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JP2008522166A - 生物学的システム分析法 - Google Patents

生物学的システム分析法 Download PDF

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Abstract

ヒトまたは実験哺乳動物などの被験体の生物学的状態を反映する、画像などのパターンを用いた、システム薬理学、システム毒性学、およびシステム病理学の実施法を開示する。特定のデータ処理技術を適用することによって、1つまたは複数の被験体由来の1つまたは複数の試料から得られるデータから、パターンを生成し、かつこのパターンは被験体の生化学を反映する。薬剤選択および発見、毒性および薬剤有効性の評価、集団の分離、疾患サブタイプの発見において、代理終点として、治療選択の評価において、かつ疾患の診断および予後のため、パターンを用いる。

Description

本発明は、生化学的データを集め、かつ情報を与えるパターンが出現するようにデータを操作することによって、生物学的状態、例えば疾患状態への洞察を得ることに関する。より詳細には、本発明は、ヒトおよび動物のシステム生物学を精密に調査して、生物学的状態を定義しかつ特徴づける、生化学の検出、監視、および評価を可能にする方法を提供する。
発明の概要
本発明は、2型糖尿病および心臓血管疾患のような、一般的な多因子のシステム全体の疾患に関して、有効性が改善されかつ副作用が減少した新規薬剤を発見しかつ開発するための新規ツールを提供する。本発明はまた、ヒト被験体などの哺乳動物から採取された試料から、複雑な生化学的情報を分析し、かつ疾患、薬剤治療、ならびに疲労およびストレスさえも含むほど多様な生物学的状態を特徴づける、視覚的に目立つ画像を含む分子システムパターンを生成する、新規方法も提供する。要約すると、本発明は、表現型を、その表現型の生化学に特徴的な、複雑でかつ非常に情報を与えるパターンに翻訳することを可能にする。
本発明の分子システムパターンの多くは、ヒトの目(医師、臨床研究者)によって容易に認識される画像の形を取ることも可能であり、かつこのパターンを用いて、異なる生物学的状態をしばしば一目で区別し得る。これらの画像および他のパターンは、医学的分野において、広い範囲の使用を有する。医学の実施において、システム病理学は、本発明のパターンを使用して、健康/疾患の状態を評価する。臨床実験室または病院などの任意の適切な環境で、コンピュータによって、または目によって、パターンを読み取ってもよい。システム毒性学の実施において、毒性に関して、治療限界の決定に関して、かつ短期および長期副作用に関して、薬剤または薬剤候補を毒性に関して評価する。システム薬理学において、薬剤有効性、薬剤選択、かつ本明細書に論じるような他の特性の評価のため、薬学産業によって、このパターンが用いられる。
本発明のパターンは、コンピュータまたはヒトの目によって読み取り可能な、被験体の生物学的状態の、本質的には生化学的スナップショットであるものを提供する。解剖学的状態を評価するための放射線技術の使用に類似の方式で、専門家がこれらを用いて、生化学的状態を評価することが可能である。
まず、選択される被験体由来のデータの研究セットを用いて、マッピングキーを発展させ、かつ次いで、個体の生物学的状態を識別するため、このキーを、個体からサンプリングされたデータに適用することによって、個体に関する分子システムパターンを得る。まず、研究セットとして役立つと考えられるデータを生成するため、典型的には、多数の個体を選択するかまたは採用する。被験体は、理想的には、同じ種の表現型がマッチした個体であり、これを2群、例えば疾患(または研究中の他の生物学的状態)および対照(例えば健康な、または疾患があるが薬剤処置(drugged)に成功したもの)に分けてもよい。表現型がマッチした被験体は、例えば、同じ性別で、年齢および全身健康状態が近く、おそらく同じ人種または民族性であり、かつ研究中の生物学的状態の表現型に関するものを除いて、出来るだけ類似である個人的生化学を有するように別の方式で選択される。試料、例えば血液、尿、またはリンパ液を各被験体から得て、この試料種は、一般的には、調べられている哺乳動物の生物学的状態に関する情報によって決定される。例えば、腎細胞に対する薬剤毒性の評価は、試料として尿または腎組織生検の選択を導く可能性もある。1つまたは複数の試料を各個体から平行して採取し、すなわち被験体から採取されるすべての試料は、同じサンプリングプロトコルの産物である。したがって、例えば、血清および朝一番の尿をサンプリングすることによって、同じ食餌にある同じ性別の70歳代の人をサンプリングするプロセスから、アルツハイマー病の分子システムパターン、例えば画像の発展用の研究セットを生成することが可能である。
次に、任意の適切な公知の技術、例えば質量分析、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、または核磁気共鳴分光法、その多様な組み合わせ、または今後開発される技術によって、多数の生体分子、例えば脂質、タンパク質、ペプチド、代謝産物、およびmRNA(しばしば、数十から数百のこうした生体分子)を測定する。この工程は、多数の研究試料各々において、多数の生体分子の相対的濃度の指標となる多量のデータセットを生じる。しばしば、測定技術によって検出される単一の生体分子は、単一の生体分子由来の多数の核磁気共鳴分光法ピーク、または特定の質量分析システムによって検出されるような単一の生体分子由来の多数の分子断片など、多数の測定特徴を生じ得る。すべての、多くの、または大部分の生体分子または測定特徴が同定されなくてもよいし、かつ同定される必要はない。任意で、しかし好ましくは、次いで、データをフィルタリングして、研究中の生物学的状態に直接または間接的に、あるレベルの関与を有すると判断されるデータに関して濃縮する。したがって、被験体集団に渡って固定的もしくはランダムな部分、またはそうでなければ研究中の生物学的状態の生化学に関与する可能性が低い部分を放棄する目的で、統計法によってデータを分析してもよい。これは、商業的に入手可能なソフトウェアを用いて好適に実行可能である。また任意で、しかし好ましくは、各生体分子の濃度が、相対的でかつ一貫した範囲、例えば0〜10、または-1〜+1で表されるように、データを標準化する。
この時点で、データを表に配置してもよく、例えば被験体が上部に渡って同定され、かつ被験体由来のデータがその下の列に配置されてもよい。試料に渡る(行)、各被験体(説明図中の列)に、または各生体分子に、または該生体分子から生じる測定特徴に関するデータセットを、多様な数学的技術によって特徴づけが可能なグラフの形で表してもよい。次に、データを、反復プロセスで、アルゴリズム、例えばSOMアルゴリズムによって処理して、各生体分子に関するデータを、例えばグリッド上の、ポイント(ピクセル、要素、またはセル)にマッピングするように、かつグリッド上の隣接するポイントが出来るだけ類似の値を有するように、各行(または病理マップに関しては、列)のデータを配置する。満足できる解決法が達成される場合に、プログラムは、マッピングキーまたは表、すなわち被験体から採取された試料における各データポイントのグリッド上の位置を決定する命令セットを記憶する。
この時点で、平行方式でサンプリングされ、分析され、かつフィルタリングされた、研究被験体の任意の1つ由来のデータセット、または新規被験体から生成されたデータセットは、マッピングキーまたは表を用いてマッピングされると、個々の被験体の生物学的状態を特徴づけるパターンを生じる。このパターンは、コンピュータ中でデータ構造として残ってもよく、かつこれを他のものと比較するか、または目的のために設計されたプログラムによって特定の生物学的状態の指標として認識されてもよい。
あるいは、試料を採取した被験体の生物学的状態に特徴的なものとして、パターンを、ヒトによって認識され得る可視画像に変換してもよい。パターンが視覚的に認識され得る画像としてディスプレイされることが望ましい場合、任意でフィルタリングされる、個体由来のデータを、二次元または三次元空間において各データポイントの位置を特定するソフトウェアによって処理して、分子システム画像(MSI)を産生する。視覚的に認識され得る、例えば着色された画像をディスプレイするため、画像中の各ポイントを、色、グレースケール、またはその値を示す他の手段に割り当てる。
各データポイントを画像内の位置に関連付ける情報(すなわちマッピングキーまたは表)は、上記のように、好ましくは自己組織化マップ(SOM)ソフトウェア、または濃度類似性に基づいてデータをクラスタリングするため、研究セットに対して作動する他のデータ処理ソフトウェアによって生成される。データをクラスタリングすると、新規被験体または研究セット中の被験体の1つ由来の試料からのデータに、プログラムによって発見されたマッピングキーを適用して、所与の生物学的状態に特徴的であるとして認識され得るパターンにおいて、例えば正常、毒性、疾患、薬剤処置などの状態にある被験体の指標となる、抽象的な形状のフィールドを生じる。
個体由来のMSIを含むパターンの内容を、1つまたは複数の参照パターンに、直接または間接的に比較してもよい。これらは、研究中の個体から採取される試料から生成される試験パターンと同じ方式で生成される。試験試料において検出されるのと同じ生体分子から、参照パターンを産生して、かつこれを同じマッピングキーを用いてマッピングする。相違点は、参照パターンが特定の表現型に対応する観察によって公知である点である。また、所与の生物学的状態にあることが公知であるいくつかの被験体から、参照パターンを構築してもよく、かつパターン中の各データポイントは、同じ種の多数の哺乳動物由来の試料の合成物を表してもよい。
上記のフレームワーク内で、技術の非常に多数の実用的で医学的に関連する使用が浮かび上がる。
パターン、例えばMSIに関する、価値が高い1つの使用は、薬理学的研究におけるものである。例えば、疾患個体および健康な個体のMSIを構築してもよい。次いで、薬剤候補を疾患個体に投与し、かつ薬剤の影響下にある間に、個体から採取された試料からMSIを生成する。これを1つまたは複数の健康な個体のMSI、薬剤治療に成功した疾患個体のMSI、または疾患個体のMSIと比較してもよい。薬剤候補が、パターンを健康なMSIに向けて改変しているか、またはパターンを薬剤処置に成功した個体のMSIに向けて改変している可能性があるため、パターンまたは画像の比較は、薬剤候補が有効であることを示唆し得る。
特に、新規使用が提唱される公知の薬剤物質、およびどちらも疾患を治療する際に有効であることが公知でない、または一方もしくは両方が有効であることが公知である、薬剤の組み合わせを含めて、この方式で任意の薬剤候補を評価してもよい。薬剤はまた、経験的に発見されたか、または疾患状態に向けられる合理的薬剤設計法を用いて設計された、新規化合物であってもよい。
本発明の別の重要な使用は、物質または物質の組み合わせ、通常、薬剤候補の毒性を評価する際のものである。この態様において、ヒト被験体などの試験哺乳動物に薬剤を投与し、かつ被験体から採取された試料から分子システムパターンを生成する。次いで、例えば哺乳動物に対して毒性である公知の物質が投与されている同じ種の哺乳動物由来、物質が投与される以前の同じ個体哺乳動物由来、多様な異なる毒性反応を示すいくつかの哺乳動物由来、または物質に耐容性であることが公知である、物質を投与された哺乳動物由来の1つまたは複数の試料から生成されていてもよい、1つまたは複数の参照パターンに、試験パターンを比較する。例えば、試験パターンが毒性参照パターンに似ているが、薬剤処置されていない健康な哺乳動物から生成されるパターンには似ていない場合、これは、試験動物に対する薬剤候補の毒性の可能性の指標となり得る。本発明による他の決定の場合と同様、毒性を決定するための比較を、コンピュータによって行ってもよく、この場合、視覚的画像を生成する必要はない、またはデータを処理して、MSIを形成しかつディスプレイしてもよく、これを医師または薬学研究科学者が視覚的に比較してもよい。図に示すように、例えば薬剤を投与される動物および薬剤を投与されない動物の間のMSIの相違は著しく、かつヒトの目によって即座に認識可能である。
上に論じるマッピングキーを生成するための方法に類似の方式で、病理マップを生成する。しかしこの場合、所与の行中のすべての生体分子を特徴づけるデータをクラスタリングする代わりに、各被験体由来の生体分子(各列中)のすべてを特徴づけるデータをクラスタリングする。したがって、各個体由来の生化学的プロファイルの指標となる合成値を類似性によってグループ分けする。ソフトウェアが優れた解決法に到達すると、生じるパターンはポイントのアレイとして具現され、このアレイの各々が個々の試料(および個々の被験体)を表す。これらはまた、MSIを画像化するのと同じ方式で画像化可能である。こうしたマップを用いて、疾患のサブタイプを明らかにし、かつ現存する臨床的症状のみとは対照的に、その生化学の類似性に基づいて、個々の被験体をグループ分けしてもよい。病理マップにおいて、各データポイントは、単一の哺乳動物または哺乳動物群由来の試料における多数の生体分子の相対的濃度の合成値を表す。
分子病理マップは、多様な強力な有用性を有する。1つの態様において、マップを用いて、見かけ上は類似の生物学的状態の生化学的に別個の型を明らかにし、例えば異なる結果の前兆となり得るかまたは治療の異なる様式を示し得るサブカテゴリーに、疾患を分割する。健康であるか、または同じかもしくは類似の疾患状態を示すかのいずれかであるすべての、および同じ薬剤を投与されているものすべての、ヒト被験体由来のデータから、分子病理マップを生成する際、マップはしばしばクラスタリングパターンを示し、ここから、疾患被験体の間の表現型的類似性にも関わらず、薬剤に対する被験体の生理学的および生化学的反応が異なることが即座に明らかとなる。
