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JP2009018291A - 種晶を添加する砒素の処理方法 - Google Patents

種晶を添加する砒素の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非鉄製錬中間産物等に含まれる砒素を結晶質のスコロダイトへ、80℃以下の反応温度で効率よく変換する砒素の処理方法を提供する。
【解決手段】5価の砒素溶液に2価の鉄塩を共存させ、そこへ酸化剤を加えてスコロダイトを生成させる際、前記5価の砒素溶液に、予め種晶を添加しておく。
【選択図】図1

Description

本発明は、砒素を含有する製錬中間産物から砒素を抽出し、これを安定な砒素化合物であるスコロダイトの結晶とする砒素の処理方法に関する。
砒素を含有する化合物の安定化について、以下の文献が存在する。
特許文献1には、製錬煙灰に含まれる砒素を対象としたスコロダイトの生成方法が記載されている。
非特許文献1は、砒酸鉄、砒酸カルシウム、砒酸マグネシウムの溶解度積について報告している。当該文献によれば、砒酸カルシウムと砒酸マグネシウムとは、アルカリ領域でのみ安定であり、一方、砒酸鉄は中性から酸性領域で安定であり、極少の溶解度がpH3.2で20mg/lと報告されている。
非特許文献2には、砒酸鉄とスコロダイトとの溶解度が開示されている。当該文献によれば、弱酸性領域においてスコロダイトからの砒素の溶解度は、非結質の砒酸鉄のそれより2桁低いことが示され、スコロダイトが安定な砒素化合物であることを開示している。
非特許文献3では、硫酸工場排水や製錬排水に含まれる砒素を対象としたスコロダイトの生成方法が記載されている。
非特許文献4もスコロダイトの生成方法について述べられているが、特に種晶の種類を変更したものについて言及している。
特開2005−161123号公報 西村忠久・戸沢一光:東北大学選鉱製錬研究所報告第764号第34巻第1号別刷 1978.June E.Krause and V.A.Ettel,"Solubilities and Stabilities of Ferric Arsenate Compounds"Hydrometallurgy,22,311−337,(1989) Dimitrios Filippou and George P.Demopoulos,"Arsenic Immobilization by Cotrolled Scorodite Precipitation"JOM Dec.,52−55,(1997) Demopoulos, G.P., Lagno, F., Wang, Q. and Singhania, S., 2003. "The Atmospheric Scorodite Process". Copper 2003, Riveros, P.A., Dixon D., Dreiginger, D.B., Menacho, J., Eds., Santiago, Chile, 597−616.
近年、世界的に非鉄製錬を取り巻く鉱石原料確保の環境は、非常に厳しいものがある。特に、銅製錬の分野においては、非鉄メジャーによる寡占化が進み、さらに中国等の新たな消費大国が出現したことにより、需給が逼迫した状況にある。
当該状況下、各国においては公害に対する環境分野への規制が強化され、義務化されつつある。本発明者らは、今後は環境と共存できる鉱山・製錬所が当業界を主導していくものと考えた。
ここで、非鉄製錬において懸念される公害には、SOガスによる大気汚染や、砒素による土壌汚染や排水汚染が挙げられる。特に砒素に関しては、将来的に銅鉱石中の砒素含有量が増えることになることから、今までにも増して万全の対策が必要となる。
従来、国内の臨海非鉄製錬所では、クリーン精鉱を処理原料とすることで問題なく操業を行ってきた。しかし、今後、銅鉱石中の砒素含有量の増加が予想されることから、砒素を製錬中間産物として系外へ抜き出し、何らかの形で安定化し管理保管することが必要となると考えた。
海外では、砒素を、砒酸カルシウムや三酸化二砒素、又は硫化砒素化合物として管理保管している製錬所が数多くある。しかし、本発明者らの考察に拠れば、これらの砒素化合物は自然環境下において完全に安定ではない。
ここで、本発明者等は、上述した文献を検討した。
しかし、いずれの方法も、生産性の観点等において問題点が見出された。
本発明者等は、非鉄製錬中間産物に含まれる砒素の処理、特に硫化物形態の砒素の処理において、溶出基準(環境庁告示13号準拠)を満足し、且つ、濾過性に優れ且つ安定なスコロダイトの結晶を、再現性良く、煩雑な操作なしに簡便に生成する方法の研究を行った。そして、砒素を含む非鉄製錬中間産物から、スコロダイト結晶を生成する砒素の処理方法を発明した(特願2006−126586、特願2006−126896、特願2006−261855)。
当該発明によれば、濾過性に優れ、且つ、安定なスコロダイトの結晶を、再現性良く、煩雑な操作なしに簡便に生成することが出来た。さらに生成したコロダイトの結晶は、溶出基準値(環境庁告示13号準拠)を満足することが出来た。
しかし、本発明者等らのさらなる検討によれば、得られるスコロダイトのAs溶出値を<0.01mg/lとするには、当該発明の結晶化工程において、5〜7時間の酸化反応時間を設けることが好ましい。そこで、さらに砒素の溶出値を抑制する方法として、ゲーサイトなどの鉄酸化物をスコロダイト中に極少量共存させておく発明に想到し、これを開示した(特願2007−66320)。当該発明によって、極僅かに溶出する砒素も、抑制できるようになった。そこで、残る課題は、経済性の観点から、より低い温度、より短時間で、結晶性のスコロダイトを効率よく生成することである。
上記開示したスコロダイトの生成方法は、高濃度の5価の砒素溶液に2価の鉄塩を共存させ、70℃から95℃の大気圧下において、Oガスなどの酸化剤を用いて酸化反応させるものである。そして、当該酸化反応とほぼ同時に結晶を析出させ、当該酸化反応を継続させることにより粗大な結晶粒子のスコロダイトを生成させるものである。
しかしながら、この方法の反応の初期において、反応液中に生成したスコロダイトが始めから粗大な結晶を生成するわけではなく、極初期には微細な粒子である。この結果、酸化反応の速度を速めようとして、吹き込むOガス量を増加させると反応液がゲル化しやすくなる。
一方、当該スコロダイト生成の際の反応温度を下げることが出来れば、加温する為のエネルギーコストが削減できる。さらに、反応槽の材質を特殊で高価な耐酸材質のもの(例えば、ハステロイやレンガ等)ではなく、塩化ビニール(PVC)やポリプロピレン、ポリエチレンなどの非常に安価な材質ものを選択することが可能になる。塩化ビニール(P
VC)やポリプロピレン、ポリエチレンなどは、耐熱性が70から85℃までと弱いが、耐酸・耐アルカリに優れている。この結果、建設コストも安くすることが出来る。しかし、スコロダイト生成の際の反応温度を下げると、析出するスコロダイトが微粒子化し易くなりゲル化し易い。さらに温度を下げると、上述したゲル化に加え、析出物の非晶質化が起こり、結晶質のスコロダイトが生成しなくなることもある。
本発明は上述の状況の下でなされたものであり、その解決しようとする課題は、非鉄製錬中間産物等に含まれる砒素を結晶質のスコロダイトへ、80℃以下の反応温度で効率よく変換する砒素の処理方法を提供することである。
本発明者等は、砒素溶液の液温が25℃から50℃といった低い温度であってもスコロダイトを生成することが可能であれば、非常に画期的なことであると考えた。当該発想を実現すべく、本発明者等は鋭意研究を行い、遂に、非鉄製錬中間産物からスコロダイトの結晶を生成させる砒素の処理方法において、生成するスコロダイトの結晶化工程において、砒素の沈殿率が80%以上になる所要時間の短縮を可能としつつ、80〜50℃の反応温度でもスコロダイトが生成可能な方法、さらに、50〜25℃の反応温度でもスコロダイトが生成可能な方法に想到した。
本発明者等は、当該結晶化工程において、前記調整液中に鉄塩を存在させ、酸化剤と種晶との添加により、スコロダイト結晶を生成させることで、生成するスコロダイトの結晶の濾過性、安定性を損なうことなく、結晶化工程の所要時間の短縮が出来ることに想到し、本発明を完成したものである。
即ち、上述の課題を解決するための第1の手段は、
5価の砒素溶液に2価の鉄塩を共存させ、そこへ酸化剤を加えてスコロダイトを生成させる際、前記5価の砒素溶液に、予め種晶を添加しておくことを特徴とする砒素の処理方法である。
第2の手段は、
種晶の添加量が、パルプ濃度にして5g/L以上であることを特徴とする第1の手段に記載の砒素の処理方法である。
第3の手段は、
種晶として、3価の鉄塩を用いることを特徴とする第1または第2の手段に記載の砒素の処理方法である。
第4の手段は、
種晶として、スコロダイト、ヘマタイト、ジャロサイト、ゲーサイトから選択されるいずれか1種以上を用いることを特徴とする第1または第2の手段に記載の砒素の処理方法である。
第5の手段は、
種晶として、焼き石膏を用いることを特徴とする第1または第2の手段に記載の砒素の処理方法である。
第6の手段は、
種晶の添加量が50g/L以上、前記砒素溶液の温度を25℃以上、50℃以下としてスコロダイト結晶を生成させることを特徴とする第1から第5の手段のいずれかに記載の砒素の処理方法である。
本発明の実施により、80℃以下の反応温度であっても結晶質のスコロダイトを効率よく生成することが可能になり、且つ、スコロダイト生成の所用時間を、概ね二分の一に短縮することが出来た。
本発明は、5価の砒素溶液に2価の鉄塩を共存させ、そこへ酸化剤を加えてスコロダイトを生成させる際、前記5価の砒素溶液に、予め種晶を添加しておくことを特徴とする砒素の処理方法である。そして、本発明は、例えば、砒素を含む非鉄製錬中間産物から、弱酸性領域で砒素を浸出する浸出工程と、当該浸出液に酸化剤を添加して3価砒素を5価砒素へ酸化する液調整工程と、当該調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ転換する結晶化工程とを有する砒素の処理方法において、当該調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ転換する結晶化工程に、好ましく適用することが出来る。
以下、好ましい砒素の処理方法の一例を示す図1のフローチャートを参照しながら、1.砒素を含む非鉄製錬中間産物、2.浸出工程、3.液調整工程、4.調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ転換する結晶化工程、の順に詳細に説明する。
1.砒素を含む非鉄製錬中間産物
本発明に係る砒素を含む非鉄製錬中間産物(1)とは、砒素を含む製錬工程水や排水に硫化水素や水硫化ソーダ、あるいは硫化ソーダ等の硫化剤を反応させ回収される殿物であり、砒素が硫化物形態であることを特徴とする。以下、硫化殿物と略称する場合がある。
2.浸出工程
本発明に係る浸出工程は、浸出液のpHを弱酸性領域に制御しながら砒素を浸出する第1工程(以下、便宜上のため前期浸出工程という場合がある。)(2)と、浸出液のpH制御を行わないことで浸出液のpHを下げながら砒素を浸出する第2工程(以下、後期浸出工程という場合がある。)(3)とを有する。以下、第1工程(2)と第2工程(3)とについて説明する。
(a)第1工程(前期浸出工程)
上記「1.砒素を含む非鉄製錬中間産物」で説明した砒素を含む硫化殿物を水でリパルプしパルプ状とする。次に当該パルプ状殿物を、温度50℃以上、好ましくは80℃以上とし、空気又は酸素又はこれらの混合ガスを吹き込みながら、水酸化ナトリウム(NaOH)を添加して、pHを4.0以上、6.5以下に保持しながら浸出する。
当該pHを4.0以上、6.5以下に保持しながら浸出を行うことで、水酸化ナトリウムの添加量を抑制しながら効率的に砒素を浸出することが出来た。
これは、以下のように考えられる。
当該前期浸出工程(2)においては、下記、(式1)、(式2)の反応により、NaOHが消費されながら砒素が浸出されているものと考えられる。
As+3/2O+HO=2HAsO+3S・・・・・・(式1)
HAsO+1/2O+NaOH=NaHAsO・・・・・(式2)
ここで、本発明者らの検討によると、当該段階においてpHを6.5以上に上げると、NaOHが消費量が急激に増加することを知見した。恐らくは、pHが上昇することで、上記(式2)の反応に代わり、下記(式3)の反応が進行するためと考えられる。
HAsO+1/2O+2NaOH=NaHAsO・・・・(式3)
上述の推論に拠れば、NaOHの消費量は、(式3)の反応が(式2)の反応の2倍である。従って、NaOHの消費量を抑える意味から、反応pHは6.5以下、好ましくは
6.0が最適であることに想到した。
一方、硫化殿物を長期間大気雰囲気下にて保管すると、硫化殿物自体が酸化する為、当該硫化殿物を水でリパルプした場合、一部の砒素が亜砒酸(HAsO)となって溶出する。この場合、前期浸出工程において(式4)に示す様に、添加NaOHが消費され、pHがなかなか上昇しないこととなる。
HAsO+NaOH=NaAsO+HO・・・・(式4)
このような場合には、NaOHの消費量を考え、pHを6まで上げずに、pH4を達するレベルまで上げ、以下同様の操作を行うことが出来る。この場合、3価砒素の5価砒素への酸化効率は若干低下するものの、操作は十分に可能である。尚、pH3のレベルで同様の操作を行うことも不可能ではないが、3価の砒素から5価の砒素への酸化効率がさらに低下し、3価砒素の割合が増えるので液温度低下時に結晶が出やすくなる。従って、温度管理を慎重に行うことが求められる。
以上のことから、前期浸出工程においてはpHを4.0以上とすることが好ましい。
(b)第2工程(後期浸出工程)
上述したpHを4.0以上、6.5以下に保持しながらの浸出は、水酸化ナトリウムの添加量を抑制しながら効率的に砒素を浸出出来る、優れた浸出方法である。ところが、本発明者らのさらなる検討によると、当該方法には以下の難点があることを見出した。
即ち、硫化殿物中に含まれる硫化砒素の50%以上、さらには90%近くが浸出された浸出後半の段階において、当該殿物中に硫化砒素と伴に含有されている重金属類(例えば、亜鉛、鉛等)が溶出することである。そして、これら溶出した重金属類は、浸出液中の5価の砒素と反応して砒酸化合物を形成し、沈殿してしまう為、浸出率が低下してしまうのである。
また、当該浸出後半の段階において、NaOHの消費量が増加することも判明した。このNaOH消費量の増加は、浸出液中の元素状態の硫黄が、下記(式5)に示す硫酸生成反応を起こして、HSOとして溶解する為であると考えられる。
S+3/2O+HO=HSO・・・・・・(式5)
さらに、当該浸出後半の段階において、元素状態の硫黄の一部がSO 2−(硫酸根)以外の形態(形態は不明)をとって溶解し、次工程である液調整工程の酸化効率を低下させることも判明した。さらに加えて、本発明者らは、当該硫黄化合物が、最終工程である結晶化工程迄残留すると、当該結晶化工程(6)にて生成されるスコロダイト(7)が微細なものとなり、濾過性が極端に悪化し、操業に支障を及ぼすことにも想到した。
以上の知見から、本発明者らは、pHを4.0以上、6.5以下に保持しながらの前期浸出工程(2)は、砒素の浸出率が50%以上90%以下の時点迄、実施することとし、それ以降は、NaOHを用いたpH調整を行わない後期浸出工程(3)を実施する構成に想到した。
当該後期浸出工程(3)において、NaOHを用いたpH調整を行わないと、当該浸出液(6)のpHは浸出の進行とともに4未満へ低下していく。これは、下記(式6)、(式7)によりpHが4未満へ低下するものと考えられる。
As+3/2O+HO=2HAsO+3S・・・・・・(式6)
HAsO+1/2O+HO=HAsO +H・・・・・・(式7)
尚、前記侵出工程(2)から後期侵出工程(3)へと切り換えるパラメーターとなる、砒素のおおよその浸出率は、上記(式2)に基づき、消費したNaOH量より容易に推定が出来る。
後期侵出工程(3)の段階において浸出液(4)のpHを4未満としたことで、pHを5〜8として浸出を終えた場合に比較して、浸出液(4)中の亜鉛、鉛濃度を約一桁低い水準とすることが出来た。特に、浸出液(4)の鉛は、後工程である結晶化工程(6)において、第一鉄塩として硫酸鉄を用いた場合、PbSO(硫酸鉛)を形成し、これがスコロダイト(7)に混入する結果、鉛の溶出値が環境基準を超す原因となり得るものである。従って、当該観点からも、本発明の効果は大きなものである。
さらに好ましいことに、浸出液(4)のpHが酸性側である程、元素状態の硫黄は安定であり溶解し難くなる。この結果と考えられるが、本発明者らは、何らかの要因で元素状態の硫黄がSO 2−(硫酸根)以外の形態(形態は不明)で一部が溶解した場合であっても、pHが4未満の状態における酸化浸出である後期侵出工程(3)を継続すれば、当該形態が全て分解される現象を見出した。本発明者等は、pHが4未満の領域において浸出残渣(8)が、当該形態の分解の触媒的作用を果たしているものと推定している。
加えて好ましいことに、処理対象である硫化殿物に、水銀が多い場合や、銅が易溶性の形態で含有されている場合、浸出残渣(8)に含まれる硫黄を硫化剤として利用することが出来る。
具体的には、硫化殿物から浸出液(4)に溶解してくる水銀、銅を、下記(式8)、(式9)により除去し浸出残渣(8)に入れて、銅製錬(9)工程に投入することが出来る。つまり、浸出残渣(8)に含まれるSを硫化剤として活用することが出来る。
Hg2++4/3S+4/3HO=HgS+1/3SO 2−+8/3H・・・・(式8)
Cu2++4/3S+4/3HO=CuS+1/3SO 2−+8/3H・・・・(式9)
3.液調整工程
液調整工程(5)は、上記「2.浸出工程」で得られた浸出液(4)へ、酸化剤を添加し3価として溶解している砒素を5価砒素に酸化した後、当該反応後、液中に残留する酸化剤を除去する工程である。
