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JP2009252788A - Euvリソグラフィ用反射型マスクブランク - Google Patents

Euvリソグラフィ用反射型マスクブランク Download PDF

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JP2009252788A JP2008095049A JP2008095049A JP2009252788A JP 2009252788 A JP2009252788 A JP 2009252788A JP 2008095049 A JP2008095049 A JP 2008095049A JP 2008095049 A JP2008095049 A JP 2008095049A JP 2009252788 A JP2009252788 A JP 2009252788A
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Kazuyuki Hayashi
和幸 林
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】EUV光およびマスクパターンの検査光の波長域に対する反射率が低く、特に、マスクパターンの検査光の全波長域(190〜260nm)に対して低反射特性を示す低反射層を有するEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクを提供する。
【解決手段】基板11上に、EUV光を反射する反射層12と、EUV光を吸収する吸収体層14と、マスクパターンの検査光(波長190〜260nm)に対する低反射層15が、この順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、前記低反射層が、ハフニウム(Hf)、窒素(N)および酸素(O)を合計含有率で80at%以上含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体製造等に使用されるEUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外)リソグラフィ用反射型マスクブランク(以下、本明細書において、「EUVマスクブランク」という。)に関する。
従来、半導体産業において、Si基板等に微細なパターンからなる集積回路を形成する上で必要な微細パターンの転写技術として、可視光や紫外光を用いたフォトリソグラフィ法が用いられてきた。しかし、半導体デバイスの微細化が加速している一方で、従来のフォトリソグラフィ法の限界に近づいてきた。フォトリソグラフィ法の場合、パターンの解像限界は露光波長の1/2程度であり、液浸法を用いても露光波長の1/4程度と言われており、ArFレーザ(193nm)の液浸法を用いても45nm程度が限界と予想される。そこで45nm以降の露光技術として、ArFレーザよりさらに短波長のEUV光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィが有望視されている。本明細書において、EUV光とは、軟X線領域または真空紫外線領域の波長の光線をさし、具体的には波長10〜20nm程度、特に13.5nm±0.3nm程度の光線を指す。
EUV光は、あらゆる物質に対して吸収されやすく、かつこの波長で物質の屈折率が1に近いため、従来の可視光または紫外光を用いたフォトリソグラフィのような屈折光学系を使用することができない。このため、EUV光リソグラフィでは、反射光学系、すなわち反射型フォトマスクとミラーとが用いられる。
マスクブランクは、フォトマスク製造用に用いられるパターニング前の積層体である。
EUVマスクブランクの場合、ガラス等の基板上にEUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収体層とがこの順で形成された構造を有している。反射層としては、高屈折層と低屈折層とを交互に積層することで、EUV光を層表面に照射した際の光線反射率が高められた多層反射膜が通常使用される。吸収体層には、EUV光に対する吸収係数の高い材料、具体的にはたとえば、TaやCrを主成分とする材料が用いられる。
EUVマスクブランクの吸収体層上には、マスクパターン検査光に対する低反射層が通常設けられている。マスクパターン形成後におけるパターン欠陥の有無には、深紫外光の波長域(190〜260nm)の光線が用いられる。上記の波長域の光線を用いたパターン検査では、パターニング工程により低反射層および吸収体層が除去された領域と、低反射層および吸収体層が残っている領域と、の反射率差、すなわち、これらの領域の表面での反射光のコントラストによってパターン欠陥の有無が検査される。マスクパターンの検査感度を向上するためには、コントラストを大きくする必要があり、このためには、低反射層が上記の波長域に対して低反射特性であること、すなわち、上記の波長域に対する反射率が15%以下であることが要求される。
特許文献1には、タンタルホウ素合金の窒化物(TaBN)からなる吸収体層上に、タンタルホウ素合金の酸化物(TaBO)またはタンタルホウ素合金の酸窒化物(TaBNO)からなる低反射層を形成することが、マスクパターンの検査光の波長域(190nm〜260nm)に対する反射率が低いことから好ましいとされている。
また、特許文献2には、マスクパターンの検査光の波長域(190nm〜260nm)に対する反射率を調整するために、吸収体層上に金属、珪素(Si)、酸素(O)および窒素(N)からなる低反射層を設けることが好ましいとされている。
特開2004−6798号公報 特開2006−228767号公報
特許文献1では、低反射層をTaBO膜またはTaBNO膜とした場合、現在用いられているマスクパターンの検査光の波長257nmに対しては十分なコントラストが得られている。今後さらにパターンが微細化していくにしたがい、マスクパターンの検査光は190〜199nm付近まで短波長化することが予測されているが、特許文献1には190〜199nm付近の波長域に対して、これらの膜が低反射特性を示すかという点は全く示されていない。
