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JP2008120716A - 抗炎症剤 - Google Patents

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JP2008120716A JP2006305302A JP2006305302A JP2008120716A JP 2008120716 A JP2008120716 A JP 2008120716A JP 2006305302 A JP2006305302 A JP 2006305302A JP 2006305302 A JP2006305302 A JP 2006305302A JP 2008120716 A JP2008120716 A JP 2008120716A
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Hiroyuki Yoshimura
寛幸 吉村
Taisuke Koike
泰介 小池
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Eisai Food and Chemical Co Ltd
Original Assignee
Eisai Food and Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】炎症を効率的に抑制でき、かつ安全性の高い、優れた抗炎症剤、並びに、前記抗炎症剤を利用した医薬及び食品を提供すること。
【解決手段】ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれかと、グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及びそれらの薬理学的に許容され得る塩の少なくともいずれかとを組み合わせてなることを特徴とする抗炎症剤である。また、前記抗炎症剤を含有することを特徴とする医薬及び食品である。
【選択図】なし

Description

本発明は、様々な疾患に関与する炎症を抑制する抗炎症剤、並びに、前記抗炎症剤を利用した医薬及び食品に関する。
炎症とは、発赤、腫脹、熱感、疼痛、及び機能障害の5大徴候を現し、体の局所に加えられた傷害に対して生体組織が起こす防御反応であると定義することができ、その傷害の種類が何であれ、ほぼ共通した経過をたどって起こることが知られている。つまり、傷害を受けた局所の血管透過性が亢進して浮腫が起こり、次いで白血球の炎症巣への浸潤が見られ、最後に肉芽形成過程を経て治癒するという経過をたどる。
より具体的には、組織が傷害を受けると、傷害を受けた局所の血管内皮細胞からプロスタグランジン(PG)や炎症性サイトカイン(IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、TNF−α、G−CSF等)が産生され、血漿にはブラジキニンが生成される。これらの物質は、発熱、血管拡張、血管透過性の亢進、白血球の走化性亢進、白血球や血管内皮細胞の活性化、活性化白血球の血管内皮細胞への粘着や浸潤の促進など、様々な生理作用を示す。更に、活性化した白血球からも、PG、ロイコトリエン(LT)などが産生され、炎症反応は加速される。走化性の亢進した白血球(好中球やマクロファージ等)は、血管内皮細胞の接合部から血管外の炎症部位へ浸潤する。浸潤した白血球により、感染防御や残存する不要物質の貪食が行われ、通常は組織細胞の増殖により治癒に至るが、好中球やマクロファージなどの浸潤が持続すると、炎症が慢性化し、更なる組織傷害が起こる。
なお、血管拡張により発赤や熱感が現れ、血管透過性の亢進による血漿成分の組織への滲出により腫脹が現れ、ブラジキニンなどの生成により疼痛が現れると考えられている。
このような炎症反応を抑える抗炎症剤としては、従来から、非ステロイド系抗炎症剤やステロイド系抗炎症剤が使用されている。
前記非ステロイド系抗炎症剤としては、例えば、サリチル酸やインドメタシン等が挙げられ、プロスタグランジン類の合成を阻害することにより高い抗炎症活性を示す。しかしながら、その強いプロスタグランジン類合成阻害のために、特に胃腸障害や腎機能障害等の副作用が懸念されるという問題がある。また、前記ステロイド系抗炎症剤としては、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン等の副腎皮質ホルモンが挙げられるが、これらも、プロスタグランジン類の合成につながるアラキドン酸カスケードの上流部分を阻害するため、前記非ステロイド系抗炎症剤と同様の副作用を有しており、更に、副腎皮質機能障害の恐れがあるという問題もある。
一方、前記したような従来の抗炎症剤の副作用の問題を解消する目的から、天然物から抗炎症作用を有する物質を探索し、新たな抗炎症剤として利用しようとする試みも広く行われている。具体的には、例えば、木材等から得られる酸性キシロオリゴ糖を有効成分とする抗炎症剤(例えば、特許文献1参照);ヒャクジツセイ、コウカツツジ、モウボクジュ、サラソウジュ、コウザンレキ等から得られる抗炎症性物質を有効成分とする抗炎症剤(例えば、特許文献2参照);黄杞等から得られるアスチルビン類を有効成分とする抗炎症剤(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。しかしながら、これらは、所望の程度の抗炎症効果が得られにくい等といった問題を有しており、従来の抗炎症剤に代わり得る物質は見出されていないのが現状である。