まず、酸化剤について説明する。
一般に、3価砒素を5価砒素へ酸化するのは、酸性領域より中性領域、さらに中性領域よりアルカリ性領域の方が容易である。しかし、本発明に係る浸出液は酸性である。そこで、当該酸性の浸出液にアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)添加を行い、液性をアルカリ性とした上で、砒素の酸化を行うことが考えられる。ところが、本発明者らの検討によると、当該液性のアルカリ化には多量のアルカリ添加が必要で、コスト的に不利であることに加え、液中の塩類濃度が増加し、後工程のスコロダイト(7)生成に悪影響を及ぼすことに想到した。
次に、本発明者らは、中性領域(pH6〜7)での酸素を用いた砒素の酸化を検討した。しかし、砒素の酸化は不十分なものに留まることが判明した。そこで、銅系触媒(本研究では砒酸銅を検討した。)の使用も検討したが完全酸化までには至らなかった。
ここで本発明者らは酸化剤として、過酸化水素(H)を用いることに想到した。そこで、当該過酸化水素を用い、酸性領域下で砒素の酸化を検討したところ当該酸化が十分に進行することを確認した。因みに、酸素、過マンガン酸、過酸化水素、およびオゾンの酸化還元電位を表1に示す。
ところが、当該砒素の酸化反応後に、液中に残留する過酸化水素は、後工程の結晶化工程(6)において添加される2価鉄塩の一部を酸化する為、スコロダイト(7)生成の阻害要因になることが判明した。
そこで、本発明者らは、今度は、当該液中に残留する過酸化水素の処理方法を検討した。まず、金、銀等の金属のコロイドを添加し残留過酸化水素を分解除去することを試みた。ところが、当該貴金属コロイドの添加法は、原料コストが高い上に、ハンドリング性やロスによる損失も考えられ適用は困難であった。ここで、本発明者らは、残留過酸化水素を分解するのではなく、金属銅と接触させて消費による除去を行うという画期的な着想に想到し、残留過酸化水素の除去に成功した。
以下、具体的に説明する。
まず、用いる過酸化水素は、濃度30〜35%の汎用品で良い。
酸性領域下における3価砒素の5価砒素への酸化は、下記、(式10)、(式11)により進行すると考えられる。
HAsO+H=HAsO・・・・・・・(式10)
HAsO+H=HAsO +H・・・・(式11)
過酸化水素の添加量は、3価砒素濃度と、(式10)、(式11)とに基づき、反応当量の1〜1.2倍量を添加することが好ましい。尤も、3価砒素濃度不明の場合は、当該過酸化水素添加後、液温80℃における液の酸化還元電位が500mV(Vs;Ag/AgCl)以上に達していることを目安としても良い。
過酸化水素の添加時間は、酸化される3価砒素濃度による。例えば、濃度20g/lの3価砒素を酸化する場合、添加時間を5分間以上とすることが好ましい。添加時間を十分にとることで、過酸化水素の一部が急速に分解し、気泡の発生が多くなり添加効率が悪化することを回避出来るからである。さらに好ましくは、添加時間を10分間〜15分間とする。
過酸化水素添加による3価砒素の5価砒素への酸化は非常に早く、pHの低下と反応熱による液温の上昇が観察される。尤も、反応時間は、酸化を完全に行う観点から60分間以上が好ましく、液の酸化還元電位が450mV(Vs;Ag/AgCl)以下となった時点で終了することが望ましい。
1例を示すと、H添加前(80℃)における液の酸化還元電位が355mVであったものが、添加後に530mVとしたとき、反応90分後の3価砒素濃度は2.4g/lから0.12.4g/l以下となった。
当該砒素の酸化反応後に残留する過酸化水素は、金属銅を添加することで除去する。具体的には、当該溶液へ銅粉を添加し攪拌して反応させる方法が一般的である。尤も、実際のプラント操業においては簡便化を図る目的で、銅板や銅屑を充填したカラムを通液することでも目的は達成される。
液温度は、反応を完結させるため、40℃以上とすることが好ましい。
当該除去反応は、下記、(式12)のように進むと考えられる。
Cu+H+HSO=CuSO+2HO・・・・(式12)
この結果、当該除去反応はpHの上昇を伴うので、pHが一定値を示した時点で終了と判断出来る。
本発明に係る液調整工程(5)によれば、浸出液(4)が酸性領域であっても、煩雑な操作もなく3価砒素を5価砒素に酸化出来、後工程における砒素のスコロダイト(7)への高変換率を維持出来る。
4.結晶化工程
結晶化工程(6)は、上記「3.液調整工程」で得られた調整液中に含まれる5価の砒素を、スコロダイト(7)へと酸化反応させる工程である。砒素濃度は、スコロダイトの生産性を考えた場合、20g/l以上、好ましくは30g/l以上、50g/l程度の濃厚液であることが好ましい。
まず、当該調整液に対し第一鉄(Fe2+)塩を投入(6−1)して溶解し、pHは2以下とする。本手法において用いる塩類としては、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄などが考えられる。使用する鉄塩は、入手の容易性の観点から、硫酸第一鉄七水和物などが一般的である。鉄塩は固形分として、または、一度水に溶解し、溶液としてから添加しても良い。
硫酸第一鉄七水和物を添加した場合、スコロダイト生成反応は、下記(式13)のように進む。
2FeSO+2HAsO+1/2O+3HO=2FeAsO・2HO+2HSO・・・・・・(式13)
(式13)に示すように、砒素と鉄とは当量で反応することから、処理する鉄と砒素の比率も当量あるいは若干鉄を過剰に添加する必要がある。しかし、未反応分の鉄は溶液中に残存するだけなので、あまり過剰に加える必要も無い。これらのことから、Fe/As比率は1以上であれば良く、1.5程度が望ましい。
次に、鉄塩を添加した調整液へ、種晶を添加(6−2)する。尤も、砒素液に種晶を添加してから、鉄塩を添加しても良い。要は、酸化反応前に種晶が入っていれば良い。
種晶を添加することにより、調整液のゲル化を抑制することができる。
当該ゲル化の防止機構の詳細は明らかではなく、レオロジー的な考察をすることも可能である。当該考察によれば、種晶という大きな固体が液体中に分散しているため、そのスラリーの持つ動粘度が低下する流体(所謂、チクソトロピー的な流体)の性質により、当該液体の粘度が下がり、ゲル化が防止されているとも考えられる。
本発明者らの検討によると、50g/L以下の種晶を添加することにより、調整液のゲル化を完全に抑制することができる。尤も、種晶の添加量が、5g/Lと少なくても反応が進行するに従いゲルは消失する。しかし、50g/L以下の種晶を添加することで、ゲル化消失の時期を早めることが出来る。さらに、種晶は多く添加するほど短時間で溶出基準を満たすスコロダイトとすることができる。しかし、種晶添加量の増加による脱砒素率の促進は5g/Lの種晶添加で既に非常に効果があり、それ以上添加量を増加しても、差が見受けられない。もっとも種晶添加ありと添加なしとでは、沈殿率に大きな差が見られる。また、種晶の添加量は、粒子の粗大化にあまり影響しない。
一方、結晶化工程の生産性や作業性を考えた場合、種晶添加量は少ない方が好ましい。これは、結晶化工程における種晶添加は、当該結晶化工程で生成するスコロダイトの一部を繰り返すことで行われることによる。例えば、砒素濃度50g/Lの調整液を処理する場合、種晶を50g/L添加すると仮定した場合、生成するスコロダイトの約3分の1を繰り返す計算となる。
以上のことから、種晶の添加量は、ゲル化抑制効果が現れるパルプ濃度にして5g/L以上、25g/L程度が適当である。さらに、操業の安定性を担保する観点からは、パルプ濃度にして25から50g/Lの添加量がよい。一般的に、種晶の添加効果はパルプ濃度にして100g/Lから200g/Lもの種晶を添加して初めて得られるものであり、非常に大量の繰返しとなることを考慮すれば、充分高い効果を上げていると言える。
勿論、実際に処理を行う調整液の砒素濃度により、種晶添加量を検討すれば良い。しかし砒素濃度を薄めてしまうと、単位砒素量あたり処理すべき反応液量が増加するので、注意が必要である。
上述したように、結晶化工程における種晶添加(6−2)は、当該結晶化工程(6)で生成するスコロダイト(7)の一部を繰り返すことで行われる。しかし、結晶化工程の生産性や作業性を考えた場合、回収したスコロダイトを繰り返し使用することが必ずしも好ましいとは限らない。加えて、操業立ち上げ時や設備に何らかのトラブルが生じた場合、生成したスコロダイトを種晶として使用することが困難となる場面も想定される。そこで、本発明者らは、種晶としてスコロダイトを代替し得る化合物についても検討した。
まず、種晶としての効力を生かすために、添加した際に完全には溶解しないことが求められる。一方、非鉄製錬においては、中和剤として炭酸カルシウムが使用されるのが一般的であり、その結果、多量の石膏が産出している。そこで、この石膏を種晶として使用することが考えられた。
本発明者らの検討によると、湿式亜鉛製錬における亜鉛浸出残渣のSO還元浸出液を炭酸カルシウムにより中和した際に生成する石膏、2水和物(以下、#1石膏と記載する場合がある。)は、種晶として好適に使用することが出来た。また、試薬として購入可能な、焼石膏も種晶として好適に使用することが出来た。当該焼石膏の効果は、#1石膏を用いる場合と比較して、さらにゲル化抑制・沈殿率の改善に効果があった。焼石膏は通常、半水石膏と呼ばれて、整形外科などで腕の固定などに利用される一般的なものである。これは#1石膏を100℃以上の高温で乾燥・焼成することで製造できる。焼き石膏が固化するのは、水和セメント反応によるが、この水和セメントの効果により#1石膏よりも顕著な種晶効果が発現しているのだと考えられる。
さらに、石膏以外の種晶として、鉄酸化化合物が使用出来ることも見出した。例えば、ヘマタイトを好適に使用することができる。
ヘマタイトは、硫酸浴中で(式14)のような反応により極少量が溶解する。
Fe+3HSO→Fe(SO+3HO・・・・・・(式14)
当該(式14)の反応により、ヘマタイトは種晶としての効果だけでなく、鉄源としての働きもしていると考えられる。加えて、ヘマタイトは砒素を吸着する作用を持っている。従って、調整液中の砒素を吸着することにより、最終的な脱砒素率を高めていると考えられる。さらに、種晶としてヘマタイトを使用することで、最終的な回収固形物はスコロダイトとヘマタイトとの混合物となることから、溶出試験時のわずかな溶出砒素を吸着するため、砒素の溶出を抑制すると共に、処理時間を短縮することができ好ましい構成である。
ヘマタイト以外の鉄酸化物も利用可能であり、ゲーサイトやジャロサイトといった3価の鉄塩を主体とした鉄酸化物が利用可能である。これらの鉄酸化物は、製錬所において脱鉄工程の副産物として大量に発生する。この為、簡便に利用することが出来る。さらに、マグネタイト(Fe)も種晶として効果が期待できる。しかし、マグネタイトは別途合成する必要があるためコストがかかるので、経済的な観点からは、あまり有利でない。
金属鉄粉は、種晶として好ましくないと考えられる。鉄が液中で還元反応を起し、5価の砒素を3価に還元する可能性があるからである。3価の砒素は、スコロダイトへの酸化反応を起すことが困難である。
次に、当該結晶化工程の操業条件について説明する。
スコロダイト型鉄砒素化合物の生成を目的とした場合、鉄と砒素との反応は50℃以上の液温で鉄共沈させることができる。酸化剤として純酸素ガスを用い短時間で溶出しないスコロダイトを生成させるには、液温90℃以上が好ましい。実操業を考えた場合、低温であるほど熱エネルギーの損失が減少し、経済面で有利となる為、処理温度は低い方が好ましい。さらに、反応温度が70℃以下になれば、塩化ビニール樹脂などの酸性・アルカリ性の液に非常に良好な耐食性を示す材質も用いて反応槽を作製することが出来る。因み
に、塩化ビニール樹脂(PVC)は、耐熱性の仕様であれば85℃以下で使用可能である。ポリプロピレン樹脂等は、70℃以下で使用可能である。
ここで、上述したように、調整液へ種晶を添加することにより、液温を80℃〜70℃とより低温とした場合においても、液温95℃の場合と同様に、粗大化した結晶性スコロダイトを素早く短時間で得ることができる。尤も、液温低下に伴い、溶出基準を満たすスコロダイト生成のためも処理時間は若干長くなる。そこで、例えば、沈殿したスコロダイトへ鉄酸化化合物(ゲーサイト等)を混合する構成を採ることにより、液温70℃で3時間程度の処理によって、溶出基準を満足するスコロダイトを生成することができる。
尤も、液温50℃であれば1〜2日の処理により、25℃の反応であれば30日間程度、空気を吹き込むことでスコロダイトが良好に沈殿する。即ち、液温を低温とすることで、熱エネルギーが不要となる為、処理時間の延長とはトレードオフの関係となる。従って、液温と処理時間とは、その状況に応じて適宜選択することが可能である。
次に、当該結晶化工程(6)における酸化剤について説明する。
種晶添加(6−2)に続いて調整液中へ酸化剤として酸素ガスを吹き込み、酸化・析出反応を開始させる。当該酸化剤としては、酸素ガスのほかに空気も考えられるが、酸化析出反応は酸素ガスと調整液との気液接触が重要である。このため、吹き込むガスの種類・量は、コスト等を検討して選択すれば良い。
攪拌操作は、酸化・析出反応の進行と伴に析出物が発生し、スラリー化することと、酸化反応の際の気液接触を促進することから強攪拌が求められる。
酸化・析出反応の進行は、1〜3時間の反応で約90%の砒素がスコロダイトとして沈殿する。しかし、結晶を熟成させる為には、より長時間の処理を必要とする。尤も、上述したように、生成したスコロダイトと鉄酸化化合物とを混合する構成を採ることにより、砒素の溶出を大幅に抑制することができる。当該構成の採用により、ランニングコストも考慮して3時間程度の処理とすることが出来る。
次に、スコロダイト生成後の処理について説明する。
酸化・析出反応後のスラリーは固液分離(6−3)する。生成したスコロダイト(6−4)はろ過性に優れていることから、固液分離(6−3)はフィルタープレス、遠心分離等を用いることが出来る。当該固液分離(6−3)によって発生した、ろ液(10)は、未反応の砒素および鉄を含んでいることから、製錬工程(11)内にもどすことが好ましい。一方、回収された固形分であるスコロダイト(6−4)は、洗浄することが好ましい。しかし、洗浄を経ることなく一部をスコロダイト生成時の種晶として再利用し、他の部分は水洗することも可能である。
上述した固形分離によって得られた固形分は、砒素の不溶化はされている。しかし、若干ではあるものの付着水中に可溶性の砒素が残っている。そこで、当該付着水を除去する為、パルプ濃度が100g/Lとなるよう純水を用いてリパルプし、1時間の水洗浄(6−5)し、固液分離(6−6)を行うことにより、付着水を除去する。または、上述したように、鉄酸化化合物を添加することで砒素の溶出を抑制しても良い。勿論、洗浄後のスコロダイト(7)も種晶として利用することが可能である。
生成した繰返しに用いない砒素を含む化合物は、砒素の不溶化処理がされているので、容易に保管することが出来る。例えば、管理型の最終処分場に投入することも可能である。しかし、管理型の最終処分場に投入する場合は、当該最終処分場に有る、他の廃棄物との兼ね合いを検討した上で、保管することが肝要である。
生成した繰返しに用いない砒素を含む化合物の溶出砒素濃度は、環境省告示13号によって0.3mg/Lとなっている。
一方、本発明者らは、特願2006−66320号において、0.3mg/Lの溶出砒素に対し、ゲーサイトを1%(重量比)添加することで、溶出量を0.01mg/L未満にすることが可能であることを示した。従って、本発明と当該発明とを組み合わせ、例えばゲーサイトを20%添加することとした場合、溶出する砒素の許容レベルは、(0.3÷1×20+0.3より)6.3mg/Lとなる。
上記、溶出する砒素の許容レベル6.3mg/Lの値を基に、スコロダイトの砒素溶出に関して、さらに考察する。
砒素の溶出濃度6mg/Lは、当初の固形分中に含有されていた砒素において、どの程度の割合の砒素が溶出したことになるのかを検算する。
スコロダイトは、実施例で示したように30%前後の砒素品位である。従って、液体/固体の比率を10にして溶出試験を実施すると言うことは、固形分のパルプ濃度にして100g/Lであり、砒素濃度にして30g/Lの濃度となる。この中の6mgの砒素が溶出したのであるから、6÷1000÷30×100=0.0002より、当所スコロダイトに含有されていた砒素の0.02%が溶出したと計算できる。この様に、砒素の溶出割合から判断して、砒素の溶出濃度6mg/Lは圧倒的に低い割合である。従って、特願2006−66320号を初めとする他の砒素の溶出防止技術と組合わせれば、容易に環境省告示13号を満足できることから、砒素の溶出濃度6mg/Lは、目標値として妥当な値であると考えられる。
以下に参考例と実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
(参考例)
(試料50)
出発原料として、砒素液(和光純薬、砒素=500g/L)および硫酸第一鉄・七水和物(和光純薬)を準備した。
2.0Lガラス製ビーカーに砒素濃度50g/L,鉄濃度55.91g/Lとなるよう試薬を量り取り、液量0.7Lとなるよう純水を用いて溶液を調製した。
前記2.0Lガラス製ビーカーに、2段タービン攪拌羽根・邪魔板を4枚セットし、400rpmで攪拌しながら30℃まで加熱した。
試薬が溶解したことを確認した後、引き続き400rpmで攪拌しながら95℃まで加熱した。目的温度=つまり95℃になると同時に、純度99%の酸素ガスを流量1.0L/minで液内に吹き込み、回転数1000rpmで1時間攪拌した。
この反応における条件を表1に記載した。
反応開始直後から、溶液が暗緑色のゲル状になり、反応終了までゲル状が続いた。
反応終了後、溶液・析出物の混合スラリーを、加圧濾過器を用いて固液分離した。
回収した試料50に係る后液中の元素濃度を、ICPを用いて測定した。砒素濃度は44.32g/Lであった。つまり砒素の沈殿率(反応率)は11%であった。そのほか、液の分析結果を表2に記載する。