一方、特許文献2では、低反射層として金属、珪素(Si)、酸素(O)および窒素(N)からなる材料(例えば、TaSiON、ZrSiONなど)の酸素濃度、窒素濃度およびその膜厚を調節することにより、現在用いられているマスクパターンの検査光の波長である257nm、および今後使用されると予測されるマスクパターンの検査光の波長である193nmに対して、低反射特性を得ることが可能としている。しかしながら、これらの波長に対する低反射層表面の反射率が具体的に示されていないのに加えて、低反射層に上記材料を用いる場合、低反射特性を発現させるためには、マスクパターンの検査光の波長に応じて、酸素濃度、窒素濃度および膜厚を調整することが必要であり、厳密な膜組成および膜厚の制御が必要となる。さらには、膜組成および膜厚が変更することにより、マスクパターニング時に、新たにエッチング条件の最適化が必要となってしまう。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するため、EUVマスクブランクとしての特性に優れ、すなわち、EUV光およびマスクパターンの検査光の波長域に対する反射率が低く、特に、マスクパターンの検査光の全波長域(190〜260nm)に対して低反射特性を示す低反射層を有するEUVマスクブランクを提供することを目的とする。別の言い方をすると、本発明は、マスクパターンの検査光の全波長域(190〜260nm)に対して、膜組成および膜厚を変えることなく低反射特性の維持が可能な低反射層を有するEUVマスクブランクを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、低反射層をHf、OおよびNを含有する膜(HfON膜)とすることにより、マスクパターンの検査光の全波長域(190〜260nm)に対して、低反射層の膜組成および膜厚を変えることなく低反射特性の維持が可能であることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収体層と、マスクパターンの検査光(波長190〜260nm)に対する低反射層が、この順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
前記低反射層が、ハフニウム(Hf)、窒素(N)および酸素(O)を合計含有率で80at%以上含有することを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク(以下、「本発明のEUVマスクブランク」という。)を提供する。
本発明のEUVマスクブランクは、前記低反射層において、Hfの含有率が10〜80at%であり、NおよびOの合計含有率が20〜90at%であり、NとOの組成(原子)比がN:O=9:1〜1:9であることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記低反射層は、タンタル(Ta)の含有率が10at%以下であることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記低反射層が、Zrを0.1〜1.0at%を含有してもよい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記低反射層表面の表面粗さ(rms)が、0.5nm以下であることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記低反射層の結晶構造が、アモルファスであることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記低反射層の膜厚が、3〜30nmであることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記吸収体層が、タンタル(Ta)を主成分とする吸収体層であることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記吸収体層が、タンタル(Ta)を主成分とし、ハフニウム(Hf)、珪素(Si)、ジルコニウム(Zr)、ゲルマニウム(Ge)、硼素(B)および窒素(N)から選ばれる少なくとも1種類の元素を含んでも良い。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記吸収体層は、酸素(O)の含有率が25at%未満であることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記吸収体層の膜厚が、50〜200nmであることが好ましい。
また、本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記反射層と前記吸収体層との間に、前記吸収体層へのパターン形成時に前記反射層を保護するための保護層が形成されており、
前記マスクパターンの検査光の波長(190〜260nm)に対する前記保護層表面での反射光と、前記低反射層表面での反射光と、のコントラストが、60%以上であることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、反射層と吸収体層との間に保護層が形成されている場合、前記保護層が、Ru、Ru化合物、SiO2およびCrNのいずれか1つで形成されることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記マスクパターンの検査光の波長(190〜260nm)に対する前記低反射層表面の反射率が15%以下であることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記低反射層が、窒素(N)および酸素(O)を含む不活性ガス雰囲気中でHfターゲットを用いたスパッタリング法を行うことにより形成されることが好ましい。
ここで前記Hfターゲットが、Zrを0.1〜5.0at%含有してもよい。
また、本発明は、基板上に、EUV光を反射する反射層、EUV光を吸収する吸収体層、および、マスクパターンの検査光(波長190〜260nm)に対する低反射層をこの順に形成することによりEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクを製造する方法であって、
前記低反射層が、窒素(N)及び酸素(O)を含む不活性ガス雰囲気中でHfターゲットを用いたスパッタリング法を行うことにより形成されることを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクの製造方法を提供する。
ここで、前記Hfターゲットが、Zrを0.1〜5.0at%含有してもよい。
本発明のEUVマスクブランクは、低反射層の膜組成および膜厚を変えることなく、現行のマスクパターンの検査光の波長(257nm)に加えて、今後使用されると予想されるマスクパターンの検査光の波長域(190〜199nm)を含むマスクパターンの検査光の全波長域(190〜260nm)に対して低反射特性を示し、当該波長域に対する低反射層表面の反射率が15%以下である。そのため、今後、マスクパターンの検査光の波長が257nmから190〜199nm付近に移行した際、低反射層の膜組成および膜厚を調整する必要がないため、複雑な成膜条件を調整する必要がない。また、マスクパターンの検査光の波長が257nmから190〜199nm付近に移行した際、低反射層の膜組成や膜厚を変更する必要がないため、パターニング工程において、新たにエッチング条件を最適化する必要がなく、従来のエッチング技術をそのまま使用できるという利点を有する。
以下、図面を参照して本発明のEUVマスクブランクを説明する。
