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JP2008172059A - 有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 Download PDF

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JP2008172059A
JP2008172059A JP2007004406A JP2007004406A JP2008172059A JP 2008172059 A JP2008172059 A JP 2008172059A JP 2007004406 A JP2007004406 A JP 2007004406A JP 2007004406 A JP2007004406 A JP 2007004406A JP 2008172059 A JP2008172059 A JP 2008172059A
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Yasushi Okubo
康 大久保
Katsura Hirai
桂 平井
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】トランジスタ特性が良好で、さらに生産効率が高い溶液プロセスによって製造することのできる有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】ゲート絶縁膜上に光または酸分解性第1官能基を有する化合物からなる第1自己組織化単分子膜(SAM膜)を形成する工程、前記SAM膜上にパターン露光し、前記SAM膜を分解し、露光部位のSAM膜上に第2官能基を露出させる工程、前記第2官能基に化合物を反応させ、前記SAM膜上に第3官能基を形成する工程、前記第3官能基形成後、2回目露光で残存第1SAM膜を第2官能基を有するSAM膜に変換する工程、2回目露光を行って形成された第2官能基を有するSAM膜に、化合物を反応させ、前記SAM上に第4官能基を形成する工程を経て、パターン化された第3及び第4官能基を有するSAM膜を前記ゲート絶縁膜上に有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、自己組織化単分子膜を有する有機薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。また、情報化の進展に伴い、従来、紙媒体で提供されていた情報が電子化される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては、液晶、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動方法としては薄膜トランジスタ素子(TFT素子)を用いるアクティブ駆動方法が主流になっている。例えば、通常のコンピュータディスプレイではガラス基体上にこれらTFT素子を形成し、液晶、有機EL素子等が封止されている。
ここでTFT素子には主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体を用いており、これらのSi半導体(必要に応じて金属膜も)を多層化し、ソース、ドレイン、ゲート電極を基体上に順次形成していくことでTFT素子が製造される。こうしたTFT素子の製造には、通常スパッタリング、その他の真空系の製造プロセスが必要とされる。
しかしながら、これらSi系のTFT素子では、スイッチング動作の要となる半導体層だけでもp型とn型といった複数の半導体層が積層されているように、多数の層の形成が必要であり、これらの層の形成には真空チャンバーを含む真空系の製造プロセスが必要であるため、装置コスト、ランニングコストが非常に膨大なものとなっている。さらに、これらの真空系の製造プロセスで形成した層を、フォトリソグラフ等の手段によってパターニングする必要があり、このパターニング工程においても露光・現像・洗浄等の多数の工程を行う必要があり、結果として、素子を基体上に形成するためには何十もの工程を必要とてしている。こうした従来のSi半導体による製造方法ではディスプレイ画面の大型化のニーズに対し、真空チャンバー等の製造装置の大幅な設計変更が必要とされる等、設備の変更が容易ではない。
また、このような従来からのSi材料を用いたTFT素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、基体材料には工程温度に耐える材料であるという制限が加わることになる。このため実際上はガラスを用いざるをえず、先に述べた電子ペーパーあるいはデジタルペーパーといった薄型ディスプレイを、こうした従来知られたTFT素子を利用して構成した場合、そのディスプレイは重く、柔軟性に欠け、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。ガラス基体上にSi系TFT素子を形成することに起因するこれらの特徴は、情報化の進展に伴う手軽な携行用薄型ディスプレイのニーズには望ましくないものである。
一方、近年において高い電荷輸送性を有する有機化合物として、有機半導体材料の研究が精力的に進められている。これらの化合物は有機EL素子用の電荷輸送性材料のほか、例えば、有機レーザー発振素子や、多数の論文にて報告されている有機薄膜トランジスタ素子(有機TFT素子)への応用が期待されている。
これまでに半導体層として検討されてきた材料としては、ペンタセンやテトラセンといったアセン類、またこれらに置換基を導入した化合物、フタロシアニンやポルフィリン類、及びこれらの前駆体、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物や、α−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、ナフタレン、アントラセンに5員の芳香族複素環が対称に縮合した化合物、モノ、オリゴ及びポリジチエノピリジン、さらにはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子等が挙げられる。
このような有機材料が有機半導体層であるデバイスを実現できれば、低温での真空ないし低圧蒸着による製造ができると考えられる。このような低温プロセスによる製造は、透明樹脂基体上へのTFT素子の形成を可能とし、ディスプレイを従来のものよりも軽く、柔軟性に富み、落としても割れない(もしくは非常に割れにくい)ディスプレイとすることができると考えられる。
さらに、これらの有機半導体材料の分子構造を適切に改良することによって溶剤に可溶化することができれば、インクジェット法または印刷法等といった簡便な溶液プロセスによってパターニングが可能となり、フォトリソグラフに伴う露光・現像・洗浄等の多数の工程を削減することができ、簡便な工程でディスプレイを製造できることが期待される。
ところで、これらのTFT素子では、絶縁膜と有機半導体層の界面をキャリアが通るといわれており、キャリアの通過する絶縁膜界面にキャリアトラップが存在するとキャリア移動度が低下するといった問題があり、これを回避するために、ゲート絶縁膜表面をシランカップリング剤等で被覆することで、キャリア移動度を向上させるといった試みが多くなされている。
ところがこういった手法は、ソース・ドレイン電極や有機半導体層を、塗布法を用いて形成する際には有機半導体溶液を弾いてしまうといった問題が起き、所望の部位(ソース電極とドレイン電極の間)にうまく有機半導体層を形成できないといった課題を有していた。
特許文献1及び非特許文献1においては、裏面露光法を用いてゲート電極上(チャネル形成領域上)のみにシランカップリング剤からなる自己組織化単分子膜を形成し、ソース・ドレイン電極を塗布法によって形成する方法が開示されているが、有機半導体層については溶剤溶解性のないペンタセンを蒸着で形成しており、有機半導体層を塗布で形成することについては言及されていない。このような手法では、ソース・ドレイン電極間は表面エネルギーが低く濡れにくいオクタデシルトリクロロシランが形成され、ソース・ドレイン電極間以外は表面エネルギーが高く濡れやすい酸化ケイ素表面となっているため、ソース・ドレイン電極間に塗布法によって有機半導体層を形成することは難しい構成の手法であった。
特開2005−79560号公報 第67回応用物理学会予稿集No.3,p1210,29a−ZH−5
本発明の目的は、トランジスタ特性が良好で、さらに生産効率が高い溶液プロセスによって製造することのできる有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体材料からなる有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する有機薄膜トランジスタであって、
(1)ゲート絶縁膜上に光または酸分解性を有する第1の官能基を有する化合物からなる第1の自己組織化単分子膜を形成する工程、
