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JP2009039810A - 繊維強化複合材の穴あけ方法 - Google Patents

繊維強化複合材の穴あけ方法 Download PDF

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JP2009039810A JP2007206517A JP2007206517A JP2009039810A JP 2009039810 A JP2009039810 A JP 2009039810A JP 2007206517 A JP2007206517 A JP 2007206517A JP 2007206517 A JP2007206517 A JP 2007206517A JP 2009039810 A JP2009039810 A JP 2009039810A
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Shigehiko Sakamoto
重彦 坂本
Junya Okita
淳也 沖田
Hideki Moriguchi
秀樹 森口
Makoto Abe
阿部  誠
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Sumitomo Electric Hardmetal Corp
Kumamoto University NUC
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Hardmetal Corp
Kumamoto University NUC
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】FRPに代表される繊維強化複合材にバリや毛羽立ちの少ない高品位な穴をあけることができ、しかも、工具寿命を経済負担の増加を抑えながら延ばして優れた加工品位を長時間維持できるようにする。
【解決手段】補強繊維とマトリックス樹脂を含む繊維強化複合材に、ボールエンドミル1もしくはラジアスエンドミルを用いて穴あけ加工を行うようにした。 また、工具の1刃当たりの送り量、切れ刃の内接円半径と送り量の比を適当に選び、切屑を吸引しながら加工を行うようにした。
【選択図】図1

Description

この発明は、炭素繊維などの補強繊維を用いてマトリックス樹脂を強化した繊維強化複合材にいわゆるバリや毛羽立ち、むしれ、チッピングの少ない高品位な穴を回転切削工具であけることを可能ならしめる繊維強化複合材の穴あけ方法に関する。
FRP(繊維強化プラスチックス)に代表される繊維強化複合材、中でも、CFRP(炭素繊維強化プラスチックス)は、比強度、比弾性率が大きいことから、近年、航空機や車両の外板などとして多用される傾向にある。このFRPで形成された部材は、ボルトやリベットなどの締結要素を用いて構造体に固定される。このため、航空機部品などの構造体にFRP材を使用するときには、締結要素を通すための穴をFRP材に多数あけることが必要になる。
FRP材に対するその穴あけは、通常ドリルを用いてなされるが、一般的なドリルによる穴あけでは、加工した穴の出口部に図7に示すような繊維の毛羽立ちが発生しやすい。また、積層された補強繊維の層間剥離も発生しやすく、加工品位上の問題が生じる可能性が高い。これに対し、航空機用の構造体などの製造では特に、高品位加工が求められており、上記の毛羽立ちや層間剥離などを回避することが極めて重要になる。
加工品位を悪くする上記の毛羽立ちなどは、工具摩耗が進展して加工抵抗が増大するほど発生し易くなる。一方、高強度のCFRP材の加工などでは工具の摩耗進行が速くなりがちであり、結果的に加工品位維持のために工具交換を早めることになり、加工コストに占める工具費の割合が高くなっているのが実情である。
