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JP2008285716A - 亜鉛金属表面の耐食性被膜形成方法 - Google Patents

亜鉛金属表面の耐食性被膜形成方法 Download PDF

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JP2008285716A
JP2008285716A JP2007130950A JP2007130950A JP2008285716A JP 2008285716 A JP2008285716 A JP 2008285716A JP 2007130950 A JP2007130950 A JP 2007130950A JP 2007130950 A JP2007130950 A JP 2007130950A JP 2008285716 A JP2008285716 A JP 2008285716A
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Toshiaki Kamiusuku
俊朗 上宇宿
Yuichi Kawato
祐一 川戸
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Neos Co Ltd
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Neos Co Ltd
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Abstract

【課題】安全性、操作性に優れ、白錆に対する防錆性能に優れた被覆をもたらすことができる亜鉛金属表面の処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、(1)亜鉛表面を酸化処理し、
(2)当該酸化処理した亜鉛表面に、pHが9〜14の珪酸化合物を含有するコーティング処理液を接触させるか、又は(1)及び(2)の工程を同時に行うことを特徴とする、亜鉛表面に耐食性被膜を形成させる方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、亜鉛表面に耐食性被膜を形成させる方法に関する。
鉄鋼製品・部品の防錆・防食方法として亜鉛系メッキが安価で信頼性のある効果的な方法として採用されてきた。さらにその亜鉛メッキの防錆・防食能力を向上させるために、従来から六価クロム(Cr(VI))の化合物による不動態化処理、いわゆるクロメート処理がメッキ表面に施され、耐食性に優れた保護被膜の形成の方法として採用されている。
クロメート処理は電気亜鉛メッキに引き続き、Cr(VI)化合物を含む所定の溶液に浸漬処理後乾燥という簡便で経済的な処理工程で優れた耐食性を付与することができる。しかしながらこのCr(VI)は細胞膜をとおりやすく大きな毒性があることが知られ、近年は表面処理に使用することが規制され始めた。
このためまずCr(VI)を含まないCr(III)化合物を主成分とする表面処理液が提案されている。たとえば特許文献1にはCr(III)イオン、珪酸塩、フッ化物及び酸を含有することを特徴とする化成処理液が記載されている。しかし、当該化成処理液は、液安定性が悪い、処理方法が煩雑など多くの欠点を有している。さらにCr(III)は、酸化されCr(VI)を生成するという問題もあるため、全くのクロムフリー組成の化成処理液が望ましい。
このためクロムを全く用いないいくつかの表面処理技術が以下の文献において提案されている。
しかしながらこれらの処理方法も必ずしも満足行くものではなかった。特許文献2にはモリブデン酸、又はモリブデン酸塩の1種以上をモリブデン換算で10〜200g/l、アルミニウムの燐酸塩を0.01g/l以上含み、かつ有機酸又は無機酸を添加してpH1〜6に調製した酸性溶液で亜鉛被覆鋼材を処理する、亜鉛被覆鋼材の防錆処理方法が記載されている。しかし、当該方法は、耐食性が不足しているという問題がある。
特許文献3には、金属基体を(A)酸化性物質、(B)珪酸塩及び/又は二酸化珪素、ならびに(C)チタンイオンを含有し、pHが0.5〜6.0の範囲にある処理液に浸漬する方法が記載されている。しかし、この方法において用いる処理液は、酸化性物質の消耗とともにチタンが沈殿してしまうという問題がある。また、当該処理液中の珪酸化合物が沈殿ゲル化を生じるため浴の安定性が悪く実際の使用には適さない。
