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JP2009504622A - 医薬化合物 - Google Patents

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JP2009504622A JP2008525620A JP2008525620A JP2009504622A JP 2009504622 A JP2009504622 A JP 2009504622A JP 2008525620 A JP2008525620 A JP 2008525620A JP 2008525620 A JP2008525620 A JP 2008525620A JP 2009504622 A JP2009504622 A JP 2009504622A
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Abstract

本発明は、統合失調症および他の精神病の予防または治療のための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩の使用を提供する。

Description

発明の分野
本発明は、精神病の予防または治療におけるジヒドロテトラベナジンの使用に関する。
発明の背景
精神病は、理性的思考および知覚の構成がひどく損なわれる精神状態に対する包括的な精神医学用語である。精神病を体験しているヒトは、幻覚を体験したり、偏執的または妄想的信念を抱いたり、人格変化を示したり、支離滅裂な思考を示したりすることがある。これは、通常、彼らの異常なまたは突飛な性質の行動の病識の欠如、社会的相互作用が困難であること、および日常生活活動を行う上での障害を伴う。本質的に、精神病エピソードは現実との接触の喪失を含んでいる。
精神病は、重篤な精神的疾病の一症状であると考えられることが多い。これは何か特定の心理的または身体的状態だけに関連付けられないが、特に統合失調症、双極性障害(躁鬱病)および重篤な臨床的鬱病と関係している。電解質障害、高齢者の尿路感染症、疼痛症候群、薬物中毒および薬物禁断症状(特に、アルコール、バルビツレートおよびときにはベンゾジアゼピン)、並びに脳の感染症または傷害(これらの精神病は、現在はより一般的には器質性精神障害と呼ばれている)などの精神病状態を誘発する可能性がある幾つかの身体的環境もある。
精神病は、脳傷害によってまたはの後に引き起こされることがあり、また薬物使用、特に薬物過量、慢性的使用、および薬物禁断症状中に起こることがある。
慢性的心理ストレスも精神病状態を引き起こすことが知られているが、これが起きる精確な機構は明らかになっていない。ストレスによって誘発される短期精神病は、短期反応性精神病として知られている。
精神病エピソードは、気分によって有意に影響を受ける可能性がある。例えば、鬱病に関連して精神病エピソードを体験している人々は迫害または自責(self−blaming)妄想または幻覚を体験することがあるが、躁病に関連して精神病エピソードを体験している人々は誇大妄想を抱いたりまたは深い宗教的意義の体験を有することがある。
幻覚は、外部刺激の非存在下における感覚的知覚と定義される。精神病幻覚は五感のいずれにおいても起こることがあり、ほとんどあらゆる形態を採ることがあり、これは単純な感覚(光、色、味、臭いなど)から、完全な形態をもった動物や人々を見てこれと相互作用する、声を聞く、および複雑な触感といったより意味を持った体験まで含むことがある。
幻聴、特に声を聴く体験は、通常かつしばしば顕著な精神病の特徴である。幻覚による声は人物についてまたは人物に向かって話すことがあり、異なる人格の幾人かの語り手を含むことがある。幻聴は、それが軽蔑的であったり、威圧的であったり、または心を奪うようなものであるときには、特に苦悩を与えるものとなりやすい。
精神病は、妄想的または偏執的信念を伴うことがある。精神病妄想は、一型および二型に分類することができる。一型妄想は突発的に起こり正常な精神過程によって理解できないものと定義されるが、二型妄想は人物の背景または現在の立場によって影響を受けるものと理解することができる。
思考障害は意識的思考に対する潜在的障害を表現するものであり、話し方および書き方に対するその影響によって大きく分類される。病気に冒されている人は話し方の圧迫(絶え間なくかつ早口に話す)、意見の逸脱や飛躍(話の途中また不適切な話題の切替)、思考途絶、押韻または駄洒落を示すことがある。
精神病の1つの重要かつほとんど理解されていない特徴は、通常は、人の体験または行動の異常で奇妙または突飛な性質に対する病識を付随的に欠落していることである。急性精神病の場合にさえも、患者は彼らの鮮明な幻覚やあり得ないような妄想が全く非現実的であることに全く気付いていないことがある。しかしながら、病識は個人間および精神病エピソード期間中に変化する可能性がある。場合によっては、特に幻聴および幻視の場合には、患者は良好な病識を有しており、これが、患者が聞こえるべきでない声が聞こえることを実感する点で精神病体験を更に一層恐ろしいものとしている。
精神病には多数の考えられる原因がある。精神病は、双極性障害(躁鬱病としても知られている)や統合失調症のような潜在的な精神的疾病の結果であることがある。精神病は、重篤な精神的ストレスやアンフェタミン、LSD、PCP、コカインまたはスコポラミンのような薬物の高用量または慢性的使用によっても誘発されまたは悪化することがある。アルコールやベンゾジアゼピンのようなCNS抑制薬の突然の投与中止も、精神病エピソードを誘発することがある。精神病が起こると報告されている多種多様な疾病や状態(例えば、AIDS、ハンセン病、マラリアおよび耳下腺炎さえも含む)から分かるように、精神病エピソードの単独の原因はない。
統合失調症は、通常は現実逃避、非論理的思考パターン、妄想および幻覚を特徴とし、かつ様々な程度の他の情緒、行動または知的障害を伴う精神病障害の群にに与えられた名称である。統合失調症は脳におけるドパミン不均衡および前頭葉の欠損と関連しており、遺伝学的および他の生物学的要因および心理社会的要因によって引き起こされる。
統合失調症と関連した精神病のようなものを治療するのに旧来から用いられている薬剤(いわゆる「定型」抗精神病薬)は、これらの状況に関連した幻覚、妄想および錯乱を効果的に制御する。例えば、ハロペリドール、クロルプロマジンおよびフロフェナジンなどの薬剤は、1950年代中半から利用可能となっている。これらの薬剤は、主としてドパミン受容体を遮断することによって作用し、精神病の「陽性」症状の治療に有効である。
脳の4つの主要な領域は、ドパミンの主要経路として関連している。それらとしては、黒質線条体、中脳皮質(mesocortical)、中脳辺縁(mesolimbic)、および漏斗下垂体系が挙げられる。(統合失調症患者に見られるような)中脳皮質路におけるドパミン活性の減少により、脳の前部前頭葉の活性化が不能になる。幻覚および妄想のような陽性症状は、中脳辺縁路におけるドパミンの過剰活性が起きるときに起こる可能性がある。脳のドパミン受容体には、5つの下位区分がある。従来の抗精神病薬は、D2受容体に最大の衝撃を与える。いわゆる「非定型」抗精神病薬(下記参照)は、典型的にはD2受容体に対してより弱い効果を示し、ほとんどが前頭皮質および海馬に見られるD4受容体には一層強い遮断を示す。
従来の(「定型」)抗精神病薬は、脳の総ての4つの領域で非選択的にD2受容体を遮断する。中脳辺縁路で生じる効果は、幻覚や妄想を減少させる。しかしながら、黒質線条体経路におけるドパミンの同時減少は、錐体外路症状を生じる可能性がある。ドパミンを遮断することにより、前頭皮質におけるドパミンの量が更に減少することによって陰性症状や認知機能を悪化させることもある。漏斗下垂体神経路は総ての従来の抗精神病薬によって影響を受け、神経内分泌および視床下部機能不全を引き起こすことがある。漏斗下垂体神経路におけるドパミン遮断は、プロラクチンレベルの増加の原因となる。
従って、「定型」抗精神病薬の使用は、多数の望ましくない副作用と関連している。
非定型抗精神病薬は、ドパミンD2受容体を遮断するときには辺縁領域をより特異的に標的とする。従って、それらは黒質線条体と中脳皮質の経路には衝撃を余り与えず、有害効果に対する潜在力は減少する。以前に指摘したように、それらはドパミンD4受容体に対して一層大きな親和性を有する傾向もある。
非定型抗精神病薬の受容体結合プロフィールは、A. E. Hensiek & M. R. Trimble, J. Neurology, Neurosurgery and Psychiatry, (2002), 72:281-285の文献に概説されている。
より新しい「非定型」抗精神病薬(セロトニン−ドパミン拮抗薬(SDA)と呼ばれることも多い)はセロトニンとドパミン受容体を両方とも遮断することによって、統合失調症の「陽性」および「陰性」症状を両方とも治療する(H. Y. Meltzer, J. Clin. Psychopharmacol (1995), Feb;15(l Suppl 1):2S-3S、およびM. Huttunen,. J. Clin. Psychopharmacol. (1995), Feb;15(l Suppl l):4S-10Sを参照されたい)。これらのより新しい薬剤は精神病や統合失調症のより広汎な症状を治療する上で有効であり、従来の抗精神病薬よりも副作用が少ない。例えば、それらは、定型抗精神病薬よりも錐体外路副作用やプロラクチン上昇を引き起こす傾向が低い。
これらのより新しい非定型抗精神病薬(「セロトニン−ドパミン拮抗薬」)の例としては、クロパジン、リスペリドン、アセナピン、オランザピンおよびイロペリドンが挙げられる。
テトラベナジン(化学名:1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−9,10−ジメトキシ−3−(2−メチルプロピル)−2H−ベンゾ(a)キノリジン−2−オン)が、1950年代後期から医薬品として用いられてきている。テトラベナジンは、当初は抗精神病薬として開発されたが、現在ではハンチントン病、片側バリスム、老人性舞踏病、チック、遅発性ジスキネジーおよびツレット症候群のような多動運動障害の対症療法に用いられている。例えば、Jankovic et al., Am. J. Psychiatry. (1999) Aug; 156(8): 1279-81およびJankovic et al, Neurology (1997) Feb; 48(2):358-62を参照されたい。
テトラベナジンの化学構造は、下図1に示される通りである。
図1 テトラベナジンの構造
この化合物は3および11b位の炭素原子にキラル中心を有しており、従って、理論上、図2に示されるように総数で4個の異性体形態を示すことができる。
図2 可能なテトラベナジン異性体
図2では、それぞれの異性体の立体化学はCahn, Ingold and Prelogによって開発された「RおよびS」命名法を用いて定義されている。「Jerry Marchの最新有機化学(Advanced Organic Chemistry by Jerry March)」, 第4版, John Wiley & Sons, ニューヨーク, 1992年, 109-114頁を参照されたい。図2および本特許出願明細書の他の箇所において、「R」または「S」という名称は炭素原子の位置番号の順に付けられている。従って、例えばRSは3R,11bSの省略表記である。同様に、下記のジヒドロテトラベナジンのように3個のキラル中心が存在するときには、「R」または「S」という名称が炭素原子2、3および11bの順に付けられる。従って、2S,3R,11bR異性体は、略記形態ではSRRなどと呼ばれる。
市販のテトラベナジンはRRおよびSS異性体の異性体混合物であり、RRおよびSS異性体(3および11b位の水素原子がトランス相対配向を有するので、以後個別的にまたは集合的にトランス−テトラベナジンと呼ぶ)が最も熱力学的に安定な異性体と思われる。
テトラベナジンは、バイオアベイラビリティーが幾分乏しくかつ変化しやすい。これは初回通過代謝によって完全に代謝され、未変化テトラベナジンは典型的には尿中にほとんどまたは全く検出されない。主要代謝産物はテトラベナジンの2−ケト基の還元によって形成されるジヒドロテトラベナジン(化学名: 2−ヒドロキシ−3−(2−メチルプロピル)−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−9,10−ジメトキシ−ベンゾ(a)キノリジン)であり、この薬剤の活性に主として関与していると考えられる(Mehvar et al , Drug Metab. Disp, 15, 250-255 (1987)およびJ. Pharm. Sci., 76, No.6, 461-465 (1987)を参照されたい)。
4個のジヒドロテトラベナジン異性体は以前に同定され、特性決定されており、それらの総ては親テトラベナジンの更に安定なRRおよびSS異性体から誘導され、3および11b位の水素原子がトランス相対配向である(Kilbourn et al,Chirality, 9:59-62 (1997)およびBrossi et al, Helv. Chim. Acta., vol. XLI, No. 193, pp1793-1806 (1958)を参照されたい)。4個の異性体は(+)−α−ジヒドロテトラベナジン、(−)−α−ジヒドロテトラベナジン、(+)−β−ジヒドロテトラベナジンおよび(−)−β−ジヒドロテトラベナジンである。4種類の既知のジヒドロテトラベナジン異性体の構造は、図3に示される通りであると考えられる。
図3 ジヒドロテトラベナジンの既知異性体の構造
