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JP2009047432A - 中性子発生用ターゲット装置及び中性子発生装置 - Google Patents

中性子発生用ターゲット装置及び中性子発生装置 Download PDF

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Yoshihisa Iwashita
芳久 岩下
Taku Tongu
拓 頓宮
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Kyoto University NUC
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Abstract

【課題】遮蔽のための構造を小さくすることができると共に冷中性子を効率よく発生させることができる中性子発生用ターゲット装置及び中性子発生装置を提供する。
【解決手段】 中性子発生装置のターゲット装置20を、Li(p,n)反応によって中性子を発生するリチウム薄膜28と、前記リチウム薄膜28の陽子ビーム入射面を覆うベリリウム薄膜30と、前記リチウム薄膜28の陽子ビーム入射面とは反対側の面に固定され前記リチウム薄膜28及び前記ベリリウム薄膜30に機械的強度を付与するバッキングフォイル32とから構成する。リチウム薄膜28の厚さを、入射した陽子ビームが当該リチウム薄膜28から出射するまでの間に、そのエネルギーがLi(p,n)反応の閾値以下に低下させる厚さに設定する。これにより、エネルギーの低い冷中性子を効率よく発生することができ、しかも、不要な放射線の発生を抑制できるため、遮蔽のための構造を小さくできる。
【選択図】図2

Description

本発明は、中性子を発生する技術に関し、特には、軽元素やソフトマターの分析に用いられる冷中性子を発生する中性子発生用ターゲット装置及び中性子発生装置に関する。
近年、軽元素分析やソフトマターのナノスケールでの動的状態を非侵襲で観察するプローブとして冷中性子が用いられている(特許文献1参照)。特に、X線に比べると水素や酸素等に高い感度を有していることから、X線を用いた物質分析とは異なる情報を提供できるものとして注目されている。しかし、X線等の放射光に比べると冷中性子ビームはその強度が桁違いに低いこと、及び、現在、日本で中性子の利用可能な施設が日本原子力研究所東海研究所内の研究炉のみであることから冷中性子を用いた分析手法は放射光など、光子を用いた分析ほど普及していない。
前者の課題は近年の中性子光学の発展によって中性子ビームの利用効率が向上したことにより改善されてきている。一方、後者の課題に対しては、J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)の建設が進められているが、大型施設だけ有って、強度の改善も有るものの、小回りに欠け、人材育成などに課題が残る。このため、手軽に利用可能な施設の新たな建設が望まれるが、中性子発生源の遮蔽の問題から施設の小形化は難しく、また、原子炉のような大型設備は莫大な建設費用が必要である上、立地上の規制が大きい。
特開2007-71799号公報
本発明が解決しようとする課題は、遮蔽のための構造を小さくすることができると共に冷中性子を効率よく発生させることができる中性子発生用ターゲット装置及び中性子発生装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明の中性子発生用ターゲット装置は、
a) 陽子ビームが入射することにより起きるLi(p,n)反応によって中性子を発生する所定厚さのリチウム薄膜と、
b) 前記リチウム薄膜の陽子ビーム入射面を覆うベリリウム薄膜と、
c) 前記リチウム薄膜の陽子ビーム入射面とは反対側の面に固定され前記リチウム薄膜及びベリリウム薄膜に機械的強度を付与する補強シートと、
を備え、
