JP2009136221A - 核酸抽出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
被検試料の種別を問わず、また慎重な取り扱いを有する試薬を使わずに簡便に核酸(DNA/RNA)を抽出する処理を行うことができ、且つ、得られた核酸試料を、その後の核酸精製工程を必要とすることなく、そのままPCR核酸増幅試験に課しても悪影響を与えない、新規な核酸抽出方法を提供すること。
【解決手段】
本発明の核酸抽出方法は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を被検試料に接触させ、核酸増幅時に非イオン界面活性剤を添加する処理を行うことを特徴とする。
好適には、該ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの濃度が0.1〜1質量%、該非イオン界面活性剤の核酸増幅時の濃度が0.5〜5質量%であることが望ましい。
【選択図】なし
被検試料の種別を問わず、また慎重な取り扱いを有する試薬を使わずに簡便に核酸(DNA/RNA)を抽出する処理を行うことができ、且つ、得られた核酸試料を、その後の核酸精製工程を必要とすることなく、そのままPCR核酸増幅試験に課しても悪影響を与えない、新規な核酸抽出方法を提供すること。
【解決手段】
本発明の核酸抽出方法は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を被検試料に接触させ、核酸増幅時に非イオン界面活性剤を添加する処理を行うことを特徴とする。
好適には、該ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの濃度が0.1〜1質量%、該非イオン界面活性剤の核酸増幅時の濃度が0.5〜5質量%であることが望ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、核酸抽出方法に関し、特に核酸、遊離DNAを高収率でかつ簡便に抽出できる方法に関する。
クリプトスポリジウムは世界中に広く分布しており、種々の動物の消化管に寄生する原虫である。
また、本原虫のオーシストは強い塩素耐性を示すためにしばしば水道を介した集団下痢症を引き起こしていることから、クリプトスポリジウムは臨床上あるいは公衆衛生学的に現在最も注目される原虫となっている。
クリプトスポリジウムの検出は、通常、顕微鏡下での目視により行われているが、かかる方法は、操作が煩雑で迅速性かつ検出率も低いため、検出に多大な労力を必要とする。
従って、近年、クリプトスポリジウムの研究にも遺伝子学的手法が用いられるようになり、種の同定や型別を比較的容易に行うことができるようになってきている。
また、本原虫のオーシストは強い塩素耐性を示すためにしばしば水道を介した集団下痢症を引き起こしていることから、クリプトスポリジウムは臨床上あるいは公衆衛生学的に現在最も注目される原虫となっている。
クリプトスポリジウムの検出は、通常、顕微鏡下での目視により行われているが、かかる方法は、操作が煩雑で迅速性かつ検出率も低いため、検出に多大な労力を必要とする。
従って、近年、クリプトスポリジウムの研究にも遺伝子学的手法が用いられるようになり、種の同定や型別を比較的容易に行うことができるようになってきている。
従来より、例えばクリプトスポリジウムのDNA抽出には凍結融解などによる物理的処理や、界面活性剤や酵素などによる化学的処理により抽出が行われており、各種試料から核酸を抽出する方法としては、例えば細胞壁や細胞膜を物理的にまたは界面活性剤等で処理して破壊した後、水飽和フェノールやクロロホルム等の有機溶媒を用いてこれらを取り除き、タンパク質を変性させ、核酸を分離する等の多くの工程を必要としていた。
この際使用される試薬には、強アルカリ性の水酸化ナトリウム溶液や腐食性の高いフェノール液等の慎重な取り扱いを要するものが含まれている。
この際使用される試薬には、強アルカリ性の水酸化ナトリウム溶液や腐食性の高いフェノール液等の慎重な取り扱いを要するものが含まれている。
また、従来、核酸を抽出する際に用いた試薬は抽出した核酸試料中に残存し、かかる残存試薬、例えばドデシル硫酸ナトリウム(Sodium dodecyl sulphate,SDS)は、核酸を増幅するPCR分析の際の阻害物質となってしまうことがあり、分析精度が劣り、抽出した核酸試薬をそのままPCR分析に用いて増幅することは困難であった。
従って、抽出した核酸試料中に含まれるこれらの試薬を処理すべく、更なる精製工程を要することとなっている。
従って、抽出した核酸試料中に含まれるこれらの試薬を処理すべく、更なる精製工程を要することとなっている。
一方、PCR阻害が少ない非イオン界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(Polyoxyethylene(10) octylphenyl ether,Triton X-100)での抽出は、抽出後の界面活性剤除去工程を省略できる利点があるが、DNA抽出能が低いため、充分量の精製オーシストが入手可能な場合に限られている抽出法である。また、非イオン界面活性剤によりSDSのPCR阻害作用を抑制することは、特許文献1乃至3に開示されている。
米国特許明細書第5,871,975号
米国特許明細書第5,846,701号
米国特許明細書第5,766,890号
しかしながら、SDSのようにDNA抽出試薬としては優れていてもPCR阻害作用が強い界面活性剤を使用する場合は、上述したようにPCR前の阻害物質除去工程は必須である。また、SDSのPCR阻害作用を非イオン界面活性剤で抑制するには、SDSの濃度が0.1質量%以下である必要があり、極めて、DNA抽出能が制限される結果となっていた。
