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JP2009291135A - 細胞電気生理センサ - Google Patents

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JP2009291135A JP2008148780A JP2008148780A JP2009291135A JP 2009291135 A JP2009291135 A JP 2009291135A JP 2008148780 A JP2008148780 A JP 2008148780A JP 2008148780 A JP2008148780 A JP 2008148780A JP 2009291135 A JP2009291135 A JP 2009291135A
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Makoto Takahashi
誠 高橋
Masaya Nakatani
将也 中谷
Koji Ushio
浩司 牛尾
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Panasonic Corp
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Abstract

【課題】気泡の抑制と除去を容易にし、細胞電気生理センサの測定に関する信頼性を向上させることを目的とする。
【解決手段】少なくとも一つの貫通孔1を有したダイアフラム2と、このダイアフラム2を支持するとともにキャビティ6を有したフレーム5とからなる細胞電気生理センサであって、前記ダイアフラム2はシリコン層3と二酸化シリコン層4の積層構造とし、前記二酸化シリコン層4の表面を凹凸形状とした構成とすることによって、気泡の発生を抑制できるとともに残留した気泡の除去を容易にできることから、細胞電気生理センサの測定に対する信頼性を向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞の細胞外電位あるいは細胞の活動に発生する物理化学的変化を測定するために用いられる細胞電気生理センサに関するものである。
従来の、細胞の電気的活動を指標にして細胞膜に存在するイオンチャネルの機能を解明したり、薬品をスクリーニング(検査)したりする方法として、パッチクランプ法が挙げられる。
このパッチクランプ法は、マイクロピペットの先端部分で細胞膜の微小部分(パッチという)を軽く吸引し、マイクロピペットに設けた微小電極プローブを用いて、パッチを横切る電流を、固定(クランプ)した膜電位のもとで測定するものである。そして、これにより、パッチに存在する1個または少数個のイオンチャネルの開閉の様子を電気的に記録することができるものである。そして、これは細胞の生理機能をリアルタイムで調べることのできる数少ない方法の一つである。
しかしながら、パッチクランプ法はマイクロピペットの作成および操作に特殊な技術・技能を必要とし、一つの試料の測定に多くの時間を要することから、大量の薬品候補化合物を高速でスクリーニングする用途には適していない。
これに対して、近年、微細加工技術を利用した平板型の微小電極プローブの開発がなされており、この方法は個々の細胞についてマイクロピペットの挿入を必要としない自動化システムに適している。
例えば、細胞保持基板に複数の貫通孔を設け、この貫通孔の開口部に被検体細胞を接着させ、貫通孔の下方に配置した測定電極で、被検体細胞の電位依存性のイオンチャネル活性を測定する技術を開示している(例えば、特許文献1参照)。
また、シリコン酸化物製の細胞保持基板(membrane)の内部に2.5μmの貫通孔(hole)を形成し、この貫通孔にヒト培養細胞株の一種であるHEK293細胞を保持させて高い密着性を確保して高精度に細胞外電位を測定する技術を開示している(例えば、非特許文献1参照)。
さらに、図9に示したように、従来の細胞電気生理センサ31は細胞保持基板32と、この細胞保持基板32の上面に形成された凹部33と、この凹部33の下部から細胞保持基板32の下面まで連結する貫通孔34と、細胞保持基板32の上方に配置された参照電極35と、前記貫通孔34の内部に配置された測定電極36とを備えている。そして、この測定電極36は配線37を経て信号検出部に連結されている。また、前記細胞保持基板32はウエル38の内部に配置されている(例えば、特許文献2参照)。
