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JP2009528843A - 組換えヒトトロンビンおよびフィブリノゲンの調製法 - Google Patents

組換えヒトトロンビンおよびフィブリノゲンの調製法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒト細胞において発現される組換えヒトタンパク質の新規な調製法を開示する。特に、本発明はヒト組換えトロンビンおよびヒト組換えフィブリノゲンの新規な調製法に関する。さらに、本発明の方法は無血清培養条件を採用し、これにより、ヒトの医学的処置に用いる際に患者に対する安全性がより高いヒト細胞において発現された組換えヒトタンパク質を提供する。さらに、ヒト細胞において発現された組換えヒトタンパク質に対する免役原性反応はより低いものとなり得る。ヒト組換えトロンビンはヒト胎児由来腎臓293細胞株において発現されるが、そのタンパク質は2つの異なる過程により調製することができる:一方は、glaならびにクリングル1および2ドメインを有する点変異プロトロンビンから出発し、これらのドメインを調製過程中維持する;他方は、プロトロンビン(非変異)から出発し、HPC4-クリングル2ドメインを有するプレトロンビンを経て、このプレトロンビンに点変異を施す。ヒト組換えフィブリノゲンはヒト胎児由来腎臓293細胞株において発現される。

Description

本特許出願は、連邦規則法典第37巻規則1.77(b)(4)に従い、米国特許商標局に提出したコンパクトディスクに含まれる内容全体を参照により包含する。その内容を含むCDは2007年3月6日に作製され、ファイルの大きさは24.2KBであり、ファイルの名称は「070306 sequence listing_WorkFile.txt」である。
本発明は、組換えヒトタンパク質の組成物を調製する新規な方法および概念に関し、それらのタンパク質はヒト細胞、ヒト細胞株、ヒト幹細胞またはヒト前駆細胞において産生される真正(authentic)または天然ヒトタンパク質を創出するという新規な方法によって調製する。特に、本発明は、ヒト組換えトロンビンおよびヒト組換えフィブリノゲンの新規な調製法に関する。ヒト組換えトロンビンは2つの異なる経路を用いて調製することができ、一方は、glaならびにクリングル1および2ドメインを有する点変異プロトロンビンから始まり、これらのドメインを調製過程中維持する;他方は、プロトロンビン(非変異)から始まり、HPC4-クリングル2ドメインを有するプレトロンビンを経由し、このプレトロンビンに点変異を施す。
トロンビンおよびフィブリノゲンは、フィブリン凝固カスケードの一部であるタンパク質である。トロンビンは2つの鎖、ジスルフィド結合、グリコシル化ポリペプチドと定義され、フィブリノゲンにおける特異的結合を切断してフィブリンモノマーを産生し、これらが自己集合してフィブリン血餅を形成する。
トロンビンとフィブリノゲンを、場合によりウシアプロチニンを加えて混合すると、天然のフィブリン凝固カスケードの最終段階が起こる。このフィブリンシーラントは、止血作用の他に、線維芽細胞増殖ならびに他の間葉細胞増殖に理想的な環境を提供する。例えばティシール(Tisseel)(登録商標)などの組織シーラント、ならびにフィブリノゲン、トロンビンおよびアプロチニンの個々の量の変更によって、凝固する速度および血餅密度が決定する。Mats Brittbergらは1994年からの学位論文において、ティシールを用いて組み合わされた組織シーラントを試験し、その結果、例えば軟骨細胞はこの研究においてはティシールを用いて得られたフィブリン血餅に浸潤せず、単に血餅に対して並ぶだけであったことが示された。これにより組織シーラントの効果は、例えば軟骨傷害時に軟骨細胞をフィブリン血餅(フィブリン糊または組織シーラントとも呼ぶ)に浸潤させずに捕捉するブロッキングメカニズムとして現れると理論を再構築することができる。患者において自己軟骨細胞移植を行う際に、移植した軟骨細胞を覆うカバーとして骨膜またはI/III型コラーゲン(ChondroGide(登録商標))膜のいずれの移植を行う場合も、ティシールは組織シーラントとしてルーチン的に用いられている。カバーの縁は周囲の健康な軟骨組織に縫合し、例えばティシールなどの組織シーラント(フィブリン糊とも呼ぶ)を、カバーの下の細胞に注射して傷の内側に封入されるように、カバーの縫合に加える。一方、Mats Brittbergは、動物の軟骨傷害における血液の自然凝固から作製された自己のフィブリン血餅では、ティシールとは異なり、軟骨細胞の浸潤が起こり、軟骨細胞がフィブリン血餅において培養されるようであることも発見した。近年、マトリックス支援軟骨細胞移植(Matrix Assisted Chondrocyte Implantation)と呼ばれる方法にティシールを用いることが報告されている(Marlovits S, et al. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. (2005) 13:451-7; Bartlett W, et al. J Bone Joint Surg Br. (2005) 87:640-5)。組織シーラントはまた、動物における心筋梗塞を強制的に起こす研究において心筋壁を保護することができる足場として用いられている(Christman KL, et al. Tissue Eng. (2004) 10:403)。
フィブリノゲンおよびトロンビンを組み合わせた成分は一般に、例えば、縫合術を行うのが困難な腎臓などの器官の切り口の出血をコントロールする場合などに、組織シーラントとして使用するのにかなり優れているようであり、ポリエチレングリコール成分から作製されたCoSeal (Baxter)と比較すると、ティシールは凝固体を形成し切り口表面に接着するのに優れた有利性を示し、CoSealはかなり劣っているようであった。CoSealは切り口表面に接着することができず、またはそこからの出血を防ぐことができず、フィブリノゲン-トロンビンの組み合わせの組織シーラントと比較して非有効的であった(Bernie JE, et al. J Endourol. (2005) 19:1122-6)。FLOSEAL(Baxter)は、ティシールとともに行うコラーゲン粒子およびトロンビンの組み合わせ、フィブリノゲンおよびトロンビンの組合せからなり、例えばL’Esparanceら(L’Esparance JO, et al. J Endourol. (2005)19:1114-21)による腎臓において両方のタイプの組織シーラントを組み合わせて用いて封着させた試験結果のように、ティシール単独を用いた場合と比較して、より広範な領域の出血を防ぐことができた。他の多くの外科的処置において、ティシールなどの組織シーラントは縫合またはステープリングよりもかなり優れていることが立証された(Langrehr JM, Rozhl Chir. (2005) 84:399-402)。
創傷の治癒のために理想的なマトリックスである止血薬とは、出血表面を含むあらゆる哺乳動物組織の表面に接着し、外科術において出血を防ぎ、また患者自身の血量を保存し、または少なくとも患者に天然血液製剤を使用する必要性を最小限にすることができるものでなければならない。
同時に、上記のことが可能な組織シーラントは、病原性微生物や病原性プリオンの感染(狂牛病の移入を含む)を最小化するという観点で安全であるべきである。大量に使用する場合に近年市販購入し得る製品には、ティシール(登録商標)(Baxter Immuno)およびベリプラスト(Beriplast)(登録商標)(Aventis/Behring)などの組織シーラントがあり;これらの組織シーラントおよび他の多くの組織シーラントはいずれも天然ヒトトロンビンおよび天然ヒトフィブリノゲンの使用を基礎としており、さらに、ティシールならびにベリプラスト製品においてはウシアプロチニンを使用しており;市販購入し得る他の組織シーラントはさらに広範にウシ生成物を基礎としている。
例えばティシールフィブリンシーラント(Baxter, Immuno)などの広範に用いられている商業製品のほとんどは、アプロチニンなどのウシタンパク質を含有している。
ティシールマトリックスは線維芽細胞の浸潤および増殖のために最適な環境を提供するとされており、さらに止血、組織合成および創傷の治癒をもたらすとされている。ティシールおよび他の組織シーラントに用いられている天然トロンビンは、ここ数年間、熱傷および特定の外傷状態における外科術において出血をコントロールするために臨床的に用いられている(Nakamura et al. The Amer. Surgeon (1991) 57:226-230; Thompson et al. Ophthalmology (1986) 93:279-282; Harris et al., J. Bone Joint Surg. Am. (1978) 60:454-456; Craig and Asher, Spine (1997) 2:313-317; Prasad et al., Burns (1991) 17:70-71)。ウシトロンビンはまた、いくつかの市販の組織シーラント(組織糊とも呼ぶ)、例えばCostasis(登録商標)(Angiotech Pharmaceuticals, Inc. Vancouver, BC, Canada)などの成分でもあり、Costasisはウシコラーゲンも含有している。
市販のトロンビン治療薬は貯留したヒトおよび動物の血液生成物から精製するので、HIVおよび肝炎ウイルスなどのウイルスにより汚染されている危険性がある。SuzukiとSakuragawa(Suzuki and Sakuragawa, Thromb. Res. (1989) 53:271-278)は、3つの市販のトロンビン製剤の比較において、それぞれの製品は汚染タンパク質を含有すること、ヒト製品はイムノグロブリンG、B型肝炎表面抗原抗体およびヒト免疫不全抗体を含有することを発見した。ヒトトロンビンおよびヒト第V因子の両方に対して自己反応性抗体を生成した患者における、ウシトロンビンによる異種間免疫が報告されている(ウシトロンビン製品には第V因子が混入している)(Stricker et al., Blood (1988) 72:1375-1380;Flaherty and Weiner, Blood (1989) 73: 1388;Flaherty et al., Ann Int. Med. (1989) 111:631-634;Zehnder and Leung, Blood (1990) 76:2011-2016;Lawson et al., Blood (1990) 76:2249-2257;Stricker et al., Blood (1988) 72:1375-1380;Berguer et al., J. Trauma (1991) 31:408-411)。Floseal(Baxter)により処置した139人の患者において、139人のうち25人(18%)の患者がウシトロンビン抗体についてベースラインより高い増加した力価を示した。一方、ウシトロンビンの海綿質(sponge)を含有するゼラチンにより処置した患者からなる対照群においては、26/131(20%)の患者がウシトロンビンについてベースラインより高い増加した力価を示した。ウシ第Va因子についての対応する値は、Floseal(Baxter)処置群および対照群において、それぞれ39/139(28%)および43/131(33%)であった。ウシトロンビンまたはウシ第Va因子抗体の発生頻度における2グループ間の差異は、統計的に有意ではなかった(Winterbottom, N. et al., J. Applied Res. (2002) Vol. 2, Number1)。
最近Wai Yらにより報告された結果(Wai Y, Tsui V, Peng Z, Richardson R, Oreopoulos D, Tarlo SM, Clin. Exp. Allergy. (2003) 33:1730)は、血液透析を受けている患者における止血のためにウシトロンビンを局所的に使用した場合、ウシトロンビンに対する過敏性および臨床上のアレルギー反応の可能性を示しており、他の止血方法を考えるべきであることが示唆された。
ウシトロンビンは医療処置および外科術において止血を補助する道具として用いられる。毎年少なくとも500,000人のアメリカ人がこの治療を受けており、ウシトロンビンへの曝露が自己反応性抗体の産生と関係していることを示唆する報告がされている。ウシトロンビンが病的な自己免疫を誘導し得るかどうかを調べるために、Schoeneckerらは、非自己免疫傾向のガラクトース-α1-3-ガラクトース欠損マウスを、近年米国において使用を認可された2つのウシトロンビン製品に曝露させたところ、ウシトロンビンに曝露させたヒトと同様、マウスもその治療薬および異種炭水化物であるガラクトース-α1-3-ガラクトースに対して免疫反応を生じ、いくつかのマウスは凝固因子に対して自己抗体を発生させたことを見出した。さらに、予想外にも、この治療薬に単回のみ曝露させても、マウスにおいて自己免疫が誘導され、核抗原、ネイティブDNA、二本鎖DNAおよびカルジオリピンに対する抗体を含む、全身性エリテマトーデスに特徴的な特性が生じた。試験した全てのマウスにおいて、これらの自己抗体が高レベルであることは糸球体腎炎と相関があった。この自己免疫症候群は、ウシトロンビンに二度目に曝露させてから15週間後のマウスにおいて観察され、メスマウスはオスマウスよりもかなり高い頻度でこの症候群を発症することが見出された。このように、これらの研究は、ウシトロンビン製品への曝露により、ループス様の血清学的症状を伴う病的全身性自己免疫症候群を誘導することができることを示している(Schoenecker JG, Johnson RK, Lesher AP, Day JD, et al., American J. of Pathology, (2001) 159:1957)。
さらに近年、従来法によって検出できない、または不活性化できないウシ海綿状脳症(BSE)物質などの病原体によるウシ製品の汚染可能性について懸念が起こっている。治療用のヒト血液製剤も肝炎ウイルスおよびヒト免疫不全ウイルスなどのウイルス粒子による汚染に曝されている。
細菌(例えば、大腸菌(E. coli))、酵母系などの、DNA配列を伝達した他の発現系における、またはDNA配列をトランスフェクトした昆虫細胞、トリ細胞および他の動物細胞における、多くの翻訳後ヒトタンパク質、特に上記の種類のタンパク質、例えば主に米国特許第6,780,411号明細書に記載されているフィブリノゲン、トロンビン、コラーゲン、および組換え第XIII因子などの他の架橋結合タンパク質(実際に米国特許第6,780,411号明細書に記載されているようにDNA配列を伝達した酵母において産生されており、この米国特許明細書によると酵母により細胞質において実際に発現されている(血液から精製した天然フィブリノゲンは凝固過程を安定化する架橋結合タンパク質として組換え第XIII因子を含有する))は、無血清合成細胞培養培地系において維持したトランスフェクトヒト胎児由来腎臓細胞および他の細胞(例えば、HEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA)からなる系において産生された組換えヒトタンパク質(例えば、フィブリノゲン、プロトロンビン、プロトロンビン発現単位および哺乳動物細胞における発現のコンストラクション、トロンビン、第XIII因子、コラーゲン(類)など)(前記細胞はこれらのタンパク質の1つまたは複数を産生する)ほどには、真正の天然タンパク質とは完全には似ていない。
米国特許第6,780,411号明細書に記載されているように、組換えヒトフィブリノゲン、例えば遺伝子組換えヒツジの乳において産生されたものは、シアル酸化の程度が低いようであり、これは本発明と比較して有意な差異であり、本発明においては翻訳後タンパク質はより真正に近い天然タンパク質となり、これはヒト組換えフィブリノゲンの場合も同様であり、このことは、例えばヒツジなどのクローン動物において産生されたものとは有意な差異である。第一に、フィブリノゲンの溶解性は十分なシアル酸付加に依存することが知られており、またフィブリノゲンはいずれにしても最も溶解しにくい血漿タンパク質の1つであるので、本発明に記載の方法を用いて産生したフィブリノゲンと比較すると、この米国特許発明においては溶解性が不十分なフィブリノゲンが得られ、十分な引っ張り強さのフィブリンゲルが形成される現実の可能性がある。一方、本発明においてはフィブリノゲンはα、βおよびγ鎖をコードするヒトフィブリノゲン遺伝子により同時発現される。
組換えトロンビンは多様な宿主において産生され得るが、本発明までは、最も好ましい組換えトロンビンはCHO細胞において産生されたものであった。CHO細胞における産生には、本発明とは異なり、ウシ胎仔血清が必要であり、これは何よりも初めにCHO細胞のような起源から産生されたタンパク質に対して潜在的な不利益を与えることになり、次に非ヒトタンパク質を加えるということ関して、および狂牛病のような疾患に由来する病原性プリオンが存在するという本質的な危険性に関して、重要な汚染物であるウシ胎仔血清を加えないといけないということである。