さらに、一般的にDNA抽出に用いる酵素は常温保存が難しく高価であり、さらにPCR前に酵素を失活させる工程を必要とするなどの要因が、DNA抽出工程の「簡便・迅速・低価格」化を難しくしていた。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、被検試料の種別を問わず、また慎重な取り扱いを有する試薬を使わずに簡便に核酸(DNA/RNA)を抽出する処理を行うことができ、且つ、得られた核酸試料を、その後の核酸精製工程を必要とすることなく、そのままPCR核酸増幅試験に課しても悪影響を与えない、新規な核酸抽出方法を提供することにある。
本発明は、特定の試薬を核酸抽出用に用いることにより達成されたものであり、核酸を抽出するために用いる従来の公知のSDSに替えて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Sodium dodecylbenzene sulphonate,SDBS)を用いると共に、SDBSのPCR阻害作用を非イオン界面活性剤を用いて抑制可能であることを、本発明者らは見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の核酸抽出方法は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を被検試料に接触させ、核酸増幅時に非イオン界面活性剤を添加する処理を行うことを特徴とする。
好適には、請求項2に記載の核酸抽出方法は、請求項1に記載の核酸抽出方法において、該ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの濃度が0.1〜1質量%、非イオン界面活性剤の核酸増幅時の濃度が0.5〜5質量%であることを特徴とする。
更に好適には、請求項3に記載の核酸抽出方法は、請求項1又は2に記載の核酸抽出方法において、核酸増幅酵素が、Taqポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、又はAacポリメラーゼのいずれかであることを特徴とする。
また更に好適には、請求項4に記載の核酸抽出方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の核酸抽出方法において、該非イオン界面活性剤が、脂肪酸系非イオン界面活性剤又はアルキルフェノール系非イオン界面活性剤のいずれかであることを特徴とする。
好適には、請求項2に記載の核酸抽出方法は、請求項1に記載の核酸抽出方法において、該ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの濃度が0.1〜1質量%、非イオン界面活性剤の核酸増幅時の濃度が0.5〜5質量%であることを特徴とする。
更に好適には、請求項3に記載の核酸抽出方法は、請求項1又は2に記載の核酸抽出方法において、核酸増幅酵素が、Taqポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、又はAacポリメラーゼのいずれかであることを特徴とする。
また更に好適には、請求項4に記載の核酸抽出方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の核酸抽出方法において、該非イオン界面活性剤が、脂肪酸系非イオン界面活性剤又はアルキルフェノール系非イオン界面活性剤のいずれかであることを特徴とする。
なお、本明細書において、「核酸」とは、DNA、RNA及びこれらの誘導体を含む概念として用いられているものである。
また、本明細書において、「終濃度」とは、PCR時の反応チューブ内のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)濃度を示す。
また、本明細書において、「終濃度」とは、PCR時の反応チューブ内のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)濃度を示す。
本発明の核酸抽出方法は、核酸を抽出する能力は高いが、PCR阻害作用が強いSDBSを用い、さらに、非イオン界面活性剤により効果的にSDBSのPCR阻害作用を抑制することができるため、慎重な取り扱いを有する試薬を使わずに簡便に核酸の抽出が可能であり、得られた核酸試料を、その後の核酸精製工程を必要とすることなく、そのままPCR核酸増幅試験を行うことが可能となる。
すなわち、請求項1に記載の、SDBSを被検試料に接触させ、核酸増幅時に非イオン界面活性剤を添加する処理を行う核酸抽出方法を用いることで、SDBSによる核酸抽出能を有効に利用しながら、核酸増幅時のPCR阻害作用を効果的に抑制することができる。
また、請求項2記載の、SDBSの濃度が0.1〜1質量%、非イオン界面活性剤の核酸増幅時の濃度が0.5〜5質量%である核酸抽出方法を用いることで、上記効果をより確実に実現することが可能となる。
また、請求項2記載の、SDBSの濃度が0.1〜1質量%、非イオン界面活性剤の核酸増幅時の濃度が0.5〜5質量%である核酸抽出方法を用いることで、上記効果をより確実に実現することが可能となる。
請求項3に記載の、核酸増幅酵素が、Taqポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、又はAacポリメラーゼのいずれかである核酸抽出方法を用いることで、上記効果に加え、抽出後の酵素反応をより阻害せずに、核酸増幅を効率的に行うことが可能となる。
請求項4に記載の、非イオン界面活性剤が、脂肪酸系非イオン界面活性剤又はアルキルフェノール系非イオン界面活性剤のいずれかである核酸抽出方法を用いることで、上記効果に加え、SDBSのPCR阻害作用をより効果的に抑制することが可能となる。
請求項4に記載の、非イオン界面活性剤が、脂肪酸系非イオン界面活性剤又はアルキルフェノール系非イオン界面活性剤のいずれかである核酸抽出方法を用いることで、上記効果に加え、SDBSのPCR阻害作用をより効果的に抑制することが可能となる。
