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JP2008171535A - 光情報記録媒体 - Google Patents

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JP2008171535A
JP2008171535A JP2007286124A JP2007286124A JP2008171535A JP 2008171535 A JP2008171535 A JP 2008171535A JP 2007286124 A JP2007286124 A JP 2007286124A JP 2007286124 A JP2007286124 A JP 2007286124A JP 2008171535 A JP2008171535 A JP 2008171535A
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JP2007286124A
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Kiyoto Shibata
清人 柴田
Masataka Mori
匡貴 毛利
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

【課題】長期保存後も記録再生特性の悪化がなく信頼性の高い光情報記録媒体の提供。
【解決手段】(1)基板上に記録層を含む情報記録層とカバー層を備え、該カバー層を介して情報記録層にレーザ光を照射することにより、データの記録及び/又は再生が行われる光情報記録媒体であって、前記カバー層は光硬化性樹脂で構成され、稜間角115°の三角錐圧子をF=9.8mNで押し込んだ状態での押し込み深さをhとして、硬度H=3.8584×F/(h×h)としたとき、情報記録層と接する側のカバー層の硬度Hである内部硬度Hiが、3.8≦Hi≦5.5を満たす光情報記録媒体。
(2)光硬化性樹脂が、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを光重合開始剤として含む(1)記載の光情報記録媒体。
【選択図】図6

Description

本発明は光情報記録媒体に関する。
青色レーザ波長以下の短波長でも記録再生が可能な追記型光記録媒体として、本出願人は、特許文献1〜3において、金属又は半金属の酸化物、とりわけ酸化ビスマスを主成分とする記録層の有用性を提案している。また、特願2005−064328において、構成元素の主成分がビスマスであり、かつ酸化ビスマスを含有する記録層を有し、該記録層が更にB、P、Ga、As、Se、Tc、Pd、Ag、Sb、Te、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Po、At、Cdから選択される一種以上の元素Xを含有することを特徴とする追記型光記録媒体について開示している。
一方、青色レーザ世代の光ディスクシステムとして、405nmの青色レーザと開口数NA=0.85の光学系を用いたBlu−ray disc規格が提案され、既に商品化が始まっている。この規格では、高NAの光学系においてチルトマージンを確保するために、記録・再生光を従来の基板側からではなく、0.1mm程度の厚さに設定されたカバー層を通して照射するように設計されている。
しかし、カバー層の厚さが0.1mm程度である場合、従来のように、ポリカーボネート等の射出成形法によってこれを成形すると、十分な機械的強度や板厚分布、光学特性の面内均一性等が確保できなくなるという問題が新たに生じる。このため特許文献4では、従来の基板とは反対側にカバー層を設ける構造が提案されている。即ち、ポリカーボネート等からなる基板上に反射層、第1誘電体層、相変化記録層、第2誘電体層及びカバー層をこの順に形成することによって、カバー層が薄膜化された相変化記録媒体を作製する。かかる方法においては、まずスタンパを用いてプリグルーブを有する基板を射出成形し、次に、プリグルーブが形成されている基板表面に、スパッタリング法等によって反射層、第1誘電体層、相変化記録層、第2誘電体層をこの順に成膜する。そして、第2誘電体層の表面に紫外線硬化型樹脂のスピンコートや、フィルムシートの貼り合わせによってカバー層を形成する。膜厚均一性の高いカバー層を得る方法としては、特許文献5のように、中心孔を塞いだスピンコート法で紫外線硬化樹脂を塗布する方法や、特願2006−48496のように、基板に同心円状に温度分布を付与し、紫外線硬化樹脂の粘度を半径方向に変化させてスピンコートする方法などがある。
このようにして作製された光記録媒体においては、基板の反対側から記録・再生レーザが入射するため、基板の厚みを十分に厚くすることができる。また、基板には透過率や複屈折等の光学特性が要求されないため、溝の転写性や媒体の機械特性のみに着目した基板成形を行えばよく、このようなタイプの光記録媒体を用いれば、基板の機械的強度を十分に確保しつつ、高NAの光記録媒体用ヘッドを利用することが可能となる。
ところが、紫外線硬化樹脂を用いてカバー層を形成した場合、光情報記録媒体の信頼性が悪化するという問題点があった。具体的には、80℃、85%RH、300hの高温高湿加速試験において、初期に記録した部分の再生ジッタ(以下、アーカイバルジッタと記す)が悪化したり、試験後の未記録部に記録した時の記録ジッタ(以下、シェルフジッターと記す)が悪化してしまうことがあった。
これに対し、特許文献6〜9では、DVDの貼り合わせ用紫外線硬化接着剤において、400nm付近を超える長波長域に比較的大きな吸光係数を有する光重合開始剤を用いることで、内部硬化性が高まって信頼性の高い接着構造が得られることが開示されている。しかしながら、何れの文献にも本発明が対象とするカバー層を通して光入射する構成の光記録媒体におけるカバー層への適用についての記載はない。また、何れの文献も再生専用媒体に関するものであり、本発明が解決しようとする課題である記録系媒体のアーカイバル特性やシェルフ特性の改善に関しては何ら技術開示はない。加えて、本発明の主題である内部硬度の望ましい範囲が存在しうることを示唆するような記載もない。
特開2003−48375号公報 特開2005−161831号公報 特開2005−108396号公報 特許第3241560号公報 特開平11−213459号公報 特開2001−49198 号公報 特開平10−120982号公報 特開平10−8018号公報 特開平9−169956号公報
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、長期保存後も記録再生特性の悪化がなく信頼性の高い光情報記録媒体の提供を目的とする。
上記課題は次の1)〜2)の発明(以下、本発明1〜2という)によって解決される。
1) 基板上に記録層を含む情報記録層とカバー層を備え、該カバー層を介して情報記録層にレーザ光を照射することにより、データの記録及び/又は再生が行われる光情報記録媒体であって、前記カバー層は光硬化性樹脂で構成され、稜間角115°の三角錐圧子をF=9.8mNで押し込んだ状態での押し込み深さをhとして、硬度H=3.8584×F/(h×h)としたとき、情報記録層と接する側のカバー層の硬度Hである内部硬度Hiが、3.8≦Hi≦5.5を満たすことを特徴とする光情報記録媒体。
