JP2008127920A - 基礎及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一層の耐久性向上を図ることのできる基礎を得る。
【解決手段】基礎15は、フーチング部17と立ち上がり部18とからなるコンクリート基礎16を備えている。立ち上がり部18は、屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cを有している。コンクリート基礎16の屋内側表面18b下端から天端表面18cを介して屋外側表面18a上端位置に至るまで防湿性シート32により覆った。防湿性シート32をコンクリート基礎16に固定するために、屋内側の防湿性シート32下部を埋め戻し土により埋設した。また天端表面18c上に、基礎15の長手方向に1m程度の間隔をおいて防湿性シート32を挟むようにして固定具35を複数配設した。屋外側表面18aの地上露出面には、弾性を有する微弾性塗料層33を形成し、さらに屋外側に弾性と耐候性とを有する耐候性塗料層34を形成した。
【選択図】図2
【解決手段】基礎15は、フーチング部17と立ち上がり部18とからなるコンクリート基礎16を備えている。立ち上がり部18は、屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cを有している。コンクリート基礎16の屋内側表面18b下端から天端表面18cを介して屋外側表面18a上端位置に至るまで防湿性シート32により覆った。防湿性シート32をコンクリート基礎16に固定するために、屋内側の防湿性シート32下部を埋め戻し土により埋設した。また天端表面18c上に、基礎15の長手方向に1m程度の間隔をおいて防湿性シート32を挟むようにして固定具35を複数配設した。屋外側表面18aの地上露出面には、弾性を有する微弾性塗料層33を形成し、さらに屋外側に弾性と耐候性とを有する耐候性塗料層34を形成した。
【選択図】図2
Description
本発明は、基礎及びその製造方法に関する。
住宅等の建物の基礎においては、鉄筋コンクリート造であることが一般的である。コンクリートは一般に圧縮力には強いが、引張力には弱い性質を有している。その引張力が生じるところに、引張力に強い鉄筋を配置したものが鉄筋コンクリートである。そのため、鉄筋コンクリートは耐久性が高く、基礎の材料として適しているといえる。
ところで、健全な鉄筋コンクリートは、水酸化カルシウムを多量に含むため、強アルカリ性である。その性質によって、鉄筋コンクリート内部の鉄筋の表面には、不動態皮膜と呼ばれる酸化皮膜が作られる。そして、その酸化皮膜によって鉄筋は酸化から保護されている。
しかし、空気中や雨水等に含有する二酸化炭素が鉄筋コンクリート内部に侵入すると、炭酸が生成され、この炭酸が水素イオンの供給源となり、水酸化イオンと結合(中和)することによって、鉄筋コンクリートが中性化される。中性化が進行すると、酸化皮膜が破壊され鉄筋の周囲に錆が生じる。鉄筋に錆が生じるとその体積が膨れ上がり、鉄筋周辺のコンクリートを圧迫してコンクリートにひび割れを起こすこととなる。その結果、鉄筋コンクリートの強度が失われ、耐久性が低下するといった問題が生じる。
そこで、上記問題を解決しようとするものとして、図4に示されるようにコンクリート基礎56における立ち上がり部58の屋外側表面58aに、浸透性と防水性を有するエポキシ樹脂塗料層59を形成し、さらにそのエポキシ樹脂塗料層59の表面に弾性を有する弾性モルタル層60を形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、エポキシ樹脂塗料層59がコンクリート基礎56に浸透して空隙を埋め、二酸化炭素の侵入や水分の浸透を抑制する効果を奏する。また仮にコンクリート基礎56の表面に、外気の温度変化により若干のひび割れが生じた場合であっても、弾性モルタル層60がひび割れに追従して伸びるため、上記の効果が維持されることとなる。その結果、コンクリートの中性化抑制効果を奏し、基礎55の耐久性を維持することができるものと期待されている。
特開2005−344421号公報
しかしながら、上記技術では、屋外側表面58aのみにエポキシ樹脂塗料層59等を形成しているため、実際には十分な中性化抑制効果が得られないことが判明した。すなわち、発明者らにより、長期使用されたコンクリート基礎について中性化調査を行った結果、屋外側表面58aだけでなく屋内側表面58b及び天端表面58cにおいても全く同様に中性化していることが判明した。このような現象が生じる原因は、いずれの表面58a〜58cにおいても、接触する空気中のCO2濃度に殆ど差がないため、ほぼ同速度で中性化が進行したためであると考えられる。
したがって、屋外側表面58aのみにエポキシ樹脂塗料層59等を形成したとしても、図4に示されるように、屋内側表面58b及び天端表面58cの各地上露出面において中性化が進行するため(図中「n」で示した領域)、基礎55の耐久性の向上という観点では不十分であるということが発明者らにより見出された。
本発明は、上記見地に基づいてなされたものであり、一層の耐久性向上を図ることのできる基礎及びその製造方法を提供することを主たる目的とする。
上記目的を達成するために、第1の発明では、コンクリート基礎の地上露出面である、屋外側表面、屋内側表面及び天端表面の各表面に、コンクリートの中性化を抑制する中性化抑制手段が設けられているを特徴とする。
