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JP2010014669A - 分析チップ - Google Patents

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JP2010014669A
JP2010014669A JP2008177040A JP2008177040A JP2010014669A JP 2010014669 A JP2010014669 A JP 2010014669A JP 2008177040 A JP2008177040 A JP 2008177040A JP 2008177040 A JP2008177040 A JP 2008177040A JP 2010014669 A JP2010014669 A JP 2010014669A
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binding substance
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JP2008177040A
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Yuki Takii
有樹 瀧井
Kunihisa Nagino
邦久 薙野
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】本発明は、検体を更に薄めることなく、2枚の分析チップを用いた分析と同等の分析方法を提供することを課題とする。
【解決手段】選択結合性物質が固定化された基板の選択結合性物質固定化領域が向かい合うように配置された分析チップであって、該選択結合性物質固定化領域に挟まれた空間で検体溶液を保持することを特徴とする分析チップ。
【選択図】なし

Description

本発明は、選択的に結合する物質(本明細書において「選択結合性物質」)が固定化された基板から構成される分析チップに関する。
各種生物の遺伝情報解析の研究が始められている。ヒト遺伝子をはじめとして、多数の遺伝子とその塩基配列、また遺伝子配列にコードされる蛋白質およびこれら蛋白質から二次的に作られる糖鎖に関する情報が急速に明らかにされつつある。配列の明らかにされた遺伝子、蛋白質、糖鎖などの高分子体の機能は、各種の方法で調べることができる。主なものとして、核酸は、ノーザンブロッティング、あるいはサザンブロッティングのように、各種の核酸/核酸間の相補性を利用した方法により、各種遺伝子とその生体機能発現との関係を調べることができる。一方、蛋白質は、ウエスタンブロッティングに代表される蛋白質/蛋白質間の反応を利用し蛋白質の機能および発現について調べることができる。
近年、多数の遺伝子発現を一度に解析する手法として、DNAチップ法(DNAマイククロアレイ法)と呼ばれる新しい分析法が開発され、注目を集めている。DNAチップは、数百〜数万という多数の遺伝子発現を同時に測定するための小型装置であり、ガラス、シリコンなどの基材の基板上にDNAなどの分子を高密度に配置したものである。DNAチップを使用することによって、各種疾患動物モデルや細胞生物学現象における体系的かつ網羅的な遺伝子発現解析を行うことができる。具体的には、遺伝子の機能、すなわち遺伝子がコードするタンパク質を明らかにするとともに、タンパク質が発現する時期や作用する場所を特定することが可能になる。生物の細胞又は組織レベルでの遺伝子発現の変動をDNAチップによって解析し、生理学的、細胞生物学的、生化学的事象データと組み合わせて遺伝子発現プロファイルデータベースを構築することによって、疾患遺伝子、治療関連遺伝子の検索や治療方法の探索が可能になると思われる。
現在、DNAチップの作製は、主に2つの基本的な方法、すなわちGeneChip法及びcDNAマイクロアレイ法が採用されている。
GeneChip法はAffymetrix社によって開発された方法で、フォトリソグラフ法によりガラス板上で25マー(mer)程度のオリゴDNAを合成し、1つの遺伝子あたり、塩基配列データから16カ所から20カ所の25マーを設定し、25マーの完全一致と13塩基目を意図的に違えた1塩基ミスマッチのオリゴマーセットを組にしてプローブDNAとする。この方法は、プローブDNAの長さが一定であり、配列が既知なため、ハイブリダイゼーションの強さに影響をあたえるGC含量を一定にすることができるので、発現量の定量的解析には理想的なアレイと考えられている。
一方、cDNAマイクロアレイ法は、Stanford大学によって開発された方法で、キャピラリー状のペンによるスポッティング方式や、インクジェット方式などの手法により、ガラス板にDNAを固定するものである。いずれの方法も、あらかじめ蛍光標識した測定する試料(遺伝子)を、DNAチップ上のプローブとハイブリダイゼーションにより結合させ、スキャナーを用いてその蛍光強度を測定することにより、遺伝子の発現を測定するものである。
DNAチップデータの解析の1つとして、階層的クラスタリングがある。これは、発現パターンの類似した遺伝子を集めて系統樹を作製することができる方法であり、多数の遺伝子の発現レベルが色で模式的に表示されうる。このようなクラスタリングによって、ある疾患に関連する遺伝子を識別することができる。
DNAだけでなく、タンパク質や糖類などを基板に配置した分析チップも検査、解析手段としても利用されるようになってきた。とりわけ、タンパク質を配置したプロテインチップでは、抗体、抗原、酵素基質などのタンパク質が基板上に固定される。
