JP2008089038A - 波動歯車装置およびそれを用いた伝達比可変装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステータギヤおよびドリブンギヤとフレキシブルギヤとの噛合い部に塗布した高粘性グリースを、長期に亘って噛合い部に保持できる波動歯車装置およびそれを用いた伝達比可変装置を提供する。
【解決手段】波動発生器54の両端面に、グリース流動補助プレート63を装着し、グリース流動補助プレートと波動発生器との間にグリース流動空間64を画成し、グリース流動空間を軸線Oを含む平面で切断したときの断面積を、波動発生器の長径側で最も大きく、短径側へ向かうに従って徐々に小さくなるように形成した。
【選択図】図3
【解決手段】波動発生器54の両端面に、グリース流動補助プレート63を装着し、グリース流動補助プレートと波動発生器との間にグリース流動空間64を画成し、グリース流動空間を軸線Oを含む平面で切断したときの断面積を、波動発生器の長径側で最も大きく、短径側へ向かうに従って徐々に小さくなるように形成した。
【選択図】図3
Description
本発明は、リング状のフレキシブルギヤの外周にステータギヤおよびドリブンギヤを配置した構成の波動歯車装置およびそれを用いた伝達比可変装置に関するものである。
ステータギヤと、このステータギヤと同一の軸線上に並置されステータギヤとは異なる歯数のドリブンギヤと、ステータギヤおよびドリブンギヤの内側に同一の軸線上にかつステータギヤおよびドリブンギヤに噛合うように配置されたリング形状のフレキシブルギヤと、フレキシブルギヤを非円形に撓ませてステータギヤおよびドリブンギヤに部分的に噛合わせるとともに、撓められたフレキシブルギヤの非円形の形状を回転させる波動発生器とからなる波動歯車装置は、よく知られている。かかる波動歯車装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、ステアリングホイールの操舵角に対する転舵輪の転舵角の比を変化させる伝達比可変システムの減速機構として広く利用されている。一般に、当該減速機構は、車室外に搭載されており、音や振動については有利なレイアウトにあるため、振動低減としては、マスダンパー等で対応している。
しかしながら、減速機構の搭載場所が従来の車室外から車室内となる場合には、高い静粛性が要求されるため、従来のマスダンパー等では十分に対応することができず、波動歯車装置自体より発生する振動を低減することが必要となる。
特開2006−44534号公報
ところで、ステータギヤおよびドリブンギヤとフレキシブルギヤとの噛合い部に高粘性グリースを塗布することで、グリースのダンピング効果によって振動低減効果が得られることが確認されているが、波動歯車装置においては、波動発生器の回転に伴って、ステータギヤおよびドリブンギヤとフレキシブルギヤとが部分的に噛合うことになるので、噛合い部より余分な高粘性グリースが軸線方向の両側に逃げてしまい、一度逃げたグリースが再び噛合い部に戻ることがないので、長時間の作動ではダンピング効果が低下してしまう恐れがあった。
本発明は、上記した従来の問題を解消するためになされたもので、ステータギヤおよびドリブンギヤとフレキシブルギヤとの噛合い部に塗布した高粘性グリースを、長期に亘って噛合い部に保持できる波動歯車装置およびそれを用いた伝達比可変装置を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、ステータギヤと、該ステータギヤと同一の軸線上に並置されステータギヤとは異なる歯数のドリブンギヤと、前記ステータギヤおよびドリブンギヤの内側に同一の軸線上にかつステータギヤおよびドリブンギヤに噛合うように配置されたリング形状のフレキシブルギヤと、該フレキシブルギヤを非円形に撓ませて前記ステータギヤおよびドリブンギヤに部分的に噛合わせるとともに、撓められたフレキシブルギヤの非円形の形状を回転させる波動発生器とを備え、前記ステータギヤおよびドリブンギヤと前記フレキシブルギヤとの噛合い部に高粘性グリースを塗布してなる波動歯車装置であって、前記波動発生器の両端面の少なくとも一方に、グリース流動補助プレートを装着し、該グリース流動補助プレートと前記波動発生器との間にグリース流動空間を画成し、該グリース流動空間を前記軸線を含む平面で切断したときの断面積を、前記波動発生器の長径側で最も大きく、短径側へ向かうに従って徐々に小さくなるように形成したことである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記グリース流動補助プレートには、前記波動発生器の長径側において、半径方向外方に向かって前記波動発生器の端面より離間するように傾斜した傾斜面が形成され、該傾斜面は、前記波動発生器の長径側から短径側に向かって傾斜角度が徐々に小さくなるように形成されていることである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1もしくは請求項2において、前記グリース流動補助プレートは、略楕円形状に形成されていることである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項3の何れか1項において、前記グリース流動補助プレートは、前記波動発生器の両端に設けられたプレートの外面にそれぞれ取付けられていることである。
請求項5に係る発明の特徴は、ステアリングホイールの回転が伝達される入力軸と、該入力軸に回転可能に支承され転舵輪に転舵角を付与するステアリングギヤに回転を伝達する出力軸と、前記入力軸に同軸に固定されたモータと、該モータのモータシャフトと前記出力軸との間に設けられ前記モータシャフトの回転を減速して前記出力軸に伝達する減速機構とを備え、ステアリングホイールの操舵角に対する転舵輪の転舵角の比を変化させる伝達比可変装置であって、前記減速機構として、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の波動歯車装置を用いたことである。
請求項1に係る発明によれば、波動発生器の両端面に、グリース流動補助プレートを装着し、グリース流動補助プレートと波動発生器との間にグリース流動空間を画成し、グリース流動空間の断面積を、波動発生器の長径側で最も大きく、短径側へ向かうに従って徐々に小さくなるように形成したので、長径側の噛合い部において押し出された余分なグリースを、グリース流動補助プレートによるせん断力の作用によって、長径側の噛合い部分から短径側の非噛合い部分に循環させることができるようになる。その結果、フレキシブルギヤの短径側が長径側に変形されると、循環されたグリースをステータギヤおよびドリブンギヤとフレキシブルギヤとの噛合い部に介在させることができるようになる。
これにより、ステータギヤおよびドリブンギヤとフレキシブルギヤとの噛合い部に常に高粘性グリースを保持することができようになり、グリースによるダンピング効果を長期に亘って持続でき、波動歯車装置の振動を有効に低減することができる。しかも、グリース切れの防止により波動歯車装置の耐久性を向上することができる。
請求項2に係る発明によれば、グリース流動補助プレートには、波動発生器の長径側において、半径方向外方に向かって波動発生器の端面より離間するように傾斜した傾斜面が形成され、傾斜面は、波動発生器の長径側から短径側に向かって傾斜角度が徐々に小さくなるように形成されているので、長径側の噛合い部において押し出された余分なグリースを、グリース流動補助プレートに形成された傾斜面による引込み作用によって長径側の噛合い部分から短径側の非噛合い部分に的確に循環させることができる。
請求項3に係る発明によれば、グリース流動補助プレートは、略楕円形状に形成されているので、長径側の噛合い部において押し出された余分なグリースを、グリース流動補助プレートによるせん断力の作用によって、グリース流動補助プレートの周縁部に沿って長径側の噛合い部分から短径側の歯部に循環させることができる。
請求項4に係る発明によれば、グリース流動補助プレートは、波動発生器の両端に設けられたプレートの外面にそれぞれ取付けられているので、ステータギヤおよびドリブンギヤとフレキシブルギヤとの噛合い部に塗布した高粘性グリースを、波動発生器内のボールベアリング等を潤滑する潤滑剤と確実に分離させることができる。
請求項5に係る発明によれば、ステアリングホイールの操舵角に対する転舵輪の転舵角の比を変化させる伝達比可変装置の減速機構として、請求項1ないし請求項4に記載の波動歯車装置を用いたので、伝達比可変装置の減速機構を構成するステータギヤおよびドリブンギヤとフレキシブルギヤとの噛合い部に常に高粘性グリースを保持することができ、グリースによるダンピング効果を長期に亘って持続できるようになる。従って、伝達比可変装置の減速機構の構造等の大幅な変更によるコストアップすることなく、伝達比可変装置の減速機構の静粛性を高めることができるようになる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2において、ステアリングホイール10が取付けられたアッパーステアリングシャフト11は、伝達比可変機構12のステアリングシャフト13にゴムカップリング14を介して接続されている。伝達比可変機構12の出力軸15はロアーステアリングシャフト16を介してステアリングギヤであるラックアンドピニオン機構17のピニオン軸に連結され回転を伝達する。ラックアンドピニオン機構17のラックシャフト18の両端にはそれぞれタイロッド19の一端が接続され、各タイロッド19の他端はナックルアームを介して転舵輪20に接続されている。
