しかしながら、このような引用文献1に記載の装置では、プッシュロッドに長穴を設けて軸方向の相対移動可能に連結する必要があるため、通常のプッシュロッドをそのまま使用することができない。また、そのプッシュロッドは操作ペダルの踏込み操作に伴って連結ピンに対して相対回動するため、そのプッシュロッドを付勢するスプリングや変位量を検出するセンサも連結ピンに対して回動可能に配設する必要があり、構造が複雑になるとともに、これ等のプッシュロッドやスプリング、センサは操作ペダルの側方に配設されるため、特にブレーキペダル等では安定した作動状態を確保するために強固な構造とする必要があり、全体として装置が大掛かりで高価になる。
これに対し、未だ公知ではないが、図21に示すように、クレビスピンの連結位置に荷重センサをコンパクトに配設する技術が考えられている。図21は車両用の常用ブレーキ用の操作ペダル装置200を示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) におけるXXIA−XXIA断面の拡大図であり、車両に一体的に固設されるペダルサポート12には、略水平な支持軸14の軸心まわりに回動可能に板状の操作ペダル16が配設されている。操作ペダル16は、制動要求に応じて運転者により踏込み操作されるもので、下端部には踏部(パッド)18が設けられているとともに、中間部分には回動連結部20を介してブレーキブースタのオペレーティングロッド22が連結されている。回動連結部20は、オペレーティングロッド22の端部にねじ結合等により一体的に固設されたU字形状のクレビス24と、操作ペダル16に前記支持軸14と平行に配設されたクレビスピン26とを備えており、そのクレビスピン26の軸心まわりに相対回動可能にオペレーティングロッド22と操作ペダル16とを連結している。クレビスピン26は連結ピンに相当するもので、両端部がそれぞれ操作ペダル16の側方へ突き出しており、U字形状のクレビス24にスナップリングや抜止めピン等により抜出し不能に保持されている。オペレーティングロッド22には、操作ペダル16の操作力に応じた出力が回動連結部20を介して伝達されるとともに、その出力に相当する反力がブレーキブースタによって作用させられる。このオペレーティングロッド22は反力部材に相当し、電気的にホイールブレーキを制御するバイワイヤ方式の操作ペダル装置の場合には、反力機構等によって所定の反力が作用させられる反力部材がオペレーティングロッド22の代りに連結される。
上記操作ペダル16には、クレビスピン26との連結位置にそのクレビスピン26よりも大径のセンサ取付穴202が設けられており、そのセンサ取付穴202とクレビスピン26との間の環状空間に荷重センサ204が配設されている。荷重センサ204は、円筒形状の起歪体206を備えていて、その起歪体206の径方向に加えられる荷重を検出するもので、起歪体206の外周側に配設された環状のケース部材208と、起歪体206の内周側に配設された軸状部材210とを備えている。ケース部材208は、起歪体206の一端部(図21(b) における上端部)が圧入や溶接等により一体的に固設される内周側の円筒形状の連結部208aと、その連結部208aを取り囲むように連結部208aの外周側に設けられた円筒形状の外周壁208bと、それ等の連結部208aと外周壁208bとを一端部において一体的に連結する板状の連結フランジ208cと、連結フランジ208cに連続して外周壁208bよりも外周側へ突き出すように設けられた位置決めフランジ208dとを備えており、全体として2重円筒構造を成している。そして、その外周壁208bが上記センサ取付穴202内に嵌め入れられ、且つ位置決めフランジ208dが操作ペダル16の一方の側面に当接させられた状態で、図示しない板ばね等により離脱不能に保持される。また、軸状部材210は、起歪体206の軸方向の他端部(図21(b) における下端部)を圧入や溶接等により一体的に保持しているとともに、軸心部分に設けられた挿通孔210h内を前記クレビスピン26が挿通させられるようになっている。クレビスピン26と挿通孔210hおよび前記クレビス24との間は何れも相対回転可能で、操作ペダル16の踏込み操作に伴って摩擦が小さい方で相対回転させられるが、摩擦を低減するために必要に応じてベアリングや軸受等を介在させることもできる。
このようにケース部材208および軸状部材210は、起歪体206を介して互いに連結されており、外部から径方向すなわち軸心と直角方向に加えられる荷重が略0の時には、各部材206、208、210がクレビスピン26の軸心と略同心になる状態に保持される。一方、操作ペダル16の踏込み操作に伴ってオペレーティングロッド22の反力でケース部材208と軸状部材210との間に径方向の荷重が加えられると、起歪体206がせん断変形させられ、操作ペダル16側のケース部材208が軸状部材210に対して相対的にオペレーティングロッド22に接近する方向(図21の左方向)へ変位させられる。ケース部材208と軸状部材210との間には、両者の径方向の相対変位や起歪体206のせん断変形を許容するように環状空間が設けられているとともに、起歪体206は、径方向から荷重を受けることにより弾性変形可能なフェライト系ステンレス鋼等の金属材料にて構成されており、操作ペダル16の踏込み操作に伴って、その操作力に応じてせん断変形させられる。そして、その起歪体206のせん断歪を検出するために、起歪体206の外周面或いは内周面には歪抵抗素子等の歪検知素子が取り付けられ、ワイヤハーネス56を介して車両の制御回路部に接続されており、その歪検知素子から出力される電気信号に基づいて踏込み操作力を検出することができる。
このような車両用操作ペダル装置200においては、操作ペダル16に加えられた操作力をオペレーティングロッド22に伝達する回動連結部20において、クレビスピン26を介してオペレーティングロッド22に相対回動可能に連結される操作ペダル16にセンサ取付穴202が設けられ、そのセンサ取付穴202とクレビスピン26との間の環状空間に円筒形状の荷重センサ204が配設されているため、ねじれ等の回転モーメントが抑制されて、操作ペダル装置200全体を簡単で且つコンパクトに構成できる。また、オペレーティングロッド22やクレビス24等の周辺部材は従来のペダル装置と同じものを使用できるため、安価に構成することができる。
しかしながら、このような車両用操作ペダル装置200においては、荷重センサ204のケース部材208が円筒形状を成しており、クレビスピン26から軸状部材210および起歪体206を経てケース部材208に伝達される入力荷重(この場合は反力)Fにより、そのケース部材208は実質的に外周壁208bの1箇所でセンサ取付穴202の内周面に押圧され、そこで入力荷重Fを受け止めることになるため、図22に変形を強調して示すように応力集中によりケース部材208が撓み変形する恐れがある。そして、このようなケース部材208の撓み変形に起因して、起歪体206に曲げやねじれ等の不要な変形が生じたり、或いは起歪体206の変形量が少なくなったりして、操作力の検出精度が損なわれる可能性があった。図22の(a) は無負荷の状態で、(b) は荷重Fが加えられた状態であり、何れも上段は正面図、下段は縦断面図である。
また、操作ペダル16の踏込み操作に伴って、その操作ペダル16が支持軸14まわりに回動させられると、オペレーティングロッド22および操作ペダル16もクレビスピン26の軸心まわりに相対回動させられるため、上記入力荷重Fの方向が変化し、それに伴ってケース部材208とセンサ取付穴202との間の隙間に起因してケース部材208が揺動変位する可能性があり、この点でも操作力の検出精度が損なわれる恐れがある。更に、ケース部材208が撓み変形した状態で入力荷重Fの方向が変化すると、図23に変形を強調して示すように起歪体206の変形態様が複雑で変形量にばらつきが生じ易くなり、検出精度が更に悪化したり不安定になったりする可能性がある。図23の(a) は、ケース部材208の外周壁208bおよび起歪体206が共に撓み変形させられた状態で、(b) は撓み変形したまま入力荷重Fの方向を変化させた場合で、入力荷重Fの作用部位以外の部分も変形しており、入力荷重Fが同じでも(a) に比較して歪検知素子212、214の平均歪量が小さくなる。なお、実際の操作ペダル装置200においては、入力荷重Fは操作ペダル16の踏込みストロークに応じて増大するため、その増大した時の入力荷重Fすなわち操作力を正しく検出することができなくなる恐れがある。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、軸状部材とケース部材とが軸状部材の軸心と直角方向へ相対変位させられることに基づいて操作力を電気的に検出する荷重センサが回動連結部に設けられ、連結ピンを介して伝達される操作力を検出できる操作装置において、その荷重センサの検出精度を向上させることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 車両に固設されるペダルサポートに支持軸心まわりに回動可能に配設され、運転者によって踏込み操作される操作ペダルと、(b) 前記操作ペダルの操作力が伝達されるとともに、その操作力に対応する反力が作用させられる反力部材と、(c) 前記操作ペダルと前記反力部材との間に介在させられ、連結ピンまわりに相対回動可能に一対の部材を連結するとともに、その連結ピンを介して前記操作力を伝達する少なくとも1箇所の回動連結部と、(d) 前記操作力を電気的に検出する荷重センサと、を有する荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、(e) 前記荷重センサは、(e-1) 軸状部材と、(e-2) その軸状部材の軸心と直角方向の相対変位可能に且つその軸状部材を取り囲むようにその軸状部材の外周側に配設された環状のケース部材と、(e-3) それ等の軸状部材とケース部材とに跨がって配設された起歪体と、(e-4) その起歪体に固定された歪検知素子とを備え、(e-5) 前記反力で軸状部材とケース部材とが軸状部材の軸心と直角方向へ相対変位して起歪体が変形させられることにより、その起歪体の変形を歪検知素子によって検出するもので、(f) 前記ケース部材は、前記回動連結部において前記連結ピンを介して連結される一対の部材の何れか一方のセンサ配設部材に配設され、前記軸状部材はその連結ピンを介して他方の部材に連結される一方、(g) 前記ケース部材は複数の取付部を有し、前記センサ配設部材に設けられた複数の荷重受け部にその取付部がそれぞれ係合させられることにより、そのケース部材は一定の姿勢に位置決めされてそのセンサ配設部材に配設されるようになっており、(h) 前記軸状部材から前記起歪体を経て前記ケース部材に伝達される入力荷重Fの方向が、前記操作ペダルの踏込み操作に伴う前記回動連結部の相対回動で相対的に変化しても、その入力荷重Fが常に前記複数の取付部を介して前記複数の荷重受け部によって受け止められることを特徴とする。
