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JP2008279387A - 過酸化水素の分解処理方法 - Google Patents

過酸化水素の分解処理方法 Download PDF

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洋 高橋
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Abstract

【課題】過酸化水素を高濃度に含有する被処理液中の過酸化水素を迅速かつ低コストに分解処理することが可能な過酸化水素の分解処理方法。
【解決手段】過酸化水素濃度が5g/L以上の被処理液に対して、Aspergillus属に属する微生物から生産されるカタラーゼを用いることを特徴とする過酸化水素の分解方法。上記Aspergillus属に属する微生物が、Aspergillus nigerであることが好ましい。また、上記被処理液に添加されたカタラーゼの濃度xと、該カタラーゼが有する酵素活性zと、上記被処理液の過酸化水素濃度yが、250≦xz/y<2500を満足することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、過酸化水素の分解処理方法に関する。
過酸化水素は、洗浄効果、殺菌効果に優れ、かつ反応後は無害な酸素と水とに分解される環境負荷の少ない薬品であるため、広く製造工程における洗浄剤、殺菌剤として使用されている。例えば、半導体装置の製造工場では、ウエハの洗浄などの様々な工程で過酸化水素が用いられている。
洗浄、殺菌に用いられた過酸化水素は、製造工程から過酸化水素含有廃液として排出される。しかしながら、過酸化水素には殺菌力があり、かつCODの原因物質になることから、該廃液をそのまま公共用水域に放流することはできない。したがって、該廃液中の過酸化水素は何らかの方法によって分解処理する必要がある。
従来、過酸化水素の分解には、重亜硫酸Naなどの還元剤を使用する方法が用いられてきた。しかしながら、重亜硫酸Naは過酸化水素と等モル反応のため、過酸化水素含有廃液(以下、被処理液と称することがある。)中の過酸化水素濃度が高濃度である場合には、多量の重亜硫酸Naを使用しなければならず、処理コストが高くなるという欠点があった。
過酸化水素を分解する他の方法としては、酵素の一種であるカタラーゼを用いる方法がある(特許文献1)。カタラーゼは酵素、すなわち生体触媒であるため、カタラーゼ1分子で多数の過酸化水素分子を分解することができる。ゆえに、カタラーゼは、重亜硫酸Naより少ない添加量で過酸化水素を分解処理することができる。カタラーゼは過酸化水素を特異的に分解する酵素であり、酸素呼吸を行う生物は、その量に違いはあれども体内にカタラーゼを有している。
カタラーゼを工業的に生産するには、生産効率の点から、カタラーゼの生産能力に優れた微生物を培養して、その培養液からカタラーゼを抽出する方法が好ましい。微生物由来のカタラーゼとしては、細菌類及び真菌類によって生産されるカタラーゼを挙げることができ、これらが広く用いられている。
これらの微生物由来のカタラーゼは、生産する微生物の種類によって異なった性質を有することが知られている。例えば、Aspergillus nigerから生産されるカタラーゼは、pH2〜7で優れた過酸化水素の分解処理能力を示す。Micrococcus lysodeikticusから生産されるカタラーゼは、pH7〜9で過酸化水素に対する優れた分解処理能力を示す(非特許文献1)。Thermomyces lanuginosusから生産されるカタラーゼは、高温の環境下でも過酸化水素に対する優れた分解処理能力を示す(特許文献2)。したがって、これらのカタラーゼは被処理液の種類や状況に応じて使い分けられている。
特公平7−22752号公報 特開平10−257883号公報 酵素利用ハンドブックp.404、地人書館、初版第3刷、昭和60年3月15日発刊
しかしながら、被処理液中の過酸化水素が高濃度である場合は、高濃度の過酸化水素によってカタラーゼの過酸化水素分解反応が阻害され、過酸化水素の分解処理能力が低下することが知られている。ゆえに、被処理液中の高濃度の過酸化水素を分解するためには、高濃度のカタラーゼを添加する必要があり、処理コストが高くなってしまうという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、過酸化水素を高濃度に含有する被処理液中の過酸化水素を、迅速かつ低コストで分解処理することが可能な過酸化水素の分解処理方法を目的とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1] 過酸化水素濃度が5g/L以上の被処理液に対して、Aspergillus属に属する微生物から生産されるカタラーゼを用いることを特徴とする過酸化水素の分解処理方法。
