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JP2009040871A - 全芳香族ポリアミド溶液および全芳香族ポリアミド溶液、全芳香族ポリアミド粉体の製造方法、ならびにn−置換全芳香族ポリアミド、n−置換全芳香族ポリアミド粉体の製造方法 - Google Patents

全芳香族ポリアミド溶液および全芳香族ポリアミド溶液、全芳香族ポリアミド粉体の製造方法、ならびにn−置換全芳香族ポリアミド、n−置換全芳香族ポリアミド粉体の製造方法 Download PDF

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JP2009040871A
JP2009040871A JP2007206974A JP2007206974A JP2009040871A JP 2009040871 A JP2009040871 A JP 2009040871A JP 2007206974 A JP2007206974 A JP 2007206974A JP 2007206974 A JP2007206974 A JP 2007206974A JP 2009040871 A JP2009040871 A JP 2009040871A
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aromatic polyamide
wholly aromatic
fluoride
solution
group
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Pending
Application number
JP2007206974A
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English (en)
Inventor
Shu Cho
習 趙
Shu Maeda
周 前田
Kazuhiko Kosuge
一彦 小菅
Isao Ikeda
功夫 池田
Shinji Sugihara
伸治 杉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Du Pont Toray Co Ltd
University of Fukui NUC
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
University of Fukui NUC
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Publication date
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Abstract

【課題】全芳香族ポリアミド溶液および全芳香族ポリアミド溶液、全芳香族ポリアミド粉体の製造方法、ならびにN−置換全芳香族ポリアミド、その粉体の製造方法を提供する。
【解決手段】全芳香族ポリアミドを、一般式 N(R)(R)・F(Rは直鎖もしくは分岐を有するC1−18アルキル基、フェニル基またはベンジル基、RはC1−4アルキル基)で表わされる第4級アンモニウム塩と非プロトン性の極性有機溶媒との組合せからなる溶媒に混合した後、加熱・溶解させて全芳香族ポリアミド溶液を製造する。この溶液中で水素化ナトリウムの存在下に、一般式 X-(R)-Y(RはC1−21の直鎖もしくは分枝アルキレン基、Xは塩素または臭素から選ばれたハロゲン基、Yは-CH,-CH=CH,-フェニル基,-C1−9のアルキルアリール基(アラルキル基)より選ばれた基)で表わされるハロゲン化合物と反応させてN−置換全芳香族ポリアミドを製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、全芳香族ポリアミド溶液および全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、全芳香族ポリアミド粉体の製造方法、ならびにN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法、N−置換全芳香族ポリアミド粉体の製造方法に関する。
全芳香族ポリアミドは、芳香族構造を含むポリアミドという意味でアラミドとも呼ばれており、パラ型アラミドとメタ型アラミドとがある。これらのポリマーからなる繊維、フィルムならびにそれを用いた各種製品が知られている。パラ型アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ(THECHNORA)」(登録商標))などがあり、メタ系アラミド繊維としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(米国デュポン社製商品名「NOMEX」(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製商品名「コーネックス(CONEX)」(登録商標))などがある。
全芳香族ポリアミドの中でも、パラ型アラミドは溶融分解点が高く、一般的な溶媒に不溶であることは周知であり、硫酸の溶液中で液晶紡糸して繊維にしている。硫酸を用いた溶解は作業危険性が伴うことがある。また、リサイクルの観点からも、一般的な繊維のようには有機溶媒に溶解せず、また熱溶融もしないことから、防弾チョッキや作業手袋などの使用済み製品をリサイクルする方法は、いまだ工業的に適用可能な技術が見出されていないのが現状である。
全芳香族ポリアミドを溶解する溶媒に関する先行技術文献として、特許文献1が挙げられる。この文献には、パラ型アラミド(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)を、水素化ナトリウムもしくはカリウムt−ブトキサイド、液状スルホキサイドおよびC1−8の脂肪族アルコールの混合物を用いて溶解することにより、濃度約2.1〜2.7重量%の深赤色のポリマー溶液が得られることが開示されている。水素化ナトリウムが無水条件下にジメチルスルホキサイドと反応し水素を発生していわゆる“ジムシル”アニオンを与えることは文献でよく知られている。この特許文献1では、アルコールがポリマーの可溶化を増進し、溶液粘度を低減し溶液の高濃度化を達成するのは、アルコールがカチオンを溶媒和させる機能があるからだと推察している。しかし、反応しながらアラミドを溶解させるため、反応所要時間が長いという課題がある。
また、全芳香族ポリアミドを化学修飾することもよく知られている。例えば、パラ型アラミド繊維をカリウムt−ブトキサイド/ジメチルスルホキサイド系でベンジル化、アリル化などのアルキル化反応した場合、反応当初は繊維が溶媒に分散しているが、反応の進行と共に繊維が溶解し均一になることが知られている(非特許文献1〜3参照)。しかし、この反応は不均一系の反応であるため、全芳香族ポリアミドを均一に溶解する溶媒があれば、均一系での全芳香族ポリアミドの化学修飾が可能になると予想される。
全芳香族ポリアミドの化学修飾に関しては多数の先行技術文献があるが、例えば特許文献2には、メタ型アラミドをジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、カリウムt−ブトキサイドを加えて室温で一夜撹拌して緑黄色の溶液とした後、この溶液に臭化アリルを加え75℃で反応させることによりアリル化する方法が開示されている。しかし、この反応も不均一系の反応であり、反応しながらアラミドを溶解させるため、反応所要時間が長いという課題がある。
さらに、特許文献3〜4には、ポリパラフェニレンテレフタルアミドのアミド結合の一部をN−アルキル置換(特許文献3)、あるいは、N−ベンジル置換(特許文献4)した、N−置換全芳香族ポリアミドが開示されている。これらの文献では、ジメチルスルホキサイド中に水素化ナトリウムを添加し、加熱して完全に溶解した後、室温まで冷却してポリパラフェニレンテレフタルアミドの粉末を添加、撹拌し、次いでベンジルクロライドあるいはラウリルブロマイドを添加して反応させている。