第2発明は、第1発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、(a) 前記複数の取付部は、前記軸状部材の軸心と直角な平面において所定の頂角αで凸形状を成すように設けられた一対の平坦な取付面で、前記複数の荷重受け部は、その取付面に対応して前記センサ配設部材に凹形状を成すように設けられた一対の平坦な受け面であり、(b) 前記ケース部材は、前記一対の取付面がそれぞれ前記一対の受け面に面接触させられるよう一定の姿勢に位置決めされるとともに、前記入力荷重Fにより前記一対の取付面が前記一対の受け面に押圧されるよう配置されていることを特徴とする。
第3発明は、第2発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記入力荷重Fの方向が、前記操作ペダルの踏込み操作に伴う前記回動連結部の相対回動で相対的に変化しても、前記一対の取付面がその入力荷重Fに基づいて常に前記一対の受け面にそれぞれ押圧されるように、その受け面の向きおよび前記頂角αが定められていることを特徴とする。
第4発明は、第3発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記受け面の向きおよび前記頂角αは、前記入力荷重Fの方向が前記操作ペダルの踏込み操作に伴う前記回動連結部の相対回動で相対的に変化しても、前記一対の取付面がその受け面から受ける反力により常に前記凸形状の頂点側に向かう方向の分力が発生するように定められていることを特徴とする。
第5発明は、第2発明〜第4発明の何れかの荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記頂角αは、前記操作ペダルの踏込み操作に伴う前記回動連結部の相対回動によって変化する前記入力荷重Fの方向の変化角度をβとした時、(180°−β)よりも小さいことを特徴とする。
第6発明は、第2発明〜第5発明の何れかの荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記一対の取付面は、その一対の取付面によって形成される前記凸形状の頂点と、無負荷の状態における前記軸状部材の軸心とを含む中立面Sに対して対称的に設けられていることを特徴とする。
第7発明は、第6発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、(a) 前記ケース部材は、(a-1) 前記起歪体が一体的に連結される内周側の連結部と、(a-2) その連結部を取り囲むように該連結部の外周側に設けられた筒状の外周壁と、(a-3) その外周壁と前記連結部とを一体的に連結する板状の連結フランジとを備えている一方、(b) 前記外周壁は、(b-1) 外側面が前記一対の取付面を構成する一対の平板状の取付壁部と、(b-2) その一対の取付壁部に連続して前記中立面Sと平行で且つその中立面Sに対して対称的に設けられた一対の並列壁部とを有し、且つ、(b-3) その取付壁部以外は前記センサ配設部材との間に隙間を有することを特徴とする。
第8発明は、第6発明または第7発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、(a) 前記起歪体は円筒形状を成していて、前記軸状部材と同心に設けられており、(b) 前記歪検知素子は、前記中立面Sに対して対称形状となるように前記起歪体の外周面または内周面に所定の角度範囲に亘って複数設けられていることを特徴とする。
第9発明は、第8発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記歪検知素子は、前記中立面Sと、前記起歪体の軸心を通り且つその中立面Sに対して直角な面とで区分される4箇所に、それぞれその中立面Sに対して対称の位置関係となるように計4個設けられていることを特徴とする。
第10発明は、第2発明〜第9発明の何れかの荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、(a) 前記センサ配設部材は、前記反力部材に対して前記連結ピンまわりに相対回動可能に連結される板状の部材で、前記一対の受け面を有するセンサ取付穴が貫通して設けられており、(b) 前記荷重センサは、前記一対の取付面が前記一対の受け面に面接触させられるように前記ケース部材が前記センサ取付穴内に配設されており、(c) 前記連結ピンは、前記軸状部材の軸心を挿通させられて前記センサ取付穴の両側へ突き出すように配設されており、(d) その連結ピンの両端部は、前記反力部材に一体的に固設されたU字形状のクレビスによって保持されていることを特徴とする。
第11発明は、第2発明〜第10発明の何れかの荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記起歪体は円筒形状を成していて、その円筒形状の一端部および他端部がそれぞれ前記ケース部材および前記軸状部材に一体的に固定されており、前記反力に基づいてそれ等のケース部材と軸状部材とが相対変位させられることにより、その起歪体に生じるせん断歪が前記歪検知素子によって検出されることを特徴とする。
第12発明は、第2発明〜第7発明の何れかの荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記起歪体は、前記軸状部材の軸心まわりに互いに離間してその軸心と平行に複数配設され、それぞれ両端部においてその軸状部材および前記ケース部材に一体的に固定された平坦な板状部材で、前記反力に基づいてそれ等のケース部材と軸状部材とが相対変位させられることにより、その板状部材に生じるせん断歪が前記歪検知素子によって検出されることを特徴とする。
第13発明は、第1発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、(a) 前記複数の取付部は、前記軸状部材の軸心に対して直角な方向に延び出すように前記ケース部材に一体に設けられた取付用フランジのうち、前記軸状部材の軸心まわりに所定の開き角度γだけ隔てて定められた2箇所の固設部で、前記荷重受け部は、その固設部が所定の固定手段によって一体的に固定される被固設部であり、(b) 前記開き角度γは、前記操作ペダルの踏込み操作に伴う前記回動連結部の相対回動によって変化する前記入力荷重Fの方向の変化角度βよりも大きく、その入力荷重Fの方向が常に前記2箇所の固設部の間に入るようにその2箇所の固設部が設定されていることを特徴とする。
第14発明は、第13発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置おいて、前記固定手段はねじ部材であることを特徴とする。
第15発明は、第13発明または第14発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記2箇所の固設部は、前記入力荷重Fの方向の変化角度βの範囲内の中間位置において前記軸状部材の軸心を含んで定められた対称面Gを挟んで対称位置に設定されていることを特徴とする。
第16発明は、第13発明〜第15発明の何れかの荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記ケース部材は、前記起歪体が一体的に連結される内周側の連結部と、その連結部を取り囲むようにその連結部の外周側に設けられた筒状の外周壁と、その外周壁と前記連結部とを一体的に連結する板状の連結フランジとを備えており、その外周壁の一端部から略直角に外側へ延び出すように前記取付用フランジが設けられていることを特徴とする。
第17発明は、第15発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、(a) 前記起歪体は円筒形状を成していて、前記軸状部材と同心に設けられており、(b) 前記歪検知素子は、前記対称面Gに対して対称形状となるように前記起歪体の外周面または内周面に所定の角度範囲に亘って複数設けられていることを特徴とする。