このような問題を解消するために、既にいくつかの技術が提案されている(例えば、下記特許文献1〜3参照)。これらのうち、特許文献1は、ねじれ溝を通常とは逆ねじれの溝(先端側から基端側に向ってドリル回転方向にねじれる溝)にするとともに、先端の切れ刃を回転方向から見て内周部と外周部とがそれらの中間部で交差するV字状に形成したツイストドリルを提案しており、そのドリルは、ねじれ溝を逆ねじれの溝にすることで切れ刃のアキシャルレーキが負の角度になってFRP中の繊維が押し切るような形で切断され、また、切れ刃をV字形状にすることで加工中の振動が防止され、穴縁部のバリ、むしれを抑制できるとしている。
また、特許文献2は、先端の切れ刃を径方向に区画された複数の切れ刃部によって構成し、外周側切れ刃部の先端角を回転中心側の切れ刃部の先端角よりも小さくし、さらに、
切れ刃の外周側に回転中心側よりも高硬度部材を配置したドリルを提案している。そのドリルは、切削速度が大きくなる切れ刃外周部の耐摩耗性が高硬度部材によって高められ、
この高硬度部材に案内されつつ回転中心部の切れ刃の摩耗が進行するので、ドリル回転の振れが抑えられるとしている。さらに、外周側切れ刃部の先端角が回転中心側の切れ刃部の先端角よりも小さいために切れ刃外周部による穴の押し広げ作用が低減されてバリの発生が抑制されるとしている。
さらに、特許文献3は、先端からシャンク部に向うに従って外径が所定の割合で減少するバックテーパ部を、ドリル径の0.5〜1.0倍の軸方向長さ範囲にわたってドリルの先端部に形成し、そのバックテーパ部に続く部分の径を一定にすること、さらには、特許文献2と同様に切れ刃を先端角の大きい先端切れ刃部と先端角の小さい外周側切れ刃部の2部分に分け、各切れ刃部に切屑分断用の複数のニックを設ける構造を提案している。このドリルは、前記バックテーパ部の設置やニックによる切屑の分断によって切削抵抗が低減され、そのために工具摩耗が減少して良好な加工品位を維持できる時間を長くすることが可能になるとしている。
特許第2699527号公報 特許第2984446号公報 特許第3534839号公報
前掲の特許文献1〜3が開示しているようなドリルは、繊維強化複合材の加工で良好な加工品位をより長時間にわたって維持する要求に十分に応えたものとは言えない。例えば、特許文献1のドリルは、加工時の負荷が切れ刃の尖った外周部に集中し、同部に摩耗やチッピングが生じやすい。また、刃先が損傷している状態で加工がなされるとバリや毛羽立ちが不可避的に発生するが、切れ刃の外周部の全域が同時に被削材を切り抜ける上に、アキシャルレーキが負の角度になっているために、発生したバリや毛羽立ちが除去されずに残り、良好な加工品位を維持することが難しい。
また、特許文献2,3のドリルは、外周側切れ刃で加工穴を徐々に拡大していくので、一旦発生したバリ、毛羽立ちの後続の刃による再切削が繰り返され、その再切削によってバリ、毛羽立ちを削り取ることが可能である。しかし、切れ刃の各部のつなぎ目(先端角が変化した部分)が被削材を切り抜ける際に大きなバリが発生しやすく、穴加工数が増えてそのつなぎ目部が損傷したときに、外周側切れ刃によるバリの除去が不十分になって加工品位が低下する。また、ダイヤモンドなどの高硬度部材を外周部に配置することは摩耗の抑制に関しては効果があるが、工具のコストアップを招くため、摩耗量の抑制は、超硬合金等で形成される基材のみでの対応や、その基材に対する硬質膜のコーティング処理程度にとどめるべきである。
なお、FRP材そのものをバリや毛羽立ちの起こり難いものに改善する試みもなされているが、航空機用材料などとして利用実績のある既存の材料の穴あけにおいて上記の問題を無くすには、工具の改善や穴あけ方法の改善で対処する必要がある。
この発明は、繊維強化複合材にバリや毛羽立ち、むしれ、チッピングの少ない高品位な穴をあけることができ、しかも、工具寿命を経済負担の増加を抑えながら延ばして優れた加工品位を長時間維持できるようにすることを課題としている。