前記リチウム薄膜を、入射した陽子ビームが当該リチウム薄膜から出射するまでの間にそのエネルギーをLi(p,n)反応の閾値以下に低下させる厚さに設定したことを特徴とする。
本発明の別の態様の中性子発生用ターゲット装置は、
a) 円錐状の凹部を有する放熱部材と、
b) 前記凹部の内周面に沿って設けられ陽子ビームが入射することにより起きるLi(p,n)反応によって中性子を発生する所定厚さのリチウム薄膜と、
c) 前記凹部を塞ぐベリリウム薄膜と、
を備え、
前記リチウム薄膜を、入射した陽子ビームが当該リチウム薄膜から出射するまでの間にそのエネルギーをLi(p,n)反応の閾値以下に低下させる厚さに設定したことを特徴とする。
また、本発明の中性子発生装置は、上述の中性子発生用ターゲット装置を用いて構成したことを特徴とする。
従来は、陽子ビームをターゲット物質であるリチウムに照射することにより中性子を発生させ、この中性子を減速材で減速させることにより冷中性子を得ている。これに対して、本発明の中性子発生用ターゲット装置及びそれを用いた中性子発生装置では、ターゲット物質として所定厚さのリチウム薄膜を設け、このリチウム薄膜にエネルギーの低い陽子ビームを照射することにより発生中性子の初期エネルギーを下げる。詳細には、入射陽子のエネルギーがLi(p,n)反応の閾値を僅かだけ上回るようにして、発生中性子の余剰エネルギーを極力減らす。これにより、減速材の分量を減らすことが出来る。また、エネルギーを抑えることにより、ノイズの原因となる、エックス腺や、ガンマ線などの発生を抑えることが出来、そのためのシールドも減らすことが出来る。この二つの効果により、冷中性子のフラックスを稼ぐことが出来る。
従って、冷中性子を得るための減速材や冷却水を不要、或いは少なくすることができ、その分、小形化を図ることができる。また、陽子ビームのエネルギーを低くしたことにより不要な放射線の発生を抑えることができるため、遮蔽構造の小形化を図ることができる。
陽子ビームはエネルギーをリチウム薄膜中で失うが、反応閾値を下回るともはや単なる熱源としかならない。リチウムの膜厚を薄くすることにより、閾値以下になった陽子ビームはリチウムの外へ逃げるため、融点の低いリチウムの熱負荷にならず、長寿命化が期待できる。また、リチウム薄膜の陽子ビーム入射面をベリリウム薄膜で覆ったため、リチウム薄膜が過熱されて融解した場合でもリチウムの蒸散、飛散等を防ぐことができる。従って、陽子ビームをターゲットに長時間照射しても安定的にLi(p,n)反応を起こさせて中性子を取り出すことができる。
本発明の別の態様の中性子発生用ターゲット装置及びそれを用いた中性子発生装置では、放熱部材にリチウム薄膜を設けたため、リチウム薄膜を効率よく冷却することができる。また、放熱部材の円錐状の凹部にリチウム薄膜を設け、リチウム薄膜の陽子ビーム入射面を円錐状とした。このため、陽子ビームを分散してリチウム薄膜に照射することができ、リチウム薄膜の温度上昇を抑えることができる。
この場合、陽子ビームの電流密度が大きい領域ほど、陽子ビームの進行方向と直交する方向に対するリチウム薄膜の陽子ビーム入射面の傾きが大きくなるように構成すると、リチウム薄膜に照射される陽子ビームの強度が均等化する。従って、リチウム薄膜が局所的に加熱されることを防止できる。
本発明は、軽元素分析や物質の状態等の分析に用いられるエネルギーの低い冷中性子を取り出すために用いられる中性子発生用ターゲット装置及びそれを用いた中性子発生装置である。本発明の主な特徴は、ターゲット物質であるリチウム薄膜通過後のエネルギーがLi(p,n)反応の閾値以下となるような低エネルギーの陽子ビームを用いた点、リチウム薄膜を用いたことによる寿命の低下を抑えた点にある。以下、本発明の具体的な実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る中性子発生装置10の概略構成図である。この中性子発生装置10は、陽子ビームを加速する加速器12と、加速器12によって加速された高速陽子ビームを輸送するビーム輸送系(図示せず)と、高速陽子ビームが照射されるターゲット装置20とから構成されている。加速器12,ビーム輸送系、ターゲット装置20はいずれも真空下に置かれている。
