JP2008092862A - 組換え開始酵素認識配列の低侵襲染色体導入による減数分裂期組換え分布の制御法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 染色体上の任意の部位において、染色体構造を最小化しつつ、減数分裂期相同組換えの活性化を誘導する迅速な染色体改変方法の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明は、選択マーカー遺伝子、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNA、及び、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有する汎用性の高い単一のDNA断片を提供し、該断片を用いた任意の染色体上における減数分裂期組換えを活性化する方法を提供するものである。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明は、選択マーカー遺伝子、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNA、及び、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有する汎用性の高い単一のDNA断片を提供し、該断片を用いた任意の染色体上における減数分裂期組換えを活性化する方法を提供するものである。
【選択図】 図2
Description
本発明は、相同組換えを活性化する方法に関する。より詳細には、真核細胞の染色体上の所望の位置において減数分裂期組換え活性化する方法に関する。
真核生物の減数分裂期相同組換えは、古くから作物や家畜の育種や交配による品種改良に利用されてきた。近年の研究から、真核生物の染色体には、減数分裂期の相同組換えが起きやすい活性(ホット)領域と、起きにくい不活性(コールド)領域が存在することが明らかになっている(非特許文献1及び2)。不活性領域に存在する遺伝子群は強く連鎖し、交配を通じて遺伝情報が再編成される頻度がきわめて低いため、この領域に存在する有用遺伝子群の交配による改良には時間がかかることが想定される。
この問題を打破する技術として、出芽酵母の減数分裂期組換えを開始するDNA切断酵素であるSpo11にGal4転写因子を融合させたGal4BDSpo11を用い、出芽酵母染色体に存在するGal4結合部位で組換えを標的活性化する技術が開発されている(非特許文献3及び特許文献1)。この系では、本来DNA配列に依存せずにDNAを切断するSpo11に、新たにDNA配列特異的結合性を付与することで、出芽酵母ゲノムに天然に存在するGal4結合部位での減数分裂期相同組換えの活性化を促すことが可能になる。また、Spo11は真核生物に広く保存されており、同様の手法が他の生物種でも利用可能であると推測されている。しかるに、元来のゲノム配列における配置ではなく、他の任意の染色体部位に人工的に移植したGal4の認識配列で、実際に減数分裂期の相同組換え(特に減数分裂の特徴である交叉型組換え)が促進される証拠はこれまで得られていなかった。
この問題を打破する技術として、出芽酵母の減数分裂期組換えを開始するDNA切断酵素であるSpo11にGal4転写因子を融合させたGal4BDSpo11を用い、出芽酵母染色体に存在するGal4結合部位で組換えを標的活性化する技術が開発されている(非特許文献3及び特許文献1)。この系では、本来DNA配列に依存せずにDNAを切断するSpo11に、新たにDNA配列特異的結合性を付与することで、出芽酵母ゲノムに天然に存在するGal4結合部位での減数分裂期相同組換えの活性化を促すことが可能になる。また、Spo11は真核生物に広く保存されており、同様の手法が他の生物種でも利用可能であると推測されている。しかるに、元来のゲノム配列における配置ではなく、他の任意の染色体部位に人工的に移植したGal4の認識配列で、実際に減数分裂期の相同組換え(特に減数分裂の特徴である交叉型組換え)が促進される証拠はこれまで得られていなかった。
また、出芽酵母VDEエンドヌクレアーゼが減数分裂期に部位特異的な遺伝子ホーミングを行うことが知られている(非特許文献4)。この因子の認識配列は31塩基対と長いため切断部位は一群の出芽酵母株にのみ認められ、ヒトゲノム中においても切断可能な配列が存在しない。VDEの認識配列を任意の染色体部位へ移植すると、認識配列部位に高頻度でDNA切断が導入されることは発明者らによって報告されているが(非特許文献5)、実際に交叉型(減数分裂期のみ検出される)もしくは遺伝子変換型の相同組換えを促進する効果があるかについてはこれまで明らかにされていなかった。
上記とは別に、有糸分裂期において相同組換えを任意の染色体部位で活性化するために、相同組換えの開始に関わるDNA切断酵素の認識配列を染色体に導入することが行われる。例えば、部位特異的DNA切断酵素であるI−SceI(特許文献2、特許文献3及び非特許文献6)やHOエンドヌクレアーゼ(特許文献4及び非特許文献7)の認識配列を任意の染色体部位に導入することにより、酵母やヒトの細胞で染色体組換えを部位特異的に活性化することが可能になる。これらのDNA切断酵素の認識配列はVDEまたはGal4BDSpo11のそれとは全く異なっており、特に減数分裂でなくても常時活性化を受ける酵素である。また、有糸分裂期の組換え反応過程は減数分裂期と異なる分子機構で行われることもあり、通常はもっぱら有糸分裂期の組換え促進に利用されている。したがって、これらの手法は減数分裂期の相同組換えを活性化する手段としては、積極的に利用されていなかった。
上記とは別に、有糸分裂期において相同組換えを任意の染色体部位で活性化するために、相同組換えの開始に関わるDNA切断酵素の認識配列を染色体に導入することが行われる。例えば、部位特異的DNA切断酵素であるI−SceI(特許文献2、特許文献3及び非特許文献6)やHOエンドヌクレアーゼ(特許文献4及び非特許文献7)の認識配列を任意の染色体部位に導入することにより、酵母やヒトの細胞で染色体組換えを部位特異的に活性化することが可能になる。これらのDNA切断酵素の認識配列はVDEまたはGal4BDSpo11のそれとは全く異なっており、特に減数分裂でなくても常時活性化を受ける酵素である。また、有糸分裂期の組換え反応過程は減数分裂期と異なる分子機構で行われることもあり、通常はもっぱら有糸分裂期の組換え促進に利用されている。したがって、これらの手法は減数分裂期の相同組換えを活性化する手段としては、積極的に利用されていなかった。