発明者等は、種々の工具形状による穴あけテストを繰り返した結果、上記の課題を解決できる穴あけ方法を見出した。その方法では、補強繊維とマトリックス樹脂を含む繊維強化複合材に、ボールエンドミルもしくはラジアスエンドミルを用いて穴あけ加工を行う。この発明は、かかる繊維強化複合材の穴あけ方法を提供する。
エンドミルは、通常、型彫り、段差加工などに用いられるものであるが、回転中心から外周に至る切れ刃を先端側に有しているので、原理的には穴加工も可能である。通常は切削抵抗が高くなり、切屑処理性も悪いため、穴加工用には適しておらず、穴あけ工具として使用されることはないが、炭素繊維などで強化したFRP材の加工においては切屑が粉状になって生成されるため、切屑処理で問題が起こることはない。また、通常の金属加工とは切削のメカニズムが大きく異なって補強繊維の切断によって加工が行われることと、一般に加工品位を維持するため低送り条件が適用されることから、エンドミルを穴加工に用いても後述するように切削抵抗は増大せず、むしろ長期間にわたってその切削抵抗の増大を抑制することが可能である。
この発明の穴あけ方法は、穴あけ時の工具(ボールエンドミルもしくはラジアスエンドミル)の1刃当たりの送り量fを、0.03mm以下にして加工を行うと好ましい。また、工具の1刃当たりの送り量fを0.03mm以下にするのに加えてさらに、前記ボールエンドミルもしくはラジアスエンドミルの円弧形状をなす切れ刃の内接円半径をRとして、そのRと前記1刃当たりの送り量fの比f/Rを0.03以下にして加工を行うとより好ましい。
さらに、外径がシャンク側に向って減少するバックテーパを有したボールエンドミルやラジアスエンドミルを使用するのも好ましく、切屑吸引手段を用いて穴あけ時に発生する切屑を吸引しながら穴あけ加工を行うのも好ましい。
なお、この発明は、GFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)やKFRP(ポリエステル繊維強化プラスチックス)などに対する穴あけにも勿論利用できるが、他のFRPの加工に比べて工具が摩耗し易く、加工品位の長時間の維持が難しくなるCFRP材の貫通穴加工に利用すると特に大きな効果を期待できる。
繊維強化複合材の加工においては、上述したように繊維を切断する必要があり、良好な繊維切断のために、繊維の向き(長手方向)に対して切れ刃が極力垂直に近い角度で当たることが望まれる。穴あけをボールエンドミルやラジアスエンドミルで行うと、その要求に応えることが可能になる。
繊維強化複合材にあける穴は、繊維の向きに対して垂直となる。一方、ボールエンドミルやラジアスエンドミルは、切れ刃の外周側が徐々に立ち上がる円弧形状をなし、外周刃に接続する外端部においては切れ刃の向きが工具軸心とほぼ平行(ねじれ角などの影響を受けたものは完全な平行にはならない)になっている。これは、穴の縁を加工するときに切れ刃が限りなく繊維に垂直な状態になることを意味する。よって切れ刃の外周側が円弧形状であることは理想的であり、穴広げの加工がその円弧形状の切れ刃によってなされて徐々に進行するため、加工開始後の早い段階で発生したバリ、毛羽立ちが、穴広げが終わるまでの間に後続の刃によって効果的に削り取られる。また、切れ刃は外周刃に近づくほど立ち上がり角(繊維に対する交差角)が急になるので、外周側の被削域が加工されるときの新たなバリの発生が抑えられ、穴面のさらえ効果も得られるようになって穴の面粗さも良くなる。これに加えて、円弧状切れ刃による加工では、外周部での切り取り厚さが小さいため、単位切れ刃長当たりの切削抵抗(スラスト力)が低減され、被削材がプリプレグを数枚積層して構成されている場合に出やすい層間剥離が抑制されるなど、穴の加工品位向上が期待できる。