マップの生成に先駆けて、薬剤に対して1つの表現型方式で反応することが観察されている、例えば疾患の緩和を示す一方に、および異なる表現型反応を示す、例えば緩和がないもう一方に、患者をグループ分け可能な研究においてもまた、マップを使用可能である。両方の群から採取された試料から生成されたデータから、本明細書に開示するように産生されるマップ上で、観察される表現型相違は、生化学的相違を示す個体のクラスターとして現れる。次いで、研究者は、患者のグループ分け内で、個体の生物学的状態のMSIを作製し、かつ比較することが可能であり、これは薬剤投与に先駆けて、誰が利益を受け、かつ誰が利益を受けないかを予測することを可能にし得る。マップ中のセルまたはピクセルが、根底にあるデータにリンクされている場合には、研究者はまた、反応の相違に関する生化学的理由を発見する道筋も提供され得る。
画像を含む分子システムパターン、および分子病理マップの両方を用いて、ヒトもしくは動物に投与しようとする候補薬剤によって誘導されるか、または患者のサブグループにおいてのみ、確立された薬剤によって誘導されるかのいずれかの、薬剤の副作用の可能性のきざしとなることも可能である。副作用の可能性を検出するため、薬剤が投与されている試験被験体由来の試料を、情報を与える試料、例えば被験体において副作用を引き起こす、同じかまたは異なる公知の薬剤を投与されている被験体、および/または薬剤を投与されていない被験体由来の試料から生成された参照パターンと比較する。この技術は、潜在的に有用な薬剤が集団のわずかな一部において副作用を有する可能性があり、慣用技術によって容易には同定可能でない場合の臨床試験において、特に有用性を見出す。試験への登録に関して考慮中の個体が、薬剤候補が属するクラスの薬剤に関する副作用に特徴的な参照画像とよく似たパターン、例えば画像を生成する試料を提供する場合、その被験体は試験から排除される。同様に、個体を試験して、かつそれらの分子システムパターンを参照パターンと比較して、治療の副作用に苦しむ可能性が高いか、利益を受ける可能性が高いか、または利益を受ける可能性がない患者を同定することが可能である。
本明細書記載の方法は、アルゴリズムにしたがって生体分子または被験体をクラスタリングすることによって、情報を与える研究セットを生成する目的のため、公知の表現型または確認された診断および対照の複数の個体、例えば健康な個体由来のデータセットの分析を不可避に伴う。データセットは、複数の生物学的試料種、複数種類の測定技術、複数種類の生体分子、またはその組み合わせに由来する測定値を含まれてもよい。実行の被験体は、典型的には、ヒト、または試験げっ歯類、イヌ、もしくは霊長類などの哺乳動物である。生体分子の種類には、タンパク質(翻訳後修飾されたタンパク質を含む)、ペプチド、核酸(例えば遺伝子および遺伝子転写物)、ならびに小分子および代謝産物(脂質、ステロイド、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、ホルモン、有機酸、胆汁酸、エイコサノイド、神経ペプチド、ビタミン、神経伝達物質、炭水化物、イオン性有機物、ヌクレオチド、無機物、生体異物、ペプチド、微量元素、ファーマコフォア、および薬剤分解産物を含む)が含まれる。データセットには、異なって処理される単一の生物学的試料種の2つの試料由来の、または異なる時点で収集されるかもしくは分析される1つの生物学的試料種由来の測定値が含まれてもよい。データセットにはまた、単一の種類の測定技術の異なる装置配置由来の測定値も含まれてもよい。
生物学的状態に関するパターンを発展させた後、パターンを別のパターンと比較してもよく、ここで比較する生物学的システムは同じかまたは異なる。また、パターン、またはパターンの組み合わせ(線形または非線形いずれか)を、パターンのデータベースと比較して、生物学的状態が公知の状態にマッチするかまたは類似であるかを評価してもよい。
本明細書において用いられるような「パターン」は、例えばヒトなどの哺乳動物の生物学的システムの独特の特徴または特性を表す、クラスタリングされたデータの表示である。データには、生物学的試料種由来の測定値または特徴、測定技術の種類、および生体分子の種類が含まれてもよい。データはしばしば、グラフ、表、または何らかの類似のデータ編集の形のスペクトルまたはクロマトグラフィーの特徴である。パターンは、バーチャルデータ構造として、コンピュータ中にのみ存在してもよい。例示的なパターンは、座標が被験体または生体分子(またはその特徴)に対応する、SOMに産生される二次元画像である。二次元画像に加えて、パターンディスプレイの他の型、例えば三次元ディスプレイまたは放射状ディスプレイを利用してもよい。
パターンが、生物学的システムの多数の「バイオマーカー」を含むと見なしてもよい。バイオマーカーは、一般的に、生物学的システムにおける定性的および/または定量的存在または非存在が、哺乳動物の生物学的状態の指標である生体分子の一種、例えば遺伝子、遺伝子転写物、タンパク質または代謝産物を指す。したがって、パターンが、バイオマーカーセット、例えば組み合わせで、生物学的状態の特徴づけを可能にするが、個々に典型的には情報を与えるものでないまたはわずかにしか情報を与えないスペクトルまたはクロマトグラフィーの特徴であると見なしてもよい。パターンはまた、データセットの分析の相関および他の結果を含むと見なしてもよい。したがって、パターンは上記のような複数の異なる要素を含んでもよい、または要素に由来するベクトル量を含んでもよい。
「生物学的状態」は、天然にまたは撹乱後のいずれかに生物学的システムが存在する状態を指す。生物学的状態の例には、限定されるわけではないが、正常または健康な状態、肉体的および精神的疾患の両方を含む疾患状態、疾患進行または回復の段階、薬理学的薬剤の反応(例えば薬剤処置されかつ健康である、または薬剤処置されかつ疾患状態である)、多様な異なる毒性状態、生化学的制御状態(例えばアポトーシス)、年齢反応、環境反応、およびストレス反応が含まれる。生物学的システムは、好ましくは哺乳動物であり、これにはヒト、およびマウス、げっ歯類、モルモット、イヌ、ネコ、およびサル等の非ヒト哺乳動物が含まれる。
生物学的状態のパターンは、試料およびパターンが由来する動物が、同じ状態または異なる状態、例えば健康な状態または疾患状態にあるか決定する、パターンの比較を可能にする。生物学的システムは、しばしば、同じ変数の多数の測定値を用いるよりむしろ、多変数分析を用いるとより十分に特徴づけられ、これは多変数分析がより詳細に生物学的システムを描き、かつシステムレベルで生物学を考慮に入れるためである。多数の供給源由来のばらばらのデータを、多数の次元におけるよりむしろ単一次元にあるかのように扱う。その結果、本明細書に開示するようなデータの分析は、多数の構成要素を個々に体系的に評価することによって発展されるか、または特定の1種類の生体分子に頼るものより、より情報を与え、かつ典型的には、より頑強でかつ予測的なパターンを提供する。
本発明のパターンまたは方法で用いられるデータセットには、濃度データに加えて、または濃度データの代わりのいずれかで、生体分子の濃度を検出しない測定値から得られるデータが含まれてもよい。例えば、精神医学的評価、心電図記録法、コンピュータ体軸断層撮影、陽電子放出型断層撮影、X線、および超音波検査由来のデータを、本明細書におけるデータセット中で使用してもよい。
本発明の多様な態様において、本明細書記載の方法またはパターンで使用されるデータセットには、少なくとも10、100、1000、10,000、または100,000の生体分子に関するデータさえ含まれ、これらはすべてパターン中の個々の要素またはセルとして表されることも可能である。
「生体分子の種類」は、生物学的システムのレベルと一般的に関連する生体分子のクラスを指す。例えば、遺伝子および遺伝子転写物(本明細書において交換可能に称され得る)が、一般的に、生物学的システムにおける遺伝子発現と関連する種類の生体分子の例であり、かつここで生物学的システムの「レベル」は、ゲノミクスまたは機能的ゲノミクスと称される。タンパク質およびその構成要素ペプチド(本明細書において交換可能に称され得る)が、一般的に、タンパク質発現および修飾と関連する種類の生体分子の別の例であり、かつここで生物学的システムの「レベル」は、プロテオミクスと称される。生体分子の種類の別の例は、代謝産物(小分子とも称され得る)であり、これは一般的に、メタボロミクスと称される生物学的システムのレベルに関連する。
「生物学的試料種」には、限定されるわけではないが、血液、血漿、血清、脳脊髄液、胆汁酸、唾液、滑液、胸膜液、心膜液、腹水、汗、糞便、鼻汁、眼液、細胞内液、細胞間液、リンパ液、尿、ならびに例えば上皮細胞、内皮細胞、腎細胞、前立腺細胞、血球、肺細胞、脳細胞、脂肪細胞、腫瘍細胞、および乳腺細胞由来の細胞または組織抽出物が含まれる。生物学的試料種の供給源は、異なる被験体;異なる時点の同じ被験体;異なる状態にある、例えば薬剤治療前および薬剤治療後の、同じ被験体;異なる性別;異なる種、例えばヒトおよび非ヒト哺乳動物;ならびに多様な他の並べ換え由来であってもよい。さらに、異なる作製プロトコルを用いるなど、生物学的試料種を評価する前に異なって処理してもよい。
データ獲得のための測定技術には、限定されるわけではないが、質量分析(「MS」)、核磁気共鳴分光法(「NMR」)、液体クロマトグラフィー(「LC」)、ガスクロマトグラフィー(「GC」)、高性能液体クロマトグラフィー(「HPLC」)、キャピラリー電気泳動(「CE」)、ゲル電気泳動(「GE」)、ならびにLC-MS、GC-MS、HPLC-MS、CE-MS、MS-MS、MSn、および他の変型などの低または高分解能モードのハイフンで結ばれる質量分析の任意の公知の型が含まれる。測定技術には、磁気共鳴画像(「MRI」)、ビデオシグナル、および蛍光アレイ、例えば空間中のポイント由来の光強度および/または色、ならびに他のハイスループットまたは非常に平行なデータ収集技術が含まれる。また、平行ハイブリダイゼーションアッセイ法、平行サンドイッチアッセイ法、および競合アッセイ法を含む多様なアッセイ法を介して、測定値を採取してもよい。
測定技術にはまた、光学分光法、デジタル画像、オリゴヌクレオチドアレイハイブリダイゼーション、タンパク質アレイハイブリダイゼーション、DNAハイブリダイゼーションアレイ(「遺伝子チップ」)、免疫組織化学分析、ポリメラーゼ連鎖反応、核酸ハイブリダイゼーション、心電図記録法、コンピュータ体軸断層撮影、陽電子放出型断層撮影、およびテキストに基づく臨床データ報告に見られるものなどの主観的分析も含まれる。特定の分析のため、異なる測定技術には、同じ測定技術に関連する異なる装置配置または設定が含まれてもよい。
「データセット」には、1つまたは複数の供給源に由来する測定値が含まれる。例えば、測定技術から得られるデータセットには、同じ技術によって収集される一連の測定値、すなわち関連する測定値のデータのコレクションまたはセットが含まれる。さらに、データセットは、多様なデータのコレクション、例えばタンパク質発現データ、遺伝子発現データ、代謝産物濃度データ、磁気共鳴画像化データ、心電図データ、遺伝子型データ、一塩基多型データ、および他の生物学的データのコレクションを表してもよい。すなわち、研究中の生物学的システムの、任意の測定可能なまたは定量可能な局面が、所与のデータセットを生成するための基礎として役立ち得る。
データセットの「特徴」は、別のデータセットと比較してもよい、データセットと関連する特定の測定値を指す。例えば、パターンは、典型的には、生物学的状態の特徴づけを可能にするデータ特徴セットである。
データセットは、1つまたは複数の測定技術と関連する実質的にすべてのデータまたはそのサブセットを指すことも可能である。例えば、異なる試料供給源の分光分析測定値に関連するデータを、異なるデータセットにグループ分けしてもよい。その結果、第一のデータセットは、実験群試料測定値を指すことも可能であり、かつ第二のデータセットは、対照群試料測定値を指すことも可能である。さらに、データセットは、関連すると見なされる任意の他の分類に基づいてグループ分けされたデータを指してもよい。例えば、単一試料供給源の分光分析測定値と関連するデータを、測定を行うのに用いられた装置、試料が採取された時間、試料の外見、または他の同定可能な変数および特性に基づいて、異なるデータセットにグループ分けしてもよい。
さらに、用語「データセット」には、生の分光分析データ、および例えばノイズを除去し、ベースラインを補正し、データをなだらかにし、ピークを検出し、かつ/またはデータを標準化するために前処理されているデータの両方が含まれる。
「統計分析」には、パラメトリック分析、ノンパラメトリック分析、単変量分析、多変量分析、線形分析、非線形分析、および当業者に公知の他の統計法が含まれる。見かけ上、混沌としたデータにおいて、パターンを決定する、多変数分析には、限定されるわけではないが、主成分分析(「PCA」)、判別分析(「DA」)、PCA-DA、正準相関(「CC」)、クラスター分析、自己組織化マッピング(「SOM」)、部分最小二乗法(「PLS」)、予測性線形判別分析(「PLDA」)、神経ネットワーク、およびパターン認識技術が含まれる。
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかでると思われる。
発明の詳細な説明
本明細書記載の方法は、集団における生化学的活性または被験体のパターンを産生するため、代謝産物、タンパク質、ならびに/または遺伝子および遺伝子転写物の分析を含む、生物学的試料の測定に頼る。全体またはそのサブセットのいずれかとして生物学的システムを理解することにより、薬剤安全性および有効性、薬剤反応、疾患の病因、ならびに疾患の診断および治療を含む、薬学的発見および開発の多数の局面を改善し得る。システム指向性プラットホームは、ゲノミクス、プロテオミクス、およびメタボロミクス、およびバイオインフォマティクスを統合し得る。こうしたデータ統合および知識管理プラットホームは、何千もの測定可能な生体分子間の連結、相関、および関係を生成して、生物学的状態のパターンを発展させる。生じたパターンを臨床情報と組み合わせて、生物学的状態の知識を増加させることも可能である。
本明細書記載の方法を用いて、1つまたは複数の種類の生体分子に基づいて、生物学的状態のパターンを発展させてもよい。生体分子の複数の種類のパターンは、異なるレベルの生物学的システムの包括的パターンの発展を促進し、かつその統合および分析を可能にする。この方法を用いて、1つまたは複数の生物学的試料種、1つまたは複数の測定技術、1つまたは複数の種類の生体分子またはその組み合わせ由来の測定値を分析して、生物学的状態における類似性、相違、および/または相関の評価を可能にしてもよい。これらの測定値から、根底にある生物学的機序へのより優れた洞察が獲得可能であり、新規バイオマーカー/代理マーカーを検出可能であり、かつ介入経路を開発可能である。
