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JP2008171012A - 重合性組成物 - Google Patents

重合性組成物 Download PDF

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JP2008171012A JP2008016845A JP2008016845A JP2008171012A JP 2008171012 A JP2008171012 A JP 2008171012A JP 2008016845 A JP2008016845 A JP 2008016845A JP 2008016845 A JP2008016845 A JP 2008016845A JP 2008171012 A JP2008171012 A JP 2008171012A
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Abstract

【課題】高感度で硬化反応が進行し、得られた硬化膜の硬度に優れ、保存安定性が良好であり、さらには、赤外線により高感度で記録可能で、耐刷性に優れ、保存安定性が良好な平版印刷版原版の記録層として好適な光または熱重合性組成物を提供する。
【解決手段】一般式(I)で表される構造を側鎖に有するアルカリ可溶性重合性ポリマーを含有する。式中、Xはラジカル重合性基を表し、Aはアルカリ可溶性基を表す。Qは炭化水素連結基を表し、環状構造を含まない場合、ラジカル重合性基Xにおける不飽和二重結合の末端炭素原子からアルカリ可溶性基Aの解離水素原子までの原子数が10以下である。Z、Zは単結合または炭化水素連結基を、P〜Pは、単結合又は−NHCO−、−CO2−、−SO3−、−NHSO2−、−N<、−O−、及び、−S−からなる群より選択される連結基を表す。
Figure 2008171012

【選択図】なし

Description

本発明は光または熱により重合、硬化する重合性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版に関し、詳細には、コンピュータ等のデジタル信号から各種レーザを用いて高感度で記録可能な、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷版原版、及びその記録層として好適に用いられる光または熱重合性組成物に関する。
波長300nm〜1200nmの紫外光、可視光、赤外光を放射する固体レーザ及び半導体レーザ、ガスレーザは高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになっており、これらのレーザはコンピュータ等のデジタルデータから直接製版する際の記録光源として、非常に有用である。これら各種レーザ光に感応する記録材料については種々研究されており、代表的なものとして、感光波長760nm以上の赤外線レーザで記録可能な材料である酸触媒架橋型のネガ型記録材料等がある(例えば、特許文献1参照。)。また、300nm〜700nmの紫外光または可視光レーザ対応型の記録材料としてラジカル重合型のネガ型記録材料等が多数挙げられる(例えば、特許文献2、3参照。)。
特に印刷版に適した高感度なラジカル重合系記録材料としては、通常、アルカリ可溶性ポリマーバインダーと重合性架橋剤(モノマー、オリゴマー)とを含有する重合性組成物が使用されている。このようなラジカル重合性組成物では、一般的にバインダーであるポリマーを増量することは保存安定性向上に効果的ではあるが、一方で、低感度化の傾向が見られる。逆に、高感度化を達成するために重合性架橋剤の含有量を増加させると保存安定性が低下する傾向があり、保存安定性と高感度化の両立はバインダー/重合性架橋剤の比率によりバランスをとっているのが現状である。
一方、印刷版の記録層に適した高感度なラジカル重合系感材としては、通常、アルカリ可溶性ポリマーバインダー/重合性架橋剤(モノマー、オリゴマー)の組み合わせが使用されており、高感度化の目的で、例えば、バインダーとしてラジカル重合性基を分子内に付与したものを使用する技術が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。バインダーへのラジカル重合性基付与は、高分子であるバインダーが直接架橋に参加するため分子量効果による架橋反応の嵩上げが起こり、確かにこれにより多少の高感度化は見られものの、その反面、感材が熱的に不安定となり、架橋性バインダーのゲル効率の高さによる保存安定性の劣化や、画像細線部に挟まれた非画像部領域の現像性が、高分子中に形成された架橋構造により悪化することで生じる細線の切れの悪さ、すなわち低画質化が起こる懸念が生じる。これは重合性ポリマーを使用した場合の一般的なジレンマであり、この技術によっても、上記本質的な安定性と感度との相反する関係からは脱却できていない。これは一般的に重合性ポリマーの場合、その重合性を向上すると非重合性ポリマーで見られた保存安定性が減少していく傾向があり、逆に感度と保存安定性のバランスを悪化させるためと考えられる。
通常、光ラジカル重合系組成物は高感度で硬化反応を生起するが、空気中の酸素による重合阻害を受けやすく、そのため、画像形成層の上に酸素遮断性の層を設けることは一般的である。しかし、酸素遮断性の層を設けると逆に暗重合等によるカブリが発生し、保存安定性が悪化する。
さらに、光重合性組成物を製膜した記録層は、表面近傍では、光による硬化反応が十分に進行するものの、記録層の深部においては十分な硬化反応が進行せず、高耐刷性を達成し難いという問題があった。
このように、露光による硬化反応を利用した光重合性組成物においては、高感度化と保存安定性向上という双方の目的を十分に達成し得る技術は未だ得られていないのが現状であった。
特開平8−276558号公報 米国特許2850445号明細書 特公昭44−20189号公報 特開2000−187322公報
従って、本発明の目的は、高感度で硬化反応が生起、進行し、得られた硬化膜の硬度に優れ、保存安定性が良好な光または熱重合性組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、赤外線レーザ露光により高感度で記録可能であり、耐刷性に優れ、且つ、保存安定性が良好な平版印刷版原版の記録層として好適な光または熱重合性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の重合可能な部分構造(重合性基)とアルカリ可溶性基の双方を含む官能基を側鎖に有するポリマーバインダーが高感度で硬化可能であり、画像記録材料として用いた場合に高画質の画像形成が可能であり、耐刷化及び保存安定性に優れることを見いだし、本発明を完成した。
即ち、本発明の重合性組成物は、下記一般式(I)で表される構造を側鎖に有するアルカリ可溶性重合性ポリマーを含有し、露光または加熱により重合、硬化することを特徴とする。
Figure 2008171012
前記式中、Xは不飽和二重結合を含むラジカル重合性基を表し、Aはアルカリ可溶性基を表す。Qは炭化水素連結基を表し、Qが環状構造を含んでいない場合には、Xで表されるラジカル重合性基における不飽和二重結合の末端炭素原子からAで表されるアルカリ可溶性基の解離水素原子までの原子数が10以下である。Z、Zは単結合または炭化水素連結基を表す。P乃至Pはそれぞれ独立に、単結合又は−NHCO−、−CO2−、−SO3−、−NHSO2−、−N<、−O−、及び、−S−からなる群より選択される連結基を表す。
なお、本発明において「光または熱重合性組成物」とは、露光、加熱などのエネルギー付与により重合が生起・進行し、硬化する組成物を指し、「光」、「熱」さらには「光と熱」により重合する組成物を包含する。以下、本明細書においては、これを単に「重合性組成物」と表記することがある。
本発明の作用機構は明確ではないが、本発明に用いられるアルカリ可溶性重合性ポリマーは従来のものと異なり、重合性基がアルカリ可溶性基の極近傍に位置するため、未露光部(画像記録材料における非画像部)では、酸基の間で形成される水素結合性相互作用の網目構造のなかに重合性基が存在することにより、重合性基の運動が抑制され、双方の構造を別異に有するポリマーの如く、酸基が近傍に存在しない重合性基に比較して熱的に安定化すること、また、保存時の熱による微少架橋が生じたとしても、近傍に酸基があるため現像除去性が有効に働くことにより、保存安定性と現像性がいずれも良好に維持されるものと考えられる。
一方、露光部(画像記録材料における画像部)では重合性基の架橋反応とそれにより形成される架橋網目内に酸基が取り込まれることにより、現像液から酸基が遮蔽された形となり、耐現像性が良好となる。このため、露光−未露光の膜形成性、さらには、現像性の変化が大きくなり、高感度で記録可能であるとともに、高画質の画像形成が可能となり、且つ、保存安定性に優れるものと考えている。
また、酸基の水素結合による網目と重合性基の架橋による網目構造が独立ではなく、近傍に絡み合って存在していることにより強靱な架橋膜が形成され、膜強度に優れるため、画像記録材料として用いた場合にも、酸基と重合性基とを別異に有するポリマーと比較しても、さらなる高耐刷化が実現できるものと考えている。
また、本発明の重合性組成物は、加熱、露光のいずれでも重合し得るが、特にレーザー光の波長が800nm以上のヒートモードレーザーによる露光において好適であり、ヒートモード対応のダイレクト平版印刷版の記録層として好適に用いられる。その理由は、ヒートモード感材は光を熱に変換し、その熱によりラジカルを発生するため保存安定性(熱安定性)と感度との両立が、光によりラジカルを発生するフォトンモード感材よりも厳しい実状がある。しかし本発明の感材では上述したように、従来の保存安定性と高感度化のトレードオフから脱却し、これらを両立しているため特に有効である。また、ヒートモードによる重合硬化(書き込み)機構では、フォトンモードとは異なり、熱拡散のために支持体近傍はラジカル反応による硬化が十分に進行しない問題点を有するものであり、この点からも、露光部(画像部)に強靱な硬化皮膜性が要求されが、この点においても形成された膜の硬化性に優れた本発明の重合性組成物が有効であるといえる。
本発明によれば、高感度で硬化反応が生起、進行し、得られた硬化膜の硬度に優れ、保存安定性が良好な、光または熱重合性組成物を提供することができる。また、この重合性組成物は、赤外線レーザ露光により高感度で記録可能であり、耐刷性に優れ、且つ、保存安定性が良好な平版印刷版原版の記録層として好適である。
以下、本発明の重合性組成物について、詳細に説明する。
本発明の光または熱重合性組成物は、前記一般式(I)で表される構造を側鎖に有するアルカリ可溶性重合性ポリマー(以下、適宜、特定重合性ポリマーと称する)を含有することを特徴とする。
<一般式(I)で表される構造を側鎖に有するアルカリ可溶性重合性ポリマー>
本発明に係る特定重合性ポリマーは、好ましくは線状有機高分子重合体に属し、側鎖に、前記一般式(I)で表される構造、即ち、特定の重合性基とアルカリ可溶性基の双方を含む構造を有する。以下、この重合体の好ましい主鎖構造、及び、この特定重合性ポリマーを特徴付ける前記一般式(I)で表される構造について、順次説明する。
本発明に係るアルカリ可溶性重合性ポリマーは基本的には以下に記載の線状有機高分子重合体に属することが好ましい。
このような「線状有機高分子重合体」としては、光重合可能なエチレン性不飽和化合物と相溶性を有している線状有機高分子重合体である限り、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。
線状有機高分子の主鎖は特に限定されないが、効果の観点から好ましいポリマー主鎖としては、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル、及びノボラック系の高分子が挙げられる。より好ましくはポリスチレン、ポリ(メタ)アクリルである。
なお、本明細書中では、アクリルとメタクリルの双方或いはいずれかを指す場合、(メタ)アクリルと表記することがある。
本発明の特定重合性ポリマーは、上記一般式(I)で表される構造を側鎖に有することを要するが、この側鎖構造は「重合性−アルカリ可溶性基」の特性を有するものである。
まず、この側鎖構造中の重合性基(一般式(I)におけるX)について説明する。重合性基Xとしては、カチオン重合性基、ラジカル重合性基が挙げられるがラジカル重合性基であることが好ましい。
本発明のポリマーの側鎖構造に導入可能なラジカル重合性基はラジカル重合可能な基であれば特に限定はない。
好ましい例としては、α−アルキルアクリル基[−OC(=O)−C(−Cn2n+1)=CH2(ここで、n=2〜12)]、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CH2Z)=CH2(ここでZは、ヘテロ原子から始まる炭化水素基)]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基、ビニル基、クロトニル基、イソクロトニル基、イタコニル基が挙げられ、この中でも特に好ましいものとしては、アクリル基、メタクリル基、アリル基を挙げることができる。
