図面を参照すると、本発明の実施形態に従った給餌装置10が示される。給餌装置10は、幼生培養タンクへの制御されたマイクロ規定食を定期的に管理するように構成される。マイクロ規定食は、調合された飼料を含む。
給餌装置10は、調合された飼料を収容する容器12を含む。種々の市販の飼料が容器12の中に収容されてよい。そのような飼料には、ジェンマ・マイクロ(登録商標)150及び300、ジェンマ(登録商標)0.3、スクレッティング・クランブル(登録商標)600及び1mm(以上、スクレッティング社)、プロトン1、2/4及び3/5、NRD3/5、4/6及び5/8(以上、Inve社)が含まれる。
シャッタ手段14は容器12の下端に置かれ、開放位置と閉鎖位置との間を移動可能である。閉鎖位置から開放位置へ移動すると、シャッタ手段14は通路16を提供する。通路16は、容器12からシャッタ手段14を通過して形成され、飼料を通過させて送出する。
制御用接続手段18が設けられており、それにより給餌装置10は、プログラム可能な論理コントローラに接続可能である。このコントローラは、マイクロ微粒子飼料の散布を全日に割り当てることができ、手作業で仔魚に給餌するのを不要にし、光周期全体に亘って安定的な飼料の利用可能性を提供する。これは、消費されない飼料によりバクテリアが増殖し養殖システムを破綻させるのを低減する。
シャッタ手段14は、アッパープレート20及びロワープレート22を含む。これらのプレートは、閉鎖位置と開放位置との間で相対的に摺動するように配設される。更に具体的には、アッパープレート20は移動可能であり(したがって、可動プレートである)、ロワープレート22は固定される(したがって、非可動プレートである)。プレート20及び22は、それぞれ複数の開口24を有している。これらの開口24は、閉鎖位置にあるときは一致せず、開放位置にあるときは一致して通路16を形成する。この実施形態において、通路16は2つの溝28を含む。
アッパープレート20及びロワープレート22は、それらの間にゆったりした動作が起こるように、ゆったりと相互に作用し、飼料が通過する際の飼料の剪断方向の圧縮を阻止する。飼料の剪断動作は、容器12の下端部においてプレート20及び22の間に飼料の凝縮を生じさせ、これは給餌装置10を閉塞させる。
シャッタ手段14は、作動アーム40を有するピストンソレノイド30をさらに有している。作動アーム40は、係合孔にピン21を挿通することによりアッパープレート20に連結される。ソレノイド30を作動させることによって、アッパープレート20は、容器12の底部を横切るように引かれる。典型的には、ソレノイド30は、低電圧、例えば、12または24ボルトで駆動される直流ソレノイドである。
容器12は、管31を画定する導管を含む。管31は飼料を収容可能であり、飼料の残量を容易に確認できるように透明な素材で構成されている。本実施形態において、管31は、内径25mmのPVC管で構成されているが、異なる寸法を有する他の管を用いることもできる。管は、キャップ37として構成された着脱可能な蓋体によって、その上端を閉鎖される。
図6は、アッパープレート20を示す平面図である。アッパープレート20は、複数の開口24が、4つの長方形溝穴32として設けられている。本実施形態において、各溝穴32の幅は5mmである。図7は、ロワープレート22を示す平面図である。ロワープレート22は、複数の開口24が、2つの長方形溝穴34として設けられている。ロワープレート22の他の実施形態として、アッパープレート20に対応した4つの溝穴を有してもよい。ロワープレート22は、溝穴34に隣接したバー36を有する。2つの溝穴の代わりに4つの溝穴を設けることにより、閉鎖位置から開放位置に移動し再び閉鎖位置へ戻る1回の振動で送出されるマイクロ微粒子物質の量を増加させることができる。あるいは、上記同様のアッパープレートに対して、ロワープレートに1つの溝穴を追加し、管の口径を増加すれば、より多くの飼料を送出することができる。ロワープレートに3つ以上の溝穴を設ける場合には、アッパープレートに溝穴を追加する必要がある。
ロワープレート22は2つの取り付け穴35を含む。穴35によって、ロワープレート22は必要に応じて容易に交換可能である。