炎症は、様々な疾患に関与し、悩まされる患者数も多い。したがって、炎症をより効率的に抑制でき、かつ安全性の高い、優れた抗炎症剤の開発が望まれている。
特許公開2003−221339号公報 特許公開2001−226273号公報 特許公開平6−256194号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、炎症を効率的に抑制でき、かつ安全性の高い、優れた抗炎症剤、並びに、前記抗炎症剤を利用した医薬及び食品を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、オリーブ(モクセイ科オリーブ属オリーブ:Olea europaea)等から得ることのできる成分であるヒドロキシチロソール等と、軟骨グルコサミノグリカンやその構成成分であるグルコサミン、ガラクトサミン等とを組み合わせて使用することにより、従来には全く予測することのできなかった、顕著な抗炎症効果を奏することができるという知見である。
前記ヒドロキシチロソール(Hydroxytyrosol:2−(3,4−Dihydroxyphenyl)ethanol)は、後述する構造式(1)で表される化合物である。前記ヒドロキシチロソールについては、近年、活性化した白血球からのロイコトリエン(LT)B4の産生を減少させる作用があることや、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)及びシクロオキシゲナーゼ(COX)−2遺伝子の発現を下降制御する作用があること等が報告されている(例えば、Visioli Fら;Med Res Rev.2002 Jan;22(1):65−75、及び、Maiuri MCら;Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol.2005 Jun;371(6):457−65参照)。
また、例えば、前記グルコサミン(Glucosamine:2−Amino−2−deoxy−D−glucose)は、軟骨グルコサミノグリカンの構成成分の1つとして知られるアミノ糖の1種である。前記グルコサミンについては、近年、インターロイキン(IL)−1βにより誘導された一酸化窒素(NO)やプロスタグランジン(PG)E2の合成を抑制する作用があることや、炎症に関わる好中球の機能を抑制する作用があること等が報告されている(例えば、Gouze JNら;Arthritis Rheum.2001 Feb;44(2):351−60、及び、炎症・再生 VOL.22 NO.5 SEPTEMBER 2002 p461−468「グルコサミンの好中球機能抑制作用とそのメカニズム」参照)。
しかしながら、前記ヒドロキシチロソール等と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン等とを組み合わせ、抗炎症目的に使用をした例は従来に無く、また、前記ヒドロキシチロソール等と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン等とを組み合わせて使用することにより、顕著に優れた抗炎症効果が奏されることは、従来全く予測され得なかった事実であり、本発明者らによる新たな知見である。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれかと、グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及びそれらの薬理学的に許容され得る塩の少なくともいずれかとを組み合わせてなることを特徴とする抗炎症剤である。
<2> ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれかがオリーブ由来である前記<1>に記載の抗炎症剤である。
<3> ヒドロキシチロソール前駆体がオレウロペインである前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗炎症剤である。
<4> グルコサミンの薬理学的に許容され得る塩がグルコサミン塩酸塩である前記<1>から<3>のいずれかに記載の抗炎症剤である。
<5> オリーブ抽出物を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の抗炎症剤である。
<6> ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれかと、グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及びそれらの薬理学的に許容され得る塩の少なくともいずれかとの配合剤である前記<1>から<5>のいずれかに記載の抗炎症剤である。
