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JP2008184643A - 高強度極細平線の製造方法と、その製造方法により得られた高強度金属極細平線 - Google Patents

高強度極細平線の製造方法と、その製造方法により得られた高強度金属極細平線 Download PDF

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JP2008184643A
JP2008184643A JP2007018336A JP2007018336A JP2008184643A JP 2008184643 A JP2008184643 A JP 2008184643A JP 2007018336 A JP2007018336 A JP 2007018336A JP 2007018336 A JP2007018336 A JP 2007018336A JP 2008184643 A JP2008184643 A JP 2008184643A
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Yoshinori Tanimoto
好則 谷本
Hiroshi Nakano
博 中野
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Nippon Seisen Co Ltd
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Nippon Seisen Co Ltd
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Abstract

【課題】高強度で寸法安定性に優れ、かつ耐疲労特性にも優れた高強度極細平線を効率よく製造する方法、並びにその方法で得られる高強度極細平線を提供する。
【解決手段】金属線材、例えばステンレス鋼線又はCo合金線を素材とし、これを冷間伸線加工によって、結晶がその長手方向に沿って伸びる繊維状組織を持つ線径0.5mm以下の硬質細線にする伸線加工の段階と、該伸線加工によって硬質細線に生じた加工歪を除去する為の加熱処理を、該硬質細線の再結晶温度(℃)×(35〜80%)の範囲内で行なう低温熱処理の段階と、さらにこの熱処理後、圧下率40〜95%で圧延して厚さ(t):0.2mm以下、かつ幅(w)を前記厚さ(t)×2〜20倍の金属極細平線にする圧延加工の段階とを経ることを特徴とする耐疲労特性に優れた高強度極細平線の製造方法と、この方法による耐疲労特性に優れた高強度金属極細平線である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば医療用カテーテル、内視鏡などの医療用具、テニスラケット等のスポーツ用品等のための樹脂補強用の編組体、例えば異形ばね用等のためのコイル状体などの形成に好適に採用しうる高強度金属極細平線を製造する高強度金属極細平線の製造方法と、その製造方法により得られた高強度金属極細平線とに関する。
血管内に挿入されるカテーテルは、例えば必要患部の血管内を拡張するステントを挿入する案内部材として、あるいは血管造影剤などの薬液を注入するための薬液用チューブ用品として用いられ、複雑に入り組んだり分岐する血管内に沿って目的部位に円滑に挿入できるように、柔軟でかつトルク伝達性などの操作性に優れた特性が求められている。また血管はその太さが比較的細いことから、カテーテルには細径でありながらも、挿入される種々部材、薬液などの送給に支障がない十分な内部空間を有すること、また造影剤等の薬液の注入圧に耐える耐圧性等の強度的特性と、更に繰返し使用での曲げに耐え得る耐疲労性とを備えることも必要である。
例えばカテーテルについてのこのような要求に関して、図9に例示するように、カテーテルの周壁内に金属細線a(又はその複数本を並べた束体)をブレード編み(編組)したチューブ状の補強部材bを埋設したカテーテルであって、ワイヤーの引張強さを増し、より薄肉のカテーテルの壁厚を小とするとともに可撓性を犠牲にすることなくキンクを防止するのに必要な剛性を高めたカテーテルが提案されている(例えば特許文献1参照)。又補強部材bに用いる金属細線aとして、例えば0.12mmの焼鈍されたステンレス鋼軟質線を幅0.26mm、厚さ0.06mmの扁平な平板細線として圧延成形した8本の強細線を用いて編組した補強部材も提案されている(例えば特許文献2参照)。さらには特許文献2と同様に焼鈍された線材を平線に直接成形し編組してなる補強部材も提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開平7−194707号公報 特開平8−317986号公報 特開2002−282366号公報
このように、特許文献1は補強部材の線材強度を増すことにより、カテーテルの壁厚を薄肉にして十分な可撓性、強度、剛性を付与し、また特許文献2では、その為に圧下率50%程度とした極細平線を用いることが提案しているが、特にこのような断面寸法の微細な極細平線では、わずかな表面欠陥でも切欠き現象による疲労破断の原因となりやすく、例えば成形寸法のバラツキを抑えて平滑な面を保つことにより、高強度と耐疲労性とを高めさせうる。