本明細書記載の方法は、複数のデータセットに渡って、生体分子濃度の相違および類似性に基づくパターンの産生を伴う。したがって、本発明の実施を補助するのは、可能な度合いまで、対照と研究中の生物学的状態の間の相違を分離し、かつすべての他の生物学的状態に関与する生化学的変化を考慮から除くような、選択される個体群を含む研究セットからのデータの入手可能性である。状態は典型的には、研究中の変数を単離するように設定される。したがって、研究セットのメンバーは、研究中の表現型相違に基づいて2個またはそれ以上の
群に分けられるが、そのほかの点では表現型的に類似であることができる。研究中の状態とは別個の生物学的状態の局面において、研究セットのメンバーが異なる度合いで、結果は劣化し、かつノイズがシグナルをマスクする可能性もある。
さらに、これらのパターンを産生するために用いられる生データは、異なるデータセットの比較を補助するため、前処理されていてもよいし、かつ典型的には前処理される。特に、異なる種類の生体分子に渡ってデータを比較するために、適切な前処理を実行してもよい。データの前処理には、(i)例えば異なる試料のスペクトルのピークを並列させる部分的線形適合技術を用いて、データセット間でデータポイントを並列させる工程;(ii)例えばピークの高さを調節するため、各測定に標準を用いて、データセットに渡ってデータを標準化する工程;(iii)ノイズを減少させる工程および/もしくはピークを検出する工程、例えば潜在的なベースラインノイズから種の実際の存在を区別するように、ピークに関する閾値レベルを設定する工程;ならびに/または(iv)当技術分野に公知の他のデータ処理技術が含まれることも可能である。データ前処理には、米国特許第6,743,364号に開示されるようなエントロピーに基づくピーク検出、および部分的線形適合技術(J.T.W.E. Vogels et al., "Partial Linear Fit: A New NMR Spectroscopy Processing Tool for Pattern Recognition Applications," Journal of Chemometrics, vol. 10, pp. 425-38 (1996)に見られるものなど)が含まれてもよい。
本明細書記載の方法には、一般的に、複数のデータセットを統計分析を用いて評価する工程、およびデータセット間の特徴を比較して、1つまたは複数の相違セットを決定し、比較に基づいて生物学的状態の表示を発展させる工程が含まれる。もちろん、こうしたデータセット中のすべてのデータが、研究中の生物学的システムに関連するわけではないと考えられる。したがって、パターン、例えばMSIの分解能を改善するため、すべての被験体に渡って固定的であるか、ランダムであるか、またはそうでなければ研究中の生物学的状態の生化学に関連する方式で、試験被験体および対照間で変化しない、生体分子濃度の指標であるデータを取り除くことが公知の方法を用いて、データをフィルタリングすることが有益である。これは、例えば統計的に有意な方式で変化しないデータ特徴を区別するための、単変数および多変数統計学、パラメトリック統計学、ノンパラメトリック統計学などの方法、ならびに研究中の生物学的状態に対する測定された生体分子の関連性を評価する公的もしくは私的データベースまたは科学文献のクエリーを用いて、実行可能である。いくつかの態様において、データセットは、1つまたは複数の生物学的試料種に由来し、かつ1つまたは複数の測定技術に由来する測定値を含む。他の態様において、データセットは、2つまたはそれ以上の生物学的試料種に由来し、かつ生物学的システムの試料の1つまたは複数の異なる種類の分光分析測定値を含む。
特定の種類の生体分子に関する測定は、通常、その特定の種類の生体分子に関して、当技術分野にしばしば用いられ、かつ公知である、測定技術によって生成される。例えば、代謝産物の分析は、NMR、例えば1H-NMR;LC-MS;GC-MS;およびMS-MSを用いてもよい。他の種類の生体分子の分析は、LC-MS;GC-MS;およびMS-MSを用いてもよい。
1つの態様において、方法は、生物学的試料を選択する工程;研究しようとする生体分子および使用しようとする測定技術に基づいて、生物学的試料を調製する工程;生物学的試料において生体分子を測定する工程;任意で、生データを前処理する工程;ソフトウェア中で具現される、先に決定されたマッピングキーまたは表を用いて、パターンまたは画像を生じるため、個々のデータポイントをバーチャルなまたは現実の位置に置く工程;および次いでパターンまたは画像を分析して、試料を採取した被験体の生物学的状態を同定する工程を伴う。方法はまた、複数のデータセットを標準化する工程、または生体分子の種類に渡る、かつ異なる範囲に渡って濃度が異なる生体分子に渡る、データの比較を容易にするため、複数のデータセットを平均化する工程も含んでもよい。データポイントの配置を指示するマッピングキーは研究セットに由来し、かつしばしば分析は、被験体が生成するパターンまたは画像を、研究セットを生じるのに用いたデータから、または公知の生物学的状態にある被験体から採取された多数の試料から作成された、パターンまたは画像と比較する工程を含む。適切なマッピングキーまたは表を決定するための、研究セットとしての複数のデータセットの使用を以下に記載し、かつこれをデータ情報取得(data mining)および処理技術の文献から適合させてもよい。
標準化モデル:
遺伝子発現データ、タンパク質データ、および代謝産物レベルデータなどの生体分子濃度データを標準化するための方法を、ここで記載する。試料多様性効果、アレイ効果、および色素効果を対数線形モデルに導入し、かつ最大尤度最大化技術を適用して、モデルのパラメータをすべて計算し、かつ各アレイおよび色素に関する最適倍率を決定する。標準化法は一般的であり、かつ多様なデータ、実験セットアップ、および設計に適用可能である。以下に記載するモデルは、遺伝子発現分析由来の専門用語を用いる。例えばプロテオミクス実験における「アレイ」は、1つの質量分析実行であることも可能であり、かつ「色素」は、1回の実行中に用いられるすべての試料を説明することも可能である。にも関わらず、以下に記載するモデルを用いて、他の種類の生体分子を分析してもよい。
データマトリックスxは、遺伝子指数g(g=1...Ng)、アレイ指数i(i=1...Ni)、色素指数k(k=1...Nk)、および多様性指数v(v=1...Nv)によって特徴づけられる。各多様性vに関して、それに対応するCvの試料が存在するため、N試料=ΣvCv=NiNkである。多様性割り当ては、アレイおよび色素指数の関数であるため、各データポイントは、指数g、i、およびkによって一意的に記載される。便宜上、マトリックスを対数的に変換する。
ygik=log(xgik) (1)
データは以下のモデルによって記載される。
ygikgv+Ai+Dkgik (2)
式中、遺伝子および多様性効果はμgvによって記載され、アレイ効果はAiによって記載され、色素効果はDkによって記載され、かつエラー関数はεgikによって記載される。エラー関数は、通常、ゼロ平均および分散σ2 gvで分布すると仮定され、すなわち分散は各遺伝子および多様性に関して異なることを可能にされる。多様性指数vは、iおよびkの特有の関数であり、かつ{i,k}∈vと書き表すことが可能である。遺伝子および多様性、アレイ、ならびに色素効果は、固定されると仮定されるため、発現レベルの分布は:
Figure 2008522166
と記載され得る。最大尤度概算を用いて、データを適切に標準化するのに用いる最適スケーリングパラメータを計算する。パラメータμgv、Ai、Dk、およびσgvについて解くと、以下の等式が導かれる。
Figure 2008522166
次いで、各アレイおよび色素に関する最適倍率は:
sik=-Ai-Dk (5)
であり、したがって標準化発現レベルは:
Figure 2008522166
である。
有意検定およびブートストラップ法:
標準化データをヌルモデルと比較することも可能であり、かつヌルモデルからのデータの逸脱がランダム誤差に寄与し得る確率を測定するp値を計算することも可能である。比較に用いられるパラメータは、選択した2つの種類間の倍比である。方法を評価するため、t検定を行って、選択した2つの種類を比較する。[Sheskin, Handbook of Parametric and Nonparametric Procedures, Chapman & Hall/CRC, Boca Raton, FL (2000).]各生体分子に関して、対応するp値を計算してもよい。各生体分子の倍変化の統計的有意性を評価する際、p<1/Ngを持ついくつかのp値が予期されるため、計算される総数Ngのp値を考慮に入れる必要がある。これを考慮に入れるため、任意のNgの生体分子に関して、p値≦pを観察する全体の尤度、P(p)を用いる。すべての生体分子が独立であると仮定して、全体の尤度は:
P(p)〜1-(1-p)Ng (7)
と概算される。
生体分子が独立であると仮定することは過剰な単純化であり、かつp値およびP(p)値を計算する、より正確な方法は、一般的なランダムデータセットに対して用いられるヌルモデルのパラメータ(μgv、Ai、Dk、σgv)とともにブートストラップ法を用いることによる。
有意検定のこの方法および他の標準法を用いて、特定の変数がパターン、例えばMSIに含まれるべきかどうかを決定してもよい。これは、実施者にとって関心対象の任意の状態の指標ではない変数を除外するのに重要であり得る。例えば、測定される変数が完全にランダムであり、かつしたがって試料に関するいかなる情報も提供しないことがあり得る。こうした変数は、上記のものなどの有意検定法によって除外されると考えられる。
特定のパターンに対して起こる効果のサブセットのみを提示することによって、有意検定を用いて、パターン、例えばMSIの解釈を容易にすることも可能である。例えば、システム病理学において、特定の疾患および正常状態間の相違にのみ重点を置くことが望ましい可能性もある。この場合、これらの2つの状態間を有意に区別することが見出された変数のみをパターンに含んでもよい。同様に、システム薬理学のいくつかの場合、疾患および正常間を区別する変数のみに対する薬剤の効果を示し、かつしたがって、非疾患変数に対する薬剤の効果を除外しつつ、疾患に対する薬剤の効果を強調することが望ましい可能性もある。
クラスタリング
管理されないクラスタリングアルゴリズム、例えば自己組織化マップ(SOM)アルゴリズム、Sammonプロットアルゴリズム、または弾力ネットアルゴリズムによって、1つまたは複数の生物における生体分子の濃度の指標となる値を含むデータセットを組織化してもよい。好ましくは、クラスタリングは、互いと比較した要素、例えばピクセルの位置が、所与の生物学的状態に関する、または生物群内の、その要素によって表されるデータ間の相関の度合いの指標である、多次元画像、例えば二次元グリッドなどのパターンを生じる。あるいは、多次元画像の要素の位置は、データ間の二次モーメント、三次モーメント、またはより多次元のモーメントの相関または部分的相関の度合いの指標であることも可能である。
管理されないクラスタリングは、プログラムをトレーニングする際に使用するための多数のデータセットを必要とする。多数の生物由来の1つもしくは複数の試料、または異なる時点の同じ生物に由来する多数の試料からの、多数の分析物を分析するために公知の技術を用いて、これらのデータセットを生成することも可能である。生体分子の少なくともいくつかが、分析中の生物の生物学的状態の根底にある生化学と、間接的にまたは直接関与しなければならないことを除いて、分析される生体分子の同一性は重要ではない。生体分子の同一性の知識は必要とされないが、本明細書に記載するように、こうした情報は有用であり得る。好ましくは、研究に関与する動物/ヒトの少なくともいくつかまたは半分が、研究中の生物学的状態に関連する症状/表現型/特性を示す。
実例となるプロトコルとして、8匹が疾患であり、かつ8匹が健康である、16匹のげっ歯類からデータを得る。各げっ歯類から血液または尿試料を採取し、かつ例えばLC-MSによって分析する。データをフィルタリングした後、次いで、標準的手段を用いて、576の検出可能な分子種の相対的濃度を決定する。次いで、各げっ歯類に、疾患を治療することが公知である薬剤を投与し、かつサンプリング、分析、およびフィルタリングを繰り返す。特定の例では、生体分子の断片化に応じて、LC-MS分析において、多数のピークによって単一の生体分子が表されてもよく、かつしたがってLC-MSで検出される2つまたはそれ以上の種が、単一の生体分子を表してもよい。この例の目的のため、本発明者らは、データ中にこうした冗長性はないと仮定すし;実際の分析においては、こうした冗長性を用いてクラスタリングの内部一貫性を増加させてもよい。この分析は、各列が、1匹のげっ歯類(8匹の疾患−薬剤なし、8匹の疾患−薬剤処置、8匹の健康−薬剤なし、および8匹の健康−薬剤処置)由来のデータを含有する32列、および各行が特定の生体分子を表す576の行を有する表に配置可能なデータセットを生じる。表中の生体分子の配置の順序または研究中のげっ歯類個体の配置の順序は、これらが一貫している(例えば各行が各げっ歯類試料の同じ生体分子に関するデータを含有し、かつ列中のすべてのデータが同じげっ歯類試料由来である)限り、重要でない。
行中の最低強度の値に-1を、かつ行中の最高強度の値に+1を(または他の不定の単位を)割り当て、中間の値をその間の値に割り当てることによって、データを標準化する。あるいは、正常の健康なげっ歯類データのみを見ることによって標準化し、各生体分子の平均値を決定し、かつその生体分子に関してその値をゼロと定義し、次いで-10〜+10のスケールを考案し、かつその行中のすべての他のデータをスケール上に位置付けてもよい。他の態様において、データの対数または他の関数を取ってもよい。所望の方法に基づいて、自動化された標準化に、ソフトウェアプログラムが利用可能である。
