以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜図9は、一般的な遊技機を示したものであり、本実施形態のパチンコ機1における特徴的な構成は図10〜図34に基づいて説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
図1はパチンコ機の前側全体を示す正面図であり、図2はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1及び図2においては遊技領域における装飾部材を省略して示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図1及び図3に基づき説明する。
図3はパチンコ機の本体枠と遊技盤とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図2参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。また、上皿51の左側には、遊技者が操作可能なボタン59が設けられている。
[施錠装置の構成について] 図2及び図3に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75とを備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠の構成について] 図2乃至図4に基づき説明する。
図4はパチンコ機の後側全体を示す背面図である。
図2及び図3に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図9参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
一方、図4に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台91が設けられている。このボックス装着台91には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板92が収納された副制御基板ボックス93が装着され、その副制御基板ボックス93の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板94が収納された主制御基板ボックス95が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台91、副制御基板ボックス93及び主制御基板ボックス95がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台91、副制御基板ボックス93及び主制御基板ボックス95が配置されている。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図7及び図8に基づき説明する。
図7はパチンコ機の本体枠に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図8は本体枠単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部111、レール装着部112、及び払出装置装着部113等がそれぞれ形成され、タンク装着部111には球タンク114が装着されている。球タンク114は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク114の遊技球の貯留状態が球タンク114の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク114の底板部115の後側隅部には遊技球を放出する放出口116が形成されるとともに、底板部115は放出口116に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部111に下方に接近してレール装着部112が一体に形成され、そのレール装着部112にレール構成部材117が装着されることでタンクレール118が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部111は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール118の前壁部119とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図8に向かって左端)から他端(図8に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚120が形成されている。そして、レール棚120の横方向に延びる上向き面をレール受け部121としている。
レール装着部112に装着されてタンクレール118を構成するレール構成部材117は、レール装着部112の前壁部119との間にレール通路を構成する後壁部122と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材117は、レール装着部112に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール118が構成されている。そして、球タンク114の放出口116から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール118の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材117は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材117の後壁部122を透して視認可能となっている。
タンクレール118(レール装着部112)の前壁部119は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えば役物)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚120の後端と、タンクレール118の後壁部は、球タンク114の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク114の後壁部に対しタンクレール118の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール118が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール118の前壁部119との間に装備品(例えば役物)の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール118の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体123がその上部において軸124を中心として揺動可能に装着されている。この整流体123には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図7及び図8に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)125に対応する縦長の払出装置装着部113が形成されている。払出装置装着部113は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部113の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置125の払出用モータ126(図3参照)が突出可能な開口部127が形成されている。
払出装置装着部113の凹部に球払出装置125が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部113の周壁部後端、レール棚120の後端、球タンク114、タンクレール118及び球払出装置125のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置125は、払出装置装着部113の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置125は、払出装置装着部113の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置125は、タンクレール118におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図3及び図4に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図4に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ128等が取付基板129に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット130が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板131を収容する電源基板ボックス132が装着され、その電源基板ボックス132の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板133を収容する払出制御基板ボックス134が装着されている。払出制御基板133は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板94から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ126を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について] 図4及び図5に基づき説明する。
図5はパチンコ機の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス135(図9参照)及び主制御基板ボックス95の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部113の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体136がカバーヒンジ機構137によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体136は、略四角形状の後壁部138と、その後壁部138の外周縁から前方に向けて突出された周壁部139とから一体に構成されている。後カバー体136の周壁部139のうち、一側の壁部139aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体140のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン141を下向きに有するヒンジ体142が一体に形成されている。また、後カバー体136の周壁部139のうち、他側の壁部139bには、払出装置装着部113の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体143が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体136は、その上下及び中間のヒンジ体142の各ヒンジピン141が機構装着体13の側壁部のヒンジ体140のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン141を中心として後カバー体136が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体143を払出装置装着部113の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体136が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体136によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス135(図9参照)全体及び主制御基板ボックス95の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体136によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス95の上部に露出された主制御基板94の基板コネクタ(主として表示装置制御基板と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス95の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体136によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス95の下部には、その主制御基板94上に配置された検査用コネクタ144が露出されており、後カバー体136が閉じられた状態で主制御基板94上の検査用コネクタ144に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体136には、多数の放熱孔145、146、147、148が貫設されており、これら多数の放熱孔145、146、147、148から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体136には、その周壁部139から後壁部138に延びる多数のスリット状の放熱孔145が貫設され、後壁部138の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔146が貫設され、後壁部138の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔147と所定数の横長四角形状の放熱孔148が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔148は、主制御基板ボックス95の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部149の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体136が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス95の複数の並列状の封印部149が放熱孔148の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体136が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス95の封印部149の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体136を安価に製作することができる。
後カバー体136の周壁部139のうち、上側壁部139cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体150が上方のタンクレール118の後壁面(レール構成部材117の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体150の先端部には、同コード保持体150を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板151の基板コネクタ152に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体136にコード保持体150を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機1を運搬、保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図1及び図6に基づき説明する。
図6は、図5に示すパチンコ機の斜視図から後カバー体及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体153が装着されている。この下皿用球誘導体153は、球払出装置125の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体153の後壁外面には、インタフェース基板154を収納している基板ボックス155が装着されている。なお、インタフェース基板154は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板133との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板133との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[遊技盤の構成について] 図10〜図14に基づき説明する。
図10は遊技領域を有する遊技盤と、その遊技盤に装着された複数のユニットとを組付けたパチンコ主要部の構成を示す拡大正面図であり、図11はパチンコ主要部を左上前方から示す斜視図であり、図12はパチンコ主要部を右上前方から示す斜視図であり、図13は遊技領域を有する遊技盤を右上前方から示す斜視図であり、図14はパチンコ主要部を分解して斜め前方から示す分解斜視図である。
図13に示すように、遊技盤5は、略円形の開口210を有する前構成部材211と、前面側に前構成部材211が取り付けられると共に前構成部材211と同様の形状の開口(図示しない)を有する遊技盤ベース212と、前構成部材211及び遊技盤ベース212の間に挟まれ、前構成部材211の開口210及び遊技盤ベース212の開口を閉鎖する無色透明の遊技領域板81とを具備して構成されている。
遊技領域板81は、遊技盤ベース212の開口に対応した外周形状を呈しており、その厚さは、打設される障害釘などを充分に保持することのできる必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされている。なお、この厚さは、遊技盤ベース212の厚さの略半分の厚さである。
また、遊技領域板81は、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等の樹脂材料に弾性樹脂材料(本実施品はゴム)を所定割合含有させた透明な樹脂から形成されている。このように遊技領域板81を構成する樹脂材料に弾性樹脂材料を含有させることにより、障害釘等が遊技領域板81に打設されてもクラックが入ることなくなると共に、流下する遊技球などによるキズも抑制する事ができ、ひいては遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。
また、遊技領域板81は、押出し成形した透明樹脂板により形成されていると共に、その押出し方向が上下方向に対して交わる方向となるように(望ましくは押出し方向が上下方向に対して約45度の方向となるように)形成されている。このように、遊技領域板81を構成する透明樹脂板の押出し方向が上下方向に対して交わる方向、つまり、押出し方向が上下方向以外の方向となるように形成することにより、遊技領域板81の後方に演出表示装置101や装飾体84等を配置した場合でも、遊技領域板81と演出表示装置101や装飾体84等のドットマトリックスとが干渉してモアレが発生するのを可及的に抑制することが可能になる。すなわち、モアレにより演出表示装置101や装飾体84等が見づらくなるのを防止できる。
遊技領域板81の表面には、開口210内に遊技球を案内する外レール76及び内レール77からなる案内レール78、主入賞口ユニット214、及び通過ゲート790等が取付けられ、遊技領域板81の形成された開口部82には額縁状のセンター役物230を有する主役物213が取付けられている。つまり、開口210で囲まれた遊技領域板81の表面に遊技領域37が区画形成されており、この遊技領域37内には、多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に、上述の主役物213、通過ゲート790、及び主入賞口ユニット214等が配置されている。なお、遊技領域37内の中央最下部には、入賞口等に入賞しなかった遊技球を遊技領域37内から排出するアウト口220が設けられている。なお、通過ゲート790には、通過ゲート790に遊技球が通過したことを検出するゲートセンサ990(図35参照)が設けられている。
また、図14、及び図10〜図12に示すように、遊技盤5の後側には、枠状のベース部材83及びそのベース部材83の表面に取付けられた複数の装飾体84を具備し、透明な遊技領域板81を通して視認可能な電飾ユニット85と、遊技領域板81に形成された開口部82を通して視認可能な可動役物87、及びその可動役物87を駆動させる可動機構部88を具備する可動役物ユニット89と、可動役物ユニット89の窓部100に対して後方から嵌込まれ開口部82を通して視認可能な演出表示装置101とが組付けられている。
(主役物の構成について)
次に、遊技盤5における主役物213の具体的な構成について、図15〜図21に基づき詳細に説明する。図15は主役物を右上前方から示す斜視図であり、図16はセンター役物を分解して斜め前方から示す斜視図であり、図17はセンター役物のステージを右上前方から示す斜視図であり、図18はステージから着色部材を取り除いた状態を示す斜視図であり、図19は着色部材を斜め前方から示す斜視図である。また、図20はステージの中央部分を右上前方から示す拡大斜視図であり、図21はステージの中央部分を左上後方から示す拡大斜視図である。
図15に示すように、遊技盤5における主役物213は、額縁状に形成されたセンター役物230と、センター役物230の右側前面に取り付けられ光を透過可能な文字表示体231と、センター役物230の左側の下縁部に取付けられた風車219とを備えている。
図16に示すように、センター役物230は、無色透明の合成樹脂材からなる枠状のセンターフレーム610と、センターフレーム610の前面の上部側に配置された不透明の鏡面部材611と、センターフレーム610の下縁部の前面に配置され後述するステージ164と同色(例えば不透明黒色)の部材からなるステージ装飾板618とから構成されている。センターフレーム610の前面に鏡面部材611を設けることにより、センターフレーム610を通過する光を遮蔽するとともに、遊技者側から照射された光を反射させている。
また、図15に示すように、センター役物230の左側の側縁部には、センター役物230の外側に開口した第一ワープ入口105と、センター役物230の内側に開口した第一ワープ出口106とを有し、第一ワープ入口105及び第一ワープ出口106を連通する第一ワープ通路107が形成されている。また、同様に第一ワープ通路107の下方には、第一ワープ通路107とは区画されたワープ通路として、第二ワープ入口160及び第二ワープ出口161を有する第二ワープ通路162が形成されている。なお、第一ワープ出口106及び第二ワープ出口161は、センター役物230の背面下部に取付けられたワーク通路形成部材163によって、センター役物230の下縁部近傍まで延出されており、さらに第一ワープ出口106が第二ワープ出口161よりも後側(すなわち遊技者と反対側)になるように形成されている。つまり、センター役物230の外側(左側)の遊技領域37を転動する遊技球が、上側の第一ワープ入口105に入球した場合には、センター役物230の下縁部の奥側に送られ、一方、下側の第二ワープ入口160に入球した場合には、下縁部の手前側(遊技者側)に送られるようになっている。
また、センター役物230には、その下縁部における上面に、第一ワープ通路107の第一ワープ出口106から供給される遊技球を左右方向に転動させることのできる第一棚部165と、第二ワープ通路162の第二ワープ出口161から供給される遊技球を左右方向に転動させることのできる第二棚部166とからなる転動面167を備えたステージ164が備えられている。なお、第一棚部165と第二棚部166との間には段差172が形成され、第一棚部165よりも第二棚部166が低くなっている。つまり、第二棚部166は、第一棚部165よりも遊技者側であって、第一棚部165よりも遊技球の流下方向において下流側に配置されている。