(2)前記自己組織化単分子膜上に活性光線をパターン露光し、前記自己組織化単分子膜を分解し、露光された部位の自己組織化単分子膜上に第2の官能基を露出させる工程、
(3)前記第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物1を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第3の官能基を形成する工程、
(4)前記第3の官能基を形成した後、2回目の露光を行って残存していた第1の自己組織化単分子膜を第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に変換する工程、
(5)前記2回目の露光を行って形成された第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に、第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物2を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第4の官能基を形成する工程、
を経て、パターン化された第3の官能基及び第4の官能基を有する自己組織化単分子膜を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
2.前記第3の官能基を有する自己組織化単分子膜の表面エネルギーE3が、前記第4の官能基を有する自己組織化単分子膜の表面エネルギーE4より大きいことを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタ。
3.前記第3の官能基を有する自己組織化単分子膜上に、前記有機半導体材料からなる有機半導体層が形成されていることを特徴とする前記1または2に記載の有機薄膜トランジスタ。
4.前記化合物1が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
Figure 2008172059
(式中、Aは前記第2の官能基と結合しうる官能基を表す。L1は単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基、またはこれらの基にエーテル基、チオ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基を介してQと連結する2価の連結基を表す。QはC、Si、Ge、Sn、Pbから選ばれる4価の原子を表し、R1〜R3はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表し、互いに連結して環を形成していてもよい。)
5.前記第4の官能基が、アルキル基またはハロゲン化アルキル基であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
6.前記活性光線によって分解される第1の自己組織化単分子膜が、下記一般式(2)で表されるシランカップリング剤によって形成された自己組織化単分子膜であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
Figure 2008172059
(式中、Zは酸素、硫黄、セレン、テルルから選ばれるカルコゲン原子を表し、L2は単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基、またはこれらの基にエーテル基、チオ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基を介してZと連結する2価の連結基を表す。R4、R5はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表す。Xはハロゲン原子、アルコキシ基、イソシアナート基から選ばれる加水分解可能な置換基を表す。m、nは1〜3の整数を表す。)
7.前記一般式(2)において、Zが酸素原子であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
8.前記有機半導体材料がペンタセン誘導体であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
9.前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの有機半導体層が、塗布によって形成されることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
本発明によれば、トランジスタ特性が良好で、生産効率が高い溶液プロセスにより製造することができる有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することができる。
本発明の有機薄膜トランジスタは、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体材料からなる有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する有機薄膜トランジスタであって、以下の工程を経て作製される有機薄膜トランジスタである。
即ち、本発明の有機薄膜トランジスタは、
(1)ゲート絶縁膜上に光または酸分解性を有する第1の官能基を有する化合物からなる第1の自己組織化単分子膜を形成する工程、
(2)前記自己組織化単分子膜上に活性光線をパターン露光し、前記自己組織化単分子膜を分解し、露光された部位の自己組織化単分子膜上に第2の官能基を露出させる工程、
(3)前記第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物1を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第3の官能基を形成する工程、
(4)前記第3の官能基を形成した後、2回目の露光を行って残存していた第1の自己組織化単分子膜を第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に変換する工程、
(5)前記2回目の露光を行って形成された第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に、第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物2を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第4の官能基を形成する工程、
を経て、パターン化された第3の官能基及び第4の官能基を有する自己組織化単分子膜を有することを特徴とする。
なお、自己組織化膜については、A.Ulman著「An Introduction to Ultrathin Organic Film from Langmuir−Blodgett to Self−Assembly」(Academic Press Inc.Boston,1991)の第3章に詳しい。
本発明においては、このような自己組織化単分子膜の形成によって基板の表面状態を調整する。即ち、自己組織化単分子膜を形成することで基板上の薄膜形成材料との親和性を調整する。
本発明においては、ゲート絶縁膜表面に自己組織化単分子膜を配置して、ゲート電極に対して整合的に配置された位置に有機半導体材料層、またソース電極、ドレイン電極等を、塗布プロセスで高精度に形成するものである。
〔有機薄膜トランジスタの製造方法〕
以下に、本発明に係る自己組織化単分子膜を、ゲート絶縁膜上に形成して、有機半導体材料層等の薄膜をパターニングして形成する方法について、図1を用いて説明する。
本発明を、基板、例えばガラス(石英)からなる基板1上に、クロム(膜厚140nm)からなるゲート電極2、さらに酸化シリコン膜(400nm)からなる絶縁膜3が積層された基板を例として説明する。
本発明においては、ゲート絶縁膜上に、先ず、光または酸分解性を有する第1の官能基を有する化合物からなる第1の自己組織化単分子膜を形成する。
ゲート絶縁膜としては、無機材料として酸化シリコン以外に、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化チタン等、金属酸化物が用いられるため、表面には水酸基が存在し化学吸着活性である。従って、光対し分解性を有する第1の官能基を有する自己組織化単分子膜を形成することのできる化合物としては、これらの表面と反応性を有する基を有する化合物である。これらの官能基としては、例えばハロゲノシリル基、アルコキシシリル基またイソシアネート基等であり、前記表面と反応性を有する官能基で有ればよい。
これら第1の自己組織化単分子膜を形成できる化合物としては、光または酸によって分解する第1の官能基を有すると共に、自己組織化単分子膜を形成するため膜表面と反応性を有する基を同時に有する化合物であれば限定されない。