[2] 上記Aspergillus属に属する微生物が、Aspergillus nigerであることを特徴とする[1]に記載の過酸化水素の分解処理方法。
[3] 上記被処理液中における上記カタラーゼの添加濃度xと、該カタラーゼが有する酵素活性zとの積を、被処理液中の過酸化水素濃度yで割った値が、下記(1)式を満足することを特徴とする[1]または[2]に記載の過酸化水素の分解処理方法。
250≦xz/y<2500 (1)
本発明の過酸化水素の分解処理方法によれば、高濃度の過酸化水素を含有する被処理液中の過酸化水素を、迅速かつ低コストに分解処理することができる。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、種々のカタラーゼのうち、真菌類に分類されるAspergillus属(アスペルギルス属、別称:コウジカビ属)に属する微生物から生産されるカタラーゼ(以下、Aspergillus属由来のカタラーゼと略することがある。)が、高濃度の過酸化水素に対して反応阻害を受けにくいことを見出して、本発明に至った。すなわち、本発明の過酸化水素の分解処理方法は、カタラーゼを用いた過酸化水素の分解処理方法であって、高濃度の過酸化水素を含有する被処理液、具体的には、過酸化水素濃度が5g/L以上の被処理液に対して、Aspergillus属に属する微生物から生産されるカタラーゼを用いることを特徴とする。
カタラーゼは、酸素呼吸の過程で生物の体内に生じる過酸化水素を、水と酸素とに分解して無害化するための代謝酵素である。酸素呼吸を行う生物の大部分が、その体内にカタラーゼを有している。一般に、カタラーゼは生体内から抽出されても、過酸化水素分解作用を失活することはないため、工業的な目的に利用することができる。
カタラーゼの生産に用いられる微生物としては、Aspergillus属に属する微生物以外にも、例えばMicrococcus属あるいはThermomyces属に属する微生物などを挙げることができる。しかしながら、Micrococcus属あるいはThermomyces属由来のカタラーゼは、被処理液中の過酸化水素濃度が高濃度になると、高濃度の過酸化水素によって反応阻害を受け、過酸化水素の分解能力が著しく低下してしまう。具体的には5g/L以上の過酸化水素濃度において、過酸化水素の分解能力の低下が顕著に見受けられる。その理由としては、カタラーゼを構成するタンパク質が、高濃度の過酸化水素により変性を生じ、その酵素活性が失活あるいは低下するものと推察される。
しかし、Aspergillus属由来のカタラーゼは、5g/L以上といった高濃度の過酸化水素を含有する被処理液中においても反応阻害を受けにくく、他の微生物由来のカタラーゼに比べて、過酸化水素の分解処理能力を高いレベルで維持できる。ゆえに、Aspergillus属由来のカタラーゼを用いれば、高濃度に過酸化水素を含有する被処理液に対して、他の微生物由来のカタラーゼに比べ、顕著に少ない添加量であっても過酸化水素を迅速に分解処理できる。カタラーゼの添加量を少量とすることができるため、過酸化水素の分解処理を低コストに行うことができる。
なお、Aspergillus属由来のカタラーゼが、高濃度の過酸化水素に対する過酸化水素の分解能力を高いレベルで維持できる理由は明らかではないものの、過酸化水素による変性を生じにくいタンパク質構造を有しているものと推察される。
本発明に用いるカタラーゼは、Aspergillus属由来のカタラーゼであれば特に限定されないが、好ましくはAspergillus nigerから生産されるカタラーゼである。特に、Aspergillus nigerから生産されるカタラーゼは、pH2〜7で優れた過酸化水素の分解能力を示す上、高濃度の過酸化水素に対する高い分解処理能力を有している。
Aspergillus属由来のカタラーゼは市販されている。カタラーゼの市販品としては、例えば、オルソーブEZ−752H(オルガノ株式会社製)が挙げられる。