本発明によって産生したプロトロンビンとは異なり、他の組換えプロトロンビン分子はおおよそ14%のタンパク質が異常にカルボン酸化する組換え技術によって調製されてきた。米国特許第5,502,034号明細書によると、その発明によって産生するプロトロンビンは、その発明に用いるのに適切な酵母ベクターに調製したとあり、そのベクターには以下のベクターおよびそれらの誘導体などがある:YRp7(Struhl et al., Proc. Natl. Acad, Sci. USA 76:1035-1039 (1978))、YEp13(Broach et al., Gene 8: 121-133 (1979))、POTベクター(Kawasakiら、米国特許第4,931,373号明細書。参照により本明細書に含まれる。)、pJDB249およびpJDB219(Beggs, Nature 275:104-108 (1978))。酵母において産生されたプロトロンビンは真正の天然ヒトトロンビンと同一ではないであろう。
米国特許第6,037,457号明細書において、組換えフィブリノゲンは、その発明の好ましい実施態様である、組換えフィブリノゲンを産生するのに用いられるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生されている。そこに示された、フィブリノゲンを発現するように哺乳動物細胞を培養することができる条件は以下の通りである:細胞を無血清培地(10 IUペニシリン/ml、10 mgストレプトマイシン/ml、10 U アプロチニン/mlおよびそれぞれ10.mu.g/mlのインスリン、亜セレン酸ナトリウムおよびトランスフェリンを含有するダルベッコ変法イーグル培地/F12培地)200 mlと接着性マイクロキャリアビーズを入れたローラーボトルにおいて37℃にて3週間培養し、4から7日毎に条件培地を回収する。しかしながら、この発明に含まれる他のタンパク質はいずれも同じタイプの細胞系では作製しておらず、また例えばヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞またはヒト胎児由来腎臓細胞、またはさらには幹細胞ならびに前駆細胞などのヒト細胞系においては確かに作製していない。上記の発明は実際、組換えフィブリノゲン単独を扱うのみであるので、血清タンパク質を含まない完全に純粋な組換えヒト翻訳後系を扱う際の周辺問題は解決していない。
[発明の概要]
本発明は、組換えヒトタンパク質、特に、プロトロンビン、プレトロンビン、トロンビンおよびフィブリノゲン、これらのタンパク質の調製に用いるベクターおよびヒト発現系を提供する。さらに、本発明の実施態様として提供する組換えヒトトロンビンには変異(M84A)が含まれ、本発明におけるより正確かつ記述的な方法においては、以前M84Aと呼ばれていたプロトロンビン類似体は「プロトロンビン類似体M400A」とし、以前M84Aと呼ばれていたプレトロンビン類似体は「プレトロンビン類似体M256A」とする。本発明はまた、対応する非組換えタンパク質について本明細書に記載されているような組換えヒトタンパク質の医薬における使用にも関する。トロンビンを得るための2つの異なる経路を記載しており、一方はglaならびにクリングル1および2ドメインを有する点変異プロトロンビンから出発し、これらのドメインを全過程を通じて維持する方法;他方はプロトロンビン(非変異)から出発し、HPC4-クリングル2ドメインを有するプレトロンビンを経由し、このプレトロンビンに点変異を施す方法である。
本特許出願に記載のヒト組換え真正タンパク質を産生するための発明の独自性は、プラスミドcDNAによりトランスフェクトされたヒト細胞を用いることにあり、この細胞はトランスフェクトされた特定のメッセージにより発現されたタンパク質を分泌することができる。本発明において、ヒト細胞、例えばヒト腎臓細胞、より具体的にはヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞株(例えば、HEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA)およびヒト網膜由来PER-C6細胞、または幹細胞もしくは前駆細胞株などの他の細胞などを、無血清合成培地において増殖させタンパク質を産生させる。
特有の無血清合成細胞培養培地系において培養され、維持され、そしてトランスフェクトされたDNAライブラリーから翻訳後タンパク質を細胞内に産生することができる、幹細胞および/または前駆細胞、より具体的には腎臓細胞系、さらにより具体的にはヒト胚性細胞株および他の細胞株、いわゆるHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA、およびヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞系、これらの組み合わせを含む、この新規なヒト細胞培養系によって得られる顕著な利点が、この新規な発明の中心部である。
これらのヒト組換えタンパク質の組合せから作製した組織シーラントの効力は、効力において、例えばティシール(登録商標)(Baxter Immuno, Vienna, Austria)などの他の既知の組織シーラントに匹敵するが、本発明に記載のHUMA-SEALANT(商標)およびHUMA-SEALANTα(商標)-Cと呼ばれる組織シーラントと比較した、最近の市販の組織シーラントとの顕著な相違は、最近の市販の組織シーラントにおいて用いられているいくつかのタンパク質は天然起源であり、かつヒトドナーの血液から作られている、および/またはいくつかのタンパク質はウシ成分から作られているという事実であり、このことが、肝炎などの感染病の伝染、患者への異常なプリオンまたは狂牛病の伝染といったウシタンパク質にまつわる問題に関して、HUMA-SEALANT(商標)およびHUMA-SEALANT(商標)-Cと比較してこれらの製品の安全性をかなり低くしている;さらに、ウシ(異種)タンパク質は患者において免疫を引き起こすであろうから、このことが最近の市販の組織シーラントの潜在的な副作用としてさらなる一面を加えている;反対に、とりわけ本発明が関係するHUMA-SEALANT(商標)組織シーラント系は、真正の天然のタンパク質が得られるようにトランスフェクトしたヒト細胞において翻訳された後の組換えヒトタンパク質からなり、このことでこの組織シーラント系は感染性および免疫原性の両方に関する安全性に関して最適なものとなっている。
本特許出願に係るヒト組換えタンパク質の組合せから作製された組織シーラントの効力は、天然タンパク質起源、例えばティシール(登録商標)(Baxter Immuno, Vienna, Austria)などのフィブリン糊または組織シーラントにおいて用いられているヒトおよびウシなどの動物種の血液、血漿または他の体液から作製された、他の既知の組織シーラントに匹敵する、またはそれを上回る。例えばあるタイプの組換えタンパク質、すなわち本特許出願に記載の組換えヒトトロンビン変異体が意図的に選択された理由の1つは、これらの変異体が、フィブリノゲンおよび組換えフィブリノゲンを切断するのに最適な能力を示すようであること、同時にプロテインCの切断において低い効力を示すようであることの観点からであり、この点が天然トロンビンとは顕著に異なる。HUMA-SEALANT(商標)およびHUMA-SEALANT(商標)-Cと名付けられた本発明に記載の組織シーラントと比較した、近年の市販の組織シーラントとの顕著な相違は、近年の市販の組織シーラントにおいて用いられているかなりのタンパク質は天然起源であり、ヒトドナーの血液から作製され、および/またはいくつかのタンパク質はウシの材料を原料とすることであり、このことが、肝炎などの伝染病の伝染、患者への異常なプリオンの移入またはプリオンを引き起こす狂牛病(BSE)の伝染といったウシタンパク質にまつわる問題に関して、HUMA-SEALANT(商標)およびHUMA-SEALANT(商標)-Cと比較して、これらの製品の安全性をかなり低くしている;さらに、ウシ(異種)タンパク質は患者において免疫を引き起こすであろうから、このことが近年の市販の組織シーラントの潜在的な副作用としてさらなる一面を加えている;反対に、本発明において記載のHUMA-SEALANT(商標)組織シーラント系は、最適な活性を有し、ロット間の再現性の度合いが高い、真正の天然のタンパク質を得るためにトランスフェクトされたヒト細胞において翻訳された後の組換えヒトタンパク質からなり、この方法によりこの組織シーラント系は、感染性および免疫原性の両方に関する安全性について最適なものとなっている。それ故に、例えば本発明に記載の組織シーラント製品の生産に用いられる安全なヒト組換えタンパク質の新規で特有の加工法は、患者に用いるために入手可能な近年の組織シーラントと比較して顕著に異なっており、さらに、入手可能な特許出願および利用可能な特許に記載の他の組織シーラントとはかなり遠いものである。
創傷の治癒のために理想的なマトリックス、シーラント、止血剤などは、いずれかの哺乳動物組織の出血表面などの表面に接着して、外科術中の出血を防ぎ、患者自身の血量を保存し、または少なくとも患者に対する天然血液製剤の使用を最小限に抑えることができなければならない。同時に、上記の能力を有する組織シーラントは、狂牛病(またはBSE)の伝染を含む、病原性微生物および病原性プリオンの移入を最小限にするという点で安全であろう。近年の市販購入し得る大量に用いる製品はティシール(登録商標)(Baxter Immuno)およびベリプラスト(登録商標)(Aventis/Behring)などの組織シーラントであり;これらの組織シーラントおよび多くの他の組織シーラントは天然ヒトトロンビンおよび天然ヒトフィブリノゲンの使用を基に成り立っており、さらに、ティシールならびにベリプラストにおいては、ウシアプロチニンが使用されており;他の市販の組織シーラントはさらに広範にウシ製品を基礎としている。
それ故に、例えば本発明に記載の組織シーラント製品を生産するのに用いる安全な組換えタンパク質の新規で特有の加工法は、患者に用いるために入手可能な近年の組織シーラントと比較してかなり異なっており、さらに、入手可能な特許出願および利用可能な特許に記載の他の組織シーラントとはかなり遠いものである。
特に、この特定の発明は、組織シーラントおよび止血剤ならびに細胞の担体および薬物の担体として働くことができるモデルに焦点を置いている。本発明は、タンパク質インフォマティクスをヒトゲノムのタンパク質およびアイソザイムまたはイソ型の正確な同定に適用し、問題の遺伝子を同定し、新規ベクター系を使用し、問題の遺伝子を、確立されたヒト細胞株、幹細胞株、前駆細胞株、より具体的にはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞、さらにより具体的にはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞またはヒト胎児由来腎臓細胞株およびHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNAと呼ばれる他の細胞株にトランスフェクトする。この系は本発明において、組換えヒトトロンビン、組換えヒトフィブリノゲンおよび組換えヒトコラーゲン、またはより具体的には、およそ19-20種のヒトI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIIIおよびXIX型コラーゲンならびに他の既知のヒトコラーゲンのうちのいずれかの組換えヒトコラーゲンなどのタンパク質を産生するのに用いられる。
本発明の一局面は、宿主細胞、例えばヒト細胞、ヒト細胞株、ヒト幹細胞、ヒト前駆細胞、より具体的には、ヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞株、さらにより具体的には、ヒト胎児由来腎臓細胞株および他の細胞株(例えばHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA)において組換え技術を用いてトロンビンを産生する方法を提供することである。
[発明の詳細な説明]
本発明の目的はとりわけ、他の組織シーラントの組成物とは異なり、もっぱら以下の工程から構成される新規な方法によって作製された生物学的かつ非常に安全な組織シーラントを提供することである:本発明に係るタンパク質のcDNAコピーによりトランスフェクトし、そのcDNAのコピーを含有する細胞を無血清培地において処理することにより増殖させたヒト細胞株において、全ての相互作用的なそれぞれのタンパク質を産生させ、その後、無血清培地における細胞からの真正の選択ヒトタンパク質と類似性が近づくように無血清培地においてそれらの細胞によって産生された特定のタンパク質を収穫する。
本発明は、特定の組換えヒトトロンビンを、フィブリノゲン自体ならびに特定のヒト組換えフィブリノゲンと組み合わせ、最適なフィブリノゲン切断活性を有し、プロテインC活性化について効果が低い安定な生産物を創出する新規な概念および方法に関する。
本発明の範囲には、哺乳動物細胞、および具体的には米国仮特許出願第60/779,474号明細書(参照により本明細書に含まれる)において権利請求されている、プレトロンビンを発現させる目的でcDNAを組み込み、宿主細胞の成長および同時に翻訳後のプレトロンビンの分泌に必要な栄養素を含有する無血清合成培養培地において独自の方法に従って培養した細胞が含まれる。
ヒトDNAライブラリーを用いて、強力なプロモーターによって駆動される発現ベクター(以下「発現ベクターの構築」と称する)に挿入してcDNAライブラリーを作製する、他のいずれかの方法を用いることもできる。その後、安定なヒト細胞が、それらのタンパク質を、1以上の細胞株からのそれぞれ個々の量のヒト組換えタンパク質として産生し、またはそれらの組換えタンパク質のいくつかを産生し、制御可能なゲル化または凝固に関与するタンパク質からなる素早く働く最終産物を創出するであろうが、そこでは例えば米国特許第6,780,411号、5,476,777号、5,502,034号および5,572,692号明細書に記載のようないずれかの使用形態の哺乳動物細胞に由来するタンパク質の混入はないであろう(前記米国特許明細書においては、反対に、トランスフェクション法を用いる場合に例えば組換えヒトトロンビンはいずれも不活性型として産生され、精製過程の一部として活性化されることが記載されている)。この方法によるrhトロンビンの産生過程が米国特許第5,476,777号、5,502,034号および5,572,692号に開示されており、その教示は参照により本明細書に含まれる。記載したこれらの全ての場合において、哺乳動物細胞または他の細胞は、galプロトロンビンなどのプロトロンビンを産生するために用いられ、これらの細胞はこれらのタンパク質、および実際には、組換えヒトタンパク質、例えば組換えヒトフィブリノゲンなど、ならびに架橋結合組換えヒトタンパク質、例えば組換えヒト第XIII因子など、または他の架橋結合組換えヒトタンパク質、例えばコラーゲン、特に組換えヒトI型コラーゲンおよび/または組換えヒトIII型コラーゲンなどを得るために用いられると記載されている。
ヒトに使用する組織シーラントを創出する分野において、最高の純度を有し、汚染の危険性がほとんどない最適なタンパク質の組合せを作り出すために用いられている、他のあらゆるタンパク質の組み合わせは、最高純度で、感染症の汚染の可能性が最も低いものとは到底言えず、それらのタンパク質の最高レベルの適合性は、これまで入手可能または利用可能な製品からは得ることが出来ない。これは、本発明に記載のように作製された、すなわちトランスフェクトされたヒト細胞または特にヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞により産生されたヒトシーラント生成物には存在しない付加タンパク質が、他の製品においては通常、細胞培養液、細胞成長またはタンパク質産生細胞培地に加えられており、それらはしばしば天然タンパク質、例えばウシ(例えばウシ胎仔血清)またはヒト血清からなり、こういった製品には細胞培養液に加えたこれらのタンパク質の組合せが起因している可能性がある何らかの不確定性があるためであり、対して本発明においては無血清合成培地において培養され、維持され、タンパク質を産生するようにしたヒト細胞から放出され得るタンパク質のみが存在するためである。
本発明によると、これらのタンパク質は全て無血清合成細胞培養培地中のトランスフェクトヒト細胞において産生される。この方法により、無血清合成細胞培養培地において増殖したヒト細胞、より具体的にはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞、または、さらにより具体的にはヒト胎児由来腎臓細胞および他の細胞株(例えばHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA)において産生されたタンパク質は、高い生物学的活性または(抗体に対する)真正の抗原性を得るために真正の翻訳後修飾が必要なタンパク質とは、明らかに異なったものである。幹細胞または前駆細胞を用いることもできる。同時に、この方法にて産生されたタンパク質は異型遺伝子性がより低くなるが、反対に同種性はより高くなり、昆虫細胞またはCHO細胞などの細胞において得られる場合と違って糖分子における相違がより少ないために、最終タンパク質製品において、ロット間での再現性がより高く、機能的により活性であり免疫原性がより低いといった、より良好な一貫性が得られる。同時に、最終製品はウイルスを含まないであろう。本発明に係る方法によると、安定な細胞株を創出することができ、無血清懸濁に適応した細胞を容易に得ることができる。
