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JP2009256286A - 常磁性金属化合物含有ポリマー粒子 - Google Patents

常磁性金属化合物含有ポリマー粒子 Download PDF

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JP2009256286A JP2008110049A JP2008110049A JP2009256286A JP 2009256286 A JP2009256286 A JP 2009256286A JP 2008110049 A JP2008110049 A JP 2008110049A JP 2008110049 A JP2008110049 A JP 2008110049A JP 2009256286 A JP2009256286 A JP 2009256286A
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崇 田村
Kazuya Takeuchi
和也 竹内
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Abstract

【課題】血中滞留性及び疾患部位への集積性が高い磁気共鳴用造影剤の提供。
【解決手段】下記式(I)で表される構造単位及び式(II)で表される構造単位をモル比率5〜80:20〜95で含むポリマーと、常磁性金属化合物と、リガンド分子とを含む磁気共鳴用造影剤:
Figure 2009256286

式中、R1とR2は水素原子またはメチル基を示し;Aは-(CH2)2NH3 +等を示し;Bは、酸素原子などを示し、R4は水素原子などを示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、リン脂質類似ポリマー及び常磁性金属化合物を含む磁気共鳴用造影剤に関する。
非侵襲的な動脈硬化の診断法としては、主にX線血管造影法が挙げられる。しかしながら、この方法は水溶性のヨード造影剤で血液の流れを造影する方法であるため、病変組織と正常組織との区別がつけにくい。そのため、狭窄が50%以上進んだ病巣しか検出することができず、虚血性疾患の発作が発症する前に病巣を検出することが困難である。
上記以外の診断法として、近年、動脈硬化巣プラーク中に多く動態分布される造影剤を用いて核磁気共鳴トモグラフィー (MRI) により疾患を検出する方法が報告されている。
しかしながら、該造影剤として報告されている化合物はいずれも診断法に用いることには問題がある。例えば、ヘマトポルフィリン誘導体(特許文献1参照)は皮膚への沈着・着色の欠点が指摘されており、また、脂質に富んだプラークに集積するとの報告があるパーフルオロ側鎖を有するガドリニウム錯体(非特許文献1参照)は、脂肪肝・腎臓上皮・筋組織の腱などの生体における脂質豊富な組織、器官への集積が危惧されている。
現在、磁気共鳴用造影剤として一般的に広く使用されているガドリニウム錯体は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)のガドリニウム錯体である。毒性が低い特徴を有する反面、血中滞留時間が短く速やかに排出されるため、病巣選択的な造影は困難である。
そこで、常磁性金属化合物をリポソームに内包させて血中滞留性の向上を図り、組織選択的な造影を試みる例が報告されているが、常磁性金属化合物の内包量を高めるために超臨界状態にするなど操作性の煩雑さがあった(特許文献2参照)。
また、2個の脂肪酸エステルを有するホスファチジルエタノールアミン(PE)とジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)をアミド結合したリン脂質模倣化合物が知られており(例えば、非特許文献2)、この化合物のガドリニウム錯体のリポソームに関する報告(非特許文献3)もある。しかし、この錯体は難溶解性であるためにリポソーム化の際の操作性が悪く、また、生体内での蓄積性や毒性における懸念がある。
別に報告されている1個の高級脂肪酸エステル基を疎水性基として導入したガドリニウム錯体(特許文献3参照)は良好な溶解性を有しており、リポソーム製剤化にも利用できる。しかしながら、該錯体のリポソームへの導入量は低濃度に止まるという問題がある。
常磁性金属化合物をポリマーに内包させて血中滞留性の向上を図り、組織選択的な造影を試みる例が報告されているが(例えば特許文献4)、ポリマーの生体親和性が低いため、蓄積性や毒性における懸念がある。
また、常磁性金属化合物のキレート(配位)部位をポリマー主鎖に共有結合によって連結して、常磁性金属化合物の血中滞留性の向上を図り、組織選択的な造影を試みる例が報告されているが(例えば特許文献5)、長期にわたり常磁性金属化合物が体内に蓄積し、徐々に金属キレート部位が代謝されることによって、遊離性の金属(イオン)が生体に害を及ぼす懸念がある。
一方、生体膜(細胞膜)を模倣した物質として、一分子中に生体膜の構成成分であるリン脂質極性基(ホスホリルコリン基)と重合性を有するメタクリロイル基とを併せ持つ2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、およびMPCとメタクリル酸エステルの共重合体であるMPCポリマーが知られている。(特許文献6)MPCポリマーは、タンパク質や血球などの生体成分との相互作用が極めて小さいことや極めて優れた抗血栓性を発現することなど、従来にはない高度な生体適合性を有するため、様々な応用が考案されているが、これまで常磁性金属化合物とともに磁気共鳴用造影剤としての用途は報告されていない。
