JP2008150485A - 成形用繊維強化樹脂組成物および繊維強化樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた機械特性、特に衝撃強度、導電性、射出成形時の流動性に優れた成形用繊維強化樹脂組成物および該成形用繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる繊維強化樹脂品成形を提供する。
【解決手段】次の構成要素(A)、(B)を含む樹脂組成物であって、該組成物中の炭素繊維含有量は1〜15重量%である成形用繊維強化樹脂組成物。
(A)重量平均繊維長が3〜12mmの炭素繊維を含む長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット
(B)重量平均繊維長が0.1〜0.5mmのガラス繊維を含む短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレット
【選択図】なし
【解決手段】次の構成要素(A)、(B)を含む樹脂組成物であって、該組成物中の炭素繊維含有量は1〜15重量%である成形用繊維強化樹脂組成物。
(A)重量平均繊維長が3〜12mmの炭素繊維を含む長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット
(B)重量平均繊維長が0.1〜0.5mmのガラス繊維を含む短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレット
【選択図】なし
Description
本発明は、種々の機械特性、特に衝撃強度、導電性と射出成形性に優れた成形用繊維強化樹脂組成物と該成形用繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる繊維強化樹脂成形品に関する。
熱可塑性樹脂は、その成形品が優れた機械的性質を有することから、産業界で広く射出成形品に利用されている。また、その機械的特性をさらに向上させるために、ガラス繊維、炭素繊維などを使用した材料が提案されており、特に炭素繊維強化熱可塑性樹脂は導電性付与による電磁波シールド性も期待できることから、電気・電子機器の筐体用途として好ましく使用されている。中でもペレットと実質的に同一長さの繊維を少なくとも含む長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、その繊維長から種々の機械特性、電磁波シールド性にさらに優れた特性を示し、より好ましく使用されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、近年、電気・電子機器の筐体の薄肉化に対する要求はますます強まっており、特に薄肉化によって低下する衝撃強度の向上が求められていた。また、薄肉化による射出成形時の流動性の低下も課題となっていた。このため、衝撃強度、導電性、射出成形時の流動性を兼ね備えた成形材料が望まれていた。
特開平10−138379号公報
そこで、本発明では、優れた機械特性、特に衝撃強度、導電性、射出成形時の流動性に優れた成形用繊維強化樹脂組成物および該成形用繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる繊維強化樹脂品成形を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明の成形用繊維強化樹脂混合物および射出成形品に到達した。すなわち、
(1)次の構成要素(A)、(B)を含む樹脂組成物であって、該組成物中の炭素繊維含有量が1〜15重量%であることを特徴とする成形用繊維強化樹脂組成物。
(A)重量平均繊維長が3〜15mmの炭素繊維を含む長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット
(B)重量平均繊維長が0.1〜0.5mmのガラス繊維を含む短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレット
(2)組成物中のガラス繊維含有率が1〜60重量%である前記(1)に記載の成形用繊維強化樹脂組成物。
(1)次の構成要素(A)、(B)を含む樹脂組成物であって、該組成物中の炭素繊維含有量が1〜15重量%であることを特徴とする成形用繊維強化樹脂組成物。
(A)重量平均繊維長が3〜15mmの炭素繊維を含む長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット
(B)重量平均繊維長が0.1〜0.5mmのガラス繊維を含む短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレット
(2)組成物中のガラス繊維含有率が1〜60重量%である前記(1)に記載の成形用繊維強化樹脂組成物。
(3)さらに構成要素(C)として熱可塑性樹脂ペレットを含む前記(1)または(2)に記載の成形用繊維強化樹脂組成物。
(4)構成要素(A)、(B)に含まれる熱可塑性樹脂のSP値(溶解度パラメーター)の差が0〜3である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の成形用繊維強化樹脂組成物。
(5)構成要素(A)、(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂およびABS樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む熱可塑性樹脂である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の成形用繊維強化樹脂組成物。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の成形用繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる繊維強化樹脂成形品。