酸によって分解する自己組織化単分子膜の場合は、光酸発生剤が近傍に存在することで実質的に光でパターニングを行うことができる。光で直接分解する自己組織化単分子膜の方が、工程が簡略であるために好ましい。
光で直接分解する官能基としては、例えば、2,2−ジメチル−1,3−ジオキシン基、ニトロベンジル基等が知られている。
第1の自己組織化単分子膜においては、基板との吸着部位とは別に光または酸によって分解する官能基を構成分子中に有しているため、形成された第1の自己組織化単分子膜上に活性光線をパターン露光することで、前記自己組織化単分子膜における第1の官能基は分解して、露光された部位において第2の官能基を露出させる。例えば、前述の2,2−ジメチル−1,3−ジオキシン基の場合にはアクロレイン基が生成し、ニトロベンジル基の場合にはカルボン酸残基やスルホン酸残基等を露出させることができる。
これらの光反応性官能基の中でも、感光波長が比較的長く、汎用の安価な光源を使用することができるニトロベンジル基を有するシランカップリング剤からなる自己組織化単分子膜を使用することが好ましい。すなわち、第1の自己組織化単分子膜は、好ましくは前記一般式(2)で表されるシランカップリング剤によって形成されるものである。
〔一般式(2)で表されるシランカップリング剤〕
先ず、一般式(2)で表されるシランカップリング剤について説明する。
前記一般式(2)において、Zは酸素、硫黄、セレン、テルルから選ばれるカルコゲン原子を表し、L2は単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基、または、これらの基にエーテル基、チオ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基を介してZと連結する2価の連結基を表す。R4、R5はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表す。Xはハロゲン原子、アルコキシ基、イソシアナート基から選ばれる加水分解可能な置換基を表す。m、nは1〜3の整数を表す。
Zとしては酸素、硫黄が反応性に富むため好ましく、酸素がより好ましい。
2で表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基としては、炭素数1〜22のアルキル、シクロアルキル、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基が好ましい。また、アリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基が挙げられ、フェニレン基が好ましい。また、これらのアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、またアリーレン基は、さらに後述のR4で表される基等で置換されていてもよい。
Xで表されるハロゲン原子としては、クロル基が好ましい。アルコキシ基としては炭素原子数1〜4までのアルコキシ基、特に好ましいのはメトキシ基、エトキシ基である。m、nは1〜3の整数である。ニトロ基が置換する位置としては、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよいが、感光性からオルト位、パラ位のいずれかにニトロ基を有していることが好ましい。
4、R5で表されるアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基としては、具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロプロピル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、ハロゲン化アリール基(ペンタフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピル(iまたはn)シリル基、トリブチル(i、tまたはn)シリル基等)が挙げられ、これらの置換基は上記の置換基によってさらに置換されていても。また、好ましくは、直鎖、分岐または環状のアルキル基である。これらの中でも、感光性を高いものとするためにはR4は水素原子またはメチル基であることが好ましい。
具体的化合物例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。これらの化合物は、J.Am.Chem.Soc.,vol.126(2004),p16314、高分子学会予稿集Vol.52−No.11(2003)p2660、高分子学会予稿集Vol.55−No.2(2006)p3953等を参考として合成することができる。
Figure 2008172059
Figure 2008172059
前記一般式(2)で表される化合物により形成された第1の自己組織化単分子膜(SAM膜)は、1回目の露光によって、光または酸分解性を有する第1の官能基が分解して第2の官能基を生成する。
また、生成した第2の官能基(−ZH)は、第2の官能基と結合しうる基を有する化合物1、例えば前記一般式(1)で表される化合物(後述する)と反応・結合して、新たな第3の官能基を形成する。
さらに、前記第3の官能基を形成した後、2回目の露光を行って残存していた第1の自己組織化単分子膜を第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に変換し、次いで前記2回目の露光を行って形成された第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に、第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物2を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第4の官能基を形成し、パターン化された第3の官能基及び第4の官能基を有する自己組織化単分子膜を有する有機薄膜トランジスタを得る。
以下に模式的に例示する。
Figure 2008172059
レジストを用いてフォトリソグラフィー法により、またマスクパターンを用いて、前記第1の自己組織化単分子膜に光パターンの1回目の露光を与えれば、光照射された部分に第2の官能基が生成する。具体的には1の自己組織化単分子膜の末端は、例えばカルボキシル基、ヒドロキシ基、メルカプト基等の基となる。
本発明においては、光パターン露光によって、第1の自己組織化単分子膜(SAM膜)中において、第1の官能基の分解により第2の官能基を形成するが、次いで、光照射で生成した前記第2の官能基と、前記一般式(1)で表される化合物を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第3の官能基を形成し、さらに、前記第3の官能基を形成した後、2回目の露光を行って残存していた第1の自己組織化単分子膜を第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に変換し、次いで前記2回目の露光を行って形成された第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に、第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物2を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第4の官能基を形成し、パターン化された第3の官能基及び第4の官能基を有する自己組織化単分子膜を有する有機薄膜トランジスタを得るものである。
第3の官能基は、後述する有機半導体材料あるいは材料溶液の濡れ性がよく、親和性が高い表面を形成する基であり、高い移動度を有する有機半導体素子が得られるという効果をもたらす。第4の官能基は、第3の官能基よりも表面エネルギーの低い置換基とすることで、塗布された有機半導体溶液を第3の官能基を有する自己組織化単分子膜上のみに塗布されるように誘導し、所望するようなパターンを容易に得ることができるようにするものである。
〔一般式(1)で表される化合物〕
前記1回目の露光を行って形成された第2の官能基に反応して第3の官能基を形成する化合物1としては、前記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)中、Aは第2の官能基と結合しうる基を表す。L1は単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基、または、これらの基にエーテル基、チオ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基を介してQと連結する2価の連結基を表す。QはC、Si、Ge、Sn、Pbから選ばれる4価の原子を表し、R1〜R3はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表し、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(1)において、Aは前記一般式(2)で表されるシランカップリング剤中の分解性基の分解によって形成する第2の官能基と結合しうる基を表し、アミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、エーテル基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、ホスフィニル基、ピリジル基、ビピリジル基、ベンゾトリアゾリル基(−C643)、カルボニルオキシベンゾトリアゾール基(−OC(=O)C643)、オキシベンゾトリアゾール基(−O−C643)、アミノベンゾトリアゾール基(−NH−C643)、及び−CONHOH、−COOH、−COSH、−C54N、−SO3H、−NC、−CHO、−PO32、−OPO32といった構造式で表される置換基等が挙げられる。