一般的なガラスやシリコンではなくポリマーを基材とした、凹凸構造を有する特殊な形状のDNAチップが開発されている(特許文献1)。この方法により、基板の凸部上面にスポットされる物質量のばらつきが小さくなり、その結果、S/N比及び検出感度が大きく改善された。さらに、凹部内に微粒子を存在させることによって、反応液の攪拌効率を増大させることが可能となり、結果として反応促進効果も達成された(非特許文献1)。
特開2004−264289号公報 滝澤聡子ら、バイオテクノロジージャーナル:2005年7−8月号、418−420頁
DNAチップ等の分析チップを用いた分析において、その感度を優先するためには、検体を高濃度に調製することが必要である。高濃度に検体溶液を調製することができれば、高感度な検出が可能となり、微少な変化を検出することが期待できる。しかし、分析チップによる分析では、実験の精度を高めるために分析チップを2枚以上用いた分析を行うことがあり、この場合、検体溶液は、分析チップを1枚用いた分析と比べて、体積を2倍に希釈して用いられ、濃度が2分の1になった状態で分析されることになり、本来の感度が損なわれ、重要な結果を見逃すことが起こりえる。本発明は、検体を更に薄めることなく、2枚の分析チップを用いた分析と同等の分析を可能にすることを目的とする。
上記課題に鑑みて、本発明者らは鋭意検討した結果、選択結合性物質が固定化された基板が向かい合うように配置された分析チップにより上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(6)で構成される。
(1)選択結合性物質が固定化された基板の選択結合性物質固定化領域が向かい合うように配置された分析チップであって、該選択結合性物質固定化領域に挟まれた空間で検体溶液を保持することを特徴とする分析チップ。
(2)前記基板2枚が向かい合うように配置することを特徴とする(1)に記載の分析チップ。
(3)前記基板に貫通孔が設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載の分析チップ
(4)前記選択結合性物質固定化領域の少なくとも一方が凹凸構造を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の分析チップ。
(5)前記選択結合性物質固定化領域に挟まれた空間に微粒子を含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の分析チップ。
(6)前記選択結合性物質が核酸であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の分析チップ。
本発明の分析チップにおいて、調製した検体溶液を薄めることなく、従来の分析チップ2枚分の分析を一度で実施できる。さらに、本発明の分析チップでは、2つの選択結合性物質固定化領域において全く同一の環境で検体溶液と選択結合性物質を接触させることができるため、感度を損ねることなくより正確な分析データを得ることができる。
以下に、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明の分析チップは、選択結合性物質が固定化された基板において、選択結合性物質固定化領域が向かい合うように配置された分析チップである。ここでいう分析チップとは、検体を含む溶液を当該チップにアプライし、検体の存在の有無や、検体の量や、検体の性状等を測定するために用いるチップをいう。具体的には、基板表面に固定化された選択結合性物質と検体との反応により、検体の量や、検体の有無を調べるバイオチップが挙げられる。より具体的には、核酸を基板表面に固定化したDNAチップ、抗体に代表されるタンパク質を基板表面に固定化したタンパク質チップ、糖鎖を基板表面に固定化した糖鎖チップ、及び基板表面に細胞を固定化した細胞チップ等が挙げられる。選択結合性物質及びその固定化の態様については後述する。
本発明の分析チップは、選択結合性物質固定化領域を向かい合うように配置することを特徴としており、具体例としては図1に開示される態様が挙げられるが、好ましくは選択結合性物質が固定化された2枚の基板を向かい合うように配置する態様である(図1の上段参照)。該基板2枚を向かい合うように配置した分析チップは、検体溶液を保持する空間を設けるように該基板を接着させることで得られる。該基板2枚は、前記空間が形成される限りにおいて、どのような態様で接着されてもよいが、基板が損傷されることなく脱離することが可能である態様が好ましく、両面テープ、樹脂組成物等の接着部材を介して好ましく接着される。
接着層として樹脂組成物を用いる場合、当該樹脂組成物としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、及びこれらの混合物からなる群より選択されるポリマーを含む樹脂組成物等を用いることができる。これらの樹脂組成物を利用することにより、両面テープに比べて密閉性を高めることが可能となるとともに、両面テープに比べて、長期間のインキュベーションに対しても安定であるため、そのような長期間のインキュベーションが必要な分析系においては特に好ましい。特に、接着層としてシリコーン系のエラストマーを用いると、密閉性が良好であり、しかも、容易に脱離が可能な状態でカバーを接着することができる。このようなエラストマーとしては、具体的には、ダウコーニング社のシルガード(登録商標)や、信越化学工業社製の型取り用二液型RTVゴムを挙げることができる。
