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JP2009249690A - 表面処理金属板及びその製造方法 - Google Patents

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JP2009249690A JP2008099477A JP2008099477A JP2009249690A JP 2009249690 A JP2009249690 A JP 2009249690A JP 2008099477 A JP2008099477 A JP 2008099477A JP 2008099477 A JP2008099477 A JP 2008099477A JP 2009249690 A JP2009249690 A JP 2009249690A
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Abstract

【課題】環境負荷性の高い6価クロムを含まない、優れた耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性、上塗り塗料との密着性を有する表面処理金属板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属板またはめっき金属板の表面にアニオン性官能基を有する有機樹脂を含む表面処理剤を塗布し、乾燥した後に、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+から選ばれる少なくとも1種の金属カチオンを含む水溶液と接触させることにより形成された表面処理塗膜を有することを特徴とする表面処理金属板とその製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、環境負荷性の高い6価クロムを含まない、優れた耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性、上塗り塗料との密着性を有する表面処理金属板及びその製造方法に関する。
家庭電化製品、自動車、建築材料等の各分野において、耐食性あるいは上塗り塗料との密着性の付与等を目的として、亜鉛系めっき鋼板やアルミニウム系めっき鋼板等の表面処理金属板に6価クロム酸塩等を用いたクロメート処理を施す技術が一般的に使用されてきた。しかしながら、近年の環境問題の高まりを背景に、調達素材から環境負荷性の高い6価クロムを排除しようとする動きが活発化しており、クロメートフリー化に対する要望が日増しに高まっている。一部では既に全廃に向けて動き出している業界もある。
このような動きから、これまでに様々なクロメート塗膜代替技術の検討がなされ、数多く提案されてきた。それらの多くはバリア性の優れた有機樹脂を主体とした塗膜層を金属板の上層に形成させるものである。バリア性には優れるため、ある程度の耐食性は有しているが、各種溶剤やアルカリ洗浄液を用いた洗浄工程において塗膜層が損傷を受けたり、脱膜したりするという課題があった。すなわち、本来持つ塗膜層のバリア性を損なって耐食性が低下するばかりか、外観意匠性が著しく低下するといった課題もあった。そこで、耐食性のみならず、耐溶剤性、耐アルカリ性といった耐洗浄液性に優れる塗膜層を形成させることが要求されるようになった。
特許文献1には、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリオレフィン樹脂、水分散性シリカ、並びに、シランカップリング剤及び/又はその加水分解縮合物を含む組成物を反応させて得られた水性樹脂組成物と、チオカルボニル基含有化合物と、りん酸イオンとを含有する防錆コーティング剤、それをコーティングする防錆処理方法、それがコーティングされている防錆処理金属材が開示されている。しかし、前記方法では、シランカップリング剤と各樹脂との反応が不十分であるため、得られた塗膜中の各成分間の複合度が低くなり、耐溶剤性や耐アルカリ性が劣るという問題がある。
特許文献2には、溶解度パラメータが相違する2種の樹脂及び無機成分を含有する複合被膜を有する有機複合被覆鋼板が記載されている。しかし、架橋が不充分な塗膜が形成されるため、例えば、溶剤ラビング試験では大きな損傷を受けてしまうという問題がある。
特許文献3には、亜鉛系めっき鋼板の表面に、金属化合物、水溶性有機樹脂及び酸を含有する水性組成物を塗布して形成された塗膜層を有する表面処理亜鉛系めっき鋼板が開示されている。しかし、水溶性樹脂中のカルボキシル基の量が比較的多いため、耐アルカリ性に乏しいという問題がある。
特許文献4には、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、(a)水分散性樹脂及び/又は水溶性樹脂と、(b)シランカップリング剤と、(c)りん酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸とを含有する表面処理組成物により形成された表面処理塗膜を有する表面処理鋼板が開示されている。しかし、処理剤の安定性や得られた塗膜の耐溶剤性が不充分であるという問題がある。
特許文献5には、架橋樹脂マトリックス及び無機防錆剤を含む塗膜が形成されている被覆鋼板が記載されている。しかし、耐溶剤性、耐アルカリ性において、必ずしも満足できる性能が得られていないため、これらの性能が改善された表面処理金属板が要求されている。
特開2001−164182号公報 特開2001−199003号公報 特開2001−214283号公報 特開2003−105555号公報 特開2005−281863号公報
本発明は、前記現状に鑑み、耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性、上塗り塗料との密着性等をバランスよく担保した表面処理金属板及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
有機樹脂を含む塗膜の上塗り塗料との密着性を担保するためには、その樹脂骨格中に極性官能基や極性を持つ骨格を導入することが一般的である。水系の表面処理剤の場合、極性官能基として親水性の高い官能基を用い、これは表面処理剤の安定性を担保する上でも重要な役割を担っている。特に、アニオン性の官能基を有し、これらをアミン、アンモニア、アルカリ金属元素等で中和することで水溶化もしくは水分散化した水系樹脂が、現在は広く用いられている。
これらアニオン性官能基を有する有機樹脂は、その導入量を増やした方が表面処理剤の安定性及び上塗り塗料や下地との密着性には有利であるが、一方で塗膜が形成された後にアルカリ成分と接触した場合、それにより塗膜表面が中和され親水性が増大してしまい、耐アルカリ性が大幅に低下するという課題がある。また、アニオン性官能基を多く含む有機樹脂には、極性溶剤との相溶性が大きい為、耐極性溶剤性が劣るという課題もある。
これらの問題点を解消するために、アニオン性官能基の中和剤にアルカリ金属元素を使用することによって塗膜の凝集力を向上させる手法や、架橋剤で官能基同士を架橋させ架橋密度を向上させる手法、もしくは両者を併用する手法等が用いられてきたが、必ずしもそれらの改善効果は十分ではなかった。
中和剤にアルカリ金属元素を使用する手法は、耐アルカリ性、耐極性溶剤性が向上する一方で、耐食性や上塗り塗料との密着性が低下するといった課題があった。架橋剤で架橋密度を上げる手法は、耐溶剤性、耐アルカリ性等の塗膜性能は向上する反面、浴安定性の低下が激しく、工業的に実用に至る組成を見出すことが困難であるばかりか、柔軟性が低下し加工した後の耐食性も低下してしまうといった課題もあった。
