JP2010028892A - ブラシレスモータ制御装置、これを備える糸巻取機、ブラシレスモータの減速制御方法及びブラシレスモータの減速制御プログラム - Google Patents
ブラシレスモータ制御装置、これを備える糸巻取機、ブラシレスモータの減速制御方法及びブラシレスモータの減速制御プログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ロータの位置を検出するための位置センサが進角をつけて配置される構成のブラシレスモータを制御する制御装置において、減速制御を精密に行うことができる構成を提供する。
【解決手段】モータ制御部20は、磁気センサ14からの信号に基づいてモータのコイルに流す電流の波形パターンをPWM制御により変更するPWM制御部23を備える。モータ制御部20がブラシレスモータ10を減速制御する際には、PWM制御部23は、波形パターンの変更のタイミングをPWM制御の周期単位で遅延させる。また、モータ制御部20は、図略の記憶部にテーブル形式で記憶されている設定値からロータの回転速度の速度域に応じて遅延値を設定する遅延値設定部22を備え、この遅延値に応じて、波形パターン変更のタイミングを遅延させる時間を決定する。
【選択図】図1
【解決手段】モータ制御部20は、磁気センサ14からの信号に基づいてモータのコイルに流す電流の波形パターンをPWM制御により変更するPWM制御部23を備える。モータ制御部20がブラシレスモータ10を減速制御する際には、PWM制御部23は、波形パターンの変更のタイミングをPWM制御の周期単位で遅延させる。また、モータ制御部20は、図略の記憶部にテーブル形式で記憶されている設定値からロータの回転速度の速度域に応じて遅延値を設定する遅延値設定部22を備え、この遅延値に応じて、波形パターン変更のタイミングを遅延させる時間を決定する。
【選択図】図1
Description
本発明はブラシレスモータの制御に関するものであり、詳細には、ロータの位置を検出するための位置センサが進角をつけて配置されるブラシレスモータの減速時の制御に関するものである。
従来から、ロータの位置を検出するための位置センサを備え、当該位置センサがロータを検出したタイミングでコイルへの通電波形パターンを変更する構成のブラシレスモータが知られている。この構成のブラシレスモータは、位置センサからの信号の解析に時間が掛かったり、コイルの励磁遅れが生じたり等して、磁束制御に遅れが生じてしまうことがある。そこで、位置センサをロータの常用域の回転方向に対し進角をつけて配置することで、波形パターンの変更のタイミングを進角させ、これにより磁束制御遅れを補償する構成が従来から知られている。この種のブラシレスモータを開示したものに、例えば特許文献1がある。
特許文献1のブラシレスモータは、ロータ磁石の極を検出するための磁極検出素子(位置センサ)を有し、ロータ磁石の極を検出しモータコイルに流す電流の方向切り換え又はオン、オフ動作を半導体素子によって行う構成となっている。このブラシレスモータは、前記磁極検出素子を異なる進角を得るように複数組有している。そして、当該ブラシレスモータの駆動回路は、前記複数組の磁極検出素子をスイッチ手段を用いて切り換えるように構成している。特許文献1はこの構成により、モータの進角を変化でき、モータの最高トルクや最高効率を引き出すことができるとする。
特開平6−311780号公報
ブラシレスモータにおいて位置センサを進角させて配置した場合、加速時又は定速時においては波形パターンを適切なタイミングで変更できるものの、減速時には波形パターン変更のタイミングが逆に早くなり過ぎることがあった。波形パターンが的確なタイミングで変更されない場合、回転制御の精度が低下するおそれがあり、また、電力効率が低下する原因となっていた。
この点、特許文献1のブラシレスモータは、減速時においては進角が小さい側の磁極検出素子に切り換えることで、回転制御の精度の低下を若干抑制できると考えられる。しかしながら、特許文献1の構成は複数組の磁極検出手段を備えなければならず、ブラシレスモータの構成の簡素化と製造コストの削減という観点から改善の余地があった。
なお、他の手法としては、位置センサ用のタイマを設け、減速制御時においては、位置センサが実際にロータを検出したタイミングから所定時間後の時点でロータを検出したとみなして波形パターンを制御する方法も考えられる。この場合、磁束制御のタイミングを電子的に適宜遅延させることが可能になるが、タイミングを遅延させるためのタイマが必要になるため、構成が複雑化し、コストが増大してしまう。
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータの位置を検出するための位置センサが進角をつけて配置されるブラシレスモータの制御装置において、精密な減速制御を可能とする簡素な構成を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、ロータと、前記ロータの位置を検出するための位置センサと、を備え、前記位置センサが所定の進角をつけて配置されるブラシレスモータを制御するブラシレスモータ制御装置において、以下の構成が提供される。即ち、ブラシレスモータ制御装置は、前記位置センサからの信号に基づいてコイルに流す電流の波形パターンを変更する波形パターン変更部を備える。前記波形パターン変更部は、コイルに流す電流の波形パターンをパルス変調制御により変更し、減速制御時は、波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期に応じて遅延させる。
これにより、通常の回転時は、位置センサの進角配置によってロータの検出タイミングを早め、磁束制御遅れを補償するように波形パターンを変更できる。一方で、減速時は、波形パターンの変更タイミングを遅延させることで、当該波形パターンの変更が早くなり過ぎないようにすることができる。従って、減速時にも精密にロータの回転を制御でき、意図したタイミングでロータの回転を確実に停止できる。また、減速制御を効率的に行うことができるので、消費電力を抑制できる。更に、パルス変調制御の周期を利用して波形パターン変更のタイミングを遅延させるので、複雑な計算を省略でき、ブラシレスモータ制御装置に掛かる負担を軽減できる。更に、波形パターン変更タイミングを遅延制御するためにタイマ等の手段を特別に備える必要がないので、装置をシンプルに構成することができ、消費電力の削減を低コストで達成できる。
前記のブラシレスモータ制御装置においては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、このブラシレスモータ制御装置は、前記ロータの回転速度に応じて異なる遅延値を設定可能な遅延値設定部を備える。前記波形パターン変更部は、減速制御時において波形パターンの変更のタイミングを前記遅延値に応じて遅延させる。