第18発明は、第17発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記歪検知素子は、前記対称面Gと、前記起歪体の軸心を通り且つ該対称面Gに対して直角な面とで区分される4箇所に、それぞれ該対称面Gに対して対称の位置関係となるように計4個設けられていることを特徴とする。
第19発明は、第16発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、(a) 前記センサ配設部材は、前記反力部材に対して前記連結ピンまわりに相対回動可能に連結される板状の部材で、センサ取付穴が貫通して設けられており、(b) 前記荷重センサは、前記ケース部材の外周壁が前記センサ取付穴内に全周に亘って遊びを有するように挿入され、且つ前記取付用フランジが前記センサ配設部材の側面に当接する状態で配設されており、(c) 前記連結ピンは、前記軸状部材の軸心を挿通させられて前記センサ取付穴の両側へ突き出すように配設されており、(d) その連結ピンの両端部は、前記反力部材に一体的に固設されたU字形状のクレビスによって保持されていることを特徴とする。
第20発明は、第13発明〜第19発明の何れかの荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記起歪体は円筒形状を成していて、その円筒形状の一端部および他端部がそれぞれ前記ケース部材および前記軸状部材に一体的に固定されており、前記反力に基づいてそのケース部材と軸状部材とが相対変位させられることにより、その起歪体に生じるせん断歪が前記歪検知素子によって検出されることを特徴とする。
第21発明は、第13発明〜第16発明および第19発明の何れかの荷重センサ付き車両用操作ペダル装置において、前記起歪体は、前記軸状部材の軸心まわりに互いに離間してその軸心と平行に複数配設され、それぞれ両端部においてその軸状部材および前記ケース部材に一体的に固定された平坦な板状部材で、前記反力に基づいてそのケース部材と軸状部材とが相対変位させられることにより、その板状部材に生じるせん断歪が前記歪検知素子によって検出されることを特徴とする。
第22発明は、(a) 移動操作される操作部材と、(b) その操作部材の操作力が伝達されるとともに、その操作力に対応する反力が作用させられる反力部材と、(c) 前記操作部材と前記反力部材との間に介在させられ、連結ピンまわりに相対回動可能に一対の部材を連結するとともに、その連結ピンを介して前記操作力を伝達する少なくとも1箇所の回動連結部と、(d) 前記操作力を電気的に検出する荷重センサと、を有する荷重センサ付き操作装置において、(e) 前記荷重センサは、(e-1) 軸状部材と、(e-2) その軸状部材の軸心と直角方向の相対変位可能に且つその軸状部材を取り囲むようにその軸状部材の外周側に配設された環状のケース部材と、(e-3) それ等の軸状部材とケース部材とに跨がって配設された起歪体と、(e-4) その起歪体に固定された歪検知素子とを備え、(e-5) 前記反力で軸状部材とケース部材とが軸状部材の軸心と直角方向へ相対変位して起歪体が変形させられることにより、その起歪体の変形を歪検知素子によって検出するもので、(f) 前記ケース部材は、前記回動連結部において前記連結ピンを介して連結される一対の部材の何れか一方のセンサ配設部材に配設され、前記軸状部材はその連結ピンを介して他方の部材に連結される一方、(g) 前記ケース部材は複数の取付部を有し、前記センサ配設部材に設けられた複数の荷重受け部にその取付部が係合させられることにより、そのケース部材は一定の姿勢に位置決めされてそのセンサ配設部材に配設されるようになっており、(h) 前記軸状部材から前記起歪体を経て前記ケース部材に伝達される入力荷重Fの方向が、前記操作部材の踏込み操作に伴う前記回動連結部の相対回動で相対的に変化しても、その入力荷重Fが常に前記複数の取付部を介して前記複数の荷重受け部によって受け止められることを特徴とする。
第1発明の荷重センサ付き車両用操作ペダル装置においては、ケース部材と軸状部材との相対変位に基づいて操作力を電気的に検出する荷重センサが、所定のセンサ配設部材の回動連結部に配設され、その回動連結部の連結ピンを介して伝達される操作力を検出するようになっているため、例えばセンサ配設部材にセンサ取付穴を設けて荷重センサを配設することにより、装置全体を簡単で且つコンパクトに構成できる。また、ロッドやクレビス等の周辺部材は従来のペダル装置と同じものを使用できるため、安価に構成することができる。
また、ケース部材の複数の取付部がセンサ配設部材に設けられた複数の荷重受け部にそれぞれ係合させられることにより、ケース部材は一定の姿勢に位置決めされてそのセンサ配設部材に配設されるとともに、軸状部材から起歪体を経てケース部材に伝達される入力荷重Fの方向が、操作ペダルの踏込み操作に伴う回動連結部の相対回動で相対的に変化しても、その入力荷重Fが常に複数の取付部を介して複数の荷重受け部によって受け止められるようになっているため、応力集中によるケース部材の撓み変形が抑制される。これにより、ケース部材の撓み変形に起因する起歪体の不要な変形、或いはその変形量(歪量)の減少が防止され、操作力の検出精度が向上するとともに、撓み変形が生じ難い高強度材を用いたり大型のケース部材を採用したりする場合に比較して、軽量で且つ安価に構成できる。
また、操作ペダルの踏込み操作に伴う回動連結部の相対回動で入力荷重Fの方向が変化しても、その入力荷重Fは常に複数の取付部を介して複数の荷重受け部によって受け止められるため、荷重センサの位置および姿勢が一定に維持され、円筒形状のケース部材のように揺動変位して操作力の検出精度が損なわれる恐れがない。更に、ケース部材の撓み変形が抑制されることから、入力荷重Fの方向が変化しても、起歪体の変形位置が変化するだけで変形形態が複雑になることはなく、変形量のばらつきが抑制されて、入力荷重Fを一定とした場合の起歪体の歪量がその入力荷重Fの方向変化に拘らず略一定になり、入力荷重Fが次第に大きくなる実際のペダル操作時における検出精度が安定して高い信頼性が得られるようになる。
また、荷重センサのケース部材は、複数の取付部を複数の荷重受け部にそれぞれ係合させるだけで良いため、荷重センサの組付性が向上するとともに、センサ配設部材に対する組付に関しては、取付部および荷重受け部以外の部位では必ずしも高い寸法精度が要求されないため、部品形状の要求精度等が緩和されて製造コストが低減される。
第2発明の荷重センサは、軸状部材の軸心と直角な平面において所定の頂角αで凸形状を成すように設けられた一対の平坦な取付面を有するケース部材を備えており、センサ配設部材に設けられた一対の平坦な受け面にその取付面がそれぞれ面接触させられることにより、一定の姿勢に位置決めされるとともに、軸状部材から起歪体を経てケース部材に伝達される入力荷重Fの方向が、操作ペダルの踏込み操作に伴う回動連結部の相対回動で相対的に変化しても、その入力荷重Fが常に一対の取付面を介して一対の受け面によって受け止められるようになっているため、応力集中によるケース部材の撓み変形が抑制される。これにより、ケース部材の撓み変形に起因する起歪体の不要な変形、或いはその変形量(歪量)の減少が防止され、操作力の検出精度が向上するとともに、撓み変形が生じ難い高強度材を用いたり大型のケース部材を採用したりする場合に比較して、軽量で且つ安価に構成できる。
第3発明は、操作ペダルの踏込み操作に伴う回動連結部の相対回動で入力荷重Fの方向が変化しても、その入力荷重Fが常に一対の取付面を介して一対の受け面によって受け止められるための条件を、受け面の向きおよび頂角αに基づいて具体的に規定したものである。
第4発明では、入力荷重Fの方向の変化に拘らず一対の取付面が受け面から受ける反力により常に凸形状の頂点側に向かう方向の分力が発生するように、受け面の向きおよび頂角αが定められているため、取付面と受け面との間の摩擦力とは無関係に両者の相対移動が阻止され、入力荷重Fが常に確実に一対の取付面を介して一対の受け面によって受け止められるようになり、荷重センサの位置ずれや姿勢変化が一層確実に防止されて検出精度が向上する。
第5発明では、入力荷重Fの方向の変化角度βに対して、頂角αが(180°−β)よりも小さいため、取付面と受け面との間の摩擦力とは無関係に両者の相対移動が阻止され、入力荷重Fが常に確実に一対の取付面を介して一対の受け面によって受け止められるようにすることができ、荷重センサの位置ずれや姿勢変化が一層確実に防止されて検出精度が向上する。
第6発明では、一対の取付面が中立面Sに対して対称的に設けられているため、操作ペダルの踏込み操作に伴う回動連結部の相対回動で入力荷重Fの方向が変化しても、その入力荷重Fが常に一対の取付面を介して一対の受け面によって受け止められるようにするための受け面の向き等の設計が容易になる。例えば操作ペダルの踏込みストロークの中間点で、入力荷重Fの方向と中立面Sとが略一致するように受け面の向きを設定すれば、その中立面Sを中心として略対称的に入力荷重Fの方向が変化させられるようになり、頂角αが適切であれば入力荷重Fの方向の変化に拘らず常に一対の取付面を介して入力荷重Fが好適に受け止められるようになる。第14発明においても、対称面Gを適当に設定することにより、第6発明と同様の効果が得られる。
