JP2009036241A - 車輪軸受用のシール構造車輪支持軸受ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受の回転トルクを増加させることなく、圧入位置精度を下げることなく、防水性能を向上させた車輪軸受用のシール構造を提供する。
【解決手段】外輪8(静止輪)内輪7(回転輪)間の軸受内部空間をシールするシール構造1は、外輪に圧入される固定部31と、固定部31から内輪方向に延設される円板部33と、円板部33の内径端33aから軸受外方に延びた円筒部34で構成された第1シール部材Aと、内輪に圧入される固定部21と、固定部21から延設される円板部23とで構成された第2シール部材Bとで構成され、第1シール部材と第2シール部材間は接触の第1シール領域αを備え、第1シール領域よりも外輪側に備えられる第2シール領域は、第1シール部材の固定部と円筒部間で構成される断面視コの字状の隙間Cと、第2シール部材の円板部から延設され、断面視コの字状の隙間C内に非接触で内装される円筒部24とで構成される。
【選択図】図1
【解決手段】外輪8(静止輪)内輪7(回転輪)間の軸受内部空間をシールするシール構造1は、外輪に圧入される固定部31と、固定部31から内輪方向に延設される円板部33と、円板部33の内径端33aから軸受外方に延びた円筒部34で構成された第1シール部材Aと、内輪に圧入される固定部21と、固定部21から延設される円板部23とで構成された第2シール部材Bとで構成され、第1シール部材と第2シール部材間は接触の第1シール領域αを備え、第1シール領域よりも外輪側に備えられる第2シール領域は、第1シール部材の固定部と円筒部間で構成される断面視コの字状の隙間Cと、第2シール部材の円板部から延設され、断面視コの字状の隙間C内に非接触で内装される円筒部24とで構成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、車輪支持用軸受ユニットに使用されるシール構造の防水性能向上に関するものである。
従来から、例えば自動車の車輪を懸架する車輪支持用軸受ユニットの軸受の軸方向両端にはそれぞれシール構造を備えている。車輪支持用軸受ユニットは、例えば、図示を省略するが、車体側に固定される静止輪(例えば外輪8)と、該外輪8と相対回転可能に外輪8の内側に対向して設けられ且つ車輪側に接続(固定)されて車輪と共に回転する回転輪(例えば内輪7)と、内外輪間に複列(例えば2列)で回転可能に組み込まれた複数の転動体とを備える。
このような、車輪支持用軸受ユニットの軸受の軸方向両端にはそれぞれシール構造を備えている。これらのシール構造は、外輪8と内輪7との間の軸受内部空間を軸受外部からシール(密封)することにより、軸受外部からの泥水等の侵入を防ぐとともに軸受内部からの潤滑油の流出を防いでいる。
これらのシール構造のうち、軸受の車体側に配されるパックシールは、従来から、図5に示すように、内輪7に圧入される固定部21の一端22から外径方向に円板部23を一体に延設して断面視L字型に構成された第2シール部材(スリンガー)2と、外輪8に圧入される固定部31の一端32から内径方向に円板部33を一体に延設して断面視L字型に構成された第1シール部材(芯金)3が、一方の固定部21と他方の固定部31が対向するとともに、一方の円板部23と他方の円板部33が対向して配されている。
該芯金3には、弾性材からなるシール部材3aが芯金3に一体に備えられるとともに、該シール部材3aのリップ4,5,6がそれぞれ、スリンガー2の固定部21の内周面23aおよび円板部23の内周面21aと摺接することによって複数の接触シール領域(リップシール)が構成されている(特許文献1参照)。
このような、車輪支持用軸受ユニットの軸受の軸方向両端にはそれぞれシール構造を備えている。これらのシール構造は、外輪8と内輪7との間の軸受内部空間を軸受外部からシール(密封)することにより、軸受外部からの泥水等の侵入を防ぐとともに軸受内部からの潤滑油の流出を防いでいる。
これらのシール構造のうち、軸受の車体側に配されるパックシールは、従来から、図5に示すように、内輪7に圧入される固定部21の一端22から外径方向に円板部23を一体に延設して断面視L字型に構成された第2シール部材(スリンガー)2と、外輪8に圧入される固定部31の一端32から内径方向に円板部33を一体に延設して断面視L字型に構成された第1シール部材(芯金)3が、一方の固定部21と他方の固定部31が対向するとともに、一方の円板部23と他方の円板部33が対向して配されている。