第1の発明によれば、コンクリート基礎の地上露出面である、屋外側表面、屋内側表面及び天端表面の各表面は、中性化抑制手段により中性化が抑制される。すなわち、空気が接触し中性化が進行するすべての表面において、中性化抑制手段により中性化が抑制される。このため、コンクリート基礎において好適に中性化抑制効果を奏し、一層の耐久性向上を図ることができる。
第2の発明では、第1の発明において、前記中性化抑制手段の少なくとも一部は前記表面に形成された弾性を有する層であり、当該層により前記表面と空気との接触を阻止又は低減させることを特徴とする弾性。
第2の発明によれば、コンクリート基礎の表面に形成された弾性を有する層により、コンクリート基礎の地上露出面である表面と空気との接触が阻止又は低減される。また、仮に、コンクリート基礎の表面に例えば外気の温度変化によりひび割れが生じた場合であっても、弾性を有する層がそのひび割れに追従して伸び、コンクリート基礎の表面と空気との接触を阻止又は低減した状態に維持することができる。したがって、コンクリート基礎のひび割れにかかわらず中性化抑制効果を奏するため、耐久性を一層向上させることができる。
第3の発明では、第1の発明において、前記中性化抑制手段の少なくとも一部は前記表面に沿って配設されたシート材であり、前記シート材は空気の通過を阻止又は低減する性質を有していることを特徴とする。
第3の発明によれば、コンクリート基礎の地上露出面である表面に配設されたシート材により、表面における空気の流通が阻止又は低減される。このため、シート材を表面に沿って配設するという容易な作業で中性化抑制効果を得ることができ、作業効率の向上を図ることができる。
第4の発明では、第1の発明において、前記中性化抑制手段の一部がシート材であり、当該シート材が、少なくとも前記地上露出面である、屋内側表面の下端位置から天端表面を介して屋外側表面の上端位置に至るように配設されており、前記シート材は空気の通過を阻止又は低減する性質を有していることを特徴とする。
第4の発明によれば、中性化抑制手段の一部であるシート材により、少なくともコンクリート基礎の地上露出面である、屋内側表面の下端位置から天端表面を介して屋外側表面の上端位置に至るまで、空気の通過が阻止または低減される。このため、地上露出面である、屋内側表面の下端位置から天端表面を介して屋外側表面の上端位置に至るまで、中性化抑制効果を奏する他、次の作用効果が得られる。すなわち、例えば屋外において降った雨水が、コンクリート基礎の天端表面とシート材との間に侵入することを抑制することが可能となる。これにより、コンクリート基礎の耐久性を一層向上させることができる。
第5の発明では、第1の発明において、前記中性化抑制手段の少なくとも一部は前記表面を改質することにより構成され、当該改質された表面は空気の侵入を阻止又は低減する性質を有していることを特徴とする。
第5の発明によれば、改質された表面部分では空気の侵入が阻止又は低減される。その結果、中性化抑制効果を奏し、コンクリート基礎の耐久性を向上させることができる。
第6の発明では、第1乃至第5のいずれかの発明における基礎の製造方法であって、コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工する前に、前記地上露出面である、屋内側表面及び天端表面の各表面に中性化抑制手段を設けることを特徴とする。
第6の発明によれば、コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工する前に、屋内側表面及び天端表面に中性化抑制手段が設けられる。これにより、天端上に建物本体を施工した後に、屋内側表面及び天端表面に中性化抑制手段を設ける製造方法に比べて、同手段を設けるために必要な作業スペースを容易に確保することができるため、建物本体の床下に潜り込んで作業したり建物本体を避けるようにして中性化抑制手段を設けたりする必要がなく、作業効率の低下や作業不能といった不都合を回避することができる。
第7の発明では、第6の発明において、コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工した後に、前記地上露出面である、屋外側表面に中性化抑制手段を設けることを特徴とする。
第7の発明によれば、コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工した後に、地上露出面である屋外側表面に中性化抑制手段が設けられる。これにより、コンクリート基礎が乾燥して屋外側表面へ中性化抑制手段を設けることができるのを待たずして、建物本体を施工することができるため、同手段を設けることが要因となって建物の工期延長を招くおそれがない。
第8の発明では、第1乃至第5のいずれかの発明における基礎の製造方法であって、コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工する前に、前記地上露出面である、屋内側表面及び天端表面の各表面に中性化抑制手段を設け、屋外側表面には養生を行い、当該養生終了後に、前記屋外側表面に中性化抑制手段を設けることを特徴とする。
