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JP2009039326A - 経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル - Google Patents

経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル Download PDF

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Toshihiko Abe
利彦 阿部
Toshiyuki Takagi
敏行 高木
Shinichi Izue
紳一 出江
Ryoichi Nagatomi
良一 永富
Yoshinobu Yashima
芳信 八島
Nobukazu Nakazato
中里信和
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Abstract

【課題】比較的簡単装置により、脳深部を磁気刺激することができる経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルを提供する。
【解決手段】一組のコイル1,2を対向させて配置し、当該コイル1,2にそれぞれ逆方向に励磁すると共に、前記コイルの間に閉回路の導電体のリング3を配置したことを特徴とする経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル。前記閉回路の導電体のリング3が、一又は多段のリングから構成されていることを特徴とする経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル。対向させて配置した一組のコイル1,2が多段コイルから構成されている場合において、この多段コイルのそれぞれの中心が、対向するコイルの中央から立体的に離れる位置に配置することを特徴とする前記経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル。
【選択図】図1

Description

本発明は、交流磁場又はパルス磁場によって脳を刺激することにより、病気の診断・治療を行う経頭蓋磁気刺激(TMS)に関する技術、特に脳深部を磁気刺激するために有用な経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルに関する。
脳の活動は電流の発生を伴うことがよく知られている。脳の活動電流を外部から制御することを目的に、脳に電極を差し込むことによって脳機能の診断・治療が行われている。しかしながら、脳に電極を差し込む手術はきわめて危険であるとともに、信号電流の供給も電極に接続したコードを介する必要がある。
経頭蓋磁気刺激は電磁誘導の法則を利用して神経に、パルス磁場又は交流磁場を与えることによって脳に電流を誘起し、電気刺激類似の診断・治療を行う技術である。
この磁気刺激は、ファラデーによって発見された磁気誘導の法則に基づくものである。コイルに電流が流れた場合、同時に垂直に磁場が発生するが、その磁場によって脳に二次電流が発生する。この微量の電流を利用して脳細胞に刺激を与えるものである。一般に磁気刺激と言っているが、実際には微弱な電気刺激である(本明細書においては、「磁気刺激」と記載する)。
例えば、脳の運動野がこの磁気刺激を受けると、前記二次電流が運動野の細胞を刺激して足や手指を動かすことができるのがその具体例である。治療に際しては、うつ病患者の前頭野を刺激し脳の活性化を図ることができると言われている。
このようなことから、最近は病気の診断・治療を行う経頭蓋磁気刺激(TMS:Trans-cranial Magnetic Stimulation)に強い関心が持たれている。しかしながら、現在の経頭蓋磁気刺激に関する技術としては、O型コイル、あるいは8字型コイルが専ら用いられているが、磁気刺激が可能な深さは、脳表面から1〜2cm程度の浅い部分に限られている。したがって、脳深部の効果的な診断・治療に使用できる設備があるとは言えない状況にある。
下記の非特許文献1及び非特許文献2によると、経頭蓋磁気刺激の対象は頭皮からの深さが2cm以内の大脳皮質に制限される。これらの制約はコイルが生じる磁場が距離とともに急速に減衰する結果、強い磁束を深部まで到達させることが困難であることに起因している。