アッパーステアリングシャフト11にはステアリングホイール10の操舵角を検出する操舵角センサ21が設けられ、ロアーステアリングシャフト16には転舵輪20の転舵角を検出する転舵角センサ22が設けられている。これらステアリングホイール10の操舵角および転舵輪19の転舵角は電子制御装置23に入力される。電子制御装置23には車両速度を検出する車速センサ24から出力される車両速度も入力される。電子制御装置23は、これら操舵角、転舵角ならびに車両速度等に基づいて、伝達比可変機構12を制御するための制御信号を出力するようになっている。
伝達比可変機構12は、段付き円筒部25a、中間円筒部25bおよび底プレート部25cを一体的に連結して構成された入力軸25を備え、段付き円筒部25aの上方に突出した小径円筒部25dにステアリングシャフト13が共通軸線C上でスプライン嵌合されている。入力軸25の底プレート部25cには、出力軸15がフランジ部15aをスラスト軸受26で回転可能に支承され、中間円筒部25b内にはフランジ部15a、減速機構30およびモータ31(DCブラシレスモータ)が共通軸線C上に順次収容されている。出力軸15の軸部15bはダストシール32を貫通して入力軸25の外部に突出している。
中間円筒部25bには、モータ31のケース34が嵌合されている。モータ31は、モータシャフト35を有し、モータシャフト35は一端をケース34に、中央部を中間プレート36に軸受37,38により回転可能に支持されている。段付き円筒部25aおよび中間円筒部25bは、ケース34のフランジと中間プレート36の外縁とを挟持した状態でカシメにより結合されている。出力軸15を支承した底プレート部25cは、減速機構30等を収容した中間円筒部25bに螺着されカシメにより固定されている。
モータシャフト35の先端には係合部材39が一体的に取付けられ、係合部材39がゴム等の弾性体で形成された緩衝部材40を介して減速機構30に回転連結されている。
43は段付き円筒部25aの大径部内に配設されたロック機構で、電源オフ時やシステム失陥時に、モータシャフト35を入力軸25に対して固定(ロック)し、ステアリングホイール10の回転を転舵輪20に伝達するものである。モータシャフト35の後端に嵌着されたロックギヤ44に段付き円筒部25aに揺動可能に支承されたロックバーの係合爪を係脱させてロック状態、アンロック状態とするが、ロック機構43は既に公知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
45はスパイラルケーブル装置で、外側筒体46が図略の車体に保持され、内側収納体47が段付き円筒部25aの小径円筒部25dの外周に嵌着されている。外側筒体46と内側収納体47の間に巻装されたフレキシブルフラットケーブル48は、一端が内側収納体47に固定されて内側収納体47の周囲に巻回され、他端が外側筒体46に固定されている。内側収納体47側でフレキシブルフラットケーブル48に接続され入力軸25内に導入されたリード線はモータ31のステータコイル等に接続され、外側筒体46側でフレキシブルフラットケーブル48に接続されたリード線は電子制御装置23、バッテリ等に接続されている。
上記した減速機構30は、波動歯車機構によって構成され、波動歯車機構(減速機構)30は、ステータギヤ51と、ドリブンギヤ52と、フレキシブルギヤ53と、波動発生器54とを備えている。ステータギヤ51は中間円筒部25bに圧入結合され、ドリブンギヤ52はステータギヤ51と同一の軸線O上に並置されて、中間円筒部25b内に回転可能に収納され、フランジ部15aに回転連結されている。ステータギヤ51およびドリブンギヤ52内周面には、それぞれ異なる歯数のギヤが形成されている。すなわち、ドリブンギヤ52はステータギヤ51に対して僅かに少ない歯数に設定されている。波動発生器54は、上記した係合部材39に緩衝部材40を介して回転連結された楕円形状のカム55を備え、カム55の外周にボールベアリング56を介してフレキシブルギヤ53が配置されている。