次に、前記細胞電気生理センサ31の動作方法について、以下に説明する。
まず、ウエル38の内部に細胞および電解液40が注入され、細胞が凹部33によってトラップ(捕捉)されて保持される。この凹部33に保持された細胞を以下被検体細胞39という。
そして、測定の際には被検体細胞39は貫通孔34の下方から吸引ポンプなどで吸引され、貫通孔34の開口部に密着した状態で保持される。すなわち、この貫通孔34がガラスピペットにおける先端穴と同様の役割を果たしている。そして、被検体細胞39のイオンチャネルの機能性や薬理反応などは、参照電極35と測定電極36との間における反応前後の電圧、あるいは電流を測定し、細胞内外の電位差を求めることによって分析している。
特表2002−518678号公報 国際公開第02/055653号パンフレット T.Sordel et al, Micro Total Analysis Systems 2004,P521〜522(2004)
しかしながら、従来の細胞電気生理センサは、参照電極と測定電極との間における電位差の測定値に誤差が生じ、細胞電気生理センサの測定に対する信頼性が低下するという問題があった。
それは、流路の内壁面の親水性が低い部分、あるいは細胞保持基板には気泡が残りやすく、この気泡の抵抗値は非常に大きいため、この気泡の有無によって測定値が変動するからであった。
特に、貫通孔周辺部に発生した気泡は、測定電極で検知する電流、あるいは電圧の測定値を大きく変動させる要因となっていた。
そこで、本発明は、貫通孔の周辺における気泡の発生を抑制するとともに効率良く気泡を除去することによって、測定に対する信頼性に優れた細胞電気生理センサを実現することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、貫通孔を有した二層構造のダイアフラムと、このダイアフラムを支持するとともにキャビティを有したフレームとからなり、前記ダイアフラムはシリコン層と二酸化シリコン層の積層構造とし、前記二酸化シリコン層の表面を凹凸形状としたものである。
本発明の細胞電気生理センサは、ダイアフラムの表面を親水性に優れた二酸化シリコンとし、かつその表面を凹凸形状とすることによって、貫通孔の周辺における気泡の発生を抑制するとともに、残留した気泡を効率良く除去することができるセンサ構造とするものである。その結果、ダイアフラムの表面に付着した気泡を除去し、細胞電気生理センサの測定に対する信頼性を向上させることができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの構成について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図であり、図2は図1の平面図である。また、図3は本実施の形態1の細胞電気生理センサを用いて細胞の電気生理現象を測定する方法を説明するための断面図である。
図1及び図2において、本実施の形態1における細胞電気生理センサは、シリコン基板などの入手性、加工性に優れたウエハーを準備し、フォトリソ技術を用いたエッチング加工などによって、一括して作製することができるとともに、高寸法精度で微小な形状を有する細胞電気生理センサを効率よく作製することができる。
特に、シリコンと二酸化シリコンの積層構造を有したSOI基板を用いることが好ましい。このSOI基板は半導体デバイスを作製する際に良く用いられ、入手は容易であり、二酸化シリコンの厚みは所定の厚みに指定することによって容易に作製することができるものである。
そして、本実施の形態1における細胞電気生理センサの基本的な構成は、少なくとも一つの貫通孔1を有する薄板状のダイアフラム2を形成しており、このダイアフラム2はシリコン3と二酸化シリコン4からなる積層構造としている。そして、前記二酸化シリコン4の表面は凹凸部4bを有しており、この凹凸部4bを設けることによってダイアフラム2の表面は親水性をより高めることができ、気泡の移動および除去を容易に行うことができる。