米国特許第4577636号明細書 特開2006-45132号公報 特願2005-283461号公報 特表2003-524654号公報 特表2001-523215号公報 特許2870727号公報 サーキュレーション(Circulation), 109, 2890 (2004) ポリメリック マテリアルズ サイエンス アンド エンジニアリング(Polymeric Materials Science and Engineering), 89, 148 (2003) インオーガニカ キミカ アクタ(Inorganica Chimica Acta), 331, 151 (2002)
本発明の課題は、血中滞留性が高いとともに疾患部位への集積性が高い磁気共鳴用造影剤を提供することである。
本発明者らは上記課題の解決のため、鋭意研究を行った結果、生体内に存在するリン脂質に類似した化学種であり、リン脂質が有する高い生体親和性が特徴的なリン脂質類似ポリマーに常磁性金属化合物を内包させることにより、常磁性金属化合物の血中滞留性を向上させることができることを見出し、この知見を基に本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下(1)〜(13)を提供するものである。
(1)下記式(I)で表される構造単位及び式(II)で表される構造単位をモル比率5〜80: 20〜95で含むポリマーと、常磁性金属化合物と、リガンド分子とを含む磁気共鳴用造影剤:
Figure 2009256286
式中、R1は水素原子またはメチル基を示し;R2は水素原子またはメチル基を示し;Aは下記いずれかの式:
Figure 2009256286
(式中、点線は式(I)内O-Aの結合部を示し、R3は水酸基、メチルオキシ基、エチルオキシ基またはフェニルオキシ基を示し、nは1〜100の整数を示す)で表される基を示し;Bは、酸素原子、硫黄原子、-CH2-、又は-NH-を示し、R4は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
(2)リガンド分子が一般式(2)で表される化合物である上記(1)に記載の磁気共鳴用造影剤:
Figure 2009256286
式中、D1, D2はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、Eは下記いずれかの式:
Figure 2009256286
(式中、点線は式(I)内O-Aの結合部を示し、R3は水酸基、メチルオキシ基、エチルオキシ基またはフェニルオキシ基を示し、nは1〜100の整数を示す)で表される基を示す。
(3)リガンド分子が、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールからなる群から選択される少なくとも1種である上記(1)に記載の磁気共鳴用造影剤。
(4)リガンド分子とポリマーとの質量比が10:90〜50:50である上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
(5)ポリマー及び常磁性金属化合物を含む粒径4 nm〜400 nmの粒子を含む上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
(6)ポリマーが下記化合物Aとアクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルとの共重合体である上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
Figure 2009256286
(7)常磁性金属化合物が、酸化鉄類又はマンガン類又はランタノイド金属類の錯体化合物のいずれかである上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
(8)常磁性金属化合物が、ガドリニウム金属類の錯体化合物である上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
(9)マクロファージや平滑筋細胞が顕著に発現し、局在化する組織又は疾患部位の造影に用いる上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
(10)マクロファージが顕著に発現し、局在化する疾患部位が腫瘍、炎症部位、及び感染部位からなる群から選択される上記(9)に記載の磁気共鳴用造影剤。
(11)血管疾患の造影に用いる上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
(12)動脈硬化疾患病巣の造影に用いる上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
本発明のさらに別の観点からは、上記(1)〜(8)いずれかの造影剤の製造のための、上記のポリマー、常磁性金属化合物、及びリガンド分子の使用;造影法であって、上記のポリマー、常磁性金属化合物、及びリガンド分子を含む粒子をヒトを含む哺乳類動物に投与した後に造影する工程を含む方法が提供される。
本発明により、血中滞留性が高いとともに疾患部位への集積性が高い磁気共鳴用造影剤が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明の磁気共鳴用造影剤は上記式(I)で表される構造単位及び式(II)で表される構造単位を繰り返し単位として含むポリマーを含む。このポリマーは、下記式(I´)で表されるモノマー及び式(II´)で表されるモノマーを共重合して得られるポリマーであればよい。