本発明により、機械特性、特に衝撃強度、導電性と射出成形時の流動性に優れた成形用繊維強化樹脂組成物および射出成形品を提供することが可能となる。
本発明の繊維強化樹脂組成物(すなわち、繊維強化樹脂ペレット混合物)は、長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットと短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットとの混合物からなり、長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットと短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットとを配合した本繊維強化樹脂ペレット混合物を射出成形することにより優れた機械特性、特に衝撃強度、導電性と薄肉成形性(射出成形時の流動性)を有する成形体を与えることを特徴とするものである。
本発明に使用する長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは重量平均繊維長が3〜15mmの長繊維の炭素繊維と熱可塑性樹脂を含む。長繊維の炭素繊維を含有することで射出成形品にしたときの機械特性、特に導電性を向上させることができる。
ここで、重量平均繊維長は、得られたペレットまたは成形品を熱可塑性樹脂が溶ける溶剤にて溶かした後、濾過を行い、その残さを光学顕微鏡にて観察、1000本の長さを測定し、重量平均長さを計算して得られたものである。
ペレットの形態は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂が炭素繊維の周囲を被覆するように配置されてなるペレットであることが好ましい。このようなペレットを得る手段としては、炭素繊維の束を押出機の先端に取り付けた電線被覆用のコーティグダイの中に通し、熱可塑性樹脂を押出被覆させ電線状のガットを得る方法が一般的である。このガットをストランドカッターで所定の長さにカットすることで、炭素繊維長がペレットの長さと実質的に同一の長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットが得られる。
長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの形状は、特に限定されるものではないが、直径1〜5mm、ペレット長3〜15mmの円柱形状であることが好ましい。直径がこれより小さすぎると製造が困難になり、大きすぎると射出成形時に成形機へのカミコミが難しく供給が困難になる場合がある。ペレット長は炭素繊維長でもあるため、短かすぎると本発明の特性が十分に得られない場合があり、長すぎるとやはり成形機への供給性が難しくなることが考えられる。
長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット中の炭素繊維含有率は、特に規定されるものではないが、5〜45重量%であることが好ましい。含有率が少なすぎると短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットとの配合比の自由度が小さくなり、多すぎるとペレットの製造が困難になる点が問題となる場合がある。
本発明に使用する短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂とガラス繊維を押出機にて溶融混合し、溶融ガットを冷却後にカッティングするような一般的な方法で得られる。その重量平均繊維長は0.1〜0.5mmであることが重要である。長すぎると射出成形材料として流動性が悪くなり、短すぎると機械特性の効果が不十分となるためである。
使用される押出機は特に限定されるものではなく、単軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプいずれでも良く、スクリュー形状も汎用のフルフライトやダブルフライトタイプ、さらにダルメージ、マドックなどの高分散サブフライトを備えたものを使用してもよい。
短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの形状は特に限定されるものではないが、直径1〜5mm、長さ2〜7mmの円柱形状のものが好ましい。小さすぎると、長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂との混合が不均一になる場合があり、大きすぎるとそれに加えて射出成形機へのカミコミが悪く供給性に問題が生じる。
また、短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットとしては、回収材を使用することも好ましい。回収材とは射出成形時に不要な部分として得られるスプルーランナーや製品となった後に不要となったものをいい、これを使用することは、排棄物が削減できることや資源の再利用促進を図れることから、環境面やコスト面において好ましいものである。これらの回収材は粉砕後、押出機にて再ペレット化して用いることができる。
短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレット中のガラス繊維含有率は、特に規定はされないが、1〜65重量%であることが好ましく、さらに好ましくは30〜60重量%である。含有率が少なすぎると長繊維炭素繊維熱可塑性樹脂ペレットとの配合比の自由度が低くなり、含有率が多すぎるとペレットの製造が困難になる点で問題になる場合がある。
成形用繊維強化樹脂組成物中の炭素繊維含有率は、1〜15重量%であることが好ましい。含有率が少なすぎると強化繊維による機械特性などの向上効果が小さくなり、多すぎると射出成形材料として流動性が悪い点が問題となる場合がある。
成形用繊維強化樹脂組成物中のガラス繊維含有率は、1〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜50重量%である。含有率が少なすぎると機械特性向上の効果が小さく、含有率が多すぎると射出成形材料として流動性が悪くなるためである。
