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JP2009235357A - ウェットケークの乾燥方法 - Google Patents

ウェットケークの乾燥方法 Download PDF

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知史 松原
Shiko Naito
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Abstract

【課題】水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケークを乾燥する際に塊状物を生成しないようにするウェットケークの乾燥方法を提供する。
【解決手段】水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケークの1部を乾燥機内部に投入し減圧加熱したあと、乾燥機内部を常圧状態にし冷却したのち、ウェットケークの残りまたは残りの1部を乾燥機内部に追加投入し減圧加熱する供給工程を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明はウェットケークの乾燥方法に関し、更に詳しくは、水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケークを乾燥する際に、塊状物を生成しないようにする乾燥方法に関するものである。
一般に、ポリメタクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エステル単量体の共重合物、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂などが工業的に製造される場合には、その大部分が塊状重合、懸濁重合、乳化重合で製造され、ごく一部が溶液重合で製造されている。
特許文献1にはハンドリング性、熱安定性に優れるカルボキシル基含有アクリル系単量体を含有する共重合体を溶液重合し、洗浄・固液分離して製造する方法が開示されている。この製造方法では水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケーク中に残存する揮発分含有量が多いため臭気が強いことや後工程の成型加工などでの揮発分が多くなるなど、ハンドリング性にさらに改善が求められている。
一方、ウェットケークを乾燥する方法として、特許文献2にあるように乾燥機へ一括供給して減圧乾燥する方法が知られているが、特許文献1に記載されているような水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケークを乾燥する場合には、乾燥初期で塊状物が生成してしまい、乾燥機からの抜き出しが困難になる、乾燥後のウェットケークの収率が悪くなるなどの問題があった。
特開2006−265543号公報 特開2005−40738号公報
本発明の目的は、水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケークを乾燥する際に塊状物を生成しないようにするウェットケークの乾燥方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のウェットケークの乾燥方法は、
(1)水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケークの1部を乾燥機内部に投入し減圧加熱したあと、乾燥機内部を常圧状態にし冷却したのち、ウェットケークの残りまたは残りの1部を乾燥機内部に追加投入し減圧加熱する供給工程を有することを特徴とするウェットケークの乾燥方法、
(2)前記供給工程における乾燥機内部の冷却が、前記減圧加熱時から0.1〜20℃低い温度にすることを特徴とする(1)のウェットケークの乾燥方法、
(3)前記供給工程における乾燥機内部の温度を30〜100℃、圧力を常圧状態から80〜99kPa減圧することを特徴とする(1)又は(2)のウェットケークの乾燥方法、
(4)前記乾燥機が振動式又は流動式であることを特徴とする(1)、(2)又は(3)のウェットケークの乾燥方法、
(5)前記熱可塑性樹脂が不飽和カルボン酸アルキルエステル単位と不飽和カルボン酸単位を含む共重合体で構成されたカルボキシル基含有アクリル共重合体であることを特徴とする(1)、(2)、(3)又は(4)のウェットケークの乾燥方法、
(6)前記熱可塑性樹脂の平均粒径が10〜5000μmであることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)のウェットケークの乾燥方法、
(7)前記ウェットケークが、スラリーを遠心分離機で固液分離して得られたケークであることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)のウェットケークの乾燥方法。
本発明によれば、水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケークの乾燥方法において、ウェットケークを乾燥機へ投入するときに、逐次的な投入と減圧加熱とを繰り返す供給工程を設けると共に、ウェットケークを投入する時の温度を減圧加熱時より低くすることにより、乾燥初期での塊状物の生成を抑制することができる。これにより、乾燥機からの抜き出しなどのハンドリング性の向上、乾燥むらの抑制、収率の向上などの改善効果が得られる。
以下、本発明の水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケークの乾燥方法について具体的に説明する。