また、ボールエンドミルやラジアスエンドミルは、特許文献1〜3が開示しているドリルと違って切れ刃部に特異な段形状が無い。従って、バリの発生は回転中心が初期に穴を加工し始めた頃に最も発生しやすく、その後は単調に加工性が良くなっていく。このため、
バリを削り残すことが少なく、前述の層間剥離抑制にも有効である。また、切れ刃部に特異な段形状が無いため、特定箇所で異常な損傷が生じる可能性も小さい。
また、ボールエンドミルやラジアスエンドミルで穴あけを行うと、切れ刃の全域が切削に関与する。そのために、切れ刃の各部の損傷状況に大きな差がつくことが少なく、また、仮に一部分が損傷したとしても後続の切れ刃によるさらえ(仕上げ)がなされ、加工品位に与える悪影響が小さく抑えられる。
このほか、板材の加工では複数枚を重ねて一度に穴をあけることがあるが、このような加工でも円弧の切れ刃を有するエンドミルを使用すると、上側の板材を貫通して下側の板材の加工に移る際の切削抵抗の変化(増加)が緩やかになるため、重ねた板材の浮き上がりが抑えられ、その浮き上がりによる加工品位、穴精度の低下も抑制されるようになる。
また、ボールエンドミルやラジアスエンドミルは、ドリルと違って外周にマージンがないので、例えば、CFRPを加工したときに発生する粉状の切屑がランド部と穴壁面間に詰まることが少なく、これも穴壁面の品位向上に対して好結果をもたらす。
さらに、繊維強化複合材の加工では切断や切断した縁のトリミングなどの加工を行うことも多く、その加工はエンドミルを用いてなされているが、穴あけ加工をボールエンドミルやラジアスエンドミルで行うと、そのエンドミルを切断やトリミングにも利用することができ、穴あけと切断、トリミングを必要とするケースでは、工具統合、工具交換の面で有利になるメリットもある。
なお、穴あけ時のエンドミルの1刃当たりの送り量fを、0.03mm以下にする、できれば、1刃当たりの送り量fを0.03mm以下にするのに加えてさらに、前記ボールエンドミルもしくはラジアスエンドミルの円弧形状をなす切れ刃の内接円半径をRとして、そのRと前記1刃当たりの送り量fの比f/Rを0.03以下にすると、高い加工品位を得ることができる。
また、エンドミルは一般にドリルなどと異なってバックテーパを有しておらず工具外周径は一様である。このため、加工する穴が深い場合には工具の微小な撓みなどの影響で外周刃が穴内壁と干渉するようになり、加工中の振動発生や穴入口部での穴径の拡大を招く。バックテーパを有するエンドミルを用いて行なう加工方法は、このような問題を回避することが可能となる。この効果は、原理的にはボールエンドミルもしくはラジアスエンドミルの円弧状切れ刃の内接円半径(R半径)以上の穴深さになった場合に現れ始めることになるが、深穴であるほど顕著となる。
このほか、切屑吸引手段を用いて穴あけ時に発生する切屑を吸引しながら穴あけを行うと、エンドミルのランド部と穴壁面との間への粉状の切屑の詰まりがより確実に防止され、切屑詰まりに起因した加工品位の低下がなくなる。
−実施例1−
以下、この発明の実施例について説明する。図1は、発明例1の穴あけに使用した工具を示している。その工具は、ボールエンドミル(住友電工ハードメタル(株)製SSB2060)である。このボールエンドミル1は、本体部2と工作機械のホルダに把持されるシャンク3とからなり、本体部2の先端に半径R=3mmの半円形状のボール刃(切れ刃)4を有し、また、本体部2の外周に外周刃(切れ刃)5とねじれ溝6をそれぞれ有する。2条のねじれ溝6,6間にはランド部7があり、そのランド部7と外周刃5との間には逃げ面8が形成されている。工具の材質はJIS Z20種の超硬合金である(比較例も同じ)。
比較例の加工には、先端角140°の一般的なツイストドリル(住友電工ハードメタル(株)製MDS060MG)、及び先端が平坦なスクエアエンドミル(住友電工ハードメタル(株)製JSM2060)を用いた。いずれも外径はφ6mm、2枚刃である。
