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JP2008100248A - 連続鋳造用タンディッシュ及び連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用タンディッシュ及び連続鋳造方法 Download PDF

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Takehiko Fuji
健彦 藤
Takayuki Shiragami
孝之 白神
Masamitsu Wakao
昌光 若生
Kiyoshi Shigematsu
清 重松
Katsuhiro Fuchigami
勝弘 淵上
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Abstract

【課題】加熱した溶湯をタンディッシュ内において十分に均一混合し、介在物分離除去を積極的に行うことができ、大がかりな設備を必要としない溶湯加熱装置を有する連続鋳造用タンディッシュ及びそれを用いた連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】取鍋1から注入される溶湯を受け、受けた溶湯を連続鋳造鋳型内に注入する連続鋳造用タンディッシュであって、取鍋1から溶湯が注入される受湯部9には溶湯溜まり部7を有し、溶湯溜まり部7の外周には溶湯溜まり部7を取り囲むように誘導加熱コイル6を配設し、誘導加熱コイル6には交流電流を流すことができ、溶湯溜まり部7の底部11から頂部10までの高さHは、溶湯溜まり部7の円相当直径Dと同等あるいはそれ以上であることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ及びそれを用いた連続鋳造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融金属を加熱することのできる連続鋳造用タンディッシュ及びそれを用いた連続鋳造方法に関するものである。
溶融金属を連続鋳造するに際しては、溶湯を積載した取鍋から一旦連続鋳造用タンディッシュに溶湯を受け、その連続鋳造用タンディッシュの底部に配置した注湯ノズルを介して、連続鋳造用タンディッシュに受けた溶湯を連続鋳造鋳型内に注入する。連続鋳造用タンディッシュを用いることにより、取鍋からの溶湯流の安定化を図り、複数のストランドのそれぞれへ溶湯を分配する役割を果たし、さらに溶湯中に含まれる非金属介在物を分離除去する上でも重要な働きをする。
2ストランドスラブ連続鋳造機においては、横長のタンディッシュの両端底部に浸漬ノズルを設け、この浸漬ノズルを通じて2組の連続鋳造鋳型に溶湯を注入し、2ストランドの連続鋳造を実施する。タンディッシュの長手方向中央、2組の浸漬ノズルの中間位置の受湯部において、取鍋からタンディッシュに溶湯を受ける。取鍋底部に設けた溶湯注入口の下方にロングノズルを配置し、溶湯の酸化を防止しつつ溶湯注入口からの溶湯注入を行う。高品質要求の高まりから、タンディッシュ容量は大型化し、鋼のスラブ連続鋳造機では溶鋼量60〜70トンへ容量が拡大してきた。
鋳造される鋳片の中心偏析を低減し、良好な品質を保つためには、連続鋳造鋳型に注入される溶湯の温度をできるだけ低い温度とし、凝固温度に近い温度で注入すると好ましい。そのため、タンディッシュ内の溶湯温度を一定レベルに保持することが重要となる。もともと凝固温度に近い温度を目標としているので、溶湯温度が変動して目標温度より低い温度となると、ただちに鋳造上の問題が発生するからである。しかし、鋳造開始初期、末期及び取鍋交換時には、タンディッシュ内の溶湯量が少なくなるので、溶湯温度が低下する問題がある。
タンディッシュ内の溶湯温度を一定に保つため、タンディッシュ内溶湯加熱技術が開発され、本格的に使用されるようになった。
非特許文献1には、タンディッシュ内溶湯のプラズマ加熱方法が記載されている。プラズマ加熱はタンディッシュ内の形状が複雑でなく、3〜5MWの高出力化が可能であるため、大型のタンディッシュに用いられている。
