側に設置した対極2の間に電流を印加し、前記カバーの外側と前記カバーの内側の電位差が0のときの前記印加電流の電流値を、前記防食電流の電流値とすることを特徴とする犠牲陽極の電流測定方法。
  4. 前記カバーがポリ塩化ビニル製である請求項1乃至3のいずれかに記載の犠牲陽極の電流測定方法。
  5. 前記カバーは、半球状、円筒状又は角柱状である請求項1乃至4のいずれかに記載の犠牲陽極の電流測定方法。
  6. 前記対極は、白金、銀、銅、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、金、タングステンのうち少なくとも1つの金属から成る請求項1乃至5のいずれかに記載の犠牲陽極の電流測定方法。
  7. 前記対極は、白金、銀、銅、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、金、タングステンのうち2つ以上の金属から成る合金である請求項6に記載の犠牲陽極の電流測定方法。
  8. 前記参照電極は、銀/塩化銀電極、水銀電極又はカロメル電極のいずれかである請求項1乃至7のいずれかに記載の犠牲陽極の電流測定方法。
  9. 導電性の液体中の金属構造物に犠牲陽極を設置した流電陽極方式における前記犠牲陽極の電流測定装置であって、該装置は、
    前記犠牲陽極を覆う絶縁性を有するカバーと、
    前記カバーが前記犠牲陽極を覆った状態において、前記カバーの内と外に設置された一対の参照電極と、
    前記カバーの外側に設置される対極と、
    前記対極と前記金属構造物の間に電流を印加するための直流電源と、
    前記各参照電極の電位を測定するための電圧測定手段と、
    前記参照電極間の電位差が0に近づくように前記直流電源の印加電流を制御する制御部と、
    前記参照電極の電位及び前記印加電流値を記録するとともに、前記犠牲陽極の防食電流の推定値を算出する解析部と、を備え、
    前記解析部は、前記印加電流値が0のときの前記カバー外側の参照電極の電位、前記参照電極間の電位差が0のときの前記カバー外側の参照電極の電位、及び前記参照電極間の電位差が0のときの前記印加電流値に基づいて前記犠牲陽極の防食電流の推定値を算出することを特徴とする犠牲陽極の電流測定装置。
  10. 前記電位差が0のときの前記電流値をIeq、
    前記電流値が0のときの前記カバー外側電位をVout0、
    前記電位差が0のときの前記カバー外側電位をVouteq、
    前記金属構造物の自然電位をVnとしたとき、
    前記解析部は、前記防食電流の電流値Isを、
    Is=(Vout0−Vn)Ieq/(Vouteq−Vn)
    によって推定する請求項9に記載の犠牲陽極の電流測定装置。
  11. 前記電圧測定手段が前記参照電極ごとにそれぞれ独立して設けられている請求項9又は10に記載の犠牲陽極の電流測定装置。
  12. 導電性の液体中の金属構造物に犠牲陽極を設置した流電陽極方式における前記犠牲陽極の防食電流測定装置であって、該装置は、
    前記犠牲陽極を覆う絶縁性を有するカバーと、
    前記カバーが前記犠牲陽極を覆った状態において、前記カバーの内と外に設置された一対の参照電極と、
    前記カバーの内側と外側にそれぞれ設置される2つの対極と、
    前記2つの対極の間に電流を印加するための直流電源と、
    前記参照電極間の電位差を測定するための電圧測定手段と、
    前記参照電極間の電位差が0に近づくように前記直流電源の印加電流を制御する制御部と、
    前記参照電極間の電位差及び前記印加電流値を記録する解析部と、を備え、
    前記解析部は、前記電位差が0のときの前記印加電流値を前記犠牲陽極の防食電流として出力することを特徴とする犠牲陽極の電流測定装置。
  13. 前記カバーがポリ塩化ビニル製である請求項9乃至12のいずれかに記載の犠牲陽極の電流測定装置。
  14. 前記対極は、白金、銀、銅、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、金、タングステンのうち少なくとも1つの金属から成る請求項9乃至13のいずれかに記載の犠牲陽極の電流測定装置。
  15. 前記対極は、白金、銀、銅、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、金、タングステンのうち2つ以上の金属から成る合金である請求項14に記載の犠牲陽極の電流測定装置。
  16. 前記参照電極は、銀/塩化銀電極、水銀電極又はカロメル電極のいずれかである請求項9乃至15のいずれかに記載の犠牲陽極の電流測定装置。
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