JP2010046733A - ねじ切りフライス - Google Patents
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Abstract
【課題】切れ刃の強度を高めて、工具寿命の向上を図ることができるねじ切りフライスを提供すること。
【解決手段】チップ20が単結晶ダイヤモンドから構成されているので、刃部30の強度を高めることができる。よって、切れ刃31に生じる欠けや摩耗などを抑制することができ、その分、工具寿命の向上を図ることができる。また、ねじ切り加工数の増加に伴う刃部形状の変化を小さくすることができるので、めねじの寸法精度の向上を図ることができる。更に、被加工物の切削面を平滑に仕上げることができるので、被加工物に形成されためねじの強度の向上を図ることができる。
【選択図】図3
【解決手段】チップ20が単結晶ダイヤモンドから構成されているので、刃部30の強度を高めることができる。よって、切れ刃31に生じる欠けや摩耗などを抑制することができ、その分、工具寿命の向上を図ることができる。また、ねじ切り加工数の増加に伴う刃部形状の変化を小さくすることができるので、めねじの寸法精度の向上を図ることができる。更に、被加工物の切削面を平滑に仕上げることができるので、被加工物に形成されためねじの強度の向上を図ることができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、ねじ切りフライスに関し、特に、切れ刃の強度を高めて、工具寿命の向上を図ることができるねじ切りフライスに関するものである。
めねじを切削加工する工具としてねじ切りフライスがある。これは、形成すべきめねじのねじ溝に対応するねじ山形状の刃部を備え、例えば、NCフライス盤やマシニングセンタなどに取り付けられ、軸心まわりに回転されると共に被加工物の下穴内を公転しつつ軸心方向へリード送りされることで、その下穴の内周面にめねじを切削加工する。
特開2004−291103号公報や特開2004−291104号公報に記載のねじ切りフライスはその一例であり、軸心まわりに回転される工具本体と、その工具本体から外周側へ突き出す先端部(刃部)にねじ山形状の切れ刃が形成されたねじ切削用チップ(チップ)とを備えて構成されている(特許文献1,2)。
特開2004−291103号公報(段落[0021]等)
特開2004−291104号公報(段落[0021]等)
しかしながら、上述した従来のねじ切りフライスでは、チップが超硬合金から構成されていたため、切れ刃の強度を十分に確保することが困難であった。そのため、ねじ切り加工に伴い、切れ刃の欠けや摩耗などが生じやすく、工具寿命が不十分であるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、切れ刃の強度を高めて、工具寿命の向上を図ることができるねじ切りフライスを提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載のねじ切りフライスは、軸心まわりに回転される工具本体と、その工具本体に刃部を外周側へ突き出した状態で取着されるチップとを備えると共に、前記刃部が加工すべきねじ溝に対応するねじ山形状の切れ刃を備え、前記工具本体が軸心まわりに回転されつつ被加工物に対して相対移動されることで、前記チップの刃部により被加工物の下穴にめねじを切削加工するものであり、前記チップが単結晶ダイヤモンドから構成されている。
請求項2記載のねじ切りフライスは、請求項1記載のねじ切りフライスにおいて、前記切れ刃のねじ山形状がレーザーの照射により形成されている。
請求項3記載のねじ切りフライスは、請求項2記載のねじ切りフライスにおいて、前記チップは、六面体であって各面が(100)結晶面からなる単結晶ダイヤモンドから構成され、前記刃部は、すくい面および逃げ面の稜線が前記切れ刃とされ、前記すくい面が(100)結晶面により構成されると共に隣接する逃げ面同士の稜線が(100)結晶面上に位置する。
請求項4記載のねじ切りフライスは、請求項3記載のねじ切りフライスにおいて、前記工具本体は、前記チップが載置される座面を備えると共に、前記座面が軸心を含み前記切れ刃のねじ山形状の山頂を通る仮想平面に対して傾斜している。
