JP2008070465A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶パネルの利点を損なうことなく高コントラスト・低色度変動を得ることができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1の偏光板9と、対向配置された少なくとも一方の内面に透明電極3を有する一対のガラス基板4と該ガラス基板4間に挟持された液晶層1とからなる液晶パネルと、第2の偏光板9とをこの順番に備える液晶表示装置であって、前記第1の偏光板9と液晶パネルの間、及び前記液晶パネルと第2の偏光板9との間に、透明基板6の一方の面に一軸性位相差膜7が設けられ、他方の面にコレステリック位相差膜5が設けられてなる光学補償フィルム8を備える。
【選択図】図1
【解決手段】第1の偏光板9と、対向配置された少なくとも一方の内面に透明電極3を有する一対のガラス基板4と該ガラス基板4間に挟持された液晶層1とからなる液晶パネルと、第2の偏光板9とをこの順番に備える液晶表示装置であって、前記第1の偏光板9と液晶パネルの間、及び前記液晶パネルと第2の偏光板9との間に、透明基板6の一方の面に一軸性位相差膜7が設けられ、他方の面にコレステリック位相差膜5が設けられてなる光学補償フィルム8を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶表示装置、とくに垂直配向型液晶表示装置に関するものである。
垂直配向型液晶表示装置は、高速応答・正面方向の高コントラストを特徴としており、既に液晶TVなどに応用されている。本液晶表示装置の電圧無印加時の液晶配向状態はガラス基板と垂直方向であり、かつ2枚の偏光板の吸収軸がお互いに直交する関係で配置されているため、理想的な黒状態が得られる。電圧印加時の液晶配向状態はガラス基板と平行方向となり、位相差を生じるため白表示となる。本液晶表示装置の電圧印加時(白表示)の視野角特性は、例えば特許文献1で提案されているように液晶の傾斜角度を数方向にした、いわゆるマルチドメインを採用し、広視野角特性を実現している。
電圧無印加(黒表示)の視野角特性は、液晶分子を斜めから観測しているため位相差を持った状態になっており、この位相差のため黒状態に光漏れが生じ、黒輝度が悪化してしまう。さらに液晶パネルの入射側及び出射側に直交配置した偏光板は、視野角方向から見ると見かけ上の吸収軸交差角度が広くなり、入射側偏光板透過偏光軸と出射側偏光板透過偏光軸が一致していないため、光漏れが発生するという問題でもあった。これを解消するために、特許文献2で提案されているように視野角補償フィルムを偏光板とパネルの間に配置する手法が提案され、一部製品化がされている。さらに視野角特性を拡大するために、HongらはA−plateの位相差フィルムとC−plateの位相差フィルムを一組として液晶パネルの両側に配置した液晶表示装置構造を非特許文献1で報告している。
しかし、従来の技術では、前記位相差フィルムの厚みが、高分子フィルムの延伸によって作製するため1枚当たり40〜80μm程度の厚さあり、片側に2枚積層すると合計320μmと非常に厚くなってしまうため、液晶パネルの「薄い」という利点が損なわれてしまう課題があった。また、延伸方式視野角補償フィルムをパネルに積層する場合、延伸視野角補償フィルム同士の界面やパネル、偏光板の界面など合計6箇所の粘着剤などが必要になり、粘着剤の偏光解消効果によってコントラスト比低下が発生する。また積層枚数が多いため、液晶パネル、偏光板、視野角補償フィルムの光軸のずれによるコントラスト比も発生する。光軸ズレの精度を高くするような工程を考えることはできるが、一般的には液晶表示装置の生産性に影響する。よって液晶表示装置に薄いという利点を損なわないようにするだけではなく、視野角補償フィルム枚数を減らすことによる粘着剤の偏光解消や光軸ズレなどのコントラスト比低下を防ぎ、生産性の高い補償フィルム及び液晶表示構造が必要である。またこのとき、従来の液晶表示装置構造とは異なるので、前記視野角補償フィルムを用いた液晶表示装置構造に適した視野角補償フィルムの位相差値を再設定する必要が発生した。