この方法において、無血清合成細胞培養培地におけるヒト細胞培養物、例えばヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞培養物などから精製されたタンパク質は、新規であり、例えばウシ胎仔血清などの血清タンパク質、または他の天然タンパク質、ヒトまたは他の哺乳動物の天然タンパク質が加えられているいずれかのトランスフェクト細胞株からのタンパク質混合物とはかなり異なるであろうし、回収される最終的な「精製」タンパク質に存在する量はより多いか、おそらくはより少ないであろう。例えば、トランスフェクト哺乳動物細胞培養物に加えられたタンパク質(血清(ウシ、ヒトまたは他の種のタンパク質)も依然として理論的にもおそらく実際問題としても考慮に入れるべきである)が最終生成物に存在するということは排除することはできず、その最終生成物においては微生物、例えばウイルス、ビリオン、病原性プリオンなどが排除されていない可能性があり、なぜなら例えばこれらは「狂牛病」に曝露したまたは汚染された可能性のある動物に時折存在するためである。
gla-ドメインを含むプロトロンビンを発現することを目的として、哺乳動物細胞またはより具体的には米国仮特許出願第60/779,474号明細書において権利請求された組み込まれたcDNAを含むヒト細胞を用いることは本発明の範囲内である。ヒトプロトロンビンのN末端Glaドメインは、第Va因子のための結合部位を有する機能単位である。プロトロンビンGlaドメインは、基質とプロトロンビナーゼ複合体との相互作用にとって重要である。細胞は、宿主細胞の成長に必要な栄養分を含有する無血清合成培養培地において独自の方法により培養され、同時に、本発明に特有であり、gla-ドメインを含まないプロトロンビンまたはプレトロンビンとは確実に顕著に異なる、翻訳後のgla-ドメインを含むプロトロンビンの分泌を行う。
ヒト組換えコラーゲン、例えば組換えヒトI型コラーゲンおよび/またはIII型コラーゲンまたはI型およびIII型コラーゲンの混合物などの使用も本発明の範囲であり、これは米国特許出願第60/722.366号明細書に示されており、非常に少量のトロンビンがコラーゲンおよびフィブリノゲンのゲル化生成物の強化に用いられ、さらに強く接着性のより良好な組織シーラントが提供される。
本明細書に記載のタンパク質はヒト天然真正タンパク質とほとんど同じであるため、ヒトにおいて免疫原性を誘導しないことが予想される。
本発明に記載の組織シーラントは、例えば組換えヒトトロンビンまたは組換えトロンビン変異体もしくは類似体から作製され、上述の凝固促進効果(酵素学的にフィブリノゲンを切断してまたは幹細胞フィブリノゲンを活性化してフィブリンを創出する)を有し、プロテインCに対する酵素学的効果が低く、ほとんど等しいまたはほぼ等しいシグナル伝達PAR 1作用を引き続き示すものであり、商標名HUMA-SEALANT(商標)として製造されると考えられる製品に含めることができ、例えばティシールと同様に用いる場合、またティシールとは異なり上述のように細胞輸送の媒体または担体として用いる場合、他の多数の効果および能力(例えば顕著な細胞親和性)の中でも、異種性、アレルゲン性、免疫原性を示さず、または病原性微生物を含まず、何ら重大な毒性を示さずに、マトリックスが上記の能力全てが有効であるのに必要な効果を創出できるように標的組織に何日間および何週間も良好に接着することができなければならない。
HUMA-SEALANT(商標)組織シーラントは、多くの競合他者のフィブリンシーラントのように、少なくとも2つの活性成分からなるが、その成分は組換え哺乳動物フィブリノゲンおよびさらに具体的には組換えヒトフィブリノゲンであり、ここで本発明の範囲内のフィブリノゲンは、cDNAがAα、Bβ、γフィブリノゲン発現領域を含むため組換えヒトAα、Bβ、γフィブリノゲンを転写または産生することができる細胞において産生される。HUMA-SEALANT(商標)の他の成分である、例えばティシールにおいては天然タンパク質として存在する、組換えトロンビンまたはより具体的には例えば本発明に記載のタイプの組換えヒトトロンビンは、混合すると、天然凝固カスケードの最終段階を刺激し、フィブリン血餅またはゲルを形成し、ほぼ確実に接着効果も有するものであり、これはバイオマトリックスとも定義されるが、本発明によると組換えバイオマトリックス、またはさらにより具体的には組換え哺乳動物バイオマトリックスと定義される。
[定義]
発現ベクターは通常DNA分子であり、とりわけ、所望のタンパク質とともに、タンパク質の発現を促進するプロモーターおよび他の配列、例えば転写終結区およびポリアデニル化シグナルをコードするDNA配列を含む。
発現ベクターは、自己複製または宿主ゲノムへの組み込みのいずれかによる宿主細胞における複製に備える遺伝子情報を含有する。宿主細胞における発現ベクターの自己複製のための遺伝情報に、既知の酵母および細菌の複製開始点が含まれることは当業者には明らかである。
形質転換(transformation)は一般に微生物に適用される。
トランスフェクションは一般に多細胞生物の細胞に適用される。
両工程は、DNAライブラリーから選択された一部分の精製DNAの導入によってレピシエント細胞の遺伝子型を安定に遺伝的に変化させることからなる。
培養細胞:複数世代にわたって培地において培養することが可能な細胞。多細胞生物に由来する細胞の場合は、培養細胞は、生物から、単一細胞、組織または組織からの外植片として単離された細胞である。
DNAコンストラクトはDNA分子であり、またはかかる分子のクローンであってもよく、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得る。この分子は、人の操作によって特定のDNAセグメントを通常天然には存在しない様式に組み合せ並べるようにして修飾されているであろう。DNAコンストラクトは、目的のポリペプチドをコードするDNA配列の転写および翻訳を方向付ける、作動可能に連結された配列を含有し得る。そのような配列には、プロモーター、エンハンサーおよび転写終結区などがある。かかるDNAコンストラクトが分泌シグナル配列を含む目的のポリペプチドをコードする部分を包含する場合、そのDNAコンストラクトの前記の方向付けをする配列は、目的のポリペプチドの分泌を方向付けすることができると考えられる。
例えば、組換えヒトトロンビン、プレトロンビンおよびプレトロンビン-1を産生するためにZymogenetics社により用いられているプロトロンビン(glaドメイン(を含む)プロトロンビン、glaドメインを含まないプロトロンビンのいずれか)のような個々の発現領域間の識別を容易にするために、図1-4にこれらの個々の領域の概観を示す。図4に示すように、プレトロンビンは、glaドメインおよびクリングルIドメインを含まないプロトロンビンである(Gla欠損ドメイン欠損プロトロンビン)。切断および/または精製を促進するために、HPC4エピトープをN末端に付加した。図4の一番目の部分はGlaドメインならびにクリングル1およびクリングル2を含むプロトロンビンを示す。
HPC 4は付加マーカーと定義され、当業者はプロトロンビンをプレトロンビンへ分割する過程においてHPC 4分子を同定するためのモノクローナル抗体を持っている。
タンパク質の接頭辞「h」はそのタンパク質のヒト野生型変異体を意味することを意図している。野生型は通常wtの接頭辞を付ける。
タンパク質の接頭辞「r」は、組換え体の発現によって調製することができる組換えタンパク質を意味することを意図しており。
タンパク質の接頭辞「rh」は、組換え体の発現によって調製されたそのタンパク質のヒト野生型変異体を意味することを意図している。
「配列同一性」、例えば「核酸配列同一性」または「アミノ酸配列同一性」なる用語は、最適にアライメントした2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列間の相同性の度合の定量的尺度を意味することを意図している。2つの配列は可能な限り一致するようにアライメントしなければならず、ギャップを挿入しても、あるいはポリペプチド配列またはヌクレオチド配列の末端を切り取ってもよい。本明細書において用いる場合、配列同一性は、アライメントした同一アミノ酸の数を、比較している2配列の短い方の配列の全アミノ酸の数で割った値である。
組換えヒトトロンビンによるフィブリノゲンの凝固に関して、ヒト天然トロンビンと比較して「より効果的に」なる用語は、ヒト天然トロンビンと同様の反応を生じさせるために必要な組換えヒトトロンビンがより少量であることを意味することを意図している。
MWCOによる濾過は、透析膜の孔のサイズが溶質の90%が膜によって保持される(透過しない)分子量であることを特徴とする。溶質の透過性は分子の形、水和の程度および電荷に依存する。これらはそれぞれ、溶媒の性質、pHおよびイオン強度に影響され得る。一般的な法則として、保持すべき溶質の分子量の半分のMWCOを選択するのが最良である。効果的な分離のために、手引きとして以下の式を参照されたい:
Figure 2009528843
この式は、サンプルの回収を最大化し、透析に要する時間を最小化する。
タンパク質のグリコシル化
組換えヒトタンパク質が確実に正しくグリコシル化されるようにすることは、本発明の重要な部分である。一般に組換えタンパク質のグリコシル化は、ヒト対象への投与を予定する場合は特に、これまで考えられているよりもかなり決定的に重要である。グリコシル化は、生物学的活性、機能、循環系からのクリアランスおよび決定的には抗原性に深く影響する(Brooks, SA, Molecular Biotechnology, (2004) Vol 28, 241-256(16))。このBrooksの報告にはヒトN-およびO-結合タンパク質のグリコシル化の概要が記載されており、非ヒト種の細胞のグリコシル化可能性について知られていることがまとめられており、バイオテクノロジー産業に対して将来への含みを提起している。
非ヒト種の細胞は、ヒト細胞と異なる方法でタンパク質のグリコシル化を行う。多くの場合、「ヒト」のグリコシル化と「動物」のグリコシル化の間の相違は根深いことが分かっている。全体的に見て、進化的な期間においてより遠い、例えば細菌、酵母、真菌、昆虫および植物などの、発現系に通常用いられている種は、ヒトと、さらには動物、例えば齧歯類、ハムスターの属する科の動物、実際にはヒトに最も近い動物であるブタまでの動物に由来する細胞とほとんど異なるグリコシル化レパートリーを持っており、グリコシル化において顕著な相違があることが知られており、これにより、おそらく以下のことが説明できる:ハムスター細胞において産生された同等のタンパク質、例えば組換えヒトトロンビンの明らかな活性は、より低い生物学的活性、異なる機能、異なるクリアランスおよび決定的には異なる抗原性を示す。そのため、組換えヒトトロンビンに関しては以下の特許明細書に記載されている:米国特許第5,527,692号明細書には、BHK 570細胞および酵母を組換えトロンビンの産生のために選択したと記載されている;米国特許第5,502,034号明細書では、BHK 570細胞をGlaドメインを含まないプロトロンビンのトランスフェクションに用い、組換えトロンビン(野生型)へと活性化すると、フィブリノゲンと反応するが、組換えヒトフィブリノゲンまたは組換えヒト真正フィブリノゲンとは特異的には反応しないと主張している。このように、これらの特許明細書に記載されているように用いる宿主細胞は、動物起源または酵母起源のいずれかであり、従って、そのグリコシル化は、ヒト遺伝子をヒト細胞、例えば本発明において用いられているヒト胎児由来腎臓細胞(HEK 293)において発現するようにトランスフェクトすることによって得られるグリコシル化と等しい、または近いとは考えられない。
米国特許第5,476,777号明細書において、同じ細胞株がglaドメインを含まないプロトロンビンのトランスフェクションに用いられており、とりわけ、プロトロンビンはセファロースカラムを用いて精製され、ヘビ毒素を用いて活性化されている。この特許明細書に記載の最終生成物になされているグリコシル化は、上記の特許明細書(米国特許第5,527,692号および5,502,034号明細書)に記載されているグリコシル化と同様に異なるであろう。
プロトロンビンを合成培地のヒト胎児由来腎臓細胞にトランスフェクトすることにより組換えヒト真正トロンビンを産生することは本発明の範囲に含まれ、インタクトな真正ヒトフィブリノゲンを構成する6つのポリペプチド鎖、2Aα、2 Bβおよび2γ鎖を含む組換え真正フィブリノゲンを産生することも本発明の範囲に含まれ、ここで、本発明において発明者らは、ヒトへの使用が可能なように正しいグリコシル化で終わることにかなり意図的に焦点をおいており、このことは発明者らが、本発明の2つの生成物、組換えヒトトロンビンまたはより具体的にはChy 84のメチオニンからアラニンへの部位突然変異を有する組換えヒトトロンビン類似体のための宿主として動物細胞、昆虫細胞、酵母または細菌を用いることを避けたことを意味し、本発明に係るトロンビンは、プラスミドのヒト細胞、例えばヒト胎児由来腎臓細胞へのトランスフェクションによって産生されるので、発明者らは、ヒトにおいて抗原性を何ら引き起こさず、グリコシル化は正しくなされていると確信している。さらに、細胞は無血清合成培地において懸濁培養物として培養され、これによりこれまでに達成可能であると報告されていたよりも有意に高い収率が得られるようであった。
真核生物細胞における多くのタンパク質は、特定のアミノ酸に共有結合しているオリゴ糖鎖を含有するので、糖タンパク質である。グリコシル化は、タンパク質の折り畳み、局在性および輸送、タンパク質の溶解性、抗原性、生物学的活性および半減期、ならびに細胞-細胞相互作用に影響することが知られている。
タンパク質のグリコシル化はアミノ酸と糖の間の結合に主に依拠する4つの主要カテゴリーに分類することができる。これらは、N-結合グリコシル化、O-結合グリコシル化、C-マンノシル化およびGPIアンカー付加である。N-グリコシル化は、アスパラギンのアミノ基への糖付加を特徴とする。O-グリコシル化において、糖はセリンまたはスレオニン残基のヒドロキシル基へ付加される。
複合体炭水化物は、例えばタンパク質の折り畳み、オリゴマー形成および安定性から、免疫応答および宿主-病原体相互作用まで、複数の生物学的過程に関与する(Varki, 1993)。複合糖質はまた、発生過程において重要な役割を有することが、異常なグリコシル化により引き起こされたヒト疾患の病理学(Freeze and Aebi, 2005)およびモデル生物における遺伝子の研究(Haltiwanger and Lowe, 2004)により明らかとなった。
異なる種の間ではグリコシル化にかなり相違がある。ヒト糖タンパク質は、細胞の小胞体およびゴルジ体の常在酵素の協調的活性の産物であるN-およびO-結合グリカン複合体の非常に多用な不均一配列によりグリコシル化されている。タンパク質のグリコシル化は高度に制御されており、分化、発生過程、異なる生理学的条件下および細胞培養物が由来する細胞培養種によって変化する。このことはヒト細胞と動物細胞における複合体のグルコシル化の間には明確な相違があることを意味しており、生物における生物学的活性機能、クリアランス、そして当然ながら抗原性に間違いなく影響するであろう(Brooks SA, Mol. Biotechnol. (2004), Vol 28, 241-255)。多くの場合、この相違は根深い物である。全体的に、進化的期間においてヒトと最も遠い種、例えば細菌、酵母、菌類、昆虫および植物(発現系において通常用いられる種)は、ヒトとはほとんど異なるグルコシル化レパートリーを持っている。
さらに、Apollo Cytokine Research (San Francisco, US)によると、組換えヒトタンパク質、本発明の場合、組換えヒトトロンビンおよび組換えヒトフィブリノゲンは、トランスフェクトヒト細胞(例えばHEK 293)において発現した場合、例えば他の哺乳動物細胞、例えばハムスター細胞(例えばZymogeneticsにより組換えヒトトロンビン産生のために用いられるCHO)における発現と比較して異なるグリコシル化パターンを示す(http://www.apollocytokineresearch.com/Scientific/posters.html)。Apollo Cytokine Researchのデータは、ハムスター細胞(CHO細胞)において発現されるタンパク質TNF RII-Fcは、ヒト細胞(修飾293)において発現した場合よりも免疫原性が強い、つまりマウスにおいて抗体の産生をもたらす免疫反応を誘発することを示している。
タンパク質の免疫原性特性は、アミノ酸配列およびグリコシル化パターンの両方によって決定する。
トロンビン
次いで本発明のDNAコンストラクトを含む宿主細胞を培養し、プロトロンビンを産生させる。このプロトロンビンは本発明において第Xa因子などのプロテアーゼによる精製過程においてトロンビンに活性化する。組み込んだcDNAを含む細胞を、宿主細胞の成長および同時に翻訳後のタンパク質またはポリペプチドの分泌のために必要な栄養素を含有する無血清合成培地において独自の方法によって培養する。
トロンビンは、2本鎖、ジスルフィド結合、グリコシル化ポリペプチドとして定義され、フィブリノゲンの特定の結合を切断し、フィブリンモノマーを生成させ、そのモノマーは自己組織化してフィブリン血餅を形成する。
本発明のDNAコンストラクトを含む宿主細胞は、Zymogeneticsに用いられる方法およびプロトロンビンの産生を目的とする他の方法とは異なり、本発明においてはプレトロンビン(プロトロンビンとは異なる)がトロンビンへと活性化されるので、独特である。
