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JP2008524298A - シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解方法 - Google Patents

シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解方法 Download PDF

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JP2008524298A JP2007547350A JP2007547350A JP2008524298A JP 2008524298 A JP2008524298 A JP 2008524298A JP 2007547350 A JP2007547350 A JP 2007547350A JP 2007547350 A JP2007547350 A JP 2007547350A JP 2008524298 A JP2008524298 A JP 2008524298A
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Abstract

本発明は、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをシクロヘキサノンに分解する方法であって、遷移金属触媒の非存在下に、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機供給溶液を塩基水溶液と混合して、(i)水相と、(ii)シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む有機相と、を含有する混合物を得る工程を含む方法に関する。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
本発明は、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをシクロヘキサノンに分解する方法に関する。
シクロヘキサノンは、ともにナイロンの中間体であるカプロラクタムおよび/またはアジピン酸の製造に使用される。カプロラクタムおよびアジピン酸の製造に関して、シクロヘキサノンの公知の製造経路には、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドおよび副生物を得るためのシクロヘキサンの酸化が含まれる。カプロラクタムの製造のためには、シクロヘキサノンは望ましい中間体である。この目的のために、まずシクロヘキシルハイドロパーオキサイドがシクロヘキサノンとシクロヘキサノールに転換され、そして、シクロヘキサノールが別の工程でシクロヘキサノンに転換される。
公報EP−A−092867号明細書には、アルカリ金属水酸化物の水溶液の存在下、温度70〜115℃で、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機供給溶液を、硫酸コバルトまたは硝酸クロムのような遷移金属塩で処理して、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む有機相並びに水相を含有する混合物を得る方法が記載されている。EP−A−092867号明細書には、温度70〜115℃で、そのような遷移金属を触媒とする2相分解を行うと、より高い温度でそのような分解を行うより、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率が良好であることが記載されている。そのような低い温度の2相分解方法では、有機相中の生成したシクロヘキサノールに対する生成したシクロヘキサノンのモル比は、通常、最大でも1.5である。
今、驚くべきことに、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解反応で得られたシクロヘキサノールに対するシクロヘキサノンのモル比(以下、生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比という)は、塩基水溶液は存在させるが、遷移金属触媒は存在させずに、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解させることによって、著しく増加することがわかった。カプロラクタムの製造にシクロヘキサノンが望ましい中間体であることから、生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比が増大することは、例えば、カプロラクタムが最終所望生成物である場合に有利である。例えば、カプロラクタムが最終所望生成物である場合に、生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比が増大することは、分解後得られた混合物から分離する必要があるシクロヘキサノールの量が減少し、また、シクロヘキサノンへと転換する必要があるシクロヘキサノールの量が減少するため、有利である。かくして、シクロヘキサノンの回収および精製がより容易に行われる。
したがって、本発明は、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをシクロヘキサノンに分解する方法であって、遷移金属触媒の非存在下に、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機供給溶液を塩基水溶液と混合して、(i)水相と、(ii)シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む有機相と、を含有する混合物を得る工程を含む方法を提供するものである。
驚くべきことに、本発明の方法では、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む有機相中において、2より大きい、生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比、2.5より大きいモル比でさえ、あるいは3より大きいモル比でさえ得られることがわかった。ここで使用するとき、有機相中の生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比は、nanone formed/nanol formed(ここで、nanone formed=有機相中のシクロヘキサノンの濃度マイナス有機供給溶液中のシクロヘキサノンの濃度、nanol formed=有機相中のシクロヘキサノールの濃度マイナス有機供給溶液中のシクロヘキサノールの濃度である)で定義される。濃度の単位は、全てmol/kgである。
