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JP2009280717A - シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物およびその製造方法 - Google Patents

シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物およびその製造方法 Download PDF

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JP2009280717A
JP2009280717A JP2008135101A JP2008135101A JP2009280717A JP 2009280717 A JP2009280717 A JP 2009280717A JP 2008135101 A JP2008135101 A JP 2008135101A JP 2008135101 A JP2008135101 A JP 2008135101A JP 2009280717 A JP2009280717 A JP 2009280717A
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aqueous
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JP2008135101A
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English (en)
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和彦 ▲児▼島
Kazuhiko Kojima
Tsutomu Osanawa
努 長縄
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DuPont Toray Specialty Materials KK
Original Assignee
Dow Corning Toray Co Ltd
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Abstract

【課題】シリコーン樹脂が水中に均一に乳化しており、保存安定性に優れたシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物、その製造方法を提供する。
【解決手段】平均単位式:Rm nSi(OX)p(4-m-n-p)/2を有し、軟化点が0℃以下のシリコーン樹脂、オルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシラン、界面活性剤および水からなるシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。さらに水溶性かつ増粘性のポリマーからなるシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。上記シリコーン樹脂と、オルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシラン、界面活性剤および水の混合物とを混合する上記組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物およびその製造方法に関し、さらに詳しくは保存安定性に優れたシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物およびその製造方法に関する。
従来から、シリコーン樹脂は、撥水性、耐候性、耐熱性、防汚性、難燃性等の性質が優れていることから、塗料、コーティング剤、離型剤を始めとする多くの製品、用途に使用されている。しかし、一般的にシリコーン樹脂は常温で固形であるので、作業性の観点から、有機溶剤に溶解して希釈されたものが使用されることが多い。ところが、有機溶剤は揮散しやすいので環境問題を引きおこしがちであり、人体に有毒なものが多く、引火点が低く易燃性であるため、分散媒を有機溶剤から水に置き換えることが求められている。そのため、シリコーン樹脂を水に乳化してエマルジョンとする種々の試みが行われている。しかしながら、軟化点が室温より高いシリコーン樹脂は、室温では流動性を持たないため、水に乳化することが困難であり、乳化されたとしても貯蔵安定性の低い水性エマルジョンになる。
そのため、
(a) 特公平5−87544には、ポリオルガノシロキサン樹脂の有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン)溶液を乳化剤により水中に乳化する方法が提案されている。
(b) 特開平7−291219には、直鎖状ポリジメチルシロキサンとイソパラフィンとポリメチルシルセスキオキサン粉末を混合してポリメチルシルセスキオキサン粉末が分散した直鎖状ポリジメチルシロキサン溶液を調製し、非イオン系界面活性剤と少量の水を加えてグリース状にし、水で稀釈するという方法が提案されている。
(c) 特表2004−502017には、ポリメチル水素シロキサンとシリコーン樹脂とアルキルトリアルコキシシランの混合物、揮発性メチルシロキサン、界面活性剤および水を混合するという方法が提案されている。
(d)特表平08-504844には、ポリオルガノシロキサン油、ガム或は樹脂を含み、粘度が少なくとも3Pa・sに等しいシリコーン相(A)100重量部、水2〜20重量部、界面活性剤(B)0.5〜10重量部または界面活性剤(B)0.5〜10重量部と水溶性の増粘性ポリマー(C)2.5x10-4〜20重量部の組合せ3〜20重量部を混練して、ポリオルガノシロキサン油及び/又はガム及び/又は樹脂の水中油形エマルション(粒径0.1〜5μm)を製造する方法が提案されている。
シリコーン相(A)は、粘度が少なくとも3Pa・sに等しい、ポリオルガノシロキサン油及び/又はガム及び/又は樹脂の少なくとも一種の溶媒及び/又は少なくとも一種のシラン及び/又は少なくとも一種のシリカ質もしくは非シリカ質充填剤の混合物であり(請求項3);ポリオルガノシロキサン樹脂は、RSiO3/2(T単位)及び/又はSiO2(Q単位)と、R'3‐aaSiO1/2(M単位)及びR2SiO(D単位)(式中、aは0〜3の整数であり、Rは炭素原子数1〜10の飽和或は不飽和の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜13の芳香族炭化水素基、極性有機基又は水素原子であり、R'は水酸基、アルコキシ基など)とからなり(請求項7);式(Rb)Si(OR')4-b(式中、bは0〜4の整数であり、R及びR'は上記どおり)を有するシランが、ポリオルガノシロキサン油及び/又はガム及び/又は樹脂100重量部当り0〜10重量部存在し、シランは架橋剤または接着剤であり(請求項8);少なくとも一種の油及び/又はガム及び/又は樹脂+随意の溶媒+随意のシランを、水+界面活性剤+随意の水溶性ポリマー混合物に導入し、次いで温度10〜50℃の範囲で混練することによってシリコーン相を乳化する(請求項14)と記載されている。
特公平5−87544号公報 特開平7−291219号公報 特表2004−502017号公報 特表平8−504844号公報、特許第3329816号公報
しかし、(a)によるエマルジョンは、依然として有機溶剤を含むという問題がある。
(b)は、特殊なシリコーン樹脂であるポリメチルシルセスキオキサン粉末が分散したエマルジョンの製法に限定されており、しかも、直鎖状ポリジメチルシロキサンとイソパラフィンを含有することが必須という問題がある。
(c)による製法は、ポリメチル水素シロキサンと揮発性メチルシロキサンを含有することが必須という問題がある。
(d)の[発明の詳細な説明]には、ポリオルガノシロキサン樹脂についての説明が乏しく、シリコーン相がポリオルガノシロキサン樹脂からなる水性エマルション、ポリオルガノシロキサン樹脂とシランからなる水性エマルションともに、実施例がなく、保存安定性の優れたポリオルガノシロキサン樹脂水性エマルジョンを当業者が製造できる程度に明確かつ十分に記載されていない。
そこで、本発明者は、上記問題点のないシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物およびその製造方法を開発すべく鋭意研究した結果、本発明に到達した。
本発明の目的は、有機溶剤や直鎖状ポリジメチルシロキサン、ポリメチル水素シロキサン、揮発性メチルシロキサンなどを含有しなくてもシリコーン樹脂が水中に均一に乳化しており、かつ保存安定性に優れたシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物およびその製造方法を提供することにある。
上記目的は、
「[1] (A) シリコーン樹脂、(B)シラン、(C)界面活性剤および(D)水からなるシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物において、