そこで、発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、アニオン性官能基を有する有機樹脂を含む塗膜層を形成する過程で特定の金属カチオンを含む水溶液と接触させ、塗膜の外表面のアニオン性官能基をカチオン性金属元素により中和させることで、耐食性や上塗り塗料との密着性を損なうことなく、これまでにない優れた耐溶剤性、耐アルカリ性を有した塗膜を見出すことに成功した。
前述したようにアルカリ金属元素を含む特定のカチオン性金属元素によるアニオン性官能基の中和は耐溶剤性や耐アルカリ性に効果がある一方で、腐食因子の透過性を促進し、耐食性に悪影響を及ぼす恐れがある。
そこで、本発明は洗浄時に用いる溶剤やアルカリ洗浄液と接触する外表面部のアニオン性官能基のみをカチオン性金属元素により中和し当該部の疎水性を高めることにより、外表面近傍で耐溶剤性や耐アルカリ性を担保し、内面の耐食性への悪影響を抑制するとの思想に基づいて発明されたものである。
即ち、本発明の主旨とするところは、
(1) 金属板またはめっき金属板の表面にアニオン性官能基を有する有機樹脂を含む表面処理剤を塗布し、加熱乾燥した後金属カチオンを含む水溶液と接触させることにより形成された表面処理塗膜を有することを特徴とする表面処理金属板、
(2) 前記水溶液に含有される金属カチオンがLi、Na、K、Mg2+、Ca2+及びSr2+から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)記載の表面処理金属板、
(3) 前記水水溶液に含有される金属カチオンの濃度が金属換算で30〜200ppmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の表面処理金属板、
(4) 前記水溶液のpHが4〜10であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(5) 前記表面処理剤を塗布し、加熱乾燥する時の焼き付け温度が100℃以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(6) 前記水溶液と接触するときの板温が60℃以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(7) 前記表面処理塗膜の20℃における水との接触角が60°以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(8) 前記アニオン性官能基がカルボキシル基を含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(9) 前記有機樹脂が水性樹脂であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(10) 前記有機樹脂が水性樹脂と架橋剤との反応によって形成される架橋樹脂マトリックスであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(11) 前記水性樹脂が、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする(7)または(8)記載の表面処理金属板、
(12) 前記水性樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物を含有し、中和率が30〜90%であることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(13) 前記架橋剤がアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物のブロック体、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラン化合物、架橋性ジルコニウム化合物及び架橋性チタン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(8)記載の表面処理金属板、
(14) 前記表面処理塗膜が無機防錆剤を含有することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の表面処理金属板
(15) 前記無機防錆剤がシリカ、りん酸化合物、バナジウム化合物及びモリブデン化合物、ニオブ化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする(12)記載の表面処理金属板、
(16) 前記表面処理塗膜がワックス成分を含有することを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(17) 金属板またはめっき金属板と前記表面処理塗膜との間に下地処理層を有することを特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(18) 前記下地処理層が有機樹脂、シランカップリング剤及びポリフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする(15)記載の表面処理金属板、
(19) 前記下地処理層がシリカ、りん酸化合物及びヘキサフルオロ金属酸から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする(15)または(16)記載の表面処理金属板、
(20) 前記めっき金属板が亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板であることを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載の表面処理金属板、
(21) 金属板またはめっき金属板の表面にアニオン性官能基を有する有機樹脂を含む表面処理剤を塗布し、加熱乾燥した直後に、金属カチオンを含む水溶液と接触させることにより表面処理塗膜を形成させることを特徴とする表面処理金属板の製造方法、
(22) 前記水溶液に含有される金属カチオンがLi、Na、K、Mg2+、Ca2+及びSr2+から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(21)記載の表面処理金属板の製造方法、
(23) 前記水溶液に含有される金属カチオンの濃度が金属換算で30〜200ppmであることを特徴とする(21)または(22)に記載の表面処理金属板の製造方法、
(24) 前記水溶液のpHが4〜10であることを特徴とする(21)〜(23)のいずれかに記載の表面処理金属板の製造方法、
(25) 前記表面処理剤を塗布し、加熱乾燥する時の焼き付け温度が100℃以上であることを特徴とする(21)〜(24)のいずれかに記載の表面処理金属板の製造方法、
(26) 前記水溶液と接触するときの板温が60℃以上であることを特徴とする請求項(21)〜(25)のいずれかに記載の表面処理金属板の製造方法、
である。
本発明の表面処理金属板は塗膜中にクロムを含まないにもかかわらず優れた耐食性を有し、且つ耐溶剤性、耐アルカリ性、上塗り塗料との密着性にも優れている。このため、本発明の表面処理金属板及びその製造方法は今後の環境対応素材及びその製造方法として非常に有望であり、各産業分野への寄与は非常に大きい。
以下、本発明の詳細とその限定理由を説明する。
本発明の表面処理金属板は金属板またはめっき金属板の表面にアニオン性官能基を有する有機樹脂を含む表面処理剤を塗布し、加熱乾燥した後に、金属カチオンを含む水溶液と接触させることにより形成された表面処理塗膜を最上層に有することを特徴とする。このように形成された表面処理塗膜は、塗膜の最表層部でアニオン性官能基が前記カチオン性金属元素により中和される事で疎水性が向上し、塗膜の最表層部の耐アルカリ性や耐溶剤性が著しく向上し、塗膜全体のアルカリや溶剤に対する耐性を向上させることができる。また、アニオン性官能基の中和が塗膜の最表層部のみとなるため、腐食因子の透過を最小限に止める事が可能であり、耐食性を低下させることはない。すなわち、このように形成された表面処理塗膜は、耐食性を低下させることなく、耐アルカリ性、耐溶剤性を向上させることが可能である。