換言すると、カテーテルとして用いるとき、前記説明したように複雑に入り組んだ血管に沿って曲げ、捻りながら挿入されることにより変形によって補強部材を構成する細線材には変形応力が加わる為、細線材の表面性状や不均一な組織状態を持つものでは、切欠き破断や折損等の原因となる。
特に特許文献2及び3が開示する圧延加工では、寸法が微細なことから通常はその上下面の押圧加工で行なわれ、その側面部はフリー状態となる。この為、その素材が軟質状態の細線材を用いたものでは、得られる該平線の側面部の表面状態は、直接圧延ロールと接する押圧面の表面状態に比して膨出し、微小凹凸、幅寸法のバラツキの増大によって平滑表面が得られ難いという問題がある。したがってこうした側面部の非平滑な表面状態は、その後の使用による切欠き破断を招く場合があるといわれている。
さらに同用途に用いる場合、該極細平線には、長寿命の観点からその使用に耐え得る十分な強度と耐疲労特性に優れることも必要であるが、前記特許文献3に示すように軟質線を直接圧延加工したものでは、強度の増大はあまり期待できず、また圧延面上での硬度分布も広がるなど、十分な特性のものとは言い難い。
このような技術的事項は、この極細平線を例えば所定の径で螺旋巻してなる微小コイルバネなどのコイル状体として用いる場合にも重要であって、バネ伸縮に伴って発生する圧縮、引張り、ねじりなどの種々繰り返し応力に対するばね強度、疲労を解消して長寿命を可能にする機械的特性を備えるとともに、前記表面性状の良好さを備えることが必要である。しかしながら前記各特許文献1〜3は、こうした問題については十分に考慮されていない。
そこで本発明は、ステンレス鋼等の金属材料による高強度極細平線として、強度と耐疲労寿命特性とともに表面性状にも優れた高強度極細平線を製造する高強度極細平線の製造方法と、その製造方法により得られた高強度金属極細平線の提供を目的とする。
本願請求項1に係る発明は、
a)金属線材からなる素材を冷間伸線加工によって、結晶がその長手方向に沿って伸びる繊維状組織を持つ線径0.5mm以下の硬質細線にする冷間伸線加工の段階と、
b)該伸線加工によって硬質細線に生じた加工歪を除去する為の加熱処理を、該硬質細線の再結晶温度(℃)×(35〜80%)の範囲内で行なう低温熱処理の段階と、
c)さらにこの低温熱処理後、圧下率40〜95%で圧延して厚さ(t):0.2mm以下、かつ幅(w)を前記厚さ(t)×2〜20倍の金属極細平線にする圧延加工の段階とを経ることを特徴とする耐疲労特性に優れた高強度極細平線の製造方法である。
本願請求項2に係る発明は、前記金属線材が、質量%で、C:0.005〜0.20%,Si≦1.0%,Mn≦8.0%,Ni:7.0〜20、0%,Cr:17.0〜30.0%と,更にN:0.10〜0.45%、Mo:0.8〜8.0%,Nb:0.05〜0.40%,Cu:0.05〜0.40%のいずれか1種以上とを含み、残部Feと不可避不純物で構成されるオーステナイト系ステンレス鋼からなることを特徴とし、本願請求項3に係る発明は、前記金属線材が、質量%で、C:0.10〜0.20%,Si≦1.0%,Mn≦2.0%,Ni:10.0〜20.0%,Cr:20.0〜25.0%,Mo:4.0〜8.0%,Co:30.0〜60.0%を含み、残部Feと不可避不純物で構成されてなるCo合金によるものであることを特徴としている。
又請求項4に係る発明は、前記冷間伸線加工が、加工率75〜98%で行なわれることを特徴とし、かつ請求項5に係る発明は、前記圧延加工が、その加工前の該金属細線が有する破断荷重の2〜20%の逆張力を付加しながら冷間加工するものであることを特徴とする。
さらに請求項6に係る発明は、前記逆張力は、少なくとも前記圧延加工の前段(硬質細線の供給側)に付設したダンサーロールの制御によるものであることを特徴とする。
又本願請求項7に係る発明は、前記請求項1〜6のいずれかに記載の高強度極細平線の製造方法で得られる高強度極細平線であって、引張強さが2000〜3500N/mm、かつ曲率半径1mmでの繰り返し折曲げ試験の曲げ回数が1500回(但し、曲げ角度90°分を1回とする)以上であることを特徴とする。
このように請求項1に係る発明は、金属鋼線を素材として、これを冷間伸線加工によって繊維状組織を持つ線径0.5mm以下の硬質細線にする冷間伸線段階の後に、所定温度での低温熱処理によって前段の伸線加工で生じた加工歪すなわち材料内部の残留応力を解消乃至軽減して均質化した上で圧延加工するものであり、したがって圧延加工段階では伸線加工で生じた繊維状組織は残しながら材料内部の加工歪(残留応力)が除去される為、強度の圧延加工にも順応して均質化することができ、また機械的特性についても、前記低温熱処理の付加によって高強度化と耐疲労特性をより向上した極細平線となり、その用途の拡大を図ることができる。