したがって、本発明は、さらに、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをシクロヘキサノンに分解する方法であって、遷移金属触媒の非存在下に、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機供給溶液を塩基水溶液と混合して、(i)水相と、(ii)シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む有機相と、を含有する混合物を得る工程を含み、有機相中の生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比が2より大きい方法を提供するものである。このモル比は2.5より大きいことが好ましく、3より大きいことがより好ましい。
本発明の方法のさらなる利点は、例えばEP−A−092867号明細書に記載された方法と比較すると、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドのシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの分解において、より高い選択率が得られることである。驚くべきことに、この高い選択率は、より高い温度でも維持されることがわかった。塩基水溶液および遷移金属触媒の存在下におけるシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解に関する先行技術は、温度を上昇させると選択率が低下すると教示しているので、これは予想外のことであった。本発明のさらなる利点は、塩基の消費を減少させられることにある。
本発明の方法においては、有機供給溶液中に存在するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解は、遷移金属触媒の非存在下に行われる。これは、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機供給溶液を遷移金属の非存在下に塩基水溶液と混合することによって行われる。ここで使用されるとき、遷移金属触媒の非存在下に分解を行うとは、分解に対して明らかに触媒作用を示す量の遷移金属化合物が、その目的をもって分解すべき混合物に加えられていないということを意味する。言い換えれば、有機供給溶液中に存在する遷移金属触媒は、有機供給溶液が分解部に入る前に、分解に対する触媒活性が現れない程度にまで、除去および/または不活性化される。たとえ低濃度の存在であっても、分解に対して顕著な触媒作用を示す遷移金属化合物の例としては、Cr塩、および、特にCo塩がある。したがって、本発明の方法は、特に、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解プロセスにCoおよび/またはCr触媒を意図的に加えることなく、分解を実施することに関する。しかしながら、本発明の構成においては、分解に供せられる混合物に反応器の壁の腐食により遷移金属化合物が混入することは、分解に供せられる混合物への遷移金属の意図的な添加とは見なされない。
本発明の方法で分解されるシクロヘキシルハイドロパーオキサイドは、種々の公知の方法で得ることができる。
シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの調製は、生成されたシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解を促進するような物質が存在しない条件下で、酸素含有ガスにより、シクロヘキサンを酸化して(以下、無触媒酸化という)、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド、酸、エステル、低沸点化合物および高沸点化合物を含む酸化反応混合物を生成する工程を含むことが好ましい。低沸点化合物とは、沸点がシクロヘキサノンより低く、シクロヘキサンより高い有機化合物を意味する。1−ブタノール、1−ペンタナール、1−ヘキサナール、1−ペンタノールおよびエポキシシクロヘキサンが例として挙げられる。高沸点化合物とは、沸点がシクロヘキサノールより高い有機化合物を意味する。2−シクロヘキシリデンシクロヘキサノン、2−ヘキシリデンシクロヘキサノンおよび2−(シクロヘキセン−1−イル)シクロヘキサノンが例として挙げられる。酸化は、通常、液相中で行われる。酸素含有ガスとしては、例えば、純酸素、富もしくは貧酸素の空気、または窒素もしくは他の不活性ガスを混合した酸素が使用される。適切な酸化温度は120〜200℃である。好ましくは、140〜190℃の酸化温度が使用される。例えば、EP−A−92867号明細書に記載された方法と比較すると、本発明の方法は、酸化温度と分解温度の差を小さくできるという利点を有する。これは、例えば、酸化反応器から流出した反応混合物を、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解させる前に、冷却させる程度を低減することができるので、エネルギー消費の観点から有利である。酸化反応は、通常、5分〜24時間行われる。圧力は、通常0.1〜5MPa、好ましくは0.2〜2.5MPaである。シクロヘキサンの無触媒酸化は、シクロヘキサンの触媒酸化より、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの収率が高く、また、本発明の方法によりシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解する前に遷移金属酸化触媒を分離および/または不活性化する必要がないため、好ましい。一般に、そのようなシクロヘキサンの無触媒酸化で得られる反応混合物は、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの重量パーセントと少なくとも同程度の重量パーセントのシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む。そのようなシクロヘキサンの無触媒酸化で得られる反応混合物中のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの量が、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの量の少なくとも2倍であることもしばしばある。