シャッタ手段14が閉鎖位置にある場合に、アッパープレート20の溝穴32にロワープレート22のバー36が重なり、したがって飼料がそれらを通って落下するのが阻止される。動作時には、アッパープレート20は、管31の底部とロワープレート22との間でソレノイド30によって移動される。全体として、シャッタ手段は開放位置と閉鎖位置との間で移動する。
ソレノイド30の作動アーム40の周りに配置されたバネ38(図中かくれ線で示される)は、作動アームを突出方向に付勢している。これにより、アッパープレート20が付勢され、図1及び図4に示されるように、シャッタ14は、通常は閉鎖位置に位置している。作動アーム40の突出方向の移動範囲は、図4に最も良く示されるように、本体41との当接によって規制される。ソレノイド30が作動アーム40を駆動してアッパープレート20を引いた状態では、溝穴32はロワープレートの溝穴34と整列して2つの溝28を形成する。この実施形態において、バネ38はステンレス鋼製である。
前述したように、容器12は管31または導管20を含む。管31または導管20は、シャッタ手段14から上方に伸びる。これにより、容器12に飼料が収容された状態で、容器12の下端に存在する飼料部分は、その上に更なる飼料部分を有する。したがって、アッパープレート20を動かすことによって2つの溝28が形成される場合に、飼料物質は、その自重によってシャッタ手段14を通過する。即ち、飼料はシャッタ手段14に対して重力で供給される。
シャッタ手段14は、1つの給餌事象で複数回に亘って移動可能である。この移動回数は、飼料に応じた流れ特性と、当該給餌事象において要求される飼料の総量に従って予め決定される。複数の開口及びピストンの制御によって、給餌事象当たりの飼料供給の正確な配分が可能となる。
給餌装置10は、プレート20及び22、管31、及びソレノイド30を支持するフレームを構成する本体41を含む。本体41は、ソケット45を組み込んだ部分42を含む。管31は、その下端においてソケット45に嵌入されている。ソケット45は内端に環状リップ46を有し、管31の下端は環状リップ46に対抗して置かれる。環状リップ46には開口47が画成され、該開口47は管31の内周に対応している。部分42は下面48を有する。アッパープレート20は下面48の下で摺動する。ロワープレート22は、本体41に対して固定され、締結部材、例えば、取り付け穴35に挿通したネジ23によって、本体41に着脱可能に取り付けられる。2つの取り付け穴35の間隔は、アッパープレート20が、ネジ23に干渉することなく収容される間隔である。
本体41は、更に、キャビティ49を画成する部分43を含む。キャビティ49にはソレノイド30が格納される。
シャッタ手段14を通過した飼料を、ある拡がりをもった区域に散布するための散布ユニット50がフレーム42の下端に設けられている。この散布ユニット50は、空気流送出手段51を含み、該空気流送出手段51は、シャッタ手段14の下方に気流を送出して、飼料物質を吹き飛ばすように構成されている。空気流送出手段51は、本体41の部分43の底壁55の中に形成された複数の出口53を含む。複数の出口53は、飼料を分散させて散布する比較的安定した空気流を提供する。各出口53は、底壁55の中に組み込まれたマニホルード57に連通し、該マニホルード57は、出口53へ供給する空気を流路58から流入させる。流路58は底壁55の中に組み込まれ、空気供給管路59を介して圧縮空気源(図示せず)に連結されている。
プログラム可能な論理コントローラ(PLC)は、制御用接続手段18を介して給餌装置10へ接続される。この実施形態において、論理コントローラは、10A、00〜240Vの交流で動作する電源を含む(重要ではないが、同じMitsubishi Alphaも24V直流で利用可能である)。PLCは、複数の継電器を含み、複数の継電器は給餌装置の数に対応し、これらの給餌装置の各々は前記給餌装置10と同等である。継電器は12ボルト直流電源を提供し、本実施形態では24〜48Wの定格電力で動作する。
