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JP2009195443A - 炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム - Google Patents

炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム Download PDF

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JP2009195443A JP2008039665A JP2008039665A JP2009195443A JP 2009195443 A JP2009195443 A JP 2009195443A JP 2008039665 A JP2008039665 A JP 2008039665A JP 2008039665 A JP2008039665 A JP 2008039665A JP 2009195443 A JP2009195443 A JP 2009195443A
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Naotoshi Tomita
尚利 富田
Masaaki Shimagaki
昌明 島垣
Shigehisa Wada
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Abstract

【課題】
本発明の課題は、血液処理用カラムにおいて、最も炎症性疾患因子、好ましくは炎症に直接関与している白血球が認識しやすい吸着材料を用いること、さらに吸着に最適な線速度、滞留時間、充填率および血流量から導出されたカラムの形状を規定することで、簡便に最適な炎症性疾患因子除去を実現させることである。
【解決手段】
平均繊維径が4〜20 μmの繊維あるいは平均4〜20 μmの幅と深度を有する凹凸構造の表面を有する粒子を含む吸着体が充填されており、血液成分を流したときの前記血液成分の線速度が3.4 cm/min以下、かつ滞留時間が0.35 分以上2.5 分以下の範囲となることを特徴とする炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
【選択図】図1

Description

本発明は、血液中の炎症性疾患に係る特定成分を選択的に捕捉する血液成分処理カラムに関する。詳しくは、全血、赤血球又は血小板濃厚液の体外循環において、通液時の線速度、滞留時間が設定された炎症性疾患処置用の血液成分処理カラムに関する。
近年、全身性エリトマトーデス、悪性関節リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病等の炎症性疾患が増加している。炎症性疾患には様々な因子(サイトカイン、自己反応抗体等)が関係していると考えられるが、炎症部位に直接関与しているのは白血球であり、白血球を除去する技術が進歩してきている。これらの技術として様々な血液成分処理カラムが研究され、例えば白血球除去や顆粒球除去を目的としたカラム(特許文献1,2)、サイトカイン吸着を目的としたカラム(特許文献3,4)、白血球と毒素を同時に吸着することを目的としたカラム(特許文献5)等がそれぞれ開発されてきた。これらは、通常、カラム内部にそれぞれ目的とする物質を除去・吸着するための濾過材または吸着担体を有している。これら濾過材または吸着担体としてはこれまで様々な物質、形状のものが用いられてきた。例えば、ポリエステル不織布からなる白血球除去担体(特許文献1)では、複数の繊維径からなる繊維を混合した不織布を作成し、血球の目詰まり解消のため改良が施されている。また、直径2mm程度の酢酸セルロースビーズからなる吸着担体(特許文献2)も開発されており、顆粒球を選択的に除去することが可能である。しかしこれら吸着体における吸着能力を最大限に発揮するためのカラムの形状についての記述はほとんど存在しない。一例として血流量を規定したもの(特許文献6、7)、吸着体との滞留時間を規定したもの(特許文献8)も存在するが、非常に広範囲を指定しており、また1つのパラメータしか指定していないため実質的にカラム形状を決定するには至っていない。
特開昭60−193468号公報 特開平5−168706号公報 特開平10−225515号公報 特開平12−237585号公報 特開平14−113097号公報 特表2006−508703号公報 特開平9−075450号公報 特開2005−336080号公報
