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JP2009161667A - 未加硫ゴム用防着剤組成物および防着処理された未加硫ゴムの製造方法 - Google Patents

未加硫ゴム用防着剤組成物および防着処理された未加硫ゴムの製造方法 Download PDF

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Masato Nishimura
正人 西村
Takayuki Aoki
貴之 青木
Shigeki Ito
茂樹 伊藤
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Matsumoto Yushi Seiyaku Co Ltd
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Matsumoto Yushi Seiyaku Co Ltd
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Abstract

【課題】 防着性および未加硫ゴム表面の滑性に優れ、使用時の粉塵発生の問題を大幅に低減でき、かつ本組成物の凝集乾固物がゴムに混入しても容易に分散し加硫ゴムの物理的性質を損なうことのない未加硫ゴム用防着剤組成物と、その未加硫ゴム用防着剤組成物を使用して行われる防着処理された未加硫ゴムの製造方法とを提供することである。
【解決手段】 未加硫ゴム用防着剤組成物は、水溶性高分子と、界面活性剤と、有機粒子とを含有する組成物であって、それぞれの配合量が、前記水溶性高分子および界面活性剤の合計を100重量部としたときに、前記水溶性高分子50〜97重量部、前記界面活性剤3〜50重量部、前記有機粒子100〜500重量部である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、未加硫ゴム用防着剤組成物および防着処理された未加硫ゴムの製造方法に関する。本発明は、さらに詳しくは、防着性および未加硫ゴム表面の滑性に優れ、使用時の粉塵発生の問題を大幅に低減でき、かつ本組成物の凝集乾固物がゴムに混入しても容易に分散し加硫ゴムの物理的性質を損なうことのない未加硫ゴム用防着剤組成物と、この未加硫ゴム用防着剤組成物を用いた防着処理された未加硫ゴムの製造方法とに関する。
ゴム製品は、通常、次の工程により製造される。
1)まず、生ゴム(天然ゴム、合成ゴムまたはそれらの混合物)を、素練りロール、バンバリーミキサー、プラチスケーター等で素練りを行い、ゴムに可塑性を与える。
2)次に、配合剤としてのカーボンブラック、硫黄、酸化亜鉛、促進剤、老化防止剤等を素練りゴムに混入しながら、オープンロールまたはバンバリーミキサーを使用して充分に混練する。
3)その後は、ゴムの用途に応じて、成型、加硫等の工程を経て、タイヤ、チューブ等のゴム製品を製造する。
上記3)において、ゴム製品の成形加工方法は、シート成形と押出成形とに大別される。シート成形は、ゴム生地を所定の厚さと幅に圧延して、大型のプレスで熱と圧力を加えてゴムシートを成形する加工法である。未加硫ゴムシートはカレンダーロールや押出機を使って成形される。押出成形には、ラム式とスクリュー式とがあり、ラム押出機は油圧式で、シリンダーに装てんしたゴム塊をトコロテンのように押出す成形機である。ホースやウインドシールやタイヤのチューブなどの長い連続体のゴム製品はスクリュー押出機で成形されることが多い。
このようなゴムの生産加工工程において、未加硫ゴムを次の成型、加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵することがあり、この場合にゴムの密着を防止する目的で密着防止剤(防着剤)が使用されている。
従来、この密着防止剤としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ベントナイト等の無機粒子が、防着性に優れるために使用されている。その使用方法としては、粉末のままゴムに吹き付ける方法や、粉末中を通過させる方法等のいわゆるドライ法;前記無機粒子の粉末を水に懸濁させ、その懸濁液をスプレーする方法や、細流にてゴムに吹きつける方法や、懸濁液中に浸漬する方法等のいわゆるウェット法を挙げることができる。ウェット法における水の使用目的は作業性の向上の他にゴムの冷却をも兼ねている。また、押出機を使用したタイヤのチューブなどの中空で薄肉の円筒成形では、密着防止剤を混入した空気をチューブに吹き込みながら押出成形することで、円筒の内面が密着しないようにしている。
しかしながら、このような密着防止剤は、基本的にはゴム製品にとって異物であり、ゴムの物理的性質を低下させる大きな要因となる。特に近年のゴム製品の高性能化および多様化の進歩は著しく、微量の異物でもゴム製品の物理的性質に大きな影響を与える場合があるので、密着防止剤のゴムへの付着量は極力少ないことが望ましい。また、ゴム表面に付着した密着防止剤が、次の成型、加硫等の工程に移行するまでの間に粉落ちして粉塵が発生するといった作業環境面の問題もある。粉塵発生による作業環境の悪化は、塵肺などの職業病の原因になるため、密着防止剤の付着量はやはり極力少ないことが望ましい。
従来の無機粒子の粉末を含む密着防止剤は、ゴム表面への付着量が少ないと防着性が低下するために、多量がゴム表面に付着するように使用される。したがって、ゴム製品の物理的性質に悪影響を与えたり、粉落ちによる粉塵発生といった作業環境面の問題がしばしば発生し、改善が望まれている。このような理由からゴム表面への付着量が少なくても防着性に優れる密着防止剤の開発が望まれている。
一方、無機粒子の粉末を含む密着防止剤とは異なる発想で成分が構成された密着防止剤がある。たとえば、特許文献1にはポリスチレン樹脂粉体と特定の界面活性剤とを含有する分散液をゴム面に塗布して防着する方法が開示されている。この方法は無機粒子の粉末を使用していない点を特徴としているが、充分な密着防止の効果を発揮させるためには、高濃度で使用することが必要であり、その場合、加硫ゴムの物理的性質を低下させる問題点があるため使用方法が限定され汎用性に乏しい。
また、特許文献2には造膜性を有する水溶性高分子30〜90重量部と陰イオン活性剤または非イオン界面活性剤70〜10重量部とからなる防着用組成物が開示されている。この防着用組成物は、粉体を使用しないことを特徴としている。また、1〜10%の濃度に希釈しても使用可能であるので、加硫ゴムの接着阻害を抑制することができる。しかしながら、水溶性高分子と界面活性剤のみの組成では、防着用組成物を塗布したゴム面の滑り摩擦力が大きく作業現場でゴムが滑り難く作業性の低下が懸念される。またゴムの生産加工工程において凝集して乾固した凝固物が、ゴムに混入した場合、ゴムの練り工程でその凝固物が崩壊しないでゴム中に異物として残存し加硫ゴムの物理的性質を低下させる問題点があるため実用性にかける。