ここで、これらの標準化されたデータを用いて、管理されないクラスタリングプログラムにおいて使用するための576「プロット」の研究セットを生じる。これらのプロットを、32匹のげっ歯類の試料各々の関数として、LC-MSによって検出された生体分子に関する標準化された値をプロットするグラフとして記載することも可能である。所与のプロットは、その横座標にげっ歯類番号(1〜32)を、かつその縦座標に生体分子レベルを有してもよい。次いで、例えば各プロットに関して相関係数を計算することによって、または相違の二乗を合計することによって、類似性に関して、これらのプロットを評価する。次いで、アルゴリズム(SOMプログラムなど)を適用して、各プロットをパターンの要素(セルまたはピクセル)に配置する。アルゴリズムは、グリッド上の各プロットの位置を、実質的にシフトさせて、隣接するピクセル中のプロットが出来るだけ互いに類似である配置に関して検索する。各要素はランダムに配置されるのではなく、その隣のものがそれに類似の値を有するように配置され、かつ好ましくはパターンにおいて著しい不連続は存在しない。異なるアルゴリズムは異なる解決法を生じる可能性もあり、かつ同じアルゴリズムが、時に(論理に応じて)異なる解決法を生じる可能性もある。
ここで、検出された576の生体分子の各々が、試料に渡る各生体分子の標準化濃度の変化の類似性に基づいて、二次元(またはより多次元の)空間において、ピクセルまたはセルに割り当てられ、かつ明記された位置に各生体分子を割り当てる表またはマッピングキーが産生された。ここで、データセットは、パターンとして、例えば生体分子およびその位置、例えばそのxおよびy座標を列挙する表として、または視覚的にもしくはコンピュータで検査可能なプロットとして、視覚化可能である。ここで、得られたマッピングキーまたは表を用いて、研究セット中の任意の個々の被験体または新規試験動物由来の試料からの生体分子を表す各データポイントの位置を割り当て、かつ動物の生物学的状態に関する情報を生じ得るパターンを産生してもよい。したがって、ここで、マッピングキーを用いて、同じ生体分子を測定する任意のげっ歯類試料、または同じかもしくは相同な生体分子を測定する別の試料由来の標準化されたデータポイントを、パターン中の特定の座標に割り当ててもよい。したがって、パターン中の生体分子の位置を決定すると、所与の生物学的状態にある生物に関する分子システム画像(MSI)を産生してもよい。ここで、任意のげっ歯類、または潜在的に、同じかもしくは相同な生体分子を有する生物の576個の生体分子由来のデータを、研究セットによって産生されたマッピングキーに応じて画像化してもよい。このパターンを、そのげっ歯類または他の生物の生物学的状態の特性と認識してもよい。また、各生体分子に関して測定された相対的濃度に関連する色または他の印を割り当てることによって、視覚的に観察可能であるように、パターンを提示してもよい。
画像中の各ピクセルまたはセルが、異なる試料、例えば異なる生体分子の代わりに異なる動物由来の各試料を表し、かつ各試料内の生体分子濃度の標準化プロファイルにクラスタリングアルゴリズムを適用することによって、研究セットからキーまたは表を産生することを除いて、同じかまたは類似のプロセスを用いて、分子病理マップを産生してもよい。こうしたパターンは、動物のクラスターを明らかにすることも可能であり、例えば異なる生化学的プロファイルに基づいて、類似の表現型を示す動物間の区別を明らかにする。
方法
ここで、本明細書に開示するように産生されるパターン、特に、所与の生物からの異なる種類の試料に由来するデータ、異なる分析技術から得られるデータ、所与の生物からサンプリングされた異なる種類の生体分子の濃度の指標となるデータ、および特に生物の生化学のこうした多様な評価の多様な組み合わせに由来するデータセットから生成されるこのようなパターンは、生物の生物学的状態の指標であり、かつ別の方式で観察されるにはあまりにも捉えにくい相違を反映し得るということを発見した。こうしたパターンは、例えば薬剤発見、薬剤開発、医学的診断、医学的処置、および毒性学において、多様な使用を有する。1つの態様において、生物、例えばヒトから得られるパターンを、同じ生物、同じ種の異なる生物、または異なる種の生物であってもよい生物から得られる別のパターンと比較する。あるいは、生物由来のパターンを、例えば多数の生物由来のデータの平均または他の組み合わせから産生される合成パターンと比較してもよい。コンピュータによってまたは視覚的分析によって、例えば本明細書に開示する方法によって産生される二次元画像の形で、パターンを比較してもよい。パターンを構成する要素、例えば画像中のピクセルを、例えば公知である場合には同一性を表すデータ、例えば生体分子に関する情報、または生体分子に関する生データに関する情報にリンクしてもよい。所望の場合、生物学的状態の指標となるパターンの特定の要素に位置する未知の生体分子の同一性もまた決定してもよい。例えば、パターンの特定の領域が、疾患または治療の副作用から生じる生化学の指標となるかまたはそれに特徴的であることが決定された場合には、関与する生化学的機序を理解するため、試料のさらなる定性分析によって、その領域中の生体分子の同一性を決定してもよい。
また、パターンを数字のスコアと組み合わせてもよい。数字は、数字として表され、かつパターンとともにディスプレイされる不定の長さの線上に、所与の個体からのデータセットを配置するように役立つことができる。同じ生物学的状態中の試料は、線上の同じ領域に数字を有する。線形または非線形分類またはクラスタリング測定基準などのいくつかの公知のデータ分析技術の任意の1つを用いて、数字を決定してもよい。これらのデータ分析技術は周知であり、かつしばしば、ユークリッド距離、相関距離(ピアソン相関または順位相関)、マンハッタン距離、加重調和距離、チェビシェフ距離、または主成分スコア距離を決定するデータ分析ソフトウェアで具現される。
本明細書記載のパターンの新規使用の多くは、参照パターン、例えば画像の発展を伴い、かつ次いで、生物から得られるパターンと参照パターンを比較し、両方のパターンのデータを同じ順序に配置する工程を伴う。こうした比較は、参照パターンおよび生物から得られるパターン間の相違または類似性の決定を可能にする。以下の考察は、これらの比較の例示的な使用を提供する。
薬理学:
クラスタリングされたデータ(分子システム画像、その根底にあるデータ前駆体、および生物学的マーカー群を含む)から産生されるパターンまたは画像は、生物の生物学的状態に対する、薬剤、薬剤の組み合わせ、および薬剤候補の効果を研究するのに有用である。薬剤、薬剤候補、または薬剤の組み合わせもしくは薬剤候補を、健康な生物または疾患生物に投与し、かつ健康な生物または疾患生物由来の生体分子の相対的濃度を示すパターンを、参照、例えば投薬されていない健康な生物もしくは疾患生物、または異なる投与量、方式、もしくは時間で投薬されている生物と比較してもよい。例えば、薬剤または薬剤の組み合わせを疾患生物に投与してもよく、かつ処置生物からMSIを産生し、かつ健康な生物を表す参照MSIまたは公知の薬剤での治療に成功した疾患生物由来のMSIと比較する。次いで、2つのパターン間の類似性の度合いから、薬剤の有効性を決定してもよい。また、有効性のこうした決定を用いて、相乗的治療的効果または以前には未知であった治療的効果を示す、現存する薬剤および薬剤の組み合わせ、例えば公知の薬剤の第二の医学的使用を同定してもよい。また、例えばライブラリー中の、疾患および健康な生物に対する薬剤または薬剤候補の効果のパターンを合理的に用いて、疾患生物に投与した場合に、健康なまたは有効に薬剤処置された疾患生物に類似のプロファイルを生じると考えられる、有効な薬剤または薬剤の組み合わせを選択してもよい。さらに、疾患に対して有効であることが公知でない薬剤候補または薬剤の投与から生じるパターンを、その疾患に対して公知の有効性を持つ薬剤の投与によって生じるパターンと比較してもよい。また、パターンの比較を用いて、適切な参照と比較した際、毒性、潜在能力(投与量)、生物学的利用能、作用期間、および副作用の頻度または重症度に基づいて、薬剤を評価するかまたは薬剤候補を位置付けすることも可能であり、ときには多数の動物実験および結果の観察より、より好適かつ容易である。例えば、多数の用量の薬剤の投与から生じるパターンを使用して、生物の用量反応を評価し、かつ治療的指数(最小有効性および許容し得ない毒性の間の用量範囲)を評価してもよい。また、パターンを用いて、臨床試験において、個体中の薬剤分子候補または効果を評価するのに有用な代理終点(「成功プロファイル」)を発展させてもよい。
また、パターン、例えばMSIを使用して、動物研究に基づいて、ヒトにおける薬剤候補の有効性および毒性のよりよい評価を可能にしてもよい。例えば、特定の結果を有する臨床試験参加者および同じ結果を示す動物の間のプロファイルを相関させてもよく、かつヒトにおいて成功した薬剤を動物に投与し、かつ動物におけるその効果のMSIを発展させることも可能である。この状況では、動物に投与した際、公知の薬剤から産生されるMSIを複製する薬剤候補は、ヒトにおける有効性を示唆すると考えられる。
さらに、MSIの使用は、費用がかかる無意識の努力の重複を回避するため、標準化されたアッセイ法において、すべて活性であることが示されている、単一の疾患に対して開発中の候補のコレクション中の個々の薬剤が、同じかまたは異なる作用機序を通じて作動するか決定する方法を提供する。MSIの使用はまた、未知のターゲットまたは作用様式を持つ優れた薬剤の発見も可能にする(例えば、どの分子が、成功する終点プロファイルを複製可能であるかを決定することによって)。
毒性学:
また、パターンを用いて、薬剤、薬剤候補、または薬剤の組み合わせが、毒性、例えば肝臓、腎臓、または神経毒性を引き起こすかどうかを決定することも可能である。例えば、候補薬剤調製物の1用量を投与されている生物から得られたMSIなどのパターンを、特定の毒性を示したことが公知である、例えば公知の毒性効果を持つ薬剤を投与されている、同じかまたは異なる個々の生物由来の参照試料から生成されたMSIと比較してもよい。毒性の測定値は、他の潜在的な療法と比較して、減少した毒性を持つ薬剤の選択、または特定の疾患に対して活性である薬剤に関する毒性を減少させる他の治療剤の付加を可能にする。さらに毒性の評価を用いて、分子の毒性が、その有効性に厳然とリンクされるかどうかを明らかにしてもよい(その場合、その分子およびおそらくそのターゲットを放棄してもよい)。
診断:
疾患生物から生成されるパターンは、疾患状態の指標となることも可能であり、かつこれを用いて、例えば病理学的表現型の存在、段階、重症度、診断、治療のための治療選択、またはその予後に関して、患者を調べてもよい。例えば、疾患または病的状態の表現型的徴候を示す個体由来の試料から産生されるMSIを、診断目的のため、あらかじめ生成され、かつ疾患、その進行状態、疾患のサブタイプに特徴的であることが公知である参照MSIに、または同じかもしくは類似の表現型を生じる複数の疾患由来のMSIと比較してもよい。こうした診断は、治療コースの中から選択する際に有用である。
また、パターンを用いて、表現型的に類似の疾患を、生化学的に別個であり、かつ異なる治療選択または薬剤によって最適に取り扱われる疾患のサブタイプに分割することも可能である。こうしたパターンの要素は、表現型的症状を示す個々の生物由来のデータを表す。マップ内の個体の別個のクラスターは、例えば類似の表現型を生じる異なる生体分子ベースに基づいて、疾患が異なるサブタイプである指標となる。
本明細書において、用語「システム病理学」を用いて、健康な状態と比較した疾患状態の、体のシステム全体の、主に分子特徴づけを指し、かつ用語「システム薬理学」を用いて、撹乱されていない状態と比較して、薬剤で撹乱された状態の同じ特徴づけを指す。本発明者らはまた、システムの状態間(疾患対健康または薬剤撹乱対未撹乱)の、大部分が分子変化である、生じるデータセットを、「システム反応プロファイル(SRP)」と呼ぶ。インビボ研究から得られた体液、細胞、または組織の試料に、分析技術を適用することによって、SRPを生成する(図1)。単一クラスの分子(例えばRNAまたはトリグリセリド)に重点を置く単一分析プラットホームを、単一細胞種に適用することによって生成されたデータセットから、多くの生化学的変化を捕捉可能な分析プラットホームのアレイを用いた、多数組織および体液由来の試料の分析から生成された複雑なデータセットへと、疾患または薬剤反応の検査において生成可能なSRPの範囲を拡張することも可能である。
システム病理学および薬剤発見
薬剤ターゲット発見活動における価値に加えて、健康状態と比較した疾患状態のSRPは、症状に基づいて診断される患者集団の主要な生化学的サブクラスに関して非常に必要とされる情報を提供可能である。この情報は、薬剤ターゲット発見努力のため、患者の生化学的に類似のサブクラスの使用を可能にし得る。システム病理学研究から得られる患者サブクラスに関する診断バイオマーカーはまた、薬剤「反応者および非反応者」の謎を解き、かつ疾患症状に基づいて定義される患者集団内の正しい患者群に関して、正しい薬剤(または薬剤の組み合わせ)が開発されるのを可能にすることによって、薬剤発見から薬剤開発までの移行を非常に容易にする。
疾患の初期検出のため、かつ疾患プロセスにおいて、早期の介入のための薬剤発見を可能にすると思われるデータセットを生成するため、標準化されたシステム撹乱を使用して、恒常性機序の最初の損失を見出してもよい。こうした研究は、システム病理学およびシステム薬理学のハイブリッドと見なされると考えられる。こうした診断システム撹乱の原型例は、空腹時血漿グルコースに関するおよび血漿インスリンに関する正常濃度値に直面して、2型糖尿病の最初の段階を明らかにする際に有用な、経口グルコース負荷試験(OGTT)である。現在実施されているOGTTにおいては、評価は、典型的には、バイオマーカーとして、血漿グルコースおよびインスリンを測定することに限定されるが、一方、システム配向の背景において、動的SRPを分析することによって、読み取り値の感度および特異性を非常に改善し得る。
薬剤発見における種間システム病理学