公知の特許文献を見ると、O型磁心の一部を切断し、対向する部分を細くしてそこにコイルを巻くことにより収束磁界を得る磁気刺激装置が開示されている(特許文献1参照)。この技術は、生体の神経又は筋などの興奮性生態組織を刺激するための装置であり、磁極先端を細くすることによって、磁極表面近傍の磁界を強くするものである。また、発熱を抑制すると言っても、少なからず発熱を伴うものであり、経頭蓋磁気刺激用の装置に適用できるものではない。
上記特許文献1の改良型として、さらに巻線の内側に形成される空間に磁性体を配置した磁気刺激装置が開示されている(特許文献2参照)。磁極先端の形状を凹または凸型などに変形させ、また磁極先端を細くする効果を示しているが、細くすることによって磁極表面近傍の磁界は強くなるが、到達距離はほとんど変化していない。これも、特許文献1と同様に、生体の神経又は筋などの興奮性生態組織を刺激するための装置であり、上記と同様の問題を有しており、経頭蓋磁気刺激用の装置に適用できるものではない。
マトリックス状に配置したコイルを計算機制御でスイッチングして磁界が強い場所を変える生体用磁気刺激装置が開示されている(特許文献3参照)。しかし、この技術は、表面を目的としており、深部に到達させる技術ではない。
また、高透磁率の半円〜馬蹄形磁心にコイルを巻いてコイルの発熱を少なくし、脳の磁気刺激を行う経頭蓋骨磁気刺激の技術が記載されている(特許文献4参照)。この場合、磁界の到達距離も30mm以上に増加しているが、脳表面は当然ながら、強い磁界にさらされるという問題がある。
励磁用のパルス電流は高周波であるためにコイル表面のみ流れ、太い線を使っても電気抵抗が大きくなるという問題がある。これを防ぐために高周波コイルの常套手段である細いリッツ線を束ねてコイルを巻くことが提案されている(特許文献5参照)。これもまた、治療対象は腰や血流の障害であり、経頭蓋磁気刺激用の装置に適用できるものではない。
さらに、磁気刺激のためのコイルおよびそれを用いる方法が開示されている(特許文献6参照)。この技術には、脳深部、心臓血管などの記載があり、頭に三角プリズム型のコイルを載せるもので、その細かいな形状が示されている。しかし、この技術は、深部刺激ではなく、また各コイルを個別に制御していないので、経頭蓋磁気刺激用装置としては、十分な機能を備えているとは言いがたい。
以上のようなことから、本発明者らは、先に磁場源となる複数のループコイルを集合したループコイル配列、あるいはこれと永久磁石又は磁性体コアを配置し、数値解析に基づいて、これら相互間の磁気的な作用を計算し、この結果からループコイルの選定、永久磁石、磁性体コアの形状、配置と、ループコアに流す電流の大きさと向きを決定することによって所望の分布と強度の磁場を得る技術、すなわち、多数のコイルを用いて、それらが発生する磁界を合成することにより、収束磁界を発生させる磁場発生装置を提案した(特許文献7参照)。
この技術は脳深部の効果的な診断・治療に有効であるが、多くの試験が必要であり、やや装置が複雑であるという問題がある。
特集/脳の機能検査マニュアル、有田著「経頭蓋磁気刺激」、MB Med Reha No.40:17−26,2004 特集/脳の機能検査マニュアル、中西、後藤著「経頭蓋磁気刺激関連F波」、MB Med Reha No.40:27−35,2004 特開平7-171220号公報 特開平8−52231号公報 特開平8−280820号公報 公表特許公報2000−504966号公報 特開2002−306614号公報 特開2004−511314号公報 特開2006−255314号公報
磁界の強さは電界と同様に距離の二乗で減衰する。従って、コイルが発生する磁界によって脳深部を磁気刺激する場合に、最も問題となるのは脳の深部よりも表面が強い磁界にさらされることである。
電界と同様に磁界も別の磁界によって打ち消すことができるが、コイル表面近傍の磁界を打ち消すと、脳深部に達する磁界も消滅する。このような理由により脳深部の磁気刺激は試みられていない。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、比較的簡単な装置により、脳深部を磁気刺激することができる経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、脳の表面の磁界を弱くし、脳深部に強い磁界を到達させるために鋭意実験を繰り返した結果、コイルを対向させて配置し、当該コイルをそれぞれ逆方向に励磁すると共に、前記コイルの間に閉回路の導電体のリング(ショートリング)を配置することにより、導電体のリング近傍の磁界を弱め、当該リング中央部に磁束を集中させことができるとの知見を得た。