しかも圧延加工段階では、その前段での冷間伸線加工によってその結晶粒を長手軸方向に伸びた繊維状組織を備えたものである為、圧延ロール直下では該繊維状組織が扇状に拡がりながら圧延することとなる。したがって、その幅寸法wを例えば厚さ寸法tの2〜20倍のような広幅な極細平線を成形する場合も、その側面部の表面状態は均一に膨出し、平滑で寸法安定性に優れたものとなる。こうした特徴は、一般的な軟質線を素材としてこれを直接圧延加工する従来技術の極細平線の場合に比して大幅な改善を図るものであり、したがって、過負荷状態で繰り返し使用する場合にも、切欠き破断や疲労破断等の問題を改善することができる。
また、請求項7の極細平線によれば、引張強さと繰り返し曲げ特性に優れることから耐疲労特性に優れ、長寿命でその用途範囲を拡大することができる。
次に、本発明による高強度極細平線の製造方法(以下単に製造方法と呼ぶことがある)の好ましい一形態を、添付図面に沿って説明する。なおここに説明する線材の寸法などは、必ずしもこれに限るものではなく必要に応じて任意に設定できる。
図1は、本発明の製造方法の工程をブロック図で示し、大別して次の4つの段階A〜Dを含む。段階Aは、本発明の出発材料(素材)である太さ0.1〜1.0mm程度の例えば断面円形の金属線材2(図2(A)に示す)、例えばステンレス鋼軟質線を準備する段階であり、段階Bは前記金属線材2を冷間伸線加工して線径0.01〜0.5mm程度の硬質細線3(図2(B)に示す)に加工する段階、また段階Cはこの硬質細線3の前記冷間伸線加工で生じた残留加工歪を解消して均質化するとともに、その強度特性をさらに高める為の低温熱処理の段階であり、段階Dは低温熱処理された該硬質細線3を圧延して所定厚さの高強度極細平線4(単に極細平線4ということもある)(図2(C)に示す)にする圧延加工の段階を示す(図2(A)〜(C)において図での大きさは比例していない)。
この一連の処理によって、例えば厚さt:0.01〜0.1mm程度でかつ幅寸法wを該厚さtの2〜20倍とする高強度金属極細平線4を得ることができる。しかもその幅寸法のバラツキも例えば0.3〜20μm、好ましくは0.3〜5μm程度に抑えた線状の安定性に優れた極細平線4を得ることができる。
前記幅寸法のバラツキは、該極細平線の幅寸法wをその長さ方向に沿って例えば5mm間隔で数点〜数十点、好ましくは10〜30点程度測定した時のバラツキ(s)、すなわち標準偏差を意味するもので次式(1)で求められる。またその測定には例えば拡大投影機やマイクロメーター、レーザー寸法計測器等が用いられる。
s=√《〔1/(n−1)〕×〔Σ(wi−wm)〕》…(1)
※wmは各点での幅寸法、wiはその平均値、nは測定点数を示す。
前記段階Aは、前記のように、素材(原線)である例えばオーステナイト系ステンレス鋼軟質線からなる金属線材2を準備する工程であって、金属線材3は、好ましくは固溶化熱処理によってその結晶粒度を例えば8番以上の微細なオーステナイト組織を有するものが好適する。該結晶粒度は、JISG−0551「鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法」の中で詳細が規定されており、その一例として粒度番号8番とは、一つの結晶の大きさが0.00049mm、すなわち断面積1mm当たりで2048個の結晶数を有するものとされている。なお本発明の効果を更に高める上から、好ましくは結晶粒度を更に微細にした9番以上にしたものが好ましいが、前記JIS規格では10番までしか規定されていないことから、更に細かい例えば0.00001mm程度の微細なものにしておくことも好ましい。
このような微細なオーステナイト組織は、例えば加工率75〜98%、好ましくは90%以上の比較的大きな加工率で冷間伸線加工を行った後、1000℃程度の温度で固溶化熱処理することによりうることができ、前記熱処理温度を通常の熱処理温度より低い例えば800〜950℃程度で行うことでその結晶粒の微細化が可能となる。また熱処理時間を例えば0.1〜10秒程度の短時間処理にすることにより同様に微細化組織を得ることができる。こうした熱処理条件は、熱処理時の熱の吸収をやや抑えることで結晶の成長を抑制しながら再結晶させるものであって、温度や時間、雰囲気等の条件設定により適宜実施することができる。好ましい条件の一例として、例えば温度800〜930℃×時間0.5〜5秒程度の条件が採用される。
次に、前記金属線材2の種類については、例えばSUS302、SUS304,SUS316など種々のステンレス鋼(例えばオーステナイト系ステンレス鋼又はNi系ステンレス鋼)やCo合金などの機械的特性に優れたものが好適し、またピアノ線も同様に利用できる。特に本発明では高強度でかつ耐疲労特性の向上を図ることを意図していることから、前者のステンレス鋼では、質量%で、C:0.005〜0.20%,Si≦1.0%,Mn≦8.0%,Ni:7.0〜20、0%,Cr:17.0〜30.0%と,更にN:0.10〜0.45%、Mo:0.8〜8.0%,Nb:0.05〜0.40%,Cu:0.10〜2.50%%のいずれか1種以上とを含み、残部Feと不可避不純物で構成されるオーステナイト系ステンレス鋼が好適する。より好ましくは、C:0.01〜0.20%,Si≦1.0%,Mn≦2.0%,Ni:7.0〜10、0%,Cr:17.0〜20.0%、N:0.10〜0.30%を含み、残部Feと不可避不純物からなる。このようなN添加型のステンレス鋼では、該Nが侵入型の元素であることから、結晶粒を微細化するとともに、加工に伴う加工硬化率も大きく得られる極細平線での機械的特性を高め得る。