フレキシブルギヤ53は、図3および図4に詳細に示すように、ステータギヤ51およびドリブンギヤ52の内側に同一の軸線O上に配置され、外周にステータギヤ51およびドリブンギヤ52に部分的に噛合う、ドリブンギヤ52と同じ歯数のギヤが形成されている。フレキシブルギヤ53は、波動発生器54の楕円形状のカム55によって楕円形に撓まされ、ステータギヤ51およびドリブンギヤ52との噛合い点が円周方向に変化する。この際、ドリブンギヤ52はフレキシブルギヤ53と同じ歯数であるため、フレキシブルギヤ53が変形してもドリブンギヤ52との間に相対的な回転はないが、ステータギヤ51とフレキシブルギヤ53との歯数は異なるので、ドリブンギヤ52はステータギヤ51に対して相対的に回転する。
波動歯車機構30の入力部材である楕円状のカム55の外周には、楕円形状のボールベアリング56の内輪が嵌着され、この内輪に複数のボールを介して回転可能に支持されたフレキシブルな外輪の外周にフレキシブルギヤ53の内周が嵌合されている。
波動発生器54のカム55の両端面には、サイドプレート61、61が配置され、サイドプレート61、61は、図5にも示すように、ボールベアリング56を軸方向の両側より挟持するように、カム55を貫通する円周上複数の締付具、例えば、リベット62によってカム55に一体的に結合されている。サイドプレート61、61はボールベアリング56の外輪の外形形状にほぼ一致する楕円形状をなし、これらサイドプレート61、61とボールベアリング56の内外輪との間に、ボールベアリング潤滑用グリースが封入されている。
サイドプレート61、61の外面には、図6にも示すように、フレキシブルギヤ53の形状にほぼ近似する楕円形状のグリース流動補助プレート63、63が一体に取付けられ、グリース流動補助プレート63、63の外周は、ステータギヤ51およびドリブンギヤ52の各内歯に近接している。グリース流動補助プレート63、63は、サイドプレート61、61の外面に接着あるいはビス止め等の適宜の結合手段によって固定してもよいし、サイドプレート61、61を波動発生器54のカム55に取付けるリベット62を利用して、サイドプレート61、61と一体に波動発生器54に取付けるようにしてもよい。
グリース流動補助プレート63、63は、波動発生器54との間にグリース流動空間64を画成するものである。グリース流動補助プレート63、63は、波動発生器54の長径側X1においては、半径方向外方に向かって波動発生器54の端面より徐々に離間するように傾斜した傾斜面65が形成され、この傾斜面65は、波動発生器54の長径側X1から短径側X2に向かって傾斜角度が徐々に小さくなるように形成され、波動発生器54の短径側X2においては、図7に示すように、波動発生器54の端面に接近した直線部66となっている。
これにより、グリース流動空間64は、このグリース流動空間64を軸線Oを含む平面で切断したときの断面積が波動発生器54の長径側X1で最も大きく、短径側X2へ向かうに従って徐々に小さくなるように形成される。また、グリース流動空間64は、グリース流動補助プレート63の内面と、これと対向するサイドプレート31との間の距離が、波動発生器54の長径側X1においては、グリース流動補助プレート63の外縁部で最も大きく、波動発生器54の中心に向かうに従って徐々に小さくなっているとともに、波動発生器54の長径側X1から短径側X2に向かって徐々に小さくなるように構成されている
次に、上記した構成の伝達比可変機構を備えたステアリング装置の作動を説明する。ロック機構43がアンロックされている状態において、運転手がステアリングホイール10を操舵すると、ステアリングホイール10の操舵角が舵角センサ21によって検出される。電子制御装置23は、舵角センサ21および転舵角センサ22からの操舵角および転舵角を入力するとともに、車速センサ24より車両速度を入力する。そして、電子制御装置23は車両速度および操舵角等に基づき目標転舵角の演算を行う。この目標転舵角と転舵角センサ22により検出された転舵輪20の転舵角との差に基づいて、モータ31を制御する制御信号が電子制御装置23より出力される。
電子制御装置23より出力された制御信号は、伝達比可変機構12のモータ31に送られ、この制御信号に基づいてモータ31が作動され、モータシャフト35が回転される。モータシャフト35が回転すると、波動発生器54のカム55が回転される。この際、フレキシブルギヤ53は楕円状に変形した状態でカム55の長径側X1の両端部分では、図4の(A)に示すように、ステータギヤ51、ドリブンギヤ52と噛合し、短径側X2の両端部分ではステータギヤ51、ドリブンギヤ52から離間した非噛合い状態になっている。この状態で波動発生器54のカム55が回転されると、ドリブンギヤ52の歯数がステータギヤ51の歯数より少ないため、波動発生器54が1回転した際、ドリブンギヤ52は、入力軸25に対して波動発生器54の回転方向と同方向に波動歯車機構(減速機構)30の減速比だけ減速して回転される。減速比はステータギヤ51とドリブンギヤ52の歯数差をドリブンギヤ52の歯数で除した値である。