特許文献4には、被処理物を硝酸液に浸漬してその亜鉛めっき表面の酸化被膜を除去し、水洗した後に、被処理物を2価のマンガン塩(硫酸マンガン等)、アルミニウム塩及び亜鉛塩の少なくとも1種以上の金属塩と、珪酸アルカリ塩とを含有し、pH0.5〜3に調整されてなる亜鉛系めっき品用化成処理液に浸漬する方法が記載されている。しかし、当該方法にて用いる化成処理液は、珪酸アルカリ塩と金属多価カチオンとが共存しているために金属珪酸塩として沈殿してしまうため、浴の安定性が悪いという問題がある。
特許文献5には亜鉛表面を有する金属部材の表面に燐酸亜鉛で化成処理を施して化成処理膜を形成した後、当該化成処理膜の表面に、アルコール溶媒又は水とアルコールとの混合溶媒中にシリカ成分又はシリカに変化する成分を含む非クロム表面処理剤溶液を塗布する方法が記載されている。アルコールは、揮発しやすく、溶液の成分濃度が変化しやすく、引火性であるために防爆設備が必要になる。毒性は大きくないとはいえ作業者は常にアルコールにさらされることになり、作業環境としては劣悪にならざるを得ない。いずれにせよ、良好に作業するには設備投資が必要になり現在のメッキ業者の工程に適用することは困難である。さらにアルコール自体のコストが大きいためにクロメート処理を代替することは事実上困難である。
特開昭61−587号公報 特開昭57−5875号公報 特開平9−53192号公報 特開2002−47578号公報 特開2006−225761号公報
本発明が解決しようとする課題は、安全性、操作性に優れ、白錆に対する防錆性能に優れた被覆をもたらすことができる亜鉛金属表面の処理方法を提供することである。
本発明者は、上記課題の解決のために鋭意研究を重ねた結果、亜鉛金属又は電気亜鉛メッキ処理した亜鉛金属表面を酸化処理した後、又は酸化処理と同時に、珪酸化合物を主成分とするpH9〜14の処理液で処理することにより、工業的に有利に、極めて優れた防錆性を有する非クロム防錆処理ができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
従って、本発明は、以下の項に示す亜鉛表面に耐食性被膜を形成させる方法を提供する。
項1.(1)亜鉛表面を酸化処理し、
(2)当該酸化処理した亜鉛表面に、pHが9〜14の珪酸化合物を含有するコーティング処理液を接触させるか、又は
(1)及び(2)の工程を同時に行うことを特徴とする、亜鉛表面に耐食性被膜を形成させる方法。
項2.前記酸化処理が、電導性の溶液の中で亜鉛表面を電気的に酸化することにより行われる、項1に記載の方法。
項3.前記珪酸化合物を含有するコーティング処理液が、
(i)水ガラス、
(ii)アルコキシシラン化合物を加水分解し、縮合させたゾル又は
(iii)コロイダルシリカ
であることを特徴とする項1又は2に記載の方法。
項4.前記水ガラスが珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸ルビジウム及び珪酸セシウムからなる群より選択される少なくとも1種の珪酸アルカリ塩の水溶液であることを特徴とする、項3に記載の方法。
項5.(1)酸化剤を含む水溶液への亜鉛表面の浸漬、又は亜鉛表面への酸化剤を含む水溶液の噴霧により亜鉛表面を酸化処理し、
(2)当該酸化処理した亜鉛表面に、pHが9〜14の珪酸化合物を含有するコーティング処理液を接触させる、項1に記載の方法。
項6.前記酸化剤が過酸化水素又は過マンガン酸塩であることを特徴とする項5に記載の方法。
項7.前記水溶液における酸化剤の濃度が0.001〜35重量%であることを特徴とする、項5又は6に記載の方法。
項8.前記コーティング処理液が、珪酸化合物を、二酸化珪素として0.5〜30重量%含有することを特徴とする項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
本発明の方法により、亜鉛金属表面上にシリカ質被膜を形成する非クロム表面処理剤を塗布したとき実用レベルの防錆性を付与し難い亜鉛表面を有する金属部材、たとえば表面処理剤との相性が悪い電気亜鉛メッキされた金属部材であっても、その白錆に対する防錆性能を向上させる表面処理を施すことができる。