回収した固形分を、パルプ濃度100g/Lとなるよう純水でリパルプし、2Lガラス製ビーカー、2段タービン攪拌羽根・邪魔板4枚を用い400rpmで攪拌し、一時間水洗した。水洗後、溶液・析出物の混合スラリーを、加圧濾過器を用いて固液分離した。
回収した固形分は60℃で18時間乾燥した。
回収した試料50に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した。X線回折計は、リガクのRINT−2500を用いて行った。
その結果、この乾燥固形分はスコロダイト型鉄砒素化合物であることが確認された。また、分析の結果、この試料50に係る乾燥固形分の砒素品位は32.3%であった。
試料50に係る乾燥固形分についてレーザー回折式粒度分布測定装置によってD50を、BET一点法により比表面積を測定した結果、D50は21.6μm、比表面積は0.87m/gであり、水分値は51.5%であった。D50、比表面積および水分値の結果を表2に記載した。
このようにして得られた試料50に係る固形分を出発原料として、溶出試験を行った。
その結果、溶出砒素濃度は267mg/Lと溶出基準である0.3mg/L以下を満たさなかった。当該溶出試験結果を表2に記載した。
以上のように、試料50に係る生成物は、ゲル状の微粒子スコロダイトとなり、含水量が高く、溶出砒素量も多かった。
以上の結果から明らかなように、酸素ガスを大量に吹き込んでスコロダイト反応を進行させようとすると、1時間以内という反応初期において溶液がゲル化する傾向にあり、砒素の沈殿率は11%に留まり、低い水準となってしまう。
また、生成したスコロダイトを、XRDで測定したところ結晶質のスコロダイトであったものの、含水率が51%と高く、嵩高いものとなっていた。
さらに、生成したスコロダイトの溶出試験における砒素濃度は、267mg/Lと非常に高く、砒素が固定化されているとは考え難い。
(試料51)
反応時間を3時間とした以外は、試料50と同様の操作を行った。
試料50と同様に反応開始直後から、溶液が暗緑色のゲル状となったが、1時間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料51に係る后液の砒素濃度は10.62g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は79%であった。試料50と比較して反応時間を延ばすと、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。
回収した試料51に係る乾燥固形分のD50は19.0μm、比表面積は0.28m/gであり、水分値は14.8%であった。試料50と比較して反応時間を延ばすと、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が15%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。
また、回収した試料51に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は1.29mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。ただし、反応温度は95℃と高いところが問題である。
このように、ゲル状の微粒子スコロダイトは反応を継続することにより、粗大な結晶性スコロダイトとなり、含水量、溶出砒素量が共に大きく減少した。
(試料52)
反応時間を5時間とした以外は、試料50や試料51と同様の操作を行った。
試料50や試料51と同様に反応開始直後から、溶液が暗緑色のゲル状となったが、1時間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料52に係る后液の砒素濃度は3.14g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は94%であった。試料50と比較して反応時間を延ばすと、沈殿率が大きく改善され、試料51と比較しても沈殿率が大きく改善したことがわかる。
回収した試料52に係る乾燥固形分のD50は22.5μm、比表面積は0.17m/gであり、水分値は6.9%であった。試料50や試料51と比較して反応時間を延ばすと、粒子の持つ比表面積は更に非常に小さくなり、水分値が7%とさらに非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。
また、回収した試料52に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.68mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料50や試料51と比較するとさらに大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。ただし、反応温度は95℃と高いところが問題である。
(試料53)
反応時間を7時間とした以外は、試料50から試料52と同様の操作を行った。
試料50から試料52と同様に反応開始直後から、溶液が暗緑色のゲル状となったが、1時間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料53に係る后液の砒素濃度は1.81g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は96%であった。試料50や試料51と比較して反応時間を延ばすと、沈殿率が大きく改善され、試料52と比較しても沈殿率がやや改善したことがわかる。
回収した試料53に係る乾燥固形分のD50は22.3μm、比表面積は0.23m/gであり、水分値は8.6%であった。試料50や試料51と比較して、反応時間を延ばすと、粒子の持つ比表面積は更に非常に小さくなり、水分値が9%とさらに非常に小さくなり大きく改善されたが、試料52と比較すると大きな変化は起こっていないことがわかる。
また、回収した試料53に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.14mg/Lとなり溶出基準を満たした。
以上の結果から、溶出基準を満たすスコロダイトを生成するためには、7時間以上の処理が必要であることがわかった。
このことから、種晶を添加しない場合では、反応温度は95℃と高いところと反応時間が7時間と少し長くなるところが問題である。
(実施例)
(試料1)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して5g/Lとなるように、3.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液へ95℃までの加温中に添加し、試料50と同様の操作を行った。
その結果、反応初期にゲル状の微粒子の生成が確認されたが、15分間程度で消失し、溶液はスコロダイトの色である明緑色となった。
反応終了後、溶液・析出物の混合スラリーを、加圧濾過器を用いて固液分離した。
回収した試料1に係る后液中の元素濃度を、ICPを用いて測定しところ、砒素濃度は18.56g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は63%であった。試料50と比較して種晶を5g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。
当該反応液分析結果を表2に記載する。
一方、回収した固形分は60℃で18時間乾燥した。回収した乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した。X線回折計は、リガクのRINT−2500を用いて行った。
その結果、この乾燥固形分はスコロダイト型鉄砒素化合物であることが確認された。
また、分析の結果、この試料1に係るスコロダイトの砒素品位は約31.42%であった。このスコロダイトに対し、レーザー回折式粒度分布測定装置によってD50を、BET一点法により比表面積を測定した結果、D50は19.1μm、比表面積は0.27m/gであり、水分値は9.0%であった。D50、比表面積および水分値の結果を表2に記載した。種晶を添加すると、試料50と比較して粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が9%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。固形分の砒素品位に大きな変化がないのは、試料1がスコロダイトであるためである。
このようにして得られた試料1に係るスコロダイトの砒素溶出試験を行った。砒素溶出試験方法は、環境省13号法に準拠した。
具体的には、固形分と純水とを液固比10となるように混合し、振とう機で6時間振とうした後、固液分離し、ろ液の砒素濃度を分析した。
その結果、試料1に係るスコロダイトの砒素溶出試験における砒素濃度は、2.52mg/Lであった。当該溶出試験結果を表2に記載した。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されている。さらに、上記で述べたように、更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。
(試料2)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して5g/Lとなるように、3.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液へ、95℃までの加温中に添加し、試料51と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は試料1と同様の操作を行った。
試料1と同様に、反応開始直後に暗緑色のゲル状となったが、反応開始から15分間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料2に係る后液の砒素濃度は5.23g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は90%であった。試料51と比較して種晶を5g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。
回収した乾燥固形分のD50は22.1μm、比表面積は0.20m/gであり、水分値は7.7%であった。試料51と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が7.7%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。
また、回収した試料2に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.29mg/Lと溶出基準を満たした。このように、試料51と比較して種晶を5g/Lの割合で添加するだけで、スコロダイトの溶出砒素濃度を低く抑制することが出来て、大きく改善されたことがわかる。
(試料3)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して5g/Lとなるように、3.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料52と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を5時間とした以外は、試料1や試料2と同様の操作を行った。
試料1や試料2と同様に反応開始直後に暗緑色のゲル状となったが、反応開始から15分間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料3に係る后液の砒素濃度は2.50g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は95%であった。試料52と比較して種晶を5g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が少し改善されたことがわかる。
回収した試料3に係る乾燥固形分のD50は、26.02μm、比表面積は0.19m/gであり、水分値は9.5%であった。試料52と比較して大きな差は生じていない。
また、回収した試料3に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.24mg/Lと溶出基準を満足した。試料52と比較して種晶を5g/Lの割合で添加するだけで、スコロダイトの溶出砒素濃度を低く抑制することが出来て、大きく改善されたことがわかる。
(試料4)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して5g/Lとなるように、3.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料53と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を7時間とした以外は、試料1から試料3と同様の操作を行った。
試料1から試料3と同様に反応開始直後に暗緑色のゲル状となったが、反応開始から15分程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料4に係る后液の砒素濃度は1.77g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は96.5%であった。試料53と比較して種晶を5g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が少し改善されたことがわかる。
回収した試料4に係る乾燥固形分のD50は22.1μm、比表面積は0.25m/gであり、水分値は6.9%であった。試料53と比較して大きな差は生じていない。
また、回収した試料4に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.03mg/Lと溶出基準を大きく満足した。試料53と比較して種晶を5g/Lの割合で添加するだけで、スコロダイトの溶出砒素濃度を低く抑制することが出来て、少し改善されたことがわかる。
先願で記載したデータでは、種晶を添加しない場合でも、洗浄の方法などのばらつきによって、溶出砒素濃度が0.03mg/L程度になることもある。しかし、安定して溶出砒素を抑制する為に、種晶を少量添加することは効果があるといえる。
(試料5)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して10g/Lとなるように、7gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料50や試料1と同様の操作を行った。
反応開始直後に若干ゲル状の微粒子の生成が見られたが、5分間程度で消失した。
回収した試料5に係る后液の砒素濃度は18.22g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は63.6%であった。試料50と比較して種晶を10g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料1と比較すると大きな差はない。
回収した試料5に係る乾燥固形分のD50は30.1μm、比表面積は0.18m/gであり、水分値は11.5%であった。試料50と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が11.5%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料1と比較すると大きな差はない。
また、回収した試料4に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、砒素濃度は1.76mg/Lであった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料1と比較しても溶出濃度が若干ながら改善されていることが判る。
(試料6)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して10g/Lとなるように、つまり7gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料51や試料2と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は、試料5と同様の操作を行った。
試料5と同様に反応開始直後に若干ゲル状の微粒子の生成が見られたが、5分間程度で消失した。
回収した試料6に係る后液の砒素濃度は5.81g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は88.4%であった。試料51と比較して種晶を10g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料2と比較すると大きな差はない。
回収した試料6に係る乾燥固形分のD50は30.7μm、比表面積は0.14m/gであり、水分値は6.2%であった。試料51と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が6.2%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料2と比較すると大きな差はないが数値上は改善されている。
また、回収した試料6に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.51mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したス
コロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料51と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料2と比較すると溶出濃度が若干ながら上昇していてバラツキがあることが判る。
(試料7)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して10g/Lとなるように、7gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料52や試料3と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を5時間とした以外は、試料5や試料6と同様の操作を行った。
試料5や試料6と同様に反応開始直後に若干ゲル状の微粒子の生成が見られたが、5分間程度で消失した。
回収した試料7に係る后液の砒素濃度は2.35g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は95.3%であった。試料52と比較して種晶を10g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料3と比較すると大きな差はない。
回収した試料7に係る乾燥固形分のD50は33.6μm、比表面積は0.23m/gであり、水分値は4.7%であった。試料52と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は非常に大きくなり、水分値が4.7%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料3と比較すると比表面積はともかく、水分値などの数値は改善されていることがわかる。
また、回収した試料7に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.10mg/Lと溶出基準を満たした。試料52と比較して種晶を10g/Lの割合で添加するだけで、スコロダイトの溶出砒素濃度を低く抑制することが出来て、大きく改善されたことがわかる。試料3と比較するとバラツキの範囲かもしれないが、溶出濃度が若干ながら改善していることが判る。
(試料8)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して10g/Lとなるように、つまり7gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料53や試料4とほぼ同様の操作を行った。換言すると、反応時間を7時間とした以外は、試料5から試料7とほぼ同様の操作を行った。
試料5から試料4と同様に反応開始直後に若干ゲル状の微粒子の生成が見られたが、5分間程度で消失した。
回収した試料8に係る后液の砒素濃度は1.65g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は96.7%であった。試料53や試料4と比較して種晶を10g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が少し改善されたことがわかる。バラツキの範囲内であると思われる。
回収した試料8に係る乾燥固形分のD50は31.0μm、比表面積は0.28m/gであり、水分値は5.1%であった。試料53と比較して、種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は非常に大きくなり、水分値が5.7%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料4と比較すると比表面積はともかく、水分値などの数値は改善されていることがわかる。
また、回収した試料8に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.03mg/Lと溶出基準を満たした。試料53と比較して種晶を10g/Lの割合で添加するだけで、スコロダイトの溶出砒素濃度を低く抑制することが出来て、大きく改善されたことがわかる。試料4と比較すると、溶出濃度は同等であった。
(試料9)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料50や試料1、試料5と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子の生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料9に係る后液の砒素濃度は21.86g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は56.3%であった。試料50と比較して種晶を25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料1や試料5と比較すると若干下がっているが、大きな差ではなくバラツキの範囲であると考えられる。
回収した試料9に係る乾燥固形分のD50は27.22μm、比表面積は0.11m/gであり、水分値は6.6%であった。試料50と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が6.61%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料1、試料5と比較すると水分値も若干ながら改善されている。
また、回収した試料9に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、砒素濃度は1.41mg/Lであった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料1や試料5と比較しても溶出濃度が若干ながら改善されていることが判る。
(試料10)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料51や試料2、試料6とほぼ同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は、試料9と同様の操作を行った。
試料9と同様にゲル状の微粒子の生成は見られなかった。
回収した試料10に係る后液の砒素濃度は5.82g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は88.4%であった。試料51と比較して種晶を25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料2、試料6と比較すると大きな差はない。回収した試料10に係る乾燥固形分のD50は28.0μm、比表面積は0.14m/gであり、水分値は4.9%であった。試料51と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が4.9%と非常に小さくなり大きく改善されたことがわかる。試料2、試料6と比較すると大きな差はないが数値上は改善されている。
また、回収した試料10に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、砒素濃度は0.62mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料51と比較すると大きく改善されている。上記で述べたように、更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料2、試料6と比較すると溶出濃度が若干ながら上昇していてバラツキがあることが判る。
(試料11)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料52や試料3、試料7と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を5時間とした以外は、試料9や試料10と同様の操作を行った。
試料9や試料10と同様にゲル状の微粒子の生成は見られなかった。
回収した試料11に係る后液の砒素濃度は2.75g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は94.5%であった。試料52と比較して種晶を25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料3、試料7と比較すると大きな差はない。
回収した試料11に係る乾燥固形分のD50は29.0μm、比表面積は0.16m/gであり、水分値は5.2%であった。試料52と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は非常に大きくなり、水分値が5.2%と非常に小さくなり、大きく改善された
ことがわかる。試料3と比較すると比表面積はともかく、水分値などの数値は改善されていることがわかる。試料7と比較するとほとんど同等である。
また、回収した試料11に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.21mg/Lと溶出基準を満たした。試料52と比較して種晶を25g/Lの割合で添加するだけで、スコロダイトの溶出砒素濃度を低く抑制することが出来て、大きく改善されたことがわかる。試料3と比較するとバラツキの範囲かもしれないが、溶出濃度が若干ながら改善していることが判る。試料7と比較すると少し悪くなっているがバラツキの範囲内と考えられる。
(試料12)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、つまり17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料53や試料4、試料8と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を7時間とした以外は、試料9から試料11と同様の操作を行った。
試料9から試料11と同様に、ゲル状の微粒子の生成は見られなかった。
回収した試料12に係る后液の砒素濃度は1.82g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は96.4%であった。試料53や試料4、試料8と比較して種晶を25g/Lの割合で添加しても反応時間が7時間と長ければ、沈殿率に大きな違いは出にくい。温度や酸化ガスの量などにも左右されるので一概に決め付けることは出来ないが、この反応系ではそう言える。
回収した試料12に係る乾燥固形分のD50は27.7μm、比表面積は0.27m/gであり、水分値は4.4%であった。試料53と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は非常に大きくなり、水分値が5.7%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料4、試料8と比較すると比表面積はともかく、水分値などの数値は改善されていることがわかる。
また、回収した試料12に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.16mg/Lと溶出基準を満たした。試料53と比較して種晶を25g/Lの割合で添加しても反応時間が7時間と長ければ、スコロダイトの溶出砒素濃度を更に低く抑制することが出来なかった。しかし、種晶添加量を多くしたから逆効果になったとは考えにくい。単なるバラツキであると考えられる。後述するように更に種晶添加量を増やすと溶出防止を図ることが出来ている。
(試料13)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して50g/Lとなるように、35gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料50や試料1、試料5、試料9と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子の生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料13に係る后液の砒素濃度は20.15g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は59.7%であった。試料50と比較して種晶を50g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料1や試料5、試料9と比較すると大きな差はなく、種晶の量の効果は沈殿率に対しては非常に小さい。
得られた試料13に係る乾燥固形分のD50は24.2μm、比表面積は0.12m/gであり、水分値は6.9%であった。試料50と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が6.94%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料1、試料5と比較すると水分値も若干ながら改善されている。試料9と比較するとほとんど同等である。
また、回収した試料12に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、砒素濃度は1.28mg/Lであった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されており、上記で述べた
ように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料1や試料5、試料9と比較しても溶出濃度が若干ながら改善されていることが判る。
(試料14)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して50g/Lとなるように、35gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料51や試料2、試料6、試料10と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は、試料13と同様の操作を行った。
試料13と同様にゲル状の微粒子の生成は見られなかった。
回収した試料14に係る后液の砒素濃度は5.53g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は89%であった。試料51と比較して種晶を50g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料2、試料6、試料10と比較すると大きな差はない。
回収した試料14に係る乾燥固形分のD50は26.1μm、比表面積は0.16m/gであり、水分値は6.0%であった。試料51と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が6%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料2、試料6、試料10と比較すると大きな差はない。
また、回収した試料14に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.29mg/Lと溶出基準を満たした。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たし、試料51と比較すると大きく改善されている。試料2と比較して同等であり、試料6や試料10と比較すると溶出濃度が改善していることから、溶出濃度に関してバラツキがあることが判る。
(試料15)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して50g/Lとなるように、35gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料52や試料3、試料7、試料11と同様の操作を行った。換言すると、以外は、試料13や試料14と同様の操作を行った。
試料13や試料14と同様にゲル状の微粒子の生成は見られなかった。
回収した試料15に係る后液の砒素濃度は2.13g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は95.7%であった。試料52と比較して種晶を50g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料3、試料7、試料11と比較すると大きな差ではないが若干改善している。
回収した試料15に係る乾燥固形分のD50は26.2μm、比表面積は0.21m/gであり、水分値は6.0%であった。試料52と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は非常に大きくなり、水分値が6%と非常に小さくなり大きく改善されたことがわかる。試料3と比較すると比表面積はともかく、水分値などの数値は改善されていることがわかる。試料7、試料11と比較するとほとんど同等である。
また、回収した乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.05mg/Lと溶出基準を満たした。試料52と比較して種晶を50g/Lの割合で添加するだけで、スコロダイトの溶出砒素濃度を低く抑制することが出来て、大きく改善されたことがわかる。試料3、試料7、試料11と比較しても、溶出濃度が改善していることが判る。
(試料16)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して50g/Lとなるように、35gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料53や試料4、試料8、試料12と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を7時間とした以外は、試料13から試料15と同様の操作を行った。