本発明を次の好適な実施形態により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の核酸抽出方法は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を被検試料に接触させ、核酸増幅時に非イオン界面活性剤を添加する処理を行うことを特徴とする。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を被検試料と接触させる試薬とすることにより、細菌類や動物細胞などの任意の種類の細胞に適用することができ、被検試料と接触させて核酸を効率的に抽出した遊離核酸含有溶液を形成すると共に、核酸増幅時に非イオン界面活性剤を添加することで、SDBSのPCR阻害特性を抑制し、PCR増幅も効率的に行うことが可能となる。
本発明の核酸抽出方法は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を被検試料に接触させ、核酸増幅時に非イオン界面活性剤を添加する処理を行うことを特徴とする。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を被検試料と接触させる試薬とすることにより、細菌類や動物細胞などの任意の種類の細胞に適用することができ、被検試料と接触させて核酸を効率的に抽出した遊離核酸含有溶液を形成すると共に、核酸増幅時に非イオン界面活性剤を添加することで、SDBSのPCR阻害特性を抑制し、PCR増幅も効率的に行うことが可能となる。
SDBSの被検試料への接触工程は、被検試料の細胞膜を充分に破壊するまで複数回繰り返して実施できるものであり、特にPCR用の試料の調製等の少量の試料の調製においては、被検試料の種類や量により当該工程に課す時間は異なるが、例えば、90℃で5〜30分程度の接触時間があれば十分に、動物由来等の細胞膜を破壊することができる。
特に好適にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の濃度は、本発明の核酸抽出方法を実施した後に、得られた核酸を各種分析に供するのに必要な量と質を抽出できればよく、特に限定はされず、核酸抽出時のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の処理濃度は、高いほど抽出力が高くなる。
当該核酸抽出液をPCR増幅に供する場合には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の終濃度を、好適には0.1〜1質量%とすると共に、非イオン界面活性剤の核酸増幅時の濃度を0.5〜5質量%とすることで、増幅阻害を呈することなくPCR増幅ができる。また、通常、PCR時には、前記核酸抽出処理された液を10倍に希釈するので、核酸抽出処理時のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の濃度は、好適には0.1〜1質量%、より好適には、1〜10質量%の濃度で被検試料と接触させることが、核酸抽出を確実に行う上で望ましく、更なる核酸抽出効率の向上と抽出に要する時間の短縮化を図り、検出感度の向上と迅速な検出を達成するものである。
当該核酸抽出液をPCR増幅に供する場合には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の終濃度を、好適には0.1〜1質量%とすると共に、非イオン界面活性剤の核酸増幅時の濃度を0.5〜5質量%とすることで、増幅阻害を呈することなくPCR増幅ができる。また、通常、PCR時には、前記核酸抽出処理された液を10倍に希釈するので、核酸抽出処理時のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の濃度は、好適には0.1〜1質量%、より好適には、1〜10質量%の濃度で被検試料と接触させることが、核酸抽出を確実に行う上で望ましく、更なる核酸抽出効率の向上と抽出に要する時間の短縮化を図り、検出感度の向上と迅速な検出を達成するものである。
かかるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の核酸抽出処理時の濃度調整は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を例えば水で希釈して、上記0.1〜10質量%、更に好適には1〜10質量%の溶液を調製すればよく、当該溶液にオーシストを投入して、例えば90℃、15分間の接触処理を行って、核酸を抽出することが可能である。
また、本発明の核酸抽出方法において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)試薬は、使用時の濃度が前述した如き濃度範囲から選ばれる量となるようにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を含有する水溶液等の溶液状態のものでも、また、当該濃度範囲から選ばれる量となるようにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を含有する凍結乾燥状態又は乾燥状態のものでも良く、試薬形態については特に限定されない。
また、試薬形態が凍結乾燥状態又は乾燥状態である場合には、必要に応じてそれを溶解するための溶液と組み合わせても良い。
また、試薬形態が凍結乾燥状態又は乾燥状態である場合には、必要に応じてそれを溶解するための溶液と組み合わせても良い。
本発明の核酸抽出方法では、PCR増幅時の核酸増幅酵素が、Taqポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、又はAacポリメラーゼのいずれかである場合には、特に、好適に利用可能である。