請求項5記載のねじ切りフライスは、請求項2記載のねじ切りフライスにおいて、前記刃部は、すくい面および逃げ面の稜線が切れ刃とされると共に、前記切れ刃の少なくとも一部が(111)結晶面上に位置する。
請求項1記載のねじ切りフライスによれば、チップが単結晶ダイヤモンドから構成されているので、刃部の強度を高めることができる。よって、切れ刃に生じる欠けや摩耗などを抑制することができ、その分、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。
また、刃部の摩耗が抑制できれば、ねじ切り加工数の増加に伴う刃部形状の変化を小さくすることができるので、被加工物の加工精度の変化を小さくして、めねじの寸法精度の向上を図ることができるという効果がある。刃部形状の変化を小さくできることは、本発明のように、刃部の切れ刃形状がそのまま被加工物のめねじ形状として転写されるねじ切りフライスにおいて特に有効である。
更に、本発明によれば、チップが単結晶ダイヤモンドから構成されているので、被加工物の切削面を平滑に仕上げることができる。よって、被加工物に形成されためねじの強度の向上を図ることができるという効果がある。
請求項2記載のねじ切りフライスによれば、請求項1記載のねじ切りフライスの奏する効果に加え、切れ刃のねじ山形状をレーザーの照射により形成する構成であるので、研磨加工が困難な単結晶ダイヤモンドに対するねじ山形状の形成を短時間で行うことができ、その結果、加工コストの削減を図ることができるという効果がある。
なお、研磨加工では、単結晶ダイヤモンドの(111)結晶面を加工することができないため、切れ刃のねじ山形状の形成に際し、(111)結晶面を加工する必要が生じた場合には、単結晶ダイヤモンドの向きを調整((111)結晶面を加工する必要がない向きに調整)しつつ研磨加工を行う必要があり、加工コストが嵩む。
これに対し、本発明のねじ切りフライスによれば、レーザーの照射により切れ刃のねじ山形状を形成する構成であるので、(111)結晶面を加工する必要が生じた場合でも、かかる(111)結晶面をレーザーにより溶融させて、切れ刃のねじ山形状を容易に形成することができる。よって、単結晶ダイヤモンドの向きを調整するという作業を行う必要がないので、その分、加工コストを削減することができる。
請求項3記載のねじ切りフライスによれば、請求項2記載のねじ切りフライスの奏する効果に加え、チップを六面体であって各面が(100)結晶面からなる単結晶ダイヤモンドから構成し、すくい面を(100)結晶面により構成すると共に隣接する逃げ面同士の稜線を(100)結晶面上に位置させる構成であるので、単結晶ダイヤモンドの原形を活かして刃部を形成することができる。よって、単結晶ダイヤモンドに複雑な加工を施す必要がなく、刃部を容易に形成することができるので、その分、加工コストを削減することができる。即ち、この場合には、(100)結晶面が6面体の各面に既に出ているので、かかる6面体に対して切れ刃のねじ山形状のみを切り出すことで、上述した構成の刃部を容易に形成することができる。
また、すくい面を(100)結晶面により構成すると共に隣接する逃げ面同士の稜線を(100)結晶面上に位置させる構成とすることで、すくい面と逃げ面同士の稜線とにおける耐摩耗性を向上させて、耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
請求項4記載のねじ切りフライスによれば、請求項3記載のねじ切りフライスの奏する効果に加え、チップが載置される座面を工具本体に設け、その座面が軸心を含み前記切れ刃のねじ山形状の山頂を通る仮想平面に対して傾斜する構成であるので、チップを六面体であって各面が(100)結晶面からなる単結晶ダイヤモンドから構成し、すくい面を(100)結晶面により構成すると共に隣接する逃げ面同士の稜線を(100)結晶面上に位置させる構成とした場合でも、逃げ面と被加工物の切削面との不必要な接触を避けることができるという効果がある。即ち、単結晶ダイヤモンドの原形を活かし、複雑な加工を施すことなく、刃部を形成可能とし、かつ、逃げ面同士の稜線における耐摩耗性の向上を図りつつ、逃げ面が切削面へ接触することを回避することができる。