ヒト疾患の動物モデルにおける、見込みがある薬剤候補の能力は、薬剤発見から臨床試験までの経路の初期の門番である。薬剤候補が不適切な動物モデルの試験に合格した場合には、失敗が運命付けられている可能性もあり、その失敗は、後期の第II期臨床試験までに認識されないと考えられ、その時点までに、かなりの金融資本および人的資源がその薬剤候補に投資されると考えられる。本発明の1つの局面にしたがって、適切な動物モデルの選択は、多様な候補動物モデルに対するシステム病理研究由来のSRPを、患者に対する類似の研究由来のSRPと比較することによって、実行可能である。一般的な規則として、比較しようとする最も好適なSRPは、入手可能な体液、好ましくは、体の全臓器および組織に渡る疾患プロセス、ならびに無秩序な血液媒介コミュニケーションおよび疾患に寄与する管理システムに関するウィンドウである、血漿から得られると考えられる。患者集団の生化学的サブクラスが同定されている場合、異なる動物モデルを選択して、ヒト疾患の異なるサブクラスまたは異なる段階を模倣することも可能である。さらに、認可された薬剤が、ヒト疾患を治療するために既に利用可能である場合、候補動物モデルに関するシステム薬理学的研究由来のSRP、および患者における薬剤治療研究由来のSRPを比較することによって、特定の疾患に関する最適動物モデルの選択をさらに可能にできる。
システム薬理学および薬剤発見
システム薬理学は、インビボの薬剤作用の幅の理解を可能にする。
比較逆システム薬理学
特定の分子ターゲットと相互作用するよう設計された薬剤クラスにおける、第二世代候補化合物の発見のための現在の戦略は、利用可能な「オン・ターゲット」および「オフ・ターゲット」アッセイ法のアレイにおける分子の示差インビトロスクリーニングによって、ターゲットに関して、さらにより選択的な化合物を探すことである。このアプローチは通常、患者における薬剤の有効性および副作用に基づいて、薬剤性能におけるさらなる改善のための領域が、スクリーニングアッセイ法において測定される薬剤特性と無関係であることが見出される前に、いくつかの改善された後続薬剤を生じる。平行して、または続いて、薬剤発見のための新規ターゲットはすぐに流行のものとなり、かつ「クラスで最初のものに続く、改善された第二世代薬剤」サイクルは、患者および初期段階スクリーニングアッセイ法において、第二世代薬剤候補の効果間で、再び断絶が起こるまでそれ自身が反復される。この状況は、一次および二次結果測定値、ならびに後期段階臨床試験において評価される少数の慣用的生命徴候および臨床化学に勝る、臨床試験から初期段階薬剤発見にフィードバックされる、改善された薬剤を設計するプロセスを補助するのに有用な情報が、一般的にまったくないために生じる。
システム薬理学は、化学構造−活性研究のためのシステム全体の活性測定値として、SRPの役割を確立することによって、構造的または機械論的クラスの市販薬剤に対する改善を可能にし得る。市販薬剤または後期段階薬剤候補を用いた、患者における研究から得られるSRPの特徴を、同じ患者における有効性および副作用測定値と相関させてもよい。また、患者において得られるSRPの特徴が、最適動物モデルにおいて、同定可能でもある場合、これらの特徴と疾患または薬剤反応との関係が理解可能であるかどうかに関わりなく、薬剤発見者らは、開発候補の次の世代を選択するための基準として、ヒト有効性および安全性を反映する動物モデルSRPを用いることが可能であると考えられる。この比較逆システム薬理学アプローチは、現在の薬剤改善実施からの明らかな逸脱を構成する。
システム反応プロファイルによって導かれる組み合わせ薬剤発見
図2は、疾患に寄与する生化学的機序のより多くの適用範囲を網羅する、候補組み合わせ薬剤産物を発見するためのアプローチを例示する。
システム反応プロファイルによって導かれる組み合わせ薬剤発見の本質的な要素は、多くのヒト疾患に関するSRPの知識、SRPが適格とする動物モデルの入手可能性および対照動物における化合物に関するSRPである。ApoE*3-Leidenトランスジェニックマウスにおけるアテローム性動脈硬化症の後退に対する単一療法および併用療法における脂質低下薬剤で行われる研究に関して、こうしたアプローチの潜在的な利点を図3に例示する。図3は、疾患に関して先に確立されたSRPおよび個々の薬剤の効果に基づいて、アトルバスタチンおよび組み合わせ候補に関するコレステロールレベルの全体の低下を例示する。さらに、組み合わせによって生成されるコレステロール減少の改善に加えて、VLDLおよびHDL間の比に関して、さらなる有益な効果が観察される。
システム病理学、システム薬理学および薬学的価値連鎖:影響およびコストパフォーマンス
システム病理学およびシステム薬理学は、上に概略するように薬剤発見に実質的に影響を及ぼす用意が出来ているが、薬学的価値連鎖のすべての段階に影響を及ぼす潜在能力を有する。薬剤発見および開発の分子システムの再方向付けの見通しが達成される場合:
・疾患は、症状によって可能であるより、より早期にかつより正確に診断されると考えられ;
・病変には直ちには関連し得ないが、薬剤開発において、より後期の予期されない有害事象を防止するかまたはこれに有効に対処する手がかりを提供し得る、薬剤によって誘導されるシステム全体の生化学的変化の知識によって、前臨床毒性学が容易になると考えられ;
・前臨床有効性および安全性研究との比較のためのボランティアに対する薬剤作用を評価するために、バイオマーカーが利用可能になるため、第I相臨床研究が改善されると考えられ;
・試験に包含するのに最も適した患者を選択し、かつ薬剤治療のシステム全体の生化学的影響を監視するのに使用可能なバイオマーカー基準によって、第II相および第III相臨床研究が可能になり、特に、用量範囲研究において、最終的な結果測定値を用いて、重要な臨床試験のために最も適切な投薬計画を見出すことが可能であるようには第II相試験が設計不能である場合に、こうした研究が可能になると考えられ;かつ
・認可後、全薬剤発見および開発プログラムにおいて生成されるすべてのSRPが、市販された薬剤に数千の患者が曝露された際に生じ得る、予期されない、重症の有害事象の解釈および解決を補助するために、利用可能となると考えられる。
比較逆システム薬理学の原理および実施
図4に示すように、例示する実施例は、PPAR-δアゴニストに関連し、このアゴニストは、2型糖尿病および肥満に関与する代謝経路の構成要素であるPPAR-δを上方制御する小分子である。したがって、PPAR-δアゴニストは2型糖尿病および肥満の治療のための潜在的な治療剤である。PPAR-δを過剰発現するマウスは、脂肪燃焼増加を示し、かつ公知のPPAR-δアゴニストで処置したマウスは、インスリン耐性減少を含めて、いくつかの望ましい表現型を示すことが示されている。
逆システム薬理学の概観を図5に示す。上に論じるように、血漿バイオマーカーセットを生成し;質量分析などの生化学分析技術を用いて、脂質などの生体分子の濃度に関する比較数値を生成する。その情報を用いて、相関ネットワーク(例えば図9を参照されたい)を生成するか、または分子システム画像(MSI)を生成してもよい。図5に要約する一般的な工程を、続く図において、より詳細に説明する。
図6を参照すると、第一の工程は、公知のPPAR-δアゴニストの最適化を伴い;図6のこの工程の構成要素は自明である。第一の工程を図7にさらに例示し、これは公知のアゴニストで処置した患者由来のバイオマーカーセットが、ほぼ常に、かつ情報を与えるように、プラセボまたは他の薬剤で処置した患者の試料から得られるバイオマーカーセットとは異なることを示す。
図8を参照すると、各々に関して測定されるバイオマーカーに関して、有効性および有害事象に影響を及ぼす機序の間にほとんど重複がない場合、薬剤改善の機会は増加する。図8の円は、MSIまたは相関ネットワークを表し得る概略図である。
図9は、ネットワークの一部が有害事象の指標となる、相関ネットワーク(図18にも再び示す)を示す。図18に見られるように、相関ネットワークのこうした一部の同定は、最終的に、薬剤の構造活性関係の解明を補助する。
図10は、改善されたPPAR-δアゴニストの同定における第二の工程の構成要素を列挙し;この構成要素は自明である。
図11は、図10に示す工程2の図的記述であり;処置動物の多様な組織から得られるバイオマーカーは、異なる相関ネットワークを生じると期待され得る。
図12は、PPAR-δアゴニストを試験するのに最適な動物モデルの選択に関する。図8の場合と同様、円は、バイオマーカーセットの任意のいくつかの表示、例えばMSIを表す概略図である。図12に示すように、ヒトのものを忠実に模倣するバイオマーカーセット表示は、薬剤候補を評価するのに最適な動物モデルである。
図13は、図12の原理を例示し、すなわち最適な動物モデルは、ヒトに類似のバイオマーカー相関ネットワークを生じるものである。
図14は、バイオマーカーとして脂質を用いる、ヒト患者および動物モデル由来のバイオマーカーセットの比較の表示である。脂質は、疾患患者および動物において、より高いかまたはより低い濃度で、組織に存在すると決定された。
図15は、プロセスにおける第三の工程の自明の要約であり、適切な動物モデルにおける多数の薬剤候補の比較である。
図16は、図15に示すプロセスの図的記述である。
図17は、第三の工程の例示であり、ここで相関ネットワークは、公知のアゴニストで、かつ次世代の化合物で処置された、患者または動物から得られる。相関ネットワーク自体を比較し、化合物の有効性および副作用、ならびに化合物の構造も同様に比較する。化合物nに関して見られるように、副作用と関連する相関ネットワークの部分(図8を参照されたい)は、化合物nに関しては見られず、長期の動物およびヒト試験が実行される前に、化合物nが最小限の副作用を有する可能性が高いことが示される。さらに、この情報は、構造−活性関係に関する結論が引き出されることを可能にし、次世代薬剤の設計をさらに容易にする。
図18および19は、それぞれ、伝統的な薬剤開発および逆薬理学の図的例示の対である。図19に示すように、特定の医学的状態を治療するのに用いられる次世代の薬剤で治療された患者由来の組織から生成されるMSIおよび相関マップを用いて、構造活性関係情報を解明してもよい。次世代の薬剤での有効性増加および有害事象減少の評価を、薬剤を摂取している患者の相関ネットワークおよび/またはMSI(またはバイオマーカーセットの他の表示)と、かつ非疾患患者から得られるバイオマーカーセットと、かつ薬剤化学構造と相関させる。次世代薬剤で処置された患者由来のMSIまたは相関ネットワークが、非疾患患者由来のMSIまたは相関ネットワークにより類似になるにつれて、改善と関連する化学構造変化が同定可能になる。
実施例1:治療的有効性の同定
本実施例では、研究セットは、所与の疾患を患うと確認される個体および健康な個体を含む。次いで、SOMまたは他の適切なクラスタリングソフトウェアによって、患者から得られた試料中の生体分子の濃度を表す要素を有するパターンを産生し、かつマッピングキーを発展させる。マッピングキーを個々の健康な患者由来のデータに、または複数の健康な被験体由来の合成データに適用して、「健康」または正常パターンを生じる。同様に、確認される疾患被験体由来のデータに、または複数の疾患被験体由来の合成データに、マッピングキーを適用して、「疾患」パターンを生じる。次いで、表現型がマッチした疾患患者に、薬剤候補、薬剤、または薬剤の組み合わせを投与する。患者から採取される1つまたは複数の試料を分析して、フィルタリングされ、標準化され、かつマッピングキーで処理されるデータを産生して、研究セットが処理されたのと同じ方式で、パターンを産生する。次いで、このパターンを健康および疾患参照パターンと比較してもよい。「健康」参照パターンおよび患者由来のパターンの間の類似性は、疾患に対する薬剤、薬剤候補、または組み合わせ薬剤の治療的有効性の指標となる。また、健康な患者に対する薬剤の効果に特徴的なパターン、および薬剤での治療に成功した疾患患者に特徴的なパターンを用いて、治療的有効性を決定してもよい。こうしたパターンは、参照として用いられた際、試験中の薬剤が、健康な個体において、疾患個体では異常である同じ生体分子の濃度に影響を及ぼすかどうかを決定するのに役立ち得る。また、1つの疾患を治療するために公知である薬剤が、他の疾患を治療するのに使用可能であるかを決定することによって、薬剤に再度目的を持たせるため、この方法を用いることも可能である。この方法の別の使用は、おそらくどちらも単独では有効でない場合に、薬剤の組み合わせが有効性を有するかどうか決定することである。
実施例2:撹乱因子(perturbagen)の使用
本発明の方法は、化合物の生化学的効果の評価を可能にするため、少用量の化合物、「撹乱因子」を投与して、疾患の生化学的性質を精密に調査するか、またはその化合物が望ましいかもしくは望ましくない方式で、被験体の生化学に影響を及ぼすかどうかを決定することが可能である。本発明のこの局面を生産的に用いて、抑うつ、双極性障害、または統合失調症などの精神疾患を診断し、かつこれらを治療する有効な治療計画を見出してもよい。撹乱因子は、典型的には、治療量以下および毒性以下の用量の化合物であり、薬剤または薬剤の代理物のいずれか、例えば毒性以下の用量で投与される、問題の薬剤と同様に代謝されることが公知である化合物であることも可能である。撹乱因子を適切な状況でヒトに、かつ実験動物に投与してもよい。
この方法は、最小限の安全性の懸念で、有効性または毒性の厳密な調査を可能にする。1つまたは複数の被験体に撹乱因子を投与し、かつ次いで、生体分子の濃度に関するデータを被験体から採取された適切な試料から得る。フィルタリングおよび標準化後、適切な研究セットに対するクラスタリングアルゴリズムによって発展されたマッピングキーを、データに適用して、任意で、視覚的に観察可能な画像に変換されるパターンを生じる。生成される画像は、公知の生物学的状態を有する研究セットにおいて、被験体から生成されるMSIと比較することによって判断されるように、被験体に対する撹乱因子の効果の指標である。これは次に、特定の診断を示唆するか、特定の薬剤が疾患を治療する際に最も有効である可能性が高いことを示唆するか、または特定の薬剤を回避すべきであることを示唆し得る。さらに、次いで、治療的有効性と一致する方式で、被験体において、生体分子に影響を及ぼす新規化合物をさらに試験してもよく、かつ毒性があるものまたは治療効果がないものと一致する方式で、被験体において生体分子に影響を及ぼす化合物を放棄してもよい。