また、特許文献3にはゴム表面に粉末状密着防止剤を散布し、次いで水溶性造膜剤を塗布し乾燥させることによって、ゴム表面に密着防止層を形成する方法が開示されている。この方法では粉末状密着防止剤と水溶性造膜剤をそれぞれ塗布する2段階の作業が必要であるため、作業効率が悪く実用性にかける。また、粉末状密着防止剤と水溶性造膜剤をそれぞれ単独で均一にゴム表面に塗布することは極めて困難である。
特開平1−258914号公報 特開昭62−32127号公報 特開昭53−61639号公報
本発明の目的は、防着性および未加硫ゴム表面の滑性に優れ、使用時の粉塵発生の問題を大幅に低減でき、かつ本組成物の凝集乾固物がゴムに混入しても容易に分散し加硫ゴムの物理的性質を損なうことのない未加硫ゴム用防着剤組成物と、その未加硫ゴム用防着剤組成物を使用して行われる防着処理された未加硫ゴムの製造方法とを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水溶性高分子と、界面活性剤と、有機粒子とを含有する組成物であれば、防着剤として使用できるという知見を得て、さらに組成物の最適化を行って、本発明に到達した。
本発明にかかる未加硫ゴム用防着剤組成物は、水溶性高分子と、界面活性剤と、有機粒子とを含有する組成物であって、それぞれの配合量が、前記水溶性高分子および界面活性剤の合計を100重量部としたときに、前記水溶性高分子50〜97重量部、前記界面活性剤3〜50重量部、前記有機粒子100〜500重量部である。
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、以下に示す(1)〜(6)の構成要件いずれかをさらに満足すると好ましい。
(1)水溶性高分子が、アルギン酸ナトリウム、天然ガム類、セルロースエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキシドから選ばれる少なくとも1種である。
(2)界面活性剤が非イオン性界面活性剤および/またはアニオン性界面活性剤である。
(3)上記(2)において、非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシアルキレン硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種であり、アニオン性界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種である。
(4)有機粒子が、金属石鹸粒子、植物系ワックス粒子、石油ワックス粒子、合成炭化水素系ワックス粒子および水素化ワックス粒子から選ばれる少なくとも1種である。
(5)水をさらに含有し、その配合量を100重量部としたときに、前記水溶性高分子および界面活性剤の合計が0.05〜2.5重量部である。
(6)上記(5)において、25℃における粘度が2〜200mPa・sである。
本発明にかかる防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、上記未加硫ゴム用防着剤組成物を、成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む。
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、未加硫ゴムに優れた防着性と滑性を付与することができ、その使用時における粉塵発生の問題が大幅に低下する。また、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物の凝集乾固物がゴムに混入しても容易に分散するので、加硫ゴムの物理的性質を損なうことがない。
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法では、防着処理され、優れた防着性を有する未加硫ゴムを効率よく製造でき、製造時において粉塵発生の問題が大幅に低下する。
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、水溶性高分子と、界面活性剤と、有機粒子とを含有する組成物であり、水をさらに含有してもよい。
まず、未加硫ゴム用防着剤組成物を構成する各成分を詳しく説明する。
〔水溶性高分子〕
水溶性高分子は、未加硫ゴム表面に被膜を形成し、防着性を発揮する成分である。また、水溶性高分子は、未加硫ゴム用防着剤において通常用いられる無機粒子に代替して用いられ、粉塵発生の問題を大幅に低下させる成分でもある。
水溶性高分子の被膜は、水溶性高分子の分子量が大きいほうが強度に優れ、防着性能に優れる傾向にある。しかしながら、水溶性高分子の分子量が大きすぎると、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物が水をさらに含有する場合、その粘度が大きくなりすぎてハンドリング性に優れず好ましくない。したがって、本発明の水溶性高分子の分子量は、適正な範囲内で選択される。
水溶性高分子の分子量は、通常数平均分子量あるいは重量平均分子量のいずれでも表すことができる。また、数平均分子量と重量平均分子量との比を分散比と呼び、これが1に近いほど分子量分布が狭いことを示し単分散に近くなるが、水溶性高分子の分子量分布について、特に限定はなく、単分散であってもよく、多分散であってもよい。
水溶性高分子の数平均分子量は、好ましくは10000〜10000000であり、さらに好ましくは10000〜5000000であり、特に好ましくは100000〜5000000であり、最も好ましくは100000〜1000000である。水溶性高分子の数平均分子量が10000000超であると、未加硫ゴム用防着剤組成物のハンドリング性が低下することがある。一方、水溶性高分子の数平均分子量が10000未満であると、水溶性高分子の被膜強度が優れず、防着性が低下することがある。
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物においては、水溶性高分子と、後述の未加硫ゴムとの2つの溶解度パラメーター(SP値)に差がある方が防着性能に優れるので好ましい。一般に、SP値は分子間力を表す尺度として使用され、2つの成分のSP値が近似であるほど相溶性が大きくなり、一方2つの成分のSP値の差が大きいほど相溶性が低下する。したがって、未加硫ゴム表面上で被膜化した水溶性高分子のSP値が未加硫ゴムのSP値と近似であると、ゴムの成形加工工程で水溶性高分子の被膜が未加硫ゴムと相溶し混ざり合って、密着防止機能を失ってしまうので好ましくない。しかしながら、水溶性高分子と未加硫ゴムとの2つのSP値の差が大きすぎると、2成分の間に相溶性が完全に無くなり、未加硫ゴム表面に水溶性高分子を被膜化することが困難になるので注意が必要である。
本発明における水溶性高分子のSP値は次の式によって表される。
δ=(ΔH/V)1/2
式中、δはSP値、ΔHはモル蒸発熱(J)、Vはモル体積(cm)である。
未加硫ゴムのSP値としては、たとえば、フッ素ゴム(SP値=14.9)、シリコーンゴム(SP値=14.9〜15.5)、ブチルゴム(SP値=15.8〜16.6)、エチレンプロピレンゴム(SP値=16.4)、イソプレンゴム(SP値=16.6)、天然ゴム(SP値=16.2〜17.2)、ブタジエンゴム(SP値=16.6〜17.6)、スチレンブタジエンゴム(SP値=17.2〜17.8)、クロロプレンゴム(SP値=16.6〜19.2)、多流化ゴム(SP値=18.4〜19.2)、塩化ゴム(SP値=19.2)、アクリルゴム(SP値=19.4)、ニトリルゴム(SP値=17.8〜21.5)、ウレタンゴム(SP値=20.5)等が挙げられる。