また、貫通孔1には測定のための被検体細胞9aが吸引固定されることから、この貫通孔1の近傍の表面は平滑な表面をしている平滑部4aを設けることが好ましい。そして、平滑性は中心線平均粗さ(Ra)で1nm以下が好ましい。これによって、被検体細胞9aの保持性と気密性を高く保持することができるとともに、被検体細胞9aの皮膜表面を損傷することを防止することができる。従って、二酸化シリコン4に平滑部4aを設ける領域は被検体細胞9aの大きさよりも若干大きくなるように貫通孔1の周縁部に設けることが好ましい。
そして、本実施の形態1における細胞電気生理センサは前記ダイアフラム2を固定支持するとともに測定装置などへの固定配置を容易にするためのフレーム5を設けており、このフレーム5をシリコンとすることによって、中間に二酸化シリコン4を配した市販のSOI基板を加工することによって、寸法精度に優れた細胞電気生理センサを効率よく実現することができる。
なお、前記貫通孔1は少なくとも一つあれば良く、複数の細胞9を同時に測定したいときには、複数の貫通孔1を形成することも可能である。これによって、複数の細胞9を複数の被検体細胞9aとして同時に測定することによってS/N比を高めることができる。
また、前記フレーム5の内部には液体などを貯留することができるキャビティ6を形成している。このキャビティ6は細胞9などを含んだ液体などを貯留しておくためのものである。そして、このような構成の細胞電気生理センサは液体の中で浮遊している複数の細胞9の中から、吸引などの手段によって貫通孔1を塞ぐように細胞9を固定して被検体細胞9aとすることができる。その後、この被検体細胞9aの薬液などに対する反応を接続された電極にて測定するものである。
特に、本実施の形態1における細胞電気生理センサの構成の特徴は、ダイアフラム2をシリコン3と二酸化シリコン4の積層構造とし、この二酸化シリコン4の表出面を凹凸形状とした構成としていることである。このような構造とすることによって、親水性に優れた二酸化シリコン4を表出面とし、その表出面を凹凸形状とすることによって、その親水性を更に高めてダイアフラム2の表面における気泡の発生の抑制と気泡の除去を容易に行うことができることから高精度な測定を可能とする細胞電気生理センサを実現することができるものである。
ここで、この凹凸形状を有した二酸化シリコン4の表面に、分注器などを用いて液滴状の細胞9を分散させた液体をキャビティ6の内部へ注入したとき、液体は表面張力によって球面状の外観形状を形成しており、そのまま自動分注機などを介してキャビティ6の中へ所定量の液体を分注する必要がある。そして、安定に精度良く被検体細胞9aの電気化学的変化を測定するためには、貫通孔1の周辺に気泡の残留していない状態で液体を充填しておくことが重要である(図3参照)。これを実現するために、ダイアフラム2の表面を図1に示したような親水性に優れた表面構造にしておくことによって、滴下した液滴は凹凸部4bの先端部から速やかに濡れ広がりを示すようになり、気泡の発生の抑制と気泡の除去を効率よく行うことができるダイアフラム2を実現することができる。
ここで、二酸化シリコン4の表出面である凹凸部4bの表面粗さはRa≧5nmが好ましく、より好ましくはRa:5〜200nmである。Raが5nmを下回ると親水性が低下し、200nmを上回ると加工性が低下するからである。この凹凸部4bは生産性の観点からエッチング技術を用いることが好ましい。
このような構成の細胞電気生理センサを用いて、気泡が残留しない状態で液体を充填し、例えばキャビティ6の内部に細胞9を分散させた細胞外液10を貯留し、その内の一個の細胞9を貫通孔1の上に吸引手段などによってトラップさせることによって高精度に測定することができる被検体細胞9aとすることができる。
一方、気泡の発生の抑制と除去という観点からはダイアフラム2の表出面を全て凹凸部4bからなる二酸化シリコン4で構成することが好ましいが、貫通孔1に吸引された被検体細胞9aは薄い皮膜にて保護された形態をしており、この二酸化シリコン4の突起部によって被検体細胞9aの薄い皮膜が損傷する可能性がある。
これを防止するため、貫通孔1の周縁部の表面は平滑な形状を有していることが好ましい。
また、被検体細胞9aは貫通孔1を塞ぐように吸引固定し、貫通孔1によって分離された二つの領域の電気的な変化を測定することから、被検体細胞9aの貫通孔1における気密性は重要なファクターである。この気密性を高く均質に保持することからも貫通孔1の周縁部の二酸化シリコン4は平滑部4aで構成することが好ましい。これによって、気密性を安定して保持しながら被検体細胞9aの電気的変化を測定することができる。ここで、細胞9の大きさは数μm〜50μmであるので、細胞9の大きさより若干大きな面積の平滑な二酸化シリコン4の表出面とすることが好ましい。