特許第2605117号公報 特許第2791362号公報 特公昭63−51175号公報 特公昭61−52851号公報 B. Espenschied, R. C. Schulz, Makromol. Chem., Rapid Commun., 4, 633 (1983). "N-Alkylated Polyamides. A New Type of Comb-like Polymers" K. Suzuki, I. Ikeda, I Yamamoto, and M. Okubo, Polym. Eng. Sci., 36, 1410 (1996)."Homogeneous Alkylation of Poly (m-Phenylene Isophthalamide)" S. Russo, E.. Bianchi, and A. Congiu, Macromolecules, 33, 4390 (2000)."A Study on the N-Allylation Reaction of Aromatic Polyamides. 1. Poly (p-phenylene terephthalamide)"
上述したような理由から、特に一般的な溶媒に不溶である全芳香族ポリアミドを均一に溶解させる溶媒が求められている。しかしながら、従来から知られている溶媒は、ジメチルスルホキサイド等の極性溶媒と塩基を併用したものであるため、アミド結合がN−アルカリ金属化されてしまうという問題点があった。さらに、全芳香族ポリアミドを溶媒に溶解させるためには長時間を要した。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、一般的な溶媒に不溶である全芳香族ポリアミドの均一溶液および全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、全芳香族ポリアミド粉体の製造方法、ならびにN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法、N−置換全芳香族ポリアミド粉体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した。その結果、テトラブチルアンモニウムフルオライドなどの第4級アンモニウム塩とジメチルスルホキサイドなどの非プロトン性の極性有機溶媒との混合溶液に、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等の全芳香族ポリアミドを添加し、加熱することにより、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等の全芳香族ポリアミドが短時間に溶解することを見出した。また、かかる溶液を用いてポリパラフェニレンテレフタルアミド等の全芳香族ポリアミドをハロゲン化合物と反応させることにより、N−置換アラミドが得られることを見出した。そして、かかる溶液は、実用上は硫酸溶液にしか溶解しないポリパラフェニレンテレフタルアミドを溶解させた新規なものであり、またそれにより各種誘導体の合成が可能になるとの知見を得て、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)一般式 N(R)(R・F
(Rは直鎖もしくは分岐を有するC1−18アルキル基、フェニル基またはベンジル基を示し、RはC1−4アルキル基を示す。)
で表わされる第4級アンモニウム塩と非プロトン性の極性有機溶媒との組合せからなる溶媒に、全芳香族ポリアミドが溶解してなることを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液。
(2)第4級アンモニウム塩が、テトラメチルアンモニウムフルオライド、テトラエチルアンモニウムフルオライド、テトラプロピルアンモニウムフルオライド、テトラブチルアンモニウムフルオライド、メチルトリエチルアンモニウムフルオライド、メチルトリブチルアンモニウムフルオライド、ジメチルジエチルアンモニウムフルオライド、ドデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリエチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリプロピルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリブチルアンモニウムフルオライド、フェニルトリメチルアンモニウムフルオライド、フェニルトリエチルアンモニウムフルオライド、フェニルトリプロピルアンモニウムフルオライド、フェニルトリブチルアンモニウムフルオライドから選ばれる少なくとも1種である、前記(1)に記載の全芳香族ポリアミド溶液。
(3)非プロトン性の極性有機溶媒が、ジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミドから選ばれる少なくとも1種である、前記(1)または(2)に記載の全芳香族ポリアミド溶液。
(4)溶媒中の第4級アンモニウム塩の割合が、質量比で、1%以上30%以下である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液。
(5)全芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドまたはコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドのいずれか1種以上から選ばれる全芳香族ポリアミドである、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液から、固形分を乾燥させて得た後、この固形分を粉砕することを特徴とする全芳香族ポリアミド粉体の製造方法。
(7)全芳香族ポリアミド溶液中の全芳香族ポリアミドが、全芳香族ポリアミドからなる繊維もしくはフィルム、全芳香族ポリアミド繊維からなる織物、編物、組紐、不織布、フェルトもしくは紙、これらの素材もしくは製品と他材料との複合品、またはこれらの素材、製品もしくは複合品の解砕品から選ばれる少なくとも1種を溶解させたものである、前記(6)に記載の全芳香族ポリアミド粉体の製造方法。
(8)全芳香族ポリアミドを、一般式 N(R)(R・F
(Rは直鎖もしくは分岐を有するC1−18アルキル基、フェニル基またはベンジル基を示し、RはC1−4アルキル基を示す。)
で表わされる第4級アンモニウム塩と非プロトン性の極性有機溶媒との組合せからなる溶媒に混合した後、加熱して溶解させることを特徴とする、全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
(9)加熱温度が50〜180℃の範囲である、前記(8)に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
(10)全芳香族ポリアミド溶液中の全芳香族ポリアミドが、全芳香族ポリアミドからなる繊維もしくはフィルム、全芳香族ポリアミド繊維からなる織物、編物、組紐、不織布、フェルトもしくは紙、これらの素材もしくは製品と他材料との複合品、またはこれらの素材、製品もしくは複合品の解砕品から選ばれる少なくとも1種を溶解させたものである、前記(8)または(9)に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
(11)全芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドまたはコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドのいずれか1種以上から選ばれる全芳香族ポリアミドである、前記(8)〜(10)のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