前記水溶液に含有される金属カチオンはLi、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。これら水溶液中で金属カチオンになる金属元素は電気的に陽性度が高いため、アニオン性官能基と結合しやすく、アニオン性官能基を中和するには好適である。また、これらの金属カチオンは比較的安価な化合物から供給することが可能である。
前記表面処理剤を塗布する方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬等、公知の塗布方法を使用することができる。
前記表面処理剤を塗布した後の熱乾燥時の焼き付け温度(金属板の到達板温度)は特に限定されないが、100℃以上であることが好ましい。更に上限は250℃未満であることが好ましい。100℃未満では、形成される塗膜の硬化性が不十分になる場合があり、250℃を超えると、塗膜の熱分解が生じ、耐アルカリ性、耐溶剤性が低下を招くばかりか、黄変等外観が悪くなる場合があり、またエネルギーコスト的にも不利である。これらの観点からより好ましい温度範囲は120℃から200℃である。加熱乾燥するときの乾燥時間は1秒〜5分であることが好ましい。
前記表面処理剤を塗布、加熱乾燥した後、直ちに前記水溶液と接触させることが好ましい。前記水溶液に含有する金属カチオンの供給方法は特に限定されないが、例えば、炭酸塩、りん酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、フッ化物塩、酸化塩、水酸化塩等をイオン交換水中に溶解させる方法が挙げられ、一部が溶解しきれずに分散、懸濁している状態になっていても構わない。前記水溶液に含まれる前記金属カチオンの濃度は30〜200ppmであることが好ましい。30ppm未満では塗膜表層部のはアニオン性官能基の中和が不十分で耐アルカリ性、耐溶剤性の向上効果が十分でない場合があり、200ppmを超えるとアニオン性官能基の中和が過多になり、上塗り塗料との密着性が低下する場合がある。
前記水溶液のpHは特に限定されないが、4〜10であることが好ましい。水溶液のpHが4未満では塗膜表層部のアニオン性官能基の中和が阻害され十分に耐アルカリ性、耐溶剤性の向上効果が得られない場合があり、10を超えると、アニオン性官能基の中和が過多になり、上塗り塗料との密着性が低下する場合がある。pHを調整する方法は特に限定されず、公知の酸、アルカリ成分を用いればよい。
前記表面処理金属板に前記金属カチオンを含む水溶液を接触させる方法は特に限定されるものではなく、例えば、浸漬、スプレー、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコート、等の公知の方法を使用することができる。
前記表面処理金属板に前記金属カチオンを含む水溶液を接触させる時間は1秒以上、5分以下が好ましい。1秒未満では塗膜表層部のアニオン性官能基の中和が不十分で耐アルカリ性、耐溶剤性の向上効果が十分でない場合があり、5分を超えるとアニオン性官能基の中和が過多になり、上塗り塗料との密着性が低下する場合がある。
前記表面処理金属板に前記金属カチオンを含む水溶液を接触させるときの板温は特に限定されないが、アニオン性官能基の中和を高めるために、予め金属板を加熱しておくか、塗布後に加熱乾燥させ、冷却することなく板温が高いまま処理することが好ましい。処理時の板温が60℃未満ではアニオン性官能基の中和が不十分となる場合があることから、60℃以上であることが好ましく、より安定した効果を得るためには80℃以上であることが好ましい。処理する時の板温の上限は特に限定されないが、前述した塗膜の熱分解及びエネルギーコストの観点から250℃未満であることが好ましく、200℃未満であることがより好ましい。
前記表面処理金属板に前記金属カチオンを含む水溶液を接触させた後は速やかにエアブロー、加熱等の方法により乾燥する事が好ましい。尚、加熱乾燥の場合の加熱条件に特に制約は無いが、前述した塗膜の熱分解の観点から到達板温が250℃未満となる条件が好ましい。
一般的に有機皮膜の疎水性を向上させるためには、有機樹脂に疎水性骨格を導入したり、親水性官能基の導入量を減らしたりすることが有効であるが、有機樹脂が水性樹脂の場合、これらの手法はコーティング剤の安定性を低下させるために、その両立が難しい。 又、塗膜のキュアリングも重要な要素であるため、加熱によりキュアリングを行う場合には、十分な焼付温度が必要になってくる。
一方、本発明は前記表面処理塗膜層の外表面へ金属カチオン含有水溶液を接触処理することで塗膜外表面部のアニオン性官能基を中和処理し、疎水性を向上させることで表面処理塗膜層の接触角を高めることが可能であり、この方法を選択することで、コーティング剤の安定性に対する課題の解消や、塗膜の形成過程における加熱条件の制約を緩和すること等が可能である。
尚、前記表面処理塗膜の疎水性は水との接触角によって評価が可能であり、優れた耐アルカリ性、耐溶剤性を得るためには、20℃における水との接触角を60°以上とする必要がある。
前記アニオン性官能基としては、特に限定されず、例えば、カルボキシル基、スルホン基、りん酸基、メルカプト基等を挙げることができる。特に、カルボキシル基を含有するとき、耐溶剤性、耐アルカリ性の向上効果が大きく、水性樹脂の場合は水性化する上でも好適である。
前記有機樹脂(A)が水性樹脂により形成される場合、特に耐溶剤性、耐アルカリ性の向上効果が大きい。ここで、水性樹脂は水溶性樹脂のほか、本来水不溶性でありながらエマルジョンやサスペンジョンのように水中に微分散された状態になりうる樹脂(水分散性樹脂)を含めて言う。
前記有機樹脂(A)が水性樹脂と架橋剤との反応によって形成される架橋樹脂マトリックスにより形成される場合、水性樹脂単独で形成された塗膜よりも更に耐溶剤性、耐アルカリ性を向上させることができる。前記架橋樹脂マトリックスは、水性樹脂と架橋剤との反応により形成されるものである。前記反応(水性樹脂と架橋剤との架橋反応)は、塗膜を形成する際に行われてもよいし、また、塗膜形成前に反応の一部を行い、塗膜形成時に反応を完結させてもよい。
前記水性樹脂としては特に限定されないが、用いられる水性樹脂の内少なくとも1種は、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂から選ばれることが好ましい。
前記水性ポリエステル樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類と、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水ハイミック酸等の多塩基酸とを脱水縮合させ、アンモニアやアミン化合物等で中和し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
前記水性ポリウレタン樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類と、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物とを反応させ、さらにジアミン等で鎖延長し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
前記水性エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂をジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミン化合物と反応させ、有機酸又は無機酸で中和して得られるものや前記エポキシ樹脂の存在下で、高酸価アクリル樹脂をラジカル重合したのち、アンモニアやアミン化合物等で中和し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