また、前記処理液を用いると、比較的低温条件下でコーティング層を乾燥することができる。
また、本発明によれば、環境、生態系に悪影響を及ぼすクロム化合物を含まない化成処理液が提供可能となる。これによりクロム系廃棄物を削減でき、鉄鋼製品の防錆防食処理に携わる作業者にとって安全な労働環境を可能とするとともに、消費者にとっても健康上安全な商品を提供できることから今後の環境保全対策に資すことができる。
また、本発明の方法において用いるコーティング処理液は、アルコール類を本質的に含まず、またはアルコールを含んでも少量であるために、引火を防ぐ防爆設備などの投資が不要であり、安全にコーティング処理をすることができる。
さらに、本発明の方法において用いるコーティング処理液は、ゲル化せず、長期間にわたって安定であるので、処理液の管理が極めて容易である。また排水処理が容易であるために、その取扱いにも優れている。従って、従来のクロメート処理の設備を流用できる上に、環境にも問題が無い有用な処理方法である。
以下に、本発明の詳細を実施形態に基づいて更に詳しく説明する。
本発明において亜鉛表面とは、本発明方法が対象とする、製品、部材等の表面の少なくとも一部が亜鉛により構成されていればよく、電気亜鉛メッキされた鋼材表面だけでなく、亜鉛金属単体の場合も含む。
また亜鉛金属、亜鉛を主成分とする合金のダイカスト部材にも本発明の非クロム防錆処理方法を適用することにより白錆の発生を長時間抑止できる。
本発明の方法は、亜鉛金属表面を酸化処理した後、又は酸化処理と同時に、珪酸化合物を主成分とするpH9〜14の処理液で処理することにより行われる。
1.酸化処理
本発明の方法において、酸化処理は、表面の亜鉛金属が酸化できる条件であればいずれでもよいが、好ましくは、電導性溶液中で電気的酸化する方法、又は酸化剤を含む水溶液を用いて亜鉛金属表面を処理する方法である。
本発明の1つの実施形態において、まず亜鉛表面を電導性溶液中で電気的に酸化する。
前記電気的に酸化に使用する溶液は、電解できる溶液であればいずれの溶液でもよい。好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸ルビジウム、珪酸セシウム、塩化チタン、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウムなどが挙げられる。
電気的に酸化処理する際の電圧は、両極端子間の電圧が0.1V〜10V(好ましくは1V〜5V)の範囲内であればいずれでもよい。
電圧を印加する時間は、通常、0.1秒〜60分、好ましくは1秒〜10分である。
酸化処理の間、電圧は一定に維持させていても、上記範囲内で適宜変化させてもよい。
電気的に酸化処理する際の温度は、0℃から100℃の範囲内であればいずれでもよい。
本発明の別の実施形態において、酸化剤を含む水溶液を用いて亜鉛表面を処理することにより酸化処理を行うこともできる。
酸化剤を含む水溶液を用いて亜鉛金属表面を処理する方法としては、例えば、酸化剤を含む水溶液への対象製品の浸漬、亜鉛金属表面への酸化剤を含む水溶液の噴霧等を挙げることができる。
前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過マンガン酸塩等を挙げることができる。
過酸化水素水は、好ましくは、過酸化水素を0.1〜35重量%含有する水溶液である。特に好ましいのは1〜10重量%である。0.1重量%より少ないと酸化する効果が小さく、酸化するための時間がかかりすぎる。35重量%を超えると過酸化水素水の溶液が安定ではなくなる。酸化処理する温度は0℃から100℃の範囲内であればいずれでもよい。低温であれば処理時間が長くなり、高温で処理する場合短時間で処理できる。処理時間は好ましくは1秒から30分であり、特に好ましくは10秒から15分である。酸化処理後は水などで洗浄しても良く、乾燥機や熱風などで乾燥処理してもよい。