給餌装置10は、養殖タンクの水面の上方に設置され、いかなる空気混入又は散気装置からも離されている。水面上約200mmの距離が適切であることが分かっている。この配置によって、散布ユニット50は、水面上の散布区域を提供する。給餌装置10は、十分な空気圧を供給されて散布区域の上に事実上均等に飼料を散布するように、散布区域の方へ向けられる。もし空気圧が不足すれば、飼料は凝集し、散布区域の下の水柱を通って速く沈降する可能性がある。空気圧は実施形態と共に変動し、一般的に、日常的試行によって最適化可能である。マイクロ微粒子の飼料の小片11は、図2及び図3において、散布されるように示される。空気出口50は飼料を分散させるのに役立つ。
さらに理解すべきこととして、乾燥空気を供給することにより、飼料の凝集に伴うアッパープレート20及びロワープレート22への固着を防止しなければならない。もし散布区域を広くする必要があれば、養殖システムの水面上から更に大きな距離を取って給餌装置を設置すれば良い。代替的に、空気流の速度または流量を増加もしくは修正することができる。これらの必要量は、飼料の物理的特徴によって決定される。
給餌装置10は、可撓性ブラケット61の形態で提供される取付け手段60を含む。可撓性ブラケット61は、給餌装置10をビーム63へ取り付けるように構成され、細長い管31は垂直線から離れる傾斜角でシャッタ手段14から上方に伸びる。この配置において、ブラケット61は垂直線に対して約45度の傾斜角で管31を取付けるように設計される。可撓性ブラケット61の構成は、シャッタ手段14の動作により容器12を揺動させて、飼料の確実な送出を可能にする。これはシャッタ手段14の作動中に飼料の累積を有利に防止されることで分かった。このように、アッパープレート20が多数回往復動して、給餌事象で所定量の飼料を送出する間、それに関連した振動が、ソレノイド30、プレート20、22、またはその他の部材を通じて管31へ伝達される。これは、飼料がアッパープレート20の上方で凝縮するのを防止し、給餌期間における一層均一な飼料の散布と散布量の割り当てを可能にする。
有利には、飼料は、図面で示されるように、管31の中で内部の下方の側31aに沿って緩く収容される。そのような傾斜配置により、飼料がアッパープレート20の上側で凝縮するのが防止される。
前述した市販の飼料に加えて、多数の実験的種類の飼料が給餌装置10を成功裏に通過できた。これらは、加工成形されたペレットを加熱炉で乾燥させた後、擦り潰すことにより作製されたものであり、この飼料は、さらに粒子サイズに応じてふるい分けられた。粒子サイズの範囲は、100〜300μm、300〜500μm、500〜780um、780μm〜1.0mm、及び1.0〜1.5mmとしたが、他のサイズを適用可能であることは勿論である。最大性能を支援するため、アッパープレート20の上の凝縮は回避されるべきである。
プログラム可能な論理コントローラは、特定の魚類幼生種のために周期的給餌プログラムが工場で設定される。この給餌プログラムが所定の給餌体制を提供する。給餌事象の間隔は、パーソナル・コンピュータのソフトウェア・インタフェースを用いて容易に変更可能である。
それぞれの給餌期間の開始時に、全ての給餌装置の動作を同時に停止することが望ましい場合がある。このような目的には、オンブロック遅延ルーチンが提供される。
給餌事象において養殖タンクへ送出される飼料の量を変更かつ制御するため、給餌事象当たりのアッパープレート20の振動数が調整されてよい。
給餌事象当たりに送出される飼料の量(即ち、アリコートサイズ)は、本来的に飼料の流れ特性に依存する。この特性は、粒子サイズ、飼料の成分などによって変化することが周知である。したがって、コントローラにより制御用接続手段18を介して給餌装置10を制御し、アリコートサイズを実質的に前もって決定することができる。
一般的に、アッパープレートが給餌事象の間に1回の振動で動くとき、即ち、シャッタ14が閉鎖位置から開放位置へ動き、それから開放位置へ戻るとき、飼料は比較的ゆっくりと容器12から送出される。1回の振動は、一般的に、比較的速い流れ特性を有する規定食、例えば、プロトン2/4やジェンマ0.3に適している。もし2回または複数回動作する給餌プログラムが、これらの飼料について適用されるならば、これらの飼料はシャッタ手段14を全く自由に通過して流れるが、もしソレノイドが迅速に作動しなければ、過剰の給餌が起こる可能性がある。