成分(A)は、平均単位式(1):
m nSi(OX)p(4-m-n-p)/2 (1)
{式中、Rはアルキル基であり、Rは非置換一価炭化水素基(アルキル基を除く)または置換一価炭化水素基であり、Xは水素原子またはアルキル基である。m,n,p,は0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0.7≦m+n≦1.8、0<p≦1.0を満たす数である。}で示され、R(XO)SiO2/2単位およびR(XO)SiO2/2単位からなる群から選択されるシロキサン単位(式中、R、R、Xは前記どおりである)を含有し、軟化点が0℃以下であるシリコーン樹脂であり、
成分(B)は、(b1)分子式(2):R aSi(OY)4−a (2)
(式中、Rは非置換一価炭化水素基または置換一価炭化水素基であり、Yはアルキル基であり、aは0,1,2または3である)で示されるオルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシラン、または(b2)前記オルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物であって、成分(A)の3.5〜30重量%配合され、
成分(C)は、成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量配合されていることを特徴とする、シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
[2] 成分(A)は前記シロキサン単位を1〜50モル%含有することを特徴とする、[1]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
[3] 平均単位式(1)中のnが0であり、分子式(2)中のRがアルキル基またはフェニル基であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
[4] 平均単位式(1)中のXが水素原子および/または炭素原子数1,2もしくは3のアルキル基であり、分子式(2)中のYが炭素原子数1,2または3のアルキル基であり、aが1であることを特徴とする、[3]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。」により達成される。
上記目的は、
「[5] 成分(A)と成分(B)を、成分(C)の作用により成分(D)中に乳化して請求項1記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物を製造する方法において、成分(A)と、[成分(A)の3.5〜30重量%の成分(B)と, 成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と, 成分(D)との混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合する、または、[成分(A)とその3.5〜30重量%の成分(B)の混合物]と、[成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と成分(D)の混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合することを特徴とする、[1]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
[6] 0℃より高く90℃以下の温度が2℃以上、75℃以下であることを特徴とする、[5]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。」により達成される。
上記目的は、
「[7] (A)シリコーン樹脂、(B)シラン、(C)界面活性剤、(E)水溶性かつ増粘性のポリマーおよび(D)水からなるシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物において、
成分(A)は、平均単位式(1):
m nSi(OX)p(4-m-n-p)/2 (1)
{式中、Rはアルキル基であり、Rは非置換一価炭化水素基(アルキル基を除く)または置換一価炭化水素基であり、Xは水素原子またはアルキル基である。m,n,p,は0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0.7≦m+n≦1.8、0<p≦1.0を満たす数である。}で示され、R(XO)SiO2/2単位およびR(XO)SiO2/2単位からなる群から選択されるシロキサン単位(式中、R、R、Xは前記どおりである)を含有し、軟化点が0℃以下であるシリコーン樹脂であり、
成分(B)は、(b1)分子式(2):R aSi(OY)4−a (2)
(式中、Rは非置換一価炭化水素基または置換一価炭化水素基であり、Yはアルキル基であり、aは0,1,2または3である)で示されるオルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシラン、または(b2)前記オルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物であって、成分(A)の3.5〜30重量%配合され、
成分(C)は、成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量配合され、
成分(E)は、水性エマルジョンの保存安定性を向上するのに十分な量が配合されていることを特徴とする、シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
[8] 成分(A)は前記シロキサン単位を1〜50モル%含有することを特徴とする、[7]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
[9] 平均単位式(1)中のnが0であり、分子式(2)中のRがアルキル基またはフェニル基であることを特徴とする、[7]または[8]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
[10] 平均単位式(1)中のXが水素原子および/または炭素原子数1,2もしくは3のアルキル基であり、分子式(2)中のYが炭素原子数1,2または3のアルキル基であり、aが1であることを特徴とする、[9]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
[11] 成分(E)が、カルボキシビニルポリマーであることを特徴とする、[7]または[8]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
[12] さらに(F)アルカリ金属水酸化物を含有することを特徴とする、[11]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。」により達成される。
上記目的は、
「[13] 成分(A)と成分(B)を、成分(C)の作用により成分(D)中に乳化して[7]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物を製造する方法において、成分(A)と、[成分(A)の3.5〜30重量%の成分(B)と, 成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と, 成分(D)との混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合する、または、[成分(A)とその3.5〜30重量%の成分(B)の混合物]と、[成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と成分(D)の混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合し、次いで成分(E)の水溶液を投入して混合することを特徴とする、[7]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
[14] 成分(E)がカルボキシビニルポリマーであることを特徴とする、[13]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
[15] カルボキシビニルポリマー水溶液とともに(F)アルカリ金属水酸化物またはその水溶液を投入して混合することを特徴とする、[14]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
[16] 0℃より高く90℃以下の温度が2℃以上、75℃以下であることを特徴とする、[13]に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。」により達成される。
