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JP2008208180A - アクリル系重合体微粒子、その製造方法、及びプラスチゾル組成物、並びにこれを用いた成形品 - Google Patents

アクリル系重合体微粒子、その製造方法、及びプラスチゾル組成物、並びにこれを用いた成形品 Download PDF

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JP2008208180A
JP2008208180A JP2007044636A JP2007044636A JP2008208180A JP 2008208180 A JP2008208180 A JP 2008208180A JP 2007044636 A JP2007044636 A JP 2007044636A JP 2007044636 A JP2007044636 A JP 2007044636A JP 2008208180 A JP2008208180 A JP 2008208180A
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acrylic polymer
polymer
acrylic
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JP2007044636A
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Katsumi Yonekura
克美 米倉
Shinji Saeki
慎二 佐伯
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

【課題】 プラスチゾル組成物とした際の経時安定性が優れ、且つその成形品の柔軟性及び機械的物性が優れた成形品を与えることができるアクリル系重合体微粒子並びにその製造方法を提供すること。
【解決手段】 GPCにより質量平均分子量を測定した際に、150万以上と15万以下に少なくとも1つづつのピークを有するアクリル系重合体微粒子、並びにGPCにより質量平均分子量を測定した際に、150万以上で少なくとも1つのピークを有するアクリル系重合体微粒子の存在下で、単量体を添加、重合することにより、更に、GPCにより質量平均分子量を測定した際に、15万以下で少なくとも一つのピークを有するアクリル系重合体を形成させた後、アクリル系重合体を回収するアクリル系重合体粒子の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明はアクリル系重合体微粒子、その製造方法に関する。また、本発明は、アクリル系重合体微粒子を可塑剤に分散させてなるアクリル系プラスチゾル組成物並びにこれを用いた成形品に関する。更に詳しくは、各種可塑剤に対して、優れた分散性を有し、経時安定性が良好であり、且つ、成形品が優れた柔軟性及び機械的物性を有する為の成形材料として有用なアクリル系プラスチゾル組成物、及びそのアクリル系プラスチゾル組成物を用いて得られる成形品に関する。
重合体微粒子を可塑剤に分散してなるプラスチゾル組成物は一般にペーストレジンと称され、現在工業的に広く用いられている。具体的には、例えば、自動車用、床材用、壁紙用、鋼板用等の用途に使用する被覆剤として、あるいはスラッシュ成形用、ディップ成形用、ローテーション成形用等の成形材料として用いられている。特に、重合体微粒子として塩化ビニル重合体微粒子を用いた塩化ビニル系プラスチゾル組成物が広く使用されている。
しかしながら、塩化ビニル樹脂は、低温で焼却すると猛毒物質であるダイオキシンが発生する等の問題を有している。ダイオキシンの発生量を減らすためには、塩化ビニル系樹脂の使用量を削減することが有効とされている。そこで、重合体微粒子としてアクリル系樹脂微粒子を用いたアクリル系プラスチゾル組成物が提案されている。
近年、アクリル系プラスチゾル組成物への要求性能は更に高くなって来ている。特にプラスチゾル組成物をディップ成形して得られる手袋においては、柔軟性が十分ではなく、特に冬場の低温雰囲気下においては装着し難いという課題がある。また、手袋は、家庭や食堂、病院、研究所、工場等といった広範囲にて使用されるため、用途によっては、従来から広く使用されてきたフタル系可塑剤が環境ホルモン物質としての疑いから使用できない用途もあり、フタル系可塑剤から非フタル系可塑剤まで極性の異なる各種可塑剤に対して、プラスチゾル組成物の経時安定性が優れ、且つその成形品の柔軟性及び機械的物性が優れた成形品を与えることができるプラスチゾル組成物が求められている。
例えば、特許文献1では、コア/シェル構造のアクリル系重合体微粒子を用いたアクリルゾル組成物が提案されている。可塑剤に相溶性の重合体組成のコア重合体と、可塑剤に非相溶性の重合体組成のシェル重合体からなるコア/シェル構造の粒子形状としたアクリル系重合体微粒子を用いたプラスチゾル組成物は、貯蔵時において粘度の経時変化が低くなる傾向にあり、このプラスチゾル組成物を用いて得た成形品は可塑剤のブリードアウトが小さく、且つ優れた柔軟性及び機械的物性を有する成形品が得られる傾向にある。