これに対して、凹凸部4bを有した二酸化シリコン4を設けていないセンサ構造では、マイクロピペットを用いて液体を分注するときなど、マイクロピペットの先端にできる液滴がそのままの状態で滴下され、キャビティ6の内部に存在していた空気などの気泡をうまく除去できなくなり、ダイアフラム2の表面に気泡となって残存することが問題であった。
そして、この気泡が貫通孔1の近傍に残存していると、吸引手段を用いて貫通孔1の上方に固定させた被検体細胞9aの電気化学的変化である電流あるいは電圧の微小変化を高精度に測定することが困難であった。
また、細胞の電気生理現象の測定を安定して行うためには、前記貫通孔1の大きさは被検体細胞9aの大きさよりも少し小さな形状とし、この貫通孔1を塞ぐように被検体細胞9aを吸引などの手段によって被検体細胞9aを固定しておける形状とすることが好ましく、前記貫通孔1の開口部の直径は3μmとした。
このように、細胞9の大きさが5〜50μm程度である場合、細胞9と貫通孔1とを高い密着性を持って保持するには、貫通孔1の開口部の直径を3μm以下とすることが望ましいからである。
なお、この貫通孔1の開口部の最適な大きさは、測定する被検体細胞9aの形状、性質によって決定することができる。
そして、ダイアフラム2の厚みは10〜300μmとすることが加工性、機械的強度等の観点から好ましい。
また、キャビティ6の内径は100μm〜2.0mmとすることが生産性の観点から好ましい。100μmより小さくなると液体の分注などが困難となるとともに、気泡の残留が多く発生するようになる。また、2mmを越えるとセンサの生産性が低下するとともに、少量の細胞9を含んだ液体等の測定に不向きとなる。
また、このダイアフラム2を支持するとともに液体を貯留しておくためのキャビティ6を有したフレーム5から構成することが機械的強度と取り扱いの観点から好ましい。
次に、前記のような構成を有する細胞電気生理センサを用いて、細胞9が活動する際に発する電気生理活動を測定する方法について、図面を用いてさらに詳細に説明する。図3は前記細胞電気生理センサを測定装置にセットした際の測定装置の模式断面図である。
図3に示したように、細胞電気生理センサはプラスチックなどの絶縁体からなる容器17の内部に設けた仕切り板14の内部にセットされている。そして、この仕切り板14の上層部には液体を貯留するためのウエル15を配置している。
また、前記仕切り板14とウエル15は樹脂などで構成することが生産性、加工性及び寸法精度などの観点から好ましい。
さらに、この仕切り板14の内部には開口部を設けており、細胞電気生理センサは開口部の内部にダイアフラム2が下面側とし、開口部に液漏れが発生しないように隙間無く接合することによって、容器17の内部の空間はダイアフラム2を境に2つの領域に仕切られることとなり、仕切り板14によって仕切られた上下の領域内には細胞外液10または培養液などの液体と細胞内液11または薬液などの液体がそれぞれ貯留されることとなる。そして、これらの被検体細胞9aの上下の液体の移動は貫通孔1を介してのみ行われることとなる。また、容器17の一部を用いて仕切り板14の下面側には流路16を形成しておき、この流路16の内部にマイクロポンプなどの送液手段を用いて細胞内液11あるいは薬液などの液体を充填、除去することができるようにしている。
さらに、仕切り板14の上側には細胞外液10中に銀・塩化銀電極などで構成した参照電極12を配置し、仕切り板14の下側には細胞内液11中に銀・塩化銀電極などで構成した測定電極13を配置している。
なお、これらの参照電極12と測定電極13が入れ替わっていても良い。また、参照電極12及び測定電極13は、クロム、チタン、銅、金、白金、銀および塩化銀からなる材料から選択することも可能である。さらに、参照電極12及び測定電極13は針状の微小電極プローブを用いてもよい。
次に、上記のような細胞電位測定装置を準備した状態で、測定対象である細胞外液10などの液体中に分散させた細胞9を容器17の上部側より分注器を用いて分注し、その後吸引ポンプなどを用いて仕切り板14の下側が低圧になるように吸引力を制御することによって、仕切り板14の上下間に所定の圧力差を発生させる。このとき、一個の細胞9が貫通孔1の開口部に引き寄せられて吸引保持され、被検体細胞9aとしている。