一方、加工対象とした材料(被削材)はCFRPの板材であり、その板材の面内方向に炭素繊維で補強したプリプレグを8層重ねて接合し、全体の厚みを2.78mmにしている。このCFRP材は、板厚方向の断面を観察したところ、各プリプレグの層に50〜700μmの厚みの繊維束層が含まれていた。
このCFRP材に、上記の各工具を用いて穴あけを行った。このときの加工条件は、切削速度100m/min、1刃当たり送り量(f)0.025mm/tooth、ドライ方式での貫通穴加工とした。
使用した工具の外径、1穴目加工時および100穴目加工時のスラスト力、穴出口におけるバリ(毛羽立ち)の最大長さ、工具逃げ面の摩耗量を表1にまとめて示す。スラスト力は切削抵抗を評価するためのデータである。
ボールエンドミルで穴あけを行った発明例1は、ツイストドリルを使用した比較例1に比べてスラスト力(切削抵抗)、摩耗量が共に小さい。また、スクエアエンドミルを使用した比較例2も比較例1に比べるとスラスト力、摩耗量が小さいが、バリの大きさ、特に100穴目での大きさを比較すると極端な差があり、穴の加工品位に関してこの発明の優位性が顕著である。発明例1の方法での加工穴Hの性状を図2に、比較例1の方法での加工穴Hの性状を図3に、比較例2の方法での加工穴Hの性状を図4にそれぞれ示す。いずれも1穴目と100穴目の穴の性状である。
また、スクエアエンドミルは、底刃の全体が同時に切削に関与するため、積層構造のCFRP材の加工では上下の層を互いに引き剥がそうとする作用が強く働き、そのために、1穴目の加工でも穴の出口部周辺の欠け(剥がれ)が起こりやすい(図4参照)。これに対し、ボールエンドミルで穴あけを行った発明例1では、その欠けがほとんど発生しておらず(図2)、この点でも本発明が優れている。
また、工具の摩耗については、比較例1、2では、穴壁面との間に切屑が詰まりやすいマージン部や加工速度の速い切れ刃外端部の摩耗が大きくなりやすいが、発明例1の加工ではボール刃や逃げ面の摩耗状況が一様になっており、穴の加工数がさらに増えたときの異常損傷、局部損傷の抑制に効果があると考えられる。
なお、1穴目に加工された穴の穴壁面の状態も確認したところ、発明例1での穴はほとんどむしれたような面は確認されなかった。これに対し、比較例1による加工穴Hには2〜3mm程度の長さのむしれが観察された。比較例2による加工穴Hも穴壁面は正常であった。エンドミルには外周刃に逃げ角がついている(マージンがない)ため、外周面と穴壁面との間に切屑が詰まりにくく、これが穴壁面の性状向上に寄与したと考えられる。
−実施例2−
次に、1刃当たりの工具送り量が加工品位などに与える影響を調べた。ここで使用した工具は、外径φ6mm(ボール刃半径R=3mm)のボールエンドミル(住友電工ハードメタル(株)製SSB2060)であり、1刃当たりの工具送り量fを0.025mm〜0.35mm/toothまで変化させ、その際の切削抵抗(スラスト力)を評価した。送り以外の加工条件は実施例1と同じである。その結果を図5に示す。これからわかるように、スラスト力は1刃当たりの工具送り量fが大きいほど増大する。特に1刃当たりの工具送り量fが0.025mm/toothを越えるとスラスト力が200Nを上回るようになる。穴出口のバリについても、その大きさがf=0.025mm/toothのときに0.05mm、f=0.05mm/toothのときに0.43mmであり、より高い加工品位が求められるときの1刃当たりの工具送りは、0.03mm/tooth以下に抑えることが望ましい。
−実施例3−
次に、ボールエンドミル及び切れ刃の外周部がボールエンドミルと同様に円弧形状(
R形状)をなすラジアスエンドミルについて、加工品位に及ぼす円弧形状切れ刃の曲率半径の影響を調査した。
ここでは、工具として外径φ8mm(ボール刃半径R=4mm)のボールエンドミル