Kilbourn et al.(Eur. J. Pharmacol, 278:249-252 (1995)およびMed. Chem. Res., 5:113-126 (1994)参照)は、意識のあるラット脳における個々の放射能標識したジヒドロテトラベナジン異性体の特異的な結合を検討した。彼らは、(+)−α−[11C]ジヒドロテトラベナジン(2R,3R,11bR)異性体がニューロン膜ドパミン輸送体(DAT)および小胞モノアミン輸送体(VMAT2)が一層高濃度であることと関連した脳の領域に蓄積されることを見出した。しかしながら、本質的に不活性な(−)−α−[11C]ジヒドロテトラベナジン異性体は脳にほぼ均一に分布し、DATおよびVMAT2への特異的な結合が起こっていないことを示唆した。イン・ビボ研究はイン・ビトロ研究と相関し、(+)−α−[11C]ジヒドロテトラベナジン異性体は、(−)−α−[11C]ジヒドロテトラベナジン異性体のKより>2000倍高い[H]メトキシテトラベナジンのkiを示すことを明らかにした。
本発明者らの先の国際特許出願第PCT/GB2005/000464号には、テトラベナジンの不安定なRSおよびSR異性体(3および11b位の水素原子がシス相対配向を有するので、以後個別的または集合的にシス−テトラベナジンと呼ぶ)から誘導される薬学用ジヒドロテトラベナジン異性体の調製および使用が開示されている。
発明の概要
本発明者らの先の出願第PCT/GB2005/000464号に記載のシス−ジヒドロテトラベナジンは、非定型抗精神病薬の受容体結合プロフィールと広範囲で類似している受容体結合プロフィールを示すことを見出した。特に、シス−ジヒドロテトラベナジンは、ドパミン作動性およびセロトニン作動性阻害作用のいずれをも示す。シス−ジヒドロテトラベナジンの受容体結合プロフィールは、精神病、例えば、統合失調症から起こるまたはこれに関連した精神病の予防または治療に有用であることを示している。
従って、第一の態様では、本発明は、精神病の予防または治療に用いられる3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンを提供する。
もう一つの態様では、本発明は、精神病の予防または緩和に用いられる3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンを提供する。
もう一つの態様では、本発明は、統合失調症の1以上の症状の予防、緩和または軽減に用いられる3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンを提供する。
本発明は、以下のものを提供する:
・精神病の予防または治療のための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの使用。
・精神病の予防または治療方法であって、哺乳類にシス−ジヒドロテトラベナジンの治療上有効量を投与することを含んでなる、方法。
・精神病エピソードの予防または緩和のための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの使用。
・精神病エピソードの予防または緩和方法であって、哺乳類にシス−ジヒドロテトラベナジンの治療上有効量を投与することを含んでなる、方法。
・精神病または精神病エピソードが統合失調症から起こるまたはこれに関連している、上記で定義した方法または使用。
・統合失調症の予防または治療のための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの使用。
・統合失調症の予防または治療方法であって、哺乳類にシス−ジヒドロテトラベナジンの治療上有効量を投与することを含んでなる、方法。
・統合失調症の1以上の症状の予防、緩和または軽減のための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの使用。
・統合失調症の1以上の症状の予防、緩和または軽減方法であって、哺乳類にシス−ジヒドロテトラベナジンの治療上有効量を投与することを含んでなる、方法。
も提供する。
本発明によって予防され、緩和され、または軽減される精神病エピソード、精神病または症状は、
・妄想、
・幻覚、
・幻視、
・幻聴、
・触感,味または臭いを伴う幻覚、
・錯乱、
・情緒、行動または知的障害、
・現実逃避、
・非論理的および/または支離滅裂な思考パターン、
・偏執的または妄想的信念、
・偏執狂、
・誇大妄想、
・迫害または自責妄想、および
・人格変化
から選択される任意の1以上の症状であることがある。
本発明によって予防され、緩和され、または軽減される精神病エピソード、精神病または症状は、
・統合失調症によって引き起こされるまたはこれに関連した精神病、
・双極性障害(躁鬱病)によって引き起こされるまたはこれに関連した精神病、
・重篤な臨床的鬱病によって引き起こされるまたはこれに関連した精神病、
・以下のような障害または状況によって誘発される精神病:
電解質障害、
高齢者における尿路感染症、
疼痛症候群、
薬物中毒、
薬物禁断症状、および
脳の感染症または脳への損傷
・慢性的心理ストレスによって引き起こされる精神病(短期反応性精神病)、
・重篤な精神的ストレスによって誘発されるまたは悪化する精神病、および
・AIDS、ハンセン病、マラリアおよび耳下腺炎のような疾病および状況によって誘発されるまたはこれらから生じるまたはこれらに続く精神病
から生じるもの、または関連するものから選択される任意の1以上のものであることがある。
1つの具体的態様では、これらの症状または精神病は統合失調症から起こるか、またはこれと関連しており、
妄想、
幻覚、
錯乱、
情緒、行動または知的障害、
現実逃避、および
非論理的思考パターン
から選択される任意の1以上の症状であることがある。
本発明で用いられるシス−ジヒドロテトラベナジンは、3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンである。
本発明で用いられる3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンは、実質的に純粋な形態、例えば異性体純度が90%を上回り、典型的には95%を上回り、更に好ましくは98%を上回ることがある。
本発明における「異性体純度」という用語は、ジヒドロテトラベナジンの総ての異性体形態の総量または濃度に対して存在する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの量を意味する。例えば、組成物中に含まれる総ジヒドロテトラベナジンの90%が3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンであれば、異性体純度は90%である。
本発明で用いられる11b−シス−ジヒドロテトラベナジンは、3,11b−トランス−ジヒドロテトラベナジンを実質的に含まない、好ましくは5%未満の3,11b−トランス−ジヒドロテトラベナジン、更に好ましくは3%未満の3,11b−トランス−ジヒドロテトラベナジン、最も好ましくは1%未満の3,11b−トランス−ジヒドロテトラベナジンを含む組成物の形態であることができる。
本明細書で用いられる「3,11b−シス」という用語は、ジヒドロテトラベナジン構造の3−および11b−位の水素原子がシス相対配向であることを意味している。従って、本発明の異性体は、式(I)の化合物およびその対掌体(鏡像)である。
3,11b−シス配置を有するジヒドロテトラベナジンには4個の異性体の可能性があり、これらは2S,3S,11bR異性体、2R,3R,11bS異性体、2R,3S,11bR異性体および2S,3R,11bS異性体である。これら4個の異性体は単離されて特性決定されており、もう一つの態様では、本発明は3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの個々の異性体を提供する。詳細には、本発明は、
(a) 式(Ia)
を有する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの2S,3S,11bR異性体、
(b) 式(Ib)
を有する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの2R,3R,11bS異性体、
(c) 式(Ic)
を有する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの2R,3S,11bR異性体、および
(d) 式(Id)
を有する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの2S,3R,11bS異性体
を提供する。
本発明の個々の異性体は、それらの分光学的、光学的およびクロマトグラフィー特性によって、またX線結晶学によって決定されるそれらの絶対立体化学配置によっても特性決定することができる。
何ら特定の絶対配置または立体化学を含むことなく、4種類の新規異性体は下記のように特性決定することができる。
異性体A
ORD(メタノール,21℃)によって測定した光学活性:左旋性(−)
IRスペクトル(KBr固体)、H−NMRスペクトル(CDCl)および13C−NMRスペクトル(CDCl)は実質的に表1に記載した通り。
異性体B
ORD(メタノール,21℃)によって測定した光学活性:右旋性(+)
IRスペクトル(KBr固体)、H−NMRスペクトル(CDCl)および13C−NMRスペクトル(CDCl)は実質的に表1に記載した通りであり、およびX線結晶学的特性は実施例4に記載した通り。
異性体C
ORD(メタノール,21℃)によって測定した光学活性:右旋性(+)
IRスペクトル(KBr固体)、H−NMRスペクトル(CDCl)および13C−NMRスペクトル(CDCl)は実質的に表2に記載した通り。
異性体D
ORD(メタノール,21℃)によって測定した光学活性:左旋性(−)
IRスペクトル(KBr固体)、H−NMRスペクトル(CDCl)および13C−NMRスペクトル(CDCl)は実質的に表2に記載した通り。
それぞれの異性体についてのORD値は下記の実施例に示されているが、それらの値は例として挙げられており、異性体の純度や温度変動および残留溶媒分子の影響のような他の変量の影響によって変化することがあることが注目される。
鏡像異性体A、B、CおよびDは、それぞれ実質的に鏡像異性体的に純粋な形態でまたは本発明の他の鏡像異性体との混合物として存在することができる。
本発明に関連して「鏡像異性体純度」および「鏡像異性体的に純粋な」という用語は、ジヒドロテトラベナジンの総ての鏡像異性体および異性体の形態の総量または濃度に対して存在する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの所定の鏡像異性体の量を意味する。例えば、組成物に含まれる総ジヒドロテトラベナジンの90%が単一の鏡像異性体の形態であるときには、この鏡像異性体の純度は90%である。
一例として、本発明のそれぞれの態様および実施態様では、異性体A、B、CおよびDから選択される個々の鏡像異性体は、少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%または100%)の鏡像異性体純度で存在することができる。
本発明の異性体は、異性体A、B、CおよびDの1以上の混合物の形態で存在することもできる。このような混合物は、ラセミ混合物または非ラセミ混合物であってもよい。ラセミ混合物の例としては、異性体Aと異性体Bのラセミ混合物および異性体Cと異性体Dのラセミ混合物が挙げられる。
薬学上許容可能な塩
特に断らない限り、本出願明細書におけるジヒドロテトラベナジンおよびその異性体という表現は、その範囲内にジヒドロテトラベナジンの遊離塩基だけでなくその塩、詳細には酸付加塩も包含する。
酸付加塩が形成される特定の酸としては、pKa値が3.5未満、更に通常は3未満である酸が挙げられる。例えば、酸付加塩は、pKaが+3.5〜−3.5の範囲である酸から形成することができる。
好ましい酸付加塩としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸およびナフタレンスルホン酸等のスルホン酸を用いて形成されるものが挙げられる。
酸付加塩を形成することができる1つの特定の酸は、メタンスルホン酸である。
酸付加塩は、本明細書に記載の方法または「医薬品塩:特性、選択および使用(Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use)」, P. Heinrich Stahl (編集者), Camille G. Wermuth (編集者), ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388頁, 2002年8月に記載されているような通常の化学的方法によって調製することができる。一般的には、このような塩は、この化合物の遊離塩基形態を適当な塩基または酸と水中または有機溶媒中で、またはこれら2種類の混合物中で反応させることによって調製することができ、一般的にはエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリル等の非水溶媒が用いられる。
これらの塩は、典型的には薬学上許容可能な塩である。しかしながら、薬学上許容可能でない塩を中間形態として調製し、次いでこれを薬学上許容可能な塩に転換することもできる。このような薬学上許容可能でない塩形態も、本発明の一部を形成する。
ジヒドロテトラベナジン異性体の調製方法
本発明のジヒドロテトラベナジンは、式(II)
の化合物を、式(II)の化合物における2,3−二重結合の水和に適している試薬または試薬類と反応させた後、必要ならば所望のジヒドロテトラベナジン異性体形態を分離して単離することを含んでなる方法によって調製することができる。