前記水性アクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、アルコキシシラン(メタ)アクリレート類等の不飽和単量体を、水溶液中で重合開始剤を用いてラジカル重合することによって得られるものを挙げることができる。前記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
前記水性ポリオレフィン樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレンとメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸とを高温高圧下でラジカル重合したのち、アンモニアやアミン化合物、KOH、NaOH、LiOH等の金属化合物あるいは前記金属化合物を含有するアンモニアやアミン化合物等で中和し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
前記水性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、前記水性樹脂の少なくとも1種の存在下で、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種によって変性することによって得られる水性複合樹脂を1種又は2種以上用いてもよい。
前記水性樹脂が、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物を含むとき、耐溶剤性、耐アルカリ性の向上効果が大きく、好適である。ここで、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物とは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に含有されるカルボキシル基の一部が、KOH、NaOH、LiOH等の金属化合物により供給されるアルカリ金属元素によって中和されたものであることを意味するものである。
前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物は、中和率が下限30%、上限90%であることが好ましい。中和率が下限30%、上限90%とは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に含有されるカルボキシル基の30〜90%が中和されていることを意味するものである。中和率が30%未満であると、得られた塗膜の耐アルカリ性や塗膜を形成するためのコーティング剤の安定性が十分ではなく、中和率が90%を超えると、得られた塗膜と上塗り塗料との密着性を損なうおそれがある。前記下限は、40%であることがより好ましく、前記上限は、80%であることがより好ましい。前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和において、アルカリ金属元素とともにアンモニア、アミン等を併用してもよい。
前記架橋剤は、反応性官能基を複数個有するものであれば特に限定されないが、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物のブロック化物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラン化合物、架橋性ジルコニウム化合物、架橋性チタン化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらを用いて架橋樹脂マトリックスを得ることによって、耐溶剤性、耐アルカリ性を更に向上させることができる。
前記アミノ樹脂としては特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、グリコールウリル樹脂等を挙げることができる。
前記ポリイソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等を挙げることができる。また、そのブロック化物は、前記ポリイソシアネート化合物のブロック化物であるヘキサメチレンジイソシアネートブロック化物、イソホロンジイソシアネートブロック化物、キシリレンジイソシアネートブロック化物、トリレンジイソシアネートブロック化物等である。前記アミノ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ化合物は、オキシラン環を複数個有する化合物であれば特に限定されず、例えば、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ソルビタンポリグルシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、2,2−ビス−(4’−グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等を挙げることができる。前記エポキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記カルボジイミド化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により、イソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成した後、更にイソシアネート基との反応性を有する官能基を持つ親水性セグメントを付加した化合物等を挙げることができる。前記カルボジイミド化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記シラン化合物は、反応性官能基を複数個有するシラン化合物であれば特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカブトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。前記シラン剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記架橋性ジルコニウム化合物としては、アニオン性官能基と反応しうる官能基を複数個有するジルコニウム含有化合物であれば特に限定されないが、水又は、有機溶剤に可溶である化合物が好ましく、水溶性のジルコニウム化合物であることがより好ましい。このような化合物としては炭酸ジルコニルアンモニウムを挙げることができる。
前記架橋性チタン化合物としては、アニオン性官能基と反応しうる官能基を複数個有するチタン含有化合物であれば特に限定されないが、ジプロポキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、プロポキシ・トリス(ジエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンモノアンモニウム塩、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンジアンモニウム塩、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、オキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等を挙げることができる。前記架橋性チタン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記架橋樹脂マトリックスは、下層(下地塗膜もしくは金属板)との密着性及び上塗り塗料との密着性の向上、耐食性の向上の点から、(1)前記水性ポリオレフィン樹脂と、架橋剤としてエポキシ化合物、シラン化合物を含んでなるもの、(2)前記水性ポリウレタン樹脂と、架橋剤としてシラン化合物を含んでなるもの、もしくはそれらの複合体がより好ましい。
