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JP2008266196A - ボラジン化合物の製造方法 - Google Patents

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JP2008266196A
JP2008266196A JP2007110672A JP2007110672A JP2008266196A JP 2008266196 A JP2008266196 A JP 2008266196A JP 2007110672 A JP2007110672 A JP 2007110672A JP 2007110672 A JP2007110672 A JP 2007110672A JP 2008266196 A JP2008266196 A JP 2008266196A
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Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Chiho Mizushima
千帆 水島
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

【課題】不純物としての金属元素の含量が少なく、半導体装置の素子膜などに用いても問題のない高純度のボラジン化合物を製造しうる手段を提供する。
【解決手段】水素化ホウ素金属塩と、(RNHX(Rは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させてボラジン化合物を合成する段階を有する、ボラジン化合物の製造方法において、各金属元素(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)の含有量がいずれも100質量ppm以下の水素化ホウ素金属塩、または各金属元素の含有量がいずれも100質量ppm以下のアミン塩の少なくとも一方を反応に用いるか、あるいは、アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)が20質量ppm以下の水素化ホウ素金属塩、またはアルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量が100質量ppm以下のアミン塩の少なくとも一方を反応に用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ボラジン化合物の製造方法に関する。ボラジン化合物は、例えば、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層を形成するために用いられる。
情報機器の高性能化に伴い、LSIのデザインルールは、年々微細になっている。微細なデザインルールのLSI製造においては、LSIを構成する材料も高性能で、微細なLSI上でも機能を果たすものでなければならない。
例えば、LSI中の層間絶縁膜に用いられる材料に関していえば、高い誘電率は信号遅延の原因となる。微細なLSIにおいては、この信号遅延の影響が特に大きい。このため、層間絶縁膜として用いられ得る、新たな低誘電材料の開発が所望されていた。また、層間絶縁膜として使用されるためには、誘電率が低いだけでなく、耐湿性、耐熱性、機械的強度などの特性にも優れている必要がある。
かような要望に応えるものとして、分子内にボラジン環骨格を有するボラジン化合物が提案されている(例えば、特許文献1および2を参照)。ボラジン環骨格を有するボラジン化合物は分子分極率が小さいため、形成される被膜は低誘電率である。その上、形成される被膜は、耐熱性にも優れる。
ボラジン化合物を製造する手法としては、水素化ホウ素金属塩(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)とアミン塩(例えば、メチルアミン塩酸塩)とを溶媒中で反応させる手法が知られている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2000−340689号公報 特開2003−119289号公報 特開2006−327964号公報
ところで、上記の反応により得られたボラジン化合物を分析すると、当該ボラジン化合物中には、不純物として金属元素が含まれ、ボラジン化合物の純度が低下してしまう。かようなボラジン化合物の純度低下は、最終的にはボラジン化合物を用いて製造された半導体の層間絶縁膜などの性能の低下を引き起こしてしまうという問題がある。
そこで本発明は、不純物としての金属元素の含量が少なく、半導体装置の素子膜などに用いても問題のない高純度のボラジン化合物を製造しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、ボラジン化合物の合成原料における不純物としての金属元素の含有量を低い値に制御することで、不純物としての金属元素の含量が少なく、半導体装置の素子膜などに用いても問題のない高純度のボラジン化合物が製造されうることを見出した。
具体的には、ボラジン化合物の合成原料に含まれる各金属元素の含有量が、いずれも所定の値以下の値であると、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1は、水素化ホウ素金属塩と、(RNHX(Rは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させてボラジン化合物を合成する段階を有する、ボラジン化合物の製造方法であって、各金属元素(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)の含有量がいずれも100質量ppm以下の前記水素化ホウ素金属塩、または各金属元素の含有量がいずれも100質量ppm以下の前記アミン塩の少なくとも一方を反応に用いることを特徴とする、ボラジン化合物の製造方法である。