水溶性高分子のSP値としては、たとえば、カルボキシメチルセルロース(SP値=28.8〜42.4)、カルボキシエチルセルロース(SP値=28.6〜42.1)、アルギン酸(SP値=46.6)、ポリアクリルアミド(SP値=39.3)、ポリビニルアルコール(SP値=29.1〜39.1)、でんぷん(SP値=48.0)、ヒドロキシエチルセルロース(SP値=39.5)、ヒドロキシプロピルセルロース(SP値=36.8)、メチルセルロース(SP値=35.6)、エチルセルロース(SP値=33.1)等が挙げられる。
水溶性高分子のSP値としては、特に限定はないが、好ましくは28〜48、さらに好ましくは30〜48、特に好ましくは32〜48、最も好ましくは34〜48である。水溶性高分子のSP値が48超であると、ゴム表面に対する被膜性が低下し、防着性能が優れないことがある。一方、水溶性高分子のSP値が28未満であると、水溶性高分子と未加硫ゴムとが相溶し混ざり合い、防着性能が優れないことがある。
水溶性高分子としては、特に限定はされないが、たとえば、でんぷん類、マンナン、アルギン酸類、天然ガム類、セルロースエーテル、蛋白類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ブタジエン樹脂、水溶性フェノール樹脂等が挙げられる。これらの水溶性高分子は、1種または2種以上を併用してもよい。
でんぷん類としては、特に限定はないが、たとえば、小麦でんぷん、コーンスターチ、ばれいしょでんぷん、かんしょでんぷん、タピオカでんぷん、小麦粉でんぷん、酸化でんぷん、酢酸でんぷん、燐酸でんぷん、カルボキシメチルスターチ、カルボキシエチルスターチ、ヒドロキシエチルスターチ、陽性でんぷん、シアノエチル化でんぷん、ジアルデヒドでんぷん、カチオン化でんぷん等が挙げられる。
アルギン酸類としては、特に限定はないが、たとえば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウム等が挙げられる。
天然ガム類としては、特に限定はないが、たとえば、タラカントガム、アラビアガム、グアーガム、ヒドロキシプロピル化グアーガム、キサンタンガム、ブリティッシュガム、グルコマンナン、ジェランガム、タラガム、ローカストビーンガム、カラギナン等が挙げられる。
セルロースエーテルとしては、特に限定はないが、たとえば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
蛋白類としては、特に限定はないが、たとえば、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等が挙げられる。
ポリアクリルアミド樹脂としては、特に限定はないが、たとえば、ポリアクリルアミド、ポリN−イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
上記で説明した水溶性高分子のなかでも、アルギン酸ナトリウム、天然ガム類、セルロースエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキシドから選ばれた少なくとも1種が好ましい。
未加硫ゴム用防着剤組成物に含まれる水溶性高分子の量は、水溶性高分子および界面活性剤の合計を100重量部としたときに、50〜97重量部であり、好ましくは60〜97重量部、さらに好ましくは70〜97重量部、ゴム表面に対する被膜性を考慮すると、特に好ましくは80〜97重量部である。水溶性高分子の量が水溶性高分子と界面活性剤の合計を100重量部としたときに97重量部超であると、ゴム表面に対する被膜性が十分でない場合がある。一方、水溶性高分子の量が50重量部未満であると、防着性が低下する。
〔界面活性剤〕
界面活性剤は、未加硫ゴムに対して「濡れ」を補助する成分である。界面活性剤が本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物に含まれていることによって、水溶性高分子および後述する有機粒子を均一にゴム表面に被膜化することが実現できる。また、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物が水をさらに含む場合に、水溶性高分子および有機粒子の水中での分散性を向上させることができる。
ここで、「濡れ」とは、界面化学では固体または液体の表面にある一つの流体を他の液体で置換する現象と定義される。たとえば、固体/気体の界面が固体/液体の界面に置き換えられたとき、その固体は液体で濡れたという。したがって、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物がゴムに対して濡れたと表現するときは、ゴム/空気の界面がゴム/未加硫ゴム用防着剤組成物の界面に置き換えられたことを意味する。本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物がゴムに対して十分濡れていないと表現するときは、ゴム/空気の界面がゴム/未加硫ゴム用防着剤組成物の界面に完全に置き換えられていないことを意味する。
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、1種または2種以上を含んでいてもよい。界面活性剤が非イオン界面活性剤および/または陰イオン界面活性剤であると好ましい。
非イオン界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル;等のポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキルグリセリンエーテル;ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル;アルキルポリグルコシド;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン;オキシエチレンーオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシアルキレン硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種であると、ゴム表面に対して優れた濡れを発現するので好ましい。
陰イオン界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、アニオン性界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種であると、ゴム表面に対して優れた濡れを発現するので好ましい。
陽イオン界面活性剤としては、たとえば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩;トリアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