また更に、本発明の核酸抽出方法においては、非イオン界面活性剤が、脂肪酸系非イオン界面活性剤又はアルキルフェノール系非イオン界面活性剤のいずれかである場合に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)のPCR阻害作用を効果的に抑制することが可能である。
脂肪酸系非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好適であり、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Polyoxyethylene sorbitan mono-laurate (例えば「Tween 20」等))、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(Polyoxyethylene sorbitan mono-palmitate (例えば、「Tween 40」等))、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Polyoxyethylene sorbitan mono-stearate (例えば「Tween 60」等))、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Polyoxyethylene sorbitan monooleate (例えば「Tween 80」等))、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(Polyoxyethylene sorbitan trioleate(例えば「Tween 85」等))などが利用できる。
また、アルキルフェノール系非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが好適であり、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(Polyoxyethylene(10) octylphenyl ether(例えば「Triton X-100」等))、ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル(Polyoxyethylene(8) octylphenyl ether(例えば「Triton X-114」等))、ポリオキシエチレン(40)オクチルフェニルエーテル(Polyoxyethylene(40) octylphenyl ether (例えば「Triton X-405」等))などが利用できる。
脂肪酸系非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好適であり、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Polyoxyethylene sorbitan mono-laurate (例えば「Tween 20」等))、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(Polyoxyethylene sorbitan mono-palmitate (例えば、「Tween 40」等))、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Polyoxyethylene sorbitan mono-stearate (例えば「Tween 60」等))、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Polyoxyethylene sorbitan monooleate (例えば「Tween 80」等))、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(Polyoxyethylene sorbitan trioleate(例えば「Tween 85」等))などが利用できる。
また、アルキルフェノール系非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが好適であり、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(Polyoxyethylene(10) octylphenyl ether(例えば「Triton X-100」等))、ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル(Polyoxyethylene(8) octylphenyl ether(例えば「Triton X-114」等))、ポリオキシエチレン(40)オクチルフェニルエーテル(Polyoxyethylene(40) octylphenyl ether (例えば「Triton X-405」等))などが利用できる。
被検試料としては、特に限定されず、動物(ヒトを含む)、植物、微生物(原虫、原生動物等も含む)等の生物を対象とすることが可能である。
特に、動物由来の被検試料からの核酸としては、血清、血漿等の血液成分からの血中遊離DNA、ウイルスDNA等のDNA、血中遊離メッセンジャーRNA、ウイルスRNA等のRNAが挙げられる。
本発明の方法はDNAの抽出に有用であり、特に癌等の各種疾患患部の傷害を受けた細胞や死滅した細胞に由来し、血清或いは血漿中を浮遊している所謂血中遊離DNA(plasma DNAもしくはcirculating DNA)の抽出に有用である。
特に、動物由来の被検試料からの核酸としては、血清、血漿等の血液成分からの血中遊離DNA、ウイルスDNA等のDNA、血中遊離メッセンジャーRNA、ウイルスRNA等のRNAが挙げられる。