Figure 2009256286
下記式(I)で表される構造単位及び式(II)で表される構造単位のモル比率(構造単位(I)のモル量:構造単位(II)のモル量)は、5〜80: 20〜95であればよく、20〜40:60〜80が好ましい。下記式(I)で表される構造単位のモル量が、構造単位(I)および構造単位(II)の総モル量の5%未満の場合はポリマーの生体適合性が低下し毒性の懸念が表れる。また、下記式(I)で表される構造単位のモル量が、構造単位(I)および構造単位(II)の総モル量の80%以上の場合はポリマーの親水性が高まりすぎて、常磁性金属化合物を安定に保持できない。
上記ポリマーは、下記式(I´)で表されるモノマー及び式(II´)で表されるモノマーをポリマー交互共重合して得られる共重合体であってもよく、ブロック共重合して得られる共重合体であってもよく、ランダム共重合して得られる共重合体であってもよい。
前記ポリマーの分子量は1,000〜200,000であればよく、1,000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000が特に好ましい。分子量が1,000より小さい場合は常磁性金属化合物を安定に保持できないことがある。また、分子量が200,000より大きい場合はポリマーの生分解および生体からの排出が遅くなる可能性がある。
式(I)で表される構造単位において、R1は水素原子又はメチル基を示し、メチル基であることが好ましい。式(II)で表される構造単位において、R2は水素原子又はメチル基を示し、メチル基であることが好ましい。
Aは下記いずれかの式:
Figure 2009256286
(式中、点線は式(I)内O-Aの結合部を示し、R3は水酸基、メチルオキシ基、エチルオキシ基またはフェニルオキシ基を示し、nは1〜100の整数を示す) で表される基であればよいが、下記式で表される基であることが好ましい。
Figure 2009256286
Bは、酸素原子、硫黄原子、-CH2-、又は-NH-を示す。
R4は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。無置換アルキル基は分岐構造を有してもよく、不飽和基を含んでいてもよく、総炭素数は1〜30が好ましく、特に4〜20がより好ましい。この様なアルキル基としては、ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。このうち、好ましくは、デシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、およびシクロヘキシル基が挙げられる。特に好ましくは、テトラデシル基、ペンタデシル基、及びヘプタデシル基が挙げられる。置換アルキル基は分岐構造を有してもよく、不飽和基を含んでいてもよく、総炭素数は1〜30が好ましく、4〜25がより好ましく、10〜20が特に好ましい。置換アルキル基の置換基としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基・シアノ基・ハロゲン原子などの1価の置換基や、エーテル結合、スルフィド結合、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、エステル基の2価の置換基が挙げられる。
無置換アリール基は総炭素数6〜30のものが好ましく、特に6〜20が好ましい。このようなアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基等が挙げられる。置換アリール基の置換基としては、アルキル基、アリール基や、ヒドロキシル基、アルコキシ基・シアノ基・ハロゲン原子などの1価の置換基や、エーテル結合、スルフィド結合、カルボニル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、エステル基の2価の置換基が挙げられる。置換アリール基中のアルキル置換基は、分岐を有していてもよく、二重結合、三重結合を有していてもよく、総炭素数1〜20が好ましく、特に1〜6が好ましく、メチル基、エチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ブチリル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。置換基含有アリール基中のアリール置換基は、総炭素数6〜20のものが好ましく、特に6〜14が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基等が挙げられる。この様な置換アリール基は、総炭素数6〜40が好ましく、特に6〜25が好ましく、具体的な例としては、エチルフェニル、ビフェニル、ノニルフェニル、オクチルフェニル、フルオロフェニル、ヨードフェニル、トリヨードフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、エチルナフチル、ヨードナフチル等が挙げられる。
R4としては、フェニル基、ヨードフェニル基、トリヨードフェニル基、ブチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、又はヨードナフチル基が好ましく、ヨードフェニル基、トリヨードフェニル基、ヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、又はヨードナフチル基が特に好ましい
前記ポリマーとして最も好ましい例としては下記化合物Aとアクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルとの共重合体が挙げられる。
