JP2008275037A - 転がり軸受及びスイングアーム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、簡易な構成で、低発塵性を維持しながらも、長寿命化を図ることができ、低トルク性も改善された転がり軸受を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、外輪(2)と、内輪(3)と、複数の転動体(5)と、円環状の合成樹脂製保持器(7)と、外輪(2)の内周面の端部近傍から内輪(3)の外周面の端部近傍まで設けられた剛性シール板(9)を備え、剛性シール板(9)と外輪(2)及び内輪(3)とで画成される空隙内にグリース組成物(12)が封入される転がり軸受であって、互いに非接触に近接対面する剛性シール板の端部(9c)及び内輪外周部(3a)の少なくとも一方に付着され、グリース組成物で濡らされ難い成分を含む撥油膜(11)を備えている、転がり軸受(1)を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、外輪(2)と、内輪(3)と、複数の転動体(5)と、円環状の合成樹脂製保持器(7)と、外輪(2)の内周面の端部近傍から内輪(3)の外周面の端部近傍まで設けられた剛性シール板(9)を備え、剛性シール板(9)と外輪(2)及び内輪(3)とで画成される空隙内にグリース組成物(12)が封入される転がり軸受であって、互いに非接触に近接対面する剛性シール板の端部(9c)及び内輪外周部(3a)の少なくとも一方に付着され、グリース組成物で濡らされ難い成分を含む撥油膜(11)を備えている、転がり軸受(1)を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハードディスクドライブ(以下、HDDと称する。)等の磁気ディスクを揺動支承するスイングアーム用転がり軸受に関し、詳しくは低発塵性及び長寿命化特性を有するHDD用転がり軸受に関する。
HDD装置において動作する部品の中には、スイングアームのような揺動運動部分がある。このような転がり軸受においては、長寿命化を図るためにできるだけ多量の潤滑油を転がり軸受内部に封入する必要がある反面、磁気ヘッドや磁気ディスクを汚染しないように潤滑油の滲み出しを防止する必要がある。滲み出しの防止が不十分であると、長期間使用することにより、潤滑油が枯渇して寿命が低下することも懸念される。
例えば、特開平8−283767号公報(特許文献1)や特開平8−303467号公報(特許文献2)には、HDD等の情報処理装置における回転部分を支承する軸受として、潤滑油を用いた低発塵性で長寿命の転がり軸受が開示されている。
図4に従来のHDD用転がり軸受の断面図を、図5に図4の一部拡大図を示す。
図4に示すように、従来の転がり軸受20は、外輪22と、内輪23と、転動体25と、保持器27と、シール板29とから構成されている。そして、シール板29は、その一端部29aを外輪22の内周面凹部22aにかしめて取り付けられている。一方、シール板29の他端部29cは、内輪23の外周面凹部23aに近接して設けられ、両者間にラビリンスシール部28を形成している。
しかしながら、従来の転がり軸受においては、図6に示すようにシール板29の一端部29aをかしめ加工しやすくするため、変形補助用に円周方向へ放射状に複数のスリット孔29bを形成している。したがって、これらスリット孔29bを伝って潤滑油が軸受内部から外部に漏れ出すという問題がある。また、ラビリンスシール部28は非接触シールであるので、潤滑油はここからも外部に漏れ出す可能性がある。そして、潤滑油が漏れ出して、磁気ディスクや磁気ヘッド等を汚染すると、ヘッドクラッシュの原因となる。
また、軸受を長寿命化するには潤滑油の封入量を多くすることが望ましい。しかしながら、軸受内部の潤滑油量を多くすると、潤滑油が軸受外部に漏れやすくなるので、発塵量も増大するという問題があり、上記と同様に故障の原因となる。
そして、長期潤滑耐久性において、スイングアーム用転がり軸受は揺動回転であるため、厳しい潤滑条件下にあるといえる。長期的には潤滑油の蒸発による耐久性低下も懸念される。