(12)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液中で、
一般式 X−(R)−Y
(Xは塩素または臭素から選ばれたハロゲン基を示す、RはC1−21の直鎖もしくは分枝アルキレン基を示し、Yは−CH,−CH=CH,−フェニル基,−C1−9のアルキルアリール基より選ばれた基を示す。)
で表わされる化合物と反応させることを特徴とするN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
(13)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液中で、カリウムまたはナトリウムの水素化物またはアルコキサイド、または3級アミンから選ばれる塩基の存在下に、一般式 X−(R)−Y(Xは塩素または臭素から選ばれたハロゲン基を示す、RはC1−21の直鎖もしくは分枝アルキレン基を示し、Yは−CH,−CH=CH,−フェニル基,−C1−9のアルキルアリール基より選ばれた基を示す。)
で表わされる化合物と反応させることを特徴とするN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
(14)塩基が、水素化ナトリウム、水素化カリウムまたはカリウムターシャリーブトキサイドである、前記(13)に記載のN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
(15)3級アミンが、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンから選ばれる1種類以上である、前記(13)または(14)記載のN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
(16)全芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドまたはコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドのいずれか1種以上から選ばれる全芳香族ポリアミドである、前記(12)〜(15)のいずれかに記載のN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
(17)前記(8)〜(16)のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液またはN−置換全芳香族ポリアミド溶液から、固形分を乾燥させて得た後、この固形分を粉砕することを特徴とする全芳香族ポリアミド粉体またはN−置換全芳香族ポリアミド粉体の製造方法。
本発明によると、アミド結合がN−アルキル金属化されることがなく、一般的な有機溶媒に不溶であったパラ型アラミド等の全芳香族ポリアミドを、短時間で均一溶解させることができるので、溶媒を除去することにより固体や粉体として全芳香族ポリアミドを容易に回収することが可能となる。また、パラ型アラミド等の全芳香族ポリアミドを溶解させた溶液を利用して、アラミド繊維やアラミドフィルムを得ることが可能となる。
さらに、全芳香族ポリアミドを溶解させた溶液を利用して、従来、不均一系で実施していた特にパラ型アラミド誘導体の合成反応を均一系で実施することができる。そのため、N−置換率の高いアラミドを製造することが可能になると共に、表面修飾効果によってゴムや樹脂などとの接着性に優れたアラミド誘導体を提供することが可能となる。
本発明に係る全芳香族ポリアミドを溶解する溶媒において、第4級アンモニウム塩は、一般式 N(R)(R・Fで表わされるものであることが特徴であり、Rは直鎖もしくは分岐を有するC1−18アルキル基、フェニル基またはベンジル基であり、RはC1−4アルキル基である。Rのアルキル基の炭素数が18を超えると、全芳香族ポリアミドの溶解能が不十分となるため、特に好ましいアルキル基はRがC1〜4の範囲である。窒素原子に結合するRおよびRは、全ての炭素数が同一でも異なっていてもよい。
第4級アンモニウム塩における対イオンはフッ素である。フッ素以外の臭素、塩素などを用いた場合は、全芳香族ポリアミドを溶解することが困難となる。
好ましい第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムフルオライド、テトラエチルアンモニウムフルオライド、テトラプロピルアンモニウムフルオライド、テトラブチルアンモニウムフルオライド、メチルトリエチルアンモニウムフルオライド、メチルトリブチルアンモニウムフルオライド、ジメチルジエチルアンモニウムフルオライド、ドデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリエチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリプロピルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリブチルアンモニウムフルオライド、フェニルトリメチルアンモニウムフルオライド、フェニルトリエチルアンモニウムフルオライド、フェニルトリプロピルアンモニウムフルオライド、フェニルトリブチルアンモニウムフルオライドなどが挙げられる。第4級アンモニウム塩は1種または2種以上を併用することができる。
非プロトン性の極性有機溶媒としては、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)などが挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種の非プロトン性の極性有機溶媒を用いる。これらの溶媒の中でも、DMSOまたはDMAcが好ましく、全芳香族ポリアミドを短時間に溶解させることができる。これらの非プロトン性の極性有機溶媒は、反応に供する前に、必要であれば精製、脱水等の前処理を施した後に用いることもでき、反応を阻害しない範囲で他の溶剤を混合することもできる。
溶媒中における第4級アンモニウム塩の割合は、質量比で、1%以上30%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以上30%以下である。1%未満では第4級アンモニウム塩または全芳香族ポリアミドの種類によっては全芳香族ポリアミドを溶解することが困難となり、30%を超えると非プロトン性の極性有機溶媒中における第4級アンモニウム塩の溶解が飽和状態になるからである。
上記の溶媒を用いて全芳香族ポリアミド(ポリマー)を溶解する場合は、第4級アンモニウム塩と極性有機溶媒との組合せの中にポリマーを曝すかまたは浸漬し、必要に応じて撹拌しながら、加熱するだけでよい。加熱温度は特に限定されないが、50〜180℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは60〜100℃の範囲である。加熱温度が低すぎるとポリマーを溶解させることができない場合があり、溶解する場合でも溶解までの必要時間が長くなる。一方加熱温度が高すぎると熱源に要するエネルギーロスが大きくなり、非効率となるばかりか、ポリマーを変質させる恐れがある。また、溶媒とポリマーの添加順序は通常、第4級アンモニウム塩を非プロトン性の極性有機溶媒に溶解させた中にポリマーを分散させて溶解させるが、非プロトン性の極性有機溶媒の中にポリマーを分散させた後、この分散液に第4級アンモニウム塩を添加することも可能である。