前記有機樹脂(A)の前記表面処理塗膜層中の含有率は、特に限定するものではないが、塗膜100質量%中に、下限50質量%、上限90質量%である。50質量%未満であると、下地や上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性が低下するおそれがある。90質量%を超えると、耐食性が低下するおそれがある。前記下限は、65質量%であることがより好ましく、前記上限は、85質量%であることがより好ましい。
前記表面処理塗膜層は無機防錆剤を含有することが耐食性を高める上で好ましい。無機防錆剤は、特に限定されず、公知の無機防錆剤を使用することができるが、シリカ、りん酸化合物、バナジウム化合物、モリブデン化合物、ニオブ化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することがより好ましい。
前記シリカを含有させることによって、塗膜のバリア性を向上させることが可能であり、腐食因子の透過性を抑えることができる。前記シリカとしては特に限定されないが、一次粒子径が5〜50nmのコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等のシリカ微粒子であることが好ましい。市販品としては、例えば、スノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスIPA−ST(日産化学工業)、アデライトAT−20N、AT−20A(旭電化工業)、アエロジル200(日本アエロジル)等を挙げることができる。
前記りん酸化合物を含有させることによって、下地が金属の場合、表面と反応してりん酸塩層を形成して不動態化させる効果、自身が難溶性塗膜を形成し腐食因子のバリア性を発揮する効果、下地金属板から溶出した金属イオンを補足し、金属イオンとともに難溶性の化合物を形成し、バリア性を発揮する効果等が期待できる。前記りん酸化合物としては特に限定されないが、オルトりん酸、メタりん酸、ピロりん酸、三りん酸、四りん酸等のりん酸類、りん酸三アンモニウム、りん酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、Na、Mg、Al、K、Ca、Mn、Ni、Zn、Fe等との金属塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びそれらの塩、フィチン酸等の有機りん酸類及びそれらの塩等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記、バナジウム化合物、モリブデン化合物、ニオブ化合物を含有させることによって、りん酸化合物と同様の耐食性向上効果が期待できる。りん酸化合物と同時に含有することによって、特に下地金属板から溶出した金属イオンを補足し、金属イオンとともに難溶性の化合物を形成する能力が増大する効果が得られ、従来のクロメートと同様の自己修復作用を担保することができる。
前記バナジウム化合物としては特に限定されないが、例えば、五酸化バナジウム、メタバナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、オキシ三塩化バナジウム、三酸化バナジウム、二酸化バナジウム、オキシ硫酸、バナジウムオキシアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、三塩化バナジウム、リンバナドモリブデン酸などを例示することができる。また、5価のバナジウム化合物を水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、1〜3級アミノ基、アミド基、りん酸基及びホスホン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する有機化合物により、4価〜2価に還元したものも使用可能である。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記モリブデン化合物としては特に限定されず、従来公知のモリブデン含有化合物を用いることができ、例えば、モリブデン酸塩等を用いることができる。前記モリブデン酸塩は、その骨格、縮合度に限定はなく、例えば、オルトモリブデン酸塩、パラモリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩等を挙げることができる。また、単塩、複塩等のすべての塩を含み、複塩としてはりん酸モリブデン酸塩等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ニオブ化合物としては特に限定されず、従来公知のニオブ含有化合物を用いることができ、例えば、酸化ニオブ、ニオブ酸及びその塩、フルオロニオブ酸塩、フルオロオキソニオブ酸塩等を挙げることができる。なかでも、耐食性の向上の点から、酸化ニオブであることが好ましい。前記ニオブ化合物は、酸化ニオブコロイド粒子であることがより好ましい。前記酸化ニオブコロイド粒子は、平均粒子径が小さい方がより安定して緻密な酸化ニオブを含有する塗膜が形成されるため、被処理物に対して安定して防錆性を付与することができ、より好ましい。
コーティング剤中の酸化ニオブコロイド粒子は、ニオブの酸化物が水中に微粒子状態で分散しているものをいい、例えば、厳密には酸化ニオブが形成されず、水酸化ニオブと酸化ニオブの中間状態でアモルファス状態になっているものであってもよい。
前記無機防錆剤の前記表面処理塗膜層中への含有量は特に限定されないが、塗膜100質量%中に、0.01〜20質量%含有することが好ましい。0.01質量%未満の場合、含有量が少なく耐食性の向上効果が得られない場合があり、20質量%を超える量では塗膜が脆くなり耐食性が低下する場合がある。
前記表面処理塗膜層にワックス成分を含有することでも疎水性を高めることができ、耐食性や耐アルカリ性を高めることができる。また、塗膜表面の潤滑性も向上し、加工性や塗膜の耐傷付き性も向上させることが可能である。
前記ワックス成分としては特に限定されず、公知のワックス成分が使用できるが、フッ素樹脂系、ポリオレフィン樹脂系からばれる少なくとも一種を使用することが好ましい。フッ素樹脂系としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが使用可能である。これらのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。
前記ポリオレフィン樹脂系としては特に限定されず、パラフィン、マイクロクリスタリン、ポリエチレン等の炭化水素系のワックス、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。前記誘導体としては特に限定されず、例えば、カルボキシル化ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン等を挙げることができる。これらのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。
本発明の表面処理金属板は少なくとも一層の塗膜層を有し、前記表面処理塗膜層が最表面に形成されていれば、その構成に限定はないが、金属板の上層に前記表面処理塗膜層が一層コーティングされている構成、もしくは金属板の上層に、下地塗膜層を有し、さらにその上層に前記表面処理塗膜層がコーティングされている二層構成が好ましい。金属板の上層に形成されている塗膜層のトータルの膜厚は特に限定されないが、0.1μm〜5μmが好ましい。0.1μm以下では十分な耐食性が得られない場合があり、5μmを超えると性能が飽和し経済的に不利であるばかりか、導電性や溶接性が必要な用途には使用できない場合がある。前記事項を鑑みると更に好ましくは0.3μm〜3μmの範囲である。
前記表面処理塗膜層の下層に下地塗膜層を有する場合、前記表面処理塗膜層と下地金属板との密着性を更に高め、耐食性を更に高めることができる。
