JP2009118820A

JP2009118820A - コンパクト回転培養システム及び培養容器

Info

Publication number: JP2009118820A
Application number: JP2007298869A
Authority: JP
Inventors: Tomoyuki Kawase; 知之川瀬; Kunio Hane; 邦夫羽根
Original assignee: DEUCE KK; Niigata University NUC
Current assignee: DEUCE KK; Niigata University NUC
Priority date: 2007-11-19
Filing date: 2007-11-19
Publication date: 2009-06-04

Abstract

【課題】再生医療のさらなる普及を図るため、中小病院や診療所でも負担できるように、低コストで、省スペースかつ操作が容易な３次元高密度細胞培養用培養システムの提供。
【解決手段】キャップ１１付の試験管１０であって、該試験管の側壁には１個又は２個以上の貫通孔１３が設けられ、該貫通孔は、通気性があり、かつ、透水性のない膜１４で閉塞されていることを特徴とする試験管と、該試験管を１本又は２本以上装架することができる回転培養装置と、前記試験管及び回転培養装置を収容する気密容器と、該気密容器内のガス組成及び／又は圧力の制御装置と、前記気密容器内温度の制御装置とを含む回転培養システム。
【選択図】図１

Description

本発明は、コンパクト回転培養システム及び培養容器に関し、具体的には、再生医療に用いるヒト正常細胞を３次元高密度培養法で増殖させるためのコンパクトな回転培養システム及び培養容器に関する。

再生医療においてヒト正常細胞又は組織を移植するためには、３次元高密度細胞培養を行う必要がある。例えば、特許文献１には、多孔質ハイドロキシアパタイト・ブロック体に細胞を播種、培養し石灰化を誘導することを特徴とする培養人工骨の作成方法が説明される。
特願２００７−０５１１５３号明細書

しかし、従来の３次元高密度細胞培養用培養システムは汎用型バイオリアクタを使用するため、装置設備の設置に場所をとり、大量の培養液を消費し、操作及びメンテナンスが煩雑であり、装置及び消耗品の経費が高額になるという欠点がある。かかるバイオリアクタを使用せずに、通常のＣＯ_２インキュベータ内に攪拌器と培養用フラスコを設置したり、回転培養装置を設置することも考えられる。その場合でも、攪拌器や回転培養装置を収容可能なサイズのＣＯ_２インキュベータはＣＯ_２ボンベを含めて広い占有面積（最低でも３ｍ^２）を必要とし、導入コストも１００万円程度は必要である。これは施設及び予算の制約が厳しい中小病院や診療所にとって再生医療を導入するうえで大きな障害である。

そこで、再生医療のさらなる普及を図るため、中小病院や診療所でも負担できるように、低コストで、省スペースかつ操作が容易な３次元高密度細胞培養用培養システムを開発する必要がある。

本発明は、キャップ付の試験管であって、該試験管の側壁には１個又は２個以上の貫通孔が設けられ、該貫通孔は、通気性があり、かつ、透水性のない膜で閉塞されていることを特徴とする試験管を提供する。

本発明は、本発明の試験管を１本又は２本以上装架することができるローテータと、該ローテータを駆動するモータとを含むことを特徴とする回転培養装置を提供する。

本発明の回転培養装置は電源としての電池を含む場合がある。

本発明は、前記本発明の試験管と、前記本発明の回転培養装置と、前記試験管及び回転培養装置を収容する気密容器と、該気密容器内のガス組成及び／又は圧力の制御装置と、前記気密容器内温度の制御装置とを含む回転培養システムを提供する。

本発明の回転培養システムにおいて、前記試験管及び気密容器はプラスチックでできており、前記ガス組成及び圧力の制御装置はガス発生剤である場合がある。

以下に本発明の実施例によって、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。

図１は本発明の試験管１０の透視図である。試験管１０は、キャップ１１と、試験管本体１２とを含む。キャップ１１は試験管本体１２に固定されて試験管内部を無菌状態に保つ。キャップ１１はねじ込み式で試験管本体１２に固定される場合がある。キャップ１１は、可撓性又は弾性のある材料でできていて、試験管本体１２との摩擦係合によって試験管本体１２に固定されるプッシュオン式の場合もある。

