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JP2010019176A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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JP2010019176A
JP2010019176A JP2008180959A JP2008180959A JP2010019176A JP 2010019176 A JP2010019176 A JP 2010019176A JP 2008180959 A JP2008180959 A JP 2008180959A JP 2008180959 A JP2008180959 A JP 2008180959A JP 2010019176 A JP2010019176 A JP 2010019176A
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JP2008180959A
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English (en)
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Hirofumi Yoshida
裕文 吉田
Kiyoshi Sawai
澤井  清
Takashi Morimoto
敬 森本
Atsushi Sakuta
作田  淳
Akira Iwashida
鶸田  晃
Tatsuya Nakamoto
達也 中本
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Panasonic Corp
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Panasonic Corp
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Abstract

【課題】実運転時の熱膨張による径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することのできる高効率のスクロール圧縮機を提供すること。
【解決手段】固定スクロール6と旋回スクロール9を概ね同等な熱膨張係数の材料で構成し、固定スクロールラップ6bと旋回スクロールラップ9aの渦巻き曲線形状が関数で表現され、渦巻き曲線関数の伸開角の係数が固定スクロールラップ6bと旋回スクロールラップ9aとで異なるものとすることにより、実運転時の固定スクロール6と旋回スクロール9の温度差によるスクロールラップ6b、9a径方向の熱膨張量の差や圧力差によるスクロールラップ6b、9a径方向の変形を考慮して固定スクロールラップ6bと旋回スクロールラップ9aをそれぞれ独自の適正な形状に設計することにより、実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することができ、高効率化が可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、空調機、冷凍機、ブロワ、給湯機等に使用されるスクロール圧縮機に関するものである。
鏡板上に渦巻きラップを形成した固定スクロールと旋回スクロールをかみ合わせ複数の圧縮室を形成し、旋回スクロールに偏心部を有するクランク軸を連結させ、オルダムリングを用いて自転を防止し旋回運動をさせることで、中心に向かって容積を減少させながら圧縮を行っていくスクロール圧縮機において、旋回スクロールラップ外壁と固定スクロールラップ内壁、および旋回スクロールラップ内壁と固定スクロールラップ外壁は全てのクランク角において常にシール点を持つ。
このシール点での圧縮室間の流体漏れを防止して圧縮効率を向上させるために、ラップの壁面同士を接触させて隙間を可能な限り小さくする方法が一般的にとられる。
しかしながら、ラップ壁面同士の接触によって異常摩耗や焼き付きが発生しやすくなるため、何らかの対策を施す必要が生じることがほとんどである。
その一つの対策として、ラップ壁面を接触させることをやめてオイルによってシール性を保つ方法があるが、圧縮室内のシールオイルを増やす必要があるためオイル粘性損失の増加による機械効率低下や高温オイルが冷媒を加熱、膨張させることによる体積効率と圧縮効率低下を招きやすく、様々な運転条件下での最適オイル量コントロールも容易ではなく、高効率化には不向きである。
一方、ラップ壁面同士を接触させる構成ではシールオイルの供給を極小化できるため、容易に高効率化が可能であることから、ラップ壁面を常に接触させながら、その摺動状態を改善させるための様々な対策がとられてきた。
その一つの対策は、例えば固定スクロールを鋳鉄材、旋回スクロールをアルミ材とする等、双方を異なる材質とするものである。
これらの材質の組合せにより、特に表面改質を行うことなく良好なラップ壁面摺動状態を維持できるだけでなく、旋回スクロールが軽量化されることで高速運転も可能であり、様々な利点がある。
しかし、アルミ材と鋳鉄材の熱膨張係数は大きく異なり、アルミ材の熱膨張係数は鋳鉄材の2倍近くにもなることから、実運転中の高温状態ではアルミ材の旋回スクロールが鋳鉄材の固定スクロールよりも大きく径方向に膨張し、旋回スクロールラップの巻き終り(最外周)から巻き始めに向かって360度の範囲の外壁のみが接触点となり、外壁のそれ以外の範囲および内壁全体でのシール点では圧縮機の効率に影響を及ぼすほどの径方向隙間が生じる。
この問題を解決するために、図12に示す特許文献1のスクロール圧縮機では、インボリュート曲線で形成された固定スクロール104および旋回スクロール105が熱膨張係数の異なる材料である場合に、熱膨張係数の大きい材料の方のラップ104b、105bの基礎円半径を他方のラップ104b、105bの基礎円半径よりも小さくしている。
