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JP2009158426A - 微生物発電方法および微生物発電装置 - Google Patents

微生物発電方法および微生物発電装置 Download PDF

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Tetsuro Fukase
哲朗 深瀬
Nobuhiro Oda
信博 織田
Kazuya Komatsu
和也 小松
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Abstract

【課題】カソード室に硝酸塩を含む液を供給し、脱窒菌を利用して還元反応を行う微生物発電の発電効率を高くする。
【解決手段】アノード室11に負極21を配置し、微生物を保持させ、電子供与体を含む液を供給する。一方、カソード室12には正極22を配置し、脱窒菌を保持させる。カソード室12には硝酸または亜硝酸を含む正極溶液を供給する。正極溶液は、溶存酸素を実質的に含まないよう脱酸素処理して、カソード室12に供給する。例えば、正極溶液をカソード室12に循環させるカソード循環路42を設け、その途中に酸素を除去する脱酸素装置44を配置してカソード室12に送られる液の溶存酸素濃度を実質的にゼロにする。
【選択図】図2

Description

本発明は、微生物の代謝反応を利用する発電方法および装置に関する。本発明は特に、有機物を微生物に酸化分解させる際に得られる還元力を電気エネルギーとして取り出す微生物発電方法およびその装置に関する。
近年、地球環境に配慮した発電方法へのニーズが高まり、微生物発電の技術開発も進められている。微生物発電は、微生物が有機物を資化する際に得られる電気エネルギーを取り出すことにより発電する方法である。
一般的に、微生物発電では負極が配置されたアノード室内に、微生物、微生物に資化される有機物、および電子伝達媒体(電子メディエータ)を共存させる。電子メディエータは微生物体内に入り、微生物が有機物を酸化して発生する電子を受け取って負極に渡す。負極は正極と電気的に導通されており、負極に渡された電子は正極に移動して、正極と接する電子受容体に渡される。このような電子の移動により正極と負極との間に電流が生じ、電気エネルギーが得られる。
電子受容体としては、従来は、酸素やヘキサシアノ酸鉄(II)カリウム(フェリシアン化カリウム)等が用いられている(例えば特許文献1、特許文献2)。これに対し、近年、カソード室に脱窒菌を保持し、正極溶液として硝酸塩(亜硝酸または硝酸)を含む液を供給する微生物発電方法が検討されている。カソード室で脱窒菌による還元反応を行わせれば、窒素を含む排水を正極溶液として利用できるといったメリットがある。
特開2000−133327号公報 特開2004−342412号公報
微生物発電では、電子メディエータが微生物体から直接、電子を取り出すため、エネルギー変換効率は理論上、高いが、実際のエネルギー変換効率は低い。特に脱窒菌にカソード室で硝酸または亜硝酸を還元させる場合、その発電効率は極めて低く、現状では実用に堪えない。
本発明者らは、カソード室に供給する正極溶液の溶存酸素を除去しておけば、発電効率が向上することを見出し、本発明を完成させた。具体的には、本発明は以下を提供する。
(1) 微生物および電子供与体を含む液を保持し負極が配置されたアノード室において前記微生物の生物反応により前記電子供与体から電子を取り出し、前記負極と電気的に接続された正極が配置されたカソード室に正極溶液を供給して前記負極から前記正極に前記電子を送って発電する微生物発電方法であって、
前記正極溶液は、電子受容体として亜硝酸性窒素または硝酸性窒素を含み、溶存酸素が除去されている微生物発電方法。
(2) 微生物を保持し電子供与体を含む原液が供給されるアノード室と、
電子受容体として亜硝酸性窒素または硝酸性窒素を含み溶存酸素が除去された正極溶液が供給されるカソード室と、