一方、視野角補償フィルムは液晶パネルの視野角方向における位相差の波長特性を考慮に入れる必要がある。液晶パネルの液晶層は正の屈折率波長分散特性を持っているが、視野角方向から見ると徐々に負の分散特性になっている。液晶層を補償する理想的な視野角補償フィルムは、液晶パネルと視野角補償フィルムの位相差が各波長で同じで、かつキャンセルするように配置している必要がある。しかし従来技術の提案では視野角補償フィルムの波長分散は正であり、全ての光領域において補償ができないため、黒表示時の着色などが発生していた。またA−Plateの3軸の屈折率nx、ny、nzの関係として、nz係数(=(nx−nz)/(nx−ny))も視野角方向のコントラストに非常に影響する。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、液晶パネルの両側に透明基板の両側に位相差膜を配置した視野角補償フィルムを設け、理想的な波長分散で電圧無印加時の液晶パネル及び偏光板の位相差を補償することによって液晶パネルの利点を損なうことなく高コントラスト・低色度変動を得ることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する請求項1の発明は、第1の偏光板と、対向配置された少なくとも一方の内面に透明電極を有する一対の基板と該基板間に挟持された液晶層とからなる液晶パネルと、第2の偏光板とをこの順番に備える液晶表示装置であって、前記第1の偏光板と液晶パネルの間、及び前記液晶パネルと第2の偏光板との間に、透明基板の一方の面に一軸性位相差膜が設けられ、他方の面にコレステリック位相差膜が設けられてなる光学補償フィルムを備えることを特徴とする液晶表示装置である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記一軸性位相差膜及びコレステリック位相差膜は複屈折材料が塗布されてなり、前記一軸性位相差膜が隣接する偏光板側に、前記コレステリック位相差膜が前記液晶パネル側に配置されていることを特徴とする液晶表示装置である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記光学補償フィルムにおける一軸性位相差膜とコレステリック位相差膜は、互いに位相差値が正の波長分散特性を有し、前記一軸性位相差膜は、以下の式で定義される面内の位相差Roに前記透明基板の位相差を加えた値が75〜180nmであり、前記コレステリック位相差膜は、膜厚方向の位相差Rthに前記透明基板の位相差を加えた値が70〜180nmであることを特徴とする液晶表示装置である。
Ro =|(nx−ny)×(一軸性位相差膜膜厚)|
Rth=|{(nx−ny)/2−nz}×(コレステリック位相差膜膜厚)|
(ここで、nx,nyは隣接する前記偏光板の透過軸に対して平行方向であり対象位相差膜の面内で直交する方向の屈折率、nzは前記偏光板の透過軸に対して垂直方向となる対象位相差膜の厚さ方向の屈折率である。)
Ro =|(nx−ny)×(一軸性位相差膜膜厚)|
Rth=|{(nx−ny)/2−nz}×(コレステリック位相差膜膜厚)|
(ここで、nx,nyは隣接する前記偏光板の透過軸に対して平行方向であり対象位相差膜の面内で直交する方向の屈折率、nzは前記偏光板の透過軸に対して垂直方向となる対象位相差膜の厚さ方向の屈折率である。)