すなわち、固定スクロール104が鋳鉄材、旋回スクロール105がアルミ材の場合には、熱膨張係数の大きい旋回スクロールラップ105bの基礎円半径を熱膨張係数の小さい固定スクロールラップ104bの基礎円半径よりも小さくすることで、実運転中の高温状態におけるシール点での径方向隙間を縮小し、漏れ損失を低減している。
特許第3109359号公報
上記従来の構成は、固定スクロールと旋回スクロールの熱膨張係数が異なるため、ラップ径方向の熱膨張と同様にラップ軸方向の熱膨張も発生する。
それに対応するため、熱膨張係数の大きい方のラップ高さを他方のラップ高さよりも小さくしてある程度の軸方向隙間を設けることが一般的である。
しかしながら、圧縮機の運転条件は様々に変化し、それに伴って圧縮機構部の温度も一定ではないため、過負荷運転等の最高温度時にラップ上面がそれに対面するラップ溝底面と接触しないように軸方向隙間を設定すると、通常の定格条件等の中程度の温度の時には少なからず軸方向隙間が生じ、漏れ損失が発生してしまう。
したがって、年間を通じて比較的発生確率の高い定格条件等の中負荷、中温運転における圧縮機の高効率化を行うためには、温度の変化に対して軸方向隙間の変化が小さくなるように固定スクロールと旋回スクロールの熱膨張係数を概ね同一とすることが推奨される。
それにより、運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度がほぼ同じであれば、熱膨張による径方向隙間の発生を抑制できるとともに、軸方向隙間を最小限に設定することができる。
しかしながら、固定スクロールの反ラップ側の圧力や温度の環境と旋回スクロールの反ラップ側の圧力や温度の環境は実際には大きく異なるため、固定スクロールと旋回スクロールには温度差が存在することがほとんどである。
特に、固定スクロールに吐出口が設けられ、固定スクロールの反ラップ側に吐出空間があるような一般的な構成では、実際には旋回スクロールよりも固定スクロールの方が温度が高くなる傾向がある。
これは、定格条件等の通常運転時では圧縮機構部の各部品の温度よりも吐出ガスの温度の方が高く、吐出ガスにさらされている面積の大きい固定スクロールの方が受熱して温度が高くなりやすいためであり、固定スクロールと旋回スクロールが概ね同一の熱膨張係数でも固定スクロールの方が熱膨張量は大きくなる。
また、同時に形成される複数の圧縮室はそれぞれ異なる圧力を持ち、固定スクロールラップおよび旋回スクロールラップには内外壁の圧力差による径方向の圧力変形が生じている。
同様に、固定スクロールと旋回スクロールには圧力差によって軸方向荷重が加わり、その圧力変形によってスクロールラップは径方向に変位していることから、実運転時のスクロールラップ形状は圧力によっても径方向に複雑に変形している。
それらの熱膨張と圧力変形の結果、固定スクロールと旋回スクロールのラップは理論形
状とは若干異なる形状となるため、同時に存在する複数のシール点のうちで一点のみが接触点となり、他のシール点に径方向隙間が生じて漏れ損失を招くことになる。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、固定スクロールと旋回スクロールを概ね同等な熱膨張係数の材料で構成し、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線形状が関数で表現され、渦巻き曲線関数の伸開角の係数を固定スクロールラップと旋回スクロールラップとで異なるものとすることにより、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差や、圧力差によるスクロールラップ径方向の変形を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計でき、同時に存在する複数のシール点での実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することのできる高効率のスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のスクロール圧縮機は、請求項1記載のとおり、固定スクロールと旋回スクロールを概ね同等な熱膨張係数の材料で構成し、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線形状が関数で表現され、渦巻き曲線関数の伸開角の係数が固定スクロールラップと旋回スクロールラップとで異なるものである。
従来の構成では固定スクロールと旋回スクロールの温度差による熱膨張量差と圧力変形によって実運転時の径方向隙間が大きくなり、大きな漏れ損失を招いていたものが、本構成によれば、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差や圧力差によるスクロールラップ径方向の変形を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計することにより、実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することができ、高効率化が可能である。
本発明のスクロール圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールを概ね同等な熱膨張係数の材料で構成し、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線形状が関数で表現され、渦巻き曲線関数の伸開角の係数を固定スクロールラップと旋回スクロールラップとで異なるものとすることにより、漏れ損失の低減による高効率化が可能である。