次に、上記側鎖構造中のアルカリ可溶性基(一般式(I)におけるA)について説明する。アルカリ可溶性基AはpH10〜13のアルカリ現像液に溶解しうる特性を有する酸基であれば特に限定はない。
好ましい例としては、スルホン酸、カルボン酸、フェノール、スルホン酸アミド、スルホン酸イミド、イミド、ヒドロキサム酸、バルビツル酸、チオール、燐酸、ホスホン酸、及びその他、pKa10以下の活性プロトンを有する官能基が挙げられる。この中でも特に好ましくは、カルボン酸、スルホン酸イミド、バルビツル酸、フェノールが挙げられる。
上記の重合性基X及びアルカリ可溶性基Aに関しては、本発明に係る一般式(I)で表される側鎖構造中に一体的に含まれるものとして記載したが、この側鎖構造とは別に、これらの重合性基或いはアルカリ可溶性基を有する、それぞれ独立した構造単位として、適宜、本発明に係る特定重合性アルカリ可溶性ポリマー中に共重合により含有させてもよい。
特定重合性ポリマー中のラジカル重合性基の含有量(臭素滴定によるラジカル重合可能な不飽和2重結合の含有量)は、ポリマー1gあたり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.0mmolである。含有量が0.1mmolより低いと硬化性が低くなり感度が低下する傾向にあり、10.0mmolより高い大きいと不安定化し保存性が低下する傾向にある。
また、特定重合性ポリマー中のアルカリ可溶性基の含有量(中和滴定による酸価)は、ポリマー1gあたり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは0.5〜7.0mmol、最も好ましくは.0.7〜3.0mmolである。含有量が0.1mmolより低いとアルカリ可溶性が低下する傾向があり、画像記録材料として用いた場合に、現像時に析出しカスを発生しやすくなる。含有量が10.0mmolより大きいと親水性が高くなりすぎ、耐刷性が劣化する傾向にある。
以下、一般式(I)示す側鎖の「重合性-アルカリ可溶性基」としての構造全般について説明する。本発明においては、一般式(I)の構造より明らかなように、単に、重合性基とアルカリ可溶性基とを一つの側鎖構造中に有するのみならず、両者が一定の相互位置関係で併存することが重要である。
一般式(I)中、Z1,Z2はそれぞれ独立して単結合、または、置換基を有していても良い炭化水素連結基を表す。炭化水素連結基は、鎖状構造を有するものでも、環状構造を有するものでもよく、環状構造を有するものとしては、アリール連結基(アリール基から水素原子を価数に応じて除いた多価連結基)、シクロアルキル連結基(シクロアルキル基から水素原子を価数に応じて除いた多価連結基)が好ましく挙げられる。ここで、アリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、を挙げることができる。シクロアルキル基の具体例としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基などを挙げることができる。
また、鎖状構造を有するものとしては、具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などが好ましく挙げられる。
これらの炭化水素基に導入可能な置換基の例としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、
アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基(以下、カルボキシラートと称す)、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、
N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(allyl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(allyl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oallyl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2を)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルへキシル基、2−メチルへキシル基、シクロへキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、エトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などを挙げることができる。
また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等があげられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
上述のアシル基(R4CO−)としては、R4が水素原子及び上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルフェニルメチル基、トリクロロメチルカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、下記官能基、
Figure 2008171012
及び、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノへキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロへニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
また、導入可能な置換基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものをあげることができる。これらの、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等をあげることができる。
一般式(I)中のQは置換基を有していても良い炭化水素連結基であり、前記重合性基Xとアルカリ可溶性基Aとを所定の位置関係を有するように連結して、一般式(I)で表される側鎖構造を形成する機能を有しており、環状構造であっても、分岐を有する鎖状構造であってもよい。特に好ましくは、環状構造を有する炭化水素連結基であり、環状構造はヘテロ原子を有するものであってもよく、好ましくは置換基を有していても良い芳香環、置換基を有していても良いシクロ炭化水素環、置換基を有していても良いヘテロ環などが挙げられる。
先に述べたように重合性基とアルカリ可溶性基とは一定の相互位置関係で併存することが重要であり、Qが環状構造を有する炭化水素連結基である場合、露光部における重合性基の運動が制限されるため、膜性の低下を効果的に抑制することができると考えられる。同様の観点から、Qが環状構造を含んでいない場合には、重合性基Xの不飽和2重結合の末端炭素原子から酸基Aの解離性水素原子までの原子数は10以下である。重合性基とアルカリ可溶性基との間の原子数が少ないほど、即ち、両者が近接して存在するほど、両者の相互作用による安定性向上効果が顕著となり、原子数が15以上となり、両者の距離が大きくなる程、これら2つの基が近傍に存在して相互作用を形成することによる安定化に寄与する効果は小さくなる。
本発明において、芳香環とはアリール連結基(アリール基から水素原子を価数に応じて除いた多価連結基)を表す。アリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、をあげることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
シクロ炭化水素としては、炭素原子数5から20までの環状アルキル基が好ましく、炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。具体的には、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
また、複素環(ヘテロ環)としては、N、SおよびOの少なくとも1つを含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられ、この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。
これらの環状構造を有する炭化水素連結基は、置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、前述の置換アリール基の置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
一般式(I)中、P1〜P5はそれぞれ独立して単結合、または、−NHCO−、−CO2−、−SO3−、−NHSO2−、−N<、−O−、並びに−S−から選択されるものが挙げられる。
本発明の特定重合性ポリマーに好適な一般式(I)で表される構造の好ましい態様を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、(A−1)〜(A−43)は一般式(I)の構造中に連結基として芳香環を有するものの例である。
Figure 2008171012
Figure 2008171012
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以下に示す具体例(B−1)〜(B−17)は、一般式(I)の構造中に連結基としてシクロ炭化水素環(飽和炭化水素環)を有するものの例である。
Figure 2008171012
Figure 2008171012
以下に示す具体例(C−1)〜(C−12)は、一般式(I)の構造中に連結基としてヘテロ環を有するものの例である。
Figure 2008171012
以下に示す具体例(D−1)〜(D−4)、(D−5)〜(D−11)、(D−14)、(D−16)〜(D−18)、(D−23)〜(D−26)は、一般式(I)の構造中に連結基として環状炭化水素を含まないものの例であり、併記した数字は、重合性基Xとアルカリ可溶性基(酸基)Aとの間の原子数を表す。
Figure 2008171012
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本発明に係る特定重合性ポリマー中の一般式(I)の構造の含有率は、ポリマー1gあたり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは0.5〜7.0mmol、最も好ましくは0.7〜5.0mmolである。含有率が0.1mmolより低いと本発明の効果が十分に得られない可能性があり、10.0mmolより大きいものは合成が困難である。
この特定重合性ポリマーにおいては、前記アルカリ可溶性基及び一般式(I)の構造を有する構成単位の他、本発明の効果を損なわない範囲において、膜性向上などの種種の目的で、他の構成単位を共重合させてもよい。
ここで併用可能な他の構成単位としては、前記重合性基Xを有する構成単位、前記アルカリ可溶性基を有する構成単位、さらに、一般的に用いられる皮膜形成性を有する構成単位が挙げられ、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーに由来する構成単位が挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート等が挙げられる。
前記メタクリル酸エステル類としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート等が挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、例えば、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
前記メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
これらのモノマーの中でも、炭素数20以下のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリルが好ましい。
これらの構成単位を共重合させる方法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることができる。
また、本発明のポリマーの重量平均分子量は、好ましくは3千〜50万、より好ましくは、2万〜30万、最も好ましくは、5万〜20万である。分子量が3千より小さいと皮膜性が低下し、耐刷性の向上効果が不充分になる。一方、分子量が50万を超えると、塗布溶剤に溶解しにくくなり、塗布性などのハンドリング性が低下すると共に、均一な塗膜が得難くなる傾向がある。