また、前記課題を解決するために提供する請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記光学補償フィルムにおける一軸性位相差膜とコレステリック位相差膜は、互いに位相差値が負の波長分散特性を有し、前記一軸性位相差膜は、複屈折を有しマトリクスを形成して位相差値が正の波長分散特性を示す高分子ポリマーと、該高分子ポリマーとは光軸が異なる複屈折を有し前記マトリクス中に添加され位相差値が正またはフラットな波長分散特性を示すポリマーもしくはモノマーとからなり、前記高分子ポリマー、及びポリマーもしくはモノマーそれぞれの主鎖が同じ方向に配列した分子構造であることを特徴とする液晶表示装置である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記光学補償フィルムにおける一軸性位相差膜とコレステリック位相差膜は、互いに位相差値が負の波長分散特性を有し、前記一軸性位相差膜は、複屈折を有しマトリクスを形成して位相差値が正の波長分散特性を示す高分子ポリマーと、該高分子ポリマーとは光軸が異なる複屈折を有し前記マトリクス中に添加され位相差値が正またはフラットな波長分散特性を示す無機材料の柱状結晶とからなり、該柱状結晶の長軸方向が前記高分子ポリマーの主鎖と同じ方向に配向した構造であることを特徴とする液晶表示装置である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項6の発明は、請求項3〜5の発明において、前記一軸性位相差膜のnz係数は、1.0〜1.4であることを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によれば、液晶パネルの利点を損なうことなく高コントラスト・低色度変動を得ることができる。また、モバイル用液晶表示装置として高画質化と薄型化の両立を図ることができる。
以下に、本発明に係る液晶表示装置の構成について説明する。
図1は、本発明に係る液晶表示装置の構成を示す断面概略図である。
図1に示すように、液晶表示装置10は、第1の偏光板9(図中下部)と、対向配置された少なくとも一方の内面に透明電極3を有する一対のガラス基板4と該ガラス基板4の間に挟持された液晶層1とからなる液晶パネルと、第2の偏光板9(図中上部)とをこの順番に備え、第1の偏光板9と液晶パネルの間、及び前記液晶パネルと第2の偏光板9との間に、透明基板6の一方の面に一軸性位相差膜7である位相差膜A(A−Plate)が設けられ、他方の面にコレステリック位相差膜5である位相差膜B(C−Plate)が設けられてなる光学補償フィルム8を備えることを特徴とする。
図1は、本発明に係る液晶表示装置の構成を示す断面概略図である。
図1に示すように、液晶表示装置10は、第1の偏光板9(図中下部)と、対向配置された少なくとも一方の内面に透明電極3を有する一対のガラス基板4と該ガラス基板4の間に挟持された液晶層1とからなる液晶パネルと、第2の偏光板9(図中上部)とをこの順番に備え、第1の偏光板9と液晶パネルの間、及び前記液晶パネルと第2の偏光板9との間に、透明基板6の一方の面に一軸性位相差膜7である位相差膜A(A−Plate)が設けられ、他方の面にコレステリック位相差膜5である位相差膜B(C−Plate)が設けられてなる光学補償フィルム8を備えることを特徴とする。
ここで、液晶パネルを構成するガラス基板4は、その主面上に透明電極3と配向膜2とが設けられており、2枚のガラス基板4のいずれかにはTFTなどのスイッチング素子が配置されている。また、液晶パネルはいわゆる垂直配向液晶モード(VAモード)の構成となっており、例えば液晶層1の液晶が電圧無印加時にガラス基板4に対して垂直方向となり、電圧印加時(白表示)に視野角特性を向上させるためマルチドメイン配向としている。
光学補償フィルム8は、透明基板6の両面それぞれに複屈折材料を塗布して2種類の位相差膜(一軸性位相差膜7及びコレステリック位相差膜5)が形成された1枚のフィルムである。
図2に光学補償フィルム8の構成例を示す。一軸性位相差膜7(位相差膜A)は膜厚1〜5μmのA−Plateであり、透明基板6と平行に液晶分子LCが層状に並び、かつ一方向に光軸を持っている。また、コレステリック位相差膜5(位相差膜B)は膜厚1〜5μmのC−Plateであり、透明基板6と垂直方向に液晶分子LCが回転している。