本発明の課題は、血液処理用カラムにおいて、最も炎症性疾患因子、好ましくは炎症に直接関与している白血球が認識しやすい吸着材料を用いること、さらに吸着に最適な線速度、滞留時間、充填率および血流量から導出されたカラムの形状を規定することで、簡便に最適な炎症性疾患因子除去を実現させることである。
1.平均繊維径が4〜20 μmの繊維あるいは平均4〜20 μmの幅と深度を有する凹凸構造の表面を有する粒子を含む吸着体が充填されており、血液成分を流したときの前記血液成分の線速度が3.4 cm/min以下、かつ滞留時間が0.35 分以上2.5 分以下の範囲となることを特徴とする炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
2.前記血液成分から白血球を除去する用途に用いることを特徴とする前記1に記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
3.前記繊維を含む吸着体の充填率が3.8 vol%以上7 vol%以下であることを特徴とする前記1または2に記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
4.前記粒子を含む吸着体の充填率が3.8 vol%以上50 vol%以下であることを特徴とする前記1または2に記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
5.前記血液成分の流量が30〜50 mL/minであることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
6.顆粒球および単球の除去率がリンパ球の除去率よりも10%以上大きいことを特徴とする前記2〜5のいずれかに記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
7.顆粒球および単球の除去率が30%以上、リンパ球の除去率が15%以下であることを特徴とする前記6に記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
本発明により、血液処理用カラムにおいて、最も炎症性疾患因子、好ましくは炎症に直接関与している白血球が認識しやすい吸着体を用いること、さらに吸着に最適な線速度、滞留時間、充填率および血流量から導出されたカラムの形状を規定することで、簡便に最適な炎症性疾患因子除去を実現させることが可能である。
本発明でいう吸着体とは、血液から炎症性疾患因子、好ましくは炎症に直接関与している白血球を吸着または除去可能な吸着材料である。また、本発明における血液成分処理とは、炎症性疾患因子が血清、血漿、培地、緩衝液等に分散した液を上記吸着体に通液させることをさす。
本発明に用いる繊維は、織布、不織布、綿布、中空糸などの形態としたときに血液を変性させないで炎症性疾患因子を捕捉できる疎水性高分子からなる表面を有するものであればよい。形態としては、不織布とすることが特に好ましい。なお、ここで不織布とは、編織によらずに繊維或いは繊維の集合体が結合された布状のものであり、疎水性とは水との親和性が低いという意味である。また基材は高分子からなるものであればよく、具体的にはポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステルなどが挙げられる。ここでいうポリオレフィンとは、アルケン又はアルキンを単独重合又は共重合させて得られたポリマーを言う。ポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等の単独重合により得られたポリオレフィン、又はポリプロピレン−ポリエチレン共重合体、ポリブチレン−ポリプロピレン共重合体等の共重合により得られたポリオレフィンが挙げられる。ポリエステルの例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリオキシエチレンテレフタレートが挙げられる。中でも、不織布への成型性や目的とする繊維径を有する繊維となるような加工のしやすさという観点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。