加速器12は、イオン源14、高周波四重極線型加速器16(RFQ:Radio Frequency Quardrupole)、後段加速器18(PAcc:Post Accelerator)からなる線形加速器である。ターゲット装置20には、Li(p,n)反応の閾値(約2.0MeV)よりやや大きいエネルギーの陽子ビームが照射される。
図2に示すように、ターゲット装置20は陽子ビームの入射口22及び中性子の取出口24を有する遮蔽容器26内に配置されており、リチウム薄膜28、このリチウム薄膜28の陽子ビーム入射面を覆うベリリウム薄膜30、前記リチウム薄膜28の陽子ビーム入射面とは反対側の面に固定されたバッキングフォイル32から構成されている。前記バッキングフォイル32はベリリウムなどの低原子番号元素から構成されている。このように本実施例のターゲット装置20はベリリウム薄膜30とバッキングフォイル32でターゲット物質であるリチウム薄膜28を挟み込んだ三層構造をなしている。バッキングフォイル32は、リチウム薄膜28、ベリリウム薄膜30に機械的強度を付与するために設けられている。
ここで、ターゲット装置20について説明する。
ターゲット装置20に陽子ビームを照射するとLi(p,n)反応が起き、中性子が発生する。このとき、陽子ビームのエネルギーをできるだけ低く抑えれば、エネルギーが低い冷中性子が発生する。また、α線やγ線などの不要な放射線の発生も抑えることができる。このため、遮蔽容器26を含む中性子発生装置10全体の小形化を図ることができる。ただし、リチウム薄膜28に対する陽子ビームの入射エネルギーが閾値(約2.0MeV)を下回る場合は中性子が発生しない。
一方、陽子ビームはリチウム薄膜28内を通過する際にエネルギーが低下する。図3は、陽子エネルギーとリチウム中のエネルギー損失との関係を示している。図3に示すように、陽子ビームのエネルギーが低いほどエネルギー損失は大きくなり、例えばLi(p,n)反応の閾値(約2.0MeV)よりもやや大きいエネルギー(図3において矩形枠で囲んだ領域のエネルギー)の場合には陽子ビームがリチウム中を70μm程度通過するだけでLi(p,n)反応の閾値を下回り、これ以降は中性子発生に寄与しない。
従って、リチウム薄膜28に入射した陽子ビームによって効率よく冷中性子を発生させるためには、リチウム中のエネルギー損失を考慮して陽子ビームの入射エネルギー及びリチウム薄膜28の厚さ寸法を設定する必要がある。
また、陽子ビームが入射したリチウム薄膜28は、そのエネルギーによって発熱する。リチウムは化学的活性が高く、しかも融点が454K程度(約181℃)と低いため、陽子ビームのエネルギーによって発熱すると溶融して飛散するおそれがある。リチウムが飛散してリチウム薄膜28が非常に薄くなると安定してLi(p,n)反応を起こさせることができなくなるため、運転を停止し、真空を破ってターゲット装置20を交換しなければならない。
そこで、本実施例では、リチウム薄膜28の陽子ビーム入射面をベリリウム薄膜30で覆い、溶融したリチウムが飛散することを防止している。但し、ベリリウム中のエネルギー損失を考慮すると、前記ベリリウム薄膜30はできるだけ薄くすることが好ましい。
なお、Li(p,n)反応では、リチウム7(7Li)に陽子(p)が衝突することによってリチウム7(7Li)がベリリウム7(7Be)に変換される過程で中性子(n)が発生する(7Li+p→7Be+n)。ベリリウム7の半減期は約2ヶ月であり、β崩壊によりリチウム7に戻る。つまり、Li(p,n)反応によってできたベリリウム7はリチウム7に戻ることによって再びLi(p,n)反応に利用される。
このように、前記ベリリウム薄膜30はリチウムだけでなくベリリウム7の飛散も防止するため、ターゲットとしての高寿命化を図ることが出来、かつ、周囲の汚染を防ぐことが出来る。