本発明の全芳香族ポリアミド溶液は、全芳香族ポリアミドとして、ポリフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドまたは、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドを溶解させたものであり、溶媒に溶解させることができる形態としては、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリアミドフィルム、全芳香族ポリアミド繊維を用いて製品化した織物、編物、組紐、不織布、フェルト、紙、およびこれらの素材もしくは製品を解砕した解砕繊維などが挙げられる。さらに、全芳香族ポリアミド繊維、フィルムもしくは前記製品を、ゴムや樹脂などの材料と複合化した複合品、および複合品を解砕して得た解砕繊維なども挙げられる。
また、上記の方法で製造した全芳香族ポリアミド溶液中の固形分を得た後、乾燥させ、この固形分を粉砕することにより全芳香族ポリアミド粉体を得ることもできる。固形分を得る方法としては例えば、溶媒を蒸発させた後、水洗により第4級アンモニウム塩を取り除く方法や、水やメタノールの溶液を注いで固形分を析出させた後に乾燥させる方法などがある。
得られた固形分を粉砕する方法は、特に限定されない。粉体を製造する際には粉砕機器であるボールミル、振動ミル、ジェットミル、ターボミル、アトマイザーミル、インパクトミル等を使用することができ、複数の異なる粉砕機器を組み合わせて使用してもよい。
本発明の第4級アンモニウム塩と非プロトン性の極性有機溶媒との組合せからなる溶媒が全芳香族ポリアミドを溶解する理由は明らかではないが、フッ素の存在で全芳香族ポリアミド主鎖間の水素結合部分が切断されることにより、溶解するのではないかと推察される。
次に、本発明の全芳香族ポリアミド溶液を用いて、N−置換芳香族ポリアミドを製造する方法を説明する。例として、ケブラー(パラ型アラミド)を用いてアルキル化するスキームを以下に示す。

本発明のN−置換芳香族ポリアミドの製造方法は、本発明の全芳香族ポリアミド溶液を使用して行うものである。例えば、溶媒中にて、一般式 X−(R)−Y(Xは塩素または臭素から選ばれたハロゲン基を示し、RはC1−21の直鎖もしくは分枝アルキレン基を示し、Yは−CH,−CH=CH,−フェニル基,−C1−9のアルキルアリール基より選ばれた基を示す。)で表わされる化合物と反応させればよい。水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウムターシャリーブトキサイド、3級アミン等の塩基を存在させて反応させるとさらに転化率が高くなり好ましい。
好ましい塩基としては、カリウムまたはナトリウムの水素化物またはアルコキサイド、または3級アミンから選ばれるものが挙げられるが、反応性の高さを考慮すると水素化ナトリウム、水素化カリウムまたはカリウムターシャリーブトキサイドが好ましく、特に水素化ナトリウムまたはカリウムターシャリーブトキシドが好ましい。3級アミンを使用する場合は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等のトリアルキルアミンや、ジアザビシクロウンデセン、ピリジンが好ましい。
添加する水素化ナトリウム等の塩基の量は、反応系に投入される全芳香族ポリアミドの量、および導入すべき置換基の量とから、任意に設定されてよい。
置換基を導入するための一般式 X−(R)−Y で示される化合物は、Xは塩素または臭素から選ばれたハロゲン基であり、RはC1−21の直鎖もしくは分枝アルキレン基を示し、Yは−CH,−CH=CH,−フェニル基,−C1−9のアルキルアリール基(アラルキル基)より選ばれた基である。ハロゲン基としては反応性の高さの点から臭素が好ましく用いられるが、塩素を用いることも可能である。
一般式 X−(R)−Y で示される化合物の中でも、好ましい化合物としては、アリルブロマイド、ベンジルブロマイド、ブチルブロマイド、デシルブロマイド、ドデシルブロマイド、テトラデシルブロマイド、ヘキサデシルブロマイド、オクタデシルブロマイド、ドコシルブロマイド等が挙げられる。
一般式 X−(R)−Y で示される化合物の量は、反応系に投入される全芳香族ポリアミドの量、および導入すべき置換基の量とから、任意に設定されてよい。
反応の温度および時間は特に制限されない。反応系の全芳香族ポリアミドの濃度やN−置換率によって適宜決定すればよい。
反応に当たって全芳香族ポリアミドは、溶媒に添加、加熱して溶解された後、必要に応じて水素化ナトリウム等の塩基を加えて反応させてもよく、その後、一般式 X−(R)−Y で示される化合物を加えて反応される。
本発明のN−置換芳香族ポリアミドの製造方法は、反応速度が速いだけではなく、反応系での均一性も良好である。
また、上記の方法で製造したN−置換全芳香族ポリアミドの溶液中の固形分を得た後、乾燥させ、この固形分を粉砕することによりN−置換全芳香族ポリアミド粉体を得ることもできる。固形分を得る方法としては例えば、溶媒を蒸発させた後、水洗により第4級アンモニウム塩を取り除く方法や、水やメタノールの溶液を注いで固形分を析出させた後に乾燥させる方法などがある。
得られた固形分を粉砕する方法は、特に限定されない。粉体を製造する際には粉砕機器であるボールミル、振動ミル、ジェットミル、ターボミル、アトマイザーミル、インパクトミル等を使用することができ、複数の異なる粉砕機器を組み合わせて使用してもよい。
本発明の方法で製造されるN−置換全芳香族ポリアミドや、その粉体は、表面が修飾されていることによって、ゴムや樹脂などに対する接着性が良好になり、各種材料に対する親和性が向上すると考えられる。それらの性質を利用することにより、全芳香族ポリアミドが用いられていた従来知られている用途(例えば、補強材、耐切創材)に好適に利用できるほか、新規機能材料の開発にも利用することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、諸測定は以下の方法で実施した。
[元素分析]
「ヤナコ分析鉱業社製ヤナコCN CORDER MT−700型」を用い、試料40mgを測定した。
[赤外吸収スペクトル(IR)測定]
「フーリエ変換赤外分光光度計 日本分光FT−IR−620」を用い、KBr錠剤法でKBr0.2gに対し試料2mgを混合し、加圧錠剤形成して測定した。
[示差走査熱量(DSC)分析]
「パーキンエルマー社製 DSC7」を用い、試料3mgをサンプルパンに入れ、窒素雰囲気中40℃〜300℃を昇温速度10℃/minで測定した。
(実施例1)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)50gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、9%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加し、80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例2)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)82.5gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、15%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加し、80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例3)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ(THECHNORA)」(登録商標))0.1gを用いた他は、実施例1と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例4)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ(THECHNORA)」(登録商標))0.1gを用いた他は、実施例2と