また、例えば、特許文献2では、アクリル系重合体微粒子の質量平均分子量を200万超とすることでプラスチゾル組成物の経時安定性を向上させる提案がなされている。
WO2000/01748号公報 特開平11−310681号公報
特許文献1に記載される微粒子においては、使用できる可塑剤の選択幅が狭く、極性の異なる可塑剤を使用することができなかった。また、可塑剤に相溶性の重合体組成のコア重合体と、可塑剤に非相溶性の重合体組成のシェル重合体からなるコア/シェル構造の粒子形状としたアクリル系重合体微粒子を用いたプラスチゾル組成物では、コア重合体が可塑剤と相溶し、可塑化されることで成形品の柔軟性が向上するが、分子量が小さく、可塑化されやすいため、ゾル組成物の経時安定性及び成形品の柔軟性が十分ではなかった。一方、シェル重合体は可塑剤と非相溶であるため、粒子内への可塑剤の浸入を妨げ、ゾル組成物の経時安定性は向上し、また、成形品の機械的物性は向上するが、分子量が高く、成形後もコア/シェルの粒子構造を保持するため、成形品の柔軟性が十分ではなかった。
また、特許文献2から得られるプラスチゾル組成物では、成形品の柔軟性が十分ではない。柔軟性を改善させる手段として、可塑剤の含有量を増加させる方法が挙げられるが、この方法では得られた成形品から可塑剤のブリードアウトが多くなり、成形品表面のべたつきが生じ、成形品同士が融着し、使用が困難になる。さらに、成形品の機械的物性が低下し、使用時に裂けたり、穴が開いたりし、手袋としての性能を満足することができなくなる。また、使用できる可塑剤の選択範囲が狭く、ゾル組成物の経時安定性と成形品の柔軟性、機械的物性の両方を高いレベルにすることは極めて困難である。
このように、各種可塑剤に対して、優れた分散性を有し、経時安定性が良好であり、且つ、成形品が優れた柔軟性及び機械的物性を有する為の成形材料として有用なアクリル系重合体微粒子は得られていないのが現状であった。
本発明の目的は、各種可塑剤に対して、プラスチゾル組成物の経時安定性が優れ、且つその成形品の柔軟性及び機械的物性が優れた成形品を与えることができるアクリル系重合体微粒子、その製造方法、その重合体微粒子を用いたアクリル系プラスチゾル組成物、及びその成形品を提供することにある。
即ち本発明の要旨は、GPCにより質量平均分子量を測定した際に、150万以上と15万以下に少なくとも1つづつのピークを有するアクリル系重合体微粒子にある。
また、本発明の要旨は、GPCにより質量平均分子量を測定した際に、150万以上で少なくとも1つのピークを有するアクリル系重合体微粒子の存在下で、単量体を添加、重合することにより、更に、GPCにより質量平均分子量を測定した際に、15万以下で少なくとも一つのピークを有するアクリル系重合体を形成させた後、アクリル系重合体を回収するアクリル系重合体粒子の製造方法にある。
また、本発明の要旨は、前記アクリル系重合体微粒子と可塑剤とを含むアクリル系プラスチゾル組成物にある。
更に本発明の要旨は、前記アクリル系プラスチゾル組成物から得られる成形品にある。
本発明によれば、各種可塑剤に対して、優れた分散性を有し、経時安定性が良好であり、且つ優れた柔軟性及び機械的物性を有する成形品が得られるプラスチゾルとして有用な、アクリル系重合体微粒子およびその製造方法を提供することができる。
アクリル系重合体微粒子
本発明において用いられるアクリル系重合体微粒子は、可塑剤に対して、優れた分散性、経時安定性を有し、且つ加熱によりゲル化し、成形品に所望の物性を付与するための成分である。
本発明のアクリル系重合体微粒子は、GPCにより質量平均分子量を測定した際に、150万以上と15万以下に少なくとも1つづつのピークを有する。
アクリル系重合体微粒子の粒子構造は、必要に応じてプラスチゾル組成物に更なる付加的な物性を導入することができることから、2層以上のコア/シェル構造が好ましい。例えば、可塑剤に相溶性の重合体組成のコア重合体と、可塑剤に非相溶性の重合体組成のシェル重合体からなるコア/シェル構造の粒子形状としたアクリル系重合体微粒子を用いたプラスチゾル組成物は、貯蔵時において粘度の経時変化が低くなる傾向にあり、このプラスチゾル組成物を用いて得た成形品は可塑剤のブリードアウトが小さく、且つ優れた柔軟性及び機械的物性を有する成形品が得られる傾向にある。
コア/シェル型の重合体粒子においては、コア重合体を可塑剤に相溶性ある組成、シェル重合体を、可塑剤に非相溶性の組成とすることが好ましい。
ここでいう可塑剤に相溶性の重合体組成とは、可塑剤と重合体組成を1対1の質量比で混合した後、130〜200℃の成形温度にて成形し、得られた成形品から可塑剤のブリードアウトが認められない重合体組成のことを指す。また、可塑剤に非相溶性の重合体組成とは、前記と同様に混合した後、可塑剤と重合体組成を成形温度にて成形し、得られた成形品から短時間にて可塑剤のブリードアウトが多く認められる重合体組成のことを指す。