第7発明は、ケース部材が連結部、外周壁、および連結フランジを備えている2重筒構造で、その外周壁に、外側面が一対の取付面を構成する一対の取付壁部が設けられており、軽量で且つ安価に構成できる反面、一対の取付壁部が入力荷重Fによって比較的撓み変形し易いが、それ等の取付壁部に連続して一対の並列壁部が設けられているため、外周壁の剛性が高くなって取付壁部の撓み変形が好適に防止される。また、外周壁のうち取付壁部以外はセンサ配設部材との間に隙間を有するため、取付壁部の外側面すなわち取付面が確実にセンサ配設部材の一対の受け面に面接触させられるように、ケース部材をそのセンサ配設部材に容易に配設することが可能で、その取付壁部のみで入力荷重Fが受け止められるようになり、高い検出精度が確実に得られる。
第8発明は、起歪体が円筒形状を成していて軸状部材と同心に設けられている場合で、歪検知素子が中立面Sに対して対称形状となるように起歪体の外周面または内周面に所定の角度範囲に亘って複数設けられているため、ブリッジ回路等により操作力を良好に検出できる。特に、中立面Sの両側に互いに離間して複数の歪検知素子を対称的に配置した場合には、両側の歪検知素子の信号(歪量)の変化に基づいて操作ペダルの踏込みストロークを検出することもできる。第9発明は、このように中立面Sの両側に対称的に複数の歪検知素子を配置する場合の一実施態様である。第17発明、第18発明においても、対称面Gを適当に設定することにより、実質的に第8発明、第9発明と同様の効果が得られる。
第10発明では、反力部材に対して連結ピンまわりに相対回動可能に連結される部材がセンサ配設部材とされて荷重センサが配設されるため、連結ピンから反力部材に伝達される最終的な操作力(出力)が検出され、例えば反力部材を介して機械的に油圧ブレーキ等を作動させる場合のそのブレーキ力等を高い精度で検出できる。また、センサ配設部材に設けられたセンサ取付穴内にケース部材が配設されるとともに、軸状部材の軸心を挿通してセンサ取付穴の両側へ突き出す連結ピンの両端部がクレビスによって保持されるため、荷重センサにねじれ等の回転モーメントが作用せず、一層高い精度で操作力を検出できる。第19発明においても、実質的に第10発明と同様の効果が得られる。
第12発明では、軸状部材の軸心まわりに互いに離間して配設された複数の平坦な板状部材が起歪体として用いられるため、その数や位置を適当に設定することにより、その板状部材に入力荷重Fが集中して作用させられるようになり、円筒形状の起歪体に比較してせん断歪が大きくなり、感度や検出精度が向上する。第21発明においても、実質的に第12発明と同様の効果が得られる。
第13発明の荷重センサは、ケース部材に一体に設けられた取付用フランジに開き角度γだけ隔てて定められた2箇所の固設部が、センサ配設部材の2箇所の被固設部に固定手段を介して一体的に固定される場合で、開き角度γは、操作ペダルの踏込み操作に伴う回動連結部の相対回動によって変化する入力荷重Fの方向の変化角度βよりも大きく、且つ、その入力荷重Fの方向が常に2箇所の固設部の間に入るように2箇所の固設部が設定されているため、入力荷重Fは常に2箇所の固設部および被固設部を介してセンサ配設部材によって受け止められるようになり、応力集中によるケース部材の撓み変形が抑制される。これにより、ケース部材の撓み変形に起因する起歪体の不要な変形、或いはその変形量(歪量)の減少が防止され、操作力の検出精度が向上するとともに、撓み変形が生じ難い高強度材を用いたり大型のケース部材を採用したりする場合に比較して、軽量で且つ安価に構成できる。
また、第2発明のように一対の取付面と受け面とを面接触させる場合、寸法のばらつきや取付誤差等により偏当たりしたりケース部材の姿勢が変化したりする可能性があり、その場合には操作力の検出精度が損なわれる恐れがあるが、第13発明では、ねじ部材等の固定手段により2箇所の固設部を被固設部に一体的に固定するため、ケース部材がセンサ配設部材に対して常に一定の姿勢で配設され、検出精度が安定して高い信頼性が得られる。
第14発明では、固定手段としてねじ部材が用いられ、そのねじ部材によって固設部が被固設部に一体的に締結されるため、装置が一層安価に構成される。
第22発明は、車両用操作ペダル装置に限定されるものではなく、車両用以外の操作ペダル装置や手動操作装置など種々の操作装置に適用可能であるが、荷重センサの構成や配設構造などは第1発明と同じで、実質的に第1発明と同様の作用効果が得られる。第1発明は、この第22発明の一実施態様と見做すことが可能で、操作ペダルは操作部材に相当する。
本発明は、常用ブレーキ用のブレーキペダル装置に好適に適用されるが、アクセル用やパーキングブレーキ用の操作ペダル装置に適用することも可能で、第22発明は、車両用以外の操作ペダル装置や手動操作される操作装置など種々の操作装置に適用され得る。反力部材は、例えばブレーキブースタのオペレーティングロッドやブレーキマスタシリンダのプッシュロッドなどで、機械的にホイールブレーキ等を作動させるように構成されるが、荷重センサによって検出した操作力に応じて電気的にホイールブレーキや駆動装置等を制御する電気式(バイワイヤ方式)の操作ブレーキ装置に適用することも可能で、その場合は、ストロークシミュレータや反力機構等を反力部材に連結して所定の反力が加えられるようにすれば良い。
操作ペダルと反力部材とを、単一の連結ピンを介して直接連結することも可能で、その場合は、その連結部が回動連結部で、操作ペダルをセンサ配設部材として使用することが望ましい。また、ペダルサポートに回動可能に中間レバーを配設し、その中間レバーと操作ペダルとを連結リンクによって連結するとともに、中間レバーと反力部材とを連結ピンによって相対回動可能に連結することも可能で、その場合は中間レバーと反力部材との連結部、連結リンクと中間レバーとの連結部、連結リンクと操作ペダルとの連結部は、何れも回動連結部に相当し、何れかの回動連結部に荷重センサを配設して操作力を検出することができる。操作ペダルを支持軸心まわりに回動可能に支持する連結部分にも、操作力に対応する反力が作用するため、この回動連結部に荷重センサを配設して操作力を検出することも可能である。
荷重センサは、弾性変形させられる起歪体の歪を歪検知素子により電気的に検出するもので、予め定められたマップや演算式などによりその歪を荷重すなわち操作力に換算すれば良い。歪検知素子としては、薄膜型や厚膜型の半導体歪ゲージ、通常の歪ゲージ等の歪抵抗素子が好適に用いられるが、ピエゾ素子や圧電変換素子等を用いることも可能である。
荷重センサは、例えば板状のセンサ配設部材を貫通して設けられたセンサ取付穴内に配設されるが、荷重センサをセンサ配設部材の一方の側面側に配設することも可能である。また、軸状部材には、例えば軸心を挿通するように連結ピンが配設されるが、軸状部材と連結ピンとを一体に構成することもできるし、軸状部材と連結ピンとを離間して配設して連結リンク等の連動機構を介して機械的に連結することもできるなど、種々の態様が可能である。
第2発明の荷重センサは、ケース部材の一対の取付面が一対の受け面に面接触させられ、入力荷重Fがそれ等の取付面を介して受け面によって受け止められるように配設されるため、入力荷重Fによって取付面が受け面に押圧されることになり、必ずしも強固な固定手段は必要でなく、例えば板ばね等のばね部材により取付面が受け面に押圧されるようにワンタッチで組み付けできるように構成されても良く、また必要に応じてボルト等の固定手段で一体的に固定することも可能である。
起歪体は、例えば第8発明、第17発明のように円筒形状が適当であるが、例えば軸状部材とケース部材との相対変位に基づいて変形させられる部分が少なくとも円弧形状とされた長円形状などでも良く、円弧形状の円弧の両端に引張荷重または圧縮荷重が印加されることにより、円弧形状部分が伸び変形或いは撓み変形させられるように配設されても良い。また、軸状部材とケース部材との間の環状空間に対応するドーナツ形状を成し、軸状部材とケース部材との相対変位に基づいて引張変形や圧縮変形、或いは撓み変形させられるような起歪体を用いることもできる。更に、第12発明、第21発明のように、軸心まわりに互いに離間して配設された複数の平坦な板状部材を採用することもできるなど、種々の態様が可能である。
第5発明では、頂角αが、入力荷重Fの方向の変化角度βを用いて(180°−β)よりも小さい値とされるが、頂角αが小さくなるに従って、一対の取付面に作用する反力のうち頂点に向かう方向の分力が大きくなり、応力集中によって撓み変形が生じ易くなるため、頂角αは60°以上、更には80°以上とすることが望ましい。
第6発明では、一対の取付面が中立面Sに対して対称的に設けられるが、所期の作用効果が得られる範囲で多少ずれていても差し支えないことは勿論、他の発明の実施に際しては積極的に非対称とすることも可能である。中立面Sに対して対称的に一対の取付面を設けた場合、例えば操作ペダルの踏込みストロークの中間点で、入力荷重Fの方向と中立面Sとが略一致するように、センサ配設部材の受け面の向きが設定されるが、入力荷重Fが最大になる踏込みストロークの終端付近で入力荷重Fの方向と中立面Sとが略一致するようにすれば、その最大の入力荷重Fを一対の取付面に略均等に分散させることができるなど、受け面の向きは適宜設定される。
第7発明の外周壁は、互いに平行な一対の並列壁部および一対の取付壁部を有するが、並列壁部の他端すなわち取付壁部と反対側の端部は、円弧形状や湾曲形状等の適宜の形状の背面壁部によって連結される。背面壁部を、並列壁部に対して直角な平板形状とすることにより、全体として略五角形の野球のホームベース形状とすることもできる。他の発明の実施に際しては、必ずしも並列壁部を設ける必要はなく、一対の取付壁部以外は円弧形状としても良いなど、種々の態様が可能である。また、連結部と外周壁と連結フランジとを有する必要もなく、外周壁の一部が内周側へ延び出して連結部を構成するようになっていても良いなど、種々の態様が可能である。