2,3−二重結合の水和は、ジボランまたはボラン−エーテル(例えば、ボラン−テトラヒドロフラン(THF))のようなボラン試薬を用いるヒドロホウ素化によって中間体アルキルボラン付加物を得た後、アルキルボラン付加物の酸化および塩基の存在下での加水分解によって行うことができる。ヒドロホウ素化は、典型的にはエーテル(例えば、THF)のような乾燥した極性の非プロトン性溶媒中で非高温、例えば室温で行われる。ボラン−アルケン付加物は、典型的には水酸化アンモニウムまたはアルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムのような水酸化物イオンの供給源を提供する塩基の存在下にて過酸化水素のような酸化剤で酸化される。方法Aの反応をヒドロホウ素化−酸化−加水分解の順序で行うことによって、典型的には2−および3−位の水素原子がトランス相対配向を有するジヒドロテトラベナジン異性体が得られる。
式(II)の化合物は、テトラベナジンを還元してジヒドロテトラベナジンを得た後、このジヒドロテトラベナジンの脱水によって調製することができる。テトラベナジンの還元は、水素化アルミニウムリチウムのような水素化アルミニウム試薬、または水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムまたは水素化ホウ素誘導体、例えばトリ第二ブチル水素化ホウ素リチウムのようなアルキル水素化ホウ素などの水素化ホウ素試薬を用いて行うことができる。あるいは、還元工程を、例えばラネーニッケルまたは酸化白金触媒上での接触水素化を用いて行うことができる。還元工程を行うのに適する条件は、下記に更に詳細に説明しており、または米国特許第2,843,591号明細書(Hoffmann-La Roche)およびBrossi et al, Helv. Chim. Acta., vol. XLI, No. 193, ppl793-1806 (1958)に見出すことができる。
還元反応の出発材料として用いられるテトラベナジンは、典型的にはRRとSS異性体の混合物(すなわち、トランス−テトラベナジン)であるので、還元工程によって形成されたジヒドロテトラベナジンは3および11b位について同じトランス配置を有し、上記図3に示されている既知のジヒドロテトラベナジン異性体の1以上の形態をとる。従って、方法Aは、ジヒドロテトラベナジンの既知異性体をとり、それらを脱水してアルケン(II)を形成した後、本発明の求める新規なシスジヒドロテトラベナジン異性体を生じる条件を用いてアルケン(II)を「再水和する」ことを含むことがある。
ジヒドロテトラベナジンのアルケン(II)への脱水は、アルコールを脱水してアルケンを形成するための様々な標準的条件を用いて行うことができ、例えばJ.March(上記引用),389−390頁およびそこに引用されている文献を参照されたい。このような条件の例としては、ハロゲン化リンまたはオキシハロゲン化リンのようなリンを基剤とする脱水剤、例えばPOClおよびPClの使用が挙げられる。直接脱水法に代わるものとしては、ジヒドロテトラベナジンのヒドロキシル基をハロゲン(例えば、塩素または臭素)のような脱離基Lに転換した後、H−Lを除去するための条件(例えば、塩基の存在)に付することができる。ヒドロキシル基のハロゲン化物への転換は、熟練化学者には周知の方法を用いて、例えばトリフェニルホスフィンまたはトリブチルホスフィンのようなトリアルキルまたはトリアリールホスフィンの存在下で四塩化炭素または四臭化炭素と反応させることによって行うことができる。
ジヒドロテトラベナジンを得る還元のための出発材料として用いられるテトラベナジンは、商業的に得ることができ、または米国特許第2,830,993号(Hoffmann-La Roche)に記載の方法によって合成することができる。
本発明のジヒドロテトラベナジンを調製するためのもう一つの方法(方法B)は、式(III)
の化合物を、式(III)の化合物における2,3−エポキシド基を開環する条件に付した後、必要ならば所望のジヒドロテトラベナジン異性体形態を分離して単離することを含んでなる。
開環は、エポキシド開環の既知の方法によって行うことができる。しかしながら、エポキシドの開環の現在好ましい方法は、ボラン−THFのような還元剤を用いて行うことができる還元的開環である。ボラン−THFとの反応は、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)のような極性の非プロトン性溶媒中で通常は周囲温度で行い、このようにして生成したボラン複合体を次に水と塩基の存在下にて溶媒の還流温度で加熱することによって加水分解することができる。方法Bは、典型的には2−および3−位の水素原子がシス相対配向を有するジヒドロテトラベナジン異性体を生じさせる。
式(III)のエポキシド化合物は、上記式(II)のアルケンエポキシ化によって調製することができる。エポキシ化反応は、熟練化学者には周知の条件および試薬を用いて行うことができ、例えばJ. March (上記引用), 826-829頁およびそこに引用されている文献を参照されたい。典型的には、メタクロロ過安息香酸(MCPBA)のような過酸または過酸と過塩素酸のような別の酸化剤との混合物を用いて、エポキシ化を行うことができる。
上記方法AおよびBの出発材料が鏡像異性体の混合物であるときには、これらの方法の生成物は典型的には鏡像異性体の対、例えば、可能であれば、ジアステレオ異性体不純物とのラセミ混合物となる。好ましくないジアステレオ異性体はクロマトグラフィー(例えば、HPLC)のような手法によって除去することができ、個々の鏡像異性体は熟練化学者に知られている様々な方法によって分離することができる。例えば、それらは
(i)キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)、または
(ii)光学的に純粋なキラル酸と塩を形成し、2種類のジアステレオ異性体の塩を分別結晶によって分離した後、その塩からジヒドロテトラベナジンを放出すること、または
(iii)光学的に純粋なキラル誘導剤(例えば、エステル化剤)を用いて誘導体(例えば、エステル)を形成し、生成されるエピマーを(例えば、クロマトグラフィーによって)分離した後、この誘導体をジヒドロテトラベナジンに転換すること
によって分離することができる。
方法AおよびBのそれぞれから得られる鏡像異性体の対を分離する1つの方法であって、特に有効であることが見出された方法は、ジヒドロテトラベナジンのヒドロキシル基をモッシャーの酸(Mosher’s acid)の光学活性形態、例えば下記に示されるR(+)異性体
またはその活性形態でエステル化することである。
ジヒドロベナジンの2つの鏡像異性体の生成されるエステルはクロマトグラフィー(例えば、HPLC)によって分離することができ、分離したエステルをメタノールのような極性溶媒中でアルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH)のような塩基を用いて加水分解して個々のジヒドロベナジン異性体を得ることができる。
方法AおよびBにおいて出発材料として鏡像異性体の混合物を用いた後、続いて鏡像異性体を分離する方法の代替法として、方法AおよびBをそれぞれ単一の鏡像異性体出発材料について行うことで単一鏡像異性体が優勢である生成物を生じることができる。アルケン(II)の単一鏡像異性体は、RR/SSテトラベナジンにトリ第二ブチル水素化ホウ素リチウムを用いて立体選択的還元を行ってジヒドロテトラベナジンのSRRおよびRSS鏡像異性体の混合物を得て、鏡像異性体を(例えば、分別結晶によって)分離した後、ジヒドロテトラベナジンの分離した単一鏡像異性体を脱水し、式(II)の化合物の単一鏡像異性体を優勢にまたは独占的に得ることによって調製することができる。
方法AおよびBを、それぞれスキーム1および2で更に詳細に説明する。
スキーム1は、2−および3−位に結合している水素原子がトランス相対配向で配列されている2S,3S,11bRおよび2R,3R,11bS配置を有する個々のジヒドロテトラベナジン異性体の調製を示す。この反応スキームは、上記で定義した工程Aを包含する。
スキーム1における反応の順序についての出発点は、テトラベナジンのRRおよびSS光学異性体のラセミ混合物である市販のテトラベナジン(IV)である。RRおよびSS異性体のそれぞれにおいて、3−および11b−位の水素原子はトランス相対配向に配列されている。市販の化合物を用いる代わりに、テトラベナジンを米国特許第2,830,993号に記載の手順に従って合成することができる(詳細には、実施例11を参照)。
RRおよびSSテトラベナジンのラセミ混合物を水素化ホウ素還元剤トリ第二ブチル水素化ホウ素リチウム(「L−セレクトリド」)を用いて還元すると、ジヒドロテトラベナジンの既知の2S,3R,11bRおよび2R,3S,11bS異性体(V)の混合物が得られるが、便宜上2S,3R,11bR異性体のみが示されている。水素化ホウ素ナトリウムよりも立体的要求の厳しいL−セレクトリドを水素化ホウ素還元剤として用いることによって、ジヒドロテトラベナジンのRRRおよびSSS異性体の形成は最小限になるかまたは抑制される。
ジヒドロテトラベナジン異性体(V)を、塩素化炭化水素(例えば、クロロホルムまたはジクロロメタン、好ましくはジクロロメタン)のような非プロトン性溶媒中で五塩化リンのような脱水剤と反応させて、不飽和化合物(II)を鏡像異性体の対として形成させるが、スキームにはそのR−鏡像異性体のみが示されている。脱水反応は、典型的には室温より低い温度、例えば約0−5℃で行われる。
次に、不飽和化合物(II)を立体選択的再水和に供し、ジヒドロテトラベナジン(VI)およびその鏡像または対掌体(図示せず)であって、3−および11b−位の水素原子がシス相対配向に配列されており、かつ2−および3−位の水素原子がトランス相対配向に配列されているものを生成する。立体選択的再水和は、テトラヒドロフラン(THF)中でボラン−THFを用いるヒドロホウ素化手順によって行って中間体ボラン複合体(図示せず)を形成させた後、水酸化ナトリウムのような塩基の存在下にて過酸化水素で酸化する。
次に、最初の精製工程を(例えば、HPLCによって)行って、再水和反応順序の生成物(V)を2S,3S,11bRおよび2R,3R,11bS異性体の混合物として得ることができるが、工程図には2S,3S,11bR異性体のみが示されている。異性体を分離するため、混合物をジクロロメタン中で塩化オキサリルおよびジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下でR(+)モッシャーの酸で処理して、ジアステレオ異性体エステル(VII)の対(1個のジアステレオ異性体のみが示されている)を得て、これを次にHPLCを用いて分離することができる。次いで、個々のエステルを水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物を用いて加水分解して、単一異性体(VI)を得ることができる。
スキーム1に示されている工程の順序の変形では、RR/SSテトラベナジンの還元の後に生成するジヒドロテトラベナジン(V)の鏡像異性体の混合物を分離して、個々の鏡像異性体を得ることができる。分離は、(+)または(−)カンファースルホン酸のようなキラル酸で塩を形成し、生成されたジアステレオ異性体を分別結晶によって分離し、単一鏡像異性体の塩を得た後、その塩から遊離塩基を取り出すことによって行うことができる。
分離したジヒドロテトラベナジン鏡像異性体を脱水して、アルケン(II)の単一鏡像異性体を得ることができる。次いで、アルケン(II)の再水和により、シス−ジヒドロテトラベナジン(VI)の単一鏡像異性体が優勢にまたは独占的に得られる。この変形の利点は、モッシャーの酸のエステルの形成を含まないので、モッシャーの酸のエステルを分離するのに典型的に用いられるクロマトグラフィー分離を行う必要がないことである。
スキーム2は、2−および3−位に結合した水素原子がシス相対配向で配列されている2R,3S,11bRおよび2S,3R,11bS配置を有する個々のジヒドロテトラベナジン異性体の調製を示している。この反応スキームは、上記で定義した工程Bを含む。
スキーム2において、不飽和化合物(II)をテトラベナジンを還元して生成させてジヒドロテトラベナジンの2S,3R,11bRおよび2R,3S,11bS異性体(V)を得て、スキーム1に上記した方法でPClを用いて脱水する。しかしながら、化合物(II)をヒドロホウ素化に供す代わりに、2,3−二重結合をメタクロロ過安息香酸(MCPBA)と過塩素酸と反応させることによってエポキシドに転換する。エポキシ化反応は、メタノールのようなアルコール溶媒中で、典型的には室温附近で好都合に行われる。
次に、エポキシド(VII)に、ボラン−THFを親電子性還元剤として用いて還元的開環を行って中間体ボラン複合体(図示せず)を得て、これを次に水酸化ナトリウムのようなアルカリの存在下にて過酸化水素で酸化して開裂させ、ジヒドロテトラベナジン(VIII)を2R,3S,11bRおよび2S,3R,11bS異性体の混合物として得ることができるが、便宜上2R,3S,11bRのみが示されている。異性体(VIII)の混合物をジクロロメタン中で塩化オキサリルとジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下にてR(+)モッシャーの酸で処理すると、エピマーエステル(IX)の対(スキームには、1つのエピマーのみが示されている)が得られ、これを次にクロマトグラフィーによって分離し、スキーム1に関して上記した方法でメタノール中にて水酸化ナトリウムで加水分解することができる。
医薬処方物
ジヒドロテトラベナジン化合物は、典型的には医薬組成物の形態で投与される。