Figure 2009256286
ポリマーの合成方法としては、反応容器にポリマー構造単位であるモノマー化合物と溶媒を入れ、窒素雰囲気下において開始剤の存在中に適宜加熱する方法が挙げられる。共重合する場合は、共重合成分であるポリマー構造単位のモノマー化合物を共存させて、上記と同様に重合反応を行えばよい。
重合に使用する溶媒としては、使用されるモノマー化合物が溶解する溶媒であればよく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、又はこれらいずれかの混合溶媒が挙げられる。
重合に使用する開始剤としては、通常のラジカル開始剤であればいずれを用いてもよく、2'−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスマレノニトリルなどの脂肪族アゾ化合物や、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの有機化酸化物を例示することができる。
常磁性金属化合物としては、酸化鉄類、マンガン類、およびランタノイド金属類の常磁性金属錯体化合物が挙げられる。
酸化鉄類としては、例えば、下記式(X)で表されるフェライトが挙げられる。
(MO)nFe23 (X)
(式中、Mは2価の金属を表し;nは、0以上1以下の整数を表す。)
Mで表される2価の金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。特に、Mが2価の鉄であることが好ましい。M/Feのモル比は選択されるフェライトの化学量論的な組成に従って決定される。さらに上記の塩であってもよく、塩の種類は特に限定されないが、塩化物塩、臭化物塩、又は硫酸塩が好ましい。これらの塩は粉末又は分散液等の形態で用いることができる。本発明に用いられる酸化鉄類としてはマグネタイトやマグヘマイトなどの磁性酸化鉄結晶微粒子が好ましい。
また、酸化鉄類としては、磁性酸化鉄、γ−酸化鉄、及び高い磁化率を有する他の鉄/金属酸化物の被覆された粒子が含まれる。例えば、プロトンの横緩和時間(T2)を短縮するT2強調型造影剤であるマグネタイトが挙げられ、具体的には超常磁性酸化鉄微粒子(Superparamagnetic Iron Oxide: SPIO)、超微小超常磁性酸化鉄微粒子(Ultra small Superparamagnetic Iron Oxide: USPIO)などが挙げられる。
常磁性金属錯体化合物は、キレート化化合物と化学的に結合した、ランタノイド系またはそれ以外の遷移金属の常磁性金属イオンから構成される錯体化合物である。
常磁性金属錯体化合物の金属原子としては、各種の常磁性金属を用いることができる。好適な例としては、原子番号57〜70のランタノイド系元素、特にガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)が挙げられる。それ以外の金属として、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)の遷移金属種などが挙げられる。特に好ましい例は、Gd3+、Dy3+、Mn2+、Fe3+であり、最も好ましくはGd3+である。
常磁性金属錯体化合物の作製に用いられるキレート化化合物としては、常磁性金属原子と錯体を形成でき、かつ上記ポリマーで内包させることができるような適度の親油性をも有するものであれば特に限定されない。例えばこのようなキレート化化合物について、種々の有用なマクロ環キレート化剤がこれまで提案されており(例えばWO9008134)、それらのいずれかを使用してもよい。
キレート化化合物としては、架橋鎖として活性アミノ基を有する鎖式または環式のポリアミノポリカルボン酸であって、金属イオンを捕捉して錯体を形成する能力を有する二官能性構造をもったものが好ましい。例えば、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)の誘導体およびその塩が考えられる。
具体的にはモノアルキルアミドDTPA、ジアルキルアミドDTPA、モノアリールアミドDTPA、ジアリールアミドDTPA、モノアルキルエステルDTPA、ジアルキルエステルDTPA、モノアリールエステルDTPA、ジアリールエステルDTPA、アルキル化DTPAなどが例示される。これらの化合物のうち、アルキルとして炭素数120のアルキル基、アリールとしてフェニル、ナフチルが例示される。アリールは、アルキル、ハロゲン原子などで置換されていてもよい。
キレート化化合物のほかの例として、TTHA(トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸)、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)、DOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸)、EHPG(N,N-エチレンビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)グリシン])、Cyclam(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)、NTA、HEDTA、BOPTA、NOTA、DO3A、HPDO3A、EOB−DTPA、TETA、HAM、DPDP、ポルフィリンおよびその誘導体などが挙げられる。なお、EOBは、エトキシベンジルを意味する。