前記過マンガン酸塩水溶液は、好ましくは過マンガン酸リチウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムである。当該水溶液は、過マンガン酸塩を、好ましくは0.001〜20重量%、特に好ましくは0.01〜5重量%含有する。0.001重量%より少ないと酸化する効果が小さく、酸化するための時間が長くかかりすぎる。20重量%を超えると過マンガン酸塩の溶解度が足りなくなる。酸化処理する温度は0℃から100℃の範囲内であればいずれでもよい。低温であれば処理時間が長くなり、高温で処理する場合短時間で処理できる。処理時間は好ましくは1秒から30分であり、特に好ましくは10秒から15分である。酸化処理後は水などで洗浄しても良く、乾燥機や熱風などで乾燥処理してもよい。
これらの工程により酸化処理した亜鉛表面に、後述のコーティング処理をすることにより、耐食性被膜を形成することができる。
2.コーティング処理
(コーティング処理液の調製)
本発明方法において用いるコーティング処理液は、珪酸化合物を含む、pH9〜14、好ましくはpH10〜12.5の溶液である。
本発明の好ましい実施形態において、前記珪酸化合物としては、例えば、珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸ルビジウム、珪酸セシウムから成る群から選択される少なくとも一種の珪酸アルカリ塩、アルコキシシラン化合物、二酸化珪素等を挙げることができる。
本発明において、コーティング処理液中の珪酸化合物の濃度は、SiOとして、通常0.5〜30重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。
珪酸化合物を含むコーティング処理液としては、水ガラス;アルコキシシラン化合物を加水分解し、縮合させたゾル;又はコロイダルシリカ等を挙げることができる。
前記コーティング処理液として水ガラスを用いる場合、水ガラスとしては、例えば、前述の珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸ルビジウム、珪酸セシウムから成る群から選択される少なくとも一種の珪酸アルカリ塩の水溶液を挙げることができる。
前記コーティング処理液としてアルコキシシラン化合物を加水分解し、縮合させたゾルを用いる場合、アルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合で使用してもよい。これらの中で特に好ましいのはテトラエトキシシランである。
アルコキシシラン化合物を加水分解する方法としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等を含有する塩基性触媒を用いる加水分解を挙げることができる。
前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの塩基性触媒は1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合で用いてもよい。好ましい塩基性触媒は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムである。
これらの塩基性触媒とアルコキシシラン化合物との使用割合は、前者1モルに対して、後者が、0.5〜5モル、好ましくは1〜3モルである。
本発明において、前記塩基性触媒としては、上記の塩基性触媒に加えて、さらに他の塩基性触媒を併用してもよい。
本発明における他の塩基性触媒とは、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、ピロリジン、ピペラジン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水中で塩基性を示す物質を広く意味する。
他の塩基性触媒とアルコキシシラン化合物との使用割合は、前者1モルに対して、後者が、0.1〜2モル、好ましくは0.2〜1モルである。
本発明の好ましい実施形態において、コーティング処理液であるゾルは、60℃条件で水に上記塩基性触媒及びアルコキシシランを添加し、撹拌下で溶解して、アルコキシシランを加水分解し、pHを9〜14に調整することによって調製することができる。
本発明に用いるコーティング処理液は、任意成分として、金属腐食抑制剤、濡れ性向上剤、キレート剤、染料、顔料、増粘剤、分散剤等を含んでいてもよい。
(コーティング処理液の接触方法)
上記酸化処理をした亜鉛表面にコーティング処理液を接触させる方法としては、浸漬法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、刷毛塗り法、スプレー法等の塗布方法を用いてもよい。