実際には、前記一般式(2)で表されるシランカップリング剤中の分解性基の構造によって、生成する第2の官能基は異なってくるので、これと反応する一般式(1)で表される化合物における基Aも変化する。例えば−L2−Z−がカルボニルオキシ基、即ち−CO−O−基を構成する場合、一般式(2)で表されるシランカップリング剤は分解して末端がカルボキシル基となるが、この第2の官能基と反応する基としてはアミノ基が挙げられ、また、第2の官能基として、例えば、ヒドロキシ基、メルカプト基等が生成する場合には、例えば、末端ビニル化合物やアルキルアルコキシシラン、アルキルハロゲノシラン、イソシアナート基等も挙げられる。
従って、Aは一概に限定できないが、本発明においては前記一般式(1)において、L2として−(CH2n−C(=O)−であり(n=1〜10)、Zは酸素原子であることが好ましく、この場合ニトロベンジル基の脱離によりカルボキシル基を生成するので、このような場合、前記一般式(1)における基Aの好ましい例としては、アミノ基が挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物が、前記第1の自己組織化単分子膜の分解によって生じた第2の官能基と反応する官能基を有することで、第1の自己組織化単分子膜は、前記のように、第3の官能基を有する異なった自己組織化単分子膜からなるコーティング層を形成することができる。
一般式(1)において、L1で表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基の炭素原子数は1〜22であることが好ましく、アリーレン基としてはフェニレン基、ナフタレン基等、フェニレン基が好ましい。またこれらの置換基はさらに、後述の置換基で置換されていてもよい。
QはC、Si、Ge、Sn、Pbから選ばれる4価の原子を表す。
1〜R3は置換または無置換のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表し、互いに連結して環を形成していてもよい。
具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロプロピル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピル(iまたはn)シリル基、トリブチル(i、tまたはn)シリル基等)、これらの置換基は上記の置換基によってさらに置換されていても、複数が互いに結合して環を形成していてもよい。また、好ましくは、直鎖、分岐または環状のアルキル基である。
従来の直鎖状アルキル基やアリール基を有する電極表面処理剤は、比較的膜密度の高いコーティング層を形成するのに対し、一般式(1)で表される化合物を反応させたSAM膜は、末端部が立体的に嵩高いため、膜密度の低いコーティング層を形成することができる。詳細は不明であるが、このようなコーティング層をゲート絶縁層と有機半導体層の間に形成することで、絶縁膜と有機半導体層との界面のキャリアトラップ密度が低減され、良好な特性を有する有機薄膜トランジスタが得られるものと推定される。また、有機溶剤系の溶液を塗布する際に、直鎖状アルキル基やアリール基を有する表面処理剤から形成されるコーティング層よりも、溶剤をはじきにくいといった効果もある。さらに、これらの溶剤の塗布性の差を利用することで、溶剤塗布による有機半導体層形成を高精度に行えるといった効果を有する。
また、一般式(1)において、より好ましくは、前記Qで表される原子はケイ素原子である。ケイ素原子は炭素よりも大きな原子であり、嵩高い末端を形成しやすく、より膜密度の低いコーティング層を形成することができる。また、ケイ素よりも大きな原子ではR1〜R3で表される置換基や、L1で表される連結基との結合が不安定となる傾向がある。
以下、本発明に係る一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008172059
これらの化合物は、いずれも公知の化合物であるか、公知の反応を用いて入手可能である。
〔第4の官能基を形成する化合物2〕
前記2回目の露光を行って形成された第2の官能基に反応して第4の官能基を形成する化合物2としては、前記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。好ましい化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008172059
これらの化合物は、いずれも公知の化合物であるか、公知の反応を用いて入手可能である。
これらの化合物の中で、第4の官能基として、アルキル基またはハロゲン化アルキル基を形成するものが好ましい。
〔自己組織化単分子膜〕
本発明に用いられる自己組織化単分子膜(SAM膜)表面エネルギーの測定方法としては、純水の接触角を測定する方法を簡便な方法として用いることができる。この接触角は接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃、50%RHの環境下で測定するものである。
本発明においては、ソース・ドレイン電極間のチャネル形成領域(第3の官能基を形成した表面)の表面の水に対する接触角が50〜100度となることが好ましく、より好ましくは70〜95度、さらに好ましくは80〜90度である。接触角が低いと、トランジスタ素子のキャリア移動度やon/off比を著しく低下させ、高過ぎると有機半導体層を形成する際に有機半導体材料を含有する溶液をはじきやすくなる。
また、ソース・ドレイン電極間以外の領域(第4の官能基を有する領域)の接触角は、第3の官能基を有する領域の接触角よりも1°以上大きいことが好ましく、より好ましくは10°以上、さらに好ましくは15°以上大きいことである。このような表面エネルギーの関係とすることで、有機半導体溶液を所望するソース・ドレイン電極間に精度よく塗布することができるものである。
本発明に係るSAM膜を形成する化合物は、表面処理剤と混合して用いることができる。表面処理剤としては、アルキルトリクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
本発明に係る第1のSAM膜を形成するシランカップリング剤により形成されるコーティング層の厚さは、0.5〜20nmの範囲が好ましく、より好ましくは0.7〜10nm、さらに好ましくは1.0〜3.0nmである。
また、SAM膜を形成するゲート絶縁膜表面の表面粗さRaは、薄膜トランジスタが後述のボトムゲート型では、その基体、ゲート電極、ゲート絶縁膜の表面性にも大きく影響を受けるが、概して0.01〜10nmとすることが、トランジスタ素子のキャリア移動度の観点から好ましい。
本発明に係る自己組織化単分子膜(SAM膜)を形成する方法としては、第1の自己組織化単分子膜を形成する、前記一般式(2)で表されるシランカップリング剤を含有する溶液を、例えばスピンコート法やスクリーン印刷法、インクジェット印刷法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、浸漬法、スプレー法、滴下法、ラングミャー・ブロジェット法等といった各種の溶液プロセスを用いてゲート絶縁膜表面に塗布し、洗浄、乾燥することによって形成することができる。
また、有機半導体薄膜パターンに従って、第1の自己組織化単分子膜(SAM膜)をパターニングする方法としては、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いてレジストにより絶縁膜上に直接遮光層を形成し光露光を行う方法、また、クロム等により形成されたマスクパターンを介して光照射を行う方法、レーザーを走査する方法等、公知の方法で行うことができる。これらの中でも、マスク露光を行う方法が簡便で効率がよく、好ましい。