プラズマ加熱は、必要な加熱能力は有するものの、タンディッシュ内の湯面から加熱するために、加熱されて比重が小さくなった溶湯が上面に溜まり、低温の溶湯が下をすり抜ける「上熱」現象が発生する。これではタンディッシュ内の溶湯を均一に加熱することができない。この現象を避けるために、タンディッシュ内溶湯をガス攪拌したり、あるいは堰を設けて加熱部を攪拌する必要がある。しかし、湯面を攪拌すると浮上した非金属介在物を再度溶湯中に巻き込むことに繋がり、溶湯清浄化の観点からは非効率的となる。さらにプラズマ加熱は水冷した消耗型電極を使用し、その寿命は数十〜100時間程度であり、コストがかかるという問題がある。
タンディッシュ内溶湯の誘導加熱方法として、非特許文献2には溝型加熱方法が記載されている。タンディッシュの取鍋からの注入部と鋳型への注入部との間にダムを設け、このダムの溶湯浸漬部に2個の溶湯流路を開口する。次にロの字形の鉄芯の一部をダムに埋め込み、この鉄芯で2個の溶湯流路のうちの1個を取り囲むようにする。鉄芯のうちダムから露出している部分に一次コイルを巻いて一次コイルに交流電流を通電する。2個の溶湯流路とその両側の溶湯プールとが1ターンの二次コイルを形成し、溶湯に誘導電流が流れ、これによって溶湯の加熱を行うことができる。
溝型誘導加熱方法については、タンディッシュの耐火物構造が複雑になるという問題がある。また、出力が1.5MW程度に制限され、小型タンディッシュに使用することはできるが、高スループットの連続鋳造機においては加熱能力が不足する。さらに、原理上、ダムに開口する溶湯流路として10〜20cm直径のパイプ状の流路を使用する必要があり、加熱時に溶湯に作用するピンチ力の反作用で非金属介在物が流路の壁面に付着するため、流路が付着非金属介在物によって詰まってしまうという問題がある。このため、長時間の連続鋳造を実施する連続鋳造機の加熱方法には不向きである。
特許文献1に記載の連続鋳造用タンディッシュヒーターは、タンディッシュの側面に開口部を設け、この開口部に連通してるつぼ型の発熱室を有する。加熱コイルの内側にこの発熱室が形成されている。タンディッシュに溜められた金属溶湯は、発熱室で加熱コイルにより誘導加熱されて攪拌、対流して溶湯全体が加熱、昇温されるようになっている。しかし、タンディッシュの側方に設けた発熱室内の溶湯を加熱するのみでは、溶湯の流動効率が悪く、タンディッシュ内溶湯の均一加熱が困難であるという課題があった。
特許文献2に記載のタンディッシュ誘導加熱装置は、タンディッシュを受湯室ブロックと給湯室ブロックに分離し、両ブロックの間に連通口を有するインダクタブロックを連接し、連通口を巻き回す加熱コイルと鉄芯により構成される。受湯室に注入された溶湯は、すべてインダクタブロック内の連通口を通過する過程において誘導加熱により加熱されて給湯室に至るため、確実な着熱と良好な加熱均熱性が得られるとしている。
非特許文献3には誘導加熱型溶解炉が記載されている。るつぼの周囲に誘導コイルを巻き回し、誘導コイルに交流電流を印加すると、るつぼ内の金属を加熱することができることと同時に、るつぼ内の溶融金属を攪拌する様子について記載されている。
実開平1−139953号公報 特開平7−236951号公報 社団法人日本鉄鋼協会編、第129、130回西山記念技術講座「電磁気力を利用したマテリアルプロセシング」、平成4年4月28日、第247頁 日本鉄鋼協会共同研究会、第107回製鋼部会、鋼107−自(1992) 日本鉄鋼協会編「第3版鉄鋼便覧 II 製銑・製鋼」第562頁
特許文献2に記載のタンディッシュ誘導加熱装置については、タンディッシュの受湯室ブロックと給湯室ブロックとをつなぐ連通口を通過する溶湯を誘導加熱するため、非特許文献2に記載の溝型誘導加熱と同様、連通口内を通過する溶湯に働くピンチ力の反作用で非金属介在物が連通口の壁面に付着し、連通口が詰まってしまうという課題がある。また、スラブ連続鋳造装置のタンディッシュのように、複数ストランドへの浸漬ノズルと取鍋からの受湯部とが横一線に配置されたタンディッシュにおいては、特許文献2に記載のように受湯室ブロックと給湯室ブロックとを配置しようとすると、ストランド毎に給湯室ブロックと加熱装置を配置することが必要となり、きわめて大がかりな装置とならざるを得ない。