本発明のDNAコンストラクトを含む宿主細胞は、Zymogeneticsにより用いられるGlaドメインを含まないプロトロンビン法およびglaドメインを含まないプロトロンビンを用いてプロトロンビンを産生することを目的とする他の方法とは異なり、本発明においてはgla-ドメイン-プロトロンビン(gla-ドメインを含まないプロトロンビンとは完全にかつ有意に異なる)がトロンビンに活性化されるので、独特である。gla-ドメインの存在は、Brownらに記載のように、Gla残基に特異的なモノクローナル抗体からなる方法を用いて、タンパク質、例えばgla-ドメインを含むプロトロンビンのガンマ-カルボキシグルタミル(Gla)残基を特異的に認識するモノクローナル抗体によって証明することができる(Brown MA, Stenberg LM, Persson U, Stenflo J, J.Biol.Chem. (2000), 275:19795-19802)。
組換えヒトトロンビン変異体は、具体的には(高い凝固促進作用によって)凝固促進トロンビン変異体であることが分かっており、細胞、例えば間葉系細胞に対して野生型トロンビンと同じシグナル伝達酵素効果を有する。凝固促進トロンビン変異体はまた、野生型トロンビンと比較した場合、細胞に対してPAR1シグナル酵素効果および低い抗血液凝固効果(野生型トロンビンと同じ程度低いかまたはさらに低い)を有する。これらの組換えトロンビン変異体には例えばW215Pと呼ばれるタイプが存在する。
本発明の範囲内である他の組換えヒトトロンビン変異体のうち、M84Aといったタイプは、「トロンビン類似体M400A」(プロトロンビン類似体M400Aから創出された場合)、「トロンビン類似体M256A」(プレトロンビン類似体M256Aか創出された場合)とも呼ばれ、野生型および自己分解活性を欠くarg77A(またはR77aA)変異体よりも速い速度でフィブリノゲンを凝固させる。両方の活性化トロンビンに共通してM84Aを用いる代わりに、プロトロンビン類似体M400Aから創出された場合にトロンビン類似体M400A、およびプレトロンビン類似体M256Aから創出された場合にトロンビン類似体M256Aという上記の命名法を用いると、問題のトロンビン類似体がいずれの方法で作られたかを常に容易に区別することができる。R77aAの場合には、プロトロンビン類似体は「プロトロンビン類似体R393aA」となり、プレトロンビンからのR77aA類似体は「プレトロンビン類似体R249aA」となるであろう。
本発明の範囲においても、低い程度の自己融解を示す、または全く示さない組換えヒトトロンビン変異体が、このタイプの組換えトロンビン変異体のうちから、例えばarg77A(またはR77aA)として選択され得る。この目的は、冷蔵保存でき、フィブリノゲン、特に組換えヒトフィブリノゲン、例えば哺乳動物細胞において産生されたものを重合させる酵素活性を保持することができる、組換えトロンビン変異体(少なくとも1以上の上記の組換えヒトトロンビン変異体を含む)を産生することである。
本発明の一目的は、プレトロンビンと呼ばれるトロンビンの前駆体を第一に産生するための宿主細胞、例えばヒト細胞、ヒト細胞株、ヒト幹細胞、ヒト前駆細胞、より具体的にはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞株、さらにより具体的にはヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞株(例えばHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA)において、組換え法を用いてトロンビンを産生する方法を提供することである。
本発明の一目的は、glaドメインを含むプロトロンビンと呼ばれるトロンビン前駆体を第一に産生するための宿主細胞、例えばヒト細胞、ヒト細胞株、ヒト幹細胞、ヒト前駆細胞、より具体的には、ヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞株、さらにより具体的にはヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞株(例えばHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA)において、組換え法を用いてトロンビンを産生する方法を提供することである。
これらのタイプの組換えヒトトロンビンは、野生型ヒトトロンビンと比較すると、組換えヒトトロンビン類似体または変異体となるであろう。
同程度のフィブリノゲン切断活性を保持するが、発現レベルがより高い本発明の一部をなすトロンビン変異体には、より低い製造コストで生産されるという利点があり得る。
トロンビン変異体が同程度の発現レベルを保持するが、より高いフィブリノゲン切断活性を示すことにより、これらの変異体は治療用量がより低くなり得るということも本発明の範囲内である。
さらに、本発明の一部に組み込まれる減少した自己融解を示すトロンビン変異体が、精製工程および保存が容易であり得るということも本発明の範囲内である。
上記のように、プロテインC活性を欠いた変異体が改善された凝固活性を有し得ることは、本発明においてさらに予想される。
変異はトロンビンファミリーのメンバー間での配列比較、合理的な部位特異的変異誘発またはアラニンスキャンニングにより同定できる。遺伝子は、挿入、置換、除去またはドメイン交換により修飾され得ることが予想される。
本発明の範囲内の方法は、組換え哺乳動物トロンビンまたはより具体的には組換えヒトトロンビン、さらにより具体的には組換えヒトトロンビン類似体、さらにより具体的にはM84Aと呼ばれる組換えヒトトロンビン類似体を産生することに基づいている;上記の組換えヒトトロンビンまたはトロンビン類似体の全てが「glaドメインプロトロンビン」遺伝子から創出される場合、このことは、導き出される組換えヒトプロトロンビンのタンパク質がシグナルペプチド、プロペプチド、Glaドメイン、2つのクリングルドメインおよび(2つの鎖の)プロテアーゼドメインを含むことを意味しており、M84A類似体は「トロンビン類似体M400A」と呼ばれるであろう。Glaドメインは図5を参照のこと。
本発明の具体的な実施態様において、本発明によって発現される遺伝子配列は、トロンビン活性を示すいずれかの分子である。
初期のフィブリノゲン重合活性は分光光度法によって測定することができる。
本発明の具体的な実施態様において、本発明によって発現される遺伝子配列は、トロンビン活性を示す分子をコードするいずれかの配列である。本発明によって発現される遺伝子配列は、天然ヒトトロンビンまたはそのいずれかの変異体をコードし得る。従って、本発明の一実施態様において、そのポリヌクレオチドによってコードされたプロトロンビンは、ヒトプロトロンビン配列と100%同一の配列を有する。
フィブリノゲン
6つのポリペプチド鎖、2Aα(青)、2Bβ(緑)および2γ(赤)を2つの末端のD小節に連結している中央のE小節を有する3つの小節の形態で(図12を参照)含有する組換えヒトフィブリノゲンを、哺乳動物細胞もしくはヒト細胞、哺乳動物もしくはヒト細胞株、哺乳動物もしくはヒト幹細胞または哺乳動物もしくはヒト前駆細胞において真正または天然ヒトタンパク質を産生させて創出する新規な方法において、個々に調製する。
本発明に包含される組換えヒトトロンビンまたは組換えヒトトロンビン類似体を含めたトロンビンは、3つの小節を有するフィブリノゲンのフィブリンモノマーへの変換を、フィブリノゲン分子の2つの末端のD小節に連結した中央のE小節のFpA部位に付着することにより触媒する。フィブリンモノマーは相互作用して二本鎖プロトフィブリルを形成する。そのプロトフィブリル凝集体はフィブリン線維を形成し、これらのフィブリン線維は理論的には第XIIIa因子触媒性の架橋形成によって安定化され得る。フィブリノゲンの変換、本発明の場合、組換えヒト真正フィブリノゲンの変換は、トロンビンが引き金となるフィブリノゲンからフィブリンへの変換として、より簡単に説明することもでき、ここでトロンビンはαおよびβ鎖からフィブリノペプチドAおよびBを切断することによって軟らかい血餅の形成に関与するN末端重合部位を露出させる。
本発明の具体的な実施態様において、本発明によって発現される遺伝子配列は、フィブリノゲン類似体である分子、すなわちトロンビンなどのセリンプロテアーゼによる切断により活性化され、凝固カスケードに関与する分子をコードするあらゆる配列であり得る。本発明により発現される遺伝子配列は天然ヒトフィブリノゲンまたはそのいずれかの変異体をコードし得る。
適切な発現系
本発明の実施において用いる宿主細胞には、天然対応物のタンパク質またはペプチドと酷似しているタンパク質またはペプチドを分泌することが知られている確立されたヒト細胞株を第一に含めることができる。
本発明は、ヒトゲノムからのタンパク質およびアイソザイムまたはイソ型を正確に同定するためにタンパク質インフォマティクスを適用し、問題の遺伝子を同定し、新規なベクター系を用いて確立された哺乳動物またはヒト細胞株、幹細胞株、前駆細胞株、またはより具体的にはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来細胞、さらにより具体的にはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞またはヒト胎児由来腎臓細胞株(HEK)、例えばHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNAへ問題の遺伝子をトランスフェクトする。この系は本発明において、本発明に記載のタイプのタンパク質、例えば組換えヒトトロンビン、組換えヒトフィブリノゲンおよび組換えヒトコラーゲン、またはより具体的にはおよそ19- 20のタイプのヒトI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIIIおよびXIX型コラーゲンのいずれかならびに他の既知のヒトコラーゲンの組換えヒトコラーゲンを産生するのに用いる。
発現ベクターの構築
本発明に係るタンパク質の産生の実施に用いるための哺乳動物発現ベクターは、クローニングされた遺伝子またはcDNAの転写を方向付けることができるプロモーターを含むであろう。好ましいプロモーターにはウイルスのプロモーターおよび細胞のプロモーターが含まれる。ウイルスのプロモーターは例えば最初期のサイトメガロウイルスプロモーター(Boshart et al., Cell (1985) 41:521-530)またはSV40プロモーター(Subramani et al., Mol. Cell. Biol. (1981) 1:854-864)であり得る。
クローニングされたDNA配列は様々な方法を用いて培養哺乳動物細胞へ導入することができ、例えば、数人の研究者らにより報告されているリン酸カルシウム媒介性トランスフェクションは好ましい方法の1つである(Wigler M, Pellicer A, Silverstein S, Axel R. Cell (1978),14: 725; Corsaro CM, Pearson ML., Somatic Cell Genetics (1981), 7: 603; Graham FL, van der Eb AJ., Virology (1973) 52:456)。エレクトロポレーションは、先に報告されているように、クローニングされたDNA配列を哺乳動物細胞へ導入するために用いられる別の技術である(Neumann E, Schaefer-Ridder M, Wang Y, Hofschneider PH., EMBO J. (1982) 1:841-845)。
DNAライブラリーからのクローニングDNA配列は、例えばリン酸カルシウム媒介性トランスフェクションによって培養哺乳動物細胞へ導入することができる(Graham FL and Van der Eb AJ, Virology (1973) 52:456; Wigler M, Pellicer A, Silverstein S, Axel R.., Cell (1978) 14:725; Corsaro CM and Pearson ML, Somatic Cell Genetics (1981) 7:603)。
エレクトロポレーションを用いてDNA配列を哺乳動物細胞へ導入するNeumanらの技術も用いることができ(Neumann E, Schaefer-Ridder M, Wang Y, Hofschneider PH., EMBO J. (1982) 1:841-845)、例えば電気インパルス(8 kV/cm、5マイクロ秒)を用いると、高電場におけるエレクトロポレーションによるマウス癌(lyoma)細胞へのDNAの取り込みが非常に増加することが分かっている。
ヒト細胞株、例えばヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞、ヒト胎児由来腎臓細胞(例えばHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA)、幹細胞、またはさらには前駆細胞の分泌経路へ本発明のタンパク質を方向付けるために、少なくとも1つのシグナル配列を目的のDNA配列へ連結する。好ましいシグナルには、とりわけ、α因子シグナル配列(プレプロ配列;Kurjan and Herskowitz, Cell 30:933-943 (1982);Kurjanら、米国特許第4,546,082号明細書;Brake、米国特許第4,870,008号明細書)、およびPHO5シグナル配列(Beckら、国際公開第86/00637号パンフレット)、およびBAR1分泌シグナル配列(MacKayら、米国特許第4,613,572号明細書;MacKay、国際公開第87/002670号パンフレット)などがあり得る。
選択可能マーカーは通常、目的の遺伝子またはcDNAを含む細胞を同定するために用いられる。培養哺乳動物細胞に用いるための、そのような好ましい選択可能マーカーは、例えば、薬物、例えばネオマイシン、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートへの耐性を与える遺伝子を含み得る。選択可能マーカーの選択は当分野の通常の技術レベルの範囲内である。選択可能マーカーは、目的の遺伝子とともに哺乳動物細胞へ導入することができる、または同じプラスミド上に導入し、組み込むことができる。この種のコンストラクトは当分野において知られている(例えばLevinsonおよびSimonsen、米国特許第4,713,339号明細書)。
トランスフェクトした哺乳動物細胞は、一定期間、典型的には数日間培養すると、導入したDNA配列の発現を開始させることができる。次いで、選択可能マーカーを安定した様式で発現する成長細胞を選択するために、薬物選択を行う。増幅可能な選択可能マーカーによりトランスフェクトされた細胞について、クローニング配列のコピー数を増加させ発現レベルを上げるために、薬物濃度を段階的に増加させて選択してもよい。
本発明にはトロンビンが第Xa因子などのプロテアーゼによる精製過程において活性化するであろうという方法論が包含されるので、glaドメインを含まないプロトロンビンをコードする発現ベクターを導入するために有用であると考えられる方法は、本発明においては用いない。
培養条件
哺乳動物細胞は一般に、市販購入し得る血清含有培地または無血清培地において培養する。使用する特定細胞株に適切な培地の選択は、当分野の通常の技術レベルの範囲内である。
市販購入し得るHEK 293T 細胞株の変異体およびそれらの適切な培養および発現培地を用いて、タンパク質産生収率をさらに向上させることができる。種々のプロモーター、分泌シグナル、転写エンハンサーなどを含む市販購入し得る発現ベクターの変異体を用いても、タンパク質産生収率を向上させることができる。
本発明の範囲には、例えば不死化ヒト細胞またはさらには不死化腎臓細胞株、例えばヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞株またはその変異体、ならびに幹細胞または前駆細胞のようなヒト細胞株の使用が包含される。
本発明の範囲の宿主細胞として、あらゆる培養ヒト細胞を用いることができる。使用する好ましい培養哺乳動物細胞には、COS-1(ATCC CRL 1650)、BHKおよび293(ATCC CRL 1573; Graham et al., J. Gen. Virol. 6:59-72 (1977))細胞株などがある。好ましいBHK細胞株は、BHK 570細胞株(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託番号CRL 10314として寄託されている)である。しかしながら、発明者らは、選択したヒト細胞株は、より真正に近いヒトタンパク質および/またはペプチドを含む、顕著に良好な産物を分泌するようであることを見出した;他のヒト細胞株もこれらの能力を有する可能性がある。
組換えヒトトロンビンの調製法
トロンビンを産生する方法を開示する。このタンパク質は、トロンビン前駆体の発現を方向付けるのに必要な情報を含むDNAコンストラクトにより形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞から産生される。DNAコンストラクトは一般に以下の作動可能に連結された配列を含むが、ただし、本発明のgla-ドメインを含むプロトロンビン、または厳密にはgla-ドメインを含む組換えヒトプロトロンビンの統合部分として含む:転写プロモーター、プロトロンビンをコードするDNA配列、および転写終結区。形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞から産生されたトロンビン前駆体は、イン・ビボまたはイン・ビトロのいずれかにおいて活性化される。それ故に、汚染タンパク質を本質的に含まずにトロンビンを産生する方法が当分野において必要とされている。本発明はこの必要性を満たし、他の関連する利益を提供する。