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例5)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)27.5gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、5%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(米国デュポン社製商品名「NOMEX」(登録商標)を0.1g添加し、80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例6)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(米国デュポン社製商品名「NOMEX」(登録商標)0.1gを用いた他は、実施例1と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例7)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(米国デュポン社製商品名「NOMEX」(登録商標)0.1gを用いた他は、実施例2と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例8)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)33gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、6%TBAF/DMSO溶液からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加し、80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例9)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)5.5gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、1%TBAF/DMSO溶液からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.01gを添加し、80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例10)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)212gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、30%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加し、80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例11)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ(THECHNORA)」(登録商標))0.1gを用いた他は、実施例10と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例12)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(米国デュポン社製商品名「NOMEX」(登録商標)0.1gを用いた他は、実施例10と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例13)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)4.1gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、1%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(米国デュポン社製商品名「NOMEX」(登録商標)を0.1g添加し、80℃で10分間攪拌したところ、液は透明均一になりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例14)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)8.2gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、得られた2%TBAF/DMSO溶液からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(米国デュポン社製商品名「NOMEX」(登録商標)を0.1g添加し、80℃で10分攪拌したところ、液は透明均一になりポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(実施例15)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラエチルアンモニウムフルオライド(TEAF・3HO)69.0gを溶解し、得られたTEAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、11%TEAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加し、80℃で2時間攪拌したところ、液は透明均一になりポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。
(比較例1)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加し、80℃で1時間攪拌したが、繊維は溶解せず不均一のままであった。
(比較例2)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを用いた他は、実施例5と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したが、繊維は溶解せず不均一のままであった。
(比較例3)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ(THECHNORA)」(登録商標))0.1gを添加し、80℃で1時間攪拌したが、繊維は溶解せず不均一のままであった。
(比較例4)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ(THECHNORA)」(登録商標))0.1gを用いた他は、実施例5と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したが、繊維は溶解せず不均一のままであった。
(比較例5)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(米国デュポン社製商品名「NOMEX」(登録商標)0.1gを添加し、80℃で1時間攪拌したが、繊維は溶解せず不均一のままであった。
(比較例6)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムクロライド(TBAC)124gを溶解し、得られたTBAC/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、20%TBAC/DMSO溶液からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加し、80℃で1時間攪拌したが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維は溶解せず不均一のままであった。