該芯金3には、弾性材からなるシール部材3aが芯金3に一体に備えられるとともに、該シール部材3aのリップ4,5,6がそれぞれ、スリンガー2の固定部21の内周面23aおよび円板部23の内周面21aと摺接することによって複数の接触シール領域(リップシール)が構成されている(特許文献1参照)。
また、パックシールは、自動車の走行中に直接泥水がかかったり、自動車の洗車時に高圧の水が吹き付けられたりするので、図3に示すパックシールや特許文献1では、スリンガー2の円板部23の外径部23bと芯金3の固定部31とで、直線状のラビリンスを形成して、勢いのある水が直接接触シールに達することを防止している。
しかし、この場合には、車輪支持用軸受ユニットが配されるアクセル(車軸)周辺の構造によっては、ラビリンスの機能が不足する虞がある。
そこで、接触シールのリップを増やせば、パックシールの防水性能が向上するが、その反面、パックシールのトルクが増加するので、車輪の円滑な回転を阻害して自動車の燃費に悪影響がでる虞がある。
しかし、この場合には、車輪支持用軸受ユニットが配されるアクセル(車軸)周辺の構造によっては、ラビリンスの機能が不足する虞がある。
そこで、接触シールのリップを増やせば、パックシールの防水性能が向上するが、その反面、パックシールのトルクが増加するので、車輪の円滑な回転を阻害して自動車の燃費に悪影響がでる虞がある。
そこで、特許文献2では、シール部材をコの字型に形成するとともに、スリンガーの外径側に円筒部を形成し、該コの字部分にスリンガーの外径側の円筒部を差し入れるように配することによってコの字型のラビリンスを形成することが提案されている。
特許文献3では、芯金3の固定部31の内周面までシール部材を延設するとともに、スリンガーの外径側に円筒部を形成し、該延設されたシール部材とスリンガーの円筒部とでラビリンスを形成することが提案されている。しかし、特許文献2や特許文献3の技術手段を持っても、未だ望まれる防水性能には達しておらず、さらに防水性能が向上したパックシールが望まれていた。
特許文献3では、芯金3の固定部31の内周面までシール部材を延設するとともに、スリンガーの外径側に円筒部を形成し、該延設されたシール部材とスリンガーの円筒部とでラビリンスを形成することが提案されている。しかし、特許文献2や特許文献3の技術手段を持っても、未だ望まれる防水性能には達しておらず、さらに防水性能が向上したパックシールが望まれていた。
本発明の目的は、軸受の回転トルクを増加させることなく、圧入位置精度を下げることなく、防水性能を向上させた車輪軸受用のシール構造を提供することである。
上記課題を達成するために、本発明が成した技術的手段は、相対回転可能に構成された静止輪と回転輪との間の軸受内部空間をシールするシール構造であって、静止輪に圧入される固定部と、固定部から回転輪方向に延設される円板部とで構成された第1シール部材と、回転輪に圧入される固定部と、固定部から静止輪との間に隙間を持って延設され、第1シール部材よりも軸受外方寄りに配置される円板部とで構成された第2シール部材とで構成され、この第1シール部材と第2シール部材との間に接触の第1シール領域を備えるとともに、第1シール領域よりも静止輪側に第2シール領域を備え、この第1シール部材は、円板部から軸受外方に延びた1つ又は複数の円筒部を備え、第2シール領域は、前記第1シール部材を構成する固定部と円筒部との間、若しくは円板部から径方向に所定の間隔をあけて軸受外方に延びた複数の円筒部の間で構成され、円周方向に連続する断面視コの字状の隙間と、前記第2シール部材の円板部から延設され、前記断面視コの字状の隙間内に非接触で内装される円筒部と、前記断面視コの字状の隙間と円筒部との間に充填される防水グリースとで構成されたことを特徴とする車輪軸受用のシール構造としたことである。その断面視コの字状部は、防水グリースの漏洩を防止する漏洩防止機構を備える場合もある。
また、第1シール部材と第2シール部材はパックシールを形成しても良い。そのパックシールは、第1シール部材の少なくとも一部および第2シール部材の少なくとも一部が、弾性部材に被覆されず、それぞれ車輪軸受の車体側に露出している部位を有していても良い。これらのシール構造は、車輪支持軸受ユニットに適用されていても良い。