トランスフェクトされたHEK 293またはHEK 293T単層培養から始めることは本発明の範囲であるが、まず、特定のタンパク質、本発明の場合はgla-ドメインを含むプロトロンビンについてのcDNAを大腸菌へトランスフェクトし、HEK 293またはHEK 293T細胞をトランスフェクトするのに必要なDNAの量が増加したら、トランスフェクトをHEK 293またはHEK 293T細胞の単層培養を用いて行い、その後、これらの細胞を懸濁細胞培養へ適応させ、同時に適切な無血清培地へ移し、適切なクローニングを行った後、無血清培地を用いて細胞を培養し最適化することも本発明の範囲である。その後、細胞培養物を7-8日毎またはさらにはその周辺の日数毎にバッチ式に収集することができ、上清の測定により収穫および精製すべき十分量のタンパク質が存在することが分かったら、HumanZymeが開発した方法を用いてgla-ドメインを含むプロトロンビンをトロンビンへ適切に活性化する(HumanZyme, Inc., Chicago)。
ヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞、またはより具体的にはヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞株に関しては、本発明のプロトロンビンをコードするDNAコンストラクトを含有し、プロトロンビンは第Xa因子などのプロテアーゼにより精製過程において活性化されるであろう。
ヒト不死化細胞株から得られるはずのあらゆるタイプのタンパク質については、組換えヒトプロトロンビンの特定の変異体のcDNAコピーが本発明に包含される。
最適な培地の選択は当分野の技術レベルの範囲内である。特定のトロンビン前駆体は好ましくは、ヘパリンまたはトロンビンを加えることによって、これらのトランスフェクタントから産生され得る。野生型トロンビン活性化部位(Arg-Ile)の代わりにトロンビン切断部位を含むトロンビン前駆体の活性化は、ヘパリンを培地に加えることにより増強され得る。いくつかの報告によると、好ましくは、このシナリオにおいて、0.5から5.0 U/mlのヘパリンを無血清培地に加える、より好ましくは、1から5 U/ml、最も好ましくは1 U/mlのヘパリンを無血清培地へ加える。プロトロンビン、またはgla-ドメインを含むプロトロンビンをコードする本発明のDNAコンストラクトを含有する、ヒト細胞、より具体的にはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞、またはより具体的にはヒト胎児由来腎臓細胞および他の細胞株(例えばHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA)、幹細胞、前駆細胞などから産生されるタンパク質を活性化するためには(ここでトロンビンは第Xa因子または第Va因子などのプロテアーゼにより精製過程において活性化されるであろう)、トロンビン活性化部位は、0.5から5 .mu.g/ml(トロンビン)の予想活性値を有するであろう;無血清培地に加える場合は、より好ましくは1から2 mu.g/ml(トロンビン)の予想活性値を有するであろう;無血清培地に加える場合に1mu.g/ml(トロンビン)を有するのが特に好ましい。
トロンビン前駆体は従来のクロマトグラフィーにより精製してもよく、その後トロンビン前駆体を、タンパク質濃度に関する連続希釈において、例えばヘビ毒の活性化因子により活性化してもよい。あるいは、トロンビン前駆体は、抗トロンビン 抗体を用いるアフィニティークロマトグラフィーによって精製してもよい。トロンビン精製の他の方法は、例えば米国特許第4,965,203号明細書に示されている。本発明によると、組換えヒトトロンビンは第Xa因子などのプロテアーゼにより精製過程において活性化される。
精製トロンビン前駆体は、Heldebrantらおよび他の研究者らにより報告されている、プロトロンビンのタンパク質分解性の活性化によって活性化してもよい(Heldebrant CM, Butkowski RJ, Bajaj SP, Mann KG. J. Biol. Chem. (1973) 248:7149-7163;Downing MR, Butkowski RJ, Clark MM, Mann KG, J. Biol. Chem. (1975), 250:8897;Krishnaswamy S, Church WR, Nesheim ME, Mann KG. J. Biol. Chem. (1987) 262:3291)。トロンビン活性化部位を含有するトロンビン前駆体はトロンビンを加えることにより活性化され得る。その後、活性化トロンビンを塩勾配によるカラムクロマトグラフィーを用いて精製することができる。タンパク質精製法は当分野においてよく知られており、一般的な目的においては、Scopes R.を参照のこと(Scopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, NY (1982));得られる純度が高いほど、トロンビンの反応はより明解になるので、70-90%の精製がほぼ確実に理想的であろう。
本発明において、組換えヒトトロンビンは、最終産物のトロンビンを得るために新規な本発明を用い、第Xa因子などのプロテアーゼにより精製過程においてそのタンパク質を活性化することにより産生され、例えばフィブリノゲンとともに血餅を安定化するための血液凝固薬として、または、ヒトを含む哺乳動物への移植または埋め込みにおいて、移植した細胞を標的領域または標的器官に維持するための細胞の担体として、場合によりフィブリノゲンおよび/またはコラーゲン、特にI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX型コラーゲンまたはそれらのコラーゲンの混合物とともに用いられ、さらに化学薬品または薬物(例えば診断用または医療用の薬物)として用いられる。
本発明の一実施態様は、配列番号17に記載の組換えヒトトロンビン前駆分子をコードするポリヌクレオチドを提供し、そのポリヌクレオチドはi)配列番号16に記載のGlaドメインを含有する。別の実施態様において、本発明はii)クリングル2をさらに含む。さらに別の実施態様において、本発明は本明細書に記載のようなポリヌクレオチドをさらに含み、ここでそのポリヌクレオチドはiii)HCP4(プロテインC)をさらに含み、コードされた組換えヒトトロンビン前駆分子は5'末端に連結したHPC4を有する(配列番号6)。
一実施態様において、本発明の組換えヒトトロンビン前駆分子は、自己分解活性を有する。
本発明の一実施態様は、本発明に記載のようなポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。さらなる実施態様において、本発明のポリヌクレオチドは、そのベクターにより形質転換された宿主細胞により認識される制御配列とさらに作動可能に連結している。さらなる本発明の実施態様において、本発明のベクターはプラスミドベクターの形態である。
本発明の一実施態様は、本発明に記載のような1以上のベクターを含むヒト宿主細胞を提供する。さらなる実施態様において、ヒト宿主細胞はヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞である。さらなる実施態様において、ヒト宿主細胞は、HEK 293、HEK 293T、HEK 293SおよびHEK 293 EBNAからなる群から選択される。
本発明の一実施態様は、ヒト発現系を用いて組換えヒトプロトロンビンまたはトロンビンを調製する方法を提供する。さらなる実施態様において、ヒト発現系は本明細書に記載のようなベクターを含む。さらなる実施態様において、ヒト発現系は本明細書に記載のようなヒト宿主細胞である。さらなる実施態様において、ヒト発現系は、無血清条件下において培養される。
本発明の一実施態様において、本発明によって調製される組換えヒトプロトロンビンまたはトロンビンはglaドメイン(配列番号16)を含有する。
本発明の一実施態様は、天然ヒトプロトロンビンまたはトロンビン遺伝子と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の核酸相同性を有する組換えヒトプロトロンビンまたはトロンビンを提供する。
本発明の一実施態様は、天然ヒトプロトロンビンまたはトロンビンと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のアミノ酸相同性を有する組換えヒトプロトロンビンまたはトロンビンを提供する。
本発明の一実施態様は、タンパク質の少なくとも90%、例えば少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%が、天然ヒトプロトロンビンまたはトロンビンと実質的に同一の免疫原性反応を生じるようなグリコシル化パターンを有する前記タンパク質を提供する。
本発明の一実施態様において、組換えヒトトロンビンは、天然ヒトトロンビンよりも速い速度でフィブリノゲンを凝固させる。
本発明の一実施態様において、組換えヒトトロンビンは、4-8℃にて1週間保存した後に初めのフィブリノゲン重合活性の少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%の活性を保持している。
本発明の一実施態様において、組換えヒトプレトロンビンまたはプロトロンビンは、当業者に既知のいずれかの方法によって活性化することができる。本発明の好ましい実施態様において、組換えヒトプレトロンビンまたはプロトロンビンは、エカリン(ecarin)を用いて組換えヒトトロンビンへと活性化される。エカリンによる活性化は、活性化因子の固定化ができるというさらなる利点を有する;それ故にエカリンは、組換えヒトトロンビンの一段階精製法を提供する。
本発明の一実施態様において、組換えヒトプロトロンビンは、ヒト天然プロトロンビンよりも有意に低い自己分解活性を有する。
本発明の一実施態様において、ヒト組換えプロトロンビンは配列番号2または配列番号4に記載のとおりである。さらなる実施態様において、本明細書に記載のヒト組換えプロトロンビンは医薬において用いられる。
本発明の一実施態様において、ヒト組換えプレトロンビンは、配列番号7または配列番号4に記載のとおりである。さらなる実施態様において、本明細書に記載のヒト組換えプロトロンビンは医薬において用いられる。
本発明の一実施態様において、ヒト組換えトロンビンは、配列番号17に規定されるとおりである。さらなる実施態様において、本明細書に記載のヒト組換えトロンビンは医薬において用いられる。
組換えヒトフィブリノゲンの調製法
天然ヒトフィブリノゲンの真正性と近づけるヒト組換えフィブリノゲンの産生に関して、ヒト細胞またはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞株、またはより具体的にはヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞株は、同じタイプの細胞であり得、本発明に係るヒトフィブリノゲンのcDNAコピーによりトランスフェクトされており、その細胞を無血清培地において増殖させるとヒトフィブリノゲンを産生するが、この腎臓細胞にはα、βおよびγ鎖をコードするヒト遺伝子が組み込まれているので同細胞からの真正ヒトフィブリノゲンと類似性がより近く、腎臓細胞は無血清培地において、より良好な機能性を有し、より一貫したロット間再現性を有する、より均質なフィブリノゲンを分泌する。
本発明の一実施態様は、イン・ビトロにてヒト細胞において発現される、配列番号10(アミノ酸配列は配列番号11)に相当する組換えヒトαフィブリノゲンをコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の一実施態様は、イン・ビトロにてヒト細胞において発現される、配列番号12(アミノ酸配列は配列番号13)に相当する組換えヒトベータフィブリノゲンをコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の一実施態様は、イン・ビトロにてヒト細胞において発現される、配列番号14(アミノ酸配列は配列番号15)に相当する組換えヒトガンマフィブリノゲンをコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の一実施態様は、1以上の本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。さらなる実施態様において、そのベクターは、本明細書に記載の全3つのポリヌクレオチドを含む。さらなる実施態様において、本発明のベクターは、そのベクターにより形質転換された宿主細胞により認識される制御配列に作動可能に連結された前記ポリヌクレオチドを含む。さらなる実施態様において、本発明のベクターはプラスミドベクターの形態である。
本発明の一実施態様は、本明細書に記載の1以上のベクターを含むヒト宿主細胞を提供する。さらなる実施態様において、ヒト宿主細胞はヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞である。さらなる実施態様において、ヒト宿主細胞はHEK 293、HEK 293T、HEK 293SおよびHEK 293 EBNAからなる群から選択される。
本発明の一実施態様は、ヒト発現系を用いる組換えヒトフィブリノゲンの調製法を提供する。さらなる実施態様において、ヒト発現系は本明細書に記載のベクターを含む。さらなる実施態様において、ヒト発現系は本明細書に記載のヒト宿主細胞である。さらなる実施態様において、ヒト発現系は無血清条件下において培養される。
本発明の一実施態様は、天然ヒトフィブリノゲン遺伝子と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の核酸相同性を有する組換えヒトフィブリノゲンを提供する。
本発明の一実施態様は、天然ヒトフィブリノゲンと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のアミノ酸相同性を有する組換えヒトフィブリノゲンを提供する。
本発明の一実施態様は、タンパク質の少なくとも90%、例えば少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%が、天然ヒトフィブリノゲンと実質的に同一の免疫原性反応を生じるグリコシル化パターンを有する前記タンパク質を提供する。
本発明の一実施態様は、配列番号11に記載のα鎖、配列番号13に記載のベータ鎖および配列番号15に記載のガンマ鎖を含み、イン・ビトロにてヒト細胞において発現される、ヒト組換えフィブリノゲンを提供する。さらなる本発明の実施態様において、請求項43のヒト組換えフィブリノゲンは医薬において用いられる。
組換えヒトコラーゲンの調製法
本発明の方法は他の組換えヒトタンパク質、例えば組換えヒトコラーゲンの産生にも用いることができると考えられる。従って、以下にこのことに関して簡単に説明する。
ヒトコラーゲン、例えば19-20の既知のヒトコラーゲン、例えばI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX型コラーゲンのいずれか、またはこれらの既知のコラーゲンのいずれかのcDNAコピーとともにトランスフェクトされた、コラーゲンの特定のプロリン残基を水酸化するプロピル4-ヒドロキシラーゼとコラーゲンは同時発現されるであろう。プロリンの水酸化がない場合、コラーゲンの重要な三重らせんの立体構造は、熱的に、例えば生理学的温度を下回る温度で不安定である。
これらのヒトコラーゲンのタイプは、無血清培地において増殖し、無血清培地においてヒトコラーゲン、またはより具体的には、以下のいずれかのタイプのコラーゲン、例えばI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX型コラーゲンを産生する細胞において、真正ヒトコラーゲンおよび/または具体的にはIII型コラーゲンとより類似するように産生される。本発明において発明者らは、これら全てのタンパク質のために、P. Chenらにより2002年に報告されている、ヒト細胞(これらのうち幹細胞、前駆細胞など)、より具体的には、ヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞株、さらにより具体的には、ヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞株(不死化細胞株である)を好んで用いた(Chen, P., et al., Protein Expression and Purification (2002) 24:481-488)。