図20及び図21、または図17に示すように、第一棚部165には、中央側に向って次第に低くなる曲面部168と、第一棚部165の中央に設けられ上方に隆起した高台部169とが形成されており、遊技球を曲面部168に沿って左右方向に繰返し転動させるとともに、勢いの弱くなった遊技球が第一棚部165の中央部分に集中することを回避している。また、高台部169の中央には、第一棚部165において左右方向に転動する遊技球を、後方に向って案内する凹状の案内溝170が形成されており、また、高台部169の前縁部分には、遊技球が第一棚部165から第二棚部166に向って排出されることを防止する所定高さの堰部173が立設されている。なお、堰部173は無色透明部材で形成されているため、堰部173の高さが比較的高い場合でも、第一棚部165上を転動する遊技球の挙動を視覚的に遮ることはない。
また、ステージ164の中央部分には、第一棚部165から後方に突出して設けられた入球受入部177が、ステージ164と一体で形成されており、第一棚部165の高台部169上で転動する遊技球を受入れて、第一始動口装置456(後述する)に入球させることを可能としている。このように、入球受入部177が第一棚部165から突出して設けられているため、第一始動口装置456とステージ164とが互いに関連付けられて、第一棚部165上で転動する遊技球が入球受入部177に受入れられるか否かについて、興趣を高めることが可能になる。また、この際、入球受入部177への遊技球の受入が、センター役物230の外側を転動する遊技球によって阻害されることがないため、ステージ164の最適位置から流下する際に発生する期待感を維持することができるとともに、期待感の消失による不安を拭い去ることができる。
入球受入部177は、第一棚部165から後方に向って略水平方向に延出され下面が開放されたアーチ状のガイド部178と、そのガイド部178を覆うとともに斜め上方に延出された板状の上面部179とから構成されている。このため、入球受入部177に入球した遊技球を、ガイド部178に沿って確実に送込むことが可能になる。つまり、入球受入部177に入球した遊技球の勢いが強い場合でも、左右方向の側面から逸脱したり、飛越えたりすることを防止し、滑らかに入球させることが可能になる。また、アーチ形のガイド部178は第一棚部165よりも上方に突出して設けられることとなるが、ガイド部178を覆うように上面部179が形成され、しかも斜め上方に延設するように傾斜して設けられているため、第一棚部165との一体感を印象づけることができるとともに、上面部179によって入球受入部177を大きく見せ目立たせることができる。
一方、第二棚部166には、中央側に向って次第に低くなる曲面部182が形成されており、遊技球を左右方向に繰返し転動させることが可能になっている。なお、この第二棚部166に対しては、第二ワープ通路162を通って直接遊技球が供給される場合と、第一棚部165から排出された遊技球が供給される場合とがある。また、第二棚部166の中央部分には、第二棚部166上の遊技球を、主入賞口ユニット214(図13参照)の略中央直上に流下するように誘導する球誘導路183を更に備えている。この球誘導路183は、第二棚部166の略中央に配置され遊技球を第二棚部166の後側へ案内する凹状の球案内部184と、球案内部184の下方且つ第二棚部166の後側に延出し上方から遊技球を受入可能とする球受部185と、球受部185に受けられた遊技球を球案内部184の下方且つ第二棚部166の前側に開口する球流出口186から流出するように誘導する球誘導部187とから構成されている。なお、第一棚部165と第二棚部166との間、並びに第二棚部166の前縁における所定の箇所には、第一棚部165または第二棚部166から遊技球が逸脱することを規制する所定高さの堰部188が部分的に設けられている。
ところで、ステージを、センターフレーム610と同じように無色透明部材で形成した場合には、ステージで転動する遊技球の挙動が視認し難くなる。つまり、遊技領域板81の背面側に配置された装飾体と遊技球の挙動とが重ねられて視認されるため、遊技球の動きが分かり難くなり、ひいては、遊技球の挙動に対する注目度が低下し、遊技球の転動による演出効果を十分に発揮することができなくなる。
そこで、本例では、ステージ164を有色の部材を具備して構成している。このため、ステージ164上で左右方向に転動する遊技球の動きが分かりやすくなり、遊技球の挙動に対する注目度を高めることが可能になる。なお、ステージ164が有色の部材から構成されていても、ステージ164は、演出表示装置101と後述する電飾ユニット85との境界に位置するため、これらの装飾や演出表示を遮ることがない。しかも、演出表示装置101と電飾ユニット85とが夫々別々の演出部材であることを強調することが可能になり、全体の演出を引き締めることができる。特に、ステージ164は、黒色の不透明部材から形成されているため、ステージ164上を転動する銀色や金色の遊技球の動きを一層分かりやすくするとともに、透明の遊技領域板81上でステージ164自体が目立ちすぎることを抑制できる。
図17〜図19を基に、ステージ164についてさらに詳細に説明する。ステージ164は、遊技球の転動面を形成する無色透明の表面材613(合成樹脂製)と、その表面材613の下面に貼着され表面材613を通して視認可能な黒色の着色部材614(合成樹脂製)とを積層して構成されている。このため、全体として黒色の部材でありながらも表面に透明感を生じさせることが可能となり、無色透明の遊技領域板81や無色透明のセンターフレーム610に対して違和感を与えることを防止できる。また、着色部材614は、互いに離間して配置された複数の着色片615からなり、隣接する着色片615同士の間に、表面材613を通して光を透過させるスリット状の窓部616が形成されるように配置されている。このため、ステージ164が不透明部材であるという感覚を拭い去り、ステージ164とセンターフレーム610との一体感を高めることができ、ひいてはステージ164における違和感を一層少なくすることができる。なお、窓部616はスリット状であり、所定の間隔で配置されていることから、遊技球の視認性についてそれほど影響を与えることはない。また、夫々の着色片615は、図19に示すように、第一棚部165及び第二棚部166に対応する形状となっており、表面材613の底面の略全域にわたって配置されている。また、中央に配置される着色片615には、前述した入賞装置受入部177が一体に形成されている。
表面材613の、窓部616に相当する部分には、通過する光を乱反射させることにより窓部616を半透明状態とする乱反射面617が形成されている。このため、ステージ164の下方に配置された部材の形状を視認させることなく光のみを放射させることができる。
また、図15に示すように、ステージ164の第一棚部165と第二棚部166との間、詳しくは第一棚部165における遊技者側の前縁部の左右両側には、上方に向って突出する無色透明のステージ装飾部材619が備えられている。これにより、ステージ164に立体感を与え、ステージ装飾部材619と遊技球の挙動とを重ねて視認させることができ、挙動に対する興趣を一層高めることができる。特にステージ装飾部材619は、上方に向って突出しているが、無色透明の部材であることから、第一棚部165を転動する遊技球を遮ることがない。しかも、無色透明のステージ装飾部材619を設けることにより、無色透明のセンターフレーム610とステージ164付近との一体感を高め、ひいては着色部材から構成されたステージ164における違和感を一層低減することができる。
(主入賞口ユニットの構成について)
次に、主入賞口ユニット214の構成について、図13に基づいて詳細に説明する。まず、主入賞口ユニット214は、センター役物230の下方における遊技領域37の左右方向略中央部分に配置され、上方に開口するポケット形の第二始動口装置330と、第二始動口装置330の下方に配置され第二始動口装置330と一対の可動片331とで閉鎖又は開放可能な第三始動口装置332と、第三始動口装置332の下方に配置され左右方向に延びる矩形状の大入賞口(図示しない)及び大入賞口を閉鎖可能とし上辺が前方に回動する開閉扉334を有したアタッカ装置335と、アタッカ装置335の左右両側に配置され互いに離反するように斜め上方に開口する一般入賞口336とを備えている。なお、第二始動口装置330及び第三始動口装置332は、いずれも、遊技球を受け入れるための受入部と、受け入れた遊技球を案内する入球通路とから構成されている。また、一般入賞口336は、遊技者側に突出する部分の先端面が閉鎖されるとともに上面が開放された円筒状の部材からなり、遊技領域板81を貫通して設けられている。なお、可動片331は、ステージ164と同色の部材で形成されており、透明の遊技領域板81上で可動片331の動きを強調するとともに、ステージ164との関連性、すなわちステージ164から流下した遊技球が第三始動口装置332に入賞可能となることを意識させるようにしている。ここで、第二始動口装置330が本発明の第二始動口に相当し、第三始動口装置332が本発明の第一始動口に相当する。
また、主入賞口ユニット214は、第三始動口装置332を開閉する一対の可動片331を開閉駆動させる始動口開閉駆動ユニット(図示しない)を更に備えている。この始動口開閉駆動ユニットは、前後方向に進退可能なプランジャを有した始動口ソレノイドと、始動口ソレノイドにおけるプランジャの前後方向の進退に伴って水平方向且つ左右方向(遊技盤面に沿った方向)に延びる軸周りに回動し、一対の可動片331から後側に延在された突出ピンを上下方向に移動可能な伝達部材とを備えている。
また、始動口ソレノイドの下側には中始動口センサ358(図35参照)及び下始動口センサ358が夫々別々に備えられており、第二始動口装置330及び第三始動口装置332に入賞した遊技球が、夫々中始動口センサ358及び下始動口センサ358の貫通孔を通過することで中始動口センサ358及び下始動口センサ358に検出されると共に、主入賞口ユニット214の下側に形成された排出口から排出されるようになっている。ここで、中始動口センサ358が本発明の第二入賞状態検出手段に相当する。
また、主入賞口ユニット214のアタッカ装置335は、大入賞口に入賞した遊技球を検出する大入賞口センサ370(図35参照)と、大入賞口を閉鎖可能な左右方向に延びる矩形状とされ下辺側が軸支されると共に上辺側が直立状態から前方に回動可能とされた開閉扉334と、前後方向に進退可能なプランジャを有したアタッカソレノイド(図示しない)と、アタッカソレノイドにおけるプランジャの前後方向の進退に伴って水平方向且つ左右方向(遊技盤面に沿った方向)に延びる軸周りに回動して開閉扉334を回動させる伝達部材と、大入賞口センサ370、開閉扉334、及びアタッカソレノイド等を支持すると共に大入賞口に入賞した遊技球を大入賞口センサ370で検出されるように誘導する誘導路を有したケーシング(いずれも図示しない)とを備えている。
なお、このアタッカ装置335は、大入賞口の左右方向の幅が、一対の可動片331が開状態となり第三始動口装置332が開放状態となった時の幅よりも、更に広い幅とされており、遊技球がより入賞し易いようになっている。また、大入賞口から進入し大入賞口センサ370で検出された遊技球は、そのまま主入賞口ユニット214の下方へ排出されるようになっている。
また、主入賞口ユニット214は、その第二始動口装置330が、主役物213の球誘導路183における球流出口186(図20参照)の直下に位置するように遊技盤ベース212に取付固定されており、球流出口183から流出した遊技球が、主入賞口ユニット214の第二始動口装置330に入賞する可能性が高くなるように配置されている。
(電飾ユニットについて)
次に、電飾ユニット85の構成について、図22乃至図28に基づいて詳細に説明する。図22は電飾ユニットを右上前方から示す斜視図であり、図23は電飾ユニットのベース部材を右上前方から示す斜視図であり、図24は電飾ユニットに設けられた各装飾体を示す正面図であり、図25は電飾ユニットのうち、ステージ装飾部材を発光させる部分を示す断面図であり、図26は電飾ユニットを示す背面図であり、図27は電飾ユニットから隔壁板及びセンター役物を分離した状態を左上後方から示す分解斜視図であり、図28はセンター役物と電飾ユニットとの組付け状態を示す断面図である。
図22及び図23に示すように、電飾ユニット85のベース部材83は、中央に開口部454を有する略四角形の額縁状に形成されており、数多くのLEDが搭載された複数の発光基板892a〜892e(図36参照)と、夫々の発光基板892a〜892eに接続され遊技状態に基づいてLEDを発光させる発光制御基板450とが収容される内側の基板収容部452と、基板収容部452の外側に延出して形成され電飾ユニット85を遊技盤5における遊技盤ベース212の背面に取付けるための取付部453とから構成されている。なお、基板収容部452の大きさは、遊技盤5の前構成部材79における開口210の大きさ、すなわち遊技領域37の大きさに略一致しており、透明の遊技領域板81を通して遊技者側から視認することが可能になっている。また、ベース部材83の中央には、背面側から透明な板状の隔壁板461が取付けられており、この隔壁板461によってベース部材83に形成された開口部454が閉鎖されている。換言すれば、隔壁板461は、遊技領域板81に形成された開口部82(図14参照)を閉鎖しており、遊技領域37上で転動する遊技球が開口部82を通って後方へ飛び込まないようにしている。
ところで、図14に示すように、遊技盤5の後方に電飾ユニット85及び隔壁板461を備え、さらには、その後方に可動役物ユニット89及び演出表示装置101を備えた遊技機1においては、複数のユニットが前後方向に重ねて配置されることから、ステージ164の奥行寸法を大きくすることができない。このため、転動面167よりも奥側のステージ164上に第一入賞通路457の受入口を形成しようとすると、転動面167の奥行寸法が相対的に狭くなり、ひいては第一棚部165及び第二棚部166を形成することが困難になる。すなわち、転動面167上での遊技球の挙動を楽しませることが困難となる。
そこで、本例では、遊技盤5の後方に組付けられた電飾ユニット85のベース部材83に、第一始動口装置456の第一入賞通路457を形成している。具体的には、ベース部材83における下部側の内周縁に、第一始動口装置456の第一入球通路457が形成されている。この第一入球通路457は、図28に示すように、ステージ164の後方に配置されており、ベース部材83と一体に成形されている。さらに詳しく説明すると、背面側が開放され且つステージ164に向って突出した樋状の誘導壁部460が、入口部459を上端として縦方向に形成されている。なお、誘導壁部460は、遊技領域板81から後方に突出する主入賞口ユニット214と干渉しないように、左方向に迂回して形成されている(図26参照)。また、誘導壁部460の背面側は、隔壁板461の下端から下方に延出された蓋部462によって塞がれている。すなわち、ベース部材83と一体に形成された誘導壁部460と、隔壁板461と一体に成形された蓋部462との組合せによって第一入球通路457が形成されている。また、第一入球通路457には、第一入球通路457に遊技球が入球したことを検出する上始動口センサ416(図26参照)が設けられている。ここで、第一始動口装置456が本発明の第一始動口に相当し、上始動口センサ416が本発明の第一入賞状態検出手段及び入賞状態検出手段に相当する。
これによれば、電飾ユニット85等を配置するためのスペースを確保するとともに、転動面167における奥行寸法を狭くすることなく、第一入賞通路457を形成することが可能になる。つまり、電飾ユニット85を利用して第一入賞通路457を形成することにより、ステージ164の大型化を防止するとともに、転動面167上で転動する遊技球を、ステージ164後方の第一入賞通路457に入球させることが可能になる。なお、転動面167における第一棚部165の後方には、隔壁板461が設けられており、しかも、この隔壁板461は、第一入賞通路457の一部を構成することから、隔壁板461(図27参照)における蓋部462の表側600に誘導部を形成すれば、ステージ164の後端から流出する遊技球を第一入賞通路457内に確実に受入れることが可能になる。つまり、隔壁板461から第一棚部165側に誘導部(入球受入部に相当)を突出させれば、第一入賞通路457の周囲から遊技球を逸脱させることなく、受入れることが可能になる。なお、隔壁板461における蓋部462の表側600のみで第一入賞通路及び誘導部を形成することも可能であり、このように形成した場合には、第一入賞通路457及び受入部を全て一体化することができることから、構成が一層簡単となる。
ところが、このように、第一入賞通路457とともに入球受入部をステージ164とは別の構成物、すなわち、電飾ユニット85や隔壁板461によって一体的に形成するものでは、センター役物230または遊技盤5に対する電飾ユニット85の組付誤差によって、転動面167に対する第一入賞通路457及び入球受入部の位置が変化することがあり、この場合には第一入賞通路457への入球確率が個々の遊技機においてばらつくこととなる。
そこで、本例では、前述したように、入球受入部177を、第一棚部165から後方に突出させ、しかもステージ164と一体で形成しており、第一棚部165の高台部169上で転動する遊技球を入球受入部177によって受入れて、第一入賞通路457に入球させるようにしている。このため、入球受入部177を第一棚部165に対して一定の位置に配置することができ、第一入賞通路457への入球確率を安定化させることができる。すなわち、センター役物230に対して電飾ユニット85を組付ける際に組付け誤差が生じても、第一入賞通路457への入球確率のバラツキを防止することが可能となる。
一方、図23に示すように、ベース部材83の下部には、遊技領域板81の背面から後方に突出した第一始動口装置456が収容可能な大きさの、窪み部464及び切欠部465が形成されており、電飾ユニット85と第一始動口装置456とが互いに干渉し合わないように構成されている。また、切欠部465の左右両側には、誘導通路466が形成されており、遊技盤5の遊技領域板81に取付けられ後方に延出された一般入賞口336の突出部分が挿入されるようになっている。つまり、一般入賞口336に入球した遊技球は、誘導通路466に送られるようになっている。なお、誘導通路466内には、入賞状態検出手段(図示しない)が配置されており、一般入賞口336に入球したことが検出されるように構成されている。また、ベース部材83の左側下部には、ベース部材83を貫通する配線挿通部467が形成されており、遊技領域板81に取付けられたゲートセンサ990の電線が配線挿通部467を通して電飾ユニット85の後方まで配線されるようになっている。つまり、透明な遊技領域板81を通して電線が露出されないように、ゲートセンサ990から真直ぐ後方に配線されている。なお、ベース部材83の背面には、配線挿通部467と連通する筒状の案内部468(図26,図27参照)が後方に延出されている。
また、図22に示すように、ベース部材83には、特別図柄表示器470、保留ランプ472、及び普通図柄表示器928が配設されている。特別図柄表示器470は、7セグメントLEDからなり、第一始動口装置456(または第三始動口装置332)、及び第二始動口装置330への遊技球の入賞に応じて点灯し、所定の図柄(数字や記号)によって各始動口に対応した特別図柄を表示するようになっている。
また、保留ランプ472は、四つのLEDから構成されており、夫々のLEDが消灯、点灯などをして、第一始動口装置456(または第三始動口装置332)、及び第二始動口装置330への遊技球の入賞による始動保留数を表示し、夫々4つまで始動保留を表示させることができるようになっている。なお、特別図柄表示器470及び保留ランプ472は、一つのユニットとしてベース部材83から遊技者側に大きく突出しており、遊技領域板81に設けられた表示窓471(図13参照)に嵌込まれている。
発光基板892a〜892eは、額縁状の基板収容部452に分割して配設されており、夫々の発光基板892a〜892eの前側に、装飾体84として、上側装飾体480、右側装飾体481、左側装飾体482、右下装飾体483、及び左下装飾体484が取付けられている。これらの装飾体84には、光を透過する開口や透明部が形成されており、これらを通して光を放射することにより、立体的な電飾を奏している。具体的には、図24に示すように、上側装飾体480は、ベース部材83の上部側に配置され、遊技者側に突出し光を浮出させる立体的な突出装飾部486と、放射状に広がるスリット部488aを周囲に有するとともに光を拡散するレンズ部488bを中央に有する透過装飾部488と、遊技者側に突出する円筒状の筒状発光部489と、上下方向に延びるように帯状に形成され左右方向に所定の間隔で配置された半透明の帯状発光部490とが形成されている。
右側装飾体481は、ベース部材83の右部側に配置され、左右方向に延びるように帯状に形成され上下方向に所定の間隔で配置された半透明の帯状発光部492が形成されている。左側装飾体482は、ベース部材83の左部側に配置され、放射状に広がるスリット部494a及び光を拡散するレンズ部494bを中央に有する透過装飾部494と、遊技者側に突出する円筒状の筒状発光部495と、左右方向に延びるように帯状に形成され上下方向に所定の間隔で配置された半透明の帯状発光部496とが形成されている。
また、右下装飾体483は、ベース部材83の右下部に配置され、建物の形状を呈し窓を通して光を透過可能な建物発光部497と、上下方向に延びるように帯状に形成され左右方向に所定の間隔で配置された半透明の帯状発光部499と、開口部454(図23参照)に向って突出し、下方から光が照射されて発光する無色透明の透明発光部500とが設けられている。なお、建物発光部497には、ベース部材83の誘導通路466(図23参照)と連通する貫通孔498が穿設されており、遊技領域板81の背面から後方に突出する一般入賞口336(図13参照)を挿入させることが可能になっている。また、右下装飾体483の前側下部には、文字盤照射ユニット510が設けられており、遊技領域板81に取付けられた文字表示体231(図15参照)に対して後方から光を照射させるようになっている。ここで、透明発光部500は、図25に示すように、ステージ164の後方に配置されるとともに、センターフレーム610の開口部を通して視認可能となっている。このため、ステージ164の立体感及び意匠性をさらに高め、ステージ164付近への注目を一層高めることが可能になる。また、発光基板892に設けられた上向き発光手段631によって、透明発光部500に対し下方から光を照射させるため、透明発光部500がライトアップされ、演出効果を高めることが可能になる。
左下装飾体484は、ベース部材83の左下部に配置され、右下装飾体483と同様、建物発光部502と、帯状発光部505と、透明発光部506とが設けられている。また、左下装飾体484には、一般入賞口336が挿入される貫通孔503と、ベース部材83に形成された配線挿通部467(図23参照)と合致しゲートセンサ990の電線が挿通する挿通孔504とが設けられている。
また、右下装飾体483及び左下装飾体484(まとめて「下側装飾体」という)は、他の装飾体(まとめて「上側装飾体」という)よりも前後方向への起伏が大きくなっている。つまり、下側装飾体は凹凸の大きな形状を呈している。このため、着色されたステージ164が恰も下側装飾体の一部であるかのように、一体的に見せることができ、ステージ164のみが浮き出て見えること、すなわち無色透明の遊技領域板81上でステージ164が目立ち過ぎることを防止できる。なお、上側装飾体は前後方向への起伏が比較的小さいため、無色透明のセンターフレーム610に調和させることができるとともに、遊技領域板81上を転動する遊技球の挙動が視認しやすくなる。
ところで、図29に示すように、発光基板892における、センター役物230の後方位置には、センターフレーム610側に向って光を放射する複数の前向き発光手段632が備えられており、前向き発光手段632から放射された光を、センター役物230を通して遊技者側に投射することで、センター役物230が発光しているように見せることが可能になっている。つまり、センター役物230に電飾の機能を持たせ、センター役物230に対して注意を引きつけることが可能になっている。