また、本発明の成形用繊維強化樹脂組成物には、構成要素(C)として、熱可塑性樹脂ペレットを含むことも可能であり、使用目的や構成要素(A)、(B)の組成に応じて、全組成物中の強化繊維含有率を調整することができる。
本発明で使用される炭素繊維の密度は、1.65〜1.95のものが好ましく、さらには1.70〜1.85のものがより好ましい。また炭素繊維の太さ(直径)は、一本当たり5〜8μmのものが好ましく、さらには6.5〜7.5μmのものが最も好ましい。
本発明で使用されるガラス繊維の太さ(直径)は、一本当たり9〜25μmのものが好ましく、さらには10〜15μmのものが最も好ましい。25μmを超えると引張強度が低下するので好ましくない。ガラス繊維の種類は特に制限はなく、無アルカリガラス、低アルカリガラス、含アルカリガラスのいずれでも良く、従来からガラス繊維として使用されている各種の組成のものを使用することができる。
本発明における構成要素(A)、(B)、(C)に使用する熱可塑性樹脂としては特に限定されず、それぞれ独立して、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタンジエン−スチレン共重合体)樹脂、ポリスチレン樹脂、AS(スチレン−アクリロニトリル共重合体)樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、非晶ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアニルエーテエルニトリル樹脂、ポリベンゾイミダール樹脂などを使用することができる。
中でも、射出成形品の各種機械特性を考慮した場合、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などが好ましく、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂であれば、より好ましい。
これら熱可塑性樹脂は、単独で使用しても良く、あるいは混合物でも、また共重合体であってもよい。混合物の場合には、相溶化剤が併用されていてもよい。
長繊維炭素強化熱可塑性樹脂ペレットと短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂に使用する熱可塑性樹脂は同一樹脂であることが好ましく、具体的には溶解度パラメーターδ(SP値)の差として0〜3であることが好ましい。より好ましくは0〜1である。
溶解度パラメーターδ(SP値)は、フェダーズ(Fedors)の方法により決定される25℃におけるポリマーの繰り返し単位から算出される値を指す。該方法は下記文献1に記載されている。すなわち、求める化合物の構造式において、原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積のデータより次式により決定される。
ただし、式中、ΔeiおよびΔviは、それぞれ原子または原子団の蒸発エネルギーおよびモル体積を表す。求める化合物の構造式はIR、NMR、マススペクトルなどの通常の構造分析手法を用いて決定する。
(文献1)R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14(2),147(1974)
本発明の成形用繊維強化樹脂組成物は、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤としては、水和金属化合物、金属酸化物などの無機系難燃剤、臭素系に代表されるハロゲン系難燃剤、赤燐、燐酸エステルなどの燐系難燃剤、その他シリコン系難燃剤などを使用する。これらの難燃剤は単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。ハロゲン系難燃剤はダイオキシン発生の問題があるため、避けることが好ましく非ハロゲン系難燃剤、中でも赤燐、燐酸エステルが好ましく使用される。
本発明の成形用繊維強化樹脂組成物は、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤としては、水和金属化合物、金属酸化物などの無機系難燃剤、臭素系に代表されるハロゲン系難燃剤、赤燐、燐酸エステルなどの燐系難燃剤、その他シリコン系難燃剤などを使用する。これらの難燃剤は単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。ハロゲン系難燃剤はダイオキシン発生の問題があるため、避けることが好ましく非ハロゲン系難燃剤、中でも赤燐、燐酸エステルが好ましく使用される。
難燃剤の配合方法としては、そのままの状態で使用してもよいし、熱可塑性樹脂との溶融混合物としてマスターペレット化して使用してもよい。また、長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット、短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの熱可塑性樹脂部分に予め配合して使用することも可能である。
また、本発明の成形用繊維強化難燃樹脂合組成物に、射出成形時に良好な成形特性ならびに良好な製品外観を得ることなどを目的として、種々の添加剤(フィラー)を加えることも好ましいものである。
このような添加剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウムのような無定形フィラー、タルク、マイカ、ガラスフレークなどの板状フィラー、ワラステナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウムなどの針状フィラー、ビーズ、バルーンなどの球状フィラー、金属粉、金属フレーク、カーボンブラックなどの導電性フィラーなどが適宜好ましく用いられる。
これらフィラーは、単体もしくは複数の組み合わせで使用してもよいし、その表面に炭素被覆またはシランカップリング処理などを施したものを単体もしくは複数を組合せて使用してもよい。