両性界面活性剤としては、たとえば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
未加硫ゴム用防着剤組成物に含まれる界面活性剤の量は、水溶性高分子および界面活性剤の合計を100重量部としたときに、3〜50重量部であり、好ましくは3〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは3〜20重量部である。界面活性剤の量が、水溶性高分子と界面活性剤の合計を100重量部としたときに50重量部超であると、未加硫ゴム用防着剤組成物が水を含む場合に起泡が発生し易くなり好ましくない。一方、界面活性剤の量が3重量部未満であると、ゴム表面に対する濡れを向上させる効果が少なくなることがある。
〔有機粒子〕
有機粒子は、有機物を含有する粒子であり、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物において、好ましくは滑剤および分散補助剤として機能する。以下では、有機粒子が滑剤および分散補助剤として機能する場合について詳しく説明する。
本発明における滑剤とは、未加硫ゴム用防着剤組成物を塗布したゴム表面の滑り性を向上させたい場合に、ゴム表面に滑り性を与えることができる成分である。ここで本発明における滑り性とは、未加硫ゴム用防着剤組成物を塗布した未加硫ゴムが他のゴムや金属等と接触した場合に、その接触面に生じる摩擦抵抗を下げる性質、と定義される。未加硫ゴム用防着剤組成物を塗布したゴム表面が滑り性に優れると、ゴム成形工程において摩擦抵抗を生じる類の作業の効率が向上して好ましい。本発明における未加硫ゴム用防着剤組成物に有機粒子が含有されていると、未加硫ゴム用防着剤組成物を塗布したゴム表面に有機粒子が画一的に散りばめられて、ゴム表面で生じる摩擦抵抗を下げることができ、ゴム成形の作業性を向上できる。
本発明における分散補助剤とは、本発明における未加硫ゴム用防着剤組成物の凝集乾固物がゴム中に混入した場合であってもその後の混錬加工工程で容易に粉砕され異物として認識されない程度まで分散させることができる成分である。本発明における未加硫ゴム用防着剤組成物に有機粒子が含有されていると、未加硫ゴム用防着剤組成物が凝集固化してゴム中に混入してもその後の混錬加工工程で容易に粉砕され細かく分散されるので、ゴムの物性に影響を与える程の異物としては残存しない。
本発明における未加硫ゴム用防着剤組成物では有機粒子の含有の有無で防着性能が大きく左右されることはなく、有機粒子は滑剤および分散補助剤として主に有効的に機能すると好ましい。
有機粒子の量としては、水溶性高分子および界面活性剤の合計を100重量部としたときに、100〜500重量部、好ましくは150〜450重量部、さらに好ましくは200〜400重量部、特に好ましくは250〜350重量部である。有機粒子の量が水溶性高分子と界面活性剤の合計を100重量部としたときに500重量部超であると、コスト高となり好ましくない。有機粒子の量が100重量部未満であると、滑剤および分散補助剤としての効果が少なく好ましくない。
有機粒子としては特に限定はないが、たとえば、金属石鹸粒子、ワックス粒子、ポリマー粒子等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
金属石鹸粒子としては、特に限定はないが、たとえば、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、トリオクタデカン酸アルミニウム、ジオクタデカン酸アルミニウム、モノオクタデカン酸アルミニウム、オクタデカン酸カルシウム、オクタデカン酸亜鉛、オクタデカン酸マグネシウム、オクタデカン酸バリウム等からなる粒子が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
上記で説明した金属石鹸粒子のなかでも、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
ワックス粒子としては特に限定はないが、たとえば、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックス、合成炭化水素系ワックス、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸アミドおよび無水フタル酸イミド等からなる粒子が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
植物系ワックスとしては、特に限定はないが、たとえば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、ほほば油、シュガーワックス、ベイベリーワックス、オーキュリーワックス、エスパルトワックス等が挙げられる。
動物系ワックスとしては、特に限定はないが、たとえば、みつろう、ラノリン、鯨蝋等、昆虫ろう、セラックろう等が挙げられる。
鉱物系ワックスとしては、特に限定はないが、たとえば、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。
石油ワックスとしては、特に限定はないが、たとえば、パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、ペトロラクタム等が挙げられる。
合成炭化水素系ワックスとしては、特に限定はないが、たとえば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
変性ワックスとしては、特に限定はないが、たとえば、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタンワックス誘導体等が挙げられる。
水素化ワックスとしては、特に限定はないが、たとえば、硬化ひまし油、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N’−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N’−ヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N’−キシリレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、メチル−12−ヒドロキシステアレート、プロピレングリコール−モノ−12−ヒドロキシステアレート、エチレングリコール−モノ−12−ヒドロキシステアレート等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、特に限定はないが、たとえば、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、N,N’−キシリレンビスステアリン酸アミド、やし油脂肪酸モノエタノールアミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド等が挙げられる。