ところが、センター役物230における発光領域のすぐ後方に発光源を配置するものでは、比較的狭い空間に発光源を取付けたり、発光源に接続された電線をセンター役物230の内部で引き回したりしなければならず、センター役物230内の構成が複雑になるともに、組付けが困難になる。また、製造コストが増加するとともに作業者の負担も大きくなる。特に、複数色の光を同時に投射する場合には、複数の発光源を配置しなければならず、構成の複雑さ及び組付けの困難さが助長する。
そこで、本例では、センター役物230周辺における構成の複雑さ及び組付けの困難さを解消し、しかも立体的な電飾を可能にする光伝搬機構を備えている。以下、図29〜図32を基に光伝搬機構640について説明する。
図29は発光基板892からセンター役物230に光を伝搬する部分の構成、特にその構成を分解して斜め前方から示す斜視図であり、図30はセンター役物230の前面(遊技者側の面)における要部を示す拡大正面図であり、図31は図30のA−A断面を示す断面図であり、図32は筒状伝搬部材の構成を示す正面図である。
図29及び図31に示すように、光伝搬機構640は、発光基板892に搭載され、互いに発光色の異なる第一発光源641及び第二発光源642と、センター役物230の前面(遊技者側の面)に形成され、光を背面側から受け遊技者側に向って投射する第一発光領域651及び第二発光領域652と、第一発光源641及び第二発光源642から放射された光を第一発光領域651及び第二発光領域652に伝搬する円筒状の筒状伝搬部材489とを具備して構成されている。
筒状伝搬部材489は、透明部材からなり、発光基板892とセンター役物230との間に配置された装飾体84を貫通して配置されている。また、筒状伝搬部材489は、円筒形であることから内周の内側である中空部653と、内周及び外周の間である肉厚部654とに大別されるが、中空部653の先端(図面では上端)が第一発光領域651と対向し、中空部653の後端が第一発光源641と対向するように、また、肉厚部654の先端が第二発光領域652と対向し、中空部653の後端が第二発光源642と対向するように配置されている。つまり、第一発光源641から放射された光を、中空部653を通して第一発光領域651に伝搬させ、第二発光源642から放射された光を、肉厚部654を通して第二発光領域652に伝搬させるように構成されている。なお、第一発光源641から放射された光は、図31の矢印Aに示すように、中空部653内をそのまま通過する場合もあれば、矢印Bに示すように肉厚部654の内周面で反射することにより伝搬される場合もある。また、同様に、第二発光源642から放射された光は、図31の矢印Cに示すように、肉厚部654内をそのまま通過する場合もあれば、矢印Dに示すように肉厚部654の内周面と外周面との間で反射することにより伝搬される場合もある。このように作用することにより、第一発光領域651及び第二発光領域652の背面側に照射された光は、第一発光領域651及び第二発光領域652を通して遊技者側に投射され、第一発光領域651及び第二発光領域652が互いに異なる色で光って見えるようになる。なお、本例では、第一発光源641及び第二発光源642として、点状の光を放射する発光ダイオードが用いられている。なお、夫々の発光色は特に限定されるものではないが、本例では第一発光源641を白色とし、第二発光源642を赤色としている。
このように、互いに異なる色の第一発光源641及び第二発光源642から放射された光を、筒状伝搬部材489を通して第一発光領域651及び第二発光領域652まで伝搬することから、センター役物230に対して発光基板892を離れた位置に配置することが可能になり、センター役物230周辺の構成が複雑になったり組付けが困難になったりすることを防止できる。また、筒状伝搬部材489は、装飾体84を貫通して配置されるため、本例のように大型の装飾体84が設けられた場合であっても、第一発光源641及び第二発光源642から放射された光をセンター役物230まで確実に伝搬することができる。また、筒状伝搬部材489は円筒状であるため、第二発光源642から放射された光が肉厚部654を通る際、周方向に回り込ませることができ、第一発光領域651の周囲を略均等な明るさで光らせることができる。
なお、本例では3個の第二発光源642が周方向に所定の間隔で配設されており、第二発光領域652の明るさをさらに高めるとともに、肉厚部654の全周から略均等の明るさの光を投射することを可能にしている。また、筒状伝搬部材489は発光基板892及びセンターフレーム610の発光面に対して垂直に配置されているため、第一発光源641及び第二発光源642と、第一発光領域651及び第二発光領域652との間隔が必要最小限の長さとなる。
また、筒状伝搬部材489における肉厚部654の先端面、すなわち第二発光領域652に対向する端面には、倒立切頭角錐状の切欠き658が形成されている。つまり、外周縁から内周縁に向って漸次深くなるように皿状にカットされている。このため、第二発光源642から放射され肉厚部654を通って伝搬された光は、肉厚部654の先端から投射される際、切欠き658部分によって遠心方向に反射し放射状に広げられる(図31の矢印E参照)。このため、肉厚部654の厚みが比較的薄い場合(すなわち径が小さい場合)でも、第二発光領域652を比較的大きく形成することができ、第二発光領域652全体にわたって光を照射させることができる。
特に、本例では、第二発光領域652は、第一発光領域651の周囲に形成され放射状に広がる複数の平面部670(図30参照)から構成されているため、肉厚部654の先端の切欠き658は、肉厚部654を通して伝搬された光を、第二発光領域652における夫々の平面部670に向って放射状に反射させることができるように倒立切頭角錐状に形成されている。このように、第二発光領域652における平面部670の配置に対応して反射方向を設定することにより、夫々の平面部670に対して効率的に光を照射させることが可能になり、ひいては夫々の平面部670における照度を高めることができる。また、筒状伝搬部材489は、第一発光領域651及び第二発光領域652との間に隙間659を介して配置されている。このため、肉厚部654の先端で反射した光が第二発光領域652の背面に照射されるまでの間に、光を遠心方向に進め、比較的広い範囲にわたって照射させることが可能になる。
また、センターフレーム610の第一発光領域651には、中空部653を通して伝搬された光を遊技者側に投影するレンズ671が形成されている。このため、第一発光源641から放射される光線束を発散させて視認させることができ、発光装飾部分の中心である第一発光源641を一層目立たせることが可能になる。特に、レンズ671と筒状伝搬部材489との間には、レンズ671の周囲を囲みレンズ室を区画する環状の区画部材672が形成されているため、第一発光領域651と第二発光領域652との境界が明確となり、互いに異なる色の光が混合することを抑制できる。なお、図30に示すように、レンズ671は正面視が円形であり、レンズ671における遊技者側の表面には、同心円上に配置された複数の円形溝673が形成されているため、レンズ671を通過する光の一部が複数の円形溝673によって反射し、レンズ671を通して第一発光源641の形状が明瞭に見えすぎることを防止できる。
また、図29及び図31に示すように、筒状伝搬部材489は取付部材674と一体に成形されており、装飾体84の裏面に取付部材674を介して固定状態に取付けられている。このため、筒状伝搬部材489の端面を発光基板892やセンターフレーム610に連結しなくても、筒状伝搬部材489を支持することが可能になり、組付作業が容易になるとともに構成が一層簡単になる。また、本例では、第一発光源641、第二発光源642、及び筒状伝搬部材489を含む光伝搬機構640が複数設けられているが、何れの筒状伝搬部材489も電飾ユニット85の開口部454付近に配置されており、筒状伝搬部材489の外周面のうち少なくとも一部が視認可能となっている(図12参照)。特に、図29に示すように、何れの装飾体84も開口部454側の端部が後方に向って折れ曲がり、その部分に筒状伝搬部材489を貫通させる透孔676が設けられている。このため、筒状伝搬部材489の長さの半分以上を直接視認させることが可能となり、筒状伝搬部材489を図24に示す筒状発光部495として作用させることが可能となっている。
ところで、センターフレーム610において複数の発光領域を設ける場合、すなわち、複数組の光伝搬機構640を設ける場合には、夫々の発光領域における突出高さを互いに異ならせることが好ましく、これによれば一層立体的な電飾を行うことが可能になる。本例では、複数組の光伝搬機構640を設けるにあたって、夫々の筒状伝搬部材489を互いに独立して配置しているため、夫々の筒状伝搬部材489の長さを任意に異ならせることが可能になる。すなわち、複数組の第一発光源641及び第二発光源642が搭載される発光基板892が平面的な形状であり、且つセンターフレーム610における夫々の発光領域の突出位置が互いに異なる立体的な形状であっても、夫々の筒状伝搬部材489の長さを個別に設定することにより、全ての発光領域に対して、第一発光源641及び第二発光源642から放射された光を確実に伝搬することが可能となっている。
また、発光基板892には、装飾体84に向って光を放射する第三発光源643も設けられ、一方、装飾体84には、第三発光源643から放射された光を背面側から受け遊技者側に向って発光する第三発光領域675が設けられている。これによれば、発光基板892から発せられた光は、センターフレーム610に伝搬されるだけでなく、装飾体84の発光領域にも照射されるため、さらに立体的な電飾を行うことが可能になり、意匠性を一層高めることができる。なお、第三発光領域675には、センターフレーム610に形成されたレンズ671と同様のレンズ部が形成されている。
(可動役物ユニットについて)
次に、可動役物ユニット89について、図33及び図34に基づいて詳細に説明する。図33は可動役物ユニット89を右上前方から示す斜視図であり、図34は可動役物ユニット89における可動役物87及び可動機構部88を示す説明図である。
図33に示すように、この可動役物ユニット89は、遊技領域板81の開口部82(図14参照)を通して視認可能な可動役物87と、その可動役物87を動作させるための可動機構部88と、可動役物87に対して側方から光を照射する照射手段570とを具備するものであり、樹脂製のケース520内に収容されている。ケース520は中央に矩形の開口部521を有するとともに、前面(すなわち遊技者側)が開放された箱状の筐体であり、可動役物87を収容する可動物収容室522と、可動機構部88の一部を分離して収容する第一機構収容室523及び第二機構収容室524と、照射手段570を動作させるための発光制御基板525を収容する基板収容室526とを有している。また、基板収容室526の左側には、ベース部材83の背面から後方に突出した案内部468(図27参照)が嵌込まれる筒状ガイド部527が前方に突出するとともにケース520を貫通して形成されている。また、開口部521の周縁部には、可動役物ユニット89の背面に取付けられる演出表示装置101の画面枠となる黒色の表示装置枠528が取付けられている。
可動役物87は、水平方向に延びる棒状の横設操作杆530と、その横設操作杆530に直交し鉛直方向に延びる棒状の縦設操作杆531と、横設操作杆530及び縦設操作杆531の交差部分に設けられ、演出表示装置101に表示される演出画像を指し示す円筒状のターゲット指標部532とから構成されている。なお、ターゲット指標部532は、円筒状の可動本体部532aと、その可動本体部532aよりも径が大きく可動本体部532aの前面を塞ぐ指標表示部532bとからなり、可動本体部532aの周面には、横設操作杆530及び縦設操作杆531が夫々挿通する二組の開口が、前後方向に位置をずらして形成されている。つまり、ターゲット指標部532は、横設操作杆530及び縦設操作杆531の交差部分に設けられており、且つ横設操作杆530及び縦設操作杆531に対して長さ方向に摺動可能になっているため、横設操作杆530及び縦設操作杆531を夫々別々にY軸方向及びX軸方向に移動させることにより、ターゲット指標部532を遊技者と対向する平面上において任意の位置へ変位させることができる(図34参照)。
図34(a)に示すように、横設操作杆530を動作させる可動機構部88として、第一機構収容室523に配置され正転及び反転が可能な第一モータ540と、可動物収容室522の上部において水平方向に設けられ回転可能に支持された第一回転軸542と、第一モータ540及び第一回転軸542を連結し第一回転軸542を回転させる第一動力伝達機構541とを具備して構成されている。また、第一回転軸542の両端には、一対の第一駆動プーリー543が嵌合されており、第一回転軸542と一体的に回転するように構成されている。第一駆動プーリー543に対して、可動物収容室522の下部には、一対の第一従動プーリー544が回転可能に支持されており、さらに、右側に配置された第一駆動プーリー543と第一従動プーリー544、及び左側に配置された第一駆動プーリー543と第一従動プーリー544には、夫々無端の第一ベルト545が巻き掛けられている。また、第一ベルト545の内周面には、第一ベルト545を横断する帯状の突起が所定の間隔で形成されており、その第一ベルト545の一部を挟持するように第一連結部材547が取付けられている。なお、第一連結部材547は、第一ベルト545の内周面に形成された突起と係合し第一ベルト545の送り方向には摺動しないように取付けられている。第一連結部材547の内側の面には、横設操作杆530の端部を嵌入可能な受孔部(図示しない)が形成されており、横設操作杆530は、左右両側に配置された一対の第一連結部材547の受孔部に夫々嵌入させることにより両端が支持されている。このため、第一モータ540によって第一回転軸542が回転すると、左右に配置された第一ベルト545を介して夫々の第一連結部材547が上下方向に移動することとなり、横設操作杆530は、水平方向を維持したまま上下方向(Y軸方向)に並行移動することとなる。なお、夫々の第一連結部材547は、可動物収容室522の右側及び左側に固定された一対の第一ガイド棒548に対して上下方向に摺動可能に嵌挿されており、これにより横設操作杆530における前後方向の振れをなくし、安定した移動を可能としている。また、第一従動プーリー544の近傍には第一テンション機構549が設けられており、第一従動プーリー544を下方に向って付勢することにより、第一ベルト545に適度のテンションがかかるようになっている。
また、縦設操作杆531を動作させる可動機構部88として、上記の機構と同様の機構を備えている。すなわち、図34(b)に示すように、第二機構収容室524に配置された第二モータ560と、可動物収容室522の右側において鉛直方向に設けられた第二回転軸562と、これらを連結し第二回転軸562を回転させる第二動力伝達機構561とを具備して構成されている。また、第二回転軸562の両端には、一対の第二駆動プーリー563が嵌合されており、第二回転軸562と一体的に回転するようになっている。可動物収容室522の左部には、一対の第二従動プーリー564が回転可能に支持されており、さらに上側に配置された第二駆動プーリー563と第二従動プーリー564、及び下側に配置された第二駆動プーリー563と第二従動プーリー564には、夫々無端の第二ベルト565が巻き掛けられている。また、第二ベルト565の一部を挟持するように第二連結部材567が取付けられている。第二連結部材567における内側の面には、縦設操作杆531の端部を嵌入可能な受孔部(図示しない)が形成されており、縦設操作杆531は、左右に配置された一対の第二連結部材567の受孔部に対して両端を嵌入させることにより支持されている。このため、第二モータ560によって第二回転軸562が回転すると、上下に配置された第二ベルト565を介して夫々の第二連結部材567が左右方向に移動することとなり、縦設操作杆531は、鉛直方向を維持したまま水平方向(X軸方向)に並行移動することとなる。なお、夫々の第二連結部材567は、可動物収容室522の上側及び下側に固定された一対の第二ガイド棒568に嵌挿されており、これにより縦設操作杆531における前後方向の振れをなくし、安定した移動を可能にしている。また、第二従動プーリー564の近傍には第二テンション機構569が設けられており、第二従動プーリー564を左側に向って付勢することにより、第二ベルト565に適度のテンションがかかるようになっている。
また、図33に示すように、可動物収容室522には、可動物収容室522の外周に沿って配設され可動役物87に向って光を照射する照射手段570が備えられている。具体的には、基板上に複数のLEDを一列に配列したものであり、横設操作杆530の上方から光を照射する上側LED基板575と、横設操作杆530の下方から光を照射する下側LED基板576と、縦設操作杆531の右側から光を照射する右側LED基板577と、縦設操作杆531の左側から光を照射する左側LED基板578とから構成されている。また、横設操作杆530及び縦設操作杆531は、白色の樹脂部材からなり、遊技者側に向って先端が尖った断面略三角形の形状を呈している。つまり、側方から照射される光を遊技者側に反射させるように三角形に形成されている。また、ターゲット指標部532の可動本体部532aは光透過性の部材で形成されており、内部を通過する光を反射させることにより、遊技者側から見て光って見せるようになっている。
[主基板及び周辺基板の機能的な構成について] 図35及び図36に基づき説明する。
図35及び図36は、制御構成を概略的に示すブロック図である。なお、これらの図面において太線の矢印は電源の接続及び方向を示し、細線の矢印は信号の接続及び方向を示している。本例のパチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板810のグループ(図35に示す)と、周辺基板811のグループ(図36に示す)とで分担されており、このうち主基板810のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板811のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示、及び装飾体の動作等)を制御している。
図35に示すように、主基板810は、主制御基板94と払出制御基板133とから構成されている。主制御基板94は、中央演算装置としてのCPU812、読み出し専用メモリとしてのROM813、読み書き可能メモリとしてのRAM814を備えている。CPU812は、ROM813に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板811や払出制御基板133に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM814には、主制御基板94で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。なお、主基板810は、電源中継端子板860を介して電源基板131に接続されており、電源基板131から作動用電力が供給されるようになっている。ここで、主制御基板94が本発明の主制御手段に相当する。
この主制御基板94の入力インタフェースには、第一始動口装置456への入賞状態を検出する上始動口センサ416、第二始動口装置330への入賞状態を検出する中始動口センサ358、第三始動口装置332への入賞状態を検出する下始動口センサ340、全ての入賞口に対する入賞数をカウントするための全入賞口入賞数計数センサ870が接続されている。また、パネル中継端子板866を介して、通過ゲート790に対して遊技球の通過したことを検出するゲートセンサ990と、右側の一般入賞口336に遊技球が入賞したことを検出する右一般入賞口センサ417aと、左側の一般入賞口336に遊技球が入賞したことを検出する左一般入賞口センサ417bとが接続され、さらにパネル中継端子板866に接続された大入賞口中継端子板867を介して大入賞口センサ370が接続されている。そして、これらのセンサから検出信号が主制御基板94に入力されるようになっている。また、主制御基板94の入力インタフェースには、前枠体11の開放状態を検出する内枠開放スイッチ862、及び前面枠4の開放状態を検出する扉開放スイッチ863も接続されている。ここで、下始動口センサ340が本発明の第一入賞状態検出手段及び入賞状態検出手段に相当する。
一方、パネル中継端子板866の出力インタフェースには、図柄制限抵抗基板868を介して、普通図柄・特別図柄表示基板869が接続されており、主制御基板94から、普通図柄表示器928(図56参照)及び特別図柄表示器470へ駆動信号を出力することが可能になっている。また、大入賞口中継端子板867の出力インタフェースには、アタッカ装置335を駆動するアタッカソレノイド372、及び可動片331を駆動する始動口ソレノイド352が接続されており、主制御基板94から、これらの駆動信号が出力されるようになっている。
一方、払出制御基板133は、中央演算装置としてのCPU815、読み出し専用メモリとしてのROM816、及び読み書き可能メモリとしてのRAM817を備えている。そして、払出制御基板133は、主制御基板94から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置125や、発射制御基板865に接続された発射モータ128に対して、駆動信号を出力する。これにより、球払出装置125は、駆動信号に従って遊技球を払い出し、発射モータ128は駆動信号に従って遊技球を発射させることが可能になる。なお、主制御基板94と払出制御基板133との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板94が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板133から主制御基板94にACK信号が返される。また、払出制御基板133には、下皿31に貯えられる遊技球が満タンになったことを検出する下皿満タンスイッチ864も接続されており、この検出に基づいて、「遊技球を下皿31から取り出す旨」の報知がなされる。
また、主制御基板94及び払出制御基板133には、外部端子板861が接続されており、第一始動口装置456、第二始動口装置330、第三始動口装置332や大入賞口への入賞状態、普通図柄・特別図柄の変動状態、及び抽選結果に基づく遊技状態等の各種情報が、遊技施設に設けられたホールコンピュータ等へ出力されるようになっている。
一方、周辺基板811は、図36に示すように、周辺制御基板830と液晶制御基板832とから構成されている。なお、上記の主制御基板94と周辺制御基板830との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板94から周辺制御基板830へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。また、周辺基板811に対しても電源中継端子板860を介して電源基板131から作動用電力が供給されるようになっている。ここで、周辺制御基板830が本発明の副制御手段に相当する。
周辺制御基板830もまた、CPU834をはじめROM835やRAM836等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することが可能となっている。また、周辺制御基板830には、音声や音楽の基となる音源を記憶したROM883と、ROM883に記憶された音源を基に、演出内容等に応じた音声や音楽を出力する音源IC882とが設けられている。なお、周辺制御基板830と液晶制御基板832との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。