また、本発明者らは、ボラジン化合物の合成原料における不純物としての特定の金属元素(具体的には、アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガン)の総含有量が所定の値以下の値であっても同様に上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第2は、水素化ホウ素金属塩と、(RNHX(Rは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させてボラジン化合物を合成する段階を有する、ボラジン化合物の製造方法であって、アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)が20質量ppm以下の前記水素化ホウ素金属塩、またはアルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量が100質量ppm以下の前記アミン塩の少なくとも一方を反応に用いることを特徴とする、ボラジン化合物の製造方法である。
本発明によれば、不純物としての金属元素の含量が少なく、半導体装置の素子膜などに用いても問題のない高純度のボラジン化合物が製造されうる。
本発明の第1は、水素化ホウ素金属塩と、(RNHX(Rは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させてボラジン化合物を合成する段階を有する、ボラジン化合物の製造方法であって、各金属元素(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)の含有量がいずれも100質量ppm以下の前記水素化ホウ素金属塩、または各金属元素の含有量がいずれも100質量ppm以下の前記アミン塩の少なくとも一方を反応に用いることを特徴とする、ボラジン化合物の製造方法である。
また、本発明の第2は、水素化ホウ素金属塩と、(RNHX(Rは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させてボラジン化合物を合成する段階を有する、ボラジン化合物の製造方法であって、アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)が20質量ppm以下の前記水素化ホウ素金属塩、またはアルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量が100質量ppm以下の前記アミン塩の少なくとも一方を反応に用いることを特徴とする、ボラジン化合物の製造方法である。
以下、本発明の製造方法について、詳細に説明する。
ボラジン化合物の合成段階では、水素化ホウ素金属塩と、(RNHX(Rは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させてボラジン化合物を合成する。
水素化ホウ素金属塩を構成する金属元素は、特に制限されない。前記金属元素の例としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、ランタン、スカンジウム、ユウロピウム、鉄、ニッケル、クロムなどが挙げられ、好ましくは1価の金属元素(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム)または2価の金属元素(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)である。より好ましくは、入手上の利点から、ナトリウム、リチウムまたはカルシウムである。換言すれば、水素化ホウ素金属塩は、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウムまたは水素化ホウ素カルシウムである。
一方、アミン塩((RNHX)において、Rは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)である。そして、Xが硫酸基である場合にはnは2であり、Xがハロゲン原子である場合にはnは1である。ハロゲン原子は、好ましくは塩素原子である。n=2のとき、Rは、同一であっても異なっていてもよい。合成反応の収率や取り扱いの容易性を考慮すると、Rは好ましくは同一のアルキル基または同一のシクロアルキル基である。アルキル基は、直鎖であっても、分岐であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜8個であり、より好ましくは1〜4個であり、さらに好ましくは1個である。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。また、シクロアルキル基の例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。なお、これら以外のアルキル基やシクロアルキル基が用いられてもよい。従って、アミン塩の例としては、塩化アンモニウム(NHCl)、モノメチルアミン塩酸塩(CHNHCl)、モノエチルアミン塩酸塩(CHCHNHCl)、モノメチルアミン臭化水素酸塩(CHNHBr)、モノエチルアミンフッ化水素酸塩(CHCHNHF)、硫酸アンモニウム((NHSO)、モノメチルアミン硫酸塩((CHNHSO)などが挙げられる。