(比較例7)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ(THECHNORA)」(登録商標))0.1gを用いた他は、比較例6と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したところ、繊維は表面のみ多少溶け、表面に白色のゼリー状のものができた。
(比較例8)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)124gを溶解し、得られたTBAB/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、20%TBAB/DMSO溶液からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加し、80℃で1時間攪拌したが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維は溶解せず不均一のままであった。
(比較例9)
添加する全芳香族ポリアミド繊維に、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ(THECHNORA)」(登録商標))0.1gを用いた他は、比較例8と同様に実験を行った。80℃で1時間攪拌したが、繊維は溶解せず不均一のままであった。
実施例1〜15および比較例1〜9の結果を表1〜表2に示す。
(実施例16)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)55gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、10%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。この溶媒100mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))を素材に使用した使用済みゴム付きケブラー手袋の一部3mgを採取して添加した。80℃で1時間攪拌したところ、ゴムの部分は溶けずに残ったが、液は透明均一になりポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が溶解したことが確認できた。ここからゴムを取り除き、溶液を水1000mlに注いだ。析出した固形分を10torrでの減圧下、60℃で4時間乾燥した。これを乳鉢と乳棒にてすりつぶし粉砕して粉体を得た。得られたポリパラフェニレンテレフタルアミドの粉体は1.8mgであった。
(実施例17)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)55gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、10%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。
この溶媒8mlに全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))を0.2g添加して、80℃で1時間攪拌して溶解させた。その後、100μlのアリルブロマイド(CH=CHCHBr)とジメチルスルホキサイド(DMSO)1.9mlを添加して、40℃で2時間反応させた。下記計算式によるアリル化の反応度は0.2であった。
<重量増加による反応度の計算式>
K=Kevlar、P=生産物、R=置換基、
a=Kevlar単位量、b=置換したKevlar単位量、(K)a=aの分子量、(K)b=bの分子量とし、
a+b=1
P/K=[(K)a+(K+R)b]/[Ka+Kb]=[119a+(118+R)b]/[119a+118b]=重量増加率
から反応度bを求めた。
(実施例18)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)55gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、10%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。
この溶媒8mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加して、80℃で1時間撹拌して溶解させた。その後、水素化ナトリウム(NaH)60mgを加えて30℃、2時間撹拌反応させた。その後、72μlのアリルブロマイド(CH=CHCHBr)と10%TBAF/DMSO溶液とを全量が2mlになるように加え、40℃、2時間撹拌反応した。
反応後、多量の水を加えて反応生成物を沈澱させ、得られた沈澱を水で2〜3回洗浄した後、反応生成物を回収して凍結乾燥後、秤量した。仕込んだ繊維の重量増加より反応度を計算したところ、アリル化の反応度は0.2であった。
(実施例19)
水素化ナトリウム(NaH)180mgを用いた他は、実施例18と同様に実験を行ったところ、アリル化の反応度は0.55であった。
(実施例20)
水素化ナトリウム(NaH)240mgを用いた他は、実施例18と同様に実験を行ったところ、アリル化の反応度は0.32であった。
実施例18〜20の結果を、表3にまとめて示す。以降、表中、文中で表記されているCONHとは、アラミド中のアミド結合1分子のことを意味する。
(実施例21)
添加するアリルブロマイド(CH=CHCHBr)108μlを用い、30℃、2時間撹拌反応した他は、実施例19と同様に実験を行った。
(実施例22)
添加するアリルブロマイド(CH=CHCHBr)144μlを用い、30℃、2時間撹拌反応した他は、実施例19と同様に実験を行った。
実施例21,22の結果を、表4にまとめて示す。
実施例19,21,22で得られた生成物をそれぞれsampleA,B,Cとし、その赤外吸収スペクトルを測定した結果を図1〜3に示す。これらのスペクトルより、800〜1000cm−1付近にアリルのピークがみられた。
(実施例23)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)55gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、10%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加して、80℃で1時間撹拌して溶解させた。その後、水素化ナトリウム(NaH)180mgを加えて30℃、2時間撹拌反応させた。その後、1−ブロモブタン(C49Br)をCBr/CONH=2.0の割合で加え、40℃、2時間撹拌反応した。反応後、多量のメタノールを加えて反応生成物を沈澱させ、得られた沈澱をメタノールで2〜3回洗浄した後、反応生成物を回収して減圧乾燥後、秤量した。次いで、下記の窒素分析により反応度を求めた。
<窒素分析による反応度の計算式>
残留試薬の可能性をみて、得られた生成物のN量を補正する必要がある。
補正値=(Kevlar測定値N値/Kevlar理論値N値)=(Kevlar測定値N値/11.76)
次に、以下の式により反応度xを求める。
N量/[(Kevlar量)+(生成物量)]×100=14/[119(1-x)+Px]×100=生成物N量/補正値
この計算式による反応度は、重量増加による反応度の計算式とほぼ同じ結果となった。
(実施例24)
アルキル化剤に1−デシルブロマイド(C1021Br)を用いた他は、実施例23と同様に実験を行った。
(実施例25)
アルキル化剤に1−ヘキサデシルブロマイド(C1633Br)を用いた他は、実施例23と同様に実験を行った。
(実施例26)
アルキル化剤に1−ドコシルブロマイド(C2245Br)を用い、反応後、多量のメタノールを加えて反応生成物を沈澱させ、得られた沈澱をヘキサンで2〜3回洗浄した他は、実施例23と同様に実験を行った。
(実施例27)