一方、液晶制御基板832には、演出表示装置101としての液晶表示器(LCD)が接続されており、液晶制御基板832は、周辺制御基板830から送信されたコマンド信号を処理し、演出表示装置101に対して駆動信号を出力する。詳しく説明すると、液晶制御基板832には、CPU851、RAM857、ROM854、VDP884、及び画像ROM885が備えられている。CPU851は、周辺制御基板830から送られてきたコマンド信号を入力インターフェイスを介して受信するとともに、そのコマンドを基に演算処理を行って、VDP884の制御を行う。RAM857は、CPU851の作業領域を提供するとともに、表示コマンドに含まれる情報を一時的に記憶する。また、ROM854は、CPU851用(表示制御用)のプログラムを保持する。ここで、演出表示装置101が本発明の表示手段,第一表示手段,第二表示手段,第一演出表示手段,及び第二演出表示手段に相当する。つまり、本例では、第一演出表示手段と第二演出表示手段とを兼用したものを示し、ここに共通の装飾図柄列を表示させるようにしている。
VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)884は、演出表示装置101に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する描画回路である。VDP884の内部には、レジスタが設けられており、VDP884の動作モードや各種表示機能の設定情報等を保持しておくことが可能となっている。そして、このレジスタに保持される各種情報をCPU851が書き換えることにより、演出表示装置101における表示態様を種々変化させることが可能となる。画像ROM885は、各種の画像データを記憶する不揮発性メモリであり、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、及び、背景画像用のJPEG形式画像データ等が記憶されている。
また、周辺制御基板830には、電飾制御基板890が接続されており、さらに、電飾制御基板890には、役物駆動制御基板891が接続されるとともに、電飾ユニット85の基板収容部452に収容された複数の発光基板、具体的には、上側装飾体480に対応して設けられた上側発光基板892a、右側装飾体481に対応して設けられた右側発光基板892b、左側装飾体482に対応して設けられた左側発光基板892c、右下装飾体483に対応して設けられた右下発光基板892d、及び左下装飾体484に対応して設けられた左下発光基板892eが接続されている。また、役物駆動制御手段891には、可動役物ユニット89のケース520内に収容された、第一モータ540、第二モータ560、上側LED基板575、下側LED基板576、右側LED基板577、及び左側LED基板578が夫々接続されている。また、役物駆動制御手段891には、横設操作杆530及び縦設操作杆531の可動位置を、第一モータ540及び第二モータ560の回転位置によって検出する第一モータセンサ540a及び第二モータセンサ540bも接続されている。
次に、主制御基板94(特にCPU812)で実行される制御処理の例について、図37乃至図47を参照して説明する。図37(a)は主制御基板94に搭載されるCPU812が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートであり、(b)は電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。図38は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。図39は、特別図柄・特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。図40は、始動口入賞処理を示すフローチャートである。図41は、変動開始処理を示すフローチャートである。図42は、変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図43は、変動中処理の一例を示すフローチャートである。図44は、大当り遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。図45は、小当り遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。図46は、特別電動役物大当り制御処理の一例を示すフローチャートである。図47は、特別電動役物小当り制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、タイマ割込処理は、主制御基板94に搭載されるCPU812により所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)で実行される。
図37(a)に示すように、パチンコ機1へ電力の供給が開始されると、CPU812は、電源投入時処理を実行する(ステップS1)。この電源投入時処理では、RAM814に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否か判別し、正常であればRAM814に記憶されているバックアップデータに従って停電発生時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行し、バックアップデータが異常であればRAM814をクリアしてCPU周辺のデバイス設定(通常の初期設定:割込タイミングの設定等)を行う。なお、遊技途中でパチンコ機1への電力供給が停止すると、RAM814に現在の遊技状態がバックアップデータとして記憶される。また、電源投入時処理にてRAM814に記憶されているバックアップデータのクリアを指示するRAM消去スイッチがオンであれば、RAM814をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理にて主制御基板94に搭載されるRAM814にバックアップデータが保存されていない場合には、RAM814をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理では、通常の初期設定を実行したときに周辺制御基板830に主制御基板94が起動したことを示す電源投入コマンドを送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板94が起動したことを周辺制御基板830に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM814にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理が終了すると、CPU812は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU812は、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判定する(ステップS2)。なお、この実施の形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板(図示しない)によって生成する。すなわち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に供給している。しかして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板94に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS2で主制御基板94に搭載されるCPU812により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS4)。この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧(この実施の形態では、24V)が復旧した場合に(以下、復電と呼ぶ)、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM814にバックアップデータとして記憶する処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS2で停電予告信号が検知されていない場合、すなわち外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる各種乱数を更新する乱数更新処理2を行う(ステップS3)。なお、乱数更新処理2にて更新される乱数については後述する。
図37(b)は、電源断発生時処理(ステップS4)の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理は、メイン処理において、停電予告信号が検出された時に実行される処理である。CPU812は、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS4a)。そして、RAM814のチェックサムを算出し、RAM814の所定領域に保存する(ステップS4b)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM814の内容が保持されているか否かをチェックするのに使用される。
次いで、CPU812は、RAM814の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS4c)。以上の処理を終えると、CPU812は、RAM814へのアクセスを禁止し(ステップS4d)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。なお、この処理では、ごく短時間の停電等(以下、「瞬停」と呼ぶ)によって、電源電圧が不安定となることにより、電源断発生時処理が開始されてしまった場合、実際には電源電圧は停止されないため、上記処理では、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU812には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入り、更新が行われなくなる。この結果、瞬停によって、電源断発生時処理に入り、図37の無限ループに入った場合でも、所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU812が起動することになる。
図38は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、この実施の形態では、メイン処理の実行中に主制御基板94に搭載されるCPU812により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU812は、レジスタの退避処理を実行した後(ステップS10)、ステップS11からステップS18の処理を実行する。ステップS11のスイッチ入力処理では、上述したスイッチ(ゲートスイッチ、始動口センサ、カウントセンサ、一般入賞スイッチ等)の検出信号を監視する処理を実行する。ステップS12の乱数更新処理1では、遊技にて用いられる各種乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施の形態では、乱数更新処理1にて更新される乱数と、上述した乱数更新処理2にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、乱数更新処理2にて更新される乱数を乱数更新処理1でも更新するようにしてもよい。ステップS13の払出動作処理では、スイッチ入力処理(ステップS11)にて検出された信号に基づいて払出制御基板133に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを設定する。
また、ステップS14の普通図柄・普通電動役物制御処理では、遊技の進行状態に基づいて、普通図柄を変動させるとともに、普通電動役物(すなわち始動口ソレノイド352によって開閉される可動片331)を制御し、第三始動口装置332の開閉状態を変化させる処理を実行する。ステップS15の特別図柄・特別電動役物制御処理では、遊技の進行状態に基づいて特別図柄表示器470で第一特別図柄及び第二特別図柄を変動表示させたり、特別電動役物(すなわちアタッカソレノイド372によって開閉される開閉扉334(アタッカ装置335))を制御し、大入賞口の開閉状態を変化させたりする処理を実行する。ステップS16の出力データ設定処理では、パチンコ機1の外部(例えば、管理コンピュータ等)に遊技状態を示す状態信号を出力する処理、特図始動記憶ランプ(図示しない)に駆動信号を出力する処理、等を実行する。ステップS17のコマンド送信処理では、演出コマンドを周辺制御基板830に送信する処理を実行する。また、コマンド送信処理では、パチンコ機1への電力供給が開始されたときに電源投入時処理(ステップS1)でセットされた電源投入コマンドを周辺制御基板830に送信する処理も行われる。ステップS11からステップS17の処理を実行すると、レジスタの復帰処理(ステップS18)を実行して、処理を終了する。
ここで、上述した乱数更新処理1(ステップS12)および乱数更新処理2(ステップS3)で、主制御基板94に搭載されるCPU812により更新される各種乱数について説明する。この実施の形態では、遊技にて用いられる各種乱数として、大当り遊技状態(後述する「小当り」を含む)を発生させるか否かの判定(大当り判定)に用いられる大当り判定用乱数、大当り判定において大当り遊技状態を発生させると判定されたときに確変大当りとするか否かの判定(確変判定)に用いられる大当り図柄用乱数、大当り判定において大当り遊技状態を発生させると判定されたときに特別図柄の停止図柄を決定するために用いられる大当り図柄用乱数、大当り判定にて大当り遊技状態を発生させないと判定されたときにリーチ態様を伴う外れとするか否かの判定(リーチ判定)に用いられるリーチ判定乱数、特別図柄表示器470に表示されている特別図柄の変動表示パターン(変動時間)を決定するために用いられる変動表示パターン乱数(変動時間用乱数)、可動片331を開放状態に制御するか否かの判定(普通抽選当り判定)に用いられる普通当り判定用乱数、等がある。なお、本例では、大当り判定用乱数を用いて小当り遊技状態を発生させるか否かの抽選も行われる。また、大当り図柄用乱数を用いて確率変動大当り(特定の利益が付与される確率を通常時よりも高く設定する)とするか否かの判定も行われる。なお、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動表示パターンを決定するとともに、演出表示装置101にて表示制御される装飾図柄の変動表示パターンを決定するようにしてもよい。
これらの乱数のうち、乱数更新処理1では、大当り遊技状態の発生に関わる大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、および可動片331を開放状態に制御するか否かに関わる普通図柄当り判定用乱数の更新を行う。すなわち、大当り遊技状態の発生および可動片331を開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は所定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数での所定期間における確率(大当り遊技状態を発生させると判定する確率、可動片331を開放状態に制御すると判定する確率)を一定にすることができ、遊技者不利な状態となることを防止できる。一方、乱数更新処理2では、大当り遊技状態の発生および普通抽選に関わらないリーチ判定乱数および変動表示パターン乱数等の更新を行う。
図39は、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS15)の一例を示すフローチャートである。特別図柄・特別電動役物制御処理において、CPU812は、ステップS20からステップS90の処理を実行する。ステップS20の始動口入賞処理では、第一始動口装置456(または第三始動口装置332)または第二始動口装置330に遊技球が入賞したか否かを判別し、入賞した場合に抽選の保留状態を更新する処理を実行する。ステップS30の変動開始処理では、夫々の大当り抽選における始動記憶数(保留数)を確認し、始動記憶数(合計始動記憶数)が0でなければ、それに対応する特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行い、大当り遊技状態を発生させる場合には、確変大当りとするか否かを夫々判定する。ステップS40の変動パターン設定処理では、各特別図柄および各装飾図柄の変動表示に関わる設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、夫々の特別図柄の変動表示パターンを決定し、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(第一特別図柄表示器390a及び第二特別図柄表示器390bにて特別図柄の変動表示を開始してから停止するまでの時間)をタイマにセットする。
ステップS50の変動中処理では、変動表示パターン設定処理(ステップS40)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイマがタイムアウトしたことに基づいて第一特別図柄表示器390aまたは第二特別図柄表示器390b(特別図柄表示器470に相当)における特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。このとき、変動開始処理(ステップS30)にて何れか一方の大当り抽選で大当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、同抽選で小当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「4」に更新し、大当りまたは小当り遊技状態とする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
ステップS60の大当り遊技開始処理では、大当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には後述するが、大当りの種類に応じてアタッカ装置335の開放回数や開放時間等の設定を行う。また、ステップS70の小当り遊技開始処理では、小当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には後述するが、小当りにおけるアタッカ装置335の開放回数や開放時間等の設定を行う。ステップS80の特別電動役物大当り制御処理では、大入賞口を開放させるとともに、所定個数の遊技球が大入賞口に入賞したとき、または、所定期間が経過したときアタッカ装置335を閉塞状態にするための処理を行う。また、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達していなければ、再び、アタッカ装置335を開放状態にするための処理を行い、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達したときには、処理選択フラグを「5」に更新する。また、ラウンド回数が所定回数に達した後、確率変動状態及び時短遊技状態を発生させる処理を実行する。ステップS90の特別電動役物小当り制御処理では、大入賞口を開放させるとともに、所定個数の遊技球が大入賞口に入賞したとき、または、所定期間が経過したときアタッカ装置335を閉塞状態にするための処理を行う。なお、詳細は後述するが、特別電動役物小当り制御処理における大入賞口の開放は、特別電動役物大当り制御処理(ステップS80)に比べて、遊技者への利益が極めて低くなるように設定されている。次に、ステップS20〜ステップS90における具体的な処理について説明する。
図40に示すように、始動口入賞処理では、まず、中始動口センサ358から検出信号が出力されたか否かを判別し、中始動口センサ358から検出信号が出力された場合には、第二始動口装置330に遊技球が入賞したと判別し(ステップS201にてYES)、中始動口センサ358からの検出信号が出力されていなければ第二始動口装置330に遊技球が入賞していない(ステップS201にてNO)と判別する。ステップS201にて第二始動口装置330に遊技球が入賞したと判別したときには、第二大当り抽選用の各種乱数(大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、等)を取得し、RAM814に設けられている第二保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS202)。そして、ステップS202で第二保留球数カウンタが4未満であれば、第二始動保留記憶処理(ステップS203)、及び保留履歴更新処理(ステップS204)を実行する。なお、これらの処理については後述する。なお、ステップS202で第二保留球数カウンタの値が4である場合には、第二始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を実行しない。
一方、ステップS201で中始動口センサ358から検出信号が出力されていない場合(ステップS201にてNO)、または第二保留球数カウンタの値が4である場合(ステップS202にてNO)には、第一始動口装置456または第三始動口装置332に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS205)。具体的には、上始動口センサ416または下始動口センサ340から検出信号が出力されたか否かを判別する。ステップS205にて第一始動口装置456または第三始動口装置332に遊技球が入賞したと判別したときには(YES)、第一大当り抽選用の各種乱数を取得し、RAM814に設けられている第一保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS206)。そして、ステップS206で第一保留球数カウンタが4未満であれば、第一始動保留記憶処理(ステップS207)、及び保留履歴更新処理(ステップS208)を実行する。なお、ステップS206で第一保留球数カウンタの値が4である場合には、第一始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を実行しない。
図41に示すように、変動開始処理では、まず、処理フラグが「0」か否かを判別し、「0」である場合(ステップS301にてYES)には、ステップS302以降の処理を実行し、「0」でない場合(ステップS301にてNO)には、変動開始処理を終了する。ステップS302では、夫々の特別図柄表示器390a,390bに対応する二つの保留球数カウンタの値(第一始動記憶数及び第二始動記憶数)がともに「0」であるか否かを判別する。二つの保留球数カウンタの値の和は、始動記憶の保存領域(特別図柄用乱数記憶手段940(図59参照))に格納される乱数値の個数を示すものであるため、ステップS302においていずれの保留球数カウンタの値がともに「0」であれば(YES)、第一大当り抽選及び第二大当り抽選に関する始動条件が成立していないと判別されてステップS317に移行する。
一方、ステップS302で何れかの保留球数カウンタの値が「0」でなければ(NO)、始動記憶移行処理を実行する(ステップS303〜ステップS311)。図59に示すように、特別図柄用乱数記憶手段940には八つの記憶領域(記憶領域[1]940a〜記憶領域[8]940h)が設けられている。つまり、第一始動記憶数と第二始動記憶数との合計である合計始動記憶数(「1」〜「8」)の値にそれぞれ対応付けられた、八個の記憶領域940a〜940hが設けられている。各記憶領域940a〜940hは、大当り判定用乱数が記憶される大当り判定用乱数記憶領域946と、大当り図柄用乱数が記憶される大当り図柄用乱数記憶領域947と、特別図柄判定フラグが記憶される特別図柄判定フラグ記憶領域948とを有している。特別図柄判定フラグとしては、記憶される乱数が第一特別図柄(第一抽選)に関する乱数であることを示す「0」と、第二特別図柄(第二抽選)に関する乱数であることを示す「1」とが設定されている。そして、始動記憶移行処理では、まず、記憶領域[1]940aの特別図柄判定フラグ記憶領域948に記憶されている特別図柄判定フラグを基に、次に変動させる図柄が、第二特別図柄であるか否かを判定する(ステップS303)。第二特別図柄ではない場合、すなわち第一特別図柄である場合には(ステップS303にてNO)、n番目(nは2以上の自然数)の各記憶領域(記憶領域[2]940b〜記憶領域[8]940h)に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]940a〜記憶領域[7]940g)に夫々シフトする処理(ステップS304)と、記憶領域[1]940aに記憶されていた第一特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS305)とを実行する。また、特別図柄変動フラグに「1」をセットする(ステップS306)とともに、第一特別図柄に対応する保留球数カウンタを「1」減算する処理(ステップS307)を実行する。