合成原料としての水素化ホウ素金属塩およびアミン塩の種類は、合成するボラジン化合物の構造に応じて選択されうる。例えば、ボラジン環を構成する3つの窒素原子にメチル基が結合しているN,N’,N”−トリメチルボラジンを製造する場合には、アミン塩として、モノメチルアミン塩酸塩などの、Rがメチル基であるアミン塩を用いればよい。
水素化ホウ素金属塩とアミン塩との混合比は、特に限定されないが、アミン塩の使用量を1モルとした場合に、水素化ホウ素金属塩の使用量を1〜1.5モルとすることが好ましい。
合成用の溶媒としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等が挙げられる。
水素化ホウ素金属塩とアミン塩との反応条件は、特に限定されない。反応温度は、好ましくは室温〜250℃であり、より好ましくは50〜240℃であり、さらに好ましくは100〜220℃である。上記範囲で反応させると、水素発生量の制御が容易である。反応温度は、K熱電対などの温度センサーを用いて測定されうる。
ボラジン化合物は、下記式で表される化合物である。
Figure 2008266196
式中、Rは、合成原料の説明の欄でアミン塩について記載した通りであるため、ここでは説明を省略する。ボラジン化合物の例としては、ボラジン、N,N’,N”−トリメチルボラジン、N,N’,N”−トリエチルボラジン、N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(イソプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(イソブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(ネオペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−エチルボラジン、N,N’−ジエチル−N”−メチルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−プロピルボラジンなどが挙げられる。なお、製造されるボラジン化合物の耐水性等の安定性を考慮すると、ボラジン化合物は、N,N’,N”−トリアルキルボラジンであることが好ましい。
本発明は、ボラジン化合物を合成する際の原料として、金属元素含有量の少ない水素化ホウ素金属塩またはアミン塩を用いる点に特徴を有する。
具体的には、本発明の第1においては、各金属元素(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)の含有量がいずれも100質量ppm以下の水素化ホウ素金属塩、または各金属元素の含有量がいずれも100質量ppm以下のアミン塩の少なくとも一方を反応に用いる。なお、水素化ホウ素金属塩はその構成元素として上述したような金属元素を含むが、「金属元素含有量」は不純物としての値であるため、水素化ホウ素金属塩の構成元素としての当該金属元素の量は「金属元素含有量」には含まれないことは当然である。また、「金属元素含有量」の値としては、後述する実施例に記載の手法により得られる値を採用するものとする。
本発明の第1においては、各金属元素の含有量がいずれも80質量ppm以下の水素化ホウ素金属塩またはアミン塩を用いることが好ましく、各金属元素の含有量がいずれも50質量ppm以下の水素化ホウ素金属塩またはアミン塩を用いることがより好ましい。他の好ましい形態では、反応に用いられる水素化ホウ素金属塩およびアミン塩の双方において、各金属元素の含有量が、いずれも好ましくは100質量ppm以下であり、より好ましくは80質量ppm以下であり、さらに好ましくは50質量ppm以下である。かような形態によれば、製造されるボラジン化合物に不純物として含まれる金属元素の含有量がより一層低減され、より高純度のボラジン化合物が製造されうる。
また、本発明の第2においては、アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)が20質量ppm以下の水素化ホウ素金属塩、またはアルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量が100質量ppm以下のアミン塩の少なくとも一方を反応に用いる。なお、本発明の第2においても本発明の第1と同様に、水素化ホウ素金属塩の構成元素としての当該金属元素の量は上記「総含有量」には含まれない。また、上述した金属元素の「総含有量」の値についても、後述する実施例に記載の手法により得られる値を採用するものとする。
本発明の第2において、水素ホウ素金属塩における上述した9種の金属元素の総含有量は、好ましくは15質量ppm以下であり、より好ましくは10質量ppm以下である。また、アミン塩における上述した9種の金属元素の総含有量は、好ましくは80質量ppm以下であり、より好ましくは60質量ppm以下である。他の好ましい形態においては、水素化ホウ素金属塩およびアミン塩の双方において、上述した9種の金属元素の総含有量が上述した好ましい範囲内の値である。かような形態によれば、製造されるボラジン化合物に不純物として含まれる金属元素の含有量がより一層低減され、より高純度のボラジン化合物が製造されうる。
ここで特に、本発明の第1および第2において、水素化ホウ素金属塩における鉄元素含有量は、好ましくは5質量ppm以下であり、より好ましくは4質量ppm以下である。また、水素化ホウ素金属塩における鉛元素含有量は、好ましくは1質量ppm以下であり、より好ましくは0.8質量ppm以下である。