また、前記ターゲット装置20は陽子ビームの進行方向(図1に矢印Bで示す方向)と直交する方向に対して傾いた状態で配置されている。このような構成により、リチウム薄膜28に対する陽子ビームの照射面積が増加する。このため、リチウム薄膜28における陽子ビームの電流密度を小さくすることができ、リチウム薄膜28のの温度上昇を抑えることができる。更に、ターゲット装置20を傾けることにより陽子ビームがリチウム薄膜28中を進む距離を長くできるため、リチウム薄膜28の厚さを一層小さくすることができる。
発明者が検討したところによると、リチウム薄膜28の厚さを70μmに設定した場合には、ベリリウム薄膜30の厚さを25μmに設定し、約3MeVのエネルギーを有する陽子ビームをターゲット装置20に照射することにより、ベリリウム薄膜30通過後の陽子ビーム、つまりリチウム薄膜28に対する陽子ビームの入射エネルギーが2.5MeVとなり、ターゲット装置20通過後の陽子ビームのエネルギーが閾値以下(〜1.5MeV)に低下する。従って、冷中性子を効率よく発生させることができ、しかも、不要な放射線の発生を無くすことができる。
図4は本発明の第2の実施例に係る中性子発生装置のターゲット装置40を示している。このターゲット装置40は、第1の実施例と同様の遮蔽容器内に配置されており、下部に円形のビーム入射口42を有する円柱状の放熱容器44、この放熱容器44の内面に蒸着されたリチウム薄膜46、前記ビーム入射口42を塞ぐ蓋体48を有している。
放熱容器44は、円筒状の外部容器44aと、この外部容器44aに嵌合される円錐状の内部容器44bとから構成されている。外部容器44aはポリエチレンなどの減速材から構成されている。内部容器44bは放熱性に優れた金属、例えば銅から構成されている。内部容器44bの外周面には螺旋状の冷却水路50が形成されている。また、外部容器44aには、前記冷却水路50に冷却水を導入する導入路52及び導出する導出路54が形成されている。両容器44a、44bを組み合わせたとき、導入路52及び導出路54は冷却水路50の両端と連通する。このように放熱容器44の一部を減速材から構成することにより小形化を図ることができる。
内部容器44bの内周面は円錐状部56とその下部の円筒状部58とから構成されており、円筒状部58の外周面にはフランジ60が形成されている。内部容器44bの円錐状部56にリチウム薄膜46が蒸着されている。このように、内部容器44bの内面にリチウム薄膜46を設けたことにより、リチウム薄膜46を効率よく冷却することができる。
また、上記構成により、リチウム薄膜46の陽子ビーム入射面は、陽子ビームの進行方向(図に矢印Bで示す方向)に直交する方向に対して傾いた状態となる。この陽子ビーム入射面の傾きは陽子ビームの電流密度がほぼ均一となるように設定されている。陽子ビームの入射面の形状は、陽子ビームの電流密度分布が正規分布、釣り鐘型分布等であると仮定することにより求めることができる。
例えば陽子ビームの電流密度分布を正規分布と仮定すると、電流の密度分布iは次の式(1)で表される。
Figure 2009047432
(ただし、Iは全電流、σは分散、rは陽子ビームの中心軸からビーム入射面までの距離を示す。)
このとき、リチウム薄膜46の陽子ビーム入射面における電流密度を一定にするためには、下記の式(2)に示すように、陽子ビームの進行方向と前記陽子ビーム入射面の法線方向とがなす角度θの余弦が電流密度の逆数になるようにすれば良い。
Figure 2009047432
ただし、rは円錐状部56の最外半径を示す。
一般にrを2σ程度に取れば、円錐状部56よりも外側の陽子ビームは全量の14%以下であり、電流密度も中心値の14%以下であるため、十分小さい。非常に強力な陽子ビームを扱う際にはrを3σ程度に選ぶことも出来る。
円錐状部56の形状は角度θの正接を積分をしたものになるため、陽子ビームの進行方向の座標をZとすると、座標Zは、角度θ、円錐状部56の最大深さZ、陽子ビームの中心軸からビーム入射面までの距離rを用いて次の式(3)で表すことができる。