すなわち、減数分裂期組換え開始に関わるDNA切断酵素の認識配列を任意の染色体部位に移植し、その部位で減数分裂期相同組換えの頻度を上昇させて、染色体上の組換え頻度の分布を変更する手段は、これまでに獲得されていないし、また当該業者が自明かつ容易に解決策を入手できる段階でもない。
さらに、従来法にはこれらに加え別の問題点が指摘されている。従来、相同組換えを活性化するDNA配列を染色体に導入する際、選択マーカーの配列を含む比較的長い配列からなる構築物を組換えDNA技術によってその都度構築し、細胞内へ形質転換することが行われてきた。ところが、相同組換えの一種である減数分裂期相同組換えでは、比較的長い外来DNAが染色体に組み込まれると、挿入部位周辺のクロマチン構造に影響が生じ、結果的に意図しない制御不能な組換えが誘発されたり、その結果生じる組換え頻発部位(ホットスポット)が目的の標的部位における相同組換えと干渉したりする結果が報告されている(非特許文献8)。さらに、染色体への標的部位導入により、意図しない遺伝子の活性化や不活化が生じる可能性も存在する。したがって、組換えを活性化する配列を導入する際には、導入部位に最小限の長さの配列を導入し、クロマチン構造や組換えへの影響を最小化する必要がある。
また、多数の標的部位に認識配列を挿入するためには、その都度標的部位のDNA配列のクローニングと組換えベクターの構築を新たに実施する必要があり、数週間に及ぶ複数の組換えDNA操作など多くの手間がかかる。加えて、従来法では選択マーカーが染色体に残留するため、再度同じ選択マーカーが使用できない上、選択マーカー配列による組換えへの影響が排除できない問題が存在していた。
以上の状況から、上記全ての問題点を同時に解決する手法が必要とされている。
さらに、従来法にはこれらに加え別の問題点が指摘されている。従来、相同組換えを活性化するDNA配列を染色体に導入する際、選択マーカーの配列を含む比較的長い配列からなる構築物を組換えDNA技術によってその都度構築し、細胞内へ形質転換することが行われてきた。ところが、相同組換えの一種である減数分裂期相同組換えでは、比較的長い外来DNAが染色体に組み込まれると、挿入部位周辺のクロマチン構造に影響が生じ、結果的に意図しない制御不能な組換えが誘発されたり、その結果生じる組換え頻発部位(ホットスポット)が目的の標的部位における相同組換えと干渉したりする結果が報告されている(非特許文献8)。さらに、染色体への標的部位導入により、意図しない遺伝子の活性化や不活化が生じる可能性も存在する。したがって、組換えを活性化する配列を導入する際には、導入部位に最小限の長さの配列を導入し、クロマチン構造や組換えへの影響を最小化する必要がある。
また、多数の標的部位に認識配列を挿入するためには、その都度標的部位のDNA配列のクローニングと組換えベクターの構築を新たに実施する必要があり、数週間に及ぶ複数の組換えDNA操作など多くの手間がかかる。加えて、従来法では選択マーカーが染色体に残留するため、再度同じ選択マーカーが使用できない上、選択マーカー配列による組換えへの影響が排除できない問題が存在していた。
以上の状況から、上記全ての問題点を同時に解決する手法が必要とされている。
Baudatら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:5213−5218(1997)
Petesら,Nature Reviews 2:360−369(2001)
Pecinaら,Cell 111:173−184(2002)
Gimbleら,Nature 357:301−306(1992)
Fukudaら,Eukaryot.Cell 5:981−990(2006)
Jacquier及びDujon,Cell 41:383−394(1985)
Rudinら,Mol Cell Biol.,8:3918−3928(1988)
Bordeら,Mol.Cell.Biol.,19:4832−4842(1999)
米国特許出願公開第2004/0033494号明細書
米国特許第6,610,545号明細書
特開2006−20640号公報
米国特許第6,037,162号明細書
本発明者らは、上記事情に鑑み、染色体構造への影響を最小化しつつ、効率的に染色体上における減数分裂期相同組換え頻度の分布状態を制御する方法について鋭意研究を行った結果、減数分裂期組換えを活性化する配列を適当な選択マーカーの両側に配置させた単一種類のDNA断片を用いることで、任意の染色体部位に効率的に組換え活性化配列を挿入し、挿入部位の染色体構造への影響を最小化しつつ、減数分裂期相同組換えを活性化し得ることを明らかにし、本発明を完成させるに至った。
よって、本発明は、染色体上の任意の部位において、染色体構造を最小化しつつ、減数分裂期相同組換えの活性化を誘導する方法、及び該方法を実施するためのツールの提供を目的とする。
よって、本発明は、染色体上の任意の部位において、染色体構造を最小化しつつ、減数分裂期相同組換えの活性化を誘導する方法、及び該方法を実施するためのツールの提供を目的とする。
従来技術では、相同組換え活性化配列の導入時に、選択マーカーやプラスミドDNAなどの余分な外来DNAが混入し、これが染色体に挿入されることで挿入部位のクロマチン構造・染色体構造に影響が生じる。これにより、挿入部位周辺の遺伝子発現や、相同組換え頻度に意図しない悪影響が生じることが報告されていた(Ohtaら, Nucleic Acids Res. 27:2175−2180,1999;Wuら,Genetics 140:55−66,1995)。この点については、例えば、選択マーカーを挟む形で組換え活性化配列を配置したプラスミド構築物から、PCR法等により選択マーカー及び組換え活性化配列のみから成るDNA断片を作製し、該DNA断片を目的の細胞に導入することによって、克服することが可能である。つまり、細胞に導入したDNA断片のうち、選択マーカー配列は、両側に存在する組換え活性化配列の作用により、細胞内ポップアウト型相同組換えによって削除される。その結果、組換え活性化配列のみが染色体の任意箇所に導入されることになるため、染色体構造への影響を最小化することが可能となる。
一般的に従来技術では、相同組換えを誘発するDNA配列を染色体に導入する際、選択マーカーや標的染色体部位の配列を含む比較的長い配列をその都度構築する必要があった。この過程には、組換えDNA技術を用いた煩雑な操作が含まれるため、多くの標的部位に対する染色体導入ベクターの構築には多大な労力が必要とされていた。