場合により、酸素含有ガスによるシクロヘキサンの酸化で得られた反応混合物中に存在するシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを、本発明の分解プロセスに供する前に、酸素含有ガスによるシクロヘキサンの酸化で得られた反応混合物を、シクロヘキサンの全てまたは好ましくは一部を分離、好ましくはフラッシングまたは蒸留することによって、濃縮することができる。場合により、シクロヘキサンの酸化で得られたシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを本発明により分解する前に、そして、好ましくは前記濃縮の後に(もし、行っていたならば)、酸化で生成した酸を中和する目的で、例えばEP−A−4105号明細書に記載されているように、水で、または好ましくはアルカリ水溶液で、処理してもよい。そのような中和を行う場合、分解後反応混合物から分離し得る水相の少なくとも一部を中和に適用することによって、塩基の総消費量を減らすことができる。
本発明により分解されるシクロヘキシルハイドロパーオキサイドは、いかなる有機供給溶液中に存在してもよい。有機供給溶液中のシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの濃度は、重要ではない。シクロヘキシルハイドロパーオキサイドは、例えば、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを0.1〜20重量%(有機供給溶液に対して)含む有機供給溶液中に存在してもよい。本発明の方法がシクロヘキサンの酸化によって得られたシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解に適用される場合、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機供給溶液は、通常、他の化合物、例えば(1)シクロヘキサンおよび/または(2)シクロヘキサノンおよび/または(3)シクロヘキサノールも含む。有機供給溶液中のシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを合計した濃度は重要ではなく、例えば0〜20重量%(全有機供給溶液に対して)である。
さらに、混合が行われる温度、水相のpH、有機相に対する水相の体積比、および、塩基水溶液中のカルボン酸塩の濃度が、特に、有機相中の生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比にさらに影響を及ぼすことがわかった。
前記混合は、70℃より高い温度で行うことが好ましく、80℃より高いことがより好ましく、90℃より高いことがより好ましく、100℃より高いことがよりいっそう好ましい。温度を上昇させることによって、分解反応速度が増大し、それにより滞留時間が短縮される。驚くべきことに、温度を上昇させても、有機層における生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比、並びに、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドのシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの分解の選択率が大きく低下することがないことがわかった。本発明の方法で分解されるシクロヘキシルハイドロパーオキサイドがシクロヘキサンの酸化によって得られる場合、前記混合を高い温度で行うことは、特に有利であり、特にエネルギー消費の観点から有利である。なぜなら、分解温度が高いと、酸化反応器から流出した反応混合物を、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解させる前に、冷却させる程度を低減することができるからである。前記混合は、170℃より低い温度で行うことが好ましく、160℃より低いことがより好ましく、150℃より低いことがよりいっそう好ましい。160℃より高い温度で分解を行うと、有機相における生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比が低下するおそれがあり、また、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドのシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの分解の選択率が低下するおそれがあることがわかった。この低下は、混合を170℃より高い温度で行うとより顕著となり得る。
混合は、25℃で測定した水相のpHが9より高くなるような塩基水溶液の量で行うことが好ましい。水相のpHは、25℃での測定で、10より大きいことが好ましく、11より大きいことがより好ましく、12より大きいことがより好ましく、13より大きいことがより好ましく、13.5より大きいことがよりいっそう好ましい。水相のpHを増大させることによって、分解反応速度が増大する。水相のpHを増大させることによって、有機層における生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比をさらに増大させることができる。また、水相のpHを増大させることにより、分解反応のシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率を増大させることができる。他方、水相のpHを増大させると、塩基の消費量が増大する。本発明の方法で分解されるシクロヘキシルハイドロパーオキサイドがシクロヘキサンの酸化によって得られた場合、混合を、高温で、かつ、水相のpHを比較的高くして行うことが有利である。なぜなら、これによって、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率、および、生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比が高くなり、また同時に、エネルギー消費が減少するからである。