以下のコラーゲンはヒトにおいて観察され得るものであり、理論的にCFMまたはCFM-細胞の作製において用いることができる:I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX型コラーゲン、これらの既知の全てのコラーゲン。また、近年発見されたXX型コラーゲンなどのコラーゲンもいくつか存在する:近年のコラーゲンサブファミリー;XXI型:XXI型コラーゲンは血管壁の細胞外マトリクス成分であり、平滑筋細胞により分泌される;XXIII型:転移性腫瘍において近年発見されたコラーゲン;XXIV型:脊椎動物の線維性コラーゲン;XXVI型:卵巣および精巣において発見された新たなメンバーのコラーゲン;XXVII:新規な、高度に保存されたコラーゲン(プロ(アルファ)1)(XXVII)。上述のいずれのコラーゲンも、ヒトコラーゲンまたはヒト組換えコラーゲン、またはヒト組換えコラーゲンの一部(「合成ヒト天然コラーゲン」とも呼ぶ)の形態で用いてもよい。本発明に記載のヒト組換えコラーゲン型、例えばI型コラーゲン、II型コラーゲンおよび/またはIII型コラーゲン(これらの3タイプに限られないが)を、最適な組織シーラントを創出するために加えてもよい。本発明の組換えヒトコラーゲンは、ヒト細胞、より具体的にはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞またはさらにより具体的には、HEK 293、HEK 293T、HEK 293SおよびHEK 293 EBNAと呼ばれる細胞株において、本発明に従って調製される。この際に、幹細胞または前駆細胞を用いてもよい。結果として分泌されるコラーゲンは、適切な試薬、例えばコラーゲンを溶解することができる培地において調製されるであろう(20を超える既知のコラーゲンが存在し、そのうちヒト由来またはヒト組換え体由来コラーゲンが好ましいであろう);適切な培地の例には、希塩酸(例えば10 mM)または他の希釈された無機もしくは有機酸またはpH 7またはそれ以下の水性培地などがある。
本発明のヒト組換えタンパク質の適用
本発明に包含される、組換えトロンビンおよびヒト組換えコラーゲンを基礎とするHUMA-SEALANT(商標)- Cと名付けられたマトリックスは、生物学的組織シーラントであり、特殊化ヒト細胞におけるタンパク質過剰発現により産生されたヒト組換えトロンビンの使用が可能である(特殊化ヒト細胞におけるタンパク質過剰発現により産生されたヒト組換えフィブリノゲンとともに用いることも可能である)。さらに、ヒト組換えコラーゲンまたはコラーゲン、例えばおおよそ20の既知のタイプのヒトコラーゲンのいずれも使用可能である。
最適な組織シーラントは、ヒト組換えトロンビンおよびヒト組換えフィブリノゲンを利用して達成することもでき、さらに組換えアプロチニンを加えることにより組織シーラントのゲル化に関して調節することもでき、さらにこの組換えアプロチニンはヒト細胞によって、またはさらにはヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞によって産生することができる。前記タンパク質を産生し、固体付着性を獲得し、例えば創傷の治癒、器官からの拡散性出血のため、およびシーラントのあらゆる目的に用いるための生物学的組織シーラントとして簡単で安全な製品を生産するのに、さらにより最適であり得る細胞起源を得るために、ヒトの臍帯またはヒトの臍帯血からの多分化能細胞を利用することは有利であり得る。ここで、フィブリン糊または既知の組織シーラントは天然ヒトタンパク質を通常含み、または多くの場合ウシ(または他の動物由来の)タンパク質が加えられており、ヒト天然非組換えタンパク質に関しては微生物(ウイルスを含む)を伝染させる可能性があり、またはさらにこの危険性の他に、例えば異種間タンパク質(ティシール(登録商標)またはベリプラスト(登録商標)などの組織シーラント製品に見られるような動物タンパク質)のために免疫原性反応を引き起こす可能性があり、ここでそれらタンパク質は天然ヒト起源であり組換え起源ではなく、またはティシールおよびベリプラストなどの組織シーラントの場合にはアプロチニンはウシ起源である。上記の組み合わせまたはその一部は、細胞移植の間の細胞の媒体および細胞を導く物質として、ならびに診断用または治療用の薬物の担体として用いてもよい。
本発明は、ヒト組換えタンパク質の1以上の組成物を調製するための新規な概念および方法に関し、この方法または概念は、例えば、高い凝固促進活性および低い抗凝固活性を有し、野生型ヒトトロンビンのシグナル伝達能と等しいかまたはほぼ等しい細胞シグナル伝達能を有し、特定条件において自己融解の程度が低いかまたはほとんどない、組換えヒトトロンビンおよび組換えヒトトロンビン変異体と組み合わせて用い、これによりこれらのタンパク質が冷蔵庫の温度(3から17℃の範囲)で保存する場合でも少なくとも何よりもヒトフィブリノゲンおよび組換えヒトフィブリノゲンに対する凝固促進酵素活性を保持できるようになり、これらの比較的安定な組換えトロンビンは例えば何週間または何ヶ月といった長い期間、冷蔵庫の温度にて保存する止血剤キットにおいて使用可能になる。これらの組換えヒトトロンビンおよびヒト組換えトロンビン変異体は、組換えヒトフィブリノゲンと反応して、フィブリンを作り出す他の組換えまたは天然トロンビンと少なくともほぼ等しいかまたはより良好な、止血性効果、凝固効果、ゲル化効果おおよび接着効果を創出することができるであろう。組換えヒトトロンビンおよびフィブリノゲンは、ヒト細胞を含めた哺乳動物細胞にとって非毒性であり、細胞または組織とともに注射することができ、その場合細胞担体として働くことができ、または細胞とともに注射を受けるべき細胞に対して接着効果を持つことができ、あるいは標的領域に埋め込むことができ、生物または具体的には器官もしくは組織に埋め込まれた際に細胞が修復細胞または置換細胞として働くことを助けるであろう。フィブリンは、組換えトロンビンおよび組換えフィブリノゲンによって、またはこれらの組換え成分の少なくとも1つおよび他の天然成分(例えばフィブリノゲン)によって作り出される。
組換えフィブリンは、生細胞にとって非毒性の天然フィブリンを用いる他のあらゆる製品で代用することができるであろうが、組換えフィブリンは、真正ヒトタンパク質と似ている組換えヒトタンパク質およびそれらの変異体のみからなる点で有利であり、これにより、具体的には、例えば組換え哺乳動物フィブリノゲン(組換えヒトフィブリノゲンを含む)を切断する能力が特に高く、同時にPAR 1シグナル伝達活性を示すことができ、同時にプロテインCに対してほとんどまたは全く活性を示さない組換えヒトトロンビン変異体が得られる。
この組換えフィブリンは、天然(ヒトまたはウシまたは他のいずれかの種の)トロンビンが、ヒトもしくは哺乳動物の天然フィブリノゲンと反応して生じた天然フィブリンには比較的頻繁に見付かる微生物または感染性物質を全く含まないという利点を有するであろう。哺乳動物起源の血液からの天然トロンビンおよび天然フィブリノゲンが、ヒトまたは哺乳動物が微生物(例えば、他の種(例えばウシなど)から移入したB型肝炎、C型肝炎、ウイルス)、さらにはヒトもしくは哺乳動物(ウシ起源など)からのプリオンなどの病原性タンパク質に感染するという不必要な危険性を孕んでいる可能性があることは、比較的頻繁に示されている。
本発明の範囲の組換えタンパク質を用いて得られる製品にとってはマイナーな用途である細胞担体とは別に、この特定の組織シーラントには(例えばティシールなどの組織シーラントとは異なり)、細胞移植手術において広範な用途がある。
米国特許仮出願第60/722,366号明細書に記載のように、組換えコラーゲン、またはより具体的には、組換えヒトコラーゲン、例えばI型および/または2型、および/または3型コラーゲンを、組換えもしくは天然フィブリノゲンと組み合わせることも本発明の範囲内であり、前記米国仮出願明細書には組換えヒトコラーゲン(例えばIII型)は、フィブリノゲンとともに、ゲル化および接着(凝固)効果を創出することが示されている。
組換えヒトフィブリノゲン、例えば発現してタンパク質を作る全3つのAα、Bβおよびγ遺伝子のcDNAを含む哺乳動物細胞において産生されるフィブリノゲンを創出することは本発明の範囲内である。組換えフィブリノゲンおよび/または組換えトロンビンを、上記のような組換え哺乳動物コラーゲン、例えば組換えヒトコラーゲン(例えば組換えIまたはIII型コラーゲン)と組み合わせることができることも本発明の範囲内である。
本発明の範囲内の別の方法では、1つの単一の組換えヒトタンパク質、例えば、哺乳動物細胞において産生された特定の組換えヒトトロンビン類似体および/または組換えトロンビン変異体を用い、ここでは組換えヒトタンパク質は、局所性止血のための他の組み合わせを含まない単独製品として個々に用いられ、または生物の出血領域において用いることを意図しており、そこへ用いた組換えヒトトロンビンは出血領域に存在するフィブリノゲンと反応し、こうして出血を防止するまたは止めることができる。組換えヒトフィブリノゲン、例えば発現してタンパク質を作り出す全3つのAα、Bβおよびγ遺伝子を含む哺乳動物細胞において産生されるフィブリノゲンを創出することも本発明の範囲内であり、ここで、この産物は1つの単独製品として用いることができる。この組換えヒトフィブリノゲンはおよそ330,000から340,000ダルトンのHMWを有し、遺伝子疾患、例えば低フィブリノゲン血症または異常フィブリノゲン血症(dysfibrogenimic disorder)などの処置のために、特に播種性血管内凝固症候群(DIC)の処置の一部として用いられる。この組換えヒトフィブリノゲン製品は、個々に投与する生物製剤として用いる際に、ヒトを含む哺乳動物に注射/注入により投与することができるような様式に製剤化すればよい。
特に、例えば播種性凝固疾患などの出血障害またはさらには、患者が適切な凝固に関与する機能タンパク質を持っていない、またはかかる機能が異常なタンパク質を持っている場合のある遺伝性の疾患、例えば障害性の遺伝性フィブリノゲン欠損症候群を伴う疾患、またはインタクトなフィブリノゲンタンパク質の産生における他の異常、例えばフィブリノゲン形成異常(dysfibrinogenesis)、低フィブリノゲン形成疾患(hypofibrinogenesis)、または特に播種性血管内凝固症候群(DIC)などの疾患の修復に関与する、ヒト活性タンパク質を模倣する、前記の単独タンパク質を創出することに焦点を合わせることも本発明の範囲内である。
組織シーラントを構成する真正天然タンパク質を得るための同じタイプのヒト細胞株から創出された特有の組換え組織シーラント
特有の組織シーラントを得るためには、組換えヒトタンパク質を産生する方法において、真正天然ヒトタンパク質とほぼ同一のまたは実質的に同一であるようなタンパク質を目指さなければならない。他の発明には、組換えトロンビンを産生するためにCHO細胞を使用することが記載されているが、本発明者らは、ヒト細胞に、特にヒト腎臓細胞およびヒト網膜由来PER-C6細胞に、またはさらにより具体的にはヒト胎児由来腎臓(HEK)293T細胞株にcDNAコピーをトランスフェクトする技術を用いなければ、特有の真正タンパク質に最適に類似するタンパク質は得られないことを主張する。
一実施態様において、本発明の1以上の点変異を有するトロンビン、例えば組換えヒト天然トロンビンまたは組換えヒトトロンビンの濃度は、20NIH単位/ml未満、例えば1-20 NIH単位/ml、例えば15 NIH単位/ml未満、10 NIH単位/ml未満、5 NIH単位/ml未満または1 NIH単位/ml未満であり得る。
一実施態様において、本発明のフィブリノゲン、例えば組換えヒト天然フィブリノゲンの濃度は、約50 mg/ml未満、例えば1-50 mg/ml、例えば40 mg/ml未満、30 mg/ml未満、20 mg/ml未満、10 mg/ml未満または2 mg/ml未満であり得る。
キット中のタンパク質をヒト天然タンパク質に対する真正さに関して遠くなるようなさらなる別の方法によって産生する為、本発明において示した要件に沿わないので異なった組織シーラントキットの他の成分が産生される全く異なった技術を用いて、さらなる組換えフィブリノゲンが産生される場合、組織シーラントは決して本発明に係る組織シーラントキットのように特有にはならないであろう。例えば米国特許第6,780,411号明細書には、組換えフィブリノゲンの組合せは、遺伝子導入哺乳動物、例えばヒツジ、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギおよびラクダの体液において組換えフィブリノゲンを産生することを含む過程により調製される組換えフィブリノゲンとして創出することが記載されている。そのような過程は国際公開第1995/023868号パンフレットに記載されており、上記の特許(米国特許第6,780,411号明細書)に組み込まれている。その発明の組織シーラントに含まれる他のタンパク質は組換えトロンビンであり、哺乳動物細胞、例えばCHO細胞により産生されると記載されている。それ故この組合せは、本発明に記載の組織シーラントの1つを構成するタンパク質の産生における概念が顕著に異なるという観点から、また、一方のタンパク質(トロンビン)は動物細胞(CHO細胞)において産生され、他方のタンパク質(フィブリノゲン)は遺伝子導入動物の体液において産生されるという観点から、本発明に係る組織シーラントとは顕著に異なる。
組換えヒトトロンビンは、ヒトの凝固疾患の処置から、小手術および大手術の両方における熱傷の処置、皮膚移植処置に到るまでの広範囲において、単独でまたは組織シーラントなどの製品の一部として用いられ、凝固疾患の処置においては凝固の酵素学的イニシエーターとして働く。
様々な創傷組織の接着剤の処方については、米国特許第4,427,650号、4,442,655号および4,655,211号明細書において詳しく論じられており、それぞれ参照により本明細書に含まれる。
組換えヒトトロンビンの有効量は、トロンビンを用いる様式に応じて100から15,000単位の範囲でかなり変化するであろう(純粋なトロンビンの特異的活性はタンパク質1μgにつき3,000単位である)。
本発明によって作製される組換えヒトトロンビンは、非常に少量であり得るため、いずれかのタイプのコラーゲン、例えば組換えヒトI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX型コラーゲンなどとともに用いない限りは通常有意な凝固を起こせないであろう。このように、ゲル化ならびに接着性化合物を作製するためにトロンビンを用いることを含み、トロンビンを100単位から15,000単位の範囲で用いる他の発明とは異なり、本発明によると実際には、ゲル化(凝固)および/または接着性物質を誘導するのに用いられるトロンビンの量は、コラーゲンおよびフィブリノゲンとともに、またはコラーゲンのみとともに用いる場合、当業者が予想し得た量よりもかなり少ない可能性があり、それ故に本発明に特有であると考えられ、すなわちゲル化(凝固)および/または接着を活性化するためには、90単位までのごく少量の天然または組換えトロンビンを加えれば、ゲル化(凝固)を起こすのに実際に十分であり得ることが予想される。
本発明の全く別のモデルには、ゲル化、粘着または接着効果ならびに止血効果を誘発するために加えられた物質とさらに反応することができる物質に、簡便に組み込むことができる、本発明の範囲内のいくつかのまたは1つのタンパク質の使用があり得る。
本発明の組換えヒトプロトロンビンまたはトロンビンは、既知の製薬的に許容される賦形剤のいずれかとともに製剤化してもよい。
本発明の組換えヒトフィブリノゲンは、既知の製薬的に許容される賦形剤のいずれかとともに製剤化してもよい。
本発明はさらに、本明細書に記載の方法を実施するのに必要な成分および機器を含む様々なキットを包含し、組織シーラントおよび/または止血剤としての使用を含む。一局面において、かかるキットは、本明細書に記載の組換えヒトトロンビン、本明細書に記載のヒトフィブリノゲン、コラーゲン、例えばI、IIおよびIII型コラーゲン、および例えば組換えヒトコラーゲン、プロテアーゼ、例えばセリンプロテアーゼ、例えばアプロチニン、および医薬に用いるための1以上の製薬的に許容される賦形剤からなる群から選択される1以上の物質を含み得る。
以下のような本明細書に記載の方法に関連して用いるためのさらなる組成物、キット、成分の集合は、本発明の範囲に含まれる。
項目
1. 以下のタンパク質を個々に発現するcDNAを含む個々のプラスミドコンストラクトによりトランスフェクトされたヒト細胞株において発現される以下のタンパク質を含む組成物:
a. 組換えヒトプロトロンビン
b. 組換えヒトトロンビン
b. 組換えヒトフィブリノゲン
c. 組換えヒトコラーゲン
2. 組換えヒトI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX型コラーゲンのいずれかを含む、項目1cに記載の組換えヒトコラーゲン。
3. ゲルを形成する粘度を有する、項目1および2に記載のヒト組換えタンパク質のいずれかの混合物の組成物。
4. 非生理学的に非常に少量で、例えばごく少量から90単位の範囲のトロンビン単位数で用いられる組換えヒトトロンビンと組換えヒトコラーゲンの混合物の組成物は、フィブリノゲンを加えて、または加えないでゲル形成粘度を創出する。
5. 表面(生物起源であり得る)に適用すると、イン・ビトロおよびイン・ビボにおいてその表面に接着する、項目1−2に記載のいずれかのタンパク質の混合物の組成物。
6. 1以上の項目1のタンパク質を分泌するヒト幹細胞および/またはさらに分化したヒト前駆細胞においてcDNAトランスフェクションを用いて調製され、互いに組み合わせるとゲル様物質を形成するヒト組換えタンパク質を含む、項目1a−1cに記載の上記ヒト組換えタンパク質の組成物。
7. 1以上の項目1のタンパク質を分泌するHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA細胞株においてcDNAトランスフェクションを用いて調製され、互いに組み合わせるとゲル様物質を形成するヒト組換えタンパク質を含む、1a−1cの項目に記載の上記ヒト組換えタンパク質の組成物。