本発明で乾燥するウェットケークは、水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含む。このウェットケークは、特に制限されるものではないが、例えば熱可塑性樹脂の重合により得られるウェットケーク、重合後、洗浄、固液分離等を経て得られるウェットケーク又はこれらのウェットケークを予備乾燥して得られるウェットケークを例示することができる。重合方法は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合のいずれであってもよい。また、水および有機溶媒は、重合時、洗浄時のいずれの段階で加えられたものであってもよい。
本発明の乾燥方法において、ウェットケークの投入と減圧加熱を繰返しながら逐次的に乾燥機内に投入する供給工程を有すると共に、ウェットケークを投入する時の乾燥機内の温度を減圧加熱時の温度より低くする。供給工程は、まずウェットケークの1部を乾燥機内に投入し減圧加熱する。次いで乾燥機内部を常圧状態にし冷却したのち、ウェットケークの残りまたは残りの1部を追加投入し減圧加熱する。このような供給操作を繰り返すことにより、乾燥機性能に見合う容量のウェットケークを供給する。所定量のウェットケークの供給を終えた後、減圧加熱の温度を段階的に昇温し乾燥するとよい。
このようにウェットケークをその投入と減圧加熱を繰返しながら逐次的に供給することにより、乾燥初期に塊状物が生成する量を少なくし、また、乾燥後の熱可塑性樹脂の平均粒子径を小さくすることができる。また、ウェットケークを投入する時の温度を減圧加熱の温度より低くすることにより、塊状物の生成量をいっそう少なくし、また、乾燥後の熱可塑性樹脂の平均粒子径をより小さくすることができる。
本発明において、ウェットケークを逐次的に投入する回数は2回以上であり、好ましくは5回以上、より好ましくは7回以上である。投入回数は、ウェットケークの性状や乾燥機の性能により変更することができる。投入回数の上限は、特に制限されるものではないが、生産性の観点から9回程度にするとよい。
供給工程における減圧加熱時の圧力は常圧より80kPa以上減圧するとよく、好ましくは常圧より80〜99kPa減圧するとよく、より好ましくは90〜99kPa減圧するとよい。減圧加熱時の圧力が常圧より少なくとも80kPa低くないと、ウェットケークの乾燥効率が不足し、生産性が悪化する。
ウェットケークの供給工程の減圧加熱時の乾燥機内の温度は、好ましくは30〜100℃であり、より好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは50〜70℃にするとよい。供給工程における減圧加熱時の温度が30℃未満であると、ウェットケークの乾燥効率が不足し、供給操作にかかる時間が長くなる。また、供給工程における減圧加熱時の温度が100℃を超えると、塊状物が生成しやすくなる。
ウェットケークの供給操作を終え、最後に投入したウェットケークが所定の乾燥状態になった後、減圧加熱の温度を段階的に高くして水及び有機溶剤をさらに除去するとよい。減圧加熱の最終段階の温度は、好ましくは70〜150℃、より好ましくは120〜140℃にするとよい。
ウェットケークの一部を投入し減圧加熱を開始してから、次のウェットケークの一部を投入するために乾燥機内を常圧状態に戻すまでの間隔は好ましくは20分以下であり、より好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下であり、下限は5分程度にするとよい。ウェットケークを逐次的に投入する間隔が20分を超えると、ウェットケークの供給操作にかかる時間が長くなり、生産性が低下する。
本発明の乾燥方法において、ウェットケークを投入するときに乾燥機内の温度を減圧加熱時の温度より低くする冷却温度の程度は、好ましくは0.1〜20℃低くし、より好ましくは1〜10℃低くし、さらに好ましくは3〜7℃低くするとよい。冷却温度が0.1℃未満の場合、塊状物の生成を抑制する効果が十分に得られない。また、冷却温度が20℃より大きいと、ウェットケークの供給操作にかかる時間が長くなり、生産性が低下する。また、ウェットケークを投入するときの温度は、乾燥機内の温度の代わりに、ジャケット温度などの温調手段の温度を用いてもよい。
本発明で用いる乾燥機としては振動式又は流動式の乾燥機が好ましい。振動乾燥機を用いる場合、振動乾燥機の振幅は好ましくは10mm以下であり、より好ましくは7mm以下、さらに好ましくは5mm以下にするとよい。また、振動周期は好ましくは10Hz以上であり、より好ましくは30Hz以上、さらに好ましくは50Hz以上にするとよい。振動乾燥機は縦型でも横型でもよく、温調手段として、ジャケットに冷却水、スチーム温調した温水、スチームを通すことのできる機構を有するものである。この温調手段として、電熱ヒータを乾燥機に巻きつけたり、内部にスチーム蛇管を配したりしてもよい。
流動乾燥機を使用するの場合、流動乾燥機は熱風または冷風にて被乾燥物を流動させるものがよく、気体の流速は5〜50m/分が好ましく、より好ましくは15〜30m/分である。また、回分式でも連続式でもよい。
乾燥前のウェットケークは、固形分量が1重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上のものであれば、本発明の乾燥方法を適用することができる。乾燥前ウェットケークの固形分量が1重量%未満の場合、乾燥効率が悪いので、固液分離や予備乾燥等により、固形分量を高くするとよい。本発明の乾燥方法に用いるウェットケークは遠心分離機を用いた固液分離で得られたものが好ましい。
また、乾燥後のウェットケークの固形分量は好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%、さらに好ましくは99重量%以上にすることができる。