本発明の試験管１０は、細胞培養に使用できるものであればいかなる材料でできていてもかまわないが、プラスチックでできていることが好ましい。好ましい試験管は、当業者に周知の使い捨て可能なプラスチック製品と同様に製造される。試験管１０のサイズはいかなるものでもかまわないが、汎用の１５ｍＬ又は５０ｍＬの使い捨てプラスチック製試験管と互換性のある外部寸法を有することが好ましい。試験管本体１２の内壁は、培養される細胞が接着できるように表面処理を施される場合がある。あるいは試験管本体１２の内壁は、前記細胞が接着できないような材質でできているか、細胞接着を阻害するように表面処理を施される場合がある。ヒト正常上皮又は繊維芽細胞のように基質との接着が培養下での増殖に必要であるか、あるいは、望ましい細胞を培養する際には、基質面積を確保するために、細胞が接着できるように処理が施された固体支持体を培養液に懸濁することが好ましい。

本発明の試験管１０の本体１２には、試験管内外のガス交換のために１個又は２個以上の貫通孔１４が設けられる。該貫通孔が設けられる位置は、試験管本体１２の側壁である。貫通孔１３は膜１４で閉塞される。貫通孔１３の孔径、数及び配置は、膜１４によって試験管内部へのガス交換はできるが、試験管内部の培養液の漏出が起こらず、かつ、試験管内部の無菌状態が維持されることを条件としていかなるものであってもかまわない。

本発明の試験管本体１２の貫通孔１３を閉塞する膜１４は、通気性があり、かつ、透水性のないことを条件として、いかなるものであってもかまわない。好ましい膜は、米国マサチューセッツ州ボストン市のダイバーシファイド・バイオテク（Diversified Biotech）社のカタログ番号ＢＥＭ−１のように、通気性があって、透水性がないだけでなく、膜の一方の面が無菌で、かつ、粘着性があって、貫通孔１３を覆うように封止できるものである。しかしながら、膜１４は試験管本体の外壁又は内壁に圧着又は融着される場合がある。

図２は本発明の回転培養装置２０の透視図である。本発明の回転培養装置２０は、本発明の試験管１０を１本又は２本以上、好ましくは、２〜６本装架して回転することにより、試験管１０内部の培養液を攪拌させてガス交換を促進させる。回転培養装置２０は、ローテータ２１と、電動モータ２２からローテータ２１への駆動伝達機構とを含む。該駆動伝達機構は、プーリーとワイヤ又はベルトとを用いる方式の他、歯車とチェーンとを用いる方式や、歯車の組合せによる方式など、当業者に周知のいかなる駆動伝達機構を用いてもかまわない。ローテータ２１の回転速度は特に限定されないが、４〜８ｒｐｍの速度で回転することが好ましい。ローテータ２１は図２に示すような単一の棒又は筒状の形状をとる場合の他、中空の筒か、回転軸に平行に配置された複数の棒かの形状をとる場合（図示されない）がある。ローテータが単一の棒又は筒状の形状をとる場合には、試験管１０をローテータ２１に装架する手段は、クランプ等で試験管の側面を把持する態様や、ローテータ２１の回転軸に対して放射方向に延びる部材が、試験管のキャップと試験管の底部とを保持する態様（図示されない）をとる。これらの態様では、電動モータ２２への負担を低減するために、2本又は３本以上の試験管を回転軸に対して対称に配置することが好ましい。本発明の試験管かこれと同じ重量の物体をバランス用に装架する場合もある。ローテータが、中空の筒か、回転軸に平行に配置された複数の棒かの形状をとる場合には、１本の試験管を、該試験管の長手方向の軸が回転軸に一致するように装架することができる。また、本発明の回転培養装置のローテータは、本発明の試験管に外接して該試験管を摺動させて回転させる態様をとることもある。試験管の回転培養装置２０は、さらに、電源としての電池２３を含む場合がある。電池２３を含む回転培養装置２０は密閉容器に収容できるため好ましい。電池２３は充電式の場合がある。電池２３は、回転培養装置を少なくとも１日間、好ましくは３日間連続して運転することができることが望ましい。また、回転培養装置２０は、培養液又は電池の交換のための一時的停止を挟んで、少なくとも１ヶ月、好ましくは2ヶ月ないし３ヶ月の間連続して運転することができる程度の信頼性及び耐久性があることが好ましい。