これにより、簡易な構成で、回転速度に応じた適切なタイミングで波形パターンを変更することができ、ブラシレスモータの回転を一層精密に制御できる。
前記のブラシレスモータ制御装置においては、前記波形パターン変更部は、減速制御時において波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期単位で遅延させることが好ましい。
これにより、波形パターン変更タイミングの計算をパルス変調制御の周期単位で行えるので単純化でき、ブラシレスモータ制御装置に掛かる負担を一層軽減できる。
本発明の第2の観点によれば、パッケージに糸を巻き取るための糸巻取機において、以下の構成が提供される。即ち、この糸巻取機は、ブラシレスモータと、ブラシレスモータ制御装置と、を備える。前記ブラシレスモータは、前記パッケージを回転させる。前記ブラシレスモータ制御装置は、前記ブラシレスモータを制御する。前記ブラシレスモータは、ロータと、前記ロータの位置を検出するための位置センサと、を備える。前記位置センサは所定の進角をつけて配置される。前記ブラシレスモータ制御装置は、前記位置センサからの信号に基づいてコイルに流す電流の波形パターンを変更する波形パターン変更部を備える。前記波形パターン変更部は、コイルに流す電流の波形パターンをパルス変調制御により変更し、減速制御時は、波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期に応じて遅延させる。
これにより、減速制御時のパッケージの回転を精密に制御することができる。従って、糸切れ及び糸切断等が生じたときに、パッケージの回転を意図したタイミングで素早く停止させて復帰作業を開始でき、全体の生産効率を向上させることができる。また、パッケージの停止制御において生じる余分な電力の消費を抑えることができる。
前記の糸巻取機においては、前記ブラシレスモータ制御装置が、前記ロータの回転速度に応じて異なる遅延値を設定可能な遅延値設定部を備え、前記波形パターン変更部は、減速制御時において波形パターンの変更のタイミングを前記遅延値に応じて遅延させることが好ましい。
これにより、簡易な構成で、回転速度に応じた適切なタイミングで波形パターンを変更することができ、ブラシレスモータの回転を一層精密に制御でき、パッケージの品質を一層向上させることができる。
前記の糸巻取機においては、前記波形パターン変更部が、減速制御時において波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期単位で遅延させることが好ましい。
これにより、波形パターン変更タイミングの計算をパルス変調制御の周期単位で行って単純化できるので、ブラシレスモータ制御装置に掛かる負担を一層軽減できる。
前記の糸巻取機は、前記ブラシレスモータによって駆動される巻取ドラムを備え、前記パッケージは、前記巻取ドラムが回転駆動することにより従動回転するように構成することができる。
これにより、ブラシレスモータ制御装置によって精密に制御されるブラシレスモータによってパッケージを回転させることができるので、パッケージの巻取作業を安定的に行うことができる。
前記の糸巻取機においては、前記巻取ドラムには、前記パッケージに巻き取られる糸を綾振りするための綾振溝が形成されていることが好ましい。
これにより、巻取ドラムで綾振を行いながら、パッケージの減速制御を精密に行うことができる。また、円筒状の巻取ドラムにおいて綾振溝を形成するために表面部分の重量が増加して軽量化が困難な場合であっても、減速制御を効率的に行うことができるので、パッケージの回転を適切にコントロールすることができる。
前記の糸巻取機においては、前記ブラシレスモータは前記パッケージを直接回転駆動するように構成することができる。
これにより、減速制御時においても精密に制御することができるブラシレスモータによってパッケージが直接駆動されるので、巻取作業を安定的に行うことができる。
本発明の第3の観点によれば、以下のようなブラシレスモータの減速制御方法が提供される。即ち、この減速制御方法で制御されるブラシレスモータは、ロータの位置を検出するための位置センサが所定の進角をつけて配置され、コイルへ通電する波形パターンをパルス変調制御することによりロータの回転を制御するように構成されている。そして、当該減速制御方法は、前記ブラシレスモータの回転速度を検出する第1ステップと、前記第1ステップで検出した回転速度に応じて前記波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期に応じて遅延させる第2ステップと、を含む。
これにより、減速制御時には波形パターンの変更のタイミングが早くなり過ぎないように遅延させることができる。従って、ロータを素早く的確に減速させることができるとともに、減速制御に必要な消費電力を抑制することができる。
本発明の第4の観点によれば、以下のようなブラシレスモータの減速制御プログラムが提供される。即ち、この減速制御プログラムで制御されるブラシレスモータは、ロータの位置を検出するための位置センサが所定の進角をつけて配置され、コイルへ通電する波形パターンをパルス変調制御することによりロータの回転を制御するように構成されている。そして、当該減速制御プログラムは、前記ブラシレスモータの回転速度を検出する第1ステップと、前記第1ステップで検出した回転速度に応じて前記波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期に応じて遅延させる第2ステップと、を含む。
これにより、減速制御時には波形パターンの変更のタイミングが早くなり過ぎないように遅延させることができる。従って、ロータを素早く的確に減速させることができるとともに、減速制御に必要な消費電力を抑制することができる。また、タイマ等の特別なハードウェアを構成に追加する必要がないので、既存のブラシレスモータへの適用も容易である。
なお、本発明において「パルス変調制御の周期単位で遅延させる」とは、遅延させる時間がパルス変調制御の周期の整数倍であることを意味するものとする。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るブラシレスモータ及びブラシレスモータ制御装置の様子を示す模式図である。図2はブラシレスモータの内部構成を概略的に示す模式図である。
図1に示すブラシレスモータ10はモータ制御部(ブラシレスモータ制御装置)20に接続されており、このモータ制御部20によってブラシレスモータ10の回転速度、回転方向等が制御される。モータ制御部20はマイクロコンピュータとして構成されており、図示しないが、CPU等の演算部と、ROM等の記憶部と、を備えている。前記記憶部には、ブラシレスモータ10を制御するための制御プログラムが記憶されている。
図2に示すように、ブラシレスモータ10は、ハウジング11と、ロータ12と、コイル13と、磁気センサ(位置センサ)14と、速度センサ15(図2において省略)と、を備える。
