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JP2009024204A - 炭化物被覆ニッケル粉末およびその製造方法 - Google Patents

炭化物被覆ニッケル粉末およびその製造方法 Download PDF

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JP2009024204A JP2007187128A JP2007187128A JP2009024204A JP 2009024204 A JP2009024204 A JP 2009024204A JP 2007187128 A JP2007187128 A JP 2007187128A JP 2007187128 A JP2007187128 A JP 2007187128A JP 2009024204 A JP2009024204 A JP 2009024204A
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Yasuo Kakihara
康男 柿原
Yoshifumi Mitani
佳史 三谷
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Abstract

【課題】 本発明は、積層セラミックコンデンサーや多層セラミック基板等の内部電極材料に適した窒素原子を骨格中に含む炭化物被覆ニッケル粉末およびその製造方法に関する
【解決手段】 炭化物の被覆量が1〜70wt%であり、骨格中に含まれる窒素原子が全炭化物に対して15〜30wt%である炭化物で被覆された平均粒子径50〜200nmのニッケル粉末により課題は達成され、該ニッケル粉末は、ニッケル塩とアミノ酸の重合体である高分子分散剤を溶解させた水溶液にアンモニウムイオンを生成する化合物を添加してニッケルアンモニア錯体を形成させ、次いで、炭酸イオンを生成する化合物を添加して加熱した後、水分を除去して乾燥物とした後、窒素雰囲気下で該乾燥物を焼成することにより製造される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサーや多層セラミック基板等の内部電極材料に適した窒素を含む炭化物で被覆されたニッケル粉末およびその製造方法に関する。
粒子径の小さなニッケル粉末は、厚膜導電体材料として積層セラミックコンデンサー(以下、MLCCと呼ぶ)や多層セラミック基板等の電気回路形成のため使用されている。
MLCCはセラミック誘電体層と内部電極層とが交互に複数積層した構造をしている。内部電極部層は導電材料の金属粉末をバインダー中に分散させペースト化し、該ペーストをセラミックグリーンシート上に印刷し、該印刷した基材を複数積層させて加熱圧着した後、還元雰囲気中で加熱焼成することによって作製されている。
従来、MLCCの内部電極材料としては、PdやAg−Pdなどの貴金属粉末が使われてきた。貴金属は空気中で焼成できるのでMLCCの作製に好適に用いることが出来るが、材料が高価という問題がある。そのため、内部電極材料は比較的安価なニッケル粉末に置き換えられてきている。
しかしながら、ニッケル粉末は貴金属粉末を用いた場合に比べて耐酸化性が劣るため、焼成時にニッケル粉末の一部が酸化されてしまい、セラミック誘電体層へ拡散するという問題がある。
ところで、MLCCを作製する際の焼成温度は、例えば、セラミック誘電体層の材料として広く使われているBaTiOを用いる場合には1100℃以上の加熱を必要とする。しかし、ニッケル粉末の熱収縮開始温度が400〜500℃であるため、セラミック誘電体層と共焼成した際に、積層したセラミック誘電体層とニッケル層の間に熱収縮率の差から歪みが生じ、デラミネーションやクラックが生じ、MLCCの性能が低下することになる。
そこで、ニッケル粉末を用いることで生じるデラミネーションやクラックを抑制する方法が種々提案されている。
塩化ニッケルガスと四塩化チタンガスを混合し、これらのガスと塩化ニッケルの還元ガスおよび四塩化チタンの酸化ガスとを反応させて、ニッケルと二酸化チタンを同時に合成した酸化チタン被覆ニッケル粉末を調製する方法が提案されている(特許文献1:特開2005−240076号公報)。しかしながら、この方法では調製されたニッケル粉末の表面だけでなくニッケル粉末の内部にもチタン酸化物が形成されてしまうため、前記酸化物が、電極を形成した際に不純物として残留してしまう問題が考えられ、さらに、塩化ニッケルをガス化させるための特別な真空装置を必要とする。