<7> ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれかを含有する薬剤と、グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及びそれらの薬理学的に許容され得る塩の少なくともいずれかを含有する薬剤とを含むキットである前記<1>から<5>のいずれかに記載の抗炎症剤である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の抗炎症剤を含有することを特徴とする医薬である。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の抗炎症剤を含有することを特徴とする食品である。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、炎症を効率的に抑制でき、かつ安全性の高い、優れた抗炎症剤、並びに、前記抗炎症剤を利用した医薬及び食品を提供することができる。
(抗炎症剤)
本発明の抗炎症剤は、ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれか(ヒドロキシチロソール及び/又はヒドロキシチロソール前駆体)と、グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及びそれらの薬理学的に許容され得る塩の少なくともいずれか(グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩)とを組み合わせてなり、必要に応じて更にその他の成分を組み合わせてなる。
<ヒドロキシチロソール、ヒドロキシチロソール前駆体>
−ヒドロキシチロソール−
前記ヒドロキシチロソール(Hydroxytyrosol:2−(3,4−Dihydroxyphenyl)ethanol)は、後述する構造式(1)で表される化合物である。
前記ヒドロキシチロソールは、その入手方法に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学的に合成されたものを使用してもよいし、天然物由来のものを使用してもよい。
前記ヒドロキシチロソールとして天然物由来のものを使用する場合、その由来としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、植物由来であることが好ましく、オリーブ(モクセイ科オリーブ属オリーブ:Olea europaea)由来であることがより好ましい。
前記ヒドロキシチロソールは、例えば、前記オリーブの植物体から抽出することにより得ることができ、前記植物体としては、例えば、葉、茎、実などが挙げられる。
前記オリーブの植物体からの前記ヒドロキシチロソールの抽出方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン等の水溶性有機溶媒又は含水有機溶媒を用いて抽出することができる。
−ヒドロキシチロソール前駆体−
前記ヒドロキシチロソール前駆体とは、生体内の代謝反応によってヒドロキシチロソールへと変換される、ヒドロキシチロソールの前段階の物質をいう。
前記ヒドロキシチロソール前駆体の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オレウロペイン(Oleuropein)、ヒドロキシオレウロペイン(Hydroxyoleuropein)、リグストロシド(Ligstroside)、ヒドロキシリグストロシド(Hydroxyligstroside)などが挙げられる。これらの中でも、前記ヒドロキシチロソール前駆体としては、オレウロペインが好ましい。前記オレウロペインは、例えばヒトやラット等の哺乳動物が経口摂取した場合、体内で加水分解され、ヒドロキシチロソールに変換されることが知られている(例えば、Journal of Chromatography B,785(2003)47−56、及び、J.Nutr.132:409−417,2002参照)。したがって、前記ヒドロキシチロソール前駆体は、体内でヒドロキシチロソールへと代謝されることにより、前記ヒドロキシチロソールと同様の抗炎症効果を奏することが可能である。
前記オレウロペインの入手方法としても、前記ヒドロキシチロソール同様、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学的に合成されたものを使用してもよいし、天然物由来のものを使用してもよい。
前記オレウロペインとして天然物由来のものを使用する場合、その由来としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、植物由来であることが好ましく、オリーブ(モクセイ科オリーブ属オリーブ:Olea europaea)由来であることがより好ましい。
前記オレウロペインは、例えば、前記オリーブの植物体から抽出することにより得ることができ、前記植物体としては、例えば、葉、茎、実などが挙げられる。
前記オリーブの植物体からの前記オレウロペインの抽出方法としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2002−128678号公報、特開2003−335693号公報などに記載の抽出方法を参照して抽出することができる。
前記ヒドロキシチロソール、前記ヒドロキシチロソール前駆体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記抗炎症剤中の、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記抗炎症剤100質量%に対して、10〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、20〜80質量%が特に好ましい。
<グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン、薬理学的に許容され得る塩>
−グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン−
前記グルコサミン(Glucosamine:2−Amino−2−deoxy−D−glucose)、及び、前記ガラクトサミン(Galactosamine:2−Amino−2−deoxy−D−galactose)は、後述するグルコサミノグリカンの構成成分の1つとして知られるアミノ糖の1種である。前記グルコサミン、前記ガラクトサミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、前記グルコサミン、前記ガラクトサミンのアミノ基がアセチル化された化合物も、それぞれ本発明における前記グルコサミン、前記ガラクトサミンの範囲内に含まれる。
前記グルコサミノグリカン(Glycosaminoglycan)は、前記グルコサミン又は前記ガラクトサミンと、グルクロン酸、イズロン酸又はガラクトースとからなる二糖類で構成される直鎖状多糖類である。前記グルコサミノグリカンの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、ケラタン硫酸(Keratan sulfate)、コンドロイチン(Chondroitin)、コンドロイチン硫酸(Chondroitin sulfate)、デルマタン硫酸(Dermatan Sulfate)、ヘパリン(Heparin)、ヘパラン硫酸(Heparan sulfate)などが挙げられる。また、前記コンドロイチン硫酸としては、その構造の型に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン硫酸D、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸Kなどが挙げられる。
−薬理学的に許容され得る塩−
前記薬理学的に許容され得る塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸塩、硫酸塩等の無機塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩などが挙げられる。これらの中でも、塩酸塩が、特に好ましい。
前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩は、それらの入手方法に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学的に合成されたものを使用してもよいし、カニ・エビ等の甲殻から得られる天然物由来のものを使用してもよい。
前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記抗炎症剤中の、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記抗炎症剤100質量%に対して、10〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、20〜80質量%が特に好ましい。
<含有量比>
前記抗炎症剤中の、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩との含有量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、質量比で、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体:前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩=20:1〜1:20が好ましく、1:8〜1:16がより好ましい。
<配合剤、キット>
なお、前記抗炎症剤としては、前記抗炎症剤の2種の有効成分である、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩とが混合された、配合剤の状態であってもよいし、また、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体を含有する薬剤と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩を含有する薬剤とを含む(前記2種の有効成分が混合されていない)、キットの状態であってもよい。
(医薬)
本発明の医薬は、前記した本発明の抗炎症剤を含有してなり、必要に応じて更にその他の成分を含有してなる。
前記医薬中の、前記抗炎症剤の含有量としては、特に制限はなく、例えば、後述する前記医薬の剤型や、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができる。また、前記医薬は、前記抗炎症剤そのものであってもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述するような医薬用の添加剤などが挙げられる。また、前記医薬中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
上記医薬としては、前記抗炎症剤をそのまま、又は適当な添加剤を混和し、製剤化したものを使用する。