また、この特定重合性ポリマーのガラス転移点(Tg)は、好ましくは70〜300℃、より好ましくは80〜250℃、最も好ましくは90〜200℃である。Tgが70℃より低いものを用いると保存安定性が低下し、耐刷性も低下する傾向がある。Tgが300℃以上のポリマーでは、塗膜中のラジカル移動度が低下し、十分に硬化反応が進行しないため、感度低下が懸念される。
本発明に係る特定重合性ポリマーは、上記ガラス転移点の範囲を達成するために、分子中にアミド基及びイミド基を有することが好ましく、特にメタクリルアミド及びメタクリルアミド誘導体を含有することが好ましい。
以下に、本発明において好適な特定重合性ポリマー〔(P−1)〜(P−24)、(P−26)〜(P−30)〕の構造を、その重量平均分子量とともに例示するが本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2008171012
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本発明の特定重合性ポリマーは、既存モノマーと一般式(I)の構造を有するモノマーとを共重合させることにより、或いは、既存のポリマーに高分子反応によって一般式(I)の構造の導入することにより、容易に得ることができる。
本発明に係る特定重合性ポリマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このポリマーの含有量としては、光または熱重合性組成物の全固形分重量の5質量%〜100質量%の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは20〜75質量%範囲であり、最も好ましくは40〜75質量%である。含有量が5質量%以下だと良好な被膜が得難い。
<分子量1000〜1万の重合性架橋剤>
本発明の光または熱重合性組成物には、さらに分子量1000〜1万の重合性架橋剤を含有することが好ましい。このような重合性架橋剤は、ラジカル重合性基を分子内に2コ以上含有する分子量1000〜1万の化合物である。該重合性架橋剤は単独及び混合物でもよくオリゴマーでも良い。オリゴマーの場合には上記分子量は数平均分子量を表し、すなわち数平均分子量1500〜1万の化合物を指す。
重合性基はラジカル重合可能な官能基であれば特に限定はないが、好ましい例としては、α−アルキルアクリル基[−OC(=O)−C(−Cn2n+1)=CH2、(n=2〜12)]、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CH2Z)=CH2、(Z=ヘテロ原子から始まる炭化水素基)]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基、ビニル基、クロトニル基、イソクロトニル基、イタコニル基が挙げられ、この中でも特に好ましくは、アクリル基、メタクリル基、アリル基を挙げることができる。
本発明に用いられる前記重合性架橋剤は、より好ましくは、分子内に環状構造を有するものであり、環状構造の例としては、芳香環、複素芳香環、ヘテロ環が挙げられる。特に好ましいものとして、先に特定重合性ポリマーにおいて一般式(I)中のQとして説明した環状炭化水素基の構造を有するものが挙げられる。
また重合性架橋剤中のラジカル重合性基の含有量(臭素滴定によるラジカル重合可能な不飽和2重結合の含有量)は、架橋剤1gあたり、好ましくは0.5〜10.0mmol、より好ましくは2.0〜8.0mmol、最も好ましくは3.0〜6.0mmolである。0.5より低いと硬化性が低く、感度が低下する傾向にあり、10.0mmolより大きいものは、それ自体が不安定な化合物となり、組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
重合性架橋剤は、分子内にアルカリ可溶性基を有していても良い。アルカリ可溶性基はpH10〜13のアルカリ現像液に溶解するものであれば特に限定はない。
アルカリ可溶性基の好ましい例としては、スルホン酸、カルボン酸、フェノール、スルホン酸アミド、スルホン酸イミド、イミド、ヒドロキサム酸、バルビツル酸、チオール、燐酸、ホスホン酸、及びその他、pKa10以下の活性プロトンを有する官能基が挙げられる。この中でも特に好ましくは、カルボン酸、スルホン酸イミド、バルビツル酸、フェノールが挙げられる。
また架橋剤中のアルカリ可溶性基の含有量(中和滴定による酸価)は、架橋剤1gあたり、好ましくは0.05〜5.0mmol、より好ましくは0.1〜3.0mmol、最も好ましくは0.2〜1.0mmolである。0.05mmolより低いと現像時に析出してカスを発生しやすくなり、5.0mmolより大きいと、得られた皮膜の親水性が高くなり、耐刷性が劣化する傾向がある。
また、本発明に好ましく用いられるこの重合性架橋剤は固体またはWAX状である。融点またはガラス転移点(Tg)は好ましくは40〜300℃、より好ましくは60〜250℃、最も好ましくは80〜200℃である。40℃より低いと保存安定性が低下し耐刷性が低下する傾向にあり、300℃を超えるとラジカル移動性が低下して感度が低下する傾向にある。
以下に、本発明において好適な重合性架橋剤〔(Q−1)〜(Q−26)〕の構造を、その重量平均分子量とともに例示するが本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2008171012
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該重合性架橋剤の使用量は重合性組成物の全成分の重量に対し5〜90%である。好ましくは20〜75%、さらに好ましくは40〜75%の範囲である。添加量が5%未満だと感度向上効果が十分ではなく、併用の利点が得難い。また、90%を超えて添加すると重合性ポリマーの比率が低下し、被膜性及び保存安定性、耐刷性が低下する傾向にある。
<その他の成分>
本発明の重合性組成物には、前記の成分の他、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
前記特定の分子量の重合性架橋剤の他、以下に述べる従来公知の重合性架橋剤、即ち、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物を併用することができる。従来公知の付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、へキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、へキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネー卜等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加した1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R′)OH (A)
(ただし、RおよびR′はHあるいはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレー卜類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ぺージ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。本発明において、これらのモノマーはプレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態で使用しうる。
このようなその他の重合性架橋剤(モノマーorオリゴマー型架橋剤)の使用量は重合性組成物の全成分の重量に対し40%以下であることを要し、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。40%を超えて配合すると被膜性が悪化し、保存安定性、耐刷性が劣化する。
本発明に係る重合性組成物には、重合開始剤を含有することが好ましい。好ましい重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(k)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a)芳香族ケトン類
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格あるいはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、
Figure 2008171012
が挙げられる。中でも、特に好ましい(a)芳香族ケトン類の例としては、特公昭47−6416記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981記載のベンゾインエーテル化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
特公昭47−22326記載のα−置換ベンゾイン化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
特公昭47−23664記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483記載のジアルコキシベンゾフェノン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
特公昭60−26403、特開昭62−81345記載のベンゾインエーテル類、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
特公平1−34242、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
特開平2−211452記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
特開昭61−194062記載のチオ置換芳香族ケトン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
特公平2−9597記載のアシルホスフィンスルフィド、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
特公平2−9596記載のアシルホスフィン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
また、特公昭63−61950記載のチオキサントン類、特公昭59−42864記載のクマリン類等を挙げることもできる。
(b)オニウム塩化合物
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(b)オニウム塩化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
式(1)中、Ar1とAr2は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z2-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、カルボン酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
式(2)中、Ar3は、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Z3-は(Z2-と同義の対イオンを表す。
式(3)中、R23、R24及びR25は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z4-は(Z2-と同義の対イオンを表す。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0030]〜[0033]、特開2001−92127公報の段落番号[0096]〜[0101]、及び、特開2001−343742公報の段落番号[0015]〜[0046]に記載されたものなどを挙げることができる。
本発明において用いられるオニウム塩は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、さらに360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
(c)有機過酸化物
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリイブチルパーオキシアセテート、ターシャリイブチルパーオキシピバレート、ターシャリイブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリイブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリイブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリイブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