本発明のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、有機溶剤や直鎖状ポリジメチルシロキサン、ポリメチル水素シロキサン、揮発性メチルシロキサンを含有しなくてもシリコーン樹脂が水中に均一に乳化しており、かつ保存安定性に優れている。
本発明のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法によると、上記シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物を、簡易に効率よく製造することができる。
本発明の請求項1に係るシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、
(A) シリコーン樹脂、(B)シラン、(C)界面活性剤および(D)水からなるシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物において、
成分(A)は、平均単位式(1):
m nSi(OX)p(4-m-n-p)/2 (1)
{式中、Rはアルキル基であり、Rは非置換一価炭化水素基(アルキル基を除く)または置換一価炭化水素基であり、Xは水素原子またはアルキル基である。m,n,p,は0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0.7≦m+n≦1.8、0<p≦1.0を満たす数である。}で示され、R(XO)SiO2/2単位およびR(XO)SiO2/2単位からなる群から選択されるシロキサン単位(式中、R、R、Xは前記どおりである)を含有し、軟化点が0℃以下であるシリコーン樹脂であり、
成分(B)は、(b1)分子式(2):R aSi(OY)4−a (2)
(式中、Rは非置換一価炭化水素基または置換一価炭化水素基であり、Yはアルキル基であり、aは0,1,2または3である)で示されるオルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシラン、または(b2)前記オルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物であって、成分(A)の3.5〜30重量%配合され、
成分(C)は、成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量配合されていることを特徴とする。
平均単位式(1)において、Rはアルキル基であり、ケイ素原子に直結している。mは平均0.5≦m≦1.8である。すなわち、シリコーン樹脂中のケイ素原子1個あたり、アルキル基は平均0.5個以上、1.8個以下である。アルキル基としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基が例示される。シリコーン樹脂の乳化性の点で炭素原子数1〜6の低級アルキル基が好ましいが、シリコーン樹脂に撥水剤が求められる場合には長鎖アルキル基が好ましい。
1は、ケイ素原子に直結した非置換一価炭化水素基(アルキル基を除く)または置換一価炭化水素基である。
非置換一価炭化水素基(アルキル基を除く)は、乳化性の点で炭素数2〜10のものが好ましく、ビニル基、アリル基、5−ヘキセニル基、9−デセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基が例示される。
この中でも、シリコーン樹脂(A)をヒドロシリレーション反応により硬化させる場合にはビニル基、アリル基などのアルケニル基が好ましく、シリコーン樹脂(A)に耐熱性が求められる場合にはフェニル基が好ましい。
1は、置換一価炭化水素基でもよく、上記の非置換一価炭化水素基、特にはアルキル基またはフェニル基の水素原子の一部又は全部が下記置換基で置換されたものがある。
置換基として、フッ素、塩素などのハロゲン原子;グリシジロキシ基、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシ官能基;メタクリルロキシ基、アクリロキシ基などの(メタ)アクリル官能基;アミノ基、アミノエチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジブチルアミノ基などのアミノ官能基;メルカプト基、テトラスルフィド基などの含硫黄官能基;アルコキシ基;ヒドロキシカルボニル基;アルコキシカルボニル基が例示される。
置換一価炭化水素基の具体例として、3,3,3−トリフルオロプロピル基、パーフルオロブチルエチル基、パーフルオロオクチルエチル基、3−クロロプロピル基、3−グリシジロキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、5,6−エポキシヘキシル基、9,10−エポキシデシル基、3−メタアクリロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基、11−メタアクリロキシウンデシル基、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(N−フェニルアミノ)プロピル基、3−ジブチルアミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基;3−ヒドロキシカルボニルプロピル基;メトキシプロピル基、エトキシプロピル基が挙げられる。
平均単位式(1)において、nは0≦n≦1.0である。すなわち、シリコーン樹脂中のケイ素原子1個あたり、R1は0個以上、平均1.0個以下である。n=0、すなわち、R1を含有しないときは、シリコーン樹脂はアルキルポリシロキサン樹脂である。nが1.0を超えると、R基の含有率が低下してR1基の含有率が多くなり乳化性が低下することがある。
平均単位式(1)において、OX基中のXは水素原子またはアルキル基である。Xが水素原子である場合はOX基は水酸基であり、アルキル基である場合はOX基はアルコキシ基である。いずれもケイ素原子に直結している。乳化性の点でアルキル基の炭素原子数は、10以下が好ましく、3以下がより好ましい。
アルコキシ基の具体例として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンタノキシ基、メトキシエトキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、オルガノアルコキシランの加水分解縮合反応によりシリコーン樹脂を調製したときの残留基であることが多い。
ケイ素原子に直結した水酸基は、シラノール基とも称され、オルガノアルコキシランまたはオルガノハロシランの加水分解縮合反応によりシリコーン樹脂を調製したときに生成する。
平均単位式(1)において、m+nは0.7≦m+n≦1.8を満たす数である。m+nは、シリコーン樹脂中のケイ素原子1個あたりのR基とR1基の合計数の平均値である。
m+nが0.7未満では、R基またはR基とR1基の含有率が低く、シリコーン樹脂被膜が硬くなりすぎてクラックが発生し易いため、好ましくない。m+nが1.8を超えると、直鎖状単位が多くなり、シリコーン樹脂被膜がゴム状なるので好ましくない。好ましくは、m+nが0.9以上1.6以下の範囲である。
平均単位式(1)において、pは0<p≦1.0を満たす数である。pは、シリコーン樹脂中のケイ素原子1個あたりのOX基の平均数である。
OX基は、オルガノアルコキシランまたはオルガノハロシランの加水分解縮合反応によりシリコーン樹脂を調製したときに、残留または生成するので、シリコーン樹脂(A)中のケイ素原子1個あたり、通常、平均0より大きいが、多すぎると、シリコーン樹脂(A)の水溶性が大きくなりすぎ、あるいは不安定となるので、平均1.0以下である。シリコーン樹脂(A)1分子中のOX基は、すべてOH基、すべてアルコキシ基、OH基とアルコキシ基の3とおりがある。
OX基含有シリコーン樹脂を微量の水酸化カリ存在下で加熱することによりOX基を減少させることができる。
シリコーン樹脂(A)の乳化性と水性エマルジョンの保存安定性の点で、pのより好ましい範囲は0.05〜0.8であり、更に好ましくは0.2〜0.7の範囲である。
シリコーン樹脂(A)を構成するシロキサン単位として、トリオルガノシロキサン単位(略称M単位)、ジオルガノシロキサン単位(略称D単位)、モノオルガノシロキサン単位(略称T単位)およびSiO4/2単位(略称Q単位)がある。
シリコーン樹脂(A)は、T単位、Q単位、または、T単位とQ単位が必須であるが、その軟化点を低くするため、さらにD単位を含有することが好ましい。
好ましいシロキサン単位の組合せとして、T単位とD単位; T単位とD単位とM単位;T単位とD単位とQ単位;T単位とD単位とQ単位とM単位;D単位とQ単位とM単位がある。
モノオルガノシロキサン単位としてRSiO3/2単位、R1SiO3/2単位があり、
ジオルガノシロキサン単位としてR SiO2/2単位、RR1SiO2/2単位、R1 SiO2/2単位があり、
トリオルガノシロキサン単位としてRSiO1/2単位、R1SiO1/2単位、RR1 SiO1/2単位がある。