本発明は、プラズマ加熱のように上熱現象で溶湯均一加熱が困難であるという課題を解消し、溝型誘導加熱や特許文献2に記載の誘導加熱のように溶湯流路に非金属介在物が付着して流路が詰まるという問題を解消し、加熱した溶湯をタンディッシュ内において十分に均一混合し、介在物分離除去を積極的に行うことができ、大がかりな設備を必要としない溶湯加熱装置を有する連続鋳造用タンディッシュ及びそれを用いた連続鋳造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)取鍋1から注入される溶湯を受け、受けた溶湯を連続鋳造鋳型内に注入する連続鋳造用タンディッシュであって、取鍋1から溶湯が注入される受湯部9には溶湯溜まり部7を有し、溶湯溜まり部7の外周には溶湯溜まり部7を取り囲むように誘導加熱コイル6が配設され、誘導加熱コイル6には交流電流を流すことができ、溶湯溜まり部7の底部11から頂部10までの高さHは、溶湯溜まり部7の円相当直径Dと同等あるいはそれ以上であることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ。
(2)溶湯溜まり部7の頂部10は、溶湯を連続鋳造鋳型に注入する部位におけるタンディッシュ底部12よりも高い位置にあることを特徴とする上記(1)に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
(3)上記(1)又は(2)に記載の連続鋳造用タンディッシュを用い、溶湯を連続鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
本発明の連続鋳造用タンディッシュ3は、取鍋からの溶湯を受ける受湯部9に、外周を誘導加熱コイル6が取り囲む溶湯溜まり部7を有するので、誘導加熱コイル6に交流電流を流すことにより、溶湯溜まり部7にたまった溶湯を誘導加熱することができる。溶湯を加熱する溶湯溜まり部7を取鍋からの受湯部9に配置したので、複数ストランドを有する連続鋳造用タンディッシュにおいても、ストランド毎に加熱装置を配置する必要がない。取鍋からの溶湯注入流23が溶湯溜まり部7を通過してタンディッシュ内に流れるので、加熱した溶湯がタンディッシュ内で均一に混合される。溶湯溜まり部内において、誘導攪拌に伴う非金属介在物の凝集及び浮上分離効果が促進される。ピンチ力の反作用で非金属介在物を溶湯溜まり部の側壁に積極的に吸着させ、さらなる清浄化作用を得ることができる。溶湯溜まり部の内径を大きくできるので、溝型加熱装置あるいは特許文献2に記載の誘導加熱装置と異なり、加熱部の溶湯流路に介在物が詰まって流路を閉鎖することがない。溶湯溜まり部の底部から頂部までの高さHを溶湯溜まり部の円相当直径Dと同等あるいはそれ以上とすることにより、溶湯溜まり部における攪拌流を溶湯溜まり部内におさめることができ、タンディッシュ湯面攪乱による介在物再巻き込みの発生を防止することができる。
図1〜4を用いて本発明を説明する。
本発明の連続鋳造用タンディッシュ3は、受湯部9において取鍋1から注入される溶湯を受け、受けた溶湯を連続鋳造鋳型内に注入する。2ストランドのスラブ連続鋳造装置においては、横長のタンディッシュ3の両端底部に浸漬ノズル4を設け、この浸漬ノズル4を通じて2組の連続鋳造鋳型に溶湯を注入し、2ストランドの連続鋳造を実施する。タンディッシュ3の長手方向中央、2組の浸漬ノズルの中間位置の受湯部9において、取鍋1からロングノズル2を経由してタンディッシュに溶湯を受ける。
本発明の溶湯溜まり部7は、取鍋から溶湯が注入される受湯部9に配置する。溶湯溜まり部7は、タンディッシュ3において下方に向けて配置される。取鍋1からロングノズル2を介して注入された溶湯は、図4に示すように注入流23を形成し、溶湯溜まり部7を経由してタンディッシュ内に供給される。溶湯溜まり部7の側面は側壁13で囲まれ、側壁13の外側には溶湯溜まり部7を取り囲むように誘導加熱コイル6を配設する。溶湯溜まり部7の形状は底部が閉塞された円筒状とすると好ましい。
図3(c)に示すように、タンディッシュの受湯部9における底部を開口し、その下方に溶湯溜まり部7を形成することとしても良い。円筒形の溶湯溜まり部7の外周に、容易に誘導加熱コイル6を配設することができる。ただし、連続鋳造中において、タンディッシュの下方には連続鋳造鋳型が配置された鋳床が存在する。タンディッシュ下端と連続鋳造鋳型との間のクリアランスは大きくないので、図3(c)に示すようにタンディッシュ3の底部にそのまま溶湯溜まり部7を設けたのでは、タンディッシュ底部と連続鋳造鋳型との間のクリアランスに収まらないことが多い。