(住友電工ハードメタル(株)製SSB2080ZX)と、外径がともにφ8mmで切れ刃コーナ部の曲率半径(切れ刃外周部のコーナR)が0.5mm、1.0mmの2種類のラジアスエンドミル(住友電工ハードメタル(株)製SSM2080ZX−R0.5,R1.0)を使用した。また、比較のために外径φ8mmのツイストドリル(住友電工ハードメタル(株)製MDS080MK)も用いた。いずれも、表面に(Ti、Al)N系皮膜を施した被覆工具である。
加工条件は、切削速度133m/min、1刃当たり送り量(f)0.025mm/tooth、ドライ方式での貫通穴加工とした。被削材は実施例1と同じものを用いた。
この加工で使用したエンドミルの切れ刃コーナ部の曲率半径Rと、1刃当たり送り量fと切れ刃コーナ部の曲率半径Rの比および1穴目の穴加工後の最大バリ長さを表2に示す。
この実施例2においてボールエンドミルを用いた発明例2は、比較例3との対比から、繊維強化複合材の穴加工において良好な加工品位が得られることがわかる。また、ラジアスエンドミルを用いた発明例3、発明例4も、比較例3に比べると発生したバリが小さくなることを確認できる。バリだけでなく欠けが抑制されることもこの試験で確認しており、加工品位は明らかに比較例3に勝る。なお、切れ刃コーナ部の曲率半径Rが小さい発明例4は発明例2,3に比べて加工品位がやや劣っており、切れ刃コーナ部の曲率半径Rは大きい方が有利な結果が得られている。
−実施例4−
切れ刃の先端中心部(回転中心部)形状が繊維強化複合材を重ねた状態で加工するときに及ぼす影響を評価した。この試験で使用した工具は実施例1の発明例1で採用したボールエンドミルと、比較例1で採用したツイストドリルの2品である。
被削材は、実施例1〜3と同様のCFRPの板材である。このCFRP材を接着せずに5枚重ね合わせて加工テーブル上にクランプし、試料の工具で貫通穴の加工を行った。そして、加工中の切削抵抗(スラスト力)を測定し、工具外周部が加工に関与し始めてから工具先端が貫通し始めるまでの間のスラスト力の変動幅(その最大値)を調べた。また、加工中の様子をビデオカメラで撮影し、加工中に板材が浮き上がる現象の有無を検証した。その結果を表3に示す。
この試験結果から、ボールエンドミルを用いた加工では切削抵抗の変動幅が小さく、板材の浮き上がりが抑制されていることがわかる。
−実施例5−
切屑吸引手段を使用して切屑を吸引しながら加工を行う方法の有効性を評価する試験を行った。ここでは、図6に示すように、マシニングセンタ10の主軸11に、通常実施されるのと同様に工具ホルダ12を介してボールエンドミル1を装着し、その後、加工部を覆うカバー15を取り付けた。カバー15は、切屑吸引手段13の構成要素となるものである。切屑吸引手段13は、吸引装置14とカバー15とその両者間を接続するホース16とからなる。吸引装置14には市販の掃除機を利用した。カバー15は、マシニングセンタ10に取り付ける固定カバー15aの下部に軸方向相対スライドが可能な筒状の可動カバー15bを有しており、その可動カバー15bが工具に先行して被削材Wの上面に押し当てられ、この状態で主軸11がさらに下降してボールエンドミル1による穴あけがなされる。従って、加工中は常時加工部がカバー15に囲われ、発生した切屑が強制的に吸引除去されることになる。
この試験は、外径φ6mmのボールエンドミルを使用して実施例1と同じ条件で加工を行い、得られた穴の切屑の吸引を行ったときの穴壁面と行わなかったときの穴壁面の性状を比較した。その結果、切屑を吸引せずに加工した穴は、1mm以下と微細ではあるが壁面にむしれが観察された。これに対し、切屑を吸引しながら加工した穴は、むしれが目視では確認できないレベルに減少していた。工具外周と穴壁面との間の切屑詰まりが穴壁面のむしれの一要因であると考えられ、外周刃にマージンがなくて逃げ角がついているエンドミルを用いることでその切屑詰まりはある程度抑制されるが、発生した切屑を吸引することで切屑が与える悪影響がより確実に排除されて穴壁面の性状がより良くなったと考えられる。