特開2003−254342号公報(特許文献3)には、撥油処理をシールやすきまに施しグリースを軸受に封入することによって低トルク性を上げた玉軸受が開示されている。この玉軸受では、「密封玉軸受に極端に粘度の低いグリースを使用することは、シール部材からグリースが漏れ易くなってしまうので好ましくない。」とされ(段落0005)、比較的粘度の高いグリースを用い、グリースの流動性を向上させるために、軸受空間を囲む部材の表面の少なくともいずれかに撥油性を持たせている。そして、グリースは、芯材である芯金16bをゴム16aで覆ったシール部材16によって仕切られた空間に封入されているが、かかる構造は複雑である上に、撥油剤との相性によっては、ゴム16a等のシール部材16表面を劣化させる可能性もある(特許文献2、段落0013等を参照)。
特開平8−283767号公報
特開平8−303467号公報
特開2003−254342号公報
そこで、本発明は、より簡易な構成で、低発塵性を維持しながらも、長寿命化を図ることができ、低トルク性も改善された転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、剛性シール板と外輪内周面に弾性部材を配置し、且つ、互いに非接触に近接対面する剛性シール板の内輪側端部と内輪外周部の少なくとも一方に撥油膜を設ける一方で、グリース組成物に所定量の粘度指数向上剤を添加することにより、ちょう度の高いグリース組成物を用いても外部に漏れ出すことがなく、その結果、低トルク性、低発塵性に優れ、長寿命の転がり軸受を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の転がり軸受は、内周面に外輪軌道を持つ外輪と、外周面に内輪軌道を持つ内輪と、該内輪軌道及び外輪軌道の間に転動自在に設けられた複数の転動体と、該転動体を等配に保持する円環状の保持器と、前記外輪の内周面の端部近傍から前記内輪の外周面の端部近傍まで設けられた剛性シール板と、を有し、前記剛性シール板と前記外輪と前記内輪とで画成される空隙内にグリース組成物が封入された転がり軸受であって、前記剛性シール板の前記外輪側端部に取り付けられ、前記外輪の内周面に形成された凹所に当接される弾性部材と、互いに非接触に近接対面する前記剛性シール板の端部及び前記内輪外周部の少なくとも一方に付着され、前記グリース組成物で濡らされ難い成分を含む撥油膜と、を備え、前記グリース組成物のちょう度が310以上であり、粘度指数向上剤がグリース組成物全量の0.1〜10質量%配合されていることを特徴とする。
このような構成によれば、内輪の外周面とシール板の非接触端部の少なくとも一方に、グリース組成物で濡らされ難い成分を含む撥油膜が形成されているので、粘度の低いグリース組成物を封入する場合であっても、この撥油膜によってグリース組成物がはじかれ、グリース組成物の外部への滲み出しが防止でき、長寿命化を達成できる。
また、弾性部材で封止されているので、剛性シールの一端部と外輪の内周面に形成された凹所の機密性が高まり、軸受内部からの発塵がさらに抑制される。
さらに、ポリマー等の粘度指数向上剤を加えることにより、ちょう度が高く非常に軟らかいグリース組成物であっても離油が生じ難く、滲み出すことなく空隙内に封入できるので、低トルク性に極めて優れている。
また、本発明の転がり軸受は、保持器を、潤滑剤を含有する合成樹脂製とすることが好ましい。
このような構成によれば、転がり軸受の回転とともに潤滑剤が保持器の表面に滲み出し、この潤滑油が長期にわたり潤滑面に供給されるのでさらに耐久性を向上させることができる。
上述のような本発明の転がり軸受は、低トルク性、低発塵性に優れているので、特に、HDD等の磁気ヘッドを揺動支承するスイングアームに好適に用いられる。
本発明の転がり軸受は、内輪の外周面とシール板の非接触端部の少なくとも一方に形成されたグリース組成物で濡らされ難い成分を含む撥油膜と、シール板と外輪内周面との間に固定された弾性部材とを設け、さらに、グリース組成物に粘度指数向上剤を加えることにより、粘度の低いグリース組成物を封入しても、外部にグリース組成物が滲み出すのを防ぐことができる。その結果、本発明に係る転がり軸受は低トルク性、低発塵性、及び耐久性に優れたものとなる。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1〜図3に本発明に係る転がり軸受の一例を示す。図1は、本発明に係る転がり軸受1の断面図である。
図1に示すように、転がり軸受1は、内周面に外輪軌道を持つ中空円筒状の外輪2と、外周面に内輪軌道を持つ中空円筒状の内輪3と、内輪軌道及び外輪軌道の間に転動自在に設けられた複数の転動体5と、転動体5を等配に保持し、円環状の保持器7と、外輪2の内周面の端部近傍から内輪3の外周面の端部近傍まで設けられた金属製の剛性シール板9とを有し、該剛性シール板9と外輪2及び内輪3とで画成される空隙内にグリース組成物12が封入されている。