さらには、上記シロキサン単位中のR基またはR1基の一つがOX基に置換されたシロキサン単位、例えば、R(XO)SiO2/2単位、R1(XO)SiO2/2単位がある。
シリコーン樹脂(A)は、水への乳化性およびエマルジョンの保存安定性を向上するため、R(XO)SiO2/2単位、R1(XO)SiO2/2単位、または、これら両単位を含有する。
その含有量は、好ましくは、全シロキサン単位の1〜50モル%であり、より好ましくは2〜30モル%であり、さらに好ましくは4〜25モル%である。
シリコーン樹脂(A)は、水への乳化性の点で、軟化点が0℃以下である。
シリコーン樹脂(A)の軟化点は、示差熱分析計によりガラス転移点を測定することにより求めることができる。
シリコーン樹脂(A)の製法は、特に限定されない。例えば、オルガノアルコキシランの加水分解縮合反応、オルガノハロシランの加水分解縮合反応、オルガノアルコキシランとオルガノハロシランの加水分解縮合反応、あるいは、モノオルガノトリアルコキシシランもしくはモノオルガノトリハロシランの部分加水分解物とジオルガノポリシロキサンの平衡化反応により調製される。
(B)(b1)分子式(2):R aSi(OY)4−a (2)
(式中、Rは非置換一価炭化水素基または置換一価炭化水素基であり、Yはアルキル基であり、aは0,1,2または3である)で示されるオルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシラン、または、(b2)前記オルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物は、成分(A)の成分(D)中への乳化を補助し、安定化する作用がある。
は、ケイ素原子に直結した非置換一価炭化水素基または置換一価炭化水素基である。
非置換一価炭化水素基は、乳化補助作用の点で炭素原子数1〜10のものが好ましい。
非置換一価炭化水素として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基、5−ヘキセニル基、9−デセニル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジルなど等のアラルキル基が例示される。
この中でも、シリコーン樹脂(A)中のRがアルキル基、アルケニル基である場合にはアルキル基、アルケニル基が好ましく、Rがアリール基である場合にはアリール基が好ましく、Rがアルキル基とアリール基である場合にはアルキル基とアリール基が好ましい。
置換一価炭化水素基として、上記の非置換一価炭化水素基、特にはアルキル基またはフェニル基の水素原子の一部又は全部が下記置換基で置換されたものが例示される。
置換基として、フッ素、塩素などのハロゲン原子;グリシジロキシ基、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシ官能基;メタクリルロキシ基、アクリロキシ基などの(メタ)アクリル官能基;アミノ基、アミノエチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジブチルアミノ基などのアミノ官能基;メルカプト基、テトラスルフィド基などの含硫黄官能基;アルコキシ基;ヒドロキシカルボニル基;アルコキシカルボニル基が例示される。
置換一価炭化水素基の具体例として、3,3,3−トリフルオロプロピル基、パーフルオロブチルエチル基、パーフルオロオクチルエチル基、3−クロロプロピル基、3−グリシジロキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、5,6−エポキシヘキシル基、9,10−エポキシデシル基、3−メタアクリロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基、11−メタアクリロキシウンデシル基、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(N−フェニルアミノ)プロピル基、3−ジブチルアミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基;3−ヒドロキシカルボニルプロピル基;メトキシプロピル基、エトキシプロピル基が挙げられる。
ケイ素原子に結合したOYはアルコキシ基であり、Yはアルキル基である。
アルキル基は、水への乳化補助作用の点で炭素数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基が例示される。アルキル基はアルコキシ化アルキル基であってもよい。
aは0,1,2または3であるが、1が最も好ましく、ついで2が好ましい。
成分(b1)のうち、a=0であるものとして、テトラアルコキシシランがある。a=1であるものとして、アルキルトリアルコキシシラン、アルケニルトリアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、置換アルキルトリアルコキシシランがある。
a=2であるものとして、ジアルキルジアルコキシシラン;アルキルアルケニルジアルコキシシラン;アルキルアリールジアルコキシシラン、アルキル(置換アルキル)ジアルコキシシランがある。
テトラアルコキシシランとして、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランが例示される。
アルキルトリアルコキシシランとして、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシランが例示される。
アルケニルトリアルコキシシランとして、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランが例示される。
アリールトリアルコキシシランとして、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが例示される。
置換アルキルトリアルコキシシランとして、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノ−1−メチルエチルトリエトキシシラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランが例示される。
ジアルキルジアルコキシシランとして、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジブトキシシランが例示される。
アルキルアルケニルジアルコキシシランとして、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジプロポキシシラン、メチルアリルジメトキシシラン、メチルアリルジエトキシシランが例示される。
アルキルアリールジアルコキシシランとして、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジプロポキシシランが例示される。
アルキル(置換アルキル)ジアルコキシシランとして、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、N−ブチル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランが例示される。
成分(b2)は、分子式(2)で示されるオルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物である。もっとも、a=3であるトリオルガノアルコキシシラン自体は加水分解縮合すると、アルコキシ基もシラノール基も有しない2量体となり、乳化補助作用を有しないので、成分(b2)は、a=3であるトリオルガノアルコキシシラン自体の加水分解縮合物を含まない。成分(b2)は、分子式(2)において、a=1であるオルガノトリアルコキシシラン、a=2であるジオルガノジアルコキシシラン、a=3であるトリオルガノアルコキシシランおよびa=0であるテトラアルコキシシランからなる群から選択される2種〜3種の部分共加水分解縮合物であってもよい。
成分(B)は、上記成分(b1)の2種類以上、成分(b2)の2種類以上、成分(b1)と成分(b2)の各1種類以上併用することも可能である。
成分(B)は、成分(A)の3.5〜30重量%配合され、好ましくは4〜15重量%配合される。成分(B)の配合量が、成分(A)の3.5重量%未満であると生成した水性エマルジョンの保存安定性が劣り、30重量%を超えると副生するアルコール量が増加し、環境や人体に悪影響を与えることや、皮膜の耐久性が劣るため好ましくない。
成分(C)である界面活性剤は、成分(A)と成分(B)を成分(D)中に安定に乳化させる作用があり、成分(A)と成分(B)の乳化作用が優れておれば、特に限定されない。ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性界面活性剤から乳化作用の優れたものが適宜選択される。