前記下地塗膜層は特に限定されるものではないが、シランカップリング剤、有機樹脂、ポリフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことで前記表面処理塗膜層と下地金属板との密着性を更に高め、耐食性を更に高めることができる。
前記下地塗膜層に含まれるシランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、信越化学工業、日本ユニカー、チッソ、東芝シリコーン等から販売されているビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカブトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。前記シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記下地塗膜層に含まれる有機樹脂は特に限定されず、前記表面処理塗膜層と同様の有機樹脂を使用することができる。下地塗膜層に使用する有機樹脂としては、特に水性エポキシ樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、良好な密着性を得ることができる。
前記水性ポリエステル樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類と無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水ハイミック酸等の多塩基酸とを脱水縮合させ、アンモニアやアミン化合物等で中和し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
前記水性エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂をジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミン化合物と反応させ、有機酸又は無機酸で中和して得られるものや前記エポキシ樹脂の存在下で、高酸価アクリル樹脂をラジカル重合したのち、アンモニアやアミン化合物等で中和し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
前記水性フェノール樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、ビスフェノールA、パラキシリレンジメチルエーテル等の芳香族類とホルムアルデヒドとを反応触媒の存在下で付加反応させたメチロール化フェノール樹脂等のフェノール樹脂をジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミン化合物類と反応させ、有機酸又は無機酸で中和することによって得られるもの等を挙げることができる。
前記下地塗膜層に含まれるポリフェノール化合物はベンゼン環に結合したフェノール性水酸基を2以上有する化合物又はその縮合物のことを指す。前記ベンゼン環に結合したフェノール性水酸基を2以上有する化合物としては、例えば、没食子酸、ピロガロール、カテコール等を挙げることができる。ベンゼン環に結合したフェノール性水酸基を2以上有する化合物の縮合物としては特に限定されず、例えば、通常タンニン酸と呼ばれる植物界に広く分布するポリフェノール化合物等を挙げることができる。タンニン酸は、広く植物界に分布する多数のフェノール性水酸基を有する複雑な構造の芳香族化合物の総称である。前記タンニン酸は、加水分解性タンニン酸でも縮合型タンニン酸でもよい。前記タンニン酸としては特に限定されず、例えば、ハマメリタンニン、カキタンニン、チャタンニン、五倍子タンニン、没食子タンニン、ミロバランタンニン、ジビジビタンニン、アルガロビラタンニン、バロニアタンニン、カテキンタンニン等を挙げることができる。前記タンニン酸としては、市販のもの、例えば、「タンニン酸エキスA」、「Bタンニン酸」、「Nタンニン酸」、「工用タンニン酸」、「精製タンニン酸」、「Hiタンニン酸」、「Fタンニン酸」、「局タンニン酸」(いずれも大日本製薬株式会社製)、「タンニン酸:AL」(富士化学工業株式会社製)等を使用することもできる。前記ポリフェノール化合物は1種で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。
前記下地塗膜層へのシランカップリング剤、有機樹脂、ポリフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種の含有量は特に限定されないが、下地塗膜100質量%中に1質量%以上含有することが好ましい。1質量%未満の場合、含有量が少なく密着性や耐食性の向上効果が得られない場合がある。
前記下地塗膜層は更にシリカ、りん酸化合物、ヘキサフルオロ金属酸から選ばれる少なくとも1種を含有することで下地金属板との密着性を更に高めることができ、耐食性を更に高めることができる。
前記シリカを含有させることによって、前記シランカップリング剤、有機樹脂、ポリフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種との化学的な結合が形成し、塗膜の凝集力が向上し密着性が向上するばかりか、塗膜のバリア性を向上させることが可能であり、腐食因子の透過性を抑えることができる。
前記シリカとしては特に限定されないが、一次粒子径が5〜50nmのコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等のシリカ微粒子であることが好ましい。市販品としては、例えば、スノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスIPA−ST(日産化学工業)、アデライトAT−20N、AT−20A(旭電化工業)、アエロジル200(日本アエロジル)等を挙げることができる。
前記りん酸化合物、ヘキサフルオロ金属酸を含有させることによって、金属板の表面をエッチングにより活性化し、シランカップリング剤、有機樹脂、ポリフェノール化合物のめっきへの作用を促進させる。
前記下地塗膜層に含まれるりん酸化合物は特に限定されないが、オルトりん酸、メタりん酸、ピロりん酸、三りん酸、四りん酸等のりん酸類、りん酸三アンモニウム、りん酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、Na、Mg、Al、K、Ca、Mn、Ni、Zn、Fe等との金属塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びそれらの塩、フィチン酸等の有機りん酸類及びそれらの塩等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。りん酸化合物は前記作用のほかに、金属板表面にりん酸塩層を形成して不働態化させる作用を有するため、耐食性を向上させる作用も有している。
前記下地塗膜層に含まれるヘキサフルオロ金属酸としては特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロりん酸、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロジルコン酸、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロニオブ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸やそれらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。ヘキサフルオロ金属酸は前記作用の他に、めっき表面にヘキサフルオロ金属酸から供給される金属により安定な金属酸化塗膜層を形成するため、耐食性を向上させる作用を持つ。特に金属としてTi、Zr、Si、Nbを含むものが好ましい。前記ヘキサフルオロ金属酸は1種で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。