図1及び図2に示すように、ハウジング11はモータの各部品を収容するように構成されており、その中央部にはロータ12が回転可能に支持されている。このロータ12にはモータの出力軸が固定されるとともに、機械角で45度ごとにS極とN極とが交互に配置された8極構成の磁石16が取り付けられている。
ハウジング11は、ロータ12に向けて径方向に突出する保持部17を複数備えている。本実施形態において前記保持部17は、ロータ12の外周を囲うように周方向に等間隔で12個並べて配置されている。そして、保持部17のそれぞれにコイル13を取り付けることで、当該コイル13がハウジング11に保持されている。
コイル13はU相線、V相線、W相線の3相のコイルよりなり、スター結線で接続されている。コイル13はU相線、V相線、W相線の順に図2の時計回り方向に配置され、それぞれが前記保持部17に巻き回されている。このコイル13はモータ制御部20の出力部26に接続されており、当該出力部26がコイル13に通電することでコイル13が励磁され、磁界が発生してロータ12が回転する。本実施形態のモータ制御部20では、3相のコイルのうち何れか2つに電流が流れる120度通電方式が採用されている。
磁気センサ14はホールセンサ等で構成され、ロータ12とともに回転する磁石16の磁界の変化を検出する。図2に示すように、磁気センサ14はロータ12の周囲に、U相、V相、W相のそれぞれについて1つずつ、計3つ配置されている。モータ制御部20は、3つの磁気センサ14から入力される信号の状態の組み合わせに基づき、磁石16の位置を判定する。
磁気センサ14は図2に示すように、鎖線で示す理論位置から適宜の角度の進角をつけて配置されている。なお、理論位置とは、発生する磁束制御遅れがゼロであると仮定した場合において磁気センサ14を配置すべき位置を意味する。この進角の大きさは、ブラシレスモータ10が使用される頻度の高い常用域の回転速度で波形パターンの変更が適切に行われるように定められ、本実施形態では進角が電気角で25度となるように設定されている。このように、本実施形態では磁気センサ14を進角させて配置しているので(機械的な進角)、ロータ12の位置を検出するタイミングが早まり、特に加速時や高速回転時には波形パターンの変更を適切なタイミングで行うことができる。
速度センサ15はホールIC等で構成されており、ロータ12の回転に伴う磁界の変化を検出できるように構成されている。モータ制御部20は、この速度センサ15から入力される信号の変化に基づいてロータ12の現在速度を計算する。
次に、モータ制御部20について説明する。図1に示すように、モータ制御部20は、速度算出部21と、波形パターン変更部としてのパルス幅変調制御部(PWM制御部)23と、遅延値設定部22と、入力部25と、出力部26と、を備える。入力部25には磁気センサ14と速度センサ15とが接続されており、出力部26はブラシレスモータ10のコイル13に接続されている。
速度算出部21は、前記速度センサ15から入力部25を介して受信した信号に基づいてロータ12の回転速度を算出する。
PWM制御部23は、コイル13を励磁するための波形パターンを生成して出力部26に送信し、出力部26は、この波形パターンに従ってコイル13に電圧を印加して励磁する。この波形パターンは、回転するロータ12が所定の位置(回転位相)に到達したことを磁気センサ14で検出したタイミング、又はそれより所定時間遅いタイミングで変更される。これにより、コイル13に対する通電が次々に切り換えられて磁束が制御され、前記ロータ12が磁力を受けて回転する。
PWM制御部23は、一定のキャリア周波数を発生させるための図略のキャリア発生回路を備える。そしてPWM制御部23は、キャリア周期内でのパルス信号のON/OFFのタイミングを変化させることにより、パルス幅(波形パターン)を制御する。このPWM制御部23は、磁気センサ14が磁極の変化を検出すると、割込処理を行って波形パターンを変更し、コイル13の通電状態を変化させる。
遅延値設定部22は、ブラシレスモータ10を減速制御する際の遅延時間に関するゼロ以上の整数パラメータ(遅延値)を決定するためのものである。この遅延値は、ロータ12の回転速度領域を分割した複数の速度域ごとに定められ、速度域と遅延値とが対応付けられたテーブル(遅延値決定テーブル)が前記記憶部に予め記憶されている。この遅延値決定テーブルでは、遅延値は、ロータ12の回転速度が遅いほど大きくなるように定められている。そして遅延値設定部22は、モータの減速制御時においては、前記速度算出部21で得られたロータ12の現在速度に基づいて、前記遅延値決定テーブルから対応する速度域の遅延値を選択して設定する。
次に図3を参照して、遅延値の設定による波形パターンの変更タイミングの遅延制御について説明する。図3は波形パターンの変更の遅延制御を、磁気センサがONする立ち上がりのタイミングとキャリア信号との関係で示す説明図である。
図3に示すように、本実施形態のPWM制御部23が備えるキャリア発生回路はノコギリ波状のキャリア信号を発生させており、このキャリア信号に基づいてPWM制御部23による波形パターンの制御が行われる。図3では、遅延を行わない通常の場合、遅延値=1の場合及び遅延値=2の場合のそれぞれについて、波形パターンの変更の開始時点が矢印で示されている。通常時、PWM制御部23は、磁気センサ14がONする立ち上がりのタイミングで波形パターンを変更する。
PWM制御部23は、遅延値が1に設定された場合は図3に示すように、磁気センサ14がONする立ち上がりのタイミングに対して、通常時と比べてキャリア周波数の1周期分だけ遅らせて波形パターンが変更されるように制御する。また、遅延値が2に設定された場合は、PWM制御部23は、磁気センサ14がONする立ち上がりのタイミングに対して、通常時と比べてキャリア周波数の2周期分遅らせて波形パターンが変更されるように制御する。このように、波形パターンの変更のタイミングを遅延させる場合、磁気センサ14がONする立ち上がりのタイミングに対して、遅延時間を設定し、波形パターン変更のタイミングを決定する。その遅延時間はキャリア周波数に相当する周期の整数倍となるように制御される。
出力部26はパワー回路を備えており、このパワー回路はトランジスタやFET等のスイッチング素子で構成されている。パワー回路は、前記PWM制御部23によって生成された波形パターンの信号に従ってコイル13を通電させる。
この構成で、ブラシレスモータ10が一定速度のとき又は加速しているときは、モータ制御部20は波形パターンの変更タイミングを特に遅延させず、磁気センサ14が磁極の変化を検出したタイミング(図3に示す通常時のタイミング)で波形パターンを変更する。一方、モータの減速時は、モータ制御部20は、遅延値設定部22によって設定した遅延値に基づいて、磁気センサ14がONする立ち上がりのタイミングに対して波形パターンが変更されるタイミングを遅延させる。これにより、減速時に電子的な遅延を行って磁気センサの配置による進角分を少なくとも一部キャンセルすることで、減速制御を的確に効率良く行うことができる。