ノニオン系界面活性剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルが例示される。ここでアルキル基として、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、セチル基、ステアリル基などの高級アルキル基が例示される。脂肪酸としてラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高・中級脂肪酸が例示される。
アニオン系界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルナフチルスルホン酸塩、不飽和脂肪族スルホン酸塩、水酸化脂肪族スルホン酸塩が例示される。ここでアルキル基として、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、セチル基、ステアリル基などの高・中級アルキル基が例示される。不飽和脂肪族基として、オレイル基、ノネニル基、オクチニル基が例示される。また、対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムまたはアンモニウムイオンが例示され、中でもナトリウムが一般的である。
カチオン系界面活性剤として、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルトリジアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライドなどのジアルキルジメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム型塩の界面活性剤が例示される。
両性界面活性剤として、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリンが例示される。
このような界面活性剤の一種を単独で用いてもよいし、タイプの異なる界面活性剤を2種類以上併用してもよい。
成分(C)の配合量は、成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量である。通常、成分(A)と成分(B)の合計量の1〜20重量%であり、2〜15重量%が好ましい。これは、1重量%未満では、成分(A)と成分(B)に対する乳化力が不十分なことがあり、水性エマルジョン組成物の安定性が不十分なことがあるからである。一方、20重量%を越えると、シリコーン樹脂皮膜の耐久性が劣ることがあるためである。
成分(D)である水は、乳化および乳化物の安定性を阻害する成分を含まないものが好ましく、イオン交換水、蒸留水、井戸水、水道水が例示される。
成分(D)は、安定な水性エマルジョン状態を保つのに十分な量であればよく、含有量は特に限定されない。通常、シリコーン樹脂水性エマルジョン中に10〜99重量%含有される。
本発明の請求項7に係るシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、
(A) シリコーン樹脂、(B)シラン、(C)界面活性剤、(E)水溶性かつ増粘性のポリマーおよび(D)水からなるシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物において、
成分(A)は、平均単位式(1):
m nSi(OX)p(4-m-n-p)/2 (1)
{式中、Rはアルキル基であり、Rは非置換一価炭化水素基(アルキル基を除く)または置換一価炭化水素基であり、Xは水素原子またはアルキル基である。m,n,p,は0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0.7≦m+n≦1.8、0<p≦1.0を満たす数である。}で示され、R(XO)SiO2/2単位およびR(XO)SiO2/2単位からなる群から選択されるシロキサン単位(式中、R、R、Xは前記どおりである)を含有し、軟化点が0℃以下であるシリコーン樹脂であり、
成分(B)は、(b1)分子式(2):R aSi(OY)4−a (2)
(式中、Rは非置換一価炭化水素基または置換一価炭化水素基であり、Yはアルキル基であり、aは0,1,2または3である)で示されるオルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシラン、または(b2)前記オルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物であって、成分(A)の3.5〜30重量%配合され、
成分(C)は、成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量配合され、
成分(E)は、水性エマルジョンの保存安定性を向上するのに十分な量が配合されていることを特徴とする。
成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)は、既に説明したとおりである。
成分(E)である水溶性かつ増粘性のポリマーは、成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)からなるシリコーン樹脂水性エマルジョンの保存安定性を向上する作用がある。
成分(E)として、アラビアガム、カラギーナン、クインスシード、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、キサンタンガムが例示される。これらのうちでは、保存安定性向上効果の点で、カルボキシビニルポリマーが好ましい。
成分(E)は、予め水溶液にしてから他成分と混合することが好ましい。カルボキシビニルポリマーは、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物により水溶性を向上することが好ましい。
成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)および成分(E)からなるシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物中の成分(E)の含有量は、シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の保存安定性を向上するのに十分な量であればよく、具体的には0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.02〜4重量%である。
上記2種のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、必要に応じて、公知の無機増粘剤(例えば、スメクタイトクレー)、無機バインダー(例えば、コロイダルシリカ)、縮合反応触媒、緩衝剤、pH調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、染料、浸透剤、帯電防止剤、キレート化剤、無機粉体などを含有することができる。なお、コロイダルシリカ(組成物中に2〜15重量%)を含有すると、シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物が乾燥して形成される皮膜の強度が向上する。
シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は触媒量の縮合反応触媒(例えば、テトラブチルチタネートのような有機チタン化合物触媒、ジブチルチンジラウレートのような有機錫触媒)を含有すると、常温硬化性となり、硬化皮膜を形成することができる。
本発明の請求項1に係るシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、
成分(A)と成分(B)を成分(C)の作用により成分(D)中に乳化することにより製造することができる。
成分(A)を、0℃より高く、かつ、成分(D)である水の沸点より低い温度で他成分と混合する必要がある。水温が0℃位になると氷結するので2℃以上が好ましい。水温が沸点に近くなると、蒸発速度が速くなるので、90℃以下である必要があり、75℃以下が好ましい。
成分(A)と成分(B)を成分(D)中に、より均一に乳化する方法として、下記の方法(1)がある。
方法(1)
成分(A)を容器に投入する。別の容器内で成分(B)と成分(C)と成分(D)をほぼ均一になるまで混合する。
成分(B)と成分(C)と成分(D)の混合物を、成分(A)の入った容器に投入する。次いで、プロペラ式電動攪拌機で撹拌し、成分(A)と成分(B)を微粒子状に成分(D)中に乳化して、水性エマルジョンとする。あるいはコロイドミル,ホモミキサー,ホモジナイザー,コンビミックス,サンドグラインダー,インライン式連続乳化機,真空乳化機などの高速せん断を掛けうる乳化機により高速攪拌して、あるいは超音波乳化機により高速振とうして成分(A)と成分(B)を微粒子状に成分(D)中に乳化して、水性エマルジョンとする。
成分(B)と成分(C)と成分(D)を混合する際に、少量の成分(D)を使用し、残余の成分(D)は、水性エマルジョンの希釈に使用してもよい。
方法(1)に準じた方法として下記の方法(2)と方法(3)がある。
方法(2)