一方、記憶領域[1]940aの特別図柄判定フラグ記憶領域948に記憶されている特別図柄判定フラグを基に判別される、次回の変動図柄が、第二特別図柄である場合には(ステップS303にてYES)、ステップS304と同様、n番目の各記憶領域(記憶領域[2]940b〜記憶領域[8]940h)に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]940a〜記憶領域[7]940g)に夫々シフトする処理(ステップS308)と、記憶領域[1]940aに記憶されていた第二特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS309)と、を実行する。また、特別図柄変動フラグに「2」をセットする(ステップS310)とともに、第二特別図柄に対応する保留球数カウンタを「1」減算する処理(ステップS311)を実行する。
その後、確率変動機能作動中か否か、すなわち高確率である確率変動状態か否かを判別し(ステップS312)、確率変動状態でない場合には(ステップS312にてNO)、確率変動未作動時の大当り判定テーブル、すなわち大当りとなる確率が低く設定されたテーブルを選択し、一方、確率変動状態の場合には(ステップS312にてYES)、確率変動作動時のテーブル、すなわち大当りとなる確率が高く設定されたテーブルを選択する。なお、本例では、確率変動未作動時(すなわち通常時)には、大当りとなる確率が1/315.5に設定され、確率変動作動時(すなわち高確率時)には、大当りとなる確率が1/31.55に設定されている。
ステップS313またはステップS314においていずれかのテーブルが選択された後、そのテーブルに基づき、ステップS305またはステップS309にて取得された、いずれかの特別図柄に関する乱数が、大当りに相当する乱数(大当り値)であるか否かを判別する(ステップS315)。そして、大当り値である場合には(ステップS315にてYES)、大当りフラグを「ON」にし(ステップS316)、ステップS317に移行する。一方、取得した乱数が大当り値ではない場合には(ステップS315にてNO)、その乱数が小当りに相当する乱数(小当り値)であるか否かを判別する(ステップS318)。そして、小当り値である場合には(ステップS318にてYES)、小当りフラグを「ON」にして(ステップS319)、ステップS317に移行し、一方、小当り値ではない場合には(ステップS318にてNO)、ステップS319を経由することなく、ステップS317に移行する。ステップS317では、処理フラグを「1」に更新し、変動開始処理を終了する。なお、大当りフラグおよび小当りフラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、RAM814に記憶される。また、大当りフラグおよび小当りフラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、大当りフラグおよび小当りフラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
図42に示す変動パターン設定処理では、まず、処理フラグが「1」か否かを判別し、ステップS317によって「1」となっている場合(ステップS401にてYES)には、ステップS402以降の処理を実行し、「1」でない場合(ステップS401にてNO)には、変動パターン設定処理を終了する。ステップS402では、大当りフラグが「ON」か否かを判別し、ステップS316によって「ON」となっている場合(ステップS402にてYES)には、取得された乱数を基に、確率変動大当りまたは通常大当りのいずれの大当りであるのかを判別する(ステップS403)。そして、確率変動大当りである場合(ステップS403にてYES)には、特殊当りか否かを判別する(ステップS404)。詳しくは後述するが、いずれの確率変動大当りも、「その後の抽選において、特定の利益が付与される確率を通常時よりも高く設定した確率変動状態し、且ついずれかの特別図柄表示器で変動する特別図柄の変動時間を短縮させる(通常時よりも相対的に短くする)とともに、第三始動口装置332への入賞のしやすさを通常よりも増加させるようにした時短遊技状態を発生させる」ことは、共通しているが、特殊当りである確率変動大当りと、特殊当りでない一般の確率変動大当りとでは、遊技者に与える利益の程度が大きく異なるように設定されている。つまり、一般の確率変動大当りでは、アタッカ装置335の一回当りの開放時間が、複数個(例えば10個)の遊技球がゆとりを持って入賞できる程度の時間に設定されているとともに、アタッカ装置335の開閉動作を、多くの利益を付与する回数(例えば15回)行うように制御される。これに対し、特殊当りである確率変動大当りでは、アタッカ装置335の一回当りの開放時間が、数個(例えば一または二個)の遊技球が辛うじて入賞できる程度の時間に設定されているとともに、アタッカ装置335の開閉動作を例えば二回行うように制御される。
ステップS404において、特殊当りでないと判別された場合、すなわち一般の確率変動大当りであると判別された場合には(NO)、確変大当り時変動表示パターンテーブルを選択し(ステップS405)、一方、特殊当りであると判別された場合には(ステップS404にてYES)、確変特殊当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS406)。なお、ステップS403において、確率変動大当りでないと判別された場合、すなわち通常大当りであると判別された場合には(YES)、通常大当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS407)。
一方、ステップS402において、大当りフラグが「ON」ではないと判別された場合には(NO)、小当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS408)、ステップS319によって「ON」となっている場合には(ステップS408にてYES)、小当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS409)。また、小当りフラグが「ON」となっていない場合には(ステップS408にてNO)、取得されたリーチ判定用乱数がリーチに相当する乱数(リーチ値)か否かを判別し(ステップS410)、リーチ値である場合には(ステップS410にてYES)、はずれリーチ時変動表示パターンテーブルを選択し(ステップ411)、リーチ値でない場合には(ステップS410にてNO)、はずれ時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS412)。
このように、いずれかのステップにおいて、変動表示パターンテーブルが選択されると、その変動表示パターンテーブル、及びステップS305またはステップS309のいずれかにおいて取得された変動表示パターン乱数に基づいて、装飾図柄列の変動表示パターンを決定する(ステップS413)。なお、詳細については後述するが、この際、変動表示パターンに基づく装飾図柄列の本変動を実行する前にその装飾図柄列を擬似的に一回または複数回変動させるか否か、すなわち擬似変動を行うか否かが決定される。次いで、ステップS413で決定した変動表示パターン、及び擬似変動に関する情報を指定する演出コマンド(変動表示パターンコマンド)として夫々選択値をセットし(ステップS414)、当該変動表示パターンに応じた変動時間を主制御基板94に搭載されるRAM814に設けられたタイマ(この実施の形態では、有効期間タイマ)にセットする(ステップS415)。ステップS415では、ステップS413で決定した変動表示パターンに設定されている変動時間を有効期間タイマにセットする。なお、ステップS414でセットされた変動表示パターンコマンドは、コマンド伝送出力処理にて周辺制御基板830に送信される。また、変動表示パターンコマンドをコマンド伝送出力処理で周辺制御基板830に送信するときには、第一特別図柄表示器390a及び第二特別図柄表示器390bに駆動信号を出力し、特別図柄の変動表示を開始させる。その後、処理フラグを「2」に更新し(ステップS416)、変動パターン設定処理を終了する。
図43に示す変動中処理では、まず、処理フラグが「2」か否かを判別し(ステップS501)、ステップS416によって「2」となっている場合には(ステップS501にてYES)、ステップS502以降の処理を実行し、「2」でない場合(ステップS501にてNO)には、変動中処理を終了する。ステップS502では、第一特別図柄表示器390aまたは第二特別図柄表示器390bにて第一特別図柄または第二特別図柄が変動中か否かを判別し、変動中の場合には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間がタイムアップしたか否かを判別する(ステップS503)。そして、変動時間がタイムアップした際、すなわち変動時間が終了した場合には(ステップS503にてYES)、その変動を停止させる(ステップS504)。なお、いずれの特別図柄も変動していない場合(ステップS502にてNO)、または変動時間が終了していない場合(ステップS503にてNO)には、特別図柄の変動を停止させることなく変動中処理を終了する。
ステップS504によって特別図柄の変動を停止させた後、大当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS505)、大当りフラグが「ON」の場合には、処理フラグを「3」に更新する(ステップS506)。一方、大当りフラグが「ON」でない場合には(ステップS505にてNO)、小当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS507)、「ON」の場合には処理フラグを「4」に更新し(ステップS508)、「ON」でない場合には処理フラグを「0」に更新する(ステップS509)。このように、ステップS506、ステップS508、またはステップS509のいずれかにおいて処理フラグを更新した後、変動中処理を終了する。
図44に示す大当り遊技開始処理では、まず、処理フラグが「3」か否かを判別し、ステップS506によって「3」となっている場合には(ステップS601にてYES)、ステップS602以降の処理を実行し、「3」でない場合には(ステップS601にてNO)、大当り遊技開始処理を終了する。ステップS602では、確率変動機能作動中か否か、すなわち確率変動状態か否かを判別し、確率変動状態である場合には(YES)、確率変動機能の作動を一端停止し、ステップS604に移行する。なお、確率変動状態ではない場合、すなわち通常の低確率状態である場合には(ステップS602にてNO)、ステップS603の処理を実行することなくステップS604に移行する。ステップS604では、時短機能作動中か否か、すなわち時短遊技状態か否かを判別し、時短遊技状態になっている場合には(YES)、時短機能の作動を停止させ(ステップS605)、ステップS606に移行する。一方、時短遊技状態でない場合には(ステップS604にてNO)、ステップS605の処理を実行させることなくステップS606の処理に移行する。
ステップS606では、大当りの種類が、一般の大当りであるか特殊当りであるかを判別し、一般の大当りである場合には(ステップS606にてNO)、アタッカ装置335による大入賞口の開放条件、すなわち大当り用開放回数(例えば最大15回)、一回当りの開放時間(例えば最大18秒)、及び大入賞口への入賞制限個数(例えば一回当り最大10個)を設定する(ステップS607)。一方、大当りが特殊当りである場合には(ステップS606にてYES)、大入賞口における特殊当り用開放回数(例えば二回)、入賞制限個数(例えば6個)、及び一回当りの開放時間(例えば1.8秒)を設定する(ステップS608)。その後、処理フラグを「5」に更新し(ステップS609)、大当り遊技開始処理を終了する。
一方、図45に示す小当り遊技開始処理では、まず、処理フラグが「4」か否かを判別し、ステップS508によって「4」となっている場合には(ステップS701にてYES)、ステップS702及びステップS703の処理を実行し、処理フラグが「4」でない場合には(ステップS701にてNO)、ステップS702及びステップS703の処理を実行することなく小当り遊技開始処理を終了する。ステップS702では、小当りの場合における大入賞口の開放条件、すなわちアタッカ装置335による大入賞口の小当り用開放回数、及び一回当りの開放時間が夫々設定される。なお、小当りにおける開放回数、入賞制限個数、及び開放時間は、特殊当りの場合に設定される条件(ステップS608)と同一になるように設定されている。すなわち、特殊当りと小当りとを、視覚的に判別することができないように設定されている。その後、処理フラグが「6」に更新され(ステップS703)、小当り遊技開始処理を終了する。
図46に示す特別電動役物大当り制御処理では、まず、処理フラグが「5」か否かを判別し、ステップS609によって「5」となっている場合には(ステップS801にてYES)、ステップS802以降の処理を実行し、「5」でない場合には(ステップS801にてNO)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。ステップS802では、大入賞口が開放中か否かを判別し、開放中の場合には(YES)、大入賞口の開放時間(開放した後の経過時間)が、予め設定した所定時間に達したか否かを判別し(ステップS803)、経過した場合には(ステップS803にてYES)、アタッカ装置335を作動させて大入賞口を閉鎖する(ステップS805)。なお、設定された開放時間まで経過していない場合でも(ステップS803にてNO)、大入賞口が開放された後に大入賞口に入賞した遊技球の個数が、ステップS607で設定された制限個数(例えば10個)を超えた場合には(ステップS804にてYES)、ステップS805に移行して大入賞口を閉鎖する。また、大入賞口の開放時間が設定時間に到達しておらず(ステップS803にてNO)、しかも遊技球の入賞個数が制限個数に達していない場合には(ステップS804にてNO)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。
一方、ステップS802において、大入賞口が開放中でない場合には(NO)、アタッカ装置335による大入賞口の開放回数が、ステップS607で設定された大当り用開放回数、またはステップS608で設定された特殊当り用開放回数に、到達したか否かを判別する(ステップS806)。そして、到達していない場合には(ステップS806にてNO)、アタッカ装置335を制御して大入賞口を開放し(ステップS807)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。これにより多量の遊技球を大入賞口に入賞させることが可能になる。
ステップS806において大入賞口の開放回数が設定された回数に達した場合(YES)、すなわち、大当り遊技状態が終了した場合には、ステップS808〜ステップS813の処理を実行し、その後の抽選に対しての遊技状態を設定する。具体的には、まず、大当りフラグを「OFF」とし(ステップS808)、今回の大当りが、確率変動機能を作動させる当選であるか否かを判別する(ステップS809)。つまり、特殊当りを含む確率変動大当りであるか、通常大当りであるかを判別する。確率変動大当りで当選した場合には(ステップS809にてYES)、確率変動機能の作動を開始し、高確率である確率変動状態とする(ステップS810)。すなわち、その後の抽選において大当りが当選する確率を通常時よりも高く設定する。なお、その大当りが特殊当りである場合には(ステップS811にてYES)、確率変動機能または時短機能の作動中の当りか否かを判別する(ステップS814)。そして、特殊当りでない場合すなわち一般の確率変動大当りである場合(ステップS810にてNO)、または確率変動機能または時短機能が既に作動している場合に特殊当りが当選した場合には、時短機能の作動を開始し(ステップS812)、その後、処理フラグを「0」に更新する(ステップS813)。つまり、第一特別図柄表示器390aまたは第二特別図柄表示器390bで変動する第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間を短縮させるとともに、可動片331の開放作動によって第三始動口装置332への入賞のし易さを通常よりも高くする。一方、確率変動機能及び時短機能の作動中ではない場合、すなわち確率変動状態も時短遊技状態も発生していない状態で、特殊当りが当選した場合には(ステップS814にてNO)、時短機能を作動させることなくステップS813に移行する。
一方、ステップS809において確率変動機能を作動させる当選ではない場合、すなわち通常大当りの場合には(NO)、時短機能の作動を開始する(ステップS815)とともに、時短機能における作動の規定回数を設定し(ステップS816)、その後、ステップS813に移行する。つまり、抽選による第一特別図柄または第二特別図柄の変動回数が所定回数(規定回数)になるまで時短機能を作動させる。
図47に示す特別電動役物小当り制御処理では、まず、処理フラグが「6」か否かを判別し、ステップS703によって「6」となっている場合には(ステップS901にてYES)、ステップS902以降の処理を実行し、「6」でない場合には(ステップS901にてNO)、特別電動役物小当り制御処理を終了する。ステップS902では、大入賞口に対する遊技球の入賞数が、予め設定された最大入賞数に達したか否かを判別し(ステップS902)、まだ最大入賞数に達していない場合には(NO)、大入賞口が開放中か否かを判別する(ステップS903)。そして、ステップS903において、大入賞口が開放中であると判別された場合には(YES)、大入賞口の開放時間(開放した後の経過時間)が、予め設定した所定時間に達したか否かを判別し(ステップS904)、経過した場合には(ステップS904にてYES)、アタッカ装置335を作動させて大入賞口を閉鎖する(ステップS905)。その後、大入賞口の開放回数が予め定めた所定回数(例えば二回)に達したか否かを判別し(ステップS906)、その回数に達した場合には(YES)、処理フラグを「0」に更新し(ステップS907)、特別電動役物小当り制御処理を終了する。なお、ステップS904において大入賞口の開放時間が所定時間に達していない場合(NO)、またはステップS906において開放回数が所定回数に達していない場合には(NO)、ステップS907の処理を実行することなく、特別電動役物小当り制御処理を終了する。また、ステップS903において、大入賞口が開放中でない場合には(NO)、大入賞口を開放し、遊技球の入賞を可能とする(ステップS908)。また、ステップS902において、大入賞口に対する遊技球の入賞数が、予め設定された最大入賞数に達した場合には(YES)、大入賞口が開放中か否かを判別し(ステップS909)、開放中の場合には(YES)、大入賞口を閉鎖し(ステップS910)、ステップS907に移行する。一方、大入賞口が開放中でない場合には(ステップS909にてNO)、ステップS910の処理を実行することなく、ステップS907に移行する。ステップS907では処理フラグを「0」に更新する。
次に、周辺制御基板830に搭載される統合CPU834によって実行される処理について説明する。図48はサブメイン処理の一例を示すフローチャートであり、図49は16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。
図48に示すように、パチンコ機1への電力供給が開始されると、統合CPU834は、初期設定処理を行う(ステップS1001)。この初期設定処理では、周辺制御基板830に搭載される統合RAM836をクリアする処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割込禁止となっており、初期設定処理のあと割込許可となる。初期設定処理(ステップS1001)が終了すると、16ms経過フラグTがセットされたか否かを監視するループ処理を開始する(ステップS1002)。
この実施の形態では、統合CPU834は、2ms経過毎に割込を発生させ、2ms定常処理を実行する。2ms定常処理では、16ms経過監視カウンタをカウントアップする(16ms経過監視カウンタを1加算する)処理が実行され、16ms経過監視カウンタの値が8になったとき、すなわち、16ms経過したときに16ms経過フラグTをセットするとともに、16ms経過監視カウンタをリセットする(0にする)処理が実行される。このように、16ms経過フラグTは、2ms定常処理にて16ms毎に「1」に設定(セット)され、通常は「0」に設定(リセット)されている。ステップS1002で16ms経過フラグがセットされている(16ms経過フラグTが「1」)ときには、16ms経過フラグをリセットした後(ステップS1003)、16ms定常処理を行う(ステップS1004)。
この16ms定常処理では、主制御基板94から受信した演出コマンドに基づいて演出表示装置101、枠ランプ,遊技盤ランプ、スピーカ等を制御する処理が実行される。16ms定常処理が終了すると、再びステップS1002に戻り、16ms経過フラグTがセットされる毎に、つまり16ms毎に上述したステップS1003〜ステップS1004を繰り返し行う。一方、ステップS1002で16ms経過フラグTがセットされていない(16ms経過フラグTが「0」)ときには、16ms経過フラグTがセットされるまでループ処理を行う。
図49は、サブメイン処理にて16ms毎に実行される16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。16ms定常処理において、サブ統合CPU834は、ステップS1100〜ステップS1600の処理を実行する。ステップS1100のコマンド解析処理では、主制御基板94から受信した演出コマンドを解析する。ステップS1200の演出制御処理では、変動表示パターンコマンドに基づいて演出表示装置101に関わる制御処理を実行する。具体的には、擬似変動の設定、予告演出の設定、装飾図柄の停止図柄の決定、等を行う。
また、ステップS1300の音制御処理では、演出効果を促進させる効果音(例えばBGM)を発生させるための、スピーカに関わる制御処理を実行する。ステップS1400のランプ制御処理では、遊技盤ランプ、枠ランプに関わる制御処理を実行する。ステップS1500の情報出力処理では、電飾制御基板890及び駆動制御基板891にランプ演出コマンドを送信するとともに、可動役物87の駆動コマンドを送信する。ステップS1600の乱数更新処理では、演出制御処理(ステップS1200)で各種設定に用いられる乱数を更新する処理を実行する。
なお、16ms定常処理におけるステップS1100〜ステップS1600の処理は16ms以内に終了する。仮に、16ms定常処理を開始してから当該16ms定常処理の終了までに16ms以上かかったとしても、16ms定常処理を開始してから16ms経過したときに直ぐに16ms定常処理を最初から(後述するステップS1100のコマンド解析処理から)実行しない。すなわち、16ms定常処理の実行中に16ms経過したときには、16ms経過フラグのセットのみを行い、当該16ms定常処理の終了後にステップS1002で16ms経過フラグがセットされていると判別されたときに16ms定常処理を開始する。