第1の発明は、固定スクロールの一部をなす固定鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の固定スクロールラップと、旋回スクロールの一部をなす旋回鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の旋回スクロールラップを互いに噛み合わせて、両スクロール間に三日月形の一対の圧縮空間を形成し、各圧縮空間が吸入側より吐出側に向けて連続移行する複数個の圧縮室に区画されて流体を圧縮すべく容積変化するスクロール圧縮機であって、固定スクロールと旋回スクロールを概ね同等な熱膨張係数の材料で構成し、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線形状が関数で表現され、渦巻き曲線関数の伸開角の係数を固定スクロールラップと旋回スクロールラップとで異なるものとすることにより、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差や圧力差によるスクロールラップ径方向の変形を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計でき、同時に存在する複数のシール点での実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することが可能である。
第2の発明は、特に、第1の発明のスクロール圧縮機において、固定スクロールと旋回
スクロールのうち、温度が高い方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数を他方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数よりも小さく構成することにより、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計でき、同時に存在する複数のシール点での実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することが可能である。
実運転時のスクロールラップの径方向変位に関する発明者らの検討によると、圧力差による径方向変位が数ミクロン程度であるのに対し、固定スクロールと旋回スクロールの温度差による相対的な径方向変位は数十ミクロンであり、径方向隙間は温度差の影響を大きく受けている。
したがって、実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減させるためには、固定スクロールと旋回スクロールの温度差を把握し、温度の高い方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数を他方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数よりも小さくすれば効果は大きい。
第3の発明は、特に、第2の発明のスクロール圧縮機において、固定スクロールと旋回スクロールのうち、吐出口が設けられた方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数を他方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数よりも小さく構成している。
通常の運転時、圧縮機構部とその付近の温度は、吐出口から吐き出される直前の圧縮室内部のガス温度が最も高く、その後吐出口から吐き出され、圧縮機内部を循環して吐出管から吐出されるまでの間に周囲の部品に熱伝達していく。
したがって、吐出口が設けられたスクロール部品は、他方のスクロール部品よりも高温の吐出ガスにさらされる時間および距離が長く、吐出ガスからの熱伝達によって高温になりやすい。
すなわち、固定スクロールと旋回スクロールのうち、吐出口が設けられた方の温度は他方の温度よりも高くなりやすいことから、上記構成により、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計でき、同時に存在する複数のシール点での実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することが可能である。
第4の発明は、特に、第3の発明のスクロール圧縮機において、固定スクロールと旋回スクロールのうち、吐出口が設けられた方の反ラップ側の面の概ね全面が略吐出圧力の高圧ガスにさらされている。
この構成により、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計でき、同時に存在する複数のシール点での実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することが可能である。
特に、密閉容器内のほとんどが吸入圧力である低圧型圧縮機においては、吐出口から吐き出された吐出ガスを圧縮機構部にほとんどさらすことなく吐出管から吐出させるためには別途部品が必要で、構成も複雑化するが、この構成ではその部品が不要で構成を簡易化することができ、複雑化によるコストアップを抑制することが可能である。
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、圧縮機構部を収納する密閉容器の内部が略吐出圧力となる高圧型とすることにより、低温で低圧の吸入ガスを直接圧縮室に吸入することができるために吸入加熱を抑制でき、高い体積効率を実現することが可能であると同時に、吐出口から吐き出された最も高温の吐出ガスにさらされている方のスクロール部品と他方の温度差は非常に大きくなるため、実運転時の径方向隙間の極小化による漏れ損失低減効果はさらに大きくなる。