容器内で成分(A)と成分(B)を混合する。別の容器内で成分(C)と成分(D)を混合して成分(C)を溶解する。その溶液を、成分(A)と成分(B)の混合物の入った容器に投入する。次いで、プロペラ式電動攪拌機で撹拌し、成分(A)と成分(B)を微粒子状に成分(D)中に乳化して、水性エマルジョンとする。あるいはコロイドミル,ホモミキサー,ホモジナイザー,コンビミックス,サンドグラインダー,インライン式連続乳化機,真空乳化機などの高速せん断を掛けうる乳化機により高速攪拌して、あるいは超音波乳化機により高速振とうして、成分(A)と成分(B)を微粒子状に成分(D)中に乳化して、水性エマルジョンとする。
成分(C)と成分(D)を混合する際に、少量の成分(D)を使用し、残余の成分(D)は、水性エマルジョンの希釈に使用してもよい。
方法(3)
容器内で成分(A)と成分(B)と成分(C)を混合する。
成分(D)を、成分(A)と成分(B)と成分(C)の混合物の入った容器に投入する。次いで、プロペラ式電動攪拌機で撹拌し、成分(A)と成分(B)を微粒子状に成分(D)中に乳化して、水性エマルジョンとする。あるいはコロイドミル,ホモミキサー,ホモジナイザー,コンビミックス,サンドグラインダー,インライン式連続乳化機,真空乳化機などの高速せん断を掛けうる乳化機により高速攪拌して、あるいは超音波乳化機により高速振とうして成分(A)と成分(B)を微粒子状に成分(D)中に乳化して、水性エマルジョンとする。
上記製造方法において、成分(B)の配合量は、成分(A)の3.5〜30重量%である。
成分(C)の配合量は、成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量である。通常、成分(A)と成分(B)の合計量の1〜20重量%であり、2〜15重量%が好ましい。
成分(D)の配合量は、成分(A)と成分(B)を乳化でき、安定な水性エマルジョン状態を保つのに十分な量であればよく、特に限定されないが、通常、シリコーン樹脂水性エマルジョン中に10〜99重量%含有されるような量である。
W/O型エマルジョンが生成した場合は、高速せん断を掛けることによりO/W型エマルジョンに転相することができる。その際、水で希釈してもよい。
かくして得られたシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、所定量の成分(B)を含有するので、水性エマルジョンの均一性が優れており、常温に静置した状態で、1週間以上安定である。そのエマルジョンの平均粒径は、0.1〜5μm位である。
成分(B)を含有しない場合は成分(A)を成分(D)中に乳化不可能である。含有しても、成分(A)の3.5重量%未満であると、水性エマルジョンが均一性に欠け、あるいは、保存安定性に欠ける。
本発明の請求項7記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、成分(A)と成分(B)を、成分(C)の作用により成分(D)中に乳化してシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物を製造する方法において、成分(A)と、[成分(A)の3.5〜30重量%の成分(B)と, 成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と,成分(D)の混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合し、または、[成分(A)とその3.5〜30重量%の成分(B)の混合物]と、[成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と成分(D)の混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合し、次いで、成分(E)の水溶液を投入して混合することより製造することができる。
成分(A)と、[成分(A)の3.5〜30重量%の成分(B)と, 成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と,成分(D)の混合物]とを、0℃より高く90℃未満の温度で混合する条件、および、[成分(A)とその3.5〜30重量%の成分(B)の混合物]と、[成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と成分(D)の混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合する条件は、既に説明したとおりである。
成分(E)がカルボキシビニルポリマーである場合は、さらに(F)アルカリ金属水酸化物を共存させることにより、水への溶解性と増粘性を向上させることが好ましい。
アルカリ金属水酸化物として水酸化ナトリウム、水酸化カリ、水酸化セシウムが例示される。
アルカリ金属水酸化物の配合量は、いわゆる触媒量でよく、好ましくはシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の10〜10,000重量ppmである。
アルカリ金属水酸化物は、予め水溶液としてから、上記の生成したエマルジョン組成物に投入することが好ましい。アルカリ金属水酸化物またはその水溶液は、上記の生成したエマルジョン組成物を常温(例えば、30℃)に冷却してから投入することが好ましい。投入後の撹拌時間は、均一になるのに十分な時間であればよい。
アルカリ金属水酸化物またはその水溶液の投入前または投入後に、水溶性ポリマー水溶液を投入してもよい。
また、さらに、コロイダルシリカを投入してもよく、水を投入して稀釈してもよい。
W/O型エマルジョンが生成した場合は、高速せん断を掛けることによりO/W型エマルジョンに転相することができる。その際、水で希釈してもよい。
かくして得られたシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、所定量の成分(B)と成分(E)を含有するので、均一性が優れており、常温に静置した状態で、3ヶ月以上安定である。そのエマルジョンの平均粒径は0.1〜5μm位である。
かくして製造されたシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、塩基性を呈するので、有機酸(例、酢酸)または鉱酸(例、塩酸、硫酸)により部分中和または中和してもよい。
以下、本発明を実施例と比較例によって詳しく説明する。実施例中、配合量を表す部は重量部を意味し、含有量を表す%は重量%を意味している。シリコーン樹脂の軟化点は、示差熱分析計によりガラス転移点を測定することにより求めた値である。エマルジョン粒子の平均粒径は、サブミクロン粒子アナライザー(コールターエレクトロニクス社製のCOULTER MODEL N4 MD)により粒径分布を測定し、平均粒径を算出した。
[実施例1]
平均組成式(CH3)1.2(OH)0.1(OCH2CH3)0.1SiO1.3で表され、平均単位式[(CH3)2SiO2/2]0.16[(CH3)(HO)SiO2/2]0.10[(CH3)(CH3CH2O)SiO2/2]0.06[(CH3)SiO3/2]0.68を有し、軟化点が0℃以下であるシリコーン樹脂100部を50℃まで加温後、n−オクチルトリエトキシシラン6部、ポリオキシエチレン(7モル)イソデシルエーテル4.3部および50℃の水8.5部を均一に混合した液を添加した。次いで50℃でプロペラ式電動撹拌機(HEIDONスリーワンモータ、回転数700rpm)を用いて高速撹拌してO/W型のメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョンを得た。これを30℃まで冷却後、水94部を配合してO/W型のメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物を得た。得られた水性エマルジョン組成物は未乳化物がなく均一であり、1週間以上安定であった。
[実施例2]
実施例1で用いたn−オクチルトリエトキシシランをn−ヘキシルトリメトキシシランに変更した以外は、実施例1と同一の条件で、O/W型のメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物を調製した。得られたメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物は、未乳化物がなく均一であり、1週間以上安定であった。
[実施例3]
実施例1で用いたn−オクチルトリエトキシシランをメチルトリエトキシシランに変更した以外は、実施例1と同一の条件で、O/W型のメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物を調製した。得られたシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、未乳化物がなく均一であり、1週間以上安定であった。
[実施例4]