本発明の乾燥方法により得られる熱可塑性樹脂の平均粒子径は好ましくは10〜5000μmであり、より好ましくは100〜1000μm、さらに好ましくは300〜700μmである。熱可塑性樹脂の平均粒子径が10μmより小さいと、減圧にしたときに飛沫同伴しやすくなり、また粉塵が発生しやすくなるなどのハンドリング性が悪くなる。また、熱可塑性樹脂の平均粒子径が5000μmより大きいと、乾燥にかかる時間が長くなるなど生産性が低下する。ここでいう平均粒子径は、ふるい目開きが3350μm、2000μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、100μmの順に乾燥後ウェットケークをふるいに通し、各ふるい上に残ったウェットケークの重量を測定し、それぞれのふるい目開き毎の重量分率に基づくふるい目開きの加重平均値として、下式より算出する粒子径を平均粒子径として評価する。なお、ふるいの条件としてふるいにウェットケークを供給してから、振動をかけ15分間ふるった後のふるい上残存ウェットケーク重量を測定する。
平均粒子径(μm)
=〔ふるい目開き×(ふるい上に残ったウェットケークの重量/測定に用いたウェットケーク全量)〕の各ふるいの合計
なお、100μmを通過したものに関しては、ふるい目開きを50μmとする。
本発明で乾燥するウェットケークに含まれる熱可塑性樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば溶液重合により製造されたアクリル樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂などが挙げられる。なかでもアクリル樹脂が好ましく、特に不飽和カルボン酸アルキルエステル単位と不飽和カルボン酸単位を含む共重合体で構成されているカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)が好ましく挙げられる。カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)は該共重合体を含む有機溶媒スラリーを製造する重合工程(I)と該スラリーを固液分離し、特定温度の水中で洗浄し、再度固液分離を行い共重合体(A)の粒子を得る洗浄工程(II)により製造することができる。
カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)は、カルボキシル基含有アクリル系単量体を共重合して得られるものであれば特に制限はなく、このカルボキシル基含有アクリル系単量体は、その他のアクリル系単量体と共重合させることが可能ないずれのカルボキシル基含有アクリル系単量体も使用可能である。好ましいカルボキシル基含有アクリル系単量体としては、下記一般式(1)で表される化合物、マレイン酸及び無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられる。特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。
(ただし、Rは水素および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す)
使用されるカルボキシル基含有アクリル系単量体と共重合可能なその他のアクリル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、トリフルオロエチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルあるいはそれらの(フルオロ)アルキルエステル単量体が例示できる。中でも、光学特性、熱安定性に優れる点で、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルがさらに好ましく、とりわけメタクリル酸メチルが好ましい。これらは単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
また、必要であれば、上記アクリル系単量体以外に、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリルなどの共重合可能なその他のビニル系単量体を使用してもよい。その他の不飽和単量体は単独でも、もしくは2種類以上の混合物であってもよい。
カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)は、通常のアクリル重合体の顔料分散性を改善し、ナイロン、ポリカーボネートなどのポリマーとの相溶性を向上し、機能ポリマーアロイの実現を可能とする。さらには、カルボキシル基を利用した高分子反応により、アクリル重合体に感光性や現像性を付与するために有効な官能基として機能する。また、アクリル重合体の分子内反応を利用し耐熱性の向上や屈折率の調整が可能となる。
カルボキシル基含有アクリル系単量体は、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の酸価が、好ましくは、5〜300mgKOH、より好ましくは5〜250mgKOHとなるような量で共重合されるのが望ましい。
カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の製造方法における重合工程(I)は、芳香族基を含有しない有機溶媒であって、かつ原料である不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体および不飽和カルボン酸単量体を含む単量体混合物は溶解し、共重合体(A)の溶解度が1g/100g以下である有機溶媒(B)中で、前記単量体混合物を共重合し、共重合体スラリーを得るものである。共重合は、重合開始剤の存在下あるいは非存在下で行うことができる。上記重合工程は、原料であるカルボキシル基含有アクリル系単量体を含む単量体混合物は溶解し、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度が1g/100g以下である有機溶媒(B)を用いることによりカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を沈殿させる、いわゆる「沈殿重合法」で行うものである。この場合、重合後のスラリー溶液を濾過および乾燥することにより、該カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を単離することができる。尚、ここで、「カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度」とは、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の有機溶媒(B)100gに対する、23℃で24時間、攪拌した後の溶解量を意味する。
重合工程(I)で使用される有機溶媒(B)としては、前述の沈殿重合法を可能とし、さらに芳香族を含まないことが必要である。具体的には、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール類から選ばれる1種以上などを挙げることができる。中でも、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトンから選ばれる1種以上が好ましい。特に、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステルから選ばれる1種以上が好ましい。
有機溶媒(B)として使用される脂肪族炭化水素としては、炭素数が5〜10の直鎖状炭化水素、側鎖を有する脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素を挙げることができる。具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンおよびそれらの種々の異性体を挙げることができる。
有機溶媒(B)として使用されるカルボン酸エステルとしては、飽和脂肪族カルボン酸および飽和アルコールからなるエステルが挙げることができ、飽和カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などを、また飽和アルコールとしては炭素数1〜10で直鎖状および分岐状のものを挙げることができる。好ましいカルボン酸エステルとしては、ギ酸−n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸−n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸−n−ペンチル、ギ酸−n−ヘキシル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−ペンチル、酢酸−n−ヘキシル、酢酸−n−ヘプチル、酢酸−n−オクチル、酢酸−n−ノニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−n−ペンチル、プロピオン酸−n−ヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソブチル、酪酸−n−ペンチル、酪酸−n−ヘキシルなどの種々の異性体を挙げることができる。
有機溶媒(B)として使用されるケトンとしては、炭素数1〜10で直鎖状および分岐状の飽和脂肪族基からなるケトンであり、具体例としては、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトンなどを挙げることができる。
有機溶媒(B)としては、中でも脂肪族炭化水素およびカルボン酸エステルの混合物が好ましい。この場合、脂肪族炭化水素とカルボン酸エステルの好ましい混合比は、特に制限はないが、重量比で5/95〜70/30の範囲が好ましく、10/90〜50/50の範囲がより好ましく、とりわけ20/80〜40/60の範囲が好ましい。混合比が5/95より小さいと、重合中に生成した共重合体が反応槽へ固着する傾向が見られる。また、混合比が70/30より大きいと、共重合組成を精密に制御しにくくなる傾向が見られる。
なお、重合工程(I)において沈殿重合する際、その重合反応系に水を用いると共重合組成を精密に制御しにくくなる場合があり、水は共重合組成の制御が可能な範囲にとどめるべきであり、有機溶媒等重合反応系に用いる成分が不純物として水を極く少量含む場合を除き、水は積極的に添加しないことが最も好ましい。
重合温度については、任意に設定することが可能であるが、好ましくは使用する有機溶媒の沸点以下の温度が好ましい。中でも、100℃以下の重合温度で重合することが好ましく、90℃以下の重合温度で重合することことがより好ましい。また、重合温度の下限は、重合が進行する温度であれば、特に制限はないが、重合速度を考慮した生産性の面から、通常50℃以上、好ましくは60℃以上である。また重合時間は、必要な重合率を得るのに十分な時間であれば特に制限はないが、生産効率の点から60〜360分間の範囲が好ましく、90〜240分間の範囲が特に好ましい。
また、重合液中の溶存酸素濃度を5ppm以下に制御することが、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の熱安定性を向上させる点で好ましい。さらに好ましい溶存酸素濃度の範囲は0.01〜3ppmであり、さらに好ましくは0.01〜1ppmである。ここで、本発明における、溶存酸素濃度は、重合液中の溶存酸素を溶存酸素計(例えばガルバニ式酸素センサである飯島電子工業株式会社製、DOメーターB−505)を用いて測定した値である。溶存酸素濃度を5ppm以下にする方法については、重合容器中に窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを通じる方法、重合液に直接不活性ガスをバブリングする方法、重合開始前に不活性ガスを重合容器に加圧充填した後、放圧を行う操作を1回若しくは2回以上行う方法、単量体混合物を仕込む前に密閉重合容器内を脱気した後、不活性ガスを充填する方法、重合容器中に不活性ガスを通じる方法を例示することができる。
カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の製造時に用いられるこれらの単量体混合物の好ましい割合は、該単量体混合物を100重量%として、カルボキシル基含有アクリル系単量体が15〜50重量%、より好ましくは20〜45重量%である。カルボキシル基含有アクリル系単量体の共重合量が15重量%未満の場合には、共重合による改質や、高分子反応他への展開が困難となる場合がある。カルボキシル基含有アクリル系単量体の共重合量が50重量%を超える場合には、共重合組成のコントロールや、分子量分布のコントロールが所望するものからはずれやすくなる傾向にある。また、高分子反応を実施し感光性樹脂として使用することを考えた場合、顔料との間で親和性や水素結合性などが強くなりすぎ、顔料のシーディング(凝集)が起こりやすくなる場合がある。また、露光部、未露光部の現像液に対する感度差が小さくなり、微細で明瞭な現像パターンが形成され難くなる傾向にある。
また、これらの単量体混合物は、有機溶媒中に一括で仕込んで共重合しても良く、分割添加、逐次添加しながら共重合しても良い。より好ましくは、生成するカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を構成する単量体単位の組成分布を低減する目的で、単量体混合物中の重量組成比を任意に設定して、分割添加あるいは逐次添加する方法が挙げられる。
共重合は重合開始剤の存在下あるいは非存在下で行うことができるが、重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましく、ラジカル重合開始剤としては、通常使用されるあらゆる開始剤が使用できるが、中でも、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリルなどのアゾ系化合物、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物が好適に使用することができる。
使用される重合開始剤の量は、共重合に用いられる単量体混合物100重量部に対して、0.001〜2.0重量部が好ましく、とりわけ0.01〜1.0重量部が好ましい。
また、本発明においては、分子量を制御する目的で、アルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤を添加することができる。
この製造方法においては、容易にカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を沈殿・析出させるため、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)と有機溶媒(B)に対する溶解度のバランスを考慮する必要がある。その観点から、各成分の溶解度パラメーターを考慮し、共重合種、共重合組成、反応溶媒等重合条件の設計を行うことが好ましい。
カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度パラメーターδpは、7.0〜12.0の範囲にあることが好ましく、7.5〜10.5であることがより好ましい。δpが7.0未満の場合には、耐ガソリン性や耐油性が劣るものとなり、実用上多くの制限を受ける場合がある。δpが12.0を超える場合には、ポリマーの凝集力が強くなりすぎ、成形品に加工したり、溶解して使用する際に粘度が高くなりすぎて取り扱い性が悪化する傾向にある。
本発明においては、容易にカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を沈殿・析出させるため、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)と有機溶媒(B)に対する溶解度のバランスを考慮する必要がある。その観点から、各成分の溶解度パラメーターを考慮し、共重合種、共重合組成、反応溶媒等重合条件の設計を行うことが好ましい。
本発明では、溶解度パラメーターδ(MPa1/2)として「POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION」、J.BRANDRUP、E.H.IMMERGUT、およびE.A.GRULKE著、p.VII/675−714、WILEY INTERSCIENCE(1999)のTABLE7に記載のデータを採用した。なおTABLE7に記載されていない有機溶媒に関しては、前記文献に記載されているSmallの方法で算出した値を採用した。尚、Smallの方法とは前記文献のp.VII/675−714のTABLE2で与えられていたSmallの方法による特定の原子及び原子団の凝集エネルギー定数F(MPa1/2・cm・/mol)を採用し、密度をs(g/cm)、基本分子量をM(g/mol)とし、δ=(sΣF)/Mで溶解度パラメーターδ(MPa1/2)を算出するものである。尚、1(MPa1/2)=2.046(cal/cm1/2である。
また、2種類以上の有機溶媒からなる混合物である場合の溶解度パラメーターδは、混合有機溶媒中の各溶媒成分のモル分率Xi(%)、各溶媒成分の溶解度パラメーターδiから、下記式により算出した。
δ=Σ(δi×Xi/100)
また、共重合体の溶解度パラメーターδ((cal/cm1/2)は前記文献のp.VII/675−714のTABLE3の値より算出した。