次に図4を参照して、モータ制御部20によるブラシレスモータ10の減速制御について説明する。図4はブラシレスモータの減速時の制御を示すフローチャートである。
ブラシレスモータ10の減速制御が開始されると、モータ制御部20は磁気センサ14の検出値が変化するまで待機する(S101)。磁気センサ14の検出値が変化した場合、速度算出部21によって現在の回転速度を算出し、得られた速度が含まれる速度域に対応する遅延値を前記遅延値決定テーブルから取得し、遅延値設定部22は、遅延を実現するための残り待機時間を表す整数変数に設定する(S102)。
次にPWM制御部23はキャリア信号を監視し、1周期が経過するごとに前記整数変数の値をデクリメントする処理を、当該整数変数の値が0以下となるまで繰り返す(S103、S104)。整数変数の値が0になると、PWM制御部23は波形パターンを変更する(S105)。そしてS101の処理に戻り、減速制御が終了するまでS101からS105までの処理を反復する。
以上に示すように、本実施形態の減速制御では、まず遅延値を整数変数に設定した上でキャリア周期が経過するごとに当該整数変数を1ずつ減算し、当該整数変数がゼロになるまで波形パターンの変更をせずに待機するようになっている。この制御により、波形パターンの変更タイミングは、キャリア周期に遅延値を乗じた時間だけ遅れることになる。例えば、遅延値が2に設定された場合、S103からS104の処理が2回繰り返されることになり、波形パターンの変更のタイミングはキャリア周波数の2周期分遅れることになる。このように、本実施形態では遅延させる時間の基準としてキャリア周期を用いているので、遅延させるタイミングを設定するタイマ等を特別に備える必要がなく、精密な減速制御を低コストで行うことができる。
前述したように、上記遅延値は速度域ごとに予め設定されており、ロータ12の回転速度が遅いほどその誤差を少なくするため大きくなるように設定されている。これにより、減速制御時にはモータの回転速度にかかわらず適切なタイミングで波形パターンを変更することができ、ブラシレスモータ10の制御を効率化できる。
次に図5を参照して、本実施形態のモータ制御部20をブラシレスモータ10に適用した場合の効果について説明する。図5(a)は従来のブラシレスモータの回転速度と電流との関係を示すグラフであり、図5(b)は本発明のモータ制御部20を適用した場合の回転速度(r/min)と電流(A)との関係を示すグラフである。
図5(a)及び図5(b)はともに、常用域の回転速度から減速制御を行った場合のロータ12の回転速度の変化と、この回転速度の変化に伴って変化する電流との関係を示している。図5(a)及び図5(b)に示すように、減速制御を行ってロータ12の回転速度が下降し始めると、電流の振幅は従来技術及び本実施形態の何れにおいても激しくなる。ただし、このときの電流の振幅を比較すると、従来技術の制御(図5(a))では、回転速度が4800(r/min)を下回ったあたりから電流の振幅が5Aから−5Aの範囲を超えており、回転速度が600(r/min)になったあたりでピークを迎え、その後収束している。一方、本発明のモータ制御部20による制御(図5(b))では、従来技術と同様に、回転速度が600(r/min)になったあたりでピークを迎え、その後収束しているものの、回転速度が4800(r/min)を下回ったあたりでも、ほぼ5Aから−5Aの範囲で振幅が推移している。その後、回転速度が低下するとともに徐々に振幅が大きくなっているものの、図5に示すように、従来技術の場合に比べて小さい範囲で振幅の大きさが推移している。これにより、本発明のモータ制御部20を適用することで、減速制御時の消費電力を抑制できることが判る。
以上に示したように、本実施形態のブラシレスモータ10は、ロータ12と、このロータ12の位置を検出するための磁気センサ14と、を備え、前記磁気センサ14は所定の進角をつけて配置される。そして、このブラシレスモータ10を制御するモータ制御部20は、磁気センサ14からの信号に基づいてコイル13に流す電流の波形パターンを変更するPWM制御部23を備える。このPWM制御部23は、コイル13に流す電流の波形パターンをパルス幅変調制御により変更する。ブラシレスモータ10の減速制御時において、前記PWM制御部23は、波形パターンの変更のタイミングをPWM制御のキャリア周期に応じて遅延させる。
これにより、通常の回転時は、磁気センサ14の進角配置によってロータの検出タイミングを早め、磁束制御遅れを補償するように波形パターンを変更することができる。一方で、減速時は、波形パターンの変更タイミングを遅延させることで、当該波形パターンの変更が早くなり過ぎないようにすることができる。従って、減速時にも精密にロータ12の回転を制御でき、意図したタイミングでロータ12の回転を確実に停止できる。また、減速制御を効率的に行うことができるので、消費電力を抑制できる。更に、キャリア周波数に相当する周期を利用して波形パターン変更のタイミングを遅延させるので、複雑な計算の必要がなく、モータ制御部20のCPUに掛かる負担を軽減できる。また、波形パターン変更タイミングを遅延制御するためにタイマ等の特別な構成を備える必要がないので、装置をシンプルに構成することができ、消費電力の削減を低コストで達成できる。
また、本実施形態のモータ制御部20は遅延値設定部22を備え、この遅延値設定部22は、図略の記憶部に記憶された遅延値決定テーブルに基づき、ロータ12の回転速度が含まれる速度域に応じて異なる遅延値を設定可能に構成されている。PWM制御部23は、波形パターンの変更のタイミングを前記遅延値に応じて遅延させる。
これにより、簡易な構成で、速度域に応じた適切なタイミングで波形パターンを変更することができ、ブラシレスモータ10を一層精密に制御できる。
また、本実施形態のモータ制御部20が備えるPWM制御部23は、ブラシレスモータ10の減速制御時において波形パターンの変更のタイミングをPWM制御のキャリア周期の整数倍の時間だけ(周期単位で)遅延させる。
これにより、波形パターン変更タイミングの計算が整数を用いることで単純化でき、モータ制御部20に掛かる負担を一層軽減できる。
また、本実施形態のモータ制御部20は、以下に示す方法でブラシレスモータ10の減速制御を行っている。即ち、第1ステップでは、ブラシレスモータ10の回転速度を検出する(図4のS102)。第2ステップでは、第1ステップで検出した回転速度に応じて、波形パターンの変更のタイミングをキャリア周期に応じて(キャリア周期の整数倍の時間だけ)遅延させる(S103〜S104)。
これにより、減速制御時には波形パターンの変更のタイミングが早くなり過ぎないように遅延させることができる。従って、ロータを素早く的確に減速させることができるとともに、減速制御に必要な消費電力を抑制することができる。