前記基板の選択結合性物質固定化領域の表面は、図2および図3に見られるように微細な凹凸構造を有することが好ましい。凹部及び凸部の形状は特に限定されないが、特に凸部は角柱、円柱、円錐台などの柱状構造が好ましい。また凸部の上面の形状は、円形又は三〜八角形などの角形が好ましい。凹部又は凸部は完全に又は実質的に同一の構造を有しており、また交互に規則的に配列していることが好ましい。このような規則的な配列の場合、凸部の形状に応じて凹部の形状が決まる。
選択結合性物質は凹凸構造の凸部に結合されることが好ましい。その際、向かい合う凸部の上面の間の空間のサイズは、好ましくは高さ方向で、1〜500μmである。これより小さい範囲であると、固定された選択結合性物質に検体が接触する機会が極端に少なくなり、ハイブリダイゼーション後のシグナルが著しく小さくなるため、一方空間サイズが500μmを超えると、多くの液量が必要となり、微量な検体を用いる場合、検体溶液の濃度が薄くなってハイブリダイゼーションの反応性が低下し、検出時のシグナルが弱くなる。
凸部のサイズは、好ましくは高さ10〜200μm、幅50〜150μmであるが、このような範囲に限定されない。凸部と凸部の間隔は、例えば50〜600μmであるが、好ましくは複数の微粒子が入ることが可能なサイズである。また、特開2004−264289に示す理由から、凸部の高さについては、その周りの平坦部と同じ高さであることが好ましい。
基板の凸部の上面に選択結合性物質を固定化するために、凸部の上面は、選択結合性物質と結合可能な官能基(例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、エポキシ基など)を含むことができる。このような官能基を導入するために、例えば該表面にプラズマ処理や放射線処理(例えばγ線、電子線など)を施し、この後さらにグラフト重合処理することによって極性基を導入したり、ポリカチオン(例えばポリ−L−リシン、シランカップリング剤など)をコートしたりすることができる。ここで用いられるシランカップリング剤としては、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシランなどが挙げられる。
基板の材質としては、例えば、ガラス、セラミックス、シリコンなどの無機材料、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン、シリコンゴムなどのポリマーを挙げることができ、好ましくは、成形が容易な合成ポリマー、例えばPMMAである。
基板の成形としては、ポリマーの場合、射出成形法、ホットエンボス法などの方法、ガラスやセラミックの場合、サンドブラスト法などの方法、シリコンの場合、公知の半導体プロセスで使用される方法が挙げられる。
基板は、その全体又は一部を黒色にすることができる。黒色とは、可視光範囲(波長400〜800nm)において、基板の黒色部分の分光反射率が特定のスペクトルパターンを持たず、一様に低い値、好ましくは7%以下であり、かつ、黒色部分の分光透過率も特定のスペクトルパターンを持たず、一様に低い値、好ましくは2%以下であることを意味する。基板の少なくとも一部を黒色にすることによって、検体を検出する際のS/N比を向上させることができる。黒色にする手段として、基板材料又は絶縁材料に黒色物質、例えばカーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、アニリンブラック、金属(Ru,Mn,Ni,Cr, Fe,Co,Cuなど)の酸化物、Si,Ti,Ta,Zr,Crの炭化物を混入させることにより達成される。
本発明で使用可能な好ましい基板及びその製法は、例えば本出願人による特開2004−264289、バイオテクノロジージャーナル:2005年7−8月号、418−420頁などに記載されている。
本発明の分析チップにおいては、一方の選択結合性物質固定化領域を含む平面に、空間に連通する貫通孔を有することが好ましい。貫通孔は、被検試料、反応用バッファーなどの液体を注入するために利用され、また同時に、該空間内部の圧力を大気圧に保持するためにも利用される。貫通孔は、一つの空間に対して複数個あることが好ましく、中でも3〜6個とすることにより、検体溶液の充填が容易となるのでより好ましい。なお、後述するように、空間が互いに連通しない複数の空間に分かれている場合は、各空間あたりに複数個あることが好ましく、各空間あたりに3〜6個の貫通孔を有することがより好ましい。
貫通孔は、その少なくとも1つが、その径を変化させて、上端に径の広い部分、いわゆる液面駐止用チャンバーを備えるものとしても良い。(ここで駐止とは、必要部位にとどめることを意味する。)液面駐止用チャンバーを備えることにより、貫通孔からアプライされ空隙に充填された検体溶液の液面の上昇を抑え、貫通孔を封止部材で封止する際に容易かつ確実に行うことが可能となるとともに、検体溶液の中への多数の気泡の混入や、検体溶液の流出を防ぐことができるので好ましい。液面駐止用チャンバーの形状は特に限定されるものではなく、円柱形、角柱形、円錐形、角錐形、半球形、又はこれに近似した形状とすることができる。これらのうち、製造の容易さ及び検体溶液の上昇を抑制する効果の高さ等の観点から、円柱形が特に好ましい。