また、オングミルやハイブリダイザーなどを用いて酸化物被覆ニッケル粉末を調製する方法が提案されている(特許文献2:特開平11−343501号公報)。しかし、オングミルやハイブリダイザーを用いて調製された酸化物被覆ニッケル粉末は、酸化物粒子とニッケル粒子との付着力が弱いために酸化物粒子がニッケル粒子から剥離しやすく、熱収縮率の改善効果は非常に低いと考えられる。
また、ニッケル粉末の焼結開始温度を高くする方法として、ニッケル粉末に硫黄を含有させる技術が提案されている(特許文献3:特開平11−80817号公報)。しかしながら、本提案によって調製された硫黄含有ニッケル粉末では、焼結時に硫黄が誘電体層に拡散し、誘電体層の電気的特性を劣化させるおそれがある。
上記のような酸化物被覆ニッケル粉末や硫黄含有のニッケル粉末による問題点を改善する手法として、ニッケル粉末を炭素で被覆する方法が提案されている。
ニッケル粉末の表面を炭素により被覆することでニッケル粉末の耐熱性を向上させ、焼結開始温度を上げるという方法である。
ニッケル粉末とヘキサンなどの炭化水素ガスを300〜600℃の温度条件下で接触させることによりニッケル粉末表面に炭素層を被覆するという方法が提案されている。(特許文献4:特開2005−8960号公報)この手法によって調製された炭素被覆ニッケル粉末をMLCC内部電極材料に用いることにより、炭素を被覆していないニッケル粉末に比べて、焼結開始温度が上昇する。しかしながら、本提案で示されている炭化水素ガスとニッケル粉末との接触による表面反応の設定温度域は、同時に炭素で被覆されていないニッケル粉末の焼結開始温度でもある。本提案中にニッケル粉末表面への炭素の被覆がニッケル粉末の焼結に必ず優先して生じるという言及は一切なく、炭素被覆反応とニッケル粉末の焼結が反応系内で同時に発生していることが考えられ、本提案の手法はいまだ十分とは言い難いものである。また、高温の炭化水素ガスでニッケル粉末を処理するために、特別な装置が必要であり簡便な手法とは言いがたい。
また、ニッケル粉末とポリオールを混合した後に加熱することで前記ニッケル粉末表面に炭素被覆層を形成させる方法が提案されている(特許文献5:特開2005−154904号公報)。しかしながら、ニッケル粉末とポリオールとを混合した後に加熱する方法では、実施例の図に示されているニッケル粒子よりさらに微細であり、MLCC用として要求されている平均粒子径50〜200nmのニッケル粒子への適用を考えた場合、比較的軟らかい金属であるニッケル粒子を潰さないように凝集を解きながら該ニッケル粒子の表面を炭素で均一に被覆することは困難であると考えられる。
そのため粒子の凝集を防ぎながらニッケル粉末を炭素で均一に被覆するためには、ニッケル粉末の調製と同時にニッケル粉末の表面を炭素で被覆するという方法が好ましいと考えられる。
ニッケル粉末の調製と炭素被覆を同時に行う技術として、以下の方法が提案されている。
酢酸ニッケルを含む高分子分散剤水溶液にアンモニアを添加して加熱し、水酸化ニッケルコロイド水溶液を調製した後、該コロイド水溶液を乾燥させ、焼成することにより、炭素に被覆されたニッケル微粒子が調製できると報告されている(非特許文献1)。本方法によれば、ニッケル微粒子を調製すると同時にニッケル微粒子表面を炭素で均一に被覆することができる。
しかしながら、非特許文献1には粒子径10nm以下の炭素被覆ニッケル微粒子の調製方法しか記載されておらず、また本発明者らは本手法の追試を行ったが、MLCC用として要求されている平均粒子径50〜200nmの炭素被覆ニッケル粉末を調製することは困難であった。
通常、ニッケル塩の水溶液にアンモニアを添加して加熱すると、非常に微細な水酸化ニッケル粒子が生成する。そのために非特許文献1においても微細な水酸化ニッケル粒子のみしか生成することができず、結果的に粒子径50〜200nmの炭素被覆ニッケル粉末の調製が困難であったものと考えられる。
特開2005−240076号公報 特開平11−343501号公報 特開平11−80817号公報 特開2005−8960号公報 特開2005−154904号公報 Yongping Chen,外6名、「Novel Synthesis of Nanoporous Nickel Oxide and Nickel Nanoparticles/Amorphous Carbon Composites Using Soluble Starch as the Template」、Chemistry Letters 、2006年、第35巻、第7号、p.700―701