これらのフィラーの配合方法としては、そのままの状態で使用してもよいし、熱可塑性樹脂との混合物としてマスターペレット化して使用してもよい。また、長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット、短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの熱可塑性樹脂部分に予め配合して使用することも可能である。
本発明の成形用繊維強化樹脂組成物は、主に射出成形によって必要な形状の成形品とすることができる。使用される射出成形機は、特に限定されるものではなく、インライン式、プリプラ式いずれでもよく、スクリュータイプにおいても汎用スクリューであっても特殊なミキシングピースを備えたものであってもよい。さらには、射出圧縮機構や種々の付帯機構を備えたものであってもよい。
本発明の射出成形品の用途としては、強度、剛性、耐衝撃性に加えて薄肉成形性が求められる電子・電気機器用部品、特に携帯用の電子・電気機器のハウジング、ケーシングなどに好ましく用いることができる。
より具体的には、ノート型パソコン、携帯用電話機、PHS(ピー・エイチ・エス)、PDA(ピー・ディー・エー)、ビデオカメラ、デジタルカメラなどのハウジング、ケーシングなどに特に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例、比較例で得られた成形用繊維強化樹脂組成物の評価項目および評価方法を以下に示す。
評価用試験片の作成は、射出成形機として名機製作所製50M(50t)、金型としてはそれぞれ以下規格に準じたキャビティー形状を有したものを使用し、シリンダ温度280℃、金型温度80℃で行った。
(衝撃強度)
ASTM D256規格に準じたモールドノッチ有りIZOD衝撃強度にて評価した。用いた試験片の肉厚は3.2mm(1/8インチ)とした。
ASTM D256規格に準じたモールドノッチ有りIZOD衝撃強度にて評価した。用いた試験片の肉厚は3.2mm(1/8インチ)とした。
(導電性)
ASTMD257規格に準じた体積抵抗値にて評価した。
射出成形時の流動性(薄肉成形性)は、成形機として日本製鋼所J350EII−SP、金型として200mm×200mm×1.0mmの角板金型(ファンゲート)を使用し、シリンダ温度280℃、金型温度60℃にて、射出成形時の射出圧力で評価した。充填することが第一条件であるが、射出圧力が低いほど流動性に優れ、成形条件幅が広がるとともに薄肉成形品に対応できる。
ASTMD257規格に準じた体積抵抗値にて評価した。
射出成形時の流動性(薄肉成形性)は、成形機として日本製鋼所J350EII−SP、金型として200mm×200mm×1.0mmの角板金型(ファンゲート)を使用し、シリンダ温度280℃、金型温度60℃にて、射出成形時の射出圧力で評価した。充填することが第一条件であるが、射出圧力が低いほど流動性に優れ、成形条件幅が広がるとともに薄肉成形品に対応できる。
(各構成要素の作製)
構成要素(A)
熱可塑性樹脂として東レ(株)製ポリアミド樹脂「アミラン」(登録商標)CM1001を260℃のφ50mm単軸押出機にて、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分溶融された状態で押し出し、同時に強化繊維として東レ(株)製炭素繊維「トレカ」(登録商標)T700S(直径7μm、比重1.8、フィラメント数12000本)を前記クロスヘッドダイ中に連続的に供給することによって、炭素繊維を熱可塑性樹脂で被覆したストランドを得た。炭素繊維含有比率は熱可塑性樹脂の押出量を調整することで、30重量%とした。ストランドは冷却後、カッターにて長さ7mmに切断し、重量平均繊維長7.0mmの炭素繊維を含む円柱状の長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(A−1)を得た。また炭素繊維含有比率を20重量%にした以外は(A−1)と同様に製造し、重量平均繊維長7.0mmの炭素繊維を含む円柱状で長さ7mmの長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(A−2)を得た。
構成要素(A)
熱可塑性樹脂として東レ(株)製ポリアミド樹脂「アミラン」(登録商標)CM1001を260℃のφ50mm単軸押出機にて、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分溶融された状態で押し出し、同時に強化繊維として東レ(株)製炭素繊維「トレカ」(登録商標)T700S(直径7μm、比重1.8、フィラメント数12000本)を前記クロスヘッドダイ中に連続的に供給することによって、炭素繊維を熱可塑性樹脂で被覆したストランドを得た。炭素繊維含有比率は熱可塑性樹脂の押出量を調整することで、30重量%とした。ストランドは冷却後、カッターにて長さ7mmに切断し、重量平均繊維長7.0mmの炭素繊維を含む円柱状の長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(A−1)を得た。また炭素繊維含有比率を20重量%にした以外は(A−1)と同様に製造し、重量平均繊維長7.0mmの炭素繊維を含む円柱状で長さ7mmの長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(A−2)を得た。
構成要素(B)
強化繊維としてガラス繊維ロービング(直径17μm、フィラメント数4000本、サイジング処理済み)を使用し、ガラス繊維含有比率を60重量%にした以外は(A−1)と同様に製造し、重量平均繊維長7.0mmのガラス繊維を含む円柱状で長さ7mmの長繊維ガラス繊維強化熱可塑性ペレット(B)を得た。
強化繊維としてガラス繊維ロービング(直径17μm、フィラメント数4000本、サイジング処理済み)を使用し、ガラス繊維含有比率を60重量%にした以外は(A−1)と同様に製造し、重量平均繊維長7.0mmのガラス繊維を含む円柱状で長さ7mmの長繊維ガラス繊維強化熱可塑性ペレット(B)を得た。
構成要素(C)