アルキル化剤にベンジルブロマイド(C65CH2Br)を用いた他は、実施例23と同様に実験を行った。
(実施例28)
アルキル化剤にアリルブロマイド(CH2=CHCH2Br)を用いた他は、実施例23と同様に実験を行った。
(実施例29)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)55gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、10%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加して、80℃で1時間撹拌して溶解させた。その後、水素化ナトリウム(NaH)180mgを添加すると同時に、アリルブロマイド(CH2=CHCH2Br)を10%TBAF/DMSO溶液と全量が2mlになるように加え、40℃、2時間撹拌反応した。
(比較例10)
アルキル化剤にケイ皮酸クロライド(C65CH=CHCOCl)を用いた他は、実施例23と同様に実験を行った。
(比較例11)
DMSO10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを分散し、80℃で1時間撹拌した(ケブラーが溶解しなかった)。次に、水素化ナトリウム(NaH)180mgを加えて30℃、24時間撹拌反応させたところケブラーが溶解した。その後、1−ブチルブロマイド(C49Br)をDMSO溶液と全量が2mlになるように加え、40℃、2時間撹拌反応した。反応後、多量のメタノールを加えて反応生成物を沈澱させ、得られた沈澱をメタノールで2〜3回洗浄した後、反応生成物を回収して減圧乾燥後、秤量した。次いで、窒素分析により反応度を求めた。
(比較例12)
アルキル化剤に1−ドコシルブロマイド(C2245Br)を用いた他は、比較例11と同様に実験を行った。
(比較例13)
アルキル化剤にベンジルブロマイド(C65CH2Br)を用いた他は、比較例11と同様に実験を行った。
(比較例14)
アルキル化剤にアリルブロマイド(CH2=CHCH2Br)を用いた他は、比較例11と同様に実験を行った。
実施例23〜29および比較例10〜14の反応生成物について反応度を求めた結果を、表5にまとめて示す。
ハロゲン化剤として酸クロライドを用いた場合(比較例10)、DMSO溶媒のみを用いた場合(比較例11〜14)は、反応性が低く、反応時間が長くかかるか、反応度が低い。
(実施例30)
TBAF濃度15%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例23と同様に実験を行った。
(実施例31)
TBAF濃度20%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例23と同様に実験を行った。
(実施例32)
TBAF濃度15%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例24と同様に実験を行った。
(実施例33)
TBAF濃度15%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例25と同様に実験を行った。
(実施例34)
TBAF濃度15%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例26と同様に実験を行った。ただし、反応後、多量のメタノールを加えて反応生成物を沈澱させ、得られた沈澱をヘキサンで2〜3回洗浄した後、反応生成物を回収して減圧乾燥後、秤量した。
(実施例35)
TBAF濃度20%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例26と同様に実験を行った。ただし、反応後、多量のメタノールを加えて反応生成物を沈澱させ、得られた沈澱をヘキサンで2〜3回洗浄した後、反応生成物を回収して減圧乾燥後、秤量した。
(実施例36)
TBAF濃度15%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例27と同様に実験を行った。ただし、反応後、多量の水を加えて反応生成物を沈澱させ、得られた沈澱を水で2〜3回洗浄した後、反応生成物を回収して凍結乾燥後、秤量した。
(実施例37)
TBAF濃度20%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例27と同様に実験を行った。ただし、反応後、多量の水を加えて反応生成物を沈澱させ、得られた沈澱を水で2〜3回洗浄した後、反応生成物を回収して凍結乾燥後、秤量した。
(実施例38)
TBAF濃度15%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例28と同様に実験を行った。
(実施例39)
TBAF濃度20%のTBAF/DMSO溶液を用いた他は、実施例28と同様に実験を行った。
実施例30〜39の反応生成物について窒素分析により反応度を求めた結果を、表6にまとめて示す。
TBAF濃度が0%の場合(比較例10〜14)は、ケブラーが最初溶解しないので繊維状のままであり、置換反応が進むに連れケブラーが溶解するが反応時間が長くかかる。これに対し、実施例から明らかなように、TBAFを含有させた溶媒では、最初からケブラーが溶解した状態であるため、短時間で容易に反応が進んだ。
(アルキル化物のIR測定)
ケブラー、ベンジル化ケブラー(実施例27で合成した、R/CONH=0.49の試料)、アリル化ケブラー(実施例28で合成した、R/CONH=0.77の試料)の赤外吸収スペクトルを測定した結果を、図4〜6に示す。ケブラーと比較すると、ベンジル化、アリル化したものには、1500cm−1付近および1300cm−1付近に第二アミドのピークが現れた。これらの結果から、全芳香族ポリアミドのN−置換誘導体が生成していることは明らかである。
(実施例40)
ジメチルスルホキサイド(DMSO)373mlにテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF・3HO)55gを溶解し、得られたTBAF/DMSO溶液(含水)に水素化カルシウム(CaH)を加えて4日間静置し、脱水処理した。遠心分離し、水酸化カルシウムと未反応のCaHを除去し、10%TBAF/DMSO溶液(無水)からなる溶媒を調製した。
この溶媒10mlに、全芳香族ポリアミド繊維であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー(KEVLAR)」(登録商標))0.1gを添加して、80℃で1時間撹拌して溶解させた。その後、カリウムターシャリーブトキサイド(t-BuOK)をt-BuOK/CONH=0.5の比率で加えて30℃、2時間撹拌反応させた。その後、アリルブロマイド(CH2=CHCH2Br)を、CH2=CHCH2Br/CONH=2.5の割合で加え、40℃、2時間撹拌反応した。
反応後、多量のメタノールを加えて反応生成物を沈澱させ、得られた沈澱をメタノールで2〜3回洗浄した後、反応生成物を回収して減圧乾燥後、秤量した。次いで、窒素分析により反応度を求めた。
(実施例41)
添加するカリウムターシャリーブトキサイド(t-BuOK)を、t-BuOK/CONH=1.5の比率で加えた他は、実施例40と同様に実験を行った。
(実施例42)
添加するカリウムターシャリーブトキサイド(t-BuOK)を、t-BuOK/CONH=2.0の比率で加えた他は、実施例40と同様に実験を行った
(比較例15)
溶媒としてTBAFを含有しないDMSOを用いた他は、実施例40と同様の方法で実験した。
実施例40〜42および比較例15の結果を、表7に示す。
TBAF濃度0%、t-BuOK/CONH=0.5で得られた生成物は、ケブラーが繊維状のまま反応が進行したので低い反応度となった。