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線をインボリュート曲線とすることにより、スクロールラップ加工時のワーク回転と工具移動が外壁、内壁ともに比較的簡単で加工性が良く、高い歩留まりを実現することが可能である。
第7の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線を代数螺旋とすることにより、渦巻き曲線を比較的小径化しやすく、容易に小型化が可能である。
また、ラップ形状を代数的に自由に変化させることができるため、ラップの厚みを中心部から外周部に向かって変化させることも容易で、中心部でラップ厚みを大きくして強度を確保し、外周部でラップ厚みを小さくして行程容積を大きく確保するといった自由な設計が可能である。
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、作動流体として二酸化炭素を用いている。
二酸化炭素冷媒は高温度差加熱に有利であることからヒートポンプ給湯機に適しており、80℃以上の高温の出湯温度を確保するために圧縮機の吐出温度を90℃以上の非常に高い温度に設定する必要がある。
そのため、圧縮機構部の温度も非常に高く、それに伴って固定スクロールと旋回スクロールの温度差も拡大する方向である。
したがって、実運転時の径方向隙間の極小化による漏れ損失低減効果はさらに大きくなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図である。
図1において、鉄製の密閉容器1の内部全体は吐出管2に連通する高圧雰囲気となり、その中央部に電動機3、上部に圧縮機構が配置され、電動機3の回転子3aに固定されたクランク軸4の一端を支承する圧縮機構の本体フレーム5が密閉容器1に固定されており、その本体フレーム5に固定スクロール6が取り付けられている。
クランク軸4に設けられた軸方向の油通路7は、その一端が給油ポンプ装置8に通じ、他端が最終的に旋回スクロール9の偏心軸受10に通じている。固定スクロール6と噛み合って圧縮室11を形成する旋回スクロール9は、渦巻き状の旋回スクロールラップ9aと偏心軸受10とを直立させた旋回鏡板9bとからなり、固定スクロール6と本体フレーム5との間に配置されている。
固定スクロール6は、固定鏡板6aと渦巻き状の固定スクロールラップ6bとからなり、固定スクロールラップ6bの中央部に吐出口12と吐出口12に通じる吐出室13、外周部に吸入口14および圧縮が開始されるまでの流体通路である吸入室15が配置されている。
クランク軸4の主軸から偏心してクランク軸4の上端部に配置された偏心軸16は、旋回スクロール9の偏心軸受10と係合摺動すべく構成されている。旋回鏡板9bの背面9cと、旋回スクロール9の軸方向への移動を規制する本体フレーム5に設けられたスラスト拘束面5aとの間は、微小な隙間が設けられている。本体フレーム5のスラスト拘束面5aには環状シール部材17が遊合状態で装着されており、その環状シール部材17はその内側の背面室18と外側の背圧室19とを仕切っている。
給油ポンプ装置8によって吸い上げられたオイルはクランク軸4の油通路7を通り旋回スクロール9の偏心軸受10と偏心軸16との間に形成された軸方向の内部空間20へ導かれ、一方は旋回スクロール9の旋回鏡板背面9cに設けられた絞り部21を経由して固定スクロール6と本体フレーム5とによって囲まれて形成される背圧室19へと通じ、旋回スクロール9を固定スクロールラップ6bに押さえつける機能を持った背圧調整弁22、オイル供給通路22aを通って吸入室15へと導かれる。もう一方は偏心軸受10、背面室18、主軸受23を通り圧縮機構外部へ排出される。
吐出口12の出口側を開閉する逆止弁装置24が固定スクロール6の固定鏡板6aの平面上に取り付けられており、その逆止弁装置24は薄鋼板製のリード弁24aと弁押さえ24bとからなる。
クランク軸4の下端は密閉容器1内に溶接や焼き嵌めして固定された副軸受け25により軸受けされ、安定に回転することができる。副軸受け25はジャーナル軸受け構成となっており、給油ポンプ装置8によって吸い上げられたオイルの一部が副軸受け25へと供給される。
圧縮機構にて圧縮されて吐出口12から吐出された直後のガスと、吐出管2から吐出される直前のガスはマフラー26によって仕切られ、吐出口12から吐出された直後のガスはマフラー26の内部空間を経由して、圧縮機構外周部付近に設けられた下向きガス流路27を通り、図示された点線矢印のごとく回転子3a上部へと導かれる。ここで主軸受け23などを潤滑後排出されたオイルと合流し、回転子3a内部に設けられた回転子通路3bを介して回転子3a下部へと到達後、ガスとオイルの混合流が遠心力によって固定子3c下部コイルエンドに衝突し、気液分離される。気液分離後のガスは固定子3c外周に設けられた固定子通路3dを介して電動機3上部へと導かれ、圧縮機構に設けられた図示されていない上向きガス流路を通って圧縮機構上側空間へ到達後、吐出管2から密閉容器1外部へと吐出される。
固定スクロール6と旋回スクロール9、本体フレーム5はいずれも鋳鉄製であり、熱膨張係数は概ね同一である。
図2および図3は図1における固定スクロールラップ6bおよび旋回スクロールラップ9aの正面図であり、各ラップは渦巻き曲線であるインボリュート曲線で表現されている。
図4に示すインボリュート曲線は、伸開角をθ、基礎円半径をaとすると、デカルト座標系で以下の関数で表される。
x=a(cosθ+θsinθ)
y=a(sinθ+θcosθ)
これを基準曲線とし、旋回半径εで旋回したときの基準曲線が描く二つの包絡線のうち外側包絡線は以下の関数で表される。
x=a(cos(θ−ε/a)+θsin(θ−ε/a))
y=a(sin(θ−ε/a)+θcos(θ−ε/a))
同様に、内側包絡線は以下の関数で表される。
x=a(cos(θ+ε/a)+θsin(θ+ε/a))
y=a(sin(θ+ε/a)+θcos(θ+ε/a))