また、後者のCo合金としては、例えば質量%で、C:0.10〜0.20%,Si≦1.0%,Mn≦2.0%,Ni:10.0〜20.0%,Cr:20.0〜25.0%,Mo:4.0〜8.0%,Co:30.0〜60.0%を含み、残部Feと不可避不純物で構成されてなるCo合金が好適する。特にこのCo合金では加工硬化率及び弾性率が大きく、しかも低温熱処理による特性の増大が顕著で、前記ステンレス鋼の場合以上の特性を得ることも可能である。
このように優れた特性を備える前記金属線材は、例えば冷間伸線加工やその後の圧延加工での加工硬化性が大きいことから、希望する特性が比較的少ない加工量で達成できることとなる。したがって、総加工量を減じることにより材料内部の残留歪を抑えて靭性の低下を防ぐとともに耐食性にも優れたものとなる。
また本発明では、前記説明のように、断面寸法が極めて微細な極細平線を冷間伸線加工と圧延加工によって製造することから、その原線である金属線材には非金属介在物などの有害物を内存しないものが望ましく、その為に、例えば材料溶解時に真空溶解やダブルメルトによって材料内部の清浄度を高めたものを用いることが好ましい。
ここで前記例示のステンレス鋼の場合を例に、各構成元素の含有量を前記範囲に特定する理由を説明すれば、Cはオーステナイト生成元素で、冷間加工で応力誘起されるマルテンサイト量を高めて高強度化に寄与するもので、少なくとも0.005%の添加が有効であるが、0.20%を超える程多量に含有すると炭化物を形成し、脆性が増して圧延加工時にワレや断線など生産性低下の原因となる。好ましくは0.01〜0.20%、より好ましくは0.02〜0.12%とする。
Siは、線の引張強さ、弾性限を高める特性から必要であるが、それに伴って靭性が劣り、またδフェライト相の発生による弊害も見られることからその上限を1.0%とし、より好ましくは0.4〜1.0%とする。
Mnは、脱硫、脱酸剤としてあるいはオーステナイト相の安定化の為に必要であり、また非磁性をもたらすが、多量の添加は加工性を低下させることから上限を8.0%とし、より好ましくは0.2〜6.5%とする。
Niは、オーステナイト系ステンレス鋼の基本的元素で、7.0%以上の含有によってオーステナイト組織を安定化して耐食性を高めるが、Niは非常に高価でまた多量の添加は高強度化に影響をもたらすことから20.0%以下にするのがよく、より好ましくは7.0〜10.0%とする。
Crも前記Niと同様にステンレス鋼の基本的元素であって、17.0%以上の含有によってその含有によって不動態化を促進して耐食性を向上するが、逆に30%以上の多量を添加したものは高価で生産性に影響することから、好ましくは17.0〜20.0%とする。
こうした基本組成に加え、さらにN,Mo,Nb,Cuなど種々の第三元素のいずれか1種以上を添加するものとしており、前記Nについては、オーステナイト生成元素として有用で、しかも結晶粒を微細化して機械的特性の向上を図ることができ、微細な繊維組織を得る上から0.10%以上の添加が好ましい。またNの添加は、冷間加工による磁性増加を抑え非磁性特性をもたらすこととなるが、一方では溶解時に高度の溶解技術が求められ、また熱間加工性が低下してコストアップの要因にもなることからその上限を0.45%にするのがよい。より好ましくは0.10〜0.30%とする。
またMoは、その添加によって生地を強化して耐食性向上を図り、その効果は0.8〜8.0%で有効である。より好ましくは1.0〜3.0%とする。
Nbは0.05〜0.40%の添加によって耐粒界腐食性を改善し、より好ましくは0.06〜0.35%とする。
Cuはオーステナイト生成元素で、添加によって生地を強化し耐食性にも有効であるが、多量の添加は熱間加工性が阻害されることから、例えば0.10〜2.50%、より好ましくは0.20〜2.00%とする。
他方のCo合金については、前記したように高Cで4.0〜8.0%のMo、及び30.0〜60.0%のCoを特徴的に含有し、更にNi,Crを含んで構成されるものであり、
特にCoはその添加によって析出硬化を図り、高温強度及びクリープ特性を改善するものであり、より好ましくは35.0〜50.0%とする。それに伴って、Mo:4.0〜8.0%、Ni:10.0〜20.0%,Cr:20.0〜25.0%としており、こうして調整したものの一例として、例えば本出願人によるNAS604PH材がある。
なお、この軟質線(原線)での線径については、その後に行われる伸線加工や最終の極細平線での圧延加工の条件に応じた線径を考慮し、さらにその表面性状の向上を図る観点から、例えばダイヤモンドダイスでの湿式伸線で冷間加工された光輝精密仕上げ表面性状とし、これを前記固溶化熱処理で処理されてなる。またその場合、例えば原線であるステンレス鋼軟質線の表面に予めNiめっき等の潤滑皮膜を形成したものを用いることもできる。この被覆技術については、これまで実施されてきた例えばばね用ステンレス鋼線の場合と同様に実施できる。