医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻内、気管支内、眼、耳、直腸、膣内、または経皮投与に適する任意の形態とすることができる。組成物を非経口投与使用とする場合には、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下投与用に、または注射、輸液または他の送達手段によって標的器官または組織へ直接送達する目的で処方することができる。
経口投与に適する医薬の剤形としては、錠剤、カプセル、キャブレッツ、ピル、ロゼンジ、シロップ、溶液、スプレー、散剤、顆粒、エリキシルおよび懸濁液、舌下錠、スプレー、カシェ剤、またはパッチおよびバッカルパッチが挙げられる。
本発明のジヒドロテトラベナジン化合物を含有する医薬組成物は、既知手法によって処方することができ、例えば「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」,Mack Publishing Company,イーストン,ペンシルバニア,米国を参照されたい。
例えば、錠剤組成物は、単位投薬量の活性化合物を、糖または糖アルコール、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトールのような不活性希釈剤またはキャリヤー、および/または炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、タルク、炭酸カルシウムのような糖以外から誘導した希釈剤、またはメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシ澱粉のような澱粉などのセルロースまたはその誘導体と共に含むことができる。錠剤は、ポリビニルピロリドンのような結合および造粒剤、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースのような膨潤性の架橋ポリマー)、滑沢剤(例えば、ステアレート)、防腐剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸またはクエン酸緩衝剤)、クエン酸/重炭酸塩混合物のような起泡剤などの標準的成分を含むこともできる。このような賦形剤は周知であり、本明細書で詳細に説明する必要はない。
カプセル処方物は硬質ゼラチンまたは軟質ゼラチンの種類であることがあり、活性成分を固体、半固体または液体形態で含むことができる。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチンまたはその合成または植物由来の同等なものから形成することができる。
固体剤形(例えば、錠剤、カプセルなど)はコーティングを行ってもよく、またはコーティングを行わなくてもよいが、典型的にはコーティング、例えば保護フィルムコーティング(例えば、ワックスまたはワニス)または放出制御コーティングを有する。コーティング(例えば、Eudragit(登録商標)型ポリマー)は、消化管内の所望な部位で活性成分を放出するようにデザインすることができる。従って、コーティングは、消化管内の一定のpH条件下で崩壊させることによって化合物を胃、または回腸、または十二指腸に選択的に放出するように選択することができる。
コーティングの代わりに、または加えて、薬剤は、放出制御剤、例えば消化管での変化する酸性またはアルカリ性の条件下で化合物を選択的に放出するのに適合させることができる放出遅延剤、を含んでなる固体マトリックスで提示することができる。あるいは、マトリックス材料または放出遅延コーティングは、剤形が消化管を通過するときに実質的に連続的に侵食される侵食性ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態をとることができる。
局所使用の組成物としては、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ、ゲル、液滴およびインサート(例えば、眼内インサート)が挙げられる。このような組成物は、既知の方法によって処方することができる。
非経口投与用の組成物は、典型的には滅菌水性または油性溶液または微細懸濁液として提示され、または注射用滅菌水でその場で作製するための細かく分割された滅菌粉末形態で提供することができる。
直腸または膣内投与用の処方物の例としては、例えば、活性化合物を含む成形可能なまたはワキシー材料から形成することができる膣座薬または座薬が挙げられる。
吸入投与用の組成物は、吸入可能な粉末組成物または液体もしくは粉末スプレーの形態をとることができ、粉末吸入装置またはエアゾール調剤装置を用いて標準的形態で投与することができる。このような装置は周知である。吸入による投与には、粉末化処方物は、典型的には活性化合物をラクトースのような不活性固体の粉末化希釈剤と共に含んでなる。
本発明の化合物は一般的には単位剤形で提示され、それ自体は所望なレベルの生物学的活性を提供するのに十分な化合物を含む。例えば、経口投与を目的とする処方物は、活性成分を2mg〜200mg、より普通には10mg〜100mg、例えば12.5mg、25mgおよび50mg含むことができる。
治療方法
活性化合物は、それを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に所望の治療効果を得るのに十分な量で投与される。
このような投与を必要とする患者は、1以上の精神病、例えば、統合失調症の特性を示している精神病を罹っている、または徴候を示している、あるいは罹るまたは徴候を示す危険性のある患者である。
所望の効果は、重篤な精神病またはその1以上の症状の予防、緩和または軽減であることができる。このような症状は、本発明の化合物の投与が患者の示す症状を変化させたかどうかを臨床的評価および通常のやり方での試験によって判断することができる熟練者(例えば、熟練医師)には周知である。
これらの化合物は、典型的には治療上または予防上有用でありかつ通例は毒性のない量で投与される。しかしながら、ある状況では、本発明のジヒドロテトラベナジン化合物の投与の利益は、毒性効果または副作用の不利益にも優ることがあり、このような場合には、化合物をある程度の毒性と関連した量で投与するのが望ましいと考えられる。
化合物の典型的な一日用量は、1000mg/日までとすることができ、例えば、0.01mg〜10mg/1kg体重当たりとすることができ、更に通常は0.025mg〜5mg/kg体重、例えば、3mg/kg体重まで、更に典型的には0.15mg〜5mg/kg体重とすることができるが、必要な場合にはこれより多いまたは少ない用量を投与することができる。
しかしながら、結局のところ、投与する化合物の量は、治療を行う疾患または生理学的状態の性質および治療上の利益および所定の投薬療法によって生じる副作用の有無と釣り合ったものとなり、医師の裁量に任されることとなる。
実施例
下記の非制限的実施例により、本発明のジヒドロテトラベナジン化合物の合成および特性を説明する。
実施例1
ジヒドロテトラベナジンの2S,3S11bRおよび2R,3R11bS異性体の調製
1A.RR/SSテトラベナジンの還元
テトラヒドロフラン中の1ML−セレクトリド(登録商標)(135ml,135ミリモル,2.87当量)を、30分間かけてテトラベナジンRR/SSラセミ体(15g,47ミリモル)のエタノール(75ml)とテトラヒドロフラン(75ml)の攪拌溶液に0℃で徐々に加えた。添加を完了した後、混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで室温まで温度を上昇させた。
混合物を粉砕氷(300g)上に空けて、水(100ml)を加えた。溶液をジエチルエーテル(2x200ml)で抽出し、合わせたエーテル抽出物を水(100ml)で洗浄し、無水炭酸カリウム上で部分乾燥した。無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥を完了し、濾過した後、溶媒を減圧留去し(遮光,槽温度<20℃)、淡黄色固形物を得た。
固体を石油エーテル(30〜40℃)でスラリー状にし、濾過して、白色粉末状固形物(12g,80%)を得た。
1B. 還元テトラベナジンの脱水
五塩化リン(32.8g,157.5ミリモル,2.5当量)を、30分間かけて実施例1Aからの還元テトラベナジン生成物(20g,62.7ミリモル)のジクロロメタン(200ml)の攪拌溶液に0℃で分割して加えた。添加を完了した後、反応混合物を0℃で更に30分間攪拌し、溶液を粉砕氷を含む2M炭酸ナトリウム水溶液(0℃)に徐々に空けた。初期の酸ガス発生が止んだら、混合物を固形炭酸ナトリウムを用いて塩基性(約pH12)にした。
アルカリ性溶液を酢酸エチル(800ml)を用いて抽出し、合わせた有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾過後、溶媒を減圧留去して褐色油状生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)によって精製し、半純粋アルケンを黄色固形物として得た(10.87g,58%)。
1C. 実施例1Bからの粗アルケンの水和
実施例1Bからの粗アルケン(10.87g,36.11ミリモル)を乾燥THF(52ml)に室温で溶解したものに、1Mボラン−THF(155.6ml,155.6ミリモル,4.30当量)を滴加して処理した。反応を2時間攪拌し、水(20ml)を加え、溶液を30%水酸化ナトリウム水溶液でpH12の塩基性にした。
30%過酸化水素水溶液(30ml)を攪拌アルカリ性反応混合物に加え、溶液を加熱して1時間還流した後、放冷した。水(100ml)を加え、混合物を酢酸エチル(3x250ml)で抽出した。有機抽出物を合わせて、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去して黄色油状生成物(9g)を得た。
油状生成物を調製用HPLC(カラム:Lichrospher Si60,5μm,250x21.20mm,移動相:ヘキサン:エタノール:ジクロロメタン(85:15:5);UV 254nm,流速:10ml分−1)を用いて350mg/注入で精製した後、目的とする画分を真空濃縮した。生成された油状物を次にエーテルに溶解し、再度真空濃縮して、上記に示したジヒドロテトラベナジンラセミ体を黄色フォーム(5.76g,50%)として得た。
1D. モッシャーエステル誘導体の調製
R−(+)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸(5g,21.35ミリモル)、塩化オキサリル(2.02ml)およびDMF(0.16ml)を無水ジクロロメタン(50ml)に加え、溶液を室温で45分間攪拌した。溶液を減圧濃縮し、残渣を再度無水ジクロロメタン(50ml)に溶解した。生成された溶液を氷−水槽を用いて冷却し、ジメチルアミノピリジン(3.83g,31.34ミリモル)を加えた後、実施例1Cの固体生成物(5g,15.6ミリモル)を予備乾燥した(4Å篩上)無水ジクロロメタンに溶解したものを加えた。室温で45分間攪拌した後、水(234ml)を加え、混合物をエーテル(2x200ml)で抽出した。エーテル抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカのパッドを通し、生成物をエーテルを用いて溶出させた。
集めたエーテル溶出物を減圧濃縮して油状生成物を得て、カラムクロマトグラフィー(シリカ,ヘキサン:エーテル(10:1))を用いて精製した。集めた目的のカラム画分を蒸発させて溶媒を減圧で留去したところ、固形物を得て、カラムクロマトグラフィー(シリカ, ヘキサン:酢酸エチル(1:1))を用いて更に精製し、3つの主成分が得られ、これらを部分的にモッシャーエステルピーク1および2に分割した。
300mgの装填量での3成分の調製用HPLC(カラム:2xLichrospher Si60,5μm,250x21.20mm,移動相:ヘキサン:イソプロパノール(97:3),UV 254nm;流速:10ml分−1)の後、目的画分を真空濃縮したところ、純粋なモッシャーのエステル誘導体を得た。
ピーク1 (3.89g,46.5%)
ピーク2 (2.78g,33%)
2つのピークに対応する画分に加水分解を施し、異性体AおよびBとして同定され特性決定された個々のジヒドロテトラベナジン異性体を遊離した。異性体AおよびBは、それぞれ下記の構造の1つを有すると思われる。
更に具体的には、異性体Bは、下記の実施例4に記載のX線結晶学実験に基づいて2S,3S,11bR絶対配置を有すると思われる。
1E. ピーク1の加水分解による異性体Aの生成
20%水酸化ナトリウム水溶液(87.5ml)をモッシャーのエステルピーク1(3.89g,7.27ミリモル)をメタノール(260ml)に溶解したものに加え、混合物を攪拌加熱して150分間還流させた。室温まで冷却した後、水(200ml)を加え、溶液をエーテル(600ml)で抽出し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮した。
残渣を酢酸エチル(200ml)を用いて溶解し、溶液を水(2x50ml)で洗浄し、有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮し、黄色フォームを得た。この材料を、カラムクロマトグラフィー(シリカ,酢酸エチル:ヘキサン(1:1)−酢酸エチルの勾配溶出)によって精製した。目的の画分を合わせて、溶媒を減圧留去した。残渣をエーテルに溶解させ、溶媒を再度減圧留去し、異性体Aを灰白色フォーム(1.1g,47%)として得た。
2R,3R,11bS配置を有すると思われる(絶対立体化学は決定しなかった)異性体Aを、H−NMR、13C−NMR、IR、質量分析法、キラルHPLCおよびORDによって特性決定した。異性体AのIR、NMRおよびMSデータを表1に示し、キラルHPLCおよびORDデータを表3に示す。