第8発明では、歪検知素子が中立面Sに対して対称形状となるように起歪体に所定の角度範囲に亘って複数設けられており、例えば中立面Sの両側に互いに離間して複数の歪検知素子が設けられるが、中立面Sとの交点が中心位置となるように所定の角度範囲に亘って歪検知素子を設けることも可能で、その中立面Sと交差する2箇所に一対の歪検知素子を設けるようにしても良い。その場合は、入力荷重Fの方向の変化角度βの範囲を総て含む比較的大きな角度範囲に歪検知素子を設けることが望ましい。なお、中立面Sの方向に離間して設けられる複数の歪検知素子は、互いに同じ角度範囲で設けられる必要はなく、それぞれ中立面Sに対して対称形状であれば良い。また、他の発明の実施に際しては、必ずしも中立面Sに対して対称形状である必要はなく、歪検知素子の配設形態は適宜定められる。第17発明についても、入力荷重Fに対して中立面Sと同じ位置関係となるように対称面Gを設定することにより、対称面Gに対する歪検知素子の配設位置を上記と同様に設定することができる。
第9発明、第18発明では、中立面Sまたは対称面Gの両側の4つの区分に互いに離間して、且つ中立面Sまたは対称面Gに対して対称的に計4個の歪検知素子が設けられるが、他の発明の実施に際しては、例えば起歪体の軸心まわりにおいて前記一対の取付面が設けられた位置と略同じ位置に、中立面Sまたは対称面Gに対して対称的に一対の歪検知素子を設けるだけでも、操作力および操作ペダルの踏込みストロークを検出することができる。
第11発明、第20発明では、起歪体が円筒形状を成していて、その円筒形状の一端部および他端部がそれぞれケース部材および軸状部材に一体的に固定され、それ等の相対変位に伴ってせん断変形させられるようになっているが、円筒形状の起歪体の中心線まわりの一部をケース部材に一体的に固定するとともに、その起歪体の円筒形状の内部を挿通するように軸状部材を配設し、反力に基づいてケース部材と軸状部材とが相対変位させられることにより、その起歪体に生じる引張歪を歪検知素子によって検出するようにしても良い。
第12発明、第21発明の実施に際して、前記複数の板状部材は、例えば前記中立面Sまたは対称面Gに対して対称形状となるように複数配設される。より具体的には、例えば上記中立面Sまたは対称面Gと、軸状部材の軸心を通り且つその中立面Sまたは対称面Gに対して直角な面とで区分される4箇所に、それぞれその中立面Sまたは対称面Gに対して対称の位置関係となるように計4枚の板状部材が設けられるが、他の態様で配設することも可能である。これ等の板状部材の全部に歪検知素子を設けることもできるが、その一部に歪検知素子を設けるだけでも良い。
第13発明では、例えば第2発明において、一対の取付面と受け面との間に所定の隙間が形成されるように、2箇所の固設部においてボルト等の固定手段によりケース部材がセンサ配設部材に一体的に固定されるようにするだけでも良い。或いは、前記図21の荷重センサ204をそのまま用いるとともに、センサ取付穴202を大きくして全周に遊びを設け、位置決めフランジ208dの一部を突出させて所定の2箇所を固設部としてボルト等によりセンサ配設部材(操作ペダル16)に一体的に固定するようにしても良く、センサ取付穴とケース部材との間に所定の隙間が形成されていれば、センサ取付穴とケース部材はどのような形状であっても良い。
第13発明の2箇所の固設部は、例えば第2発明の取付面および受け面と同様に、軸状部材の軸心まわりにおいて入力荷重Fによりケース部材がセンサ配設部材に対して押圧される側、すなわち入力荷重Fの方向の下流側に設定されるが、反対側すなわち入力荷重Fの方向の上流側に2箇所の固設部を設定することもできる。
第14発明では固定手段としてねじ部材が用いられるが、スポット溶接等によって一体的に固定することもできるなど、他の種々の固定手段を採用できる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両の常用ブレーキ用の操作ペダル装置10を示す図で、(a) は操作ペダル16が踏込みストロークの中間点まで踏込み操作された状態、(b) は踏込みストロークの終端まで踏込み操作された状態である。この車両用操作ペダル装置10は、前記図21の操作ペダル装置200に本発明が適用された場合で、操作ペダル16にはセンサ取付穴28が設けられ、そのセンサ取付穴28内に荷重センサ30が配設されている。荷重センサ30には、前記荷重センサ204と同様にワイヤハーネス56が設けられているとともに、そのワイヤハーネス56の先端部にはコネクタ58が設けられており、そのコネクタ58を介して車両の制御回路部に接続されるようになっている。操作ペダル装置10は操作装置に相当し、操作ペダル16はセンサ配設部材に相当する。
図2および図3は、本実施例の荷重センサ30およびセンサ取付穴28を具体的に示す図で、図2は図1に対応する拡大正面図、すなわち図3の(a) における下方から見た図であり、図3の(a) は図2における中立面Sで切断した断面図、(b) は(a) における IIIA−IIIA 断面を示す断面図である。この荷重センサ30は、円筒形状の起歪体32を備えていて、その起歪体32の径方向に加えられる荷重を検出するもので、起歪体32の外周側に配設された環状のケース部材34と、起歪体32の内周側に配設された軸状部材36とを備えている。ケース部材34は、起歪体32の一端部(図3(a) における上端部)が圧入や溶接等により一体的に固設される内周側の円筒形状の連結部60と、その連結部60を取り囲むように連結部60の外周側に設けられた外周壁62と、それ等の連結部60と外周壁62とを一端部において一体的に連結する板状の連結フランジ64と、連結フランジ64に連続して外周壁62よりも外周側へ突き出すように設けられた位置決めフランジ66とを備えており、全体として2重筒構造を成している。そして、その外周壁62がセンサ取付穴28内に嵌め入れられ、且つ位置決めフランジ66が操作ペダル16の一方の側面に当接させられた状態で、図示しない板ばね等の固定手段により外周壁62の一部がセンサ取付穴28の内壁面に押圧されることにより、一定の姿勢に位置決めされた状態で離脱不能に保持される。
また、軸状部材36は、起歪体32の軸方向の他端部(図3(a) における下端部)を圧入や溶接等により一体的に保持しているとともに、軸心部分に設けられた挿通孔38内を前記クレビスピン26が挿通させられるようになっている。クレビスピン26と挿通孔38および前記クレビス24との間は何れも相対回転可能で、操作ペダル16の踏込み操作に伴って摩擦が小さい方で相対回転させられるが、摩擦を低減するために必要に応じてベアリングや軸受等を介在させることもできる。
このようにケース部材34および軸状部材36は、起歪体32を介して互いに連結されており、外部から径方向すなわち中心線Oと直角方向に加えられる入力荷重Fが略0の時には、図2および図3に示すように軸状部材36やクレビスピン26の軸心Qが荷重センサ30の中心線Oと略一致する状態に保持され、起歪体32も全長に亘って中心線Oを中心とする円筒形状を維持している。荷重センサ30の中心線Oは、操作ペダル16に一体的に配設されるケース部材34の中心線で、具体的には円筒形状の連結部60の中心線である。一方、操作ペダル16の踏込み操作に伴ってオペレーティングロッド22の反力でケース部材34と軸状部材36との間に径方向の荷重Fが加えられると、操作ペダル16側のケース部材34が軸状部材36に対して相対的にオペレーティングロッド22に接近する方向(図3の左方向)へ変位させられ、図4に示すように起歪体32がせん断変形させられる。ケース部材34と軸状部材36との間には、両者の径方向の相対変位や起歪体32のせん断変形を許容するように環状空間が設けられているとともに、起歪体32は、径方向から荷重を受けることにより弾性変形可能なフェライト系ステンレス鋼等の金属材料にて構成されており、操作ペダル16の踏込み操作に伴って、その操作力に応じてせん断変形させられる。図4の(a) 、(b) はそれぞれ図3の(a) 、(b) に対応する図で、図4の(b) は(a) におけるIVA −IVA 断面図である。なお、起歪体32の変形量は極僅かで、操作ペダル16の踏込みストロークには殆ど影響しないが、図面では理解を容易とするために変形量を拡大して示してある。他の図面も同じである。
上記起歪体32のせん断歪を検出するために、図5に示すように、起歪体32の外周面には歪検知素子として4個の歪抵抗素子40a〜40dが取り付けられている。歪抵抗素子40a〜40dとしては、例えば薄膜型や厚膜型の半導体歪ゲージ、通常の歪ゲージ等が好適に用いられる。図5の(a) は、図4(a) に対応する図で、起歪体32がせん断変形させられた状態であり、(b) は(a) の上方から見た平面図、(c) は起歪体32の外周面の展開図である。4個の歪抵抗素子40a〜40dは、外部荷重によって起歪体32がせん断歪を生じる方向において、中心線O(Q)を挟んで対称的な2箇所に、それぞれそのせん断歪により軸方向において引張変形、圧縮変形させられる部分に1個ずつ離間して設けられている。