図2に、図1に示した転がり軸受1の剛性シール板9の一端部9c及び内輪3の外周部の近傍の図を示し、図3に、該剛性シール板9の他端部9a近傍の図を示す。図2に示すように、互いに非接触に近接対面する剛性シール板9の一端部9c及び内輪3の外周部3aの両者には、グリース組成物で濡らされ難い成分を含む撥油膜11が形成され、ラビリンスシール部8Aが形成されている。このように構成すると、ラビリンスシール部8Aにおいては、撥油膜11によってグリース組成物12がはじかれ、グリース組成物12の軸受外部への滲み出しが有効に防止されるようになる。粘度指数向上剤を添加されていれば、ちょう度310以上のグリース組成物であっても滲み出しを有効に防止することができるので、かかるグリース組成物を用いることによって非常にトルクを小さくすることができ、発塵量も抑制される。
撥油膜11は、例えば撥油剤を塗布、または、内部にグリース組成物を注入した転がり軸受に対して外部から撥油剤をその軸受全体にスプレーすることにより、形成することができる。撥油剤は、必要に応じて溶剤で希釈して用いてもよい。図2では、撥油膜11は、内輪の外周面3aと、シール板の非接触端部9cのいずれにも形成されているが、対向面の少なくとも一方に形成すれば足りる。また、転がり接触面(玉やころ等の転動体の転動面、内輪軌道及び外輪軌道)以外の部分であれば、特に制約なく撥油膜11を形成してもよい。
ここで、撥油剤中の撥油成分としては、例えば、フッ素系界面活性剤、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系ポリマー等のフッ素系処理剤が挙げられる。好ましくは、上述したフッ素系界面活性剤であって親油基と疎水基とを分子構造上に併せ持つ有機化合物を用いることができる。
図3に、剛性シール板9の外輪側端部9aに取り付けられ、外輪の内周面9aに当接される弾性部材10Aを示す。弾性部材10Aは、剛性シール板9の内側面9bの一部及び他端部9aにわたり、接着剤によって接着されている。弾性部材10Aの端部は、外輪内周面の凹所2aに嵌め込まれ、両者は接着されている。また、接触シール部においては、弾性部材10Aにより剛性シール板の一端部9aと外輪内周面の凹所2aの機密性が高まり、軸受内部からの発塵をさらに抑制することができる。
弾性部材10Aとしては、ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、合成樹脂(46、66ナイロン等のアミド樹脂)、ウレタンゴムのうち一種又は、二種以上を混合したものを用いることができる。剛性シール板は、耐食性に優れた変形しにくい金属、合金、剛性樹脂を用いてつくることができる。なお、弾性部材は、フッ素系の撥油剤を0.01〜3重量%の割合で含み、かつ、剛性シール板の内側面の一部を覆うように貼付されていることが好ましい。フッ素系撥油剤は0.01重量%以下の含有量では撥油効果がなく、3重量%以上の含有量では弾性部材との混合状態が不良となり、撥油剤が弾性部材から分離して漏れを生じる傾向がある。尚、弾性部材10Aは、剛性シール板9の内側面9bの全面を覆うようにすると、弾性部材10Aと剛性シール板9の相互密着性が高まり、両者の一体化が一層良好になる。
本発明の転がり軸受に用いられる保持器7は、予め潤滑剤を含有させた合成樹脂製保持器であることが好ましい。潤滑剤は、保持器7の重量に対して、0.1〜80重量%とすることが好適である。予め潤滑剤を含有させておくことにより、転がり軸受の回転とともに潤滑剤が保持器7の表面に滲み出し、この潤滑油が長期にわたり潤滑面に供給されて耐久寿命を延長させることが可能となる。
ここで、保持器7の含油量は多くなればなるほど潤滑寿命は長くなるが、その反面、保持器の機械的強度は低下する。保持器にもある程度機械的強度が要求されるため、潤滑油の含有量を抑えて機械的強度を維持することが好ましい。しかしながら、スイングアームのような往復揺動部分に使用される転がり軸受では、保持器にそれほど高い機械的強度が要求されないため、含油量を高めて潤滑寿命を延ばすことができ、80重量%までの含油量が可能である。特に好ましい含油量は、1〜70重量%である。なお、含油量の下限は、0.1重量%であり、これより少ないと保持器からの供給量が少なすぎて潤滑面での優位さが現れない。