この時、GPCにより質量平均分子量を測定した際に、150万以上に少なくとも1つのピークを有するアクリル系重合体をコア重合体として使用することで、樹脂の網目鎖による絡み合いを増加させ、ゾル組成物の貯蔵時の温度下では、可塑剤の粒子中への浸入を抑制し、可塑化を抑えることが可能となり、一方、加熱成形する温度においては、樹脂の網目鎖の熱運動により絡み合いが減じ、可塑剤の粒子中への浸入を妨げることがなく、また、成形品の柔軟性を低下させることなく、ゾル組成物の経時安定性を向上させることが可能となる。
一方、シェル重合体として、GPCにより質量平均分子量を測定した際に、15万以下に少なくとも1つのピークを有するアクリル系重合体を用いることで、ゾル組成物の貯蔵時の温度下では、可塑剤の粒子中への浸入を抑制する性能を低下させることなく、ゾル組成物の経時安定性は保ったまま、ゾル組成物を加熱成形する際に熱溶融性が向上するため、コア/シェル構造の粒子構造が破壊されることなり、相溶性成分のコア重合体が海層となり、非相溶成分のシェル重合体が島となった従来とは異なるモルフォロジーを形成するため、アクリルゾル組成物の経時安定性と成形品の柔軟性、機械的物性、可塑剤のブリードアウト抑制を高いレベルで両立できることが可能となる。
アクリル系重合体微粒子のコア重合体は、ゾル組成物の経時安定性の点から200万以上にピークを有する重合体が好ましく、更に好ましくは250万以上、最も好ましくは300万以上にピークを有する重合体が好適に使用される。また、ゾル組成物中のアクリル系重合体微粒子の溶融性の点から1500万以下にピークを有する重合体が好ましく、1000万以下にピークを有する重合体がより好ましい。
アクリル系重合体微粒子のシェル重合体は、成形品の柔軟性の点から、GPCにより質量平均分子量を測定した際に15万以下にピークを有する重合体が好ましく、10万以下がより好ましく、7万以下がさらに好ましく、4万以下が最も好ましい。、また、ゾル組成物の経時安定性の点から5000以上にピークを有する重合体が好ましく、1万以上がさらに好ましい。
アクリル系重合体微粒子の質量平均分子量と個数平均分子量の比は、特に限定されないが、下限値は、15以上であることが好ましく、20以上がさらに好ましく、30以上が特に好ましい。上限値は、200以下が好ましく、150以下がさらに好ましい。
アクリル系重合体微粒子を構成するコア/シェル比は、コア重合体とシェル重合体の合計を100質量部とした場合、成形品の柔軟性を向上させる点から、コア重合体は50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部以上が特に好ましい。
本発明のアクリル系重合体微粒子は、可塑剤中での分散性が良好となることから、その体積一次平均粒子径は400nm以上であることが好ましい。プラスチゾル組成物の粘度及び経時安定性の観点から450nm以上がより好ましく、500nm以上が特に好ましい。また、粒子径が3μm以下であると粒子が沈殿せずに安定に分散するという観点から好ましい。
アクリル系重合体微粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、乳化重合法、微細懸濁重合法、懸濁重合法など、公知の方法を用いることができる。
その中でも、ソープフリー乳化重合法により調整することが好ましく、シード粒子重合中に乳化剤ミセルが存在すると、粒子径が小さくなるため、重合は、乳化剤ミセルが存在しない中で実施することが好ましい。乳化剤ミセルが存在しない中で重合して得られたシード粒子に、アクリル系不飽和単量体を該シード粒子に添加し、重合させる操作を少なくとも1回行った後、得られた重合体粒子の存在下に、アクリル系不飽和単量体を添加、重合させる操作を少なくとも1回行う。
アクリル系重合体微粒子を構成するアクリル系重合体は(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル系不飽和単量体を主成分として得られる重合体が挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの総称である。
代表的なアクリル系不飽和単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の直鎖アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の環式アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルは容易に入手することができ、工業的な実用化の点で好ましい。但し、これらアクリル系不飽和単量体に限定されるものではない。
更に、上記以外の不飽和単量体を、単独で又は上記不飽和単量体と併用して使用することもできる。その不飽和単量体の例としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸2−サクシノロイルオキシエチル、メタクリル酸2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル等のカルボキシル基含有不飽和単量体;アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸アセトアセトキエチル等のカルボニル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;ウレタン変性(メタ)アクリレート類;エポキシ変性(メタ)アクリレート類;シリコーン変性(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これら不飽和単量体は、用途に応じて使い分けることが可能である。