次の前記段階Bは、前記段階Aで得た原線の軟質線2に対して、60%以上より好ましくは75〜98%の加工率で冷間伸線加工を施すことで、該線内部に微細に伸びる応力誘起マルテンサイト組織を発生させた例えば線径0.01〜0.8mm程度、好ましくは0.5mm以下の硬質細線3にするもので、前記加工率は、〔(当初断面積−加工後断面積)/当初断面積〕の百分率として求めることができる。
こうして得た硬質細線の結晶組織の一例を図3に示す。同図はその長手方向の断面を400倍に拡大したもので、図にみられるように結晶がその長手方向に沿って微細な繊維状組織となって密集した状態で分布していることが確認できる。またこの結晶は図4に示すごとく、形態ではその繊維太さdが25μm以下、例えば10μm以下の微細太さを有している。なお繊維太さは、前記素線での結晶粒度の大きさと、冷間伸線加工での加工量によって種々変化する。また、例えば任意な繊維状結晶を取出して拡大した時の結晶の長さ(L)に対する結晶の径(d)の比、すなわちアスペクト比(L/d)の平均が20〜3000倍、好ましくは100〜1000倍程度であることも好ましい。
また、この冷間伸線加工についても、前記軟質線の場合と同様に、ダイヤモンドダイスでの湿式伸線加工によって表面性状の向上を図ることが好ましく、例えば前記60%以上の加工率によるものでは、該線の10点表面粗さ(Rz)を1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下の超平滑仕上げ面にすることができる。
例えば加工率75%以上の加工材では同0.2μm以下にまで表面性状を高めることができが、98%を超える程大きい加工率にしたものでは、その後の圧延加工が困難となることから、生産性を合わして考慮し設定される。
またこの硬質細線3には、通常その内部に該伸線加工による残留応力(残留歪)を内存し、しかもその応力はその中心部より表面側でより大きくなる谷型であることから、一端この残留応力を軽減乃至除去して均質化する為の加熱処理を段階Cの低温熱処理によって行なわれる。
残留応力とは、無負荷の自然状態にある場合になおその物体内に残存している内部応力であって、その検証は例えば電気抵抗線ひずみ計やX線回析による種々方法で行なうことができる。そして、このような内部応力が必要以上に大きいものでは、その後に行なわれる冷間圧延段階において、極細平線での線状を悪化させてクラや曲がりを生じさせ、作業性を低下させたり、靭性低下による折損や疲労悪化の要因にもなることから、本発明では圧延加工前にこうした不均質な組織状態を改善することとしている。
その具体的方法としては、該金属線材の再結晶温度(℃)×35〜80%に加熱する低温熱処理によるもので、その温度に加熱された炉内を連続的に走行させながら加熱し、急冷する連続加熱方法が容易に採用できる。また再結晶温度は、例えば通常の顕微鏡観察または電気抵抗法等の方法で求めることができるが、より簡便な方法として例えばCr,Ni,その他添加元素の分量に応じた平衡状態図から求めたり、あるいはより太径段階での試験で求めることもでき、本発明ではその開始温度を用いることとした。
そして、前記低温熱処理の温度を前記範囲にする理由として、再結晶温度の35%未満の低い温度で行なったものでは十分な応力除去が達成できず、逆に上限の80%より高い温度で行なったものでは必要な機械的強度が得られ難く、より好ましくは40〜70%、すなわち前記ステンレス鋼では250〜550℃、またCo合金では350〜650℃程度で行なわれる。また温度以外の熱処理条件として、加熱雰囲気や加熱時間などがあるが、こうした条件は該硬質細線の寸法や加工条件、伸線ダイス角度等を考慮し、例えば真空乃至ArやH等の不活性ガス中で、加熱時間例えば1〜180秒に設定され、残留応力の確認は、例えばX線解析などはじめとする種々の理化学的な測定手法が用いられる。
また、測定試料が非常に細いため、残留応力の検証に極めて高精度かつ高度の設備や技術が必要になることから、本発明では該残留応力の検証のより簡便な方法として、前記低温熱処理前後の被処理材の直線状態、すなわち曲りやクラの矯正程度の大小で確認することもできる。その場合、例えば測定対象線材を自然状態で机上に放置した時の描円直径Dを熱処理前後で比較した時に、2倍以上に大径化した場合を残留応力が解消したものとし、より正確には5倍以上、更に正確には8倍以上とする。
このように、本発明では前記低温熱処理を圧延加工前の硬質細線の状態で行なうことから、線自体の捩れによる線状欠陥や前記寸法のバラツキを軽減できる他、圧延加工での素材に低温熱処理によって強度及び靭性を向上したものを用いることから、その機械的強度及び疲労特性を向上し、高強度で繰り返し疲労特性に優れた高品質の極細平線の提供が可能となる。したがって、この方法のように、冷間伸線⇒低温熱処理⇒圧延加工の工程によれば、例えば低温熱処理を圧延加工後に行なう場合に比して平線自体が捩れて線状不良になるなどの問題が解消でき、また設備的にも簡素化できる。