上記添加剤としては、一般に医薬に使用される、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、吸収促進剤等が挙げられ、所望により、これらを適宜組み合わせて使用することもできる。
上記賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、ブドウ糖、コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。
上記結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。
上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ポリエチレングリコール、コロイドシリカ等が挙げられる。
上記崩壊剤としては、例えば結晶セルロース、寒天、ゼラチン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。
上記着色剤としては、例えば三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カルミン、カラメル、β−カロチン、酸化チタン、タルク、リン酸リボフラビンナトリウム、黄色アルミニウムレーキ等、医薬品に添加することが許可されているものが挙げられる。
上記矯味矯臭剤としては、例えばココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、メントール、竜脳、桂皮末等が挙げられる。
上記乳化剤又は界面活性剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、モノステアリン酸グリセリン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、エタノール、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド等が挙げられる。
上記懸濁化剤としては、前記界面活性剤のほか、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
上記等張化剤としては、例えばブドウ糖、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。
上記緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液が挙げられる。
上記防腐剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
上記抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
上記安定化剤としては、アスコルビン酸、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、トコフェロール等が挙げられる。
上記吸収促進剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、トコフェロール、カルシフェロール等が挙げられる。
また、上記製剤としては、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤のような経口剤;坐剤、軟膏剤、眼軟膏剤、テープ剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤のような外用剤又は注射剤等が挙げられる。
上記経口剤は、上記添加剤を適宜組み合わせて製剤化する。なお、必要に応じてこれらの表面をコーティングしてもよい。
上記外用剤は、上記添加剤のうち、特に賦形剤、結合剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤又は吸収促進剤を適宜組み合わせて製剤化する。
上記注射剤は、上記添加剤のうち、特に乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤又は吸収促進剤を適宜組み合わせて製剤化する。
なお、前記医薬としては、前記医薬の2種の有効成分である、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩とを、同時に含んでなるものであってもよいし、また、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体を含有する薬剤と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩を含有する薬剤との、組合せからなるものであってもよい。
前記医薬は、前記した本発明の抗炎症剤を含むので、炎症を抑制する効果に優れる。したがって、前記医薬は、例えば、炎症を伴う疾患(例えば、感染症、関節リウマチ、膠原病、痛風、アレルギー疾患、炎症性腸疾患、間質性肺炎等)の治療又は予防用途に、特に好適である。
(食品)
本発明の食品は、前記した本発明の抗炎症剤を含有してなり、必要に応じて更にその他の成分を含有してなる。