図1は、本発明のEUVマスクブランクの1実施形態を示す概略断面図である。図1に示すマスクブランク1は、基板11上にEUV光を反射する反射層12と、EUV光を吸収する吸収体層14とがこの順に形成されている。反射層12と吸収体層14との間には、吸収体層14へのパターン形成時に反射層12を保護するための保護層13が形成されている。吸収体層14上には、マスクパターンの検査光に対する低反射層15が形成されている。但し、本発明のEUVマスクブランク1において、図1に示す構成中、基板11、反射層12、吸収体層14および低反射層15のみが必須であり、保護層13は任意の構成要素である。
以下、マスクブランク1の個々の構成要素について説明する。
基板11は、EUVマスクブランク用の基板としての特性を満たすことが要求される。
そのため、基板11は、低熱膨張係数(具体的には、20℃における熱膨張係数が0±0.05×10-7/℃であることが好ましく、特に好ましくは0±0.03×10-7/℃)を有し、平滑性、平坦度、およびマスクブランクまたはパターン形成後のフォトマスクの洗浄等に用いる洗浄液への耐性に優れたものが好ましい。基板11としては、具体的には低熱膨張係数を有するガラス、例えばSiO2−TiO2系ガラス等を用いるが、これに限定されず、β石英固溶体を析出した結晶化ガラスや石英ガラスやシリコンや金属などの基板を用いることもできる。
基板11は、表面粗さ(rms)0.15nm以下の平滑な表面と100nm以下の平坦度を有していることがパターン形成後のフォトマスクにおいて高反射率および転写精度が得られるために好ましい。
基板11の大きさや厚みなどはマスクの設計値等により適宜決定されるものである。後で示す実施例では外形6インチ(152mm)角で、厚さ0.25インチ(6.3mm)のSiO2−TiO2系ガラスを用いた。
基板11の反射層12が形成される側の表面には欠点が存在しないことが好ましい。しかし、存在している場合であっても、凹状欠点および/または凸状欠点によって位相欠点が生じないように、凹状欠点の深さおよび凸状欠点の高さが2nm以下であり、かつこれら凹状欠点および凸状欠点の半値幅が60nm以下であることが好ましい。
反射層12は、EUVマスクブランクの反射層として所望の特性を有するものである限り特に限定されない。ここで、反射層12に特に要求される特性は、高EUV光線反射率であることである。具体的には、EUV光の波長領域の光線を入射角6度で反射層12表面に照射した際に、波長13.5nm付近の光線反射率の最大値が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。また、反射層12の上に保護層13や低反射層15を設けた場合であっても、波長13.5nm付近の光線反射率の最大値が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。
反射層12は、高EUV光線反射率を達成できることから、通常は高屈折層と低屈折率層を交互に複数回積層させた多層反射膜が反射層12として用いられる。反射層12をなす多層反射膜において、高屈折率層には、Moが広く使用され、低屈折率層にはSiが広く使用される。すなわち、Mo/Si多層反射膜が最も一般的である。但し、多層反射膜はこれに限定されず、Ru/Si多層反射膜、Mo/Be多層反射膜、Mo化合物/Si化合物多層反射膜、Si/Mo/Ru多層反射膜、Si/Mo/Ru/Mo多層反射膜、Si/Ru/Mo/Ru多層反射膜も用いることができる。
反射層12をなす多層反射膜を構成する各層の膜厚および層の繰り返し単位の数は、使用する膜材料および反射層に要求されるEUV光線反射率に応じて適宜選択することができる。Mo/Si反射膜を例にとると、EUV光線反射率の最大値が60%以上の反射層12とするには、多層反射膜は膜厚2.3±0.1nmのMo層と、膜厚4.5±0.1nmのSi層とを繰り返し単位数が30〜60になるように積層させればよい。
なお、反射層12をなす多層反射膜を構成する各層は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など、周知の成膜方法を用いて所望の厚さになるように成膜すればよい。例えば、イオンビームスパッタリング法を用いてSi/Mo多層反射膜を形成する場合、ターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、イオン加速電圧300〜1500V、成膜速度0.03〜0.30nm/secで厚さ4.5nmとなるようにSi膜を成膜し、次に、ターゲットとしてMoターゲットを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、イオン加速電圧300〜1500V、成膜速度0.03〜0.30nm/secで厚さ2.3nmとなるようにMo膜を成膜することが好ましい。これを1周期として、Si膜およびMo膜を40〜50周期積層させることによりSi/Mo多層反射膜が成膜される。
反射層12表面が酸化されるのを防止するため、反射層12をなす多層反射膜の最上層は酸化されにくい材料の層とすることが好ましい。酸化されにくい材料の層は反射層12のキャップ層として機能する。キャップ層として機能する酸化されにくい材料の層の具体例としては、Si層を例示することができる。反射層12をなす多層反射膜がSi/Mo膜である場合、最上層をSi層とすることによって、該最上層をキャップ層として機能させることができる。その場合キャップ層の膜厚は、11±2nmであることが好ましい。
保護層13は、エッチングプロセス、通常はドライエッチングプロセスにより吸収体層14にパターン形成する際に、反射層12がエッチングプロセスによるダメージを受けないよう、反射層12を保護することを目的として設けられる。したがって保護層13の材質としては、吸収体層14のエッチングプロセスによる影響を受けにくい、つまりこのエッチング速度が吸収体層14よりも遅く、しかもこのエッチングプロセスによるダメージを受けにくい物質が選択される。この条件を満たす物質としては、たとえばCr、Al、Ta及びこれらの窒化物、Ru及びRu化合物(RuB、RuSi等)、ならびにSiO2、Si34、Al23やこれらの混合物が例示される。これらの中でも、Ru及びRu化合物(RuB、RuSi等)、CrNおよびSiO2が好ましく、Ru及びRu化合物(RuB、RuSi等)が特に好ましい。
保護層13の厚さは1〜60nmであることが好ましい。
保護層13は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など周知の成膜方法を用いて成膜する。マグネトロンスパッタリング法によりRu膜を成膜する場合、ターゲットとしてRuターゲットを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.0×10-2Pa〜10×10-1Pa)を使用して投入電力30〜1500V、成膜速度0.02〜1.0nm/secで厚さ2〜5nmとなるように成膜することが好ましい。