実施例1で用いたn−オクチルトリエトキシシランをフェニルトリメトキシシランに変更した以外は、実施例1と同一の条件で、O/W型のメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物を調製した。得られたメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物は、未乳化物がなく均一であり、1週間以上安定であった。
[実施例5]
実施例1で用いたn−オクチルトリエトキシシランをテトラエトキシシランに変更した以外は、実施例1と同一の条件で、O/W型のメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物を調製した。得られたメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物は、未乳化物がなく均一であり、1週間以上安定であった。
[比較例1]
実施例1で用いたn−オクチルトリエトキシシランを添加しなかったこと以外は、実施例1と同一の条件で、O/W型の水性エマルジョン組成物の調製を試みた。得られた水性組成物は未乳化物がほとんどであり、シリコーン樹脂が沈降していた。
[実施例6]
実施例1で用いたメチルポリシロキサン樹脂100部を真空乳化機(MIZUHO式真空乳化装置 PVQ-3、みずほ工業株式会社製。以下同様)に投入し、50℃まで加温した。次いで、n−オクチルトリエトキシシラン6部、ポリオキシエチレン(35モル)ウンデシルエーテルの70%水溶液4.6部、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルエーテル1.1部および水8.5部を均一に混合した液を投入し、50℃で高速攪拌した。得られたO/W型のメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョンを30℃まで冷却後、水42.6部を添加し攪拌して希釈した。さらに、0.9%カルボキシビニルポリマー水溶液15部を添加後、1%水酸化ナトリウム水溶液を1.1部添加し攪拌した。最後に水41.5部を添加し攪拌して、O/W型のメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物を得た。エマルジョン粒子の平均粒径は347nmであった。得られたメチルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物は未乳化物がなく均一であり、3ヶ月以上安定であった。
[実施例7]
実施例6で用いたメチルポリシロキサン樹脂を、平均組成式(CH2CH2CH31.0(OH)0.4SiO1.3で表され、平均単位式[(CH2CH2CH3)SiO3/2]0.92[(CH2CH2CH3)(HO)SiO2/2]0.08を有し、軟化点が0℃以下のプロピルポリシロキサン樹脂に変更し、乳化温度を65℃に変更した以外は、実施例6と同一の条件で、O/W型のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物を調製した。エマルジョン粒子の平均粒径は363nmであった。得られたプロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョンは未乳化物がなく均一であり、3ヶ月以上安定であった。
[比較例2]
実施例7で用いたn−オクチルトリエトキシシランを用いなかったこと以外は、実施例7と同一の条件で、プロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョンの調製を試みた。得られた水性組成物は、未乳化物がほとんどであり、プロピルポリシロキサン樹脂が沈降していた。
[実施例8]
実施例7で用いたシリコーン樹脂100部を真空乳化機に投入し、65℃まで加温した。次いで、n−オクチルトリエトキシシラン4.5部、ポリオキシエチレン(35モル)ウンデシルエーテルの70%水溶液4.6部、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルエーテル1.1部および水8.5部を均一に混合した液を添加し、65℃で高速攪拌した。得られたO/W型のプロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョンを30℃まで冷却後、水42.6部を添加して希釈した。さらに、1%カルボキシビニルポリマー水溶液12部を添加後、1%水酸化ナトリウム溶液を1.1部添加して撹拌した。最後に水12.7部とコロイダルシリカ(濃度30%、粒子径10nm、pH10)21.3部を添加し撹拌して、O/W型のプロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物を得た。エマルジョン粒子の平均粒径は322nmであった。得られたプロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物は未乳化物がなく均一であり、3ヶ月以上安定であった。
[実施例9]
実施例8のn−オクチルトリエトキシシランの添加量を9部に変更した以外は、実施例8と同一の条件で、O/W型のプロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物を調製した。エマルジョン粒子の平均粒径は311nmであった。得られたプロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物は未乳化物がなく均一であり、3ヶ月以上安定であった。
[実施例10]
実施例7で用いたプロピルポリシロキサン樹脂100部を真空乳化機に投入し、65℃まで加温した。次いで、n−オクチルトリエトキシシラン6部、ポリオキシエチレン(35モル)ウンデシルエーテルの70%水溶液5.8部、ポリオキシエチレン(3モル)イソデシルエーテル1.7部および水8.1部を均一に混合した液を添加し、65℃で高速撹拌した。得られたO/W型のプロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョンを、30℃まで冷却後、水41.9部を添加し撹拌して希釈した。さらに、0.9%カルボキシビニルポリマー水溶液14部を添加後、1%水酸化ナトリウム溶液を1.1部添加し撹拌した。最後に水12.3部とコロイダルシリカ(濃度30%、粒子径10nm、pH10)21.3部を添加し撹拌して希釈し、O/W型のプロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物を得た。エマルジョン粒子の平均粒径は373nmであった。得られたプロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョン組成物は未乳化物がなく均一であり、3ヶ月以上安定であった。
[比較例3]
実施例8のn−オクチルトリエトキシシランを添加しないこと以外は、実施例8と同一の条件で、プロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョンの調製を試みた。得られた水性組成物は、未乳化物がほとんどであり、プロピルポリシロキサン樹脂が沈降していた。
[比較例4]
実施例8のn−オクチルトリエトキシシランの添加量を3部にしたこと以外は、実施例8と同一の条件で、プロピルポリシロキサン樹脂水性エマルジョンの調製を試みた。得られた水性組成物は、未乳化物が多く、プロピルポリシロキサン樹脂が沈降していた。
[比較例5]
容器内でn−オクチルトリエトキシシラン6部、ポリオキシエチレン(7モル)イソデシルエーテル4.3部および50℃の水8.5部を均一に混合した液に、軟化点が45℃であり、ジメチルシロキサン単位を15モル%含有し、残余がモノオルガノシロキサン単位である固形状メチルフェニルポリシロキサン樹脂(ケイ素原子結合水酸基含有量7重量%)100部を投入した。次いで50〜70℃でプロペラ式電動撹拌機(HEIDONスリーワンモータ、回転数700rpm)を用いて高速撹拌し、次いで94部の水で稀釈したが、エマルジョンにならなかった。
[比較例6]
比較例5において、ポリオキシエチレン(7モル)イソデシルエーテル2.0部の代わりにポリオキシエチレン(18モル)ウンデシルエーテルの70%水溶液2.9部を使用し、水4.0部の代わりに水3.1部使用した以外は同一条件で、水性エマルジョンの調製を試みたが、エマルジョンにならなかった。
本発明のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物は、物体に塗布あるいは含浸して水分が蒸発するとシリコーン樹脂皮膜を形成するので、塗料ビヒクル、コーティング剤、撥水剤、含浸剤などとして有用である。
本発明のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法は、当該シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物を簡易に生産性よく製造するのに有用である。

Claims (16)