実施例3:用量反応の決定
いくつかの投与量で、多数の被験体に薬剤を投与する。次いで、被験体から、かつ対照から、生体分子の濃度に関するデータを得る。SOMアルゴリズムを用いて、複数のデータセットから生体分子のパターン(マッピングキー)を生成して、パターン中の要素の順序を決定し、ここで各要素は1つまたは複数の生体分子を表す。次いで、SOMアルゴリズムによって生成されるマッピングキーまたは表にしたがって、薬剤処置した個々の被験体由来のデータを順序付ける。生成されたパターンを健康な被験体または薬剤処置に成功した被験体のパターンと比較してもよく、かつこうしたパターンは被験体に対する特定の投与量の効果の指標となる。例えば、健康な状態の指標となるパターンが1つの用量で達成されるが、より少量の用量がこの生物学的状態を達成し得ず、かつより多量の用量が迅速に毒性になることもあり得る。多様な投与量を体系的に研究することによって、治療的有効性および最小毒性のバランスを取る適切な投与量レベルが決定可能である。また、この方法を用いて、特定の投与量が毒性を引き起こすかどうかを研究してもよい。さらに、この方法を用いて、薬剤の治療的指数を決定してもよい。
実施例4:薬剤の分子効果
被験体の薬剤治療的成功の指標となる参照MSIを産生し、ここで投与する種類の薬剤は、公知の効果であるが、未知の機序を有する。ここで、候補化合物を被験体に投与し、試料からデータを獲得し、かつ参照MSIを生成するのに用いられるのと平行したプロトコルを用いて、MSIを生成してもよい。これらを参照MSIと比較して、候補化合物の効果を決定してもよい。候補薬剤および参照によって産生されるパターン間の類似性は、生物学的反応における類似性の指標となり、かつしたがって、有効性または作用の一般的な機序を示唆する。さらに、薬剤によって産生されるパターンを参照パターンと比較する際、濃度の相違または類似を示す個々の生体分子を同定し、かつ調べて、作用機序へのさらなる洞察を提供してもよい。
実施例5:反応者および非反応者の同定
同じ薬剤または薬剤の組み合わせを投与されている患者群を研究する。集団中の各患者から、かつ薬剤を受容されていない対照から、生体分子の濃度に関するデータを得る。次いで、SOMアルゴリズムをデータに適用してパターンを生成し、ここで個々の要素は、生体分子とは対照的に、1つまたは複数の患者を表す。被験体に対する薬剤の影響のすべての異なる種類のパターンにおいて、患者の別個のクラスターが観察可能である。例えば、単一薬剤、または組み合わせが、患者の1つの亜集団において、治療効果を提供するが、別の集団において毒性であるかまたは無効であることもあり得る。被験体がクラスタリングされると、代表的な被験体由来のデータ、または単一クラスター中の被験体由来の平均データを用いて、パターンの要素が生体分子を表す分子システム画像を発展させて、それによって、その種類の被験体において、薬剤の特定の効果、例えば陽性反応の指標となるパターンを提供してもよい。こうした研究は、臨床試験において、かつ1つまたは複数薬剤の投与前に、有用である。臨床試験において、患者サブセット中で副作用が観察される場合、記載の方法を用いて、薬剤投与前、撹乱因子投与後に、どの患者が負に反応する可能性が高いかを決定してもよい。これは、集団を分離して、研究から非反応者を排除することを可能にする。同様に、何人かの患者において、薬剤が有害事象を引き起こすことが公知である場合、薬剤の投与前または撹乱因子の投与後に、患者をスクリーニングして、これらの患者が薬剤投与の候補であるかまたは毒性反応者であるかを決定してもよい。さらに、いくつかの薬剤では、薬剤の長期間の使用後にのみ、特定の有害事象が起こるかまたは患者が利益を受けることが明らかになる。したがって、任意の薬剤の投与前に、撹乱因子を用いてもしくは用いずに生成される特徴的なMSIによって示されるように、患者が反応者もしくは非反応者であることを決定することが可能である、または薬剤治療を続けるべきかどうかを決定するため、治療経過中、定期的にMSIの生成によって、患者を監視してもよい。
実施例6:代理マーカーの発展
公知の生物学的状態を有する被験体を研究し、例えば被験体は、公知の疾患もしくは毒性を伴うと診断されているか、または効果を達成するため、公知の薬剤を投与されている。生体分子の濃度に関するデータは、被験体から、および対照被験体から得られる。データをフィルタリングし、かつ標準化した後、SOMアルゴリズムを用いて、データセットから生体分子濃度のパターンを生成して、マッピングキーを産生するように、パターン中の生体分子要素の順序を決定する。次いで、研究中の生物学的状態にあることが公知である被験体由来のデータを、同じマッピングキーにしたがって順序付けて、教育セットに適用されるSOMアルゴリズムによって決定されるようなマッピングキーにしたがって、各データポイントの位置を割り当てることによって生成されるパターンを生じる。被験体から生成されるパターンを代理マーカーとして使用してもよく、ここでこのマーカーが患者において見出される場合、患者がその生物学的状態にあることを示す。別の言い方をすると、産生されるパターンは、その個体における生物学的状態の生化学的特性の指標となる。また、同じ状態にある被験体集団由来のデータを平均するか、またはそうでなければ組み合わせて合成パターンを生じてもよい。次いで、未知の生物学的状態にある被験体由来の試料を、研究セットの発展中に用いた分析およびデータ処理に平行した方式で分析してもよい。マッピングキーをデータに適用すると、MSIが産生され、かつ次いで1つまたは複数の代理マーカーMSIと比較して、被験体が特定の生物学的状態にあるかどうかを決定する。こうした比較は、健康、疾患、毒性、または薬剤の影響を決定するのに有用である。
別の例において、ヒトにおいて公知の効果を持つ公知の薬剤を、ラットなどの非ヒト実験動物に投与して、ラットにおけるその薬剤の効果に関する代理マーカーとして役立つ、パターンまたはMSIを発展させる。この代理マーカーを、薬剤候補化合物の投与後にラットにおいて産生されるパターンまたはMSIとの比較に用いて、例えば、候補化合物が類似のMSIまたはパターンを産生可能であり、かつしたがって、潜在的に、公知の薬剤のものに類似の治療効果をヒトにおいて有し得るかどうかを決定することが可能である。
実施例7:疾患の診断
確認された疾患個体由来の関連する試料から、本明細書に示すように調製された生体分子の濃度を表す要素を有するパターンを、診断パターンとして、例えば診断参照MSIとして用いてもよい。すべて、疾患の生化学の指標であるが、他の表現型的特性が異なる、いくつかの異なる診断参照パターンを調製してもよい。例えば、雄、雌、免疫低下個体、肥満個体などにおいて、同じ疾患に関して異なるMSIがあってもよい。次いで、血清などの関連する試料を収集し、その中の生体分子の濃度に関するデータを生じるようにこの試料を分析することによって、疾患症状を提示するか、または別の方式で疾患もしくは疾患に対する傾向を有すると推測される患者を診断してもよい。データをフィルタリングし、標準化し、かつフィールド中の位置またはボリュームを割り当ててパターンを生じる。これを1または多くの参照パターンと比較して、価値がある診断上の洞察を生じてもよい。次いで、被験体のパターンおよび参照パターン間の類似性が、潜在的な診断の指標となる。
実施例8:疾患のサブタイプを同定する方法
同じかまたは類似の疾患症状を示す被験体を研究する。集団中の各被験体から、生体分子の濃度に関するデータを得る。データをフィルタリングし、かつ標準化した後、SOMアルゴリズムを適用してパターンを生成し、この中で、個々の要素は、生体分子とは対照的に、1つまたは複数の被験体を表す。同じ症状を生じる、すべての生化学的に別個の疾患に関するパターンにおいて、被験体の別個のクラスターが観察可能である。こうしたパターンを用いて、疾患のサブタイプを同定し、かつそれによって根底にある原因に対する治療に重点を置いてもよい。被験体がクラスタリングされると、代表的な被験体由来のデータ、または単一クラスター中の被験体由来の平均データを用いて、パターンの要素が生体分子を表す分子システム画像を発展させ、それによって被験体に対する別個の疾患各々の生化学的効果の指標となるパターンを提供してもよい。
実施例9:薬剤の分子機序の比較
同じ疾患を治療する、複数の薬剤、または薬剤候補を、集団に投与する。生体分子の濃度に関するデータを、対照から、かつ集団中の各被験体から得て、この場合、各被験体は、1つの薬剤(または単一治療介入として薬剤の組み合わせ)を投与されている。次いで、SOMアルゴリズムをデータに適用してパターンを生成し、この中で、個々の要素は、生体分子とは対照的に、1つまたは複数の被験体を表す。同じ生化学的機序を通じて作用する各薬剤のパターンにおいて、被験体の別個のクラスターが観察可能である。例えば、5つの薬剤を投与し、かつ各薬剤が、独立の生化学経路に対して作用して、治療効果を生じる場合、パターン中、5つの別個のクラスターが観察可能であると考えられる。5つの薬剤が与えられ、かつ各薬剤が同じ経路に作用する場合、その際、パターン中、1つのクラスターのみが観察可能であると考えられる。被験体をクラスタリングしると、代表的な被験体由来のデータ、または単一クラスター中の被験体由来の平均データを用いて、パターンの要素が生体分子を表す分子システムパターン、例えば画像を発展させ、それによって被験体に対する薬剤の生化学的効果の指標となるパターンを提供することが可能である。どの薬剤が異なる経路に対して作動するか決定する能力は、重複する努力を続行するよりもむしろ、各別個のクラスターまたはクラス中の最適な薬剤に努力を集中させ得るため、初期段階の薬剤開発において、有用であると考えられる。
実施例10:薬剤の毒性効果の比較
同じ毒性表現型を示す被験体を研究する。集団中の各被験体から、かつ対照に関して、生体分子の濃度に関するデータを得る。次いで、SOMアルゴリズムをデータに適用してパターンを生成し、この中で、個々の要素は、生体分子とは対照的に、1つまたは複数の被験体を表す。毒性が、観察可能な生理学的結果を有するかどうかに関わらず、異なる種類の毒性各々に関して、パターンにおいて、被験体の別個のクラスターが観察可能である。例えば、肝臓、腎臓、または神経学的毒性は、類似の表現型を導き得る。被験体がクラスタリングされると、代表的な被験体由来のデータ、または単一クラスター中の被験体由来の平均データを用いて、パターンの要素が生体分子を表す分子システム画像を発展させ、それによって被験体における特定の毒性効果の指標となるパターンを提供してもよい。
実施例11:げっ歯類から産生されるMSI
本実施例の目的は、分子システム画像化が疾患表現型を視覚的に定義する能力を立証することである。医学的興味の一般的な領域は代謝疾患であり、かつ分析しようとする材料はげっ歯類種由来の血清試料であった。げっ歯類の2群、疾患および健康を研究に使用した。各群のサブセットを薬剤処置し、試験セット:
ビヒクル処置した8匹の対照げっ歯類、
薬剤処置した8匹の対照げっ歯類、
ビヒクル処置した8匹の疾患げっ歯類、および
薬剤処置した8匹の疾患げっ歯類
を得た。32匹の試験げっ歯類各々から試料を採取し、かつ液体LC/MSプラットホームを介して分析した。次いで、このデータセットに分子システム画像マップを向けて(train)、最終画像上の各代謝産物の空間的位置を定義した。
次いで、各試料に関して分子システム画像(MSI)を構築した(図20A〜20D)。各MSIピクセルは、試料のLC/MS分析由来の0、1または多数の代謝産物ピークを表す。すべての試料に渡って、隣接するピクセル間の色の相違を最小限にするように設計された自己組織化マップ(SOM)アルゴリズムによって、ピクセルに対する代謝産物ピークの関係を決定する。各場合にディスプレイされるピクセルの色は、不定の単位でのそのピークの標準化された大きさであり、赤が最高の数値であり、かつ青が最低の数値である。図20Aは、ビヒクルを投与された8匹の健康なげっ歯類由来のMSIを示す。図20Bは、薬剤を投与された8匹の健康なげっ歯類由来のMSIを示す。図20Cは、ビヒクルを投与された8匹の疾患哺乳動物由来のMSIを示す。図20Dは、疾患を治療することが公知であった薬剤を投与された、8匹の疾患哺乳動物を示す。各群の個々のげっ歯類のMSIが、類似であるかまたは本質的に同じであると、容易に認識可能であり;かつ同じげっ歯類であるが、異なる生物学的状態にあるもの由来のMSIを異なるとして認識可能であることに注目されたい。図20AのMSI(健康なげっ歯類)が、図20Dのもの(疾患であるが薬剤治療されている)と類似であり、薬剤が疾患げっ歯類を治療する際に治療的に有効である可能性が高いことが示されることにもまた注目されたい。
実施例12:疾患モデルのシステム病理学
システム病理学の技術の実例となる例を、疾患である動脈硬化症のモデルである、アポリポタンパク質E3-Leiden(APOE*3-Leiden、APOE*3)トランスジェニックマウスに適用した。アポEは、超低密度リポタンパク質(VLDL)およびVLDL残存物の構成要素であり、かつ肝臓による、受容体が仲介するリポタンパク質の再取り込みに必要である。[Glass and Witztum, Cell 104, 502 (1989).]APOE*3-Leiden突然変異は、コドン120〜126のタンデム複製によって特徴付けられ、かつヒトにおける家族性異常ベータリポタンパク質血症に関連する。[van den Maagdenberg et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 165, 851 (1986);およびHavekes et al., Hum. Genet. 73, 157 (1986).]ヒトAPOE*3-Leidenを過剰発現するトランスジェニックマウスは、肝臓LDL受容体認識が減少しているため、食餌が誘導する高リポタンパク質血症およびアテローム性動脈硬化症に非常に罹患しやすいが、正常の固形飼料食餌を与えられると、9ヶ月の時点で、穏やかなI型(マクロファージ泡沫細胞)およびII型(細胞内脂質集積を伴う脂肪線条)病変しか示さない。[Jong et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 16, 934 (1996).]