保持器への潤滑油の含油方法は、保持器を潤滑油中に浸漬する方法や樹脂に潤滑油を混練し成形する方法がある。3重量%以下の含油の場合は、保持器を潤滑油中に浸漬する方法が簡便であるが、それ以上の多量の潤滑油を保持器に含油させる場合は後者の手法を用いる。その際、保持器を形成している樹脂の種類、或いは、樹脂と潤滑油との組み合わせにより樹脂の潤滑油保持能力が異なるため、これらを考慮する必要がある。
本発明に係る転がり軸受に封入するグリース組成物の基油の種類は、特に限定されるものではなく、グリースや潤滑油の基油として一般的に使用されるものであれば、問題なく使用することができる。
基油の具体例としては、鉱油、合成油、及び動植物油等が挙げられる。鉱油としては減圧蒸留、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を適宜組み合わせて、粘度指数が100以上となるように精製した鉱油が好ましい。より好ましくは、粘度指数が120以上となるように精製した、いわゆる高精製度鉱油が用いられる。
合成油としては、合成炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油、フッ素油等が挙げられる。
合成炭化水素油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンとのコオリゴマー等のポリα−オレフィン又はその水素化物などが挙げられる。また、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、ポリアルキルベンゼン等のアルキルベンゼンや、モノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレンなども挙げられる。
また、エステル油としては、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチルアセチルリシノレート等のジエステル油、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル油、一塩基酸及び二塩基酸の混合脂肪酸と多価アルコールとのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油などが挙げられる。
さらに、エーテル油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール、モノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油などが挙げられる。また、耐熱性を考慮すると、チオエーテル系のエーテル油も好適である。例えば、(ジ)アルキルジフェニルチオエーテル油、(ジ)アルキルポリフェニルチオエーテル油、テトラフェニルチオエーテル油、ペンタフェニルチオエーテル油が挙げられる。
上記以外の合成油としては、トリクレジルフォスフェート、パーフルオロアルキルエーテル油などが挙げられる。また、動植物油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の油脂系油又はその水素化物などが挙げられる。これらの基油は単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられるグリース組成物に添加される増ちょう剤の種類は特に限定されるものではなく、用途や使用条件に応じて適宜選択することができる。但し、グリース組成物は、ちょう度が310以上となるように調製することが好ましく、その意味で、通常よりも少なく配合することが好ましい。
増ちょう剤としては、金属石けん(金属は、アルミニウム、バリウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム等)や、金属複合石けん(金属は、リチウム、カルシウム、アルミニウム等)が挙げられる。また、ウレア化合物(ジウレア、トリウレア、テトラウレア、ポリウレア等)、無機系化合物(シリカゲル、ベントナイト等)、ウレタン化合物、ウレア・ウレタン化合物、ナトリウムテレフタラメート化合物も使用することができる。
本発明の転がり軸受をHDDに使用する場合には、内部の静粛性が最も重要な要素の一つであるため、特に音響が小さいリチウム石けんを添加することが好ましい。