第8の発明によれば、コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工する前に、屋内側表面及び天端表面に中性化抑制手段が設けられ、屋外側表面には養生終了後、その表面に中性化抑制手段が設けられる。このため、地上露出面である、屋外側表面、屋内側表面及び天端表面において中性化抑制効果が得られる他、次の作用効果が得られる。すなわち、コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工した後に、中性化抑制手段を設ける製造方法に比べて、同手段を設けるために必要な作業スペースを容易に確保することができるため、作業効率の低下や作業不能といった不都合を招くおそれがない。さらに屋外側表面において養生による効果が得られる。すなわち、急激な乾燥によるひび割れや凍害による硬化不良を引き起こすことを防止し、良好な品質のコンクリートを確保することができる。また、コンクリート基礎の乾燥後に屋外側表面に中性化抑制手段を設ければよく、コンクリート基礎の乾燥を待たずして建物本体を施工することができる。その結果、コンクリート基礎の耐久性を一層向上させることができるとともに、建物の工期延長を抑制することができる。
第9の発明では、第1、第3又は第4の発明における基礎の製造方法であって、前記コンクリート基礎の立ち上がり部分の表面全体を、空気の通過を阻止又は低減する性質を有するシート材によって覆い、前記シート材により養生を行った後、前記シート材のうち前記屋外側表面を覆っている部分を除去し、当該除去により露出されたコンクリート基礎の屋外側表面に中性化抑制手段を設けることを特徴とする。
第9の発明によれば、コンクリート基礎の立ち上がり部分の表面全体が、空気の通過を阻止又は低減する性質を有するシート材によって覆われ、そのシート材により養生が行われる。その後、シート材のうち屋外側表面を覆っている部分が除去され、その除去により露出されたコンクリート基礎の屋外側表面に中性化抑制手段が設けられる。このため、立ち上がり部分の表面全体をシート材によって覆うという簡易な作業により、中性化抑制効果を得ることができる。さらに、立ち上がり部分において、シート材による養生の効果が得られる。すなわち、良好な品質のコンクリートを確保することができる。この場合、コンクリート基礎の立ち上がり部分をシート材により覆うという1つの作業によって、中性化抑制効果と、養生による効果とを合わせて得ることができる。したがって、作業工数を増加させることなく、硬化中のコンクリートの品質確保と硬化後の中性化抑制効果によって、コンクリート基礎の耐久性を一層向上させることができる。
第10の発明では、第9の発明において、前記コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工した後に、前記除去を行うことを特徴とする。
第10の発明によれば、コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工した後に、シート材のうち屋外側表面を覆っている部分が除去される。これにより、シート材による養生の効果を十分に発現し得る期間を確保することができる。さらに養生の終了を待たずして、建物本体を施工することができ、建物の工期延長を招くおそれがない。
第11の発明では、第9又は第10の発明において、少なくとも前記立ち上がり部分の屋内側表面を覆うシート材の下部を土で覆うことを特徴とする。
第11の発明によれば、少なくとも前記立ち上がり部分の屋内側表面を覆っているシート材の下部が土で覆われる。このため、立ち上がり部分の屋内側表面を覆っているシート材の下部が捲れ、コンクリート基礎の表面に空気が接触し、中性化抑制効果が低減するといった不具合を回避することができる。さらに一般に行われるコンクリート基礎の下部側を土で埋め戻す作業とともに、シート材の下部を覆うことができるため、作業工数が増加するといった不都合も生じない。
第12の発明では、第9乃至第11のいずれかの発明において、シート材をコンクリート基礎の天端において固定することを特徴とする。
第12の発明によれば、シート材がコンクリート基礎の天端において固定される。このため、建物本体の施工中などにおいて、シート材の捲り上がりが発生して他の作業の進捗に支障を来たし作業効率が低下するといった不都合を回避することができる。さらに建物の完成後においても、コンクリート基礎からシート材が捲れ、コンクリート基礎の表面に空気が接触し中性化抑制効果が低減するといった不具合を回避することができる。特に、第11の発明との組合せにあっては、シート材の下端部と天端側とが固定されることとなり、シート材の捲り上がりを好適に抑制することができる。
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態は、住宅等の建物の布基礎に適用したものである。布基礎は鉄筋コンクリート造である。なお、基礎は、布基礎以外でもよく、例えば独立基礎、べた基礎あるいはこれらを組み合わせた基礎などでもよい。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態は、住宅等の建物の布基礎に適用したものである。布基礎は鉄筋コンクリート造である。なお、基礎は、布基礎以外でもよく、例えば独立基礎、べた基礎あるいはこれらを組み合わせた基礎などでもよい。
図1は、第1の実施形態における基礎を示す縦断面図である。図1に示されるように、建物11は、建物本体12と基礎15とを備えている。建物本体12は、壁パネル13と木土台14とを有し、基礎15上に設けられている。なお、建物本体12の構造及び工法は特定のものに限定されるものではない。
基礎15は、建物本体12の下部外周に沿って設けた布基礎として構成されている。基礎15は、フーチング部17と立ち上がり部18とからなるコンクリート基礎16を有している。コンクリート基礎16の内部には、周知のとおり補強鉄筋、アンカーボルト等の鉄筋が設けられている。立ち上がり部18は、屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cを有している。フーチング部17は、その全周が地中に埋設されているが、立ち上がり部18は、その中途位置から上側にかけて地上に露出している。