浸漬法は、被処理品の亜鉛表面部分を処理液槽に一定時間浸漬した後、引き上げることにより行われる。当該浸漬処理において、被処理品全体を処理液に浸漬しても、被処理品の一部は処理液に触れない状態で亜鉛表面を浸漬してもよい。
当該工程により亜鉛表面に湿潤ゲル膜が形成される。この場合、得られる湿潤ゲル膜の厚みは、処理液の粘度、表面張力及び密度の増加とともに厚くなる。
浸漬法、刷毛塗り法又はスプレー法に用いる本発明のコーティング処理液の密度は、通常1.001〜1.7g/cm(15℃)であり、好ましくは1.05〜1.15g/cm(15℃)である。従って、上記密度のコーティング処理液において、処理液の粘度と引上げ速度を適宜制御することによって、所望の厚さの湿潤ゲル膜を得ることができる。
一回の浸漬又は塗布(刷毛塗り、スプレー法等)で所望の被膜厚さを得られるようにすることが、処理効率の点において重要であるが、一回の浸漬又は塗布によって所望の被膜厚みが得られない場合は、最小限の回数の浸漬又は塗布を繰り返すことによって、所望の厚みの層を得ることもできる。
(乾燥処理)
上記工程にて亜鉛表面に形成された湿潤ゲル膜を室温で乾燥すると、耐食性に優れたセラミックスコーティング層が形成される。尚、加熱処理を行うと、乾燥ゲル膜中に残存している水分の除去の他に、残留有機物の除去が行われるので必要により加熱処理を行う。
(セラミックスコーティング層(耐食性被膜)の膜厚制御)
被処理物の表面に形成されたセラミックスコーティング層(耐食性被膜)の膜厚を制御するには、被処理物をコーティング処理液槽に浸漬し、引上げ、乾燥処理までのコーティング工程を所望回数繰り返せば良く、コーティング回数に比例して膜厚は増加する。
1回のコーティング工程で膜厚を厚くするには、前述の如く処理液の粘度と引上げ速度
を増加させれば良いが、臨界膜厚を超えると、被膜中からの溶媒の揮発に伴って発生する表面に平行に働く引張り応力により被膜に亀裂が発生するので、1回でコーティングする
膜厚を最適に設定する必要がある。それには、処理液の粘度と引上げ速度をパラメータとして、最適な条件を探せば良い。同様に、処理液をスプレー法によって塗布する場合も、その塗布回数によって膜厚を制御できる。しかし、工業的には、浸漬法でもスプレー法でも浸漬あるいは塗布回数が少ない方が望ましい。本発明の方法によって得られるセラミックスコーティング層の厚みは、通常10〜2000nmであり、好ましくは50〜1000nmである。
水の硬度成分であるマグネシウム及びカルシウム、又は亜鉛メッキ表面から析出する可能性のある亜鉛などが珪酸化合物を含むコーティング処理液中に混入すると、珪酸マグネシウム塩、珪酸カルシウム塩、珪酸亜鉛塩として沈殿する可能性がある。これらの析出物はろ過などによって取り除くことができるが、ろ過できない場合などは、コーティング処理液にキレート効果をもつ金属抑制剤を添加することができる。キレート剤は白錆防止効果や、金属表面の美観を損なわない範囲で特に制限なく使用でき、たとえばエチレンジアミンテトラ酢酸及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩、クエン酸、シュウ酸などである。
亜鉛メッキ表面の濡れ性を改善するために、白錆防止効果や金属表面の美観を損なわない範囲で特に制限なく界面活性剤などの濡れ性向上剤をコーティング処理液に添加することができる。このような添加剤としては、例えば、アルキルエーテルエチレンオキサイド、エチレンオキサイドアルキルアミン、長鎖脂肪酸又はその塩、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル又はその塩、長鎖アルキルアンモニウム塩、長鎖アルキルピリジニウム塩等を挙げることができる。
上記の記載において、亜鉛表面を酸化処理した後、pH9〜14の珪酸化合物を含有するコーティング液により処理することにより耐食性被膜を形成する実施形態を用いて本発明の方法を説明したが、本発明の方法には、酸化処理とコーティング処理とを同時に行う実施形態も含まれる。
例えば、亜鉛表面を上記コーティング液に浸漬した状態で両極間に電圧を印加することにより、安定した被膜を形成することができる。