そして、この圧力差が維持されていると十分な密着性が確保されることとなり、内部にある細胞外液10と細胞内液11との間で電気的抵抗値を持つようになる。
この被検体細胞9aの吸引圧力を制御することによって前記被検体細胞9aの皮膜の一部を破るとともに、さらに被検体細胞9aの貫通孔1の下面側より、細胞内液11を注入することによって、被検体細胞9aの一部に細胞内液11と接触させることができる。これによって、被検体細胞9aの電気化学的変化を測定できる状態となる。
次に、この電気的変化を測定するために、細胞外液10に接続するように参照電極12を配置するとともに、細胞内液11に接続する測定電極13を配置し、この参照電極12と測定電極13との間で電流あるいは電圧変化を測定することによって被検体細胞9aの電気化学的変化を測定検出することができる。
例えば、被検体細胞9aに薬品などの化学化合物などの刺激が加わると、被検体細胞9aは電気生理的応答を示すこととなり、その結果、参照電極12と測定電極13との間において、例えば電圧、電流などの電気的応答として観測することができる。
ここで、細胞外液10とは、例えば、哺乳類筋細胞の場合、代表的にはK+イオンが4mM程度、Na+イオンが145mM程度、Cl-イオンが123mM程度添加された電解液であり、細胞内液11とは、例えば、哺乳類筋細胞の場合、代表的にはK+イオンが155mM、Na+イオンが12mM程度、Cl-イオンが4.2mM程度添加された電解液である。
なお、細胞外液10と細胞内液11とは、本実施の形態1のように異なる組成のものを用いてもよく、同じものを用いてもよい。
そして、ウエル15に細胞外液10を充填すると、ウエル15の内部に設置された参照電極12と流路16の内部に設置された測定電極13との間で、100kΩ〜10MΩ程度の抵抗値を観察することができる。これは細胞電気生理センサに設けられた貫通孔1に電解液が浸透し、それぞれの電極12,13との間で電気回路が形成されるからである。
次に、例えば流路16の一方を封止し、他方から減圧することで、細胞9は貫通孔1へ引き付けられ、ついにはこの貫通孔1を塞ぐことによって被検体細胞9aとなり、細胞外液10を充填したキャビティ6と細胞内液11などの液体を充填した流路16との電気抵抗は十分に高くなる。
そして、さらに減圧を続ける、もしくはナイスタチンのように被検体細胞9aの外壁を溶解する作用のある薬液を流路16の内部に導入することで、被検体細胞9aに微細小孔を形成する。
その後、この被検体細胞9aに化学的刺激、あるいは物理的刺激を付与する。この化学的刺激としては、化学薬品、毒物、物理的刺激としては機械的変異、光、熱、電気、電磁波などが挙げられる。
そして、被検体細胞9aがこれらの刺激に対して活発に反応する場合、被検体細胞9aはその細胞膜にあるイオンチャネルを通じて各種イオンを放出あるいは吸収する。そうすると、被検体細胞9aを通るイオン電流が発生し、この被検体細胞9aの内外の電位勾配が変化するため、この変化を反応前後の参照電極12と測定電極13との間の電圧、あるいは電流を測定することによって検出することができる。
そして、このとき貫通孔1の近傍に気泡が存在すれば、抵抗値の増大により測定電極13で検知する電流・電圧の測定値が変動するが、図1に示したような構成の細胞電気生理センサを用いることによって残留する気泡の発生を抑制することができるとともに、残留した気泡を速やかに除去することができるセンサ構造を実現していることから、測定の信頼性を高めた細胞電気生理センサを実現することができる。
次に、本実施の形態1における細胞電気生理センサの製造方法について図面を用いて説明する。図4〜図8は製造方法を説明するための工程の断面図である。
まず、図4に示すように、厚みが約20μmのシリコン層20、厚みが約2μmの二酸化シリコン層21、厚みが400〜500μmのシリコン層22からなるSOI基板を準備し、貫通孔1を形成するシリコン層20の一面にレジストマスク(図示せず)を形成する。このとき、レジストマスクのマスクホールの形状は所望の貫通孔1の形状とほぼ同じになるように設計している。本実施の形態1では貫通孔1の最小開口径を3μmとしたため、マスクホールの開口径も3μmとした。