吸収体層14に特に要求される特性は、EUV光線反射率が極めて低いことである。具体的には、EUV光の波長領域の光線を吸収体層14表面に照射した際に、波長13.5nm付近の最大光線反射率が0.5%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
本発明のEUVマスクブランク1においては、EUV光の波長領域の光線を低反射層15表面に照射した際にも、波長13.5nm付近の最大光線反射率が0.5%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
上記の特性を達成するため、吸収体層14は、EUV光の吸収係数が高い材料で構成される。EUV光の吸収係数が高い材料としては、タンタル(Ta)を主成分とする材料を用いることが好ましい。本明細書において、タンタル(Ta)を主成分とする材料と言った場合、当該材料中Taを40at%以上、好ましくは50at%以上、より好ましくは55at%以上含有する材料を意味する。
吸収体層14に用いるTaを主成分とする材料は、Ta以外にハフニウム(Hf)、珪素(Si)、ジルコニウム(Zr)、ゲルマニウム(Ge)、硼素(B)および窒素(N)から選ばれる少なくとも一つの元素を含んでも良い。Ta以外の上記の元素を含有する材料の具体例としては、例えば、TaN、TaHf、TaHfN、TaBSi、TaBSiN、TaB、TaBN、TaSi、TaSiN、TaGe、TaGeN、TaZr、TaZrNなどが挙げられる。
ただし、吸収体層14中には、酸素(O)を含まないことが好ましい。具体的には、吸収体層14中のOの含有率が25at%未満であることが好ましい。吸収体層14にパターン形成する際には、通常はドライエッチングプロセスが用いられ、エッチングガスとしては、塩素系ガス(あるいは塩素系ガスを含む混合ガス)あるいはフッ素ガス(あるいはフッ素系ガスを含む混合ガス)が通常に用いられる。エッチングプロセスにより反射層がダメージを受けるのを防止する目的で、反射層上に保護層としてRuまたはRu化合物を含む膜が形成されている場合、保護層のダメージが少ないことから、エッチングガスとして主に塩素系ガスが使われる。しかしながら、塩素系ガスを用いてドライエッチングプロセスを実施する場合に、吸収体層14が酸素を含有していると、エッチング速度が低下し、レジストダメージが大きくなり好ましくない。吸収体層14中の酸素の含有率は、15at%以下であることが好ましく、特に10at%以下であることがより好ましく、5at%以下であることがさらに好ましい。
吸収体層14は、吸収体層14と低反射層15との合計膜厚が50〜200nmとなるように膜厚を設定することが好ましい。
上記した構成の吸収体層14は、公知の成膜方法、例えば、マグネトロンスパッタリング法またはイオンビームスパッタリング法を実施することにより形成することができる。
例えば、吸収体層14として、マグネトロンスパッタリング法を用いてTaHf膜を形成する場合、以下の条件で実施すればよい。
スパッタリングターゲット:TaHf化合物ターゲット(Ta=30〜70at%、Hf=70〜30at%)
スパッタガス:Arガス等の不活性ガス(ガス圧1.0×10-1Pa〜50×10-1Pa、好ましくは1.0×10-1Pa〜40×10-1Pa、より好ましくは1.0×10-1Pa〜30×10-1Pa)
成膜前真空度:1×10-4Pa以下、好ましくは1×10-5Pa以下、より好ましくは10-6Pa以下
投入電力:30〜1000W、好ましくは50〜750W、より好ましくは80〜500W
成膜速度:2.0〜60nm/min、好ましくは3.5〜45nm/min、より好ましくは5〜30nm/min
また、吸収体層14として、マグネトロンスパッタリング法を用いてTaN層を形成する場合、以下の条件で実施すればよい。
スパッタリングターゲット:Taターゲット
スパッタガス:Arガス等の不活性ガスで希釈したN2ガス(ガス圧1.0×10-1Pa〜50×10-1Pa、好ましくは1.0×10-1Pa〜40×10-1Pa、より好ましくは1.0×10-1Pa〜30×10-1Pa)
成膜前真空度:1×10-4Pa以下、好ましくは1×10-5Pa以下、より好ましくは10-6Pa以下
投入電力:30〜1000W、好ましくは50〜750W、より好ましくは80〜500W
成膜速度:2.0〜60nm/min、好ましくは3.5〜45nm/min、より好ましくは5〜30nm/min
低反射層15はマスクパターンの検査に使用する検査光の波長に対して、低反射特性を示す膜で構成される。EUVマスクを作製する際、吸収体層にパターンを形成した後、このパターンが設計通りに形成されているかどうか検査する。このマスクパターンの検査では、検査光として現在は257nm程度の光を使用した検査機が使用されている。しかしながら、パターン幅が小さくなるに従い、検査光に使用される波長も短くなり、今後190〜199nmの波長が使われることが予測される。つまり、このような波長の検査光に対する反射率の差、具体的には、吸収体層14がパターン形成により除去されて露出した面と、パターン形成により除去されずに残った吸収体層14表面と、の反射率の差、すなわち、これらの面での反射光のコントラストによって検査される。ここで、前者は反射層12表面である。但し、反射層12上に保護層13が形成されている場合、保護層13表面である。したがって、検査光の波長に対する反射層12表面または保護層13表面と、吸収体層14表面と、の反射率の差が小さいと検査時のコントラストが悪くなり、正確な検査が出来ないことになる。
上記した構成の吸収体層14は、EUV光線反射率が極めて低く、EUVマスクブランク1の吸収体層として優れた特性を有しているが、検査光の波長について見た場合、光線反射率が必ずしも十分低いとは言えない。この結果、検査光の波長に対する吸収体層14表面の反射率と保護層13表面の反射率との差が小さくなり、検査時のコントラストが十分得られない可能性がある。検査時のコントラストが十分得られないと、マスクパターンの検査においてパターンの欠陥を十分判別できず、正確な欠陥検査を行えないことになる。
本発明のEUVマスクブランク1では、吸収体層14上にマスクパターンの検査光に対する低反射層15を形成することにより、検査時のコントラストが良好となる。なお、本発明のEUVマスクブランク1の場合、反射光のコントラストは検査光の波長に対する、反射層12表面と、低反射層15表面と、の反射率の差である。但し、反射層12上に保護層13が形成されている場合、保護層13表面と、低反射層15表面と、の反射率の差である。