前記アノード室に配置された負極と、
前記カソード室に配置された正極と、
前記負極と前記正極とを電気的に接続する導通線と、を含む微生物発電装置。
(3) 前記カソード室に前記正極溶液を循環させるカソード循環路と、
前記カソード循環路の途中に設けられ、循環される前記正極溶液の溶存酸素濃度を実質的にゼロにする脱酸素装置と、をさらに含む(2)に記載の微生物発電装置。
本発明によれば、電子受容体として、亜硝酸または硝酸を含む排水等を利用する微生物発電において、発電効率を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。以下の図において、同一部材には同一符号を付し、説明を省略または簡略化する。図面は発明の構成を模式的に示すものであり、構成の一部を省略または簡略化しており、寸法も実際の装置とは必ずしも同一ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る微生物発電装置1の断面模式図である。図1では、非導電膜15を介して1つのアノード室11と1つのカソード室12とを隣接配置して構成した1つのセル構造を示しているが、微生物発電装置1は複数のアノード室とカソード室とを非導電膜を介して交互に配置した構成としてもよい。
アノード室11には負極21が設けられ、カソード室12には正極22が設けられている。負極21と正極22とは、金属線等の導電性部材で互いに電気的に接続されている。
アノード室11は略直方体状であり、負極21がアノード室11の内部空間全体に充填されている。負極21は、導電性材料(グラファイト、チタン、およびステンレス等)で構成されている。負極21は、表面および内部に微生物を保持し、アノード室11に供給される液が通液可能なように、例えば直径10μm〜1mm程度の空隙が形成された多孔性の立体であることが好ましい。
負極21を構成する導電性多孔体の例としては、導電性材料で構成された多孔性シート(例えばグラファイトフェルト、発泡チタンや発泡ステンレスのシート)、導電性材料で構成され略同一形状の多角形(例えば四角形、六角形、八角形等)を並べて板状にした部材(例えば格子やハニカムシート)、および導電性材料を粒状にした充填材等が挙げられる。多孔性シートは、複数枚を導電性接着剤等で接着して負極21としてもよい。負極21は、厚みが3mm以上40mm以下であることが好ましく、5mm以上20mm以下であることがより好ましい。負極21の厚みが3mm未満であると微生物の保持量が少なくなり、40mmを超えると微生物反応で生じたプロトン(H)の移動が律速になる。この結果、プロトンを還元する硫酸還元菌やメタン発酵菌がアノード室11に優占しやすくなるため好ましくない。
発電装置1では、4枚のグラファイトフェルト21A〜21Dを導電性接着剤で接着し、全体として40mm程度の厚さの厚板を負極21としている。接着剤はグラファイトフェルトの面全体には塗布せず(つまりベタ塗りせず)、グラファイトフェルト同士の積層方向およびこれと直交する方向を含む任意の方向に液体の移動が可能とされている。各グラファイトフェルトには微生物31が付着し、それぞれのグラファイトフェルトには、アノード引き出し線23が接続されている。アノード引き出し線23は、1本の導通線17を介して後述するカソード引き出し線24と接続されている。
微生物31は負極21の表面および内部で増殖し、大部分が負極21に付着した状態でアノード室11内に保持される。アノード室内に保持される微生物種は、呼吸基質としての電子供与体を酸化してプロトンと電子とを生成する微生物であれば特に限定されない。アノード室には種汚泥として、下水等の有機物含有水を処理する生物処理槽から得られる活性汚泥、下水の最初沈殿池からの流出水に含まれる微生物、および嫌気性消化汚泥等を添加してよい。アノード室では、好ましくは嫌気的条件で微生物反応を行わせ、電子供与体を生物分解させる。発電効率を高くするためには、アノード室内に保持される微生物量は高濃度であることが好ましく、例えば微生物濃度は1g/L以上であることが好ましい。なお、メタン生成菌、硫酸還元菌、および硝酸還元菌は、Hを消費するため、アノード室内でのこれらの微生物の優占を防ぐように、負極の厚みを調整するとよい。