このように、第1のSAM膜をパターン露光してSAM膜中の分解性基を分解して第2の官能基を露出させ、ここに、別の化合物を反応させ新たに第3の官能基をSAM膜上に形成する。さらに、前記第3の官能基を形成した後、2回目の露光を行って残存していた第1の自己組織化単分子膜を第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に変換し、次いで前記2回目の露光を行って形成された第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に、第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物2を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第4の官能基を形成することによってゲート絶縁膜上に表面エネルギーの異なる領域をパターニングすることができる。
前記第3の官能基を有する自己組織化単分子膜の表面エネルギーE3は、前記第4の官能基を有する自己組織化単分子膜の表面エネルギーE4より大きいことが好ましい。このような特性とすることで、第3の官能基を有するSAM膜上(半導体チャネル領域上)のみに高い位置精度、及び再現性で有機半導体層を形成することができ、ひいては移動度の高い有機半導体層を得ることができる。
本発明においては、上記の方法により形成した第3の官能基を形成した領域に有機半導体層を形成することが好ましい。
次いで、有機半導体層の形成方法及び材料について説明する。
〔有機半導層の形成方法〕
本発明においては、上記の方法により形成した第3の官能基を形成した領域に有機半導体層を形成する。有機半導体材料としては、後述する材料を用いることができる。
有機半導体層を形成する方法としては、真空蒸着やMBE(Molecular Beam Epitaxy)法等のような前記のドライプロセス、また、スピンコート法やスクリーン印刷法、インクジェット印刷法、各種の塗布法等、溶液プロセスを挙げることができる。本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、上記のプロセスのうち、溶液プロセスで有機半導体層を形成することが好ましい。
溶液プロセスで形成することができれば、工程数の大幅な削減ができ、簡便な工程で有機薄膜トランジスタを形成することができるだけでなく、ドライプロセスで形成するよりも大きな結晶を形成することが可能であり、ひいては良好な移動度を有する有機薄膜トランジスタを形成することができる。
本発明においては、溶液プロセスで形成するにもかかわらず異なる自己組織化単分子膜膜により絶縁膜表面がパターニングされているために、高細精で再現性よく有機半導体チャネル形成が行える。
(有機半導体層の膜厚)
これら有機半導体層の膜厚としては特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
〔有機半導体材料〕
有機半導体膜を構成する有機半導体材料としては、電界効果によってキャリアの移動度を制御できる材料であれば制限なく用いることができるが、キャリアが正孔であるp型半導体と、キャリアが電子であるn型半導体に大別することができる。しかし、これまでn型の有機半導体材料で高移動度かつ安定な材料はほとんど見つかっておらず、大多数はp型の有機半導体材料である。
このような有機半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン等のオリゴマーが好適に用いることができる。
さらに、ポルフィリンや銅フタロシアニン、特開平11−251601号に記載のフッ素置換銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N′−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N′−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミド等のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、さらにポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン誘導体、縮合環テトラカルボン酸ジイミド誘導体、金属フタロシアニン、金属ポルフィリンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。また、ペンタセン誘導体がより好ましい。
ペンタセン誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol.127.No14.4986等に記載のアセン類及びその誘導体等が挙げられる。
しかし、一般に上記の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物は溶解性に乏しく、可溶性の有機半導体材料とするためには、上記のような有機半導体材料に、アルキル基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、アリール基等の置換基を付与することによって、溶媒に可溶化された有機半導体材料を用いることが好ましい。
これらの中でも特に、J.Amer.Chem.Soc.,vol.127.No14.4986等に記載されるようなエチニル置換基を有する縮合多環式芳香族化合物類が好ましく用いられる。
これらの例としては下記の有機半導体化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008172059
(塗布に用いられる有機溶媒)
有機半導体液滴を作製する際に使用される有機溶媒は、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素または脂肪族ハロゲン化炭化水素が好ましく、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素または脂肪族炭化水素がより好ましい。
芳香族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
脂肪族炭化水素としては、オクタン、4−メチルヘプタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサンシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
脂肪族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ブロモホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジフルオロエタン、フルオロクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、クロロペンタン、クロロヘキサン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明で用いられるこれらの有機溶媒は、1種類あるいは2種類以上混合して用いてもよい。また、有機溶媒は50〜250℃の沸点を有するものが好ましい。
このような可溶性の有機半導体材料としては、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)や特開2003−292588号及び特開2005−76030号に記載されているような、アルキル基を有するポリチオフェン系化合物、前記非特許文献1に記載されているような、トリアルキルシリルエチニル基を有するようなアセン化合物及びヘテロアセン化合物、また特開2003−304104号に記載されている、ビシクロ環のような立体的な環状構造を有するポルフィリン化合物等を挙げることができる。
本発明の方法によれば、前記第3の官能基が形成された領域において前記有機半導体液滴の親和性が高いので、この領域に位置精度よく、再現性よく半導体チャネルを形成できる。
〔電極〕
まず、ゲート電極、及びソース/ドレイン電極を形成する電極材料とその形成方法について説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極、及びゲートバスライン、電極と電源とをつなぐ配線部等を構成する材料としては、公知の電極材料にて形成することができる。電極材料としては導電性材料あれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)も好適に用いられる。
また、ソース/ドレイン電極を形成する材料としては、上に挙げた中でも、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等を挙げることができる。中でも、半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましく、半導体層がp型半導体の場合は、白金、金、銀、銅が好ましい。中でも好ましくは、有機半導体材料との電位差が少なく、電極から有機半導体へのキャリア注入障壁の小さい金である。また、金は酸化等によって電極表面に酸化皮膜を作ることがないため、電極表面と本発明の電極表面処理剤との反応性が低下するといった恐れがない。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等のドライプロセスを用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形状を形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングによって形成したパターニングし、レーザーアブレーション等により転写する方法、また導電性ポリマーの溶液あるいは金属微粒子を含有する分散液、導電性インク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等印刷法、インクジェット法等の溶液プロセスによって形成する方法等が挙げられる。