上記で説明したワックス粒子のなかでも、植物系ワックス、石油ワックス、合成炭化水素系ワックス、水素化ワックスから選ばれた少なくとも1種が好ましい。
ポリマー粒子としては、特に限定はないが、たとえば、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート等からなる粒子が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
有機粒子の平均粒子径については、特に限定はないが、好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.1〜80μm、特に好ましくは0.1〜60μm、最も好ましくは0.1〜50μmである。有機粒子の平均粒子径が0.1μm未満の場合、滑剤および分散補助剤としての効果が少なく好ましくないことがある。一方、有機粒子の平均粒子径が100μm超の場合、未加硫ゴム表面に付着した有機粒子の粉落ちが多くなり好ましくないことがある。
〔水〕
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、水溶性高分子と、界面活性剤と、有機粒子とを必須成分とする組成物であるが、水をさらに含有してもよい。
未加硫ゴム用防着剤組成物が水を含有する場合は、水溶性高分子と界面活性剤が水に溶解し、有機粒子が水に分散されている状態が好ましい。
水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよい。また、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物に含まれる水の量についても、特に限定はないが、その配合量を100重量部としたときに、水溶性高分子および界面活性剤の合計は、好ましくは0.05〜2.5重量部、さらに好ましくは0.05〜2.0重量部、特に好ましくは0.05〜1.5重量部、最も好ましくは0.05〜1重量部である。水溶性高分子および界面活性剤の合計が水100重量部に対して2.5重量部超であると、ゴム表面に被膜する水溶性高分子の量が多くなり水分の乾燥に要する時間が長くなり実用的でない。一方、水溶性高分子および界面活性剤の合計が水100重量部に対して0.05重量部未満であると、ゴムに対する濡れが不十分で防着性が低下することがある。
未加硫ゴム用防着剤組成物が水を含有する場合、その25℃における粘度については、特に限定はないが、好ましくは2〜200mPa・s、さらに好ましくは3〜150mPa・s、特に好ましくは4〜100mPa・s、最も好ましくは5〜50mPa・sである。未加硫ゴム用防着剤組成物が水を含有する場合の粘度が200mPa・s超であると、ゴム表面に被膜する水溶性高分子の量が多くなり水分の乾燥に要する時間が長くなり実用的でないことがある。一方、その粘度が2mPa・s未満であると、ゴム表面に対する濡れが悪くなり、防着性が低下することがある。
未加硫ゴム用防着剤組成物が水を含有する場合、そのpHとしては、特に限定はないが、好ましくは5〜12、さらに好ましくは5〜10、特に好ましくは6〜9、最も好ましくは6〜8である。未加硫ゴム用防着剤組成物が水を含有する場合のpHが5未満または12超であると、未加硫ゴム用防着剤組成物のハンドリング性に欠ける場合がある。
〔その他の成分等〕
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物は、上記で説明した各成分および水以外に、消泡剤や多価アルコール、無機粒子等をさらに含有していてもよい。
消泡剤としては特に限定はないが、たとえば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油などの油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、こはく酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコールジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコール系消泡剤;ジ−t−アミルフェノキシエタノール3−ヘプチルセロソルブノニルセロソルブ3−ヘプチルカルビトールなどのエーテル系消泡剤;トリブチルオスフェート、トリス(ブトキシエチル)フオスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミンなどのアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウムなどの硫酸エステル系消泡剤;鉱物油等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては特に限定はないが、たとえば、グリセリン、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、スクロース、エリスリトール、キシリトール等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
無機粒子としては、特に限定はないが、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;カオリン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、セリサイト、ベントナイト等のケイ酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、ホワイトカーボン、酸化鉄等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の金属水酸化物;ベンガラ;カーボンブラック;グラファイト等が挙げられる。これらの中でも、無機粒子が、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、セリサイトおよびベントナイトから選ばれる少なくとも1種からなると、ゴム表面への付着性に優れるという理由から好ましい。本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物において無機粒子を用いる場合、無機粒子の使用量を少なく抑えることができる。また、未加硫ゴム用防着剤組成物が含有する水溶性高分子が、バインダーとして作用するので、無機粒子の粉落ちを防止する。このために、粉塵発生の問題が大幅に低下する。したがって、本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物において、無機粒子を用いると、従来の無機粒子の粉末を含む防着剤の問題点であった防着性の問題、粉塵による問題を大きく改善することができる。
本発明の未加硫ゴム用防着剤組成物が無機粒子をさらに含有する場合、その量が多すぎると、粉塵発生の問題が生じる可能性がないとも限らないので、無機粒子の含有量は極力少ないことが好ましい。未加硫ゴム用防着剤組成物に含まれる水溶性高分子、界面活性剤および有機粒子の合計100重量部に対して、好ましくは無機粒子の含有量が100重量部以下であり、さらに好ましくは50重量部以下であり、特に好ましくは20重量部以下であり、最も好ましくは10重量部以下である。