光学補償フィルム8を作製するに当っては、例えば透明基板6としてトリアセチルセルロース(TAC)を用い、液晶分子と紫外線硬化剤、界面活性剤などの成分からなる塗料を塗布して位相差膜を形成するとよい。詳しくは、TACの両面に同時ラビング処理を施し、ラビング処理後同時に前記塗料を塗布後乾燥させ、UV硬化処理すれば非常に生産性の高く作製することができる。なお、TAC上にポリイミドやアクリル系の配向膜を塗布し、ラビングを行うことによっても配向性の高い光学補償フィルムを作製することが可能である。また、TACの片面をラビング処理し前記塗料を塗布後、もう一方のTAC片面にラビング処理し塗料を塗布するという工程でも良い。
また、一軸性位相差膜7は主に偏光板9の視野角方向の交差軸変化の補償に効果があり、またコレステリック液晶層5は主に液晶パネルの液晶層1の補償に効果があるので、液晶表示装置10における光学補償フィルム8の配置として、一軸性位相差膜7は隣接する偏光板9側に面し、コレステリック位相差膜5は液晶パネル側(ガラス基板4側)に面するように配置するとよい。
また、図3に、液晶表示装置における偏光板9の吸収軸と光学補償フィルム8の各位相差膜5,7の光軸の関係を示す。図中上下それぞれの偏光板9の吸収軸は互いに直交しており、一軸性位相差膜7の一軸性液晶層の光軸は隣接した偏光板9の吸収軸と直交するように配置されている。なお、電圧無印加時の液晶パネルとコレステリック位相差膜5のコレステリック液晶層は厚み方向に光軸をもっているため、図3に光軸を記載していない。
また、図3に、液晶表示装置における偏光板9の吸収軸と光学補償フィルム8の各位相差膜5,7の光軸の関係を示す。図中上下それぞれの偏光板9の吸収軸は互いに直交しており、一軸性位相差膜7の一軸性液晶層の光軸は隣接した偏光板9の吸収軸と直交するように配置されている。なお、電圧無印加時の液晶パネルとコレステリック位相差膜5のコレステリック液晶層は厚み方向に光軸をもっているため、図3に光軸を記載していない。
ここで、光学補償フィルム8は、つぎの2タイプいずれかの構成をとる。
(タイプ1)
1つの光学補償フィルム8における一軸性位相差膜7とコレステリック位相差膜5は、互いに位相差値が正の波長分散特性を有し、一軸性位相差膜7は、以下の式で定義される面内の位相差Roに透明基板6の位相差を加えた値が75〜180nmであり、コレステリック位相差膜5は、膜厚方向の位相差Rthに透明基板6の位相差を加えた値が70〜180nmであることとする。
(タイプ1)
1つの光学補償フィルム8における一軸性位相差膜7とコレステリック位相差膜5は、互いに位相差値が正の波長分散特性を有し、一軸性位相差膜7は、以下の式で定義される面内の位相差Roに透明基板6の位相差を加えた値が75〜180nmであり、コレステリック位相差膜5は、膜厚方向の位相差Rthに透明基板6の位相差を加えた値が70〜180nmであることとする。
Ro =|(nx−ny)×(一軸性位相差膜膜厚)|
Rth=|{(nx−ny)/2−nz}×(コレステリック位相差膜膜厚)|
(ここで、nx,nyは隣接する偏光板9の透過軸に対して平行方向であり対象位相差膜の面内で直交する方向の屈折率、nzは前記偏光板9の透過軸に対して垂直方向となる対象位相差膜の厚さ方向の屈折率である。)
Rth=|{(nx−ny)/2−nz}×(コレステリック位相差膜膜厚)|
(ここで、nx,nyは隣接する偏光板9の透過軸に対して平行方向であり対象位相差膜の面内で直交する方向の屈折率、nzは前記偏光板9の透過軸に対して垂直方向となる対象位相差膜の厚さ方向の屈折率である。)
(タイプ2)
1つの光学補償フィルム8における一軸性位相差膜7とコレステリック位相差膜5は、互いに位相差値が負の波長分散特性を有し、一軸性位相差膜5は、複屈折を有しマトリクスを形成して位相差値が正の波長分散特性を示す高分子ポリマーと、該高分子ポリマーとは光軸が異なる複屈折を有し前記マトリクス中に添加され位相差値が正またはフラットな波長分散特性を示すポリマーもしくはモノマーとからなり、前記高分子ポリマー、及びポリマーもしくはモノマーそれぞれの主鎖が同じ方向に配列した分子構造であることとする。