熱可塑性樹脂として東レ(株)製ポリアミド樹脂「アミラン」(登録商標)CM1001と平均繊維長6mmの東レ(株)製炭素繊維「トレカ」(登録商標)T700S(直径7μm、比重1.8、フィラメント数12000本)を炭素繊維含有比率30重量%になるように秤量し、ドライブレンドした。ブレンド物をφ30mmの2軸押出機でシリンダ温度280℃の条件で溶融混練し、重量平均繊維長0.30mmの炭素繊維を含む円柱状で長さ3mmの短繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(C)を得た。
熱可塑性樹脂として東レ(株)製ポリアミド樹脂「アミラン」(登録商標)CM1001と平均繊維長6mmの東レ(株)製炭素繊維「トレカ」(登録商標)T700S(直径7μm、比重1.8、フィラメント数12000本)を炭素繊維含有比率30重量%になるように秤量し、ドライブレンドした。ブレンド物をφ30mmの2軸押出機でシリンダ温度280℃の条件で溶融混練し、重量平均繊維長0.30mmの炭素繊維を含む円柱状で長さ3mmの短繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(C)を得た。
構成要素(D)
強化繊維として平均繊維長6mmのチョップドのガラス繊維(直径17μm、フィラメント数4000本、サイジング処理済み)を使用した以外は(C)と同様に作製し、重量平均繊維長0.30mmのガラス繊維を含む円柱状で長さ3mmの短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(D)を作製した。
強化繊維として平均繊維長6mmのチョップドのガラス繊維(直径17μm、フィラメント数4000本、サイジング処理済み)を使用した以外は(C)と同様に作製し、重量平均繊維長0.30mmのガラス繊維を含む円柱状で長さ3mmの短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(D)を作製した。
(実施例1)
構成要素(A−1)と(D)を表1の配合量でドライブレンドし、各種評価を実施した。評価結果を表1に合わせて示した。
構成要素(A−1)と(D)を表1の配合量でドライブレンドし、各種評価を実施した。評価結果を表1に合わせて示した。
(比較例1〜4)
構成要素(A〜D)を表1の配合量でブレンドすることにより、長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットのみの場合、その他の組み合わせの各種混合品を得た。評価結果を表1に合わせて示した。
構成要素(A〜D)を表1の配合量でブレンドすることにより、長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットのみの場合、その他の組み合わせの各種混合品を得た。評価結果を表1に合わせて示した。
表1のとおり、本発明によれば、機械特性である衝撃特性、体積抵抗値が低いという優れた導電性、および射出成形性に優れた繊維強化樹脂成形品を得ることができた。一方、短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを含まない比較例1は衝撃強度が低い上に射出成形性が悪く、長繊維炭素繊維熱可塑性樹脂ペレットが短繊維炭素強化熱可塑性樹脂ペレットである比較例2の混合物は導電性が劣り、短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットが長繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットである比較例3の混合物は射出成形性が悪く、短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットが短繊維炭素繊維熱可塑性樹脂ペレットである比較例4の混合物は衝撃強度が低く、これらは実施例比べ明らかに劣る特性であった。
本発明の成形用繊維強化樹脂組成物を用いれば、耐衝撃性および導電性を兼ね備えた薄肉成形品が得られ、パソコン、OA機器、AV機器、家電製品などの電気・電子機器の部品や筐体に広く利用することができるが、その応用範囲は、これらに限られるものではない。
Claims (6)
- 次の構成要素(A)、(B)を含む樹脂組成物であって、該組成物中の炭素繊維含有量が1〜15重量%であることを特徴とする成形用繊維強化樹脂組成物。
(A)重量平均繊維長が3〜15mmの炭素繊維を含む長繊維炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレット
(B)重量平均繊維長が0.1〜0.5mmのガラス繊維を含む短繊維ガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレット - 組成物中のガラス繊維含有率が1〜60重量%である請求項1に記載の成形用繊維強化樹脂組成物。
- さらに構成要素(C)として熱可塑性樹脂ペレットを含む請求項1または2に記載の成形用繊維強化樹脂組成物。
- 構成要素(A)、(B)に含まれる熱可塑性樹脂のSP値(溶解度パラメーター)の差が0〜3である請求項1〜3のいずれかに記載の成形用繊維強化樹脂組成物。
- 構成要素(A)、(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂およびABS樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む熱可塑性樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の成形用繊維強化樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の成形用繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる繊維強化樹脂成形品。
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