請求項5記載のねじ切りフライスによれば、請求項2記載のねじ切りフライスの奏する効果に加え、切れ刃の少なくとも一部が単結晶ダイヤモンドの(111)結晶面上に位置する構成であるので、単結晶ダイヤモンドの結晶面の中で最も硬さに優れているとされる(111)結晶面を切れ刃として利用することで、切れ刃の強度を高めることができる。よって、切れ刃に生じる欠けや摩耗などを抑制することができ、その分、工具寿命のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態におけるねじ切りフライス1の正面図であり、図2は、図1の矢印II方向から視たねじ切りフライス1の先端視図である。なお、矢印II方向は軸心O方向に平行である。
まず、図1を参照して、ねじ切りフライス1の全体構成について説明する。ねじ切りフライス1は、NCフライス盤やマシニングセンタ等の加工機械(図示せず)から伝達される回転力により被加工物の下穴内周面にめねじを形成するための切削工具であり、図1に示すように、タングステンカーバイト(WC)等を加圧焼結した超硬合金から構成される工具本体10と、その工具本体10の先端(図1下側)に取り付けられ単結晶ダイヤモンドから構成されるチップ20とを備えて構成されている。なお、工具本体10は、超硬合金から構成される場合に限られず、例えば、工具本体10を高速度工具鋼などから構成しても良い。
工具本体10は、その後端側(図1上側)に設けられるシャンク11と、そのシャンク11に連設され工具本体10の先端側(図1下側)に設けられるボデー12とを備えて構成されている。シャンク11は、加工機械に保持される部位であり、図1及び図2に示すように、軸心Oを中心とする円柱状に形成されている。
ねじ切りフライス1は、このシャンク11を介して工具本体10が加工機械に保持され、加工機械から伝達される駆動力によって、軸心Oまわりに回転されると共に被加工物(図示せず)の下穴内を公転しつつ軸心O方向へリード送りされることで、チップ20により被加工物の下穴内周面にめねじを切削加工する。
なお、シャンク11は、軸心Oに沿って一定の外径を有する円柱状に形成される場合に限られず、例えば、シャンク11を工具本体10の先端側から後端側へ向かうにつれて外径が縮小するテーパ状に形成しても良い。
ボデー12は、刃部20が取り付けられる部位であり、図1及び図2に示すように、軸心Oに沿って一定の外径を有する円柱状に形成されると共に、その円柱状体の一部を切り欠いて形成される座面13を備えている。なお、ボデー12の外径は、シャンク11の外径よりも小さくされている。
座面13は、刃部20をろう付けするための取付面であり、図2に示すように、軸心Oと平行な平面状に形成され、ボデー12の先端部(図1下側)に形成されている。
チップ20は、被加工物の切削にあずかるねじ切削用チップであり、単結晶ダイヤモンドから板状の小片として構成されると共に、刃部30(図3参照)を工具本体10(ボデー12)の外周側へ突き出した状態で座面13に固定(ろう付け)されている。
このように、本実施の形態におけるねじ切りフライス1によれば、チップ20が単結晶ダイヤモンドから構成されているので、刃部30の強度を高めることができる。よって、切れ刃31(図3参照)に生じる欠けや摩耗などを抑制することができ、その分、工具寿命の向上を図ることができる。
また、刃部30の摩耗を抑制することができれば、ねじ切り加工数の増加に伴う刃部30(切れ刃31)の形状変化を小さくすることができるので、被加工物の加工精度の変化を小さくして、めねじの寸法精度の向上を図ることができる。このように、刃部30(切れ刃31)の形状変化を小さくできることは、刃部30(切れ刃31)の形状がそのまま被加工物のめねじ形状として転写されるねじ切りフライス1において特に有効である。
更に、本実施の形態におけるねじ切りフライス1によれば、チップ20が単結晶ダイヤモンドから構成されているので、被加工物の切削面を、研磨加工による仕上げ面よりも、平滑に仕上げることができる。よって、被加工物に形成されためねじの強度の向上を図ることができる。
次いで、チップ20の詳細構成について、図3を参照して説明する。図3(a)は、図1のIIIa部を部分的に拡大して示したねじ切りフライス1の部分拡大正面図であり、図3(b)は、図2のIIIb部を部分的に拡大して示したねじ切りフライス1の部分拡大先端視図である。