また、本実施形態のモータ制御部20に記憶される減速制御プログラムは、以下のステップを含む。即ち、第1ステップでは、ブラシレスモータ10の回転速度を検出する(S102)。第2ステップでは、第1ステップで検出した回転速度に応じて、波形パターンの変更のタイミングをキャリア周期に応じて(キャリア周期の整数倍の時間だけ)遅延させる(S103〜S104)。
これにより、減速制御時には波形パターンの変更のタイミングが早くなり過ぎないように遅延させることができる。従って、ロータを素早く的確に減速させることができるとともに、減速制御に必要な消費電力を抑制することができる。また、既存のハードウェアにタイマ等の特別な構成を追加することなく、モータ制御部20のプログラムを変更するのみで上述の効果を得ることができる。従って、減速制御の効率化を低コストで実現することができる。
なお、以上に説明した第1実施形態のブラシレスモータ10は、例えば、自動ワインダ(糸巻取機)が備えるワインダユニットに適用することができる。次に、図6を参照して、第1実施形態のブラシレスモータ10及びモータ制御部20を自動ワインダに用いた第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態の自動ワインダが備えるワインダユニットを概略的に示した正面図である。
図6に示す自動ワインダは、並べて配置された複数のワインダユニット50と、その並べられた方向の一端に配置された図略の機台制御装置と、を備えている。ワインダユニット50は、給糸ボビン51から解舒される紡績糸70をトラバースさせながら巻取ボビン52に巻き付けて、所定長で所定形状のパッケージ60を形成する。図6に示すように、ワインダユニット50は、巻取ユニット本体53と、ユニット制御部80とを備えている。
前記巻取ユニット本体53は、給糸ボビン51と巻取ドラム54との間の糸走行経路中に、給糸ボビン51側から順に、解舒補助装置55と、テンション付与装置56と、スプライサ装置57と、クリアラ58と、を配置した構成となっている。
解舒補助装置55は、芯管に被さる規制部材61を給糸ボビン51からの糸の解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビン51からの糸の解舒を補助するものである。規制部材61は、給糸ボビン51から解舒された糸の回転と遠心力によって給糸ボビン51上部に形成されたバルーンに対し接触し、当該バルーンに適切なテンションを付与することによって糸の解舒を補助する。規制部材61の近傍には前記給糸ボビン51のチェース部を検出するための図略のセンサが備えられており、このセンサがチェース部の下降を検出すると、それに追従して前記規制部材61を例えばエアシリンダ(図略)によって下降させることができる。
テンション付与装置56は、走行する紡績糸70に所定のテンションを付与するものである。テンション付与装置56としては、例えば、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のものを用いることができる。可動側の櫛歯は、櫛歯同士が噛み合わせ状態又は解放状態になるように、例えばロータリ式のソレノイドにより回動することができる。このテンション付与装置56によって、巻き取られる糸に一定のテンションを付与し、パッケージ60の品質を高めることができる。なお、テンション付与装置56には、上記ゲート式のもの以外にも、例えばディスク式のものを採用することができる。
スプライサ装置57は、クリアラ58が糸欠点を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン51からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン51側の下糸と、パッケージ60側の上糸とを糸継ぎするものである。
クリアラ58には、紡績糸70の太さを検出するための図略のセンサが備えられている。クリアラ58は、このセンサからの糸太さ信号を監視することにより糸欠陥を検出するように構成されている。また、前記クリアラ58近傍には、糸欠点を検出したときに直ちに紡績糸70を切断するための図略のカッタが付設されている。
スプライサ装置57の下側及び上側には、給糸ボビン51側の下糸を捕捉してスプライサ装置57に案内する下糸案内パイプ65と、パッケージ60側の上糸を捕捉してスプライサ装置57に案内する上糸案内パイプ63と、が設けられている。また、下糸案内パイプ65と上糸案内パイプ63は、それぞれ軸71,72を中心にして回動可能に構成されている。下糸案内パイプ65の先端には吸引口66が形成され、上糸案内パイプ63の先端にはサクションマウス64が備えられている。下糸案内パイプ65及び上糸案内パイプ63には適宜の負圧源がそれぞれ接続されており、前記吸引口66及びサクションマウス64に吸引流を発生させて、上糸及び下糸の糸端を吸引して捕捉できるように構成されている。
スプライサ装置57の更に上側には、巻取ボビン(紙管、芯管)52を回転可能に挟持できるように構成されたクレードル67と、紡績糸70をトラバースさせるとともに前記巻取ボビン52を駆動するための巻取ドラム(綾振ドラム)54と、が設けられている。クレードル67は、巻取ドラム54に対し近接又は離間する方向に揺動可能に構成されており、これによって、パッケージ60が巻取ドラム54に対して接触又は離間される。前記巻取ドラム54の外周面には螺旋状の綾振溝68が形成されており、この綾振溝68によって紡績糸70をトラバースさせるように構成している。
また、本実施形態の巻取ドラム54は、内部に空洞を有する円筒状に構成されており、表面部分を凹状に形成することで綾振溝68が形成されている。巻取ドラム54には複数の綾振溝68が形成されており、これにより、単一の巻取ドラム54で異なるワインド数での巻取が可能になっている。また、本実施形態の巻取ユニット本体53は、図略のピンシリンダ等からなる綾振溝68の切換手段を備えている。この切換手段は、紡績糸70が係合する綾振溝68を切り換えることで、巻取途中にワインド数を変化させることができる。
この切換手段により、リボン巻発生径のときにはワインド数の異なる綾振溝に切り換えることでリボン巻を効果的に回避することができる。また、糸種や番手又は巻き形状等が異なるようなロット変更時であっても、前記切換手段によって綾振溝を切り換えるだけでワインド数の変更を実現でき、巻取ドラム54の交換作業を省略することができる。従って、ロット変更に機動的に対応することができ、自動ワインダの生産性を向上させることができる。
巻取ボビン52は、当該巻取ボビン52に対向して配置される前記巻取ドラム54が回転駆動することにより駆動される。この巻取ドラム54はブラシレスモータ10の出力軸に連結されており、このブラシレスモータ10の動作はモータ制御部20によって制御されている。この構成により、給糸ボビン51から解舒された紡績糸70を適切な速度で巻取ボビン52に巻き取ることができる。