貫通孔の孔径サイズについては特に限定されるわけではないが、図4に示す縦断面形状の円筒形の貫通孔及び液面駐止用チャンバーとの組み合わせの場合を例に挙げると、貫通孔の孔径サイズ(直径)は、0.01〜2.0mmが好ましく、0.3〜1.0mmがより好ましい。孔径を0.01mm以上とすることにより、検体溶液のアプライを容易に行うことができる。一方、貫通孔の直径を1.5mm以下とすることにより、アプライ後封止前の検体溶液の蒸発などをより効果的に抑制することができる。液面駐止用チャンバーの孔径サイズ(直径)については、1.0mm以上が好ましい。1.0mm以上とすることにより、貫通孔とのサイズの差を十分に得ることができ、その結果、十分な液面駐止効果が得られるため好ましい。液面駐止用チャンバーの直径の上限は、特に限定されないが、10mm以下とすることができる。また、液面駐止用チャンバーの深さは、特に限定されないが、0.1〜5mmの範囲内とすることができる。
このような基板は、脱着可能な強度、態様で貫通孔のない選択結合性物質固定化基板に接着されていることが好ましい。本発明の分析用チップをDNAチップとして用いる場合、通常、DNAチップを専用スキャナーで読み取る必要があるが、2枚の基板が接着された状態では、専用スキャナーにセットすることが難しく、読み取ることも不可能である。そのため、読み取りの工程において2枚の基板が剥がせるように、2枚の基板が脱離可能であることが好ましい。
本発明の分析チップでは、選択結合性物質固定化領域に挟まれた該空間に微粒子を含むことが好ましい。微粒子が存在することによって、注入された検体溶液を効率よく攪拌することが可能となり、その結果、検体と選択結合性物質との反応促進効果がもたらされる。
微粒子による攪拌方法としては、チップを回転させて重力方向に微粒子を落下させる方法や、振とう機に微粒子を含んだチップをセットし基板を振とうさせる方法、磁性微粒子を用いて磁力により微粒子を移動させる方法が用いられるが、チップを振とう機にセットし、水平面内で旋回回転させる方法が、微粒子の移動範囲が大きく、偏り無く移動するため、その結果効率よく液を攪拌できるため好ましい。このとき、旋回回転の回転数は、好ましくは10〜1000回転/分、より好ましくは100〜500回転/分である。
微粒子の大きさ(直径)は特に限定されないが、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。これより小さい範囲だと、撹拌の効果が十分得られない場合があるためである。逆に大きすぎる範囲だと、微粒子を封入するために選択結合性物質固定化領域に挟まれた空隙を大きくする必要があり、結果的に必要な液量が多くなるため、好ましくない。また、2枚の基板に挟まれた空隙に検体等の溶液を入れて、封入された微粒子を移動させることで攪拌することを考えると、溶液や微粒子が基板の貫通孔からこぼれてしまわないように、貫通孔を塞ぐことが好ましい。
微粒子の表面の粗さをコントロールすることで、微粒子を封入する際の静電気の発生を抑制することができる。ここで、微粒子の表面粗さの好ましい範囲としては、表面粗さ(Ra)で40〜300nmである。この範囲の表面粗さを有する微粒子を封入することで、静電気が発生しにくくなり、効率よく微粒子の封入作業を行うことが可能となる。セラミックス製微粒子の場合、材質の強度を考慮すると、特に40〜200nmが好ましい。表面粗さ(Ra)が40nm未満の微粒子を用いると、静電気が発生してしまい封入効率が非常に低下する。また、微粒子の表面粗さ(Ra)が300nmより大きい場合、ハイブリダイゼーション後に検体溶液に濁りが見られ、検出結果にムラが生じてしまう。
微粒子の材質は特に限定されないが、例えばガラス、セラミック(ファインセラミックスを含む、例えばアルミナ・ジルコニア・窒化アルミ・窒化珪素・炭化珪素・サイアロン・チタニア系・フェライト等)、ステンレス等の金属類、ナイロン、ポリスチレン等のポリマーなどが挙げられる。中でも、物理的、化学的に安定であり、かつ比重が大きいことから、セラミックの微粒子が好ましく用いられ、より好ましく用いられるのは、イットリア部分安定化ジルコニアである。
イットリア部分安定化ジルコニアからなる微粒子を製造する場合、出発原料となる粉末は例えば、加水分解法、中和共沈法、熱分解法、水熱合成法、アルコキシド法などの化学合成法や酸化物混合法など、公知の粉末合成方法により製造された粉末を使用することができる。かかる粉末を微粒子に成形する手段としては、例えば、公知の転動造粒成形法、プレス成形法、噴霧造粒成形法、撹拌造粒成形法、CIP成形法、鋳込み成形法、押し出し成形法等を採用することができる。前記成形法で所望の大きさに成形した後、得られた成形体を酸化性雰囲気中または大気中で焼結する。焼結温度は1350〜1500℃で、焼結時間は2時間〜3時間が好ましい。さらに、前記焼結後にHIP(Hot Isostatic Pressing)処理してもよい。必要により粒径を調整する場合は、振動篩い機等により所定の粒度に分級すればよい。本発明においては、ユーザーの利便性を考慮すると、2枚の基板に挟まれた空隙に予め微粒子が封入されていることが好ましい。
本発明における選択結合性物質とは、検体と直接的又は間接的に、選択的に結合しうる物質をいう。その例として、核酸、タンパク質、糖類、又は他の抗原性化合物が挙げられる。
核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド核酸(PNA)、相補的DNA(cDNA)、相補的RNA(cRNA)などを含む。タンパク質は、抗体およびその断片、抗原、酵素基質を含む。糖類は、オリゴ糖、多糖類を含む。他の抗原性化合物は、ペプチド、小分子を含む。好ましい選択性化合物は、核酸及びタンパク質(特に抗体、抗原など)である。この点で、本発明の好ましい分析チップの例は、DNAチップ(DNAマイクロアレイともいう)又はプロテインチップである。また、このような選択結合性物質は、市販のものでもよいし、あるいは、合成するか、生体組織又は細胞などの天然源から調製したものでもよい。