本発明に用いる繊維は上記高分子化合物の単量体からの単独重合体、共重合体、ブロック重合体及び上記高分子化合物のブレンド及びアロイ化したものを含むものや、セルロースもしくはその誘導体又はこれら両方の化合物等の再生繊維及び上記に示した合成高分子化合物とのブレンド、アロイ化したものを含むものなどが挙げられるが、オートクレーブにおける耐熱性および不織布作製における形状の制御性という点からポリプロピレン又はポリプロピレン−ポリエチレン共重合体等が好ましい。また炎症性疾患処置用という観点から、白血球以外にも炎症に作用していると考えられる低分子化合物も同時に除去するために、繊維表面を認識分子を化学的に修飾することがよい。この場合は、繊維としては修飾のしやすいポリスチレンが好ましく、さらに繊維の強度を上げるためにはポリプロピレン-ポリスチレンの芯鞘構造の繊維であることが好ましい。更に、吸着体が不織布の場合、不織布の形状を保持するために、吸着には関与しないポリプロピレン製などの骨格材繊維を入れてもよい。
また、炎症性疾患因子が白血球である場合、繊維の径としては、白血球の貪食能が大きく発揮されるのは0.5 μmから20 μm、好ましくは0.5 μmから10 μmの径に対してであるため、繊維径として0.5 μmから20 μmが考えられる。しかし繊維径が細過ぎると、繊維自体の弾性不足から繊維の分散が悪くなり、単球や顆粒球が認識すべき物質として有効に働くことができなくなるため、吸着性能安定化のためには、4〜20 μmがよく、好ましくは4〜10 μmである。これは、リンパ球の吸着数との差をより大きくするためにも好ましい。一方、上記繊維(繊維Aとする)の径が10μm未満である場合、主に血球の除去以外の目的、すなわち、材料の強度を一定以上に保つ目的から、より太径の繊維を混合することがある(繊維Bとする)。かかる繊維Bの繊維の径としては、10〜50 μmが好ましい。10 μm未満の場合は、繊維Bの混合の主目的である強度維持の効果を期待できないことがある。50 μmを超える場合は、繊維Aとの混合が困難になることがある。なお、ここでいう繊維径は、ランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡等で1000〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値の小数点以下第一位を四捨五入し算出することで求められるものをいう。
また、繊維の代わりに、粒子を用いてもよい。本発明で用いる粒子は、平均4〜20μmの幅と深度を有する凹凸構造の表面を有するものである。ここで、表面の幅は、表面の凹凸の平均幅Sm値を以下のようにして求めることで算出する。まず、図1に示す粗さ曲線Aに対して中心線Bを引き、基準長さLだけ抜き取る。そして1つの山に対応する平均線(Smi)の和を求め、平均値Smを算出する(式1)。また深度は、1つの山に対応する平均深度(Dmi)の和を求め、平均値Dmを算出する(式2)。SmおよびDmの測定は一般的な表面粗さ測定装置を用いることが考えられ、例えば株式会社小坂研究所製表面粗さ測定装置(商品名;サーフコーダSE−30D)が挙げられる。
Figure 2009195443
Figure 2009195443
本発明において、好ましい吸着体は白血球に対する吸着機能を有するものであるため、表面は吸着対象の細胞に対して特異的結合親和性を有する認識分子により修飾されることが好ましい態様として有り得る。これらの認識分子の例として、E-セレクチン、抗体、ペプチド、タンパク質、核酸、糖鎖、糖タンパク質、低分子化合物などがあげられる。ただし上記認識分子は例としてあげたものであり、これらに限定するものではない。ここでいう吸着とは、白血球を例に挙げると、白血球が吸着体に付着し、容易に剥離しない状態を表す。
吸着体表面への認識分子の修飾においては、吸着体表面に認識分子を直接結合あるいは活性基を介して結合させることが考えられる。修飾は基材から認識分子または活性基が剥離しない結合状態であれば、いずれの結合状態であってもよい。結合状態としては、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、水素結合または疎水結合の単独まはそれら複数の合力が挙げられる。認識分子の流出を抑制する点から、共有結合、疎水結合がより好ましく、最も好ましくは共有結合である。結合反応は、置換反応、付加反応、縮合反応、重合反応または開環反応等が挙げられる。
本発明における除去率は以下の式で表されるものである。