中でも、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
(d)チオ化合物
本発明で用いられる重合開始剤として好ましい(d)チオ化合物としては、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
(ここで、R26はアルキル基、アリール基または置換アリール基を示し、R27は水素原子またはアルキル基を示す。また、R26とR27は、互いに結合して酸素、硫黄および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。)
上記一般式(4)におけるアルキル基としては炭素原子数1〜4個のものが好ましい。またアリール基としてはフェニル、ナフチルのような炭素原子数6〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトシキ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。R27は、好ましくは炭素原子数1〜4個のアルキル基である。一般式(4)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
Figure 2008171012
(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(f)ケトオキシムエステル化合物
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(f)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(g)ボレート化合物
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(g)ボレート化合物の例としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008171012
(ここで、R28、R29、R30およびR31は互いに同一でも異なっていてもよく、各々置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、又は置換もしくは非置換の複素環基を示し、R28、R29、R30およびR31はその2個以上の基が結合して環状構造を形成してもよい。ただし、R28、R29、R30およびR31のうち、少なくとも1つは置換もしくは非置換のアルキル基である。(Z5+はアルカリ金属カチオンまたは第4級アンモニウムカチオンを示す。)
上記R28〜R31のアルキル基としては、直鎖、分枝、環状のものが含まれ、炭素原子数1〜18のものが好ましい。具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ステアリル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。また置換アルキル基としては、上記のようなアルキル基に、ハロゲン原子(例えば−Cl、−Brなど)、シアノ基、ニトロ基、アリール基(好ましくはフェニル基)、ヒドロキシ基、−COOR32(ここでR32は水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、−OCOR33又は−OR34(ここでR33、R34は炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、及び下記式で表されるものを置換基として有するものが含まれる。
Figure 2008171012
(ここでR35、R36は独立して水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)
上記R28〜R31のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの1〜3環のアリール基が含まれ、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に前述の置換アルキル基の置換基又は、炭素数1〜14のアルキル基を有するものが含まれる。上記R28〜R31のアルケニル基としては、炭素数2〜18の直鎖、分枝、環状のものが含まれ。置換アルケニル基の置換基としては、前記の置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。上記R28〜R31のアルキニル基としては、炭素数2〜28の直鎖又は分枝のものが含まれ、置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。また、上記R28〜R31の複素環基としてはN、SおよびOの少なくとも1つを含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられ、この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。更に置換基として前述の置換アリール基の置換基として挙げたものを有していてもよい。一般式(5)で示される化合物例としては具体的には米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物および以下に示すものが挙げられる。
Figure 2008171012
(h)アジニウム化合物
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(h)アジニウム塩化合物としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群をあげることができる。
(i)メタロセン化合物
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(i)メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号記載の鉄−アレーン錯体をあげることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン、
ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチル−(4−クロロベンゾイル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ベンジル−2,2−ジメチルペンタノイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(2−エチルヘキシル)−4−トリル−スルホニル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3−オキサヘプチル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,6−ジオキサデシル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(トリフルオロアセチルアミノ)フェニル〕チタン、
ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(2−クロロベンゾイル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(4−クロロベンゾイル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,6−ジオキサデシル)−2,2−ジメチルペンタノイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,7−ジメチル−7−メトキシオクチル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−シクロヘキシルベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、等を挙げることができる。
(j)活性エステル化合物
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(j)活性エステル化合物としては、特公昭62−6223記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホネート類をあげることができる。
(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物
本発明に用いられる重合開始剤として好ましい(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式(6)から(12)のものを挙げることができる。
Figure 2008171012
(式中、X2はハロゲン原子をし、Y1は−C(X23、−NH2、−NHR38、−NR38、−OR38を表わす。ここでR38はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表わす。またR37は−C(X23、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基、を表わす。)
Figure 2008171012
(ただし、R39は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシル基、ニトロ基又はシアノ基であり、X3はハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)
Figure 2008171012
(ただし、R40は、アリール基又は置換アリール基であり、R41は、以下に示す基又はハロゲンであり、Z6は−C(=O)−、−C(=S)−又は−SO2−である。)
Figure 2008171012
(R42、R43はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基又は置換アリール基であり、R44は一般式(6)中のR38と同じであり、X3はハロゲン原子であり、mは1又は2である。)
Figure 2008171012
(ただし、式中、R45は置換されていてもよいアリール基又は複素環式基であり、R46は炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基であり、pは1、2又は3である。)
Figure 2008171012
(ただし、L7は水素原子又は式:CO−(R47)q(C(X43)rの置換基であり、Q2はイオウ、セレン又は酸素原子、ジアルキルメチレン基、アルケン−1,2−イレン基、1,2−フェニレン基又はN−R基であり、M4は置換又は非置換のアルキレン基又はアルケニレン基であるか、又は1,2−アリーレン基であり、R48はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R47は炭素環式又は複素環式の2価の芳香族基であり、X4は塩素、臭素またはヨウ素原子であり、q=0及びr=1であるか又はq=1及びr=1又は2である。)で表わされる、トリハロゲノメチル基を有するカルボニルメチレン複素環式化合物。
Figure 2008171012
(ただし、X5はハロゲン原子であり、tは1〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、R49は水素原子又はCH3-t5 t基であり、R50はs価の置換されていてもよい不飽和有機基である)で表わされる、4−ハロゲノ−5−(ハロゲノメチル−フェニル)−オキサゾール誘導体。
Figure 2008171012
(ただし、X6はハロゲン原子であり、vは1〜3の整数であり、uは1〜4の整数であり、R51は水素原子又はCH3-v6 v基であり、R52はu価の置換されていてもよい不飽和有機基である。)で表わされる、2−(ハロゲノメチル−フェニル)−4−ハロゲノ−オキサゾール誘導体。
このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、たとえば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、たとえば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2’,4’−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、たとえば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2008171012