そして、それ等の歪抵抗素子40a〜40dが導電性回路パターン50(図5(c) 参照)によって接続されることにより図6に示すブリッジ回路が形成され、その導電性回路パターン50の電源電極42とGND(接地)電極44との間に電源Eが接続されることにより、一対の出力電極46と48との間から歪に応じた電気信号が出力されるようになっている。電源電極42に電源Eを接続したり、出力電極46、48から出力される電気信号を取り出したりするために、それ等の電極に接続されたワイヤハーネス56(図1参照)が荷重センサ30から延び出し、コネクタ58を介して車両の制御回路部に接続されている。起歪体32の外周面には、予めガラスペースト等の絶縁膜52(図5(c) 参照)が設けられており、その上に銀等の導電体によって前記導電性回路パターン50が形成されているとともに、更にその導電性回路パターン50に一部が接触するように前記歪抵抗素子40a〜40dが焼成等により一体的に設けられている。なお、荷重センサ30の内部に制御回路部を設けることも可能である。また、本実施例ではフルブリッジ回路を用いているが、例えば操作ペダル16の操作力に基づく荷重を受ける部分のみが円弧形状とされた起歪体を用いる場合等には、ハーフブリッジ回路を用いることもできる。
一方、操作ペダル16の踏込み操作に伴って、その操作ペダル16が支持軸14まわりに回動させられると、オペレーティングロッド22および操作ペダル16もクレビスピン26の軸心まわりに相対回動させられるため、クレビスピン26から荷重センサ30に加えられる入力荷重Fの方向が変化し、それに伴って起歪体32の変形位置も変化する。その入力荷重Fの方向の変化に拘らず略一定の検知性能が得られるように、前記歪抵抗素子40a〜40dの大きさや配設位置等が設定されており、起歪体32の周方向において入力荷重Fの方向の変化角度β(図2参照)よりも大きい所定の角度範囲をカバーする長さ寸法を有するとともに、中立面Sに対して対称形状となるように設けられている。中立面Sは、荷重センサ30の中心線Oを含む平面で、踏込みストロークの中間点において入力荷重Fが中立面Sと略一致するように定められており、入力荷重Fは、中心線Oまわりにおいて中立面Sよりも左右の一方に作用する初期状態から、中立面Sと一致する状態を経由して反対方向へ作用する状態へ変化する。
ここで、上記ケース部材34の外周壁62は、軸状部材36の軸心Qと直角な平面、すなわち図2および図3(b) において、所定の頂角αで凸形状を成すように設けられた平坦な一対の取付壁部62a、62bを備えている。それ等の取付壁部62a、62bの外側面は取付面として機能し、センサ取付穴28には、その取付壁部62a、62bに対応して頂角αと同じ角度で凹形状を成すように一対の平坦な受け面28a、28bが設けられている。そして、ケース部材34は、一対の取付壁部62a、62bがそれぞれ一対の受け面28a、28bに面接触させられるように、前記板ばね等の固定手段により図2において下方へ押圧された状態でセンサ取付穴28内に配設され、一定の姿勢に位置決めされる。なお、図2は、図3(b) に比較して反対の正面側から見た図であり、中立面Sに対して取付壁部62a、62b等の位置が左右反対になっている。上記取付壁部62a、62bは取付部に相当し、受け面28a、28bは荷重受け部に相当する。
上記受け面28a、28bの向きおよび頂角αは、入力荷重Fの方向が操作ペダル16の踏込み操作に伴って前記変化角度βの範囲で変化しても、一対の取付壁部62a、62bが入力荷重Fに基づいて常に一対の受け面28a、28bにそれぞれ押圧されるように定められており、具体的には、一対の取付壁部62a、62bが受け面28a、28bから受ける反力により常に前記凸形状の頂点T側に向かう方向の分力が発生するように定められている。また、前記中立面Sは、頂点Tと無負荷の状態における軸状部材36の軸心Qすなわち中心線Oとを含む平面で、一対の取付壁部62a、62bはその中立面Sに対して対称的に設けられているとともに、頂角αは、入力荷重Fの方向の変化角度βに対して、(180°−β)よりも小さい角度で設定されている。これにより、入力荷重Fの方向が変化角度βの範囲で変化しても、その入力荷重Fが常に一対の取付壁部62a、62bを介して一対の受け面28a、28bによって受け止められるようになる。なお、頂角αが小さくなると、頂点Tに向かう分力が大きくなって撓み変形を生じ易くなるため、例えば80°以上の角度で設定される。
上記外周壁62はまた、一対の取付壁部62a、62bに連続して中立面Sと平行で且つ中立面Sに対して対称的に設けられた一対の並列壁部62c、62dと、その並列壁部62c、62dの他端すなわち取付壁部62a、62bと反対側の端部に直角に接続され、それ等の取付壁部62c、62dを一体的に連結する平板形状の背面壁部62eとを有し、全体として略五角形の野球のホームベース形状とされている。これにより、外周壁62を薄肉で軽量に維持しつつ、高い剛性が得られて入力荷重Fによる変形が防止される。前記センサ取付穴28は、受け面28a、28bが上記外周壁62の取付壁部62a、62bに面接触させられるが、それ以外の部分は、外周壁62との間に所定の隙間を有するように設けられており、取付壁部62a、62bが確実に受け面28a、28bに面接触させられるとともに、その取付壁部62a、62bのみで入力荷重Fが受け止められるようになっている。
このような車両用操作ペダル装置10においては、ケース部材34と軸状部材36との相対変位に基づいて操作力を電気的に検出する荷重センサ30が、操作ペダル16とオペレーティングロッド22とを相対回動可能に連結する回動連結部20に配設され、その回動連結部20のクレビスピン26を介して伝達される操作力を検出するようになっており、操作ペダル16に形成されたセンサ取付穴28内に荷重センサ30が配設されるため、操作ペダル装置10全体を簡単で且つコンパクトに構成でき、従来のペダル装置の搭載条件に何等影響を及ぼすことがない。また、オペレーティングロッド22やクレビス24、クレビスピン26等の周辺部材は従来のペダル装置と同じものを使用できるため、安価に構成することができる。
一方、荷重センサ30のケース部材34は、所定の頂角αで凸形状を成すように設けられた一対の平坦な取付壁部62a、62bを備えており、センサ取付穴28に設けられた一対の平坦な受け面28a、28bにその取付壁部62a、62bの外側面がそれぞれ面接触させられることにより、一定の姿勢に位置決めされる。また、軸状部材36から起歪体32を経てケース部材34に伝達される入力荷重Fの方向が、操作ペダル16の踏込み操作に伴って変化しても、その入力荷重Fが常に一対の取付壁部62a、62bを介して一対の受け面28a、28bによって受け止められるようになっている。これにより、応力集中によるケース部材34の撓み変形が抑制され、ケース部材34の撓み変形に起因する起歪体32の不要な変形、或いはその変形量(歪量)の減少が防止され、操作力の検出精度が向上するとともに、撓み変形が生じ難い高強度材を用いたり大型のケース部材を採用したりする場合に比較して、軽量で且つ安価に構成できる。
また、操作ペダル16の踏込み操作に伴って入力荷重Fの方向が変化しても、その入力荷重Fは常に一対の取付壁部62a、62bを介して一対の受け面28a、28bによって受け止められるようになっているため、荷重センサ30の位置および姿勢が一定に維持され、円筒形状のケース部材のように揺動変位して操作力の検出精度が損なわれる恐れがない。更に、ケース部材34の撓み変形が抑制されることから、入力荷重Fの方向が変化しても、起歪体32の変形位置が変化するだけで変形形態が複雑になることはなく、変形量のばらつきが抑制されて入力荷重Fを一定とした場合の各歪抵抗素子40a〜40dの平均歪量がそれぞれ略一定になり、入力荷重Fが次第に大きくなる実際のペダル操作時においても検出精度が安定して高い信頼性が得られるようになる。
また、操作ペダル16の踏込み操作に伴う入力荷重Fの方向の変化に拘らず、一対の取付壁部62a、62bが受け面28a、28bから受ける反力により常に凸形状の頂点T側に向かう方向の分力が発生するように、受け面28a、28bの向きおよび頂角αが定められているため、取付壁部62a、62bと受け面28a、28bとの間の摩擦力とは無関係にそれ等の相対移動が阻止され、入力荷重Fが常に確実に一対の取付壁部62a、62bを介して一対の受け面28a、28bによって受け止められるようになり、荷重センサ30の位置ずれや姿勢変化が一層確実に防止されて検出精度が向上する。
また、入力荷重Fの方向の変化角度βに対して、頂角αが(180°−β)よりも小さいため、取付壁部62a、62bと受け面28a、28bとの間の摩擦力とは無関係にそれ等の相対移動が阻止され、入力荷重Fが常に確実に一対の取付壁部62a、62bを介して一対の受け面28a、28bによって受け止められるようになり、この点でも荷重センサ30の位置ずれや姿勢変化が更に一層確実に防止されて検出精度が向上する。
また、荷重センサ30のケース部材34は、一対の取付面すなわち取付壁部62a、62bがそれぞれセンサ取付穴28の一対の受け面28a、28bに係合するように配設するだけで良いため、荷重センサ30の組付性が向上するとともに、操作ペダル16に対する組付に関して、それ等の取付壁部62a、62bおよび受け面28a、28b以外の部位では必ずしも高い寸法精度が要求されないため、部品形状の要求精度等が緩和されて製造コストが低減される。
また、一対の取付壁部62a、62bが中立面Sに対して対称的に設けられているため、操作ペダル16の踏込み操作に伴って入力荷重Fの方向が変化しても、その入力荷重Fが常に一対の取付壁部62a、62bを介して一対の受け面28a、28bによって受け止められるようにするための受け面28a、28bの向き等の設計が容易になる。本実施例では、操作ペダル16の踏込みストロークの中間点で、入力荷重Fの方向と中立面Sとが略一致するように受け面28a、28bの向きが設定されているため、その中立面Sを中心として略対称的に入力荷重Fの方向が変化させられるようになり、頂角αが適切であれば入力荷重Fの方向の変化に拘らず常に一対の取付壁部62a、62bを介して入力荷重Fが好適に受け止められる。