ブラシレスモータ10においては、ロータの位置を検出するための磁気センサが進角をつけて配置されている。モータ制御部20は、速度算出部21と、PWM制御部23と、遅延値設定部22とを備える。定常速度での巻取時及び加速時においては、磁気センサの進角配置によってロータの検出タイミングが早まっていることを利用して、波形パターンの変更タイミングを早める。一方、パッケージ60の回転速度を減速制御するときは、波形パターンの変更タイミングが早くなり過ぎないように、遅延値を設定して当該変更タイミングを電子的に遅延させる。
以上の構成の巻取ユニット本体53において、巻取中に糸切れや糸切断等が発生した場合、パッケージ60の回転を停止させるため、モータ制御部20はブラシレスモータ10の回転を減速停止させる。このとき、PWM制御部23において、図4のフローチャートで示した減速制御が行われる。即ち、ブラシレスモータ10の回転速度に応じて遅延値を設定し、この遅延値に基づいて波形パターンの変更のタイミングを遅延させる。なお、パッケージ60の回転は、図略のパッケージブレーキ機構によって最終的に停止される。
パッケージ60が停止した後、上糸の捕捉が行われる。この上糸の捕捉は、パッケージ60の逆転を開始すると同時に、パッケージ60近傍の捕捉位置に上糸案内パイプ63を回動させて、解舒される上糸の糸端を前記サクションマウス64の先端で吸引することにより行われる。捕捉された上糸の糸端は、上糸案内パイプ63が下方へ回動することにより、スプライサ装置57へ導かれる。
また、上糸の捕捉とほぼ同時に下糸の捕捉が行われる。この下糸の捕捉は、給糸ボビン51側の糸端を下糸案内パイプ65の吸引口66で吸引することにより行われる。捕捉された下糸の糸端は、下糸案内パイプ65が上方へ回動することにより、スプライサ装置57へ導かれる。その後は、上糸と下糸の糸端をスプライサ装置57で糸継ぎし、巻取作業が再開される。
一方、給糸ボビン51の糸がすべてパッケージ60に巻き取られ、新しい給糸ボビンが供給された場合の糸継作業は、以下のように行われる。即ち、走行する糸が無くなったことをクリアラ58が検出すると、ユニット制御部80がモータ制御部20にパッケージ60を減速停止させる信号を送信する。この信号を受信したモータ制御部20は、図4のフローチャートで示した減速制御を行う。
次に、モータ制御部20は回転を停止したパッケージ60を逆転させ、当該パッケージ60から上糸を解舒させる。この上糸の糸端は、上糸案内パイプ63のサクションマウス64で吸引することにより捕捉され、上糸案内パイプ63の回動によってスプライサ装置57へ導かれる。また、これとほぼ同時に、新しい給糸ボビン側の糸(下糸)の糸端は空気流によって吹き上げられ、下糸案内パイプ65の吸引口66に吸引されて捕捉される。そして、下糸は、下糸案内パイプ65の回動によって給糸ボビン51から解舒されつつ、その糸端がスプライサ装置57へ導かれる。その上で、スプライサ装置57は上糸と下糸の糸端を糸継ぎする。糸継作業の完了後、ブラシレスモータ10が駆動されて巻取作業を再開する。
また、上記のような糸継作業のほか、満巻になったパッケージ60を回収する玉揚作業においてもパッケージ60の減速制御が行われる。即ち、パッケージ60に巻き取られた紡績糸70の長さが所定の長さに達すると、モータ制御部20は、図4のフローチャートで示した減速制御を直ちに行ってパッケージ60の回転を減速し、最終的に停止させる。その後、自動ワインダの各巻取ユニット間を走行する図略の自動玉揚装置等によって玉揚作業が行われる。具体的には、前記自動玉揚装置は、パッケージ60が満巻となった巻取ユニットの位置まで走行し、回転を停止した満巻パッケージを回収した後、空の巻取ボビン52を当該巻取ユニットに供給する。
以上に示したように、本実施形態の自動ワインダは、ブラシレスモータ10と、モータ制御部20と、を備える。ブラシレスモータ10は、パッケージ60を回転させる。モータ制御部20はブラシレスモータ10を制御する。ブラシレスモータ10は、ロータ12と、ロータ12の位置を検出するための磁気センサ14と、を備える。磁気センサ14は所定の進角をつけて配置される。また、モータ制御部20は、磁気センサ14からの信号に基づいてコイルに流す電流の波形パターンを変更するPWM制御部23を備える。PWM制御部23は、コイルに流す電流の波形パターンをパルス幅変調制御により変更し、減速制御時は、波形パターンの変更のタイミングを、PWM制御のキャリア周期に応じて遅延させる。
これにより、減速制御時のパッケージ60の回転を精密に制御することができる。従って、糸切れ及び糸切断等が生じたときに、パッケージ60の回転を意図したタイミングで素早く停止させて復帰作業(糸継作業等)を開始でき、全体の生産効率を向上させることができる。また、パッケージ60の停止制御に必要な電力を抑制することができる。
また、本実施形態の自動ワインダは、モータ制御部20が遅延値設定部22を備え、この遅延値設定部22は、図略の記憶部に記憶された遅延値決定テーブルに基づき、ロータ12の回転速度が含まれる速度域に応じて異なる遅延値を設定可能に構成されている。PWM制御部23は、波形パターンの変更のタイミングを前記遅延値に応じて遅延させる。
これにより、簡易な構成で、速度域に応じた適切なタイミングで波形パターンを変更することができ、ブラシレスモータ10を一層精密に制御でき、パッケージの品質を一層向上させることができる。
また、本実施形態の自動ワインダは、モータ制御部20が備えるPWM制御部23が、ブラシレスモータ10の減速制御時において波形パターンの変更のタイミングをPWM制御のキャリア周期の整数倍の時間だけ(周期単位で)遅延させる。
これにより、波形パターン変更タイミングの計算が整数を用いることで単純化でき、モータ制御部20に掛かる負担を一層軽減できる。
また、本実施形態の自動ワインダは、ブラシレスモータ10によって駆動される巻取ドラム54を備え、前記パッケージ60は、巻取ドラム54が回転駆動することにより従動回転する。
これにより、モータ制御部20によって精密に制御されるブラシレスモータ10によってパッケージ60を回転させることができるので、パッケージ60の巻取作業を安定的に行うことができる。
また、本実施形態の自動ワインダにおいて、前記巻取ドラム54には、パッケージ60に巻き取られる糸を綾振りするための綾振溝68が形成されている。
これにより、巻取ドラム54で綾振を行いながら、パッケージ60の減速制御を精密に行うことができる。また、巻取ドラム54は軽量化のために円筒状(中空状)に形成することが多いが、本実施形態のように内部に空洞部分を有する巻取ドラム54において綾振溝68を有する構成とした場合、巻取ドラム54の周面部分の形状が複雑化し、巻取ドラム54の重量が増加してしまう。しかしながら、本実施形態では減速制御を効率的に行うことができるので、上述のように軽量化が困難な巻取ドラム54を使用した場合でも、パッケージ60の回転を適切にコントロールすることができる。