アノード室11には、電子供与体を含む液(原液)を供給する。電子供与体としては、糖類や有機酸のような有機性炭素化合物、または有機性窒素化合物のような窒素化合物が挙げられる。電子供与体の濃度はある程度、高い方が発電効率を高くできるため、原液の電子供与体濃度は100〜10,000mg/L程度が好ましい。原液は、電子供与体以外に微生物の栄養源となる窒素およびリンを含み、さらに、微量の銅、鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ナトリウム、およびカリウムを含むことが好ましい。原液としては、有機性排水や窒素含有排水を利用できる。
なお、従来、原液には微生物から負極への電子の受け渡しを促進するため、電子メディエータが添加される。本発明者らの知見によれば、負極と微生物とを密着させ、かつ、アノード室で生成されたプロトンのカソード室への移動を促進することで電子メディエータを不要にできる。電子メディエータを省略できる理由の一つは、負極と微生物とが密着していれば、微生物は電子を直接、負極に渡すためであると推定される。
そこで、微生物が負極に密着した状態で原液から電子供与体を受け取って生物分解を行うようにアノード室を構成すれば、原液への電子メディエータの添加を省略できる。具体的には、上述したように通水性を有する導電性多孔体で負極を構成し、この導電性多孔体にアノード室全体をほぼ占有させるとよい。このように、アノード室全体に負極を存在させアノード室内の空洞化した部分(空きスペース)をなくすことで、微生物が空きスペースに浮遊状態で存在すること、および原液が空きスペースを通るショートパスが生じることを防止できる。よって、微生物を負極に密着させ、原液が微生物に利用されずにショートパスして流出することを防止できる。
また、アノード室内で生成されたプロトンのカソード室への移動を促進するため、負極と非導電膜とを密着させることが好ましい。例えば、負極を湾曲のない真っ直ぐな平面を有するシートで構成し、平面全面を非導電膜と密着させるとよい。また、負極と導電膜とを密着させるため、両者をネジやクリップのような締付部材で締め付けた状態としてもよい。あるいは、アノード室にスペーサを挿入することで、軽い圧力(0.01〜100g/cm程度、特に0.1〜10g/cm程度)がかかった状態で負極がアノード室の内壁に押しつけられるようにしてもよい。
非導電膜15としては、プロトン選択性の高いカチオン透過膜を好適に使用でき、例えばデュポン株式会社製ナフィオン(登録商標)等が使用できる。非導電膜15は、薄くて丈夫であることが好ましい。
カソード室12は、アノード室11と同様の構成とすればよい。カソード室12に配置する正極22は、負極21と同様の構成の導電性多孔体を使用できる。正極22も、負極21と同様に、非導電膜15と全面的に密着させることが好ましく、締付部材で両者を締め付けた状態としてもよく、スペーサ等を挿入してもよい。
発電装置1では、正極22は負極21と同様に4枚のグラファイトフェルト22A〜22Dを導電性接着剤で接着し、全体として40mm程度の厚さとした厚板で構成している。カソード室12内の液は、全体として板状をなす正極22内部を任意の方向に移動可能である。各グラファイトフェルトには脱窒を行う微生物32が付着し、それぞれのグラファイトフェルトには、カソード引き出し線24が接続されている。なお、負極21と正極22とはどちらも、単一部材として取り扱われるシート状の立体であることが好ましいが、粒状の導電性材料を負極21または/および正極22としてアノード室11または/およびカソード室12に充填することは排除されない。
カソード室12には、硝酸または亜硝酸窒素(以下、「硝酸塩」と総称する)を電子受容体として還元し、下記化学式1に示すような脱窒反応を行う脱窒菌を保持する。
(化学式1)
2NO +10H+10e→N+2OH+4H