ジェンマ・マイクロ150を仔魚培養タンクへ送出するとき、給餌事象当たり2回の振動が一般的に必要である。1つの例では、ジェンマ・マイクロ150は2回のプレート動作によって給餌事象当たり0.025グラムの割合で送出される。
ジェンマ・マイクロ150及びいくつかの一層小さな実験的飼料の場合、導管上で揺動させる操作が最も有効であることが分かった。揺動によって、飼料が、管31の上方に分散しながら戻され、その後、自然に降下して定位置に戻ることが可能になることが判明した。飼料を下方へ揺動する最初の動作での振動は、2倍以上のアリコートの送出を生じることが分かった。もし給餌事象当たりに、それより多い量が必要であれば、一層多くのプレートの動作を適用することができる。さらに、導管12の口径を増加させることに加えて、溝穴の数を変更することができる。給餌器プログラムは、個々の飼料の流れ特性を念頭において、個々の飼料に対して調整される必要がある。
いくつかの小さな微粒子の飼料は、大きな飼料よりも、小さいアリコートとして給餌装置10を通過することが分かった。これは、より小さな粒子の飼料の、より大きな表面積が、より遅い流れ特性を生じる、より高い摩擦係数を作り出すためと考えられる。管31の中の飼料の量を測定することによって、給餌サイクル当たりで引き渡される飼料の量は、正確に前もって決定可能である。これによって、正しい時間フレームの中で正しい量の飼料を送出するように、PLCをプログラムすることができる。
操作方法は比較的簡単である。管31は、キャップ37を取り除くことによって上端で開かれ、飼料は凝縮しないように緩やかに管を降下してアッパープレート20に到達するようにする。飼料が散逸するのを避けるために漏斗の使用が推奨される。この後、PLCを利用して、特定の日付及び時間を指定することによって給餌事象を設定する。給餌事象当たりのサイクルの持続時間又は数を設定しても良い。
PLCは、規定時間、例えば、15分間隔の3回の午前の給餌事象、及び20分間隔の3回の午後の給餌事象で、1回の送出量が少し多めになるようにプログラム可能である。典型的には、ソレノイド30は1回の給餌事象における複数回の動作について0.3秒の「オン」及び0.1秒の「オフ」で作動する。このような動作でシャッタ手段14を開放位置へ移動させ、バネ38がシャッタ手段14を閉鎖位置へ復帰させるようにする。任意の時点で、より大きな量の飼料が要求された場合には、複数の振動が実行される。1つの例において、給餌事象は10分ごとに起り、1事象当たり0.2ミリグラムの飼料が送出される。
1秒の端数の間、ソレノイド30を付勢して、給餌事象当たりの飼料の量を正確に制御することに加えて、PLCは、付属の照明及びシステム・メンテナンス機器を供給する施設を有する。システム・メンテナンス機器は、全体としての養殖システムの完全な同期を可能にする。
このようにして、給餌装置10は、最初に飼料を容器12の中に収容することによって飼料を供給する。次に、通路26が提供され、飼料物質はそれを通って容器12から送出される。これはシャッタ手段14を閉鎖位置から開放位置へ移動することによって達成される。次に、飼料は通路16を通過し、当該区域の上に散布される。そのサイクルの後、シャッタ手段は開放位置から閉鎖位置へ移動され、飼料物質の通過を停止する。多くのサイクルの後に、給餌装置10は容易に清掃でき、信頼性のある動作が確保される。これは高圧空気ノズルを使用して行われ得る。
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な部分及びステップの形態、詳細部分、配列、及び関係に対して、様々な変更が行われ得ることが理解されるであろう。例えば、飼料は、粉末であっても良い。取付け手段は、ビームに連結された紐状体に掛けられてもよい。ロワープレートがソレノイドに接続され、アッパープレートが固定されていてもよい。給餌装置は、海洋孵化場環境で使用されてよい。当業者に明らかな修正及び変形は、少なくとも本発明の範囲の中に入ると考えられる。本明細書に記載された本発明の好ましい実施形態は、1つの具体的な例である。
明細書の全体で、文脈がそうでないことを要求しない限り、「含む」の語、またはその変形、例えば、「備える」または「備えている」は、記述された整数または整数群を含むが、他の整数または整数群を排除しないことを暗示するものと理解される。