ソース電極及びドレイン電極の形状を形成する手段としては、フォトリソグラフ法またはインクジェット法を用いて形成することが好ましい。
なお、上述した表面処理剤(シランカップリング剤)は、コーティング層(SAM膜)を形成する直前に、公知の洗浄方法を用いて電極表面を清浄に洗浄しておくことが好ましい。
このような電極表面洗浄方法としては、強酸・強アルカリによる処理、紫外線照射、オゾン処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等を挙げることができる。中でも好ましくはプラズマ処理であり、さらに好ましくは大気圧プラズマ処理である。
大気圧プラズマ処理とは、大気圧下において対向する電極間に電界を印加することにより発生したプラズマを含有するガスを、基材に吹き付けるといった処理である。大気圧プラズマ処理では、真空プラズマ処理に比して活性種の密度が高いために、高速・高効率で電極表面の処理ができ、また処理時に真空にする必要がないために、少ない工程数で処理ができるといったメリットがある。大気圧プラズマ処理は、特開2003−309266号等を参考にして行うことができる。
〔ゲート絶縁膜〕
本発明の有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては、種々の絶縁膜を用いることができるが、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム、等の金属酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン等の金属窒化物、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、エポキシ樹脂やオキセタン樹脂等の光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルランやトリアセチルセルロース等の天然多糖類を原料とした樹脂、ゼラチン、低温化学的気相成長法で形成したパリレン等の有機系絶縁材料を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。
これらの材料の中でも、絶縁破壊電圧が高く、かつ比誘電率の高い材料を用いることが好ましい。絶縁破壊電圧が高い材料では絶縁膜の膜厚を薄くすることができ、生産速度を高いものとすることができ、素子を折り曲げた際のクラックの発生や剥がれを低減することができる。また、比誘電率が高い材料を用いれば、低いゲート電圧でチャネルを形成することができ、低電圧で駆動できる有機薄膜トランジスタとすることができる。このような特性を満たす絶縁膜材料としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリビニルフェノール、及びポリイミドを好ましく用いることができる。
絶縁膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、化学的気相成長(CVD)法、スパッタリング法、大気圧プラズマCVD法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセス、ゲート電極の表面を酸化あるいは窒化することによって形成する方法が挙げられ、材料に応じて使用できる。
ゲート電極の表面を酸化あるいは窒化するといった手法を用いても絶縁膜を形成することができる。ゲート電極を酸化する方法としては、酸素プラズマを用いた酸化法、陽極酸化法を例示することができる。またゲート電極の表面を窒化する方法としては、窒素プラズマを用いた窒化法を例示することができる。
これらのうち、無機系の薄膜を形成する方法として好ましいのは、陽極酸化法、大気圧プラズマCVD法、及びそれらを組み合わせた方法である。
陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより、金属の表面上に形成することができる。陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げられる。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸またはホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
大気圧プラズマCVD法とは、大気圧下において対向する電極間に電界を印加することにより発生したプラズマ中に、薄膜を形成する原料化合物を導入し、プラズマ中で化学反応を起こして生成した微粒子を、基板上に堆積させることによって薄膜を形成するといった手法であり、その方法については特開平11−43781号、特開2003−179234号、国際公開第04/75279号パンフレット等に記載の公知の技術を用いて作製することができる。
有機化合物からなる絶縁膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
また、ゲート絶縁層表面には、平面性や表面エネルギー等の各種の特性の改質を目的として、第2のコーティング層を形成してもよい。第2のコーティング層は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化タンタル等の無機酸化物、ポリフッ化ビニリデン等の高誘電率ポリマー等からなる薄膜を形成してもよい。
〔基体〕
有機薄膜トランジスタを形成する基体(基板ともいう)としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素等のセラミック基体、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等半導体基体、紙、不織布等、及び屈曲が可能な程度の厚みを有するステンレス、アルミ等の金属からなる基板等を用いることができるが、本発明において基体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。
プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基体を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。また、曲面形状を有するディスプレイ装置や電子機器への電界効果型トランジスタの組込みあるいは一体化が可能となる。
〔下引き層〕
また、本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、基体がプラスチックフィルムの場合、基体と有機薄膜トランジスタとの密着性を高めるために、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層、及びポリマーを含む下引き層の少なくとも一方を有することが好ましい。
下引き層に含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム,チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。また無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
本発明において、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層の形成方法としては、前述したゲート絶縁膜の形成法と同様の無機酸化物または無機窒化物の形成方法を挙げることができるが、好ましくは大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
ポリマーを含む下引き層に用いるポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリアミド樹脂、エチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
〔保護層〕
また、本発明の有機薄膜トランジスタ上には保護層を設けることも可能である。保護層としては無機酸化物または無機窒化物、アルミニウム等の金属薄膜、ガス透過性の低いポリマーフィルム、及びこれらの積層物等が挙げられ、このような保護層を有することにより、有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。これらの保護層の形成方法としては、前述したゲート絶縁膜の形成法と同様の方法を挙げることができる。また、ポリマーフィルム上に各種の無機酸化物等が積層されたフィルムを単にラミネートする等といった方法で保護層を設けてもよい。