建物本体12の木土台14と基礎15との間には、基礎15の長手方向に所定の間隔をおいて複数の基礎パッキン21が設けられている。これにより、木土台14と基礎15との間に、水平方向に隙間が形成されるため、床下が全周換気される。すなわち、床下には空気や湿気が入り込むことになる。そのため、立ち上がり部18の屋外側表面18aだけでなく、屋内側表面18b及び天端表面18cの各地上露出面においても中性化する可能性がある。
立ち上がり部18の屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cの各地上露出面には、弾性を有する微弾性塗料層19が形成されている。本実施形態では、微弾性塗料層19として、可撓形複層塗材が使用されている。
屋外側表面18aには、微弾性塗料層19のさらに屋外側に、耐候性を有する耐候性塗料層20が形成されている。本実施形態では、耐候性塗料層20として、所望の色彩を呈する速乾弾性アクリル塗料が使用されている。なお、図1では、図示の都合上、微弾性塗料層19及び耐候性塗料層20を本来よりも肉厚に記載している。
以上説明した構成により、第1の実施形態の基礎では、以下に示す有利な効果が得られる。
立ち上がり部18の屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cの各地上露出面に、弾性を有する微弾性塗料層19を形成した。これにより、空気が接触し中性化が進行するすべての表面において、空気の接触を阻止することができる。さらに、仮に、コンクリート基礎16の表面に、例えば外気の温度変化によりひび割れが生じた場合であっても、微弾性塗料層19がひび割れに追従して伸びるため、ひび割れ部分から直接空気が侵入することを阻止することが可能となる。したがって、コンクリート基礎16の中性化抑制効果を奏し、耐久性を向上することができる。
なお、コンクリート基礎16における地中埋設部分は、空気に曝されておらずCO2濃度が低いため、中性化が進行するおそれが殆どない。そのため、コンクリート基礎16の地上露出部分に微弾性塗料層19を形成することで、十分に耐久性の向上を図ることができる。
立ち上がり部18の屋外側表面18aの地上露出面に、耐候性を有する耐候性塗料層20を設けた。これにより、風雨などに曝される環境下にある屋外側表面18aの耐候性を向上することができる。したがって、コンクリート基礎16の耐久性を一層向上することができる。
上記の微弾性塗料層19として使用した可撓形複層塗材は、一般に灰色であることが多い。そのため、微弾性塗料層19だけを形成した状態では、建物11の美観が損なわれることとなる。本実施形態では、上塗材である速乾弾性アクリル塗料に所望の色を付けて耐候性塗料層20を設けた。これにより、屋外側表面18aに耐候性とともに美観を付与することができる。さらに速乾弾性アクリル塗料は、弾性を有しているため、微弾性塗料層19上に形成したとしても、微弾性塗料層19が有する弾性を阻害することはない。
[第1の実施形態における別例]
なお、以上説明した第1の実施形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。
なお、以上説明した第1の実施形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。
上記実施の形態では、中性化抑制手段として、立ち上がり部18の屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cの各地上露出面に、微弾性塗料層19を形成したが、これを変更してもよい。例えば、屋内側表面18bの地上露出面に発砲系断熱材やモルタルを使用して表面被覆してもよい。また天端表面18cにセルフレベラー(微粒子モルタル)を使用して表面被覆してもよい。これにより、本実施形態と同様に、各地上露出面に空気が接触することを阻止し、中性化抑制効果を奏する。
すなわち、立ち上がり部18の屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cの各地上露出面に、同様の中性化抑制手段を設けなくてもよい。また塗料層を形成する必要はなく、層を形成しなくてもよい。要は、コンクリート基礎16の地上露出部分において、中性化抑制効果を奏し得る手段が施されていればよい。なお、中性化抑制手段を設ける箇所は、地上露出部分のみに限定されるものではなく、地中埋設部分に設けることを妨げない。
上記実施の形態では、立ち上がり部18の屋外側表面18aの地上露出面に、耐候性塗料層20を形成したが、これを変更してもよい。例えば、その表面に石張りやタイル張りを施工してもよい。これにより、屋外側表面18aの耐候性が向上するとともに、建物11に石張りやタイル張りの意匠を付与することができる。
その他の中性化抑制手段として、コンクリート基礎16の屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cの各地上露出面を、改質表面として構成してもよい。例えば、それらの各地上露出面に水ガラスを塗装して改質する構成としてもよい。水ガラスはコンクリート基礎16の表面にある気孔等に浸透して、コンクリート内部のイオンと置換反応を起こし、ガラス物質が形成される。そのため、コンクリート基礎16表面の気孔等が完全に充填され、その表面が無孔化される。これにより、コンクリート基礎16内部への空気の侵入や水の浸透を阻止することができ、中性化抑制効果を奏し得る。