1つの光学補償フィルム8における一軸性位相差膜7とコレステリック位相差膜5は、互いに位相差値が負の波長分散特性を有し、一軸性位相差膜5は、複屈折を有しマトリクスを形成して位相差値が正の波長分散特性を示す高分子ポリマーと、該高分子ポリマーとは光軸が異なる複屈折を有し前記マトリクス中に添加され位相差値が正またはフラットな波長分散特性を示すポリマーもしくはモノマーとからなり、前記高分子ポリマー、及びポリマーもしくはモノマーそれぞれの主鎖が同じ方向に配列した分子構造であることとする。
図4にその分子構造の例を示す。
ここでは、一軸性位相差膜7を構成する分子として、前記高分子ポリマーP1は分子の屈折率楕円体を考えた場合に分子の外形の長軸方向と屈折率の遅相軸方向(より大きな屈折率を有する方向)が同じ材料(“正の屈折率を持った材料”)である(図4(a))。また、高分子ポリマーP1からなるマトリクス中に添加される前記ポリマーもしくはモノマーP2は、分子の外形の長軸方向と屈折率の遅相軸方向が直交する材料(“負の屈折率を持った材料”)である(図4(a))。
ここでは、一軸性位相差膜7を構成する分子として、前記高分子ポリマーP1は分子の屈折率楕円体を考えた場合に分子の外形の長軸方向と屈折率の遅相軸方向(より大きな屈折率を有する方向)が同じ材料(“正の屈折率を持った材料”)である(図4(a))。また、高分子ポリマーP1からなるマトリクス中に添加される前記ポリマーもしくはモノマーP2は、分子の外形の長軸方向と屈折率の遅相軸方向が直交する材料(“負の屈折率を持った材料”)である(図4(a))。
つぎに、例えば一軸性位相差膜7をフィルムとして構成する分子が正の屈折率を持った材料による配向の制御を行った場合を考える。高分子ポリマーP1の分子配向を行ったフィルムが発現する位相差(Ret分子)は遅相軸方向の屈折率をnx、それに直行する方向の屈折率をnyとし、フィルムの膜厚をdとした場合、(Ret分子)=(nx−ny)×dと表記できる。
ついで、一軸性位相差膜7について所望の波長分散(負の波長分散)を必要とする場合、図5に示すような関係をもつ位相差(Ret-X)を発現する材料及び構造が必要となる(図5ではRet−Xがフラットな波長分散特性である場合を示しているが、正の波長分散特性であってもよい。)。すなわち、一軸性位相差膜7の位相差をRetとすると、Ret=(Ret分子)−(Ret-X)の関係をもち、位相差Retについて負の波長分散特性をもつように添加する材料を選択し、Ret分子を発現する高分子ポリマーP1の遅相軸とRet-Xを発現する分子であるポリマーもしくはモノマーP2(あるいは結晶)の遅相軸が直交するように制御するのである。
ここでは、一軸性位相差膜7を組成する分子は正の屈折率を持った材料を例に挙げているので、Ret-Xを発現するポリマーもしくはモノマーP2(もしくは結晶)は負の屈折率を持ち、その材料の主鎖(もしくは外形長軸)が高分子ポリマーP1の配向と同じ方向に制御が可能であることが重要になる。そうすると配向制御のしやすさから、マトリクスを構成する高分子ポリマーP1と似た外形形状(アスペクト比が高い形状=柱状形状)を有することが好適である。なお、柱状形状は無機物の場合、斜方形状とも言う。また、この柱状形状を有するポリマーもしくはモノマーP2(結晶)の粒径は、高分子ポリマーP1とほぼ同等の大きさであることも必要である。通常、フィルムを構成するような有機分子(PMMA,PVA等)の分子サイズ(長軸方向)は数〜数10nmオーダーを有するため、そのサイズに近い負の屈折率を有するポリマーもしくはモノマーあるいは柱状結晶P2を用意する。
これによって、高分子ポリマーP1とポリマーもしくはモノマーP2とを混合し(図4(b)ポリマー配向前)、高分子ポリマーP1、及びポリマーもしくはモノマーP2それぞれの主鎖が同じ方向となるように配向させて、本発明における一軸性位相差膜7を得ることができる。