また、ケース部材34は、連結部60、外周壁62、および連結フランジ64を備えている2重筒構造で、その外周壁62に一対の取付壁部62a、62bが設けられており、軽量で且つ安価に構成できる反面、一対の取付壁部62a、62bが入力荷重Fによって比較的撓み変形し易いが、本実施例ではそれ等の取付壁部62a、62bに連続して一対の並列壁部62c、62dが設けられているため、外周壁62の剛性が高くなって取付壁部62a、62bの撓み変形が好適に防止される。
また、外周壁62のうち取付壁部62a、62b以外はセンサ取付穴28との間に隙間を有するため、取付壁部62a、62bの外側面すなわち取付面が確実にセンサ取付穴28の一対の受け面28a、28bに面接触させられるように、ケース部材34をそのセンサ取付穴28内に容易に配設することが可能で、その取付壁部62a、62bのみで入力荷重Fが受け止められるようになり、高い検出精度が確実に得られる。
また、本実施例は起歪体32が円筒形状を成していて軸状部材36と同心に設けられている場合で、4つの歪抵抗素子40a〜40dがそれぞれ中立面Sに対して対称形状となるように、その中立面Sを跨いで起歪体32の外周面に所定の角度範囲に亘って設けられているため、ブリッジ回路により操作力を良好に検出できる。
また、オペレーティングロッド22に対してクレビスピン26の軸心まわりに相対回動可能に連結される操作ペダル16がセンサ配設部材とされ、その操作ペダル16に荷重センサ30が配設されるため、クレビスピン26からオペレーティングロッド22に伝達される最終的な操作力(出力)が荷重センサ30によって検出され、そのオペレーティングロッド22の出力に応じて発生させられるブレーキ力を高い精度で検知することができる。
また、操作ペダル16に設けられたセンサ取付穴28内にケース部材34が配設されるとともに、軸状部材36の軸心Qを挿通してセンサ取付穴28の両側へ突き出すクレビスピン26の両端部がクレビス24によって保持されるため、荷重センサ30にねじれ等の回転モーメントが作用せず、一層高い精度で操作力を検出できる。
図7は、踏込みストロークの中間点における荷重センサ30を示す図で、前記図22に対応する図であり、入力荷重Fが一対の取付壁部62a、62bを介して一対の受け面28a、28bによって受け止められることから、図22のような応力集中が防止され、その応力集中に起因するケース部材34の撓み変形が抑制されて、入力荷重Fすなわち操作力を高い検出精度で検出することができる。図7の(a) は無負荷の状態で、(b) は所定の入力荷重Fが加えられた状態である。
また、図8は、入力荷重Fが加えられた時の力の伝達状態を示す図で、(a) は上記図7(b) と同じ踏込みストロークが中間点の時のものであり、取付壁部62a、62bには、受け面28a、28bから受ける反力により凸形状の頂点T側に向かう方向の分力が発生し、荷重センサ30が一対の受け面28a、28bによって確実に位置決めされ、位置ずれや姿勢変化が防止される。そして、その状態から操作ペダル16が更に踏込み操作されると、図8の(b) に示す状態となり、入力荷重Fの方向が変化するが、受け面28a、28bから受ける反力により取付壁部62a、62bには依然として凸形状の頂点T側に向かう方向の分力が発生するため、荷重センサ30の位置ずれや姿勢変化が防止される。また、ケース部材34の撓み変形が抑制されることから、入力荷重Fの方向が変化しても、起歪体32の変形位置が変化し、一対の取付壁部62a、62bの分担荷重が変化するだけで、変形形態が複雑になることはなく、高い検出精度が安定して得られる。なお、この図8は、図7の上段の正面図に比較して、裏側から見た断面図で、取付壁部62a、62bの位置が左右反対になっている。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図9は、前記図1に対応する図で、(a) は踏込みストロークが中間点の状態で、(b) は踏込みストロークの終端まで踏込み操作された状態である。この車両用操作ペダル装置80は中間レバー82を備えており、その中間レバー82を介して操作ペダル16からオペレーティングロッド22に操作力が伝達される。中間レバー82は、前記支持軸14と平行な支持ピン84によって前記ペダルサポート12に回動可能に配設されているとともに、連結リンク86を介して操作ペダル16に連結され、その操作ペダル16の踏込み操作に連動して機械的に支持ピン84まわりに回動させられる。連結リンク86は、その両端部において支持軸14と平行な一対の連結ピン88、90を介してそれぞれ操作ペダル16、中間レバー82に相対回動可能に連結されている。
また、中間レバー82の先端部には、回動連結部92を介してオペレーティングロッド22が連結されている。回動連結部92は、前記回動連結部20と同様に構成されており、中間レバー82に設けられたセンサ取付穴内に荷重センサ30が配設されている。したがって、本実施例でも前記実施例と同様の作用効果が得られる。
なお、連結リンク86が連結ピン88を介して操作ペダル16に相対回動可能に連結される回動連結部や、連結リンク86が連結ピン90を介して中間レバー82に相対回動可能に連結される回動連結部、或いは中間レバー82が支持ピン84を介してペダルサポート12に回動可能に取り付けられる回動連結部に荷重センサ30を配設して操作力を検出することもできる。
図10の荷重センサ100は、起歪体32、ケース部材34、および軸状部材36から成る基本構造は前記実施例と同じであるが、4つの歪抵抗素子102a〜102dの配設箇所が相違し、中立面Sと、起歪体32の軸心すなわち中心線Oを通り且つ中立面Sに対して直角な面とで区分される4箇所に、それぞれ中立面Sに対して対称の位置関係となるように設けられている。具体的には、センサ中心線O(軸心Q)を通り且つ中立面Sに対して略45°で交差する2本の直線と交わる部分が、各歪抵抗素子102a〜102dの中心位置となるように、略90°間隔で所定の角度範囲に設けられている。この場合は、入力荷重Fの方向が中立面Sと一致する時に、中立面Sを挟んで反対側に互いに離間して対称的に設けられた歪抵抗素子102bと102d、および102cと102aは、それぞれ略同じ変形となり同等の歪量となる。そして、入力荷重Fの方向が変化すると、歪抵抗素子102bと102d、102cと102aは、それぞれ異なった変形となり歪量も変化する。歪抵抗素子102bおよび102dの歪量について具体的に説明すると、一定の大きさの入力荷重Fを加えて方向を変化させた場合、図11に示すように、中立面Sと一致するセンサ入力角(入力荷重Fの方向に相当)=0°を挟んで反対の特性で変化し、それ等のトータルの歪量はセンサ入力角の変化に拘らず略一定に維持される。歪抵抗素子102aおよび102cについても同様である。
したがって、中立面Sの両側に位置する歪抵抗素子102bと102d、或いは102aと102cのトータルの歪量を検出することにより、センサ入力角の変化に拘らず操作力を高い精度で検出することができる。図12は、これ等の歪抵抗素子102a〜102dを用いて操作力(入力荷重Fに相当)を検出するブリッジ回路を示す図であり、(a) は前記図5の(c) に相当し、(b) は図6に相当する。図12(b) の回路の「Rc」は固定抵抗で、起歪体32とは別の部分、例えばワイヤハーネス56およびコネクタ58を介して接続された車両の制御回路部等に設けられている。また、入力荷重Fの方向の変化に伴って、各歪抵抗素子102a〜102dの歪量(抵抗値)はそれぞれ連続的に変化するため、その歪量(抵抗値)の変化に基づいてセンサ入力角すなわち操作ペダル16の踏込みストロークを検出することもできる。
図13および図14は、荷重センサ30の更に別の例を示す図で、前記図3および図4に相当する断面図で、各図の(a) は中立面Sで切断した縦断面図、(b) は(a) におけるXIIIA −XIIIA 断面図、XIVA−XIVA断面図である。この荷重センサ110は、円筒形状の起歪体112を備えていて、その起歪体112の径方向に加えられる荷重を検出するもので、起歪体112の外周側にはケース部材114が配設されている。ケース部材114は、前記ケース部材34の外周壁62と同じホームベース形状の外周面を備えており、一対の取付面114a、114bがそれぞれ前記受け面28a、28bに面接触させられる状態で、前記センサ取付穴28内に一定の姿勢で組み付けられるとともに、起歪体112の中心線まわりの一部(図13、図14における左側の側壁部分)を溶接等により一体的に保持している。そして、その起歪体112の円筒形状の内部を軸状部材116が挿通させられ、その両端部が前記クレビス24に相対回動可能に保持されている。この場合の軸状部材116は、クレビスピンすなわち回動連結部20の連結ピンを兼ねている。
このような荷重センサ110は、入力荷重Fが略0の時には、図13に示すようにケース部材114が軸状部材116の軸心Qと略同心になる状態に保持されるとともに、起歪体112は、ケース部材114に固設された側と反対側、すなわち図13における右側の側壁部分の内周面が軸状部材116に略接するように、軸心Qに対して偏心した状態に保持される。これは、図示しないリターンスプリング等の作用でオペレーティングロッド22が図1(a) の右方向へ押圧されるとともに、操作ペダル16が図示しないストッパに当接して初期位置に位置決めされることによって規定され、この状態で起歪体112は略真円の円筒形状である。一方、操作ペダル16の踏込み操作に伴ってオペレーティングロッド22の反力でケース部材114と軸状部材116との間に径方向の荷重が加えられると、軸状部材116がケース部材114に対して相対的に図13、図14の右方向へ変位させられ、起歪体112が図14に示すように楕円形に引張変形させられる。ケース部材114は、軸状部材116との相対変位や起歪体112の引張変形を許容するように、その環状の内部空間の大きさが定められているとともに、起歪体112は、径方向から荷重を受けることにより弾性変形可能なフェライト系ステンレス鋼等の金属材料にて構成されており、操作ペダル16の踏込み操作に伴って、その操作力に応じて引張変形させられる。