炎症性疾患因子除去率(%)={(吸着前液中の炎症性疾患因子の個数)−(回収液中の症性疾患因子の個数)}/(吸着前液中の症性疾患因子の個数)×100
なお、炎症性疾患因子の個数を測定することが困難または不適当な場合は、個数に代えて分子数を用いてもよい。
本発明における線速度(cm/min)は、流量(mL/min)を流量に垂直な断面積(cm2)で除したものを指す。線速度は3.4 cm/min以下であれば顆粒球・単球の除去率が30%以上の性能を得ることができ、更に0.5 cm/min以上2.7 cm/min以下であれば最も除去効率が良い。これは線速度が大き過ぎると白血球等の炎症性疾患因子が吸着体に接触することが困難であり、また一度吸着した白血球等が再び剥がれる恐れがあるためである。一方、線速度が小さすぎると血液が滞留し凝固することがある。なお、ラジアルフローのように線速度が変化する場合は、変化する線速度の範囲が上記線速度の範囲に全て含まれるか、その平均線速度が上記線速度の範囲に入っていればよい。ここでいう平均線速度とは、最も大きい線速度と最も小さい線速度を足し合わせ、2で除した値をいう。例えば通常のラジアルフローの場合は、中心部分が最も線速度が大きく、最外層が最も線速度が小さい。
本発明における滞留時間(min)とは、血液が吸着体と接している時間のことである。すなわち、血液成分が流れ、血液成分がカラムを満たしている状態において、吸着体充填部の体積から吸着体の体積(cm3)を減じ、これを流量(mL/min)で除した値である。滞留時間は0.35 分以上2.5 分以下であることが好ましく、0.35 分以上2.25 分以下がより好ましい。これは、滞留時間が長過ぎると、白血球除去用途においてはリンパ球の除去が増加してしまうためであり、また滞留時間が短すぎると、除去対象である顆粒球・単球とも充分に除去することができないためである。
なお、本発明に係る血液成分処理カラムを炎症性疾患因子処置に用いる場合、通常用いられる血液流量は、体外循環の際に臨床で通常施行される30〜50 (mL/min)である。また、カラムの吸着体充填部体積は、かかる血液流量30〜50 (mL/min)に、上記滞留時間を乗じた10.5 mL以上112.5 mL以下であることが好ましい。
本発明における充填率(vol%)とは吸着体の体積を吸着体充填部の体積で除し、100を乗じた値である。充填率は吸着体が粒子である場合は3.8 vol%以上50 vol%以下がよく、繊維である場合は3.8 vol%以上7 vol%以下がよい。これは充填率が小さすぎると充分に顆粒球・単球を除去することができないこと、また大きすぎるとリンパ球の除去量が増加してしまうこと、また圧力損失が大きくなることから好ましくないためである。
血液成分処理を実施するに関して、上記吸着体を充填する血液成分処理装置の容器形状としては、血液の入口と出口を有する容器で上記線速度、滞留時間及び充填率を満たしたものであれば特に限定はない。より好ましくは除去のための材料を積層状に充填できる容器や、円柱状、三角柱状、四角柱状、六角柱状、八角柱状、等の角柱状容器、更に、材料を円筒状に巻きこれを充填できる容器、又は、血液の流れが円筒の外周より入り内側へと流れ、最も内側に集まり血液流出口より出ることを特徴とする容器とが良好な形状となる。
本発明において、除去されるべき炎症性疾患因子として白血球を対象とする場合、炎症性疾患の病態に近いものであることが好ましい。特に顆粒球を吸着の対象とする場合は、LPS(リポ多糖)を添加した血液を用いてその吸着性能を評価することが好ましい。これは、LPSは、LPS分子のリピドA部分の強い炎症性および免疫賦活特性のために、非常に劇的な生物学的作用を有し、LPSは概して、グラム陰性菌感染および他の病気の病因に大いに寄与すると考えられているためである。従って、LPSを健常人血液に添加することで血液を炎症性疾患患者のものに近づけることができる。
本発明において、顆粒球および単球の除去率がリンパ球の除去率よりも10%以上大きいことが好ましく、目標とすべき除去率としては、炎症に関係が深いとされる顆粒球・単球は30%以上、リンパ球は除去しないことが好ましいため、15%以下であることが好ましく、これらは、上記平均径を有する繊維または粒子を、上記線速度、滞留時間となるようカラムに充填することにより、達成することが可能である。また白血球数の計測は血球計測用に販売されている装置であれば特に指定はなく、例を挙げるならば多項目自動血球分析装置XT-1800i(シスメックス株式会社)等を用いることができる。白血球除去率は以下の式により算出する。