カタラーゼは、その酵素活性が維持できるよう、例えば、緩衝液などの溶液に溶解して保存されることが好ましい。また、カタラーゼには、その保存性を安定させるなどの目的で、塩化ナトリウム、エタノールなどの安定剤、過酸化水素分解助剤として重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤に代表される各種添加剤を混合してもよい。
本発明の過酸化水素の分解処理方法においては、被処理液に添加されたカタラーゼの濃度xと、カタラーゼが有する酵素活性zと、被処理液の過酸化水素濃度yが、下記(1)式を満足することが好ましい。
250≦xz/y<2500 (1)
xは被処理液に添加されたカタラーゼの濃度(g/L)を示す。zは30℃の温度条件下で1分間に1μmolの過酸化水素を分解するカタラーゼの質量を1ユニット(1u)として、これからカタラーゼ1gのユニット数を換算した値であり、カタラーゼが有する過酸化水素の分解能力の強さであるカタラーゼの酵素活性(u/g)を表す。yは被処理液の過酸化水素濃度(g/L)を示す。
なお、酵素活性z(u/g)は、以下の方法により求めることができる。まず、直径30mmの試験管に1/100mol/Lの過酸化水素溶液(pH7)5mlを採取し、30℃の恒温水槽に浸して恒温とする。その後、この過酸化水素溶液に、30℃に保温したカタラーゼ溶液1gを加え、5分間反応させ、5分後の残留過酸化水素濃度を測定する。その測定結果から、カタラーゼによって分解された過酸化水素濃度を求めることで、酵素活性z(u/g)を求めることができる。
Aspergillus属由来のカタラーゼは、(xz/y)が上記式(1)の範囲内において、他の微生物由来のカタラーゼよりも特に顕著な過酸化水素分解率を示す。上記式(1)が250未満においては、カタラーゼの添加濃度xが低すぎるため、過酸化水素分解処理に要する時間が好ましい範囲に比べて長くなる。また、上記式(1)が2500以上の場合は、カタラーゼの添加濃度xが高く、Aspergillus属由来のカタラーゼだけでなく、他の微生物由来のカタラーゼも高い過酸化水素分解率を示す。したがって、少ない添加量で過酸化水素を迅速に分解できるというAspergillus属由来のカタラーゼの優位性が発揮されにくくなる。
本発明の過酸化水素の分解処理方法によれば、過酸化水素濃度が高濃度(5g/L以上)に含有される被処理液であっても、過酸化水素による反応阻害を受けにくいAspergillus属由来のカタラーゼを用いるため、カタラーゼを大量に添加する必要はなく、少ない添加量で迅速な過酸化水素の分解処理を行うことができる。また、カタラーゼの添加量が少なくて済むため、過酸化水素の分解処理を低コストに行うことができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。なお、本実施例で使用したカタラーゼの種類、及び残留過酸化水素の測定方法を以下に示す。
(使用したカタラーゼ)
実施例1、2、及び比較例3−1は、下記(1)に示す微生物由来のカタラーゼを用いた。比較例1−1、2−1、及び3−2は、(2)示す微生物由来のカタラーゼを用いた。比較例1−2、2−2、及び3−3は、(3)に示す微生物由来のカタラーゼを用いた。なお、これら3種類のカタラーゼの酵素活性zはいずれも50,000(u/g)の酵素活性を示すカタラーゼとした。
(1)Aspergillus niger由来のカタラーゼ
(2)Thermomyces lanuginosus由来のカタラーゼ
(3)Micrococcus lysodeikticus由来のカタラーゼ
(残留過酸化水素の測定方法)
残留過酸化水素濃度は、ヨウ素滴定法により求められた。以下にヨウ素滴定法を示す。
まず、試料を適量(5ml程度)試験管に採取し、そこに、1N硫酸溶液を2ml、10%ヨウ化カリウム溶液を1ml、1%モリブデン酸アンモニウム溶液を1滴(約0.05ml)添加した。このようにして、硫酸酸性下で残留過酸化水素の作用により遊離したヨウ素を、1/100Nチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。滴定によって得られた滴定値を元に、下記式を用いて残留過酸化水素濃度を求めた。
残留過酸化水素濃度(mg/L)
=((滴定値(ml)−盲検値(ml))×170/試料量(ml)
(実施例1)