また、第1シール部材と第2シール部材はパックシールを形成しても良い。そのパックシールは、第1シール部材の少なくとも一部および第2シール部材の少なくとも一部が、弾性部材に被覆されず、それぞれ車輪軸受の車体側に露出している部位を有していても良い。これらのシール構造は、車輪支持軸受ユニットに適用されていても良い。
本発明によれば、軸受の回転トルクを増加させることなく、圧入位置精度を下げることなく、防水性能を向上させた車輪軸受用のシール構造を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る車輪軸受用のシール構造1について、添付図面に基づいて説明する。
シール構造1が適用される車輪支持軸受ユニットの構成は、前述した従来の一般的な車輪支持軸受ユニットの構成と同様である。シール構造1は、このような車輪軸受ユニットの軸受の軸方向両端に配され、相対回転可能に構成された静止輪(外輪8)と回転輪(内輪7)との間の軸受内部空間を軸受外部からシール(密封)することにより、軸受外部からの泥水等の侵入を防ぐとともに軸受内部からの潤滑油の流出を防ぐ。なお、本実施形態によるシール構造1は軸受の車体側に配されるパックシールである。
シール構造1が適用される車輪支持軸受ユニットの構成は、前述した従来の一般的な車輪支持軸受ユニットの構成と同様である。シール構造1は、このような車輪軸受ユニットの軸受の軸方向両端に配され、相対回転可能に構成された静止輪(外輪8)と回転輪(内輪7)との間の軸受内部空間を軸受外部からシール(密封)することにより、軸受外部からの泥水等の侵入を防ぐとともに軸受内部からの潤滑油の流出を防ぐ。なお、本実施形態によるシール構造1は軸受の車体側に配されるパックシールである。
第1の実施形態によるシール構造(パックシール)1は、図1に示すように、第1シール部材Aと第2シール部材Bの2つの構成部品で構成され、パックシールとして組み立てられたうえで、内輪7と外輪8との間に圧入して組み込まれる。
第1シール部材Aは、外輪8の内径面に圧入される固定部31と、固定部31から内輪7方向(内径方向)に延設される円板部33と、該円板部33の内径端33aから軸受外方(図中の右向き矢印方向)に延びた円筒部34で構成されている。
第2シール部材Bは、内輪7の外径面に圧入される固定部21と、該固定部21から、外輪8の内径面に圧入された第1シール部材Aの固定部31との間に隙間を持って延設され、第1シール部材Aよりも軸受外方(図中の右向き矢印方向)寄りに配置される円板部23と、円板部23の外径端23bから軸受内方(図中の右向き矢印と逆の方向)に延設された円筒部24とで構成されている。
この第1シール部材Aと第2シール部材Bとにより、接触の第1シール領域αと、第1シール領域αよりも外輪8側に備えられた第2シール領域βが形成されている。
第2シール部材Bは、内輪7の外径面に圧入される固定部21と、該固定部21から、外輪8の内径面に圧入された第1シール部材Aの固定部31との間に隙間を持って延設され、第1シール部材Aよりも軸受外方(図中の右向き矢印方向)寄りに配置される円板部23と、円板部23の外径端23bから軸受内方(図中の右向き矢印と逆の方向)に延設された円筒部24とで構成されている。
この第1シール部材Aと第2シール部材Bとにより、接触の第1シール領域αと、第1シール領域αよりも外輪8側に備えられた第2シール領域βが形成されている。
第1シール領域αは、具体的には、例えば次の構成が採用可能である。
第2シール部材Bの固定部21の内面21aには弾性材9が一体に備えられ、該弾性材9は、第1シール部材Aの円筒部34に向けてリップ9bが延出するとともに、該リップ9bの先端側9bが円筒部34に摺接している。
弾性材9の材質として、本実施形態では、ニトリルゴムやアクリルゴム等が使用される。なお、弾性材9を形成する材料は、これに限定されず、接触シールを形成することができれば、どのような材料で形成されていても良い。例えば、その他のゴムやプラスチックで形成されていても良い。
第2シール部材Bの固定部21の内面21aには弾性材9が一体に備えられ、該弾性材9は、第1シール部材Aの円筒部34に向けてリップ9bが延出するとともに、該リップ9bの先端側9bが円筒部34に摺接している。