また、この実施の形態では、16ms定常処理にて乱数更新処理(ステップS1600)を実行して各種乱数を更新するように構成しているが、各種乱数を更新する時期(タイミング)はこれに限られるものではない。例えば、サブメイン処理におけるループ処理および16ms定常処理のいずれか一方または両方にて各種乱数を更新するように構成してもよい。
図50は、コマンド解析処理(ステップS1100)の一例を示すフローチャートである。コマンド解析処理において、統合CPU834は、まず、主制御基板94から演出コマンドを受信したか否かを判別する(ステップS1101)。この実施の形態では、主制御基板94から演出コマンドを受信すると、16ms定常処理等の他の処理を中断してコマンド受信割込処理を発生させ、受信したコマンドを、周辺制御基板830に搭載される統合RAM836における受信コマンド格納領域に保存する。なお、受信コマンド格納領域は、演出コマンドの受信順に対応して複数の領域が設けられ、コマンド受信割込処理では、演出コマンドの受信順に対応して各領域に保存する。ステップS1101では、受信コマンド格納領域の内容を確認し、演出コマンドが記憶されていれば、受信コマンド格納領域の受信順が先の演出コマンドを読み出す(ステップS1102)。
そして、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであるか判別し(ステップS1103)、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであれば(ステップS1103にてYES)、変動表示パターン受信フラグをセットするとともに、周辺制御基板830に搭載される統合RAM836における変動表示パターン格納領域に格納する(ステップS1104)。
一方、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドでなければ(ステップS1103にてNO)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであるか判別し(ステップS1105)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであれば(ステップS1105にてYES)、確変大当りフラグをセットする(ステップS1106)。また、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドでなければ(ステップS1105にてNO)、受信した演出コマンドに対応したフラグをセットする(ステップS1107)。
図51は、演出制御処理(ステップS1200)の一例を示すフローチャートである。演出制御処理において、統合CPU834は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS1210〜ステップS1230のうちいずれかの処理を行う。
処理選択フラグが「0」のときに実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS1210)では、変動表示パターンコマンドを受信していれば装飾図柄の変動表示を開始させるための設定を行う。具体的には、変動表示パターンコマンドおよび確変大当りコマンドに応じて装飾図柄の停止図柄を決定するとともに、予告演出等の設定を行う。また、詳細は後述するが、装飾図柄列の擬似変動の有無及び擬似変動での変動回数を変動表示パターンコマンドに基づいて認識するとともに、擬似変動を行う際には、擬似変動の際に導出される予告演出の設定も行う。
処理選択フラグが「1」のときに実行される装飾図柄変動処理(ステップS1220)では、変動停止コマンドを受信したときに電飾制御基板832に表示コマンドを送信して装飾図柄の変動表示を停止させる制御を行う。
処理選択フラグが「2」のときに実行される大当り表示処理(ステップS1230)では、主制御基板94から送信される大当り開始コマンドに応じて演出表示装置101に大当り遊技状態の開始を示す表示や大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)をさせる制御を行う。
図52は、装飾図柄変動開始処理(ステップS1210)の一例を示すフローチャートである。装飾図柄変動開始処理において、統合CPU834は、まず、変動表示パターン受信フラグがセットされているか判別する(ステップS1221)。変動表示パターン受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS1100)のステップS1104でセットされ、主制御基板94から変動表示パターンコマンドを受信したことを示すフラグである。ステップS1221で変動表示パターン受信フラグがセットされていなければ(NO)、変動表示パターンコマンドを受信していないと判別して処理を終了する。
一方、変動表示パターン受信フラグがセットされていれば(ステップS1221にてYES)、変動表示パターン受信フラグをリセットし(ステップS1222)、受信した変動表示パターンコマンドに基づく変動表示パターンが大当りを発生させる変動表示パターンであるか(当りパターンであるか)判別する(ステップS1223a)。
変動表示パターンが当りパターンでなければ(ステップS1223aにてNO)、外れ図柄の停止図柄を決定する(ステップS1224)。また、変動表示パターンが当りパターンであれば(ステップS1223aにてYES)、確変大当りフラグがセットされているか判別し(ステップS1223b)、確変大当りフラグがセットされていれば(YES)、確変大当り図柄の停止図柄を決定し(ステップS1225)、確変大当りフラグがセットされていなければ(ステップS1223bにてNO)、非確変大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS1226)。また、確変大当りフラグは、大当り表示処理(ステップS1230)にて大当り遊技状態を開始するときにリセットされる。なお、確変大当りフラグがリセットされる時期はこれに限らず、例えば、装飾図柄変動処理(ステップS1220)で装飾図柄の変動表示を停止させるとき、具体的には、変動停止コマンドを受信したときにリセットするようにしてもよいし、大当り表示処理(ステップS1230)で大当り遊技状態を終了するときにリセットするようにしてもよい。
なお、この実施の形態では、第一特別図柄と1:1で対応する第一装飾図柄と、第二特別図柄と1:1で対応する第二装飾図柄と、第一装飾図柄及び第二装飾図柄の両方に関連付けられ第一特別図柄及び第二特別図柄に対応する共通の装飾図柄列(以下、「共通装飾図柄列」と称す)とが表示されるようになっている。第一装飾図柄及び第二装飾図柄は、マル、バツ、サンカク等の図形の組合せで構成されており、確変大当り図柄である組合せ、非確変大当り(通常大当り)である組合せ、小当りである組合せ、及び外れである組合せ等が予め設定されている。つまり、変動表示パターンが当りパターンであれば、第一装飾図柄の確変大当り図柄として設定された複数の組み合わせ、または非確変大当り図柄として設定された複数の組み合わせ、のうちいずれかの組み合わせ図柄を停止図柄として決定する。
一方、共通装飾図柄列は、数字を有する複数(例えば3列)の図柄列からなり、変動表示パターンが当りパターンであれば、同一の奇数図柄の組み合わせのうちいずれかの組み合わせの図柄を確変大当り図柄として決定し、同一の偶数図柄の組み合わせのうちいずれかの組み合わせの図柄を非確変大当り図柄として決定する。また、ステップS1224で外れ図柄の停止図柄を決定するときに、リーチ態様を伴う変動表示パターンであるかを判別し、リーチ態様を伴う変動表示パターンであれば、左・中・右の共通装飾図柄のうち左および右の共通装飾図柄列が同一図柄であり、中の装飾図柄列は左および右の装飾図柄列とは異なる図柄となる停止図柄に決定する。一方、リーチ態様を伴わない変動表示パターンであれば、左・中・右の共通装飾図柄列のそれぞれが異なる図柄となるように停止図柄に決定する。また、共通装飾図柄列に関し、一回または複数回の擬似変動を行うことが決定された場合には、擬似変動における停止図柄も決定する。なお、本例では、擬似変動の際には、リーチ態様を伴わないように、すなわち左・中・右の共通装飾図柄列のそれぞれが異なる図柄となるように停止図柄が決定される。
次いで、統合CPU834は、予告判定乱数に基づいて予告演出を実行するか否かの判別を行う予告選択処理を実行した後(ステップS1227)、変動表示パターンと、予告種類格納領域に記憶される予告パターンと、ステップS1225,S1226,S1227で決定した共通装飾図柄列の停止図柄とに応じた表示コマンドをセットする(ステップS1228)。そして、処理選択フラグを「1」に更新して処理を終了する(ステップS1229)。なお、ステップS1228でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS1500)にて電飾制御基板832に送信され、電飾制御基板832に搭載される表示CPU851により当該表示コマンドを受信したことに基づいて演出表示装置101にて装飾図柄の変動表示(本変動及び擬似変動を含む)の実行を開始する。また、ステップS1228で予告種類格納領域に記憶される予告パターンを読み出したときには、当該予告パターンを読み出した後、予告種類格納領域の内容をクリアする。これにより、次回の装飾図柄の変動表示にて誤って以前の装飾図柄の変動表示を開始するときに決定した予告パターンにもとづく予告演出が実行されることを防止できる。
続いて、特別図柄、第一装飾図柄、第二装飾図柄、及び共通装飾図柄列を含む演出表示に関する機能的な構成を、図53〜図58のブロック図に基づいて説明する。図53は主制御基板94での第一大当り抽選に関する機能的な構成を示し、図54は主制御基板94での第二大当り抽選に関する機能的な構成を示し、図55は第一大当り抽選及び第二大当り抽選における抽選結果に応じて発生する有利遊技状態に関する機能的構成を示し、図56は主制御基板94での普通抽選に関する機能的な構成を示し、図57は周辺基板811(主に周辺制御基板830、電飾制御基板890、及び駆動制御基板891)での演出に関する機能的な構成を示し、図58は共通装飾図柄列の変動表示及び予告演出に関する機能的な構成を示している。
図53に示すように、主制御基板94には、第一大当り抽選に関する構成として、第一当り判定用テーブル911a、第一当り図柄用テーブル912a、第一当り時変動時間設定用テーブル913a、及び第一外れ時変動時間設定用テーブル914aが予め記憶されており、これらのテーブル911a〜914aを基に、第一大当り抽選における抽選の当否、第一特別図柄表示器390aにおける停止図柄、及び変動時間が決定される。第一当り判定用テーブル911aは、大当り判定用乱数値と大当りまたは小当りの当否との関係を示すものであり、通常時と高確率時とで当選となる割合が異なっている。また、第一当り図柄用テーブル912aは、大当り図柄用乱数値と第一特別図柄表示器390aにおける停止図柄との関係を示すものであり、大当り図柄用乱数値を複数のグループに区分した夫々の範囲と二つのLED(第一特別図柄)の点灯状態との対応付けがなされている。また、第一当り時変動時間設定用テーブル913aは、第一大当り抽選における当否の結果が大当りまたは小当りの場合に用いられ、抽出される第一変動時間用乱数と第一特別図柄表示器390aにおける第一特別図柄の変動時間との関係を示すものであり、第一外れ時変動時間設定用テーブル914aは、第一大当り抽選における当否の結果が外れの場合に用いられ、抽出される第一変動時間用乱数と第一特別図柄表示器390aにおける第一特別図柄の変動時間との関係を示すものである。なお、通常時のテーブル及び高確率時のテーブルのうち、いずれか一方のテーブルを遊技状態に基づいて選択する処理が第一抽選用確率選択手段920aによって行われる。また、図示してしないが、第一当り図柄用テーブル912aには、確率変動大当り用のテーブル、特殊当り用のテーブル、通常大当り用のテーブル、及び小当り用のテーブルが夫々備えられており、後述する第一当否決定手段930aによって決定された当選の種別に対応したテーブルが選択されるようになっている。
また、主制御基板94には、上始動口センサ416または下始動口センサ340によって、第一始動口装置456または第三始動口装置332への入賞が検出されたとき、ランダムカウンタ(乱数発生手段)から、大当り判定用乱数を抽出する第一当り判定用乱数抽出手段916aと、大当り図柄用乱数を抽出する第一当り図柄用乱数抽出手段917aとが設けられている。また、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する第一変動時間用乱数抽出手段918aが設けられている。また、第一当り判定用乱数抽出手段916aによって大当り判定用乱数が抽出されると、第一当り判定用テーブル911aを用いて大当りの当否を決定する第一当否決定手段930a、及び第一当り図柄用乱数抽出手段917aによって大当り図柄用乱数が抽出されると、第一当り図柄用テーブル912aを用いて第一特別図柄表示器390aにおける停止図柄を決定する第一停止図柄決定手段931aが設けられている。さらに、第一変動時間用乱数抽出手段918aによって変動時間用乱数が抽出され、且つ第一当否決定手段930aによって大当りであることが決定されると、第一当り時変動時間設定用テーブル913aを用いて第一特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ第一当否決定手段930aによって外れであることが決定されると、第一外れ時変動時間設定用テーブル914aを用いて第一特別図柄の変動時間を決定する第一変動時間決定手段932aが設けられている。ここで、第一当否決定手段930a、第一停止図柄決定手段931a、及び第一変動時間決定手段932aを組合せたものが、本発明の抽選手段または第一抽選手段に相当する。
また、主制御基板94には、第一特別図柄表示器390aにおいて第一特別図柄の変動を開始するとともに、第一変動時間決定手段932aによって決定された変動時間の経過後、第一停止図柄決定手段931aによって決定された停止図柄で変動停止させる特別図柄変動制御手段934と、第一特別図柄の変動開始前に、第一当否決定手段930aによって決定された大当りの有無に関する当否コマンド、及び第一特別図柄の変動態様(時間)に対応する変動表示コマンドを含む制御コマンドを発信するコマンド発信手段935が設けられている。さらに、主制御基板94には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、上始動口センサ416または下始動口センサ340によって第一始動口装置456または第三始動口装置332への入賞が検出された場合、一定球数(4回)を上限として第一始動記憶数をカウントし記憶するとともに、第一特別図柄の変動表示を始動記憶数分だけ繰り返し行わせる第一保留消化手段922aが設けられている。換言すれば、上始動口センサ416または下始動口センサ340による遊技球の検出に基づく第一処理の実行を待機させる第一保留消化手段922aが設けられている。第一保留消化手段922aについてさらに詳細に説明する。第一保留消化手段922aには、第一保留制御手段941a及び第一消化制御手段942aが設けられており、第一保留制御手段941aは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、上始動口センサ416または下始動口センサ340によって第一始動口装置456または第三始動口装置332への入賞が検出された場合、第一始動記憶数が上限値「4」に到達していなければ、第一始動記憶数の値を「1」増やすとともに、第一大当り判定用乱数及び第一大当り図柄用乱数を抽出し、抽出された各乱数を、特別図柄用乱数記憶手段940の中の、一番上位の記憶領域に格納する。一方、第一消化制御手段942aは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動が停止し、新たな第一特別図柄の変動が可能になった場合、第一特別図柄に関する始動記憶数が「0」でなければ、始動記憶数[1]に対応する記憶領域から第一大当り判定用乱数及び第一大当り図柄用乱数を読み出すとともに、第一始動記憶数の値を「1」減らし、且つ、各記憶領域nに記憶されている各乱数値を、n−1の記憶領域にシフトさせる。
ところで、従来の遊技機では、このように記憶されたデータを基に、保留されている処理が特定の変動パターンか否かを事前に認識し、変動パターンが特定の変動パターンである場合に、その変動パターンが処理されるまでの複数回の変動表示にわたって、特定の演出態様になることを連続的に予告演出するものがある。しかしながら、このような連続予告演出を実現するには、記憶される大当り判定用乱数等を基に当否結果や変動パターンを事前に認識しなければならず、制御が複雑になるとともに処理の負担が大きくなっていた。特に、連続予告演出を行う際には、装飾図柄列を変動表示させる毎に抽選結果に応じた演出態様を決める必要があることから、制御の負荷が一層大きくなっていた。また、大当り判定用乱数等のデータが抽出された時点で、保留されている処理がない場合には、今回決定された変動パターンが連続予告演出を行うべき変動パターンであるにも拘らず、連続した予告演出を行うことができなくなり、ひいては連続予告演出による期待感の高まりを実感させることができなかった。
そこで、本例では、変動表示の保留がない場合でも複数の変動に跨る予告演出を行うため、主制御基板94に第一変動パターン決定手段820a及び第一擬似変動決定手段821aを備えている。第一変動パターン決定手段820aは、第一当否決定手段930aによって決定された当否結果及び第一変動時間決定手段932aによって決定された第一特別図柄の変動時間に基づいて、共通装飾図柄列の変動パターンを決定するものである。また、第一擬似変動決定手段821aは、第一変動パターン決定手段820aによって決定された変動パターンに基づく共通装飾図柄列の本変動を実行する前に共通装飾図柄列を擬似的に一回または複数回変動させるか否か、すなわち擬似変動を行うか否かを抽選に基づいて決定するとともに、その擬似変動における共通装飾図柄列の変動回数を決定するものである。
そして、このように、抽選結果に対応した本変動を行う前に、一回または複数回の擬似変動を行った場合には、本変動を含めて複数回の変動を連続的に視認させることが可能になり、上始動口センサ416または下始動口センサ340によって検出される第一始動口装置456または第三始動口装置332の入賞が一回だけであるにも拘らず、複数回の抽選が行われているかのように意識させることができる。特に、擬似変動における共通装飾図柄列の変動回数も抽選によって変化するため、一連の連続変動における変動パターンが一層複雑になるとともに、擬似変動と本変動との区別を認識させないようにすることができる。したがって、繰り返される擬似変動に対して、遊技者が飽きてしまうことを抑制できる。また、同じように擬似変動を行う場合であっても、擬似変動の変動回数を変えることにより、期待感にメリハリをつけることができ、興趣を高めることが可能になる。
ところで、共通装飾図柄列の変動に関するコマンドには、抽選の当否結果、共通装飾図柄列の変動時間、リーチ発生の有無、リーチの形態(例えばシングルまたはダブル等の種別)、再変動の有無、及び時短遊技状態の有無等、数多くの変動要素が含まれている。そして、従来の遊技機では、これらの各変動要素を夫々組合せることにより、複数の変動要素に関する情報を一種類の変動パターンで表し、その変動パターンとコマンドとを個々に対応づけていた。このため、共通装飾図柄列の変動表示におけるバリエーションを豊富にしようとすると、変動パターンの数が多くなる傾向にあった。特に、擬似変動の有無及び変動回数に関する情報を、変動パターンにおける変動要素として加えると、変動パターンの数が膨大となり、制限個数内に収まらない場合が生じる。つまり、変動パターンの個数が、ROMの容量等を考慮して、256個以内(即ち1バイト)に制限されている場合には、その制限個数を越えてしまう虞がある。なお、越えないように本変動における変動パターン数を減らした場合には、演出におけるバリエーションが少なくなり、予告演出や特殊な演出に対する興趣が低下することが懸念される。
そこで、本例では、共通装飾図柄列における変動パターンの数を大幅に増やすことなく、演出のバリエーションを豊富にするために、共通装飾図柄列の変動態様にかかる複数の変動要素を、擬似変動に関する要素と本変動に関する要素とに区分するとともに、擬似変動の有無及び変動回数と、本変動における変動パターンとを別々に決定するようにしている。これについて図60〜図64を基に詳細に説明する。図60は共通装飾図柄列における変動態様を示すテーブルであり、図61は共通装飾図柄列の変動パターンと特別図柄の変動時間との関係を示すテーブルであり、図62は共通装飾図柄列の各変動態様における振分け率を示すテーブルであり、図63は変動態様コマンド(変動表示パターンコマンド)と擬似変動における連動変動回数との関係を示すテーブルである。なお、夫々の図面では、変動パターンの一部のみ(例えば変動パターン「20」〜変動パターン「40」のみ)しか示していないが、実際には、例えば変動パターン「1」〜変動パターン「170」に対応するデータが記憶されるようになっている。
本例では、図60及び図61に示すように、共通装飾図柄列の本変動に関する複数の要素、例えば、抽選の当否結果、共通装飾図柄列の変動時間、リーチ発生の有無、リーチの形態、及び再変動の有無等に関する変動要素が、一つにまとめられており、これらの変動要素に対応する夫々の情報の組合せが、複数(例えば170個)の変動パターンPとして振分けられている。例えば、変動パターン「30」は、抽選における当否結果が「ハズレ」であり、シングルのリーチ(S−SP)が行われるとともに、予告演出として「ツサカ」の演出及び発展演出が行われ、共通装飾図柄列が外れ図柄で停止すること、及び本変動の変動時間が67000msであることを示している。また、変動パターン「39」は、抽選における当否結果が「確率変動大当り」であり、ダブルのリーチ(W−SP)が行われるとともに、予告演出として「ツサカ」の演出が行われ、さらには共通装飾図柄列の再変動が行われ、確率変動大当りを示す図柄(所謂確変図柄)で停止すること、及び本変動の変動時間が77000msであることを示している。一方、擬似変動に関する要素、すなわち擬似変動の有無、及び擬似変動を行う回数(変動回数)は、一つにまとめられており、これらの要素に対応する情報の組合せが、複数(本例では四個)の変動番号Bとして振分けられている。具体的には、図63に示すように、変動番号「10H」は擬似変動のない場合(すなわち本変動のみの場合)、変動番号「12H」は擬似変動を1回行う場合、変動番号「13H」は擬似変動を2回行う場合、変動番号「14H」は擬似変動を3回行う場合を示している。
なお、図60に示す変動番号「15H」は、時短遊技状態の有無を示している。つまり、時短遊技状態の有無に関する情報に関しても、擬似変動に関する要素と同じように、変動パターンに含めないようにすることで、変動パターンの個数を少なくしている。詳しく説明すると、時短遊技状態では、第三始動口装置332に対する遊技球の入賞のし易さが通常よりも容易な状態となり、大当り抽選が通常よりも頻繁に行われるとともに、共通装飾図柄列の変動時間が全体的に短縮される(例えば2000ms)が、このような時短遊技状態を行うか否かは、共通装飾図柄列における全ての変動態様に共通の事項であり、しかも時短遊技状態では、比較的長い変動時間を要する擬似変動は行われないことから、本構成では、「時短遊技状態の有無」を、擬似変動に関する要件と同様に共通変動要素とし、他の本変動における変動パターンに含まれないように構成している。したがって、この場合においても、変動パターンの個数を減らし、予告演出等、演出本来のバリエーションを豊富にすることが可能になる。