ヒトAPOE*3-Leiden遺伝子、APOC1遺伝子、ならびにAPOC1およびAPOE*3の間に存在する肝臓調節領域と称される制御要素を含有する27kbのゲノムDNA構築物を、受精マウス卵の雄性前核に微量注入することによって、APOE*3-Leidenトランスジェニックマウス系統を生成した。卵の供給源は、過剰排卵させた(C57Bl/6JxCBA/J)F1雌であった。トランスジェニック初代マウスをC57Bl/6Jマウスとさらに交配させて、トランスジェニック系統を確立した。これらの実験において、F21〜F22世代のトランスジェニックおよび非トランスジェニック同腹仔を用いた。すべてのマウスに通常の固形飼料食餌(SRM-A, Hope Farms, Woerden, The Netherlands)を与え、かつ9週の時点で屠殺し、この時点で血漿試料を採取して、かつ液体窒素中で凍結させた。次いで、各血漿試料に対して、脂質示差プロファイリング分析を行った。
次いで、これらの血漿脂質示差プロファイリング分析の結果(56の脂質ピークx19の試料)を用いて、アテローム性動脈硬化症に関する分子病理マップを生じた(図21)。分子病理マップは、監視されない方式で、野生型マウスからトランスジェニックマウスを分離する。
次いで、同じセットの脂質データを用いて、各試料に関して1-D数値病理スコアを生成した。病理スコアの目的は、疾患または正常のいずれかとして各試料を分類することである。試料データの1-D自己組織化マップを構築することによって、スコアを計算した。主成分投影(principle component projection)、線形分類器、または非線形分類器など、当業者に公知の、こうしたスコアを構築する他の方法がある。この場合、自己組織化マップの軸が左から右に走るように取り、向けられたマップ上の各試料の水平の位置としてスコアを計算し、かつこれらの位置を0(最も左)および1(最も右)の間になるように標準化した。スコアを図22に示す。野生型(WT)試料の最大スコアは0.45であり、かつトランスジェニック(TG)試料の最小スコアは0.55であり、スコアリング測定基準が、疾患および正常間を区別可能であることが示される。
次いで、同じ脂質データセットを用いて、分子システム画像マップをトレーニングした。このマップは、最終画像上の各代謝産物各々の空間的位置を定義した。次いで、各試料に関して、分子システム画像(MSI)を構築した(図23)。図20におけるように、各MSIピクセルは、試料のLC/MS分析由来の0、1または多数の代謝産物ピークを表す。各場合にディスプレイされるピクセルの色は、不定の単位でのそのピークの標準化された大きさであり、赤が最高の数値であり、かつ青が最低の数値である。
他の態様
本明細書に開示する特許文書および科学刊行物は各々、すべての目的のため、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、特定の態様に関して特に示され、かつ記載されてきているが、当業者には、本発明の精神、本質的な特徴または範囲から逸脱することなく、形状および詳細の多様な変化を作製し得ることが理解されなければならない。したがって、前記の態様は、本明細書に記載する発明に対する限定ではなく、むしろ、あらゆる点において、例示であると見なされるものとする。したがって、本発明の範囲は、前記の説明によるよりも、むしろ、添付の特許請求の範囲によって示され、かつしたがって特許請求の範囲の等価物の意味および範囲内に入るすべての変化は、本発明に含まれると意図される。
他の態様は特許請求の範囲にある。
システム病理学およびシステム薬理学のワークフローおよびアウトプットを構成する、材料、情報、および分析法の概観である。ボックス下部に、3つの型のSRPを提示し、これらは各々、薬剤で撹乱されたもの対撹乱されていないものなどのシステム状態間の比較のためのデータセットの異なる局面を強調する。主成分分析によって決定される2つの状態間の分離に対する、各個々の分子の相対的寄与(垂線の長さ)から、分子相違重要性スペクトル、または因子スペクトル(詳細に関しては[25]を参照されたい)を生成する。各垂線の方向は、状態間の分子中の変化が増加であったかまたは減少であったかを示す。分子システム画像は、データセットから生成される自己組織化マップ[36]であり、かつ分子レベルのあらかじめ色分けされた視覚化、および状態間比較におけるデータセット中の分子間の関係を提供する。概略図の形でここに示す相関ネットワーク[22〜25]は、分子のクラス(記号の形)、状態間のそのレベルにおける変化の方向性(赤−比較状態におけるより、ディスプレイする状態においてより高い;緑―ディスプレイする状態においてより低い;白−状態間で変化なし)および分子対間の関係(赤線−陽性相関;緑線−陰性相関)に関する、同時に存在する情報を提供する。 疾患を治療するための潜在的な薬剤の組み合わせを同定するための、システム病理学およびシステム薬理学の使用を示す図である。3つの薬剤に関して(各々、対プラセボ)、健康な被験体から得られる血漿試料の分析に由来する、分子相違重要性スペクトル(図1を参照されたい)の形の理想化SRPを図の左側に示し、かつ3つの疾患の患者(対健康な被験体)由来の血漿試料の分析に由来する、同じ形のSRPを右側に示す。薬剤SRPを疾患SRPに連結する矢印は、薬剤および疾患SRPの特定の特徴の相反する極性に基づいて、個々の薬剤が、疾患各々と関連する生化学的変化の一部と拮抗する潜在能力を示す(薬剤Aおよびアテローム性動脈硬化症SRP両方の「a」と示す特徴、または薬剤Bおよび肥満SRP両方の「y」と示す特徴を参照されたい)。疾患SRPおよび薬剤反応SRPを調べることによって、薬剤Aおよび薬剤Bを組み合わせると、いずれかの薬剤のみが生じるより、アテローム性動脈硬化症において起こる、より広い適用範囲の生化学的変化につながると考えられることが明らかである。 高コレステロール食餌のアテローム性動脈硬化症のApoE*3-Leidenマウスモデルにおける、血漿リポタンパク質プロファイルに対するアトルバスタチンおよびBGM 25136単独でおよび組み合わせての効果のグラフである。アトルバスタチン(青い記号および線)およびBGM 25136(緑の記号および線)はどちらも、すべての微量カテゴリーに渡ってコレステロールを低下させるが、組み合わせ(赤い記号および線)は、VLDLコレステロールをさらに低下させるものの、アトルバスタチン単独への曝露に際して達成されたレベルより中程度に高いレベルにHDLコレステロールを実際に上昇させる。方法に関しては、Delsingら[37]を参照されたい。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 比較逆システム薬理学の原理および実施を例示する。 哺乳動物試料のLC/MS分析から得られるデータから生じるMSIである。図20Aは、ビヒクルを投与されている健康な哺乳動物由来のMSIを示し;図20Bは、薬剤を投与されている健康な哺乳動物由来のMSIを示し;図20Cは、ビヒクルを投与されている疾患哺乳動物由来のMSIを示し;かつ図20Dは、薬剤を投与されている疾患哺乳動物由来のMSIを示す。これらの群間の区別は、MSI相違に基づいて容易に観察される。 アテローム性動脈硬化症疾患モデルに関する分子病理マップである。実施例12に記載するように、ApoE3-Leidenトランスジェニックマウスを、アテローム性動脈硬化症の動物モデルとして用いた。分子病理マップは、監視されない方式で、野生型マウス(WT#と表示)からトランスジェニックマウス(TG#と表示)を分離する。 アテローム性動脈硬化症研究で用いられる19匹の動物に関する疾患病理スコアの表である(実施例12)。 アテローム性動脈硬化症研究で用いられる動物に関する19個の分子システム画像(MSI)のセットである(実施例12)。括弧内の数字(s=##)は、各動物のアテローム性動脈硬化症病理スコアである。

Claims (63)

  1. 第一の個々の哺乳動物の生物学的状態において、該哺乳動物由来の試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度を表すデータポイントの多次元アレイを含み、このデータポイントが、マッピングキーを用いて配置されて、異なる生物学的状態にある同じ種の哺乳動物由来の同種の試料から生成される画像とは異なるものとしてヒトの視覚に認識され得る画像を生じる、
    該哺乳動物の該生物学的状態に特徴的な第一の分子システム画像。
  2. 少なくとも:
    a)請求項1記載の第一の分子システム画像と、
    b)参照画像が、方法によって生成されており、かつ参照画像中の各データポイントが公知の生物学的状態にある哺乳動物からサンプリングされる1つまたは複数の生体分子を表すことを除いて、請求項1記載の画像を生成するために用いられるのと同じかまたは相同な生体分子を検出する、請求項1記載の画像と視覚的と比較するための第二の参照画像とを含む、分子システム画像セット。
  3. 参照画像が、第一の画像を生成するのに用いられた哺乳動物と同じ種の多数の哺乳動物から生成される、請求項2記載の画像セット。
  4. 参照画像を生成するのに用いられた哺乳動物が、これらから試料が採取される前に、特定の疾患状態を持たないことが決定されており、かつ第一の画像を生成するのに用いられた哺乳動物が、該特定の疾患状態を有すると推測される、請求項3記載の画像セット。
  5. 参照画像を生成するのに用いられた哺乳動物が、これらから試料が採取される前に、特定の医学的状態を有することが決定されており、かつ第一の画像を生成するのに用いられた哺乳動物が、該特定の医学的状態を有すると推測される、請求項3記載の画像セット。
  6. 参照画像を生成するのに用いられた哺乳動物が、これから試料が採取される前に、特定の薬剤を投与されていないことが決定されており、かつ第一の画像を生成するのに用いられた第一の哺乳動物が、これから試料が採取される前に、該特定の薬剤を投与される、請求項3記載の画像セット。
  7. 参照画像を生成するのに用いられた哺乳動物が、これから試料が採取される前に、特定の薬剤を投与され、かつ第一の画像を生成するのに用いられた第一の哺乳動物が、これから試料が採取される前に、該特定の薬剤を投与される、請求項3記載の画像セット。
  8. 第一の哺乳動物と同じ種の第二の個々の哺乳動物から生成された第三の分子システム画像をさらに含み、第三の分子システム画像が、方法によって生成されており、かつ第三の哺乳動物が第一の哺乳動物と異なる生物学的状態にあることを除いて、第一の哺乳動物から画像を生成するのに用いられたのと同じ生体分子を検出する、請求項3記載の画像セット。
  9. 方法によって第一の個々の哺乳動物から生成され、かつ第一の画像を生成するのに用いられた試料が採取された時点と異なる時点で哺乳動物から採取された試料を用いて第三の画像が生成されることを除いて、第一の画像を生成するのに用いられたものと同じ生体分子を検出する、第三の分子システム画像をさらに含む、請求項3記載の画像セット。
  10. クラスターに基づくパターンで配置されたピクセルのアレイを含み、アレイ中のピクセルの形状、色、または陰が、他のピクセルとは異なり、生体分子濃度を示し得る、請求項1記載の画像。
  11. マッピングキーが、研究データセットに対して作動する自己組織化マップアルゴリズムによって生成される、請求項1記載の画像。
  12. 生物学的状態が、正常、恒常性、疾患、環境的、肉体的もしくは精神的ストレス、中毒、薬剤処置(drugged)成功もしくは失敗、加齢、胚性、栄養枯渇、肥満、空腹である、またはのどが渇いている、請求項1記載の画像。
  13. 哺乳動物がヒトである、請求項1記載の画像。
  14. 哺乳動物が実験動物である、請求項1記載の画像。
  15. 実験動物が遺伝的に改変された動物である、請求項14記載の画像。
  16. 試料が、液化組織試料、全血、血液画分、尿、唾液、リンパ液、脳脊髄液、粘液、乳頭分泌物、糞便、眼液、またはその組み合わせである、請求項1記載の画像。
  17. 生体分子が少なくとも1つの脂質を含む、請求項1記載の画像。
  18. 生体分子が多数の異なる脂質を含む、請求項17記載の画像。
  19. 生体分子が10個より多い異なる脂質を含む、請求項18記載の画像。
  20. 生物学的状態が代謝障害である、請求項17記載の画像。
  21. 生体分子が、タンパク質、ペプチド、脂質、および代謝産物の少なくとも2つを含む、請求項1記載の画像。
  22. 生体分子がmRNAを含む、請求項21記載の画像。
  23. 生体分子が、質量分析、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、および核磁気共鳴分光法の技術の1つまたは複数を用いて検出される、請求項1記載の方法。
  24. 物質の毒性を評価するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)物質が投与されている試験哺乳動物由来の試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度を表す多数のデータポイントを含む第一の試験分子システムパターンを提供し、データポイントがコンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得る該パターンを生じるようにクラスタリングされる、工程、
    b)第二の参照分子システムパターンを提供し、参照パターンが方法によって生成され、かつ参照パターンを生成するのに用いられる試料が、第一の哺乳動物と同じ種の異なる哺乳動物または複数の哺乳動物から得られることを除いて、第一のパターンを生成するのに用いられるのと同じ生体分子を検出する、工程、および
    c)第一のパターンと第二の参照パターンを比較する工程。
  25. 比較が毒性の可能性を示す場合、方法によって生成され、かつ第一のパターンを生成するのに用いられたものと同じ生体分子を検出する、1つまたは複数の第三のパターンと、第一のパターンを比較する工程をさらに含み、該1つまたは複数の第三のパターンが、毒性物質に曝露されたかまたはこうした物質を投与されることが公知である哺乳動物由来の試料を用いて生成されており、該第一のパターンおよび該第三のパターンが実質的に類似であることが、毒性の可能性の指標となる、請求項24記載の方法。
  26. 物質の毒性を評価するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)物質が投与されている第一の哺乳動物由来の試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度を表す多数のデータポイントを含む試験分子システムパターンを提供し、データポイントがコンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得る該パターンを生じるようにクラスタリングされる、工程、
    b)1つまたは複数の第二の参照分子システムパターンを提供し、参照パターンが方法によって生成され、かつ参照パターンを生成するのに用いられる試料が、物質に曝露されていないしまた物質を投与されておらず、かつ種の哺乳動物に毒性であることが公知である異なる物質で処置されている、第一の哺乳動物と同じ種の異なる個体から得られることを除いて、第一のパターンを生成するのに用いられるのと同じ生体分子を検出する、工程、および
    c)第一および第二の分子システムパターンを比較し、第一のパターンと該第二のパターンが実質的に類似であることが、毒性の可能性の指標となる、工程。
  27. 疾患状態を治療するための薬剤候補の有効性を評価するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)薬剤候補が投与されている、疾患状態を有する第一の哺乳動物由来の試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度を表す多数のデータポイントを含む第一の分子システムパターンを提供し、データポイントがコンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得る該パターンを生じるようにクラスタリングされる、工程、
    b)1つまたは複数の第二の参照分子システムパターンを提供し、参照パターンが方法によって生成され、かつ参照パターンを生成するのに用いられる試料が、薬剤候補が投与されておらず、かつ疾患状態を持たないか、または疾患状態に関して有効に治療されている、第一の哺乳動物と同じ種の異なる個体から得られることを除いて、第一のパターンを生成するのに用いられるのと同じかまたは相同な生体分子を検出する、工程、および
    c)第一および第二の分子システムパターンを比較し、第一のパターンと該第二のパターンが実質的に類似であることが、有効性の可能性の指標となる、工程。
  28. 薬剤候補が2つまたはそれ以上の生物学的活性物質の組み合わせを含む、請求項27記載の方法。
  29. 組み合わせの物質の少なくとも1つが、哺乳動物への投与前に、疾患状態を治療する際に有効性を有することが公知である、請求項28記載の方法。
  30. 組み合わせの物質の少なくとも1つが、哺乳動物への投与前に、疾患状態に向けた合理的薬剤設計法によって設計されている、請求項28記載の方法。