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)記載の化合物、たとえば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。さらに特開昭62−58241号記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2008171012
更に特開平5−281728号記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2008171012
あるいはさらにM.P.Hutt、E.F.ElslagerおよびL.M.Herbel著「Journalof Heterocyclic chemistry」第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2008171012
また、特開2001−92127号公報、本願出願人が先に提案した特願2000−266797、特願2001−177150、特願2000−184603などの明細書に記載した特定の芳香族スルホニウム塩なども好ましい重合開始剤として挙げることができる。
本発明に係る重合性組成物に用いる重合開始剤の最も好ましい例としては、チタノセン化合物、芳香族スルホニウム塩、トリハロメチル−S−トリアジン化合物を挙げることができる。
このような重合開始剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの重合開始剤は、重合性組成物に固形分として0.01〜10質量%添加することが好ましく、0.1〜2質量%添加することがより好ましい。
また、本発明に係る重合性組成物には、増感色素を添加することが感度向上の観点から好ましい。増感色素としては、分光増感色素、光源の光を吸収して重合開始剤と相互作用する染料あるいは顔料があげられる。
本発明に用いられる増感色素として好ましい分光増感色素または染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体(例えば、下記化合物)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)等が挙げられる。
Figure 2008171012
より好ましい分光増感色素又は染料の例としては特公平37−13034号記載のスチリル系色素、例えば、
Figure 2008171012
特開昭62−143044号記載の陽イオン染料、例えば、
Figure 2008171012
特公昭59−24147号記載のキノキサリニウム塩、例えば、
Figure 2008171012
特開昭64−33104号記載の新メチレンブルー化合物、例えば、
Figure 2008171012
特開昭64−56767号記載のアントラキノン類、例えば、
Figure 2008171012
特開平2−1714号記載のベンゾキサンテン染料、特開平2−226148号及び特開平2−226149号記載のアクリジン類、例えば、
Figure 2008171012
特公昭40−28499号記載のピリリウム塩類、例えば、
Figure 2008171012
特公昭46−42363号記載のシアニン類、例えば、
Figure 2008171012
特開平2−63053号記載のベンゾフラン色素、例えば、
Figure 2008171012
特開平2−85858号、特開平2−216154号の共役ケトン色素、例えば、
Figure 2008171012
特開昭57−10605号記載の色素、特公平2−30321号記載のアゾシンナミリデン誘導体、例えば、
Figure 2008171012
特開平1−287105号記載のシアニン系色素、例えば、
Figure 2008171012
特開昭62−31844号、特開昭62−31848号、特開昭62−143043号記載のキサンテン系色素、例えば、
Figure 2008171012
特公昭59−28325号記載のアミノスチリルケトン、例えば、
Figure 2008171012
特開平2−179643号記載の以下の一般式(13)〜(15)で表わされる色素、
Figure 2008171012
(式中、A3は、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、テルル原子、アルキル又はアリール置換された窒素原子またはジアルキル置換された炭素原子を表し、Y2は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アシル基、または置換アルコキシカルボニル基を表し、R53、R54は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、もしくは置換基として、−OR55、−(CH2CH2O)w−R55、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、及び下記式で表される基を有する炭素数1〜18の置換アルキル基(但し、R55は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、B1は、ジアルキルアミノ基、水酸基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基を表す。wは0〜4の整数を表す。)
Figure 2008171012
特開平2−244050号記載の以下の一般式(16)で表されるメロシアニン色素、
Figure 2008171012
(式中、R56およびR57は各々独立して水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシカルボニル基、アリール基、置換アリール基またはアラルキル基を表わす。A4は、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、テルル原子、アルキルないしはアリール置換された窒素原子、またはジアルキル置換された炭素原子を表わす。X7は含窒素ヘテロ五員環を形成するのに必要な非金属原子群を表わす。Y3は置換フェニル基、無置換ないし置換された多核芳香環、または無置換ないしは置換されたヘテロ芳香環を表わす。Z7は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、置換アミノ基、アシル基、またはアルコキシカルボニル基を表しし、Y3と互いに結合して環を形成していてもよい。好ましい具体例としては、下記化合物)
Figure 2008171012
特公昭59−28326号記載の以下の一般式(17)で表されるメロシアニン色素、
Figure 2008171012
(式中、R58およびR59はそれぞれ水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基またはアラルキル基を表わし、それらは互いに等しくても異ってもよい。X8はハメット(Hammett)のシグマ(σ)値が−0.9から+0.5までの範囲内の置換基を表す)
特開昭59−89303号記載の以下の一般式(18)で表されるメロシアニン色素、
Figure 2008171012
〔(式中R60およびR61は各々独立して水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基またはアラルキル基を表わす。X9はハメット(Hammett)のシグマ(σ)値が−0.9から+0.5までの範囲内の置換基を表わす。Yは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アシル基またはアルコキシカルボニル基を表す)好ましい具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる〕
Figure 2008171012
特願平6−269047号記載の以下の一般式(19)で表されるメロシアニン色素、
Figure 2008171012
〔(式中、R62、R63、R64、R65、R70、R71、R72、R73はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスフォノ基、置換ホスフォノ基、ホスフォナト基、置換ホスフォナト基、シアノ基、ニトロ基を表すか、もしくは、R62とR63、R63とR64、R64とR65、R70とR71、R71とR72、R72とR73が互いに結合して脂肪族又は芳香族環を形成していても良く、R66は水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、又は置換アリール基を表し、R67は置換、又は無置換のアルケニルアルキル基、又は置換もしくは無置換のアルキニルアルキル基を表し、R68、R69はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換カルボニル基を表す)好ましい具体例としては、下記で示す化合物が挙げられる〕
Figure 2008171012
特願平7−164583号記載の以下の一般式(20)で表されるベンゾピラン系色素、
Figure 2008171012
(式中、R74〜R77は互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基又はアミノ基を表す。またR74〜R77はそれらが各々結合できる炭素原子と共に非金属原子から成る環を形成していても良い。R78は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ芳香族基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシ基又はアルケニル基を表す。R79はR78で表される基または−Z7−R78であり、Z7はカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基またはアリーレンジカルボニル基を表す。またR78及びR79は共に非金属原子から成る環を形成しても良い。A5はO原子、S原子、NHまたは置換基を有するN原子を表す。B2はO原子、または=C(G7)(G8)の基を表す。G7、G8は同一でも異なっていても良く、水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はフルオロスルホニル基を表す。但し、G7、G8は同時に水素原子となることはない。またG7及びG8は炭素原子と共に非金属原子からなる環を形成していても良い。)等を挙げることができる。
また、本発明者らが先に提案した特願平2001-6326、特願平2001−237840の各明細書に記載の特定のインドレニンシアニン色素等も好ましい例として挙げられる。
その他、増感色素として特に以下の赤外線吸収剤(染料或いは顔料)も好適に使用される。好ましい前記染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号公報等に記載されているシアニン染料、英国特許434,875号明細書記載のシアニン染料、及び前記特定のインドレニンシアニン色素等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、さらに、米国特許第3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)公報に記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載のピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や、特公平5−13514号、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料、EP916513A2号明細書に記載のフタロシアニン系染料も好ましい染料として挙げることができる。
さらに、特願平10−79912号公報に記載のアニオン性赤外線吸収剤も、好適に使用することができる。アニオン性赤外線吸収剤とは、実質的に赤外線を吸収する色素の母核にカチオン構造がなく、アニオン構造を有するものを示す。例えば、例えば、(c1)アニオン性金属錯体、(c2)アニオン性カーボンブラック、(c3)アニオン性フタロシアニン、さらに(c4)下記一般式(21)で表される化合物などが挙げられる。これらのアニオン性赤外線吸収剤の対カチオンは、プロトンを含む一価の陽イオン、あるいは多価の陽イオンである。
Figure 2008171012
ここで、(c1)アニオン性金属錯体とは、実質的に光を吸収する錯体部の中心金属および配位子全体でアニオンとなるものを示す。
(c2)アニオン性カーボンブラックは、置換基としてスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸基等のアニオン基が結合しているカーボンブラックが挙げられる。これらの基をカーボンブラックに導入するには、カーボンブラック便覧第三版(カーボンブラック協会編、1995年4月5日、カーボンブラック協会発行)第12頁に記載されるように、所定の酸でカーボンブラックを酸化する等の手段をとればよい。