中でも、メタクリル酸、アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルは容易に入手することができ、工業的な実用化の点で好ましい。但し、これらアクリル系不飽和単量体に限定されるものではない。
アクリル系重合体微粒子を構成するコア重合体の組成は、アクリルゾル組成物の経時安定性と成形品の柔軟性、機械的物性のバランスの点からコア重合体100mol%中、0.1mol%以上のカルボキシル基含有モノマーと5mol%以上のメタクリル酸イソブチルを含有していることが好ましい。カルボキシル基含有モノマーの好ましい範囲は、コア重合体100mol%中、0.1mol%以上が好ましく、0.5mol%以上がより好ましく、1mol%以上が特に好ましい。上限値は、水溶性樹脂が副生し、乾燥時に重合体微粒子同士を結合させるバインダーとなり、アクリル系重合体微粒子の可塑剤中での分散性が低下する点から、コア重合体100mol%中、10mol%以下が好ましく、5mol%以下がより好ましく、3mol%以下が特に好ましい。カルボキシル基含有モノマーとしては、容易に入手することができ、アクリル系不飽和単量体との共重合性が優れることからメタクリル酸、アクリル酸が好ましい。
メタクリル酸イソブチルの好ましい範囲は、コア重合体100mol%中、5mol%以上とすることが好ましく、10mol%以上がより好ましく、15mol%以上が特に好ましい。上限値は、コア重合体100mol%中、90mol%以下が好ましく、80mol%以下が特に好ましい。
さらに詳しくは、カルボキシル基含有モノマーを特定の添加量用いることで、粒子表面にカルボキシル基を導入することが可能となり、乾燥時の重合体一次微粒子同士の熱融着が抑制され、その結果、可塑剤中でのアクリル系重合体微粒子の分散性が向上し、アクリルゾル組成物の経時安定性と成形品の柔軟性、機械的物性を高いレベルで両立できることが可能となる。また、メタクリル酸イソブチルを特定の添加量を用いることで、可塑剤に対する相溶性を低下させることなく、コア重合体のガラス転移温度を上げることができるため、乾燥時の重合体一次微粒子同士の熱融着を抑制することが可能となり、その結果、可塑剤中での重合体一次微粒子レベルでの分散が可能となり、アクリルゾル組成物の経時安定性と成形品の柔軟性、機械的物性、可塑剤のブリードアウト抑制を高いレベルで両立できることが可能となる。
アクリル系重合体微粒子を構成するシェル重合体は、ゾル組成物の経時安定性の点から、カルボキシル基含有モノマーを多段に増加させた2層以上のシェル重合体とすることが好ましい。カルボキシル基含有モノマーとしては、容易に入手することができ、アクリル系不飽和単量体との共重合性が優れることからメタクリル酸、アクリル酸が好ましい。各々の層のシェル重合体のカルボキシル基含有モノマーの好ましい範囲の下限値は、シェル重合体100mol%中、1mol%以上が好ましく、3mol%以上がより好ましく、5mol%以上が特に好ましい。上限値は、水溶性樹脂が副生し、アクリル系重合体微粒子の可塑剤中での分散性が低下する点から、シェル重合体100mol%中、25mol%以下が好ましく、20mol%以下がより好ましく、15mol%以下が特に好ましい。
ソープフリー乳化重合によりシード粒子を作製する場合に使用される重合開始剤としては、水分散媒に可溶な重合開始剤であれば特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性過酸化物;アゾビスシアノ吉草酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などの水溶性アゾ化合物などを挙げることができる、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
また、前記した重合開始剤とともに、還元剤を併用したレドックス開始剤系を用いてもよい。還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩などを挙げることができる。この中でも、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等が好ましく、重合体微粒子の凝集が少なくなりやすい点で、過硫酸カリウムを使用することがより好ましい。また、この重合開始剤の使用量は特に限定されないが、重合体微粒子のコア重合体の質量平均分子量を150万以上とする場合には、重合体微粒子を構成する不飽和単量体100質量部に対して、0.01質量部以下が好ましく、0.005質量部以下がより好ましく、0.003質量部以下が特に好ましい。
重合体微粒子の体積一次粒子径が400nm以上と大きくなると、質量平均分子量を150万以上とすることは非常に困難となり、少量の溶存酸素にて重合が失活しやすくなる。従って、高分子量アクリル重合体微粒子を製造するには、重合開始剤の量を極めて少なくし、かつ、反応系水相の酸素濃度を低く保持した条件で反応させることが必要である。