近年、電子機器の小型化に伴い、MLCCは小型化の傾向にあり、誘電体層および内部電極層の膜厚は1μm以下となってきている。そのため、薄層化に伴い小粒子径化が進んでおり、特に平均粒子径50〜200nmのニッケル粉末が要求されている。また、同時にデラミネーションやクラックの発生を抑制できるニッケル粉末が求められている。
しかしながら、従来提案されている酸化物によるニッケル粉末の被覆や、硫黄をニッケル粉末へ含有させる方法では、焼結開始温度を上昇させデラミネーションやクラックの発生を抑制する効果はあるが、被覆した酸化物あるいは含有した硫黄成分がセラミックス誘電体層に拡散しMLCCの特性を劣化させてしまうといった問題があった。
一方、酸化物や硫黄のセラミックス誘電体層への拡散を抑制するとともに焼結開始温度を上昇させるため、炭素でニッケル粉末を被覆する方法が提案されている。これはニッケル粉末の表面を炭素により被覆することで、ニッケル粉末の耐熱性を向上させ、焼結開始温度を上昇させようとする方法である。
しかしながら、従来の方法ではMLCC用に要求されている平均粒子径50〜200nmであって、耐熱性に優れた炭素被覆ニッケル粉末を調製することは困難であった。
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであって、平均粒子径が50〜200nmの範囲にあり、積層セラミックコンデンサー内部電極として好適に用いることができる耐熱性に優れた炭素被覆ニッケル粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らはニッケル粉末を被覆する炭素成分に着目し、どのような炭化物でニッケル粉末を被覆することで耐熱性が向上するかについて鋭意検討した結果、次の発明によって課題を達成することができることを見出した。
即ち、本発明は、窒素を含有する炭化物で被覆された平均粒子径50〜200nmのニッケル粉末である(本発明1)。
また、本発明は、窒素が全炭化物に対して15〜30wt%である炭化物で被覆された平均粒子径50〜200nmのニッケル粉末である(本発明2)。
また、本発明は、炭化物の被覆量が1〜70wt%であり、窒素が全炭化物に対して15〜30wt%である炭化物で被覆された平均粒子径50〜200nmのニッケル粉末である(本発明3)。
また、本発明は、ニッケル塩とアミノ酸の重合体である高分子分散剤を溶解した水溶液にアンモニウムイオンを生成する化合物を添加してニッケルアンモニア錯体を形成させ、次いで、炭酸イオンを生成する化合物を添加して加熱した後、水分を除去して乾燥物とした後、窒素雰囲気下で該乾燥物を焼成することを特徴とする窒素原子を骨格中に含有する炭化物で被覆されたニッケル粉末の製造方法である(本発明4)。
本発明に係るニッケル粉末は、窒素原子を骨格中に含有する炭化物で被覆された平均粒子径50〜200nmのニッケル粉末であるので、耐熱性に優れMLCCに好適に用いることができる。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
以下、本発明の炭化物の被覆量が1〜70wt%であり、骨格中に含まれる窒素原子が全炭化物に対して15〜30wt%である炭化物で被覆された平均粒子径50〜200nmのニッケル粉末とその製造方法について詳細に説明する。
この発明の実施形態に従って窒素原子を骨格中に含有する炭化物により被覆されたニッケル粉末を製造するとき、まずニッケル塩水溶液を用意する。ここでニッケル塩としては、例えば、塩化ニッケル、酢酸ニッケル等の水に可溶性なニッケル塩を含む水溶液が用いられる。
本発明の製造方法で用いられるニッケル塩水溶液の濃度は0.05〜2モル/Lであることが好ましい。
次に、アミノ酸の重合体である高分子分散剤の水溶液を用意して、上記ニッケル塩水溶液に添加する。アミノ酸の重合体である高分子分散剤とはタンパク質に分類される比較的高分子量の化合物のことであり、入手のし易さから、牛由来ゼラチン、豚由来ゼラチンあるいはその他のゼラチン誘導体などがより好適である。
本発明の製造方法において、アミノ酸の重合体である高分子分散剤の添加量はニッケル塩に対して質量で0.1倍以上、好ましくはニッケル塩の質量の0.2〜10倍であることが好適である。アミノ酸の重合体である高分子分散剤の添加量が0.1倍未満の場合には、焼成した際に炭酸ニッケルから脱炭酸して生成する酸化ニッケルを完全に還元できない。また、焼成後のニッケル粉末の焼結が進行しやすくなり、粒度分布が広くなってしまう。10倍を超える場合には、焼成後に得られるニッケル粉末の含窒素炭素含有量が高くなり、MLCC内部電極用に好適に用いることが困難となる。