その後、ドライエッチング技術を用いてシリコン層20の表面からエッチングを行い、貫通孔1の一部となる凹部23を形成する。このとき、凹部23を高精度に形成する際には、エッチングを促進するSF6などのエッチングガスと、エッチングを抑制するガスを交互に用いたドライエッチング加工を行うことが好ましい。このエッチングを抑制するガスとしてはCHF3、C48などがあり、このエッチングを抑制するガスをエッチングされた壁面に吹き付けると、その表面にCF2のポリマーである保護膜を形成するため、貫通孔1を形成する凹部23の最深部からシリコン層20の表出面に向けてほぼ垂直に凹部23を形成させることができる。そして、ドライエッチングガスとしてシリコンのエッチングを促進するSF6などを用いると、エッチンググレードの差により二酸化シリコン層21がエッチングストップ層となる。このようなエッチング技術を用いることによって、貫通孔1の深さを所定形状に高精度に形成することができ、微少形状であっても容易に作製することができる製造方法とすることができる。
次に、図5に示すように、凹部23から二酸化シリコン層21の下面までドライエッチングを行い、これによって貫通孔1となるビアホールを形成することができる。このとき、二酸化シリコン層21を、SOI基板の上面から例えばCF4などのガスを用いてエッチングすることによって貫通孔1を形成することができる。その後、レジストマスクを除去する。
次に、シリコン層22の表出面にレジストマスク(図示せず)を形成した後、シリコン層22から二酸化シリコン層21までをエッチングを促進するSF6などのエッチングガスを用いて前記と同様のエッチング法を用いてエッチングすることによって、図6に示したようにフレーム5とキャビティ6を形成することができる。このときも、二酸化シリコン層21がエッチングストップ層となるので、高精度にフレーム5およびキャビティ6を作製可能となる。
なお、前記製造方法において、SOI基板を用いて一括して前記センサを作製することが可能であり、各製造工程のレジストマスクを工夫しながら作製すると、一括して多数の細胞電気生理センサを作製することができる。
次に、図7に示したように二酸化シリコン層21のキャビティ6側の貫通孔1の周縁部に所定寸法となるようにレジストマスク(図示せず)を形成する。ここでは、20μmφの円形状を有したレジストマスクを形成した。そして、このレジストマスクの形成方法はディスペンサあるいはインクジェット工法を用いて形成することができる。レジストマスクを形成した後、二酸化シリコン層21の表出面に凹凸を形成するためのエッチング処理を行う。これに用いるエッチングガスとしてはCHF3とArガスとの混合ガスを用いてプラズマエッチングを行うことによって表出した二酸化シリコン層21の表面に凹凸加工を施して凹凸部4bを形成することができる。このとき、プラズマの発生条件を変化させることによって凹凸部4bの表面粗さを制御することができ、これを制御することによって凹凸部4bの表面粗さをRa≧5〜100nmの範囲で形成し、それぞれのサンプルについて、その親水性の評価と気泡の状況をそれぞれの表面粗さについて確認し、前記範囲において気泡の発生の抑制と除去を効率よく行うことができる表面性を有していることを確認できた。
また、凹凸加工の後、レジストマスクを除去することによって、貫通孔1の周縁部に平滑部4aを形成することができる。このとき、平滑部4aの大きさは測定する細胞の大きさによって変更することが好ましく、細胞の大きさよりも若干大きく設計しておくことが好ましい。これによって、この平滑部4aの一部は被検体細胞9aの一部が接触することになり、表面が1nm(Ra)以下の平滑性を有しておれば、被検体細胞9aの皮膜に傷が入らないことと、貫通孔1より吸引したときに密着性が高めることによる高いシール性(Gシール性)を発揮することができ、高精度に測定することができる細胞電気生理センサを作製することができる。
なお、凹凸部4bを形成する方法としては、サンドブラスト法、HFなどの化学エッチング法などを適宜用いることができる。
次に、図8を用いて別の例の細胞電気生理センサの構成について説明する。
図8に示した細胞電気生理センサが、図1で示した細胞電気生理センサの構成と大きく異なっているところは、貫通孔1の内壁面およびフレーム5の内壁面に二酸化シリコン膜25を形成していることである。これによって、さらに気泡の発生の抑制と除去を効率よく行うことができる細胞電気生理センサを実現することができる。これは、液体と接触するシリコンの表面を二酸化シリコン膜25で被覆することによって親水性を高めることによってそれぞれの壁面から気泡の発生を抑制するとともに、気泡の残留を大幅に低減しながら薬液などの液体を充填することができるものである。特に、少なくとも貫通孔1の内壁面およびフレーム5の内壁面を二酸化シリコン膜25で被覆することが好ましい。その理由は、被検体細胞9aの測定を行うときに気泡の影響を受けやすい箇所であるからである。