本発明の方法においては、有機相に対する水相の体積比は0.02より大きいことが好ましく、0.1より大きいことがより好ましく、0.15より大きいことがよりいっそう好ましい。有機相に対する水相の体積比を増加させると、分解反応速度が増大する。また、有機相に対する水相の体積比を増加させると、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドからシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの分解の選択率、および、有機層における生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比を増大させることができることがわかった。有機相に対する水相の体積比に特定の上限はない。しかしながら、経済性の観点からは、有機相に対する水相の体積比は5より小さいことが好ましい。
シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機供給溶液を塩基水溶液と混合する際の圧力は重要ではなく、幅広い範囲で変化させることができる。採用される圧力は、例えば、0.1〜5MPaであり、使用温度に応じて変化させることが有利である。
本発明の方法は、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機供給溶液を塩基水溶液と混合させる工程を含む。有機供給溶液への塩基水溶液の添加は、適切ならばいかなる方法で行ってもよい。有機供給溶液と塩基水溶液との混合は、適切ならばいかなる方法で行ってもよく、例えば充填カラム、フローないしラインミキサー、ポンプ、スタティックミキサー、攪拌槽、または、これらの組み合わせを使用することによって行うことができる。混合は、また、有機供給溶液を塩基水溶液に注入、あるいはその逆を行う工程を含んでもよい。
ここで使用するとき、塩基水溶液とは、溶解した塩基を含む水溶液をいう。塩基はアルカリ土類金属水酸化物および/または1種もしくはそれ以上のアルカリ土類金属塩であるか、あるいは、塩基はアルカリ金属水酸化物および/または1種もしくはそれ以上のアルカリ金属塩であることが好ましい。したがって、塩基水溶液はアルカリ土類金属水酸化物および/または1種もしくはそれ以上のアルカリ土類金属塩含む水溶液であるか、あるいは、塩基水溶液はアルカリ金属水酸化物および/または1種もしくはそれ以上のアルカリ金属塩含む水溶液であることが好ましい。塩基水溶液は、アルカリ金属水酸化物および/または1種もしくはそれ以上のアルカリ金属塩を含む水溶液であることがより好ましい。適切なアルカリ(土類)金属は、アルカリ(土類)金属リン酸塩、アルカリ(土類)金属炭酸塩およびアルカリ(土類)金属炭酸水素塩である。好ましいアルカリ(土類)金属塩は、アルカリ(土類)金属炭酸塩およびアルカリ(土類)金属炭酸水素塩である。好ましいアルカリ土類金属はマグネシウムである。アルカリ金属は、カリウムまたはナトリウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい。好ましい実施形態では、塩基水溶液はカルボン酸塩をさらに含む。カルボン酸塩が存在すると、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドから所望の生成物、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの分解反応速度が増大することがわかった。さらに、カルボン酸塩が存在すると、有機層における生成シクロヘキサノールに対する生成シクロヘキサノンのモル比が増大することがわかった。好ましくはカルボン酸部分が1〜24個のC原子を含む、より好ましくはカルボン酸部分が1〜12個のC原子を含む1価および多価のカルボン酸塩が適している。塩におけるカルボン酸の適切な例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アジピン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ペンタン酸、プロパンジカルボン酸、グルタル酸、ヘキサンジカルボン酸、ヘプタンジカルボン酸、ステアリン酸およびデカン酸がある。これらは容易に入手可能であるため、異なる種類のカルボン酸の混合物を使用することが、特に好ましい。塩基水溶液中のカルボン酸塩の濃度は5重量%より高いことが好ましく、10重量%より高いことがより好ましい。塩基水溶液中のカルボン酸塩の濃度は、適用された反応条件での塩基水溶液におけるカルボン酸塩の溶解限度より小さいことが好ましい。
シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解で得られた反応混合物は、水相を分離し、有機相を、もし所望されるならば水で洗浄した後、シクロヘキサノンを回収するための蒸留を行うことによって、さらに処理することができる。したがって、本発明の方法は、水相を有機相から分離する工程をさらに含む。前記分離は、適切であればいかなる方法で行ってもよく、例えば、デカンテーションおよび/またはプレートセパレータを使用して行うことができる。
本発明の方法は、分離された水相の一部を分解反応に再利用する工程をさらに含むことが好ましい。その場合、塩基水溶液は、前記分離後に得られた水相の一部を含む。塩基水溶液は、その時点で、上記のカルボン酸塩を既に含んでいよう。カルボン酸は酸化および/または分解の副生物として生成し、そのとき、アルカリ(土類)金属の存在によりカルボン酸の塩が生成する。
本発明の方法は、前記分離後に得られた有機相を蒸留してシクロヘキサノンを得る工程をさらに含むことが好ましい。
好ましい実施形態においては、本発明は、シクロヘキサノンの製造方法であって、
(a)遷移金属触媒の非存在下、酸素含有ガスによりシクロヘキサンを酸化して、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酸、エステル、低沸点化合物および高沸点化合物を含む酸化反応混合物を得る工程;
(b)場合により、前記反応混合物からシクロヘキサンの一部を分離する工程;
(c)場合により、酸化反応混合物を水または好ましくは塩基水溶液で処理することにより、酸化で生成した酸を中和する工程;
(d)本発明の方法により(a)で得られたシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解して、(i)水相と、(ii)シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、低沸点化合物および高沸点化合物を含む有機相と、を含有する混合物を得る工程;
(e)水相を有機相から分離する工程;
(f)場合により、分離された水相の一部を(c)へ再循環する工程;
(g)有機相を蒸留してシクロヘキサノンを得る工程
を含む方法を提供するものである。