チップ20は、刃部30を備え、この刃部30を外周側(図3(a)右側)へ突き出した状態で座面13にろう付け固定されている。刃部30は、すくい面31と、逃げ面32と、それらすくい面31及び逃げ面32の稜線に形成される切れ刃33とを主に備えている。
すくい面31は、切れ刃33による被加工物の切削加工時に切りくずを生成および排出するための部位であり、図3(a)及び図3(b)に示すように、刃部30の外面であって座面13にろう付けされる一面と反対側の面により構成され、座面13と平行な平面状に形成されている。
逃げ面32は、切れ刃33による被加工物の切削加工時に刃部30と被加工物との接触面積を低減するための部位であり、すくい面31に対して所定の逃げ角で傾斜する平面状に形成されている。なお、本実施の形態では、逃げ面32とすくい面31とが直交するように構成されている。
切れ刃33は、被加工物の切削に直接あずかる部位であり、上述したように、すくい面31と逃げ面32とが交差する稜線に形成されると共に、図3(a)及び図3(b)に示すように、加工すべき被加工物のねじ溝に対応するねじ山形状に形成されている。なお、本実施の形態では、図3(a)に示すように、切れ刃33が1山のねじ山形状に形成されている。
ここで、本実施の形態では、切れ刃33のねじ山形状がレーザーの照射により形成されている。これにより、研磨加工が困難な単結晶ダイヤモンドに対するねじ山形状(切れ刃33)の形成を短時間で行うことができ、その結果、加工コストの削減を図ることができる。
なお、研磨加工では、単結晶ダイヤモンドの(111)結晶面を加工することができないため、切れ刃33のねじ山形状の形成に際し、(111)結晶面を加工する必要が生じた場合には、単結晶ダイヤモンドの向きを調整((111)結晶面を加工する必要がない向きに調整)しつつ研磨加工を行う必要があり、加工コストが嵩む。
これに対し、本実施の形態におけるねじ切りフライス1によれば、レーザーの照射により切れ刃33のねじ山形状を形成する構成であるので、(111)結晶面を加工する必要が生じた場合でも、かかる(111)結晶面をレーザーにより溶融させて、切れ刃33のねじ山形状を容易に形成することができる。よって、単結晶ダイヤモンドの向きを調整するという作業を行う必要がないので、その分、加工コストを削減することができる。
また、本実施の形態では、チップ20は、六面体であって各面が(100)結晶面からなる単結晶ダイヤモンドから構成され、刃部30は、すくい面31が(100)結晶面により構成されると共に隣接する逃げ面32同士の稜線32aが(100)結晶面上に位置する構成である。
これにより、単結晶ダイヤモンドの原形を活かして刃部30を形成することができる。よって、単結晶ダイヤモンドに複雑な加工を施す必要がなく、刃部30を容易に形成することができるので、その分、加工コストを削減することができる。即ち、この場合には、(100)結晶面が6面体の各面に既に出ているので、かかる6面体に対して切れ刃31のねじ山形状のみをレーザーの照射により切り出す(逃げ面32のみを形成する)ことで、上述した構成の刃部30を容易に形成することができる。
また、すくい面31を(100)結晶面により構成すると共に隣接する逃げ面32同士の稜線32aを(100)結晶面上に位置させる構成とすることで、すくい面31と逃げ面32同士の稜線32aにおける耐摩耗性を向上させて、耐久性の向上を図ることができる。
ここで、座面13は、図3(b)に示すように、仮想平面Pに対して傾斜角θで切削方向後方側(図3(b)下側)へ傾斜されている。即ち、座面13は、軸心O(図2参照)から離間するに従って仮想平面Pとの間隔を拡大させる。なお、仮想平面Pとは、軸心Oを含み、かつ、切れ刃33のねじ山形状の山頂tとを通る仮想の平面である。
これにより、チップ20を六面体であって各面が(100)結晶面からなる単結晶ダイヤモンドから構成し、すくい面31を(100)結晶面により構成すると共に隣接する逃げ面32同士の稜線32aを(100)結晶面上に位置させる構成とした場合でも、逃げ面32と被加工物の切削面との不必要な接触を避けることができる。即ち、単結晶ダイヤモンドの原形を活かし、複雑な加工を施すことなく、刃部30を形成可能とし、かつ、逃げ面32同士の稜線32aにおける耐摩耗性の向上を図りつつ、逃げ面32が切削面へ接触することを回避することができる。