Figure 2009047432
また、このときの電流密度及びZ/Z0とr/σとの関係を図7に示す。図7に実線で表される形状が円錐状部56の陽子ビーム入射面の形状となる。
上記構成により、リチウム薄膜46に照射される陽子ビームの強度を均等化することができ、リチウム薄膜46が局所的に加熱されることを防止できる。
前記蓋体48は、複数本のボルト64を介して放熱容器44に固定されている。蓋体48は、円形の開口部48aを有するステンレス製の外枠48b及び内枠48cと、開口部48aに張り渡され外枠48bと内枠48cの間に挟持されたベリリウム薄膜66とから構成されている。内枠48cは、外枠48bとの間にベリリウム薄膜66を挟んだ状態で外枠48bにねじ止めされている。
円筒状部58の下部にはリチウムブロック61を収容する収容部62が配置されている。図4及び図5に示すように、収容部62は例えば円筒状部58の内周面に沿って配置されており、環状の底面部62aとその内周縁及び外周縁に立設された内周壁62b及び外周壁62cから構成されている。
収容部62は熱伝導性が良く且つ高温下でリチウムと反応しない(合金化しない)材料、例えばタンタル(Ta)から形成されている。底面部62aにはシーズヒータ等のヒータエレメント63が埋め込まれている。ヒータエレメント63には真空気密電流導入端子65を介して電流が供給される。ヒータエレメント63に電流が供給されると、収容部62全体が所定の温度までほぼ均等に加熱される。この結果、リチウムブロック61が気化或いは昇華してリチウム薄膜46の表面に付着し、薄膜を形成する。
なお、図5では、収容部62に環状のリチウムブロック61が収容されている状態を示したが、多数のリチウムブロックがほぼ等間隔に配置されていても良い。また、図6に示すように収容部62内を複数の小室に区画し、各小室にそれぞれリチウムブロック61を収容するようにしても良い。更に、固体状のリチウムに代えて液体状のリチウムを収容部62に収容し、外部から液体状のリチウムを適宜補給できるように構成しても良い。
上記ターゲット装置40においては、ビーム入射口42から放熱容器44内に入射した陽子ビームは、ベリリウム薄膜66を通過した後、リチウム薄膜46に入射して中性子を発生させる。従って、リチウム薄膜46の厚さを70μm、ベリリウム薄膜66の厚さを25μmとし、陽子ビームの入射エネルギーを3MeVとすることにより、第1の実施例のターゲット装置20と同様の作用、効果が得られる。
なお、本実施例のターゲット装置40ではベリリウム薄膜66とリチウム薄膜46とが離間しているため、リチウム薄膜46から飛散したリチウムは放熱容器44内の空間を浮遊するが、放熱容器44から漏れることはない。このように飛散したリチウムを放熱容器44内を閉じこめておくことにより、リチウム薄膜46にリチウムを再び付着させることも可能になる。
リチウム薄膜46は複雑な形状をしているため、リチウムは一様に再生されるとは限らない。リチウム薄膜46の厚さが所定の厚さよりも大きい部分では、2MeV以下に減速された無用なビームが熱伝導性の悪いリチウム中で発熱し温度上昇するため、昇華等によりリチウム薄膜46の厚さが早期減少することが予期される。このような現象はリチウム薄膜46の厚さが所定の厚さになるまで起こり、その後は温度上昇が低減するため急速な昇華は軽減される。従って、リチウム薄膜46の厚さが所定値の例えば半分になるまで運転可能となる。そして、中性子の発生量が減ってきた段階でリチウム薄膜46の再生操作を繰り返すことになる。
なお、第2の実施例では、外部容器及び内部容器から放熱容器を構成したが、一つの容器から放熱容器を構成しても良い。
冷却水を流通させなくてもリチウム薄膜を充分に冷却できる場合には、冷却水路を省略することができる。内部容器及び外部容器の両方を放熱性に優れた金属から構成し、減速材を別に設けても良い。
更に、上記説明した実施例は本発明の一例に過ぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を加えることが可能である。