2) 光硬化性樹脂が、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを光重合開始剤として含むことを特徴とする1)記載の光情報記録媒体。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明は、基板上に、少なくとも、記録層を含む情報記録層とカバー層とを備え、該カバー層を介して情報記録層にレーザ光を照射することにより、データの記録及び/又は再生が行われ、該カバー層が、基板上に光硬化性樹脂を供給する工程、遠心力により光硬化性樹脂を展延させる工程、光照射により光硬化性樹脂を硬化させる工程を含むスピンコート法により形成された光情報記録媒体を対象としている。
そして、このような光情報記録媒体のアーカイバル特性やシェルフ特性の改善について検討した結果、後述するように、カバー層の内部硬度Hiが重要であることを見出し本発明に至った。ここでいう内部硬度Hiとは、カバー層を、記録層を含む情報記録層との界面から剥離し、ガラス基板などの平坦な基板上に、剥離面を上にして接着剤等で固定して測定した値であるが、界面での剥離がうまくできない場合には、2液硬化性の樹脂にカバー層を含む媒体の一部を埋め込み、カバー層と垂直な方向に研磨を行ってカバー層の断面が露出した試料を作製し、情報記録層から10μm程度離れた部分の硬度で代用することができる。
カバー層の内部硬度Hiは、島津製作所製超微小硬度計DUH−211等により測定することができる。この方法は、一定の割合で荷重を増加させながら圧子を荷重Fまで押し込んでいき、その時の押し込み深さhとの関係から次式により硬度を求めるものである。
硬度H=a×F/(h×h)
ここで、aは圧子の形状に依存する定数であり、稜間角115°の三角錐圧子の場合、a=3.8584である。押し込み力をF=9.8mNとすれば、カバー層への押し込み深さは2〜4μmとなり、厚さ約75〜100μmのカバー層に対して十分に浅いので、下地のガラスや接着層の物性の影響を受けずに、情報記録層との界面付近の硬化物性を評価することができる(通常、押し込み深さの10倍程度の厚さがあれば、下地の影響が無視できると言われている)。押し込み力が過度に小さいと、システムのドリフトや環境の振動、試料の固定方法による影響等を受け易くなってしまい好ましくなく、押し込み力が大きすぎると、前記のように深さ方向の影響が出易くなるため好ましくない。
本発明1では、稜間角115°の三角錐圧子をF=9.8mNで押し込んだ状態での押し込み深さをhとして、硬度H=3.8584×F/(h×h)としたとき、情報記録層と接する側のカバー層の内部硬度Hiを、3.8≦Hi≦5.5とする。
3.8≦Hiであれば、アーカイバルジッターの劣化が少ない媒体が得られる。一方、Hiが5.5を超えるとシェルフジッターが悪化するため、Hi≦5.5とする必要がある。即ち、3.8≦Hi≦5.5のときに、アーカイバルジッター及びシェルフジッターの双方が良好な信頼性の高い媒体が得られる。
情報記録層と接する側のカバー層の内部硬度Hiを、3.8≦Hi≦5.5とするためには、光硬化性樹脂を構成するオリゴマー、モノマー(反応性希釈剤)、光重合開始剤の種類及びこれらの組成比を適宜調整すればよい。一般に、モノマーの組成比を増やすと架橋密度が上がるため硬度が高くなる。更には硬化条件(紫外線の強度、照度、波長等)を適宜調整してもよい。
なお、本発明における情報記録層とは、基板とカバー層以外の各層の積層部を指し、例えば後述する図6では、反射層、第1誘電体層、記録層、第2誘電体層を指すが、このような情報記録層を中間層などを介して2層以上有する多層光情報記録媒体も本発明に含まれる。
本発明者らは、カバー層の内部硬度Hiと光記録媒体の信頼性との関係について、以下のように考えている。
まず、本発明者らが鋭意研究したところによれば、厚さ約100μmの紫外線硬化樹脂からなるカバー層に表裏の硬度差があることが分かった。ここで言う表裏の硬度差とは、カバー層を硬化させる際に紫外線を入射する側の面(記録再生ビームを入射する側であるカバー層の表面)と、情報記録層と接する側であるカバー層の裏面との硬度差である。
一般的に硬度は、圧子の押し込みに対する弾塑性的な変形抵抗を表しているので、紫外線硬化樹脂膜の場合、硬度を硬化物の架橋密度や弾性率などの硬化物性を反映した特性値と捉えることができる。即ち、硬度が大きく硬い硬化物は、弾性率や架橋密度が大きく、ガラス転移温度が高い傾向がある。逆に、硬度が小さいと、弾性率や架橋密度が小さく、ガラス転移温度が低く、したがって耐熱性が低い傾向がある。
本発明で対象とするような微小荷重による硬度で、カバー層の表裏に硬度差があるということは、深さ方向に上記のような硬化物性が変化していることを示している。一般にカバー層の表裏硬度差は、硬化時の酸素阻害によって表面側が硬化不足になる場合を除き、裏面側の硬度の方が低くなる傾向がある。図1に、三菱レーヨン製紫外線硬化樹脂RQ6107について測定した例を示す。図1(b)は、図1(a)の平均値をグラフ化して示したものである。このように、カバー層裏面側の硬度が表面の硬度よりも低くなるのは、図2に示したウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる一般的な紫外線硬化樹脂硬化物の透過スペクトルから分るように、紫外線硬化樹脂自身が400nm以下の紫外線領域に吸収を有するため、膜の内部で紫外線強度が弱くなり、光重合開始剤のラジカル生成反応が抑えられた結果、裏面側の架橋密度が低くなるためである。このような深さ方向の硬化物性の変化は、使用する光源の種類(分光特性)や強度、照度(=積算強度)の違い、紫外線硬化樹脂の成分である重合性オリゴマーやモノマー、光重合開始剤の種類やそれらの濃度の違いにより異なるものと考えられる。
本発明者らは、上記のような知見に基づき、カバー層表面の硬化性や膜としてのバルク的な硬化物性ではなく、情報記録層に接する付近のカバー層の硬化物性が、媒体の信頼性に重要であろうとの観点から鋭意検討を試み、本発明の完成に至った。即ち、情報記録層に接する付近のカバー層の硬化物性を硬度という代用特性で評価し、内部硬度Hiとアーカイバルジッター及びシェルフジッターについて、以下の関係を見出した。
図3及び図5は、後述する実施例と同様にして作製した追記型光記録媒体について、カバー層の内部硬度Hiとアーカイバルジッター及びシェルフジッターの関係を示したものである。また、図4は、内部硬度Hiが3.5の追記型光記録媒体に係るものである。
図3から分るように、3.8≦Hiの場合、80℃、85%RH、300時間の信頼性試験において、アーカイバルジッターをBlu−ray disc規格の6.5%以下に抑えることが可能となる。内部硬度Hiが3.8より小さい場合は、カバー層内部の樹脂の架橋密度が低く、分子鎖が疎で水分を透過し易いために、水に対する十分なバリア性が得にくい。このため、カバー層を透過した水分が記録層や反射層を侵してしまうものと考えられる。このような媒体では、例えば図4のように、記録信号振幅にスパイク状態の欠陥が発生し、再生ジッターやエラー率が上昇してしまう。
一方、図5のように、内部硬度Hiが5.5を超えると、シェルフジッターが悪化してしまう。これは、カバー層の内部硬度が高くなり、密着力が不十分になるためと考えられる。記録時には、情報記録層とカバー層との界面に熱的な応力が作用するため、カバー層の密着性が不十分な場合にはミクロな剥離が起こり、カバー層への熱伝導性が変化するため、信号長の揺らぎを生じてジッターが悪化するものと考えられる。例えば、記録エネルギーが集中するようなロングマークの場合、隣接トラックへのクロスライトが起こり易くなる。また、ロングマークに続くスペース信号も影響を受け易い。