この好ましい実施形態では、有機相を蒸留してシクロヘキサノンを得る工程は、次の工程:有機相からシクロヘキサンを分離する工程(g.1)、有機相から低沸点化合物を分離する工程(g.2)、有機相からシクロヘキサノンを分離する工程(g.3)および有機相からシクロヘキサノールを分離する工程(g.4)を含むことが好ましい。他の精製および/または回収工程を、(g.1)、(g.2)、(g.3)および/または(g.4)の間に行ってもよい。この好ましい実施形態では、有機相を蒸留してシクロヘキサノンを得る工程が、蒸留によって有機相からシクロヘキサンを分離して、シクロヘキサンを含むトップ生成物と、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、低沸点化合物および高沸点化合物を含む第1のボトム生成物とを得る工程、
蒸留によって第1のボトム生成物から低沸点化合物を分離して、低沸点化合物を含むトップ生成物と、シクロヘキサノン、シクロヘキサノールおよび高沸点化合物を含む第2のボトム生成物とを得る工程;および
蒸留によって第2のボトム生成物からシクロヘキサノンを分離して、シクロヘキサノンを含むトップ生成物と、シクロヘキサノールおよび高沸点化合物を含む第3のボトム生成物とを得る工程;および
蒸留によって第3のボトム生成物からシクロヘキサノールを分離して、シクロヘキサノールを含むトップ生成物と、高沸点化合物を含むボトム生成物とを得る工程、を含むことがより好ましい。シクロヘキサノールは、引き続き脱水素反応に供してもよい。他の精製および/または回収工程を、上記蒸留工程の間に行ってもよい。
本発明を以下の実施例によって説明するが、これらによって本発明が制限されるものではない。
転化率は、分解時に転換されたシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの量をシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの初期量で除すことによって算出される(モル量)。シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率は、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドの分解時に生成したシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの合計量を、分解時に転換したシクロヘキシルハイドロパーオキサイドの量で除すことによって算出される(モル量)。
比較実験A
0.816gのNaCOおよび0.413gのNaOHを、N雰囲気下、室温で、攪拌しながら、1.25gのヘプタン酸ナトリウムおよび0.34gのヘプタン二酸二ナトリウムの脱気水溶液9.056gに溶解した。得られた透明な溶液を、穏やかなN気流下に、150mlのパール(Parr)オートクレーブ(ハステロイC(Hastelloy C)製)に移した。その後、オートクレーブをNにより0.5MPaまで加圧し後、加熱と攪拌を開始した。オートクレーブの温度が65℃に到達後、ギルソン(Gilson)ポンプを使用して、コバルト100ppmを含有するCoSOの脱気水溶液の反応器への供給を開始し、その間、反応器をさらに80℃まで加熱した。1分間の供給(1ml/min)後、実験終了まで、コバルトの供給を0.033ml/minに減少させた。温度が80℃に到達したとき、51.66gのシクロヘキサンの酸化生成物溶液を、2MPaのN圧を使用してサンプルシリンダ(室温で保管)から反応器内に注入した。較正したGCにより測定したところ、シクロヘキサン酸化生成物溶液には、12.034mmolのシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、3.678mmolのシクロヘキサノール、2.115mmolのシクロヘキサノン、0.648mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸、0.037mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステル、並びに、0.937mmolの各種非酸性有機オキソ化合物が含まれていた。シクロヘキサン酸化生成物溶液を注入後、30分間、反応器内を80℃に維持した。その後、コバルト溶液の供給を停止し、加熱マントルを氷浴に取り替えて反応器を直ちに冷却した。約20〜30分間放置後、氷浴を取り除き、反応器を徐々に減圧し、開いた。オートクレーブの内容物を、アーレンメイヤー(Erlenmeyer)フラスコに移した後、秤量した。GC分析用に、直ちに、無色の濁った有機相からサンプルを採取した。その後、透明な茶色がかった黄色の水相を分離し、秤量した。その後、pH1に酸性化するために、既知量の水相を分取した。pH電極を使用し、攪拌しながら、水溶液にcc.HClを滴下し、酸性化を行った。その後、得られた淡黄色の水性エマルジョンに対して、ほぼ同容量のジエチルエーテルで4回抽出を行った。エーテル抽出物を1つに集め、秤量した。その後、GC分析のために、1つに集めた抽出物からサンプルを採取した。較正したGCの有機層およびエーテル抽出物のスペクトルを評価した後、2つの分画を加えてマスバランスをとった。これにより、次の量の成分:シクロヘキシルハイドロパーオキサイド0.146mmol、シクロヘキサノール7.997mmol、シクロヘキサノン8.546mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸0.991mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステルなし、各種非酸性有機オキソ化合物1.305mmol、が存在することが示された。これは、シクロヘキシルパーオキサイドの転化率98.8%、新たに生成したシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率90.1%、そのモル比1.50に対応する。エステルの加水分解で生じたシクロヘキサノールおよび酸は、出発混合物中に既に存在していた成分であると見なした。酸および未検出成分への選択率は、それぞれ2.6および4.2%であった。類似の実験で、出発塩基混合物としてNa 12COに代えて同位体のNa 13COを使用し、反応後、質量分析によりNa 12CO/Na 13CO比を求めることにより、確実に測定されたように、未検出の成分は大部分COである。生成した酸およびCOの中和により、当量の塩基が消費される。結果を表1に要約する。