(c3)アニオン性フタロシアニンは、フタロシアニン骨格に、置換基として、先に(c2)の説明において挙げたアニオン基が結合し、全体としてアニオンとなっているものを示す。
次に、前記(c4)一般式(21)で表される化合物、について、詳細に説明する。前記一般式(21)中、G9はアニオン性置換基を表し、G10は中性の置換基を表す。(X10+は、プロトンを含む1〜m価のカチオンを表し、mは1ないし6の整数を表す。M5は共役鎖を表し、この共役鎖M5は置換基や環構造を有していてもよい。共役鎖M5は、下記式で表すことができる。
Figure 2008171012
式中、R80、R81、R82はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基を表し、これらは互いに連結して環構造を形成していてもよい。nは、1〜8の整数を表す。
前記一般式(21)で表されるアニオン性赤外線吸収剤のうち、以下のIRA−1〜IRA−5のものが、好ましく用いられる。
Figure 2008171012
また、以下のIRC−1〜IRC−44に示すカチオン性赤外線吸収剤も好ましく使用できる。
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
前記構造式中、T-は、1価の対アニオンを表し、好ましくは、ハロゲンアニオン(F-,Cl-、Br-、I-)、ルイス酸アニオン(BF4 -、PF6 -、SbCl6 -、ClO4 -)、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオンである。
前記アルキルスルホン酸のアルキルとは、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
また前記アリールスルホン酸のアリールとは、1個のベンゼン環からなるもの、2又は3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを表し、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらの中でも、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
また、以下のIRN−1〜IRN−9に示す非イオン性赤外線吸収剤も好ましく使用できる。
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
前記例示化合物中、特に好ましいアニオン性赤外線吸収剤としてはIRA−1が、カチオン性赤外線吸収剤としてはIRC−7、IRC−30、IRC−40、およびIRC−42が、非イオン性赤外線吸収剤としてはIRN−9が挙げられる。
<顔料>
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像記録層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記録層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
なお、本発明の光または熱重合性組成物の硬化反応を促進するために添加される増感色素は組成物中に他の成分とともに直接添加してもよいが、これに隣接する別の層を設けて、そこへ添加しても同様の効果を得ることができる。
特に、本発明の光または熱重合性組成物を後述する平版印刷版原版のネガ型画像記録層に使用する場合、該画像記録層の同一の層に添加してもよいし、別の層を設け、そこへ添加してもよいが、ネガ型画像記録材料を作成した際に、記録層の波長300nm〜1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1〜3.0の間にあることが好ましい。この範囲をはずれた場合、感度が低くなる傾向がある。光学濃度は前記増感色素の添加量と記録層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。記録層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの記録層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に記録層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
増感色素を用いる場合、重合性組成物中の重合開始剤と増感色素のモル比は100:0〜1:99であり、より好ましくは、90:10〜10:90であり、最も好ましくは80:20〜20:80である。
さらに本発明の重合性組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号、特開昭51−82102号、特開昭52−134692号、特開昭59−138205、特開昭60−84305号、特開昭62−18537号、特開昭64−33104号、Research Disclosure 33825号記載の化合物、等があげられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等があげられる。
共増感剤の別の例としてはチオールおよびスルフィド類、例えば、特開昭53−702号、特公昭55−500806号、特開平5−142772号記載のチオール化合物、特開昭56−75643号のジスルフィド化合物等があげられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等があげられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号記載の水素供与体、特願平5−91089号記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特願平5−32147号記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等があげられる。
上記共増感剤を使用する場合には重合開始剤1重量部に対して、0.01〜50重量部使用するのが適当であり、より好ましくは0.02〜20重量部、最も好ましくは0.05〜10重量部である。
本発明の重合性組成物には、バインダーとしての線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、光重合可能なエチレン性不飽和化合物と相溶性を有している線状有機高分子重合体である限り、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、該組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、現像剤として水、弱アルカリ水或いは有機溶剤のいずれが使用されるかに応じて適宜選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様な線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。この他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度をあげるためにアルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
但し、その他公知のバインダーの使用量は重合性組成物の全成分の重量に対し40%以下である。好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。40%以上だと被膜性が悪化し保存安定性、耐刷性が劣化する傾向にある。
本発明の重合性組成物には、その製造中あるいは保存中において組成物中に含まれる重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、重合性組成物の全固形分に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにべヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
さらに、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の記録層に適用した場合に、記録層の着色を目的として染料もしくは顔料を添加してもよい。これにより、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。ここで用いる着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。これは、多くの染料が、重合性組成物の露光感度の低下を生じる虞があるためであり、着色剤として染料を使用する場合、この点も考慮すべきである。着色剤としては、具体的には、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料が挙げられる。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
−その他の添加剤−
また、前記の各添加剤の他、画像記録材料としての特性を向上させるため、さらに、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、記録層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計重量に対し10質量%以下添加することができる。
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした現像後の加熱・露光処理の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加剤を使用することもできる。
なお、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版として使用する場合、記録層と支持体との密着性向上や、記録層の未露光領域における現像除去性を高めるために、両者の間に中間層を設けることも可能である。また、記録層中に支持体基板と相互作用を形成し得る化合物を添加することも可能である。そのような化合物としては、例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物等が挙げられ、これらは記録層に添加したり、下塗り層形成用塗布組成物に添加して用いられ、これにより、密着性が向上し、耐刷性を高めることが可能となる。また、非画像部領域の除去性を向上させるためには、ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーを添加したり、これを含有する下塗り層を形成するといった手段をとればよく、これにより、非画像部の現像性が向上し、非画像部領域の汚れを効果的に抑制することが可能となる。
本発明の重合性組成物を支持体上に塗布して記録層を形成する際には、この重合性組成物を種々の有機溶剤に溶かして使用にすれがよい。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
記録層の塗布量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が低下する傾向があり、多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要することになる。本発明の重合性組成物を走査露光用平版印刷版原版として用いる場合の記録層塗布量は、乾燥後の重量で約0.1〜約10g/m2の範囲が適当であり、より好ましくは0.5〜5g/m2である。
「支持体」
本発明の重合性組成物を適用した画像記録材料に用い得る支持体としては、表面が親水性の支持体が望ましく、従来公知の、平版印刷版に使用される親水性支持体であれば、特に限定無く使用することができる。
支持体基板は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のような金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。支持体としては、これらの基材表面に、必要に応じ親水性の付与や、強度向上等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施したものを用いることができる。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルムまたはアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は特に好ましい。
また、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にはアルミニウムがラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、粗面化(砂目立て)処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ、磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