固定スクロールラップ6bおよび旋回スクロールラップ9aの一方のラップの外壁を上述の基準曲線の関数で表現すると、それに組み合わされる他方のラップの内壁は外側包絡線の関数で表現されることになる。
図2および図3において、固定スクロールラップ6bおよび旋回スクロールラップ9aは前述のインボリュート曲線の関数によって表現され、固定スクロールラップ6bの伸開角θの係数a、すなわち固定スクロールラップ基礎円6cの半径は旋回スクロールラップ9aの伸開角θの係数a、すなわち旋回スクロールラップ基礎円9dの半径よりも小さい。
なお、できるだけ明確に違いが分かるよう、図2および図3の基礎円6c、9dの半径の比率は比較的大きくしている。
以上のように構成されたスクロール圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
スクロール圧縮機は類似した二つの渦巻きラップを互いに噛み合わせて相対的に旋回運動を行い、ラップで形成された三日月形の圧縮室の容積が徐々に縮小することによって圧縮を行うものである。
図5は基礎円半径が同一の固定スクロール6と旋回スクロール9とが組み合わされて旋回運動を行う圧縮過程を示したもので、図5(a)は旋回スクロール9のラップ外壁9e側で吸入ガスを閉じ込んだ瞬間のクランク角を示し、以後、90度のクランク角毎に(b)、(c)、(d)を示している。
図5(b)に示すとおり、旋回スクロールラップ外壁9e側の第1の圧縮室11aは、旋回スクロールラップ外壁9eと固定スクロールラップ内壁6d、固定スクロールラップ溝底面6e、旋回スクロールラップ底面9fの四つの面によって形成され、圧力の異なる周囲の圧縮室との間をオイルによってシールしている。
圧縮機運転中、旋回スクロール9は固定スクロール6に圧力差によって軸方向に強く押し付けられ、固定スクロールラップ上面6fと旋回スクロールラップ溝底面9fとの間にはほとんど隙間が生じないが、旋回スクロールラップ上面9gと固定スクロールラップ溝底面6eとの間には熱時にも摺動しないように微小な軸方向隙間が設けられている。
過負荷運転等の最高温度時に旋回スクロールラップ上面9gが固定スクロールラップ溝底面6eと接触しないようにするため、この軸方向隙間は固定スクロール6と旋回スクロール9の熱膨張係数の比率が大きくなればなるほど大きめに設定する必要があり、通常の定格条件等の中程度の温度の時には少なからず軸方向隙間が生じることから、軸方向隙間での漏れ損失を最小限に抑制するためには固定スクロール6と旋回スクロール9の熱膨張係数を概ね同一にして軸方向隙間の設定を可能な限り小さくすることが望ましい。
本実施例では、固定スクロール6と旋回スクロール9の材質はともに鋳鉄としているが、鋳鉄でも組成や製造方法等によって熱膨張係数は若干異なる。また、鋳鉄と炭素鋼の熱膨張係数もほとんど同一ではあるが、やはり若干異なる。
しかし、軸方向隙間での漏れ損失に対する影響は小さく、固定スクロール6と旋回スクロール9の熱膨張係数が概ね同一であれば大きな問題はない。
一方、旋回スクロール9に加わる圧力、遠心力および偏心軸受10の油膜力のバランスにより、旋回スクロール9にはクランク軸4の偏芯方向に力が発生し、この押接力によって径方向にも固定スクロール6に適度に押し付けられているため、固定スクロール6と旋回スクロール9の運転時の温度が同じであれば、第1の圧縮室11aの両端部の旋回スクロール外壁第1シール点28aと第2シール点28bは両方とも接触点となり、径方向隙間は生じない。
第1の圧縮室11aがこのクランク角からさらに360度進んだときの両端部の旋回スクロール外壁第2シール点28bと第3シール点28cも同様に径方向隙間は生じない。
また、旋回スクロールラップ内壁9hと固定スクロールラップ外壁6gとで形成される第2の圧縮室11bの両端部の旋回スクロール内壁第1シール点29aと第2シール点29b、および他のクランク角での圧縮室11の各シール点28a、28b、28c、29a、29bでも同様に径方向隙間は生じない。
すなわち、固定スクロール6と旋回スクロール9の基礎円半径が同じであると同時に、熱膨張係数と温度が同じであれば、両スクロール6,9の熱膨張量は同じであり、理論上のインボリュート曲線と同様に全てのシール点が接触点となる。
しかしながら、固定スクロール6は吐出口12から吐出されたばかりの最も高温状態の吐出ガスが固定スクロール6とマフラー26との間に充満し非常に高温になりやすい一方、旋回スクロール9はある程度冷却後に密閉容器1下部に溜まってから吸い上げられたオイルが旋回スクロール9と本体フレーム5との間に充満しているため、固定スクロール6よりも温度が低い。
したがって、固定スクロール6と旋回スクロール9の基礎円半径が同一の場合、熱膨張係数が同じであっても、固定スクロール6の方が旋回スクロール9よりも温度が高い状態で運転され、固定スクロール6の径方向の熱膨張量は旋回スクロール9よりも大きくなるため、例えば図6のクランク角では、旋回スクロール内壁第1シール点29aが接触点となり、他の4つのシール点28a、28b、28c、29bには漏れ損失を招く径方向隙間が生じる。
そこで、本実施の形態1では図2および図3に示すとおり、固定スクロールラップ6bの基礎円6cの半径を旋回スクロールラップ9aの基礎円9dの半径よりも小さく設定している。
組み付けや圧縮機起動直後等の冷時のように、固定スクロール6と旋回スクロール9に温度差が無いときには、図7のように旋回スクロール外壁第1シール点28aが接触点で、他の4つのシール点28b、28c、29a、29bには径方向隙間がある。
しかし、高効率が求められる定格条件等の熱時運転状態で固定スクロール6と旋回スクロール9に温度差が生じているときには、図8のように5つの全てのシール点28a、28b、28c、29a、29bが同時に接触点となり、径方向隙間の発生を抑制して漏れ
損失を低減することができる。