このような細胞電気生理センサを作製するためには、表出したシリコンの表面を温度;700℃以上、および酸素の存在下で熱酸化することによって、シリコンの表面を熱酸化し、二酸化シリコン膜25として形成することができる。なお、水蒸気を加えて熱処理することも有効である。
そして、この熱酸化による二酸化シリコン膜25の皮膜は5nm以上が好ましい。5nmを下回ると均一な欠陥の少ない熱酸化膜を得ることが困難となる。
そして、この細胞電気生理センサの表面の親水性を維持しておくためには、表面に付着した炭素分子を除去した清浄な表面としておくことが好ましい。清浄化した後、速やかに純水を充填した容器の内部に前記センサを保管しておくことによって、表面の清浄度を保持することができる。また、このときの親水性は接触角で10°以下であることが好ましい。この接触角は測定対象の表面にイオン除去された純水の水滴を塗布して測定することができる。
このように、キャビティ6の内壁面、ダイアフラム2の表出面および貫通孔1の内壁面などの液体が接触する全ての表面を親水性としておくことがより好ましい。これによって、各種測定のための液体との濡れ性を高めることによって、気泡の発生をさらに抑制することができる。これによって、細胞電気生理センサの壁面と薬液などの液体との濡れ性を高め、速やかに液体をキャビティ6から貫通孔1の内部へ充填することができるとともに、貫通孔1の周辺に気泡の無い状態で充填することができる細胞電気生理センサを実現できる。
これによって気泡の発生の抑制と残留した気泡を効率よく除去することができる細胞電気生理センサを実現している。
本発明の細胞電気生理センサは、気泡の発生の抑制と残留した気泡の除去を容易に行うことができることから、細胞電気生理センサの測定に対する信頼性を向上させることができる。従って、高精度な測定が要求される医療分野等における細胞電気生理センサとして、大いに利用可能性を有するものである。
本発明の実施の形態1における細胞電気生理センサの断面図 同平面図 同細胞の電気生理現象を測定する方法を説明するための断面図 同細胞電気生理センサの製造方法を説明するための工程断面図 同断面図 同断面図 同断面図 同別の例の細胞電気生理センサの断面図 従来の細胞外電位測定センサの断面図
符号の説明
1 貫通孔
2 ダイアフラム
3 シリコン
4 二酸化シリコン
4a 平滑部
4b 凹凸部
5 フレーム
6 キャビティ
9 細胞
9a 被検体細胞
10 細胞外液
11 細胞内液
12 参照電極
13 測定電極
14 仕切り板
15 ウエル
16 流路
17 容器
20 シリコン層
21 二酸化シリコン層
22 シリコン層
23 凹部
25 二酸化シリコン膜

Claims (5)

  1. 少なくとも一つの貫通孔を有したダイアフラムと、このダイアフラムを支持するとともにキャビティを有したフレームとからなる細胞電気生理センサであって、前記ダイアフラムはシリコン層と二酸化シリコン層の積層構造とし、前記二酸化シリコン層の表面を凹凸形状とした細胞電気生理センサ。
  2. 二酸化シリコン層の凹凸形状の表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で5nm以上とした請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  3. 貫通孔の周縁部の二酸化シリコン層の表面を平滑にした請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  4. 平滑な表面を有する貫通孔の周縁部の二酸化シリコン層の領域を細胞の大きさよりも大きくした請求項3に記載の細胞電気生理センサ。
  5. 少なくともキャビティおよび貫通孔の内壁面を二酸化シリコン膜で被覆した請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
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