本発明のEUVマスクブランク1では、吸収体層14上に低反射層15を形成することにより、マスクパターンの検査光の全波長域(190〜260nm)に対して光線反射率が極めて低くなる。具体的には、マスクパターンの検査光の波長域(190〜260nm)の光線を低反射層15表面に照射した際に、該検査光の全波長域(190〜260nm)に対して、低反射層15表面の光線反射率が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、8%以下であることがさらに好ましい。
マスクパターンの検査光の全波長域(190〜260nm)に対して低反射層15表面の最大光線反射率が15%以下であれば、マスクパターンの検査光の波長を問わず、検査時のコントラストが良好である。具体的には、マスクパターンの検査光の全波長域(190〜260nm)に対して、反射層12表面における反射光(反射層12上に保護層13が形成されている場合は保護層13表面における反射光)と、低反射層15表面における反射光と、のコントラストが60%以上となる。
本明細書において、コントラストは下記式を用いて求めることができる。
コントラスト(%)=((R2−R1)/(R2+R1))×100
ここで、R2は検査光の波長に対する反射層12表面での反射率である。但し、反射層12上に保護層13が形成されている場合は保護層13表面での反射率である。R1は検査光の波長に対する低反射層15表面での反射率である。なお、上記R1およびR2は、図2に示すように、図1に示すEUVマスクブランク1の吸収体層14および低反射層15にパターンを形成した状態で測定する。上記R2は、図2中、パターン形成によって吸収体層14および低反射層15が除去され、外部に露出した反射層12表面または保護層13表面で測定した値であり、R1はパターン形成によって除去されずに残った低反射層15表面で測定した値である。
本発明において、上記式で表されるコントラストが65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
低反射層15は、上記の特性を達成するため、マスクパターンの検査光の波長域に対する屈折率が吸収体層14よりも高い材料で構成され、その結晶状態がアモルファスであることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランク1の低反射層15では、ハフニウム(Hf)、酸素(O)および窒素(N)を合計含有率で80at%以上含有することにより上記の特性を達成する。
低反射層15は、これらの元素を以下に述べる特定の比率で含有することが好ましい。
低反射層15は、Hfの含有率が10〜80at%であることが好ましい。NおよびOの合計含有率が20〜90at%であることが好ましい。NとOの組成(原子)比が9:1〜1:9であることが好ましい。Hfの含有率が10at%未満であると、低反射層15の導電性が低下し低反射層15に電子線描画する際にチャージアップの問題が生じる可能性がある。Hfの合計含有率が80at%超であると、マスクパターンの検査光の波長域に対する光線反射率を十分低くすることができない可能性がある。また、NおよびOの含有率が20at%より低い場合、マスクパターンの検査光の波長域に対する光線反射率を十分低くすることができない可能性がある。NおよびOの含有率が90at%より高い場合、低反射層15の耐酸性が低下し、低反射層15の絶縁性が増し低反射層15に電子線描画する際にチャージアップが起こる等の問題が生じる可能性がある。最も好ましいのは、Hfの含有率が10〜80at%であり、かつNおよびOの合計含有率が20〜90at%であり、かつNとOの組成比が9:1〜1:9である。
Hfの含有率は、15〜80at%であることがより好ましく、20〜80at%であることがさらに好ましく、30〜70at%であることが特に好ましい。また、NとOの含有率は、20〜85at%であることがより好ましく、20〜80at%であることがさらに好ましく、30〜70at%であることが特に好ましい。またNとOの組成比は、8.3:1.7〜1.7:8.3(つまり、酸素/(窒素+酸素)の値が、17〜83%)であることが好ましく、8.5:1.5〜1.5:8.5であることがさらに好ましく、1:1〜1.5:8.5であることが特に好ましい。
また、EUVマスクブランクの低反射層においては、199nm、193nmに対する反射率の観点から、Taの含有量は10at%以下、特に5at%以下であることが好ましい。Taの含有量を減らすことで、Hfの特性を十分に発揮できるようになるため好ましい。
低反射層15は、成膜時に使用するターゲットからのZrを0.1〜1.0at%含有してもよい。
低反射層15は、上記の構成であることにより、その結晶状態はアモルファスであることが好ましい。なお、本明細書において、「結晶状態がアモルファスである」と言った場合、全く結晶構造を持たないアモルファス構造となっているもの以外に、微結晶構造のものを含む。
低反射層15がアモルファス構造の膜または微結晶構造の膜であることにより、低反射層15表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下であることが好ましい。ここで、吸収体層15表面の表面粗さは原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)を用いて測定することができる。低反射層15表面の表面粗さが大きいと、低反射層15に形成されるパターンのエッジラフネスが大きくなり、パターンの寸法精度が悪くなる。パターンが微細になるに従いエッジラフネスの影響が顕著になるため、低反射層15表面は平滑であることが要求される。
低反射層15表面の表面粗さ(rms)が0.5nm以下であれば、低反射層15表面が十分平滑であるため、エッジラフネスの影響によってパターンの寸法精度が悪化するおそれがない。低反射層15表面の表面粗さ(rms)は0.4nm以下であることがより好ましく、0.3nm以下であることがさらに好ましい。
なお、低反射層15の結晶状態がアモルファスであること、すなわち、アモルファス構造であること、または微結晶構造であることは、X線回折(XRD)法によって確認することができる。低反射層15の結晶状態がアモルファス構造であるか、または微結晶構造であれば、XRD測定により得られる回折ピークにシャープなピークが見られない。
吸収体層14と低反射層15との合計膜厚が50〜200nmであることが好ましい。また、低反射層15の膜厚が吸収体層14の膜厚よりも大きいと、吸収体層14でのEUV光吸収特性が低下するおそれがあるので、低反射層15の膜厚は吸収体層の膜厚よりも小さいことが好ましい。このため、低反射層15の厚さは3〜30nmであることが好ましく、5〜20nmであることがより好ましい。
上記した構成の低反射層15は、Hfターゲットを用いたスパッタリング法、例えば、マグネトロンスパッタリング法またはイオンビームスパッタリング法を実施することにより形成することができる。