本発明では、一度組換え活性化配列を含むプラスミド構築物を作製すれば、その後PCRプライマー配列合成時に標的部位の配列(出芽酵母では最低限45塩基以上)を含ませることで、染色体導入ベクターが数時間程度の短期間のうちにPCR法で合成でき、数週間にわたる手間のかかる組換えDNA操作を省くことが可能になる。
本発明では、一度組換え活性化配列を含むプラスミド構築物を作製すれば、その後PCRプライマー配列合成時に標的部位の配列(出芽酵母では最低限45塩基以上)を含ませることで、染色体導入ベクターが数時間程度の短期間のうちにPCR法で合成でき、数週間にわたる手間のかかる組換えDNA操作を省くことが可能になる。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(11)に関する。
(1)本発明の第1の態様は、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片」である。
(2)本発明の第2の態様は、「前記減数分裂期組換えを活性化するDNA配列が、VDEエンドヌクレアーゼ認識配列である上記(1)に記載のDNA断片」である。
(3)本発明の第3の態様は、「前記減数分裂期組換えを活性化するDNA配列が、GAL2遺伝子プロモータ配列である上記(1)に記載のDNA断片」である。
(4)本発明の第4の態様は、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有するDNA断片を含むベクター」である。
(5)本発明の第5の態様は、「以下の(a)〜(c)の工程からなる細胞中の相同組換えを活性化する方法。
(a)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の前記DNA断片を細胞へ導入し、該細胞の染色体上の目的の部位へ該DNA断片を挿入する工程、
(b)染色体中の該DNA断片から前記選択マーカー及び前記減数分裂期組換えを活性化するDNA断片の1つが欠失した細胞株を選択する工程、
(c)相同組換えに適した条件で該細胞株を培養する工程」である。
(6)本発明の第6の態様は、「前記工程(c)の前に、VDEエンドヌクレアーゼを前記細胞内で発現させる工程を、さらに含む上記(5)に記載の方法」である。
(7)本発明の第7の態様は、「前記工程(c)の前に、Gal4BD−Spo11融合タンパク質を前記細胞内で発現させる工程を、さらに含む上記(5)に記載の方法」である。
(8)本発明の第8の態様は、「前記細胞が、動物細胞、植物細胞、真菌細胞からなるグループより選択されるものである上記(5)乃至(7)のいずれかに記載の方法」である。
(9)本発明の第9の態様は、「前記真菌細胞が酵母細胞である上記(8)に記載の方法」である。
(10)本発明の第10の態様は、「前記酵母細胞が、出芽酵母細胞である上記(9)に記載の方法」である。
(11)本発明の第11の態様は、「前記相同組換えが交叉型である上記(5)乃至(10)のいずれかに記載の方法」である。
(1)本発明の第1の態様は、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片」である。
(2)本発明の第2の態様は、「前記減数分裂期組換えを活性化するDNA配列が、VDEエンドヌクレアーゼ認識配列である上記(1)に記載のDNA断片」である。
(3)本発明の第3の態様は、「前記減数分裂期組換えを活性化するDNA配列が、GAL2遺伝子プロモータ配列である上記(1)に記載のDNA断片」である。
(4)本発明の第4の態様は、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有するDNA断片を含むベクター」である。
(5)本発明の第5の態様は、「以下の(a)〜(c)の工程からなる細胞中の相同組換えを活性化する方法。
(a)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の前記DNA断片を細胞へ導入し、該細胞の染色体上の目的の部位へ該DNA断片を挿入する工程、
(b)染色体中の該DNA断片から前記選択マーカー及び前記減数分裂期組換えを活性化するDNA断片の1つが欠失した細胞株を選択する工程、
(c)相同組換えに適した条件で該細胞株を培養する工程」である。
(6)本発明の第6の態様は、「前記工程(c)の前に、VDEエンドヌクレアーゼを前記細胞内で発現させる工程を、さらに含む上記(5)に記載の方法」である。
(7)本発明の第7の態様は、「前記工程(c)の前に、Gal4BD−Spo11融合タンパク質を前記細胞内で発現させる工程を、さらに含む上記(5)に記載の方法」である。
(8)本発明の第8の態様は、「前記細胞が、動物細胞、植物細胞、真菌細胞からなるグループより選択されるものである上記(5)乃至(7)のいずれかに記載の方法」である。
(9)本発明の第9の態様は、「前記真菌細胞が酵母細胞である上記(8)に記載の方法」である。
(10)本発明の第10の態様は、「前記酵母細胞が、出芽酵母細胞である上記(9)に記載の方法」である。
(11)本発明の第11の態様は、「前記相同組換えが交叉型である上記(5)乃至(10)のいずれかに記載の方法」である。
本発明の方法によれば、染色体上の目的の位置における減数分裂期相同組換えを活性化する場合に、該染色体の構造に悪影響を及ぼすことなく、活性化することができる。
本発明の方法によれば、単一の汎用性の高いベクターを用いて、任意の染色体上の目的の位置において減数分裂期相同組換えを活性化する配列を挿入ために必要な期間を通常の4?5週間から2週間以内に短縮できる。
また、本発明の方法によれば、遺伝子交換型相同組換えのみならず、減数分裂期組換えの特徴である交叉型相同組換えをも活性化することができる。
本発明の実施形態の一つである「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片」は、真核細胞の染色体上の所望の位置における減数分裂期相同組換えを活性化させる上で極めて有効なものである。
ここで、「減数分裂期組換えを活性化するDNA」とは、減数分裂期DNA二重鎖切断を誘発する因子が認識する配列からなるDNAのことである。減数分裂期DNA二重鎖切断を誘発する因子は、天然に存在するもの(例えば、VDEエンドヌクレアーゼなど)だけではなく、人工的な融合タンパク質(例えば、Gal4−Spo11など)も含まれる。「減数分裂期組換えを活性化するDNA」としては、限定はしないが、例えば、VDE認識配列、GAL4−UAS配列を含むDNAを挙げることができ、VDE認識配列が好ましい。本発明で使用可能なVDE認識配列は、配列番号1(5’−CTATGTCGGGTGCGGAGAAAGAGGTAATGAAA−3’)を含む配列であり、また、GAL4−UAS配列は、配列番号2(5’−CGGNNNNNNNNNNNCCG−3’)を少なくとも1つ含む配列である。ここで、配列番号2中のNは、A、G、C、Tのいずれであってもよい。