1F. ピーク2の加水分解による異性体Bの生成
20%水酸化ナトリウム水溶液(62.5ml)をモッシャーのエステルピーク2(2.78g,5.19ミリモル)をメタノール(185ml)に溶解したものに加え、混合物を攪拌加熱して150分間還流させた。室温まで冷却した後、水(142ml)を加え、溶液をエーテル(440ml)で抽出し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮した。
残渣を酢酸エチル(200ml)を用いて溶解させ、溶液を水(2x50ml)で洗浄し、有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮した。石油エーテル(30〜40℃)を残渣に加え、溶液を再度真空濃縮し、異性体Bを白色フォーム(1.34g,81%)として得た。
2S,3S,11bR配置を有すると思われる異性体Bを、H−NMR、13C−NMR、IR、質量分析法、キラルHPLC、ORDおよびX線結晶学によって特性決定した。異性体BのIR、NMRおよびMSデータは表1に示し、キラルHPLCおよびORDデータ表3に示す。X線結晶学データは、実施例4に示す。
実施例2
ジヒドロテトラベナジンの2R,3S,11bRおよび2S,3R,11bS異性体の調製
2A.2,3−デヒドロテトラベナジンの調製
テトラヒドロフラン中にRRおよびSSテトラベナジン鏡像異性体のラセミ混合物(15g,47ミリモル)を含む溶液を実施例1Aの方法によってL−セレクトリド(登録商標)を用いて還元し、ジヒドロテトラベナジンの2S,3R,11bRおよび2R,3S,11bS鏡像異性体の混合物を白色粉末状固形物(12g,80%)として得た。次に、部分精製したジヒドロテトラベナジンを実施例1Bの方法に従ってPClを用いて脱水し、2,3−デヒドロテトラベナジン11bRおよび11bS異性体の半純粋混合物(その11bR鏡像異性体を下記に示す)を黄色固形物(12.92g,68%)として得た。
2B.実施例2Aからの粗アルケンのエポキシ化
実施例2Aからの粗アルケン(12,92g,42.9ミリモル)をメタノール(215ml)に攪拌溶解したものに70%過塩素酸(3.70ml,43ミリモル)をメタノール(215ml)に溶解したものに加えた。77% 3−クロロ過安息香酸(15.50g,65ミリモル)を反応に加え、生成された混合物を室温遮光下で18時間攪拌した。
反応混合物を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(200ml)に空けて、水(200ml)を加えた。クロロホルム(300ml)を生成エマルションに加え、混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(400ml)で塩基性にした。
有機層を集めて、水相を追加のクロロホルム(2x150ml)で洗浄した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去して、褐色油状物(14.35g,収率>100%溶媒が生成物に残っていると思われる)を得た。この材料を、更に精製することなく用いた。
2C.2Bからのエポキシドの還元的開環
実施例2Bからの粗エポキシド(14.35g,42.9ミリモル,100%収率と仮定)を乾燥THF(80ml)に攪拌溶解したものを、1Mボラン/THF(184.6ml,184.6ミリモル)で15分間かけて徐々に処理した。反応を2時間攪拌し、水(65ml)を加えて、溶液を攪拌加熱により30分間還流した。
冷却後、30%水酸化ナトリウム溶液(97ml)を反応混合物に加えた後、30%過酸化水素溶液(48.6ml)を加え、反応を攪拌および加熱により更に1時間還流した。
冷却した反応混合物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した酢酸エチル(500ml)で抽出し、濾過した後、溶媒を減圧留去し、油状物を得た。ヘキサン(230ml)を油状物に加え、溶液を再度減圧濃縮した。
油状残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)によって精製した。目的の画分を合わせて、溶媒を減圧留去した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカ, 勾配, ヘキサン−エーテル)を用いて再度精製した。目的の画分を合わせて、溶媒を減圧留去し、淡黄色固形物(5.18g,38%)を得た。
2D.ジヒドロテトラベナジンの2R,3S,11bRおよび2S,3R,11bS異性体のモッシャーエステル誘導体の調製
R−(+)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸(4.68g,19.98ミリモル)、塩化オキサリル(1.90ml)およびDMF(0.13ml)を無水ジクロロメタン(46ml)に加え、溶液を室温で45分間攪拌した。溶液を減圧濃縮し、残渣を再度無水ジクロロメタン(40ml)に溶解した。生成する溶液を氷−水槽を用いて冷却し、ジメチルアミノピリジン(3.65g,29.87ミリモル)を加えた後、実施例2C(4.68g,14.6ミリモル)の固体生成物を予備乾燥した(4Å篩上)無水ジクロロメタン(20ml)に溶解したものを加えた。室温で45分間攪拌した後、水(234ml)を加えて、混合物をエーテル(2x200ml)で抽出した。エーテル抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカのパッドを通し、生成物をエーテルを用いて溶出させた。
集めたエーテル溶出物を減圧濃縮して、油状物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(シリカ,ヘキサン:エーテル(1:1))を用いて精製した。集めた目的のカラム画分を蒸発させて溶媒を減圧で留去したところ、淡紅色固形物(6.53g)を得た。
100mgの装填量での固形物の調製用HPLC(カラム:2xLichrospher Si60,5μm,250x21.20mm,移動相:ヘキサン:イソプロパノール(97:3),UV 254nm;流速:10ml分−1)の後、目的画分を真空濃縮したところ、固形物が得られ、これを石油エーテル(30〜40℃)でスラリー状にして、濾過によって集め、純粋なモッシャーのエステル誘導体を得た。
ピーク1 (2.37g,30%)
ピーク2 (2.42g,30%)
2つのピークに対応する画分を加水分解して、異性体CおよびDとして同定され特性決定された個々のジヒドロテトラベナジン異性体を遊離した。異性体CおよびDは、それぞれ下記の構造
を有すると思われる。
2F.ピーク1の加水分解による異性体Cの生成
20%水酸化ナトリウム水溶液 (53ml)を、モッシャーエステルピーク1(2.37g,4.43ミリモル)をメタノール(158ml)に攪拌溶解したものに加え、混合物を還流温度で150分間攪拌した。冷却後、水(88ml)を反応混合物に加え、生成する溶液をエーテル(576ml)で抽出した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(200ml)を残渣に加え、溶液を水(2x50ml)で洗浄した。有機溶液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去した。
この残渣を石油エーテル(30〜40℃)で処理し、生成する懸濁固形物を濾過によって集めた。濾液を減圧濃縮し、懸濁固形物の第二のバッチを濾過によって集めた。両方の集めた固形物を合わせて、減圧乾燥し、異性体C(1.0g,70%)を得た。
2R,3S,11bRまたは2S,3R,11bS配置(絶対立体化学は決定しなかった)のいずれかを有すると思われる異性体Cを、H−NMR、13C−NMR、IR、質量分析法、キラルHPLCおよびORDによって特性決定した。異性体CについてのIR、NMRおよびMSデータは表2に示し、キラルHPLCおよびORDデータは表4に示す。
2G.ピーク2の加水分解による異性体Dの生成
20%水酸化ナトリウム水溶液(53 ml)を、モッシャーのエステルピーク2(2.42g,4.52ミリモル)をメタノール(158ml)に攪拌溶解したものに加え、混合物を還流温度で150分間攪拌した。冷却後、水(88ml)を反応混合物に加え、生成された溶液をエーテル(576ml)で抽出した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(200ml)を残渣に加え、溶液を水(2x50ml)で洗浄した。有機溶液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去した。
この残渣を石油エーテル(30〜40℃)で処理し、生成された懸濁橙色固形物を濾過によって集めた。この固形物を酢酸エチル:ヘキサン(15:85)に溶解し、カラムクロマトグラフィー(シリカ,勾配:酢酸エチル:ヘキサン(15:85)−酢酸エチル)によって精製した。目的の画分を合わせて、溶媒を減圧留去した。残渣を石油エーテル(30〜40℃)でスラリー状にし、生成する懸濁液を濾過によって集めた。集めた固形物を減圧乾燥し、異性体Dを白色固形物(0.93g,64%)として得た。
2R,3S,11bRまたは2S,3R,11bS配置(絶対立体化学は決定しなかった)のいずれかを有すると思われる異性体Dを、H−NMR、13C−NMR、IR、質量分析法、キラルHPLCおよびORDによって特性決定した。異性体DについてのIR、NMRおよびMSデータは表2に示し、キラルHPLCおよびORDデータは表4に示す。
表1および2において、赤外スペクトルはKBrディスク法を用いて決定した。H NMRスペクトルは、Varian Gemini NMR分光計(200MHz.)を用いて重水素化クロロホルムの溶液について測定した。13C NMRスペクトルは、Varian Gemini NMR分光計(50MHz)を用いて重水素化クロロホルムの溶液について測定した。質量スペクトルは、Micromass Platform II(ES条件)分光計を用いて得た。表3および4において、旋光分散曲線は、Optical Activity PolAAr 2001装置を用いてメタノール溶液中で24℃で得た。HPLC保持時間は、UV検出器を備えたHP 1050 HPLCクロマトグラフィー装置を用いて測定した。
表1および2:分光データ
表3および4:クロマトグラフィーおよびORDデータ
実施例3
異性体Bの調製およびメシレート塩の調製の代替法
3A.RR/SS テトラベナジンの還元
1ML−セレクトリド(登録商標)をテトラヒドロフランに溶解したもの(52ml,52ミリモル,1.1当量)を、テトラベナジンラセミ体(15g,47ミリモル)をテトラヒドロフラン(56ml)に攪拌溶解して冷却したもの(氷槽)に30分間かけて徐々に加えた。添加を完了した後、混合物を室温まで温度上昇させ、更に6時間攪拌した。TLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、出発材料が極めて微量しか残っていないことを示していた。
混合物を、粉砕氷(112g)、水(56ml)および氷酢酸(12.2g)の攪拌混合物に空けた。生成される黄色溶液をエーテル(2x50ml)で洗浄し、固形炭酸ナトリウム(約13g)を徐々に加えて塩基性にした。石油エーテル(30〜40℃)(56ml)を混合物に攪拌しながら加え、粗β−DHTBZを濾過によって白色固形物として集めた。
粗固形物をジクロロメタン(約150ml)に溶解し、生成される溶液を水(40ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過して、約40mlまで減圧濃縮した。白色固形物の粘稠な懸濁液が、形成された。石油エーテル(30〜40℃)(56ml)を加え、懸濁液を実験室温度で15分間攪拌した。生成物を濾過によって集め、フィルター上で石油エーテル(30〜40℃)(40〜60ml)を用いて純白になるまで洗浄した後、室温で風乾し、β−DHTBZ(10.1g,67%)を白色固形物として得た。TLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、1成分のみを示していた。
3B.ラセミβ−DHTBZのカンファースルホン酸塩の調製および分別結晶
実施例3Aの生成物と1当量の(S)−(+)−カンファー−10−スルホン酸を、最小限の量のメタノールに加熱しながら溶解した。生成される溶液を冷却した後、生成される固形物沈澱の形成が完了するまでエーテルで徐々に希釈した。生成される白色結晶性固形物を濾過によって集め、エーテルで洗浄した後、乾燥した。
カンファースルホン酸塩(10g)を、高温絶対エタノール(170ml)およびメタノール(30ml)の混合物に溶解した。生成される溶液を、攪拌して冷却した。2時間後、形成された沈澱を、白色結晶性固形物(2.9g)として濾過によって集めた。結晶性材料の試料を、過剰の飽和炭酸ナトリウム水溶液およびジクロロメタンと共に分液漏斗中で振盪した。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。残渣を石油エーテル(30〜40℃)を用いて磨砕し、有機溶液を再度濃縮した。この塩のChirex(S)−VALおよび(R)−NEA 250x4.6mmカラム、およびヘキサン:エタノール(98:2)溶離剤を流速が1ml/分で用いるキラルHPLC分析では、単離したβ−DHTBZは一方の鏡像異性体が豊富であった(e.e.約80%)。
豊富なカンファースルホン酸塩(14g)を高温の絶対エタノール(140ml)に溶解し、プロパン−2−オール(420ml)を加えた。生成される溶液を攪拌し、1分以内に沈澱が形成し始めた。混合物を室温まで冷却し、1時間攪拌した。形成された沈澱をを濾過によって集め、エーテルで洗浄し、乾燥して、白色結晶性固形物(12g)を得た。