本発明においては、カルボキシル基含有アクリル系単量体を共重合する際、上記のカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)の溶解度パラメーターと有機溶媒(B)の溶解度パラメーターの差の絶対値(ΔSP)が、1.0以上となるような共重合組成、溶媒種を選択することが好ましい。より好ましくは1.1以上であり、特に1.2以上の条件で重合を行うことが、重合中の重合槽壁面への付着がなく、さらに生成する共重合体を粉体として容易に取り出す上で好ましい。また、上記のΔSPが1.0〜3.0の範囲、より好ましくは、1.5〜2.9の範囲で重合条件を設計することにより、重合開始前の仕込み単量体混合物組成と生成する共重合体の共重合組成に大きなずれを生じさせない精密な制御を行うこと、および分子量分布のより狭い、均一性の高い分子量制御を行うことができる点でより望ましい。
この製造方法においては、重合工程(I)において得られた、特定の重合溶媒で重合したカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を含む有機溶媒スラリー(以下共重合体(A)スラリーと呼ぶ)を、以下の洗浄工程(II)において精製することが必要である。すなわち、前記重合工程(I)で得られた共重合体(A)スラリーを固液分離(以下、第一ろ過と呼ぶ)した後、得られた共重合体(A)に水を添加し、50〜120℃の温度で洗浄し、該洗浄液から、50〜120℃にて再度固液分離(以下、第二ろ過と呼ぶ)を行い、共重合体(A)得る洗浄工程である。このような洗浄工程(II)を経ることにより揮発成分が少なく、ハンドリング性に優れる共重合体(A)の粒子を得ることができ、さらには、第二ろ過を経て得られる共重合体(A)の熱安定性および無色透明性を大幅に向上させる効果が発現するのである。
第一ろ過における共重合体(A)スラリーの固液分離の方法については、特に制限はなく、通常の遠心分離機、加圧ろ過機、吸引ろ過機、ベルトフィルターなどを好ましく用いることにより、共重合体ケークを得ることができる。固液分離後の共重合体(A)のケーク中の揮発分含有量は、特に制限はなく、通常50〜90重量%である。
次に、第一ろ過によって分離・分別されて得られた共重合体(A)のケークに水を添加し、攪拌下加熱することにより、共重合体(A)を洗浄するとともに、ポリマー粒子を凝集させる。洗浄時に添加する水の量は前記第一ろ過で得られたケーク100重量部に対して、200〜2,000重量部であり、好ましくは200〜1,000重量部、最も好ましくは200〜600重量部である。水の添加量が200重量部以下の場合、十分な洗浄効果が得られないだけでなく、粒子の凝集が不十分となり、ハンドリング性が低下し好ましくない。水の添加量が2,000重量部を超える場合、廃水処理負荷が大きくなるため、好ましくない。
第一ろ過によって得られた共重合体ケークと水の比率を上記範囲とすることにより、洗浄液中の共重合体(A)の濃度を0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%とすることができる。ここで、洗浄液中の共重合体(A)の濃度は以下のように計算される。
洗浄液中の共重合体(A)の濃度(重量%)
=100×(1−α/100)×(共重合体ケーク量(重量部))/(共重合体ケーク量(重量部)+水添加量(重量部))
上式中、αは共重合体ケークの揮発分含有量(重量%)を表す。
なお、共重合体ケーク中の揮発分含有量(重量%)は該ケークを真空乾燥機中、80℃にて12時間加熱した時の重量変化より、下式にて算出した重量減少率(重量%)である。
共重合体ケーク中の揮発分含有量(重量%)
=重量減少率(重量%)
=[(加熱処理前重量−加熱処理後重量)/加熱処理前重量]×100
また、洗浄工程(II)においては、洗浄時に、共重合体(A)の濃度が上記を満たす範囲において、共重合体(A)を溶解しない溶媒を添加しても良い。
洗浄工程(II)では、洗浄温度および、それに続く第二ろ過温度を50〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは60〜90℃の範囲で行う。洗浄温度および第二ろ過温度が50℃未満の温度の場合は、洗浄効果が十分でなく、得られる共重合体(A)の熱安定性が低下する傾向にあり、好ましくない。また、粒子の凝集が不十分であるため、得られる共重合体(A)が微粉末状となり、ハンドリング性に劣る傾向にある。また、120℃を越える場合、共重合体粒子同士が合着し、塊状となるため、粒子としての取り出しが困難となる。
上記洗浄操作を実施する装置については、洗浄温度を上記範囲内に制御できるものであれば、特に制限はなく、通常の攪拌機を備えたオートクレーブ等を使用することができる。なお、洗浄に際しては共重合体(A)のスラリー及び/またはそれに添加する水を予熱しておくことも可能である。
上記洗浄操作により得られた水スラリーの固液分離(第二ろ過)の方法については、上記温度にてろ過が可能なものであれば、特に制限はなく、通常の遠心分離機、加圧ろ過機、吸引ろ過機、ベルトフィルターなどを好ましく用いることができる。本発明の洗浄方法を実施することにより、第二ろ過後の共重合体の揮発分含有量を10〜80重量%、好ましくは20〜50重量%にすることができ、その後の乾燥工程の負荷を低減することが可能となる。