試料13から試料15と同様にゲル状の微粒子の生成は見られなかった。
回収した試料16に係る后液の砒素濃度は1.57g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は96.9%であった。試料53や試料4、試料8、試料12と比較して種晶を50g/Lの割合で添加しても反応時間が7時間と長ければ、沈殿率に大きな違いは出にくい。温度や酸化ガスの量などにも左右されるので一概に決め付けることは出来ないが、この反応系ではそう言える。
回収した試料16に係る乾燥固形分のD50は26.0μm、比表面積は0.25m/gであり、水分値は6.3%であった。試料53と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は非常に大きくなり、水分値が6.29%と非常に小さくなり大きく改善されたことがわかる。試料4、試料8と比較すると、ほぼ同等の粒子径であると言える。
また、回収した試料16に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.03mg/Lと溶出基準を満たした。試料53と比較して種晶を50g/Lの割合で添加しても反応時間が7時間と長ければ、スコロダイトの溶出砒素濃度を更に低く抑制することが出来ている。試料4、試料8とは同等で、試料12よりは改善されている。このことから、種晶添加により溶出防止を図る効果が若干期待できる。しかし、種晶添加量には他の要因からくるバラツキがあり、特に反応時間が7時間と長いものでは、その効果を見極めにくくなっている。
しかしながら、溶出防止をより強固で安定なものとするには、実際に溶出砒素濃度が0.16mg/L以下となっていることからも、種晶添加および添加量の増大は効果的であるといえる。
(試料17)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して100g/Lとなるように、70gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料50や試料1、試料5、試料9、試料13と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子の生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料17に係る后液の砒素濃度は17.96g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は64.1%であった。試料50と比較して種晶を100g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料1や試料5、試料9、試料13と比較すると大きな差はなく、種晶の量の効果は沈殿率に対しては非常に小さい。
回収した試料17に係る乾燥固形分のD50は22.6μm、比表面積は0.23m/gであり、水分値は4.3%であった。試料50と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が4.3%と非常に小さくなり大きく改善されたことがわかる。試料1、試料5、試料9、試料13と比較しても水分値などは若干ながら改善されている。
また、回収した試料17に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.62mg/Lであった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されている。上記で述べたように、更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料1や試料5、試料9、試料13と比較しても溶出濃度が若干ながら改善されていることが判る。
(試料18)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して100g/Lとなるように、つまり70gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料51や試料2、試料6、試料10、試料14と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は、試料17と同様の操作を行った。
試料17と同様にゲル状の微粒子の生成は見られなかった。
回収した試料18に係る后液の砒素濃度は5.67g/Lであった。つまり砒素の沈殿
率は88.7%であった。試料51と比較して種晶を100g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料2、試料6、試料10、試料14と比較すると大きな差はない。
回収した試料18に係る乾燥固形分のD50は23.3μm、比表面積は0.17m/gであり、水分値は5.7%であった。試料51と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が5.73%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料2、試料6、試料10、試料14と比較すると大きな差はない。
また、回収した試料18に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.31mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料51と比較すると大きく改善されている。上記で述べたように、更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料6、試料10と比較すると溶出濃度が良化しており、バラツキがあることが判る。
(試料19)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して100g/Lとなるように、70gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料52や試料3、試料7、試料11、試料15と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を5時間とした以外は、試料17や試料18と同様の操作を行った。
試料17や試料18と同様にゲル状の微粒子の生成は見られなかった。
回収した試料19に係る后液の砒素濃度は2.06g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は95.9%であった。試料52と比較して種晶を100g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料3、試料7、試料11、試料15と比較すると大きな差ではないが若干改善している。
回収した試料19に係る乾燥固形分のD50は23.0μm、比表面積は0.23m/gであり、水分値は6.2%であった。試料52と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は非常に大きくなり、水分値が6.24%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料3と比較すると比表面積はともかく、水分値などの数値は改善されていることがわかる。試料7、試料11、試料15と比較するとほとんど同等である。
また、回収した試料19に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.04mg/Lと溶出基準を満たした。試料52と比較して種晶を100g/Lの割合で添加するだけで、スコロダイトの溶出砒素濃度を低く抑制することが出来、大きく改善されたことがわかる。試料3、試料7、試料11と比較しても、溶出濃度が改善していることが判る。試料15と比較するとほとんど同等である。
(試料20)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して100g/Lとなるように、70gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加した以外は、試料53や試料4、試料8、試料12、試料16と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を7時間とした以外は、試料17から試料19と同様の操作を行った。
試料17から試料19と同様にゲル状の微粒子の生成は見られなかった。
回収した試料20に係る后液の砒素濃度は1.45g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は97.1%であった。試料53や試料4、試料8、試料12、試料16と比較して種晶を100g/Lの割合で添加しても反応時間が7時間と長ければ、沈殿率に大きな違いは出にくい。温度や酸化ガスの量などにも左右されるので一概に決め付けることは出来ないが、この反応系ではそう言える。
回収した試料20に係る乾燥固形分のD50は23.2μm、比表面積は0.28m/gであり、水分値は6.2%であった。試料53と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は若干大きくなり、水分値が6.2%と非常に小さくなり、大きく改善されたこ
とがわかる。試料4、試料8、試料12、試料16と比較すると、ほぼ同等の粒子径であると言える。
また、回収した試料20に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.04mg/Lと溶出基準を満たした。試料53と比較して種晶を100g/Lの割合で添加しても反応時間が7時間と長ければ、スコロダイトの溶出砒素濃度を更に低く抑制することが出来ている。試料4、試料8、試料16とは同等で、試料12よりは改善されている。このことから、種晶添加によってより溶出防止を図る効果が若干期待できる。しかし、種晶添加量には他の要因からくるバラツキがあり、特に反応時間が7時間と長いものではその効果を見極めにくくなっている。しかしながら、溶出防止をより強固で安定なものとするには、種晶添加および添加量の増大は効果的であるといえる。
(試料21)
試薬の焼きセッコウを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料50と同様の操作を行った。換言すると、種晶として焼きセッコウを用いた以外は、試料9と同様の操作を行った。
尚、焼石膏は、和光純薬工業株式会社製の焼きセッコウ(CaSO・1/2HO)を用いた。
酸素ガスを液中に吹き込む操作を行ったところ、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成した。そして、反応を続けることにより、40分間程度で結晶性スコロダイトの色である明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料21に係る后液の砒素濃度は15.91g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は68.2%であった。試料50と比較して焼きセッコウを25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料9と比較しても沈殿率は更に向上しており効果があるといえる。
回収した試料21に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、焼石膏の混合物であることがわかった。
また、試料21に係る乾燥固形分のD50は14.0μm、比表面積は0.97m/gであり、水分値は7.8%であった。試料50と比較して焼きセッコウを添加すると、粒子径は小さくなり、比表面積は大きくなるが、これは添加した焼きセッコウが微粒子であるためと推測される。そのため全体的な粒子径は小さくなるのである。しかし粒子は微粒子であっても水分値が7.76%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料9と比較すると水分値は若干ながら悪くなっている。
試料21に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は1.05mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかった。しかし、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料9と比較しても溶出濃度が若干ながら改善されていることが判る。
(試料22)
試薬の焼きセッコウを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料51と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は、試料21とほぼ同様の操作を行った。さらに換言すると、種晶として焼きセッコウを用いた以外は、試料10とほぼ同様の操作を行った。
試料21と同様に、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成し、40分間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料22に係る后液の砒素濃度は5.52g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は89%であった。試料51と比較して焼きセッコウを25g/Lの割合で添加するだ
けで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料10と比較しても若干良化している。
回収した試料22に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、焼石膏の混合物であることがわかった。また、乾燥固形分のD50は15.2μm、比表面積は0.83m/gであり、水分値は9.9%であった。試料51と比較して焼きセッコウを添加すると、粒子径は小さくなり、比表面積は大きくなるが、これは添加した焼きセッコウが微粒子であるためと推測される。そのため全体的な粒子径は小さくなるのである。しかし粒子は微粒子であっても水分値が9.93%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料10と比較すると水分値は悪くなっている。しかも、試料21と比較すると、反応時間が増大すると伴に、水分値が上昇する傾向にあることがわかる。これは焼きセッコウが水和反応を起して2水和物に変化していく途中であると推測される。
試料22に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.74mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかった。しかし、この溶出値は試料51と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料10と比較すると溶出濃度が若干ながら上昇しているが差のないレベルであることが判る。
(試料25)
2水和物のセッコウを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料50と同様の操作を行った。換言すると、種晶として2水和物セッコウを用いた以外は、試料9、試料21と同様の操作を行った。
尚、2水和物のセッコウとして、#1セッコウを使用した。#1石膏は、湿式亜鉛製錬所由来の石膏を使用した。
酸素ガスを液中に吹き込む操作を行った結果、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成し、反応を続けることにより、40分間程度で結晶性スコロダイトの色である、明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料25に係る后液の砒素濃度は41.27g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は17.5%であった。試料50と比較して2水和物のセッコウを25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が若干改善されたことがわかる。
回収した試料25に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、CaSO・2HOの混合物であることがわかった。
回収した乾燥固形分のD50は15.5μm、比表面積は1.60m/gであり、水分値は16.1%であった。試料50と比較して2水和物のセッコウを添加すると、粒子径は小さくなり、比表面積は大きくなる。これは添加した2水和物のセッコウが主成分であるためと推測される。そのため全体的な粒子径は小さくなるのである。しかし粒子は微粒子であっても、水分値が16.11%と非常に小さくなり大きく改善されたことがわかる。
また、回収した試料25に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は5.21mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかった。しかし、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。
(試料26)
2水和物のセッコウを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料51と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は、試料25とほぼ同様の操作
を行った。さらに換言すると、種晶として2水和物のセッコウを用いた以外は、試料10、試料22とほぼ同様の操作を行った。