光記録媒体は本質的に光を用いた熱記録であり、記録層を挟む誘電体層(保護層)の熱容量や熱伝導率などの熱特性が変わると、記録マーク部の加熱温度や冷却速度が変化し、更に前後マーク間あるいは隣接トラック間の熱干渉などが変化して、記録マークの形状や記録ジッターに影響を与えることはよく知られている。これと同様の熱特性の変化が、情報記録層とカバー層との密着性不良により起きているものと考えられる。
上記の結果から、内部硬度Hiが3.8≦Hi≦5.5のときに、アーカイバルジッター及びシェルフジッターの双方が良好な信頼性の高い媒体が得られることが分った。
本発明の好ましい形態としては、カバー層が、少なくとも、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及び/又はポリエステル(メタ)アクリレートからなるラジカル重合性オリゴマーと、(メタ)アクリレートモノマーからなる反応性希釈剤と、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン及び/又は2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンと、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンからなる光重合開始剤を用いて得られる光硬化性樹脂の組成物からなる光情報記録媒体を挙げることができる。
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン及び/又は2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンを光重合開始剤として用いることにより、経時的な黄変(400nm近辺の青波長域に光吸収を有する物質が形成されて、硬化物が黄色に変色して見える現象)の少ない硬化膜が得られる。逆に硬化膜の黄変が起こると、405nmの透過率が変化してしまい、媒体の記録再生特性が変化するため好ましくない。
更に、上記開始剤に2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを加えることで、膜の表面硬化性を高め、表面欠陥のない平坦なカバー層を得ることができる。
図8にZygo社製の干渉型表面形状測定器NewView6000を用いて計測した典型的なカバー層の表面欠陥像を示す。図8(a)は表面形状、図8(b)はそのラインプロファイルである。光硬化性樹脂の表面硬化性が悪かったり、用いる紫外線照射強度が低かったりすると、図8のような表面欠陥がディスク面内に数十〜数百発生してしまう。このような欠陥は、記録線速が遅いときにはあまり問題にならないが、記録線速が4〜8倍速と高速になるに従いサーボエラーを引き起こし、欠陥率の増大やトラッキング不良の原因となる。
このような表面欠陥は、光硬化性樹脂中に溶け込んだガス成分が、硬化中に凝集し破泡することによって生ずるものと考えられる。一般に、紫外線照射により光硬化性樹脂中に生じたラジカルは、膜表面雰囲気で酸素との反応により消失するため、膜表面での硬化反応が内部よりも緩やかになる傾向がある(光重合反応の酸素阻害)。このような酸素阻害の影響や、紫外線照射強度が十分でなく表面での硬化反応が緩やかな場合に、図8のような表面欠陥を生じ易い。
そこで、表面硬化性に優れた2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを加えて、表面での硬化反応を促進するようにすれば、図8のような表面欠陥を減らすことができ、更に図9のように、サーボに影響のないレベルにまで欠陥サイズを小さくすることができる。図9は、図8と同様にして計測した表面欠陥像であり、図9(a)は表面形状、図9(b)はそのラインプロファイルである。
好適な光重合開始剤の添加量は、総量で1〜8重量%である。2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、添加量が多いと黄変の原因となるため、好ましい添加量は0.01〜0.5重量%である。
更に本発明の好ましい形態として、記録層が酸化ビスマス、及び、B、Ga、Pd、Ag、Sb、Te、W、Pt、Au、Al、Cr、Mn、In、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Mo、V、及びNbから選択される少なくとも一種類(元素X)を含有する追記型光記録媒体を挙げることができる。即ち、記録再生特性及び保存安定性の改良のため、酸化ビスマスを含有する記録層中にビスマス以外の元素Xを添加することを特徴とする。通常、酸化ビスマスが記録層材料全体の50〜95モル%程度を占めるようにすることが好ましい。
酸化ビスマス及び元素Xは、完全に酸化させる必要はなく、化学量論組成に対して酸素欠損の状態で記録層を構成しても良い。ここでいう化学量論組成とは、常温、常圧下で安定に存在する化合物の持っている組成を指す。例えば、Bi、B、Al、TiO、Inなどの酸化物が化学量論組成と言える。化学量論組成よりも酸素の少ない酸素欠損状態とは、Biについて言えば、BiOxの形でx<1.5の場合、つまり、BiO1.48などである。酸素欠損のない化学量論組成の場合であれば、BiO1.5になる。
記録層が酸化ビスマスのみからなる場合には、再生光による劣化が顕著に起こったり、保存信頼性においてアーカイバルジッターが上昇してしまうため実用的でない。そこで、前述した元素Xを少なくとも一種類添加すると、記録膜の熱伝導率や吸収特性、記録感度、再生光や温度に対する記録マークの安定性などを改善することができる。
例えば、記録感度に関しては、添加元素XがBiと同等な酸化物生成エンタルピーを有するGe、Sn、Liなどの場合、これらの酸化物が、スパッタ成膜後に酸素を離して単体元素として記録膜中に存在し易くなるため、光の吸収率が向上し、感度の向上を図ることが可能となる。Li、Na、Mg、K、Ca、Pなどの元素は、酸化ビスマスと共存することによりガラス化し易くなる性質を有する。メカニズムは明らかでないが、準安定なガラス状態が感度向上と関係している可能性がある。また、Cu、Ag、Pdなどの比較的酸化し難い元素は、それ自身が金属として存在することになり、感度の向上が図られると考えている。La系列の元素は、Biと比較すると酸化し易いため、Biが単体金属として存在し易くなり、感度向上に関与していると考えられる。
本発明のより好ましい別の形態として、記録層の主成分がBi、B、Ge及びOからなる光情報記録媒体が挙げられる。Geを添加した記録層は、光吸収が大きくなり感度が向上し、特に高線速記録において良好な特性を示す。そのメカニズムは明らかではないが、Geを添加することにより、Biの酸化が抑制され、Bi金属が析出し易くなることにより、光の吸収が大きくなり、感度が向上すると考えている。また、Geを添加元素として用いたものは、感度の向上とともに記録パワーマージンも広くでき、安定した記録再生が可能となる。望ましいGeの含有量は、原子比で0.01≦Ge/(Bi+B+Ge)≦0.1である。Ge/(Bi+B+Ge)が0.01よりも小さいと、十分なGe添加効果が得られない。逆にGe/(Bi+B+Ge)が0.1よりも大きいと、記録ジッターが高くなってしまい好ましくない。
本発明の光情報記録媒体の構成例を図6に示す。記録再生のための光入射面は図の上側になる。
基板はポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィンなどの樹脂の射出成形により製造され、情報記録層積層側に螺旋状のグルーブ溝を有する。図6の媒体では、記録再生用のレーザビームの入射がカバー層側から行われるので、基板材料は必ずしも透光性である必要はなく、グルーブ溝の転写性や反り等の機械特性の良好な成形材料から選択しうるが、一般には、CDやDVDにおいて実績があり安価なポリカーボネート樹脂が選択される。