なお、図62は、擬似変動の有無及び変動回数に対する抽選の振分けを、変動パターン毎に示したものである。具体的には、各変動パターンにおける総数を「251」とした場合における振分け数を示している。全体的には、擬似変動を行わない割合、すなわち本変動のみとする割合が高くなっており、中には、擬似変動を有しない変動パターンや、変動回数を1回または2回に制限する変動パターンも含まれている。また、擬似変動を行う場合においては、変動回数が多いほど振分け率が高くなる変動パターンもあれば、変動回数が多いほど振分け率が低くなる変動パターンもある。
このように、擬似変動に関する要件と時短遊技状態に関する要件とを変動パターンとは別の変動態様として処理することにより、変動パターン数を大幅に減らすことが可能になる。例えば、本例では、擬似変動に関する変動態様(変動番号)が4種類あり、時短遊技状態に関する変動態様(変動番号)が1種類あるが、合せて5種類の変動態様を変動パターンとは別に処理することにより、変動パターンの個数を約1/5とすることが可能になる。
ところで、上記のように、第一特別図柄の変動時間を決定し、その後、共通装飾図柄列の擬似変動の有無及び擬似変動の変動回数を決定するものにおいては、擬似変動を行う際、連続的に行われる共通装飾図柄列の変動時間(合計時間)が第一特別図柄の変動時間よりも長くなり、共通装飾図柄列の変動中に第一特別図柄の変動が停止する場合が発生する。そして、この場合には、共通装飾図柄列の変動中または予告演出の導出中であるにも拘らず、第一特別図柄によって抽選の結果が認識可能となることから、その後の共通装飾図柄列の変動及び予告演出が無意味なものとなってしまう。
そこで、本例では、特別図柄変動制御手段934に変動時間延長手段937を備え、共通装飾図柄列の変動回数に基づいて、第一特別図柄の変動時間を延長するようにしている。つまり、図61に示すように、変動番号に応じて、すなわち擬似変動における変動回数に基づいて、第一特別図柄の変動時間が延長されるようになっている。具体的には、擬似変動の変動回数が1回の場合(変動番号が「H12」の場合)には8132ms加算され、変動回数が2回の場合(変動番号が「H13」の場合)には16268ms加算され、変動回数が3回の場合(変動番号が「H14」の場合)には24400ms加算されるようになっている。このため、共通装飾図柄列の擬似変動の有無、及び擬似変動の変動回数が変化しても、第一特別図柄の変動時間を、一連の共通装飾図柄列の変動時間に合わせることができ、共通装飾図柄列が停止する前に抽選結果が認識されてしまう事態を回避することができる。
このように、決定された本変動に関するデータ(すなわち変動パターン)、及び擬似変動に関するデータ(すなわち変動番号)は、コマンド生成手段936に送られ、夫々のデータに対応する選択値をコマンドとして、主制御基板94から周辺制御基板830に送信される。特に、コマンド発信手段935には、コマンド生成手段936が備えられており、共通装飾図柄列の擬似変動を示すデータ及び時短遊技状態を示すデータ(すなわち変動番号「10H」〜変動番号「15H」)を、遊技状態を示すステータスデータとし、変動パターンを示すデータD(2桁の16進数:「01」〜「AA」)と組合せて一つの変動態様コマンドを生成するようになっている。例えば、変動番号が「12H」であり、変動パターンが「21」の場合には、変動態様コマンドは「12H14」となり、変動番号が「14H」であり、変動パターンが「28」の場合には、変動態様コマンドは「14H1C」となる。このように、別々に決定された、擬似変動を示すデータと本変動を示すデータとが組合わされ、一つのコマンド(変動状態コマンド)として発信されるため、コマンド数を増やすことなく情報を伝達することが可能となり、主制御基板94及び周辺制御基板830における制御の負荷を軽減できる。特に、コマンドを生成する際には、擬似変動を示すデータを、遊技状態を示すステータスデータとして一体化するため、従来から使用されていたコマンドの形態を変えることなく、二つのデータを組合せることができる。ここで、コマンド発信手段935が本発明のパターンコマンド発信手段,擬似変動コマンド発信手段,第一パターンコマンド発信手段,第二パターンコマンド発信手段,第一擬似変動コマンド発信手段,及び第二擬似変動コマンド発信手段に相当する。
一方、図54に示すように、主制御基板94には、第二大当り抽選に関する構成として、第二当り判定用テーブル911b、第二当り図柄用テーブル912b、第二当り時変動時間設定用テーブル913b、及び第二外れ時変動時間設定用テーブル914bが予め記憶されており、これらのテーブル911b〜914bを基に、第二大当り抽選における抽選の当否、第二特別図柄表示器390bにおける停止図柄、及び変動時間が決定される。なお、各テーブルの構成は、第一大当り抽選における各テーブルの構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、主制御基板94には、中始動口センサ358によって第二始動口装置330への入賞が検出されたときに第二大当り抽選に関する大当り判定用乱数を抽出する第二当り判定用乱数抽出手段916bと、第二大当り抽選に関する大当り図柄用乱数を抽出する第二当り図柄用乱数抽出手段917bと、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する第二変動時間用乱数抽出手段918bとが設けられている。また、第二当り判定用乱数抽出手段916bによって大当り判定用乱数が抽出されると、第二当り判定用テーブル911bを用いて大当りの当否を決定する第二当否決定手段930b、及び第二当り図柄用乱数抽出手段917bによって大当り図柄用乱数が抽出されると、第二当り図柄用テーブル912bを用いて第二特別図柄表示器390bにおける停止図柄を決定する第二停止図柄決定手段931bが設けられている。さらに、第二変動時間用乱数抽出手段918bによって変動時間用乱数が抽出され、且つ第二当否決定手段930bによって大当りであることが決定されると、第二当り時変動時間設定用テーブル913bを用いて第二特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ第二当否決定手段930bによって外れであることが決定されると、第二外れ時変動時間設定用テーブル914bを用いて第二特別図柄の変動時間を決定する第二変動時間決定手段932bが設けられている。ここで、第二当否決定手段930b、第二停止図柄決定手段931b、及び第二変動時間決定手段932bを組合せたものが本発明の第二抽選手段に相当する。
また、前記の特別図柄変動制御手段934は、第二特別図柄表示器390bにおいて第二特別図柄の変動を開始するとともに、第二変動時間決定手段932bによって決定された変動時間の経過後、第二停止図柄決定手段931bによって決定された停止図柄で変動停止させる。つまり、特別図柄変動制御手段934は、上始動口センサ416(または下始動口センサ340)及び中始動口センサ358による遊技球の検出順序に従って第一特別図柄または第二特別図柄を順次変動させるとともに、第一停止図柄決定手段931aまたは第二停止図柄決定手段931bによって決定された停止図柄で第一特別図柄または第二特別図柄の変動を停止させる。さらに、主制御基板94には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、中始動口センサ358によって第二始動口装置330への入賞が検出された場合、一定球数(4回)を上限として第二始動記憶数をカウントし記憶するとともに、第二特別図柄の変動表示を始動記憶数分だけ繰り返し行わせる第二保留消化手段922bが設けられている。換言すれば、中始動口センサ358による遊技球の検出に基づく第二処理の実行を待機させる第二保留消化手段922bが設けられている。第二保留消化手段922bについてさらに詳細に説明する。第二保留消化手段922bには、第二保留制御手段941b及び第二消化制御手段942bが設けられており、第二保留制御手段941bは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、中始動口センサ358によって第二始動口装置330への入賞が検出された場合、第二始動記憶数が上限値「4」に到達していなければ、第二始動記憶数の値を「1」増やすとともに、第二大当り判定用乱数及び第二大当り図柄用乱数を抽出し、抽出された各乱数を、特別図柄用乱数記憶手段940の中の、一番上位の記憶領域に格納する。一方、第二消化制御手段942bは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動が停止し、新たな第二特別図柄の変動が可能になった場合、第二特別図柄に関する始動記憶数が「0」でなければ、始動記憶数[1]に対応する記憶領域から第二大当り判定用乱数及び第二大当り図柄用乱数を読み出すとともに、第二始動記憶数の値を「1」減らし、且つ、各記憶領域nに記憶されている各乱数値を、n−1の記憶領域にシフトさせる。
また、主制御基板94には、第二大当り抽選に関し、第二当否決定手段930bによって決定された当否結果及び第二変動時間決定手段932bによって決定された第二特別図柄の変動時間に基づいて、共通装飾図柄列の変動パターンを決定する第二変動パターン決定手段820bと、第二変動パターン決定手段820bによって決定された変動パターンに基づく共通装飾図柄列の本変動を実行する前に共通装飾図柄列を擬似的に一回または複数回変動させるか否か、すなわち擬似変動を行うか否かを抽選に基づいて決定するとともに、その擬似変動における共通装飾図柄列の変動回数を決定する第二擬似変動決定手段821bが設けられている。なお、この第二変動パターン決定手段820b及び第二擬似変動決定手段821bは、第一大当り抽選に関する第一変動パターン決定手段820a及び第一擬似変動決定手段821aと同様の構成であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、図55に示すように、主制御基板94には、第一当否決定手段930aまたは第二当否決定手段930bによる抽選結果を基に、遊技者に有利な遊技状態を付与する五つの有利遊技状態制御手段を備えている。ここで、有利な遊技状態には、アタッカ装置335を開放し、大入賞口に対して遊技球の入賞を可能とすることが含まれており、特定利益付与手段981または所定利益付与手段982のいずれか一方によってアタッカ装置335が開放制御されるようになっている。
さらに詳しく説明すると、所定利益付与手段982は、アタッカ装置335の一回当りの開放時間を、数個(例えば1〜2個)の遊技球が辛うじて入賞できる程度の第一所定時間とするとともに、アタッカ装置335の開閉動作を少なくとも一回以上(本例では二回)行うことで、遊技者に所定の利益を付与するものである。これにより、所定数の遊技球を大入賞口に入賞させることが可能になるが、入賞可能な個数は極めて少ないため、これによって遊技者が受ける利益は比較的少ないものとなる。一方、特定利益付与手段981は、アタッカ装置335の一回当りの開放時間を、複数個(例えば10個)の遊技球がゆとりを持って入賞できる程度の第二所定時間とするとともに、アタッカ装置335の開閉動作を、所定の利益を付与する場合の開閉動作の回数よりも多い回数(本例では15回)行うことで、遊技者に特定の利益を付与するものである。これによれば、多数の遊技球を大入賞口に入賞させることが可能になり、遊技者は大きな利益を得ることができる。
そして、主制御基板94には、特定利益付与手段981によって特定の利益を付与させる手段として、第一有利遊技状態制御手段933a及び第二有利遊技状態制御手段933bが設けられ、所定利益付与手段982によって所定の利益を付与させる手段として、第三有利遊技状態制御手段933c、第四有利遊技状態制御手段933d、及び第五有利遊技状態制御手段933eが設けられている。ここで、第一有利遊技状態制御手段933a及び第二有利遊技状態制御手段933bが本発明の有利遊技状態発生手段に相当する。
第一有利遊技状態制御手段933aによって発生する第一有利遊技状態は、所謂「確率変動大当り」であり、第一当否決定手段930aまたは第二当否決定手段930bの抽選結果が第一結果の場合に発生する。この当りになると、特定利益付与手段981によって特定の利益を付与するとともに、高確率状態設定手段983によって、その後の抽選で特定の利益が付与される確率を通常時よりも高く設定する。つまり、高確率である確率変動状態とする。なお、本例では、高確率時の大当り判定テーブルでは、0〜630までの631個の大当り判定用乱数のうち、大当り遊技状態を発生させることが決定される大当り判定値が、20個設定され、大当りとなる確率である大当り確率が20/631となっている。一方、通常時の大当り判定テーブルでは、0〜630までの631個の大当り判定用乱数のうち大当り判定値が2個設定され、大当り確率が2/631となっている。また、第一有利遊技状態では、第一時短状態設定手段984によって、第一特別図柄表示器390aまたは第二特別図柄表示器390bで変動する第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間を短くするとともに、可動片331が開閉動作される頻度(すなわち普通抽選において当選となる確率)を高くすることによって第三始動口装置332への入賞のし易さを通常時よりも増加させる。つまり、時短遊技状態とする。
第二有利遊技状態制御手段933bによって発生する第二有利遊技状態は、所謂「通常大当り」であり、第一当否決定手段930aまたは第二当否決定手段930bの抽選結果が第二結果の場合に発生する。この当りになると、特定利益付与手段981によって特定の利益が付与される点は第一有利遊技状態と同様であるが、この当りの場合には、その後の抽選で特定の利益が付与される確率は低確率のままである。つまり、確率変動状態にはならず、通常時の確率が維持される。ただし、この第二有利遊技状態では、特定の利益を付与した後、第一特別図柄または第二特別図柄の変動回数が所定回数(例えば100回)になるまでの間、第二時短状態設定手段985によって時短遊技状態になり、第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間を短くするとともに、可動片331が開閉動作される頻度(すなわち普通抽選において当選する確率)を高くすることによって遊技球の球持ちを抑制する。
第三有利遊技状態制御手段933cによって発生する第三有利遊技状態は、所謂「特殊大当り」であり、第一当否決定手段930aまたは第二当否決定手段930bの抽選結果が第三結果の場合に発生する。この当りでは、まず、所定利益付与手段982によって遊技者に所定の利益(特定の利益よりも有利性の低い利益)を付与する。そして、その後の抽選に対しては、特定の利益が付与される確率を高くする。すなわち、第一有利遊技状態と同様、確率変動状態とする。ただし、時短遊技状態については、この有利遊技状態を発生させる前の遊技状態が所定の条件を満足する場合に限って発生させるようにしている。つまり、遊技状態が確率変動状態ではなく且つ時短遊技状態でもない場合(換言すれば、通常の遊技状態の場合)に第三有利遊技状態が発生した場合には、時短遊技状態を発生させることなく、確率変動状態としている。一方、遊技状態が確率変動状態であるか、または時短遊技状態である場合に、第三有利遊技状態が発生すると、第一時短状態設定手段984を作動させ、時短遊技状態を発生させるようにしている。
第四有利遊技状態制御手段933dによって発生する第四有利遊技状態は、第一当否決定手段930aまたは第二当否決定手段930bの抽選結果が第四結果の場合に発生する。この当りでは、第三有利遊技状態と同様、所定利益付与手段982によって遊技者に所定の利益を付与する。ただし、その後の抽選に対しては、新たに確率変動状態も時短遊技状態も発生させない。つまり、当りの前後において遊技状態が何ら変わることがなく、他の有利遊技状態に比べて遊技者への利益の程度が極めて低くなっている。そこで、本例では、このような魅力のない当りを、他の当り(大当り)と区別するため、「小当り」と称している。なお、本例では、小当りとなる確率、すなわち第四有利遊技状態が発生する確率を、1/78.875に設定している。
第五有利遊技状態制御手段933eによって発生する第五有利遊技状態は、第一当否決定手段930aまたは第二当否決定手段930bの抽選結果が第五結果の場合に発生する。この当りでは、所定利益付与手段982によって遊技者に所定の利益を付与すること、及び高確率状態設定手段983によって所定の利益を付与することは、第三有利遊技状態と同様であるが、この有利遊技状態では、遊技状態に拘わらず、第一時短状態設定手段984によって時短遊技状態を発生させるようにしている。
なお、本例では、夫々の大当りにおける当選の割合を振り分けている。具体的には、第一有利遊技状態制御手段933aによって発生する第一大当り、すなわち確率変動状態及び時短遊技状態がいずれも付与される確率変動大当りを、大当り全体の35%に設定し、第二有利遊技状態制御手段933bによって発生する第二大当り、すなわち確率変動状態が付与されることなく一定回数の時短遊技状態が付与される通常大当りを35%に設定している。また、第三有利遊技状態制御手段933cによって発生する第三大当り、すなわち確率変動状態と、条件付きの時短遊技状態が付与される特殊大当りを27%に設定し、第五有利遊技状態制御手段933eによって発生する第四大当り、すなわち確率変動状態及び時短遊技状態がいずれも付与される特殊大当りを3%に設定している。つまり、第一大当り(確率変動大当り)と第二大当り(通常大当り)とを同じ割合で発生させ、それらよりも幾分低い割合で第三大当り(特殊大当り)を発生させるように設定されている。また、第四大当りが発生する割合は第三大当りの1/9程度に設定されており、極めて稀にしか発生しないようになっている。
ところで、前記したように、第四有利遊技状態制御手段933dによって小当りが発生する確率は1/78.875に設定され、一方、通常時に大当りが発生する確率は1/315.5に設定されているため、小当りが発生する確率と、第三大当りまたは第四大当りが発生する確率との比率は、1:0.075となる。したがって、所定利益付与手段982によって所定の利益が付与される当りとして、これらの三種類の当りが設けられているものの、その殆どが小当りとなり、確率変動状態が発生する確率は7%程度となる。換言すれば、確率変動状態を発生させることのない、当りとして魅力の少ない「小当り」が頻繁に発生することとなる。このため、もし仮に、これらの当りが夫々明朗に区別して認識可能になると、有利性の少ない「小当り」が頻繁に発生することに対して苛立ちが喚起されることが懸念され、大当りでないことに対しての不満によって、遊技への意欲が損なわれる虞がある。
そこで、本例では、遊技状態が確率変動状態ではなく且つ時短遊技状態でもない場合(すなわち通常時の場合)に「第三有利遊技状態」が発生すると、時短遊技状態を発生させることなく、確率変動状態となるようにしている。これによれば、いずれの遊技状態であっても第三始動口装置332の開放状態、すなわち可動片331の動作状態に差異が生じることなく、「第三有利遊技状態(大当り)」は「第四有利遊技状態(小当り)」と比べ、視覚的に区別して認識することができなくなる。換言すれば、「小当り」が発生した場合であっても、「第三有利遊技状態(大当り)であるかも知れない」、すなわち「確率変動状態に突入しているかもしれない」と推測させることができ、遊技者の期待感を高めることが可能になる。したがって、遊技への意欲が高められ、不満による遊技の終了を極力抑制することが可能になる。
なお、第五有利遊技状態では、遊技状態に拘わらず、時短遊技状態を発生させるようにしている。すなわち、時短遊技状態にはならない「小当り」と、明朗に区別することが可能な大当り状態を発生させている。しかしながら、第五有利遊技状態は、第三有利遊技状態に比べて発生する頻度が少なく、しかも第五有利遊技状態ではないことが認識されても、第三有利遊技状態である可能性が残されているため、遊技意欲を低下させることはない。それどころか、第五有利遊技状態が発生した場合には、時短遊技状態の発生によって確率変動状態になったことが示唆され、ひいては抽選への期待感を大幅に高め、遊技者の気分を高揚させることが可能になる。
ところで、第三有利遊技状態では、所定の利益を付与した後、時短遊技状態を発生させることなく確率変動状態としているが、このような制御を遊技状態に拘わらず実行した場合には、不具合が発生することがある。例えば、遊技状態が既に時短遊技状態になっている場合に、上記の制御をそのまま実行すると、時短遊技状態が途中で終了し、不自然さを与えるとともに、遊技者にとって不利な遊技状態になったと認識させてしまう虞がある。また、「第二有利遊技状態」によって特定の利益が付与された後のように、確率変動状態になることなく時短遊技状態が発生している場合において、「第三有利遊技状態」となった際には、時短遊技状態が途中で終了することにより、「第三有利遊技状態」となったこと、すなわち「第四有利遊技状態(小当り)」ではないことが容易に認識できるようになる。換言すれば、「第三有利遊技状態」と「第四有利遊技状態」とが明朗に区別され、「第四有利遊技状態」による期待感の低下を抑制することができなくなる。
そこで、本例では、第三有利遊技状態における遊技状態の移行は、それが発生する前の遊技状態に対応して個別に設定されている。具体的には、確率変動状態及び時短遊技状態のいずれも発生していない場合は、前述の通り、時短遊技状態を発生させることなく確率変動状態を発生させるようにしているが、その他の組合せの場合、すなわち、時短遊技状態または確率変動状態の少なくともいずれか一方が既に発生している場合には、時短遊技状態を発生(または継続)させるとともに、確率変動状態を発生(または継続)させるようにしている。
つまり、時短遊技状態になっている場合に「第三有利遊技状態」が発生すると、その時短遊技状態を停止させることなく、確率変動状態を発生させるようになっている。すなわち、既に時短遊技状態が発生している場合には、第三有利遊技状態における機能の一部を変更して遊技者に付与する。これによれば、時短遊技状態がいきなり終了することを防止でき、遊技機に対する不信感を抑制できるとともに、「第三有利遊技状態」と「第四有利遊技状態」との視覚的な区別を不明朗にさせることができる。
また、「第三有利遊技状態」になった際に、遊技状態が時短遊技状態でない場合であっても、既に確率変動状態になっている場合には、確率変動状態を維持したまま、時短遊技状態を発生させるようにしている。つまり、前回の「第三有利遊技状態」によって確率変動状態となっている場合において、「第一有利遊技状態」または「第二有利遊技状態」によって特定の利益が付与される前に、再び「第三有利遊技状態」になった場合には、時短遊技状態を付与し、第一特別図柄表示器390aまたは第二特別図柄表示器390bで変動する第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間を短縮させるとともに、第三始動口装置332への入賞のし易さを通常よりも増加させるようにしている。これにより、再度の「第三有利遊技状態」による利益として、所定の利益(第四有利遊技状態と同様の利益)以上の利益を与えることが可能になり、大当りへの期待感をさらに高めることができる。なお、この場合、第三始動口装置332への入賞のし易さが増加することから、「第四有利遊技状態」と区別することが可能になるが、「第三有利遊技状態」が二回連続して発生した場合に限られる制御であるため、「第四有利遊技状態」による期待感の低下に影響を及ぼさない。なぜなら、前回も今回も「第四有利遊技状態」である場合、前回は「第四有利遊技状態」であったが今回初めて「第三有利遊技状態」となった場合、及び、前回が「第三有利遊技状態」で今回「第四有利遊技状態」となった場合、のいずれにおいても時間短縮状態が発生しないためである。