試料25と同様に、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成し、40分間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料26に係る后液の砒素濃度は3.31g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は93.4%であった。試料51と比較して2水和物のセッコウを25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料10と比較しても大きく改善している。
回収した試料26に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、CaSO・2HOの混合物であることがわかった。また、乾燥固形分のD50は20.0μm、比表面積は0.15m/gであり、水分値は13.0%であった。試料51と比較して2水和物のセッコウを添加すると、粒子径は若干大きくなり、比表面積も小さくなるが、ほとんど差のないレベルである。また水分値も13.01%と若干小さくなり改善されたことがわかる。試料10と比較すると粒子径、水分値は若干悪くなっている。
試料26に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.49mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかった。しかし、この溶出値は試料51と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料10と比較しても溶出濃度が若干ながら良化していることが判る。
(試料27)
2水和物のセッコウを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料52と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を5時間とした以外は、試料25や試料26と同様の操作を行った。さらに換言すると、種晶として2水和物のセッコウを用いた以外は、試料11と同様の操作を行った。
試料25や試料26と同様に、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成し、40分間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料27に係る后液の砒素濃度は1.52g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は97%であった。試料52と比較して2水和物のセッコウを25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料11と比較しても大きく改善している。
回収した試料27に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、CaSO・2HOの混合物であることがわかった。また、乾燥固形分のD50は17.9μm、比表面積は0.28m/gであり、水分値は10.6%であった。試料52と比較して2水和物のセッコウを添加すると、粒子径は若干小さくなり、比表面積も大きくなるが、ほとんど差のないレベルである。また水分値も10.6%と若干大きくなっているが、差のないバラツキの範囲内と考えられる。試料11と比較すると粒子径、水分値は若干悪くなっている。
試料27に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.10mg/Lと溶出基準を満たした。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たし、この溶出値は試料52と比較すると大きく改善されており、非常に好ましくなっている。試料11と比較しても溶出濃度が若干ながら改善していることが判る。
(試料28)
2水和物のセッコウを種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料53とほぼ同様の操作を行った。換言すると、反応時間を7時間とした以外は、試料25から試料27
と同様の操作を行った。さらに換言すると、種晶として2水和物のセッコウを用いた以外は、試料12と同様の操作を行った。
試料25から試料27と同様に、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成し、40分間程度で明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料28に係る后液の砒素濃度は1.25g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は97.5%であった。試料53と比較して2水和物のセッコウを25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が若干改善されたことがわかる。試料12と比較しても若干改善している。
回収した試料28に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、CaSO・2HOの混合物であることがわかった。また、乾燥固形分のD50は19.0μm、比表面積は0.28m/gであり、水分値は10.2%であった。試料53と比較して2水和物のセッコウを添加すると、粒子径は若干小さくなり、比表面積も大きくなるが、ほとんど差のないレベルである。また水分値も10.16%と若干大きくなっているが、差のないバラツキの範囲内と考えられる。試料12と比較すると粒子径、水分値は若干悪くなっている。
試料28に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.17mg/Lとなり、溶出基準を満たした。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たし、この溶出値は試料53、試料12と比較すると大きな差がないが、非常に好ましいレベルである。
(試料29)
試薬の酸化鉄(Fe)を種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料50と同様の操作を行った。換言すると、種晶として酸化鉄(Fe)を用いた以外は、試料9、試料21、試料25と同様の操作を行った。
尚、酸化鉄(Fe)は、関東化学製の特級試薬の酸化鉄を用いた。
酸素ガスを液中に吹き込む操作を行った結果、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成し、溶液の粘性が増加したように観察された。反応を続けることにより、30分間程度で粘度の低いスラリーとなったが、試料9、試料21、試料25と異なり、溶液は種晶として添加した酸化鉄(Fe)の色である赤褐色であった。
回収した試料29に係る后液の砒素濃度は8.74g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は82.5%であった。試料50と比較して酸化鉄(Fe)を25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料9などと比較しても大きく改善している。
回収した試料29に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、ヘマタイトとの混合物であることがわかった。
また、乾燥固形分のD50は21.0μm、比表面積は0.48m/gであり、水分値は12.1%であった。試料50と比較して酸化鉄(Fe)を添加すると、比表面積は若干小さくなっているが粒子径は同等である。また水分値が12.06%と非常に小さくなり大きく改善されたことがわかる。しかし試料9などと比較すると粒子径、比表面積、水分値は若干劣っており、これは種晶として添加した酸化鉄(Fe)が粒子径が小さい為である。
試料29に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.46mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかった。しかし、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料9などと比較しても溶出濃度が改善していることが判る。
このように、種晶として酸化鉄(Fe)を使用した場合、ゲル状の微粒子の生成を抑制する効果が若干ながら認められた。一方で、酸化鉄(Fe)を入れなかった
場合より砒素の沈殿率、溶出試験による砒素濃度、共に良好な作用をもたらした。
(試料30)
試薬の酸化鉄(Fe)を種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料51と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は、試料29と同様の操作を行った。さらに換言すると、種晶として酸化鉄(Fe)を用いた以外は、試料10、試料22、試料26と同様の操作を行った。
試料29と同様に、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成し、30分間程度で赤褐色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料30に係る后液の砒素濃度は0.76g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は98.5%であった。試料51と比較して酸化鉄(Fe)を25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料10と比較しても大きく良化している。
回収した試料30に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、ヘマタイトの混合物であることがわかった。また、試料30に係る乾燥固形分のD50は19.2μm、比表面積は0.34m/gであり、水分値は12.0%であった。試料51と比較して酸化鉄(Fe)を添加すると、比表面積は若干大きくなり粒子径は同等である。また水分値が12%と若干小さくなり改善されたことがわかる。しかし試料10と比較すると粒子径、比表面積、水分値は若干劣っている。これは種晶として添加した酸化鉄(Fe)の粒子径が小さいからである。
試料30に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.03mg/Lとなり、溶出基準を満たした。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たし、この溶出値は試料51と比較すると大きく改善されており、非常に好ましくなっている。試料10などと比較しても溶出濃度が非常に大きく改善していることが判る。
このように、種晶として酸化鉄(Fe)を使用した場合、ゲル状の微粒子の生成は抑制効果が若干ながら認められた。一方で、種晶として酸化鉄(Fe)を入れなかった場合より、砒素の沈殿率、溶出試験による砒素濃度、共に良好な作用をもたらした。
(試料31)
試薬の酸化鉄(Fe)を種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料52と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を5時間とした以外は、試料29や試料30と同様の操作を行った。さらに換言すると、種晶として酸化鉄(Fe)を用いた以外は、試料11、試料27と同様の操作を行った。
試料29や試料30と同様に、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成し、30分間程度で赤褐色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料31に係る后液の砒素濃度は0.81g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は98.4%であった。試料30よりも悪化したのはバラツキによる誤差であると考えられる。試料52と比較して酸化鉄(Fe)を25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料11と比較しても大きく改善している。
回収した試料31に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、ヘマタイトの混合物であることがわかった。また、乾燥固形分のD50は19.0μm、比表面積は0.39m/gであり、水分値は8.7%であった。試料52と比較して、酸化鉄(Fe)を添加したことで、比表面積は若干大きくなり粒子径も小さくなった。また水分値が8.69%と若干大きくなっていることがわかる。試料11と比較すると、粒子径、比表面積、水分値は若干劣っている。これは種晶として添加した酸化鉄(Fe)の粒子径が小さいからである。
試料31に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.01m
g/Lと溶出基準を満たした。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たし、この溶出値は試料52と比較すると大きく改善されており、非常に好ましくなっている。試料11などと比較しても溶出濃度が非常に大きく改善していることが判る。
このように、種晶として酸化鉄(Fe)を使用した場合、ゲル状の微粒子の生成は抑制効果が若干ながら認められた。一方で、種晶として酸化鉄(Fe)を入れなかった場合より、砒素の沈殿率、溶出試験による砒素濃度、共に改善作用をもたらした。
(試料32)
試薬の酸化鉄(Fe)を種晶として液量に対して25g/Lとなるように、17.5gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に95℃までの加温中に添加し、試料53と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を7時間とした以外は、試料29から試料31と同様の操作を行った。さらに換言すると、種晶として酸化鉄(Fe)を用いた以外は、試料12、試料28と同様の操作を行った。
試料29から試料31と同様に、反応開始直後にゲル状の微粒子が生成し、30分間程度で赤褐色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料32に係る后液の砒素濃度は0.60g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は98.8%であった。試料53と比較して酸化鉄(Fe)を25g/Lの割合で添加するだけで、沈殿率が改善されたことがわかる。試料12と比較しても改善している。
回収した試料32に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトと、ヘマタイトの混合物であることがわかった。また、試料32に係る乾燥固形分のD50は17.8μm、比表面積は0.38m/gであり、水分値は9.4%であった。試料53と比較して、酸化鉄(Fe)を添加すると、比表面積は若干大きくなり粒子径も小さくなった。また水分値が9.37%と若干大きくなっていることがわかる。試料12と比較すると、粒子径、比表面積、水分値は若干劣っていた。これは種晶として添加した酸化鉄(Fe)の粒子径が小さいからである。
試料32に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.01mg/L未満(検出限界以下)と溶出基準を満たした。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たし、この溶出値は試料53と比較すると大きく改善されており、非常に好ましくなっている。試料12などと比較しても溶出濃度が非常に大きく改善していることが判る。
このように、種晶として酸化鉄(Fe)を使用した場合、ゲル状の微粒子の生成に対し、抑制効果が若干ながら認められた。一方で、種晶として酸化鉄(Fe)を入れなかった場合より、砒素の沈殿率、溶出試験による砒素濃度共に良好な作用をもたらした。
(試料33)
反応温度を80℃とした以外は、試料9と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料33に係る后液の砒素濃度は14.82g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は70.4%であった。試料50と比較して種晶を25g/Lの割合で添加し、80℃反応とするだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料9と比較しても、沈殿率は向上しており、好ましくなっている。
回収した試料33に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。また、試料33に係る乾燥固形分のD50は25.1μm、比表面積は0.15m/gであり、水分値は4.9%であった。試料50と比較し、種晶を添加することで、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が4.92%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料9と比較すると大きな差は見られない。
試料33に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は1.76mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかった。しかし、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料9と比較しても溶出濃度は遜色ないレベルになっていることが判る。