当該実施形態において、コーティング液の組成は、上記コーティング処理と同様の条件を適用することができる。また、電極間の電圧、処理時間、温度等は、上記電気的酸化工程と同様の条件を使用することができる。
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.被膜の形成及び塩水噴霧試験による耐食性評価
酸化剤を含有する水溶液の調製
以下の表1に示す2種類の組成の酸化剤を含有する水溶液を調製した。
Figure 2008285716
コーティング処理液の調製
一般式MO・nSiOで表される組成物を含む本発明のコーティング処理液を調製した。
ここで、各実施例及び比較例で用いた組成物の濃度(SiO換算)、アルカリ金属Mの種類、及びnの値は、下記表2の通りである。
ここで、表2中、実施例1〜6、比較例1〜2で使用したコーティング処理液は、水ガラスを水に溶解して調製した。
実施例7〜8及び比較例3〜4については、水に塩基性触媒としてアルカリ金属Mの水酸化物(MOH;Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウム)とテトラエトキシシランを(テトラエトキシシランのモル数×2)/アルカリ金属Mの水酸化物のモル数が表2のnになるように加え、60℃に加温し、30分間攪拌することにより調製した。テトラエトキシシランが水層から上部に分離した状態から、均一、透明な状態になったことを確認して、処理液とした。
尚、実施例1〜10、比較例1〜4で使用したコーティング処理液の密度は、いずれも1.02〜1.06g/cm(15℃)の範囲内であった。
耐食性被膜の形成
試験片として、8×50×2mmの電気亜鉛メッキ(メッキ後の表面処理はしていない)を10μm施した鋼板を用いた。
当該試験片を用い、実施例1〜8及び比較例5及び6については、下記表2の条件にて酸化処理を行った。
次いで、各試験片を、浸漬法により表2に記載のコーティング処理液に接触させた後、10分自然乾燥して、セラミックスコーティング層を形成させた。
実施例1〜10及び比較例1〜4のいずれのコーティング処理液においても、珪酸化合物のゲル化は生じず、当該コーティング処理は容易に行うことができた。尚、これらのコーティング処理液は、少なくとも半年間、ゲル化が生じず安定であった。
防錆性試験
得られた各試験片の防錆性(耐候性)を、塩水噴霧試験(JIS Z 2371の試験方法に準ずる)の24時間後の白錆の発生状況によって評価した。
塩水噴霧試験の24時間後の白錆発生評価基準
◎:白錆なし
○:白錆が5%以下
△:白錆が50%以下
×:白錆が50%以上
試験結果は、表2に示す通りである。
Figure 2008285716
電気的処理による耐食性被膜の形成
試験片として、8×50×2mmの電気亜鉛メッキ(メッキ後の表面処理はしていない)を10μm施した鋼板を用いた。
電気的処理液は実施例1のコーティング処理液と実質的に同じであり、水ガラスより調整した。表3に示す条件で、試験片2枚をアノード、カソードとし電気的酸化処理液に浸漬し両極間に電圧をそれぞれ10秒間印加することで処理を施した。アノード側の試験片を水洗し、10分自然乾燥して防錆性試験を行った。
Figure 2008285716
2.被膜の形成及び耐食性の電気化学的評価
耐食性被膜の形成
実施例11
試験片(以下、電極と示す場合もある)として、エポキシ樹脂で側面を固めた純亜鉛のロッド(ニラコ製 99.9%、Φ=3.00mm)を用いた。試験片の断面を#1500のエメリ紙で湿式研磨した後、粒径0.015μmのアルミナ粉末を用いてバフ研磨を行い、鏡面に磨き上げた。研磨後の試験片をメタノール及び蒸留水で各々2回洗浄し、ただちに下記表面処理を行った。
30%過酸化水素水(和光製特級)に蒸留水を加えて2mol/Lになるように調製した。研磨した電極をこの液に10分間浸漬することで前処理を行った後、蒸留水ですすいだ。
処理液として60℃に加温した珪酸ナトリウム水溶液(SiO=20000ppm、pH=11.3)を入れた恒温槽に、上記の前処理をした電極を10秒間浸漬した。10秒後、電極を50cm/secの速度で引き上げ、10分間風乾させた。
実施例12
2mol/L過酸化水素水の代わりに1/40Nの過マンガン酸カリウム(関東化学製COD測定用)水溶液を用いて前処理を行い、実施例9と同様の操作を行い、電極に耐食性被膜を形成させた。
実施例13