8. 1以上の項目1のタンパク質を分泌するHEK 293、HEK 293T、HEK 293S、HEK 293 EBNA細胞株においてcDNAトランスフェクションを用いて調製され、互いに組み合わせるとイン・ビトロおよびイン・ビボにおいて生物表面などの表面に接着するゲル様物質を形成するヒト組換えタンパク質を含む、項目1a−1cに記載の上記ヒト組換えタンパク質の組成物。
9. 項目1−5に記載のいずれかの組成物であって、前記条件下において生細胞と混合することができ、その細胞の担体として用いることができる組成物。
10. 項目1−5に記載のいずれかの組成物であって、前記条件下において化合物と混合することができ、診断および/または治療用途のためにイン・ビボにおいてその化合物の担体として働くことができる組成物。
11. 医薬を標的組織または標的器官へ輸送するのに用いるための、上述の項目のいずれかに記載の組成物。
12. 哺乳動物細胞において発現される、凝固促進活性が高く、プロテインC(抗血液凝固性)活性化能が低い組換え哺乳動物トロンビン。
13. 哺乳動物細胞において、哺乳動物血漿由来の完全機能性の哺乳動物フィブリノゲンとして機能することができる6つのポリペプチド鎖、2Aα、2Bβ、2γを有するcDNAの発現により産生される、組換え哺乳動物フィブリノゲン。
14. 項目12に記載の組換え哺乳動物またはヒトトロンビンを含むキットからなる、哺乳動物において用いるための製品。
15. 項目13に記載の組換え哺乳動物またはヒトフィブリノゲンを含むキットからなる、哺乳動物において用いるための製品。
16. 項目12に記載の組換え哺乳動物またはヒトトロンビン、および項目13に記載の組換えヒトフィブリノゲンを含むキットからなる、フィブリンを創出することができる製品。
17. 項目13に記載の組換え哺乳動物フィブリノゲン、およびI、IIおよび/またはIII型コラーゲンの組換え哺乳動物コラーゲンを含むキットからなる、シーラントおよび皮膚充填(dermafilling)製品として用いるための製品。
18. シーラントとして用いるための、項目12に記載の組換え哺乳動物トロンビンおよび組換え哺乳動物I、IIおよびIII型コラーゲン。
19. 細胞を5から20日の期間、懸濁培養において培養し、その細胞を本発明のタンパク質を含む上清から分離する、本明細書に記載の方法。
20. 組換えヒトフィブリノゲンが、陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、プロタミン−アガロースによるアフィニティークロマトグラフィー、モノクローナルまたはポリクローナル抗体による免疫沈降、モノクローナル抗体によるアフィニティークロマトグラフィー、硫酸アンモニウムによる沈降からなる群から選択される1以上の方法により精製される、本明細書に記載の方法。
21. フィブリノゲンが、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤の存在下において精製される、1以上の上述の項目に記載の方法。
添付の配列表の概観を以下の表1に示す。
Figure 2009528843
[実施例1]
HPC4ドメインを有するプレトロンビンを介する組換えヒトプレトロンビンの調製法
ヒトプロトロンビン遺伝子は遺伝子バンク(GBアクセッション番号BC051332)から購入した。プロトロンビン領域を含むPCR Gla-ドメインを準備し、HPC4(プロテインC)エピトープをDNAの5'末端に付加した。プロテインCにはトロンビン-トロンボモジュリン複合体による活性化に必要であるCa2+誘導性の立体構造変化が起こる。Stearnsらにより報告されているようにプロテインC活性化をブロックするCa2+依存性モノクローナル抗体(HPC4)を用いてプロテインCの活性化部位付近の立体構造変化を調べた(Stearns DJ, Kurosawa S, Sims PJ, Esmon NL, Esmon CT, The interaction of a Ca2+-dependent monoclonal antibody with the protein C activation peptide region. Evidence for obligatory Ca2+ binding to both antigen and antibody, J Biol Chem. (1988) 263(2):826-32)。
84においてメチオニンからアラニン(ATG → GCC)への点変異を施した(ヒトM84A配列(配列番号6および配列番号17)を参照のこと)。ここで、キモトリプシン「84」またはプロトロンビン「400」(またはプロトロンビン類似体M400A)に相当する、B 116と番号付けした配列(SEQ)に、本明細書に記載のように、点変異として部位変異を施した。
組換えヒトトロンビンを産生するための別の方法に、例えばM84A(またはプレトロンビン類似体M256A)をpHZsecベクターへ挿入して、クローニングした組換えヒトプレトロンビン-1からトロンビンを活性化する方法があり、前記ベクターはHumanZyme Incが所有している独自のベクターである(HumanZyme Inc., Chicago, U S A)。次いでM84A遺伝子を大腸菌において増幅させた。次いでHumanZyme Incが開発した方法に従って、増幅した遺伝子を血清含有培地における単層細胞培養物のヒト胎児由来腎臓細胞(HEK 293)株にトランスフェクトした(HumanZyme Inc., Chicago)。ヒト組換えトロンビン類似体(M84A)の発現をmAb-HPC4を用いてウエスタンブロット解析によって確認した。図6から、野生型プレトロンビン1およびM84Aプレトロンビン1の両方がHEK 293細胞から成功裡に発現されたことが分かる。
[実施例2]
組換えヒトトロンビン類似体(M84A(または類似体M256A))をHEK 293細胞において発現させた。6ウェルから12クローンを選択し、より大きなプレートへ移した。HPC4に対するモノクローナル抗体(mAb-HPC4)を用いたウエスタンブロット解析に基づいて2つのトップクローンを決定した。それらの細胞を無血清培地に適応させ、懸濁培養物として処理した。組換えヒトプレトロンビン-1 M84A(またはプレトロンビン類似体M256A)をパイロットサイズ精製法を用いて精製した。組換えHUトロンビン類似体(M84A(またはトロンビン類似体M256A))の無血清懸濁培養物1リットルあたりからの収量は十分なものであった。非トランスフェクト細胞(対照)は死滅したが、M84A(または類似体M256A)トランスフェクト細胞株は、抗生物質の存在下において持続的な成長を示した(図7を参照のこと)。
図8は、12のHEK 293細胞クローンのスクリーニングを示し、そこからクローン2および11を選択した。図9は、無血清懸濁細胞(懸濁液に適応させたHEK 293)培養物から抗HPC4(mAb-HPC4)モノクローナル抗体と反応させたウエスタンブロットを示す。図10は、図9から選択した、ウエスタンブロットにおいて最高の結果を出したと判断した2クローンを示す。図11は組換えヒトプレトロンビン-1の精製結果、精製前のM84A粗製タンパク質を示し、溶出させ、精製したM84Aタンパク質は図10に示している。図11は組換えヒトトロンビン類似体M84Aの精製を示す。レーン1は分子マーカーであり、レーン2はM84A(またはプレトロンビン類似体M256A)を含む粗製タンパク質であり、レーン3においては完全に精製されたM84A(またはプレトロンビン類似体M256A)溶出物が観察される。
DNA配列および調製物の挿入、トランスフェクション、発現、精製および活性化はHumanZyme Inc.により行う(HumanZyme Inc. Chicago, USA)。
(プロトロンビン配列番号285から計算された)配列(Seq.)からのヒトトロンビン類似体M84Aのアミノ酸配列は配列番号17に相当する。
これは、血清含有(例えば10%血清)細胞培養物に存在するタンパク質の量と比較して、溶出前の粗製タンパク質が比較的少数のバンドのタンパク質しか含有しない場合、組換えヒトトロンビン類似体M84Aを精製することは比較的容易であることを示している。
[実施例3]
インタクトなGlaドメインを有するプロトロンビンの調製法
組換えヒトgla-ドメイン含有プロトロンビンによりトランスフェクトされた安定な細胞株の選択;ここで、前記プロトロンビンは組換えトロンビン、組換えヒトトロンビンへと活性化可能であり、その組換えヒトトロンビンのうちの1つは、gla-ドメインを含むプロトロンビンの活性化から生じる組換えヒトトロンビン類似体M84Aまたはさらには組換え野生型トロンビンである。完全なGla-ドメインを含むプロトロンビン遺伝子を大腸菌において増幅させ、増幅されたGla-ドメインを含むプロトロンビンをHEK 293(例えばHEK 293T)細胞にトランスフェクトし、培地中の血清含有単層培養において成長させた。いくつかのクローンを収集し、M84A(または類似体M400A)が含まれることを示すクローンを単離し、これらのクローンを無血清培地中の懸濁細胞培養に適応させた。懸濁細胞培養物の上清から細胞を分離してM84A gla-ドメインプロトロンビンを収集した。次いでM84A(または類似体M400A)を沈殿させ、精製し、プロテイナーゼを用いる一段階法によって活性化した。
(プロトロンビン配列番号285から計算された)配列(Seq.)からのヒトトロンビン類似体M84Aのアミノ酸配列は配列番号17に相当する。
過程を通して、組換えGla-ドメインプロトロンビンである、シグナルペプチド、プロペプチド、Glaドメイン、2つのクリングルドメインおよびプロテアーゼドメイン(例えば、トリプシン)を含むプロトロンビンを保持する。
[実施例4]
フィブリノゲンの調製法
組換えヒトフィブリノゲン、より具体的にはヒト胎児由来腎臓細胞(HEK 293)においてクローニングされた組換えヒトフィブリノゲン、さらにより具体的には、6つのポリペプチド、2Aα、2Bβおよび2γ遺伝子が、いずれの適切な宿主細胞へもほぼ確実にクローニング可能であるという事実から、組換えヒト真正フィブリノゲンと呼べるものを、ただし本発明においてはHEK 293細胞へクローニングした。ヒトフィブリノゲンα、βおよびγ遺伝子をGBアクセッション番号:Fb_AαについてはNM_021871;Fb_BβについてはBC106760およびFb_γについてはBC021674として購入し、PCRを用いてフィブリノゲンα、β、γ遺伝子について試験した。それぞれの遺伝子をpHZsecベクターへクローニングした。遺伝子を大腸菌において増幅させた。ヒトα(前駆体)フィブリノゲンのポリペプチド配列は配列番号10に相当し、ヒトα(前駆体)フィブリノゲンのアミノ酸配列は配列番号11に相当する。ヒトフィブリノゲンのベータ鎖の核酸配列は配列番号12に相当し、フィブリノゲンのベータ鎖のアミノ酸配列は配列番号13に相当する。ヒトガンマフィブリノゲンのポリペプチド配列は配列番号14に相当し、ヒトガンマフィブリノゲンのアミノ酸配列は配列番号15に相当する。
その後、3つの遺伝子をHEK 293細胞株にトランスフェクトし、血清を含む単層培養において成長させた。ポリAbウサギ抗ヒトフィブリノゲンIgGを用いた条件培地のウエスタンブロット解析により、発現を確かめた。組換えフィブリノゲンの構造を比較すると、図12のように、天然ヒトフィブリノゲンと比較して真正であるようであり、このことは組換えヒトフィブリノゲンは6つのポリペプチド鎖(ヘキサマー)(340 kDa)を含むことを示し、それらは以下のように区分される:2Aα(66 kDa)、2Bβ(56-58 kDa)および2γ(43-45 kDa)。
HEK 293細胞系における組換え(真正)ヒトフィブリノゲンの発現は図13に見ることができ、そこではゲルはクマシーブルー染色ゲルであり、図14においては組換え(真正)ヒトフィブリノゲンはウサギ抗ヒトフィブリノゲンIgGを用いたウエスタンブロットにより可視化されている。
最高収量を示すクローンを「抗生物質」選択により得、その組換え(真正)ヒトフィブリノゲンの収量は、HEK 293細胞から十分量の組換えヒト(真正)フィブリノゲンが得られることを示していた。
[実施例5]
ヒトプロトロンビン遺伝子は遺伝子バンクから購入した(GBアクセッション番号BC051332)。PCRのGla-ドメインを含むプロトロンビン領域のアミノ酸番号44-622(579アミノ酸)の84位(Chy)(またはプロトロンビン類似体M400A)上にMetからAlaへの(ATG → GCC)点変異を施した。
84位のアミノ酸(またはプロトロンビン類似体の400位)への点変異はメチオニンからアラニンへと(ATG → GCC)行った;
Figure 2009528843
次いで、組換えヒトプロトロンビンM84A(またはヒトプロトロンビン類似体M400A)をpHZsecベクターに挿入し、M84A(または類似体M400A)遺伝子の増幅を大腸菌において行った。次いで増幅した遺伝子を10%血清含有培地の単層のHEK 293(例えばHEK293T)細胞株へトランスフェクトした。抗ヒトプロトロンビン(Enzyme Research Laboratories)を用いた条件培地についてのウエスタンブロット解析により発現を確認した。
図15に見られるように、gla-ドメインプロトロンビンM84A(またはプロトロンビン類似体M400A)は、クマシーブルーおよび細胞培養物の培地の上清から行ったウエスタン解析により証明されているように単層において発現されている。様々なウェルにおける全てのトランスフェクトHEK 293細胞がプロトロンビンM84A(またはプロトロンビン類似体M400A)を発現したようであった。
[実施例6]
ヒトプロトロンビン遺伝子は遺伝子バンクから購入した(GBアクセッション番号BC051332)。PCRのプレトロンビン領域アミノ酸番号206−622(417アミノ酸)を準備し、N-末端(DNAの5'末端)にHPC4エピトープ(18アミノ酸)を付加した。Stearns (Stearns DJ, Kurosawa S, Sims PJ, Esmon NL, Esmon CT. J. Biol. Chem. (1988), 263:826-832)を参照するとHPC4の配列は以下の通り:
Figure 2009528843
84位のアミノ酸(または類似体のM256Aの位置)にMetからAlaへの(ATG → GCC)点変異M84Aを施した。
Figure 2009528843
クローニングされた組換えヒトトロンビンM84A(またはトロンビン類似体M256A)をpHZsecベクターに挿入した。そのクローニング遺伝子を大腸菌において増幅させた。その遺伝子を単層培養のHEK 293(例えばHEK 293T)細胞株にトランスフェクトした。mAb-HPC4を含む条件培地についてのウエスタン解析によりその遺伝子の発現を確認した(図8を参照)。12のクローンを選択し、6ウェルからの細胞をより大きなプレートに移した。ウエスタン解析(mAB-HPC4)に基づいて2つのトップクローンを選択した。これらの細胞を無血清培地に適応させた。
プレトロンビンM84A(または類似体M256A)のパイロット精製
図16のように、プレトロンビンM84A(または類似体M256A)をmAb抗プロテインC(Roche)を用いて観察した。図17では、樹脂:抗プロテインCのアフィニティーマトリックス(Roche)を用いた実験において無血清培地の粗製プレトロンビンからプレトロンビンが溶出されていることが観察できる。
エカリンによるトロンビンM84A活性化
エカリンをSigmaから入手した(Sigma E0504)。エカリンはエキス・カリナトゥス(Echis carinatus)の毒液であり、Ca++、リン脂質および血漿凝固因子に依存しない。エカリンは適切な固定化剤として用いることができる。
活性化反応条件は以下の通りであった:エカリン(50 EU/ml)50μlを粗製培地またはTBS(HPC4カラムを通す精製後)中のM84Aプレトロンビン(またはプレトロンビン類似体M256A)(0.5 mg/ml)5 mlに加えた。活性化の測定は発色基質(Midwest Bio-TechのFPRpNA、番号710013)によるトロンビンアッセイを用いて室温にて行い、以下のように行った:
・ 1 x TBS(トリスベース生理食塩水、pH 7.4)970μl
・ 1.7 mM FPRpNA(終濃度40μM)25μl
・ 各期間において反応混合物5μl
プレトロンビンM84A(またはプレトロンビン類似体M256A)のトロンビン(α-トロンビンM84A)への精製および活性化を図18に示す。
ヘパリンセファロースクロマトグラフィーからのA-トロンビンの精製
図19において、レーン1は、10 mMトリス(pH 7.4)/200 mM塩化コリンにより予め平衡化しておいたヘパリンカラムにエカリン活性化α-トロンビン混合物を流し込んだものを示している。レーン2はベースラインが得られるまで収集したフロースルーを示す。レーン3は10 mMトリス(pH 7.4)/500 mM塩化コリンにより洗浄した非特異的混入物を示す。レーン4は10 mMトリス(pH 7.4)/800 mM塩化コリンにより溶出されたα-トロンビンM84Aを示す(図19を参照)。
[実施例7]