次いで、ねじ切りフライス1の製造方法について説明する。ねじ切りフライス1の製造に際しては、まず、超硬合金から構成されるブランク(図示せず)にシャンク11及びボデー12を加工して工具本体10を形成すると共に、その工具本体10のボデー12を切り欠いて座面13を形成する(工具本体形成工程)。
座面13を形成した後は、各面が(100)結晶面からなる単結晶ダイヤモンドの一面を座面13へろう付けして、単結晶ダイヤモンドを座面13へ固定する(固定工程)。次いで、固定した単結晶ダイヤモンドに対して、レーザーを照射することで、切れ刃33を形成する(切れ刃形成工程)。
なお、切れ刃形成工程では、レーザ加工機(図示せず)により単結晶ダイヤモンド(チップ20)にレーザ光(レーザの種類:ヤグレーザ、パルス出力:4mJ、パルス幅:3ms、パルス周波数:50kHz)を照射して、図3(a)に示すねじ山形状を形成する(逃げ面32を形成する)。これにより、すくい面31と逃げ面32とが交差する稜線部に切れ刃33が形成される。
次いで、従来のねじ切りフライスと本実施の形態におけるねじ切りフライス1とを用いて行った耐久試験の試験結果について説明する。耐久試験は、ねじ切りフライスと本実施の形態におけるねじ切りフライス1との耐久性を比較するものであり、被加工物の下穴内周面に所定の寸法精度内でめねじを切削加工できる加工数を計測して比較した。
耐久試験の詳細諸元は、被加工物の材質:ADC12、ボデー12の外周からのチップ20の突き出し寸法:4.5mm、加工ねじサイズ:M6×1、下穴直径:φ5.1mm、下穴長さ×ねじ長さ:15mm×9mm、周速:300m/min、1刃あたりの送り(1回転あたりの送り):0.1mm/t、加工機:縦型マシニングセンタ、切削油:水溶性切削油剤(10倍希釈)である。
なお、従来のねじ切りフライスは、本実施の形態におけるねじ切りフライス1に対し、チップ20の材質が超硬合金から構成される点で異なる以外は、同じ形状(寸法)に構成されている。また、耐久試験では、1,000穴の加工毎にチップ(刃部)の状態を確認し、摩耗量が所定量に達しているか否かを判断した。
耐久試験の結果、従来のねじ切りフライスでは、20,000穴の時点でチップ(刃部)の摩耗が所定量に達しており、その後の加工が不可能となったのに対し、本実施の形態におけるねじ切りフライス1では、50,000穴加工時点においても、チップ20(刃部30)の摩耗量は所定量に達しておらず、また、刃部30に損傷は発見されず、更に加工が可能な状態であった。
次いで、図4を参照して、第2実施の形態におけるねじ切りフライス201について説明する。なお、第1実施の形態と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4(a)は、第2実施の形態におけるねじ切りフライス201の部分拡大正面図であり、図3(a)に対応する。また、図4(b)は、ねじ切りフライス201の部分拡大先端視図であり、図3(b)に対応する。
第2実施の形態におけるチップ220は、第1実施の形態と同様に、刃部230を外周側(図4(a)右側)へ突き出した状態で座面13にろう付け固定されている。刃部230は、すくい面231と、逃げ面232と、それらすくい面231及び逃げ面232の稜線に形成される切れ刃233とを主に備えている。
切れ刃33は、加工すべき被加工物のねじ溝に対応するねじ山形状に形成されており、本実施の形態では、図4(a)に示すように、切れ刃33が3山のねじ山形状に形成されている。なお、3山のねじ山形状はそれぞれ同じ構成であるので、図4(a)では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、1山のねじ山のみに符号を付し、残りの2山への符号の図示を省略している。