これらの径方向隙間の発生状況を全クランク角でプロットしたグラフで説明する。
図9は固定スクロールラップ6bと旋回スクロールラップ9aの基礎円半径が同一である場合の、(a)は冷時の径方向隙間、(b)は熱時の径方向隙間を示す特性図であり、横軸にはクランク角をとっている。
縦軸の径方向隙間は、主軸受23と偏心軸受10の中心間の距離がクランク軸4の偏心軸16偏心量と同じとして、すなわちクランク軸4の各軸が各軸受10,23の中心に位置しているとして計算している。
したがって、あるクランク角において径方向隙間の最小値がマイナスであるとき、実際にはそのシール点が接触点となり、そのマイナス分を各軸受10,23の隙間が吸収していることになる。
前述のとおり、固定スクロールラップ6bと旋回スクロールラップ9aの基礎円半径が同一である場合、冷時のシール点28a、28b、28c、29a、29bでの径方向隙間は図9(a)のようにクランク角によらず全て一定で、ゼロとなる。
熱時の固定スクロール6と旋回スクロール9に温度差が生じている時の径方向隙間は図9(b)のように不均一となる。ここで、下側の3本の細線は旋回スクロール外壁シール点28a、28b、28cでの径方向隙間、上側の3本の太線は旋回スクロール内壁シール点29a、29bでの径方向隙間である。そして、各クランク角で径方向隙間が最小となるシール点、すなわち最も下側の線が接触点となり、その他の線のシール点では大きな径方向隙間が生じている。
一方、図10は固定スクロールラップ6bの基礎円半径が旋回スクロールラップ9aの基礎円半径よりも小さい場合の、(a)は冷時の径方向隙間、(b)は熱時の径方向隙間である。縦軸の径方向隙間の定義は図8と同様である。
図10(a)の冷時には大きな径方向隙間が生じていたものが、熱時になると固定スクロール6と旋回スクロール9の温度差によって図10(b)のように均一化され、全てのシール点28a、28b、28c、29a、29bを極小化することで漏れ損失を低減することができる。
なお、固定スクロール6の温度が旋回スクロール9よりも高くなるような構成、例えば固定スクロール6に吐出口12が設けられた上記の一般的な構成であれば、負荷の上昇、すなわち温度の上昇に伴って旋回スクロールラップ上面9gと固定スクロールラップ溝底面6eとの間の軸方向隙間は拡大する方向であることから、定格条件等高効率の要求される運転条件で軸方向隙間を極小化できるように設定することは容易であり、固定スクロール6と旋回スクロール9に温度差がある場合でも、軸方向隙間と径方向隙間の両方を極小化して漏れ損失を低減し、高効率を実現することが可能である。
また、固定スクロール6および旋回スクロール9の圧力変形によってインボリュート曲線に対してずれが発生したり、固定スクロール6および旋回スクロール9が非対称形状であることや他の部品が取り付け、圧入されること等により、スクロールラップ6b、9a形状が加工後、熱膨張後および圧力変形後にインボリュート曲線に対してずれることがあるが、それらによる実運転時の径方向隙間の不均一状態に対しても、スクロールラップ6b、9aの基礎円半径を適切に設計することで同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態1ではスクロールラップ6b、9aの渦巻き曲線にインボリュート曲線を選んだが、図11に示すアルキメデス曲線に代表される代数螺旋を用いた場合、その代数螺旋はデカルト座標系で以下の関数で表される。
x=aθcosθ
y=aθsinθ
ここで、kは代数螺旋の指数であり、kの値を変えることで自由に曲線形状を変更することができる。
これを基準曲線とし、旋回半径εで旋回したときの基準曲線が描く二つの包絡線のうち外側包絡線は以下の関数で表される。
x=aθcosθ+εcos(θ−tan−1(k/θ))
y=aθsinθ+εsin(θ−tan−1(k/θ))
同様に、内側包絡線は以下の関数で表される。
x=aθcosθ−εcos(θ−tan−1(k/θ))
y=aθsinθ−εsin(θ−tan−1(k/θ))
これらの関数によって固定スクロールラップ6bおよび旋回スクロールラップ9aが表現され、伸開角θの係数aを固定スクロールラップ6bと旋回スクロールラップ9aとで異なる値とすることによっても、実運転中の径方向隙間を極小化、均一化することが可能であり、インボリュート曲線を用いた場合と同様の効果が得られる。
加えて、本実施の形態1では、旋回スクロールラップ9aを固定スクロールラップ6bに適度に押し付けて接触点を持たせる構成を説明したが、この構成に限ることはなく、旋回スクロールラップ9aを固定スクロールラップ6bに押し付けずに運転する構成においても本発明の思想を適用することにより、実運転時の径方向隙間を最小限まで縮小、均一化することにより高効率化を実現できる。
なお、本実施の形態のスクロール圧縮機においては、作動流体として二酸化炭素を用いている。二酸化炭素冷媒は高温度差加熱に有利であることからヒートポンプ給湯機に適しており、80℃以上の高温の出湯温度を確保するために圧縮機の吐出温度を90℃以上の非常に高い温度に設定する必要がある。そのため、圧縮機構部の温度も非常に高く、それに伴って固定スクロールと旋回スクロールの温度差も拡大する方向である。
したがって、実運転時の径方向隙間の極小化による漏れ損失低減効果はさらに大きくなる。