弾性材9の材質として、本実施形態では、ニトリルゴムやアクリルゴム等が使用される。なお、弾性材9を形成する材料は、これに限定されず、接触シールを形成することができれば、どのような材料で形成されていても良い。例えば、その他のゴムやプラスチックで形成されていても良い。
第2シール領域βは、前記第1シール部材Aを構成する固定部31と円筒部34との間で構成される円周方向に連続する断面視コの字状の隙間Cと、その隙間C内に非接触で内装される第2シール部材の円筒部24と、前記隙間Cと円筒部24との間に充填される防水グリースGとで構成されている。
本実施形態では、前記断面視コの字状の隙間Cの内面には、断面視コの字状の弾性材10が一体に備えられている。従って、本実施形態では、この弾性材10の内面と、円筒部24との間に防水グリースGが充填されている。また、該弾性材10の軸受外方(図中の右向き矢印方向)の一対の端部10a,10bはそれぞれ、内向き(対向方向)に曲折されるとともに、第2シール部材Bの円筒部24に近接して、それぞれ非接触のラビリンスL1,L2を形成し、防水グリースGが漏洩することを防止する漏洩防止機構を構成している。本実施形態では、防水グリースGとして、ちょう度の低い(硬い)グリースが採用される。
なお、弾性材10の材質として、本実施形態では、ニトリルゴムやアクリルゴム等が使用される。なお、弾性材10を形成する材料は、これに限定されず、防水グリースGが漏洩することを防止することができ、防水グリースGによって変質することがない材料であれば、どのような材料で形成されていても良い。例えば、その他のゴムやプラスチックで形成されていても良い。
本実施形態では、前記断面視コの字状の隙間Cの内面には、断面視コの字状の弾性材10が一体に備えられている。従って、本実施形態では、この弾性材10の内面と、円筒部24との間に防水グリースGが充填されている。また、該弾性材10の軸受外方(図中の右向き矢印方向)の一対の端部10a,10bはそれぞれ、内向き(対向方向)に曲折されるとともに、第2シール部材Bの円筒部24に近接して、それぞれ非接触のラビリンスL1,L2を形成し、防水グリースGが漏洩することを防止する漏洩防止機構を構成している。本実施形態では、防水グリースGとして、ちょう度の低い(硬い)グリースが採用される。
なお、弾性材10の材質として、本実施形態では、ニトリルゴムやアクリルゴム等が使用される。なお、弾性材10を形成する材料は、これに限定されず、防水グリースGが漏洩することを防止することができ、防水グリースGによって変質することがない材料であれば、どのような材料で形成されていても良い。例えば、その他のゴムやプラスチックで形成されていても良い。
本実施形態によるシール構造(パックシール)1は、第2シール領域βを備えているので、シール構造(パックシール)1の車体側(図中の右向き矢印側)から勢いのある水を掛けられた場合であっても、水は第2シール領域βで跳ね返され、第1シール領域αに達することがない。
また、万一、水が第2シール領域βに侵入した場合であっても、第2シール領域βのコの字状の隙間Cには防水グリースが充填されているので、水は第2シール領域βを通過することができない。
これにより、従来のシール構造(パックシール)1と比べて、防水性能を向上させることができる。また、第1シール領域αの接触シールを増加する必要もないので、シール構造(パックシール)1のトルクが増加することもなく、軸受の回転トルクの増加を防止することができる。
また、万一、水が第2シール領域βに侵入した場合であっても、第2シール領域βのコの字状の隙間Cには防水グリースが充填されているので、水は第2シール領域βを通過することができない。
これにより、従来のシール構造(パックシール)1と比べて、防水性能を向上させることができる。また、第1シール領域αの接触シールを増加する必要もないので、シール構造(パックシール)1のトルクが増加することもなく、軸受の回転トルクの増加を防止することができる。
本実施形態では、弾性材10の一対の端部10a,10bは、第2シール部材Bの円筒部24に近接して非接触のラビリンスを形成する場合を説明したが、これに限定されず、端部10a,10bは、第2シール部材Bの円筒部24に接触していても良い。この場合には、シール構造(パックシール)1のトルク増加を防止するため、端部10a,10bの嵌めしろは、殆どゼロに設定されていることが好ましい。