なお、図4において、ポリマーもしくはモノマーP2に代えて同じようなサイズ、負の屈折率をもつ無機物の柱状結晶でもよいとしているが、この場合、一軸性位相差膜7は、複屈折を有しマトリクスを形成して位相差値が正の波長分散特性を示す高分子ポリマーP1と、該高分子ポリマーP1とは光軸が異なる複屈折を有し前記マトリクス中に添加され位相差値が正またはフラットな波長分散特性を示す無機材料の柱状結晶P2とからなり、該柱状結晶の長軸方向が前記高分子ポリマーP1の主鎖と同じ方向に配向した構造であることとする。
また,上述のような負の屈折率を有するポリマーもしくはモノマー、柱状結晶P2の具体的な材料として、無機物の場合CaCO3やSrCO3などの炭酸塩やNbOなどのセラミック系材料、ポリマー・モノマーの場合COP等ノルボルネン系が挙げられる。これらはフィルムを構成する高分子ポリマーP1との粒径に適合することが可能であれば,波長分散を制御する材料として有効である。
ところで、波長450nmの位相差と、波長550nmの位相差の比(R450nm/R550nm)を波長分散の変化度合いFとした場合、図5において高分子ポリマーP1、ポリマーもしくはモノマーP2それぞれの波長分散の変化度合いFを比較すると、位相差の高い方であるポリマーもしくはモノマーP2の波長分散の変化度合いFは、高分子ポリマーP1の波長分散の変化度合いFよりも小さい。本発明では、ポリマーもしくはモノマーP2の波長分散の変化度合いFは、高分子ポリマーP1の波長分散の変化度合いFの1/1.2以下であることが好ましい。
また、タイプ1及びタイプ2いずれの場合においても、一軸性位相差膜7のnz係数は、1.0〜1.4であることが好ましい。
なお、光学補償フィルム8は、上述した2タイプの構成以外にも、1つの光学補償フィルム8における一軸性位相差膜7とコレステリック位相差膜5は、互いに位相差値が負の波長分散特性を有し、一軸性位相差膜5は、2つの一軸性位相差薄膜をそれぞれの遅相軸が直交するように積層してなるものとし、さらに前記一軸性位相差薄膜それぞれの位相差が異なるとともに、一方の一軸性位相差薄膜の前記波長分散の変化度合いFが他方の一軸性位相差薄膜の前記波長分散の変化度合いFの1/1.2以下であり、また、一軸性位相差膜7は、前記の式で定義される面内の位相差Roに透明基板6の位相差を加えた値が75〜180nmであるものとしてもよい。
本発明の液晶表示装置を実施した例を以下に説明する。なお、ここでいう位相差は波長589nmにおける値とする。
(実施例1)
光学補償フィルム8を前述したタイプ1の構成とし、図1に示す液晶表示装置を作製した。なお、液晶パネルの液晶の位相差(ガラス基板4と平行配向したときのみかけの屈折率異方性Δnと液晶層1の厚みの積)は0.32μmとした。
(実施例1)
光学補償フィルム8を前述したタイプ1の構成とし、図1に示す液晶表示装置を作製した。なお、液晶パネルの液晶の位相差(ガラス基板4と平行配向したときのみかけの屈折率異方性Δnと液晶層1の厚みの積)は0.32μmとした。
光学補償フィルム8は、透明基板6である厚み40μmのTACの両面に同時ラビング処理を施し、ラビング後同時に紫外線硬化型液晶材料を塗布後乾燥とUV硬化を行い、膜厚2μmの一軸性位相差膜7と、膜厚2μmのコレステリック位相差膜5を形成して作製した。本実施例では厚み40μmのTACに2つの位相差膜を形成しているため、2枚の光学補償フィルム(コレステリック位相差膜5/透明基板6/一軸性位相差膜7のセット)の合計厚みは概略88μmと薄く、液晶パネル及び偏光板9に貼り付けるときに粘着が必要な界面も少なく、また隣接する液晶パネル、偏光板9の光軸含めて非常に高い光軸配置とすることができた。なお、本実施例においては一軸性位相差膜7が隣接する液晶パネル側となる配置であっても同じ効果が得られる。
また、光学補償フィルム8における一軸性位相差膜7の位相差Roを90nm、Rthを45nmとし、コレステリック位相差膜5の位相差Roを0nm、Rthを75nmとした。本実施例では透明基板として位相差Rthが20nmのTACを用いてので、コレステリック位相差膜5と透明基板6の位相差Rthの合計は95nmとなる。