カソード室12には、硝酸塩を含む液を正極溶液として供給する。正極溶液は、硝酸塩を10〜2,000mg/L程度含み、硝酸塩以外に脱窒菌の栄養素となるリンと、微量元素(微量の銅、鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ナトリウム、およびカリウム)を含むことが好ましい。一方、カソード室12に有機物が持ち込まれると電力低下につながるため、正極溶液には有機物が含まれないようにすることが好ましく、正極溶液の有機物濃度は実質ゼロとされていることが好ましい。
本発明では、正極溶液に含まれる溶存酸素を除去し、正極溶液の溶存酸素濃度を実質的にゼロにする。以下、従来、排水処理分野で利用されている脱窒反応について述べた後、本発明について推定される作用を述べる。
排水処理分野では、脱窒菌が硝酸塩を電子受容体として還元して窒素ガスを放出する硝酸塩還元反応は、窒素含有水を処理する方法として利用されている。排水処理の際には、脱窒菌として独立栄養性のアナモックス菌を用いる場合を除けば、通常、脱窒を行う際にメタノールのような有機物等が電子供与体として供給される。脱窒菌が保持された脱窒槽では、有機物が酸化分解される際、脱窒槽に供給される液に含まれる少量の溶存酸素が消費され、脱窒菌が好気呼吸できなくなる結果、脱窒反応が生じるとされている。
ところが本発明者らが検討した結果、微生物発電を行う場合に微生物による還元反応(脱窒反応)を行わせるカソード室内に酸素が存在すると化学式1の還元反応が生じない。これは、カソード室に酸素が存在すると、アノード室で生成されカソード室に移動させられた水素が電子とともに酸素と反応してしまい、反応により高いエネルギーを必要とする硝酸イオンとは反応しなくなってしまうためと推察された。また、カソード室に供給される正極溶液に有機物が含まれる場合、脱窒細菌と、アノード室での微生物反応に関与する細菌(以下、「発電細菌」と称する)とが有機物をめぐって競合し、脱窒菌より低いエネルギーで有機物を分解できる発電細菌による反応(アノード反応)が脱窒細菌の反応に優先して脱窒反応が進まなくなると推察される。
これに対し、カソード室内に酸素が実質的に存在しない状態とすれば、アノード室からカソード室に送られた水素は上記化学式1に示した脱窒反応に使用される。また、カソード室内で発電細菌による酸化反応が起こることを妨げば、同様に、アノード室からカソード室に送られた水素を用いた上記化学式1の脱窒反応が促進される。よって、カソード室内での化学式1の脱窒反応を促進し発電効率を上げることができると推察される。
正極溶液の溶存酸素濃度を実質ゼロにする手段としては、窒素等の非酸素ガスで十分にバブリングして酸素を追い出す方法、活性炭と接触させて酸素を分解する方法、重亜硫酸ナトリウムのような酸素と反応する薬品を添加する方法、脱気膜を介して溶存ガスを除去する方法、および硝化細菌を保持したカラムに微量のアンモニアを添加して内生脱窒させる方法等が挙げられる。正極溶液は、カソード室に供給する前に酸素を除去してもよく、これに代えて、またはこれとともに、循環路を介して循環させ循環路の途中に脱酸素装置を設けて酸素を除去するようにしてもよい。
本発明では、カソード室に硝酸塩を含む正極溶液を供給して脱窒菌による還元反応を行う際、カソード室内に酸素が実質的に流入しないよう、正極溶液の溶存酸素濃度を実質的にゼロとしていればよい。そこで、正極溶液を循環させる循環路を設け、循環させる前の新しい正極溶液(すなわち新たにカソード室に供給される正極溶液)および循環している正極溶液(すなわち、カソード室から排出されカソード室に戻される正極溶液)両方がこの循環路を通ってカソード室に供給されるようにするとよい。なお、アノード室およびカソード室の構造、負極および正極の素材や構造は上記に限定されない。
上述したような構成の微生物発電装置では、電子供与体として有機物(酢酸)を用いる場合であれば、アノード室11内で下記化学式2に示す反応によりプロトンと電子が生成される。
(化学式2)