また、シェル重合体として、GPCにより質量平均分子量を測定した際に、15万以下でピークを有する重合体を使用する場合、シェル重合体を重合する際に連鎖移動剤の添加または/及び重合開始剤の追加投入を行うことが好ましい。連鎖移動剤としては、特に限定されず、公知の連鎖移動剤から適宜選択して使用すれば良いが、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸トリデシル等が挙げられる。連鎖移動剤の添加量は特に制限されないが、質量平均分子量を15万以下とする点から、シェル重合体の不飽和単量体100質量部に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.6質量%以上が特に好ましい。
追加の重合開始剤としては、特に限定されないが、具体例としては、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジt−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシドなどの油溶性過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)などの油溶性アゾ化合物;過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性過酸化物;アゾビスシアノ吉草酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸
塩などの水溶性アゾ化合物などを挙げることができる、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。また、前記した重合開始剤とともに、還元剤、および必要に応じてキレート化剤を併用したレドックス開始剤系を用いてもよい。還元剤としては、例えば、ロンガリット(ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート)などのアルカリ金属ホルムアルデヒドスルホキシレート類;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩;ピロ亜硫酸ナトリウムなどのピロ亜硫酸塩;チオ硫酸ナトリウム、二酸化チオ尿素などのチオ硫酸塩;亜リン酸、亜リン酸ナトリウムなどの亜リン酸またはその塩類;ピロ亜リン酸ナトリウムなどのピロ亜リン酸塩;メルカプタン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸またはその塩類;エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムなどのエリソルビン酸またはその塩類;グルコース、デキストロースなどの糖類;硫酸第一鉄、硫酸銅などの金属塩などを挙げることができる。キレート化剤としては、例えば、ピロリン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩などを挙げることができる。
アクリル系重合体微粒子の乾燥粉体としての構造は、特に限定されないが、粉体としての取り扱い易さから、重合で得られた重合体一次微粒子が多数集合して凝集粒子(二次粒子)を形成していることが好ましい。凝集粒子の体積平均粒子径は、硬化皮膜及び成形品表面の平滑性が良好となる傾向であることから、100μm未満であることが好ましい。
アクリル系重合体凝集粒子を調製する方法は、公知の方法から適宜選ぶことができ、例えば(湿式)凝固法、スプレードライ法等の方法を適宜選択して用いればよい。その中でも、アクリル系重合体微粒子のエマルジョンを乾燥用加熱ガスによって乾燥器中で噴霧乾燥する凝集粒子の製造方法(いわゆるスプレードライ法)において、その乾燥用加熱ガスの乾燥室出口での温度がアクリル系重合体微粒子の粒子全体の平均のガラス転移温度Tgより低いことが好ましい。ここで、乾燥室の出口温度がガラス転移温度Tgより低いと、凝集粒子の解砕性の優れた凝集粒子を得ることができる。
可塑剤
本発明のプラスチゾル組成物に用いる可塑剤は特に限定されず、公知の可塑剤から適宜選択して使用すれば良い。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジヘキシルアジペート、ジー2−エチルヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバチン酸エステル系可塑剤;ポリ−1,3−ブタンジオールアジペート等の脂肪族系ポリエステル可塑剤;エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル系可塑剤;アルキルスルホン酸フェニルエステル等のアルキルスルホン酸フェニルエステル系可塑剤;脂環式二塩基酸エステル系可塑剤;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル系可塑剤;クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