なお、以下の説明においては、特別な例外を除いて「導電体のリング」を以下「ショートリング」と記載する。
この知見により、本願発明は、
1)一組のコイルを対向させて配置し、当該コイルにそれぞれ逆方向に励磁すると共に、前記コイルの間に閉回路の導電体のリングを配置した経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルを提供する。これが本願発明の基本原理である。
本願発明においては、上記のようにコイルを配置して励磁すると、コイル中間部の狭い領域は磁場が必然的に弱くなる。さらに、磁場が弱い領域とコイル近傍の磁場が強い領域の中間にショートリングを配置すると、ショートリングに渦電流が流れてエネルギーが消費される結果、ショートリング近傍の磁界が弱くなる。
本願発明の複数のコイルを用いて磁場を合成する点は、先の特許文献7の発明と共通する点はあるが、磁界発生コイルの構造は基本的に異なるものである。
本願発明の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルは、
2)前記一組のコイルの少なくとも一方が、1又は複数コイルから構成し、又
3)前記閉回路の導電体のリングを、一又は複数のリングから構成することができる。このように、逆方向に励磁するコイルは、少なくとも1組必要であるが、励磁コイルを複数のコイルから構成することができる。また、導電体のリングも同様に少なくとも1個必要であるが、複数個配置することもできる。
複数のコイルは、それぞれ電流を単独に制御又は複数個を同時に制御することが可能である。これは経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルを用いた装置を構成する場合に、収束磁界発生コイルの機能をどのように持たせるかということに依存するものであり、任意に設計可能である。
本願発明の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルは、
4)対向させて配置した一組のコイルを多段コイルで構成した場合に、複数のコイルそれぞれの中心が、対向するコイルの中央から立体的に離れる位置に配置することができる。
複数のコイルを同心状あるいは四つ葉のクローバー状の中心対称に配置するコイル群を構成し、各コイルの電流を制御すると、コイル群の面方向と高さ方向の磁界分布を制御することができるという特徴を有する。
本願発明の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルは、
5)多段コイルのそれぞれを、90°〜180°の傾きをもって配置することができる。これは、傾斜磁場の合成によって磁場分布が狭まるという理由によって、収束性がさらに向上する。
このように、対向するコイルの一方あるいは両方を複数のコイルを組み合わせて構成し、各コイルの電流を制御することによって希望する磁界をコイル任意の場所に集中させることができる。
そして、複数のコイルを組み合わせる場合に、その幾何学的な中心が対向するコイル中央から離れる立体形状に配置することによって、対向するコイルの中間部に磁界を集中させることが可能となるのである。
上記に述べた各コイル形状とその組み合わせ及び複数コイルの数と寸法、ショートリング数と寸法、配置形態は任意に設計可能である。これは、経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルの機能に依拠するものであることは理解されるべきことである。
本願発明の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルにより、脳深部を磁気刺激することが可能となるので、脳深部の刺激による反応を、脳あるいは末梢効果器から記録することで、従来の皮質刺激では不可能であった脳機能の評価および病態診断が可能となる著しい効果を有する。
また、従来手術など侵襲的な方法でしかできなかった大脳深部白質、大脳基底核、視床、視床下部を刺激することが可能となり、脳血管障害やパーキンソン病などの脳疾患による運動機能障害の治療、疼痛の緩和、てんかん発作の抑制などに加え、免疫機能、内分泌機能などの障害にも治療応用が可能となる。