水ガラスは、紫外線などによるコンクリート劣化の抑制効果も有しており、耐候性の向上を図ることができる。この場合、屋外側表面18aに耐候性を有する耐候性塗料層20を形成しなくてもよい。さらに、水ガラスは、一般にアルカリ珪酸塩等と珪酸との混合物よりなる溶融ガラス状の水溶液で、無色透明である。そのため屋外側表面18aに美観を付与する塗料層などを設けなくても、建物11の美観が損なわれるおそれはない。
すなわち、屋外側表面18aへの耐候性塗料層20の形成は、建物11を取り巻く環境条件、建物11に求められる美観等を勘案して任意に設定すればよい。
また、微弾性塗料層19を地上露出面だけでなく地中に埋められる部分にまで延長してもよい。この場合、中性化抑制効果に大きな変化はないが、地中部分にまで微弾性塗料層19が延長して形成されていても何ら悪影響はない。これは、耐候性塗料層20や上記別例で示した他の中性化抑制手段についても同様である。
さらに、地上露出面を微弾性塗料層19によって完全に包囲することが好ましいが、屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cの境界部などの一部において当該表面が空気に触れているものであってもよい。この場合でも、従来のように屋内側表面18b及び天端表面18cに中性化抑制手段を一切設けていないものに比べれば格段にコンクリート基礎16の耐久性が向上することに変わりないからである。
[第2の実施形態]
従来例(図4参照)のようにコンクリート基礎56の屋外側表面58aのみにエポキシ樹脂塗料層59等を形成する場合は、コンクリート基礎56のコンクリートを打設して、型枠を脱型した後に、天端表面58c上の建物本体52の工事に着手する(具体的にはコンクリートを打設して1〜2週間後)。そして屋外側表面58aへの表面被覆は、コンクリートが完全に硬化した後に行うことが一般的である(具体的にはコンクリートを打設して約4週間後)。コンクリートの硬化中は、その表面から水分が発生するため、塗膜のふくれや剥れ等が発生し、好適に表面被覆することができないからである。
従来例(図4参照)のようにコンクリート基礎56の屋外側表面58aのみにエポキシ樹脂塗料層59等を形成する場合は、コンクリート基礎56のコンクリートを打設して、型枠を脱型した後に、天端表面58c上の建物本体52の工事に着手する(具体的にはコンクリートを打設して1〜2週間後)。そして屋外側表面58aへの表面被覆は、コンクリートが完全に硬化した後に行うことが一般的である(具体的にはコンクリートを打設して約4週間後)。コンクリートの硬化中は、その表面から水分が発生するため、塗膜のふくれや剥れ等が発生し、好適に表面被覆することができないからである。
すなわち、従来において、屋外側表面58aのみのエポキシ樹脂塗料層59等の形成であれば、建物51の工期を延長する要因とはならなかった。
しかしながら、第1の実施形態(図1参照)のように、立ち上がり部18の屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cの各地上露出面において微弾性塗料層19等を形成する前に天端表面18c上の建物本体12の工事を進めると、屋内側表面18b及び天端表面18cへの表面被覆作業に必要な作業スペースが確保できず、当該作業が困難あるいは作業不能となるおそれがある。より具体的には、屋内側表面18bに微弾性塗料層19等を形成するためには建物本体12の床下に潜らなければならないし、天端表面18cに微弾性塗料層19等を形成するためには建物本体12との僅かな間隙を利用せざるを得ず、場合によっては微弾性塗料層19等を形成することができない事態も生じ得る。
この課題を回避するためには、建物本体12の施工に先立ってコンクリート基礎16の硬化を待てばよい。そして、その硬化後に屋内側表面18b及び天端表面18cの各地上露出面への中性化抑制手段の形成を行い、さらにその後に建物本体12を施工すればよいと考えられる。しかしながら、これでは建物本体12の施工までにコンクリートを打設してから4週間程度待たなければならず、工期の延長を招く。
本第2の実施形態では、上記の課題を勘案してなされたものである。そこで、以下に、工期の延長を回避できる基礎の構成とその製造方法について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成は同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図2は第2の実施形態における基礎を示す縦断面図である。図2に示されるように、コンクリート基礎16の屋内側表面18bの下端位置から天端表面18cを介して屋外側表面18aの上端位置に至るまで防湿性シート32によって覆われている。防湿性シート32は、防湿性とともに、空気の通過を阻止する性質を有している。なお、本実施形態の防湿性シート32は、例えば、厚み寸法=0.1mm、幅寸法=2.5m、長さ寸法=50mの大きさのポリエチレンシートである。なお、図面では、図示の都合上、防湿性シート32を本来よりも肉厚に記載している。