また、「減数分裂期組換えを活性化するDNA」は、「選択マーカー遺伝子」5’上流及び3’下流側近傍に同方向になるように配置し、「選択マーカー遺伝子」との距離は、「減数分裂期組換えを活性化するDNA」同士で相同組換えが生じ得る距離であればよく、通常、数10ベース程度が望ましい。このような構成にすることで、目的細胞内におけるポップアウト型相同組換え機構により、「減数分裂期組換えを活性化するDNA」のいずれか1つと「選択マーカー遺伝子」が染色体上から除去される(図1参照)。その結果、目的の染色体の位置には、1つの「減数分裂期組換えを活性化するDNA」のみが導入されることになるため、導入位置における染色体構造への影響を最小化することができる。
「減数分裂期組換えを活性化するDNA」は、本実施形態のDNA断片上に2つ必要となるが、各「減数分裂期組換えを活性化するDNA」が減数分裂期DNA二重鎖切断を誘発する因子によって認識され、その近傍でDNAの二重鎖切断が生じ、各「減数分裂期組換えを活性化するDNA」同士の間で相同組換えが生じ得るものであれば、2つのDNAの配列は完全に同一でなくてもよい。
また、「減数分裂期組換えを活性化するDNA」は、「選択マーカー遺伝子」5’上流及び3’下流側近傍に同方向になるように配置し、「選択マーカー遺伝子」との距離は、「減数分裂期組換えを活性化するDNA」同士で相同組換えが生じ得る距離であればよく、通常、数10ベース程度が望ましい。このような構成にすることで、目的細胞内におけるポップアウト型相同組換え機構により、「減数分裂期組換えを活性化するDNA」のいずれか1つと「選択マーカー遺伝子」が染色体上から除去される(図1参照)。その結果、目的の染色体の位置には、1つの「減数分裂期組換えを活性化するDNA」のみが導入されることになるため、導入位置における染色体構造への影響を最小化することができる。
「減数分裂期組換えを活性化するDNA」は、本実施形態のDNA断片上に2つ必要となるが、各「減数分裂期組換えを活性化するDNA」が減数分裂期DNA二重鎖切断を誘発する因子によって認識され、その近傍でDNAの二重鎖切断が生じ、各「減数分裂期組換えを活性化するDNA」同士の間で相同組換えが生じ得るものであれば、2つのDNAの配列は完全に同一でなくてもよい。
「選択マーカー遺伝子」とは、「減数分裂期組換えを活性化するDNA」が染色体上の所望の位置に導入されたことを確認することができるものであれば、如何なるものでも使用することができる。「選択マーカー遺伝子」としては、好ましくは、該マーカー遺伝子が目的の染色体上に存在すること、及び、目的の染色体上に存在しないことのいずれの場合も、確認できるものがよい。例えば、URA3遺伝子、HIS3遺伝子、LEU2遺伝子などが好適に利用可能である。
「選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNA」とは、選択マーカー遺伝子及び組換えを活性化するDNAからなるDNA断片を、目的細胞中の染色体上の所望の位置に相同組換え等によって、組込むために必要なDNAのことで、組込む染色体領域の一部と相同性のあるDNAのことである(後述の実施例中に記載の「標的配列」のこと)。このDNAは、通常、選択マーカー遺伝子及び組換えを活性化するDNAからなる配列領域の5’及び3’両側に配置される。このDNAの長さとしては、目的の細胞の種類に応じて、数10ベース〜数キロベースが必要となる。一般に、出芽酵母などでは、約40ベース程度以上の長さがあれば十分であるが、哺乳類細胞など、高等真核生物細胞になる程、必要な長さが長くなる。このDNAは、あらかじめ化学合成させた後、選択マーカー遺伝子及び組換えを活性化するDNAからなるDNA断片の両側にDNAリガーゼなどの酵素を用いた方法などによっても作製することができるが、後述するように、本発明に係るベクターからPCR法によって構築する方が簡便である。
本発明の他の実施形態である、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有するDNA断片を含むベクター」は、前述の「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片」を容易に作製するための有効なツールとなる。本ベクターは、当該技術分野の通常の技術に基づいて、「選択マーカー遺伝子」と減数分裂期組換えを活性化するDNA」を既知のベクター上に構築することで作製することができる。ここで、用いられる既知のベクターは、如何なるものであっても良いが、例えば、大腸菌を用いて増幅可能な、pBluescrpt系プラスミド、pUC系プラスミド、pBR322系プラスミドなどが好適に利用可能である。
本ベクターを鋳型にしてPCR法などにより、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片」を調製することができる。例えば、本ベクター上に構築された2つの「減数分裂期組換えを活性化するDNA」及び「選択マーカー遺伝子」からなる領域の両側(5’及び3’)近傍にPCRプラマーが結合できる配列(タグ配列)を構築することで、2つの「減数分裂期組換えを活性化するDNA」及び「選択マーカー遺伝子」からなる領域をPCR法で増幅することができる。この場合、PCRプライマーとして、該プライマーの5’側に、前述の「選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNA」配列を有するものを用いることで、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片」を増幅することが可能となる。
本発明のさらなる実施形態は、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片を用いて、細胞中の染色体上の所望の位置において相同組換えを活性化する方法」である。
本実施形態においては、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片」を、目的の細胞内へ形質導入する必要がある。形質導入の方法としては、例えば、酵母の場合、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が、動物細胞の場合、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、カチオン性脂質による方法等、用いる細胞に応じて当該技術分野における通常の知識に基づき、容易に選択することができる。