本発明に用いられる粘度指数向上剤の種類は特に限定されないが、例えば、ポリメタクリレート系、オレフィンコポリマー系(ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系)、ポリアルキルスチレン系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系、星状イソプレン系等の粘度指数向上剤を用いることができる。
粘度指数向上剤は、グリース組成物全量の0.1〜10質量%配合されるが、好ましくは0.2〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
次に、表1を参照して、上述した実施形態及び他の実施例と比較例をそれぞれ比較して説明する。ここでは、下記条件に従う実験で得られた値を比較する。
(軸受形式及び潤滑グリース組成物)
供試軸受は、非接触金属シール形(Z形)の単列深溝玉軸受(呼び番号695)である。寸法は、内径5mm×外径13mm×幅4mmである。また供試グリース組成物は、基油として約70mm2/s(40℃)のエステル油、増ちょう剤としてリチウム石けん、粘度指数向上剤としてポリメタクリレートをグリース全量の3質量%含むものであり、注射器により、軸受内部に空間容積の約30容積%封入した。
供試軸受は、非接触金属シール形(Z形)の単列深溝玉軸受(呼び番号695)である。寸法は、内径5mm×外径13mm×幅4mmである。また供試グリース組成物は、基油として約70mm2/s(40℃)のエステル油、増ちょう剤としてリチウム石けん、粘度指数向上剤としてポリメタクリレートをグリース全量の3質量%含むものであり、注射器により、軸受内部に空間容積の約30容積%封入した。
撥油処理には、ノックスガードST−420(日本メクトロン株式会社製)を用いた。本試験の実施例、比較例では、樹脂製の保持器に上記約70mm2/s(40℃)のエステル油を20質量%配合させた。
(発塵量の測定)
発塵量の測定は、アウトパーティクスカウンターを用いて行った。アウトパーティクルカウンターでは、密封された容器内で軸受を7200rpmで回転(外輪回転)させながら、この密封容器にフィルタでろ過した清浄空気を供給し、軸受を通過した空気を測定部に導入し、これにレーザ光を照射して、光を遮る微粒子の数を測定した。この場合に、0.1cf(立法フィート)中に存在する粒形0.1μm以上の微粒子を測定対象として測定した。尚、測定時間は1時間とし、その累計を撥塵量とした。
発塵量の測定は、アウトパーティクスカウンターを用いて行った。アウトパーティクルカウンターでは、密封された容器内で軸受を7200rpmで回転(外輪回転)させながら、この密封容器にフィルタでろ過した清浄空気を供給し、軸受を通過した空気を測定部に導入し、これにレーザ光を照射して、光を遮る微粒子の数を測定した。この場合に、0.1cf(立法フィート)中に存在する粒形0.1μm以上の微粒子を測定対象として測定した。尚、測定時間は1時間とし、その累計を撥塵量とした。
(揺動耐久試験)
上記のとおり、695軸受を使用し、以下の条件でトルクを測定した。
上記のとおり、695軸受を使用し、以下の条件でトルクを測定した。
振動周波数:30Hz
外輪揺動角度:8°
アキシアル荷重:9.8N
サイクル数:1000万回
雰囲気温度:常温(約25℃)
判定基準:試験は、試験後の軸受を分解し、内輪軌道面に摩耗個所の存在しないものを◎(合格)、走行跡のあるものを○(標準)、摩耗の発生しているものを×(不合格)とした。
外輪揺動角度:8°
アキシアル荷重:9.8N
サイクル数:1000万回
雰囲気温度:常温(約25℃)
判定基準:試験は、試験後の軸受を分解し、内輪軌道面に摩耗個所の存在しないものを◎(合格)、走行跡のあるものを○(標準)、摩耗の発生しているものを×(不合格)とした。
(軸受トルク試験)
上記のとおり、695軸受を使用し、以下の条件でトルクを測定した。
上記のとおり、695軸受を使用し、以下の条件でトルクを測定した。
軸受回転速度:1800min-1
アキシアル荷重:9.8N
雰囲気温度:常温(約25℃)
測定方法:試験開始5分後のトルク値を測定
判定基準:測定値をもとに、下記のように評価した。尚、小数点以下2桁目を四捨五入した。単位は「×10-4N・m」である。
アキシアル荷重:9.8N
雰囲気温度:常温(約25℃)
測定方法:試験開始5分後のトルク値を測定
判定基準:測定値をもとに、下記のように評価した。尚、小数点以下2桁目を四捨五入した。単位は「×10-4N・m」である。
○:0.9以下(合格)