本発明においては、図2に示すように、溶湯溜まり部7の頂部10が、溶湯を連続鋳造鋳型に注入する部位におけるタンディッシュ底部12よりも高い位置にあることとすると好ましい。これにより、タンディッシュ底部12から下方に向けた溶湯溜まり部7の突出量を少なくすることができる。この場合、溶湯溜まり部7の外周には溶湯溜まり部7を取り囲むように誘導加熱コイル6を配設する必要があるので、タンディッシュ底部には溶湯溜まり部7の外周に沿って切り込み部8を設け、この切り込み部8を含めて誘導加熱コイル6を配設することとすると良い。
誘導加熱コイル6に交流電流を付加すると、溶湯溜まり部内の溶湯に誘導電流が流れ、溶湯溜まり部内の溶湯を加熱することができる。併せて、交流電流として低周波を用いると、溶湯溜まり部内の溶湯に対して溶湯溜まり部周囲から中心に向けたピンチ力が働き、溶湯に攪拌運動を起こさせることができる。溶湯溜まり部7内に発生する攪拌流22は、図4に示すように、誘導加熱コイル6の軸方向中央付近においては溶湯溜まり部の側壁13から中心に向けた流れが発生し、その流れが溶湯溜まり部中心付近で上方流れと下方流れに分流し、上方流れ、下方流れいずれも、閉じた流路を形成する。このような溶湯流れの発生により、溶湯溜まり部内で加熱された溶湯の均一混合が促進される。
誘導加熱コイル6に付加する交流電流は、周波数を30〜1000Hzとすると良い。周波数が低すぎると攪拌は強くなるが、加熱効率が低下する。また周波数が高すぎると攪拌も加熱も効率が低下する。30〜1000Hzの範囲であれば、攪拌と加熱の両方を満足することが可能である。300Hz程度が好ましい。
溶湯溜まり部側壁13付近で溶湯に働くピンチ力は、その反作用として、溶湯内の非金属介在物を溶湯溜まり部の側壁13に向けて動かす力を発揮する。その結果、溶湯溜まり部内溶湯中の非金属介在物が溶湯溜まり部7の側壁部に集積し、付着堆積する現象が起こる。この現象により、溶湯溜まり部内において溶湯中の非金属介在物が分離除去され、清浄化するという大きな効果を発揮する。
溶湯溜まり部7は十分に大きな直径Dを持たせることができるので、溶湯溜まり部の側壁13に非金属介在物が堆積しても、必要な時間だけ連続鋳造を続けることができる。
溶湯溜まり部7を取鍋から溶湯が注入される受湯部9に配置しているので、取鍋から注入流23として注入される溶湯は下方に向けた慣性力により、まず溶湯溜まり部内に運ばれる。即ち、タンディッシュ内に供給された溶湯が最初に溶湯溜まり部内に運ばれる。溶湯溜まり部7を通過せずに連続鋳造鋳型に注入される溶湯の比率が少ない。そして溶湯溜まり部7において溶湯が加熱されると同時に非金属介在物が分離除去され、順次溶湯溜まり部から排出されてタンディッシュ内を移動し、最終的に浸漬ノズル4を経て連続鋳造鋳型に注入される。
これに対し、特許文献1に記載の連続鋳造用タンディッシュヒーターは、タンディッシュの側面に開口部を設け、この開口部に連通してるつぼ型の発熱室を有する。加熱コイルの内側にこの発熱室が形成されている。本願発明と異なり、タンディッシュに注入された溶湯が必ず発熱室に導入される作用が働かないので、発熱室を経由せずに鋳型に注入される溶湯の比率が高いものと推定される。発熱室を経由せずに鋳型に注入された溶湯は、発熱室内で非金属介在物が分離除去される機会がないため、本願発明のように介在物を十分に除去することができない。また、特許文献1に記載のものは、タンディッシュ内と発熱室内の溶湯の対流は熱対流のみを駆動力とするので、発熱室内で昇温した溶湯はタンディッシュ内溶湯の上部に溜まり、底部を加熱されていない溶湯が流れることから、実質的な熱効率が本発明に比較して低下する。発熱室内の誘導攪拌力によってタンディッシュ内と発熱室内の溶湯の入れ替えを起こそうとすると、攪拌力によってタンディッシュ湯面の攪乱が発生し、かえってタンディッシュ内溶湯の汚染を増大させるという問題が起きることとなる。