上記常磁性金属原子イオンとキレート化剤とを常法によりキレート結合させる。その結果、生成した常磁性金属またはその化合物の誘導体の例として、次の化合物が例示される:Gd−DTPA,Gd−EOB−DTPA,Yb−EOB−DTPA,Dy−EOB−DTPA,Mn−DTPA,Gd−BOPTA,Gd−DOTA,Gd−HPDO3A 。
常磁性金属錯体化合物は1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また上記に例示されたキレート化化合物を含む化合物に限定されるものではない。
本発明の磁気共鳴造影剤に適する常磁性金属またはその化合物としては、次の要件を満たすものが望ましい。すなわち造影剤として用い得る物理的、化学的性質を備えた上で、造影剤1mL当たり、質量組成に換算して0.01 mg以上の常磁性金属原子を含有するよう、水溶液状態に製剤可能な化合物が好ましい。さらには高度に親水性であり、かつ高濃度でも浸透圧が高くならない、安全性の高い造影剤を調製できるものが好ましい。
本発明の磁気共鳴用造影剤は、更にリガンド分子を含む。
リガンド分子とは、外界や体内から生体の細胞に対して情報(刺激)を与える分子であって、細胞に存在するタンパク質、特に受容体と呼ばれる部分に結合あるいは相互作用する分子を意味する。リガンドが受容体に作用することで、細胞は様々な反応を示す。例えば、特異的なリガンド依存的にエンドサイトーシスを起こし、細胞内に物質を取り込むことがある。一般的なリガンド分子としてはリン脂質群、膜タンパク質、ホルモン、サイトカインなどが挙げられる。
リガンド分子として特に好ましい例としては一般式(2)に表される化合物が挙げられる。
Figure 2009256286
ここで、D1および D2はそれぞれ上記R4と同義である。Eは上記Aと同義である。
リガンド分子としては特に ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールが好ましい。既にJ. Biol. Chem., 265, 5226 (1990)で報告されているようにホスファチジルコリンとホスファチジルセリンとから形成されるリポソームは、スカベンジャーレセプターを介してマクロファージに集積しやすいことが知られている。
リガンド分子と上記ポリマーとの質量比(リガンド分子の質量:上記ポリマーの質量)は、10:90〜50:50が好ましく、15:80〜40:60質量比がより好ましく、特に20:80〜35:70が好ましい。
上記ポリマーと常磁性金属化合物との質量比(上記ポリマーの質量:常磁性金属化合物の質量)は、99.9:0.1〜80:20質量比が好ましく、99.3:0.7〜90:10質量比がより好ましく、99.6:0.4〜90:10質量比が特に好ましい。
なお、上記は固形分としての比であり、溶媒を含まない質量であるとする。
上記ポリマーは常磁性金属化合物とともに粒子を形成していることが好ましい。この粒子は、リポソーム構造、又リポソーム構造を模倣した高分子構造体となっていることが好ましい。この粒子において、上記ポリマーが常磁性金属化合物を内包していてもよく、上記ポリマーが常磁性金属化合物とともに粒子の膜を形成していてもよい。当該粒子の粒径は4〜400 nmであることが好ましく、4〜200 nmであることが好ましい。
上記のリガンド分子は上記ポリマー及び常磁性金属化合物とともに上記粒子を形成していることが好ましい。この粒子において、リガンド分子が上記ポリマーとともに常磁性金属化合物を内包していてもよく、リガンド分子、上記ポリマー及び常磁性金属化合物がともに粒子の膜を形成していてもよい。
本発明の磁気共鳴用造影剤は公知の方法によって作製することができる。
具体的には、反応容器にポリマーと溶媒(濃度は10〜30質量%)を入れ、50〜80℃に加熱して溶解させる。別途、常磁性金属化合物の水溶液を調製し(濃度は1〜30質量%)、先に溶解させていたポリマー溶液に混合する。30分程度撹拌した後、この混合液にリガンド分子水溶液を加え、さらに10分間撹拌することによって、造影剤粒子を得る。
ポリマーを溶解させるために使用する溶媒としては、ポリマーが溶解する溶媒であればいずれを用いてもよく、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、及びこれらいずれかの混合溶媒等が挙げられる。
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、動脈硬化、若しくはPTCA(経皮的冠動脈形成術)後の再狭窄等の血管疾患においては、血管の中膜を形成する血管平滑筋細胞が異常増殖を起こすと同時に内膜に遊走し、血流路を狭くすることが知られている。正常の血管平滑筋細胞が異常増殖を始めるトリガーはまだ完全に明らかにされていないが、マクロファージの内膜への遊走と泡沫化が重要な要因であることが知られており、その後に血管平滑筋細胞がフェノタイプ変換(収縮型から合成型)をおこすことが報告されている。
本発明の造影剤を用いると、マクロファージや活性化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋に対して常磁性金属化合物を選択的に取り込ませることができる。その結果、病巣と非疾患部位とをコントラストをつけて造影することが可能である。従って、本発明の造影剤は、特に血管疾患のMRI造影に好適に使用でき、例えば、動脈硬化巣やPTCA後の再狭窄等の造影を行うことができる。