上記した構成の低反射層15は、アルゴン(Ar)等の不活性ガスで希釈した酸素(O2)・窒素(N2)混合ガス雰囲気中でHfターゲットを放電させることによって形成する。または、アルゴン(Ar)等の不活性ガスで希釈した窒素(N2)雰囲気中でHfターゲットを放電させることによってHfおよびNを含有する膜を形成した後、例えば酸素プラズマ中にさらしたり、酸素を用いたイオンビームを照射することによって、形成された膜を酸化することにより、Hf、OおよびNを含有する低反射層15としてもよい。
Hfターゲットは、Zrを0.1〜5.0at%含有してもよい。
上記した方法で吸収体層14上に低反射層15を形成するには、具体的には以下の成膜条件で実施すればよい。
低反射層15(HfON膜)の成膜条件
スパッタガス:ArとO2とN2の混合ガス(Arガス濃度3〜80vol%、好ましくは5〜70vol%、より好ましくは10〜60vol%、O2ガス濃度3〜80vol%、好ましくは5〜70vol%、より好ましくは10〜60vol%、N2ガス濃度3〜80vol%、好ましくは5〜70vol%、より好ましくは10〜60vol%;ガス圧好ましくは1.0×10-2Pa〜40×10-1Pa、より好ましくは1.0×10-1Pa〜30×10-1Pa)
投入電力:30〜1000W、好ましくは50〜750W、より好ましくは80〜500W
成膜速度:0.1〜60nm/min、好ましくは0.5〜45nm/min、より好ましくは1〜30nm/min
なお、Ar以外の不活性ガスを使用する場合、その不活性ガスの濃度が上記したArガス濃度と同じ濃度範囲にする。
本発明のEUVマスクブランク1は、反射層12、保護層13、吸収体層14および低反射層15以外に、EUVマスクブランクの分野において公知の機能膜を有していてもよい。このような機能膜の具体例としては、例えば、特表2003−501823号公報に記載されているもののように、基板の静電チャッキングを促すために、基板の裏面側に施される高誘電性コーティングが挙げられる。ここで、基板の裏面とは、図1の基板11において、反射層12が形成されている側とは反対側の面を指す。このような目的で基板の裏面に施す高誘電性コーティングは、シート抵抗が100Ω/□以下となるように、構成材料の電気伝導率と厚さを選択する。高誘電性コーティングの構成材料としては、公知の文献に記載されているものから広く選択することができる。例えば、特表2003−501823号公報に記載の高誘電率のコーティング、具体的には、シリコン、TiN、モリブデン、クロム、TaSiからなるコーティングを適用することができる。高誘電性コーティングの厚さは、例えば10〜1000nmとすることができる。
高誘電性コーティングは、公知の成膜方法、例えば、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法といったスパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、電解メッキ法を用いて形成することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
実施例1
本実施例では、図1に示すEUVマスクブランク1を作製した。
成膜用の基板11として、SiO2−TiO2系のガラス基板(外形6インチ(152mm)角、厚さが6.3mm)を使用した。このガラス基板の熱膨張率は0.2×10-7/℃、ヤング率は67GPa、ポアソン比は0.17、比剛性は3.07×1072/s2である。このガラス基板を研磨により、表面粗さ(rms)が0.15nm以下の平滑な表面と100nm以下の平坦度に形成した。
基板11の裏面側には、マグネトロンスパッタリング法を用いて厚さ100nmのCr膜を成膜することによって、シート抵抗100Ω/□の高誘電性コーティングを施した。
平板形状をした通常の静電チャックに、形成したCr膜を用いて基板11(外形6インチ(152mm)角、厚さ6.3mm)を固定して、該基板11の表面上にイオンビームスパッタリング法を用いてSi膜およびMo膜を交互に成膜することを40周期繰り返すことにより、合計膜厚272nm((4.5nm+2.3nm)×40)のSi/Mo多層反射膜(反射層12)を形成した。
さらに、Si/Mo多層反射膜(反射層12)上に、イオンビームスパッタリング法を用いてRu膜(膜厚2.5nm)と成膜することにより、保護層13を形成した。
Si膜、Mo膜およびRu膜の成膜条件は以下の通りである。
Si膜の成膜条件
ターゲット:Siターゲット(ホウ素ドープ)
スパッタガス:Arガス(ガス圧0.02Pa)
電圧:700V
成膜速度:0.077nm/sec
膜厚:4.5nm
Mo膜の成膜条件
ターゲット:Moターゲット
スパッタガス:Arガス(ガス圧0.02Pa)
電圧:700V
成膜速度:0.064nm/sec
膜厚:2.3nm
Ru膜の成膜条件
ターゲット:Ruターゲット
スパッタガス:Arガス(ガス圧0.02Pa)
電圧:500V
成膜速度:0.023nm/sec
膜厚:2.5nm
次に、保護層13上に、吸収体層14としてTaとHfを含むTaHf膜を、マグネトロンスパッタリング法を用いて形成した。
吸収体層14(TaHf膜)は以下の方法で成膜した。膜組成は、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectrometer)(PERKIN ELEMER−PHI社製:番号5500)を用いて測定する。吸収体層の組成は、Ta:Hf=55:45である。吸収体層におけるO含有率は0.05at%以下である。
吸収体層14(TaHf膜)の成膜条件
ターゲット:TaHf化合物ターゲット(組成比:Ta55at%、Hf45at%)
スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:17.4nm/min
膜厚:70nm
成膜前真空度:4×10-6Pa
次に、吸収体層14上に、Hf、OおよびNを含有する低反射層15(HfON膜)を、マグネトロンスパッタリング法を用いて形成することにより、基板11上に反射層12、保護層13、吸収体層14、低反射層15がこの順で形成されたEUVマスクブランク1を得た。
低反射層15(HfON膜)の成膜条件は以下の通りである。
低反射層15(HfON膜)の成膜条件
ターゲット:Hfターゲット
スパッタガス:ArとN2とO2の混合ガス(Ar:45vol%、N2:23vol%、O2:32vol%、ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:7.8nm/min
膜厚:10nm
上記の手順で得られたEUVマスクブランクの低反射層15(HfON膜)に対し下記の評価(1)〜(4)を実施した。
(1)膜組成
低反射層15(HfON)の組成を、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectrometer)(PERKIN ELEMER−PHI社製:番号5500)を用いて測定する。低反射層の組成比(at%)は、Hf:N:O=50:15:35である。