本発明の方法はDNAの抽出に有用であり、特に癌等の各種疾患患部の傷害を受けた細胞や死滅した細胞に由来し、血清或いは血漿中を浮遊している所謂血中遊離DNA(plasma DNAもしくはcirculating DNA)の抽出に有用である。
一般に、細胞膜はリン脂質とたんぱく質から構成されているので、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)がこの細胞膜のリン脂質の脂質二重層の中に入り込み細胞膜を壊れやすくすると考えられ、したがって、動物、植物、微生物の別を問わず、すべての生物由来の被検試料に、本発明の方法を適用することができるものである。
また、植物細胞や酵母、カビの仲間、グラム陽性菌など細胞壁を有する生物から核酸を抽出する場合には、必要に応じて、被検試料とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)とを接触させる前に、これらの細胞壁を分解する前処理工程を設けることも可能である。
例えば、それらは、工程ごとに必要とされる緩衝液等の試薬と共に溶解し密封した液状物(溶液)の原液又は濃縮液として供給されることも可能である。
例えば、それらは、工程ごとに必要とされる緩衝液等の試薬と共に溶解し密封した液状物(溶液)の原液又は濃縮液として供給されることも可能である。
細胞壁は生物種によってその組成が異なるので、それぞれの組成に応じた細胞壁分解酵素(例えば、セルラーゼ、ザイモリアーゼ、リゾチウム等)を被検試料に接触させ、細胞壁を溶解させる。
但し、これらの生物に対して細胞壁分解酵素を作用させなくとも、本発明の核酸抽出方法を適用することができる。
但し、これらの生物に対して細胞壁分解酵素を作用させなくとも、本発明の核酸抽出方法を適用することができる。
本発明の核酸抽出方法の好適な適用例として、被検試料が微生物の1つであるクリプトスポリジウムを用いて説明する。
ここで、検出の対象となるクリプトスポリジウムとは、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属に属する微生物を指し、クリプトスポリジウムには具体的には、Cryptosporidium parvum種(以下、C.parvumと略する。)、Cryptosporidium muris種(以下、C.murisと略する。)、Cryptosporidium baileyi種(以下、C.baileyiと略する。)、Cryptosporidium serpentis種(以下、C.serpentisと略する。)、Cryptosporidium meleagridis種(以下、C.meleagridisと略する。)、Cryptosporidium felis種(以下C.ferisと略する。)等が含まれ、本発明の方法は、これらの種を種識別的に検出するための核酸抽出に用いられる。
ここで、検出の対象となるクリプトスポリジウムとは、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属に属する微生物を指し、クリプトスポリジウムには具体的には、Cryptosporidium parvum種(以下、C.parvumと略する。)、Cryptosporidium muris種(以下、C.murisと略する。)、Cryptosporidium baileyi種(以下、C.baileyiと略する。)、Cryptosporidium serpentis種(以下、C.serpentisと略する。)、Cryptosporidium meleagridis種(以下、C.meleagridisと略する。)、Cryptosporidium felis種(以下C.ferisと略する。)等が含まれ、本発明の方法は、これらの種を種識別的に検出するための核酸抽出に用いられる。
また、被検試料としては、環境もしくは生体中に存在するクリプトスポリジウム汚染が疑われる試料を用いることができ、例えば、水道原水、河川水、湖沼水、井戸水、地下水、下水、廃水、プールの水、公園の水等の環境中に存在する水試料、または、牧場土、農地土、湖沼土、河川土等の環境中に存在する土壌試料等の環境試料、ヒト、家畜、ペット等の糞便等の生体試料、飲料食品、生野菜、果物等の食品試料等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
被検試料から核酸試料の調製する工程は、被検試料からクリプトスポリジウムのオーシストを回収し、回収されたオーシストから染色体DNAを抽出することにより行われるものである。被検試料からオーシストの回収は公知の何れの方法を用いて行うことができる。
オーシストから染色体DNAの抽出は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)で処理すれば足り、従来のように、プロテアーゼ処理や精製処理等を実施する必要がない。
核酸抽出処理に、使用するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の濃度は、上記したように、0.1〜10質量%、好適には、1〜10質量%(PCR時にSDBS処理された試料を10倍希釈する場合)に調整されることが好ましい。
かかるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)での核酸抽出処理条件は、好ましくは、例えば、70〜90℃にて5〜30分であり、特に好ましくは90℃にて15〜30分間である。
核酸抽出処理に、使用するドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の濃度は、上記したように、0.1〜10質量%、好適には、1〜10質量%(PCR時にSDBS処理された試料を10倍希釈する場合)に調整されることが好ましい。
かかるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)での核酸抽出処理条件は、好ましくは、例えば、70〜90℃にて5〜30分であり、特に好ましくは90℃にて15〜30分間である。
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)は、PCR反応を阻害する物質ではあるが、PCR増幅時に非イオン界面活性剤を加えることにより、PCR増幅が可能となるため、抽出されたDNAの精製過程を経ることなく、非イオン界面活性剤を加えるだけで、続くPCR増幅反応に供することができ、従って処理時間が大幅に短縮されるとともに、抽出工程に要する時間の短縮化を図ることが可能となる。
また、通常、DNA精製の過程においては核酸の損失が生じることがあり、精製後のDNAの回収率は高くても80%程度であるが、本発明の核酸抽出方法を用いると、DNA精製によるDNAの損失を最小限に抑えることができるため、ほぼ100%のDNA抽出効率を保持することができ、検出効率の向上を達成することが可能となる。
オーシストから抽出された核酸試料は、検出感度の向上のため、増幅される。
通常、DNAの増幅はPCRにより行うことが一般的であり、PCRの方法としては、上記で得られたDNAを鋳型として、従来の公知の任意のPCR方法を採用することができる。
また、当該核酸抽出液をPCR増幅に供する際、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の終濃度を、好適には0.1〜1質量%とし、併せて非イオン界面活性剤の濃度を0.5〜5質量%とすることで、PCR増幅阻害を呈することなく、有効にPCR増幅することができる。
通常、DNAの増幅はPCRにより行うことが一般的であり、PCRの方法としては、上記で得られたDNAを鋳型として、従来の公知の任意のPCR方法を採用することができる。
また、当該核酸抽出液をPCR増幅に供する際、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の終濃度を、好適には0.1〜1質量%とし、併せて非イオン界面活性剤の濃度を0.5〜5質量%とすることで、PCR増幅阻害を呈することなく、有効にPCR増幅することができる。
本発明を以下の実施例等により説明するが、これらによって制限されるものではない。
但し、「%」は「質量%」を示す。
(1)クリプトスポリジウムオーシスト
精製済みCryptosporidium parvumオーシスト(107個/8ml)をウォーターボーン社から購入した。オーシストはPBS緩衝液中で冷蔵保存されており、製造後2ヶ月以内のオーシストを使用した。
但し、「%」は「質量%」を示す。
(1)クリプトスポリジウムオーシスト
精製済みCryptosporidium parvumオーシスト(107個/8ml)をウォーターボーン社から購入した。オーシストはPBS緩衝液中で冷蔵保存されており、製造後2ヶ月以内のオーシストを使用した。
(2)精製DNA溶液の調製
オーシスト105個を分注し、凍結(−80℃,2分)と融解(90℃,2分)を2回繰り返して行った後、さらに加熱処理(56℃,60分)とDNA精製の工程を含むDNeasy Blood & Tissue Kits(キアゲン社製)で処理し、滅菌精製水を加え,精製DNA溶液を調製した。
オーシスト105個を分注し、凍結(−80℃,2分)と融解(90℃,2分)を2回繰り返して行った後、さらに加熱処理(56℃,60分)とDNA精製の工程を含むDNeasy Blood & Tissue Kits(キアゲン社製)で処理し、滅菌精製水を加え,精製DNA溶液を調製した。
(3)界面活性剤
陰イオン界面活性剤はSDS(WAKO 199−07141),SDBS(SIGMA D2525−250G)、非イオン界面活性剤はTritonX−100(WAKO 169−21105),Tween20(WAKO 166−21115)を用いた。
陰イオン界面活性剤はSDS(WAKO 199−07141),SDBS(SIGMA D2525−250G)、非イオン界面活性剤はTritonX−100(WAKO 169−21105),Tween20(WAKO 166−21115)を用いた。
(4)PCR条件
PCRは、C. parvumのポリスレオニン遺伝子の318bp領域を増幅するプライマーcry44及びcry39を用い、リアルタイムPCR装置Light Cycler 1.5(ロシュ・ダイアグノスティックス社)により行った。反応液はLC Fast Start DNA master SYBER Green I(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を2.0μl、MgCl2(25mM)を2.4μl、プライマーペア(6μM)を各1.0μl、滅菌精製水を11.6μl、DNAテンプレートを2μl添加し調製した。反応条件は、ホットスタート95℃10分間行った後、熱変性95℃0秒、アニーリング58℃5秒、伸長反応72℃13秒で55サイクル反応させた。PCR後の反応液を回収し、1.5%アガロースゲルで電気泳動(100V,40分)を行い、指標としてSuperladder-Low 100bp Ladder marker (日本ジェエンティクス社)を同時に泳動し、エチジウムブロマイド溶液で染色後、PCR産物を確認した。