次に、本願発明について、図面を用いて具体的に説明する。なお、以下の図面を用いた説明は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、これに制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術的思想に基づく任意の変形、装置の機素又は全体の構成の変更は可能であり、本願発明はこられを全て包含する。
収束磁界発生コイルの構成を図1に示す。この図1において、点線は人体の頭部を示す。対向するコイル1の一方を、4段(直径160mm、95mm、50mm、25mmのコイル)で構成した場合を示す。他方の対向コイル2(直径170mm)は1段とした。それぞれのコイルは、電源5に個別に接続し、独自に制御可能とした。
この図1において、コイル1を上頭部に沿うように山形に4段に構成しているが、段数には特に制限はない。また、例えば渦巻き状にしても良い。この場合、巻数は任意であるが、例えば15〜20回の渦巻き型にすることもできる。
上記多段コイル1とコイル2の中間に、2個のショートリング3を配置した。2個のショートリング3の中間部に収束磁界が形成される。ショートリングの個数、線の太さ、形状(帯状、丸線状)を任意に選択し、ショートリングの効果が増すように設計可能である。
ショートリングを配置することにより、中心の磁界は若干弱まる傾向にあるが、磁場の収束性を高める現象が見られる。本願発明は、この知見を活用するものであり、脳の深部にまで脳深部への磁気刺激を行うようにしたものである。
一方、多段コイルの代わりに 四つ葉クローバー型コイルを用いた場合のコイルの配置を図2に示す。各コイルの直径は100mmであり、この図2は四つ葉クローバー型コイルの向い合うコイルとコイルの成す角度を120度とした場合である。多段コイルに替えて、このような四つ葉クローバー型コイルを用いると、傾斜磁場の合成によって磁場分布が狭まり、収束性をさらに向上させることができるという利点がある。前記多段コイル又は四つ葉クローバー型コイルと、対向コイルの各々に、逆向きに交流を流す。この場合、別々のパルス電源と接続することもできる。
コイル1と対向するコイル2間にパルス電流を流して逆方向に励磁させ磁場を形成する。下記実施例においては100kHzの交流を流してテストしたが、これは磁場分布測定時にサーチコイルが検出し易くするという理由で用いたものであり、この条件に特に制限されるものではない。
(実施例1)
図3は、上4段の多段コイル、下1段のコイル、そして中間に直径170mmの2個のショートリングを配置した場合であり、逆向きに100kHzの交流を流した。そして、コイル内の各位置における磁界の強さをサーチコイルで測定した。図3における、0mmはショートリング(および下部コイル)の中心位置を示し、55mmは中心から外側に55mm離れた位置の磁場強度を示す。以下、図4、5、6においても同様である。
本発明の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルが診断・治療に目指す対象は、大脳皮質ではなく脳深部である。したがって、脳深部に磁気刺激を与えるために、大脳皮質に過度な磁気刺激を与えるのは好ましくない。すなわち、脳深部に磁気刺激を与える頭部位置で、大脳皮質への磁気刺激が弱まる磁気刺激法が理想である。
図3の横軸は、磁界分布を測定したコイル2からの距離(高さ)を示す。測定に際しては、コイル2がおよそ大脳の基底部に位置するように配置する。しかし、この配置は厳密なものでなくても、磁界分布を測定するに際して、特に支障となるものでない。以下の測定においても、同様である。
図3の横軸のM20〜M50mm(下方一段コイルの上方20〜50mm)の位置、特にM25〜M40mmの位置が、およそ鼻、目、耳近傍の位置に相当する。したがって、この位置で、脳深部への磁気刺激が強く、大脳皮質の磁気刺激が弱くなるのが良いと言える。ショートリングは、図1に示すように、上部コイルと下部コイルの間に配置されることから、丁度大脳が存在する位置にショートリングが配置される状態になる。
図3に示すように、ショートリングの中心(図の◆記号:0mm)の磁場強度は、M0mm(一段コイルの上方0mm)近傍の位置における2mvから徐々に減衰するが、M30mm(一段コイルの上方30mm)で、1.5mv程度となり、M50mmの位置においても、0.7mvを維持していた。
一方、ショートリングの中心から外側に55mm離れた位置(図の記号□:55mm)の磁場強度は、M0mm(一段コイルの上方0mm)近傍の位置における3mvから急激に減衰し、M20mmで1.5mvに、M30mmで0.5mv、M40mvで0.2mv程度に低下した磁場強度が測定された。