(2)結晶状態
吸収体層15(HfON膜)の結晶状態を、X線回折装置(X−Ray Diffractmeter)(RIGAKU社製)で確認した。得られる回折ピークにはシャープなピークが見られないことから、低反射層15(HfON膜)の結晶状態がアモルファス構造または微結晶構造であることを確認した。
(3)表面粗さ
低反射層15(HfON膜)の表面粗さは、原子間力顕微鏡(SII製、SPI−3800)を用いて、dynamic force modeで測定する。表面粗さの測定領域は1μm×1μmであり、カンチレバーには、SI−DF40(SII製)を用いる。
低反射層の表面粗さ(rms)は0.30nmである。
(4)反射特性評価(コントラスト評価)
本実施例では、保護層13(Ru膜)まで形成した段階で、該保護層13表面におけるマスクパターンの検査光(波長257nm、199nm、193nm)の反射率を分光光度計(HITACH UV−4100)を用いて測定した。また、低反射層15(HfON膜)を形成した後、該低反射層表面におけるマスクパターンの検査光の反射率を測定した。その結果、保護層13層表面での波長257nm、199nm、193nmに対する反射率は、それぞれ56.0%、53.6%、55%であった。一方、低反射層15(HfON膜)表面の各波長に対する反射率は、6.2%、4.7%および5.9%であり、いずれも15%以下であった。これらの結果と上記した式を用いてコントラストを求めたところ、各波長におけるコントラストは下記のとおりであった。
波長257nmにおけるコントラスト:79.9%
波長199nmにおけるコントラスト:83.8%
波長193nmにおけるコントラスト:80.6%
マスクパターンの検査光の全ての波長域に対して、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは70%以上であり、十分なコントラストが得られた。得られたEUVマスクブランク1について、低反射層15(HfON膜)表面にEUV光(波長13.5nm)を照射してEUV光の反射率を測定する。その結果、EUV光の反射率は0.4%である。
実施例2
本実施例では、吸収体層14をタンタル(Ta)と窒素(N)を含むTaN膜を、マグネトロンスパッタリング法を用いて形成した以外は、実施例1と同様の手順で実施した。
吸収体層14(TaN膜)は以下の方法で成膜した。膜組成は、実施例1と同様に調べた。吸収体層14の組成は、Ta:N=57:43であった。吸収体層におけるO含有率は0.05at%以下であった。
吸収体層14(TaN膜)の成膜条件
ターゲット:Taターゲット
スパッタガス:ArとN2(Ar:86vol%、N2:14vol%、ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:17.4nm/min
膜厚:70nm
成膜前真空度:4×10-6Pa
次に、上記吸収体層14(TaN)膜上に、実施例1と同様の手順で、低反射層15(HfON膜)を形成し、EUVマスクブランク1を得た。得られたEUVマスクブランク1に対して、実施例1と同様の手順で反射特性評価(コントラスト評価)を実施した。
低反射層15(HfON膜)表面での波長257nm、199nm、193nmに対する反射率は、6.4%、4.2%および4.5%であり、いずれも15%以下であった。これらの結果および保護層13表面の反射率から、上記した式を用いてコントラストを求めたところ、各波長におけるコントラストは下記のとおりであった。
波長257nmにおけるコントラスト:79.4%
波長199nmにおけるコントラスト:85.5%
波長193nmにおけるコントラスト:84.9%
マスクパターンの検査光の全ての波長域に対して、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは70%以上であり、十分なコントラストが得られた。得られたEUVマスクブランク1について、低反射層15(HfON膜)表面にEUV光(波長13.5nm)を照射してEUV光の反射率を測定する。その結果、EUV光の反射率は0.5%である。
比較例1
比較例1は、低反射層がタンタルハフニウム合金の酸窒化物(TaHfON膜)であること以外は、実施例1と同様の手順で実施した。すなわち吸収体層14にTaHf膜、低反射層15にTaHfONの構成とした。TaHfON膜は、TaHfターゲット(Ta:Hf=55at%:45at%)を用いて以下の条件で作製した。低反射層15の組成比(at%)は、実施例1と同様の方法で測定する。低反射層15の組成比(at%)は、Ta:Hf:N:O=35:15:15:35である。
低反射層15(TaHfON膜)の成膜条件は以下の通りである。
低反射層15(TaHfON膜)の成膜条件
ターゲット:TaHf化合物ターゲット(組成比:Ta55at%、Hf45at%)
スパッタガス:ArとN2とO2の混合ガス(Ar:45vol%、N2:23vol%、O2:32vol%、ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:6.8nm/min
膜厚:10nm
上記の手順で得られるEUVマスクブランクの低反射層15(TaHfON膜)に対して、実施例1と同様に反射特性の評価を実施した。低反射層15(HfON膜)表面での波長257nm、199nm、193nmに対する反射率は、0.61%、16.8%および15.9%であり、波長199nmおよび193nmでは反射率が15%を超えていた。これらの結果と上記した式を用いてコントラストを求めたところ、各波長におけるコントラストは下記のとおりであった。
波長257nmにおけるコントラスト:97.8%
波長199nmにおけるコントラスト:52.1%
波長193nmにおけるコントラスト:55.1%
波長257nmに対しては、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは90%以上と優れたコントラストを有していたが、波長193および199nmに対しては、コントラストは60%以下であり、十分なコントラストが得られなかった。
比較例2
比較例2は、低反射層がタンタル(Ta)の酸窒化物(TaON膜)であること以外は、実施例2と同様の手順で実施した。すなわち吸収体層14にTaN膜、低反射層15にTaONの構成とした。TaON膜は、Taターゲットを用いて以下の条件で作製した。低反射層の組成は、実施例1と同様の方法で測定する。低反射層の組成比(at%)は、TaN:O=50:15:35である。
低反射層15(TaON膜)の成膜条件は以下の通りである。
低反射層15(TaON膜)の成膜条件
ターゲット:Taターゲット
スパッタガス:ArとN2(Ar:86vol%、N2:14vol%、ガス圧:0.3Pa)
投入電力:150W
成膜速度:8.6nm/min
膜厚:10nm