前記食品中の、前記抗炎症剤の含有量としては、特に制限はなく、例えば、後述する前記食品の種類や、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができる。また、前記食品は、前記抗炎症剤そのものであってもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種食品原料などが挙げられる。前記食品原料としても、特に制限はなく、例えば、後述する前記食品の種類等に応じて適宜選択することができる。また、前記食品中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記食品の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゼリー、キャンディー、チョコレート、ビスケット等の菓子類;緑茶、紅茶、コーヒー、清涼飲料等の嗜好飲料;原料乳、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳製品;野菜飲料、果実飲料、ジャム類等の野菜・果実加工品;ハム、ソーセージ、魚肉ソーセージ、かまぼこ等の食肉・魚肉加工品;スープ等の液体食品;パン類、麺類等の穀物加工品;などが挙げられる。これらの食品の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、通常の各種食品の製造方法に応じて、適宜製造することができる。
また、前記食品は、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口固形剤や、内服液剤、シロップ剤等の経口液剤として製造されたものであってもよい。前記経口固形剤、経口液剤の製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記した医薬の経口固形剤、経口液剤の製造方法にならい、製造することができる。
なお、前記食品としては、前記食品の2種の有効成分である、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩とを、同時に含んでなるものであってもよいし、また、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体を含有する食品と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩を含有する食品との、組合せからなるものであってもよい。
前記食品は、前記した本発明の抗炎症剤を含むので、炎症を抑制する効果に優れる。したがって、前記食品は、例えば、炎症を伴う疾患(例えば、感染症、関節リウマチ、膠原病、痛風、アレルギー疾患、炎症性腸疾患、間質性肺炎等)の治療、改善、予防目的で摂取される、健康食品、機能性食品(例えば、栄養補助食品(サプリメント))として特に有用である。
[使用]
前記抗炎症剤、前記医薬、及び前記食品は、例えば、前記したような炎症を伴う疾患を患う患者への適用に好適であり、これらの患者に投与することにより使用することができる。
前記抗炎症剤、前記医薬、及び前記食品の投与対象動物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、ハムスター、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、サルなどが挙げられる。
また、前記抗炎症剤、前記医薬、及び前記食品の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節腔内への注入などが挙げられる。これらの中でも、前記投与方法としては、経口投与が好ましい。
また、前記抗炎症剤、前記医薬、及び前記食品の投与量としては、特に制限はなく、投与対象である患者の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、成人への1日の投与あたり、有効成分である前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体、並びに、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩の量として、0.1〜500mg/kg体重が好ましく、1〜100mg/kg体重がより好ましい。
また、前記抗炎症剤、前記医薬、及び前記食品の投与時期としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、予防的に投与されてもよいし、治療的に投与されてもよい。
なお、前記したように、前記抗炎症剤、前記医薬、及び前記食品の2種の有効成分である、前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体と、前記グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩とは、それぞれ同一の投与時期に(同時に)投与されてもよいし、異なる投与時期に投与されてもよい。また、前記2種の有効成分は、それぞれ同一の投与方法で投与されてもよいし、異なる投与方法で投与されてもよい。
[効果]
前記抗炎症剤、前記医薬、及び前記食品は、炎症を抑制する効果に優れるので、例えば、炎症を伴う疾患(例えば、感染症、関節リウマチ、膠原病、痛風、アレルギー疾患、炎症性腸疾患、間質性肺炎等)を患う患者に投与することにより、前記患者の炎症を効果的に抑制することができる。