〔未加硫ゴム用防着剤組成物の製造方法〕
未加硫ゴム用防着剤組成物の製造方法は、特に限定はなく、水溶性高分子、界面活性剤、有機粒子、さらに水やその他の成分等を混合する方法等を挙げることができる。未加硫ゴム用防着剤組成物の製造方法において、混合順序等については特に限定はなく、全成分を同時に混合してもよく、成分ごとに順番に混合してもよく、予めいくつかの成分を混合しておいて残りの成分を後で添加混合してもよい。
混合については、特に限定はなく、容器と攪拌羽根といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える粉体混合機を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミルなどの乾式粉砕機を用いてもよい。
〔防着処理された未加硫ゴムの製造方法〕
本発明の防着処理された未加硫ゴムの製造方法は、上記未加硫ゴム用防着剤組成物を、成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む。
成形加工された未加硫ゴムにおいて、その成形加工方法や形状等について、特に限定はない。成形加工方法としては、たとえば、カレンダーロールシート成形法、ローラーヘッドシート成形法、押出シート成形法、ラム押出成形法、スクリュー押出成形法、圧縮成形法、注入成形法、射出成形法等を挙げることができる。また、その形状としては、たとえば、シート状、フィルム状、ホース状、チューブ状、スポンジ状、パッキン、ベルト、靴底等を挙げることができる。
未加硫ゴム用防着剤組成物の付着方法としては、たとえば、未加硫ゴムにスプレーする方法、細流にて未加硫ゴムに吹きつける方法等が挙げられる。未加硫ゴム用防着剤組成物が水や多価アルコール等を含み液状である場合は、上記方法以外に未加硫ゴムを未加硫ゴム用防着剤組成物に浸漬する方法もある。
このように付着して製造された防着処理された未加硫ゴムは、次の成型、加硫等の工程に移行するまでの間、積み重ねて貯蔵する場合に、未加硫ゴム同士の密着を防止することができる。
以下に、未加硫ゴム用防着剤組成物の実施例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔分散液の不揮発分濃度〕
未加硫ゴム用防着剤組成物が水を含む分散液の場合、分散液のa(g)をアルミシートに秤取し(但し、a(g)は2〜3gの範囲)、110℃で0.5時間保った後の恒量に達した残留物の質量がb(g)である。分散液の不揮発分濃度を下式にしたがって算出する。
未加硫ゴム用防着剤組成物の不揮発分濃度(wt%)=(b/a)×100
〔分散液の粘度の測定〕
測定装置として、ブルックフィールド型粘度計(BL型、東機産業株式会社製)を用いて20℃、12rpm、ローターNo.3の条件で粘度を測定する。
〔乾燥性の評価〕
未加硫ゴム用防着剤組成物に100℃の温度に加熱したNR/BRゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げ、ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定する。下部に液溜まりができるがこれは全ての試験片に出来るので無視し、この状態に至るまでを乾燥時間として測定する。乾燥時間が100秒未満であれば、次の工程に移行するまでの待ち時間が少なく、乾燥性が良い。乾燥時間が100秒超であれば、次の工程に移行するまでの待ち時間が長く、作業性に支障をきたすため乾燥性が良くない。
〔剥離抗力の測定〕
未加硫ゴム用防着剤組成物を任意の濃度に希釈して、これに100℃の温度に加熱したNR/BRゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げる。試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置する。恒温槽から出した試験片を室温まで空冷し、引張り試験機テンシロン(PT−200N型、ミネベア株式会社)を用いて100mm/minの速度下で剥離抗力(N/mm)を測定した。剥離抗力が小さいほど剥がしやすく、防着性(防着力)が高い。剥離抗力が0.01N/mm未満の場合、大きな負荷なく未加硫ゴム同士を剥がすことができ、防着性が高い。剥離抗力が0.01N/mm超の場合、未加硫ゴム同士を剥がす時の負荷が大きく、防着性が低い。さらに剥離抗力が0.05N/mm超の場合、ゴム同士が密着して剥離が困難である。
〔摩擦抗力の評価〕
未加硫ゴム用防着剤組成物に100℃の温度に加熱したNR/BRゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げる。試験片が風乾したら500gの分銅を載せ、摩擦測定機(TR−2、東洋精機製作所株式会社製)を用いて分銅がゴム上を滑る際の摩擦抗力を測定した。摩擦抗力が小さいほど分銅がゴム上を滑りやすく、滑性に優れる。摩擦抗力が7N/mm未満の場合、大きな負荷なく分銅がゴム上を滑り、滑性が優れる。剥離抗力が7N/mm超の場合、分銅がゴム上を滑りにくく、滑性が劣る。さらに剥離抗力が10N/mm超の場合、分銅がゴム上を滑りにくく、滑性がさらに劣る。
〔分散性の評価〕
未加硫ゴム用防着剤組成物を60℃のオーブン中で乾燥し、未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物を作製した。NR/BRゴム試験片200gと未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物6gを練りロール機で混練した時のNR/BRゴム試験片中における未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物の分散性を観察した。NR/BRゴム試験片中に未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物が速やかに均一に分散するほど、分散性に優れる。分散性の評価基準は以下のとおり。
◎:混練開始後速やかに未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物がゴム中に分散し異物が残らない
○:混練開始後数分で未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物がゴム中に分散し異物が残らない
×:混練しても未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物がゴム中に分散せず異物として残る
〔防着処理ゴムの粉付着量および粉飛散量〕
NR/BRゴム試験片10×10cmを準備し、初期重量(W)を測定した。未加硫ゴム用防着剤組成物を希釈して、100℃に加熱されたゴム試験片を2回連続で浸漬してすぐに引き上げた。試験片が風乾したらその重量(W)を測定した。さらに試験片の各6面をたわしで15回強くこすった後の試験片の重量(W)を測定した。防着処理ゴムの粉付着量および粉飛散量は下記の式により計算される。