本実施形態においては、「選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片」を、目的の細胞内へ形質導入する必要がある。形質導入の方法としては、例えば、酵母の場合、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が、動物細胞の場合、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、カチオン性脂質による方法等、用いる細胞に応じて当該技術分野における通常の知識に基づき、容易に選択することができる。
本実施形態において、使用可能な細胞としては、真核細胞であれば組織由来の細胞であっても、株化培養細胞であってもよく、限定はしないが、動物細胞、植物細胞、真菌細胞などが適している。動物細胞としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、イヌなどの哺乳類細胞の他、鳥類、は虫類、両生類などの細胞であっても使用可能である。また、植物細胞としては、例えば、イネ、ダイズ、コムギ、オオムギ、ライムギ、綿花、トウモロコシ、イモ、ピーナッツ、アラビドプシスが適している。さらに、遺伝子操作が比較的容易な真菌細胞なども使用可能であり、糸状菌細胞や酵母菌細胞など、特に出芽酵母細胞が好ましい。
本発明の方法を実施する場合、用いた「減数分裂期組換えを活性化するDNA」配列を認識して、減数分裂期DNA二重鎖切断を誘発する因子(例えば、VDEエンドヌクレアーゼ、Gal4−Spo11など)が、目的の細胞中で発現していない場合には、当該因子の発現ベクターを目的の細胞中に導入して、該細胞中で発現させてもよい。当該因子の発現ベクターの構築及び目的細胞中における発現の工程は、後述の実施例において示すように、定法に従って容易に実施することができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.プラスミドpTF101およびpTF100の作成
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に存在するVDEは、減数分裂期に特定の認識配列において染色体DNAの二重鎖切断を引き起こすタンパク質である。一方、Gal4BD−Spo11タンパク質は、出芽酵母のGal4タンパク質のDNA結合領域と出芽酵母のSpo11タンパク質との融合タンパク質であり、減数分裂期にGal4タンパク質が認識して結合するUASGALを含む配列において染色体DNAの二重鎖切断を引き起こす。これらVDEあるいはGal4BD−Spo11タンパク質を発現する出芽酵母細胞において、そのゲノム中にVDEの認識配列あるいはUASGALを含む配列を任意箇所に導入することで、当該箇所へ減数分裂期な染色体DNAの二重鎖切断を引き起こす。
プラスミドpTF101は、VDEの認識配列を含む180bpの配列を同方向反復配列としてもち、その間に出芽酵母URA3遺伝子を挿入したものである(図2)。プラスミドpTF100は、出芽酵母ゲノムDNAよりUASGALを複数含むGAL2遺伝子プロモータ領域の220bpの配列を同方向反復配列としてもち、その間に出芽酵母URA3遺伝子を挿入したものである(図2)。
プラスミドpTF101及びpTF100は、いずれも両反復配列の外側に、各々、タグ配列1(配列番号3)及びタグ配列2(配列番号4)を持つ。出芽酵母ゲノム中の任意箇所を標的とし、標的箇所の両側に位置するそれぞれ約50bpの配列を標的配列(選択マーカー遺伝子と減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上の標的箇所に相同組換えにより組み込むために必要な配列)として両タグ配列の5’側にそれぞれ付加したオリゴヌクレオチドをプライマーとし、pTF101あるいはpTF100を鋳型にPCRを行うことで任意の標的配列を両端にもち、VDEの認識配列あるいはGAL2遺伝子プロモータ領域を含む配列をURA3遺伝子の両端に含むDNA産物を得た(図3)。以下に詳細について説明する。
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に存在するVDEは、減数分裂期に特定の認識配列において染色体DNAの二重鎖切断を引き起こすタンパク質である。一方、Gal4BD−Spo11タンパク質は、出芽酵母のGal4タンパク質のDNA結合領域と出芽酵母のSpo11タンパク質との融合タンパク質であり、減数分裂期にGal4タンパク質が認識して結合するUASGALを含む配列において染色体DNAの二重鎖切断を引き起こす。これらVDEあるいはGal4BD−Spo11タンパク質を発現する出芽酵母細胞において、そのゲノム中にVDEの認識配列あるいはUASGALを含む配列を任意箇所に導入することで、当該箇所へ減数分裂期な染色体DNAの二重鎖切断を引き起こす。
プラスミドpTF101は、VDEの認識配列を含む180bpの配列を同方向反復配列としてもち、その間に出芽酵母URA3遺伝子を挿入したものである(図2)。プラスミドpTF100は、出芽酵母ゲノムDNAよりUASGALを複数含むGAL2遺伝子プロモータ領域の220bpの配列を同方向反復配列としてもち、その間に出芽酵母URA3遺伝子を挿入したものである(図2)。
プラスミドpTF101及びpTF100は、いずれも両反復配列の外側に、各々、タグ配列1(配列番号3)及びタグ配列2(配列番号4)を持つ。出芽酵母ゲノム中の任意箇所を標的とし、標的箇所の両側に位置するそれぞれ約50bpの配列を標的配列(選択マーカー遺伝子と減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上の標的箇所に相同組換えにより組み込むために必要な配列)として両タグ配列の5’側にそれぞれ付加したオリゴヌクレオチドをプライマーとし、pTF101あるいはpTF100を鋳型にPCRを行うことで任意の標的配列を両端にもち、VDEの認識配列あるいはGAL2遺伝子プロモータ領域を含む配列をURA3遺伝子の両端に含むDNA産物を得た(図3)。以下に詳細について説明する。