シリカ、りん酸化合物、ヘキサフルオロ金属酸から選ばれる少なくとも1種の下地塗膜層への含有量は特に限定されるものではないが、下地塗膜100質量%中に0.1〜50質量%含有することが好ましい。0.1質量%未満ではこれらの量が不十分であるため、耐食性向上効果が得られない場合がある。50質量%を超えると下地塗膜層が脆くなり、塗膜凝集破壊により密着性低下が生じることがある。
前記下地塗膜層の付着量は特に限定されるものではないが、10〜1000mg/mの範囲にあることが好ましい。10mg/m以下では十分な下地塗膜層の効果が得られず、1000mg/m以上を超えると下地塗膜層が凝集破壊しやすくなり密着性低下が生じることがある。安定した効果と経済的な観点から、より好ましい付着量範囲は50〜500mg/mである。
本発明において適用可能な金属板としては特に限定されるものではなく、例えば、鉄、鉄基合金、アルミニウム、アルミニウム基合金、銅、銅基合金等を挙げられ、任意に金属板上にめっきしためっき金属板を使用することもできる。中でも本発明の適用において最も好適なものは亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板である。亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコンめっき鋼板等の亜鉛系めっき鋼板、さらにはこれらのめっき層に少量の異種金属元素又は不純物としてコバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、マンガン、鉄、マグネシウム、鉛、ビスマス、アンチモン、錫、銅、カドミウム、ヒ素等を含有したもの、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機物を分散させたものが含まれる。アルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニウムまたはアルミニウムとシリコン、亜鉛、マグネシウムの少なくとも1種とからなる合金、例えば、アルミニウム−シリコンめっき鋼板、アルミニウム−亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−シリコン−マグネシウムめっき鋼板等が挙げられる。更には以上のめっきと他の種類のめっき、例えば鉄めっき、鉄−りんめっき、ニッケルめっき、コバルトめっき等と組み合わせた複層めっきにも適用可能である。めっき方法は特に限定されるものではなく、公知の電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法、分散めっき法、真空めっき法等のいずれの方法でもよい。
以下、本発明に係る製造例及び実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発
明は下記実施例にのみ限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
前記表面処理塗膜層を形成するためのコーティング剤は、有機樹脂(A)として表1に示す水性樹脂を用い、これに架橋剤(表2)、無機防錆剤(表3)、ワックス成分(表4)を表5に示す配合量で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌することで調整した。
表1に示す水性樹脂は以下のようにして製造した。
(水性樹脂製造例1 水性ポリエステル樹脂の製造)
無水フタル酸、イソフタル酸及びアジピン酸にネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン及びカージュラE10(ジャパンエポキシレジン社製)を加熱、反応させて得られるポリエステル樹脂をジメチルエタノールアミンで中和し水分散化して調製した。
(水性樹脂製造例2 水性ポリウレタン樹脂の製造)
ビスフェノールA型ジオール、ネオペンチルグリコール及びイソフタル酸から得られるポリエステルジオール、2,2ジメチロールプロピオン酸及びイソホロンジイソシアネートを反応させた後、トリエチルアミンで中和し水分散化して調製した。
(水性樹脂製造例3 水性エポキシ樹脂の製造)
アクリル酸、メタクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸ブチルを過酸化物でラジカル共重合して得られるアクリル樹脂を用いてビスフェノールA型エポキシ樹脂を変性した後、ジメチルエタノールアミンで中和し水分散化して調製した。
(水性樹脂製造例4 エチレン−不飴和カルボン酸共重合樹脂の製造)
エチレン−メタクリル酸共重合樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製ニュクレルN2060)を水酸化ナトリウムで中和(全カルボキシル基に対して60当量%)し水分散化して調製した。
(水性樹脂製造例5 エチレン−不飴和カルボン酸共重合樹脂の製造)
エチレン−メタクリル酸共重合樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製ニュクレルN2060)をジメチルエタノールアミンで中和(全カルボキシル基に対して80当量%)し水分散化して調製した。
(水性樹脂製造例6 エチレン−不飴和カルボン酸共重合樹脂の製造)
エチレン−アクリル酸共重合樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製ニュクレルN5130H)を水酸化ナトリウムで中和(全カルボキシル基に対して40当量%)し、水分散化して調製した。
前記下地塗膜層を形成するためのコーティング剤は、有機樹脂(表1)、シランカップリング剤(表6)、ポリフェノール化合物(表7)、りん酸化合物(表8)、ヘキサフルオロ金属酸(表9)を表10に示す配合量で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌することで調整した。
表11に示す金属板の表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥した後、必要に応じて表10に示す配合の下地塗膜用コーティング剤をロールコーターにより塗布し、到達板温度が120℃になるように加熱乾燥し、イオン交換水に浸漬し冷却した後温風を吹きつけて乾燥した。付着量はコーティング剤の不揮発分(加熱残分)または塗布条件により調整した。その後、表5に示す配合の上層塗膜用コーティング剤をロールコーターにより塗布し、到達板温度が所定の温度になるように加熱乾燥し、すぐに表12に示す水溶液(溶媒はイオン交換水)に5秒間浸漬した後に温風を吹きつけて乾燥した。なお、水溶液のpH調整は水酸化ナトリウムもしくは硝酸を用い実施した。
得られた表面処理金属板の塗膜構成及び20℃における水との接触角を表13に示す。得られた表面処理金属板の品質性能(耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性、上塗り塗料との密着性)を評価した結果を表14に示す。なお、品質評価は以下のようにして行った。
(1)耐食性
試験板のエッジ、裏面をテープシールし、SST(JIS−Z−2371)試験を行った。120時間後の白錆発生状況を観察し、白錆発生面積%で評価した。
(2)耐溶剤性
試験板をラビングテスターに設置後、エタノールを含浸させた脱脂綿を0.5kgf/cmの荷重で10回(往復)擦った後の塗膜状態を下記の評価基準で評価した。
4:擦り面に全く跡が付かない
3:擦り面にわずかに跡が付く
2:擦り面に白い跡が付く
1:擦り面に塗膜がなくなる
(3)耐アルカリ性
試験板を60℃のアルカリ脱脂剤(ファインクリーナーL4460、日本パーカライジング社製)A剤1.8%、B剤1.2%水溶液(pH12.0)に攪拌しながら30分間浸漬した後の塗膜状態を観察し、塗膜残存面積%で評価した。