ドリブンギヤ52の回転により出力軸15が回転され、出力軸15の回転がロアーステアリングシャフト16を介してラックアンドピニオン機構17のピニオン軸に伝達され、ラックシャフト18を軸動させタイロッド19を介して転舵輪20を転舵させる。これにより、モータシャフト35の回転に応じてステアリングホイール10の操舵角と転舵輪19の転舵角との伝達比を変化させることができる。
ところで、波動歯車機構30のステータギヤ51およびドリブンギヤ52とフレキシブルギヤ53との間に塗布された高粘性グリースは、ステータギヤ51およびドリブンギヤ52とフレキシブルギヤ53とが長径側X1で部分的に噛合うことにより、噛合い部分において余分なグリースが軸線方向の両側に逃げて、グリース流動補助プレート63、63に形成した傾斜面65によって画成されたグリース流動空間64内に流動される。グリース流動空間64内に流動した高粘性グリースは、波動発生器54とともに回転するグリース流動補助プレート63、63によるせん断力の作用により、長径側X1の噛合い部分から短径側X2の非噛合い部分に円周方向に流動される。
グリース流動補助プレート63、63の傾斜面65は、波動発生器54の長径側X1から短径側X2に向かって傾斜角度が徐々に小さくなるように形成されているため、グリース流動空間64が長径側X1の噛合い部分から短径側X2の歯部分に向かって円周方向に徐々に狭められているため、グリース流動補助プレート63、63によるせん断作用によって高粘性グリースは、グリース流動空間64の狭くなった奥側に送り込まれる。すなわち、高粘性グリースは、楕円形状のグリース流動補助プレート63、63の周縁部に沿って、フレキシブルギヤ53の長径側X1から短径側X2に引き込まれる。このようにして、噛合い部から押し出されたグリースは、波動発生器54の回転に伴って、長径側X1から短径側X2に流動される。なお、グリースが引き込まれると、引き込まれた部位が負圧となることから、負圧部分にさらにグリースが引き込まれ、グリースの循環作用が促進される。
このような結果、図4(B)に示すように、波動発生器54が90度回転して、フレキシブルギヤ53の短径側X2が長径側X1に変形されると、上記のようにして波動発生器54の短径側X2に供給された高粘性グリースがステータギヤ51およびドリブンギヤ52との噛合い部に介在されることになり、このような動作が波動発生器54の回転によって繰り返されることにより、噛合い部から押し出されたグリースは次の噛合い部に循環され、このようなグリースの循環作用により、ステータギヤ51およびドリブンギヤ52とフレキシブルギヤ53との噛合い部には常にグリースを介在されるようになる。
これにより、ステータギヤ51およびドリブンギヤ52とフレキシブルギヤ53との間に塗布した高粘性グリースを、ステータギヤ51およびドリブンギヤ52とフレキシブルギヤ53との噛合い部に長期に亘って保持でき、グリースによるダンピング効果を長期に亘って持続できるようになる。その結果、波動歯車機構30より発生する振動音を効果的に抑制でき、減速比可変システムの減速機がたとえ車室内に搭載されるようになっても、波動歯車機構30より車室内に伝達される異音を低減でき、高い静粛性を得ることができるようになる。
図8は、本発明の別の実施の形態を示すもので、グリース流動補助プレート63、63による高粘性グリースの循環作用をより促進するために、グリース流動補助プレート63、63の傾斜面65の内側に、山型形状65aを形成したものである。かかる山型形状65aを形成したことにより、グリース流動補助プレート63、63の回転によるせん断力によって、高粘性グリースを矢印で示すように、奥側に引き込む分力を発生させることができ、高粘性グリースの循環性をより一層高めることができるようになる。なお、先の実施の形態と同一部品については同一符号を付し、その説明を省略する。
上記した実施の形態においては、グリース流動補助プレート63、63を、波動発生器54のカム55の両端面に装着したが、前記両端面のいずれか一方にだけグリース流動補助プレート63を装着することもできる。これは、波動歯車機構30の軸線Oが概ね鉛直方向を向くような姿勢で使用される場合に可能であり、波動発生器54の下側の端面のみにグリース流動補助プレート63が装着されることとなる。こうすることにより、1枚のグリース流動補助プレート63によってグリースの循環作用を発揮させつつ、上記した実施の形態と比べて部品点数を削減できる。