結晶性材料を、過剰量の飽和炭酸ナトリウム水溶液とジクロロメタンと共に分液漏斗中で振盪した。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。残渣を石油エーテル(30〜40℃)を用いて磨砕し、有機溶液を再度濃縮し、(真空乾燥後に)(+)−β−DHTBZ(6.6g,ORD+107.8°)を得た。単離された鏡像異性体はe.e.>97%である。
3C. 異性体Bの調製
五塩化リン(4.5g,21.6ミリモル,1.05当量)をジクロロメタン(55ml)に溶解したものを、実施例3Bの生成物(6.6g,20.6ミリモル)をジクロロメタン(90ml)に溶解して攪拌冷却したもの(氷水槽)に一定速度で10分間かけて加えた。添加を完了したならば、生成される黄色溶液を更に10分間攪拌した後、炭酸ナトリウム(15g)を水(90ml)および粉砕氷(90g)に混合攪拌したものに素早く空けた。混合物を更に10分間攪拌した後、分液漏斗に移した。
相を分離したならば、褐色ジクロロメタン層を採りだし、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、粗アルケン中間体を褐色油状物(約6.7g)として得た。TLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、(+)−β−DHTBZが粗生成物に残っていないことを示していた。
粗アルケン(乾燥窒素雰囲気中)を無水テトラヒドロフラン(40ml)に溶解し、ボランをTHFに溶解したもの(1M溶液,2.5当量,52ml)を攪拌しながら15分間かけて加えた。反応混合物を、次に室温で2時間攪拌した。TLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、アルケン中間体が反応混合物に残っていないことを示していた。
水酸化ナトリウム(3.7g)を水(10ml)に溶解したものを攪拌反応混合物に加えた後、過酸化水素水溶液(50%,約7ml)を加え、形成された二相混合物を還流温度で1時間攪拌した。この時点での有機相のTLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、異性体Bについて予想したRfを有する生成物の出現を示していた。特徴的な無極性成分も見られた。
反応混合物を室温まで冷却し、分液漏斗に空けた。上部の有機層を採りだして減圧濃縮し、大半のTHFを除去した。残渣をエーテル(安定化(BHT),75ml)に溶解し、水(40ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、淡黄色油状物(8.1g)を得た。
黄色油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカ,酢酸エチル:ヘキサン(80:20),100%酢酸エチルまで増加)を用いて精製し、所望なカラム画分を集め、合わせて、減圧濃縮し、青白色油状物を得て、これをエーテル(安定化,18ml)で処理し、減圧濃縮し、異性体Bを淡黄色固形フォーム(2.2g)として得た。
実施例3Bに示した条件を用いるキラルHPLCにより、異性体Bは97%を上回る鏡像異性体過剰量(e.e.)で生成したことが明らかになった。
旋光度をBellingham Stanley ADP220旋光計を用いて測定し、[α]+123.5°を得た。
3D.異性体Bのメシレート塩の調製
異性体Bのメタンスルホン酸塩は、実施例3Cからの1当量の異性体Bと1当量のメタンスルホン酸の混合物を最小限の量のエタノールに溶解した後、ジエチルエーテルを加えることによって調製した。形成される白色沈澱を濾過によって集め、真空乾燥して、メシレート塩を収率約85%および純度(HPLCによる)約96%で得た。
実施例4
異性体BについてのX線結晶学的検討
異性体Bの(S)−(+)−カンファー−10−スルホン酸塩を調製し、単結晶について下記の条件下でX線結晶学的検討を行った。
回折計: Nonius KappaCCD領域検出器(t/iスキャンおよびOJスキャンによる非対称性ユニットを満たす)
セル決定(Cell determination): DirAx(Duisenberg, A.J.M.(1992). J. Appl. Cryst. 25, 92-96.)
データ収集: Collect(Collect: Data collection software, R. Hooft, Nonius B. V5 1998)
データー還元およびセル微細化(refinement): Demo(Z. Otwinowski & W. Minor, Methods in Enzymology (1997) Vol. 276: Macromolecular Crystallography, part A, pp. 307- 326; C. W. Carter, Jr & R. M. Sweet, Eds., Academic Press).
吸収補正: Sheldrick,G.M.SADABS−Bruker Nonius領域検出器スケーリングおよび吸収補正−V2.\0
構造説明: SHELXS97(G. M. Sheldrick, Acta Cryst. (1990) A46 467-473).
構造精製: SHELXL97(G. M. Sheldrick (1997), University of Goettingen, Germany)
グラフィック: Cameron−A Molecular Graphics Package(D. M. Watkin, L. Pearce and C K. Prout, Chemical Crystallography Laboratory, University of Oxford, 1993)
特殊な詳細: 総ての水素原子は、ディファレンス・マップに置かれ、レストレイント(restraints)を用いて微細化したNHおよびOHの水素原子を除き、理想化位置に置き、ライディングモデルを用いて微細化した。キラリティー:NI=R,CI2=S,CI3=S,CI5=R,C21=S,C24=R
検討の結果を、表A、B、C、DおよびEに示す。
表において、RUS0350というラベルは異性体Bを表す。
30%の確率水準で描いた熱振動楕円体
上記のデーターに基づいて、異性体Bは2S,3S,11bR配置を有し、式(Ia)
に対応していると思われる。
実施例5
受容体および輸送体タンパク質結合の研究
4種類のジヒドロテトラベナジン異性体A、B、CおよびDに特異的結合分析法を行い、下記の受容体および輸送体タンパク質へのそれらの結合能力を試験した。結果を表5に示す。
(a)アドレナリン作動性α2A受容体:
文献: S. Uhlen et al. J. Pharmacol Exp. Ther., 271 :1558
-1565 (1994)
供給源: ヒト組換え昆虫Sf9細胞
リガンド: 1nM[H]MK−912
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:60分間、25℃
インキュベーション緩衝液: 75mMトリス−HCl,pH7.4,12.5mM
MgCl, 2mM EDTA
非特異的リガンド: 10μM WB−4101
Kd: 0.6nM
max: 4.6ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 95%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(b)アドレナリン作動性α2B受容体:
文献: S. Uhlen et al, Eur. J. Pharmacol, 33 (1): 93-1-1
(1998)
供給源: ヒト組換えCHO−K1細胞
リガンド: 2.5nM[H]ラウウォルシン
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:60分間、25℃
インキュベーション緩衝液: 50mMトリス−HCl,1mM EDTA,
12.5mM MgCl,pH7.4,0.2%
BSA、25℃
非特異的リガンド: 10μMプラゾシン
Kd: 2.1nM
max: 2.1ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 90%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(c)ドパミンD1受容体:
文献: Dearry et al. , Nature, 347:72-76, (1990)
供給源: ヒト組換えCHO細胞
リガンド: 1.4nM[H]SCH−23390
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:2時間、37℃
インキュベーション緩衝液: 50mMトリス−HCl,pH7.4,150nM
NaCl,1.4nM アスコルビン酸,
0.001% BSA
非特異的リガンド: 10μM(+)−ブタクラモール
Kd: 1.4nM
max: 0.63ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 90%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(d)ドパミンD2L受容体:
文献: Bunzo et al., Nature, 336:783-787 (1988)
供給源: ヒト組換えCHO細胞
リガンド: 0.16 nM[H]スピペロン
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:2時間、25℃
インキュベーション緩衝液: 50mMトリス−HCl,pH7.4,150nM
NaCl,1.4nM アスコルビン酸,
0.001% BSA
非特異的リガンド: 10μMハロペリドール
Kd: 0.08nM
max: 0.48ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 85%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(e)ドパミンD受容体:
文献: SokoMfet aL, Nature, 347:146-151, (1990)
供給源: ヒト組換えCHO細胞
リガンド: 0.7nM[H]スピペロン
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:2時間、37℃
インキュベーション緩衝液: 50mMトリス−HCl,pH7.4,150nM
NaCl,1.4nM アスコルビン酸,
0.001% BSA
非特異的リガンド: 25μM S(−)−スルピリド
Kd: 0.36nM
max: 1.1ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 85%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(f)イミダゾリンI (Central)受容体:
文献: Brown et al., Brit. J. Pharmacol., 99:803-809,
(1990)
供給源: ウィスター系ラット大脳皮質
リガンド: 2nM[H]イダゾキサン
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:30分間、25℃
インキュベーション緩衝液: 50mMトリス−HCl,0.5mM EDTA,
pH7.4、25℃
非特異的リガンド: 1μM イダゾキサン
Kd: 4nM
max: 0.14ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 85%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(g)シグマσ受容体:
文献: Ganapathy et al., Pharmacol. Exp. Ther., 289:251-
260, (1999)
供給源: ヒトジャーカット細胞
リガンド: 8nM[H]ハロペリドール
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:4時間、25℃
インキュベーション緩衝液: 5mM KHPO/KHPO緩衝液pH7.5
非特異的リガンド: 10μMハロペリドール
Kd: 5.8 nM
max: 0.71ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 80%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(h)シグマσ受容体:
文献: Hashimoto et al, Eur. J. Pharmacol, 236:159-163,
(1993)
供給源: ウィスター系ラット脳
リガンド: 3nM[H]イフェンプロジル
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:60分間、37℃
インキュベーション緩衝液: 50mMトリス−HCl,pH7.4
非特異的リガンド: 10μMイフェンプロジル
Kd: 4.8nM
max: 1.3ピコモル/mgタンパク質
特異結合: 85%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(i)セロトニン輸送体(SERT):
文献: Gu et al., J. Biol. Chem., 269(10):7124-7130,
(1994)
供給源: ヒト組換えHEK−293細胞