本発明の造影剤は、粒子状の構造体を安定に形成させることができる。そこで、本発明の造影剤を使用することによって、本発明の造影剤をマクロファージが局在化している組織又は疾患部位に集積させることができる。本発明の造影剤を用いると、公知技術であるサスペンジョン又はオイルエマルジョンを用いる場合に比べて、より多くの常磁性金属化合物をマクロファージに集積させることが可能である。
マクロファージの局在化が認められ、本発明のリポソームを模倣した高分子構造体で好適に造影可能な組織としては、例えば、血管、肝臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、腎臓上皮を挙げることができる。また、ある種の疾患においては、疾患部位にはマクロファージが集積していることが知られている。こうした疾患としては、腫瘍、動脈硬化、炎症、感染等を挙げることができる。従って、本発明の造影剤を用いることにより、これらの疾患部位を特定することができる。特に、アテローム性動脈硬化病変の初期過程において、スカベンジャーレセプターを介して変性LDLを大量に取り込んだ泡沫化マクロファージが集積していることが知られており〔Am. J. Pathol., 103, 181(1981); Annu. Rev. Biochem., 52, 223(1983)〕、このマクロファージに本発明の造影剤を集積化させてMRI造影をすることにより、他の手段では困難な動脈硬化初期病変の位置を特定することが可能である。
本発明の造影剤を用いた造影方法は特に限定されない。例えば、通常のMRI造影剤を用いた造影方法と同様にして水のT1/T2緩和時間の変化を測定することにより造影を行うことができる。また、適宜、適切な金属イオンを用いることで、シンチグラフィー造影剤、X線造影剤、光像形成剤、超音波コントラスト剤としても使用することも可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるわけではない。
(合成例1)
反応容器に、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2000, 653-657を参考に合成した2−(メタクロイルオキシ)エチルホスホリルコリンを6質量部と、ステアリルメタクリレートを14質量部と、1−プロパノール90質量部を入れた。窒素雰囲気下、V-601(和光純薬社製)を0・5質量部入れ、85℃で10時間反応させた。
反応終了後、反応溶液をアセトンに入れポリマーを再沈殿させ、濾過し真空乾燥させることによってポリマーAを15質量部得た。分子量は68,000であった。
なお、分子量はGPC測定によって測定した。測定条件は、テトラヒドロフラン/1−ブタノール=8/2、5mM LiCl、0.1%(w/v)リン酸、流速0.7 mL/分、カラムはTSKgel-G2500HXL(トーソー社製)とTSKgel-GMHXL(トーソー社製)を使用した。
(合成例2)
反応容器に、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2000, 653-657を参考に合成した2−(メタクロイルオキシ)エチルホスホリルコリンを8質量部と、ステアリルメタクリレートを12質量部と、1−プロパノール90質量部を入れた。窒素雰囲気下、V-601(和光純薬社製)を0・5質量部入れ、85℃で10時間反応させた。
反応終了後、反応溶液をアセトンに入れポリマーを再沈殿させ、濾過し真空乾燥させることによってポリマーBを16質量部得た。分子量は70,000であった。
分子量は上記合成例1と同様に測定した。
(実施例1)
ねじ口瓶にポリマーA 0.15質量部、n-プロパノール(和光純薬製)0.8質量部を入れ、60度に加熱し溶解させた。ガドリウム(III)2水素ジエチレントリアミン五酢酸錯体水和物(Diethylenetriaminepentaacetic acid gadolinium (III) dihydrogen salt hydrate)(アルドリッチ製)0.02質量部を純水3.2質量部に溶解させ、この水溶液を、先のポリマー溶液に加えて60度で30分撹拌した。
その後、ホスファチジン酸0.025質量部を純水10質量部に溶解させた水溶液を加え、さらに純水5.8質量部を加え、60度で10分撹拌した。ゲル濾過(Sephodex G-25M:GEヘルスケア製)を通した水溶液を、遠心分離(9000rpm, 60分間)後の上澄み液を回収し、粒子分散液1を得た。
粒子分散液の固形分濃度は、アルミ皿に入れた粒子分散液1を秤量し、ホットプレート(150度、120分間)上で乾燥させて固形分質量を測定して算出した。また、粒子分散液中に存在するガドリニウム量は、ICP-MS(Agilent Technologies社製HP-4500)によって測定した。さらに、粒子分散液中に存在する粒子の平均粒径は、粒径測定器(日機装社製UPA-EX150)を用いて測定した。データは表1に記載した。
(実施例2)
ねじ口瓶にポリマーA 0.15質量部、n-プロパノール(和光純薬製)0.8質量部を入れ、60度に加熱し溶解させた。ガドリウム(III)2水素ジエチレントリアミン五酢酸錯体水和物(アルドリッチ製)0.02質量部を純水3.2質量部に溶解させ、この水溶液を、先のポリマー溶液に加えて60度で30分撹拌した。
その後、ホスファチジン酸0.05質量部を純水10質量部に溶解させた水溶液を加え、さらに純水5.8質量部を加え、60度で10分撹拌した。ゲル濾過(Sephodex G-25M:GEヘルスケア製)を通した水溶液を、遠心分離(9000rpm, 60分間)後の上澄み液を回収し、粒子分散液2を得た。
粒子分散液の固形分濃度、ガドリニウム量、粒子の平均粒径の測定は実施例1と同様に行った。データは表1に記載した。
(実施例3)