次に、上記ニッケル塩とアミノ酸の重合体である高分子分散剤の混合水溶液に、アンモニウムイオンを生成する化合物を添加し、ニッケル塩水溶液を調製する。
アンモニウムイオンを生成する化合物には、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン、尿素などを用いることができる。
本発明の製造方法で用いられるアンモニウムイオンを生成する化合物の添加量は、ニッケル塩1モルに対して1〜10モルであることが好ましい。アンモニアの量が1モル未満であると、ニッケルアンモニア錯体が十分に形成されず、ゲル状の炭酸ニッケルが生成してしまい、焼成後の含窒素炭素被覆ニッケル粉末の粒度分布が広くなってしまう。
次に、炭酸イオンを生成する化合物を用意する。炭酸イオンを生成する化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は尿素等を含む水溶液が用いられる。
本発明の製造方法において、炭酸イオンを生成する化合物の使用量は、ニッケル塩1モルに対して、1〜10モルであることが好適である。炭酸イオンを生成する化合物の使用量が1モル未満であると、炭酸イオンを生成する化合物と反応しなかったニッケルアンモニア錯体から微細な水酸化ニッケルが生成してしまい、焼成後に得られる炭素被覆ニッケル粉末の粒子径が微細なものとなってしまう。
前記ニッケル塩水溶液と炭酸イオンを生成する化合物水溶液を混合して加熱することによって、炭酸ニッケル(塩基性炭酸ニッケルを含んでもよい)及び水酸化ニッケルの一種以上を含有する水溶液を調製することが好ましい。
なお、本発明においては、アンモニウムイオンを生成する化合物及び炭酸イオンを生成する化合物の両方の機能を有する化合物として、尿素を用いることができる。尿素を用いることで、アンモニウムイオンを生成する化合物を添加する工程、炭酸イオンを生成する化合物を添加する工程を同時に行うことができ、この場合の添加量は、両方の工程の添加量を合計量とすればよい。
本発明の製造方法において、ニッケル塩水溶液と炭酸イオンを生成する化合物の反応温度は50℃以上が好ましい。
次に、上記炭酸ニッケルおよび水酸化ニッケル含有水溶液の水分を除去し、アミノ酸の重合体である高分子分散剤と、炭酸ニッケル及び/又は水酸化ニッケルとの混合乾燥物を調製する。水洗、乾燥は、常法に従って行えばよい。
次に、上記乾燥物を雰囲気炉に入れて、窒素ガス雰囲気下で熱処理を行い、目的とする窒素原子を骨格中に含有する炭化物で被覆されたニッケル粉末を調製する。
本発明の製造方法において、乾燥後の炭酸ニッケル及び/又は塩基性炭酸ニッケルの焼成は窒素雰囲気下で行い、焼成温度は350〜700℃、焼成時間は1〜5時間が好ましい。
本発明に係るニッケル粉末の平均粒子径は50〜200nmである。ニッケル粉末の平均粒子径が前記範囲外の場合には、微細なニッケル粒子及び、粗大なニッケル粒子を含有することとなる。微細な粒子を含有するニッケル粉末を積層セラミックコンデンサーに用いた場合には、微細なニッケル粒子によって焼結温度が低温側にシフトしてしまい、デラミネーションやクラックを抑制することが困難となる。また、粗大な粒子を含有するニッケル粉末を積層セラミックコンデンサーに用いた場合では、粗大な粒子が電極間の誘電体層を突き破るため、デラミネーションやクラックを抑制することが困難となる。ニッケル粉末の平均粒子径は、好ましくは50〜150nmである。
本発明に係るニッケル粉末の粒子径の標準偏差は0.5〜100nmが好ましい。より好ましくは0.5〜50nmである。窒素原子を骨格中に含有する炭化物で被覆されたニッケル粉末の平均粒子径及び粒子径の標準偏差が前記範囲外の場合には、微細なニッケル粒子及び、粗大なニッケル粒子を含有することとなる。微細な粒子を含有するニッケル粉末を積層セラミックコンデンサーに用いた場合には、微細なニッケル粒子によって焼結温度が低温側にシフトしてしまい、デラミネーションやクラックを抑制することが困難となる。また、粗大な粒子を含有するニッケル粉末を積層セラミックコンデンサーに用いた場合では、粗大な粒子が電極間の誘電体層を突き破るため、デラミネーションやクラックを抑制することが困難となる。粒子径の標準偏差は0.5〜50nmがより好ましい。
本発明に係るニッケル粉末において、炭化物に含まれる窒素は全炭化物に対して15〜30wt%が好ましい。炭化物に含まれる窒素が全炭化物に対して15wt%より少ない場合あるいは30wt%より多い場合には耐熱性が不十分になるので好ましくない。炭化物中の窒素含有量は20〜30wt%がより好ましい。