アリル化ケブラー(SampleA)のIRチャートである。 アリル化ケブラー(SampleB)のIRチャートである。 アリル化ケブラー(SampleC)のIRチャートである。 ケブラーのIRチャートである。 ベンジル化ケブラーのIRチャートである。 アリル化ケブラーのIRチャートである。

Claims (17)

  1. 一般式 N(R)(R・F
    (Rは直鎖もしくは分岐を有するC1−18アルキル基、フェニル基またはベンジル基を示し、RはC1−4アルキル基を示す。)
    で表わされる第4級アンモニウム塩と非プロトン性の極性有機溶媒との組合せからなる溶媒に、全芳香族ポリアミドが溶解してなることを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液。
  2. 第4級アンモニウム塩が、テトラメチルアンモニウムフルオライド、テトラエチルアンモニウムフルオライド、テトラプロピルアンモニウムフルオライド、テトラブチルアンモニウムフルオライド、メチルトリエチルアンモニウムフルオライド、メチルトリブチルアンモニウムフルオライド、ジメチルジエチルアンモニウムフルオライド、ドデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリエチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリプロピルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリブチルアンモニウムフルオライド、フェニルトリメチルアンモニウムフルオライド、フェニルトリエチルアンモニウムフルオライド、フェニルトリプロピルアンモニウムフルオライド、フェニルトリブチルアンモニウムフルオライドから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の全芳香族ポリアミド溶液。
  3. 非プロトン性の極性有機溶媒が、ジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミドから選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の全芳香族ポリアミド溶液。
  4. 溶媒中の第4級アンモニウム塩の割合が、質量比で、1%以上30%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液。
  5. 全芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドまたはコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドのいずれか1種以上から選ばれる全芳香族ポリアミドである、請求項1〜4のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液から、固形分を乾燥させて得た後、この固形分を粉砕することを特徴とする全芳香族ポリアミド粉体の製造方法。
  7. 全芳香族ポリアミド溶液中の全芳香族ポリアミドが、全芳香族ポリアミドからなる繊維もしくはフィルム、全芳香族ポリアミド繊維からなる織物、編物、組紐、不織布、フェルトもしくは紙、これらの素材もしくは製品と他材料との複合品、またはこれらの素材、製品もしくは複合品の解砕品から選ばれる少なくとも1種を溶解させたものである、請求項6に記載の全芳香族ポリアミド粉体の製造方法。
  8. 全芳香族ポリアミドを、
    一般式 N(R)(R・F
    (Rは直鎖もしくは分岐を有するC1−18アルキル基、フェニル基またはベンジル基を示し、RはC1−4アルキル基を示す。)
    で表わされる第4級アンモニウム塩と非プロトン性の極性有機溶媒との組合せからなる溶媒に混合した後、加熱して溶解させることを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
  9. 加熱温度が50〜180℃の範囲である、請求項8に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
  10. 全芳香族ポリアミド溶液中の全芳香族ポリアミドが、全芳香族ポリアミドからなる繊維もしくはフィルム、全芳香族ポリアミド繊維からなる織物、編物、組紐、不織布、フェルトもしくは紙、これらの素材もしくは製品と他材料との複合品、またはこれらの素材、製品もしくは複合品の解砕品から選ばれる少なくとも1種を溶解させたものである、請求項8または9に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
  11. 全芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドまたはコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドのいずれか1種以上から選ばれる全芳香族ポリアミドである、請求項8〜10のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
  12. 請求項1〜5のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液中で、
    一般式 X−(R)−Y
    (Xは塩素または臭素から選ばれたハロゲン基を示す、RはC1−21の直鎖もしくは分枝アルキレン基を示し、Yは−CH,−CH=CH,−フェニル基,−C1−9のアルキルアリール基より選ばれた基を示す。)
    で表わされる化合物と反応させることを特徴とするN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
  13. 請求項1〜5のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液中で、カリウムまたはナトリウムの水素化物またはアルコキサイド、または3級アミンから選ばれる塩基の存在下に、一般式 X−(R)−Y(Xは塩素または臭素から選ばれたハロゲン基を示す、RはC1−21の直鎖もしくは分枝アルキレン基を示し、Yは−CH,−CH=CH,−フェニル基,−C1−9のアルキルアリール基より選ばれた基を示す。)
    で表わされる化合物と反応させることを特徴とするN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
  14. 塩基が、水素化ナトリウム、水素化カリウムまたはカリウムターシャリーブトキサイドである、請求項13に記載のN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
  15. 3級アミンが、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンから選ばれる1種類以上である、請求項13または14記載のN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
  16. 全芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドまたはコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドのいずれか1種以上から選ばれる全芳香族ポリアミドである、請求項12〜15のいずれかに記載のN−置換全芳香族ポリアミドの製造方法。
  17. 請求項8〜16のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液またはN−置換全芳香族ポリアミド溶液から、固形分を乾燥させて得た後、この固形分を粉砕することを特徴とする全芳香族ポリアミド粉体またはN−置換全芳香族ポリアミド粉体の製造方法。
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