リガンド: 0.15nM[125I]RTI−55
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:3時間、4℃
インキュベーション緩衝液: 100mM NaCl,50mMトリス HCl,
1μMロイペプチン,10μMPMSF,pH7.4
非特異的リガンド: 10μMイミプラミン
Kd: 0.17nM
max: 0.41ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 95%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(j)ドパミン輸送体(DAT):
文献: Giros et al, Trends Pharmacol. Sci, 14, 43-49 (1993); Gu et al., J. Biol. Chem., 269(10): 7124-
7130 (1994)
供給源: ヒト組換えCHO細胞
リガンド: 0.15nM[125I]RTI−55
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:3時間、4℃
インキュベーション緩衝液: 100mM NaCl,50mMトリス HCl,
1μMロイペプチン,10μM PMSF,pH7.4
非特異的リガンド: 10μMノミフェンシン
Kd: 0.58nM
max: 0.047ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 90%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(k)α2cアドレナリン作動性受容体
α2cアドレナリン作動性受容体結合活性は、Uhlen et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. (1994), 271:1558-1565の方法および下記の条件を用いて測定した:
供給源: ヒト組換え昆虫Sf9細胞
リガンド: 1nM[H]MK−912
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:25℃、60分間
インキュベーション緩衝液: 75mMトリス−HCl,pH7.4,12.5mM
MgCl,2mM EDTA
非特異的リガンド: 10μM WB−4101
Kd: 0.17nM
max: 6.8ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 95%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(l)セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン) 5−HT2b受容体
5−HT2b受容体結合活性は、Bonhaus et al., Br. J. Pharmacol, (1995) 115:622-628の方法および下記の条件を用いて測定した:
供給源: ヒト組換えCHO−K1細胞
リガンド: 1.2nM[H]リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:60分間、37℃
インキュベーション緩衝液: 50mMトリス−HCl,pH7.4,4mM
CaCl, 0.1 %アスコルビン酸
非特異的リガンド: 10μMセロトニン
Kd: 2.1nM
max: 1.1ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 80%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
(m)セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン) 5−HT受容体
5−HT受容体結合活性は、Monsma et al, Mol. Pharmacol, (1993), 43:320-327の方法および下記の条件を用いて測定した:
供給源: ヒト組換えHeLa細胞
リガンド: 1.5nM[H]リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:2時間、37℃
インキュベーション緩衝液: 50mMトリス−HCl,pH7.4,150mM
NaCl,2mMアスコルビン酸,0.001%
BSA
非特異的リガンド: 5μMセロトニン
Kd: 1.3nM
max: 1.7ピコモル/mgタンパク質
特異的結合: 90%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の≧50%
ドパミンおよびセロトニン受容体に対する異性体AおよびDの結合データーに基づき、並びに既知の抗精神病薬のドパミン−セロトニン結合プロフィールと類似していることによって、異性体AおよびDは精神病、例えば、統合失調症から生じるまたはこれと関係した精神病の治療に有用であると考えられる。
実施例6
認知機能および抗精神病薬: 新規な対象認識作業における亜慢性的PCPによって誘導される認知障害を改善するための異性体Aの効力の検討
統合失調症における認知:
最新世代の非定型抗精神病薬であってもほとんど改善は見られないので、統合失調症における未だ満たされていない主要な臨床的に必要なことは、陰性および認知症状の治療である。特に、統合失調症の患者における認知障害はこの障害の中心的部分として認められており、患者の回復と社会復帰にかなり関係すると思われる。より最近のものであってより確実な動物モデルには認知障害を示すものがあるが、統合失調症における認知障害のモデルを作る試みはほとんど行われていない。可能性のある抗精神病薬の試験用の動物モデルを提供する目的で用いられた古典的方法は、ドパミン作動性薬剤の使用に依存しており、その限界が益々認識されている。グルタメート/NMDA拮抗薬フェンサイクリジン(PCP)の投与は、アンフェタミン精神病と関連した陽性症状と共に陰性症状をも誘発することができる点で統合失調症の一層良好なモデルを提供すると考えられてきた(J. D. Jentsch and R. H. Roth, Neuropsychopharmacology (1999) 20(3): 201-225)。統合失調症では脳にグルタメート作動系の異常の証拠がある点で何らかの病理学的妥当性があることがあり、このような変化としては、疾患の認知機能不全の原因とならなくともこれに寄与することがある皮質線条体神経支配の障害が挙げられる(Aparicio-Legarza et al., Neurosci. Lett. (1997) 232, 13-16)。更に、PCPによって誘発される行動は、ある種の非定型抗精神病薬によって逆転されるが、定型抗精神病薬によっては逆転されない(Geyer et al., Brain Res. Bull (1990) 25:485-498)。これは、定型薬物には余り応答しない陰性または他の症状に対する効果と潜在的相関を有することを示唆している。
新たな対象認知パラダイム:
ある種の前臨床試験では、統合失調症患者における認知症状と似ているラットにおける比較的微かな認知障害を観察することができる。観察された認知障害は、新規な対象認知(NOR)パラダイムのような認知作業によって測定することができる作動記憶障害のような行動に見られる。認知記憶作業により、提示された刺激と以前に保管された情報を比較することができる。Ennaceur & Delacour, Behav. Brain Res. 31:47-59 (1988)には、見慣れた対象と新しい対象の差異探査に基づくラットでのNOR検定が記載されている。NOR検定は、作動記憶を測定するラットの自発的探査行動に基づく無報酬の行動学的に関連のあるパラダイムである。それぞれの期間は、2つの試験からなっている。第一の試験では、ラットを屋外で2つの同一対象に暴露する。第二の試験中には、ラットを2つの異なる対象であって、第一の試験から見慣れた対象と新しい対象に暴露する。ラットの対象認知は、見慣れた対象と新しい対象を探査するのにかかる時間の差として測定することができる。ラットは、新しい対象を探査するのに余計時間をかけることが示された。ラットは試験間間隔が1分間および1−5時間の間であれば見慣れた対象と新規な対象を識別することができるが、24時間より長くなると識別できないが、この効果はラットでは性別によって異なることがある(Sutcliffe et al, 「新規な対象認知パラダイムを用いる雄および雌ラットにおける認知に対する性別の影響についての予備検討(A preliminary investigation into the effects of gender on cognition in male and female rats using the novel object recognition paradigm)」内分泌学会第96回大会,2005年11月7−9日に発表)。新規な対象に対する好みは最初の1または2分間しか続かないので、それぞれの試験の期間も重要であり、その時間の後は、いずれの対象も見慣れたものとなり同等に探査されるので、好みは消失する。
(Grayson and Neill, J Psychopharmacology 18:A55, 2004; およびBPSの議事録、http://wwwpA2online.org/vol 12issue4-abstO77P.html. 2005)は、PCPによる急性および亜慢性投与によって誘発されるこの作業の選択欠損を説明している。この欠損は作業の保持期(retention phase)に観察されるだけであり、特異的かつ比較的微かな認知障害を示唆している。従って、検定(および運動活性)の習得期の行動はPCP投与によって影響を受けない。このパラダイムにおけるPCPの効果は作動記憶の選択欠損を意味することがあり、これは統合失調症で損なわれることが知られている。英国ブラッドフォード大学のJ. C. Neillの研究グループは、非定型抗精神病薬クロザピンがこのパラダイムにおいて亜慢性PCP(2mg/kgを1日2回7日間腹腔内投与の後、7日間の薬剤なしの期間)によって誘発される認知欠損を改善(および予防, Idris et al. Soc. Neurosci. abstr. 67.15.2005)することができるが、古典的抗精神病薬であるハロペリドールでは改善されないことを見出した。ハロペリドールは統合失調症における認知欠損症状の治療には無効であることが知られており、実際にその症状を悪化させることがあるが、非定型抗精神病薬は統合失調症におけるある側面を改善することができる。更に、Grayson et alは、最近、このパラダイムにおける亜慢性PCPによって誘発される欠損を減衰させるリスペリドンの効力を明らかにした。従って、この検定は、統合失調症の認知症状の治療に対して何らかの予測的妥当性を有する。亜慢性PCPによって誘発される欠損は、雌ラットでは強くかつ長期継続性であること、すなわち、投与後5ヶ月間継続することが示されている。
実験の対象
上記齧歯類モデルを用いて、新規な対象認知(NOR)パラダイムを用いる亜慢性PCPによって誘発される作動記憶の欠損に対する異性体Aの効果を評価した。作動仮説は、異性体Aを用いる急性および亜慢性処理がいずれもNOR検定パラダイムにおいて測定される亜慢性PCPによって誘発される選択作動記憶欠損を減衰させることであった。雄はPCPによって誘発される欠損に感受性が余り高くなく(Grayson and Neill, 上記引用)かつ雌は雄ラットと比較して試験間間隔が増加した後は一層強い動作を示す(Sutcliffe et al, 上記引用)ことが以前に明らかになっているので、雌ラットをこのパラダイムで用いた。
方法
新規対象認知パラダイム
習慣
ラットを、1日目に空の検定ボックスと行動検定室環境に1時間に慣らさせる。2日目の行動検定の前に、ラットを更に3分間慣らさせる。
行動検定
3分間の順化期間の後、ラットに2回の3分間試験(T1およびT2)を行い、1分間の試験間間隔だけホームケージに入れて分離し、その間に対象を換える。
T1=試験1、習得試験
この試験では、動物に2つの同一な対象(A1およびA2)を3分間探査させる。
T2=試験2、保持試験
この試験では、動物はT1から見慣れた対象(A)と新規な対象(B)を3分間探査する。T2中に提示された見慣れた対象は、任意の嗅覚試験を避けるためにT1で提示された対象の複製である。
対象探査
対象探査は、対象を動物がなめ、臭いを嗅ぎ、または臭いを嗅ぎながら前足で触ることによって定義されるが、対象にもたれ、回転させ、対象の上に立ったりまたは座ることによって定義されない。それぞれの試験におけるそれぞれの対象(A1,A2,AおよびB)の探査時間を2つのストップウォッチを用いて記録し、下記の因子を計算する:
・習得試験における両対象の全探査時間、
・保持試験における両対象の全探査時間、
・探査活性の慣れ。LMAは、両方の試験について交叉した線の数によって測定される探査時間を包含する。
・識別指数であって、下記のように計算される:
(新規な対象を探査するのに費やした時間−見慣れた対象の探査に費やした時間)/両対象の探査に費やした全時間
総ての試験における行動は、次のブラインドスコアリング用に記録した。
対象
50匹の雌フーデド・リスターラット(Harlan,英国)を、これらの研究の被験動物として用いた。ラットは、0700時に点灯する12時間毎の明/暗サイクル下の標準的実験室条件下で5匹ずつの群で収容した。総ての検定は、明期に行った。食餌と水は、自由に供給した。総ての実験は、動物(科学的処置)法、英国、1986に準じて行い、ブラッドフォード大学倫理調査委員会によって承認された。
薬剤