防着処理ゴムの粉付着量(mg/100cm)=W−W
防着処理ゴムの粉飛散量(mg/100cm)=W−W
防着処理ゴムの粉付着量が大きいほど、ゴムに混入する未加硫ゴム用防着剤組成物の量が多くなり、ゴムの物理的性質に悪影響を与える。粉付着量が10mg/100cm未満であれば、ゴムの物理的性質に大きな悪影響を与えず、好ましい。粉付着量が10mg/100cm超であれば、ゴムの物理的性質に悪影響を与える場合があり好ましくない。
防着処理ゴムの粉飛散量が大きいほど、ゴム表面から粉落ちした粉塵による飛散問題が大きくなる。粉飛散量が3mg/100cm未満であれば、粉塵発生の問題を大幅に低下できて、好ましい。粉飛散量が3mg/100cm超であれば、ゴム表面から粉落ちした粉塵による飛散が発生し好ましくない。
〔測定用NR/BRゴムの組成〕
測定に用いたNR/BRゴム(未加硫ゴム生地)は、以下に示す成分および所定量をそれぞれ混合して製造した。NR/BRゴムのムニー粘度は45〜65であった。
天然ゴム 60部
ブタジエンゴム 40部
カーボンGPF 25部
カーボンFEF 25部
アロマオイル 8部
〔実施例1〕
メチルセルロース(数平均分子量:300000、SP値:35.6(J/cm1/2)0.2g、POE(25)ラウリルエーテル0.1g、ステアリン酸亜鉛1.0gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤組成物を得た。
さらに、イオン交換水100gに、上記未加硫ゴム用防着剤組成物を攪拌しながら加え、メチルセルロースとPOE(25)ラウリルエーテルが完全に溶解し、ステアリン酸亜鉛が均一に分散した未加硫ゴム用防着剤組成物(分散液)を得た。分散液は、不揮発分濃度1.3wt%、粘度41mPa・sであった。
得られた分散液に100℃に加熱されたNR/BRゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は42秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.006N/mmであり、負荷なく剥離することができ、防着性が優れていた。また、摩擦抗力は3.5N/mmで、滑性が優れていた。また、NR/BRゴム試験片200gと60℃のオーブン中で乾燥した未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物6gを練りロール機で混練して、分散性を観察した。混練開始後数速やかに未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物はゴム中に均一に分散し、異物は確認されなかった。また、粉付着量5.9mg/100cm、粉飛散量は0.3mg/100cmと非常に少ない量であるので、ゴムの物理的性質に与える悪影響と粉塵発生の問題を大幅に低減できる。
〔実施例2〜21〕
実施例2〜21では、実施例1において、表1〜3に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に未加硫ゴム用防着剤組成物をそれぞれ得て、物性等も実施例1と同様に評価した。その結果をそれぞれ表1〜3に示す。それらは乾燥性、防着性、滑性、分散性に優れていた。また、粉付着量および粉飛散量が非常に少ないので、ゴムの物理的性質に与える悪影響と粉塵発生の問題を大幅に低減できる。
Figure 2009161667
Figure 2009161667
Figure 2009161667
〔比較例1〕
メチルセルロース(数平均分子量:300000、SP値:35.6(J/cm1/2)0.01g、POE(25)ラウリルエーテル0.1g、ステアリン酸亜鉛1.0gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤組成物を得た。
さらに、イオン交換水100gに、前記未加硫ゴム用防着剤組成物を攪拌しながら加え、メチルセルロースとPOE(25)ラウリルエーテルが完全に溶解し、ステアリン酸亜鉛が均一に分散した未加硫ゴム用防着剤組成物(分散液)を得た。分散液は、不揮発分濃度1.1wt%、粘度1mPa・sであった。
得られた分散液に100℃に加熱されたNRBRゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は15秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.05N/mm超であり、防着性が優れなかった。また、摩擦抗力は10N/mm超で、滑性が優れなかった。また、NR/BRゴム試験片200gと60℃のオーブン中で乾燥した未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物6gを練りロール機で混練して、分散性を観察した。混練開始後数分で未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物はゴム中に均一に分散し、異物は確認されなかった。また、粉付着量は2.2mg/100cm、粉飛散量は0.8mg/100cmと少ない量であった。
実施例1と比較して、水溶性高分子であるメチルセルロースの配合量が少なく、防着性、滑性に優れなかった。
〔比較例2〕
比較例2では、比較例1において、表4に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、比較例1と同様に未加硫ゴム用防着剤組成物をそれぞれ得て、物性等も比較例1と同様に評価した。得られた比較組成物の物性等の結果も、それぞれ表4に示す。実施例4と比較して、水溶性高分子であるポリビニルアルコールの配合量が少なく、防着性、滑性に優れなかった。
〔比較例3〕
ポリビニルアルコール(数平均分子量:100000、SP値:33.1(J/cm1/2)0.2g、ステアリン酸亜鉛1.0gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤組成物を得た。
さらに、イオン交換水100gに、前記未加硫ゴム用防着剤組成物を攪拌しながら加え、ポリビニルアルコールが完全に溶解し、ステアリン酸亜鉛が均一に分散した未加硫ゴム用防着剤組成物(分散液)を得た。分散液は、不揮発分濃度1.2wt%、粘度5mPa・sであった。
得られた分散液に100℃に加熱されたNRBRゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は32秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.05N/mm超であり、防着性が優れなかった。また、摩擦抗力は9.5N/mmで、滑性が優れなかった。また、NR/BRゴム試験片200gと60℃のオーブン中で乾燥した未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物6gを練りロール機で混練して、分散性を観察した。混練開始後数分で未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物はゴム中に均一に分散し、異物は確認されなかった。また、粉付着量は3.1mg/100cm、粉飛散量は0.3mg/100cmと少ない量であった。