その後、頭頂部であるM90mm(一段コイルの上方90mm)まで、0.5mv以下を維持した。これにより、大脳中心部の磁気刺激が有効に行うことが可能である共に、脳皮質への磁場の影響が極めて少なくなすることができることが判る。これは、ショートリングを配置したことにより、達成できたものである。
図3におけるグラフに示す磁場発生強度は、任意に調整できるものであるが、中心(0mm)と外周部(55mm)の相対的な磁場強度の傾向は、変化がないことが理解できるであろう。また、ショートリングの個数、形状及び配置は、上部コイルと下部コイルの間に配置することを除いて、特に制限はなく任意であることも、理解されるべきことである。
(比較例1)
図4は、上部コイル、下部コイルにそれぞれ直径170mmのリング状コイルを使用する「ヘルムホルツ型コイル」として100kHzの交流を逆向に印加した。この場合、ショートリングリング使用していない場合である。
上記実施例1と同様に、コイル内の各位置における磁界の強さをサーチコイルで測定した。この結果、図4に示すように、頭部の周囲の中心(図の◆記号:0mm)の磁場強度は、M0mm(一段コイルの上方0mm)近傍の位置における約2mvから徐々に減衰し、M30mm(一段コイルの上方30mm)で1.0mv程度となり、M50mmの位置においても0.7mvを維持していた。
一方、頭部の周囲の中心から外側に55mm離れた位置(図の記号□:55mm)の磁場強度は、M0mm(一段コイルの上方0mm)近傍の位置における3mvから徐々に減衰し、M20mmで2mv程度に、M30mmで1mv程度、M40mvで0.7mv程度に低下した磁場強度が測定された。しかし、この磁場強度は、頭部の周囲の中心(図の◆記号:0mm)の磁場強度よりも低くなることはなかった。これはすなわち、脳皮質への磁場の影響が強いということであり、好ましくない結果となった。
M0mm〜M40mm(一段コイルから上方40mmまで)は脳の表面に近い外周部の磁場が強くなっており、中心部の磁場を強くする効果は生じていないことが明らかである。これは、交流を上下のコイルに印加しても、ショートリングリングを使用しない場合には、脳深部への磁気刺激を行うことができないことを意味する。したがって、この場合には、上下のリングコイルだけでは、経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルとしては有効でないことが理解できる。
(実施例2)
次に、対向するコイル、すなわち一個(一段)の上コイル及び一個の下コイルにそれぞれ、170mmのリング状コイルを使用し、さらに前記上下のリングの中間に、一個のショートリングを配置した。そして、上下のリングのそれぞれに100kHzの交流を印加した。そして、実施例1と同様に、コイル内の各位置における磁界の強さをサーチコイルで測定した。図5は、図4のコイル配置にショートリングを加えた場合である。
この結果、図5に示すように、ショートリング(頭部の周囲)の中心(図の◆記号:0mm)の磁場強度は、M0mm(一段コイルの上方0mm)近傍の位置における1mvから徐々に減衰し、M10mm(一段コイルの上方10mm)で、1.0mv程度となり、M20mmの位置において、0.8mvを維持していた。
一方、ショートリングの中心から外側に55mm離れた位置(図の記号□:55mm)の磁場強度は、M0mm(一段コイルの上方0mm)近傍の位置における2.4mvから急激に減衰し、M10mmで0.5mv程度に、M20mmで0.5mv程度、M40mvで0.7mv程度の磁場強度が測定された。
このように、この磁場強度は、ショートリングの中心から外側に55mm離れた位置(図の記号□:55mm)の磁場強度は、ショートリングの中心(図の◆記号:0mm)の磁場強度よりも一旦低くなるが、その後、同程度となり、脳皮質への磁場の影響が残る。したがって、脳の深部広域では有効ではないが、下部リングからの狭い範囲、すなわちM10mm〜M20mmの範囲では有効である。
なお、これは、上部リングが一段コイルにした結果であった。したがって、大脳深部の広域の磁気刺激を達成するためには、多段コイル、渦巻き型のコイル又は下記に示す四つ葉クローバー型コイルがより有効であることが判った。
(実施例3)
四つ葉クローバー型コイルを用いた場合の例を示す。各コイルの直径100mmであり、向い合うコイルとコイルの成す角度を120度とした四つ葉クローバー型コイルを用いた。他の条件は、実施例1と同様の条件とした。コイル内の各位置における磁界の強さをサーチコイルで測定した。図6にその結果を示す。