ヒトフィブリノゲンα、βおよびγ遺伝子を遺伝子バンクから購入した(GBアクセッション番号:Fb_AαはNM_021871、Fb_BβはBC 106760、Fb_γはBC021674)。PCRのフィブリノゲンα、βおよびγ遺伝子をクローニングし、各遺伝子をpHZecベクターに挿入し、それらの遺伝子を大腸菌において増幅させた。これら3つの遺伝子を10%血清を含む単層培養物のHEK 293(例えばHEK 293T)細胞株へトランスフェクトした。フィブリノゲンの発現をポリABウサギ抗ヒトフィブリノゲンIgGを用いた条件培地についてのウエスタンブロット解析によって確認した。
細胞の無血清懸濁物(懸濁培養)からのフィブリノゲン発現
図20に示すように、SレーンはCHO細胞から得られたヒトフィブリノゲン(精製フィブリノゲン(1.4μg))を示し、2複製の懸濁培養における6日後の粗製培地のHEK 293(例えばHEK 293T)細胞からのヒトフィブリノゲン(15μl)であるレーン1およびレーン2と比較した。レーンS'、1'および2'は、フィブリノゲンが加熱およびDTTにより処理した後にα、βおよびγに分かれることを示す。ポリウサギ抗ヒトフィブリノゲン(American Diagnostica Inc. 参照番号313R)と反応させるウエスタンブロットを行った。SおよびS'は加熱およびDTT処理の前と後のCHO細胞からのヒトフィブリノゲン(精製)を示し、加熱およびDTT処理の前と後の組換えヒトフィブリノゲン(粗製)を示す2および2'と比較した。
図1は、プレプロプロトロンビンの構造を示す(Degen & Davie (1987) Biochemistry 26: 6165 − 6177)。
図2は、ドメインHPC4、クリングル2およびペプチダーゼSを含むプレトロンビンM256Aの構造の概観である。さらに、点変異M256A部位が示されている。
図3は、ドメインGla、クリングル1、クリングル2およびペプチダーゼSを含むプロトロンビン M400Aの構造の概観である。さらに、点変異M256Aの部位が示されている。
図4 プロトロンビン(Zymogeneticsにより組換えヒトトロンビン、プレトロンビンおよびプレトロンビン1の生産において用いられる、glaドメイン(を含む)プロトロンビン、glaドメインを含まないプロトロンビンのいずれか)などの個々の発現産物を容易に識別するために、図4は、これらの個々の発現産物の概観を提供する。図4に示すように、プレトロンビンは、glaドメインおよびクリングルIドメインのないプロトロンビン(Gla欠損ドメイン欠損プロトロンビン)である。精製を促進するために、HPC4エピトープをN末端に付加した。よって、図4の第1の部分は、Glaドメイン、クリングル1およびクリングル2を含むプロトロンビンを示す。さらに、図4は非変異型プロトロンビンから出発して組換えヒトプレトロンビンを調製する方法を示す。
図5 ヒトプロトロンビンのGlaドメイン。GLA6はγ-カルボキシグルタミン酸残基を表し、アスパラギン酸により置換されても、プロトロンビン機能にほとんど影響はない;GLA7、GLA14、GLA19、GLA25およびGLA32はプロトロンビン機能に対する重要性が中程度の残基を表し、GLA16、GLA26およびGLA29は、プロトロンビン機能にとって重要な残基を表す。
図6 レーン1は分子マーカーであり、レーン2は対照レーンであり、レーン3はプロトロンビンであり、レーン4はプレトロンビン(野生型)であり、レーン5はレーン4のMWCOを通した濾液であり、レーン6はプレトロンビン-1 M84A(プレトロンビン類似体M256A)であり、レーン7はレーン6の50 kDのMWCOを通した濾液である。
図7 死滅した非トランスフェクト対照細胞(トップの6ウェル)。M84A(またはプレトロンビン類似体M256A)トランスフェクト細胞が、抗生物質の存在下において(抗生物質選択)持続性の成長を示したことを示す。
図8 組換えヒトトロンビン類似体(M84A(またはトロンビン類似体M256A))を示す。左側は、10%血清を含有する培地のクマシーブルー染色である。右側は、HPC4に対するモノクローナル抗体(mAb-HPC4)と反応させたウエスタンブロットであり、ここでM84A(または類似体M256A)は唯一の強いバンドとして観察され、高濃度のM84A(または類似体M256A)を示している。これは、比較的多い量のタンパク質を流す場合(クマシーブルー染色に見られるように)、血清含有培地からのM84A(アナログM256A)の精製過程において比較的多い量の混入タンパク質を除去しなければならないことを示している。
図9 ウエスタンブロットは、無血清懸濁細胞(懸濁培養に適応させたHEK 293)培養物から抗HPC4モノクローナル抗体(mAb-HPC4)と反応させている。
図10は無血清タンパク質産物のクマシーブルー染色を示し、10%血清を含むサンプルよりもかなり純粋である(左のゲル);左のゲルの矢印はM84A(または類似体M256A)の位置を示す。ウエスタンブロット(右のゲル)はHPC4に対するモノクローナル抗体(mAb-HPC4)と反応させており、M84A(または類似体M256A)からの強いシグナルを示している。左側のレーン2および3において、クマシーブルーを用いて、利用可能なタンパク質の総量が可視化されていることが観察できる。観察されたタンパク質の量は非常に少量であると評価する。M84A(または類似体M256A)を含むクローンは、そのタンパク質の比較的大きい部分のようであり(HPC 4の抗体検出を用いて示されているように)、比較的とても少量の全タンパク質から活性タンパク質を精製するのは非常に容易であろうことを示している。
図11は組換えヒトトロンビン類似体M84A(または類似体M256A)の精製を示す。レーン1は分子マーカーである。レーン2はM84Aを含む粗製タンパク質であり、レーン3においては完全に精製されたM84A溶出物が観察される。
図12 以下のように区分される6つのポリペプチド鎖(ヘキサマー)(340 kDa)を含む組換えヒトフィブリノゲン:2Aα(66 kDa)、2Bβ(56-58 kDa)および2γ(43-45 kDa)。
図13 ゲルを単純なブルー染色により染色した。レーン1は分子マーカーを含み、レーン2はフィブリノゲン(非加熱、DTT処理なし)を含み、レーン3はフィブリノゲン(非加熱、DTT処理なし)を含み、レーン4はフィブリノゲン(加熱、DTT処理)を含み、レーン5はフィブリノゲン(加熱、DTT処理)を含み、レーン3、4および5は還元条件であることを意味する。
図14 ウエスタンレーンの順序:レーン1:MW マーカー、レーン2:フィブリノゲン(非加熱、DTT処理なし)、レーン3:フィブリノゲン(加熱、DTT処理)、レーン4:フィブリノゲン(加熱、DTT処理)、レーン5:フィブリノゲン(加熱、DTT処理)。レーン3、4および5は還元条件であり、ここではフィブリノゲンのバンドは消失するであろう。
図15は、クマシーブルー染色、および条件培地における抗ヒトプロトロンビン(Enzyme Research Laboratories)によるウエスタンブロット解析を示す。M:マーカー、1. 対照培地;2プロトロンビンM84A(またはプロトロンビン類似体M400A);3 プロトロンビンM84A(またはプロトロンビン類似体M400A);4 プロトロンビンM84A(またはプロトロンビン類似体M400A);5 プロトロンビンM84A(またはプロトロンビン類似体M400A)。
図16 mAb抗プロテインC(Roche)により、プレトロンビンM84A(またはプレトロンビン類似体M256A)が観察された。
図17 樹脂:抗プロテインCのアフィニティーマトリックス(Roche)を通して無血清培地の粗製プレトロンビンからプレトロンビンが溶出した。
図18 プレトロンビンM84A(またはプレトロンビン類似体M256A)のトロンビン(α-トロンビンM84A(またはα-トロンビン類似体M256A))への精製および活性化。
図19 ヘパリンセファロースクロマトグラフィーからのαトロンビン精製物。レーン1は、エカリン活性化α-トロンビン混合物(またはα-トロンビン類似体M256A)を10 mMトリス(pH 7.4)/200 mM塩化コリンにより予め平衡化したヘパリンカラムに流し込んだものを示す。レーン2はベースラインが得られるまで収集したフロースルーを示す。レーン3は10 mMトリス(pH 7.4)/500 mM塩化コリンにより洗浄した非特異的混入物を示す。レーン4は10 mMトリス(pH 7.4)/800 mM塩化コリンにより溶出されたα-トロンビンM84A(またはα-トロンビン類似体M256A)を示す。
図20 細胞の無血清懸濁物(懸濁培養)からのフィブリノゲン発現。SレーンはCHO細胞から得られたヒトフィブリノゲン(精製フィブリノゲン(1.4μg))を示し、2複製の懸濁培養における6日後の粗製培地のHEK 293(例えばHEK 293T)細胞からのヒトフィブリノゲン(15μl)であるレーン1およびレーン2と比較した。レーンS'、1'および2'は、フィブリノゲンが加熱およびDTTにより処理した後にα、βおよびγに分かれることを示す。ポリウサギ抗ヒトフィブリノゲン(American Diagnostica Inc. 参照番号313R)と反応させるウエスタンブロットを行った。SおよびS'は、加熱およびDTT処理の前と後のCHO細胞からのヒトフィブリノゲン(精製)を示し、加熱およびDTT処理の前と後の組換えヒトフィブリノゲン(粗製)を示す2および2'と比較した。

Claims (50)

  1. ATGからGCCへの点変異を有する組換えヒトトロンビン前駆分子をコードするポリヌクレオチド。
  2. 以下のドメインをさらに含む、配列番号1を有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド:
    i) 配列番号16のアミノ酸配列を有するGlaドメイン。
  3. 以下のドメインをさらに含む、請求項2に記載のポリヌクレオチド:
    ii) クリングル1。
    (請求項3)
    以下のドメインをさらに含む、請求項2または3に記載のポリヌクレオチド:
    iii) クリングル2。
  4. トロンビン前駆分子がプロトロンビンである、請求項1から3のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
  5. 組換えヒトトロンビン前駆分子が配列番号5を有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  6. トロンビン前駆分子がプレトロンビンである、請求項5に記載のポリヌクレオチド。
  7. HCP4(プロテインC)をさらに含み、コードされている組換えヒトプレトロンビンが5'末端においてHPC4(配列番号6)と連結している、請求項5または6に記載のポリヌクレオチド。
  8. 自己分解活性を有する、請求項1から7のいずれかに記載の組換えヒトトロンビン前駆分子。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  10. 請求項9に記載のベクターであって、該ベクターにより形質転換された宿主細胞によって認識される制御配列に前記ポリヌクレオチドが作動可能に連結しているベクター。
  11. プラスミドベクターの形態である、請求項9または10に記載のベクター。
  12. 請求項9から11のいずれかに記載の1以上のベクターを含む、ヒト宿主細胞。
  13. ヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞である、請求項12に記載のヒト宿主細胞。
  14. HEK細胞がHEK 293、HEK 293T、HEK 293SおよびHEK 293 EBNAからなる群から選択される、請求項12に記載のヒト宿主細胞。
  15. ヒト発現系を用いて、組換えヒトプレトロンビン、プロトロンビンまたはトロンビンを調製する方法。
  16. ヒト発現系が請求項9から11のいずれかに記載のベクターを含む、請求項15に記載の方法。
  17. ヒト発現系が請求項12から14のいずれかに記載のヒト宿主細胞である、請求項15または16に記載の方法。
  18. ヒト発現系を無血清条件下において培養する、請求項15から17のいずれかに記載の方法。
  19. 調製される組換えヒトプロトロンビンまたはトロンビンがglaドメイン(配列番号16)を含む、請求項15から18のいずれかに記載の方法。
  20. 組換えヒトプレトロンビン、プロトロンビンまたはトロンビンが、天然ヒトプレトロンビン、プロトロンビンまたはトロンビン遺伝子と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の核酸配列同一性を有する、請求項15から19のいずれかに記載の方法。
  21. 組換えヒトプレトロンビン、プロトロンビンまたはトロンビンが、天然ヒトプレトロンビン、プロトロンビンまたはトロンビンと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項15から20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記タンパク質の少なくとも90%、例えば少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%が、天然ヒトプロトロンビンまたはトロンビンと実質的に同一の免疫原性反応を生じるようなグリコシル化パターンを有する、請求項15から21のいずれかに記載の方法。
  23. 組換えヒトトロンビンが天然ヒトトロンビンよりも効果的にフィブリノゲンを凝固させる、請求項15から22のいずれかに記載の方法。
  24. 組換えヒトトロンビンが、4-8℃において1週間保存した後に、初めのフィブリノゲン重合活性の少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%の活性を保持している、請求項15から23のいずれかに記載の方法。
  25. エカリンを用いて組換えヒトプレトロンビンまたはプロトロンビンを組換えヒトトロンビンへと活性化させる、請求項15から24のいずれかに記載の方法。
  26. 配列番号2または配列番号4に記載のヒト組換えプロトロンビン。
  27. 医薬に用いるための請求項26に記載のヒト組換えプロトロンビン。
  28. 配列番号7または配列番号4に記載のヒト組換えプレトロンビン。
  29. 医薬に用いるための請求項28に記載のヒト組換えプレトロンビン。
  30. 配列番号17に記載のヒト組換えトロンビン。
  31. 医薬に用いるための請求項30に記載のヒト組換えトロンビン。
  32. ヒト細胞においてイン・ビトロで発現される配列番号10に相当する組換えヒトアルファフィブリノゲンをコードするポリヌクレオチド。
  33. ヒト細胞においてイン・ビトロで発現される配列番号12に相当する組換えヒトベータフィブリノゲンをコードするポリヌクレオチド。
  34. ヒト細胞においてイン・ビトロで発現される配列番号13に相当する組換えヒトガンマフィブリノゲンをコードするポリヌクレオチド。
  35. 請求項32から34のいずれかに記載の1以上のポリヌクレオチドを含むベクター。
  36. 請求項32から34に記載の全3つのポリヌクレオチドを含むベクター。
  37. 請求項35または36に記載のベクターであって、該ベクターにより形質転換された宿主細胞により認識される制御配列に前記ポリヌクレオチドが作動可能に連結しているベクター。
  38. プラスミドベクターの形態である、請求項35から37のいずれかに記載のベクター。
  39. 請求項35から38のいずれかに記載の1以上のベクターを含むヒト宿主細胞。
  40. 細胞がヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞である、請求項39に記載のヒト宿主細胞。
  41. HEK細胞がHEK 293、HEK 293T、HEK 293SおよびHEK 293 EBNAからなる群から選択される、請求項39に記載のヒト宿主細胞。
  42. ヒト発現系を用いて組換えヒトフィブリノゲンを調製する方法。
  43. ヒト発現系が請求項29から32のいずれかに記載のベクターを含む、請求項42に記載の方法。
  44. ヒト発現系が、請求項39から41のいずれかに記載のヒト宿主細胞である、請求項36または37に記載の方法。
  45. ヒト発現系を無血清条件下において培養する、請求項42から44のいずれかに記載の方法。
  46. 組換えヒトフィブリノゲンが天然ヒトフィブリノゲン遺伝子と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の核酸配列同一性を有する、請求項42から45のいずれかに記載の方法。
  47. 組換えヒトフィブリノゲンが天然ヒトフィブリノゲンと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項42から46のいずれかに記載の方法。
  48. 前記タンパク質の少なくとも90%、例えば少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%が、天然ヒトフィブリノゲンと実質的に同一の免疫原性反応を生じるようなグリコシル化パターンを有する、請求項42から47のいずれかに記載の方法。
  49. 配列番号11に記載のアルファ鎖、配列番号13に記載のベータ鎖および配列番号15に記載のガンマ鎖を含み、ヒト細胞においてイン・ビトロで発現される、ヒト組換えフィブリノゲン。
  50. 医薬に用いるための請求項49に記載のヒト組換えフィブリノゲン。
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