以下、綾振溝68付きの巻取ドラム54の駆動について詳細に説明する。即ち、中空状に構成される巻取ドラム54において綾振溝を形成しようとすると、当該綾振溝の底部や壁部を形成する必要があるため、綾振溝なしの場合よりも巻取ドラムの重量が増大してしまう。従って、巻取ドラムに仮に1種類の綾振溝を形成する場合であっても、当該綾振溝の存在が巻取ドラムの軽量化に限界を生じさせている。しかも、近年、リボン巻を有効に回避する観点及び巻取ドラムの交換を省略できるようにする観点から、本実施形態のように複数種類の綾振溝68を有するタイプの巻取ドラム54を用いることがあり、この場合は軽量化が一層困難になる。
このように重量が大きい巻取ドラム54を駆動するには、減速制御を正確に行うためにもブラシレスモータ10の容量を上げる必要があるが、容量を上げるとコストアップ等の問題が生じる。この点、本実施形態のブラシレスモータ10は、モータ制御部20によって巻取ドラム54の高速回転と正確な減速停止制御とを可能にする構成であるので、重量が増加した巻取ドラム54を用いる場合であっても、ブラシレスモータ10の容量を上げずに正確な減速制御を行うことができる。これによって減速停止までの時間を短縮でき、自動ワインダのパッケージの生産性を向上させることができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7にはこの実施形態に係る自動ワインダに備えられたワインダユニット50の構成の概略図が示してある。なお、以降の説明において、前述の第2実施形態と同一又は類似の構成については図面に同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
第3実施形態においてワインダユニット50が備える巻取ユニット本体53は、巻取ボビン52を回転可能に把持できるように構成されたクレードル67を備える。また、巻取ユニット本体53は、紡績糸70をトラバースさせるためのアーム式のトラバース装置91と、巻取ボビン52の周面又はパッケージ60の周面に接触して従動回転可能な接触ローラ92と、を備えている。前記クレードル67は回動軸73を中心に回動可能に構成されており、巻取ボビン52への紡績糸70の巻取りによる糸層径の増大を、クレードル67が回動することによって吸収できるように構成されている。
また、前記回動軸73には、クレードル67の角度(回動角)を検知するためのアナログ式の図略の角度センサが取り付けられている。クレードル67はパッケージ60が巻き太るに従って角度が変化するので、クレードル67の回動角を前記角度センサによって検出することにより、パッケージ60の糸層の径を検知することができる。これにより、トラバース装置91をパッケージ糸径に応じて制御することで、糸の綾振りを適切に行うことができる。なお、前記角度センサはデジタル式のセンサであっても良く、パッケージ糸径を検出できるものであれば、その他の手段であっても良い。
前記トラバース装置91は、前記接触ローラ92の近傍に設けられている。このトラバース装置91は、支軸のまわりに旋回可能に構成した細長状のアーム部材93と、このアーム部材93の先端に形成されたフック状のトラバースガイド90と、アーム部材93を駆動するトラバースガイド駆動モータ94と、を備える。そして、前記アーム部材93をトラバースガイド駆動モータ94により図7の矢印のように往復旋回運動させることで、紡績糸70の綾振りを行う構成になっている。このトラバースガイド駆動モータ94の作動はユニット制御部80によって制御されている。
前記クレードル67の巻取ボビン52を挟持する部分にはブラシレスモータ10が取り付けられており、これによって巻取ボビン52を回転駆動して紡績糸70を巻き取るように構成されている。このブラシレスモータ10は図1及び図2で示したブラシレスモータと同様の構成であり、モータ制御部20により制御されている。モータ制御部20は、図1で示したモータ制御部20と同様の構成であり、速度算出部21と遅延値設定部22とPWM制御部23とを備える。
この第3実施形態の自動ワインダにおいても、糸切れ又は糸切断が生じた場合に波形パターンの変更タイミングを遅延させながらブラシレスモータ10を減速制御することで、パッケージ60の回転を短時間で的確に停止させることができる。その後の糸継作業及び玉揚作業等については前述の第2実施形態と同様であるので、説明を省略する。
以上に示したように、本実施形態の自動ワインダにおいては、ブラシレスモータ10はパッケージ60を直接回転駆動する。
これにより、パッケージ60は、減速制御時においても精密に制御することができるブラシレスモータ10によって直接駆動される。従って、巻取作業を安定的に行うことができる。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
上記実施形態では、遅延値を1に設定した場合に波形パターンを変更させるタイミングをキャリア信号の1周期分だけ遅延させるように構成されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、遅延値を1に設定した場合に遅延させる時間をキャリア信号の2周期分又は3周期分以上とする等、遅延値と実際の遅延時間との関係は適宜変更することができる。また、波形パターンの変更タイミングはキャリア周期の整数倍だけ遅延させる場合に限らず、例えばキャリア周期の0.5倍単位で遅延させるように変更することもできる。
ロータ12の位置は、上記実施形態のように磁気センサ14を用いることに代えて、エンコーダ等各種の位置センサによって検出するように変更することができる。
磁気センサ14の取付位置は、上記実施形態の位置(図2参照)に限定されるわけではなく、ブラシレスモータの例えば組立時等において適当な進角(機械的な進角)をつけて配置することができる。この磁気センサ14の進角量は、ブラシレスモータ10が通常使用される回転速度領域等を考慮して適宜定めれば良い。
PWM制御部23のキャリア発生回路は、キャリア信号としてノコギリ波でなく例えば三角波を発生させる構成に変更することができる。
パルス幅変調制御で波形パターンを変更する構成に代えて、パルス振幅変調制御により波形パターンを変更する構成に変更することができる。
上記実施形態のブラシレスモータ10において、ロータ12及びコイル13の構成は適宜変更することができる。例えば、ロータに取り付ける磁石の構成を2極又は4極構成としたり、コイル13が取り付けられる保持部17の数を変更したりすることができる。
ロータ12の回転速度は、速度センサ15によって検出する構成に代えて、例えば磁気センサ14の検出値から算出するように変更することができる。
第3実施形態のワインダユニット50(図7)はパッケージ60をブラシレスモータ10によって直接駆動する構成であるが、接触ローラ92をブラシレスモータ10によって駆動する構成(接触ローラ駆動型)に変更することができる。また、アーム型のトラバース装置91に代えてベルト駆動型のトラバース装置を備える構成に変更することもできる。