VA液晶表示方式液晶表示装置は45°や225°などの斜め方向のコントラスト比が弱点であるが、前記条件で作製した本発明の液晶表示装置10の視野角特性を評価したところ、方位角45°仰角60°でもコントラスト比80:1を得ることができた。なお、視野角は図6のように定義した。方位角は上側偏光板9の吸収軸を 0°〜180°と定義し、この軸と為す角度とし、仰角は偏光板9と垂直方向を0°と定義し、垂直方向と為す角とした。
また、全方位の色度をCIE色度(x,y)用いて座標上にプロットしたところ、全方位でx座標y座標とも変化が少なく、変化量0.05とすることができた。
また、全方位の色度をCIE色度(x,y)用いて座標上にプロットしたところ、全方位でx座標y座標とも変化が少なく、変化量0.05とすることができた。
なお、垂直配向液晶表示方式においては、電圧印加時に白が表示されるように、液晶パネルの位相差は0.24μm〜0.40μm程度が最適である。該液晶パネルの位相差範囲においては、一軸性位相差膜7の位相差Roは75nm〜180nmとし、コレステリック位相差膜5の位相差Rthは透明基板6の位相差を含んで70nm〜180nmとすることで、本実施例と同じ表示品質が得られた。また本実施例においては透明基板6としてTACを用いたが、PETなどでも光学補償フィルム8としての位相差が前記範囲であれば、同じ効果が得られる。
(実施例2)
光学補償フィルム8を前述したタイプ2の構成とし、図1に示す液晶表示装置を作製した。なお、液晶パネルの位相差を0.29μmとした。
光学補償フィルム8を前述したタイプ2の構成とし、図1に示す液晶表示装置を作製した。なお、液晶パネルの位相差を0.29μmとした。
光学補償フィルム8は、一軸性位相差膜7の位相差Roを82nm、Rthを41nmとし、コレステリック位相差膜5の位相差Roを1nm、Rthを95nmとした。本実施例では透明基板6として位相差Rth20nmのTACを用いているので、コレステリック位相差膜5と透明基板6の位相差Rthの合計は115nmとなる。
図7に方位角45°、仰角70°方向から評価した液晶パネル及び一軸性位相差膜7(位相差膜A)とコレステリック位相差膜5(位相差膜B)の位相差波長分散特性を示す。液晶パネルの位相差波長分散特性は、図1の液晶表示装置において光学補償フィルム8がない状態での位相差である。その結果、液晶パネルの液晶の位相差波長分散特性は波長が大きくなるに伴い位相差が小さくなる、いわゆる正の分散特性を有しているが、視野角方向での位相差波長分散特性は波長が大きくなるに伴って位相差が大きくなる、いわゆる負の波長分散(逆波長分散)をとっていた。液晶パネルの液晶層を補償する理想的な光学補償フィルム8は、液晶パネルと光学補償フィルム8の位相差が各波長で同じで、かつキャンセルするように配置している必要がある。図7に示す位相差膜A及び位相差膜Bの位相差波長分散特性を持つことによって、液晶パネルの波長分散とほぼ同等の波長分散特性を取ることが可能であった。
本実施例の液晶表示装置においては、方位角45°仰角60°でコントラスト比80:1を得た。各位相差膜5,7の波長分散特性を液晶パネルの波長分散特性に合わせることで、出射光側偏光板9に到達する偏光状態の波長依存性を減らすことができ、全方位でx座標、y座標変化量を0.025とすることができ、黒の色度改善に非常に効果があった。
(実施例3)
光学補償フィルム8を前述したタイプ1の構成とし、図1に示す液晶表示装置を作製した。なお、液晶パネルの液晶の位相差は0.35μmとした。
光学補償フィルム8を前述したタイプ1の構成とし、図1に示す液晶表示装置を作製した。なお、液晶パネルの液晶の位相差は0.35μmとした。
光学補償フィルム8は、一軸性位相差膜7の位相差Roを30nmとした。また通常、透明基板6(TAC)上でラビング方向に正確に並んだ一軸性位相差膜は、平面方向屈折率nyと厚み方向屈折率nzが等しいためnz係数は1となる。本実施例ではこれに加えて、コレステリック液晶層に紫外線効果型液晶を添加し、紫外線硬化工程で特定偏光を持ったUVを照射して回転方向に依存性の持った2軸性液晶膜を一軸性位相差膜7として形成することで、nz係数を1.4とした。なお、透明基板6(TAC)の一軸性位相差膜7用液晶材料塗布面のラビング方向を数方向に施すことで、同じ効果を得ることができる。