図３は本発明の回転培養システム６０の断面模式図である。本発明の回転培養システム６０は、１本又は２本以上の試験管１０を装架した回転培養装置２０が収容された気密容器３０と、気密容器３０内のガス組成及び／又は圧力の制御装置４０と、気密装置３０内の温度の制御装置５０とを含む。気密容器３０内のガス組成は、水蒸気、酸素、窒素及び／又は二酸化炭素の濃度を任意に調整し維持できるものであればいかなるものでもかまわない。ガス組成及び／又は圧力の制御装置４０は、例えば、気密容器３０の容積に対して所定のガス濃度になる量のガス発生剤の場合がある。あるいは、特定のガス組成、例えば水蒸気又は酸素を吸収するガス吸収剤の場合がある。ガス組成及び／又は圧力の制御装置４０は、図３に示すように気密容器３０の内部に収容される場合の他、気密容器３０の外部にあって、気密容器３０と連絡する圧力及び／又はガス流量の調節器と、気密容器３０内部の気圧を調整するための通気口又は圧力弁と、酸素、窒素及び／又は二酸化炭素の高圧ガスボンベとを含む場合（図示されない）がある。気密容器３０内の温度の制御装置５０は、気密容器３０全体を収容するインキュベータの場合がある。本発明のガス組成及び／又は圧力の制御装置は、本発明の温度の制御装置と一体となったＣＯ_２インキュベータとして、１個又は２個以上の気密容器３０を収容する場合がある。この場合、気密容器３０はガス交換のために貫通孔が設けられることがある。前記気密容器の貫通孔は、通気性のある膜で閉塞されることもある。

本発明の回転培養装置２０のローテータ２１の回転軸は水平方向と垂直方向との間のいずれの方向にあってもよい。試験管１０の長手方向の軸とローテータ２１の軸とは、平行の場合と、交差する場合と、同一平面には属さない場合とがある。好ましくは、本発明の試験管１０は、図２に示すように、水平な回転軸を有するローテータを含む回転培養装置に装架される。この場合には、ローテータの回転につれて試験管１０の内部の培養液は試験管本体の側壁全周に接するように移動する。本発明の試験管１０の長手方向の軸がローテータの回転軸と交差する場合又は同一平面に属さない場合には、ローテータの回転に伴って試験管１０内部の培養液は試験管の長手方向を往復するので培養液が攪拌され、ガス交換が促進される。本発明の試験管１０の貫通孔１３は、試験管本体１２の側壁に設けられる。培養液が長手方向に往復するときには、貫通孔が試験管本体の側壁に設けられる場合の方が貫通孔がキャップに設けられる場合に比べて長期培養における培養液の漏出が起こりにくい。

本発明の回転培養システム６０では、複数個の気密容器３０が単一の温度制御装置５０に収容される場合がある。この場合には、気密容器ごとに異なるガス組成及び／又は圧力を設定することが可能になる。

本発明の回転培養システム６０は、試験管１０及び気密容器３０がプラスチックでできており、回転培養装置が電源としての電池２３を含み、ガス組成及び／又は圧力の制御装置４０がガス発生剤又はガス吸収剤の場合がある。この場合には、ガスボンベや圧力調整器のような高額の設備がなくても、ヒト正常細胞の３次元高密度培養を行うことが可能になる。そこで、本発明の回転培養システムは、施設及び予算の制約が厳しい中小病院や診療所における再生医療の普及を促進するのに役立つ。

本発明の試験管の透視図。本発明の回転培養装置の透視図。本発明の回転培養システムの断面模式図。

符号の説明

１０試験管
１１キャップ
１２試験管本体
１３貫通孔
１４膜
２０回転培養装置
２１ローテータ
２２モータ
２３電池
３０気密装置
４０ガス組成及び／又は圧力の制御装置
５０温度制御装置
６０回転培養システム

Claims

キャップ付の試験管であって、該試験管の側壁には１個又は２個以上の貫通孔が設けられ、該貫通孔は、通気性があり、かつ、透水性のない膜で閉塞されていることを特徴とする試験管。
１本又は２本以上の請求項１に記載の試験管を装架することができるローテータと、該ローテータを駆動するモータとを含むことを特徴とする回転培養装置。
電源としての電池を含むことを特徴とする請求項２に記載の回転培養装置。
請求項１に記載の試験管と、請求項２又は３に記載の回転培養装置と、前記試験管及び回転培養装置を収容する気密容器と、該気密容器内のガス組成及び／又は圧力の制御装置と、前記気密容器内温度の制御装置とを含むことを特徴とする回転培養システム。
前記試験管及び気密容器はプラスチックでできており、前記ガス組成及び圧力の制御装置はガス発生剤又はガス吸収剤であることを特徴とする請求項４に記載の回転培養システム。