〔有機薄膜トランジスタの構成〕
本発明の有機薄膜トランジスタの層構成例を図で説明する。
有機薄膜トランジスタは、基体上に有機半導体層で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基体上に先ずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体膜で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。さらに、ゲート電極から見てソース/ドレイン電極が、有機半導体層の手前にあるボトムコンタクト型と、有機半導体層の向こう側にあるトップコンタクト型に区別することができ、両者を組み合わせることによって、4種類の有機薄膜トランジスタの構成が可能である。本発明の有機薄膜トランジスタでは絶縁膜上に自己組織化単分子膜を形成した後、有機半導体層を形成する必要があるため、ボトムゲート・ボトムコンタクト型構成及びボトムゲート・トップコンタクト型構成のいずれかであることが好ましい。また、有機半導体層の上に多数の層を形成すると、それらの層を形成する際の熱や光等によって有機半導体層が劣化する恐れがあるため、最も好ましい素子構成は、図1に示されるようなボトムゲート・ボトムコンタクト型の素子である。
図1において、基体1上に電極パターン2を形成し、電極パターン2を総て被覆するように絶縁層3を形成する(図1(1))。絶縁層3上には、ソース電極4、ドレイン電極5が蒸着等パターニングにより形成される(図1(2))。この上に第1の自己組織化単分子膜6を形成し(図1(3))、この上に、光パターニング(第1の露光)により第2の官能基を有する自己組織化単分子膜7を形成し(図1(4))、さらに、第2の官能基と反応する化合物1と反応させることで、第3の官能基を有する自己組織化単分子膜7′を形成(図1(5))する。
さらに、前記第3の官能基を形成した後、2回目の露光を行って残存していた第1の自己組織化単分子膜6を、第2の官能基を有する自己組織化単分子膜6′に変換し(図1(6))、次いで2回目の露光を行って形成された第2の官能基を有する自己組織化単分子膜6′に、第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物2を反応させ、第4の官能基を有する自己組織化単分子膜9を形成(図1(7))する。前記自己組織化単分子膜上に第4の官能基を形成することによってゲート絶縁膜上に表面エネルギーの異なる領域をパターニングすることができる。
次いで、ソース・ドレイン電極間に有機半導体材料を溶液プロセスによって滴下することで、SAM膜上に有機半導体層8を形成し(図1(8))、乾燥してボトムゲート・ボトムコンタクト型の素子(図1(9))を得る。
図2は、ゲート絶縁膜3上に本発明のプロセスにより有機半導体層8を形成後、ソース電極4、ドレイン電極5を作製するボトムゲート・ボトムコンタクト型の素子の一例を示す断面図である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例
《有機薄膜トランジスタの作製》
熱酸化によって形成された厚さ200nmの酸化珪素膜を有する、比抵抗0.02Ω・cmのn型Siウェハー上に、静電吸引型インクジェット装置を用いて、下記無電解メッキ触媒液をインクとして用い、支持台にはバイアス電圧2000Vの電圧を印加し、さらにパルス電圧(400V)を重畳させてソース、ドレイン電極パターンに従ってインクを吐出した。ノズル吐出口の内径は10μmとし、ノズル吐出口と基材とのギャップは500μmに保持した。メッキ触媒含有インクとして下記処方のものを用いた。
(無電解メッキ触媒液)
可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム、Pd2+濃度1.0g/L) 20質量%
イソプロピルアルコール 12質量%
グリセリン 20質量%
2−メチル−ペンタンチオール 5質量%
1,3−ブタンジオール 3質量%
イオン交換水 40質量%
さらに、乾燥定着させることにより、触媒パターンを形成した。
次いで、スクリーン印刷法により、下記無電解金メッキ液をインクとして用いてメッキ触媒パターンが形成された領域を含む領域に印刷を行った。メッキ剤がメッキ触媒と接触することでメッキ触媒のパターン上のみに金薄膜が堆積した。
(無電解金メッキ液)
ジシアノ金カリウム 0.1モル/L
蓚酸ナトリウム 0.1モル/L
酒石酸ナトリウムカリウム 0.1モル/L
を溶解した均一水溶液
金薄膜が形成された基板表面を、純水で充分に洗浄、乾燥して、金からなるソース・ドレイン電極パターンが形成された。なおソース・ドレイン電極の形状は、チャネル長Lが25μm、チャネル幅Wが250μmとし、このようなソース・ドレイン電極を10個有するように作製した。
次に、このソース・ドレイン電極を形成したSiウェハーを、アネルバ株式会社製ドライエッチング装置DEM−451を用いて、酸素流量50sccm、真空度10Pa、出力200Wの条件で60秒間真空酸素プラズマ処理を行い、ソース・ドレイン電極の形成された基板表面の洗浄を行った。
〈比較例の有機薄膜トランジスタ1の作製〉
上記の洗浄を行った基板上に、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を3000rpmで1分間スピンコートを行い、90℃で2分間乾燥させた後、トルエン、ついでイソプロパノールで超音波洗浄し、乾燥させ、絶縁膜表面にHMDSからなる自己組織化単分子膜を形成した。
次に、p型の有機半導体材料として下記有機半導体材料1を、トルエンに0.5質量%の濃度で溶解し、この溶液をナリシゲ社製マイクロインジェクターIM300を用いて直径約300μmの略円形となるようにソース電極とドレイン電極の間に塗布し、室温で乾燥させた後、窒素ガス雰囲気中で90℃、1分間の熱処理を施すことによって、有機半導体層を形成し、有機薄膜トランジスタ1を作製した。
Figure 2008172059
なお、有機半導体材料1は、J.Am.Chem.Soc.,vol.127(2005)p4986を参考として合成した。
〈比較例の有機薄膜トランジスタ2の作製〉
表面処理剤として、前記一般式(2)で表されるシランカップリング剤の例示化合物5(Polymer Preprints,Japan,vol55(2006)p3953に記載の方法で合成。以下、表面処理剤5とする。)の10mmol/Lのトルエン溶液に、60℃で10分間浸漬した後、トルエン、ついでイソプロパノールで超音波洗浄し、乾燥させ、絶縁膜表面に表面処理剤5からなる自己組織化単分子膜を形成した。
次に、p型の有機半導体材料として有機半導体材料1を、トルエンに0.5質量%の濃度で溶解し、この溶液をナリシゲ社製マイクロインジェクターIM300を用いて直径約300μmの略円形となるようにソース電極とドレイン電極の間に塗布し、室温で乾燥させた後、窒素ガス雰囲気中で90℃、1分間の熱処理を施すことによって、有機半導体層を形成し、有機薄膜トランジスタ2を作製した。
〈比較例の有機薄膜トランジスタ3の作製〉
有機薄膜トランジスタ2の作製において、絶縁膜表面に表面処理剤5からなる自己組織化単分子膜を形成した後、マスクを介して高圧水銀灯を500mJ/cm2のエネルギーでソース・ドレイン電極間のみに露光し、光分解を行った。トルエン、ついでイソプロパノールで超音波洗浄し、乾燥させた。
次に、p型の有機半導体材料として有機半導体材料1を、トルエンに0.5質量%の濃度で溶解し、この溶液をナリシゲ社製マイクロインジェクターIM300を用いて直径約300μmの略円形となるようにソース電極とドレイン電極の間に塗布し、室温で乾燥させた後、窒素ガス雰囲気中で90℃、1分間の熱処理を施すことによって、有機半導体層を形成し、有機薄膜トランジスタ3を作製した。
〈比較例の有機薄膜トランジスタ4の作製〉
有機薄膜トランジスタ3の作製において、チャネル部のみを露光した後、n−ヘキシルアミンを3000rpmで1分間スピンコートを行い、90℃で2分間乾燥させた後、トルエン、ついでイソプロパノールで超音波洗浄し、乾燥を行った。この操作により、光分解した表面処理剤とn−ヘキシルアミンを反応させ、チャネル部のみを、末端にn−ヘキシル基を有するような自己組織化単分子膜に変換した。
次に、p型の有機半導体材料として有機半導体材料1を、トルエンに0.5質量%の濃度で溶解し、この溶液をナリシゲ社製マイクロインジェクターIM300を用いて直径約300μmの略円形となるようにソース電極とドレイン電極の間に塗布し、室温で乾燥させた後、窒素ガス雰囲気中で90℃、1分間の熱処理を施すことによって、有機半導体層を形成し、有機薄膜トランジスタ4を作製した。