以上の説明のように本実施の形態1のスクロール圧縮機によれば、固定スクロールの一部をなす固定鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の固定スクロールラップと、旋回スクロールの一部をなす旋回鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の旋回スクロールラップを互いに噛み合わせて、両スクロール間に三日月形の一対の圧縮空間を形成し、各圧縮空間が吸入側より吐出側に向けて連続移行する複数個の圧縮室に区画されて流体を圧縮すべく容積変化するスクロール圧縮機であって、固定スクロールと旋回スクロールを概ね同等な熱膨張係数の材料で構成し、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線形状が関数で表現され、渦巻き曲線関数の伸開角の係数を固定スクロールラップと旋回スクロールラップとで異なるものとすることにより、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差や圧力差によるスクロールラップ径方向の変形を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計でき、同時に存在する複数のシール点での実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することが可能である。
また、本実施の形態1のスクロール圧縮機によれば、固定スクロールと旋回スクロールのうち、温度が高い方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数を他方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数よりも小さく構成することにより、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計でき、同時に存在する複数のシール点での実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することが可能である。
実運転時のスクロールラップの径方向変位に関する発明者らの検討によると、圧力差による径方向変位が数ミクロン程度であるのに対し、固定スクロールと旋回スクロールの温度差による相対的な径方向変位は数十ミクロンであり、径方向隙間は温度差の影響を大きく受けている。
したがって、実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減させるためには、固定スクロールと旋回スクロールの温度差を把握し、温度の高い方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数を他方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数よりも小さくすれば効果は大きい。
また、本実施の形態1のスクロール圧縮機によれば、固定スクロールと旋回スクロールのうち、吐出口が設けられた方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数を他方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数よりも小さく構成している。
通常の運転時、圧縮機構部とその付近の温度は、吐出口から吐き出される直前の圧縮室内部のガス温度が最も高く、その後吐出口から吐き出され、圧縮機内部を循環して吐出管から吐出されるまでの間に周囲の部品に熱伝達していく。
したがって、吐出口が設けられたスクロール部品は、他方のスクロール部品よりも高温の吐出ガスにさらされる時間および距離が長く、吐出ガスからの熱伝達によって高温になりやすい。
すなわち、固定スクロールと旋回スクロールのうち、吐出口が設けられた方の温度は他方の温度よりも高くなりやすいことから、上記構成により、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計でき、同時に存在する複数のシール点での実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することが可能である。
また、本実施の形態1のスクロール圧縮機によれば、固定スクロールと旋回スクロールのうち、吐出口が設けられた方の反ラップ側の面の概ね全面が略吐出圧力の高圧ガスにさらされている。
この構成により、実運転時の固定スクロールと旋回スクロールの温度差によるスクロールラップ径方向の熱膨張量の差を考慮して固定スクロールラップと旋回スクロールラップをそれぞれ独自の適正な形状に設計でき、同時に存在する複数のシール点での実運転時の径方向隙間を極小化して漏れ損失を低減することが可能である。
特に、密閉容器内のほとんどが吸入圧力である低圧型圧縮機においては、吐出口から吐き出された吐出ガスを圧縮機構部にほとんどさらすことなく吐出管から吐出させるためには別途部品が必要で、構成も複雑化するが、この構成ではその部品が不要で構成を簡易化することができ、複雑化によるコストアップを抑制することが可能である。
また、本実施の形態1のスクロール圧縮機によれば、圧縮機構部を収納する密閉容器の内部が略吐出圧力となる高圧型とすることにより、低温で低圧の吸入ガスを直接圧縮室に吸入することができるために吸入加熱を抑制でき、高い体積効率を実現することが可能であると同時に、吐出口から吐き出された最も高温の吐出ガスにさらされている方のスクロール部品と他方の温度差は非常に大きくなるため、実運転時の径方向隙間の極小化による漏れ損失低減効果はさらに大きくなる。
また、本実施の形態1のスクロール圧縮機によれば、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線をインボリュート曲線とすることにより、スクロールラップ加工時のワーク回転と工具移動が外壁、内壁ともに比較的簡単で加工性が良く、高い歩留まりを実現することが可能である。
また、本実施の形態1のスクロール圧縮機によれば、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線を代数螺旋とすることにより、渦巻き曲線を比較的小径化しやすく、容易に小型化が可能である。