実施例1と比較して、界面活性剤が配合されておらず、防着性、滑性に優れなかった。
〔比較例4〕
比較例4では、比較例3において、表4に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、比較例3と同様に未加硫ゴム用防着剤組成物をそれぞれ得て、物性等も比較例3と同様に評価した。得られた比較組成物の物性等の結果も、それぞれ表4に示す。実施例5と比較して、界面活性剤が配合されておらず、防着性、滑性に優れなかった。
〔比較例5〕
メチルセルロース(数平均分子量:300000、SP値:35.6(J/cm1/2)0.2g、POE(25)ラウリルエーテル0.1gを均一に混合して、未加硫ゴム用防着剤組成物を得た。
さらに、イオン交換水100gに、前記未加硫ゴム用防着剤組成物を攪拌しながら加え、メチルセルロースとPOE(25)ラウリルエーテルが完全に溶解した未加硫ゴム用防着剤組成物(水溶液)を得た。水溶液は、不揮発分濃度0.3wt%、粘度42mPa・sであった。
得られた水溶液に100℃に加熱されたNRBRゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は34秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.006N/mmであり、負荷なく剥離することができ、防着性が優れていた。しかしながら、摩擦抗力は10N/mm超で、滑性が優れなかった。また、NR/BRゴム試験片200gと60℃のオーブン中で乾燥した未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物6gを練りロール機で混練して、分散性を観察したところ、混練しても未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物がゴム中に均一に分散せず異物として残った。また、粉付着量は1.9mg/100cm、粉飛散量は0.1mg/100cmと少ない量であった。
実施例1と比較して、滑剤および分散補助剤が配合されておらず、滑性、分散性に優れなかった。
〔比較例6および7〕
比較例6および7では、比較例5において、表4に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、比較例5と同様に未加硫ゴム用防着剤組成物をそれぞれ得て、物性等も比較例5と同様に評価した。得られた比較組成物の物性等の結果もそれぞれ表4に示す。実施例2および7と比較して、滑剤および分散補助剤が配合されておらず、滑性、分散性に優れなかった。
〔比較例8〕
イオン交換水100gに、ベントナイト0.5g、クレー0.3g、炭酸カルシウム0.2g、ステアリン酸カルシウム0.1g、POE(25)ラウリルエーテル0.2gを分散させて未加硫ゴム用防着剤組成物(分散液)を調整した。分散液は、不揮発分濃度1.3wt%、粘度1mPa・sであった。
得られた分散液に100℃に加熱されたNRBRゴム試験片を浸漬してすぐに引き上げた。ゴム表面が乾くまでの時間を目視にて測定したところ、乾燥時間は32秒であり乾燥性に優れていた。ゴム試験片が風乾したら2枚を重ね合わせ、1000kg/mの荷重をかけ40℃の恒温槽に24時間放置した。剥離抗力は0.05N/mm超であり、防着性が優れなかった。摩擦抗力は8.3N/mmで、滑性が優れなかった。NR/BRゴム試験片200gと60℃のオーブン中で乾燥した未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物6gを練りロール機で混練して、分散性を観察したところ、混練しても未加硫ゴム用防着剤組成物の固化物がゴム中に均一に分散せず異物として残った。また、粉付着量12mg/100cm、粉飛散量は4.1mg/100cmと多量であり、ゴムの物理的性質に与える悪影響と粉塵発生の問題が懸念される。
実施例1〜21と比較して、防着性、滑性、分散性に優れず、粉塵発生が懸念される。
Figure 2009161667
上記表1〜4において、Mnとは、水溶性高分子の数量平均分子量を意味する。
上記表1〜4において、δとは、水溶性高分子の溶解度パラメーター(SP値)((J/cm1/2)を意味する。

Claims (8)

  1. 水溶性高分子と、界面活性剤と、有機粒子とを含有する組成物であって、
    それぞれの配合量が、前記水溶性高分子および界面活性剤の合計を100重量部としたときに、前記水溶性高分子50〜97重量部、前記界面活性剤3〜50重量部、前記有機粒子100〜500重量部である、
    未加硫ゴム用防着剤組成物。
  2. 前記水溶性高分子が、アルギン酸ナトリウム、天然ガム類、セルロースエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキシドから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
  3. 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤および/またはアニオン性界面活性剤である、請求項1または2に記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
  4. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシアルキレン硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種であり、前記アニオン性界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩および長鎖スルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
  5. 前記有機粒子が、金属石鹸粒子、植物系ワックス粒子、石油ワックス粒子、合成炭化水素系ワックス粒子および水素化ワックス粒子から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
  6. 水をさらに含有し、その配合量を100重量部としたときに、前記水溶性高分子および界面活性剤の合計が0.05〜2.5重量部である、請求項1〜5のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
  7. 25℃における粘度が2〜200mPa・sである、請求項6に記載の未加硫ゴム用防着剤組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の未加硫ゴム用防着剤組成物を、成形加工された未加硫ゴムの表面に付着させる処理工程を含む、防着処理された未加硫ゴムの製造方法。
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