ここで、窒素原子が骨格中に含まれた炭化物について説明する。通常、有機高分子を任意の条件で炭化処理することで炭素を骨格としたネットワーク状の炭化物が形成される。このとき、有機高分子中に窒素原子が含まれると加熱温度や加熱時の雰囲気ガスなどの炭化条件によって窒素原子が炭素原子に置換したネットワーク状の炭化物が形成される。このネットワークの構造は本発明の課題である耐熱性を左右する重要な因子のひとつである。本発明の意義は、アミノ酸の重合体である高分子分散剤を用い適切な炭化条件で処理することで、上述した範囲内の含有量の窒素原子が炭素原子と置換した構造を有する炭化物に被覆されたニッケル粉末を調製することができ、該ニッケル粉末が耐熱性に優れていることにある。
本発明に係るニッケル粉末において、被覆する炭化物の量は1〜70wt%が好ましい。含窒素炭素含有量が1wt%未満では、炭化物でニッケル粉末を完全に覆うことが出来ないため耐熱性が低く、デラミネーションやクラックを抑制することが困難となる。また炭素含有量が70wt%より多いと、電極中のニッケル同士が接触しにくくなり、均一な電極層を形成することが困難となる。被覆する炭化物の量は5〜60wt%がより好ましい。
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
ニッケルの粒子形状および炭化物の被覆状態は透過型電子顕微鏡で観測した。ニッケル粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡写真に示される粒子300個の粒子径をそれぞれ測定し、その個数平均値で示した。粒子径の標準偏差は、電子顕微鏡観察で撮影した画像の粒子に対して統計解析から求めた。
炭素含有量は、「カーボン・サルファーアナライザー:EMIA−2200」(HORIBA 製)を使用して測定した。
炭化物中の窒素含有量の測定は「EMGA−620W」(HORIBA 製)で測定した。
粒子の構成は、「X線回折装置RINT−2500」(理学電機(株)製、管球:Cu)を用いて同定した。
熱分析は「EXSTAR 6000 TG/DTA6300」(SII 製)を用いて測定した。
<実施例1>
塩化ニッケル(和光純薬製)1.3gを25mlの純水に溶解して塩化ニッケル水溶液を調製した。ゼラチン(和光純薬製)5gを純水50mlに溶解してゼラチン水溶液を調製した。塩化ニッケル水溶液にゼラチン水溶液を混合撹拌した後、25%アンモニア水(和光純薬製)を5g添加した。この溶液に炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)1.0gを25mlの純水に溶解した水溶液を添加し、その後、90℃で2時間加熱した。その溶液を乾燥機に入れて80℃で20時間乾燥させた後、窒素雰囲気下、550℃で焼成した。
得られた粒子はX線回折より、金属ニッケルとアモルファスカーボンの存在が確認された。ニッケルの平均粒子径は69nmであり、標準偏差が12nmと粒度分布が非常に狭い粒子であった。ニッケル表面を透過型電子顕微鏡で観察したところ金属ニッケルの表面が炭化物で完全に覆われていた。炭化物含有量は粉末全体に対して57wt%であった。炭化物中の窒素含有量は28wt%であった。
<実施例2>
塩化ニッケル(和光純薬製)1.3gを25mlの純水に溶解して塩化ニッケル水溶液を調製した。ゼラチン(和光純薬)1gを純水50mlに加熱溶解してゼラチン水溶液を調製した。塩化ニッケル水溶液とゼラチン水溶液を混合撹拌した後、25%アンモニア水(和光純薬製)を3g添加した。この溶液に炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)1gを25mlの純水に溶解した水溶液を添加し、その後90℃で2時間加熱した。その溶液を乾燥機に入れて80℃で20時間乾燥させた後、窒素雰囲気下、600℃で焼成した。
X線回折より、得られた粒子は金属ニッケルとアモルファスカーボンの存在が確認された。ニッケルの平均粒子径は72nmあり、標準偏差が15nmと粒度分布が非常に狭い粒子であった。ニッケル表面を透過型電子顕微鏡で観察したところ金属ニッケルの表面が炭化物で完全に覆われていた。炭化物含有量は粉末全体に対して46wt%であった。炭化物中の窒素含有量は20wt%であった。
<実施例3>