試験片として、エポキシ樹脂で側面を固めた純亜鉛のロッド(ニラコ製 99.9%、Φ=3.00mm)を用いた。試験片の断面を#1500のエメリ紙で湿式研磨した後、粒径0.015μmのアルミナ粉末を用いてバフ研磨を行い、鏡面に磨き上げた。研磨後の試験片をメタノール及び蒸留水で各々2回洗浄し、ただちに下記表面処理を行った。
0.5mol/Lになるよう炭酸ナトリウム(関東化学特級)を秤りとり、蒸留水を加えて電解液を作成した。研磨した電極を電解液に浸漬し、ポテンショスタットを用いて自然電位から+1.0V(vs.SSE.以下同じ。)まで毎秒1mVの速度で電位を引加、走査することで電極に前処理を施した。
前処理を施した電極を蒸留水ですすぎ、直ちに60℃に加温した珪酸ナトリウム水溶液(SiO=20000ppm)に、上記の前処理をした電極を10秒間浸漬した。10秒後、電極を50cm/secの速度で引き上げ、10分間風乾させた。
比較例8
実施例11と同様に電極を研磨し、前処理、表面処理を施さず、比較例8として腐食抵抗測定に用いた。
比較例9
実施例12と同様に電極を研磨した。研磨した電極に前処理をせず、直ちに60℃に加温した珪酸ナトリウム水溶液(SiO=20000ppm)に当該電極を10秒間浸漬した。10秒後、電極を50cm/secの速度で引き上げ、10分間風乾させた。
腐食抵抗の測定
腐食抵抗は、関数発生器内蔵型ポテンショスタットを用いて電気化学インピーダンスを測定することにより求めた。5.0%NaCl水溶液に、空気を30分以上バブリングし、空気飽和させた。この5.0%NaCl水溶液に各実施例、比較例の電極を浸漬してから1時間後、自然浸漬電位において5mVの交流電圧を広い周波数範囲で印加し、電気化学インピーダンス測定を行った。周波数が1mHz、10kHzでのインピーダンスの差の値を腐食抵抗として用いた。
Figure 2008285716
表4の結果から明らかなように、表面処理を施す前に前処理を行うことで、表面処理のみの場合、前処理のみの場合に比べて腐食抵抗値が上昇している。

Claims (8)

  1. (1)亜鉛表面を酸化処理し、
    (2)当該酸化処理した亜鉛表面に、pHが9〜14の珪酸化合物を含有するコーティング処理液を接触させるか、又は
    (1)及び(2)の工程を同時に行うことを特徴とする、亜鉛表面に耐食性被膜を形成させる方法。
  2. 前記酸化処理が、電導性の溶液の中で亜鉛表面を電気的に酸化することにより行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記珪酸化合物を含有するコーティング処理液が、
    (i)水ガラス、
    (ii)アルコキシシラン化合物を加水分解し、縮合させたゾル又は
    (iii)コロイダルシリカ
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記水ガラスが珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸ルビジウム及び珪酸セシウムからなる群より選択される少なくとも1種の珪酸アルカリ塩の水溶液であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. (1)酸化剤を含む水溶液への亜鉛表面の浸漬、又は亜鉛表面への酸化剤を含む水溶液の噴霧により亜鉛表面を酸化処理し、
    (2)当該酸化処理した亜鉛表面に、pHが9〜14の珪酸化合物を含有するコーティング処理液を接触させる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記酸化剤が過酸化水素又は過マンガン酸塩であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記水溶液における酸化剤の濃度が0.001〜35重量%であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記コーティング処理液が、珪酸化合物を、二酸化珪素として0.5〜30重量%含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
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