ねじ口瓶にポリマーA 0.15質量部、n-プロパノール(和光純薬製)0.8質量部を入れ、60度に加熱し溶解させた。ガドリウム(III)2水素ジエチレントリアミン五酢酸錯体水和物(アルドリッチ製)0.02質量部を純水3.2質量部に溶解させ、この水溶液を、先のポリマー溶液に加えて60度で30分撹拌した。その後、ホスファチジルセリン0.025質量部を純水10質量部に溶解させた水溶液を加え、さらに純水5.8質量部を加え、60度で10分撹拌した。ゲル濾過(Sephodex G-25M:GEヘルスケア製)を通した水溶液を、遠心分離(9000rpm, 60分間)後の上澄み液を回収し、粒子分散液3を得た。
粒子分散液の固形分濃度、ガドリニウム量、粒子の平均粒径の測定は実施例1と同様に行った。データは表1に記載した。
(実施例4)
ねじ口瓶にポリマーA 0.15質量部、n-プロパノール(和光純薬製)0.8質量部を入れ、60度に加熱し溶解させた。ガドリウム(III)2水素ジエチレントリアミン五酢酸錯体水和物(アルドリッチ製)0.02質量部を純水3.2質量部に溶解させ、この水溶液を、先のポリマー溶液に加えて60度で30分撹拌した。
その後、ホスファチジルセリン0.05質量部を純水10質量部に溶解させた水溶液を加え、さらに純水5.8質量部を加え、60度で10分撹拌した。ゲル濾過(Sephodex G-25M:GEヘルスケア製)を通した水溶液を、遠心分離(9000rpm, 60分間)後の上澄み液を回収し、粒子分散液4を得た。
粒子分散液の固形分濃度、ガドリニウム量、粒子の平均粒径の測定は実施例1と同様に行った。データは表1に記載した。
(実施例5)
ねじ口瓶にポリマーA 0.15質量部、n-プロパノール(和光純薬製)0.8質量部を入れ、60度に加熱し溶解させた。ガドリウム(III)2水素ジエチレントリアミン五酢酸錯体水和物(アルドリッチ製)0.02質量部を純水3.2質量部に溶解させ、この水溶液を、先のポリマー溶液に加えて60度で30分撹拌した。
その後、ホスファチジルイノシトール0.025質量部を純水10質量部に溶解させた水溶液を加え、さらに純水5.8質量部を加え、60度で10分撹拌した。ゲル濾過(Sephodex G-25M:GEヘルスケア製)を通した水溶液を、遠心分離(9000rpm, 60分間)後の上澄み液を回収し、粒子分散液5を得た。
粒子分散液の固形分濃度、ガドリニウム量、粒子の平均粒径の測定は実施例1と同様に行った。データは表1に記載した。
(実施例6)
ねじ口瓶にポリマーA 0.15質量部、n-プロパノール(和光純薬製)0.8質量部を入れ、60度に加熱し溶解させた。ねじ口瓶にポリマーB 0.15質量部、ガドリウム(III)2水素ジエチレントリアミン五酢酸錯体水和物(アルドリッチ製)0.02質量部を純水3.2質量部に溶解させ、この水溶液を、先のポリマー溶液に加えて60度で30分撹拌した。
その後、ホスファチジルイノシトール0.05質量部を純水10質量部に溶解させた水溶液を加え、さらに純水5.8質量部を加え、60度で10分撹拌した。ゲル濾過(Sephodex G-25M:GEヘルスケア製)を通した水溶液を、遠心分離(9000rpm, 60分間)後の上澄み液を回収し、粒子分散液6を得た。
粒子分散液の固形分濃度、ガドリニウム量、粒子の平均粒径の測定は実施例1と同様に行った。データは表1に記載した。
(実施例7)
ねじ口瓶にポリマーB0.15質量部、ガドリウム(III)2水素ジエチレントリアミン五酢酸錯体水和物(アルドリッチ製)0.02質量部、ブタノール(和光純薬製)0.8質量部を入れ、60度に加熱し溶解させた。純水3.2質量部を加えて60度で30分撹拌した。その後、ホスファチジルエタノールアミン0.05質量部を純水10質量部に溶解させた水溶液を加え、さらに純水5.8質量部を加え、60度で10分撹拌した。ゲル濾過(Sephodex G-25M:GEヘルスケア製)を通した水溶液を、遠心分離(9000rpm, 60分間)後の上澄み液を回収し、粒子分散液7を得た。
粒子分散液の固形分濃度、ガドリニウム量、粒子の平均粒径の測定は実施例1と同様に行った。データは表1に記載した。
(参考例1)
ねじ口瓶にポリマーA 0.15質量部、ガドリウム(III)2水素ジエチレントリアミン五酢酸錯体水和物(アルドリッチ製)0.02質量部、プロパノール(和光純薬製)0.8質量部を入れ、60度に加熱し溶解させた。純水3.2質量部を加えて60度で30分撹拌した。その後、純水15.8質量部を加え、60度で10分撹拌した。ゲル濾過(Sephodex G-25M:GEヘルスケア製)を通した水溶液を、遠心分離(9000rpm, 60分間)後の上澄み液を回収し、粒子分散液8を得た。
粒子分散液の固形分濃度、ガドリニウム量、粒子の平均粒径の測定は実施例1と同様に行った。データは表1に記載した。
(参考例2)
ねじ口瓶にポリマーB 0.15質量部、ガドリウム(III)2水素ジエチレントリアミン五酢酸錯体水和物(アルドリッチ製)0.02質量部、プロパノール(和光純薬製)0.8質量部を入れ、60度に加熱し溶解させた。純水3.2質量部を加えて60度で30分撹拌した。その後、純水15.8質量部を加え、60度で10分撹拌した。ゲル濾過(Sephodex G-25M:GEヘルスケア製)を通した水溶液を、遠心分離(9000rpm, 60分間)後の上澄み液を回収し、粒子分散液9を得た。
粒子分散液の固形分濃度、ガドリニウム量、粒子の平均粒径の測定は実施例1と同様に行った。データは表1に記載した。
Figure 2009256286
(造影剤粒子の評価)
評価用細胞の調製