次に本発明の段階Dとして、前記段階Cで低温熱処理された硬質細線を冷間圧延加工によって所定の厚さと幅寸法に成形した極細平線とする。その圧下率は40%以上(好ましくは45〜95%)として厚さ(t)0.5mm以下(好ましくは0.2mm以下)でかつ幅(w)寸法は該厚さ(t)の2倍以上、例えば2.5〜20倍程度になるように圧延加工が行われる。圧延加工は、通常の室温状態で行う冷間圧延の他、例えば温度200℃程度以下(50〜120℃)に加熱して行う温間加工を含む。特に前者冷間圧延では、得られる極細平線の機械的特性を向上して高強度化を図ることができ、後者の温間圧延では靭性を向上できる。
またその場合、該圧延を円滑に行い、例えば1組の圧延ロールだけで直接最終寸法に仕上げ得る圧延加工となるように、供給される硬質細線に一定の逆張力を付加しながら圧延することも好ましい。逆張力とは、鋼線の送給方向とは逆向きに負荷する張力であって、これによって圧延寸法の安定性とともに直線性を高めることができ、また残留応力を軽減する効果もある。
このような圧延加工により前記極細平線4は、例えば引張強さ2000〜3500N/mm(好ましくは、2800〜3500N/mm)で、0.2%耐力2000〜3200N/mm2を備えるとともに、繰り返し曲げ試験での曲げ回数が1500回以上(例えば2000〜5000回)の高強度・高疲労特性が可能となる。なお該繰り返し曲げ試験については、例えば図5に示すように測定する極細平線4の一端を、曲率半径r=1mmに成形したバイスV,V間に挟持して、他端側を180°繰り返し曲げする試験において、その折り曲げ部が疲労破断するまでの曲げ回数をカウンターで計測する方法で評価するものであって、本発明では曲げ角度90°分を1回(すなわち180°の往復では計4回分)としている。
図6は、この圧延加工に使用する冷間圧延装置10の一例を示す。装置10は、素材である前記熱処理された硬質細線3を供給する供給ブロック10Aと、これを圧延して所定寸法の極細平線にする圧延ブロック10B、及び圧延後に引き出された極細平線4をリール10Pに巻取りする為の巻取ブロック10Cを備え、一連に構成したもので、本形態では前記圧延ブロック10Bを1ブロックで形成した場合を示している。
この中で、前記供給ブロック10Aには、硬質細線を収容した供給リール10a、並置される案内ローラー10b,10bと、その間の下方に配置したダンサーロール10cからなる逆張力負荷装置10d、および張力測定装置10eを備えている。そして前記逆張力負荷装置10dは、ダンサーロール10cが前記供給リール10aにおける硬質細線の巻取りとは逆向きの逆張力を付与して巻きくせを減じ、直線性を向上して圧延ブロック10Bにおける圧延精度を高め得る。
前記圧延ブロック10Bには、4個のバックアップロール10fと、各上下一対のワークロール10g,10gとからなる圧延ロール10hと、液切り装置10iとを備える。そして、このワークロール10g,10gにより前記圧下率で冷間圧延され、例えば図2Cに例示する断面矩形の極細平線が成形される。なお圧延加工を前記温間圧延で行なう場合は、例えば前記ワークロール10g,10gの上下間、または該ワークロール10gの前後間での硬質細線に通電し加熱する電気的加熱法、あるいは外界に図示しない熱源による加熱方式によるものが採用できる。
また前記巻取りブロック10Cは、並置される両側の案内ローラ10j,10jと、その間の下方に位置するダンサーロール10kと寸法測定装置10o,巻取りリール10pを備え、前記圧延ロール10aと圧延ロール10h、及び巻取りロール10pは各々図示しない駆動源(モーター)によって例えば圧延欠陥を生じない所定速度で回転する機構を有する。他方、前記張力測定装置10eは、その測定結果を電子制御によってフィードバックされ、装置全体の運転が円滑にかつ高精度の圧延加工が行えるようにコントロールされている。
この冷間圧延装置では、圧延加工における所定の逆張力の負荷によって、寸法バラツキを抑えながら高品質の極細平線を可能にし、表面状態も良好なものとなる。なお図6の圧延装置では、前記逆張力は巻取りブロック10Cと供給ブロック10Aに各々設けたダンサーロール10c,10k自体の自重と張力との関係で上下方向にスライドするようにして移動量を検出しするが、例えば各ダンサーロールを各々駆動式にして回転速度差を設けることも、また圧延ブロック10Bを多段階に連結して構成することもできる。なお、前記逆張力は例えば該圧延加工前の硬質細線の破断荷重の2〜20%(より好ましくは5〜10%)で行なうのが良好である。