溶湯溜まり部内の溶湯は、上述のとおり誘導電流によって攪拌運動を行っている。この攪拌運動が溶湯溜まり部7の頂部10より上側の溶湯にまで達すると、タンディッシュ内の溶湯湯面21に攪乱を及ぼすこととなる。溶湯湯面21は浮上分離した非金属介在物、湯面保護のためのフラックスによって覆われているので、溶湯湯面を攪乱してこれら湯面21の非金属介在物やフラックスが溶湯中に混入すると、溶湯の清浄性を損なうこととなる。溶湯溜まり部7の底部11から頂部10までの高さHが、溶湯溜まり部の内部断面積に対比して低すぎると、溶湯溜まり部内の溶湯攪拌流22が溶湯溜まり部の頂部10を超えてタンディッシュ湯面に攪乱を及ぼす可能性が出てくる。
本発明においては、溶湯溜まり部7の底部11から頂部10までの高さHを、溶湯溜まり部の円相当直径Dと同等あるいはそれ以上とすることにより、溶湯溜まり部内の溶湯攪拌を溶湯溜まり部内にのみ閉じこめることができる。円相当直径とは、湯溜り部の水平断面の断面積と同じ面積を有する円の直径を意味する。その結果、溶湯溜まり部内においては溶湯を十分に攪拌して加熱溶湯を均一混合し、併せて非金属介在物を溶湯溜まり部側壁13に付着分離させることができるとともに、タンディッシュ内の湯面21には攪乱を及ぼすことがなく、溶湯の清浄性を高く保持することが可能となる。本発明では、溶湯溜まり部7の頂部10をタンディッシュ内湯面からある程度の深さの位置に配置することができるので、溶湯溜まり部内の攪拌が湯面に及ぼす影響をより一層少なくすることができる。
溶湯溜まり部7の好適な大きさは、60トン規模の通常のタンディッシュにおいては、溶湯溜まり部7の容量をタンディッシュ容量の10%から15%程度とする。溶湯溜まり部の内径は1〜1.2m、高さHは1〜1.2m程度が好ましい。
本発明においては、溶湯溜まり部7の高さHを確保するために、図3(a)に示すように、溶湯溜まり部7の頂部10に突き出し部15を設けても良い。
本発明はさらに、タンディッシュ内に各種の堰を設けることができる。図3(b)に示す例では、スリット堰16、外堰17を設けている。
連続鋳造でひとつのタンディッシュの使用が終了し、別のタンディッシュに交換するに際しては、タンディッシュ内の溶湯残留量をできるかぎり少なくしてタンディッシュを交換する。タンディッシュ内に残留した溶湯は歩留ロスの原因となるからである。本発明のようにタンディッシュ底部に溶湯溜まり部を有する場合、溶湯溜まり部内の溶湯を鋳型に注入することはできず、この溶湯はタンディッシュ内に残留してしまい、歩留ロスの原因となる。従来、タンディッシュ底部に誘導加熱用の溶湯溜まり部を設ける発想が生まれなかったのは、このような溶湯残留ロスを懸念するためであったと考えられる。ところが、本発明のように取鍋からの受湯部のタンディッシュ底部に溶湯溜まり部を設けて誘導加熱を行うことにより、大型連続鋳造機でも十分な大容量の加熱を均一に行うことができ、非金属介在物の分離除去という大きな効果を発揮でき、従来の連続鋳造機を大幅改造することなく設置することが可能となるという大きな効果を発揮することが明らかになった。
本発明の連続鋳造方法は、上記本発明の連続鋳造用タンディッシュを用い、溶湯を連続鋳造することを特徴とする。本発明はこれにより、大容量の高速連続鋳造であっても十分な加熱容量を確保し、均一加熱を行うことができる。このため、連続鋳造用鋳型に注入する溶湯の温度を一定に保持することができるので、溶湯過熱度の低い低温鋳造であっても、何ら鋳造トラブルを発生させることなく鋳造を完了することができ、中心偏析の少ない良好な品質の鋳片を製造することができる。また、溶湯溜まり部において介在物を分離除去できるので、介在物の少ない良好な品質の鋳片を製造することができる。
鋼を鋳造する2ストランドのスラブ連続鋳造機において本発明を適用した。取鍋の溶鋼量は300トン、鋳造速度は両ストランド合計で10トン/分である。図1、2に示すタンディッシュ3を用いた。タンディッシュ3の容量は60トン程度で、タンディッシュ形状は長さ7m、上端幅1.3m、下端幅0.7m、湯面21からタンディッシュ底部12までの深さ1.3mである。タンディッシュ3の両端底部に浸漬ノズル4が配設されている。