(THP-1)細胞(DSファーマバイオメディカル(株)社製:ヒト単球系細胞株)を10 %FBS入りRPMI1640培地を使用して 37 °C, 5 %CO2でインキュベートして、マクロファージ様細胞に分化誘導した。培養プレートは容量2.5 mLの6 wellタイプのプレートを使用し、PMA(ホルボールエステル)10 ng/mLが入ったTHP-1細胞分散液(4.0×105 cell/mL)を2.5 mL/ウェル入れ、7日経過後、培地をFBSが含まれないRPMI1640 1 mLに交換し24時間インキュベートした。
造影剤粒子(実施例サンプル)取り込み(定量)実験
上記プレートの各ウェルから250 L抜き取り、代わりに各実施例サンプル250Lを入れ、37 °C, 5 % CO2)で24時間インキュベートした。生理食塩水で細胞を3回洗浄したあと、0.1 %SDS溶液で細胞を溶解させた。細胞溶解液に存在するガドリニウムイオン量をICP-MS(Agilent Technologies社製HP-4500)によって測定し、下記の式に従って取り込み率を算出した。結果を表2に示す。
細胞の粒子取り込み率 =
細胞溶解液に存在するガドリニウムイオン量÷細胞に添加したガドリニウムイオン量
Figure 2009256286
表2に示す結果から、マクロファージ様細胞に取り込まれる常磁性金属量は、ポリマー粒子にリガンド分子を修飾した粒子を用いた場合に有意に多かった。また、リガンド分子として、ホスファチジルセリン又はホスファチジルイノシトールを用いた場合にさらに多かった。また、その比率は、一般式(1)で表される構造単位:一般式(2)で表される構造単位のモル比率が20:80〜30:70の場合に特に有意に多かった。
この結果により、本発明の造影剤粒子がマクロファージに取り込まれやすいことが示された。本発明の造影剤はマクロファージが過剰に発現している炎症性疾患(動脈硬化病巣を含む)の造影剤として有用であると考えられる。

Claims (12)

  1. 下記式(I)で表される構造単位及び式(II)で表される構造単位をモル比率5〜80: 20〜95で含むポリマーと、常磁性金属化合物と、リガンド分子とを含む磁気共鳴用造影剤:
    Figure 2009256286
    式中、R1は水素原子またはメチル基を示し;R2は水素原子またはメチル基を示し;Aは下記いずれかの式:
    Figure 2009256286
    (式中、点線は式(I)内O-Aの結合部を示し、R3は水酸基、メチルオキシ基、エチルオキシ基またはフェニルオキシ基を示し、nは1〜100の整数を示す)で表される基を示し;Bは、酸素原子、硫黄原子、-CH2-、又は-NH-を示し、R4は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
  2. リガンド分子が一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の磁気共鳴用造影剤:
    Figure 2009256286
    式中、D1, D2はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、Eは下記いずれかの式:
    Figure 2009256286
    (式中、点線は式(I)内O-Aの結合部を示し、R3は水酸基、メチルオキシ基、エチルオキシ基またはフェニルオキシ基を示し、nは1〜100の整数を示す)で表される基を示す。
  3. リガンド分子が、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の磁気共鳴用造影剤。
  4. リガンド分子とポリマーとの質量比が10:90〜50:50である請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
  5. ポリマー及び常磁性金属化合物を含む粒径4 nm〜400 nmの粒子を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
  6. ポリマーが下記化合物Aとアクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルとの共重合体である請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
    Figure 2009256286
  7. 常磁性金属化合物が、酸化鉄類又はマンガン類又はランタノイド金属類の錯体化合物のいずれかである請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
  8. 常磁性金属化合物が、ガドリニウム金属類の錯体化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
  9. マクロファージや平滑筋細胞が顕著に発現し、局在化する組織又は疾患部位の造影に用いる請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
  10. マクロファージが顕著に発現し、局在化する疾患部位が腫瘍、炎症部位、及び感染部位からなる群から選択される請求項9に記載の磁気共鳴用造影剤。
  11. 血管疾患の造影に用いる請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
  12. 動脈硬化疾患病巣の造影に用いる請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁気共鳴用造影剤。
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