PCRは、C. parvumのポリスレオニン遺伝子の318bp領域を増幅するプライマーcry44及びcry39を用い、リアルタイムPCR装置Light Cycler 1.5(ロシュ・ダイアグノスティックス社)により行った。反応液はLC Fast Start DNA master SYBER Green I(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を2.0μl、MgCl2(25mM)を2.4μl、プライマーペア(6μM)を各1.0μl、滅菌精製水を11.6μl、DNAテンプレートを2μl添加し調製した。反応条件は、ホットスタート95℃10分間行った後、熱変性95℃0秒、アニーリング58℃5秒、伸長反応72℃13秒で55サイクル反応させた。PCR後の反応液を回収し、1.5%アガロースゲルで電気泳動(100V,40分)を行い、指標としてSuperladder-Low 100bp Ladder marker (日本ジェエンティクス社)を同時に泳動し、エチジウムブロマイド溶液で染色後、PCR産物を確認した。
(5)PCR産物の融解曲線分析
PCR産物の融解曲線分析は増幅サイクル終了後、自動的に行われる。DNAの2本鎖が1本鎖に分かれる融解温度(Tm値)は、その配列、長さ及びGC含量に依存して大きく変化するので、温度を徐々に上昇させながらサンプルの蛍光値を測定する。温度の上昇による2本鎖DNAの分離に伴ってSYBR Green Iが遊離するので、蛍光値は減少していく。融解曲線分析はアニーリング58℃、毎秒0.2℃で95℃まで加熱、の条件で行った。融解温度と融解ピーク、融解ピーク内のエリア面積の分析は、Light Cycler 1.5の解析プログラム上で行った。
PCR産物の融解曲線分析は増幅サイクル終了後、自動的に行われる。DNAの2本鎖が1本鎖に分かれる融解温度(Tm値)は、その配列、長さ及びGC含量に依存して大きく変化するので、温度を徐々に上昇させながらサンプルの蛍光値を測定する。温度の上昇による2本鎖DNAの分離に伴ってSYBR Green Iが遊離するので、蛍光値は減少していく。融解曲線分析はアニーリング58℃、毎秒0.2℃で95℃まで加熱、の条件で行った。融解温度と融解ピーク、融解ピーク内のエリア面積の分析は、Light Cycler 1.5の解析プログラム上で行った。
(6)界面活性剤によるPCR阻害と阻害抑制の評価
任意の濃度の界面活性剤溶液が入っているPCRチューブに上記精製DNA溶液を添加後、完全にシールし、混合する。混合液をPCR用のテンプレートとして用いる。
任意の濃度の界面活性剤溶液が入っているPCRチューブに上記精製DNA溶液を添加後、完全にシールし、混合する。混合液をPCR用のテンプレートとして用いる。
(7)界面活性剤処理によるDNA抽出とPCR阻害抑制の評価
任意の濃度の界面活性剤溶液が入っているPCRチューブに精製オーシストを添加後、完全にシールし、混合する。混合液を90℃のウォーターバス中で15分間加熱処理後、室温まで冷却する。加熱処理された混合液をPCR用のテンプレートとして用いる。PCR試薬調製時にPCR阻害抑制試薬として任意の濃度の非イオン界面活性剤を添加する。本実験では、PCR試薬調製時にDNA抽出液のテンプレートが10倍希釈されるので、PCR時の界面活性剤濃度とオーシスト密度はテンプレートの1/10になる。
任意の濃度の界面活性剤溶液が入っているPCRチューブに精製オーシストを添加後、完全にシールし、混合する。混合液を90℃のウォーターバス中で15分間加熱処理後、室温まで冷却する。加熱処理された混合液をPCR用のテンプレートとして用いる。PCR試薬調製時にPCR阻害抑制試薬として任意の濃度の非イオン界面活性剤を添加する。本実験では、PCR試薬調製時にDNA抽出液のテンプレートが10倍希釈されるので、PCR時の界面活性剤濃度とオーシスト密度はテンプレートの1/10になる。
(8)界面活性剤によるPCR阻害の評価
任意の濃度(終濃度0.001, 0.01, 0.1, 1%)に調製した界面活性剤溶液に上記精製DNA溶液を添加し、PCRを行った。実験に供した陰イオン界面活性剤はSDSとSDBS、非イオン界面活性剤はTritonX−100とTween20である。
任意の濃度(終濃度0.001, 0.01, 0.1, 1%)に調製した界面活性剤溶液に上記精製DNA溶液を添加し、PCRを行った。実験に供した陰イオン界面活性剤はSDSとSDBS、非イオン界面活性剤はTritonX−100とTween20である。
SDS溶液に精製DNAを添加し、リアルタイムPCRを行った時の結果を図1に示す。陽性対照として、オーシスト100個相当の精製DNA溶液をテンプレートとして用いた。図1(b)の融解ピークより、C. parvum由来PCR産物の融解温度は83℃付近であることがわかる。融解温度は50%のDNAが1本鎖になっている温度である。添加濃度0.01%ではPCR阻害がないので陽性対照とほぼ同じ融解ピークが検出され、0.1%ではPCR阻害があり検出されなかった。PCR産物は2本鎖であり、固有の特異的な融解温度を持っているので、融解温度あるいは融解ピーク面積を解析することで、目的のPCR産物が得られたかどうかを判断できる。
界面活性剤によるPCR阻害の評価結果を表1に示す。SDSとSDBSともに終濃度0.01%でPCR阻害がみられた。非イオン界面活性剤TritonX−100とTween20は終濃度1%でもPCR阻害は確認されなかった。非イオン界面活性剤は一般にSDSより穏やかな作用を示し、PCRを阻害しないといわれている。
(9)非イオン界面活性剤によるPCR阻害抑制効果
終濃度0.01%でPCR阻害が確認されたSDSとSDBSと任意の濃度(終濃度0.5,1,5%)に調製したTween20を含む界面活性剤溶液にオーシスト10個相当の精製DNA溶液を添加し、PCRを行い、PCR阻害抑制効果を評価した。
Tween20によるPCR阻害抑制効果の評価結果を表2に示す。Tween20添加濃度0.5%と1%では、SDSとSDBSともに終濃度0.01%によるPCR阻害は抑制され、Tween20添加濃度5%では、SDBS終濃度0.1%によるPCR阻害も抑制された。データ記載はないが、TritonX−100でもTween20と同じ結果が得られた。