pH7.0、過酸化水素濃度10g/Lの過酸化水素溶液を被処理液として用意し、この被処理液を6つに分注した。次いで、分注した各被処理液中のカタラーゼの添加濃度xがそれぞれ0g/L、0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.25g/L、0.5g/LとなるようにAspergillus niger由来のカタラーゼを添加し、温度条件20℃、反応時間を30分として過酸化水素の分解処理を行い、反応時間経過後の残留過酸化水素濃度を測定することにより、過酸化水素の分解率を求めた。カタラーゼの添加濃度x、xz/y、及び過酸化水素分解率を表1に示す。また、横軸をxz/y、縦軸を過酸化水素分解率としたグラフを図1に示す。
(実施例2)
pH7.0、過酸化水素濃度5g/Lの過酸化水素溶液を被処理液として用意し、この被処理液を5つに分注した。次いで、分注した各被処理液中のカタラーゼの添加濃度xがそれぞれ0g/L、0.025g/L、0.05g/L、0.125g/L、0.25g/LとなるようにAspergillus niger由来のカタラーゼを添加し、温度条件20℃、反応時間を30分として過酸化水素の分解処理を行い、反応時間経過後の残留過酸化水素濃度を測定することにより、過酸化水素分解率を求めた。カタラーゼの添加濃度x、xz/y、及び過酸化水素分解率を表2に示す。また、横軸をxz/y、縦軸を過酸化水素分解率としたグラフを図2に示す。
(比較例1−1)
Thermomyces lanuginosus由来のカタラーゼを用いたこと以外は実施例1と同様にして過酸化水素の分解を行い、反応時間経過後の残留過酸化水素濃度を測定することにより、過酸化水素分解率を求めた。カタラーゼの添加濃度x、xz/y、及び過酸化水素分解率を表1に示す。また、横軸をxz/y、縦軸を過酸化水素分解率としたグラフを図1に示す。
(比較例1−2)
Micrococcus lysodeikticus由来のカタラーゼを用いたこと以外は実施例1と同様にして過酸化水素の分解を行い、反応時間経過後の残留過酸化水素濃度を測定することにより、過酸化水素分解率を求めた。カタラーゼの添加濃度x、xz/y、及び過酸化水素分解率を表1に示す。また、横軸をxz/y、縦軸を過酸化水素分解率としたグラフを図1に示す。
(比較例2−1)
Thermomyces lanuginosus由来のカタラーゼを用いたこと以外は実施例2と同様にして過酸化水素の分解を行い、反応時間経過後の残留過酸化水素濃度を測定することにより、過酸化水素分解率を求めた。カタラーゼの添加濃度x、xz/y、及び過酸化水素分解率を表2に示す。また、横軸をxz/y、縦軸を過酸化水素分解率としたグラフを図2に示す。
(比較例2−2)
Micrococcus lysodeikticus由来のカタラーゼを用いたこと以外は実施例2と同様にして過酸化水素の分解を行い、反応時間経過後の残留過酸化水素濃度を測定することにより、過酸化水素分解率を求めた。カタラーゼの添加濃度x、xz/y、及び過酸化水素分解率を表2に示す。また、横軸をxz/y、縦軸を過酸化水素分解率としたグラフを図2に示す。
(比較例3−1)
pH7.0、過酸化水素濃度1g/Lの過酸化水素溶液を被処理液として用意し、この被処理液を6つに分注した。次いで、分注した被処理液中のカタラーゼの添加濃度xがそれぞれ0g/L、0.001g/L、0.005g/L、0.01g/L、0.025g/L、0.05g/LとなるようにAspergillus niger由来のカタラーゼを添加し、温度条件20℃、反応時間を30分として過酸化水素の分解処理を行い、反応時間経過後の残留過酸化水素濃度を測定することにより、過酸化水素分解率を求めた。カタラーゼの添加濃度x、xz/y、及び過酸化水素分解率を表3に示す。また、横軸をxz/y、縦軸を過酸化水素分解率としたグラフを図3に示す。
(比較例3−2)
Thermomyces lanuginosus由来のカタラーゼを用いたこと以外は比較例3−1と同様にして過酸化水素の分解を行い、反応時間経過後の残留過酸化水素濃度を測定することにより、過酸化水素分解率を求めた。カタラーゼの添加濃度x、xz/y、及び過酸化水素分解率を表3に示す。また、横軸をxz/y、縦軸を過酸化水素分解率としたグラフを図3に示す。
(比較例3−3)
Micrococcus lysodeikticus由来のカタラーゼを用いたこと以外は比較例3−1と同様にして過酸化水素の分解を行い、反応時間経過後の残留過酸化水素濃度を測定することにより、過酸化水素分解率を求めた。カタラーゼの添加濃度x、xz/y、及び過酸化水素分解率を表3に示す。また、横軸をxz/y、縦軸を過酸化水素分解率としたグラフを図3に示す。
Figure 2008279387
Figure 2008279387
Figure 2008279387