実施例1
1.25gのヘプタン酸ナトリウムおよび0.34gのヘプタン二酸二ナトリウムの脱気水溶液9.03g中に0.823gのNaCOおよび0.366gのNaOHを含有する塩基水溶液を使用して、比較実験Aを繰り返した。比較実験Aとは対照的に、この実験はコバルトの非存在下に、すなわち、コバルトを加えずに行った。また、この実験では52.74gの量のシクロヘキサン酸化生成物溶液を注入に使用した。酸化生成物溶液には、12.352mmolのシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、3.979mmolのシクロヘキサノール、2.331mmolのシクロヘキサノン、0.636mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸、0.040mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステル、並びに、1.081mmolの各種非酸性有機オキソ化合物が含まれていた。反応は、上記の比較実験Aで記載したのと同様に、コバルトの非存在下、80℃で30分間行った。反応後、2つの生成物分画中に、次の量の成分:シクロヘキシルハイドロパーオキサイド5.707mmol、シクロヘキサノール5.829mmol、シクロヘキサノン6.871mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸0.720mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステルなし、各種非酸性有機オキソ化合物1.298mmol、が見出された。これは、シクロヘキシルパーオキサイドの転化率53.8%、新たに生成したシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率95.6%、そのモル比2.51に対応する。酸および未検出成分への選択率は、それぞれ0.7%および0.5%であった。この実施例は、コバルト存在下(比較実験A)よりも、コバルト非存在下の場合に、シクロヘキサノン/シクロヘキサノールへの選択率およびシクロヘキサノールに対するシクロヘキサノンのモル比がかなり高くなり、かつ塩基の消費量が少なくなる(酸およびCOへの選択率が低下する結果として)ことを示している。結果を表1に要約する。
実施例2
ヘプタン酸ナトリウムおよびヘプタン二酸二ナトリウムを含まない塩基水溶液、すなわち、9.05gの脱ガス水中に0.868gのNaCOおよび0.378gのNaOHを含有する塩基水溶液を使用して、実施例1を繰り返した。また、この実験では52.87gの量のシクロヘキサン酸化生成物溶液を注入に使用した。酸化生成物溶液には、12.423mmolのシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、3.720mmolのシクロヘキサノール、2.196mmolのシクロヘキサノン、0.658mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸、0.038mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステル、並びに、0.870mmolの各種非酸性有機オキソ化合物が含まれていた。反応は、上記の比較例Aで記載したのと同様に、コバルトの非存在下、80℃で30分間行った。
反応後、2つの生成物分画中に、次の量の成分:シクロヘキシルハイドロパーオキサイド6.653mmol、シクロヘキサノール5.596mmol、シクロヘキサノン5.940mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸0.766mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステルなし、各種非酸性有機オキソ化合物0.952mmol、が見出された。これは、シクロヘキシルパーオキサイドの転化率46.5%、新たに生成したシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率96.7%、そのモル比2.04に対応する。酸および未検出成分への選択率は、1.2%および0.6%であった。この実施例は、比較実験Aよりもコバルト非存在下の場合に、シクロヘキサノン/シクロヘキサノールへの選択率およびシクロヘキサノールに対するシクロヘキサノンのモル比がかなり高くなり、かつ塩基の消費量が少なくなることを示している。結果を表1に要約する。
実施例3
反応ための水相をかなり多くして、実施例1を繰り返した。したがって、実施例1で与えられた量に代えて、2.66gのNaCOおよび1.41gのNaOHを、4.97gのヘプタン酸ナトリウムおよび1.344gのヘプタン二酸二ナトリウムを含有する脱ガス水溶液35.8gに溶解させた。また、この実験では41.97gの量のシクロヘキサン酸化生成物溶液を注入に使用した。酸化生成物溶液には、9.450mmolのシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、2.788mmolのシクロヘキサノール、1.659mmolのシクロヘキサノン、0.503mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸、0.029mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステル、並びに、0.676mmolの各種非酸性有機オキソ化合物が含まれていた。反応は、上記の比較実験Aで記載したのと同様に、コバルトの非存在下、80℃で30分間行った。反応後、2つの生成物分画中に、次の量の成分:シクロヘキシルハイドロパーオキサイド0.054mmol、シクロヘキサノール4.440mmol、シクロヘキサノン9.005mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸0.588mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステルなし、各種非酸性有機オキソ化合物0.967mmol、が見出された。これは、シクロヘキシルパーオキサイドの転化率99.4%、新たに生成したシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率95.5%、そのモル比4.53に対応する。酸および未検出成分への選択率は、それぞれ0.6%および0.9%であった。この実施例は、実施例1と比べると、水相の体積を増大させることによって、シクロヘキサノン/シクロヘキサノールへの選択率およびシクロヘキサノールに対するシクロヘキサノンのモル比をさらに増大させることができることを示している。結果を表1に要約する。