また、前記抗炎症剤、前記医薬、及び前記食品は、その有効成分がオリーブ等の天然物から得ることのできる前記ヒドロキシチロソール及び/又は前記ヒドロキシチロソール前駆体と、軟骨に含まれる前記グルコサミノグリカン、前記グルコサミノグリカンの構成成分である前記グルコサミン、前記ガラクトサミン及び/又はそれらの薬理学的に許容され得る塩との組合せであることから、安全性の高い点でも、有利である。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1:ヒドロキシチロソールの製造)
本発明に係るヒドロキシチロソールを以下の方法で製造した。
オリーブ葉100gを、含水80%エタノール500mL、液温50℃で3時間、3回抽出し、減圧下で200mLまで濃縮後、ろ過した。得られたろ液に塩酸を加え、pH2.0に調整後、液温50℃で24時間、酸分解を行い、冷却後、水酸化ナトリウムを加えて中和した。
次いで、スチレンジビニルベンゼン重合樹脂(三菱化成工業株式会社製、ダイヤイオンHP20)150mLに流速1.25mL/minで通液し、さらに水450mLを流速2.5mL/minで洗浄した。溶出は、含水20%エタノール450mLを流速2.5mL/minで流し、ヒドロキシチロソールを含む溶液を得た。
この溶液を減圧下で一定量まで濃縮し、濃縮液中にヒドロキシチロソールを45%含む抽出固形物を2.86g得た。
次いで、デキストリンを添加してヒドロキシチロソール含量20%に調製した。この調製液を凍結乾燥し、固形物6.43g(ヒドロキシチロソール20質量%含有品)を得た。
(実施例1:ヒドロキシチロソールとグルコサミン塩酸塩との併用による抗炎症作用の検討(1))
本発明に係るグルコサミンの薬理学的に許容され得る塩としてグルコサミン塩酸塩(GAH)を使用し、前記製造例1で得られたヒドロキシチロソール(HT)と前記グルコサミン塩酸塩(GAH)との併用による抗炎症作用を、ラットの関節炎モデルを用いて検討した。
なお、前記グルコサミン塩酸塩(GAH)は東京健食有限会社から入手した。
<方法>
(1)馴化飼育
雄のSDラット(SIPPR/BK実験動物株式会社(上海市)から入手、6週齢、体重146〜161g)を、5例/ケージ、温度23〜25℃、相対湿度50〜60%、明暗各12時間の照明サイクル、換気回数12回/時間の条件下で、1週間、馴化飼育した。この間ラットには市販の飼料及び水道水を自由接種させた。
その後ラットを、各群16例となるように無作為に群分けした。群分けは、「HT群」、「GAH群」、「HT+GAH群」、「対照群」の計4群とした。
(2)実験飼育及び薬物投与
1ケージ当たりの例数を4例とした以外は、馴化飼育と同様の条件で実験飼育を行った。「HT群」に対しては、前記製造例1で得られたヒドロキシチロソール20質量%含有品を、精製水に溶解し、ラット体重あたり100mg/kg(ヒドロキシチロソールとして20mg/kg)、経口投与した。「GAH群」に対しては、前記グルコサミン塩酸塩を、精製水に溶解し、ラット体重あたり1,600mg/kg、経口投与した。「HT+GAH群」では、前記ヒドロキシチロソール20質量%含有品を100mg/kg(ヒドロキシチロソールとして20mg/kg)及び前記グルコサミン塩酸塩を800mg/kg、経口投与した。「対照群」に対しては、精製水のみを経口投与した。
1回目の経口投与を、後述する関節炎の誘導の1時間前に行い、更に1日1回、5日間連続で経口投与した。
(3)ラット関節炎モデルの作製
以下の方法でラット関節炎モデルを作製した。各ラットに対し、ペントバルビタール・ナトリウム(30mg/kg)を腹腔内投与し、麻酔を行った。その後、右後肢を75%エタノールで消毒し、10%カオリン(シグマケミカル社)懸濁生理食塩液0.2mlを距腿関節内に注入し、5分間関節をゆっくり屈伸させた。カオリン投与の15分後に、2%カラゲニン(シグマケミカル社)水溶液0.07mlを右後肢の足蹠部に皮内注射し、5分間その領域をマッサージした。
−関節炎惹起部の腫脹度−
関節炎の一症候である腫脹の程度を示す指標として、関節炎モデルの作製から1、3及び5日後にラットの後肢の関節炎惹起部の体積を測定した。各群8例のラットについて、左右後肢を先端から距腿関節上部まで容積測定管に入れ、体積を測定した。関節炎惹起部の腫脹度は、以下の式で算出した。
−エバンスブルー濃度の測定−
上記の各群8例のラットについて、最終の関節炎惹起部体積の測定後、ペントバルビタール・ナトリウム麻酔下で、1%エバンスブルー水溶液を1ml/kg体重の割合で尾静脈内投与した。その2時間後に、各ラットを過麻酔により安楽死させた。右後肢を距腿関節上部で切断して採取し、3mlの濃塩酸中に入れ、37℃で18時間振盪した。その後、4mlの12.8%塩化ベンザルコニウムを加え、30分間混和した。更に、7mlのクロロホルムを加えて強く振盪した。2〜3分静置後、3,000rpmで5分間、遠心分離を行った。上清を回収し、クロロホルムを加えて10mlの試料とした。波長620nmで各試料の吸光度を測定し、摘出した後肢の単位重量あたりのエバンスブルー量を算出した。
−病理組織学的検査−
残りの各群8例のラットについて病理組織学的検査を実施した。関節炎モデル作製の5日後に、ペントバルビタール・ナトリウム麻酔下で腹大動脈より全採血し、安楽死させた。その後、各ラットの右後肢を距腿関節上部で切断して採取し、常法に従い、10%中性緩衝ホルマリン液で固定、5%ギ酸−ホルマリン液で脱灰後、パラフィンで包埋した。距腿関節部位及び周辺の軟組織を、ミクロトームを使用して薄切した。その後、ヘマトキシリン・エオジン染色を施し、病理組織学的検査に供した。