こうして得られた極細平線4は、高強度で寸法安定性及び疲労特性にも優れることから、これを例えば図7に示すようにチューブ状に編組処理した補強部材5として、あるいは図8にその一部を示すその厚さ方向又は幅方向に湾曲させながら螺旋巻きした異形バネ用などとして用い得る。前者のようにチューブ状に編組処理した補強部材5は、例えばその外径を0.5mm程度の細径として、これを所定のプラスチックチューブの内壁6,外壁7を形成して複合したカテーテル、乃至その為のガイドワイヤなどとして用い得る。前記カテーテルにおいて、図7に示すように中空に押し出された高密度ポリエチレンに低密度ポリエチレンを被覆し、内壁6,外壁7を形成するとともにその間に所定の前記極細平線4,4の面同士を重ねて編組した前記補強部材5を埋設することにより形成している。このようなカテーテルは、極細平線が高強度で疲労特性に優れることから耐圧性、トルク伝達性を向上し、また曲げに対する抵抗が大きく耐久性を高めうる。又チューブ状の補強部材は、例えばこの編組体をカテーテルや内視鏡などの医療用、テニスラケット等のフレームやグリップ部に内蔵するスポーツシジャー用等の樹脂補強用部材の編組体をはじめ、該平線を例えば種々形状にコイリング加工することで、極細異形線ばねとしても利用できるなど、広範用途に用い得る。
素線として、真空溶解によって非金属介在物を抑制したSUS304ステンレス鋼線を線径0.3mmに細径化した硬質線に温度950℃で固溶化熱処理を行い、原線であるステンレス鋼軟質線を得た。そこでこの軟質線の結晶粒度を測定する為に、その一部を切り出して#1200番の研磨紙とバフ研磨を行ない、シュウ酸溶液による電解エッチングを施して測定試料とした。この素線の結晶組織を200倍に拡大した顕微鏡で測定した結果、結晶粒度の平均は前記JIS:9番に相当する微細なオーステナイト組織を持つものであった。
次に、この軟質線の表面に厚さ0.2μmのNiめっきを電解めっき法で施して、これを潤滑剤とする連続伸線機にセットするとともに、15枚のダイヤモンドダイスによって総加工率95%、伸線速度150m/min.の伸線加工を行ない、線径70μmの硬質細線とした。この硬質細線は表面平滑で優れた光沢を有し、またその線内部には、細線な繊維組織が長手方向に沿って伸びる応力誘起マルテンサイト相を持つもので、その太さは2μm以下の微細なものであった。
そして、この硬質細線を温度350℃×1.0secの連続熱処理炉(Ar雰囲気)で低温熱処理して材料内部の残留応力を解消する加熱処理を行なった。その加熱温度は該ステンレス鋼の再結晶開始温度の約50%に相当するもので、この処理によって、該細線は長さ200mm当たりの曲り高さが2mm以下の優れた真直性を有し、この結果は熱処理前の自然巻き状態での描円直径の10倍であったことから、内部の残留応力がほとんど解消していることが確認された。
次に、この熱処理された硬質細線を図3に示す冷間圧延機(アサヒ精機製)によって圧延加工を行なった。加工は、逆張力100MPaを付加しながら上下方向に圧下率70%で押圧したもので、これによって厚さ:0.02mm、幅:0.18mmの極細平線を得た。
この極細平線は引張強さ2600N/mmで、その表面状態も全体的に平滑であり、また平線側面部での凹凸も非常に少ない表面粗さRz:0.3μm程度の極めて高精度のものが得られた。
次にその極細平線の疲労特性を見る為に、その一部を取り出して図5に示す繰り返し曲げ試験器に標点間距離60mmで張設して、180°の繰り返し曲げ試験を曲げ速度1回(90°)/secの条件で行なった。この試験において、実施例1の極細平線は曲げ回数3000回程度の疲労特性が得られた。
さらに表1の成分組成を持つ5種類のオーステナイト系ステンレス鋼(試料A〜E)とCo合金軟質線(試料F)の計6種類の原線について、ステンレス鋼では97%、Co合金では75%の加工率で各々冷間伸線加工して線径50μmの硬質細線を得た。そしてこの各硬質細線を温度250〜1100℃×0.75〜1.0秒の条件で加熱熱処理した。加熱温度250〜600℃程度で低温熱処理したものでは、伸線加工で生じた残留歪が解消し、その機械的特性について約1〜2割の強度アップが図れた。
そこでこの熱処理された各硬質細線を前記実施例1と同様に圧延装置にセットして、圧下率50%での冷間圧延を行った。得られた極細平線は、厚さ0.025mm,幅0.08mm,引張強さ2200〜3500N/mmの高強度を有し、また平線側面部での表面粗さもRz:0.02〜0.035μmの真直性に優れた高品質の極細平線が得られた。その得られた極細平線の特性結果を表2にまとめて示す。
なお、この実施例で用いた前記素線での結晶粒の大きさは、いずれも0.00009mm程度以下で、10番以上の微細なオーステナイト組織を有するものであり、また冷間圧延での逆張力としては、該硬質細線の引張強さの5%に相当する応力を付加しながら行ったものである。
また更に発明の効果を確認する為に、試料Aについて前記低温熱処理を行わなかった極細平線と、400℃で熱処理した極細平線を各々ペンチで折り曲げる曲げ試験も行ったが、比較試料より良好な結果が得られた。
これら結果に見られるように、本発明によって該線材の再結晶開始温度の前記範囲の温度での低温熱処理を行なった上で圧延加工した極細平線は、強度、寸法安定性及び耐疲労特性のいずれにも優れるとともに、圧延加工やこれをさらに外径2.5mm,ピッチ70/インチの編組チューブ品の編組加工における加工性や歩留まり低下などがなく、本発明による実施例の極細平線は、高品質で加工性に優れ、良好な加工を行うことができた。
比較例