さらに、粗面化したのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理され、表面親水化されたアルミニウム板が好ましく使用でき、例えば、特公昭47−5125号に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、もしくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液または非水溶液の単独または二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
このような、支持体表面の珪酸化合物による親水化処理としては、米国特許第3658662号に記載されているようなシリケート電着が有効である。さらに、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
また、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
さらに、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
支持体表面の親水化処理の他の例として、特願平5−304358号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に挙げられる。
その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも上げることができる。このような表面層としては例えばUS3055295号や、特開昭56−13168号記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を挙げることができる。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる重合性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
「保護層」
本発明の重合性組成物を用いた記録層の上には、必要に応じて保護層を設ける事ができる。このような平版印刷版原版は、通常、露光を大気中で行うが、保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光による画像形成反応の阻害を防止する機能がある。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過性が良好で、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。
このような、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3、458、311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。保護層に使用できる材料としては例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られていが、これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。
ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を新油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬
化不良などの欠陥を引き起こす。
これに対し、これら2層間の接着性を改すべく種々の提案がなされている。たとえば米国特許第292、501号、米国特許第44、563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジヨンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用する事ができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。
さらに、保護層に他の機能を付与する事もできる。例えば、露光に使う光(例えば、赤外線レーザならば波長760〜1200nm)の透過性に優れ、かつ露光に係わらない波長の光を効率良く吸収しうる、着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高める事ができる。
さらに保護層には他の機能を付与することもできる。例えば、光源としてレーザー光を使用する場合、感光性組成物としてはその光源波長での感光性には優れるが、他の波長では感光してほしくない場合がある。例えば、光源が750nm以上の赤外領域のものであれば、実質上明室で使用することができるが、実際には蛍光灯の光など短波の光でも感光する場合がある。その場合には、光源の光透過性に優れ、かつ700nm未満の波長光を効率良く吸収しうる着色剤(水溶性染料等)の添加が好ましい。また、別の例として光源が450nm以下の紫外領域のものであれば、実質上セーフライト下で使用することができる。しかし実際には、500nm以上の可視光により感光する場合がある。その場合には、光源の光透過性に優れ、かつ500nm以上の光を効率良く吸収しうる、着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高めることができる。
本発明の重合性組成物を重合、硬化させるための露光方法は、公知の方法を制限なく用いることができる。光源としてはレーザが好ましく。例えば、350〜450nmの波長の入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザーとして、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm,351nm,10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm,325nm,1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355mm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm,10mW)、半導体レーザー系として、KNbO3、リング共振器(430nm,30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザーとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)が挙げられる。
特に、この中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
その他、450nm〜700nmの入手可能な光源としてはAr+レーザ−(488nm)、YAG−SHGレーザー(532nm)、He−Neレーザー(633nm)、He−Cdレーザー、赤色半導体レーザー(650〜690nm)、及び700nm〜1200nmの入手可能な光源としては半導体レーザ(800〜850nm)、Nd−YAGレーザ(1064nm)が好適に利用できる。
その他、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、紫外のレーザランプ(ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザーなど)、放射線としては電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線なども利用できる。
上記の中でも、本発明の重合性組成物の像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
また、露光機構は内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等のいずれでもよい。
本発明の重合性組成物を記録層として用いた画像形成材料においては、通常、画像露光したのち、現像液で記録層の未露光部を除去し、画像を得る。これらの重合性組成物を平版印刷版の作成に使用する際の好ましい現像液としては、特公昭57−7427号に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%になるように添加される。
また、このようなアルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やべンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3375171号および同第3615480号に記載されているものを挙げることができる。
さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
また、現像液として、特願2001−62270明細書に記載の特定の芳香族ノニオン界面活性剤含有現像液を用いることが、ポリマーを主体とする重合性組成物を用いた本系に対し、現像性の点でより好ましい。
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の重合性組成物を印刷版として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
その他、本発明の重合性組成物の好適な用途である平版印刷版原版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱しても良い。このような加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や、感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは、全面露光を行うことも有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。温度が高すぎると、非画像部までがかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。本発明による走査露光平版印刷版の露光方法は、公知の方法を制限なく用いることができる。
本発明の重合性組成物は、前記走査露光用平版印刷版原版の記録層に適用する他、高感度な光造形用材料、重合にともなう屈折率の変化を利用し、ホログラム材料、フォトレジスト等の電子材料製造などに適用することができる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔特定アルカリ可溶性重合性ポリマーの合成〕
<合成例1:P−1>
フラスコ内に5−アミノサリチル酸(0.5mol)、炭酸水素ナトリウム(0.5mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(1L)を入れ、反応液を0℃に冷却し、メタクリル酸クロリド(0.5mol)を1時間かけて滴下する。3時間撹拌後、水2Lに攪拌しながら反応液を入れていくと結晶が析出する。この結晶を濾過し乾燥後トルエン/イソプロパノール=5/1から再結晶し中間体(A−1a)を収率80%で得た。
Figure 2008171012
次に、中間体A−1a(0.2mol)、ピリジン(0.4mol)、アセトン(500ml)を入れ、反応液を0℃に冷却し、2−ブロモイソ酪酸ブロミド(0.3mol)を1時間かけて滴下する。3時間撹拌後、0.1N塩酸水1Lに攪拌しながら反応液を入れていくと結晶が析出する。この結晶を濾過し、乾燥後ヘキサン/イソプロパノール=2/1から再結晶することで、目的とするポリマー(P−1)において一般式(I)に該当する部位となるモノマー(A−1M)を収量50%で得た。この物質の構造はNMR、IR、GPCにより確認した。
Figure 2008171012
次に、フラスコ内にモノマー(A−1M)(0.1mol)、2−ブロモ−2−メチルプロピオニルオキシエチルメタクリレート(0.1mol)、V−59(和光純薬社製、アゾ系熱重合開始剤)(0.006mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(200mL)を混合し、70℃で5時間攪拌する。
反応液を0℃に冷却し、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)(0.2mol)を入れ、3時間撹拌後、0.5N塩酸水1Lに攪拌しながら少量ずつ反応液を入れていくと白色粉末が析出する。この粉末を濾過し、乾燥することでP−1を収量85%で得た。この物質の構造はNMR、IR、GPCにより確認した。
<合成例2:P−2>