可塑剤は、必要に応じて1種で又は2種以上を混合して用いることができ、またその配合量も所望に応じて適宜変更することができる。
可塑剤の配合量は、アクリル系重合体微粒子100質量部に対して35〜350質量部が好ましく、40〜300質量部がより好ましく、45〜250質量部が特に好ましい。
本発明のプラスチゾル組成物には用途に応じて各種の添加剤又は充填剤を配合できる。添加剤、充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、バライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪砂、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム等の無機フィラー類、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、ミネラルターペン、ミネラルスピリット等の希釈剤、オクチル酸亜鉛等の減粘剤、更に消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、発泡剤、レベリング剤、接着剤等を必要に応じて配合できる。
プラスチゾル組成物を調製する方法としては、公知の方法を適宜選択して使用すればよい。例えば、アクリル系重合体微粒子と可塑剤とその他配合剤を一括に混練釜に仕込んで混練しても良いし、より強く混練するためにアクリル系重合体凝集粒子と可塑剤の一部とその他の配合剤を最初に混練して最後に残りの可塑剤を追加し混練しても良い。また、混練中に樹脂の温度が上がるのを防ぐ目的で、あらかじめ可塑剤とその他の配合剤を混練しておき最後にアクリル系重合体凝集粒子を追加して混練しても良い。
プラスチゾル組成物を調製する機器としては、公知のものを適宜選択使用すればよい。機器の例としては、ポニーミキサー、チェンジキャンミキサー、ホバートミキサー、プラネタリーミキサー、バタフライミキサー、らいかい機、ニーダー、三本ロールミル、ボールミル、真空ミキサー等が挙げられる。
プラスチゾル組成物を加熱することによりゲル化させて成膜すれば、目的とする成形品を得ることができる。また、プラスチゾル組成物を用いて成形品を得る方法としては、ディップモールディング法、キャストモールディング法、スプラッシュモールディング法、ローテーショナルモールディング法等の成形法が挙げられる。
プラスチゾル組成物は、成形材料以外にも被覆材料としても使用可能である。その塗布方法は特に限定されない。プラスチゾル組成物を塗布する方法の具体例としては、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ナイフコーティング法、ロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、刷毛塗り塗装法、静電塗装法等が挙げられる。
このように、本発明のプラスチゾル組成物を用いれば、手袋を得ることが可能となる。また、手袋以外にも、ビニルレザー、人形、玩具、床材、スポンジ製品、自動車部品、産業機械部品等の成形材や壁紙、鋼板、自動車用被覆材等の被覆材を得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。各例中、「部」は「質量部」を意味する。また、各評価は以下の方法により実施した。
(1)[微粒子の体積平均一次粒子径の測定方法]
乾燥前のエマルジョンをレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて、槽内循環レベルを2、相対屈折率を1.12と設定した後、蒸留水を分散媒として出力4.3W、周波数22.5kHzの超音波を1分照射し、透過率が75〜95%の範囲内になるように調製後、測定した。体積基準から算出したメジアン径を微粒子の体積平均一次粒子径とした。
(2)[アクリル系重合体微粒子のガラス転移温度Tgの計算方法]
アクリル系重合体微粒子のガラス転移温度Tgは、Foxの式(1)から計算した。
1/(Tg+273.4)=Σ{Wi/(Tgi+273.4)} ・・・(1)
Wi:単量体iの質量分率
Tgi:単量体iから成るホモポリマーのガラス転移温度Tg(℃)
単量体iのホモポリマーTgは、高分子データ・ハンドブック基礎編(高分子学会編初版)記載のデータを用いることができる。また、記載されていない樹脂のTgについては、公知の手法であるDSC測定から求めることができる。
(3)[質量平均分子量]
GPC(ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ)法により、以下の条件で測定したポリスチレン換算値を、重合体の質量平均分子量とした。
・装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−8020
・カラム:東ソー(株)製、TSKgelGMHXLを3本直列に連結
・オーブン温度:38℃
・溶離液:テトラヒドロフラン
・試料濃度:0.4質量%
・流速:1mL/分
・注入量:0.1mL