一方、この実施例の中で比較例に相当する、前記低温熱処理を行なうことなく直接冷間圧延して得た極細平線については、引張強さ及び0.2%耐力が少し劣るとともに、キャンバーの曲り程度が大きく直線性が不可であり、整列巻きするのにやや困難をきたした。他方、その熱処理温度を高くしたものでは、強度的に不十分であり、また幅寸法のバラツキも大きくなっていることが確認された。
さらに他の製品形態として、実施例2で得られた各極細平線のばね特性を評価する為に微小コイルぱね成形機にセットして、図8に示すように幅方向に外径1.0mm、ピッチ0.5mmで湾曲させながら螺旋巻きした異形コイル微小ばねを成形した。本実施例に用いた極細平線は、前記実施例2によって低温熱処理したものを圧延加工したものであり、実質的な残留応力の影響はほとんどみられず、またコイリング加工性も良好に行なうことができた。
次に更に異なる実施例として、実施例2の前記試料Dについて、圧延加工の上下ワークロール間に通電して温度80℃程度に加熱した温間圧延を行った。
圧延は前記冷間加工の場合より良好に行うことができ、圧延歩留まり98.8%であり、得られた極細平線での繰り返し曲げ特性を更に高めることができた。
本発明の極細平線は、図5に示すように中空に押し出された高密度ポリエチレンに低密度ポリエチレンを被覆し、その内部に所定の前記極細平線aによる編組編bを埋設したカテーテルの断面の一例であり、極細平線が高強度で疲労特性に優れることから耐圧性、トルク伝達性を向上し、また曲げに対する抵抗が大きく耐久性を高める極細チューブ用品の補強部材として好適することから、例えばこの編組体をカテーテルや内視鏡などの医療用、テニスラケット等のスポーツシジャー用等の樹脂補強用部材の編組体をはじめ、該平線を例えば種々形状にコイリング加工することで、極細異形線ばねとしても利用できるなど、広範用途に用い得る。
本発明による極細平線の製造工程を示す工程図である。 (A)は金属線材、(B)は硬質細線、(C)は極細平線を例示する断面図である。 硬質細線での繊維組織を拡大して示す断面図である。 硬質細線の結晶を例示する断面図である。 曲げ疲労試験器の要部を例示する断面図である。 冷間圧延装置を例示するブロック図である。 極細平線をカテーテルの補強部材として用いた場合の正面図である。 極細平線を用いた異形ばねを例示する正面図である。 従来のカテーテルを略示する断面図である。
符号の説明
2 金属線材
3 硬質細線
4 極細平線

Claims (7)

  1. a)金属線材からなる素材を冷間伸線加工によって、結晶がその長手方向に沿って伸びる繊維状組織を持つ線径0.5mm以下の硬質細線にする冷間伸線加工の段階と、
    b)該伸線加工によって硬質細線に生じた加工歪を除去する為の加熱処理を、該硬質細線の再結晶温度(℃)×(35〜80%)の範囲内で行なう低温熱処理の段階と
    c)さらにこの低温熱処理後、圧下率40〜95%で圧延して厚さ(t):0.2mm以下、かつ幅(w)を前記厚さ(t)×2〜20倍の金属極細平線にする圧延加工の段階とを経ることを特徴とする耐疲労特性に優れた高強度極細平線の製造方法。
  2. 前記金属線材は、質量%で、C:0.005〜0.20%,Si≦1.0%,Mn≦8.0%,Ni:7.0〜20、0%,Cr:17.0〜30.0%と,更にN:0.10〜0.45%、Mo:0.8〜8.0%,Nb:0.05〜0.40%,Cu:0.10〜2.50%のいずれか1種以上とを含み、残部Feと不可避不純物で構成されるオーステナイト系ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1に記載の高強度極細平線の製造方法。
  3. 前記金属線材は、質量%で、C:0.10〜0.20%,Si≦1.0%,Mn≦2.0%,Ni:10.0〜20.0%,Cr:20.0〜25.0%,Mo:4.0〜8.0%,Co:30.0〜60.0%を含み、残部Feと不可避不純物で構成されてなるCo合金によるものであることを特徴とする請求項1に記載の高強度極細平線の製造方法。
  4. 前記冷間伸線加工は、加工率75〜98%で行なわれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高強度極細平線の製造方法。
  5. 前記圧延加工は、その加工前の該金属細線が有する破断荷重の2〜20%の逆張力を付加しながら冷間加工するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高強度極細平線の製造方法。
  6. 前記逆張力は、少なくとも前記圧延加工の前段(硬質細線の供給側)に付設したダンサーロールによるものであることを特徴とする請求項5に記載の高強度極細平線の製造方法。
  7. 前記請求項1〜6のいずれかに記載の高強度極細平線の製造方法で得られる高強度極細平線であって、引張強さが2000〜3500N/mm、かつ曲率半径1mmでの繰り返し折曲げ試験の曲げ回数が1500回(但し、曲げ角度90°分を1回とする)以上であることを特徴とする耐疲労特性に優れた高強度金属極細平線。
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