VDEの認識配列をクローニングするため、VDEの認識配列を含む配列がクローニングされているプラスミドpYO2197(Yeast 19:773−782、2002)を鋳型にTFO5(配列番号5)TFO6(配列番号6)及びTFO7(配列番号7)とTFO8(配列番号8)をプライマーとしてPyrobest DNA polymerase(宝酒造)により50μlスケールでPCRにより増幅を行った。98℃5分加温した後、98℃30秒、55℃30秒、72℃1分を15サイクル行い、最後に72℃10分反応させた。プライマーTFO5とTFO6の組み合わせで得られたPCR産物を制限酵素XbaI(宝酒造)とHindIII(宝酒造)で処理した後0.8%のアガロースゲル電気泳動により分離してGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(Amersham社)により精製したものと、同様に、制限酵素XbaI(宝酒造)とHindIII(宝酒造)で処理してゲルより精製したプラスミドpBluescript SK(Stratagene社)とをライゲーションキット(宝酒造)により連結した。大腸菌DH10B株でプラスミドを増幅した後、正しく連結されたプラスミドを選択し、XhoI(宝酒造)とHindIII(宝酒造)で処理した後0.8%のアガロースゲル電気泳動により分離してGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(Amersham社)により精製した。この精製産物と、プライマーTFO5とTFO6の組み合わせで得られたPCR産物を同じくXhoI(宝酒造)とHindIII(宝酒造)で処理し、泳動、精製を行った産物とをライゲーションキット(宝酒造)により連結した。得られたプラスミドはHindIII(宝酒造)で切断し、0.8%のアガロースゲル電気泳動により分離してGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(Amersham社)により精製した。このHindIII切断箇所へHindIII(宝酒造)で切断された出芽酵母URA3遺伝子を含むDNA断片をライゲーションキット(宝酒造)により連結した。大腸菌DH10B株でプラスミドを増幅した後、正しく連結されたプラスミドを選択しpTF101とした(図2及び図3)。
GAL2遺伝子のプロモータ領域をクローニングするため、出芽酵母ゲノムDNA鋳型にTFO1(配列番号9)とTFO2(配列番号10)及びTFO3(配列番号11)とTFO4(配列番号12)をプイマーとしてPyrobest DNA polymerase(宝酒造)により50μlスケールでPCRにより増幅を行った。プライマーTFO1とTFO2の組み合わせで得られたPCR産物を制限酵素XbaI(宝酒造)とSmaI(宝酒造)で処理した後0.8%のアガロースゲル電気泳動により分離してGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(Amersham社)により精製したものと、同様に制限酵素XbaI(宝酒造)とSmaI(宝酒造)で処理してゲルより精製したプラスミドpBluescript SK(Stratagene社)とをライゲーションキット(宝酒造)により連結した。大腸菌DH10B株でプラスミドを増幅した後、正しく連結されたプラスミドを選択し、XhoI(宝酒造)とSmaI(宝酒造)で処理した後0.8%のアガロースゲル電気泳動により分離してGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(Amersham社)により精製した。この精製産物と、プライマーTFO3とTFO4の組み合わせで得られたPCR産物を同じくXhoI(宝酒造)とSmaI(宝酒造)で処理し、泳動、精製を行った産物とをライゲーションキット(宝酒造)により連結した。得られたプラスミドはSmaI(宝酒造)で切断し、0.8%のアガロースゲル電気泳動により分離してGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(Amersham社)により精製した。このSmaI切断箇所へHindIII(宝酒造)で切断した後ブランティングキット(宝酒造)により平滑化した出芽酵母URA3遺伝子を含むDNA断片をライゲーションキット(宝酒造)により連結した。大腸菌DH10B株でプラスミドを増幅した後、正しく連結されたプラスミドを選択しpTF100とした(図2及び図3)。
2.形質転換
上記1で調製したDNA産物を出芽酵母細胞に形質転換し、DNA産物の両端にある標的配列とゲノム中の標的配列との間で相同組換えが生じ、DNA産物がゲノム中の標的箇所に組込まれた細胞を選択した(図4)。得られた細胞を培養後、VDEの認識配列あるいはGAL2遺伝子プロモータ領域を含む同方向反復配列間で組換えが生じ、URA3遺伝子がポップアウトした細胞を選択した(図4)。かくして、出芽酵母染色体の任意箇所にVDEの認識配列あるいはGAL2遺伝子プロモータ領域を含む配列を導入することができた。以下に詳細について説明する。
上記1で調製したDNA産物を出芽酵母細胞に形質転換し、DNA産物の両端にある標的配列とゲノム中の標的配列との間で相同組換えが生じ、DNA産物がゲノム中の標的箇所に組込まれた細胞を選択した(図4)。得られた細胞を培養後、VDEの認識配列あるいはGAL2遺伝子プロモータ領域を含む同方向反復配列間で組換えが生じ、URA3遺伝子がポップアウトした細胞を選択した(図4)。かくして、出芽酵母染色体の任意箇所にVDEの認識配列あるいはGAL2遺伝子プロモータ領域を含む配列を導入することができた。以下に詳細について説明する。
pTF100あるいはpTF101を鋳型にPCRを行うことで、出芽酵母のゲノム中にGAL2遺伝子のプロモータ領域あるいはVDEの認識配列を導入するためのDNA産物を作成した。PCRのプライマーとして、出芽酵母のHIS3遺伝子中の配列とpTF100及びpTF101中のタグ配列を含むTFO28(配列番号13)とTFO29 (配列番号14)とを使用し、反応はExTaq DNA polymerase(宝酒造)により50μlスケールで98℃5分加温した後、98℃30秒、55℃30秒、72℃2分を30サイクル行い、最後に72℃10分反応させた。反応産物は、エタノール沈殿後10μlのTEバッファーに溶解して形質転換に使用した。形質転換は、一般的な酢酸リチウム法を用いた。形質転換した細胞を選択するため、ウラシルを欠く選択培地(SD−Ura)を用い、SD−Ura寒天培地上に出現したコロニーを選択した。DNA産物が正しくゲノムに導入されていることを確認するため、コロニーを液体培養した後、ゲノムDNAを抽出し、これを鋳型として、導入箇所の外側にある配列を用いたプライマーTFO34(配列番号15)とTFO35(配列番号16)によりPCRを行った。