  31. ヒト被験体が疾患状態にあるかどうかを一般的に決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)被験体由来の試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度を表す多数のデータポイントを含む第一の分子システムパターンを提供し、データポイントがコンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得る該パターンを生じるようにクラスタリングされる、工程;
    b)1つまたは複数の第二の参照分子システムパターンを提供し、参照パターンが方法によって生成され、かつ参照パターンを生成するのに用いられる試料が、疾患状態にないことが公知である、異なるヒト被験体から得られるという条件で、第一のパターンを生成するのに用いられるのと同じ生体分子を検出する、工程;および
    c)第一および第二の分子システムパターンを比較し、パターンが実質的に異なることが、第一の被験体における疾患状態の可能性の指標となる、工程。
  32. ヒト被験体における特定の疾患状態の存在可能性を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)被験体由来の試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度を表す多数のデータポイントを含む第一の分子システムパターンを提供し、データポイントがコンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得る該パターンを生じるようにクラスタリングされる、工程;
    b)1つまたは複数の第二の参照分子システムパターンを提供し、参照パターンが方法によって生成され、かつ参照パターンを生成するのに用いられる試料が、該疾患状態にあることが公知である異なるヒト被験体から得られるという条件で、第一のパターンを生成するのに用いられるのと同じ生体分子を検出する、工程;および
    c)第一および第二の分子システムパターンを比較し、パターンが実質的に類似であることが、被験体における該疾患状態の可能性の指標となる、工程。
  33. 疾患を有することが公知であるヒト患者における特定の疾患状態の経過を監視するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)各々が、異なる時点で患者から採取された2個またはそれ以上の試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度を表す多数のデータポイントを含む、2つまたはそれ以上の分子システムパターンを提供し、データポイントが、各試料に関して、コンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得る該パターンを生じるようにクラスタリングされる、工程;および
    b)2つまたはそれ以上の分子システムパターンを比較し、時間とともにパターンが実質的に変化することが、疾患状態の変化の指標となる、工程。
  34. 分子システムパターンがヒト視覚によって認識され得る画像である、請求項24〜33のいずれか一項記載の方法。
  35. すべてが、特定の疾患状態に関して類似の陰性または陽性表現型を示し:
    a)各データポイントが、哺乳動物由来の試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度の、該多数の哺乳動物の1つに関する合成値を表し、合成値が各哺乳動物に関して同じ方式で得られており、かつ
    b)アレイ中のデータポイントが、該生体分子の濃度に関する合成値の類似性にしたがって、個々の哺乳動物をグループ分けするアルゴリズムによってクラスタリングされる、
    データポイントの多次元アレイを含む、同じ種の多数の哺乳動物における生化学的変動を表す分子病理マップ。
  36. i)哺乳動物がすべて、特定の疾患状態を示し、
    ii)各動物から採取される試料種が、疾患状態に関連し、かつ
    iii)試料において検出される生体分子の少なくともいくつかが、疾患状態に関連する、
    請求項35記載のマップ。
  37. 哺乳動物がヒトである、請求項35記載のマップ。
  38. 哺乳動物が非ヒト実験動物である、請求項35記載のマップ。
  39. マップ上の哺乳動物の異なるクラスターが、疾患状態の異なるサブタイプを表す、請求項36記載のマップ。
  40. 研究者が個々の哺乳動物の生化学を研究するのを可能にする、マップ上のポイントでの、該ポイントの裏付けとなる根底のデータへのリンクをさらに含む、請求項35記載のマップ。
  41. 特定の疾患状態のサブタイプに関する情報を得る方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)該疾患状態に関して、請求項35記載の分子病理マップを提供する工程、および
    b)該マップのクラスター内で、個体の生化学を、該疾患状態に関連する生化学的データと比較する工程。
  42. 疾患状態に関して陰性または陽性表現型を示す、同じ生化学的活性物質を投与されているヒト被験体を生化学的に分類する方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)被験体に関して請求項35記載の分子病理マップを提供する工程、および
    b)該生物学的活性物質に対して異なる生理学的反応を示す、マップ内のクラスタリングパターンを確かめる工程。
  43. 被験体が、生物学的活性物質に対して、表現型的に互いに異なって反応する2群を含む、請求項42記載の方法。
  44. 表現型反応が疾患状態の緩和または予防である、請求項43記載の方法。
  45. 表現型反応が生物学的活性物質の有害な副作用である、請求項43記載の方法。
  46. 生物学的活性物質が投与されている個々のヒト被験体に関して、請求項35に定義されるような合成値データポイントにマップを比較し、該データポイントがマップのデータポイントを生成するのに用いられたものと同じ方法によって生成されており、かつ同じ生体分子を検出する、請求項45記載の方法。
  47. 個体データポイントのマッピングが、生物学的活性物質に有害に反応する群により近ければ、その生物学的活性物質で個体の疾患状態を治療することが不適当と見なされる、請求項46記載の方法。
  48. 参照パターンを生成するのに用いられる哺乳動物が、試験哺乳動物と同じ方式で、物質を投与されている、請求項24記載の方法。
  49. 参照哺乳動物のいくつかが、参照パターンの生成前に、物質に反応して副作用を示し、かつ参照哺乳動物のいくつかが、参照パターンの生成前に、物質に反応して副作用を示さず、かつ副作用群が、参照パターンにおいて、副作用がない群とは異なるパターンを示す、請求項48記載の方法。
  50. パターンの比較が、計画されているかまたは進行中の物質の臨床試験と組み合わせて行われ、かつ哺乳動物がヒト被験体である、請求項49記載の方法。
  51. 試験および参照分子システムパターンを生成するのに用いられるヒト被験体が、同じ疾患状態を有し、かつ物質が該疾患状態を緩和するかまたは予防するための薬剤候補である、請求項50記載の方法。
  52. 試験被験体に関するパターンが、副作用参照パターンにより類似である場合、被験体を臨床試験から排除する、請求項51記載の方法。
  53. 疾患状態を持つヒト被験体が、該疾患状態を治療するための薬剤候補の副作用に苦しむ可能性を評価するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)薬剤候補が投与されていない該試験ヒト被験体由来の試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度を表す多数のデータポイントを含む第一の試験分子システムパターンを提供し、データポイントがコンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得る該パターンを生じるようにクラスタリングされる、工程、
    b)1つまたは複数の第二の参照分子システムパターンを提供し、参照パターンが方法によって生成され、かつ参照パターンを生成するのに用いられる試料が、薬剤候補が投与されている多数のヒト被験体から得られることを除いて、試験パターンを生成するのに用いられたものと同じ生体分子を検出し、参照被験体の第一のサブグループが薬剤候補の副作用に苦しみ、かつ第二のサブグループが苦しまなかった、工程、および
    c)第一の試験パターンと、1つまたは複数の第二の参照パターンを比較する工程。
  54. パターンの比較が、計画されているかまたは進行中の薬剤候補臨床試験と組み合わせて行われ、かつ副作用サブグループと類似の試験パターンを持つ試験被験体が臨床試験から排除される、請求項53記載の方法。
  55. 試験ヒト被験体の生物学的状態に関する情報を得るための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)毒性以下の用量で、薬剤または生物学的活性代理物質のいずれかを該被験体に投与する工程、
    b)該被験体から試料を得る工程、
    c)該試料から、試料において検出される多数の生体分子の相対的濃度を表すデータポイントの多次元アレイを含む分子システム試験パターンを生成し、データポイントがコンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得るパターンを生じるようにクラスタリングされる、工程、
    d)第一の合成参照パターンを提供し、参照パターンが工程a〜c)の方法によって生成され、かつ第一の合成参照パターンにおける各データポイントが、臨床的に許容される方式で薬剤の有効用量に対して反応していた多数のヒト被験体由来の試料の合成物を表すことを除いて、工程c)のパターンを生成するのに用いられたものと同じ生体分子を検出する、工程、
    e)パターンを生成するのに用いられる試料が、臨床的に許容されない方式で、薬剤に対して反応していた被験体から得られることを除いて、工程d)の方法によって生成される、第二の合成参照パターンを提供する工程、および
    f)工程c)の試験パターンと工程d)およびe)の参照パターンを比較して、該被験体の生物学的状態を予測する工程。
  56. 生物学的状態が、疾患状態を持つ試験ヒト被験体が薬剤投与から利益または有害な副作用を経験する可能性があり、薬剤の有効用量に対する試験被験体の反応を予測するのに役立つ、請求項55記載の方法。
  57. 同じ臓器または組織において毒性を引き起こす2つの薬剤に関して、生化学的毒性経路を区別する方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)ヒト被験体の群に各薬剤を投与する工程、
    b)各該被験体から、薬剤が毒性である組織または臓器に関連する試料を得る工程、
    c)2群各々の試料から、各々、群由来の試料からのデータの合成物を表す合成データポイントの多次元アレイを含む合成参照パターンを生成し、各試料由来のデータが、多数の生体分子の相対的濃度を表し、各群に関するアレイの合成データポイントが、コンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得る該パターンを生じるように、アルゴリズムによってクラスタリングされる、工程、および
    d)各群に関する合成パターンを比較して、異なる毒性経路を解明する工程。
  58. 物質の毒性を評価するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)物質が投与されている第一の哺乳動物由来の試料において検出される生物学的測定値を表す多数のデータポイントを含む試験分子システムパターンを提供し、データポイントがコンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得る該パターンを生じるようにクラスタリングされる、工程、
    b)1つまたは複数の第二の参照分子システムパターンを提供し、方法によって生成され、かつ参照パターンを生成するのに用いられる試料が、物質に曝露されていないまたは物質を投与されておらず、かつ種の哺乳動物に毒性であることが公知である異なる物質で処置されている、第一の哺乳動物と同じ種の異なる個体または多数の個体から得られることを除いて、第一のパターンを生成するのに用いられたものと同じ生物学的測定値を検出する、工程、および
    c)第一および第二の分子システムパターンを比較し、第一のパターンと該第二のパターンが実質的に類似であることが、毒性の可能性の指標となる、工程。
  59. 疾患状態を治療するための薬剤候補の有効性を評価するための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a)薬剤候補が投与されている、疾患状態を有する第一の哺乳動物由来の試料において検出される生物学的測定値を表す多数のデータポイントを含む第一の分子システムパターンを提供し、データポイントがコンピュータによってまたはヒト視覚によって認識され得るパターンを生じるようにクラスタリングされる、工程、
    b)1つまたは複数の第二の参照分子システムパターンを提供し、参照パターンが方法によって生成され、かつ参照パターンを生成するのに用いられる試料が、薬剤候補が投与されておらず、かつ疾患状態を持たないか、または疾患状態に関して有効に治療されている、第一の哺乳動物と同じ種の異なる個体から得られることを除いて、第一のパターンを生成するのに用いられたものと同じかまたは相同な生物学的測定値を検出する、工程、および
    c)第一および第二の分子システムパターンを比較し、第一のパターンと該第二のパターンが実質的に類似であることが、有効性の可能性の指標となる、工程。
  60. 障害の治療に関してまだ政府に認可されていない、ヒト医学的障害用の新規薬剤を試験するための動物モデルを最適化する方法であって、以下の工程を含む方法:
    i)該医学的障害を有し、かつ該障害を治療する際に有効性を有する公知の薬剤での治療に成功したことがあるかまたは治療に成功している多数のヒトに関する分子病理マップを提供する工程、
    ii)該公知の薬剤を、非ヒト動物の多数の種または系統の各々の多数の動物に投与する工程、
    iii)非ヒト動物の各種または系統に関して、分子病理マップを生成する工程、
    iv)非ヒトマップとヒトマップを比較する工程、および
    v)マップがヒトマップに最も類似である種または系統を、最適化動物モデルとして選択する工程。
  61. 障害の治療に関してまだ政府に認可されていない、ヒト医学的障害用の新規薬剤を試験するための動物モデルを最適化する方法であって、以下の工程を含む方法:
    i)該医学的障害を有し、かつ該障害を治療する際に有効性を有する公知の薬剤での治療に成功したことがあるかまたは治療に成功している少なくとも1人のヒトに関する分子システム画像または分子システムパターンを提供する工程、
    ii)該公知の薬剤を、非ヒト動物の多数の種または系統の各々の少なくとも1つの動物に投与する工程、
    iii)非ヒト動物の各種または系統に関して、分子システム画像または分子システムパターンを生成する工程、
    iv)非ヒトマップまたはパターンとヒト画像またはパターンを比較する工程、および
    v)マップまたはパターンがヒトマップに最も類似である種または系統を、最適化動物モデルとして選択する工程。
  62. ヒト医学的障害を治療する際の有効性に関する、新規薬剤の前臨床試験法であって、以下の工程を含む方法:
    i)請求項60または請求項61において選択される種または系統の少なくとも1つの動物に薬剤を投与する工程、
    ii)選択される種または系統の該治療動物に関して、分子病理マップ、分子システム画像、または分子システムパターンを生成する工程、および
    iii)動物マップ、画像、またはパターンを、医学的障害を持たないか、または障害を有し、かつ障害に関して治療に成功したことがあるかもしくは治療に成功している、1人または複数のヒト患者から生成されたマップ、画像、またはパターンと比較し、動物およびヒトのマップ、画像またはパターンが類似であることが、薬剤有効性の可能性の指標となる、工程。
  63. ヒト医学的障害を治療するための新規薬剤の設計に有用な構造/機能情報を解明する方法であって、以下の工程を含む方法:
    i)該障害の治療に向けられる少なくとも2つの異なる薬剤で治療されている、医学的障害を有する少なくとも2人の患者から生成された分子病理マップ、分子システム画像、または分子システムパターンを提供し、該画像、マップ、またはパターンが、薬剤での治療およびマップ、画像またはパターンとの間の相関を推定し得るように、各薬剤治療後に生成されている、工程、
    ii)医学的障害を持たないヒトから生成された分子病理マップ、分子システム画像、または分子システムパターンを提供する工程、
    iii)障害を有する該患者における少なくとも2つの異なる薬剤の有効性および毒性を医学的に決定する工程、
    iv)マップ、画像、および/またはパターンと、該患者における有効性および毒性を相関させる工程、および
    v)有効性および毒性と、かつマップ、画像、またはパターンと、該薬剤の構造的な化学的相違を相関させて、構造/機能情報を解明する工程。
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