また、本発明の第1および第2において、アミン塩における鉄元素含有量は、好ましくは10質量ppm以下であり、より好ましくは5質量ppm以下である。また、アミン塩における鉛元素含有量は、好ましくは50質量ppm以下であり、より好ましくは30質量ppm以下である。
金属元素含有量がこのように少ない水素化ホウ素金属塩やアミン塩を用いてボラジン化合物を合成することで、合成されたボラジン化合物における不純物としての金属元素の含有量が低減され、半導体装置の素子膜として用いても問題ない高純度のボラジン化合物の合成が可能となる。上記の観点からは、水素化ホウ素金属塩やアミン塩における各金属元素の含有量や金属元素の総含有量は少ないほど好ましく、下限値は特に限定されない。
金属元素含有量が低減された水素化ホウ素金属塩やアミン塩の入手経路は、特に制限されない。金属元素含有量が少ない水素化ホウ素金属塩やアミン塩の商品が市販されている場合には当該商品を購入したものを用いてもよいし、一般に市販されている比較的金属元素の含有量の多い商品を購入した後に、自ら当該商品中の金属元素の含有量を低減させて、ボラジン化合物の合成に用いてもよい。
水素化ホウ素金属塩やアミン塩の金属元素の含有量を自ら低減させる手法についても特に制限されず、化学合成の分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。水素化ホウ素金属塩やアミン塩の金属元素の含有量を自ら低減させる手法の一例としては、例えば、昇華精製法や再結晶法などが挙げられる。なかでも、好ましくは再結晶法が採用されうる。
合成されたボラジン化合物は、必要に応じて精製されうる。ボラジン化合物の精製方法としては、例えば、蒸留精製が用いられる。
蒸留精製装置の大きさや種類は、環境や規模に応じて決定されればよい。例えば、大量のボラジン化合物を処理するのであれば、工業的規模の蒸留塔が用いられうる。少量のボラジン化合物を処理するのであれば、蒸留管を用いた蒸留精製が用いられうる。例えば、少量のボラジン化合物を処理する蒸留装置の具体例としては、3つ口フラスコにクライゼン型の連結管でリービッヒ冷却管を取り付けた蒸留装置が用いられうる。ただし、このような蒸留装置を用いる実施形態に、本発明の技術的範囲が限定されるわけではない。
蒸留精製の際の温度や圧力等の条件は特に制限されず、合成されたボラジン化合物の種類に応じて適宜設定されうる。これらの条件の一例としては、減圧条件(22kPa程度)下で70〜100℃程度で蒸留後、さらに常圧条件下で100〜170℃程度で蒸留精製を行うという形態が例示されうる。
上述したように、本発明の製造方法によれば、不純物としての金属元素の含有量が低減され、高純度のボラジン化合物が製造されうる。ここで、製造されるボラジン化合物における金属元素含有量について特に制限はないが、好ましくはアルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量が1質量ppm以下であり、より好ましくは0.5質量ppm以下であり、さらに好ましくは0.3質量ppm以下である。さらに、製造されたボラジン化合物における各金属元素の含有量についても特に制限はないが、製造されたボラジン化合物における鉄元素含有量は、好ましくは20質量ppb以下であり、より好ましくは15質量ppb以下である。また、製造されたボラジン化合物における鉛元素含有量は、好ましくは20質量ppb以下であり、より好ましくは15質量ppb以下である。ただし、金属元素の含有量がこれらの範囲内の値となる形態のみに、本発明の製造方法の技術的範囲が限定されるわけではない。
製造されたボラジン化合物は、特に限定されないが、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層などの形成に用いられうる。その際には、ボラジン化合物がそのまま用いられてもよいし、ボラジン化合物に改変を加えた化合物が用いられてもよい。ボラジン化合物またはボラジン化合物の誘導体を重合させた重合体を、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層の原料として用いてもよい。以下、「ボラジン化合物」、「ボラジン化合物の誘導体」および「これらに起因する重合体」をまとめて、「ボラジン環含有化合物」と称する。
ボラジン環含有化合物を用いて、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層を形成する手法としては、例えば、ボラジン環含有化合物を含む溶液状またはスラリー状の組成物を調製し、これを所望の部位に塗布することによって、塗膜を形成する手法が用いられうる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明の実施の形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
なお、下記の実施例および比較例において、原料である水素化ホウ素金属塩およびアミン塩における金属元素の含有量は、ICP(発光分光分析器、セイコー電子工業株式会社製)を用いて測定した。また、製造されたボラジン化合物における金属元素の含有量は、ICP−MS(高周波発光質量分析器、株式会社パーキンエルマージャパン製、ELAN DRCII)を用いて測定した。
<実施例>