特性及び一次構造(塩基配列)が明らかな遺伝子などのDNAについては、その配列に基づいてプローブ又はプライマーを作製し、例えば生物組織から調製したcDNAライブラリーから目的のDNAを選抜することができる。あるいは、生物組織から全RNAを抽出し、オリゴdTカラムを使用してpolyA RNA(すなわち、mRNA)を精製し、cDNAクローニングによってcDNA、さらにはcRNAを作製することができる。得られた核酸の検出は、サザン又はノザンブロット法、サザン又はノザンハイブリダイゼーション法などの公知の方法、制限酵素による切断及びマップ化、配列決定などの方法で行うことができる。また、得られた核酸の増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、遺伝子組換え技術(例えばベクターの使用)などによって行うことができる。あるいは、100マー以下のDNAを、DNA合成装置を用いて合成することも可能である。上記の一連の技術は、例えばAusbelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Willey & Sons, US (1993); Sambrookら, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, US (1989)などを参照することができる。
タンパク質は、天然から文献記載の方法に従って精製するか、あるいは、遺伝子組換え技術(ベクター/宿主系)によって合成することができる。タンパク質を抗原として、ウサギ、マウス、ヤギなどの非ヒト哺乳動物を免疫することによって、該タンパク質に対する抗体を作製することができる。また、マウスなどのネズミにおいては、目的の抗原による免疫刺激を受けた脾臓細胞と骨髄腫細胞との融合を含む方法によりモノクローナル抗体を作製することができる。抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗ペプチド抗体などが含まれる。これらの抗体の作製は周知の方法を利用して行うことができる。
モノクローナル抗体については、例えばMonoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, Plenum Press, US (1980);岩崎辰夫ら, 単クローン抗体 ハイブリドーマとELISA, 講談社サイエンティフィク(1987)など、また、ポリクローナル抗体については、例えば松橋直ら, 免疫学実験入門(生物化学実験法15), 学会出版センター(1982)を参照することができる。
抗ペプチド抗体については、例えばタカラバイオ(株)などが合成委託をしているのでそれを利用して入手することも可能である。簡単に説明すると、タンパク質の一次配列について可動予測、親水・疎水性予測、二次構造予測、極性予測などを行い、タンパク質表面に位置する部位を予測するとともに、免疫動物が本来もたない配列であることをホモロジー検索(DNASISソフト)によって予測し、ペプチド配列を決定する;次いで、その配列に基づいて、ペプチド合成によりペプチドを合成し;ウサギなどの動物に免疫し;血液から抗ペプチド抗体を分離し、親和性カラムなどを用いて精製する。
糖類は、化学的に合成するか、あるいは、糖タンパク質からグリコシダーゼにより切り出すことによって得ることができる。
選択結合性物質を基板に固定化するには、例えばキャピラリー状のペンでスポッティングする方式、インクジェット方式などの公知の手法を利用することができる。スポッティング方式は、スポッターまたはアレイヤーと呼ばれる高密度分注機を用いて選択結合性物質をスポットする方法である。具体的には、例えば多数のウエルをもつプレートの各ウエルに異なる溶液を入れておき、この溶液をピン(針)で取り上げて基板上に順番にスポットする。インクジェット方式は、ノズルから微少な液滴を圧電素子などにより噴射し、選択結合性物質を基板に吹き付ける方法である。具体的には、ノズルより遺伝子を噴射し、基板上に高速度で選択結合性物質を整列配置する。あるいは、選択結合性物質が核酸の場合、フォトリソグラフ法により基板上で順次ヌクレオチド合成を行うことができる。
本発明はさらに、上で説明した分析チップの、それに固定化された選択結合性物質と直接的又は間接的に結合しうる検体中の物質の存在又は量の測定への使用方法を提供する。
検体としては、生物学的試料が好ましく使用される。生物学的試料とは、例えば植物や動物由来の生物学的試料、ヒトを含む哺乳動物由来の組織、細胞、体液などの生物学的試料などを含む。具体的には、例えばヒト疾患関連遺伝子、その発現産物(タンパク質)などである。さらに、生物学的試料には、細菌などの原核生物、酵母、担子菌、藻類、昆虫などの上記以外の真核生物由来の生物学的試料、ウイルス由来の試料などが含まれる。
測定は、基板上に固定化された選択結合性物質と、検体中の物質との結合を検出することを含む。選択結合性物質が核酸の場合、測定はDNA/DNAハイブリダイゼーション、DNA/RNAハイブリダイゼーション又はRNA/RNAハイブリダイゼーションに基づく。また、選択結合性物質がタンパク質の場合、測定は抗原-抗体反応、すなわち免疫学的反応に基づく。反応温度、時間、バッファーなどの条件は、ハイブリダイズさせる核酸の種類や鎖長、免疫反応に関与する抗原及び/又は抗体の種類などに応じて適宜選択される。