尚、本試料には、比較対象となるべき条件の操作(反応温度を80℃としつつ種晶を添加していないもの)は実施していない。そのため、試料50を(反応温度95℃ながら)比較対象とした。
(試料34)
反応温度を80℃とした以外は、試料10と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は、試料33と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料34に係る后液の砒素濃度は4.77g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は90.5%であった。試料51と比較して、種晶を25g/Lの割合で添加し、80℃反応とするだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料10と比較しても、沈殿率は向上しており、好ましくなっている。
回収した試料34に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。また、試料34に係る乾燥固形分のD50は26.9μm、比表面積は0.17m/gであり、水分値は6.8%であった。試料51と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が6.79%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料10と比較すると大きな差は見られない。
試料34に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.45mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかった。しかし、この溶出値は試料51と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。試料10と比較しても溶出濃度は若干良好になっていることが判る。
尚、本試料には、比較対象となるべき条件の操作(反応温度を80℃としつつ種晶を添加していないもの)は実施していない。そのため、試料51を(反応温度95℃ながら)比較対象とした。
(試料35)
反応温度を80℃とした以外は、試料11と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を5時間とした以外は、試料33や試料34と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料35に係る后液の砒素濃度は2.90g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は94.2%であった。試料52と比較して種晶を25g/Lの割合で添加し、80℃反応とするだけで、沈殿率が改善されたことがわかる。試料11と比較しても、沈殿率はほぼ同等であり遜色ないレベルになっている。
回収した試料35に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。また、試料35に係る乾燥固形分のD50は27.2μm、比表面積は0.18m/gであり、水分値は6.8%であった。試料52と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は大きくなった。試料11と比較すると大きな差は見られないが、ほとんど遜色のないレベルで安定している事がわかる。
試料35に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.18m
g/Lと溶出基準を満たした。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たし、この溶出値は試料52と比較すると大きく改善されており、非常に好ましくなっている。試料11と比較しても溶出濃度は若干良好になっていることが判る。
尚、本試料には、比較対象となるべき条件の操作(反応温度を80℃としつつ種晶を添加していないもの)は実施していない。そのため、試料52を(反応温度95℃ながら)比較対象とした。
(試料36)
反応温度を80℃とした以外は、試料12と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を7時間とした以外は、試料33から試料35と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料36に係る后液の砒素濃度は2.09g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は95.8%であった。試料53や試料12と比較して種晶を25g/Lの割合で添加し、80℃反応としても反応時間が7時間と長ければ、沈殿率に大きな違いは出にくい。当該結果を、種晶を添加せずに80℃反応させたものと比較しておらず、酸化ガスの量などにも左右されるので一概に決め付けることは出来ないが、この反応系ではそう言える。
回収した試料36に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。また、試料36に係る乾燥固形分のD50は26.6μm、比表面積は0.23m/gであり、水分値は5.1%であった。試料53と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は大きくなり、水分値が5.14%と非常に小さくなり、改善されたことがわかる。試料12と比較すると大きな差が見られず若干悪くなっているように見受けられるが、そもそも反応温度が95℃と80℃に違いが生じた状態での比較であり、同等の数値レベルは温度低下効果があるという改善効果が出ていると考えられる。
試料36に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.13mg/Lと溶出基準を満たした。試料53や試料12と比較して種晶を25g/Lの割合で添加するとスコロダイトの溶出砒素濃度を更に低く抑制することが出来ている。単なるバラツキ程度の改善に見えるが、反応温度が80℃と低くしても溶出基準を下回っていることから、同等の数値レベルは温度低下効果があるという改善効果が出ていると考えられる。
尚、本試料には、比較対象となるべき条件の操作(反応温度を80℃としつつ種晶を添加していないもの)は実施していない。そのため、試料53を(反応温度95℃ながら)比較対象とした。
(参考例)
(試料54)
反応温度を70℃とした以外は、試料53と同様の操作を行った。
反応開始直後から、溶液が灰色のゲル状スラリーとなったが、粘度は撹拌できる程度であった。溶液は、灰色のまま数時間推移し、最終的には白緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料54に係る后液の砒素濃度は0.95g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は98.1%であった。
回収した試料54に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。
回収した試料54に係る乾燥固形分のD50は2.96μm、比表面積は2.05m/gであり、水分値は30.87%であった。試料53と比較して反応温度を下げると、粒子径は小さくなり、粒子の持つ比表面積は非常に大きくなり、水分値が30.87%と非常に大きくなった。
また、回収した試料54に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃
度は0.32mg/Lとなり溶出基準を僅かに満たさなかった。しかし、この溶出値は、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものである。
このことから、反応温度を70℃と低くすると、生成するスコロダイトは小さな粒子径となり、コンパクトな形になりにくく、そこが問題である。溶出基準はほぼ満足できるレベルにあるといえる。
(参考例)
(試料55)
酸化剤として純酸素ガスを用いるのではなく、空気を用いた以外は、試料54と同様の操作を行った。
反応開始直後から、溶液が灰色のゲル状スラリーとなったが、粘度は撹拌できる程度であった。溶液は、時間が経過するに従い、灰色から白色と推移し、最終的には明緑色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料55に係る后液の砒素濃度は6.52g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は87%であった。試料53や試料54と比較すると沈殿率が悪くなっているのが判る。これは酸化ガスとして空気を用いたためと推測される。
回収した試料55に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。
回収した試料55に係る乾燥固形分のD50は14.5μm、比表面積は0.26m/gであり、水分値は6.91%であった。試料53と比較すると反応温度を下げても粒径や水分値はほとんど遜色がないレベルであり、試料54と比較すると非常に粒子が粗くて、水分値が良好な値となる。
また、回収した試料55に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は2.01mg/Lとなり溶出基準を満たさなかった。許容できるレベルにあるとはいえ、試料54と比較すると悪化している。
つまり、反応温度を70℃と低くすると生成するスコロダイトは小さな粒子径となりやすくコンパクトな形になりにくい。そして、粒子径を大きくしようとして酸化速度を下げる目的で空気酸化とすると、粒子径は大きくなり水分値的には満足するものの、砒素の沈殿率、砒素の溶出濃度的に、好ましくない傾向が出る事が問題である。
(試料37)
反応温度を70℃とした以外は、試料9と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料37に係る后液の砒素濃度は16.92g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は66.2%であった。試料50と比較して種晶を25g/Lの割合で添加し、70℃反応とするだけで、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。試料9と比較しても、沈殿率は若干向上しており、好ましくなっている。試料54とは反応時間が違うので比較していない。
回収した試料37に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。 また、試料37に係る乾燥固形分のD50は22.1μm、比表面積は0.23m/gであり、水分値は7.9%であった。試料50と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ比表面積は非常に小さくなり、水分値が7.89%と非常に小さくなり、大きく改善されたことがわかる。試料9と比較すると大きな差は見られない。試料54と比較しても粒子径、水分値は非常に好ましくなっている。
試料37に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は2.95mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料50と比較すると大きく改善されており、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来
ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。
尚、本試料には、比較対象となるべき条件の操作(反応温度を70℃としつつ種晶を添加していないもので反応時間が1時間のもの)は実施していない。そのため、試料50を(反応温度95℃ながら)比較対象とし、試料54も反応時間が違うが生成物の物性を比較する点で比較対象とした。
(試料38)
反応温度を70℃とした以外は、試料10と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を3時間とした以外は、試料37と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料38に係る后液の砒素濃度は7.42g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は85.2%であった。試料51と比較して種晶を25g/Lの割合で添加し、70℃の反応とするだけで、沈殿率が改善されたことがわかる。試料10と比較すると、沈殿率は若干低下傾向にあるが、これは反応温度が70℃と低い影響が出ているためである。試料54では、反応温度が同じであっても反応時間が違うので比較できない。単純に試料51と比較して改善しているので、好ましくなっている。
回収した試料38に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。また、試料38に係る乾燥固形分のD50は23.7μm、比表面積は0.27m/gであり、水分値は7.1%であった。試料51と比較して種晶を添加すると、粒子径は大きくなり、水分値が7.09%と小さくなり改善されたことがわかる。試料10と比較すると大きな差は見られない。試料54と比較しても粒子径、水分値は非常に好ましくなっている。
試料38に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は1.48mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料51と比較すると遜色のないレベルであり温度を低くすることが可能な点において改善されており、非常に好ましくなっている。
尚、本試料には、比較対象となるべき条件の操作(反応温度を70℃としつつ種晶を添加していないもので反応時間が1時間のもの)は実施していない。そのため、試料51を(反応温度95℃ながら)比較対象とし、試料54も反応時間が違うが生成物の物性を比較する点で比較対象とした。
(試料39)
反応温度を70℃とした以外は、試料11と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を5時間とした以外は、試料37や試料38と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料39に係る后液の砒素濃度は3.78g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は92.4%であった。試料52と比較して種晶を25g/Lの割合で添加し、70℃反応としても、沈殿率に遜色ないレベルであることがわかる。試料11と比較しても、沈殿率はほぼ同等であり遜色ないレベルになっている。試料54とは反応時間が違うので比較していない。
回収した試料39に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。また、試料39に係る乾燥固形分のD50は20.4μm、比表面積は0.27m/gであり、水分値は8.7%であった。試料52や試料11と比較して種晶を添加すると、70℃という低い反応でもほとんど遜色のないレベルである事がわかる。試料54と比較すると、同じ反応温度でありながら、種晶を添加したものの方が、粒子径は大きく、水分値は小さく、非常に好ましくなっている。
試料39に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.56mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは
溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料52と比較すると遜色のないレベルであり温度を低くすることが可能な点において改善されており、非常に好ましくなっている。
尚、本試料には、比較対象となるべき条件の操作(反応温度を70℃としつつ種晶を添加していないもので反応時間が5時間のもの)は実施していない。そのため、試料52を(反応温度95℃ながら)を比較対象とした。
(試料40)
反応温度を70℃とした以外は、試料12と同様の操作を行った。換言すると、反応時間を7時間とした以外は、試料37から試料39と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料40に係る后液の砒素濃度は3.00g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は94%であった。試料54と比較して種晶を25g/Lの割合で添加し、70℃反応としても反応時間が7時間と長ければ、沈殿率に大きな違いは出にくい。酸化ガスの量などにも左右されるので一概に決め付けることは出来ないが、この反応系ではそう言える。
回収した試料40に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。また、試料40に係る乾燥固形分のD50は25.3μm、比表面積は0.20m/gであり、水分値は7.0%であった。試料54と比較して種晶を添加すると、粒子の持つ粒径は非常に大きくなり、水分値が7%と非常に小さくなり改善されたことがわかる。試料12と比較すると大きな差が見られないが、そもそも反応温度が95℃と70℃に違いが生じた状態での比較であり、同等の数値レベルは温度低下効果があるという改善効果が出ている。