立ち上がり部18の天端表面18c上には、基礎15の長手方向に1m程度の間隔をおいて複数の固定具35が配設されている。本実施形態の固定具35は、厚さ寸法=0.7mmの弾性を有する塩化ビニル鋼板製のクリップである。固定具35は、鋼板を折り曲げることにより、下方に延びる引掛け部35aと押圧部35bとが形成され、その間に略水平に延びる当接部35cが形成されている。より詳細には、押圧部35bは引掛け部35aよりも立ち上がり方向の長さが若干長く形成されている。そして、引掛け部35aが屋外側表面18aの上端位置に引掛けられ、当接部35cが天端表面18c上に当接され、押圧部35bが屋内側表面18bの上端位置を押圧するように当接されている。また、押圧部35bは引掛け部35aより若干長く形成されることで、板バネとしての効果が付与されている。そして、この固定具35のバネ力によって防湿性シート32とともに立ち上がり部18の屋内外両表面を挟むことで、天端表面18cを覆っている箇所の防湿性シート32が天端表面18c上に挟み固定されている。
立ち上がり部18の屋外側表面18aの地上露出面において、弾性を有する微弾性塗料層33が形成されている。そして微弾性塗料層33のさらに屋外側に、弾性と耐候性とを有する耐候性塗料層34が形成されている。なお、本実施形態では、微弾性塗料層33として可撓形複層塗材が使用されている。また耐候性塗料層34として速乾弾性アクリル塗料が使用されている。
以上の構成により、屋外側表面18aの地上露出面には微弾性塗料層33及び耐候性塗料層34が形成され、屋外側表面18aの上端位置から天端表面18cを介して屋内側表面38下端に至るまでは防湿性シート32によって覆われている。すなわち、コンクリート基礎16の地上露出面の全面が表面被覆されている。
さて、以上のように構成される基礎15の製造方法について、図3(a)〜(d)に沿って説明する。図3(a)〜(d)は図2に示した基礎の製造過程を順に示す縦断面図である。
まず、図3(a)に示すように、コンクリート基礎16のコンクリートを打設して、型枠を脱型した後、かつ天端表面18c上に建物本体12を施工する前に、立ち上がり部18の全周を防湿性シート32によって覆う(具体的にはコンクリートを打設して4〜8日後)。この工程により、天端表面18c上に建物本体12を施工する前に、防湿性シート32が立ち上がり部18の全周を覆った状態となる。
次いで、図3(b)に示すように、立ち上がり部18の屋内外両表面の各中途位置に至るまで、防湿性シート32を挟むようにして埋め戻し土31を埋める。この工程により、防湿性シート32の下部側が立ち上がり部18の表面と埋め戻し土31との間に挟まれて固定される。そして、天端表面18c上に、基礎15の長手方向に1m程度の間隔をおいて複数の固定具35を配設する。より詳細には、防湿性シート32とともに立ち上がり部18の屋内外両表面を挟むようにして固定具35を配設する。この工程により、防湿性シート32が天端表面18c上において挟み固定される。すなわち、防湿性シート32の下側は、埋め戻し土31により埋設されることで固定され、防湿性シート32の上側は天端表面18c上において固定具35により挟まれることで固定されている。
次いで、図3(c)に示すように、天端表面18c上の建物本体12を施工する。そして建物本体12が完成した後に、コンクリート基礎16の屋外側を覆っている防湿性シート32を除去する(具体的には建物本体12を施工して2〜4ヶ月後)。より詳細には、防湿性シート32の屋外側の上端部分を、固定具35を避けるようにしてカッター等で切断し、下端部分は埋め戻し土31から引き抜くことで、屋外側の防湿性シート32を除去することとなる。この工程により、コンクリート基礎16の屋外側表面18aを覆っていた防湿性シート32が除去され、地上に露出された状態となる。また、防湿性シート32の屋内側の一端は、屋内側表面18bの下部側において地中に埋設されて固定され、他端は天端表面18c上において固定具35により挟み固定された状態に維持される。
次いで、図3(d)に示すように、屋外側表面18aの地上露出面に、微弾性塗料層33を形成する。そして、微弾性塗料層33のさらに屋外側に、耐候性塗料層34を形成する。この頃には、コンクリートが乾燥しており、その表面から水分が発生することは無く、表面被覆しても塗膜のふくれや剥れ等が発生するおそれはない。なお、微弾性塗料層33及び耐候性塗料層34は、ローラRやスプレなどを使用して塗装することにより形成する。この工程により、屋外側表面18aの地上露出面には、微弾性塗料層33及び耐候性塗料層34による2層の塗料層が形成される。以上により、コンクリート基礎16の地上露出面の全面を表面被覆したこととなる。
以上説明した構成により、第2の実施形態の基礎では、以下の有利な効果が得られる。
立ち上がり部18の屋内側表面18bの下端位置から天端表面18cを介して屋外側表面18aの上端位置に至るまで、空気の通過を阻止する性質を有する防湿性シート32により覆った。これにより、屋内側表面18b及び天端表面18cからコンクリート基礎16内部へ空気が侵入することが阻止され、中性化抑制効果を奏する。さらに天端表面18cを介して屋外側表面18aの上端位置に至るまで覆ったことで、例えば屋外において降った雨水が、天端表面18cと防湿性シート32との間から侵入することを極力低減することができる。これにより、中性化抑制効果を一層向上することができる。
防湿性シート32の一端を、屋内側表面18bの下部側において地中に埋設して固定し、他端を天端表面18c上において固定具35により挟み固定した。これにより、例えば建物本体12の施工中において、防湿性シート32が捲れてしまい他の作業の進捗に支障を来たし作業効率が低下するといった不都合を回避することができる。さらに建物11の完成後においても、防湿性シート32が捲れて、コンクリート基礎16の表面に空気が接触し、中性化抑制効果が低減するといった不具合を回避することができる。