ハイブリダイゼーションは、一般にはストリンジェントな条件下で行われる。そのような条件は特に限定されないが、例えば30〜50℃で、3〜4×SSC、0.1〜0.5%SDS中で1〜24時間のハイブリダイゼーション、その後の2×SSC及び0.1%SDSを含む溶液による洗浄を含むことができる。ここで、1×SSCは、150mM塩化ナトリウム及び15mMクエン酸ナトリウムを含む溶液(pH7.2)である。
DNAチップでは、生物の細胞又は組織から抽出されたmRNAからcDNAを合成し、cDNAをCy染料で標識したのち、これを試料として基板上のDNAとハイブリダイゼーションを行うことができる。
免疫学的反応は、例えば基板上に固定化された抗体と、被検試料中の抗原との反応である。検出は、抗体と抗原との免疫複合体を、例えば分光学的方法を用いて測定することによって行われる。測定としては、例えば酵素免疫測定法(EIA、ELISA)、放射性免疫測定法、蛍光抗体法などの酵素、放射性同位元素又は発蛍光剤を標識とする方法が好ましい。例えば、基板上の抗体と試料中の抗原とを結合させたのち、形成された免疫複合体の抗原と結合可能な標識抗体(すなわち二次抗体)を作用させることによって、標識の強度に基づいて、目的抗原の量又は存在を測定することができる。基板には、抗体ではなく抗原を予め固定化することも可能である。
上記のハイブリダイゼーションや免疫反応を行った後、分析チップをスキャナーを用いてスキャンし、標識が発する蛍光などのシグナルの強度又は存在を測定する。必要に応じて、測定したデータをコンピュータで解析する。
本発明の分析方法は、基板表面又はその近傍での気泡の発生が実質的にないため、凹凸構造をもつ基板を特徴とするDNAチップが本来的にもつ良好なS/N比、高検出感度などの特性を維持し、測定値のばらつきを改善し、正確で信頼性の高い測定を可能にする。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
(DNA固定化基板の作製)
公知の方法であるLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)プロセスを用いて、射出成形用の型を作製し、射出成型法により後述するような形状を有するPMMA製の基板を得た。なお、この実施例で用いたPMMAの平均分子量は5万であり、PMMA中には1重量%の割合で、カーボンブラック(三菱化学製 #3050B)を含有させており、基板は黒色である。この黒色基板の分光反射率と分光透過率を測定したところ、分光反射率は、可視光領域(波長が400nmから800nm)のいずれの波長でも5%以下であり、また、同範囲の波長で、透過率は0.5%以下であった。分光反射率、分光透過率とも、可視光領域において特定のスペクトルパターン(ピークなど)はなく、スペクトルは一様にフラットであった。なお、分光反射率は、JIS Z 8722の条件Cに適合した照明・受光光学系を搭載した装置(ミノルタカメラ製、CM−2002)を用いて、基板からの正反射光を取り込んだ場合の分光反射率を測定した。
基板の形状は、大きさが縦76mm、横26mm、厚み1mmであり、基板の中央部分を除き表面は平坦であった。基板の中央に、縦・横22mm、深さ0.15mmの凹んだ部分が設けてあり、この凹みの中に、直径0.15mm、高さ0.15mmの凸部を1296(36×36)箇所設けた。凹凸部分の凸部上面の高さ(1296箇所の凸部の高さの平均値)と平坦部分との高さの差を測定したところ、3μm以下であった。また、1296個の凸部上面の高さのばらつき(最も高い凸部上面の高さと最も低い凸部上面との高さの差)、さらには、凸部上面の高さの平均値と平坦部上面の高さの差を測定したところそれぞれ3μm以下であった。さらに、凹凸部凸部のピッチ(凸部中央部から隣接した凸部中央部までの距離)は0.5mmであった。必要に応じて基板の柱のない領域にドリル加工等により貫通孔を4つ設けた。
上記のPMMA基板を10Nの水酸化ナトリウム水溶液に70℃で12時間浸漬した。これを、純水、0.1NのHCl水溶液、純水の順で洗浄し、基板表面にカルボキシル基を生成した。
(プローブDNAの固定化)
配列番号1で表される塩基配列を有するDNA(60塩基、5’末端アミノ化)を合成した。なお、このDNAは5’末端がアミノ化されている。
このDNAを、純水に0.3nmol/μLの濃度となるよう溶解させて、ストックソリューションとした。基板に点着する際は、PBS(NaClを8g、NaHPO・12HOを2.9g、KClを0.2g、KHPOを0.2g純水に溶かし1LにメスアップしたものにpH調整用の塩酸を加えたもの、pH5.5)で10倍希釈して、プローブDNAの終濃度を0.03nmol/μLとし、かつ、基板表面のカルボン酸とプローブDNAの末端のアミノ基とを縮合させるため、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を加え、この終濃度を50mg/mLとした。そして、これらの混合溶液をアレイヤー(日本レーザー電子製;Gene Stamp―II)で基板凸部上面の全てにスポットした。次いで、基板を密閉したプラスチック容器に入れて、37℃、湿度100%の条件で20時間程度インキュベートした。最後に純水で洗浄し、スピンドライヤーで遠心して乾燥した。この反応スキームを図5に示す。
(基板の接着)
上記で得られたプローブDNAを固定した貫通孔を設けた基板と設けていない基板をPDMSポリマー(東レダウコーニングシリコーン)により接着した。接着条件は、42℃2時間である。