上記起歪体112の引張歪を検出するために、その起歪体112の外周面であって、図14(b) において上下に位置する側壁部分、すなわち引張歪を生じる部分には、歪検知素子として歪抵抗素子が固定されており、これにより操作力を検出することができる。起歪体112の外周面には、前記実施例と同様に予めガラスペースト等の絶縁膜が設けられ、その上に銀等の導電体によって導電性回路パターンが形成されるとともに、更にその導電性回路パターンに一部が接触するように歪抵抗素子が焼成等により一体的に設けられている。
本実施例においても、前記ケース部材34の外周壁62と同じホームベース形状の外周面を有するケース部材114が用いられており、一対の取付面114a、114bがそれぞれ受け面28a、28bに面接触させられる状態で、センサ取付穴28内に一定の姿勢で組み付けられるため、応力集中によるケース部材114の撓み変形や入力荷重Fの方向の変化による位置ずれ、姿勢変化等が抑制されて高い検出精度が得られるなど、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
図15の荷重センサ120は、ケース部材122の連結部124が八角形の筒形状を成しているとともに、軸状部材126も平面視(図15(a) の正面図と同じ)において連結部124と略重なる八角形を成しており、その八角形の8つの辺のうち一つ飛びに位置する4つの辺に相当する部分、すなわち中立面Sと、軸心Qを通り且つ中立面Sに対して直角な面とで区分される4箇所には、それ等の連結部124および軸状部材126に跨がって4枚の平坦な板状部材128a〜128dが一体的に固設されている。板状部材128a〜128dは起歪体として機能するもので、板厚方向にせん断荷重を受けることにより弾性変形可能なフェライト系ステンレス鋼等の金属材料にて構成されており、軸心Qまわりにおいて軸心Qと平行で且つ中立面Sに対して対称の位置関係となるように、具体的には中立面Sに対して約45°で傾斜する姿勢で配設されている。そして、それ等の板状部材128a〜128dの外側面にはそれぞれ前記歪抵抗素子102a〜102dが取り付けられており、前記荷重センサ100と同様にして操作力(入力荷重Fに相当)や操作ペダル16の踏込みストロークを検出することができる。図15の(a) は前記図2や図10に対応する正面図で、(b) は軸状部材126および板状部材128a〜128dの一部を示す斜視図であり、この板状部材128a〜128dの下端部はそれぞれケース部材122の連結部124に一体的に固設される。
本実施例においても、前記図10の荷重センサ100と同様の作用効果が得られる。加えて、本実施例では、軸状部材126の軸心Qまわりに互いに離間して配設された4枚の平坦な板状部材128a〜128dが起歪体として用いられており、その板状部材128a〜128dに入力荷重Fが集中して作用させられるため、図16に示すように円筒形状の起歪体32に比較してせん断歪の歪量が大きくなり、感度や検出精度が向上する。図16の(c) において一点鎖線で示す歪量のグラフは、(a) に示すように前記荷重センサ100の起歪体32に関するもので、実線で示す歪量のグラフ(2箇所)は、(b) に示す本実施例の荷重センサ120の下側の一対の板状部材128b、128dに関するものである。
なお、上記実施例では4枚の板状部材128a〜128dにそれぞれ1つずつ歪抵抗素子102a〜102dが取り付けられていたが、図17に示すように歪抵抗素子等の歪検知素子130を上下に離間して2つずつ取り付け、圧縮変形部分と引張変形部分の2箇所の歪を検出して、前記図6と同様にブリッジ回路により歪信号を取り出すようにしても良い。
図18の荷重センサ140は、前記図3の荷重センサ30に比較して、位置決めフランジ66の代わりに外周壁62の全周に亘って外周側へ延び出す取付用フランジ142が設けられたケース部材150を有する場合で、その取付フランジ142の所定の2位置に挿通孔146が設けられている。そして、ケース部材150は、外周壁62がセンサ取付穴28内に挿入され且つ全周に亘って所定の遊びを有する状態で、2本の固定ボルト144がそれぞれ上記挿通孔146内を挿通して操作ペダル16のねじ穴148にねじ込まれることにより、その固定ボルト144を介して操作ペダル16に一体的に固定されている。取付用フランジ142のうち挿通孔146が設けられた部分は固設部で、取付部に相当し、操作ペダル16のうちねじ穴148が設けられた部分は被固設部で、荷重受け部に相当し、固定ボルト144はねじ部材で、固定手段に相当する。図18の(a) は、操作ペダル16のセンサ取付部位の近傍を示す斜視図で、(b) は(a) におけるXVIIIA−XVIIIA断面の拡大図である。
上記固定ボルト144によって操作ペダル16に固定される2箇所の固設部、すなわち挿通孔146が設けられた部分は、図19に示すように、前記入力荷重Fと同じ方向、すなわち図19の(a) 、(b) において下方となる下流側であって、中立面Sに対して対称位置で、且つ軸状部材36の軸心Qすなわちセンサ中心線Oまわりに所定の開き角度γだけ隔てた位置である。開き角度γは、入力荷重Fの方向の変化角度βよりも大きく、操作ペダル16の踏込み操作に伴って入力荷重Fの方向が変化しても、その入力荷重Fの方向が常に開き角度γの範囲内に入るように設定されている。図19の(a) は、図18の(b) における上方から見た平面図で、(b) は反対の下方から見た底面図(図2の正面図に相当)である。中立面Sは、操作ペダル16の踏込みストロークの中間点で入力荷重Fの方向と略一致する軸心Oと平行な面であり、対称面Gに相当する。
そして、このような荷重センサ140においても、ケース部材150に一体に設けられた取付用フランジ142に開き角度γだけ隔てて定められた2箇所の固設部(挿通孔146が設けられた部分)が、操作ペダル16の2箇所の被固設部(ねじ穴148が設けられた部分)に固定ボルト144を介して一体的に固定される一方、開き角度γは、操作ペダル16の踏込み操作に伴う回動連結部20の相対回動によって変化する入力荷重Fの方向の変化角度βよりも大きく、且つ、その入力荷重Fの方向が常に2箇所の固設部(挿通孔146)の間に入るように2箇所の固設部(挿通孔146)の位置が設定されているため、入力荷重Fは常にその2箇所の固設部(挿通孔146)および被固設部(ねじ穴148)を介して操作ペダル16によって受け止められるようになり、応力集中によるケース部材150の撓み変形が抑制される。これにより、ケース部材150の撓み変形に起因する起歪体32の不要な変形、或いはその変形量(歪量)の減少が防止され、操作力の検出精度が向上するとともに、撓み変形が生じ難い高強度材を用いたり大型のケース部材を採用したりする場合に比較して、軽量で且つ安価に構成できるなど、前記実施例と同様の効果が得られる。
また、前記図3の荷重センサ30のように一対の取付壁部62a、62bと受け面28a、28bとを面接触させる場合、寸法のばらつきや取付誤差等により例えば図20の(a) に示すようにケース部材34の姿勢が変化したり、図20の(b) に示すように偏当たりしたりする可能性があり、その場合には操作力の検出精度が損なわれる恐れがあるが、本実施例では、一対の固定ボルト144により2箇所の固設部(挿通孔146)を被固設部(ねじ穴148)に一体的に固定するため、ケース部材150が操作ペダル16に対して常に一定の姿勢で配設され、検出精度が安定して高い信頼性が得られる。
また、本実施例では、固定手段として固定ボルト144が用いられ、その固定ボルト144によって固設部(挿通孔146形成部位)が被固設部(ねじ穴148形成部位)に一体的に締結されるため、溶接等によって固設する場合に比較して装置が一層安価に構成される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10、80:車両用操作ペダル装置(操作装置) 16:操作ペダル(センサ配設部材) 20、92:回動連結部 22:オペレーティングロッド(反力部材) 26:クレビスピン(連結ピン) 28:センサ取付穴 28a、28b:受け面(荷重受け部) 30、100、110、120、140:荷重センサ 32、112:起歪体 34、114、122、150:ケース部材 36、116、126:軸状部材 40a〜40d、102a〜102d:歪抵抗素子(歪検知素子) 60、124:連結部 62:外周壁 62a、62b:取付壁部(取付面、取付部) 62c、62d:並列壁部 82:中間レバー(センサ配設部材) 114a、114b:取付面(取付部) 128a〜128d:板状部材(起歪体) 130:歪検知素子 142:取付用フランジ 144:固定ボルト(ねじ部材、固定手段) 146:挿通孔(固設部、取付部) 148:ねじ穴(被固設部、荷重受け部) F:入力荷重 O:センサの中心線 Q:軸状部材の軸心 S:中立面 G:対称面 T:頂点 α:頂角 β:入力荷重の変化角度 γ:開き角度