塩化ニッケル(和光純薬製)1.3gを25mlの純水に溶解して塩化ニッケル水溶液を調製した。ゼラチン(和光純薬)0.3gを純水50mlに加熱溶解してゼラチン水溶液を調製した。塩化ニッケル水溶液とゼラチン水溶液を混合撹拌した後、25%アンモニア水(和光純薬製)を3g添加した。この溶液に炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)1gを25mlの純水に溶解した水溶液を添加し、その後90℃で2時間加熱した。その溶液を乾燥機に入れて80℃で20時間乾燥させた後、窒素雰囲気下、600℃で焼成した。
X線回折より、得られた粒子は金属ニッケルとアモルファスカーボンで構成されていた。ニッケルの平均粒子径は110nmあり、標準偏差が46nmと粒度分布が狭い粒子であった。TEM観察を行ったところ、金属ニッケルの表面が炭素で完全に覆われていた。炭化物含有量は粉末全体に対して9wt%であった。炭化物中の窒素含有量は21wt%であった。
<比較例1>
塩化ニッケル(和光純薬製)1.3gを25mlの純水に溶解して塩化ニッケル水溶液を調製した。ポリビニルアルコール(和光純薬製)5gを純水50mlに溶解してでんぷん水溶液を調製した。塩化ニッケル水溶液とポリビニルアルコール水溶液を混合撹拌した後、25%アンモニア水(和光純薬製)を5g添加した。この溶液に炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)1.0gを25mlの純水に溶解した水溶液を添加し、その後90℃で2時間加熱した。その溶液を乾燥機に入れて80℃で20時間乾燥させた後、窒素雰囲気下、550℃で焼成した。
得られた粒子はX線回折より、金属ニッケルとアモルファスカーボンの存在が確認された。ニッケルの粒子径は500nm以上であり、非常に分布の広いものであった。ニッケル表面を透過型電子顕微鏡で観察したところ金属ニッケルの表面が炭化物で完全に覆われていた。炭化物含有量は粉末全体に対して52wt%であった。炭化物中の窒素含有量は0wt%であった。
<比較例2>
塩化ニッケル(和光純薬製)1.3gを25mlの純水に溶解して塩化ニッケル水溶液を調製した。この溶液に25%アンモニア水(和光純薬製)を5g添加した。この溶液に炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)1.0gを25mlの純水に溶解した水溶液を添加し、その後90℃で2時間加熱して、塩基性炭酸ニッケルを含有する溶液を調製した。その溶液を乾燥機に入れて80℃で20時間乾燥させた後、窒素雰囲気下、550℃で焼成した。
得られた粒子はX線回折より、酸化ニッケルのみで構成されていることが確認された。ニッケル表面を透過型電子顕微鏡で観察したとこ炭素は確認できなかった。炭化物含有量は粉末全体に対して0wt%であった。
<耐熱性の試験>
耐熱性の試験は、実施例1で得られたニッケル粉末と比較例1で得られたニッケル粉末の熱重量分析により行った。熱重量分析時の条件は、各試料をアルミパンに10mg計量し、空気を300cc/minでフローしながら、室温から600℃までを10℃/minの速度で昇温した。熱重量分析の比較結果を図1に示す。
加熱していくに従い炭化物の減量していく様子が伺えるが、比較例1で得られたニッケル粉末に対し実施例1のニッケル粉末では炭化物の減量が始まる温度が高温側に上昇し、明らかに耐熱性が向上していることが分かる。
本発明に係る窒素を含有する炭化物で被覆された平均粒子径50〜200nmのニッケル粉末は耐熱性に優れているので、MLCCの内部電極に好適に用いることが可能である。
実施例1で得られたニッケル粉末と比較例1で得られたニッケル粉末の熱重量分析の結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 窒素を含有する炭化物で被覆された平均粒子径が50〜200nmであることを特徴とするニッケル粉末。
  2. 窒素が全炭化物に対して15〜30wt%である請求項1記載のニッケル粉末。
  3. 炭化物の被覆量が1〜70wt%である請求項1又は2記載のニッケル粉末。
  4. ニッケル塩とアミノ酸の重合体である高分子分散剤を溶解した水溶液に、アンモニウムイオンを生成する化合物を添加してニッケルアンモニア錯体を形成させ、次いで、炭酸イオンを生成する化合物を添加して加熱した後、水分を除去して乾燥物とした後、窒素雰囲気下で該乾燥物を焼成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
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