フラスコ内に4−アミノサリチル酸(0.5mol)、炭酸水素ナトリウム(0.5mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(1L)を入れ、反応液を0℃に冷却し、メタクリル酸クロリド(0.5mol)を1時間かけて滴下する。3時間撹拌後、水2Lに攪拌しながら反応液を入れていくと結晶が析出する。この結晶を濾過し乾燥後トルエン/イソプロパノール=5/1から再結晶し中間体(A−3a)を収率85%で得た。
Figure 2008171012
次に中間体A−3a(0.2mol)、ピリジン(0.4mol)、アセトン(500ml)を入れ、反応液を0℃に冷却し、2−ブロモイソ酪酸ブロミド(0.4mol)を1時間かけて滴下する。3時間撹拌後、0.1N塩酸水1Lに攪拌しながら反応液を入れていくと結晶が析出する。この結晶を濾過し、乾燥後ヘキサン/イソプロパノール=2/1から再結晶することで目的物であるポリマー(P−2)において一般式(I)に該当する部位となるモノマー(A−3M)を収量50%で得た。この物質の構造はNMR、IR、GPCにより確認した。
Figure 2008171012
次にフラスコ内にモノマー(A−3M)(0.1mol)、2−ブロモ−2−メチルプロピオニルオキシエチルメタクリレート(0.1mol)、V−59(和光純薬社製、アゾ系熱重合開始剤)(0.006mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(200mL)を混合し、70℃で5時間攪拌する。反応液を0℃に冷却し、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)(0.2mol)を入れ、3時間撹拌後、0.5N塩酸水1Lに攪拌しながら少量ずつ反応液を入れていくと白色粉末が析出する。この粉末を濾過し、乾燥することでP−2を収量90%で得た。この物質の構造はNMR、IR、GPCにより確認した。
<合成例3:P−16>
フラスコ内に、合成例1で得たモノマー(A−1M)(0.1mol)、メタクリル酸メチル(0.04mol)、2−ブロモ−2−メチルプロピオニルオキシエチルメタクリレート(0.06mol)、V−59(和光純薬社製、アゾ系熱重合開始剤)(0.006mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(200mL)を混合し、70℃で5時間攪拌する。反応液を0℃に冷却し、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)(0.2mol)を入れ、3時間撹拌後、0.5N塩酸水1Lに攪拌しながら少量ずつ反応液を入れていくと白色粉末が析出する。この粉末を濾過し、乾燥することでP−16を収量90%で得た。この物質の構造はNMR、IR、GPCにより確認した。
(実施例1〜14、比較例1〜21)
以下に、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の記録層に用いた場合を例に挙げ、その詳細を具体的に説明する。
<支持体の調製>
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
このように処理された基板の裏面に下記のゾル−ゲル反応液をバーコーターで塗布し100℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/m2のバックコート層を設けた支持体を作成した。
(ゾル−ゲル反応液)
・テトラエチルシリケート 50重量部
・水 20重量部
・メタノール 15重量部
・リン酸 0.05重量部
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
・ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂 4重量部
(分子量2000)
・ジメチルフタレート 5重量部
・フッ素系界面活性剤 0.7重量部
(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチル
アクリレート/ポリオキシエチレンアクリレート共重合体
:分子量2万)
・メタノールシリカゾル 50重量部
(日産化学工業(株)製、メタノール30質量%)
・メタノール 800重量部
<記録層の調製>
このように処理されたアルミニウム板上に下記組成の記録層形成溶液を乾燥塗布量が1.5g/m2となるように塗布し、100℃で1分乾燥させ記録層を形成させた。
(記録層形成溶液)
・下記表に記載の重合性ポリマー[A] (2.0−r)g
・下記表に記載の重合開始剤[X] 0.2g
・下記表に記載の増感色素[Y] 0.3g
・下記表に記載の重合性化合物[R] r g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177:
大日本インキ化学工業(株)製) 0.03 g
〔なお、下記表2〜表4において、重合性化合物[R]が「なし」と記載されている場合にはr=0gであり、重合性ポリマー[A]の添加量は2.0gとなる。それ以外では[R]として記載の重合性化合物の添加量は1.0g(r=1.0g)となり、重合性ポリマー[A]の添加量は1.0gとなる。〕
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
なお、前記表2〜表4中、本発明に係る特定重合性ポリマーに代えて、比較例に用いた重合性ポリマーの構造を以下に示す。下記化合物のうち、特定重合性ポリマーP−1に代えて比較例1において使用される重合性ポリマーTP−1は、重合性ポリマーP−1の一般式(I)で表される側鎖構造における重合性基Xを有しない構造を持つものであり、以下、[TP]の符号で表される重合性ポリマーは特定重合性ポリマー[P]に対応する同様の構造(重合性基Xがない)を有するものを示す。また、比較例19で使用される重合性ポリマーKP−2は、重合性ポリマーP−2の一般式(I)で表される側鎖構造におけるアルカリ可溶性基Aを有しない構造を持つものであり、以下、[KP]の符号で表される重合性ポリマーは特定重合性ポリマー[P]に対応する同様の構造(アルカリ可溶性基Aがない)を有するものを示す。
Figure 2008171012
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Figure 2008171012
Figure 2008171012
また、前記表2〜表4に記載の重合開始剤[X]、増感色素[Y]及び重合性化合物[R]の構造を以下に示す。
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
<保護層の調整>
前記感光層の一部には、その感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥して画像記録材料を得た。なお、保護層の有無は前記表2乃至表4に記載した。
<画像記録材料の評価>
得られた画像記録材料を、以下の方法で評価した。結果を下記表5乃至表7に示す。
(画質−耐刷性の評価)
上記記録層を、そこに用いられた各重合性組成物に対応したレーザで走査露光し、0.5%網点(ハイライト)を形成し、露光後、以下に記載の現像液で現像
した。実施例1〜6、及び比較例1〜7については、400nmの半導体レーザー、実施例7〜10及び比較例8〜11については532nmのFD−YAGレーザー、実施例11〜14、及び比較例12〜21については830nmの半導体レーザーを用い、それぞれ大気中で露光した。
本評価には以下の現像液を使用した。実施例3、7、9及び、比較例3、8、10については現像液2を使用し、それ以外は現像液1を使用した。
(現像液1の組成)
・DV−2(富士写真フィルム社製) 200g
・水 800g
(現像液2の組成)
上記現像液1にKOHを加えpH13.0に調整したもの。
この際得られた画像記録材料を印刷版として用いハイデルKOR−D機で印刷後、刷了枚数を耐刷性の指標として相対比較した。
なお、露光波長に応じ実施例1、7、11をそれぞれ各露光系での基準とし200とした。製造上指標が大きいほど良好であり好ましい。この数字が大きいことは高精細なハイライト部がどれだけ耐刷性があるかを表しており、実質的に高画質であり、且つ、当該高画質部分の耐刷性に優れ、画質と耐刷性の両立を達成しているか否かの指標となる。
(感度の評価)
上記画像記録材料を各記録層に対応した波長のレーザ、即ち、前記画質−耐刷性の評価で用いたのと同様のレーザで走査露光した。露光後、前記組成の現像液に25℃、10秒間浸漬し、現像を行い、画像ができるその最小露光量からそれぞれの露光条件での感度をmJ/cm2単位で算出し、感度の指標として相対比較した。即ち、それぞれの露光波長に応じて、実施例1、実施例8及び実施例12を、それぞれ各露光系での基準とし、指標1.0とした相対感度で表示した。
相対感度=(基準感材の感度/対象感材の感度)と定義する。
相対感度は数値が大きい程、感度が良好であると評価する。
(保存安定性の評価)
レーザ露光前の上記画像記録材料を高温条件下(60℃)に3日間放置し、その後、この保存後の画像記録材料を前記と同様にレーザ露光し、記録に必要なエネルギー量を算出し、高温保存前後のエネルギー比(高温保存後のエネルギー/高温保存前のエネルギー)を求めた。このエネルギー比が1.1以下であることが製造上好ましく、保存安定性においても良好といえる。
前記各評価の結果を下記表5乃至表7に示す。
Figure 2008171012
Figure 2008171012
Figure 2008171012
表5乃至表7の結果より、本発明の重合性組成物を記録層として用いた実施例の各画像記録材料はいずれも高感度で記録可能であり、高画質と優れた耐刷性の双方を達成し、且つ、保存安定性も良好であった。
なお、実施例11〜14の結果より、Qの連結基は環状構造を有するものが、鎖状構造を有するものより効果が顕著であり、さらに、鎖状構造を有する場合には、重合性基Xとアルカリ可溶性基Aとの間が近接しているほど、効果に優れることがわかる。
また、実施例11〜13と比較例19〜21との対比により、重合性基とアルカリ可溶性基とを特定の位置関係で有する一般式(I)の側鎖構造を有する重合性ポリマーが、これらの官能基を別異の構造単位として含有する重合性ポリマーに比べて感度、耐刷性、安定性の全てにおいて優れており、この側鎖構造が本発明の効果を達成するうえで重要であることがわかる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表される構造を側鎖に有するアルカリ可溶性重合性ポリマーを含有する光または熱重合性組成物。
    Figure 2008171012
    前記式中、Xは不飽和二重結合を含むラジカル重合性基を表し、Aはアルカリ可溶性基を表す。Qは炭化水素連結基を表し、Qが環状構造を含んでいない場合には、Xで表されるラジカル重合性基における不飽和二重結合の末端炭素原子からAで表されるアルカリ可溶性基の解離水素原子までの原子数が10以下である。Z、Zは単結合または炭化水素連結基を表す。P乃至Pはそれぞれ独立に、単結合又は−NHCO−、−CO2−、−SO3−、−NHSO2−、−N<、−O−、及び、−S−からなる群より選択される連結基を表す。
  2. さらに、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、及び、重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の光または熱重合性組成物。
  3. さらに、赤外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光または熱重合性組成物。
  4. さらに、分子量1000〜1万の重合性架橋剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光または熱重合性組成物。
  5. 支持体上に、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光または熱重合性組成物をふくむ記録層を備えた平版印刷版原版。
  6. 支持体上に、下記一般式(I)で表される構造を側鎖に有するアルカリ可溶性重合性ポリマー及び赤外線吸収剤を含有する光または熱重合性化合物を含む記録層を備えた赤外線レーザー露光により記録可能な平版印刷版原版。
    Figure 2008171012

    前記式中、Xは不飽和二重結合を含むラジカル重合性基を表し、Aはアルカリ可溶性基を表す。Qは炭化水素連結基を表し、Qが環状構造を含んでいない場合には、Xで表されるラジカル重合性基における不飽和二重結合の末端炭素原子からAで表されるアルカリ可溶性基の解離水素原子までの原子数が10以下である。Z、Zは単結合または炭化水素連結基を表す。P乃至Pはそれぞれ独立に、単結合又は−NHCO−、−CO2−、−SO3−、−NHSO2−、−N<、−O−、及び、−S−からなる群より選択される連結基を表す。
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