また、この製造方法で得られるカルボキシル基含有アクリル共重合体(A)は、前記好ましい態様の製造方法において、重量平均分子量(以下Mwとも言う)が2,000〜1,000,000範囲にあるものを得ることができ、より好ましい様態においては、5,000〜500,000の範囲にあるものを得ることが可能である。Mwが2,000未満の場合には、カルボキシル基含有アクリル共重合体(A)を有機溶媒(B)中に分散質として沈殿、析出できない場合があり、本発明の目的に沿わないことがある。また、重合体が脆く、機械的な性質が劣悪になる傾向にある。Mwが1,000,000を超える場合には、溶融成形や溶液塗工した製品に十分に溶融、または溶解しない高分子量物が異物として残りやすくなる傾向にありフィッシュアイやハジキの欠点が出やすくなる傾向にある。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、各測定および評価は次の方法で行った。
(1)ウェットケーク中の固形分量
乾燥前、乾燥後のウェットケークをそれぞれkett水分率計にて加熱処理前後の重量変化を測定し、下式より算出した重量減少率から固形分量を評価した。
ウェットケーク中の固形分量(wt%)
=100−重量減少率(wt%)
=100−[(加熱処理前重量−加熱処理後重量)/加熱処理前重量]×100
(2)乾燥後ウェットケークの平均粒子径
3350μm、2000μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、100μm目開きの順に乾燥後ウェットケークをふるいに通し、各ふるい上に残ったウェットケークの重量を測定し、下式より算出した粒子径を平均粒子径として評価した。なお、ふるいの条件としてふるいにウェットケークを投入してから、振動をかけ15分間ふるった後のふるい上残存ウェットケーク重量を測定している。
平均粒子径(μm)
=(ふるい目開き×(ふるい上に残ったウェットケークの重量/測定に用いたウェットケーク全量)の各ふるいの合計)
ただし、100μmを通過したものに関しては50μm粒径とする。
(3)塊状物量(wt%)
乾燥後ウェットケークを目開き7mmの振動ふるい機をとおして、ふるいを通過しなかったウェットケークの重量を測定し、下式より算出した重量%を塊状物量として評価した。
塊状物量(wt%)
=(ふるいを通過しなかったウェットケークの重量/乾燥後ウェットケーク全量)×100
実施例にて使用したウェットケークの製造は以下の方法で実施した。
容量が20000リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸;25重量部、メタクリル酸メチル;75重量部、n−ヘプタン;900重量部、ラウロリルパーオキサイド;0.8重量部を含む混合物質を供給し、250rpmで撹拌しながら、系内を10L/分の窒素ガスで15分間バブリングした。次に、窒素ガスを5L/分の流量でフローし、反応系を撹拌しながら80℃に昇温した。内温が80℃に達した時点を重合開始とし、内温を80℃に90分間保ち、95℃に昇温した後、さらに90分間保ち、重合を終了し、共重合体スラリー(a−1)を得た。
重合は、重合初期から共重合体が分散質としてスラリー状に分散した不均一系で、重合槽壁面への付着なども見られず、良好に重合が進行した。重合率は75%であった。
共重合体の性状を分析するため、得られたスラリー少量を定性濾紙No.1を用いて吸引ろ過し、80℃で12時間乾燥を行い、パウダー状の共重合体(a′−1)を得た。得られた共重合体(a′−1)を走査型電子顕微鏡(以下SEMとも言う)を用い、1万倍で観察し、1次粒子径を画像解析(使用ソフト:Scion Corporation社製画像解析ソフト「Scion Image」)して算出した結果、数平均粒子径が2.0μmであった。また、GPC測定によるMwは150,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.49であった。共重合体(a′−1)の共重合組成はメタクリル酸メチル単位(MMA)/メタクリル酸単位(MAA)(重量比)=72/28であった。尚、共重合体(a′−1)(δp=10.25)と有機溶媒のn−ヘプタンの溶解度パラメーターの差の絶対値ΔSPは、2.85であった。
共重合体の性状を分析するため、共重合体スラリー(a−1)を加圧ろ過機(三菱化工機械社製)にて25℃で固液分離し、共重合体ケークを得た。得られたケークを真空乾燥機中、80℃、12時間乾燥し、揮発分含有量を求めた結果、78重量%であった。続いて、得られたケークをバッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製の洗浄槽に供給し、ケーク100部に対して400部のイオン交換水を添加し、25℃、回転速度250rpmにて攪拌を開始した。この混合物を引き続き250rpmにて攪拌しながら、60分間かけて80℃に昇温し、内温が80℃に到達した時点から60分間洗浄操作を行った。続いて、得られたスラリーを80℃に保ったまま、加圧ろ過機に移送し、80℃にて固液分離し(第二ろ過)、さらに80℃で12時間乾燥を行い、粒子状の共重合体(A−1)を得た。
得られた共重合体(A−1)の揮発分含有量は23重量%であり、SEMにて、150倍で観察し、1次粒子径を画像解析して算出した数平均粒子径は520μmであった。また、GPC測定によるMwは120,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.14であった。共重合体(A−1)の共重合組成はMMA/MAA(重量比)=72/28であり、洗浄前と同一であった。
上述した共重合体スラリー(a−1)を加圧ろ過機(三菱化工機械社製)にて25℃で固液分離し(第一ろ過)、共重合体ケークを得た。この共重合体ケークを、乾燥前ウェットケークとして使用した。このウェットケークをkett水分率計にて重量変化を測定したところ、固形分量は62wt%であった。
(実施例1)