(微粒子の調製と封入)
表面粗さが20(nm)、平均粒径が197μmの市販ジルコニア製微粒子(東レ株式会社製)を、炭化珪素質研磨材(粒度#20)を用い遠心式バレル研磨機で1時間、水中にて研磨を行い、水洗して乾燥した。前記微粒子の表面粗さは、Ra=165nmであった。かかる微粒子の表面粗さの測定は、その表面をAuで真空蒸着した後、走査型電子顕微鏡(株式会社エリオニクス製、型式ESA−2000)で表面粗さRa(nm)を測定した。前記表面粗さは、観察倍率を10,000倍、カットオフ値を0とし、任意の10個について測定し、その平均値を求めた。かかる微粒子の粒径は、実体顕微鏡で任意の100個以上の微粒子の画像を50〜150倍で撮影した後、画像処理解析ソフト(三谷商事社株式会社製、Win Roof)により円相当径を求めて平均値を算出し、それを平均粒径とした。その後エタノール溶液に浸漬し、超音波洗浄を5分間行った。さらに同様の洗浄を2回繰り返した。この微粒子を基板の貫通孔から、2枚の基板に挟まれた空間内に120mg封入した。
(検体DNAの調製)
検体DNAとして、上記DNA固定化基板に固定化されたプローブDNAとハイブリダイズ可能な配列番号4で表される塩基配列を持つDNA(968塩基、以下、配列番号4のDNAともいう)を用いた。調製方法を以下に示す。
配列番号2で表される塩基配列を有するDNA(以下、配列番号2のDNAともいう)と配列番号3で表される塩基配列を有するDNA(以下、配列番号3のDNAともいう)を合成した。これを純水に溶解して濃度を100μMとした。次いで、pKF3 プラスミドDNA(タカラバイオ(株))(配列番号5で表される塩基配列を有するDNA:2264塩基)を用意して、これをテンプレートとし、配列番号2および配列番号3のDNAをプライマーとして、PCR反応(Polymerase Chain Reaction)により増幅を行った。
PCRの条件は以下の通りである。すなわち、ExTaq 2μl、10×ExBuffer 40μl、dNTP Mix 32μl(タカラバイオ(株)製)、配列番号2のDNAの溶液を2μl、配列番号3のDNAの溶液を2μl、テンプレート(配列番号5で表される塩基配列を有するDNA)を0.2μl加え、純水によりトータル400μlにメスアップした。これらの混合液を、4つのマイクロチューブに分け、サーマルサイクラーを用いてPCR反応を行った。これを、エタノール沈殿により精製し、40μlの純水に溶解した。PCR反応後の溶液の一部をとり電気泳動で確認したところ、増幅したDNAの塩基長は、およそ960塩基であり配列番号4のDNA(968塩基)が増幅されていることを確認した。
次いで、9塩基のランダムプライマー(タカラバイオ(株)製)を6mg/mlの濃度に溶かし、上記のPCR反応後精製したDNA溶液に2μl加えた。この溶液を100℃に加熱した後、氷上で急冷した。これらにKlenow Fragment(タカラバイオ(株)製)付属のバッファーを5μl、dNTP混合物(dATP、dTTP、dGTPの濃度はそれぞれ2.5mM、dCTPの濃度は400μM)を2.5μl加えた。さらに、Cy3−dCTP(GEヘルスケアバイオサイエンス製)を2μl加えた。この溶液に10UのKlenow Fragmentを加え、37℃で20時間インキュベートし、Cy3で標識された検体DNAを得た。なお、標識の際ランダムプライマーを用いたので、検体DNAの長さにはばらつきがある。最も長い検体DNAは配列番号4のDNA(968塩基)となる。なお、検体DNAの溶液を取り出して、電気泳動で確認したところ、960塩基に相当する付近にもっとも強いバンドが現れ、それより短い塩基長に対応する領域に薄くスメアがかかった状態であった。そして、これをエタノール沈殿により精製し、乾燥した。
この標識化された検体DNAを、1重量%BSA(ウシ血清アルブミン)、5×SSC(5×SSCとは、20×SSC(シグマ製)を純水にて4倍に希釈した液を指す。同様に、20×SSCを純水で2倍に希釈した液を10×SSC、100倍に希釈した液を0.2×SSCと表記する)、0.1重量%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、0.01重量%サケ精子DNAの溶液(各濃度はいずれも終濃度)、400μlに溶解し、ハイブリダイゼーション用のストック溶液とした。
以下の実施例、比較例において、ハイブリダイゼーション用の検体DNA溶液は、特に断りのない限り、上記で調製したストック溶液を、1重量%BSA、5×SSC、0.01重量%サケ精子DNA、0.1重量%SDSの溶液(各濃度はいずれも終濃度)で200倍に希釈したものを用いた。なお、この溶液の検体DNA濃度を測定したところ、3ng/μLであった。
(ハイブリダイゼーション)
マイクロピペットを用いて、基板の貫通孔より2枚の基板に挟まれた空間(反応槽)に上記で調整したハイブリダイゼーション検体溶液165μLを貫通孔より注入した。このとき、容易に溶液を注入でき、気泡が混入することはなかった。封止材としてシリコンテープ(アズワン)を用い、4つの貫通孔を塞いだ。ハイブリダイゼーションチャンバー(Takara Hybridization chamber(タカラバイオ(株))をシート振盪台(東京理化器械(株)製 MMS FIT−S)に密着させて固定し、基板をハイブリダイゼーションチャンバー内にセットした。このとき、基板をセットする位置の両端の凹みに、15μLずつ超純水を滴下した。ハイブリダイゼーションチャンバーのふたを閉めて6本の固定ネジを締めて固定後、42℃に設定した恒温チャンバー(東京理化器械(株)製 FMS−1000)内に据え付けた振盪機(東京理化器械(株)製 MMS−310)の上に載せて固定した。恒温チャンバーの前面をアルミホイルで遮光して、250回転/分で旋回振盪しながら、42℃で16時間インキュベートした。インキュベート後、ハイブリダイゼーションチャンバーから基板を取り出し、2枚の基板を剥がし、PDMSポリマーを脱離した後、それぞれ洗浄、乾燥した。