上記した実施の形態においては、グリース流動補助プレート63、63を、波動発生器54のカム55の両端面に設けたサイドプレート61、61の外面に取付けたが、例えば、ボールベアリング56として、自己潤滑性をもつシールドベアリングを用いれば、サイドプレート61、61を廃止することができ、このような波動歯車機構においては、グリース流動補助プレート63、63を、波動発生器54の両端面に直接取付けることもできる。
また、上記した実施の形態においては、グリース流動補助プレート63、63を、フレキシブルギヤ53の外形形状に近似した楕円形状とした例について述べたが、グリース流動補助プレート63、63は、ステータギヤ51およびドリブンギヤ52の内周に僅かな隙間をもって遊嵌する真円形状とすることもでき、楕円形状に限定されるものではない。
斯様に、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の形態を採り得ることは勿論である。
10・・・ステアリングホイール、12・・・伝達比可変機構、13・・・ステアリングシャフト、15・・・出力軸、17・・・ラックアンドピニオン機構、20・・・転舵輪、21・・・操舵角センサ、22・・・転舵角センサ、23・・・電子制御装置、24・・・車速センサ、25・・・入力軸、30・・・波動歯車機構(減速機構)、31・・・モータ、35・・・モータシャフト、51・・・ステータギヤ、52・・・ドリブンギヤ、53・・・フレキシブルギヤ、54・・・波動発生器、55・・・カム、56・・・ボールベアリング、61・・・サイドプレート、63・・・グリース流動補助プレート、64・・・グリース流動空間、65・・・傾斜面、X1・・・長径側、X2・・・短径側。
Claims (5)
- ステータギヤと、該ステータギヤと同一の軸線上に並置されステータギヤとは異なる歯数のドリブンギヤと、前記ステータギヤおよびドリブンギヤの内側に同一の軸線上にかつステータギヤおよびドリブンギヤに噛合うように配置されたリング形状のフレキシブルギヤと、該フレキシブルギヤを非円形に撓ませて前記ステータギヤおよびドリブンギヤに部分的に噛合わせるとともに、撓められたフレキシブルギヤの非円形の形状を回転させる波動発生器とを備え、前記ステータギヤおよびドリブンギヤと前記フレキシブルギヤとの噛合い部に高粘性グリースを塗布してなる波動歯車装置であって、
前記波動発生器の両端面の少なくとも一方に、グリース流動補助プレートを装着し、該グリース流動補助プレートと前記波動発生器との間にグリース流動空間を画成し、該グリース流動空間を前記軸線を含む平面で切断したときの断面積を、前記波動発生器の長径側で最も大きく、短径側へ向かうに従って徐々に小さくなるように形成したことを特徴とする波動歯車装置。 - 請求項1において、前記グリース流動補助プレートには、前記波動発生器の長径側において、半径方向外方に向かって前記波動発生器の端面より離間するように傾斜した傾斜面が形成され、該傾斜面は、前記波動発生器の長径側から短径側に向かって傾斜角度が徐々に小さくなるように形成されていることを特徴とする波動歯車装置。
- 請求項1もしくは請求項2において、前記グリース流動補助プレートは、略楕円形状に形成されていることを特徴とする波動歯車装置。
- 請求項1ないし請求項3の何れか1項において、前記グリース流動補助プレートは、前記波動発生器の両端に設けられたプレートの外面にそれぞれ取付けられていることを特徴とする波動歯車装置。
- ステアリングホイールの回転が伝達される入力軸と、該入力軸に回転可能に支承され転舵輪に転舵角を付与するステアリングギヤに回転を伝達する出力軸と、前記入力軸に同軸に固定されたモータと、該モータのモータシャフトと前記出力軸との間に設けられ前記モータシャフトの回転を減速して前記出力軸に伝達する減速機構とを備え、ステアリングホイールの操舵角に対する転舵輪の転舵角の比を変化させる伝達比可変装置であって、
前記減速機構として、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の波動歯車装置を用いたことを特徴とする伝達比可変装置。
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- 2006-09-29 JP JP2006269192A patent/JP2008089038A/ja active Pending
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