各ラットの組織像を、検鏡するとともに、以下の基準でスコア化し、平均値及び標準偏差を算出した。
[スコア化の基準]
1:軽度の浮腫及び炎症性細胞浸潤が見られる。滑膜細胞増殖及び繊維化は見られない。
2:中等度の浮腫、炎症性細胞浸潤、滑膜細胞浸潤及び繊維化が見られる。
3:重度の浮腫、炎症性細胞浸潤、滑膜細胞浸潤及び繊維化が見られる。
4:重度の浮腫、炎症性細胞浸潤、滑膜細胞浸潤、繊維化、軟骨及び骨の破壊が見られる。
<結果>
−関節炎惹起部の腫脹度−
右後肢の関節炎惹起部の腫脹度を測定した結果を図1に示した。
HT群、GAH群、及びHT+GAH群では、関節炎誘導後1、3、5日目の右後肢の関節炎惹起部の腫脹度が、対照群に比べて有意に減少した。更に、HT+GAH群では、GAH群及びHT群に比べて明らかに減少した。
−エバンスブルー濃度の測定−
エバンスブルー濃度の測定結果を図2に示した。HT群、GAH群及びHT+GAH群では、対照群と比較して、エバンスブルー濃度が有意に減少した。また、HT+GAH群では、HT群及びGAH群と比較しても、明らかに減少していた。したがって、これらの薬物投与群では対照群と比較して、炎症が抑制されたものと考えられた。また、HTとGAHを組み合わせることによって、炎症抑制効果は飛躍的に高まったものと考えられた。
−病理組織学的検査−
病理組織学的検査の結果を図3及び図4に示した。対照群では滑膜及び距腿関節周囲の軟部組織に重度の浮腫、マクロファージ及びリンパ球の重度の浸潤、顆粒球及び滑膜細胞の中等度の浸潤、繊維化、軟骨及び骨の破壊が見られた。一方、HT群、GAH群及びHT+GAH群では、滑膜及び距腿関節周囲の軟部組織に軽度の浮腫、マクロファージ及びリンパ球の軽度の浸潤が見られた。
図3の(a)及び(c)はHT+GAH群、(b)及び(d)は対照群の病理組織像である。(a)及び(b)から、HT+GAH群では対照群と比較して、炎症性細胞の浸潤が著しく少ないこと、(d)から、対照群では軟骨細胞の破壊が生じていることがそれぞれ明らかになった。
また、図4は各群の病理組織学的検査のスコアを示す。HT群、GAH群及びHT+GAH群では、対照群と比較して有意にスコアが低く、炎症が軽減されていたことが明らかになった。
これらの実施例の結果から、ヒドロキシチロソールの単独投与、グルコサミン塩酸塩の単独投与、及び、ヒドロキシチロソールとグルコサミン塩酸塩との組合せ投与は、いずれも各投与用量でラット関節炎モデルにおける炎症を抑制できることが示され、中でも、ヒドロキシチロソールとグルコサミン塩酸塩との組合せ投与は、それぞれの単独投与の場合と比較し、より顕著に、炎症を抑制できることが示された。
本発明の抗炎症剤、医薬、及び食品は、例えば、炎症を伴う疾患を患う患者の炎症の抑制に、非常に有用である。ほとんどの疾患は何らかの形で炎症反応と関わりを有しており、したがって、本発明の抗炎症剤、医薬、及び食品は、数多くの疾患に対し治療又は予防効果を奏することが期待される。
図1は、関節炎を誘導した各群のラットの右後肢の関節炎惹起部の腫脹度を示したグラフである。 図2は、関節炎を誘導した各群のラットの右後肢のエバンスブルー量を示したグラフである。 図3は、関節炎を誘導したHT+GAH群(a、c)及び対照群(b、d)のラットの右後肢の病理組織像である。 図4は、関節炎を誘導した各群のラットの右後肢の病理組織学的検査のスコアを示したグラフである。

Claims (8)

  1. ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれかと、グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及びそれらの薬理学的に許容され得る塩の少なくともいずれかとを組み合わせてなることを特徴とする抗炎症剤。
  2. ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれかがオリーブ由来である請求項1に記載の抗炎症剤。
  3. ヒドロキシチロソール前駆体がオレウロペインである請求項1から2のいずれかに記載の抗炎症剤。
  4. グルコサミンの薬理学的に許容され得る塩がグルコサミン塩酸塩である請求項1から3のいずれかに記載の抗炎症剤。
  5. ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれかと、グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及びそれらの薬理学的に許容され得る塩の少なくともいずれかとの配合剤である請求項1から4のいずれかに記載の抗炎症剤。
  6. ヒドロキシチロソール及びヒドロキシチロソール前駆体の少なくともいずれかを含有する薬剤と、グルコサミン、ガラクトサミン、グルコサミノグリカン及びそれらの薬理学的に許容され得る塩の少なくともいずれかを含有する薬剤とを含むキットである請求項1から4のいずれかに記載の抗炎症剤。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の抗炎症剤を含有することを特徴とする医薬。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載の抗炎症剤を含有することを特徴とする食品。
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