顆粒球除去率(%)={(吸着前液中の顆粒球数)−(回収液中の顆粒球数)}/(吸着前液中の顆粒球数×100
単球除去率(%)={(吸着前液中の単球数)−(回収液中の単球数)}/(吸着前液中の単球数×100
リンパ球除去率(%)={(吸着前液中のリンパ球数)−(回収液中のリンパ球数)}/(吸着前液中のリンパ球数×100
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、発明の内容が実施例に限定されるものではない。
36島の海島複合繊維であって、島が更に芯鞘複合によりなるものを次の成分を用いて、紡糸速度800 m/min、延伸倍率3倍の製糸条件で得た。
島の芯成分;ポリプロピレン
島の鞘成分;ポリスチレン90wt%、ポリプロピレン10wt%
海成分;エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とし、共重合成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸3wt%含む共重合ポリエステル
複合比率(重量比率);芯:鞘:海=45:40:15
この繊維85 wt%と直径20 μmのポリプロピレン繊維15 wt%からなる不織布を作製した後、この不織布2枚の間にシート状のポリプロピレン製ネット(厚み0.5 mm、単糸径0.3 mm、開口部2 mm角)を挟み、ニードルパンチすることによって3層構造の担体を得た。次に、この不織布を95 ℃、3 wt%の水酸化ナトリウム水溶液で処理し、海成分を溶解することによって、芯鞘繊維の直径が5 μmで、嵩密度が0.02 g/cm3の不織布を作製した。
次に、ニトロベンゼン46wt%、硫酸46wt%、パラホルムアルデヒド1wt%、N−メチロール−α−クロルアセトアミド(以下、NMCAと略す)7 wt%を10℃以下で混合、撹拌、溶解しNMCA化反応液を調製した。このNMCA化反応液を15℃にし、不織布1 gに対し、約40 mLの固液比でNMCA化反応液を加え、水浴中で反応液を15〜20℃に保ったまま2時間反応させた。その後、反応液から不織布を取り出し、NMCA反応液と同量のニトロベンゼンに浸漬し洗浄した。続いて不織布を取り出し、メタノールに浸漬し洗浄を行い、α−クロルアセトアミドメチル化ポリスチレン不織布(中間体1)を得た。また、テトラエチレンペンタミン6.3 g、n−ブチルアミン7.2 gをジメチルホルムアミド(DMF)500 mLに溶解した液に、10 gの中間体1を浸し、反応は30℃で3時間行い、DMFで洗浄した後で水洗し、真空乾燥することにより、中間体1から13.9 gのテトラエチレンペンタミン化繊維(以下、吸着体)を得た。
尚、以下で述べる充填率は5 μmの繊維のみを対象としており、直径20 μmのポリプロピレン繊維およびポリプロピレン製ネットは含んでいない。
(血球数の測定)
血液中の血球数の測定は、多項目自動血球分析装置XT-1800i(シスメックス株式会社)を用いて行った。以下、血球計算機と呼ぶ。ここで、顆粒球数は、好中球数を以て計算した。白血球除去率は以下の式により算出した。
顆粒球除去率(%)={(吸着前液中の顆粒球数)−(回収液中の顆粒球数)}/(吸着前液中の顆粒球数×100
単球除去率(%)={(吸着前液中の単球数)−(回収液中の単球数)}/(吸着前液中の単球数×100
リンパ球除去率(%)={(吸着前液中のリンパ球数)−(回収液中のリンパ球数)}/(吸着前液中のリンパ球数×100
(滞留時間の決定)
吸着体をそれぞれ表1に示すとおりに、上下に血液の出入り口のある円筒状カラム(内径1 cm)に直径1 cmの円板状に切り抜き積層して充填した(1.71 mm/枚であり、充填率はいずれも4.9 vol%)。このカラムに37℃で1時間、ヘパリン採血(ヘパリン濃度:30単位/mL、LPS:70 EU/mL)した健常者ボランティアの血液を0.83 cm/minの線速度で5種類の滞留時間で下から上の向きに室温で通過させた。以後1分ずつ血液を6分まで採取し、血球計算機でそれぞれの血液に残存する白血球数を測定した。結果を表2及び図1に示す。
Figure 2009195443
Figure 2009195443
滞留時間が2.5分を超えると顆粒球・単球の除去率がほぼ一定となることがわかる。また、2.25分を超えるとリンパ球の除去率が15%を超える。この結果から、顆粒球・単球除去率が30%以上となりリンパ球除去率が15%以下となる最適な滞留時間は、約0.35分以上2.25分以下であることが分かる。