実施例1と同様に、図6の横軸は、磁界分布を測定したコイル2からの距離(高さ)を示す。図6の結果は、実施例1すなわち図3と類似していた。この図6に示すように、ショートリングの中心(図の◆記号:0mm)の磁場強度は、M0mm(一段コイルの上方0mm)近傍の位置における1.6mvから徐々に減衰するが、M30mm(一段コイルの上方30mm)で、1.0mv程度となり、M50mmの位置においても、0.6mvを維持している。
一方、ショートリングの中心から外側に55mm離れた位置(図の記号□:55mm)の磁場強度は、M0mm(一段コイルの上方0mm)近傍の位置における3.2mvから急激に減衰し、M20mmで0.5mvに、M30mmで0.5mv、M40mvで0.2mv程度に低下した磁場強度が測定された。
その後、頭頂部であるM80mm(一段コイルの上方90mm)まで、さらに減衰し、殆んど0mvとなった。これにより、大脳中心部の磁気刺激が有効に行うことが可能である共に、脳皮質への磁場の影響が極めて少なくなすることができることが判る。これは、ショートリングを配置し、四つ葉クローバー型コイルを用いたことにより、達成できたものである。
図6におけるグラフに示す磁場発生強度は、任意に調整できるものであるが、中心(0mm)と外周部(55mm)の相対的な磁場強度の傾向は、変化がないことが理解できるであろう。また、実施例1と同様に、ショートリングの個数、形状及び配置は、上部コイルと下部コイルの間に配置することを除いて、特に制限はなく任意であることも、理解されるべきことである。
上記の通り、四つ葉クローバー型コイルを用いると、傾斜磁場の合成によって磁場分布が狭まり、収束性をさらに向上させることができることが分った。
本発明の収束磁界発生コイルを用いることにより、脳深部に焦点を合わせた磁気刺激ができる。これによって脳深部機能を診断が可能になるとともに、テンカンやパーキンソン病など脳深部に原因がある難病の診断や治療に有用である。
4段の多段コイル、対抗する1段のコイル及びその間にショートリングを配置した場合の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイルの概念説明図である。 クローバー型の多段コイルの説明図である。 4段の上コイルと1段の下コイルからなり、かつ上下のコイル間に直径120mmのショートリングを配置した場合の、磁界の分布を示すグラフである。 1段の上コイルと1段の下コイルからなり、かつ上下のコイル間にショートリングを配置しない場合、磁界の分布を示すグラフである。 1段の上コイルと1段の下コイルからなり、かつ上下のコイル間にショートリングを配置した場合、磁界の分布を示すグラフである。 四つ葉クローバー型の上コイルと1段の下コイルからなり、かつ上下のコイル間に直径120mmのショートリングを配置した場合の、磁界の分布を示すグラフである。
符号の説明
1: 多段コイル
2: 対抗するコイル
3: ショートリング
4: 収束磁界
5: 電源コード
6: 人体の頭部

Claims (5)

  1. 一組のコイルを対向させて配置し、当該コイルをそれぞれ逆方向に励磁すると共に、前記コイルの間に閉回路の導電体のリングを配置したことを特徴とする経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル。
  2. 前記一組のコイルの少なくとも一方が、1又は複数のコイルから構成されていることを特徴とする請求項1記載の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル。
  3. 前記閉回路の導電体のリングが、一又は複数のリングから構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル。
  4. 対向させて配置した一組のコイルが複数のコイルから構成されている場合において、この複数のコイルの、それぞれの中心が、対向するコイルの中央から立体的に離れる位置に配置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル。
  5. 前記複数コイルのそれぞれが、90°〜180°の傾きをもって配置されていることを特徴とする請求項4記載の経頭蓋磁気刺激用収束磁界発生コイル。
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