また、本実施形態では、前記断面視コの字状の隙間Cの内面に、断面視コの字状の弾性材10を一体に備えた場合を説明したが、これに限定されず、弾性材10に代えて芯金によって同様の形状に形成されていても良い。この場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、前記断面視コの字状の隙間Cの内面に、断面視コの字状の弾性材10を一体に備えた場合を説明したが、これに限定されず、弾性材10に代えて芯金によって同様の形状に形成されていても良い。この場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。
第2の実施形態によるシール構造(パックシール)1は、図2に示すように、第1シール部材Aと第2シール部材Bの2つの構成部品で構成され、パックシールとして組み立てられたうえで、内輪7と外輪8との間に圧入して組み込まれる。
第2の実施形態によるシール構造(パックシール)1は、図2に示すように、第1シール部材Aと第2シール部材Bの2つの構成部品で構成され、パックシールとして組み立てられたうえで、内輪7と外輪8との間に圧入して組み込まれる。
第1シール部材Aは、外輪8の内径面に圧入される固定部31と、固定部31から内輪7方向(内径方向)に延設される円板部33と、該円板部33のほぼ中央位置33bから軸受外方(図中右向き矢印方向)に延びた円筒部34で構成されている。
第2シール部材Bは、内輪7に圧入される固定部21と、該固定部21から、外輪8の内径面に圧入された第1シール部材Aの固定部31との間に隙間を持って延設され、第1シール部材Aよりも軸受外方(図中右向き矢印方向)寄りに配置される円板部23と、円板部23の外径端23bから軸受内方(図中の右向き矢印と逆の方向)に延設された円筒部24とで構成されている。
第2シール部材Bは、内輪7に圧入される固定部21と、該固定部21から、外輪8の内径面に圧入された第1シール部材Aの固定部31との間に隙間を持って延設され、第1シール部材Aよりも軸受外方(図中右向き矢印方向)寄りに配置される円板部23と、円板部23の外径端23bから軸受内方(図中の右向き矢印と逆の方向)に延設された円筒部24とで構成されている。
この第1シール部材Aと第2シール部材Bとにより、接触の第1シール領域αと、第1シール領域αよりも外輪8側に備えられた第2シール領域βが形成されている。
第1シール領域αは、具体的には、例えば次の構成が採用可能である。
第1シール部材Aの円板部33の内径側33aには弾性材9が一体に備えられ、該弾性材9は、リップ4が第2シール部材Bの円板部23に向けて延出するとともに、円板部23の内面23aと摺接する。さらに、リップ5およびリップ6がそれぞれ第2シール部材Bの固定部21に向けて延出するとともに、固定部21の内周面21aと摺接している。
弾性材9の材質として、本実施形態では、ニトリルゴムやアクリルゴム等が使用される。なお、弾性材9を形成する材料は、これに限定されず、接触シールを形成することができれば、どのような材料で形成されていても良い。例えば、その他のゴムやプラスチックで形成されていても良い。
第1シール部材Aの円板部33の内径側33aには弾性材9が一体に備えられ、該弾性材9は、リップ4が第2シール部材Bの円板部23に向けて延出するとともに、円板部23の内面23aと摺接する。さらに、リップ5およびリップ6がそれぞれ第2シール部材Bの固定部21に向けて延出するとともに、固定部21の内周面21aと摺接している。
弾性材9の材質として、本実施形態では、ニトリルゴムやアクリルゴム等が使用される。なお、弾性材9を形成する材料は、これに限定されず、接触シールを形成することができれば、どのような材料で形成されていても良い。例えば、その他のゴムやプラスチックで形成されていても良い。
第2シール領域βは、前記第1シール部材Aを構成する固定部31と円筒部34との間で構成される円周方向に連続する断面視コの字状の隙間Cと、その隙間C内に非接触で内装される円筒部24と、前記隙間Cと円筒部24との間に充填される防水グリースGとで構成されている。
また、円筒部24の軸受内方(図中の右向き矢印と反対方向)の端部24aは、第1シール部材Aの固定部31に向けて曲折されるとともに、該固定部31に近接して非接触のラビリンスL3を形成している。