CHCOOH+2HO→2CO+8H+8e
生成されたHは、カチオンを透過させる非導電膜15を通ってカソード室12に移動させる。電子は負極21から取り出され、アノード引き出し線23、導通線17、およびカソード引き出し線24を介して正極22側に送られる。この過程で負極21と正極22との間に電流が流れ、発電することができる。
カソード室12では、正極22に保持させた脱窒菌により上記化学式1による還元反応を行い、アノード室11で生成されたHおよび電子を消費させる。本発明では、カソード室12に供給される正極溶液は、硝酸塩を含み酸素を実質的に含まないため、カソード室から移動させた水素および電子を用いて化学式1に記載した還元反応が促進され、発電効率が向上する。
[比較例1]
試験用の発電装置として図2に示す微生物発電装置2を作成した。発電装置2は、負極21が配置されたアノード室11と、正極22が配置されたカソード室12とが非導電膜15を挟んで向かい合う単セル構造である。アノード室11の容積は700mL、カソード室12の容積は700mLとした。
負極21および正極22はどちらも、厚さ10mmのグラファイトフェルト(東洋カーボン株式会社製)4枚を導電性接着剤で張り合わせて構成した。各グラファイトフェルトは大きさが250mm×70mmの長方形状であり、両表面は粗面である。各グラファイトフェルトには、アノード引き出し線23またはカソード引き出し線24として、直径5mmのグラファイト棒を導電性接着剤で接着した。グラファイト棒には電線を接続し、1Ω〜1kΩまでの適宜選択された外部抵抗を接続した上で、アノード引き出し線23とカソード引き出し線24とを相互に接続し、負極21と正極22とが電気的に接続されるようにした。負極21と正極22との間には非導電膜15としてカチオン透過膜(デュポン株式会社製 商品名「ナフィオン」)を配置した。
アノード室11、およびカソード室12には種菌として下水処理場の生物処理槽から採取した活性汚泥20mLを添加して培養した。これにより、アノード室11およびカソード室12内には4層のグラファイトフェルト層と5層の微生物層とが形成された。微生物濃度は、アノード11室内について1,200mg/L、カソード室12内について1,500mg/Lであった。
アノード室11に供給する原液としては、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウムおよび50mMのリン酸カリウムバッファ(pH7.6)を水道水に溶解させた液を用いた。原液の酢酸ナトリウム濃度は1,000mg/L、硫酸アンモニウム濃度は300mg/Lとした。発電装置2には、アノード室11内の液を循環させるアノード循環路41を設け、循環路の途中に容量1Lの貯槽(図示せず)を設け、アノード室11への通液速度が70mL/分となるように通液した。
カソード室12に供給する正極溶液としては、硝酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、微量のニッケル、マンガン、鉄、銅、コバルトの硫酸塩、および50mMのリン酸カリウムバッファ(pH7.6)を水道水に溶解させた液を用いた。正極溶液の硝酸ナトリウム濃度は1,000mg/L、重炭酸ナトリウム濃度は200mg/L、その他の微量元素の濃度は0.1μg/L〜10μg/L程度、溶存酸素濃度は6mg/Lであり、有機物は実質的に含んでいない。正極溶液は、密閉した容積1Lの三角フラスコ(図示せず)に入れ、カソード循環路43を介して循環させ、カソード室12への通液速度が70mL/分となるように通液した。
比較例1では、10mL/L槽/minの曝気量で窒素ガスを正極溶液に吹き込んで窒素ガス曝気を行い、溶存酸素濃度を0.2mg/Lまで低下させた。カソード循環路43は、カソード室12から排出された正極溶液および新たにカソード室12に供給される新しい正極溶液の両方が流れるように構成した。上記条件での通水開始から1ヶ月経過した時点で、カソード循環路43を循環する正極溶液の硝酸濃度は通水開始時と比べて実質的に変化しなかった。また、1kΩの外部抵抗を接続し、電圧を測定したところ、電位差は28mVであった。さらに、2ヶ月経過後に同様に測定したところ、電圧は14mVに低下していた。