情報記録層は、相変化型記録材料を含む相変化型情報記録層、あるいは色素材料や無機材料からなる追記型情報記録層である。情報記録層が相変化型情報記録層あるいは無機材料からなる追記型情報記録層の場合、前記基板上に、情報記録層として反射層、第1誘電体層、記録層、第2誘電体層を公知のスパッタ法等により、この順に形成する。
反射層の材料としては、再生光の波長で反射率が十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pdなどの金属を単独で或いは合金にして用いることができる。中でもAu、Al、Agは反射率が高く、熱伝導性も良好なので、反射層の材料として適している。また、上記金属を主成分として他の元素を含んでいても良く、他の元素としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属を挙げることができる。金属以外の材料で低屈折率層と高屈折率層を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
反射層の好ましい膜厚は、20〜300nmである。
第1誘電体層及び第2誘電体層は、金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物等の透明性が高い高融点材料を用いることができる。具体的には、SiOx、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrO、Ta等の酸化物、Si、AlN、TiN、BN、ZrN等の窒化物、ZnS、TaS等の硫化物、SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrC等の炭化物が挙げられ、単体又は混合物として、また2層以上からなる多層構造として用いることができる。
誘電体層に最適な材料は、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。中でも、ZnSを60〜90モル%含むSiOとの混合膜は、高温環境下での膜自身の結晶化や記録層との化学変化、膜変形がないため望ましい。また、熱伝導率が0.5W/mK以下と低いため、記録マーク部の加熱温度を高く保つことができ、変調度の高いマークの形成に有利である点などからも、記録層に接する誘電体層として最も適している。
第1誘電体層は、記録層と反射層との反応を抑え、反射膜への熱伝導性を適切に制御する機能を有し、好ましい膜厚は5〜30nmである。
第2誘電体層は、カバー層側からの水分や酸素等の透過を防ぎ、過度なカバー層の熱変形を抑える機能を有し、好ましい膜厚は5〜100nmである。
記録層には、前述したように、酸化ビスマス及び元素Xを含有する材料が好ましく用いられる。更に好ましくは、主成分がBi、B及びOからなる材料や、主成分がBi、B、O及びGeからなる材料がが用いられる。このような記録層は、例えば、BiターゲットとBターゲット、或いは更にGeOターゲットを備えたコスパッタ法や、BiとB、或いは更にGeOを加えて一体成形したターゲットを用いたスパッタ法等により形成される。
Bの含有量を原子比で0.1≦B/(Bi+B)≦0.5とするために、コスパッタ法ではそれぞれのターゲットに印加する投入電力を調整する。一体成形したターゲットを用いる場合は、ターゲットと膜の組成ずれを考慮してターゲット組成を決めればよい。
Bi及び/又はBが化学量論組成に対して酸素欠損となる状態を作るには、ターゲットを還元雰囲気で焼結して酸素欠損の状態にしたり、化学量論組成のターゲットを用い成膜レートやスパッタ圧力等の成膜条件を調整して酸素欠損量を調整したり、或いはスパッタ雰囲気に水素等の還元性ガスを添加して反応性スパッタを行なったりすれば良い。
望ましい記録層の膜厚は、5〜30nmである。
カバー層に用いる光硬化性樹脂としては、少なくとも、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及び/又はポリエステル(メタ)アクリレートからなるラジカル重合性オリゴマーと、(メタ)アクリレートモノマーからなる反応性希釈剤と、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン及び/又は2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンと、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンからなる光重合開始剤を含む紫外線硬化樹脂である。
上記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られるものが挙げられる。具体的なポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、分子中に2個以上の水酸基を有する脂肪族炭化水素、分子中に2個以上の水酸基を有する脂環式炭化水素、分子中に2個以上の水酸基を有する不飽和炭化水素等が挙げられる。これらのポリオールは単独で用いることも、2種類以上併用することもできる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルポリオール、脂環式ポリエーテルポリオール、芳香族ポリエーテルポリオールが挙げられる。脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加トリオール、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド付加トリオール、トリメチロールプロパンのエチレンオキシドとプロピレンオキシド付加トリオール、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド付加テトラオール、ジペンタエリスリトールのエチレンオキシド付加ヘキサオール等のアルキレンオキシド付加ポリオール等の多価アルコール、或いは2種類以上のイオン重合性環状化合物を開環重合させて得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
脂環式ポリエーテルポリオールとしては、例えば水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加ジオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加ジオール、1,4−シクロヘキサンジオールのアルキレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。
芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのアルキレンオキシド付加ジオール、ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加ジオール、ハイドロキノンのアルキレンオキシド付加ジオール、ナフトハイドロキノンのアルキレンオキシド付加ジオール、アントラハイドロキノンのアルキレンオキシド付加ジオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールの市販品としては、脂肪族ポリエーテルポリオールとして、PTMG650、PTMG1000、PTMG2000〔以上、三菱化学(株)製〕、PPG1000、EXCENOL1020、EXCENOL2020、EXCENOL3020、EXCENOL4020〔以上、旭硝子(株)製〕、PEG1000、ユニセーフDC1100、ユニセーフDC1800、ユニセーフDCB1100、ユニセーフDCB1800〔以上、日本油脂(株)製〕、PPTG1000、PPTG2000、PPTG4000、PTG400、PTG650、PTG2000、PTG3000、PTGL1000、PTGL2000〔以上、保土谷化学工業(株)製〕、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000、PBG2000B〔以上、第一工業製薬(株)製〕、TMP30、PNT4グリコール、EDAP4、 EDA P8〔以上、日本乳化剤(株)製〕、クオドロール〔旭電化(株)製〕が挙げられる。また、芳香族ポリエーテルポリオールとして、ユニオールDA400、DA700、DA1000、DB400〔以上、日本油脂(株)製〕等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られる。ここで、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加体、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド付加体、トリメチロールプロパンのエチレンオキシドとプロピレンオキシド付加体、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アルキレンオキシド付加ポリオール等が挙げられる。また、多塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、等が挙げられる。
これらのポリエステルポリオールの市販品としては、クラポールP1010、クラポールP2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000〔以上、(株)クラレ製〕等を使用することができる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば下記〔化1〕で示されるポリカーボネートジオールが挙げられる。
式中、Rは炭素数2〜20のアルキレン基、(ポリ)エチレングリコール残基、(ポリ)プロピレングリコール残基、(ポリ)テトラメチレングリコール残基を表し、mは1〜30の整数である。
の具体例としては、次の化合物から両末端水酸基を除いた残基、即ち、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等から水酸基を除いた残基が挙げられる。
該ポリカーボネートポリオールの市販品としては、DN−980、DN−981、DN−982、DN−983〔以上、日本ポリウレタン工業(株)製〕、PC−8000(PPG社製)、PNOC1000、PNOC2000、PMC100、PMC2000〔以上、(株)クラレ製〕、プラクセルCD−205、CD−208、CD−210、CD−220、CD−205PL、CD−208PL、CD−210PL、CD−220PL、CD−205HL、CD−208HL、CD−210HL、CD−220HL、CD−210T、CD−221T〔以上、ダイセル化学工業(株)製〕等を使用することができる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、ε−カプロラクトンを、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等のジオールに付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオールが挙げられる。これらの市販品としては、プラクセル205、205AL、212、212AL、220、220AL〔以上、ダイセル化学工業(株)製〕等を使用することができる。
分子中に2個以上の水酸基を有する脂肪族炭化水素としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
分子中に2個以上の水酸基を有する脂環式炭化水素としては、例えば1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。
分子中に2個以上の水酸基を有する不飽和炭化水素としては、例えばヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端ポリイソプレン等が挙げられる。
更にまた、上記以外のポリオールとしては、例えばβ−メチル−δ−バレロラクトンジオール、ひまし油変性ジオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ジオール等が挙げられる。
これらのポリオール化合物の好ましい平均分子量は50〜15000、特に好ましくは100〜8000である。
また、上記ポリイソシアネート化合物としてはジイソシアネート化合物が好ましく、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、特に2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。これらのジイソシアネートは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記水酸基含有(メタ)アクリレートはエステル残基に水酸基を有する(メタ)アクリレートであり、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルホスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、或いは下記〔化2〕で表される(メタ)アクリレート等が挙げられ(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは1〜15、好ましくは1〜4の整数を示す)、更にアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も挙げることができる。これらのうち、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明に用いられる光硬化性樹脂に好適なウレタン(メタ)アクリレートの合成方法は特に制限されないが、例えば次の(i)〜(iii)の方法に従って行われる。
(i)ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールの順に反応させる方法。
(ii)ポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法。
(iii)ポリオール及びポリイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法。
ウレタン(メタ)アクリレートの合成においては通常、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、1,4−ジアザ−2−メチルビシクロ〔2.2.2〕オクタン等のウレタン化触媒を、反応物の総量100重量部に対して0.01〜1重量部用いて反応を行うのが好ましい。この反応における反応温度は、通常、0〜90℃、好ましくは10〜80℃である。
また、ウレタン(メタ)アクリレートの好ましい数平均分子量は、400〜40000であり、特に好ましいのは600〜20000である。
本発明に用いられる光硬化性樹脂に好適なラジカル重合性オリゴマーのうち、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる.
グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFあるいはそのアルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFあるいはそのアルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明に用いられる光硬化性樹脂に好適なエポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、上記グリシジルエーテル型エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して(メタ)アクリル酸を0.9〜1.5モル、より好ましくは0.95〜1.1モルの比率で反応させて得られる。反応温度は80〜120℃が好ましく、反応時間は10〜35時間程度である。
反応を促進させるために、例えば、トリフェニルフォスフィン、TAP〔2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール〕、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウムクロリド等の触媒を使用するのが好ましい。また、反応中の重合を防止するために重合禁止剤(例えば、パラメトキシフェノール、メチルハイドロキノン等)を使用することもできる。
エポキシ(メタ)アクリレートの分子量は400〜10000が好ましい。
また、エポキシ(メタ)アクリレートは1種又は2種以上を混合して使用することができる。エポキシ(メタ)アクリレートを紫外線硬化型樹脂組成物に含有させる場合、その含有量は通常1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。
本発明に用いられる光硬化性樹脂に好適なエポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートや、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。これに用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート828、エピコート1001、エピコート1004等(何れも油化シェルエポキシ社の商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂や,エピコート4001P、エピコート4002P、エピコート4003P(何れも油化シェルエポキシ社の商品名)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明に用いられる光硬化性樹脂に好適なラジカル重合性オリゴマーのうち、ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば多価アルコールと多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との反応物が挙げられる。ここで使用される多価アルコールとしては、例えばネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等が挙げられ、多塩基酸としては、例えばコハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
本発明に用いられる光硬化性樹脂に好適な(メタ)アクリレートモノマーからなる反応性希釈剤として、一分子中に(メタ)アクリロイル基を少なくとも一個有する(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。これらの成分としては、(メタ)アクリロイル基を一つだけ有する単官能化合物と、二つ以上有する多官能化合物の何れの化合物を用いてもよく、適当な比率で併用してもよい。
上記単官能化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが光ディスクの耐湿熱性向上の点から好ましく用いられる。また、その他の単官能化合物として、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ジフェニルホスフェート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ホスフェート等が挙げられる。
これらの市販品としては、アロニックス M101、M102、M110、M111、M113、M114、M117、M120、M152、M154、M5300、M5400、M5500、M5600〔以上、東亞合成(株)製〕、KAYARAD TC−110S、R−128H、R629、R644〔以上、日本化薬(株)製〕、IPAA、AIB、SBAA、TBA、IAAA、HEXA、CHA、NOAA、IOAA、INAA、LA、TDA、MSAA、CAA、HDAA、LTA、STA、ISAA−1、ODAA、NDAA、IBXA、ADAA、TCDA、2−MTA、DMA、ビスコート #150、#150D、#155、#158、#160、#190、#190D、#192、#193、#220、#320、#2311HP、#2000、#2100、#2150、#2180、MTG〔以上、大阪有機化学工業(株)製〕、NKエステル M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、CB−1、SA、S、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G、AMP−90G、A−SA、NLA〔以上、新中村化学工業(株)製〕、ACMO〔(株)興人製〕、ライトアクリレート IA−A、L−A、S−A、BO−A、EC−A、MTG−A、DPM−A、PO−A、P−200A、THF−A、IB−XA、HOA−MS、HOA−MPL、HOA−MPE、HOA−HH、IO−A、BZ−A、NP−EA、NP−10EA、HOB−A、FA−108、エポキシエステルM−600A、ライトエステルP−M〔以上、共栄社化学(株)製〕、FA−511、FA−512A、FA−513A〔以上、日立化成工業(株)製〕、AR−100、MR−100、MR−200、MR−260〔以上、大八化学(株)製〕、JAMP−100、JAMP−514、JPA−514〔以上、城北化学(株)製〕等が挙げられる。
また、上記多官能化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジエポキシジ(メタ)アクリレート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ホスフェート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの市販品としては、SA−1002、SA−2006、SA−2007、SA−4100、SA−5001、SA−6000、SA−7600、SA−8000、SA−9000〔以上、三菱化学(株)製〕、ビスコート #195、#195D、#214HP、#215、#215D、#230、#230D、#260、#295、#295D、#300、#310HP、#310HG、#312、#335HP、#335D、#360、GPT、#400、V#540、#700、GPT〔以上、大阪有機化学工業(株)製〕、KAYARADMANDA、R−526、NPGDA、PEG400DA、R−167、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−604、R−684、GPO−303、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、PET−30、RP−1040、T−1420、DPHA、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120〔以上、日本化薬(株)製〕、アロニックス M−210、M−208、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−400、M−408、M−450〔以上、東亞合成(株)製〕、SR−212、SR−213、SR−355(以上、サートマー社製)、SP−1506、SP−1507、SP−1509、SP−1519−1、SP−1563、SP−2500、VR60、VR77、VR90〔以上、昭和高分子(株)製〕、ライトエステルP−2M〔以上、共栄社化学(株)製〕、ビスコート3PA〔大阪有機化学工業(株)製〕、EB−169、EB−179、EB−3603、R−DX63182〔以上、ダイセルUCB(株)製〕等が挙げられる。