10 ブラシレスモータ
11 ハウジング
12 ロータ
13 コイル
14 磁気センサ(位置センサ)
15 速度センサ
20 モータ制御部(ブラシレスモータ制御装置)
22 遅延値設定部
23 PWM制御部(波形パターン変更部)
11 ハウジング
12 ロータ
13 コイル
14 磁気センサ(位置センサ)
15 速度センサ
20 モータ制御部(ブラシレスモータ制御装置)
22 遅延値設定部
23 PWM制御部(波形パターン変更部)
Claims (11)
- ロータと、前記ロータの位置を検出するための位置センサと、を備え、前記位置センサが所定の進角をつけて配置されるブラシレスモータを制御するブラシレスモータ制御装置において、
前記位置センサからの信号に基づいてコイルに流す電流の波形パターンを変更する波形パターン変更部を備え、
前記波形パターン変更部は、コイルに流す電流の波形パターンをパルス変調制御により変更し、減速制御時は、波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期に応じて遅延させることを特徴とするブラシレスモータ制御装置。 - 請求項1に記載のブラシレスモータ制御装置であって、
前記ロータの回転速度に応じて異なる遅延値を設定可能な遅延値設定部を備え、
前記波形パターン変更部は、減速制御時において波形パターンの変更のタイミングを前記遅延値に応じて遅延させることを特徴とするブラシレスモータ制御装置。 - 請求項1又は2に記載のブラシレスモータ制御装置であって、
前記波形パターン変更部は、減速制御時において波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期単位で遅延させることを特徴とするブラシレスモータ制御装置。 - パッケージに糸を巻き取るための糸巻取機において、
前記パッケージを回転させるブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータを制御するブラシレスモータ制御装置と、
を備え、
前記ブラシレスモータは、ロータと、前記ロータの位置を検出するための位置センサと、を備え、
前記位置センサは所定の進角をつけて配置され、
前記ブラシレスモータ制御装置は、前記位置センサからの信号に基づいてコイルに流す電流の波形パターンを変更する波形パターン変更部を備え、
前記波形パターン変更部は、コイルに流す電流の波形パターンをパルス変調制御により変更し、減速制御時は、波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期に応じて遅延させることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項4に記載の糸巻取機であって、
前記ブラシレスモータ制御装置は、前記ロータの回転速度に応じて異なる遅延値を設定可能な遅延値設定部を備え、前記波形パターン変更部は、減速制御時において波形パターンの変更のタイミングを前記遅延値に応じて遅延させることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項4又は5に記載の糸巻取機であって、
前記波形パターン変更部は、減速制御時において波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期単位で遅延させることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項4から6までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記ブラシレスモータによって駆動される巻取ドラムを備え、
前記パッケージは、前記巻取ドラムが回転駆動することにより従動回転することを特徴とする糸巻取機。 - 請求項7に記載の糸巻取機であって、
前記巻取ドラムには、前記パッケージに巻き取られる糸を綾振りするための綾振溝が形成されていることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項4から6までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記ブラシレスモータは前記パッケージを直接回転駆動することを特徴とする糸巻取機。 - ロータの位置を検出するための位置センサが所定の進角をつけて配置され、コイルへ通電する波形パターンをパルス変調制御することにより前記ロータの回転を制御するブラシレスモータの減速制御方法において、
前記ブラシレスモータの回転速度を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した回転速度に応じて、前記波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期に応じて遅延させる第2ステップと、
を含むことを特徴とするブラシレスモータの減速制御方法。 - ロータの位置を検出するための位置センサが所定の進角をつけて配置され、コイルへ通電する波形パターンをパルス変調制御することにより前記ロータの回転を制御するブラシレスモータの減速制御プログラムにおいて、
前記ブラシレスモータの回転速度を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した回転速度に応じて、前記波形パターンの変更のタイミングをパルス変調制御の周期に応じて遅延させる第2ステップと、
を含むことを特徴とするブラシレスモータの減速制御プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008183716A JP2010028892A (ja) | 2008-07-15 | 2008-07-15 | ブラシレスモータ制御装置、これを備える糸巻取機、ブラシレスモータの減速制御方法及びブラシレスモータの減速制御プログラム |
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017072965A1 (ja) * | 2015-10-30 | 2017-05-04 | 三菱電機株式会社 | 電動機、送風機および空気調和機 |
-
2008
- 2008-07-15 JP JP2008183716A patent/JP2010028892A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2017072965A1 (ja) * | 2015-10-30 | 2018-02-08 | 三菱電機株式会社 | 電動機、送風機および空気調和機 |
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