ここで、第2実施の形態におけるねじ切りフライス201では、第1実施の形態の場合と同様に、チップ220が、六面体であって各面が(100)結晶面からなる単結晶ダイヤモンドから構成され、刃部230は、すくい面231が(100)結晶面により構成されると共に隣接する逃げ面232同士の稜線232aが(100)結晶面上に位置する構成である。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施の形態では、六面体であって各面(外面)が(100)結晶面からなる単結晶ダイヤモンドでチップ20,220を構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。他の結晶面を外面としてチップ20,220を構成することは当然可能である。
上記実施の形態では説明を省略したが、チップ20,220は、人工の単結晶ダイヤモンドから構成しても良く、或いは、天然の単結晶ダイヤモンドから構成しても良い。但し、各面(外面)が(100)結晶面からなる六面体の単結晶ダイヤモンドでチップ20,220を構成する場合には、人工の単結晶ダイヤモンドから構成することが好ましい。天然の単結晶ダイヤモンドと比較して形状に歪みの少ない人工の単結晶ダイヤモンドから刃部を構成することで、簡素な加工(切れ刃33,233のねじ山形状の形成)のみを行う場合であっても、刃部30,230を精度良く構成することができるからである。
上記実施の形態では、切れ刃33,233が1山または3山のねじ山形状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、2山のねじ山形状であっても良く、或いは、4山以上のねじ山形状であっても良い。
上記実施の形態では、切れ刃33,233が(100)結晶面上に位置する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の結晶面上に位置させても良い。例えば、切れ刃の少なくとも一部が(111)結晶面上に位置するように構成しても良い。この場合には、単結晶ダイヤモンドの結晶面の中で最も硬さに優れているとされる(111)結晶面を切れ刃として利用することで、切れ刃の強度を高めることができる。よって、切れ刃に生じる欠けや摩耗などを抑制することができ、その分、工具寿命のより一層の向上を図ることができる。
1,201 ねじ切りフライス
O 軸心
10 工具本体
11 シャンク(工具本体の一部)
12 ボデー(工具本体の一部)
13 座面
20 チップ
30 刃部
31 すくい面(刃部の一部)
32 逃げ面(刃部の一部)
32a,232a 逃げ面同士の稜線
33 切れ刃(刃部の一部)
t ねじ山形状の山頂
P 仮想平面
O 軸心
10 工具本体
11 シャンク(工具本体の一部)
12 ボデー(工具本体の一部)
13 座面
20 チップ
30 刃部
31 すくい面(刃部の一部)
32 逃げ面(刃部の一部)
32a,232a 逃げ面同士の稜線
33 切れ刃(刃部の一部)
t ねじ山形状の山頂
P 仮想平面
Claims (5)
- 軸心まわりに回転される工具本体と、その工具本体に刃部を外周側へ突き出した状態で取着されるチップとを備えると共に、前記刃部が加工すべきねじ溝に対応するねじ山形状の切れ刃を備え、前記工具本体が軸心まわりに回転されつつ被加工物に対して相対移動されることで、前記チップの刃部により被加工物の下穴にめねじを切削加工するねじ切りフライスにおいて、
前記チップが単結晶ダイヤモンドから構成されていることを特徴とするねじ切りフライス。 - 前記切れ刃のねじ山形状がレーザーの照射により形成されていることを特徴とする請求項1記載のねじ切りフライス。
- 前記チップは、六面体であって各面が(100)結晶面からなる単結晶ダイヤモンドから構成され、
前記刃部は、すくい面および逃げ面の稜線が前記切れ刃とされ、前記すくい面が(100)結晶面により構成されると共に隣接する逃げ面同士の稜線が(100)結晶面上に位置することを特徴とする請求項2記載のねじ切りフライス。 - 前記工具本体は、前記チップが載置される座面を備えると共に、前記座面が軸心を含み前記切れ刃のねじ山形状の山頂を通る仮想平面に対して傾斜していることを特徴とする請求項3記載のねじ切りフライス。
- 前記刃部は、すくい面および逃げ面の稜線が切れ刃とされると共に、前記切れ刃の少なくとも一部が(111)結晶面上に位置することを特徴とする請求項2記載のねじ切りフライス。
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