ところで、図56に示すように、主制御基板94には、普通抽選(第三始動口装置332への入賞のし易さを高めるための抽選)に関する構成として、普通当り判定用乱数抽出手段924、普通当り判定用テーブル926、及び普通当否決定手段925が設けられている。普通当り判定用乱数抽出手段924は、入球状態検出手段990(ゲートセンサ)によって通過ゲート790への入球が検出されたとき、ランダムカウンタ(乱数発生手段)から、普通当り判定用乱数を抽出するものである。また、普通当り判定用テーブル926は、高確率時のテーブルと通常時のテーブルとに分かれており、高確率時の普通当り判定テーブルでは、0〜99までの100個の普通当り判定用乱数のうち、普通当りとなる判定値が5個設定され、普通当りとなる確率が5/100となっている。一方、通常時の普通当り判定テーブルでは、0〜99までの100個の普通当り判定用乱数のうち、普通当りとなる判定値が99個設定され、普通当りとなる確率が99/100となっている。また、高確率時の普通当り抽選では、普通図柄の変動時間が1.136秒に設定され、始動口ソレノイド352による可動片331の開放時間が1654ms、開放回数が3回、開放間のインターバルが856msに設定されている。一方、通常時の普通当り抽選では、普通図柄の変動時間が平均14.7秒に設定され、可動片331の開放時間が1650ms、開放回数2回、開放間インターバルが2600msに設定されている。
また、普通当否決定手段925は、普通当り判定用乱数抽出手段924によって普通当り判定用の乱数が抽出されると、抽出された乱数と普通当り判定用テーブル926に記憶された普通当り判定値とを比較して、一致している場合に普通当りであると決定する。なお、この際、遊技状態判定手段923によって、遊技状態が特定の遊技状態、すなわち確率変動大当り後の遊技状態(確率変動状態)または大当り(例えば通常大当り)後の一定期間における遊技状態(時短遊技状態)か否かが判別され、特定の遊技状態である場合には高確率時のテーブルが選択され、特定の遊技状態でない場合には通常時のテーブルが選択される。
また、主制御基板94には、普通当否決定手段925によって普通抽選の当否が決定されると、普通図柄表示器928に普通図柄を変動表示させるとともに、変動時間(約14秒または約1秒)の経過後、当否の結果を表示させる普通図柄変動制御手段927が設けられている。また、普通当否決定手段925による判別の結果、普通当りが確定した場合、普通図柄の変動停止後、可動片331を開放させ、遊技球を第三始動口装置332に入賞しやすくする開放制御手段929が設けられている。
一方、周辺制御基板830における機能的構成を図57及び図58に基づき説明する。図57に示すように、周辺制御基板830には、主制御基板94から送信された制御情報コマンドがコマンド受信手段951によって受信されると、これを基に演出表示装置101を制御するための各種機能が備えられている。
すなわち、第一大当り抽選に対応する演出用テーブルとして、第一当り時演出態様テーブル952aと、第一外れ時演出態様テーブル953aとが予め記憶されており、これらのテーブル952a,953aを基に、予告演出等における演出態様が決定されるようになっている。ここで、第一当り時演出態様テーブル952a及び第一外れ時演出態様テーブル953aが本発明の演出態様記憶手段に相当する。
まず、演出態様テーブル952a,953aについて詳細に説明する。第一当り時演出態様テーブル952aは、大当り(または小当り)の場合に用いられ、演出決定用乱数(後述する)と、演出態様(ここではステップ演出や発展演出等の予告演出における演出パターン)との関係を示すものである。また、第一外れ時演出態様テーブル953aは、外れの場合に用いられるテーブルであり、演出決定用乱数と演出パターンとの関係を示すものである。
周辺制御基板830には、ランダムカウンタ(図示しない)から演出決定用乱数を抽出する第一演出用乱数抽出手段957aと、演出パターンを決定する第一演出態様決定手段958aとが設けられている。第一演出態様決定手段958aは、コマンド受信手段951を介して制御コマンドを受信すると、第一演出用乱数抽出手段957aによって演出用乱数を抽出するとともに、制御コマンドに含まれる当否コマンドが大当り(または小当り)を示すものである場合には、第一演出用乱数抽出手段957aによって抽出された演出用乱数と、第一当り時演出態様テーブル952aとから演出パターンを決定し、一方、当否コマンドが外れを示すものである場合には、第一演出用乱数抽出手段957aによって抽出された演出用乱数と、第一外れ時演出態様テーブル953aとから演出パターンを決定するものである。なお、発展演出に関しては、複数回の演出にわたって段階的に発展させるため、第三有利遊技状態(大当り)または第四有利遊技状態(小当り)が発生した時点において、その後の抽選における基本的な演出の流れ(すなわちどの演出までどのようなパターンで発展させるか)が決定されるようになっている。
第一演出態様決定手段958aによって決定された演出パターンは、演出パターン記憶手段(図示しない)から抽出されるとともに、第一演出表示制御手段975aに送られる。第一演出表示制御手段975aは、それらの演出の画像を画像記憶手段(図示しない)から読出し演出表示装置101に導出する。また、周辺制御基板830は共通装飾図柄の変動に関する機能的な構成として、第一装飾図柄決定手段976a及び第一装飾図柄列変動制御手段960aが設けられている。第一装飾図柄決定手段976aは、コマンド受信手段951によって受信された制御コマンドを基に、停止図柄を決定するものであり、第一装飾図柄列変動制御手段960は、共通装飾図柄列を変動させるとともに、その制御コマンドに含まれる変動時間及び当否コマンド等(すなわち抽選結果)に基づいて共通装飾図柄列を停止させるものである。
ここで、第一装飾図柄決定手段976a及び第一装飾図柄列変動制御手段960aには、共通装飾図柄列における本変動及び擬似変動に関する制御が含まれており、第一演出態様決定手段958a及び第一演出表示制御手段975aには、本変動及び擬似変動における予告演出が含まれている。図58を基に詳細に説明すると、第一装飾図柄決定手段976aには、コマンド受信手段951によって受信した変動態様コマンドに基づいて、共通装飾図柄列の本変動における停止図柄を決定する第一本変動停止図柄決定手段823aと、変動態様コマンドに基づいて擬似変動の有無及び擬似変動の変動回数を認識し、擬似変動を行う場合には、夫々の擬似変動における停止図柄を決定する第一擬似変動停止図柄決定手段824aとが設けられている。また、第一装飾図柄列変動制御手段960aには、演出表示装置101に共通装飾図柄列を変動表示させるとともに、第一本変動停止図柄決定手段823aによって決定された停止図柄で本変動における共通装飾図柄列を停止させる第一本変動制御手段825aと、擬似変動を行う場合、本変動を開始する前に、演出表示装置101に共通装飾図柄列を、変動回数分だけ繰返し変動表示させるとともに、第一擬似変動停止図柄決定手段824aによって決定された停止図柄で夫々の擬似変動における共通装飾図柄列を停止させる第一擬似変動制御手段826aとが設けられている。このように、抽選結果に対応した本変動を行う前に、一回または複数回の擬似変動を行うため、本変動を含めて複数回の変動を連続的に視認させることが可能になる。
ところで、本例では、共通装飾図柄列を変動させる際に、夫々の変動表示においてメリハリをつけるため、抽選結果への期待値に応じた予告演出を表示させるようになっている。具体的には、周辺制御基板830では、まず、受信した変動態様コマンドに基づいて本変動における予告演出を決定し、その後、その予告演出に基づいて擬似変動における予告演出を決定するようになっている。つまり、第一演出態様決定手段958aには、コマンド受信手段951によって受信した変動態様コマンドに基づいて本変動における予告演出を決定する第一本変動演出決定手段827aと、第一本変動演出決定手段827aによって決定された予告演出に基づいて擬似変動における予告演出を決定する第一擬似変動演出決定手段828aとが設けられている。すなわち、擬似変動を行う場合には、本変動での予告演出に関連した演出態様を、擬似変動の際の予告演出として決定する。
ところで、図64は本変動における予告演出と夫々の擬似変動における予告演出との関係を示す演出態様テーブルであり、第一擬似変動演出決定手段828aは、第一本変動演出決定手段827aによって本変動における予告演出が決定されると、その予告演出に対応する擬似変動での予告演出を、この演出態様テーブルから抽出するようにしている。なお、この演出態様テーブルでは、予告演出の番号と、それに対応する予告演出の内容(タイトル)とが関連付けられるとともに、本変動における予告演出の番号と、夫々の擬似変動における予告演出の番号とが互いに関連付けられている。具体例を示すと、本変動における予告演出の番号(予告番号)が「134」に決定された場合には、本変動時には「バイク+殺し屋」の演出が導出され、一方、夫々の擬似変動時には、予告番号「134」に対応する予告番号「129」の演出、すなわち「バイク」の演出が導出されるようになっている。なお、本例では、予告番号の数値が大きいほど大当りへの期待値が高くなるように設定されている。このように演出態様テーブルを用いることにより、本変動での予告演出と擬似変動での予告演出とを確実に対応付けることが可能となり、数多くの予告演出の中から適切な予告演出を比較的簡単な処理で決定することが可能となる。
また、この図64を基にさらに詳細に説明すると、本変動における予告番号は擬似変動における予告番号よりも大きいか、または等しい番号となっている。つまり、第一擬似変動演出決定手段828aは、第一本変動演出決定手段827aによって決定された予告演出よりも大当りへの期待値の低い演出、または決定された予告演出と期待値が略同等である演出を、擬似変動における予告演出として決定する。なお、この予告演出は、擬似変動を行わない通常の変動時に出現可能な複数の演出から抽出されるものであり、大当りの場合に導出される割合と外れの場合に導出される割合とに基づいて大当りの期待値が夫々設定されている。このように、本変動における予告演出を、擬似変動における予告演出よりも期待値が高いか、または同等の演出とすることにより、連続的に行われる一連の変動の途中で(正確には擬似変動から本変動に移行する際に)、期待感が低下することがなくなる。したがって、本変動が終了する前に期待感が消失してしまうことを抑制し、譬え抽選結果が外れであっても、一連の変動が終了するまで、または終了間際まで、ハラハラドキドキさせることが可能になる。
また、複数の予告演出には、一連の演出の起点となる起点演出(例えば、予告番号129の「バイク」(図65(a)参照)、予告番号130の「パトカー」(図66(a)参照)、または予告番号131の「飛行機」等)と、その起点演出に繋がる発展演出(例えば、予告番号133の「バイク+エアポート」(図65(b)参照)、予告番号136の「バイク+バス」または予告番号149の「パトカー+エアポート」(図66(b)参照)等)とに区別して記憶されており、第一本変動演出決定手段827aは、記憶された全ての予告演出の中から本変動の際の予告演出を決定することが可能になっている。一方、第一擬似変動演出決定手段828aは、本変動における予告演出が発展演出に該当する場合には、その発展演出の起点となる起点演出を、擬似変動の際の予告演出とする。具体的には、本変動で予告演出が予告番号136の「バイク+バス」(発展演出)の場合には、その予告演出の起点となる予告番号129の「バイク」を、擬似変動の際の予告演出とする。これによれば、擬似変動時に導出される予告演出と本変動時に導出される予告演出とを互いに関連づけ、一連の演出として導出させることができ、演出内容の変化を楽しませることができる。換言すれば、全く関連しない演出が順次導出されることによる不自然さを防止するとともに、不慣れな遊技者に対しても、演出が発展している様子を容易に把握させることが可能になる。また、起点演出から発展演出に変化するため、期待感を確実に高めることが可能となる。
なお、本変動における予告演出が起点演出に該当する場合には、その起点演出と同一の演出を、擬似変動の際の予告演出とする。具体的には、本変動で予告演出が予告番号130の「パトカー」(起点演出)の場合には、その予告演出と同一の演出「パトカー」を、擬似変動の際の予告演出とする。そしてこの場合には、全ての変動表示に亘って同じ予告演出が繰返し導出されることとなる。このように、擬似変動から本変動に移行する際に、予告演出が変化しない場合を設けることにより、擬似変動から本変動に移行するタイミングを認識し難くすることができ、ひいては擬似変動に対しても注意を引きつけることができる。また、擬似変動から本変動に移行する際に同一の演出を表示させることにより、期待感が低下することを防止できる。
さらに、本例では、擬似変動時の予告番号は、同行において全て等しくなっている。つまり、擬似変動を複数回行う場合、すなわち変動番号が「13H」または「14H」の何れかである場合には、複数回の擬似変動における予告演出を全て同一の予告演出としている。このため、周辺制御基板830における制御の負担を一層軽減できるとともに、一連の擬似変動の途中で期待感が低下することを防止できる。また、同じ予告演出が繰返し導出されることにより、その予告演出のインパクトを高め、演出効果を高めることができる。さらに、同じ予告演出が何度も繰返されるという、通常の遊技では発生しない状態を作り出すことにより、特別の演出であるという認識を喚起させ、演出表示装置101の画面に注目させることが可能になる。
このように決定された予告演出は、第一演出表示制御手段975aによって演出表示装置101に導出されるようになっている。つまり、第一演出表示制御手段975aには、本変動の際、第一本変動演出決定手段827aによって決定された予告演出を演出表示装置101に導出する第一本変動演出表示制御手段829aと、擬似変動の際、第一擬似変動演出決定手段828aによって決定された予告演出を演出表示装置101に導出する第一擬似変動演出表示制御手段830aとが設けられており、これにより、共通装飾図柄列の本変動及び擬似変動の際に夫々対応する予告演出が表示される。したがって、変動表示の保留がない場合でも複数の変動に跨る予告演出を行うことが可能となり、遊技に対する興趣を高めることができる。また、連続的に行われる複数回の変動表示に先だって、それら全ての変動表示における予告演出を一度にまとめて決定することから、制御の負荷を軽減することが可能となる。さらに、擬似変動における予告演出を、周辺制御基板830において決定するため、本変動時の予告演出に適した演出態様を擬似変動時の予告演出として選択することが可能になる。換言すれば、共通装飾図柄列の変動を複数回連続的に行うにあたって、夫々の変動の際に導出される夫々の予告演出を互いに関連づけることが可能になり、一連の特別な演出であることを遊技者に認識させることができる。
ところで、周辺制御基板830には、連続して行われる擬似変動の実行回数をカウントする変動回数カウント手段835と、カウントされた実行回数に関する情報を遊技者に示唆する示唆手段とがさらに備えられている。ここで、示唆手段は、遊技者に向って複数色の光を選択的に放射可能な発光手段837と、変動回数カウント手段835によってカウントされた実行回数に基づいて発光手段837における発光色を決定し順次変更する発光色決定手段836とから構成されている。具体的には、上側装飾体480の透明装飾部486(図24参照)から放射される光の色を、連続回数に応じて順に変化させることにより遊技者に連続する変動表示の回数を視認させるようになっている。これにより、変動回数に対する興味を高めることが可能になるとともに、発光手段837から放射される光の色に対しても注目させることができる。
なお、共通装飾図柄列の変動回数は、擬似変動だけでなく本変動を含めて計数されるようになっている。また、実行回数に対する光の色は、本変動と擬似変動とを区別することなく決定されるようになっている。このため、光の色の変化によって擬似変動から本変動に移行するタイミングが認識されてしまうことを防止し、ひいては一連の演出を最初から最後まで注目させることが可能になる。
なお、上記では、第一大当り抽選に関する演出について説明したが、周辺制御基板830には、第二大当り抽選に関する演出を行うための機能的構成も備えられている。具体的には、第二大当り抽選に対応する演出用テーブルとして、第二当り時演出態様テーブル952bと、第二外れ時演出態様テーブル953bとが予め記憶されており、これらのテーブル952b,953bを基に、ステップ演出や発展演出における演出態様が決定されるようになっている。演出態様テーブル952b,953bは、第一大当り抽選に対応する演出態様テーブル952a,953aと同様の構成であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、図57に示すように、周辺制御基板830には、第二大当り抽選に対応して、第二演出用乱数抽出手段957b、第二演出態様決定手段958b、第二演出表示制御手段975b、第二装飾図柄決定手段976b、及び第二装飾図柄列変動制御手段960bが設けられているが、これらの構成も第一大当り抽選に対応する機能的構成と同様の機能を有することから、詳細な説明を省略する。なお、図58に示すように、これらの機能的構成に含まれる第二本変動演出表示制御手段829b、第二擬似変動演出表示制御手段830b、第二本変動演出決定手段827b、第二擬似変動演出決定手段828b、第二本変動停止図柄決定手段823b、第二擬似変動停止図柄決定手段824b、第二本変動制御手段825b、及び第二擬似変動制御手段826bについても、第一大当り抽選に対応する機能的構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。
また、周辺制御基板830には、大当り表示手段964が設けられている。大当り表示手段964は、第一大当り抽選または第二大当り抽選の抽選結果が第一大当りまたは第二大当りの場合、すなわち、「確変大当り」または「通常大当り」の場合に、その抽選にかかる共通装飾図柄列の変動を停止させた後、「大当り」であることを表示させるものである。なお、第一大当り抽選または第二大当り抽選の抽選結果が第三大当り、第四大当り、または小当りである場合には、「当り」であることを表示させることなく、共通装飾図柄列の変動停止後、その抽選にかかる演出を終了する。
さらに、周辺制御基板830には、当選状態黙示手段995及び当選状態明示手段996が設けられている。当選状態黙示手段995は、第三有利遊技状態及び第四有利遊技状態によって所定の利益を遊技者に付与した場合、いずれの当りによって付与されたのかを、遊技者に不明朗にするものである。一方、当選状態明示手段996は、第三有利遊技状態によって所定の利益を付与した場合、その利益の付与から所定回数の抽選が行われても第一有利遊技状態または第二有利遊技状態によって特定の利益が付与されないときに、確率変動状態が潜伏していることを明朗にするものである。これによれば、「確率変動状態になっているにも拘わらず、それに気づかないために途中で遊技を終了してしまうこと」を抑制できる。
このように、本例のパチンコ機1によれば、抽選結果に対応した本変動を行う前に、一回または複数回の擬似変動を行うため、複数回の変動を連続的に視認させることが可能になる。つまり、始動口への入賞が一回だけであるにも拘らず、複数回の抽選が行われているかのように意識させることができ、興趣を高めることができる。また、変動表示の保留がない場合でも複数の変動に跨る予告演出を行うことが可能となり、遊技に対する面白みを高めることができる。また、連続的に行われる複数回の変動表示に先だって、それら全ての変動表示における予告演出を一度にまとめて決定することから、制御の負荷を軽減することができる。特に、擬似変動における予告演出を、周辺制御基板830において決定するため、主制御基板94における制御の負荷を軽減できる。さらに、本変動時の予告演出に適した演出態様を擬似変動時の予告演出として選択することが可能になり、一連の特別な演出であることを遊技者に認識させることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、連続的に行われる一連の変動の途中で期待感が低下することを防止できる。つまり、本変動が終了する前に期待感が消失してしまうことを抑制し、譬え抽選結果が外れであっても、一連の変動が終了するまでハラハラドキドキさせることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、擬似変動時に導出される予告演出と本変動時に導出される予告演出とを互いに関連づけ、一連の演出として導出させることができ、演出内容の変化を楽しませることができる。換言すれば、全く関連しない演出が順次導出されることによる不自然さを防止することができる。なお、本変動での予告演出が起点演出に該当する場合には、その起点演出と同一の演出を擬似変動の際の予告演出とするため、擬似変動から本変動に移行するタイミングを認識し難くすることができ、ひいては擬似変動に対しても注意を引きつけることができる。また、擬似変動から本変動に移行する際に同一の演出を表示させることにより、期待感が低下することを防止できる。
また、本例のパチンコ機1によれば、擬似変動が複数回連続して行われる場合、それらの擬似変動において同一の予告演出が導出されるため、周辺制御基板830における処理の負担を一層軽減できるとともに、一連の擬似変動の途中で期待感が低下することを防止できる。また、同じ予告演出が繰返し導出されることにより、その予告演出のインパクトを高め、演出効果を高めることができる。さらに、同じ予告演出が何度も繰返されるという、通常の遊技では発生しない状態を作り出すことにより、特別の演出であるという認識を喚起させ、演出表示装置101の画面に注目させることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、演出態様テーブルを用いることにより本変動での予告演出と擬似変動での予告演出とが確実に対応付けられ、数多くの予告演出の中から適切な予告演出を比較的簡単な処理で決定することができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、擬似変動における装飾図柄列の変動回数を抽選によって変化させるため、一連の連続変動における変動パターンが一層複雑になるとともに、擬似変動と本変動との区別を認識させないようにすることができる。したがって、繰り返される擬似変動及び予告演出の導出に対して、遊技者が飽きてしまうことを抑制できる。また、同じように擬似変動を行う場合であっても、擬似変動の変動回数を変えることにより、期待感にメリハリをつけることができ、興趣を高めることが可能になる。
さらに、本例のパチンコ機1によれば、連続して行われる擬似変動の実行回数が計数され、その回数に関する情報が示唆されるため、何回目の変動であるのかを認識させることが可能になり、変動回数に対する興味を高めることができる。特に、実行回数に関する情報が、発光手段837を用いて示唆されるため、発光色と実行回数との対応付けを遊技者に意識させることができ、発光手段837から放射される光の色に対しても注目させることができる。さらに、本例のパチンコ機1によれば、共通装飾図柄列の変動回数は、擬似変動だけでなく本変動を含めて計数され、しかも本変動と擬似変動とを区別することなく示唆されるため、擬似変動から本変動に移行するタイミングが認識されてしまうことを防止し、ひいては一連の演出を最初から最後まで注目させることが可能になる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、第一大当り抽選及び第二大当り抽選の両方に対して、共通装飾図柄列の擬似変動を実行可能とするものを示したが、何れか一方の抽選に対してのみ擬似変動を実行可能とするようにしてもよい。これによれば、第一大当り抽選と第二大当り抽選とにおける有利性を互いに異ならせることが可能となり、夫々の抽選にメリハリをつけることが可能になる。
また、上記実施形態では、始動口及び特別図柄を少なくも二組ずつ設け、二種類の大当り抽選(即ち第一大当り抽選及び第二大当り抽選)を行うものを示したが、一つの始動口及び特別図柄によって一種類の大当り抽選を行う遊技機においても本発明を適用することが可能である。
また、上記実施形態では、第一変動パターン決定手段820aによって決定された変動パターンと、第一擬似変動決定手段821aによって決定された擬似変動の有無、及び変動回数とを、合成して一つの選択値(コマンド)を作成するものを示したが、夫々別々に送信するようにしてもよい。ただし、本例のように複数のデータをまとめてコマンドを作成するようにすれば、制御の負荷が軽くなるとともに、一層速やかな処理を行うことができる。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。