まず、反応原料である水素化ホウ素金属塩として、水素化ホウ素ナトリウムを準備した。また、同様の反応原料であるアミン塩として、メチルアミン塩酸塩を準備した。準備した水素化ホウ素ナトリウムおよびメチルアミン塩酸塩におけるアルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの9種の金属元素の含有量は、下記の表1に示す通りであった。また、水素化ホウ素ナトリウムについて、他の金属元素の含有量を同様に測定した結果、80質量ppm以上含有される金属元素は存在しなかった。さらに、メチルアミン塩酸塩について、他の金属元素の含有量を同様に測定した結果、50質量ppm以上含有される金属元素は存在しなかった。
Figure 2008266196
滴下漏斗および冷却管を備えた3つ口丸底フラスコ(1000mL)に、窒素置換しながら、上記で準備したメチルアミン塩酸塩(60g)および溶媒であるトリグライム(200g)を仕込み、反応系を150℃まで昇温した。
一方、上記で準備した水素化ホウ素ナトリウム(38g)を別途準備したトリグライム(200g)中に添加して、スラリーを調製した。
上記で調製した水素化ホウ素ナトリウムのスラリーを、上記で150℃に昇温した反応容器に90分間かけてゆっくりと添加した。
スラリー添加終了後、反応系を170℃まで20分間かけて昇温し、さらに170℃にて2時間熟成して、N,N’,N”−トリメチルボラジンを合成した。
その後、冷却管を取り外し、クライゼン連結管およびリービッヒ冷却管を取り付け、反応溶液を3時間かけて170℃から210℃まで昇温させて、N,N’,N”−トリメチルボラジンを蒸留により取り出した。このN,N’,N”−トリメチルボラジンをさらに常圧において155〜160℃の蒸留温度で蒸留し、留出温度130〜133℃の留分を分取して、N,N’,N”−トリメチルボラジンを精製した。この精製操作を合計2回行った。
<比較例>
反応原料である水素化ホウ素金属塩(水素化ホウ素ナトリウム)およびアミン塩(メチルアミン塩酸塩)として、アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの9種の金属元素の含有量が下記の表2に示す値のものを用いたこと以外は、上述した実施例と同様の手法により、N,N’,N”−トリメチルボラジンを得た。また、水素化ホウ素ナトリウムについて、他の金属元素の含有量を同様に測定した結果、カリウムおよびスズがいずれも100質量ppm以上含有されていることが判明した。さらに、メチルアミン塩酸塩について、他の金属元素の含有量を同様に測定した結果、カルシウムが100質量ppm以上含有されていることが判明した。
Figure 2008266196
<評価>
上記の実施例および比較例において得られたN,N’,N”−トリメチルボラジンにおける金属元素含有量を測定した。結果を下記の表3に示す。
Figure 2008266196
以上の実施例および比較例に示す結果から、ボラジン化合物の合成原料である水素化ホウ素金属塩および/アミン塩の金属元素の含有量を低い値に制御することにより、合成されるボラジン化合物に含まれる金属元素の含有量を低減させうることが示される。

Claims (6)

  1. 水素化ホウ素金属塩と、(RNHX(Rは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させてボラジン化合物を合成する段階を有する、ボラジン化合物の製造方法であって、
    各金属元素(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)の含有量がいずれも100質量ppm以下の前記水素化ホウ素金属塩、または各金属元素の含有量がいずれも100質量ppm以下の前記アミン塩の少なくとも一方を反応に用いることを特徴とする、ボラジン化合物の製造方法。
  2. 各金属元素の含有量がいずれも100質量ppm以下の前記水素化ホウ素金属塩、および各金属元素の含有量がいずれも100質量ppm以下の前記アミン塩の双方を反応に用いる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 水素化ホウ素金属塩と、(RNHX(Rは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子であり、nは1または2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させてボラジン化合物を合成する段階を有する、ボラジン化合物の製造方法であって、
    アルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量(ただし、水素化ホウ素金属塩の構成元素の含有量を除く)が20質量ppm以下の前記水素化ホウ素金属塩、またはアルミニウム、亜鉛、クロム、コバルト、鉄、銅、鉛、ニッケル、およびマンガンの総含有量が100質量ppm以下の前記アミン塩の少なくとも一方を反応に用いることを特徴とする、ボラジン化合物の製造方法。
  4. 前記総含有量が20質量ppm以下の前記水素化ホウ素金属塩、および前記総含有量が100質量ppm以下の前記アミン塩の双方を反応に用いる、請求項3に記載の製造方法。
  5. 反応に用いる前記水素化ホウ素金属塩における鉄元素含有量が5質量ppm以下であり、鉛元素含有量が1質量ppm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 反応に用いる前記アミン塩における鉄元素含有量が10質量ppm以下であり、鉛元素含有量が50質量ppm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
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