反応はExTaq DNA polymerase(宝酒造)により50μlスケールで98℃5分加温した後、98℃30秒、55℃30秒、72℃3分を30サイクル行い、最後に72℃10分反応させた。反応産物は0.7%のアガロースゲル電気泳動により検出した(図4)。次に、反復配列間で相同組換えを起こしてURA3マーカーをポップアウトし、ゲノム中にGAL2遺伝子のプロモータ領域あるいはVDEの認識配列を含む領域のみを残すために、DNA産物が正しくゲノムに導入されていることを確認した酵母細胞を富栄養の寒天培地(YPD)に塗布して30℃で一晩培養した後5−Fruoroorotic Acid(5−FOA)(和光純薬)を含む完全培地に塗り、出現したコロニーを選択した。URA3遺伝子がポップアウトしていることを確認するため、コロニーを液体培養した後、ゲノムDNAを抽出し、これを鋳型としてプライマーTFO34(配列番号15)とTFO35(配列番号16)を用いてPCRを行った。反応はExTaq DNA polymerase(宝酒造)により50μlスケールで98℃5分加温した後98℃30秒、55℃30秒、72℃3分を30サイクル行い、最後に72℃10分反応させた。反応産物は0.7%のアガロースゲル電気泳動により検出した(図4)。
3.サザン解析
VDEを発現する酵母細胞にVDEの認識配列を導入した後、減数分裂の同調培養を行い、減数分裂期に標的部位で染色体DNAの二重鎖切断が誘導されることを確認した(図5)。また、GAL2遺伝子プロモータ領域を導入した酵母細胞に減数分裂の同調培養を行い、減数分裂期に標的部位でGal4BD−Spo11タンパク質による染色体DNAの二重鎖切断が誘導されることを確認した(図6)。以下に詳細について説明する。
VDEを発現する酵母細胞にVDEの認識配列を導入した後、減数分裂の同調培養を行い、減数分裂期に標的部位で染色体DNAの二重鎖切断が誘導されることを確認した(図5)。また、GAL2遺伝子プロモータ領域を導入した酵母細胞に減数分裂の同調培養を行い、減数分裂期に標的部位でGal4BD−Spo11タンパク質による染色体DNAの二重鎖切断が誘導されることを確認した(図6)。以下に詳細について説明する。
上記2で作成した株を液体培地SPS(yeast extract 0.5%, bactopeptone 1%, yeast nitrogen base 0.17%, potassium acetate 1%, ammonium sulfate 0.5%, potassium phthalate 50 mM pH 5.0)で30℃一晩培養した後、遠心分離により細胞を回収し、胞子形成培地(potassium acetate 1%,)に懸濁して同調した減数分裂を誘導した。同調した減数分裂培養直前と、培養中の培養液をサンプルとして回収した。回収したサンプルからそれぞれゲノムDNAを精製し、制限酵素処理を行った。VDEによるHIS3遺伝子座での染色体切断を検出する場合には制限酵素EcoRV(宝酒造)を、Gal4BD−Spo11タンパク質によるHIS3遺伝子座での染色体切断を検出する場合には制限酵素HpaI(宝酒造)を使用した。制限酵素処理後、エタノール沈殿を行い、10μlのTEバッファーに溶解し、0.7%アガロースゲル電気泳動を行った。泳動後ゲル中のDNAを、VacuGene(Amersham社)装置を用いて、正電荷チャージメンブレンに転写した。転写したメンブレンに対し、チャーチの方法(PNAS誌92:11274−11278、1984)によりサザン解析を行った(図5及び図6)。プローブの鋳型にはHIS3遺伝子の近傍のDNA配列をもつPCR産物を用いた。具体的には、出芽酵母ゲノムDNAを鋳型にプライマーTFO89(配列番号17)とTFO90(配列番号18)とを用い、ExTaq DNA polymerase(宝酒造)により50μlスケールで98℃5分加温した後98℃30秒、55℃30秒、72℃3分を30サイクル行い、最後に72℃10分反応させ、0.8%のアガロースゲル電気泳動により分離してGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(Amersham社)により精製した。
4.HIS3遺伝子座でVDEが引き起こす組換えの頻度測定。
VDEの認識配列を導入した酵母細胞を減数分裂に導入した後、得られた胞子を解析することで、ほとんどの細胞において標的部位での組換えが生じていることを確認した。(図7)。以下に詳細について説明する。
HIS3遺伝子座において、野生型のHIS3遺伝子とVDEの認識配列を挿入したHIS3遺伝子(his3::VRS)をヘテロにもつ二倍体酵母細胞をHIS3遺伝子座でおきる組換え頻度の測定に使用した。この株を胞子形成寒天培地に塗布し、30℃で2−3日培養した後形成された胞子を0.3mg/mlのZymolyase(生化学工業)で37℃5分処理した後、マイクロマニピュレータにより4個胞子をそれぞれ富栄養寒天培地YPDへと置き30℃で2−3日培養し、コロニーを形成させた後、ヒスチジンを欠く寒天培地(SD−His)へとレプリカして30℃で2−3日培養し、ヒスチジンの要求性を確認した(四分子解析)。VDEの認識配列を挿入したHIS3遺伝子(his3::VRS)はHIS3遺伝子を破壊しているため、組換えが起きなければ4個胞子のうち2個はヒスチジン非要求性で2個はヒスチジン要求性となる。一方、VDEの認識配列が切断されて組換えが起きると、his3::VRSアレルがHIS3アレルへと組換えられるため、4個胞子のうちヒスチジン非要求性の胞子が3あるいは4つになる。コントロールとしてVDEの認識配列中に変異をもち、VDEに切断されない認識配列を上記1及び2の方法で同様にHIS3遺伝子中に挿入したもの(his3::VRS103)をネガティブコントロールとして使用した。
図7に示す通り、VDEの認識配列を挿入したHIS3遺伝子(his3::VRS)をヘテロにもつ二倍体酵母細胞株を用いた場合、用いた株のほとんどが、4つの胞子においてスチジン非要求性を示す結果となった。従って、挿入したVDE認識配列の部位において組換えが誘導されていることが示された。
VDEの認識配列を導入した酵母細胞を減数分裂に導入した後、得られた胞子を解析することで、ほとんどの細胞において標的部位での組換えが生じていることを確認した。(図7)。以下に詳細について説明する。