また、本実施の形態1のスクロール圧縮機によれば、ラップ形状を代数的に自由に変化させることができるため、ラップの厚みを中心部から外周部に向かって変化させることも容易で、中心部でラップ厚みを大きくして強度を確保し、外周部でラップ厚みを小さくして行程容積を大きく確保するといった自由な設計が可能である。
さらに、本実施の形態1のスクロール圧縮機によれば、作動流体として二酸化炭素を用いている。
二酸化炭素冷媒は高温度差加熱に有利であることからヒートポンプ給湯機に適しており、80℃以上の高温の出湯温度を確保するために圧縮機の吐出温度を90℃以上の非常に高い温度に設定する必要がある。
そのため、圧縮機構部の温度も非常に高く、それに伴って固定スクロールと旋回スクロールの温度差も拡大する方向である。
したがって、実運転時の径方向隙間の極小化による漏れ損失低減効果はさらに大きくなる。
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールを概ね同等な熱膨張係数の材料で構成し、固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線形状が関数で表現され、渦巻き曲線関数の伸開角の係数を異なるものとすることにより、実運転時の径方向隙間を極小化でき、漏れ損失の低減による高効率化が可能であり、HFC系冷媒やHCFC系冷媒を用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機のほかに、自然冷媒の二酸化炭素を用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機などの用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態1における固定スクロールラップを示す正面図 本発明の実施の形態1における旋回スクロールラップを示す正面図 本発明の実施の形態1におけるインボリュート曲線を説明する模式図 本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の圧縮過程図 同一基礎円半径での運転時のスクロールラップの組合せを説明する模式図 本発明の実施の形態1における冷時のスクロールラップ組合せを説明する模式図 本発明の実施の形態1における運転時のスクロールラップ組合せを説明する模式図 同一基礎円半径での径方向隙間を示す特性図 本発明の実施の形態1における径方向隙間を示す特性図 本発明の実施の形態1における代数螺旋を説明する模式図 従来のスクロール圧縮機における圧縮機構部を示す要部断面図
符号の説明
1 密閉容器
6 固定スクロール
6a 固定鏡板
6b 固定スクロールラップ
6c 固定スクロールラップ基礎円
9 旋回スクロール
9a 旋回スクロールラップ
9b 旋回鏡板
9d 旋回スクロールラップ基礎円
11 圧縮室
12 吐出口

Claims (8)

  1. 固定スクロールの一部をなす固定鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の固定スクロールラップと、旋回スクロールの一部をなす旋回鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の旋回スクロールラップを互いに噛み合わせて、両スクロール間に三日月形の一対の圧縮空間を形成し、前記各圧縮空間が吸入側より吐出側に向けて連続移行する複数個の圧縮室に区画されて流体を圧縮すべく容積変化するスクロール圧縮機であって、
    前記固定スクロールと前記旋回スクロールを概ね同等な熱膨張係数の材料で構成し、前記固定スクロールラップと前記旋回スクロールラップの渦巻き曲線形状が関数で表現され、渦巻き曲線関数の伸開角の係数が前記固定スクロールラップと前記旋回スクロールラップとで異なることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 固定スクロールと旋回スクロールのうち、温度が高い方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数を他方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数よりも小さく構成した請求項1記載のスクロール圧縮機。
  3. 固定スクロールと旋回スクロールのうち、吐出口が設けられた方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数を他方のラップの渦巻き曲線関数の伸開角の係数よりも小さく構成した請求項2記載のスクロール圧縮機。
  4. 固定スクロールと旋回スクロールのうち、吐出口が設けられた方の反ラップ側の面の概ね全面が略吐出圧力の高圧ガスにさらされている請求項3記載のスクロール圧縮機。
  5. 圧縮機構部を収納する密閉容器の内部が略吐出圧力となる高圧型である請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  6. 固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線がインボリュート曲線である請求項1〜5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 固定スクロールラップと旋回スクロールラップの渦巻き曲線が代数螺旋である請求項1〜5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  8. 作動流体として二酸化炭素を用いた請求項1〜7のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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