△:1〜1.5(標準)
×:1.6以上(不合格)
△:1〜1.5(標準)
×:1.6以上(不合格)
表1に示されるように、本発明に係る転がり軸受である実施例1〜3は、低発塵、低トルクの高品質なものであることがわかった。
ちょう度が低い比較例1及び2は、トルク性能に劣る。また、粘度指数向上剤のポリメタクリレートが、多すぎたり少なすぎたりすると、揺動耐久性に劣ることが観察された。撥油処理をしていない比較例5は、発塵量が非常に多く、明らかに性能の劣るものであった。
Claims (3)
- 内周面に外輪軌道を持つ外輪と、外周面に内輪軌道を持つ内輪と、該内輪軌道及び外輪軌道の間に転動自在に設けられた複数の転動体と、該転動体を等配に保持する円環状の保持器と、前記外輪の内周面の端部近傍から前記内輪の外周面の端部近傍まで設けられた剛性シール板と、を有し、前記剛性シール板と前記外輪と前記内輪とで画成される空隙内にグリース組成物が封入された転がり軸受であって、
前記剛性シール板の前記外輪側端部に取り付けられ、前記外輪の内周面に形成された凹所に当接される弾性部材と、
互いに非接触に近接対面する前記剛性シール板の端部及び前記内輪外周部の少なくとも一方に付着され、前記グリース組成物で濡らされ難い成分を含む撥油膜と、を備え、
前記グリース組成物のちょう度が310以上であり、粘度指数向上剤がグリース組成物全量の0.1〜10質量%配合されている、転がり軸受。 - 前記保持器は、潤滑剤を含有する合成樹脂製である、請求項1に記載の転がり軸受。
- 請求項1または2に記載の転がり軸受を備えるスイングアーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007118025A JP2008275037A (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | 転がり軸受及びスイングアーム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007118025A JP2008275037A (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | 転がり軸受及びスイングアーム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008275037A true JP2008275037A (ja) | 2008-11-13 |
Family
ID=40053244
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007118025A Pending JP2008275037A (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | 転がり軸受及びスイングアーム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008275037A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102278371A (zh) * | 2011-07-18 | 2011-12-14 | 浙江大学 | 磁性滚动轴承 |
JP2012172812A (ja) * | 2011-02-23 | 2012-09-10 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
CN103851072A (zh) * | 2012-12-04 | 2014-06-11 | 株式会社捷太格特 | 滚珠轴承 |
JP2014194265A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-09 | Jfe Steel Corp | 潤滑液の供給方法 |
DE102019131070A1 (de) | 2018-11-19 | 2020-05-20 | Jtekt Corporation | Fettzusammensetzung und Wälzlager |
-
2007
- 2007-04-27 JP JP2007118025A patent/JP2008275037A/ja active Pending
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