・検出器:RI(示差屈折計)
(4)[ゾル組成物の粘度及び経時安定性評価]
プラスチゾル組成物を25℃の恒温槽で2時間保温した後、B8H型粘度計((株)東京計器製、製品名:「B8H型粘度計」、ローター:No.7)を用いて、回転数5rpmで、1分後の粘度を測定し、これを初期粘度η1とした。更に、これを40℃の恒温水槽に10日間貯蔵し、次いで25℃の恒温槽で2時間保温した後、同じ装置及び測定条件下で粘度を測定し、これを経時後粘度η2とした。ゾルの経時安定性は下記式(増粘率)にて算出し、評価した。
増粘率(%)=η2/η1×100−100
「◎」:100%未満
「○」:250%未満
「×」:250%以上
(5)[成形品の機械的物性評価]
プラスチゾル組成物をテフロン(登録商標)コートされた鉄板(厚さ1mm)の上にウェット膜厚2mmとなるようにキャストし、これを160℃のギヤーオーブンに入れて10分間加熱し、成形品を得た。これを金属板から剥離した後、JIS K−7113記載の手法に従い、ダンベル3号にて、切り出し、環境温度23℃にて引張測定装置(島津製作所■製引張測定装置(商品名「オートグラフAG−IS 5kN」)により機械的物性の測定を行った。試験速度は200mm/分であった。以下の基準で機械的物性の評価を実施した。
引張強度
「◎」:引張強度が5MPa以上
「○」:引張強度が3MPa以上〜5MPa未満
「×」:引張強度が3MPa未満
引張伸度
「○」:引張伸度が400%以上
「×」:引張強度が400%未満
(6)[成形品の柔軟性評価]
プラスチゾル組成物をテフロン(登録商標)コートされた鉄板(厚さ1mm)の上にウェット膜厚2mmとなるようにキャストし、これを160℃のギヤーオーブンに入れて10分間加熱し、成形品を得た。これを金属板から剥離した後、ダンベル3号にて、切り出し、環境温度23℃にて引張測定装置(島津製作所■製引張測定装置(商品名「オートグラフAG−IS 5kN」)により引張変形のヒステリシス試験を行った。ここで、試験速度は50mm/分、変位量は伸度にして40%であった。このヒステリシス試験を連続して3回繰り返し、1回目の試験における往路(引張時)のS−S曲線が与える面積(S1)と復路(戻り時)のS−S曲線が与える面積(S2)を計算し、ヒステリシス貯蔵率=S2/S1×100(%)を算出し、これを柔軟性の指標とし、以下の基準で評価した。
以下の基準で機械的物性の評価を実施した。
「◎」:ヒステリシス貯蔵率が75%以上
「○」:ヒステリシス貯蔵率が65%以上〜75%未満
「×」:ヒステリシス貯蔵率が65%未満
[アクリル系重合体微粒子(P1)の調製]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗及び冷却管を備えた2リットルの4つ口フラスコに、純水476部を入れ、70分間窒素ガスをバブリングさせ、純水中の溶存酸素を置換した。次に、窒素ガスをフローに変えた後、メチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルM」)22.8部及びn−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルB」)17.4部を入れ、250rpmで攪拌しながら82℃に昇温した。内温が82℃に達した時点で、表1に示す開始剤溶液(K1)をフラスコ内に一度に添加し、重合を開始させた。その後、82℃にて90分攪拌し、シード粒子エマルジョンを得た。
次いで、内温を80℃に低下させ、このシード粒子エマルジョンに、予め、窒素ガスを100ml/分の割合で2時間導入し、溶存酸素を置換した表1に示す不飽和単量体(M1)乳化液を150分間かけて滴下してシード粒子に吸収、重合させ、滴下終了後、80℃にて30分間攪拌し、コア粒子のエマルジョンを得た。得られたコア粒子のエマルジョンをサンプルリングし、分子量測定を実施した。コア重合体は、質量平均分子量で240万のところでピークを有していた。
次いで、このコア粒子の重合体エマルジョンに、表1に示す開始剤溶液(K2)をフラスコ内に15分間かけて滴下した後、80℃にて15分間攪拌保持した。次いで、重合体エマルジョンに表1に示す不飽和単量体(M2)乳化液を45分間かけて滴下し、80℃にて15分間攪拌保持して、シェル1の重合を実施し、コア/シェル1粒子のエマルジョンを得た。次いで、コア/シェル1粒子のエマルジョン粒子に表1に示す不飽和単量体(M3)乳化液を20分間かけて滴下し、80℃にて60分間攪拌保持して、シェル2の重合を実施し、コア/シェル1/シェル2型重合体エマルジョンを得た。
このコア/シェル1/シェル2型重合体エマルジョンを室温まで冷却し、ナイロン製メッシュ(NBC製、商品名「N−No110S 115」)にて濾過した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)CL−8型)を用いて、入口温度150℃、出口温度65℃、アトマイザ回転数20000rpmで噴霧乾燥した後、目開き250μmの篩にて篩い、体積平均一次粒子径が588nmのアクリル系重合体微粒子(P1)を得た。