  1. (A) シリコーン樹脂、(B)シラン、(C)界面活性剤および(D)水からなるシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物において、
    成分(A)は、平均単位式(1):
    m nSi(OX)p(4-m-n-p)/2 (1)
    {式中、Rはアルキル基であり、Rは非置換一価炭化水素基(アルキル基を除く)または置換一価炭化水素基であり、Xは水素原子またはアルキル基である。m,n,p,は0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0.7≦m+n≦1.8、0<p≦1.0を満たす数である。}で示され、R(XO)SiO2/2単位およびR(XO)SiO2/2単位からなる群から選択されるシロキサン単位(式中、R、R、Xは前記どおりである)を含有し、軟化点が0℃以下であるシリコーン樹脂であり、
    成分(B)は、(b1)分子式(2):R aSi(OY)4−a (2)
    (式中、Rは非置換一価炭化水素基または置換一価炭化水素基であり、Yはアルキル基であり、aは0,1,2または3である)で示されるオルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシラン、または(b2)前記オルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物であって、成分(A)の3.5〜30重量%配合され、
    成分(C)は、成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量配合されていることを特徴とする、シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  2. 成分(A)は前記シロキサン単位を1〜50モル%含有することを特徴とする、請求項1に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  3. 平均単位式(1)中のnが0であり、分子式(2)中のRがアルキル基またはフェニル基であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  4. 平均単位式(1)中のXが水素原子および/または炭素原子数1,2もしくは3のアルキル基であり、分子式(2)中のYが炭素原子数1,2または3のアルキル基であり、aが1であることを特徴とする、請求項3に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  5. 成分(A)と成分(B)を、成分(C)の作用により成分(D)中に乳化して請求項1記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物を製造する方法において、成分(A)と、[成分(A)の3.5〜30重量%の成分(B)と, 成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と, 成分(D)との混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合する、または、[成分(A)とその3.5〜30重量%の成分(B)の混合物]と、[成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と成分(D)の混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合することを特徴とする、請求項1記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
  6. 0℃より高く90℃以下の温度が2℃以上、75℃以下であることを特徴とする、請求項5に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
  7. (A)シリコーン樹脂、(B)シラン、(C)界面活性剤、(E)水溶性かつ増粘性のポリマーおよび(D)水からなるシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物において、
    成分(A)は、平均単位式(1):
    m nSi(OX)p(4-m-n-p)/2 (1)
    {式中、Rはアルキル基であり、Rは非置換一価炭化水素基(アルキル基を除く)または置換一価炭化水素基であり、Xは水素原子またはアルキル基である。m,n,p,は0.5≦m≦1.8、0≦n≦1.0、0.7≦m+n≦1.8、0<p≦1.0を満たす数である。}で示され、R(XO)SiO2/2単位およびR(XO)SiO2/2単位からなる群から選択されるシロキサン単位(式中、R、R、Xは前記どおりである)を含有し、軟化点が0℃以下であるシリコーン樹脂であり、
    成分(B)は、(b1)分子式(2):R aSi(OY)4−a (2)
    (式中、Rは非置換一価炭化水素基または置換一価炭化水素基であり、Yはアルキル基であり、aは0,1,2または3である)で示されるオルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシラン、または(b2)前記オルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシランの部分加水分解縮合物であって、成分(A)の3.5〜30重量%配合され、
    成分(C)は、成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量配合され、
    成分(E)は、水性エマルジョンの保存安定性を向上するのに十分な量が配合されていることを特徴とする、シリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  8. 成分(A)は前記シロキサン単位を1〜50モル%含有することを特徴とする、請求項7に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  9. 平均単位式(1)中のnが0であり、分子式(2)中のRがアルキル基またはフェニル基であることを特徴とする、請求項7または請求項8に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  10. 平均単位式(1)中のXが水素原子および/または炭素原子数1,2もしくは3のアルキル基であり、分子式(2)中のYが炭素原子数1,2または3のアルキル基であり、aが1であることを特徴とする、請求項9に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  11. 成分(E)が、カルボキシビニルポリマーであることを特徴とする、請求項7または請求項8に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  12. さらに(F)アルカリ金属水酸化物を含有することを特徴とする、請求項11に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物。
  13. 成分(A)と成分(B)を、成分(C)の作用により成分(D)中に乳化して請求項7記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物を製造する方法において、成分(A)と、[成分(A)の3.5〜30重量%の成分(B)と, 成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と, 成分(D)との混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合し、または、[成分(A)とその3.5〜30重量%の成分(B)の混合物]と、[成分(A)と成分(B)を成分(D)中に乳化するのに十分な量の成分(C)と成分(D)の混合物]とを、0℃より高く90℃以下の温度で混合し、次いで、成分(E)の水溶液を投入して混合することを特徴とする、請求項7に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
  14. 成分(E)がカルボキシビニルポリマーであることを特徴とする、請求項13に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
  15. カルボキシビニルポリマー水溶液とともに(F)アルカリ金属水酸化物またはその水溶液を投入して混合することを特徴とする、請求項14に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
  16. 0℃より高く90℃以下の温度が2℃以上、75℃以下であることを特徴とする、請求項13に記載のシリコーン樹脂水性エマルジョン組成物の製造方法。
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