さらに、第1シール部材Aの円筒部34の軸受外方(図中の右向き矢印方向)の端部34aには、第2シール部材Bの円筒部24に向けて非接触のリップ12が延出するとともに、該円筒部24に近接して非接触のラビリンスL4を形成している。なお、本実施形態では、リップ12は、前記第1シール領域の弾性材9が延設されることによって形成されている。
また、円筒部24の軸受内方(図中の右向き矢印と反対方向)の端部24aは、第1シール部材Aの固定部31に向けて曲折されるとともに、該固定部31に近接して非接触のラビリンスL3を形成している。
さらに、第1シール部材Aの円筒部34の軸受外方(図中の右向き矢印方向)の端部34aには、第2シール部材Bの円筒部24に向けて非接触のリップ12が延出するとともに、該円筒部24に近接して非接触のラビリンスL4を形成している。なお、本実施形態では、リップ12は、前記第1シール領域の弾性材9が延設されることによって形成されている。
防水グリースGは、前記断面視コの字状の隙間Cであって、円筒部24の端部24a(ラビリンスL3)とリップ12(ラビリンスL4)とで形成される領域に充填される。このとき、前記ラビリンスL3,L4は、防水グリースGが漏洩することを防止する漏洩防止機構を構成している。なお、本実施形態では、防水グリースGとして、ちょう度の低い(硬い)グリースが採用される。
本実施形態においても、前記第1の実施形態と同様の効果を得ることができるので、ここではその説明を省略する。
本実施形態においても、前記第1の実施形態と同様の効果を得ることができるので、ここではその説明を省略する。
上述した各実施形態では、第2シール領域βにおいて、第2シール部材Bの円筒部24が内装される断面視コの字状の隙間Cを、前記第1シール部材Aの固定部31と円筒部34との間で構成した場合を説明したが、これに限定されない。
例えば、図3及び図4に示すように、円筒部34から内径方向に所定の間隔をあけて第2の円筒部34cを配するとともに、円筒部34と第2の円筒部34cとの間に円板部33を延長することによって、断面視コの字状の隙間Cを構成しても良い。
この場合には、第2シール部材Bの円筒部24は、断面視コの字状の隙間Cの位置に合わせて、第2シール部材Bの円板部23の中途位置から延出させるとともに、隙間Cに内装し、該断面視コの字状の隙間Cと円筒部24との間に耐水グリースGを充填すれば良い。
このように、第2シール部材Bの円筒部24を円板部23の中途位置から延出することによって、円板部23は、スリンガーとしての機能を保つことができるので、シール構造(パックシール)1の防水性能が向上する。
例えば、図3及び図4に示すように、円筒部34から内径方向に所定の間隔をあけて第2の円筒部34cを配するとともに、円筒部34と第2の円筒部34cとの間に円板部33を延長することによって、断面視コの字状の隙間Cを構成しても良い。
この場合には、第2シール部材Bの円筒部24は、断面視コの字状の隙間Cの位置に合わせて、第2シール部材Bの円板部23の中途位置から延出させるとともに、隙間Cに内装し、該断面視コの字状の隙間Cと円筒部24との間に耐水グリースGを充填すれば良い。
このように、第2シール部材Bの円筒部24を円板部23の中途位置から延出することによって、円板部23は、スリンガーとしての機能を保つことができるので、シール構造(パックシール)1の防水性能が向上する。
また、断面視コの字状の隙間Cは複数備えられていても良い。その場合には、第2シール部材Bの円筒部24も断面視コの字状の隙間Cの数に合わせて形成するとともに、各断面視コの字状の隙間Cに第2シール部材Bの各円筒部24が内装され、耐水グリースGが充填されれば良い。これにより、シール構造(パックシール)1の耐水性能をさらに向上させることができる。
なお、上述した各実施形態において、パックシール1は、第1シール部材の少なくとも一部および第2シール部材の少なくとも一部が、弾性部材に被覆されず、それぞれ車輪軸受の車体側に露出している部位を有している。
具体的には、各実施形態において、第1シール部材Aの固定部31の車体側端部31bと、第2シール部材Bの円板部23の車体側面23dが、夫々車体側に露出している(図1及び図2参照)。
これにより、外輪8と内輪7との間にパックシール1を圧入する際に、圧入位置の精度を保つことができる。