〈本発明の有機薄膜トランジスタ5の作製〉
有機薄膜トランジスタ4の作製において、n−ヘキシルアミンで処理した後、高圧水銀灯を500mJ/cm2のエネルギーで全面露光を行い、チャネル部以外で残存していた自己組織化単分子膜を光分解した。
ついで、ヘプタフルオロブチルアミンを3000rpmで1分間スピンコートを行い、90℃で2分間乾燥させた後、トルエン、ついでイソプロパノールで超音波洗浄し、乾燥を行った。この操作により、光分解したチャネル部以外の表面処理剤とヘプタフルオロブチルアミン(HFBA)を反応させ、ソース・ドレイン電極間以外は末端にヘプタフルオロブチル基を有する自己組織化単分子膜に変換した。
次に、p型の有機半導体材料として有機半導体材料1を、トルエンに0.5質量%の濃度で溶解し、この溶液をナリシゲ社製マイクロインジェクターIM300を用いて直径約300μmの略円形となるようにソース電極とドレイン電極の間に塗布し、室温で乾燥させた後、窒素ガス雰囲気中で90℃、1分間の熱処理を施すことによって、有機半導体層を形成し、有機薄膜トランジスタ5を作製した。
〈本発明の有機薄膜トランジスタ6の作製〉
有機薄膜トランジスタ5の作製において、n−ヘキシルアミンをt−ブチルアミンに変更した以外は同様の工程を使用して、有機薄膜トランジスタ6を作製した。
〈本発明の有機薄膜トランジスタ7の作製〉
有機薄膜トランジスタ5の作製において、n−ヘキシルアミンをアミノプロピルトリイソプロピルシラン(APTIPS)に変更した以外は同様の工程を使用して、有機薄膜トランジスタ7を作製した。
なお、APTIPSは、J.Org.Chem.,vol.60(1995)p1912を参考として、アリールトリイソプロピルシランとo−メシチルスルホニルヒドロキシルアミンを反応させることで合成した。
〈本発明の有機薄膜トランジスタ8の作製〉
有機薄膜トランジスタ7の作製において、有機半導体材料1を有機半導体材料2に変更した以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ8を作製した。
Figure 2008172059
なお、有機半導体材料2は、J.Am.Chem.Soc.,vol.123(2001)p9482を参考として合成した。
《有機薄膜トランジスタの評価》
得られた有機薄膜トランジスタ1〜8に対して、以下の評価を行った。
(有機半導体溶液の塗布性)
各有機薄膜トランジスタの10個のソース・ドレイン電極上に有機半導体溶液を滴下した際に、有機半導体溶液の塗布性を、以下の基準で評価した。
○:ソース・ドレイン電極間を全て覆うように塗布できた素子が10個
△:ソース・ドレイン電極間を全て覆うように塗布できた素子が7〜9個
×:ソース・ドレイン電極間を全て覆うように塗布できた素子が6個以下
(耐久性試験前のキャリア移動度)
有機薄膜トランジスタについて、ドレインバイアスを−50Vとし、ゲートバイアスを−50Vから0Vまで掃引したときのI−V特性の飽和領域から、キャリア移動度を算出し、10個の素子についての平均値を算出した。
評価の結果を表1に示す。
Figure 2008172059
表から分かるように、比較の有機薄膜トランジスタ1、2、4では、有機半導体溶液の塗布性に劣り、所望の部位に有機半導体層を形成できていない。また、その結果、平均移動度は低いものとなっている。また、比較の有機薄膜トランジスタ3では、塗布性はよいものの、光分解によって発生したカルボニル基がトラップとなり、高い移動度を得ることができない。一方、本発明の有機薄膜トランジスタ5〜8では、有機半導体溶液の塗布性も良好で、平均移動度も実用に足る高い値を得ることができた。
ボトムゲート・ボトムコンタクト型の素子の製造工程を示す断面図である。 ボトムゲート・ボトムコンタクト型の素子の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 基体
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 第1の自己組織化単分子膜
7 第2の官能基を有する自己組織化単分子膜
8 有機半導体層

Claims (9)

  1. ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体材料からなる有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する有機薄膜トランジスタであって、
    (1)ゲート絶縁膜上に光または酸分解性を有する第1の官能基を有する化合物からなる第1の自己組織化単分子膜を形成する工程、
    (2)前記自己組織化単分子膜上に活性光線をパターン露光し、前記自己組織化単分子膜を分解し、露光された部位の自己組織化単分子膜上に第2の官能基を露出させる工程、
    (3)前記第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物1を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第3の官能基を形成する工程、
    (4)前記第3の官能基を形成した後、2回目の露光を行って残存していた第1の自己組織化単分子膜を第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に変換する工程、
    (5)前記2回目の露光を行って形成された第2の官能基を有する自己組織化単分子膜に、第2の官能基に対して化学的結合力を有する化合物2を反応させ、前記自己組織化単分子膜上に第4の官能基を形成する工程、
    を経て、パターン化された第3の官能基及び第4の官能基を有する自己組織化単分子膜を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記第3の官能基を有する自己組織化単分子膜の表面エネルギーE3が、前記第4の官能基を有する自己組織化単分子膜の表面エネルギーE4より大きいことを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記第3の官能基を有する自己組織化単分子膜上に、前記有機半導体材料からなる有機半導体層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記化合物1が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
    Figure 2008172059
    (式中、Aは前記第2の官能基と結合しうる官能基を表す。L1は単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基、またはこれらの基にエーテル基、チオ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基を介してQと連結する2価の連結基を表す。QはC、Si、Ge、Sn、Pbから選ばれる4価の原子を表し、R1〜R3はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表し、互いに連結して環を形成していてもよい。)
  5. 前記第4の官能基が、アルキル基またはハロゲン化アルキル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記活性光線によって分解される第1の自己組織化単分子膜が、下記一般式(2)で表されるシランカップリング剤によって形成された自己組織化単分子膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
    Figure 2008172059
    (式中、Zは酸素、硫黄、セレン、テルルから選ばれるカルコゲン原子を表し、L2は単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基、またはこれらの基にエーテル基、チオ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基を介してZと連結する2価の連結基を表す。R4、R5はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表す。Xはハロゲン原子、アルコキシ基、イソシアナート基から選ばれる加水分解可能な置換基を表す。m、nは1〜3の整数を表す。)
  7. 前記一般式(2)において、Zが酸素原子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  8. 前記有機半導体材料がペンタセン誘導体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの有機半導体層が、塗布によって形成されることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
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