実施例4
水相の量をかなり多くし、120℃の反応温度を使用したことを除いて、実施例2を繰り返した。したがって、実施例2で与えられた量に代えて、3.27gのNaCOおよび1.39gのNaOHを、36.11gの脱ガス水に溶解させた。また、この実験では38.00gの量のシクロヘキサン酸化生成物溶液を注入に使用した。酸化生成物溶液には、8.488mmolのシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、2.660mmolのシクロヘキサノール、1.532mmolのシクロヘキサノン、0.450mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸、0.026mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステル、並びに、0.660mmolの各種非酸性有機オキソ化合物が含まれていた。反応は、上記の比較実験Aで記載したのと同様に、コバルトの非存在下、120℃で10分間行った。反応後、2つの生成物分画中に、次の量の成分:シクロヘキシルハイドロパーオキサイド0.048mmol、シクロヘキサノール4.219mmol、シクロヘキサノン8.060mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸0.600mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステルなし、各種非酸性有機オキソ化合物0.887mmol、が見出された。これは、シクロヘキシルパーオキサイドの転化率99.4%、新たに生成したシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率95.5%、そのモル比4.26に対応する。酸および未検出成分への選択率は、それぞれ1.5%および0.5%であった。この実施例は、実施例2と比べると、温度および有機相に対する水相の体積比を高くすることによって、高い選択率を維持しながら、分解速度およびシクロヘキサノールに対するシクロヘキサノンのモル比を増大させることができることを示している。結果を表1に要約する。
実施例5
水相にNaのみを使用したことを除いて実施例4を繰り返した。したがって、4.0gのNaCOを41.38gの脱ガス水に溶解させた。また、この実験では37.52gの量のシクロヘキサン酸化生成物溶液を注入に使用した。酸化生成物溶液には、10.628mmolのシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、2.034mmolのシクロヘキサノール、1.495mmolのシクロヘキサノン、0.290mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸、0.015mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステル、並びに、0.240mmolの各種非酸性有機オキソ化合物が含まれていた。その他の点では、反応は、上記の比較実験Aで記載したのと同様に、コバルトの非存在下、120℃で20分間行った。反応後、2つの生成物分画中に、次の量の成分:シクロヘキシルハイドロパーオキサイド1.509mmol、シクロヘキサノール4.393mmol、シクロヘキサノン7.645mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸0.619mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステルなし、各種非酸性有機オキソ化合物0.297mmol、が見出された。これは、シクロヘキシルパーオキサイドの転化率85.8%、新たに生成したシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率93.1%、そのモル比2.62に対応する。酸および未検出成分への選択率は、それぞれ3.4%および2.8%であった。この実施例は、比較実験Aと比べると、塩基水溶液中でNaCOを単独で使用すると有利であることを示している。結果を表1に要約する。
実施例6
水相にNaOHのみを使用したことを除いて実施例5を繰り返した。したがって、4.04gのNaOHを40.03gの脱ガス水に溶解させた。さらに、この実験では40.85gの量のシクロヘキサン酸化生成物溶液を注入に使用した。酸化生成物溶液には、11.334mmolのシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、2.140mmolのシクロヘキサノール、1.789mmolのシクロヘキサノン、0.283mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸、0.018mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステル、並びに、0.416mmolの各種非酸性有機オキソ化合物が含まれていた。その他の点では、反応は、上記の比較実験Aで記載したのと同様に、コバルトの非存在下、120℃で20分間行った。反応後、2つの生成物分画中に、次の量の成分:シクロヘキシルハイドロパーオキサイド0.033mmol、シクロヘキサノール4.639mmol、シクロヘキサノンが10.225mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸0.468mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステルなし、各種非酸性有機オキソ化合物0.562mmol、が見出された。これは、シクロヘキシルパーオキサイドの転化率99.7%、新たに生成したシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率96.6%、そのモル比3.40に対応する。酸および未検出成分への選択率は、それぞれ1.5%および0.5%であった。この実施例は、実施例5と比べると、水相の塩基性(pH)を増大させることによって、分解速度およびシクロヘキサノン/シクロヘキサノールの選択率を増大させることができることを示している。結果を表1に要約する。