上記の手順で得られたEUVマスクブランクの低反射層15(TaON膜)に対して、実施例1と同様に反射特性の評価を実施した。低反射層15(TaON膜)表面での波長257nm、199nm、193nmに対する反射率は、9.0%、22.0%および23.0%であり、波長199nmおよび193nmでは反射率が15%を超えていた。これらの結果と上記した式を用いてコントラストを求めたところ、各波長におけるコントラストは下記のとおりであった。
波長257nmにおけるコントラスト:72.3%
波長199nmにおけるコントラスト:41.8%
波長193nmにおけるコントラスト:41.0%
波長257nmに対しては、保護層13表面と低反射層15表面のコントラストは70%以上と十分な反射コントラストを有していたが、波長193および199nmに対しては、反射コントラストは50%以下であり、十分なコントラストが得られなかった。
図1は、本発明のEUVマスクブランクの1実施形態を示す概略断面図である。 図2は、図1に示すEUVマスクブランク1の吸収体層14および低反射層15にパターン形成した状態を示している。
符号の説明
1:EUVマスクブランク
11:基板
12:反射層(多層反射膜)
13:保護層
14:吸収体層
15:低反射層

Claims (18)

  1. 基板上に、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収体層と、マスクパターンの検査光(波長190〜260nm)に対する低反射層と、が、この順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
    前記低反射層が、ハフニウム(Hf)、窒素(N)および酸素(O)を合計含有率で80at%以上含有することを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  2. 前記低反射層において、Hfの含有率が10〜80at%であり、NおよびOの合計含有率が20〜90at%であり、NとOの組成(原子)比がN:O=9:1〜1:9であることを特徴とする請求項1に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  3. 前記低反射層は、タンタル(Ta)の含有率が10at%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  4. 前記低反射層が、Zrを0.1〜1.0at%含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  5. 前記低反射層表面の表面粗さ(rms)が、0.5nm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  6. 前記低反射層表面の結晶構造が、アモルファスであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  7. 前記低反射層の膜厚が、3〜30nmであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  8. 前記吸収体層が、タンタル(Ta)を主成分とすることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  9. 前記吸収体層が、タンタル(Ta)を主成分とし、ハフニウム(Hf)、珪素(Si)、ジルコニウム(Zr)、ゲルマニウム(Ge)、硼素(B)および窒素(N)から選ばれる少なくとも1種類の元素を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  10. 前記吸収体層は、酸素(O)の含有率が25at%未満であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  11. 前記吸収体層の膜厚が、50〜200nmであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  12. 前記反射層と前記吸収体層との間に、前記吸収体層へのパターン形成時に前記反射層を保護するための保護層が形成されており、
    前記マスクパターンの検査光の波長(190〜260nm)に対する前記保護層表面での反射光と、前記低反射層表面での反射光と、のコントラストが、60%以上であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  13. 前記保護層が、Ru、Ru化合物、SiO2およびCrNのいずれか1つで形成されることを特徴とする、請求項12に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  14. 前記マスクパターンの検査光の波長(190〜260nm)に対する、前記低反射層表面の反射率が15%以下であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  15. 前記低反射層が、窒素(N)及び酸素(O)を含む不活性ガス雰囲気中でHfターゲットを用いたスパッタリング法を行うことにより形成されることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  16. 前記Hfターゲットが、Zrを0.1〜5.0at%含有する請求項15に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  17. 基板上に、EUV光を反射する反射層、EUV光を吸収する吸収体層、および、マスクパターンの検査光(波長190〜260nm)に対する低反射層をこの順に形成することによりEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクを製造する方法であって、
    前記低反射層が、窒素(N)及び酸素(O)を含む不活性ガス雰囲気中でHfターゲットを用いたスパッタリング法を行うことにより形成されることを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクの製造方法。
  18. 前記Hfターゲットが、Zrを0.1〜5.0at%含有する請求項17に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクの製造方法。
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US8956787B2 (en) 2010-03-02 2015-02-17 Asahi Glass Company, Limited Reflective mask blank for EUV lithography and process for producing the same

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