(4)上塗り塗料との密着性
試験板表面にメラミンアルキッド塗料(アミラック#1000ホワイト、関西ペイント社製)をバーコーターで乾燥膜厚20μmとなるように塗布し、120℃で25分間焼き付けて塗板を作製した。一昼夜放置後沸騰水中に30分間浸漬し、取り出して1日放置してから、1mm間隔の碁盤目カット疵を入れ、更にエリクセン7mm押し出しを行い、その押し出し部にセロハンテープ(ニチバン製)を貼り、強制剥離した後の塗膜状態を観察し、以下の基準で、塗膜の残存率に応じて評点10(剥離なし)〜1(完全剥離)を与えた。
評点10:残存率100%
評点9:95%≦残存率<100%
評点8:90%≦残存率<95%
評点7:80%≦残存率<90%
評点6:70%≦残存率<80%
評点5:60%≦残存率<70%
評点4:50%≦残存率<60%
評点3:30%≦残存率<50%
評点2:0%<残存率<30%
評点1:残存率0%
表13、表14より、本発明例である実施例1、3〜10、12、14〜18、20〜21、23〜26、28〜29、31〜35、37〜54、56〜65、67〜72、74〜97、99は、いずれも耐食性、耐溶剤性、耐アルカリ性、上塗り塗料との密着性に優れている。ただし、水溶液の金属カチオン(B)の濃度が200ppmを超える実施例10、54はやや上塗り塗料との密着性が低下する傾向にある。
一方で、水溶液にイオン交換水を用いた本発明を満足しない比較例2、11、13、19、22、27、30、36、55、66、73、98、100は耐アルカリ性が劣っている。また、上層塗膜組成が同じで水溶液への金属カチオン(B)の添加有無で比較すると、金属カチオン(B)を含まない比較例は耐溶剤性も低下する傾向にある(例えば、実施例10と比較例11との比較)。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (26)

  1. 金属板またはめっき金属板の表面にアニオン性官能基を有する有機樹脂を含む表面処理剤を塗布し、加熱乾燥した後に、金属カチオンを含む水溶液と接触させることにより形成された表面処理塗膜を有することを特徴とする表面処理金属板。
  2. 前記水溶液に含有される金属カチオンがLi、Na、K、Mg2+、Ca2+及びSr2+から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の表面処理金属板。
  3. 前記水溶液に含有される金属カチオンの濃度が金属換算で30〜200ppmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理金属板。
  4. 前記水溶液のpHが4〜10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理金属板。
  5. 前記表面処理剤を塗布し、加熱乾燥する時の焼き付け温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理金属板。
  6. 前記水溶液と接触するときの板温が60℃以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面処理金属板。
  7. 前記表面処理塗膜の20℃における水との接触角が60°以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表面処理金属板。
  8. 前記アニオン性官能基がカルボキシル基を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理金属板。
  9. 前記有機樹脂が水性樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理金属板。
  10. 前記有機樹脂が水性樹脂と架橋剤との反応によって形成される架橋樹脂マトリックスであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理金属板。
  11. 前記水性樹脂が、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項10または11記載の表面処理金属板。
  12. 前記水性樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物を含有し、中和率が30〜90%であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の表面処理金属板。
  13. 前記架橋剤がアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物のブロック体、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラン化合物、架橋性ジルコニウム化合物及び架橋性チタン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10記載の表面処理金属板。
  14. 前記表面処理塗膜が無機防錆剤を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の表面処理金属板
  15. 前記無機防錆剤がシリカ、りん酸化合物、バナジウム化合物、モリブデン化合物及びニオブ化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項14記載の表面処理金属板。
  16. 前記表面処理塗膜がワックス成分を含有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の表面処理金属板。
  17. 金属板またはめっき金属板と前記表面処理塗膜との間に下地処理層を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の表面処理金属板。
  18. 前記下地処理層が有機樹脂、シランカップリング剤及びポリフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項17記載の表面処理金属板。
  19. 前記下地処理層がシリカ、りん酸化合物及びヘキサフルオロ金属酸から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項17または18記載の表面処理金属板。
  20. 前記めっき金属板が亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の表面処理金属板。
  21. 金属板またはめっき金属板の表面にアニオン性官能基を有する有機樹脂を含む表面処理剤を塗布し、加熱乾燥した直後に、金属カチオンを含む水溶液と接触させることにより表面処理塗膜を形成させることを特徴とする表面処理金属板の製造方法。
  22. 前記水溶液に含有される金属カチオンがLi、Na、K、Mg2+、Ca2+及びSr2+から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項21記載の表面処理金属板の製造方法。
  23. 前記水性液に含有される金属カチオンの濃度が金属換算で30〜200ppmであることを特徴とする請求項21又は22に記載の表面処理金属板の製造方法。
  24. 前記水溶液のpHが4〜10であることを特徴とする請求項21〜23のいずれかに記載の表面処理金属板の製造方法。
  25. 前記表面処理剤を塗布し、加熱乾燥する時の焼き付け温度が100℃以上であることを特徴とする請求項21〜24のいずれかに記載の表面処理金属板の製造方法。
  26. 前記水溶液と接触するときの板温が60℃以上であることを特徴とする請求項21〜25のいずれかに記載の表面処理金属板の製造方法。

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