固定具35として、鋼板を折り曲げ形成したクリップを使用した。この場合、固定具35を天端表面18c上に配設して、防湿性シート32とともに屋内外の両表面をバネ力によって挟むことで、防湿性シート32がコンクリート基礎16に挟み固定することができる。これにより、挟むという容易な作業で防湿性シート32を天端表面18cに固定することができる。
立ち上がり部18の屋外側表面18aの地上露出面に、弾性を有する微弾性塗料層33を形成した。これにより、コンクリート基礎16の屋外側表面18aに空気が接触することを阻止し、中性化抑制効果を奏する。そして、微弾性塗料層33のさらに屋外側に、弾性と耐候性とを有する耐候性塗料層34を形成した。これにより、風雨に曝される環境下にある屋外側表面18aの耐候性を向上することが可能となる。仮にコンクリート基礎16の表面に例えば外気の温度変化によるひび割れが生じた場合であっても、微弾性塗料層33及び耐候性塗料層34がひび割れに追従して伸びるため、コンクリート基礎16の表面に空気が接触することを阻止し、中性化抑制効果を一層向上することができる。
また、第2の実施形態の基礎における製造方法では、以下の有利な効果が得られる。
コンクリート基礎16のコンクリートを打設して、型枠を脱型した後、かつ天端表面18c上に建物本体12を施工する前に、立ち上がり部18の全周を防湿性シート32により覆った。これにより、天端表面18c上に建物本体12を施工した後に立ち上がり部18の全周を防湿性シート32により覆う製造方法に比べて、防湿性シート32を覆うために必要な作業スペースを容易に確保することができるため、作業効率の低下や作業不能といった不具合を回避することができる。また立ち上がり部18の全周を防湿性シート32により覆うという簡易な作業で中性化抑制効果を奏し得る。さらに、立ち上がり部18はシート養生による効果が得られる。すなわち、急激な乾燥によるひび割れや凍害による硬化不良を引き起こすことを防止して、良好な品質のコンクリートを確保することができる。立ち上がり部18を防湿性シート32により覆うという1つの作業によって、中性化抑制効果とシート養生により得られる効果とを合わせて得られることができる。したがって、作業工数を増加させることなく、硬化中のコンクリートの品質確保と硬化後の中性化抑制効果によって、コンクリート基礎16の耐久性を一層向上することが可能となる。
立ち上がり部18の屋内外両表面の各中途位置に至るまで、防湿性シート32の下部を挟むようにして埋め戻し土31を使用して埋めた。これにより、一般に行われるコンクリート基礎16の下部側を土で埋め戻す作業と合わせて、防湿性シート32の下部を埋め戻し土31により埋設して固定することができるため、新たに作業工数が増加するといった不都合も生じない。また、コンクリート基礎16の表面は、土と防湿性シート32とにより全周が覆われるため、その表面に空気が接触することを阻止し、好適に養生を行うことが可能となる。
立ち上がり部18の全周を防湿性シート32により覆った後に、天端表面18c上において建物本体12を施工した。この場合、立ち上がり部18の全周を覆った防湿性シート32はシート養生として使用されるとともに、そのまま中性化抑制手段としても使用される。そのため、塗料層を形成する場合と異なり、コンクリートの硬化を待たなくても建物本体12の工事を進めることができ、建物11の工期延長を招くおそれがない。
立ち上がり部18の全周を防湿性シート32によって覆った後、建物本体12の施工を行い、その完成後に、屋外側表面18aを覆っている防湿性シート32をカッター等で切断除去した(具体的には建物本体12を施工して2〜4ヶ月後)。これにより、建物11の工期延長を伴うことなく、防湿性シート32によるシート養生の効果を十分に発現し得る養生期間を確保することができ、良好な品質のコンクリートを確保することが可能となる。
[第2の実施形態における別例]
以上説明した第2の実施形態に限らず、例えば以下に別例として示した各形態で実施することもできる。
以上説明した第2の実施形態に限らず、例えば以下に別例として示した各形態で実施することもできる。
上記実施の形態では、コンクリート基礎16の立ち上がり部18の全周を防湿性シート32により覆ったが、防湿性を有していないシート材でもよく、空気の通過を阻止又は低減可能な性質を有するシート材であればよい。たとえ湿気がコンクリート基礎16の表面に至ったとしても、コンクリート基礎16が中性化されていなければ、鉄筋が錆びることがないためである。
上記実施の形態では、防湿性シート32をコンクリート基礎16に固定する固定具35として、塩化ビニル鋼板製のクリップを使用したが、これを変更してもよい。例えば、両面テープや接着剤により防湿性シート32をコンクリート基礎16に接着固定してもよい。
上記実施の形態では、立ち上がり部18の屋外側表面18aの地上露出面において、微弾性塗料層33及び耐候性塗料層34を形成したが、これを変更してもよい。例えば、塗料層の形成に替えて、石張りやタイル張りなどを施工してもよい。要は、屋外側表面18aの地上露出面において、中性化抑制効果を奏する手段が設けてあればよい。