具体的には、各実施形態において、第1シール部材Aの固定部31の車体側端部31bと、第2シール部材Bの円板部23の車体側面23dが、夫々車体側に露出している(図1及び図2参照)。
これにより、外輪8と内輪7との間にパックシール1を圧入する際に、圧入位置の精度を保つことができる。
また、上述した各実施形態におけるシール構造(パックシール)1は、軸受の回転トルクを増加させることなく、圧入位置精度を下げることなく、防水性能を向上させることが望まれる軸受ユニットであれば、車輪支持軸受ユニット以外の軸受ユニットに適用することも本発明の範囲内である。
1 シール構造
7 内輪
8 外輪
21 第2シール部材の固定部
23 第2シール部材の円板部
24 第2シール部材の円筒部
31 第1シール部材の固定部
33 第1シール部材の円板部
34 第1シール部材の円筒部
A 第1シール部材
B 第2シール部材
C 第1シール部材の断面視コの字状の隙間
α 第1シール領域
β 第2シール領域
7 内輪
8 外輪
21 第2シール部材の固定部
23 第2シール部材の円板部
24 第2シール部材の円筒部
31 第1シール部材の固定部
33 第1シール部材の円板部
34 第1シール部材の円筒部
A 第1シール部材
B 第2シール部材
C 第1シール部材の断面視コの字状の隙間
α 第1シール領域
β 第2シール領域
Claims (5)
- 相対回転可能に構成された静止輪と回転輪との間の軸受内部空間をシールするシール構造であって、
静止輪に圧入される固定部と、固定部から回転輪方向に延設される円板部とで構成された第1シール部材と、
回転輪に圧入される固定部と、固定部から静止輪との間に隙間を持って延設され、第1シール部材よりも軸受外方寄りに配置される円板部とで構成された第2シール部材とで構成され、
この第1シール部材と第2シール部材との間に接触の第1シール領域を備えるとともに、第1シール領域よりも静止輪側に第2シール領域を備え、
この第1シール部材は、円板部から軸受外方に延びた1つ又は複数の円筒部を備え、
第2シール領域は、前記第1シール部材を構成する固定部と円筒部との間、若しくは円板部から径方向に所定の間隔をあけて軸受外方に延びた複数の円筒部の間で構成され、円周方向に連続する断面視コの字状の隙間と、
前記第2シール部材の円板部から延設され、前記断面視コの字状の隙間内に非接触で内装される円筒部と、
前記断面視コの字状の隙間と円筒部との間に充填される防水グリースとで構成されたことを特徴とする車輪軸受用のシール構造。 - 断面視コの字状部は、防水グリースの漏洩を防止する漏洩防止機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の車輪軸受用のシール構造。
- 第1シール部材と第2シール部材はパックシールを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輪軸受用のシール構造。
- パックシールは、第1シール部材の少なくとも一部および第2シール部材の少なくとも一部が、弾性部材に被覆されず、それぞれ車輪軸受の車体側に露出している部位を有していることを特徴とする請求項3に記載の車輪軸受用のシール構造。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のシール構造を適用した車輪支持軸受ユニット。
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---|---|---|---|
JP2007199095A JP2009036241A (ja) | 2007-07-31 | 2007-07-31 | 車輪軸受用のシール構造車輪支持軸受ユニット |
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Publications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2007
- 2007-07-31 JP JP2007199095A patent/JP2009036241A/ja active Pending
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