容量が5000リットルのバッフルを備えた横型振動乾燥機にウェットケークを振動を与えながら200kg供給し、系内を常圧から99kPa減圧し、ジャケットに温水を通水しジャケット温度50℃で20分間保った。次にジャケットの温水を停止し、系内を常圧に戻したのち、ジャケット温度が加熱温度50℃に対して5℃冷却した時点でウェットケークをさらに200kg供給した。供給後、再び系内を常圧から99kPa減圧し、ジャケットに温水を通水しジャケット温度50℃で20分間保った。上記操作を9回繰り返した後、常圧から99kPa減圧した状態で120℃まで段階的に昇温し、流出液分が1kg/時間以下になった時点で乾燥終了とし、乾燥後ウェットケークを得た。
得られた乾燥後ウェットケークを目開き7mmの振動ふるい機を通過させ、塊状物量を算出したところ1wt%であった。乾燥後ウェットケークをkett水分率計にて重量変化を測定したところ、固形分量は99wt%であった。また、3350μm、2000μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、100μm目開きの順に乾燥後ウェットケークをふるいに通し、各ふるい上に残ったウェットケークの重量を測定したところ、平均粒子径は680μmであった。
(実施例2)
ウェットケークを追加投入するとき、ジャケット温度の冷却温度を1℃に変更した以外は、実施例1と同様の乾燥方法で乾燥後ウェットケークを得た。
得られた乾燥後ウェットケークを目開き7mmの振動ふるい機を通過させ、塊状物量を算出したところ3wt%であった。乾燥後ウェットケークをkett水分率計にて重量変化を測定したところ、固形分量は98wt%であった。3350μm、2000μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、100μm目開きの順に乾燥後ウェットケークをふるいに通し、各ふるい上に残ったウェットケークの重量を測定したところ、平均粒子径は960μmであった。
(実施例3)
ウェットケークを追加供給したあとの、圧力を常圧から70kPaの減圧にした以外は実施例1と同様の乾燥方法で乾燥後ウェットケークを得た。
得られた乾燥後ウェットケークを目開き7mmの振動ふるい機を通過させ、塊状物量を算出したところ5wt%であった。乾燥後ウェットケークをkett水分率計にて重量変化を測定したところ、固形分量は96wt%であった。3350μm、2000μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、100μm目開きの順に乾燥後ウェットケークをふるいに通し、各ふるい上に残ったウェットケークの重量を測定したところ、平均粒子径は750μmであった。
(比較例1)
常圧に戻したときに、ジャケットの温水を通水したままにした以外は実施例1と同様の乾燥方法で乾燥後ウェットケークを得た。
得られた乾燥後ウェットケークを目開き7mmの振動ふるい機を通過させ、塊状物量を算出したところ10wt%であった。乾燥後ウェットケークをkett水分率計にて重量変化を測定したところ、固形分量は97wt%であった。3350μm、2000μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、100μm目開きの順に乾燥後ウェットケークをふるいに通し、各ふるい上に残ったウェットケークの重量を測定したところ、平均粒子径は1200μmであった。
(比較例2)
ウェットケーク投入回数を1回にし、減圧加熱温度を120℃にした以外は実施例1と同様の乾燥方法で乾燥後ウェットケークを得た。
得られた乾燥後ウェットケークを目開き7mmの振動ふるい機を通過させ、塊状物量を算出したところ15wt%であった。乾燥後ウェットケークをkett水分率計にて重量変化を測定したところ、固形分量は99wt%であった。3350μm、2000μm、1000μm、710μm、500μm、250μm、100μm目開きの順に乾燥後ウェットケークをふるいに通し、各ふるい上に残ったウェットケークの重量を測定したところ、平均粒子径は1560μmであった。
実施例1〜3及び比較例1,2の結果を表1に示す。

Claims (7)

  1. 水および有機溶媒、熱可塑性樹脂を含むウェットケークの1部を乾燥機内部に投入し減圧加熱したあと、乾燥機内部を常圧状態にし冷却したのち、ウェットケークの残りまたは残りの1部を乾燥機内部に追加投入し減圧加熱する供給工程を有することを特徴とするウェットケークの乾燥方法。
  2. 前記供給工程における乾燥機内部の冷却が、前記減圧加熱時から0.1〜20℃低い温度にすることを特徴とする請求項1記載のウェットケークの乾燥方法。
  3. 前記供給工程における乾燥機内部の温度を30〜100℃、圧力を常圧状態から80〜99kPa減圧することを特徴とする請求項1又は2記載のウェットケークの乾燥方法。
  4. 前記乾燥機が振動式又は流動式であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のウェットケークの乾燥方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂が不飽和カルボン酸アルキルエステル単位と不飽和カルボン酸単位を含む共重合体で構成されたカルボキシル基含有アクリル共重合体であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のウェットケークの乾燥方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂の平均粒子径が10〜5000μmであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のウェットケークの乾燥方法。
  7. 前記ウェットケークが、スラリーを遠心分離機で固液分離して得られたケークであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のウェットケークの乾燥方法。
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