(線速度の決定)
吸着体をそれぞれ表3に示すとおりに、上下に血液の出入り口のある円筒状カラム(内径1 cm)に直径1 cmの円板状に切り抜き積層して充填した(1.71 mm/枚であり、充填率はいずれも4.9 vol%)。このカラムに37℃で1時間、ヘパリン採血(ヘパリン濃度:30単位/mL、LPS:70 EU/mL)した健常者ボランティアの血液を0.62分の滞留時間になるように5種類の線速度で下から上の向きに室温で通過させた。以後1分ずつ血液を6分まで採取し、血球計算機でそれぞれの血液に残存する白血球数を測定した。結果を表4及び図3に示す。
Figure 2009195443
Figure 2009195443
この結果から、顆粒球・単球がともに30%以上の除去率を保つことができるのは3.4 cm/minであり、除去に関して効率の良い線速度は2.7 cm/min以下であることが分かる。
(充填率の決定)
吸着体をそれぞれ表5に示すとおりに、上下に血液の出入り口のある円筒状カラム(内径1 cm)に直径1 cmの円板状に切り抜き積層して充填した。このカラムに37℃で1時間、ヘパリン採血(ヘパリン濃度:30単位/mL、LPS:70 EU/mL)した健常者ボランティアの血液を0.71分の滞留時間になるように6種類の線速度で下から上の向きに室温で通過させた(表6)。以後1分ずつ血液を6分まで採取し、血球計算機でそれぞれの血液に残存する白血球数を測定した。結果を表6及び図4に示す。
Figure 2009195443
Figure 2009195443
この結果から顆粒球・単球除去率が30%以上となりリンパ球除去率が15%以下となる吸着体の最適な充填率は、3.8〜7 vol%であることが分かる。
吸着体表面の凹凸構造の算出法を表わす図 血液成分処理カラムにおける滞留時間と除去率の関係を表すグラフ 血液成分処理カラムにおける線速度と除去率の関係を表すグラフ 血液成分処理カラムにおける充填率と除去率の関係を表すグラフ
符号の説明
A:吸着体表面の粗さ曲線
B:中心線
L:基準長さ

Claims (7)

  1. 平均繊維径が4〜20 μmの繊維あるいは平均4〜20 μmの幅と深度を有する凹凸構造の表面を有する粒子を含む吸着体が充填されており、血液成分を流したときの前記血液成分の線速度が3.4 cm/min以下、かつ滞留時間が0.35 分以上2.5 分以下の範囲となることを特徴とする炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
  2. 前記血液成分から白血球を除去する用途に用いることを特徴とする請求項1に記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
  3. 前記繊維を含む吸着体の充填率が3.8 vol%以上7 vol%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
  4. 前記粒子を含む吸着体の充填率が3.8 vol%以上50 vol%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
  5. 前記血液成分の流量が30〜50 mL/minであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
  6. 顆粒球および単球の除去率がリンパ球の除去率よりも10%以上大きいことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
  7. 顆粒球および単球の除去率が30%以上、リンパ球の除去率が15%以下であることを特徴とする請求項6に記載の炎症性疾患処置用の血液成分処理カラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009297229A (ja) * 2008-06-12 2009-12-24 Nikkiso Co Ltd 血球除去モジュール
US8748560B2 (en) 2008-04-18 2014-06-10 Nikkiso Company, Ltd. Adsorbent for the removal of blood cells

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