HIS3遺伝子座において、野生型のHIS3遺伝子とVDEの認識配列を挿入したHIS3遺伝子(his3::VRS)をヘテロにもつ二倍体酵母細胞をHIS3遺伝子座でおきる組換え頻度の測定に使用した。この株を胞子形成寒天培地に塗布し、30℃で2−3日培養した後形成された胞子を0.3mg/mlのZymolyase(生化学工業)で37℃5分処理した後、マイクロマニピュレータにより4個胞子をそれぞれ富栄養寒天培地YPDへと置き30℃で2−3日培養し、コロニーを形成させた後、ヒスチジンを欠く寒天培地(SD−His)へとレプリカして30℃で2−3日培養し、ヒスチジンの要求性を確認した(四分子解析)。VDEの認識配列を挿入したHIS3遺伝子(his3::VRS)はHIS3遺伝子を破壊しているため、組換えが起きなければ4個胞子のうち2個はヒスチジン非要求性で2個はヒスチジン要求性となる。一方、VDEの認識配列が切断されて組換えが起きると、his3::VRSアレルがHIS3アレルへと組換えられるため、4個胞子のうちヒスチジン非要求性の胞子が3あるいは4つになる。コントロールとしてVDEの認識配列中に変異をもち、VDEに切断されない認識配列を上記1及び2の方法で同様にHIS3遺伝子中に挿入したもの(his3::VRS103)をネガティブコントロールとして使用した。
図7に示す通り、VDEの認識配列を挿入したHIS3遺伝子(his3::VRS)をヘテロにもつ二倍体酵母細胞株を用いた場合、用いた株のほとんどが、4つの胞子においてスチジン非要求性を示す結果となった。従って、挿入したVDE認識配列の部位において組換えが誘導されていることが示された。
5.HIS3遺伝子座近傍での相同組換えの測定
VDEの認識配列を導入した酵母細胞を減数分裂に導入した後、得られた胞子を解析することで、標的部位の近傍で相同組換えが生じていることを確認した(図8)。また、GAL2遺伝子プロモータ領域を導入した酵母細胞を減数分裂に導入した後、得られた胞子を解析することで、標的部位の近傍で相同組換えが生じていることを確認した(図9)。以下に詳細について説明する。
VDEの認識配列を導入した酵母細胞を減数分裂に導入した後、得られた胞子を解析することで、標的部位の近傍で相同組換えが生じていることを確認した(図8)。また、GAL2遺伝子プロモータ領域を導入した酵母細胞を減数分裂に導入した後、得られた胞子を解析することで、標的部位の近傍で相同組換えが生じていることを確認した(図9)。以下に詳細について説明する。
HIS3遺伝子座近傍での遺伝子シャッフリングを測定するために、近傍に位置する2遺伝子がそれぞれ異なるマーカー遺伝子で置き換わっている株で四分子解析を行い、マーカー間の遺伝的距離を測定した。測定には、HIS3遺伝子の上流にあるMCA1遺伝子がCgLEU2遺伝子で置き換わっている一倍体とHIS3遺伝子の下流にあるFMP38遺伝子がKanMX4遺伝子で置き換わっている一倍体とが接合してできた二倍体株を用いた。CgLEU2遺伝子をもつ側の染色体のHIS3遺伝子中にVDEの認識配列を挿入している場合としていない場合とで測定を行い比較する。上記4と同様に四分子解析を行い、CgLEU2遺伝子の有無はロイシンを欠く寒天培地(SD−Leu)へ、KanMX4遺伝子の有無は300μg/mlのgeneticin(Sigma社)を含むYPD寒天培地へレプリカすることで確認した。GAL2遺伝子のプロモータ領域の導入により生じたGal4BD−Spo11タンパク質の二重鎖切断がもたらす相同組換えについても同様にして解析を行った。この場合はMCA1遺伝子がCgLEU2遺伝子で置き換わっている一倍体とFMP38遺伝子をCgURA3遺伝子で置き換えた一倍体とが接合してできた二倍体株を使用した。両方の相同染色体のHIS3遺伝子中にGAL2遺伝子のプロモータ領域を挿入している場合としていない場合とで測定を行い比較する。CgURA3遺伝子の有無はウラシルを欠く寒天培地(SD−Ura)へレプリカすることで確認した。
図8及び図9に示すように、HIS3遺伝子中にVDEの認識配列を挿入した株(HIS3/his3::VRS)、及びHIS3遺伝子中にGAL2遺伝子のプロモータ領域を挿入した株(his3::UAS /his3::UAS)において、交叉型の相同組換えが生じていることが明らかになった。
図8及び図9に示すように、HIS3遺伝子中にVDEの認識配列を挿入した株(HIS3/his3::VRS)、及びHIS3遺伝子中にGAL2遺伝子のプロモータ領域を挿入した株(his3::UAS /his3::UAS)において、交叉型の相同組換えが生じていることが明らかになった。
本発明は、真核生物の減数分裂期における相同組換えを、染色体上の所望の位置において活性化することができる。そのため、従来、交配による遺伝情報の再編成の頻度が低かった領域においても組換えを引き起こすことが可能となる。従って、有用遺伝子群の交配を誘導することが可能となり、醸造酵母等の微生物育種などの産業分野において有効は手段を提供する。
Claims (11)
- 選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有し、さらに、該選択マーカー遺伝子と該減数分裂期組換えを活性化するDNAを染色体上に組み込むためのDNAを有するDNA断片。
- 前記減数分裂期組換えを活性化するDNA配列が、VDEエンドヌクレアーゼ認識配列である請求項1に記載のDNA断片。
- 前記減数分裂期組換えを活性化するDNA配列が、GAL2遺伝子プロモータ配列である請求項1に記載のDNA断片。
- 選択マーカー遺伝子と、該選択マーカー遺伝子の5’上流及び3’下流側近傍に減数分裂期組換えを活性化するDNAを有するDNA断片を含むベクター。
- 以下の(a)〜(c)の工程からなる細胞中の相同組換えを活性化する方法。
(a)請求項1乃至3のいずれかに記載の前記DNA断片を細胞へ導入し、該細胞の染色体上の目的の部位へ該DNA断片を挿入する工程、
(b)染色体中の該DNA断片から前記選択マーカー及び前記減数分裂期組換えを活性化するDNA断片の1つが欠失した細胞株を選択する工程、
(c)相同組換えに適した条件で該細胞株を培養する工程 - 前記工程(c)の前に、VDEエンドヌクレアーゼを前記細胞内で発現させる工程を、さらに含む請求項5に記載の方法。
- 前記工程(c)の前に、Gal4BD−Spo11融合タンパク質を前記細胞内で発現させる工程を、さらに含む請求項5に記載の方法。
- 前記細胞が、動物細胞、植物細胞、真菌細胞からなるグループより選択されるものである請求項5乃至7のいずれかに記載の方法。
- 前記真菌細胞が酵母細胞である請求項8に記載の方法。
- 前記酵母細胞が、出芽酵母細胞である請求項9に記載の方法。
- 前記相同組換えが交叉型である請求項5乃至10いずれかに記載の方法。
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