取鍋からロングノズル2を経由して溶鋼が注入される受湯部9に、内径1mの円筒状の溶湯溜まり部7を設けた。湯面から溶湯溜まり部底部11までの距離を1.5mとし、溶湯溜まり部7の底部11から頂部10までの高さHを0.9〜1.2mの範囲で変更して4種類のタンディッシュを築造した。タンディッシュ底部には溶湯溜まり部7の外周に沿って切り込み部8を設け、この切り込み部8を含む溶湯溜まり部7の外周に誘導加熱コイル6を巻き回して配設した。誘導加熱入力は3MW(1.5MW/ストランド)とした。比較例として、溶湯溜まり部を有しないタンディッシュも用いた。
溶鋼中に含まれる非金属介在物を、アルミナ系とスラグ系とに分類する。アルミナ系とは、脱酸により発生するアルミナ介在物である。スラグ系とは、製錬工程で発生し、比重が3程度で溶鋼に対して軽いために取鍋あるいはタンディッシュ上部に浮遊しているスラグが巻き込まれて発生する介在物であり、石灰・石英・アルミナ等の複合酸化物である。
タンディッシュ内の受湯部9と浸漬ノズル4設置部の2箇所において溶鋼温度を測定し、両者の温度差を溶鋼温度差とした。また、タンディッシュ内の受湯部9と浸漬ノズル4設置部の2箇所においてタンディッシュ内から溶鋼サンプル500gを採取し、電解抽出法(電解液中で鋼サンプルを電気分解し、非金属介在物のみを抽出し、フィルタリング後に分級する介在物評価方法)により介在物分析を行った。サンプル内で観察される非金属介在物から、直径50μm以上の不定形のアルミナ系介在物と、カルシア・アルミナを主体とし溶鋼中では液体であるため球状になっており識別しやすいスラグ系介在物とを抽出し、それぞれの存在量を定量化した。受湯部で採取したサンプルの介在物量と、浸漬ノズル設置部で採取したサンプルの介在物量との比をとり、介在物減少率とした。なお、直径50μm以上の介在物を対象としたのは、このサイズの介在物が鋼材の内部欠陥の原因となるためである。
Figure 2008100248
結果を表1に示す。
溶湯溜まり部を持たず、誘導加熱を行っていない比較例1に対し、溶湯溜まり部で誘導加熱を行った水準は、いずれも溶鋼温度差が少なく、加熱効果が得られていると同時に、アルミナ系介在物減少率が良好であり、介在物除去効果が明らかである。スラグ系介在物減少率に着目すると、溶湯溜まり部の高さHが直径D未満である比較例2は、タンディッシュ湯面に浮いているスラグを捲き込み、スラグ系介在物の減少率が比較例1よりも悪い結果となっているが、溶鋼溜まり部の高さHが直径Dと同等あるいはそれ以上である本発明例は、いずれもスラグ系介在物減少率が比較例1と対比して改善していることが明らかである。
本発明の連続鋳造用タンディッシュを示す斜視部分断面図である。 本発明の連続鋳造用タンディッシュを示す図であり、(a)は平面図、(b)はB−B矢視断面図、(c)はC−C矢視断面図、(d)はD−D矢視断面図である。 本発明の連続鋳造用タンディッシュを示す断面図である。 本発明の溶湯溜まり部内で発生する攪拌流の状況を示す部分断面図である。
符号の説明
1 取鍋
2 ロングノズル
3 タンディッシュ
4 浸漬ノズル
6 加熱コイル
7 溶湯溜まり部
8 切り欠き部
9 受湯部
10 頂部
11 底部
12 タンディッシュ底部
13 側壁
15 突き出し部
16 スリット堰
17 外堰
21 湯面
22 攪拌流
23 注入流

Claims (3)

  1. 取鍋から注入される溶湯を受け、受けた溶湯を連続鋳造鋳型内に注入する連続鋳造用タンディッシュであって、
    取鍋から溶湯が注入される受湯部には溶湯溜まり部を有し、該溶湯溜まり部の外周には溶湯溜まり部を取り囲むように誘導加熱コイルが配設され、該誘導加熱コイルには交流電流を流すことができ、前記溶湯溜まり部の底部から頂部までの高さは、溶湯溜まり部の円相当直径と同等あるいはそれ以上であることを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ。
  2. 前記溶湯溜まり部の頂部は、溶湯を連続鋳造鋳型に注入する部位におけるタンディッシュ底部よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用タンディッシュ。
  3. 請求項1又は2に記載の連続鋳造用タンディッシュを用い、溶湯を連続鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
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