これらの反応性希釈剤のうち、前述のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて用いるのが特に好ましい。
本発明に用いられる光硬化性樹脂の成分組成としては、ラジカル重合性オリゴマーを30〜70重量%、反応性希釈剤を30〜70重量%、光重合開始剤を総量で1〜8重量%配合するのが好ましい。更に、数%程度の添加剤(酸化防止剤、重合禁止剤等)を含んでもよい。
本発明に好適な光重合開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン及び/又は2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンと、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンからなる光重合開始剤であるが、これらに、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等をブレンドして用いてもよい。
また、硬化物の内部硬化性を高めるために、400nm以上の波長域に感度を有する光重合開始剤を含めても良い。このような光重合開始剤としては、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(405nmにおける吸光係数=24ml/g・cm)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(同900ml/g・cm)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(同280ml/g・cm)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン(同280ml/g・cm)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド(同165ml/g・cm)等が挙げられる。
カバー層の形成は、中心孔を塞いで紫外線硬化樹脂をスピンコートする公知の方法や、基板を加熱して樹脂の粘度を半径方向にコントロールしてスピンコートする本出願人の方法を用いればよい。
カバー層の形成方法の一例について図7を用いて説明する。
まず、図7(a)に示すように、媒体の中心孔をφ19mmの中心孔マスクで閉塞し、マスクの中心付近に紫外線硬化樹脂を供給する。次に、使用する樹脂の粘度に応じて800〜1500rpmで基板を回転させて樹脂を展延する。この際、図7(b)のような集光光学系を用いてハロゲンランプ光を媒体外周に集光し、部分的な加熱を行って、この部分の樹脂溜りを平坦化するとよい。次に、中心孔マスクを取り外し、図7(c)のように紫外線光源により樹脂層を硬化させ、図6の構造の光情報記録媒体を得る。
照射するエネルギー線の照射量は50〜2000mJ/cmが好ましく、特に好ましくは200〜1500mJ/cmである。硬化に使用するエネルギー線を照射できるランプであれば光源を問わず、例えば低圧、高圧又は超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、(パルス)キセノンランプ又は無電極放電ランプ等を用いることができる。紫外線硬化型樹脂組成物の硬化に使用できるエネルギー線の波長は150〜450nmである。
更に、図6には示していないが、カバー層の上(光入射側)に、同様のスピンコート法によって、表面の耐擦傷性や防汚性を付与するためのハードコート層(紫外線硬化樹脂層や無機物を分散させた光硬化樹脂層、あるいは無機物層等)を設けても良い。この場合、Blu−ray disc規格では、カバー層とハードコート層を含めた光透過層全体の膜厚は、屈折率nをn=1.6として、100±2μmである。
以上、本発明による相変化型光情報記録媒体の構成例として、情報記録層が1層の例を示したが、中間層を介して情報記録層を2層以上有するような多層光情報記録媒体であってもよい。
本発明1によれば、3.8≦Hiであるため、アーカイバルジッターが良好な多層光情報記録媒体が得られ、更に、Hi≦5.5であるため、シェルフジッターが良好な多層光情報記録媒体が得られる。
本発明2によれば、光硬化性樹脂が、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを含むことにより、カバー層の表面硬化性を高めることができる。このため、カバー層の表面欠陥を抑制でき(図8のような欠陥をなくし図9のような状態にできる)、その結果、カバー層の表面欠陥に起因する高速(4倍速)記録時の残留エラーを小さくすることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。なお、実施例、比較例、表1、表2において、特に断りのない限り部は重量部である。
実施例1〜5、比較例1〜2
まず、溝深さ20nm、トラックピッチ0.32μmの案内溝を有する厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート基板(製品名ST3000、帝人バイエルポリテック社製)上に、以下の組成のターゲットを用いて積層膜をスパッタリング法により順次形成し、情報記録層とした。
(1)反射層 Al−1.0重量%Ti(膜厚35nm)
(2)第1誘電体層 Si(膜厚10nm)
(3)相変化記録層 Bi−35モル%B(膜厚16nm)
(4)第2誘電体層 ZnS−20モル%SiO(膜厚10nm)
次に、情報記録層上に、表1の組成からなる紫外線硬化樹脂をスピンコート法により形成し、フュージョンUVシステム社製のUVランプHP−6を用いて、窒素環境下400mW/cm、3.5秒の紫外線照射により膜を硬化させ、厚さ約1.2mmのカバー層として本発明の追記型光記録媒体(いわゆるBlu−ray disc規格対応の追記型光記録媒体)を作製した。
なお、表1に示す実施例及び比較例で用いた紫外線硬化樹脂は、ビスフェノールAグリシジルエーテルジアクリレート(日本化薬社製EPA)15重量%、ポリエステル系ウレタンアクリレート(日本化薬社製UX−4101)30重量%に、ヒドロキシエチルメタクリレート(東亞合成社製HEMA)、ヒドロヒバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬社製MANDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製TMPTA)の3種類のモノマーを表1に示す比率で加え、光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ製IRGACURE184)と2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE369)を合計5重量%加えて反応させたものである。表1では、比較例1、実施例1〜5、比較例2の順にカバー層の内部硬度Hiが大きくなるように、硬化性の高いモノマーや光重合開始剤の組成を調整した。
上記各追記型光記録媒体に対し、パルステック工業社製の光ディスク評価装置ODU−1000(波長:405nm、NA:0.85)を用いて、追記型Blu−rayディスク規格(BD−R Version1.1)に準拠した1倍速の記録条件で記録を行い、温度80℃、湿度85%RH、300時間の信頼性試験後のアーカイバルジッターとシェルフジッターの値を評価し、規格値のジッター6.5%以下を満足するものを「○」、6.5%を超えてしまったものを「×」とした。