(評価)
表1に示すように、過酸化水素濃度を10g/Lとした被処理液の過酸化水素を30分間で95%以上分解するのに必要なカタラーゼ濃度は、比較例1−1、1−2では0.5g/Lであったのに対して、実施例1では0.05g/Lを示した。すなわち、実施例1は、比較例1−1、1−2の1/10程度のカタラーゼ添加量でも充分な過酸化水素分解能力を発揮することが確認された。
また、図1のグラフを見ても明らかなように、実施例1は、比較例1−1、1−2に比べて高い過酸化水素分解率を示した。特に、250≦xz/y<2500においては、各比較例に比べて顕著な過酸化水素分解率を示した。
これにより、10g/Lもの高濃度の過酸化水素を含有した被処理液に対し、実施例1で用いたAspergillus属由来のカタラーゼは、他の微生物由来のカタラーゼに比べて、その添加量を大幅に少なくしても、優れた過酸化水素分解能力を有することが確認された。また反応時間30分という限られた時間内であっても、優れた過酸化水素の分解処理能力を示し、過酸化水素を迅速に分解処理できることが確認された。
表2に示すように、過酸化水素濃度を5g/Lとした被処理液の過酸化水素を、30分間で95%以上分解するのに必要なカタラーゼ濃度は、比較例2−1、2−2では0.25g/Lであったのに対して、実施例2では0.025g/Lであった。すなわち、実施例2は、比較例2−1、2−2の1/10程度の添加量でも充分な過酸化水素分解能力を発揮することが確認された。
また、図2のグラフを見ても明らかなように、実施例2は、比較例2−1、2−2に比べて高い過酸化水素分解率を示した。特に、250≦xz/y<2500においては、各比較例に比べて極めて顕著な過酸化水素分解率を示した。
これにより、5g/Lもの高濃度の過酸化水素を含有した被処理液に対し、実施例2で用いたAspergillus属由来のカタラーゼは、他の微生物由来のカタラーゼに比べて、その添加量を大幅に少なくしても、優れた過酸化水素分解能力を有することが確認された。また反応時間30分という限られた時間内であっても、優れた過酸化水素の分解処理能力を示し、過酸化水素を迅速に分解処理できることが確認された。
表3に示すように、過酸化水素濃度を1g/Lとした被処理液の過酸化水素を、30分間で95%以上分解するのに必要なカタラーゼ濃度は、比較例3−2及び比較例3−3では0.05g/Lであったのに対して、比較例3−1では0.025g/Lであった。すなわち、比較例3−1で用いたAspergillus niger由来のカタラーゼは、他の比較例で用いたカタラーゼに比べて、比較例3−2、3−3の1/2程度の添加量でも充分な過酸化水素分解能力を発揮することが確認されたが、1/10程度の添加量まで低減するには至らなかった。
本発明の過酸化水素の分解処理方法によれば、過酸化水素濃度が高濃度(5g/L以上)に含有される被処理液であっても、過酸化水素による反応阻害を受けにくいAspergillus属由来のカタラーゼを用いるため、カタラーゼを大量に添加する必要はなく、少ない添加量で迅速な過酸化水素の分解処理を行うことができる。また、カタラーゼの添加量が少なくて済むため、過酸化水素の分解処理を低コストに行うことができる。
過酸化水素濃度を10g/Lとした被処理液を各種カタラーゼで分解したときの過酸化水素分解率と、xz/yとの関係を示すグラフ。 過酸化水素濃度を5g/Lとした被処理液を各種カタラーゼで分解したときの過酸化水素分解率と、xz/yとの関係を示すグラフ。 過酸化水素濃度を1g/Lとした被処理液を各種カタラーゼで分解したときの過酸化水素分解率と、xz/yとの関係を示すグラフ。

Claims (3)

  1. 過酸化水素濃度が5g/L以上の被処理液に対して、Aspergillus属に属する微生物から生産されるカタラーゼを用いることを特徴とする過酸化水素の分解処理方法。
  2. 上記Aspergillus属に属する微生物が、Aspergillus nigerであることを特徴とする請求項1に記載の過酸化水素の分解処理方法。
  3. 上記被処理液に添加されたカタラーゼの濃度xと、該カタラーゼが有する酵素活性zと、上記被処理液の過酸化水素濃度yが、下記(1)式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の過酸化水素の分解処理方法。
    250≦xz/y<2500 (1)

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