実施例7
反応温度を147℃に高め、反応時間を5分に短縮したことを除いて実施例6を繰り返した。したがって、4.0gのNaOHを40.0gの脱ガス水に溶解させた。また、この実験では40.00gの量のシクロヘキサン酸化生成物溶液を注入に使用した。酸化生成物溶液には、10.931mmolのシクロヘキシルハイドロパーオキサイド、2.122mmolのシクロヘキサノール、1.702mmolのシクロヘキサノン、0.282mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸、0.018mmolのC1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステル、並びに、0.207mmolの各種非酸性有機オキソ化合物が含まれていた。その他の点では、反応は、上記の比較実験Aで記載したのと同様に、コバルトの非存在下で行った。反応後、2つの生成物分画中に、次の量の成分:シクロヘキシルハイドロパーオキサイド0.021mmol、シクロヘキサノール4.419mmol、シクロヘキサノン9.862mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸0.450mmol、C1〜C6のモノおよびジカルボン酸のシクロヘキシルエステルなし、各種非酸性有機オキソ化合物0.367mmol、が見出された。これは、シクロヘキシルパーオキサイドの転化率99.8%、新たに生成したシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールへの選択率95.7%、そのモル比3.58に対応する。酸および未検出成分への選択率は、それぞれ1.4%および1.5%であった。この実施例は、比較実験Aと比べると、水相中にNaOHが存在すると、塩基消費量を低く抑えながら、147℃まで、シクロヘキサノン/シクロヘキサノールの選択率およびシクロヘキサノールに対するシクロヘキサノンのモル比を高く維持できることを示している。結果を表1に要約する。
Figure 2008524298

Claims (16)

  1. シクロヘキシルハイドロパーオキサイドをシクロヘキサノンに分解する方法であって、遷移金属触媒の非存在下に、シクロヘキシルハイドロパーオキサイドを含む有機供給溶液を塩基水溶液と混合して、(i)水相と、(ii)シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを含む有機相と、を含有する混合物を得る工程を含む方法。
  2. 前記混合が170℃より低い温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記混合が150℃より低い温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記混合が70℃より高い温度で行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記混合が100℃より高い温度で行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 25℃で測定される水相のpHが9より高いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 25℃で測定される水相のpHが10より高いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 25℃で測定される水相のpHが13より高いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  9. 有機相に対する水相の体積比が0.1より高いことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記塩基水溶液が、溶解した塩基を含む水溶液であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記塩基水溶液が、カルボン酸塩を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 有機相から水相を分離する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 塩基水溶液が、前記分離工程後に得られた水相の少なくとも一部を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 有機相を蒸留してシクロヘキサノンを得る工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. シクロヘキサノンを製造する方法であって、
    (a)遷移金属触媒の非存在下、酸素含有ガスによりシクロヘキサンを酸化して、シクロヘキシルハイドロパーオキサイド、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、酸、エステル、低沸点化合物および高沸点化合物を含む酸化反応混合物を得る工程;
    (b)場合により、前記反応混合物からシクロヘキサンの一部を分離する工程;
    (c)場合により、酸化反応混合物を塩基水溶液で処理することにより、酸化で生成した酸を中和する工程;
    (d)請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法により(a)で得られたシクロヘキシルハイドロパーオキサイドを分解して、(i)水相と、(ii)シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、低沸点化合物および高沸点化合物を含む有機相と、を含有する混合物を得る工程;
    (e)水相を有機相から分離する工程;
    (f)場合により、分離された水相の一部を(c)へ再循環する工程;
    (g)有機相を蒸留してシクロヘキサノンを得る工程
    を含む方法。
  16. 前記蒸留が次の工程:
    (g.1)有機相からシクロヘキサンを分離する工程、
    (g.2)有機相から低沸点化合物を分離する工程、
    (g.3)有機相からシクロヘキサノンを分離する工程、
    (g.4)有機相からシクロヘキサノールを分離する工程
    を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
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