−実施例6−
次に、深穴加工におけるバックテーパの影響について検討した。本実施例で使用した被削材は、厚み14mmのCFRP材である。この材料に直径φ5mmのボールエンドミルを用いて穴あけを行い、穴の入口部及び出口部の穴径を測定した。使用したボールエンドミルは、通常のバックテーパのない外周径が一様なもの(住友電工ハードメタル(株)製
SSB2050)と、同相当品で外周部に軸方向長さ100mm当たり、0.3mmのバックテーパを付与したものの2種類である。この実験の結果を表4に示す。この表4からわかるように、通常のボールエンドミルを用いると深穴加工においては穴径が穴の入口部で拡大しやすく、本実施例では、出口径に対して入口径が0.04mmほど大きくなっている。これに対し、バックテーパ付きボールエンドミルを用いたときの出入り口での穴径差は0.006mmと極めて小さく、深穴加工に対してはバックテーパが効果を発揮することがわかる。
なお、この発明は、上記の実施例に限定されるものではない。例えば、ラジアスエンドミルについての実施例は、実施例3のみであるが、この発明の課題は円弧状の切れ刃を有する工具で穴あけを行うことによって解決されるので、ラジアスエンドミルで穴あけを行ったときにも発明の目的が達成される。
この発明の方法の実施に用いる工具の一例(ボールエンドミル)を示す図 発明例1での加工穴{(a):1穴目、(b):100穴目}を示す図 比較例1での加工穴{(a):1穴目、(b):100穴目}を示す図 比較例2での加工穴{(a):1穴目、(b):100穴目}を示す図 1刃当たりの送り量とスラスト力の関係を示す図 切屑吸引手段を採用した穴あけ方法の概要説明図 FRP材に加工された穴あけの出口部の繊維の毛羽立ちを示す図
符号の説明
1 ボールエンドミル
2 本体部
3 シャンク
4 ボール刃
5 外周刃
6 ねじれ溝
7 ランド部
8 逃げ面
10 マシニングセンタ
11 主軸
12 工具ホルダ
13 切屑吸引手段
14 吸引装置
15 カバー
15a 固定カバー
15b 可動カバー
16 ホース
R 円弧形状の切れ刃の曲率半径
W 被削材
H 加工穴

Claims (6)

  1. 補強繊維とマトリックス樹脂を含む繊維強化複合材に、ボールエンドミルもしくはラジアスエンドミルを用いて穴あけ加工を行う繊維強化複合材の穴あけ方法。
  2. 穴あけ時の工具の1刃当たりの送り量fを、0.03mm以下にして加工を行う請求項1に記載の繊維強化複合材の穴あけ方法。
  3. 工具の1刃当たりの送り量fを0.03mm以下にするのに加えてさらに、前記ボールエンドミルもしくはラジアスエンドミルの円弧形状をなす切れ刃の内接円半径をRとして、そのRと前記工具の1刃当たりの送り量fの比f/Rを0.03以下にして加工を行う請求項2に記載の繊維強化複合材の穴あけ方法。
  4. 前記ボールエンドミルもしくはラジアスエンドミルとして、外径がシャンク側に向って減少するバックテーパを有したエンドミルを使用して穴あけ加工を行う請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化複合材の穴あけ方法。
  5. 切屑吸引手段を用いて穴あけ時に発生する切屑を吸引しながら穴あけ加工を行う請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化複合材の穴あけ方法。
  6. 前記繊維強化複合材が炭素繊維強化プラスチックスであり、この炭素繊維強化プラスチックスに貫通穴をあける請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化複合材の穴あけ方法。
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