本発明の第1の実施例に係る中性子発生装置の概略的構成を示す図 ターゲット装置の構成を示す縦断側面図 陽子エネルギーとリチウム中のエネルギー損失との関係を示す図 本発明の第2の実施例に係るターゲット装置の構成を示す縦断正面図 リチウムブロックが収容された収容部の一例を示す平面図 リチウムブロックが収容された収容部の他の例を示す平面図 電流密度及びZ/Z0とr/σとの関係を示す図
符号の説明
10…中性子発生装置
12…加速器
20,40…ターゲット装置
26…遮蔽容器
28,46…リチウム薄膜
30,66…ベリリウム薄膜
32…バッキングフォイル
42…ビーム入射口
44…放熱容器
44a…外部容器
44b…内部容器
48…蓋体
61…リチウムブロック
62…収容部
62a…底面
62b…内周壁
62c…外周壁
63…ヒータエレメント

Claims (8)

  1. a) 陽子ビームが入射することにより起きるLi(p,n)反応によって中性子を発生する所定厚さのリチウム薄膜と、
    b) 前記リチウム薄膜の陽子ビーム入射面を覆うベリリウム薄膜と、
    c) 前記リチウム薄膜の陽子ビーム入射面とは反対側の面に固定され前記リチウム薄膜及びベリリウム薄膜に機械的強度を付与する補強シートと、
    を備える中性子発生用ターゲット装置において、
    前記リチウム薄膜は、入射した陽子ビームが当該リチウム薄膜から出射するまでの間にそのエネルギーをLi(p,n)反応の閾値以下に低下させる厚さに設定されていることを特徴とする中性子発生用ターゲット装置。
  2. a) 円錐状の凹部を有する放熱部材と、
    b) 前記凹部の内周面に沿って設けられ陽子ビームが入射することにより起きるLi(p,n)反応によって中性子を発生する所定厚さのリチウム薄膜と、
    c) 前記凹部を塞ぐベリリウム薄膜と、
    を備える中性子発生用ターゲット装置において、
    前記リチウム薄膜は、入射した陽子ビームが当該リチウム薄膜から出射するまでの間にそのエネルギーをLi(p,n)反応の閾値以下に低下させる厚さに設定されていることを特徴とする中性子発生用ターゲット装置。
  3. 前記凹部に固体状或いは液体状のリチウムが環状配置されていることを特徴とする請求項2に記載の中性子発生用ターゲット装置。
  4. 放熱部材には冷却媒体が流通する冷却通路が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の中性子発生用ターゲット装置。
  5. リチウム薄膜の陽子ビーム入射面の法線方向と陽子ビームの入射方向とがなす角度が、前記陽子ビームの電流密度が大きい領域ほど大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の中性子発生用ターゲット装置。
  6. 陽子ビームの電流密度の分布を正規分布と仮定して、リチウム薄膜の陽子ビーム入射面の法線方向と陽子ビームの入射方向とがなす角度θは次の式
    Figure 2009047432
    (ただし、σは分散、r1は凹部の最外半径、rは陽子ビームの中心からの距離を示す。)
    から求められることを特徴とする請求項5に記載の中性子発生用ターゲット装置。
  7. 厚さが70μmのリチウム薄膜に入射するときの陽子ビームのエネルギーが2.5±0.5MeVになるように前記陽子ビームのエネルギー及びベリリウム薄膜の厚さが設定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の中性子発生用ターゲット装置。
  8. 加速器と、
    前記加速器によって加速された陽子ビームが照射される請求項1から7のいずれかに記載された中性子発生用ターゲット装置と、
    を備えることを特徴とする中性子発生装置。
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