(測定)
DNAチップ用のスキャナー(Axon Instruments社製 GenePix 4000B)に上記処理後の2枚の基板(a, b)をセットし、レーザー出力33%、フォトマルチプライヤーの電圧設定を450にした状態で測定を行った。ここで、蛍光強度とはスポット内の蛍光強度の平均値であり、バックグラウンドノイズとは、プローブDNAを固定化していない凸部の蛍光強度である。結果を表1に示す。基板2枚の数値がほぼ同等で安定しており、十分な蛍光強度と、低く抑えられたバックグラウンドノイズが得られた。
比較例1
射出成形法により図6に示す貫通孔を4つ有するカバーを作製し、それを実施例1で作製されたDNA固定化基板のDNA固定化領域に次の方法で接着して分析チップを作製した。カバーを洗浄剤(クリーンエース(アズワンカタログ、品番:4−078−01)25倍希釈溶液)に浸漬して5分間超音波洗浄した後、逆浸透水(RO水)で十分にすすぎ、エアブローにより乾燥させた後、上記で得られたプローブDNAを固定した基板(貫通孔無し)に、洗浄済カバーをPDMSポリマー(東レダウコーニングシリコーン)により接着した。接着条件は、42℃、2時間である。
このチップを2枚(c, d)作製し、ハイブリダイゼーション溶液(3ng/μL)を2倍に希釈(1.5ng/μL)し、この2枚のチップにそれぞれアプライしたこと以外は実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
実施例1と比較して、バックグラウンドノイズは低く抑えられているが、蛍光強度は、半分程度であった。
Figure 2010014669
比較例2
比較例1と同様のチップを2枚(e, f)作製し、ハイブリダイゼーション溶液を希釈しないでアプライしたこと以外比較例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。蛍光強度、バックグラウンドノイズは実施例1と同等の結果が得られたが、2枚の蛍光強度の差が300と実施例1の10倍に広がってしまった(表2)。2枚のチップでは、ハイブリダイゼーション環境を揃えることの難しさを示していることが考えられる。
Figure 2010014669
本発明のDNAチップは、2枚のチップで、検体溶液とハイブリダイゼーション環境を揃えることができ、安定、かつ、高感度な分析が可能である。特に極微量な検体を2倍に希釈することなく、2枚のチップによる分析データを得ることができるので信頼性の高い測定を可能にする。このため、生物学、医学、微生物学などの分野で多用されている分析チップの精度向上が可能となり、産業上、非常に有用である。
本発明の分析チップの一例を概略的に示す斜視図とA1に沿った面で切断した部分断面図である。 本発明の分析チップを構成する基板の概略図及び縦断面図である。 本発明の分析チップの一例を概略的に示す縦断面図である。 本発明の分析チップを構成する基板における貫通孔及び液面駐止チャンバーの一例を示す部分断面図である。 本願実施例及び比較例における、プローブDNAの固定化を示す概略図である。 本願比較例におけるチップの一例を概略的に示す斜視図とA2に沿った面で切断した部分断面図である。
符号の説明
1 基板
2 カバー
3 接着層
4 液面駐止チャンバー
5 貫通孔
6 空間
7 基板に固定化された選択結合性物質
8 微粒子(ビーズ)
9 封止材
10 検体溶液
11 プローブDNA

Claims (6)

  1. 選択結合性物質が固定化された基板の選択結合性物質固定化領域が向かい合うように配置された分析チップであって、該選択結合性物質固定化領域に挟まれた空間で検体溶液を保持することを特徴とする分析チップ。
  2. 前記基板2枚が向かい合うように配置することを特徴とする請求項1に記載の分析チップ。
  3. 前記基板に貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の分析チップ
  4. 前記選択結合性物質固定化領域の少なくとも一方が凹凸構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分析チップ。
  5. 前記選択結合性物質固定化領域に挟まれた空間に微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分析チップ。
  6. 前記選択結合性物質が核酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分析チップ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014143960A (ja) * 2013-01-30 2014-08-14 Hitachi High-Technologies Corp 分析装置
WO2022158509A1 (ja) * 2021-01-21 2022-07-28 東レ株式会社 アレルゲン固定化担体およびアレルゲン特異的抗体の検出方法

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