GPCを測定したところ、質量平均分子量で240万のピークに加えて、4.0万のところでピークを有していた。質量平均分子量と個数平均分子量の比は58であった。
アクリル系重合体微粒子(P1)の組成及び物性を表1に示す。
[アクリル系重合体微粒子(P2)〜(P5)の調製]
コア滴下とシェル滴下のモノマー及び開始剤をそれぞれ表1に記載の内容に変更したこと以外は、重合体微粒子(P1)と同様にして重合体微粒子(P2)〜(P5)を調製した。尚、不飽和単量体の滴下速度、噴霧乾燥の条件等は重合体微粒子(P1)の場合と同一である。組成及び物性を表1に示す。
[実施例1]
アクリル系重合体微粒子(P1)100部と可塑剤としてジイソノニルフタレート(ジェイプラス社製、商品名「DINP」)100部を計量し、真空ミキサー((株)シンキー製、商品名「ARV−200」)にて回転数2000rpmにて10秒間(大気圧:0.1MPa)混合した。続いて、さらに2.7kPaに減圧して真空ミキサーにて回転数2000rpmにて110秒間の条件で混合し、均一なプラスチゾル組成物を得た。その際のプラスチゾル組成物の粘度及び経時安定性について評価した。次いで、プラスチゾル組成物を、テフロン(登録商標)コートされた鉄板(厚さ1mm)の上に膜厚2mmにキャストし、これを160℃の熱風オーブンに入れて10分間加熱し、成形品を得た。その際の成形品の機械的物性及び柔軟性について評価した。可塑剤をメザモール(アルキルスルホン酸フェニルエステル系(バイエル社製、商品名「メザモール」)または、ATBC(クエン酸アセチルトリブチル(大日本インキ化学工業製、商品名「モノサイザーATBC」)に変更し、同様にしてゾル組成物の粘度及び経時安定性、成形品の機械的物性及び柔軟性について評価した。ゾル組成及び評価結果を表2に示す。
[実施例2〜3、比較例1〜2]
表2記載のアクリル系重合体微粒子に変更したこと以外は実施例1と同様にして、均一なプラスチゾル組成物を製造し、成形し、評価した。評価結果を表2に示す。
実施例1〜3の結果から明らかなように、各種可塑剤に対して、ゾル組成物での経時安定性が優れ、また、成形品の柔軟性及び引張強度、伸度が高く、強靭性に優れており、機械的物性が良好である。これに対し、比較例1では、各種可塑剤に対するゾル組成物での経時安定性が悪く、成形品の柔軟性に劣っている。比較例2は、各種可塑剤に対するゾル組成物での経時安定性は良好であるものの、成形品の柔軟性、伸度に劣っている。
Figure 2008208180
Figure 2008208180
表中の略号:
「−」は、未添加または、未評価であることを示す。
「MMA」:メチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルM」)
「nBMA」:n−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルB」)
「iBMA」:i−ブチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名「アクリエステルIB」)
「AA」:アクリル酸(三菱化学製、商品名「アクリル酸」)
「MAA」:メタクリル酸(三菱レイヨン製、商品名「メタクリル酸」)
「OTG」:チオグリコール酸2−エチルヘキシル(淀化学製)
「OTP」:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(花王製、商品名「ペレックスOTP」)
「KPS」:過硫酸カリウム(関東化学製)
Figure 2008208180
「DINP」:ジイソノニルフタレート(ジェイプラス社製、商品名「DINP」)
「メザモール」:アルキルスルホン酸フェニルエステル系(バイエル社製、商品名「メザモール」)
「ATBC」:クエン酸アセチルトリブチル(大日本インキ化学工業製、商品名「モノサイザーATBC」)

Claims (4)

  1. GPCにより質量平均分子量を測定した際に、150万以上と15万以下に少なくとも1つづつのピークを有するアクリル系重合体微粒子。
  2. GPCにより質量平均分子量を測定した際に、150万以上で少なくとも1つのピークを有するアクリル系重合体微粒子の存在下で、単量体を添加、重合することにより、更に、GPCにより質量平均分子量を測定した際に、15万以下で少なくとも一つのピークを有するアクリル系重合体を形成させた後、アクリル系重合体を回収するアクリル系重合体粒子の製造方法。
  3. 請求項1記載のアクリル系重合体微粒子と、可塑剤とを含むアクリル系プラスチゾル組成物。
  4. 請求項3記載のアクリル系プラスチゾル組成物から得られる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011195793A (ja) * 2010-03-24 2011-10-06 Tokyo Electronics Chemicals Corp 剥離性樹脂組成物
WO2018168954A1 (ja) * 2017-03-17 2018-09-20 株式会社クラレ 注型板とその製造方法、および二次成形品

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