表1から分るように、内部硬度Hiが3.8≦Hi≦5.5の実施例1〜5の媒体は、アーカイバルジッター、シェルフジッター共に6.5%以下であり、信頼性の高い媒体であった。
一方、比較例1の媒体は、Hi<3.8なのでシェルフジッターは問題なかったが、アーカイバルジッターが7.2%と上昇してしまった。
また、比較例2の媒体は、5.5<Hiなのでアーカイバルジッターは問題なかったが、シェルフジッターが7.8%と悪化してしまった。
以上から、3.8≦Hi≦5.5の場合に、アーカイバルジッター及びシェルフジッターの両方の規格値を満足する信頼性の高い媒体が得られることが分る。
・EPA… ビスフェノールAグリシジルエーテルジアクリレート(日本化薬社製)
・UX−4101… ポリエステル系ウレタンアクリレート(日本化薬社製)
・HEMA… ヒドロキシエチルメタクリレート(東亞合成社製)
・MANDA… ヒドロヒバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬社製)
・TMPTA… トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製)
・IRGACURE184… 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン
・IRGACURE369… 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1
実施例6〜8、比較例3〜4
実施例1で用いたのと同じ基板の上に、以下の組成のターゲットを用いて5層の積層膜をスパッタリング法により順次形成し、情報記録層とした。
(1)反射層 Ag−0.5重量%Bi(膜厚60nm)
(2)第1誘電体層 Si(膜厚4nm)
ZnS−20モル%SiO(膜厚14nm)
(3)相変化記録層 Bi−25モル%B−5モル%GeO
(膜厚14nm)
(4)第2誘電体層 ZnS−20モル%SiO(膜厚55nm)
次に、情報記録層上に、表2の組成からなる紫外線硬化樹脂をスピンコート法により形成し、フュージョンUVシステム社製のUVランプHP−6を用いて、窒素環境下400mW/cm、3.5秒の紫外線照射により膜を硬化させ、厚さ約1.2mmのカバー層として本発明の追記型光記録媒体(いわゆるBlu−ray disc規格対応の追記型光記録媒体)を作製した。
上記各追記型光記録媒体に対し、パルステック工業社製の光ディスク評価装置ODU−1000(波長:405nm、NA:0.85)を用いて、追記型Blu−rayディスク規格(BD−R Version1.2)に準拠した4倍速の記録条件で記録を行い、温度80℃、湿度85%RH、300時間の信頼性試験後のアーカイバルジッターとシェルフジッターの値を評価し、表1と同様に規格値のジッター6.5%以下を満足するものをジッター特性「○」、6.5%を超えてしまったものを「×」とした。また、後述する<3.2kHz帯の残留フォーカスエラーが、規格の<80nmを満足できたものを残留エラー「○」、規格を超えてしまったものを「×」とした。
表2から分かるように、内部硬度Hiが3.8≦Hi≦5.5の実施例6〜8の媒体は、アーカイバルジッター、シェルフジッター共に6.5%以下であり、信頼性の高い媒体であった。
一方、比較例3の媒体は、Hi<3.8なので、シェルフジッターは問題なかったが、アーカイバルジッターが7.0%と上昇してしまった。
また、比較例4の媒体は、5.5<Hiなので、アーカイバルジッターは問題なかったが、シェルフジッターが8.0%と悪化してしまった。
なお、実施例1〜5の媒体に対し4倍速の記録条件で記録を行ったところ、最適記録パワー10.2mWでジッターが6.2〜6.4%となり、ジッター≦6.5%を満足できる記録パワー域(パワーマージン)が極めて狭かった。
これに対し、実施例6〜8の媒体は、最適記録パワーが8.0mWでジッターが5.3〜5.5であり、高感度な上、高速記録においてパワーマージンが広い媒体であった。このように、主成分がBi、B、O及びGeからなる記録材料により、高速記録において、感度及びパワーマージンが良好な媒体が得られることが分かる。
次に、実施例6〜8、比較例3〜4の媒体について、Dr.Schenk社ISM.blue+検査機のニア・ダーク・フィールド法を使ってカバー層の表面欠陥を検査した。
その結果、実施例6及び比較例3〜4の媒体には、図8のような表面欠陥が数十個以上検出された。なお、このような欠陥は、記録線速が遅いときにはあまり問題にならない。しかし、光ディスク評価装置ODU−1000を用いて、4倍速でこの欠陥を横切るようにトラッキングをかけて残留エラーを測ったところ、<3.2kHzの残留フォーカスエラーが75〜135nmとなり、規格の<80nmを満足することができなかった。
一方、光重合開始剤として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを0.05%含む実施例7と8の媒体では、図8のようなサイズの欠陥は検出されず、顕微鏡下で稀に図9のような欠陥が観察された。
同様に欠陥部分にトラッキングをかけて残留エラーを測ったところ、<3.2kHzの残留フォーカスエラーは65nm以下であり、規格の<80nmを満足できた。
このように、表面硬化性の高い2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを光重合開始剤として含むことにより、カバー層表面の欠陥を抑制し、残留エラーの小さいサーボ特性に優れた媒体を得ることができる。
・EPA、UX−4101、HEMA、MANDA、TMPTAは表1と同じ。
・IRGACURE127… 2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン
・IRGACURE907… 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2
−モルフォリノプロパン−1−オン
カバー層の表裏硬度差の一例を示す図。(a)測定データ、(b)平均値をグラフ化したもの。 一般的な紫外線硬化樹脂硬化物の透過スペクトルを示す図。 カバー層の内部硬度Hiとアーカイバルジッターの関係を示す図。 記録部に欠陥が発生した信号波形の一例を示す図。(a)信頼性試験前、(b)信頼性試験後。 カバー層の内部硬度Hiとシェルフジッターの関係を示す図。 本発明の光情報記録媒体の構成例を示す図。 カバー層の形成方法の一例を示す図。(a)媒体の中心孔をマスクで閉塞し、マスクの中心付近に紫外線硬化樹脂を供給した後、基板を回転させて樹脂を展延する工程。(b)集光光学系を用いてハロゲンランプ光を媒体外周に集光し、樹脂溜りを平坦化する工程。(c)中心孔マスクを取り外し、紫外線により樹脂層を硬化させる工程。 典型的なカバー層の表面欠陥像を示す図。(a)表面形状、(b)そのラインプロファイル。 サーボに影響のないレベルにまで欠陥サイズを小さくしたカバー層の表面欠陥像を示す図。(a)表面形状、(b)そのラインプロファイル。

Claims (2)

  1. 基板上に記録層を含む情報記録層とカバー層を備え、該カバー層を介して情報記録層にレーザ光を照射することにより、データの記録及び/又は再生が行われる光情報記録媒体であって、前記カバー層は光硬化性樹脂で構成され、稜間角115°の三角錐圧子をF=9.8mNで押し込んだ状態での押し込み深さをhとして、硬度H=3.8584×F/(h×h)としたとき、情報記録層と接する側のカバー層の硬度Hである内部硬度Hiが、3.8≦Hi≦5.5を満たすことを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 光硬化性樹脂が、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを光重合開始剤として含むことを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体。
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