上記実施の形態では、立ち上がり部18の屋内外両表面の各中途位置に至るまで、防湿性シート32を挟むようにして埋め戻し土31を使用して埋めたが、埋め戻し土31を使用して埋めなくてもよい。例えば、改良土でもよく、また土の他に一部がコンクリートなどであってもよい。また防湿性シート32を埋めなくてもよい。但し、防湿性シート32が捲れた場合、コンクリート基礎16の表面と防湿性シート32との間から空気が侵入し、シート養生による良好な品質のコンクリートの確保が困難となる他、中性化抑制効果も低減する。そのため、防湿性シート32をコンクリート基礎16に固定する処置を講じることが好ましい。
上記実施の形態では、防湿性シート32をコンクリート基礎16の天端表面18c上に固定した後、天端表面18c上に建物本体12を施工したが、必ずしも即座に建物本体12を施工する必要はなく、各建物の作業工程などに沿って、建物本体12以外の工事を先に行ってもよい。
上記実施の形態では、立ち上がり部18の全周を防湿性シート32により覆った後、建物本体12の施工を行い、その完成後に、屋外側表面18aを覆っている防湿性シート32をカッター等で切断除去したが(具体的には建物本体12を施工して2〜4ヶ月後)、建物本体12が完成した後でなくてもよく、施工中に防湿性シート32を除去してもよい。例えば、上記の実施形態のように微弾性塗料層33及び耐候性塗料層34などの塗料層を形成する場合は、塗膜のふくれや剥れ等が発生するおそれのないコンクリート硬化後に(具体的にはコンクリートを打設して約4週間後)、防湿性シート32を除去してもよい。
さらに、地上露出面は防湿性シート32と微弾性塗料層33とによって完全に包囲することが好ましいが、屋外側表面18a、屋内側表面18b及び天端表面18cの境界部や、防湿性シート32と微弾性塗料層33との境界部などの一部において、当該表面が空気に触れているものであってもよい。この場合でも、従来のように屋内側表面18b及び天端表面18cに中性化抑制手段を一切設けていないものに比べれば格段にコンクリート基礎16の耐久性が向上することに変わりないからである。
11…建物、12…建物本体、13…壁パネル、14…木土台、15…基礎、16…コンクリート基礎、17…フーチング部、18…立ち上がり部、18a…屋外側表面、18b…屋内側表面、18c…天端表面、19…中性化抑制手段としての微弾性塗料層、20…耐候性塗料層、31…埋め戻し土、32…中性化抑制手段としての防湿性シート、33…中性化抑制手段としての微弾性塗料層、34…耐候性塗料層、35…固定具。
Claims (12)
- コンクリート基礎の地上露出面である、屋外側表面、屋内側表面及び天端表面の各表面に、コンクリートの中性化を抑制する中性化抑制手段が設けられている基礎。
- 前記中性化抑制手段の少なくとも一部は前記表面に形成された弾性を有する層であり、当該層により前記表面と空気との接触を阻止又は低減させることを特徴とする請求項1に記載の基礎。
- 前記中性化抑制手段の少なくとも一部は前記表面に沿って配設されたシート材であり、前記シート材は空気の通過を阻止又は低減する性質を有していることを特徴とする請求項1に記載の基礎。
- 前記中性化抑制手段の一部がシート材であり、当該シート材が、少なくとも前記地上露出面である、屋内側表面の下端位置から天端表面を介して屋外側表面の上端位置に至るように配設されており、前記シート材は空気の通過を阻止又は低減する性質を有していることを特徴とする請求項1に記載の基礎。
- 前記中性化抑制手段の少なくとも一部は前記表面を改質することにより構成され、当該改質された表面は空気の侵入を阻止又は低減する性質を有していることを特徴とする請求項1に記載の基礎。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載されている基礎の製造方法であって、
コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工する前に、前記地上露出面である、屋内側表面及び天端表面の各表面に中性化抑制手段を設ける基礎の製造方法。 - コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工した後に、前記地上露出面である、屋外側表面に中性化抑制手段を設ける請求項6に記載の基礎の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載されている基礎の製造方法であって、
コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工する前に、前記地上露出面である、屋内側表面及び天端表面の各表面に中性化抑制手段を設け、屋外側表面には養生を行い、当該養生終了後に、前記屋外側表面に中性化抑制手段を設ける基礎の製造方法。 - 請求項1、3又は4に記載されている基礎の製造方法であって、
前記コンクリート基礎の立ち上がり部分の表面全体を、空気の通過を阻止又は低減する性質を有するシート材によって覆い、
前記シート材により養生を行った後、前記シート材のうち前記屋外側表面を覆っている部分を除去し、
当該除去により露出されたコンクリート基礎の屋外側表面に中性化抑制手段を設ける基礎の製造方法。 - 前記コンクリート基礎の天端上に建物本体を施工した後に、前記除去を行う請求項9に記載の基礎の製造方法。
- 少なくとも前記立ち上がり部分の屋内側表面を覆っているシート材の下部を土で覆う請求項9又は10に記載の基礎の製造方法。
- 請求項9乃至11のいずれかに記載の基礎の製造方法において、シート材をコンクリート基礎の天端において固定する基礎の製造方法。
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