ラットを2つの投与群に無作為に割り当て、ビヒクル,n=10(蒸留水,腹腔内)またはPCP,n=40(2mg/kg,腹腔内)を1日2回7日間投与した。フェンサイクリジン塩酸塩(PCP,Sigma,英国)を、蒸留水に溶解した。これに続いて7日間の洗浄期間の後、ラットを検定した。異性体Aを蒸留水に溶解し、検定の30分前に3、10および30mg/kgの用量で経口投与した。リスペリドン(0.2mg/kg)を蒸留水で準備し、検定の30分前に腹腔内投与した。総ての薬剤は、1ml/kgの容積で投与した。総ての薬剤は、塩基当量重量として計算した。
統計分析
総てのデーターは、平均値±s.e.m(n=7−10/群)として表し、二方向ANOVA(因子は、薬物および2対象の探査時間)によって分析し、更に事後ステューデントt−検定(対象の探査に費やした時間)またはダンネットt−検定(LMAおよびDI)によって分析した。
薬剤処理
ラットの群(n=7−10)は、上記のようにNORパラダイムで検定した。ラットは、PCP(2mg/kg、腹腔内1日2回ずつ7日間投与後、7日間の薬剤なしの期間)による亜慢性処理、またはビヒクルに続いて異性体A、リスペリドンまたはビヒクルの急性処理の後に、その作業における行動を検定した。ラットを、薬剤投与群に無作為に割り当て、ビヒクルまたは異性体A(3.0、10および30mg/kg)の経口投与の30分後に行動を検定した。
結果
結果を、図1〜4に示す。
図1は、亜慢性PCP(2mg/kgを1日2回7日間腹腔内投与)およびビヒクル処理ラットでの習得期−T1に続く異性体Aの急性投与(3.0〜30mg/kg,経口)およびリスペリドン(Risp 0.2mg/kg,腹腔内)における同一対象の平均探査時間を示す。
図2は、雌hLラットでの3分間保持試験における見慣れた対象と新規な対象の探査時間に対する亜慢性PCPの効果を軽減させる急性異性体A(3−30mg/kg,経口)およびリスペリドン(Risp 0.2mg/kg,腹腔内)の能力を示す。見慣れた対象と新規な対象を探査するのに費やした時間の有意差*P<0.05−***P<0.001。
図3は、識別指数(DI)についての亜慢性PCP(2mg/kgを1日2回7日間腹腔内投与)投与の効果に対する異性体A(3−30mg/kg,経口)およびリスペリドン(Risp 0.2mg/kg,腹腔内)の効果を示す。
図4は、新規な対象認知作業における線交差の総数(T1+T2)に対する亜慢性PCP処理ラットにおける異性体Aおよびリスペリドン(Risp 0.2mg/kg,腹腔内)の急性投与(3−30mg/kg,経口)の効果を示す。**p<0.01;ビヒクル対照群と比較して、線交叉数の有意な減少。
急性PCP(0.5−2.0mg/kg 腹腔内)および亜慢性PCP(2mg/kgを1日2回7日間腹腔内投与の後、7日間の薬剤なしの期間)は、雌ラットでのNOR作業の保持期における選択認知欠損を生じる(Grayson and Neill, 2004; 2005a)。非定型抗精神病薬であるクロザピン(l−5mg/kg)は、このパラダイムにおいて亜慢性PCPによって誘発される欠損を有意に改善(および予防, Idris et al, 2005)したが、ハロペリドール(0.05−0.075mg/kg)では改善は見られなかった(Grayson and Neill, 2005a)。本発明の結果は、異性体Aが非定型抗精神病薬であるリスペリドンと同様の様式で亜慢性PCP誘発欠損を軽減させる効力をも有することをこの現存するデータに加えかつ示すものである。
異性体Aの急性処理の効果は、NOR作業の保持期に選択的であった(図2)。その効果は、統合失調症の病変について何らかの妥当性を有するパラダイムにおけるPCPによって誘発される作動記憶障害の改善と一致している。この効果は、異性体の最大用量(30mg/kg)で有意であった。対照的に、異性体Aは、作業の習得期における2つの同一対象の探査については効果はなかった(図1)。異性体Aは、30mg/kgでは検定領域における運動活性の減少にも有意な効果を示した(図4)。これは、T1およびT2における新規な対象領域において交差した線の数の減少として示された。ラットの行動観察では、ボックスにおける全活動スコアを減少させた環境探査よりも対象に、より多くの時間を費やしたことを示唆していた。ラットは、落ち着いているとは思われなかった。図3に示されたデータは、亜慢性PCP処理が識別指数の減少を誘発し、これは異性体A 30mg/kgおよびリスペリドン0.2mg/kgの投与によって改善されたが、これらの効果はいずれも統計学的に有意にはならなかった。
本明細書に示されている結果は、異性体Aが統合失調症の認知欠損症状の改善に何らかの治療効果を有する可能性があることを示唆している。
実施例7
医薬組成物
(i)錠剤処方物−I
本発明のジヒドロテトラベナジンを含む錠剤組成物を、ジヒドロテトラベナジン50mgを希釈剤としてのラクトース(BP)197mgおよび滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgと混合し、圧縮して既知の方法で錠剤を整形することによって調製する。
(ii)錠剤処方物−II
本発明のジヒドロテトラベナジンを含む錠剤組成物を、化合物(25mg)を酸化鉄、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、白色トウモロコシ澱粉およびタルクと混合し、圧縮して既知の方法で錠剤を整形することによって調製する。
(iii)カプセル処方物
カプセル処方物は、本発明のジヒドロテトラベナジン100mgをラクトース100mgと混合し、生成する混合物を標準的な不透明硬質ゼラチンカプセルに充填することによって調製する。
同等物
本発明の具体的態様に対して多数の改質および変更を本発明の基礎となる原理から離反することなく行うことができることは、容易に明らかになるであろう。総てのこのような改質および変更は、本出願によって包含されることを意味するものである。
図1は、亜慢性PCP(2mg/kgを1日2回7日間腹腔内投与)およびビヒクル処理ラットでの習得期−T1に続く異性体Aの急性投与(3.0〜30mg/kg,経口)およびリスペリドン(Risp 0.2mg/kg,腹腔内)における同一対象の平均探査時間を示す。 図2は、雌hLラットでの3分間保持試験における見慣れた対象と新規な対象の探査時間に対する亜慢性PCPの効果を軽減させる急性異性体A(3−30mg/kg,経口)およびリスペリドン(Risp 0.2mg/kg,腹腔内)の能力を示す。見慣れた対象と新規な対象を探査するのに費やした時間の有意差*P<0.05−***P<0.001。 図3は、識別指数(DI)についての亜慢性PCP(2mg/kgを1日2回7日間腹腔内投与)投与の効果に対する異性体A(3−30mg/kg,経口)およびリスペリドン(Risp 0.2mg/kg,腹腔内)の効果を示す。 図4は、新規な対象認知作業における線交差の総数(T1+T2)に対する亜慢性PCP処理ラットにおける異性体Aおよびリスペリドン(Risp 0.2mg/kg,腹腔内)の急性投与(3−30mg/kg,経口)の効果を示す。**p<0.01;ビヒクル対照群と比較して、線交叉数の有意な減少。

Claims (21)

  1. 統合失調症を予防または治療するための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩の使用。
  2. 精神病を予防または治療するための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩の使用。
  3. 精神病の予防または治療に用いられる化合物であって、3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩である、化合物。
  4. 精神病の予防または緩和に用いられる化合物であって、3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩である、化合物。
  5. 精神病の予防または治療方法であって、シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩の治療上有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、方法。
  6. 精神病エピソードを予防または緩和するための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩の使用。
  7. 精神病エピソードを予防または緩和する方法であって、シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩の治療上有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、方法。
  8. 精神病または精神病エピソードが、統合失調症から生じるまたはこれと関連している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法または使用。
  9. 予防される、緩和される、または軽減される精神病エピソード、精神病または症状が
    妄想、
    幻覚、
    幻視、
    幻聴、
    触感、味または臭いなどの幻覚、
    錯乱、
    情緒、行動または知的障害、
    現実逃避、
    非論理的および/または支離滅裂な思考パターン、
    偏執的または妄想的信念、
    偏執狂、
    誇大妄想、
    迫害または自責妄想、および
    人格変化
    から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法または使用。
  10. 予防される、緩和される、または軽減される精神病エピソード、精神病または症状が
    統合失調症によって引き起こされるまたはこれと関連した精神病;
    双極性障害(躁鬱病)によって引き起こされるまたはこれと関連した精神病;
    重篤な臨床的鬱病によって引き起こされるまたはこれと関連した精神病;
    電解質障害、
    高齢者における尿路感染症、
    疼痛症候群、
    薬物中毒、
    薬物禁断症状、および
    脳の感染症または脳への損傷
    のような障害または状況によって誘導される精神病;
    慢性的心理ストレスによって引き起こされる精神病(短期反応性精神病);
    重篤な精神的ストレスによって引き起こされるまたは悪化する精神病;および
    AIDS、ハンセン病、マラリアおよび耳下腺炎のような疾病および状況によって誘発されるまたはこれらから生じるまたはこれらに続く精神病
    から生じるまたはこれらと関連するものから選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための化合物、方法または使用。
  11. 統合失調症の予防または治療に用いられる化合物であって、3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩である、化合物。
  12. 統合失調症の1以上の症状の予防、緩和または軽減に用いられる化合物であって、3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩である、化合物。
  13. 統合失調症の予防または治療方法であって、シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩の治療上有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、方法。
  14. 統合失調症の1以上の症状の予防、緩和または軽減のための医薬の製造のための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩の使用。
  15. 統合失調症の1以上の症状の予防、緩和または軽減方法であって、シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩の治療上有効量を哺乳類に投与することを含んでなる、方法。
  16. シス−ジヒドロテトラベナジンを、
    妄想;
    幻覚;
    錯乱;
    情緒、行動または知的障害;
    現実逃避;および
    非論理的思考パターン
    から選択される1以上の症状を予防し、緩和し、または軽減する目的で投与する、請求項10〜15のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用または方法。
  17. 3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンが、本明細書で定義した通りの異性体Aである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用または方法。
  18. 3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンが、本明細書で定義した通りの異性体Dである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用または方法。
  19. 3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンが、酸付加塩の形態である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用または方法。
  20. 塩が、メタンスルホン酸塩である、請求項19に記載の使用のための化合物、使用または方法。
  21. 実施例に関して本明細書で実質的に説明されている通りの、使用のための化合物、使用または方法。
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