本実施例の液晶表示装置により、方位角45°仰角60°でコントラスト比82:1を得ることができた。なお、一軸性位相差膜7のnz係数を1.4より大きくすると、コントラストは大きく低下した。
1・・・液晶層、2・・・配向膜、3・・・透明電極、4・・・ガラス基板、5・・・コレステリック位相差膜(位相差膜B)、6・・・透明基板、7・・・一軸性位相差膜(位相差膜A)、8・・・光学補償フィルム、9・・・偏光板、10・・・液晶表示装置、P1・・・高分子ポリマー、P2・・・モノマー、ポリマーあるいは結晶
Claims (6)
- 第1の偏光板と、対向配置された少なくとも一方の内面に透明電極を有する一対の基板と該基板間に挟持された液晶層とからなる液晶パネルと、第2の偏光板とをこの順番に備える液晶表示装置であって、
前記第1の偏光板と液晶パネルの間、及び前記液晶パネルと第2の偏光板との間に、透明基板の一方の面に一軸性位相差膜が設けられ、他方の面にコレステリック位相差膜が設けられてなる光学補償フィルムを備えることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記一軸性位相差膜及びコレステリック位相差膜は複屈折材料が塗布されてなり、前記一軸性位相差膜が隣接する偏光板側に、前記コレステリック位相差膜が前記液晶パネル側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記光学補償フィルムにおける一軸性位相差膜とコレステリック位相差膜は、互いに位相差値が正の波長分散特性を有し、
前記一軸性位相差膜は、以下の式で定義される面内の位相差Roに前記透明基板の位相差を加えた値が75〜180nmであり、前記コレステリック位相差膜は、膜厚方向の位相差Rthに前記透明基板の位相差を加えた値が70〜180nmであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
Ro =|(nx−ny)×(一軸性位相差膜膜厚)|
Rth=|{(nx−ny)/2−nz}×(コレステリック位相差膜膜厚)|
(ここで、nx,nyは隣接する前記偏光板の透過軸に対して平行方向であり対象位相差膜の面内で直交する方向の屈折率、nzは前記偏光板の透過軸に対して垂直方向となる対象位相差膜の厚さ方向の屈折率である。) - 前記光学補償フィルムにおける一軸性位相差膜とコレステリック位相差膜は、互いに位相差値が負の波長分散特性を有し、
前記一軸性位相差膜は、複屈折を有しマトリクスを形成して位相差値が正の波長分散特性を示す高分子ポリマーと、該高分子ポリマーとは光軸が異なる複屈折を有し前記マトリクス中に添加され位相差値が正またはフラットな波長分散特性を示すポリマーもしくはモノマーとからなり、前記高分子ポリマー、及びポリマーもしくはモノマーそれぞれの主鎖が同じ方向に配列した分子構造であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 - 前記光学補償フィルムにおける一軸性位相差膜とコレステリック位相差膜は、互いに位相差値が負の波長分散特性を有し、
前記一軸性位相差膜は、複屈折を有しマトリクスを形成して位相差値が正の波長分散特性を示す高分子ポリマーと、該高分子ポリマーとは光軸が異なる複屈折を有し前記マトリクス中に添加され位相差値が正またはフラットな波長分散特性を示す無機材料の柱状結晶とからなり、該柱状結晶の長軸方向が前記高分子ポリマーの主鎖と同じ方向に配向した構造であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 - 前記一軸性位相差膜のnz係数は、1.0〜1.4であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一に記載の液晶表示装置。
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