終濃度0.01%でPCR阻害が確認されたSDSとSDBSと任意の濃度(終濃度0.5,1,5%)に調製したTween20を含む界面活性剤溶液にオーシスト10個相当の精製DNA溶液を添加し、PCRを行い、PCR阻害抑制効果を評価した。
Tween20によるPCR阻害抑制効果の評価結果を表2に示す。Tween20添加濃度0.5%と1%では、SDSとSDBSともに終濃度0.01%によるPCR阻害は抑制され、Tween20添加濃度5%では、SDBS終濃度0.1%によるPCR阻害も抑制された。データ記載はないが、TritonX−100でもTween20と同じ結果が得られた。
(10)陰イオン界面活性剤とTween20を用いたDNA検出
陰イオン界面活性剤でDNA抽出処理を行った後、Tween20添加済みのPCR試薬に抽出液を直接供し、PCR阻害抑制効果によるDNA検出法を評価した。
任意の濃度(0,0.01,0.1,1%)に調製した陰イオン界面活性剤溶液にオーシスト添加後、90℃15分加熱処理し、オーシスト10個相当を含むテンプレートを直接、任意の濃度(0,0.5,5%)のTween20を含むPCR試薬に供した。本実験では、PCR試薬調製時にDNA抽出液のテンプレートが10倍希釈されるので、PCR時の界面活性剤濃度はDNA抽出濃度の1/10である。評価結果を表3に示す。
陰イオン界面活性剤でDNA抽出処理を行った後、Tween20添加済みのPCR試薬に抽出液を直接供し、PCR阻害抑制効果によるDNA検出法を評価した。
任意の濃度(0,0.01,0.1,1%)に調製した陰イオン界面活性剤溶液にオーシスト添加後、90℃15分加熱処理し、オーシスト10個相当を含むテンプレートを直接、任意の濃度(0,0.5,5%)のTween20を含むPCR試薬に供した。本実験では、PCR試薬調製時にDNA抽出液のテンプレートが10倍希釈されるので、PCR時の界面活性剤濃度はDNA抽出濃度の1/10である。評価結果を表3に示す。
Tween20によるPCR阻害抑制効果(表2)と同じ結果が得られたことから、SDSおよびSDBS抽出濃度0.1%でオーシストからDNAが抽出されていることがわかった。Tween20によるPCR阻害抑制法を用いることで簡便にPCR阻害を持つ陰イオン界面活性剤によるDNAの抽出および検出を行うことができた。しかも、SDBSに関しては、SDSの10倍以上の濃度であっても、非イオン界面活性剤によるPCR阻害作用の抑制効果や、DNA検出などが可能となっている。
本発明の核酸抽出方法は、遺伝子工学、臨床診断、法医学等の分野における、遺伝情報の解析、遺伝子疾患・ウイルス性疾患等の診断・原因究明、また、個人識別・親子鑑定・犯罪鑑識等の各種分析(例えばサザンブロッティング法やPCR法を利用する方法等)、環境汚染等の検査に用いられる試料として用いることができ、特に血中遊離DNAを用いた、癌等の各種疾患の早期診断或いは病状のモニタリング等の遺伝子診断DNAタイピング法やDNAフィンガープリント法(例えばPCR−RELP法、PCR−SSOP法、PCR−LIPA法、PCR−SSCP法、PCR−SSP法、PCR−CFLP法、PCR−RAPD法、PCR−RDA法、RNaseプロテクション法、DGGE法、TGGE法)において有用に用いられる。
また、植物由来の被検試料から核酸を抽出すれば、品種、銘柄の特定等に適用でき、微生物を含む被検試料は、微生物による環境汚染を検査するために適用でき、バイオレメディエーションの分野においては、浄化対象である土壌中の汚染物質資化菌の存在の確認等に適用することができる。
Claims (4)
- ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを被検試料に接触させ、核酸増幅時に非イオン界面活性剤を添加する処理を行うことを特徴とする、核酸抽出方法。
- 請求項1に記載の核酸抽出方法において、該ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの濃度が0.1〜1質量%、非イオン界面活性剤の核酸増幅時の濃度が0.5〜5質量%であることを特徴とする、核酸抽出方法。
- 請求項1又は2に記載の核酸抽出方法において、核酸増幅酵素が、Taqポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、又はAacポリメラーゼのいずれかであることを特徴とする、核酸抽出方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の核酸抽出方法において、該非イオン界面活性剤が、脂肪酸系非イオン界面活性剤又はアルキルフェノール系非イオン界面活性剤のいずれかであることを特徴とする、核酸抽出方法。
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JP2007316614A JP2009136221A (ja) | 2007-12-07 | 2007-12-07 | 核酸抽出方法 |
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Cited By (2)
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JP2013255489A (ja) * | 2012-05-17 | 2013-12-26 | Takara Bio Inc | インターカレーティング色素及び界面活性剤を含むdna合成用組成物 |
JP2014097051A (ja) * | 2012-08-10 | 2014-05-29 | Tosoh Corp | 抗酸菌の溶菌試薬および当該試薬を用いた抗酸菌の検出方法 |
-
2007
- 2007-12-07 JP JP2007316614A patent/JP2009136221A/ja active Pending
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