[参考例1]
比較例1において、カソード循環路43を流れる液に、有機物(酵母エキス)を濃度5mg/Lとなるように添加した。その他の条件は比較例1と同じ条件で実験し、電圧を比較したところ、添加前後で電位差は28mVから14mVに低下した。このような電圧の低下は、有機物の摂取をめぐって脱窒細菌と発電細菌とが競合し、より低いエネルギーで有機物を分解できる発電細菌による反応が優先したためと推察された。有機物を添加すれば酸素を使って有機物を酸化する生物反応により溶存酸素を消費させることはできる。しかし、参考例1からは、カソード室に有機物を流入させると溶存酸素を消費させることはできても、アノード室11で生成された水素および電子を使わない反応が起こり、発電効率が低下するという可能性があることが示された。
[実施例1]
実施例1として、カソード循環路43に粒状活性炭を充填し微生物を坦持させた生物的脱酸素装置44を設置した。この生物的脱酸素装置44で内生脱窒を行うことで、カソード循環路43を流れカソード室12に流入する液の溶存酸素濃度をゼロにした。生物的脱酸素装置44は内径30mm、高さ300mmのカラムに平均粒径1.5mmの粒状活性炭を200mmの高さまで充填し、下水処理場生物処理槽から採取した活性汚泥混合液を50mL添加して構成した。その他の条件は、参考例1と同じ条件とした。実施例1では、通水開始から徐々に電圧上昇が認められ、通水開始の翌日に測定した電圧の値は56mV、1週間後の電圧の値は111mv、1ヶ月後の電圧の値は345mvとなった。
[実施例2]
実施例2として、比較例1において正極溶液に吹き込む窒素ガスの曝気量を10mL/L/minから1L/L/min上げることにより、カソード循環路43を循環する液の溶存酸素濃度をゼロにした。この結果、測定された電圧の値は通水開始から1日後に98mVとなり、5日後に349mVとなった。
上述した通り、本発明によれば、正極溶液として硝酸塩含有水を用いて脱窒菌による微生物反応で還元反応を行う微生物発電の発電効率を高くできることが示された。
本発明は、微生物を利用した発電に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る微生物発電装置の全体模式図。 試験に用いた微生物発電装置の構成図。
符号の説明
1、2 微生物発電装置
11 アノード室
12 カソード室
15 非導電膜
17 導通線
21 負極
22 正極
23 アノード引き出し線
24 カソード引き出し線
41 アノード循環路
42 カソード循環路
44 脱酸素装置

Claims (3)

  1. 微生物および電子供与体を含む液を保持し負極が配置されたアノード室において前記微生物の生物反応により前記電子供与体から電子を取り出し、前記負極と電気的に接続された正極が配置されたカソード室に正極溶液を供給して前記負極から前記正極に前記電子を送って発電する微生物発電方法であって、
    前記正極溶液は、電子受容体として亜硝酸性窒素または硝酸性窒素を含み、溶存酸素が除去されている微生物発電方法。
  2. 微生物を保持し電子供与体を含む原液が供給されるアノード室と、
    電子受容体として亜硝酸性窒素または硝酸性窒素を含み溶存酸素が除去された正極溶液が供給されるカソード室と、
    前記アノード室に配置された負極と、
    前記カソード室に配置された正極と、
    前記負極と前記正極とを電気的に接続する導通線と、を含む微生物発電装置。
  3. 前記カソード室に前記正極溶液を循環させるカソード循環路と、
    前記カソード循環路の途中に設けられ、循環される前記正極溶液の溶存酸素濃度を実質的にゼロにする脱酸素装置と、をさらに含む請求項2に記載の微生物発電装置。
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