試料40に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.32g/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この様にこの反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、この溶出値は試料54と比較すると同等であり、非常に好ましくなっている。
尚、本試料において比較対照となるべき条件の操作は試料54となる。反応温度を70℃としつつ種晶を添加していない試料53も(反応温度は、95℃ながら)参考となる。種晶を添加していて反応温度だけが異なる試料12も参考になる。
(参考例)
(試料56)
反応温度を50℃とした以外は、試料53や試料54と同様の操作を行った。
反応開始直後から、溶液が灰色のスラリーとなったが、粘度は撹拌できる程度であった、その後、数時間は灰色のまま推移した。
回収した試料56に係る后液の砒素濃度は32.94g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は34.3%であった。試料53や試料54と比較すると沈殿率が悪くなっているのが判る。これは反応温度を50℃と極端に低くしたためと推測される。
回収した試料56に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、非晶質パターンを示した。すなわちスコロダイトと同定できなかった。
回収した試料56に係る乾燥固形分のD50は12.83μm、比表面積は45.9m/gであり、水分値は62.48%であった。試料53、試料54と比較して反応温度を下げると、粒子の持つ比表面積は更に非常に大きくなり、水分値が62.48%と更に非常に大きくなった。
また、回収した試料56に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は319.5mg/Lとなり溶出基準を大幅に満たさなかった。
このことから、反応温度を50℃と低くすると、生成する沈殿物はスコロダイトとならず、砒素が溶出し難くてかつ砒素をコンパクトな形に化合することが困難である事がわかる。7時間も反応させているにもかかわらず、沈殿率も34.3%と非常に悪い。温度を低く抑制することが出来れば、経済的には非常に優れたものとなるのであるが、沈殿率、
コンパクト化、砒素溶出濃度の3つ全てが問題であることが判る。
(参考例)
(試料57)
酸化剤として純酸素ガスを用いるのではなく、空気を用いた以外は、試料56とほぼ同様の操作を行った。換言すると、反応温度を50℃とした以外は、試料55と同様の操作を行った。
反応開始直後から、溶液が灰色のスラリーとなったが、粘度は撹拌できる程度であった。その後、時間が経過するに従い、溶液が灰色から白色と推移し、最終的には白色の粘度の低いスラリーとなった。
回収した試料57に係る后液の砒素濃度は11.62g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は76.8%であった。試料53や試料54と比較すると沈殿率が悪いが、試料56と比較するとやや良好な傾向を示したことが判る。反応温度を低くしたが、酸化ガスとして空気を用い、ゆっくりと反応させた為と推測される。それでも、沈殿率は80%を超えておらず、問題を残している。
回収した試料57に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。
回収した試料57に係る乾燥固形分のD50は2.31μm、比表面積は3.11m/gであり、水分値は30.04%であった。試料53と比較すると反応温度を下げても水分値は良好なレベルであり、試料54と比較しても遜色ないレベルとなっている。試料56と比較すると、水分値は非常に良好な傾向を示している。
また、回収した試料57に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は22.84mg/Lとなり溶出基準を満たさなかった。溶出砒素濃度が、このレベルではいくら鉄酸化物を添加して砒素の溶出防止を図ると言っても、その添加量が膨大なものとなるため、好ましくない。
この様に、反応温度を50℃と低くすると、生成する沈殿物は非晶質(アモルファス)となりやすく、砒素沈殿率が悪く、水分値も高く、砒素溶出値も高くなり、問題が多い。ここで、結晶質のスコロダイトを生成しようと酸化速度を下げる目的で空気酸化とすると、スコロダイトは生成し、沈殿率も70%を越えてくる。しかし、沈殿率はまだ不十分であり粒子径も小さいままで水分値も高く、砒素の溶出濃度も高く、問題が多い。
(試料45)
試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して50g/Lとなるように、35gを砒素液と硫酸第1鉄が溶解した混合液に添加し、撹拌回転数を300rpmに落とし、反応時間を24時間(1日)とした以外は、試料56と同様の操作を行った。
改めて、操作を説明する。
出発原料として、砒素液(和光純薬、As=500g/L)および硫酸第一鉄・七水和物(和光純薬)を準備した。
2.0Lガラス製ビーカーに砒素濃度50g/L,鉄濃度55.91g/Lとなるよう試薬を量り取り、液量0.7Lとなるよう純水を用いて溶液を調製した。
前記2.0Lガラス製ビーカーに、2段タービン攪拌羽根・邪魔板を4枚セットし、300rpmで攪拌した。そして、50℃まで加熱した。50℃に達したところで、試薬で添加した硫酸第1鉄が完全に溶解していることを確認し、試料53によって生成したスコロダイトを種晶として液量に対して50g/Lとなるように、35gを、砒素液と硫酸第1鉄とが溶解した混合液に添加した。5分間撹拌操作を実施しながらpH、ORPを測定した後、引き続いて、純度99%の酸素ガスを流量1.0L/minで液内に吹き込み、回転数300rpmで1日間攪拌した。この反応は、完全な開放系で操作を行ったため、ガスの液中吹き込みにより、僅かながらの水分が蒸発した。そこで、液量を一定に保持するために、蒸留水を適宜加水した。
溶液の反応開始直後から、ゲル状の微粒子スコロダイトは生成せず、反応を通して結晶性スコロダイトの色である明緑色の粘性の低い溶液のままであった。
反応終了後、溶液・析出物の混合スラリーを、加圧濾過器を用いて固液分離した。
回収した試料45に係る后液中の元素濃度を、ICPを用いて測定した。反応后液中の砒素濃度は6.90g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は86.2%であった。種晶を50g/Lの割合で添加することで、液温50℃の反応としても、試料56や試料57と比較して沈殿率が大きく改善されたことがわかる。撹拌が弱くても、問題なく反応していることが判る。
回収した試料45に係る固形分を、パルプ濃度100g/Lとなるよう純水でリパルプし、2Lガラス製ビーカー内において、2段タービン攪拌羽・邪魔板4枚を用い300rpmで攪拌し、一時間水洗した。
当該水洗後、溶液・析出物の混合スラリーを加圧濾過器を用いて固液分離した。
回収した試料45に係る固形分を60℃で18時間乾燥した。得られた試料45に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した。その結果、この乾燥固形分はスコロダイト型鉄砒素化合物であることが確認された。
また、分析の結果、この乾燥固形分の砒素品位は31.7%であった。
試料45に係る乾燥固形分についてレーザー回折式粒度分布測定装置によってD50を、BET一点法により比表面積を測定した結果、D50は35.2μm、比表面積は0.24m/gであり、水分値は11.1%であった。種晶を添加することで、50℃という低い液温の反応でも、試料56や試料57と比較して、析出物は粒子径の非常に大きいもので、水分値が非常に小さいコンパクトなものとなっていることがわかる。非常に改善されている。
このようにして得られた試料45に係る固形分を出発原料として、溶出試験を行った。
すると、砒素濃度は0.76mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、試料56や試料57と比較すると、砒素の溶出値が非常に低く抑制されており、改善効果があることが判る。そして、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。
このように、種晶を50g/L添加することにより、液温を50℃としても粗大な結晶性スコロダイトが生成することが可能である。
(試料46)
酸素ガスの吹き込み量を0.1L/minとし、反応時間を2日とした以外は、試料45と同様の操作を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料46に係る后液の砒素濃度は5.64g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は88.7%であった。種晶を50g/Lの割合で添加すると、液温50℃の反応としても、試料56や試料57と比較して沈殿率が大きく改善されたことがわかる。撹拌を弱くし、かつ、導入する酸素ガス量を非常に小さくしても、反応させることが出来ていることが判る。
回収した試料46に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。
また、試料46に係る乾燥固形分のD50は43.3μm、比表面積は0.14m/gであり、水分値は5.9%であった。種晶を添加することで、50℃という低い液温の反応でも、試料56や試料57と比較して析出物は粒子径の非常に大きいもので、水分値が非常に小さいコンパクトなものとなっている事がわかる。非常に好ましくなっている。
試料46に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.53mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準
を満たさなかったが、試料56や試料57と比較すると、砒素の溶出値が非常に低く抑制されており、改善効果があることが判る。そして、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。
このように、種晶を50g/L添加することにより、液温50℃でも粗大な結晶性スコロダイトが生成することが可能である。
(試料47)
酸素ガスの変わりに空気を使用し、反応時間を10日にした以外は、試料45と同様の処理を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料47に係る后液の砒素濃度は1.14g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は97.7%であった。試料57と比較して、種晶を50g/Lの割合で添加すると50℃反応としても、沈殿率が大きく改善されたことがわかる。撹拌を弱くし、かつ、導入する酸素ガス量を非常に小さくしても反応させることが出来ていることが判る。この沈殿率は、液温95℃の反応である試料53や試料16と比較しても遜色ないことがわかる。
回収した試料47に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。
また、試料47に係る乾燥固形分のD50は42.1μm、比表面積は0.37m/gであり、水分値は11.4%であった。種晶を添加することで、試料57と比較して液温50℃という低い反応でも、析出物は粒子径の非常に大きいもので、水分値が非常に小さいコンパクトなものとなっている事がわかる。非常に好ましくなっている。
試料47に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.14mg/Lと溶出基準を満たした。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たし、試料56や試料57と比較すると、非常に砒素の溶出値が低く抑制されており、改善効果があることが判る。
(試料48)
酸素ガスの変わりに空気を、0.1L/minで吹き込みした以外は、試料47と同様の処理を行った。
その結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成が見られず、反応開始時から溶液の色はスコロダイトの色である明緑色のままだった。
回収した試料48に係る后液の砒素濃度は1.34g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は97.3%であった。種晶を50g/Lの割合で添加することで、液温50℃の反応としても、試料57と比較して沈殿率が大きく改善されたことがわかる。撹拌を弱くしてかつ導入する酸素ガス量を非常に小さくしても、反応させることが出来ていることが判る。この沈殿率は、液温95℃の反応である試料53や試料16と比較しても遜色ないことがわかる。
回収した試料48に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。
また、試料48に係る乾燥固形分のD50は38.8μm、比表面積は0.36m/gであり、水分値は8.6%であった。種晶を添加することで、50℃という低い液温の反応でも、試料57と比較して析出物は粒子径の非常に大きいもので、水分値が非常に小さいコンパクトなものとなっている事がわかる。非常に好ましくなっている。
試料48に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は0.11mg/Lと溶出基準を満たした。この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たし、試料56や試料57と比較すると、非常に砒素の溶出値が低く抑制されており、改善効果があることが判る。
(試料49)
反応温度を25℃、反応時間を30日とした以外は、試料47と同様の操作を実施した。
当該操作を実施した結果、ゲル状の微粒子スコロダイトの生成は見られなかったが、反応終了時には、溶液の色がスコロダイトの色である明緑色よりやや白みがかった色となった。
回収した試料49に係る后液の砒素濃度は2.08g/Lであった。つまり砒素の沈殿率は95.8%であった。種晶を50g/Lの割合で添加したことで、液温25℃の反応としても、試料57と比較して沈殿率が大きく改善されたことがわかる。この沈殿率は、液温95℃の反応である試料53や試料16と比較しても遜色ないことがわかる。
回収した試料49に係る乾燥固形分についてX線回折パターンを測定した結果、結晶性スコロダイトであることがわかった。つまり、液温25℃という非常に低い温度でもスコロダイトを生成できていることがわかる。
また、試料49に係る乾燥固形分のD50は18.4μm、比表面積は3.69m/gであり、水分値は24.1%であった。
種晶を添加することで、25℃という低い液温の反応でも、試料57と比較して析出物は粒子径の非常に大きいもので、水分値が非常に小さいコンパクトなものとなっていることがわかる。しかし、試料45から試料48と比較すると、水分値は20%を超えておりより低い値が望まれる。しかし、種晶を添加しないものと比較すれば、非常に好ましくなっている。
試料49に係る乾燥固形分を用いて溶出試験を行った結果、溶出砒素濃度は6.26mg/Lとなり、溶出基準を満たさなかった。
この反応で生成したスコロダイトは溶出基準を満たさなかったが、試料56や試料57と比較すると、砒素の溶出値が非常に低く抑制されており、改善効果があることが判る。そして、上記で述べたように更なる不溶化処理を施すと充分に砒素の溶出を満足することが出来ると判断されるものであるため、非常に好ましくなっている。尤も、砒素の溶出値をより低下させる為に、例えば、反応終了間際に温度を上昇させる等の構成を加えることも好ましい。いずれにしても、特に加熱の不要な液温で、反応を進行させるという点において、非常に好ましい進歩であるといえる。
尚、本試料において比較対照となるべき、種晶を添加しない25℃の反応操作は実施していないので完全な比較はできないが、種晶なしで生成反応を行った試料56や試料57が参考とした。試料56や試料57は反応温度が50℃とより高温であるので、この試料49がこれらよりもより好ましい数値を示すならば、試料49の優位性は充分満足していることになると考えられる。また種晶を添加してはいるものの、反応温度50℃である試料45から48と比較しても同等ならば、試料49の優位性は充分満足しているといえる。
Figure 2009018291
Figure 2009018291
本発明に係る砒素の処理方法を示すフローチャートである。

Claims (6)

  1. 5価の砒素溶液に2価の鉄塩を共存させ、そこへ酸化剤を加えてスコロダイトを生成させる際、前記5価の砒素溶液に、予め種晶を添加しておくことを特徴とする砒素の処理方法。
  2. 種晶の添加量が、パルプ濃度にして5g/L以上であることを特徴とする請求項1に記載の砒素の処理方法。
  3. 種晶として、3価の鉄塩を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の砒素の処理方法。
  4. 種晶として、スコロダイト、ヘマタイト、ジャロサイト、ゲーサイトから選択されるいずれか1種以上を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の砒素の処理方法。
  5. 種晶として、焼き石膏を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の砒素の処理方法。
  6. 種晶の添加量が50g/L以上、前記砒素溶液の温度を25℃以上、50℃以下としてスコロダイト結晶を生成させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の砒素の処理方法。
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